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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
管理番号 1340063
異議申立番号 異議2016-700819  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-05 
確定日 2018-02-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5877643号発明「高純度又は超高純度の化学物質の取り扱い及び輸送のための大型樽」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第5877643号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-3,5-10〕について訂正することを認める。 特許第5877643号の請求項1ないし3,5ないし10に係る特許を取り消す。 特許第5877643号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5877643号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は,平成28年2月5日付けでその特許権の設定登録がされ,その後,特許異議申立人横山佳孝(以下「異議申立人」という。)より請求項1ないし10に対して特許異議の申立てがされ,同年11月2日付けで取消理由が通知され,平成29年2月6日に特許権者から意見書の提出及び訂正請求がされ,同年3月24日に異議申立人から意見書が提出され,同年4月20日付けで取消理由通知(決定の予告)がされ,同年7月24日に特許権者から意見書の提出及び訂正請求がされ,同年9月4日に異議申立人から意見書が提出されたものである。
なお,平成29年2月6日にされた訂正請求は,特許法第120条の5第7項の規定により,取り下げられたものとみなす。


第2 訂正の適否
1.訂正の内容
平成29年7月24日付けの訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)の趣旨は,特許第5877643号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1ないし3及び5ないし10について訂正することを求めるものであって,訂正の内容は,以下の訂正事項1ないし4のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における以下の<訂正前>の記載を,以下の<訂正後>の記載のとおり訂正する(なお,下線部は,訂正箇所を示すために付したものである。)。
<訂正前>
「 前記接続ユニットは,2つの遮断機構(6)若しくは2つより多い遮断機構(6)を含む1つの方向制御装置(5)を有し,」

<訂正後>
「 前記接続ユニットは,前記遮断機構(6)として,第1の弁(6a),第2の弁(6b),及び第3の弁(6c)を含む1つの方向制御装置(5)を有し,」

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の「1つの方向制御装置(5)を有し,」の後に,以下の<訂正後>の事項を付加する。
<訂正後>
「 前記方向制御装置に対応して,前記底部の最も深い部位の近傍に一端が位置する浸漬管(7)が配置されており,」

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1における以下の<訂正前>の記載を,以下の<訂正後>の記載のとおり訂正する
<訂正前>
「 前記遮断機構は弁(6a,6b,6c)若しくはコックであることを特徴とする,樽。」」

<訂正後>
「 前記第1の弁(6a)は,前記浸漬管(7)の他端に接続されており,
前記第3の弁(6c)は,前記接続ユニットの近傍で前記樽(1)に接続されており,
前記第2の弁(6b)は,前記第1及び前記第3の弁(6a,6c)間に配置されており,
前記樽を化合物で満たす場合には,前記第2の弁(6b)が前記第1の弁(6a)及び前記第3の弁(6c)の連通を阻止しているときに,化合物が前記第1の弁(6a)を介して前記樽内に送り込まれ,
前記樽から化合物を排出する場合には,前記第2の弁(6b)が前記第1の弁(6a)及び前記第3の弁(6c)の連通を阻止しているときに,前記第3の弁(6c)を介してガスが前記樽内に送り込まれることで,化合物が前記浸漬管(7)及び前記第1の弁(6a)を通って前記樽から排出されることを特徴とする,樽。」

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項2ないし10について,以下の<訂正前>の記載を,以下の<訂正後>の記載のとおり訂正する。
<訂正前>
「 【請求項2】
前記樽は約1130リットル,又は20000リットルの内部容積を有している請求項1に記載の樽。
【請求項3】
前記遮断機構はダイヤフラム弁である請求項1又は2に記載の樽。
【請求項4】
前記方向制御装置に対応して浸漬管(7)を配置してある請求項1から3のいずれか1項に記載の樽。
【請求項5】
前記接続ユニットは蒸留装置に接続されるようになっている請求項1から4のいずれか1項に記載の樽。
【請求項6】
前記接続ユニットは保護装置(8)内に配置されている請求項1から5のいずれか1項に記載の樽。
【請求項7】
前記樽は支持部(9)を有している請求項1から6のいずれか1項に記載の樽。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の樽をクロロシラン又はモノシランの製造のための装置に接続するためのアダプター。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の樽をクロロシラン又はモノシランの消費のための装置に接続するためのアダプター。
【請求項10】
クロロシラン又はモノシランを貯蔵及び/又は取り扱い及び/又は輸送する,請求項1から7のいずれか1項に記載の樽の使用方法。」

<訂正後>
「 【請求項2】
前記樽は約1130リットル,又は20000リットルの内部容積を有している請求項1に記載の樽。
【請求項3】
前記第1,前記第2,及び前記第3の弁(6a,6b,6c)はダイヤフラム弁である請求項1又は2に記載の樽。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記接続ユニットは蒸留装置に接続されるようになっている請求項1から3のいずれか1項に記載の樽。
【請求項6】
前記接続ユニットは保護装置(8)内に配置されている請求項1から3,5のいずれか1項に記載の樽。
【請求項7】
前記樽は支持部(9)を有している請求項1から3,5,6のいずれか1項に記載の樽。
【請求項8】
請求項1から3,5から7のいずれか1項に記載の樽をクロロシラン又はモノシランの製造のための装置に接続するためのアダプター。
【請求項9】
請求項1から3,5から7のいずれか1項に記載の樽をクロロシラン又はモノシランの消費のための装置に接続するためのアダプター。
【請求項10】
クロロシラン又はモノシランを貯蔵及び/又は取り扱い及び/又は輸送する,請求項1から3,5から7のいずれか1項に記載の樽の使用方法。」

2.訂正の目的の適否,新規事項の有無,一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は,接続ユニットが有している1つの方向制御装置について,訂正前は,「2つの遮断機構(6)若しくは2つより多い遮断機構(6)を含む」と記載していたものを,訂正後は,「前記遮断機構(6)として,第1の弁(6a),第2の弁(6b),及び第3の弁(6c)を含む」と記載し,遮断機構として3つの弁を含むことを限定したものであるから,訂正事項1の訂正の目的は,特許請求の範囲の減縮に該当する。
また,第1の弁(6a),第2の弁(6b),及び第3の弁(6c)を含む方向制御装置は,段落【0029】に記載されているから,新規事項の追加に該当しない。
さらに,訂正事項1は,接続ユニットが有している1つの方向制御装置を,より具体的に特定したものであるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないことは明らかである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は,訂正前の請求項1に,「前記方向制御装置に対応して,前記底部の最も深い部位の近傍に一端が位置する浸漬管(7)が配置されており,」
という事項を付加したものであるから,訂正事項2の訂正の目的は,特許請求の範囲の減縮に該当する。
また,訂正事項2は,訂正前の請求項4に記載されているから,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないことは明らかである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は,遮断機構について,訂正前は「弁(6a,6b,6c)若しくはコックである」と記載していたものを,訂正後は「前記第1の弁(6a)は,前記浸漬管(7)の他端に接続されており,前記第3の弁(6c)は,前記接続ユニットの近傍で前記樽(1)に接続されており,前記第2の弁(6b)は,前記第1及び前記第3の弁(6a,6c)間に配置されており,前記樽を化合物で満たす場合には,前記第2の弁(6b)が前記第1の弁(6a)及び前記第3の弁(6c)の連通を阻止しているときに,化合物が前記第1の弁(6a)を介して前記樽内に送り込まれ,前記樽から化合物を排出する場合には,前記第2の弁(6b)が前記第1の弁(6a)及び前記第3の弁(6c)の連通を阻止しているときに,前記第3の弁(6c)を介してガスが前記樽内に送り込まれることで,化合物が前記浸漬管(7)及び前記第1の弁(6a)を通って前記樽から排出される」と記載し,弁の配置や機能をより具体的に限定しているから,訂正事項3の訂正の目的は,特許請求の範囲の減縮に該当する。
また,訂正事項3は,発明のカテゴリーを変更するものではなく,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないことは明らかである。
そして,第1の弁を浸漬管の他端に接続し,第3の弁を,接続ユニットの近傍で樽に接続し,第2の弁を,第1及び第3の弁の間に配置することは,図1に記載されており,樽を化合物で満たす場合には,第2の弁が第1の弁及び第3の弁の連通を阻止しているときに,化合物が第1の弁を介して樽内に送り込まれることは,段落【0032】に記載されており,樽から化合物を排出する場合には,第2の弁が第1の弁及び第3の弁の連通を阻止しているときに,第3の弁を介してガスが樽内に送り込まれることで,化合物が浸漬管及び第1の弁を通って樽から排出されることは,段落【0033】に記載されているから,新規事項の追加に該当しない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4における請求項3についての訂正は,訂正事項1との整合を図るものであるから,その訂正の目的は,明りょうでない記載の釈明に該当し,当該訂正が新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないことは明らかである。
また,訂正事項4における請求項4ないし10についての訂正は,訂正事項2により,訂正前の請求項4に係る事項が訂正後の請求項1に記載されたことに伴って,訂正後の請求項4の記載を削除し,訂正後の引用形式の請求項5ないし10の記載において,請求項4についての引用を削除したものであるから,その訂正の目的は,特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に該当し,当該訂正が新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないことは明らかである。
(5)一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし10は,訂正前の請求項1を直接又は間接に引用する関係にあるから,訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって,本件訂正請求は,一群の請求項ごとにされたものである。

3.小括
したがって,本件訂正請求による訂正事項1ないし4は,特許法第120条の5第2項ただし書第1又は3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので,訂正後の請求項〔1-3,5-10〕についての訂正を認める。


第3 当審の判断
1.本件特許発明
上記第2の3.に示すとおり,本件訂正請求は認容されたから,訂正後の請求項1に係る発明(以下「特許発明1」という。)は,次のとおりのものである。
「 【請求項1】
クロロシラン又はモノシランを受容している樽(1)であって,接続ユニット(2)を備えている形式のものにおいて,
前記樽は少なくとも850リットルの内部容積を有しており,かつ前記接続ユニット(2)は少なくとも1つの遮断機構(6)を含み,
前記樽及び前記接続ユニットを形成する材料は,特殊鋼316Lであり,
前記樽は,円筒状の周壁(3)及び,該円筒状の周壁の両側に,湾曲された底部(4a)及び湾曲された上方の終端閉鎖部(4b)を有し,
前記特殊鋼は電解研磨されており,
前記接続ユニットは,前記遮断機構(6)として,第1の弁(6a),第2の弁(6b),及び第3の弁(6c)を含む1つの方向制御装置(5)を有し,
前記方向制御装置に対応して,前記底部の最も深い部位の近傍に一端が位置する浸漬管(7)が配置されており,
前記第1の弁(6a)は,前記浸漬管(7)の他端に接続されており,
前記第3の弁(6c)は,前記接続ユニットの近傍で前記樽(1)に接続されており,
前記第2の弁(6b)は,前記第1及び前記第3の弁(6a,6c)間に配置されており,
前記樽を化合物で満たす場合には,前記第2の弁(6b)が前記第1の弁(6a)及び前記第3の弁(6c)の連通を阻止しているときに,化合物が前記第1の弁(6a)を介して前記樽内に送り込まれ,
前記樽から化合物を排出する場合には,前記第2の弁(6b)が前記第1の弁(6a)及び前記第3の弁(6c)の連通を阻止しているときに,前記第3の弁(6c)を介してガスが前記樽内に送り込まれることで,化合物が前記浸漬管(7)及び前記第1の弁(6a)を通って前記樽から排出されることを特徴とする,樽。」
また,訂正後の請求項2及び3並びに5ないし10に係る発明(以下「特許発明2」などという。)は,上記第2の1.(4)の<訂正後>に記載されたとおりのものである。

2.取消理由(決定の予告)の概要及び刊行物
平成29年4月20日付けで通知した取消理由通知(決定の予告)の概要は,平成29年2月6日にされた訂正請求により訂正された特許発明1ないし3及び5ないし10は,甲第1号証記載の発明,甲第1号証及び刊行物1の記載事項,並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであり,平成29年2月6日にされた訂正請求により訂正された特許発明4についての特許異議の申立てを却下する,というものであり,取消理由通知(決定の予告)で引用された刊行物は,以下のとおりである。

・甲第1号証(中国実用新案第2557482号明細書)
・甲第4号証(特開平6-218267号公報)
・甲第5号証(富本昭集 ほか1名,半導体プロセスガス安全データ集,
SEMIジャパン,1991年8月30日)
・刊行物1 (特開2007-182927号公報)
・刊行物2 (特開2005-157361号公報)
・刊行物3 (特開平6-239384号公報)

3.刊行物の記載
(1)甲1の記載事項及び甲1発明
本件特許の優先日前である2003年(平成15年)6月25日に頒布された刊行物である甲第1号証(以下,各甲号証を「甲1」などという。)には,以下の事項及び発明が記載されている。なお,甲1の原文についてはイメージ画像を添付し,括弧内に翻訳文を付記する。

ア.甲1の第1ページ左下欄下から第4及び3行


(前記のタンク及び三方ボールバルブは,316Lステンレス材料を用いて作成されている。)

イ.甲1の第3ページ第3行ないし下から第5行


(技術分野
本考案は輸送貯蔵容器の技術分野に係わり,光ファイバ用高純度四塩化ゲルマニウム(GeCl_(4)),高純度四塩化ケイ素(SiCl_(4))の輸送貯蔵容器に属する。
背景技術
高純度四塩化ゲルマニウム(GeCl_(4)),高純度四塩化ケイ素(SiCl_(4))は,常温,常圧下では液体状の製品であり,揮発しやすく,しかも腐食性があり,空気中で長時間暴露されると加水分解が発生して白色の沈殿を生じる。現在,世界中で使用されている包装容器は,材質によりガラスとステンレスの2種類に分けられており,いずれも特製のPTFEバルブを持ち,バルブ口はねじ込み形式でガラス瓶と連結されているが,フッ素樹脂は比較的柔らかく,長期的な使用により容易に変形し,バルブの密封効果に影響を与え,漏れが生じやすくなり,製品の品質が汚染されるので,光ファイバ生産の品質要求を満たすことができない。また,ガラスは割れやすい材質であり,加工過程では容器の大きさが制限され,輸送過程では危険性がかなり高い。
考案の内容
本考案の目的は,構造が簡単で,使用に便利で,安全性が高く,貯蔵,輸送,使用が一体化した光ファイバ用高純度四塩化ゲルマニウム(GeCl_(4)),高純度四塩化ケイ素(SiCl_(4))の輸送貯蔵容器を提供することにある。
上記の目的を実現するために,本考案では,以下の設計手段を採用している。
液体を充填する1つのタンクを有し,タンクの頂端には太い管継手が連結されており,管継手の上端の外円部には下フランジが連結され,下フランジ上には上フランジが連結されており,1本のフィード管が上フランジを貫通してタンク内の底部まで伸入し,1本の給気管が上フランジを貫通して管継手内に進入している輸送貯蔵容器において,フィード管の上端にはフィード三方ボールバルブが連結され,給気管の上端には給気三方ボールバルブが連結されており,2つの三方ボールバルブ中の対応する1つの通用管路が互いに連通していることを特徴とする。2つの三方ボールバルブが容器に対して閉止状態にある場合,気体が液体出口から短絡して吹き出し,液体出口に残存する製品を吹き落とすことで,三方ボールバルブの清潔さを保持するので,次に使用する際に汚染されていない。輸送過程での安全性を高めるために,三方ボールバルブ上にはバルブを保護するバルブカバーが設置されており,該バルブカバーの下側壁は,蝶形ボルトによってタンクと連結されている。)

ウ.甲1の第4ページ第3行ないし下から第2行


(考案を実施するための形態
図1を参照すると,輸送貯蔵容器は液体を充填する1つのタンク11を有し,タンク11の頂端には太い管継手14が連結されており,管継手14の上端の外円部には下フランジ9が連結され,下フランジ9上には上フランジ7が連結されており,1本のフィード管12が上フランジ7を貫通してタンク11内の底部まで伸入し,1本の給気管6が上フランジ7を貫通して管継手14内に進入しており,フィード管12の上端にはフィード三方ボールバルブ3が連結され,給気管6の上端には給気三方ボールバルブ5が連結されており,2つの三方ボールバルブ3,5中の対応する1つの通用管路4は互いに連通している。2つの三方ボールバルブ3,5が閉じている時,即ち容器に対して閉止状態にある時,気体は入口15,管路4,液体出口16を経て短絡して吹き出し,液体出口16に残存する製品を吹き落とすことで,三方ボールバルブ3の清潔さを保持するので,次に使用する際に汚染されていない。
輸送過程での安全性を高めるために,三方ボールバルブ上にはバルブを保護するバルブカバー2が設置されており,該バルブカバー2の下側壁は,蝶形ボルト10によってタンク11と連結されている。
前記のタンク11及び三方ボールバルブ3,5は,ステンレス材料を用いて作成されている。タンク11の内壁は,特殊な処理を経ることにより,常温,常圧下で四塩化ゲルマニウム(GeCl_(4)),四塩化ケイ素(SiCl_(4))によって腐食されることがない。
タンク11上にはガード柵1が取り付けられているが(図1参照),ガード柵1はなくてもよく(図2参照),タンク11の両側には取っ手が,タンク11の底端には底敷き13が取り付けられている。)

エ.図1
図1には,タンク11が,湾曲された底部及び湾曲された上方の終端閉鎖部を有していること,フィード管12の上端に三方ボールバルブ3が設けられていること,三方ボールバルブ5が,三方ボールバルブ3及び通用管路4の近傍でタンク11に接続されていることの図示がある。


オ.甲1発明
上記ウ.には,タンク11及び三方ボールバルブ3,5が,ステンレス材料を用いて作成されていることの記載があるところ,上記ア.の記載からみて,当該ステンレス材料が,316Lステンレス材料,すなわちアメリカ鉄鋼協会が制定するAISI規格における「316L」ステンレス材料を意味することは明らかである。
また,図1には,タンク11が示されているところ,タンクの周壁を円筒状に構成することは,技術常識といえる。
これらを踏まえて,甲1の記載事項を整理すると,甲1には,次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているということができる。
「四塩化ケイ素(SiCl_(4))を充填するタンク11であって,2つの三方ボールバルブ3,5,通用管路4,液体出口16及び入口15を備えている形式のものにおいて,
前記タンク11及び2つの三方ボールバルブ3,5を形成する材料は,316Lステンレス材料であり,
前記タンク11は,円筒状の周壁及び,該円筒状の周壁の両側に,湾曲された底部及び湾曲された上方の終端閉鎖部を有し,
三方ボールバルブ3に対応して,前記底部の最も深い部位の近傍に一端が位置するフィード管12が配置されている,タンク11。」

(2)甲4の記載事項
本件特許の優先日前である平成6年8月9日に頒布された刊行物である甲4には,以下の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,化学薬品を貯蔵,運搬,分配のための流体分配装置に関するものである。更に具体的には,本発明は,高純度の化学薬品を取扱う流体分配システムを対象とするものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】高純度の化学薬品類は,高純度の溶剤,たとえばアセトン,ベンジン,三塩化炭素,エーテル,メタノール,トリフルオロタン等を含有している。」

イ.「【0005】本発明による流体分配装置は,流体用の中空室と容器口とを備えた流体容器を有している。容器口上方にはマニホールド・アセンブリが取付けられ,充填管アセンブリを保持している。この充填管アセンブリは,流体容器中空室内を下方へ延びる充填管を有している。
【0006】また,カップリング,好ましくは施錠カップリングを備えておく。カップリング部材は,マニホールド・アセンブリに取付けておく。カップリング部材の一方は充填管と流体接続させ,他方の部材は容器中空室と接続しておく。更に,マニホールド・アセンブリに隣接するところには圧力逃し弁を配置しておき,この弁を容器中空室と接続しておく。容器が開いたかどうかを確認するための視認部材は,マニホールド・アセンブリに設けておく。」

ウ.「【0014】カップリング51,52は,ニップル38,39にそれぞれ接続されたカップリング部材53,54を有している。カップリング51,52は,好ましくは施錠カップリングとし,化学薬品が誤って容器16に充填されたり,容器16から取出されたりしないようにしておく。施錠カップリング51,52は,譲受人の,1991年12月23日付提出の米国特許出願第07/811,601号に開示されている型式のものが好ましい。前記出願に開示された型式のものが,参考として本出願に取入れられている。」

エ.「【0016】カップリング51は,化学薬品を分配装置15の中空室16に充填したり,中空室16から放出したりするのに利用される。・・・(後略)」

オ.「【0023】図11には本発明による流体分配装置15の使用経過が略示されている。ステップ1の前に,本発明による新型流体分配装置15は,従来の仕方で洗浄する。分配装置15は,ステップ1に示されているように,完全に組立てられる。洗浄と組立ての過程の後,直ちに空の流体容器16に窒素などの不活性ガスが充填される。以下のステップは,積送り前に現場で行なわれるか,又は購入者が行なう。ステップ2では,キャップ56,57をカップリング部材53,54から外す。ステップ3では,カップリング51,52を介して流体容器16が導管84,85と接続される。初充填の間,導管84は,たとえばトリフルオロタン等の化学薬品源に接続される。また,導管85は,たとえば窒素等の不活性ガス用の溜め容器に接続される。」

カ.「【0026】流体容器16内の化学薬品を利用する場合には,キャップ56,57を再び外して,カップリング部材53,54を付加的な導管84,85に接続する。この状態で,導管84が流体容器16から化学薬品を放出するのに対し,導管85は流体容器16内へ追加の不活性ガスを供給する。」

(3)甲5の記載事項
本件特許の優先日前である1991年(平成3年)8月30日に頒布された刊行物である甲5には,以下の事項が記載されている。

第73ページ第1ないし3行
「 6 四塩化ケイ素
・・・(中略)・・・
1.別称 テトラクロロシラン」

(4)刊行物1
本件特許の優先日前である平成19年7月19日に頒布された刊行物である刊行物1には,以下の事項が記載されている。
ア.「【0022】
ブロック集積バルブ(b-2)の開閉機構の種類としては,ニードルバルブ,ベローズバルブ,ボールバルブ,アングルバルブ,バタフライバルブ,ゲートバルブ,ダイヤフラムバルブの開閉弁が挙げられる。中でも,デッドボリュームや清浄度の面で,流体滞留部の少ないダイヤフラム方式の開閉弁が好適である。また,バルブ機構の制御方式は手動,自動制御(圧空駆動,電動駆動等)いずれでもよい。自動制御の場合,初期状態は開(ノーマリーオープン)でもよく,閉(ノーマリークローズ)でもよい。」

イ.「【0031】
CVD,ALD等の半導体製造プロセスに使用される場合には,高真空対応性や高清浄度保持に適する鉄,アルミ,チタン,ニッケル合金,ステンレス材等の金属材が好ましい。また,流体接触部分は,配管からのパーティクル及び金属の溶出や,その他水等の不純分の放出等を防ぐため,バフ研磨処理,電解研磨処理,更に物理的及び/又は化学的研磨手法を併用したECB,MCP等の高精度研磨処理を施した上,精密洗浄を施し,十分に乾燥を施した表面状態とすることがより好ましく,必要に応じて表面にオゾンパッシベーション,酸素/加熱処理によるパッシベーション化,フッ化処理等による不導体化処理等,2次的なクリーン化処理を施してもよい。」

ウ.「【技術分野】
【0001】
本発明は,流体を貯蔵,運搬又は供給するためのバルブ付流体用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスや精密分析においては,流体(ガス,液体)を移送又は供給する流体用容器は,その系内を常にコンタミネーションや異物のない状態に保つ必要があり,そのため,容器や部品の交換の際に容器系ラインのパージや洗浄が行われる。特にCVD又はALD等の半導体製造プロセスにおいて,外環境の影響を受け易い流体を使用する場合は,使用中,容器の着脱時,容器又は配管のメンテナンス時において,高度に清浄度を保つ必要があり,複数のバルブを組み合わせた流体用容器が必要とされている。
【0003】
例えば,H型の配管に複数のバルブを配した流路構成を有するものとして,特許文献1には,容器接続用配管A,配管B及び開閉弁を有する分岐配管Cの3配管をそれぞれ接続し,3ポートバルブを具備した,パージの容易な流体移送用配管装置が開示されている。また,特許文献2の図1等には,3つ又は5つバルブを配した配管を有する流体容器が開示されている。」

エ.「【0019】
流体が半導体製造プロセスに用いられる薬剤である場合のブロック集積バルブ(b-2)により構成される流路としては,例えば,図5で示す構成が挙げられる。また,使用時又はメンテナンス時において,外環境の影響を受け易く,高度に清浄度を保つ必要のあるCVD原料又はALD原料等の流体をプロセスに供給する容器の場合の流路構成としては,例えば図6で示す構成が挙げられる。
図5及び図6に示す流路はいずれも,上記ブロック集積バルブ(b-2)が,上記容器本体(A)の内部と該容器本体(A)の外部(プロセス側)とを連通する流路1,同様に上記容器本体(A)の内部と該容器本体(A)の外部(プロセス側)とを連通する流路1とは別の流路2,及びこれらの流路を連通させる流路3から構成される。図5に示す流路においては,流路1,流路2及び流路3それぞれに1つの開閉弁が設けられており,流路1の開閉弁から見て容器本体(A)の外部側と,流路2の開閉弁から見て容器本体(A)の外部側とにおいて,流路1と流路2とが流路3によって連通される構成となっている。また,図6に示す流路においては,流路1及び流路2それぞれに2つの開閉弁,流路3に1つの開閉弁が設けられており,流路1の2つの開閉弁の間と,流路2の2つの開閉弁の間とにおいて,流路1と流路2とが流路3によって連通される構成となっている。」

オ.図5
図5には,容器本体の内部(図5の下側)と該容器本体の外部(図5の上側)とを連通する2本の縦の流路と,2本の縦の流路を連通させる横の流路から構成され,各流路のそれぞれに1つの開閉弁を設けた流路構造が図示されている。



(5)刊行物2
本件特許の優先日前である平成17年6月16日に頒布された刊行物である刊行物2には,以下の事項が記載されている。
「【0024】
特に好ましいのは,耐腐食性材料またはステンレス鋼製の圧力容器である。好ましいのは,さらに,内側壁が,好適な方法により処理された,例えば電解研磨されたか,もしくは酸洗いされた内側壁または特定の被膜を設けられた内側壁を有する容器である。このような被膜の例は,例えば,チタンもしくはチタンを含む合金または,またLCディスプレイ素子における被膜(「上塗り」)として用いられている,蒸着,スパッタリングまたは他の方法により設けられた有機物質の被膜である。好ましい上塗り材料は,当業者に知られている。
【0025】
ガラスビンとは対照的に,本発明の容器は,LCまたはLCMを汚染し得る,粒子の生成に対する,および/またはイオンの溶解に対する低減化傾向を有する。
特に好ましいのは,電解研磨された,または対応して処理された内側壁を有する耐腐食性鋼鉄製の圧力容器である。」

(6)刊行物3
本件特許の優先日前である平成6年8月30日に頒布された刊行物である刊行物3には,以下の事項が記載されている。
「【0007】本発明に用いられる容器は,内容量が例えば5mL?10Lのような比較的小さい金属製の容器であり,特材ガスの種類,貯蔵条件に適合する強度,耐蝕性を備えたものであれば金属の材質には特に制限はなく,種々の金属および合金が使用できるが,通常は,ステンレス鋼製などの容器が一般的に用いられる。また,容器の内壁などに吸着されている微量の不純物ガスや粒子などの特材ガス中への混入が問題となるような場合には,容器の内面を電解研磨や酸化皮膜形成処理などを施したものが用いられる。容器の形状にも種々なものがあるが,通常は円筒状であり,充填される特材ガスの形態,使用目的などに応じて,ガス,液体など流体の出入口,粉体,固体の充填口などが設けられる。」

4.対比及び判断
(1)特許発明1について
ア.甲1発明と特許発明1との対比
甲1発明と特許発明1とを対比すると,甲1発明の「四塩化ケイ素(SiCl_(4))」は,テトラクロロシランとも呼ばれる(上記3.(3))から,特許発明1の「クロロシラン」に相当する。
また,甲1発明の「タンク11」は,略円筒状の容器であって,そのような容器を「樽」と呼ぶこともできるから,甲1発明の「タンク11」は特許発明1の「樽」に相当し,甲1発明の「充填する」ことが,特許発明1の「受容している」ことに相当することは明らかである。
また,特許発明1では「接続ユニット(2)」について,「少なくとも1つの遮断機構(6)を含み」,「前記接続ユニットは,前記遮断機構(6)として,第1の弁(6a),第2の弁(6b),及び第3の弁(6c)を含む1つの方向制御装置(5)を有し」ていると定義されている。そして,甲1発明の「2つの三方ボールバルブ3,5,通用管路4,液体出口16及び入口15」における「2つの三方ボールバルブ3,5」が,特許発明1における「少なくとも1つの遮断機構(6)」や「弁」に相当することは明らかであるから,特許発明1の「接続ユニット」と,甲1発明の「2つの三方ボールバルブ3,5,通用管路4,液体出口16及び入口15」とは,「接続ユニットは,少なくとも1つの遮断機構を含み」,「接続ユニットは,遮断機構として,弁を含む1つの方向制御装置を有し」ている点で,共通する。
また,甲1発明において「三方ボールバルブ3に対応して,前記底部の最も深い部位の近傍に一端が位置するフィード管12が配置されて」いることが,特許発明1において「前記方向制御装置に対応して,前記底部の最も深い部位の近傍に一端が位置する浸漬管(7)が配置されて」いることに相当する。
そして,甲1発明の「316Lステンレス材料」が特許発明1の「特殊鋼316L」に相当することは明らかであり,甲1発明において「タンク11は,円筒状の周壁及び,該円筒状の周壁の両側に,湾曲された底部及び湾曲された上方の終端閉鎖部を有」することが,特許発明1において「樽は,円筒状の周壁(3)及び,該円筒状の周壁の両側に,湾曲された底部(4a)及び湾曲された上方の終端閉鎖部(4b)を有」することに相当することも明らかである。
以上から,甲1発明と特許発明1は,以下の点で一致及び相違する。

<一致点>
「クロロシランを受容している樽であって,接続ユニットを備えている形式のものにおいて,
前記接続ユニットは少なくとも1つの遮断機構を含み,
前記樽を形成する材料は,特殊鋼316Lであり,
前記樽は,円筒状の周壁及び,該円筒状の周壁の両側に,湾曲された底部及び湾曲された上方の終端閉鎖部を有し,
前記接続ユニットは,前記遮断機構として,弁を含む1つの方向制御装置を有し,
前記方向制御装置に対応して,前記底部の最も深い部位の近傍に一端が位置する浸漬管が配置されている,樽。」である点。

<相違点1>
特許発明1の「樽」は,「少なくとも850リットルの内部容積を有して」いるのに対して,甲1発明の「タンク11」は,内部容積が不明な点。

<相違点2>
特許発明1の「接続ユニット」は,「特殊鋼316L」で形成されており,また,「特殊鋼は電解研磨されて」いるのに対して,甲1発明の「2つの三方ボールバルブ3,5,通用管路4,液体出口16及び入口15」は,「2つの三方ボールバルブ3,5」については「316Lステンレス材料」で形成されているものの,「通用管路4,液体出口16及び入口15」の材料が不明である上に,「316Lステンレス材料」が電解研磨されているかどうかも不明である点。

<相違点3>
特許発明1の「1つの方向制御装置」は,「第1の弁(6a),第2の弁(6b),及び第3の弁(6c)を含む」ものであり,「前記第1の弁(6a)は,前記浸漬管(7)の他端に接続されており,前記第3の弁(6c)は,前記接続ユニットの近傍で前記樽(1)に接続されており,前記第2の弁(6b)は,前記第1及び前記第3の弁(6a,6c)間に配置されており,前記樽を化合物で満たす場合には,前記第2の弁(6b)が前記第1の弁(6a)及び前記第3の弁(6c)の連通を阻止しているときに,化合物が前記第1の弁(6a)を介して前記樽内に送り込まれ,前記樽から化合物を排出する場合には,前記第2の弁(6b)が前記第1の弁(6a)及び前記第3の弁(6c)の連通を阻止しているときに,前記第3の弁(6c)を介してガスが前記樽内に送り込まれることで,化合物が前記浸漬管(7)及び前記第1の弁(6a)を通って前記樽から排出される」ものであるのに対して,甲1発明の「1つの方向制御装置」は,「2つの三方ボールバルブ3,5,通用管路4」を備えている点。

イ.相違点1について
甲1には,従来の容器の材料であるガラスについて「ガラスは割れやすい材質であり,加工過程では容器の大きさが制限され」(上記3.(1)イ.)るという問題点が記載されているから,従来の容器は容量が制限されていたという問題点は,甲1発明が解決しようとする課題に含まれていると解することができる。
さらに,甲1には,「2つの三方ボールバルブ3,5が閉じている時,即ち容器に対して閉止状態にある時,気体は入口15,管路4,液体出口16を経て短絡して吹き出し,液体出口16に残存する製品を吹き落とすことで,三方ボールバルブ3の清潔さを保持するので,次に使用する際に汚染されていない。」(上記3.(1)ウ.)ことが記載されているところ,当該「次に使用する際」という記載は,甲1発明のタンク11の内容物を,開封後に全て使い切るのではなく,数回に分けて使用することを示している。そうすると,甲1の当該記載に接した当業者であれば,甲1発明のタンク11の容量について,内容物を数回に分けて使用できる程度に大きいものとすることが可能であって,そのように複数回に分けて使用しても,三方ボールバルブ3を洗浄することで,内容物の汚染を回避できることを理解できる。
以上のことから,甲1の記載に接した当業者であれば,甲1発明のタンク11の容量について,その内容物を数回に分けて使用できる程度の大きなものとすることを当然に試みるというべきであるし,その容量の範囲の下限の具体的数値を,「少なくとも850リットル」と設定することは,内容物の使用量や価格といった具体的な状況に応じて適宜に決定すべき数値範囲の最適化にすぎない。
したがって,甲1発明のタンク11を「少なくとも850リットルの内部容積を有して」いるように構成することは,甲1の記載事項に基づいて当業者が容易に想到できたものである。

ウ.相違点2について
甲1に「前記のタンク11及び三方ボールバルブ3,5は,ステンレス材料を用いて作成されている。タンク11の内壁は,特殊な処理を経ることにより,常温,常圧下で四塩化ゲルマニウム(GeCl_(4)),四塩化ケイ素(SiCl_(4))によって腐食されることがない」(上記3.(1)ウ.)と記載されているように,甲1発明の2つの三方ボールバルブ3,5を316Lステンレス材料で構成する理由は,四塩化ケイ素による腐食を防止することであるといえるところ,甲1発明の通用管路4,液体出口16及び入口15も,四塩化ケイ素に近い部分の部材であるから,当業者であれば,四塩化ケイ素による腐食を防止するように,316Lステンレス材料で構成しようと試みるといえる。
また,上記イ.に説示するように,甲1発明は,内容物が汚染されないように考慮しているところ,流体が接触する部分を電解研磨処理して,その汚染を防止することは,刊行物1ないし3(上記3.(4)ないし(6))に示すように従来周知の技術的事項であるから,甲1発明の316Lステンレス材料を電解研磨することは,当業者が容易に想到できたものである。

エ.相違点3について
(ア)相違点3を検討するために,甲1発明の2つの三方ボールバルブ3,5の機能を見ると,まず,三方ボールバルブ3,5を気体で清掃,すなわちパージをする際には,上記イ.で説示するように,気体は入口15,三方ボールバルブ5,通用管路4,三方ボールバルブ3及び液体出口16を通過しているから,三方ボールバルブ3は,液体出口16と通用管路4の間を連通し,液体出口16とフィード管12の間を遮断するように機能し,三方ボールバルブ5は,入口15と通用管路4の間を連通し,入口15と給気管6の間を遮断するように機能している。
(イ)また,甲1には,タンク11に四塩化ケイ素を充填又は排出する際の三方ボールバルブ3,5の具体的な機能について明記されていないが,排出について見ると,甲1発明のフィード管12は,タンクの底部の近傍まで達しているから,四塩化ケイ素を効率的に排出するためには,液体出口16とフィード管12が連通し,液体出口16と通用管路4の間を遮断するように三方ボールバルブ3が機能すると,当業者であれば当然に理解できる。
また,四塩化ケイ素は,空気中の水分と反応する物質であるから,四塩化ケイ素を排出する際には,不活性ガスをタンク11に送り込む必要があることは明らかであり,その際は,入口15と給気管6が連通し,入口15と通用管路4の間を遮断するように三方ボールバルブ5が機能すると,当業者であれば当然に理解できる。
(ウ)次に,充填について見ると,甲1には,バルブの清潔さを保つことが記載されているから,当業者は,四塩化ケイ素を排出する際に不活性ガスが通過する三方ボールバルブ5や,パージの際に不活性ガスが通過する通用管路4を,四塩化ケイ素を充填する際に使用するはずがない。また,給気管6から四塩化ケイ素を充填しようとすれば,タンク11内部のガスはフィード管12から排出しなければならないが,四塩化ケイ素がフィード管12の下端まで充填されれば,ガスの出口が塞がれてしまい,それ以上は充填できないことから,当業者であれば,フィード管12から充填すると理解するほかない。そうすると,充填の際は,液体出口16とフィード管12が連通し,液体出口16と通用管路4の間を遮断するように三方ボールバルブ3が機能すると,当業者であれば当然に理解できる。
(エ)以上をまとめると,甲1発明では,パージの際には,三方ボールバルブ3が,液体出口16と通用管路4を連通し,フィード管12を遮断するように機能し,三方ボールバルブ5が,入口15と通用管路4を連通し,給気管6を遮断するように機能し,四塩化ケイ素を充填する際には,三方ボールバルブ3が,液体出口16とフィード管12を連通し,通用管路4を遮断するように機能し,四塩化ケイ素を排出する際には,三方ボールバルブ3が,液体出口16とフィード管12を連通し,通用管路4を遮断するように機能し,三方ボールバルブ5が,入口15と給気管6を連通し,通用管路4を遮断するように機能しているといえる。
すなわち,甲1発明の2つの三方ボールバルブ3,5は,液体出口16とフィード管12をつなぐ流路の連通及び遮断機能,入口15と給気管6をつなぐ流路の連通及び遮断機能,並びに液体出口16,通用管路4,入口15をつなぐ流路の連通及び遮断という,3つの流路の連通及び遮断機能を行っているということができる。
(オ)ここで,刊行物1の図5(上記3.(4)オ.)を参照すると,容器本体の内部(図5の下側)と該容器本体の外部(図5の上側)とを連通する2本の縦の流路と,2本の縦の流路を連通させる横の流路という,3つの流路と,各流路を開閉する開閉弁で構成された流路構造が示されているところ,刊行物1には,当該流路構造を,どのような用途で使用するのか,具体的な記載はない。
(カ)しかし,刊行物1の段落【0002】及び【0003】(上記3.(4)ウ.)には,背景技術として,流体用容器の系内を異物のない状態に保つために,容器系ラインのパージが行われること,及びH型の配管によりパージが可能であることが示されている。そして,図5の流路構造は,H型の配管にほかならないし,図5を説明する段落【0019】には,「流路1の開閉弁から見て容器本体(A)の外部側と,流路2の開閉弁から見て容器本体(A)の外部側とにおいて,流路1と流路2とが流路3によって連通される構成となっている」(上記3.(4)エ.)との記載があり,2本の縦の流路の外部側同士を,横の流路で連通させることが示されている。
(キ)刊行物1のこれらの記載に接した当業者であれば,H型の配管である図5の流路構造は,2本の縦の流路の外部側同士を,横の流路で連通させることによりパージが可能であり,当該流路構造を異物のない状態に保つ用途で使用するものと理解できる。
(ク)そして,上記(ア)で説示するように,甲1発明は,2つの三方ボールバルブ3,5及び通用管路4によってパージを行うことが示されており,上記(エ)で説示するように,2つの三方ボールバルブ3,5は,3つの流路の連通及び遮断を行う機能を有するところ,そのように配管及び弁をパージし,3つの流路の連通及び遮断を行う機能を有する構成として,刊行物1の流路構造が存在し,甲1発明における液体出口16とフィード管12をつなぐ流路の連通及び遮断機能が,刊行物1の2本の縦の流路のうちの一方の流路の開閉弁の開閉機能に相当し,甲1発明における入口15と給気管6をつなぐ流路の連通及び遮断機能が,刊行物1の2本の縦の流路のうちの他方の流路の開閉弁の開閉機能に相当し,甲1発明における液体出口16,通用管路4,入口15をつなぐ流路の連通及び遮断機能が,刊行物1の横の流路の開閉弁の開閉機能に相当することから,甲1の2つの三方ボールバルブ3,5に代えて,刊行物1の流路構造を適用し,液体出口16とフィード管12をつなぐ流路,入口15と給気管6をつなぐ流路,液体出口16,通用管路4,入口15をつなぐ流路のそれぞれに,開閉弁を設けることは,使用する弁に応じて当業者が容易に想到できた事項である。
(ケ)また,上記3.(1)エ.に示すように,甲1の三方ボールバルブ3は,特許発明1の浸漬管に相当するフィード管12の上端に設けられているのであるから,上記(ク)のとおりに,甲1の2つの三方ボールバルブ3,5に代えて,刊行物1の流路構造を適用すれば,第1の弁に相当する開閉弁をフィード管12の端部に設けることは当然である。
同様に,甲1の三方ボールバルブ5は,特許発明1の接続ユニットに相当する三方ボールバルブ3や通用管路4の近傍でタンク11に接続されているのであるから,甲1発明に刊行物1の流路構造を適用すれば,第3の弁に相当する開閉弁を接続ユニットの近傍でタンク11に接続することは当然である。
(コ)さらに,上記(エ)で説示するように,甲1発明は,四塩化ケイ素を充填する際には,三方ボールバルブ3が,液体出口16とフィード管12を連通し,通用管路4を遮断するように機能し,四塩化ケイ素を排出する際には,三方ボールバルブ3が,液体出口16とフィード管12を連通し,通用管路4を遮断するように機能し,三方ボールバルブ5が,入口15と給気管6を連通し,通用管路4を遮断するように機能しているから,甲1発明に刊行物1の流路構造を適用すれば,特許発明1と同様に,樽を化合物で満たす場合には,第2の弁が第1の弁及び第3の弁の連通を阻止しているときに,化合物が第1の弁を介して樽内に送り込まれ,樽から化合物を排出する場合には,第2の弁が第1の弁及び第3の弁の連通を阻止しているときに,第3の弁を介してガスが樽内に送り込まれることで,化合物が浸漬管及び第1の弁を通って樽から排出されることは明らかである。
(サ)以上から,相違点3は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項に基づいて当業者が容易に想到できた事項である。

オ.平成29年7月24日付け意見書について
(ア)特許権者は,刊行物1に記載された発明は,容器本体に設けられた管にバルブを配置した場合に重心が高くなり容器転倒のおそれが生じ,また,容器本体の面にブロック集積バルブを配置した場合はその面の振動,衝撃,ゆがみなどのトラブルのおそれが生じるから,このような問題を回避することを目的とするものであり,刊行物1には,特許発明1の「前記第1の弁(6a)は,前記浸漬管(7)の他端に接続されており,」という事項や,「前記第3の弁(6c)は,前記接続ユニットの近傍で前記樽(1)に接続されており,」という事項は記載されていない旨を主張している(意見書の主に第12ページ下から第8行ないし第14ページ第5行)。
しかし,上記エ.(ケ)で説示したように,甲1には,浸漬管の端部にバルブを設けることや,接続ユニットの近傍でタンクとバルブを接続することが示されているから,特許権者の当該主張は採用できない。
(イ)また,特許権者は,甲1,4,5号証,刊行物1ないし3には,樽を化合物で満たす場合や,樽から化合物を排出する場合についての記載がない旨を主張している(意見書の主に第14ページ下から第9行ないし第15ページ第10行)が,上記エ.(イ)ないし(エ)で説示したように,甲1に接した当業者であれば,樽を化合物で満たす場合や,樽から化合物を排出する場合の三方ボールバルブ3,5の機能を理解でき,当業者は,上記相違点3に係る構成を当然に想到するといえるから,特許権者の当該主張は採用できない。
(ウ)さらに,特許権者は,刊行物1に記載された発明において,図1に記載される容器の他端に弁を接続すると,重心が高くなり容器転倒による配管のゆがみや破損の危険性が高くなることから,刊行物1に記載された発明の目的,作用効果を達成できず,刊行物1に記載された発明に「前記接続ユニットは,前記遮断機構(6)として,第1の弁(6a),第2の弁(6b),及び第3の弁(6c)を含む1つの方向制御装置(5)を有し,前記方向制御装置に対応して,前記底部の最も深い部位の近傍に一端が位置する浸漬管(7)が配置されており,前記第1の弁(6a)は,前記浸漬管(7)の他端に接続されており,前記第3の弁(6c)は,前記接続ユニットの近傍で前記樽(1)に接続されており,前記第2の弁(6b)は,前記第1及び前記第3の弁(6a,6c)間に配置されており,」という発明特定事項を採用することには阻害要因がある旨を主張している(意見書の主に第15ページ第11ないし最終行)。
しかし,上記エ.(ア)ないし(サ)に説示するように,当審は,甲1発明を主引用発明として,当該甲1発明に上記の発明特定事項を採用することが容易想到であるかを検討しているのであって,刊行物1に記載された発明に上記の発明特定事項を採用することが容易想到であるかを検討しているわけではないから,特許権者の当該主張は採用できない。
(エ)最後に,特許権者は,特許発明1によれば,甲1のような三方ボールバルブなどの複雑な弁ではなく,単に連通と遮断のみを切り替える弁を用いて簡易な構成とすることができる格別な効果が得られる旨を主張している(意見書の主に第16ページ第1ないし8行)が,当該効果は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものにおいても得られる程度のものであって,格別なものとはいえないから,特許権者の当該主張は採用できない。

カ.特許発明1についてのむすび
以上のとおりであるから,特許発明1は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。

(2)特許発明2について
甲1発明のタンク11を「約1130リットル、又は20000リットルの内部容積を有している」ように構成することは,内容物の使用量や価格といった具体的な状況に応じて適宜に決定すべき数値範囲の最適化にすぎないから,特許発明2は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。

(3)特許発明3について
バルブの一種としてダイヤフラム弁が存在することは,例えば,上記3.(4)ア.に示すように従来周知の技術的事項であるから,甲1の2つの三方ボールバルブ3,5及び通用管路4に代えて,刊行物1のブロック集積バルブを適用するにあたって,ブロック集積バルブの開閉弁として,ダイヤフラム弁を採用することは,当業者が容易に想到できた事項である。
したがって,特許発明3は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。

(4)特許発明5について
甲1には,タンク11の内容物の汚染防止を考慮することが示されている以上,甲1に接した当業者であれば,タンク11に内容物を充填する際にも,当然に汚染防止を考慮するはずである。そして,タンク11に内容物を充填するにあたり,内容物を製造して,すぐにタンク11に充填すれば,より汚染の危険性が低くなることは明らかである。
したがって,甲1の2つの三方ボールバルブ3,5及び通用管路4に代えて,刊行物1のブロック集積バルブを適用するにあたって,ブロック集積バルブを「蒸留装置」に接続することは,当業者が容易に想到できた事項であり,特許発明5は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。

(5)特許発明6について
甲1には「バルブカバー2」(上記3.(1)ウ.)が記載されており,当該「バルブカバー2」が特許発明6の「保護装置」に相当することは明らかである。
したがって,特許発明6は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。

(6)特許発明7について
甲1には「底敷き13」(上記3.(1)ウ.)が記載されており,当該「底敷き13」が特許発明7の「支持部」に相当することは明らかである。
したがって,特許発明7は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。

(7)特許発明8及び9について
容器に内容物を充填する際や,容器から内容物を取り出す際に,アダプターを介して接続することは,甲4の「カップリング部材53,54」に示すように,従来周知の技術的事項であるから,甲1に接した当業者であれば,甲1発明のタンク11に接続する「アダプター」を当然に想到できるというほかない。
したがって,特許発明8及び9は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。

(8)特許発明10について
甲1には,四塩化ケイ素を「貯蔵,輸送,使用」することが記載されているから,甲1に接した当業者であれば,甲1発明のタンク11の「使用方法」を当然に想到できるというほかない。
したがって,特許発明10は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。


第4 むすび
以上のとおり,特許発明1ないし3及び5ないし10は,甲1発明,甲1及び刊行物1の記載事項並びに従来周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許発明1ないし3及び5ないし10に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって,特許発明1ないし3及び5ないし10に係る特許は,特許法第113条第2号に該当し,取り消されるべきものである。
また,請求項4に係る特許は,訂正により削除されたため,本件特許の請求項4に対して異議申立人がした特許異議の申立てについては,対象となる請求項が存在しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロシラン又はモノシランを受容している樽(1)であって、接続ユニット(2)を備えている形式のものにおいて、
前記樽は少なくとも850リットルの内部容積を有しており、かつ前記接続ユニット(2)は少なくとも1つの遮断機構(6)を含み、
前記樽及び前記接続ユニットを形成する材料は、特殊鋼316Lであり、
前記樽は、円筒状の周壁(3)及び、該円筒状の周壁の両側に、湾曲された底部(4a)及び湾曲された上方の終端閉鎖部(4b)を有し、
前記特殊鋼は電解研磨されており、
前記接続ユニットは、前記遮断機構(6)として、第1の弁(6a)、第2の弁(6b)、及び第3の弁(6c)を含む1つの方向制御装置(5)を有し、
前記方向制御装置に対応して、前記底部の最も深い部位の近傍に一端が位置する浸漬管(7)が配置されており、
前記第1の弁(6a)は、前記浸漬管(7)の他端に接続されており、
前記第3の弁(6c)は、前記接続ユニットの近傍で前記樽(1)に接続されており、
前記第2の弁(6b)は、前記第1及び前記第3の弁(6a,6c)間に配置されており、
前記樽を化合物で満たす場合には、前記第2弁(6b)が前記第1の弁(6a)及び前記第3の弁(6c)の連通を阻止しているときに、化合物が前記第1の弁(6a)を介して前記樽内に送り込まれ、
前記樽から化合物を排出する場合には、前記第2弁(6b)が前記第1の弁(6a)及び前記第3の弁(6c)の連通を阻止しているときに、前記第3の弁(6c)を介してガスが前記樽内に送り込まれることで、化合物が前記浸漬管(7)及び前記第1の弁(6a)を通って前記樽から排出されることを特徴とする、樽。
【請求項2】
前記樽は約1130リットル、又は20000リットルの内部容積を有している請求項1に記載の樽。
【請求項3】
前記第1、前記第2、及び前記第3の弁(6a,6b,6c)はダイヤフラム弁である請求項1又は2に記載の樽。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記接続ユニットは蒸留装置に接続されるようになっている請求項1から3のいずれか1項に記載の樽。
【請求項6】
前記接続ユニットは保護装置(8)内に配置されている請求項1から3、5のいずれか1項に記載の樽。
【請求項7】
前記樽は支持部(9)を有している請求項1から3、5、6のいずれか1項に記載の樽。
【請求項8】
請求項1から3、5から7のいずれか1項に記載の樽をクロロシラン又はモノシランの製造のための装置に接続するためのアダプター。
【請求項9】
請求項1から3、5から7のいずれか1項に記載の樽をクロロシラン又はモノシランの消費のための装置に接続するためのアダプター。
【請求項10】
クロロシラン又はモノシランを貯蔵及び/又は取り扱い及び/又は輸送する、請求項1から3、5から7のいずれか1項に記載の樽の使用方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-10-19 
出願番号 特願2010-530369(P2010-530369)
審決分類 P 1 651・ 121- ZAA (B65D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 高橋 裕一  
特許庁審判長 西村 泰英
特許庁審判官 平岩 正一
刈間 宏信
登録日 2016-02-05 
登録番号 特許第5877643号(P5877643)
権利者 エボニック デグサ ゲーエムベーハー
発明の名称 高純度又は超高純度の化学物質の取り扱い及び輸送のための大型樽  
代理人 久野 琢也  
代理人 前川 純一  
代理人 前川 純一  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  

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