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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G10L |
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管理番号 | 1340433 |
審判番号 | 訂正2018-390052 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2018-03-14 |
確定日 | 2018-05-10 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5871088号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5871088号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項9について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 経緯 特許第5871088号に係る発明は、平成27年4月28日(優先権主張 平成26年7月29日、平成26年10月24日)に特許出願されたものであって、平成28年1月22日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成30年3月14日付けで本件審判の請求がなされたものである。 第2 請求 1 請求の趣旨 本件審判請求の趣旨は、特許第5871088号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲の通り、訂正後の請求項9について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 2 訂正の内容 本件訂正審判請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)は、次のとおりである。(以下、下線は、本件訂正箇所である。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項9に「再生対象音」と記載されているのを、「案内音声である再生対象音」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項9に「前記情報要求に含まれる識別情報に対応するとともに相異なる言語に対応する複数の関連情報のうち、前記情報要求の言語情報で指定された言語に対応する関連情報を受信する受信手段」と記載されているのを、「前記案内音声である再生対象音の発音内容を表す関連情報であって、前記情報要求に含まれる識別情報に対応するとともに相異なる言語に対応する複数の関連情報のうち、前記情報要求の言語情報で指定された言語に対応する関連情報を受信する受信手段」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項9に「前記受信手段が受信した関連情報を出力する出力手段」と記載されているのを、「前記受信手段が受信した関連情報を前記案内音声の放音とともに出力する出力手段」に訂正する。 第3 当審の判断 1 訂正事項1について (1)訂正の目的 訂正事項1は、「案内音声である」との記載により「再生対象音」の具体的な内容を特定するものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項1に係る訂正は、概念的に下位の事項に限定するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しない。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)新規事項の追加の有無 願書に添付した明細書における発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 「放音システム16は、展示施設Mに設置されて施設の音声案内に利用される。具体的には、図1に例示される通り、第1実施形態の放音システム16は、特定の言語(以下「第1言語」という)で利用者を案内する音声(以下「案内音声」という)を放音するとともに、案内音声に事前に付与された識別情報Dを端末装置12に通知する。案内音声は、例えば、展示物を解説する音声や展示施設M内の順路を案内する音響である。」(段落0012) 「以上の説明から理解される通り、第1言語の案内音声の再生に並行して、第1言語以外のN種類の言語のうち言語情報Lで指定された1種類の言語の案内音声が端末装置12の出力装置58から出力される。」(段落0061) 「(9)前述の各形態では、展示施設Mの案内を目的とした案内音声の再生を例示したが、放音システム16の放音装置166が放音する音響の種類は案内音声に限定されない。例えば、音楽等の各種の音響を再生する場合にも前述の各形態は採用され得る。以上の説明から理解される通り、前述の各形態の音響信号SGは、再生対象となる音響(再生対象音)を示す信号として包括的に表現される。」(段落0080) 以上の記載から、再生対象音には少なくとも案内音声が含まれることが看取される。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 2 訂正事項2について (1)訂正の目的 訂正事項2は、「前記案内音声である再生対象音の発音内容を表す関連情報であって、」との記載により「関連情報」の具体的な内容を特定するものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項2に係る訂正は、概念的に下位の事項に限定するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しない。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)新規事項の追加の有無 願書に添付した明細書における発明の詳細な説明には、上記訂正事項1に対応する記載に加えて、以下の記載がある。 「他方、関連情報取得部24は、管理者が指示した指定文字列を関連情報Qとして取得する。すなわち、関連情報Qは、案内音声と共通の第1言語で当該案内音声の発音内容を表現する文字列である。以上の構成では、放音システム16による案内音声の再生に並行して端末装置12では当該案内音声の発音内容の文字列が表示される。したがって、難聴者(聴覚障碍者)が案内音声の内容を確認できるという利点がある。」(段落0041) 「具体的には、第1言語の案内音声を第1言語以外の相異なる言語で表現した音声を表すN個の関連情報Qが、当該案内音声の1個の識別情報Dに対応付けて記憶される。」(段落0059) 以上の記載から、関連情報は「案内音声である再生対象音の発音内容を表す」ものであることが看取される。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 3 訂正事項3について (1)訂正の目的 訂正事項3は、「前記案内音声の放音とともに」との記載により「関連情報を」「出力する」ことの具体的な態様を特定するものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無 訂正事項3に係る訂正は、概念的に下位の事項に限定するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しない。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)新規事項の追加の有無 願書に添付した明細書における発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 「図13に例示される態様4において、情報管理システム14の音響信号取得部22は、信号供給装置200から案内音声の音響信号SGを取得する。信号供給装置200は、周囲の音響を収音して音響信号SGを生成する収音装置や、可搬型または内蔵型の記録媒体から音響信号SGを取得して出力する再生装置や、通信網18から音響信号SGを受信して出力する通信装置である。他方、関連情報取得部24は、前掲の態様1や態様2と同様に、管理者が指示した指定文字列を関連情報Qとして取得する。したがって、信号供給装置200が生成した音響信号SGに応じた案内音声が放音装置166から放音されるとともに、端末装置12では管理者からの指示に応じた指定文字列が表示される。」(段落0044) 「情報管理システム14の情報提供部36は、端末装置12から情報要求Rを受信すると、情報要求Rで指定される識別情報Dに対応して記憶装置164に記憶されたN個の関連情報Qのうち、情報要求Rで指定される言語情報Lが示す言語の関連情報Qを選択し(SB4)、当該関連情報Qを要求元の端末装置12に送信する(SB5)。端末装置12の受信部544は、情報管理システム14から送信された関連情報Qを受信し(SB6)、出力装置58(放音装置166)は、関連情報Qが示す案内音声を放音する(SB7)。以上の説明から理解される通り、第1言語の案内音声の再生に並行して、第1言語以外のN種類の言語のうち言語情報Lで指定された1種類の言語の案内音声が端末装置12の出力装置58から出力される。」(段落0061) 以上の記載から、関連情報の出力は「前記案内音声の放音とともに」なされることが看取される。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 4 独立特許要件 上記のとおり、訂正事項1ないし3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであるので、訂正後の特許請求の範囲の請求項9に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件訂正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて検討したところ、本件訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正事項1ないし3に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 再生対象音を表す音響信号と当該再生対象音の識別情報を含む変調信号とを含有する音響信号に応じて放音された音響を収音して収音信号を生成する収音手段と、 前記収音手段が生成した収音信号から識別情報を抽出する情報抽出手段と、 前記情報抽出手段が抽出した識別情報と、当該端末装置にて指定された言語を示す言語情報とを含む情報要求を送信する送信手段と、 前記情報要求に含まれる識別情報に対応するとともに相異なる言語に対応する複数の関連情報のうち、前記情報要求の言語情報で指定された言語に対応する関連情報を受信する受信手段と、 前記受信手段が受信した関連情報を出力する出力手段と を具備する端末装置。 【請求項2】 前記言語情報は、当該端末装置のOSの言語設定で指定された言語を示す 請求項1の端末装置。 【請求項3】 前記言語情報は、当該端末装置の利用者が指定した言語を示す 請求項1の端末装置。 【請求項4】 前記情報要求の言語情報で指定された言語に対応する関連情報は、前記再生対象音の発音内容を当該言語に翻訳した文字列を発音した音声を表す音響信号である 請求項1から請求項3の何れかの端末装置。 【請求項5】 前記情報要求の言語情報で指定された言語に対応する関連情報は、前記再生対象音の発音内容を当該言語に翻訳した文字列である 請求項1から請求項3の何れかの端末装置。 【請求項6】 再生対象音を表す音響信号と当該再生対象音の識別情報を含む変調信号とを含有する音響信号に応じた音響を放音する放音手段と、 前記放音手段が放音した音響から抽出される識別情報と、言語を示す言語情報とを含む情報要求を端末装置から受信し、前記情報要求に含まれる識別情報に対応するとともに相異なる言語に対応する複数の関連情報のうち、前記情報要求の言語情報で指定された言語に対応する関連情報を前記端末装置に送信する情報提供手段と を具備する情報提供システム。 【請求項7】 端末装置が、 再生対象音を表す音響信号と当該再生対象音の識別情報を含む変調信号とを含有する音響信号に応じて放音された音響を収音して収音信号を生成し、 前記収音信号から識別情報を抽出し、 前記識別情報と、当該端末装置にて指定された言語を示す言語情報とを含む情報要求を送信し、 前記情報要求に含まれる識別情報に対応するとともに相異なる言語に対応する複数の関連情報のうち、前記情報要求の言語情報で指定された言語に対応する関連情報を受信し、 前記受信した関連情報を出力する 情報提供方法。 【請求項8】 情報提供システムが、 再生対象音を表す音響信号と当該再生対象音の識別情報を含む変調信号とを含有する音響信号に応じた音響を放音し、 前記放音した音響から抽出される識別情報と、言語を示す言語情報とを含む情報要求を端末装置から受信し、 前記情報要求に含まれる識別情報に対応するとともに相異なる言語に対応する複数の関連情報のうち、前記情報要求の言語情報で指定された言語に対応する関連情報を前記端末装置に送信する 情報提供方法。 【請求項9】 コンピュータを、 案内音声である再生対象音を表す音響信号と当該案内音声である再生対象音の識別情報を含む変調信号とを含有する音響信号に応じて放音された音響を収音した収音信号から識別情報を抽出する情報抽出手段、 前記情報抽出手段が抽出した識別情報と、当該端末装置にて指定された言語を示す言語情報とを含む情報要求を送信する送信手段、 前記案内音声である再生対象音の発音内容を表す関連情報であって、前記情報要求に含まれる識別情報に対応するとともに相異なる言語に対応する複数の関連情報のうち、前記情報要求の言語情報で指定された言語に対応する関連情報を受信する受信手段、および、 前記受信手段が受信した関連情報を前記案内音声の放音とともに出力する出力手段 として機能させるプログラム。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2018-04-13 |
結審通知日 | 2018-04-17 |
審決日 | 2018-05-01 |
出願番号 | 特願2015-92283(P2015-92283) |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(G10L)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大野 弘 |
特許庁審判長 |
清水 正一 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 樫本 剛 |
登録日 | 2016-01-22 |
登録番号 | 特許第5871088号(P5871088) |
発明の名称 | 端末装置、情報提供システム、情報提供方法およびプログラム |
代理人 | 大林 章 |
代理人 | 大林 章 |