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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G10L
管理番号 1340434
審判番号 訂正2018-390053  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-03-14 
確定日 2018-05-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6170645号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6170645号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項4について訂正することを認める。 
理由 第1 経緯
特許第6170645号に係る発明は、平成27年4月28日(優先権主張 平成26年7月29日、平成26年10月24日)に出願された特願2015-92283号の一部が平成28年1月13日に新たに特願2016-4055号として出願された後に、さらに当該特願2016-4055号の一部が平成29年5月25日に新たに特許出願されたものであって、平成29年7月7日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成30年3月14日付けで本件審判の請求がなされたものである。

第2 請求
1 請求の趣旨
本件審判請求の趣旨は、特許第6170645号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲の通り、訂正後の請求項4について訂正することを認める、との審決を求めるものである。

2 訂正の内容
本件訂正審判請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)は、次のとおりである。(以下、下線は、本件訂正箇所である。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項4に「再生対象音」と記載されているのを、「案内音声である再生対象音」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に「識別情報を示す音響成分」と記載されているのを、「当該案内音声である再生対象音の識別情報を示す音響成分」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「前記再生対象音が表す情報」と記載されているのを、「前記案内音声である再生対象音が表す発音内容」に訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的
訂正事項1は、「案内音声である」との記載により「再生対象音」の具体的な内容を特定するものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項1に係る訂正は、概念的に下位の事項に限定するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(3)新規事項の追加の有無
願書に添付した明細書における発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「放音システム16は、展示施設Mに設置されて施設の音声案内に利用される。具体的には、図1に例示される通り、第1実施形態の放音システム16は、特定の言語(以下「第1言語」という)で利用者を案内する音声(以下「案内音声」という)を放音するとともに、案内音声に事前に付与された識別情報Dを端末装置12に通知する。案内音声は、例えば、展示物を解説する音声や展示施設M内の順路を案内する音響である。」(段落0012)
「以上の説明から理解される通り、第1言語の案内音声の再生に並行して、第1言語以外のN種類の言語のうち言語情報Lで指定された1種類の言語の案内音声が端末装置12の出力装置58から出力される。」(段落0061)
「(9)前述の各形態では、展示施設Mの案内を目的とした案内音声の再生を例示したが、放音システム16の放音装置166が放音する音響の種類は案内音声に限定されない。例えば、音楽等の各種の音響を再生する場合にも前述の各形態は採用され得る。以上の説明から理解される通り、前述の各形態の音響信号SGは、再生対象となる音響(再生対象音)を示す信号として包括的に表現される。」(段落0080)
以上の記載から、再生対象音には少なくとも案内音声が含まれることが看取される。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。

2 訂正事項2について
(1)訂正の目的
訂正事項2は、「当該案内音声である再生対象音の」との記載により「識別情報」による識別の対象を具体的に特定するものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項2に係る訂正は、概念的に下位の事項に限定するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(3)新規事項の追加の有無
願書に添付した明細書における発明の詳細な説明には、上記訂正事項1に対応する記載に加えて、以下の記載がある。
「本発明の第2態様に係る情報提供システムは、再生対象音を表す音響信号と当該再生対象音の識別情報を含む変調信号とを含有する音響信号に応じた音響を放音する放音手段と、放音手段が放音した音響から抽出される識別情報を含む情報要求を端末装置から受信し、情報要求に含まれる識別情報に対応するとともに再生対象音に関連する複数の関連情報の何れかを端末装置に送信する情報提供手段とを具備する。以上の構成では、再生対象音を表す音響信号と当該再生対象音の識別情報を含む変調信号とを含有する音響信号に応じた音響が放音手段から放音される。」(段落0007)
「図2の識別情報設定部26は、案内音声の再生とともに放音システム16から端末装置12に通知される識別情報Dを設定する。識別情報Dは、案内音声を識別するための固有の符号であり、案内音声毎に設定される。例えば、相異なる案内音声の間で相互に重複しないように公知の方法で生成された乱数の系列を、識別情報設定部26は識別情報Dとして設定する。」(段落0018)
「図19に例示される通り、第3実施形態における情報管理システム14の記憶装置144には、音響信号SGで表現される案内音声の識別情報D毎に複数(N個)の関連情報Q(Q1,Q2,……)が記憶される。」(段落0059)
以上の記載から、識別情報は「当該案内音声である再生対象音の」ものであることが看取される。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。

3 訂正事項3について
(1)訂正の目的
訂正事項3は、「前記案内音声である再生対象音が表す発音内容」との記載により「前記再生対象音が表す情報」の内容を具体的に特定するものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項3に係る訂正は、概念的に下位の事項に限定するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(3)新規事項の追加の有無
願書に添付した明細書における発明の詳細な説明には、上記訂正事項1に対応する記載に加えて、以下の記載がある。
「他方、関連情報取得部24は、信号供給装置200から供給される音響信号SGに対する音声認識により、案内音声の発音内容を表現する文字列を関連情報Qとして生成する。」(段落0046)
「図16に例示される態様7において、情報管理システム14の音響信号取得部22は、態様6と同様に信号供給装置200から第1言語の案内音声の音響信号SGを取得する。他方、関連情報取得部24は、態様6と同様に音響信号SGに対する音声認識で案内音声の文字列を生成するとともに、当該文字列に対する機械翻訳により、案内音声を第2言語で表現した変換文字列を関連情報Qとして生成する。機械翻訳には公知の技術が任意に採用され得る。すなわち、態様7では、放音システム16による第1言語の案内音声の再生に並行して端末装置12では案内音声を第2言語に翻訳した変換文字列が表示される。」(段落0047)
「また、例えば、案内音声に関連する情報(例えば前述の各形態で例示した関連情報Q)の所在を示すリンク情報(例えばURL)を関連情報Qとして情報提供部36から端末装置12に提供する構成も採用され得る。」(段落0066)
以上の記載から、再生対象音が表す情報の内容は「前記案内音声である再生対象音が表す発音内容」であることが看取される。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。

4 独立特許要件
上記のとおり、訂正事項1ないし3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであるので、訂正後の特許請求の範囲の請求項4に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件訂正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて検討したところ、本件訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正事項1ないし3に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生対象音の発音内容を表す情報の所在を示すURLと識別情報とを対応させる対応管理部と、
前記再生対象音と前記識別情報を示す音響成分とを含む音響を収音した端末装置が当該音響から抽出した前記識別情報を当該端末装置から受信し、前記対応管理部が当該識別情報に対応させたURLを当該端末装置に送信する情報提供部と
を具備する情報管理システム。
【請求項2】
前記再生対象音を表す音響信号を取得する音響信号取得部と、
前記URLを取得する関連情報取得部とを具備し、
前記情報提供部は、前記音響信号取得部が取得した音響信号が表す前記再生対象音と前記識別情報を示す音響成分とを含む音響を収音した前記端末装置から当該識別情報を受信する
請求項1の情報管理システム。
【請求項3】
再生対象音と識別情報を示す音響成分とを含む音響を収音する収音装置と、
前記収音装置が収音した音響から前記識別情報を抽出する情報抽出部と、
前記情報抽出部が抽出した識別情報に対応し、前記再生対象音の発音内容を表す情報の所在を示すURLを受信する通信部と
を具備する端末装置。
【請求項4】
第1言語の案内音声である再生対象音と当該案内音声である再生対象音の識別情報を示す音響成分とを含む音響を収音する収音装置と、
前記収音装置が収音した音響から前記識別情報を抽出する情報抽出部と、
前記情報抽出部が抽出した識別情報に対応し、前記案内音声である再生対象音が表す発音内容を前記第1言語とは異なる第2言語で表現した情報の所在を示すURLを受信する通信部と
を具備する端末装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-04-13 
結審通知日 2018-04-17 
審決日 2018-05-01 
出願番号 特願2017-103876(P2017-103876)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (G10L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大野 弘  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
樫本 剛
登録日 2017-07-07 
登録番号 特許第6170645号(P6170645)
発明の名称 情報管理システムおよび端末装置  
代理人 大林 章  
代理人 大林 章  

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