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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H05B
審判 全部申し立て 2項進歩性  H05B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H05B
管理番号 1341970
異議申立番号 異議2017-700991  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-10-16 
確定日 2018-05-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6117146号発明「有機LEDのためのリン光ドーパントとしてのL2MX型の錯体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6117146号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第6117146号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 
理由 特許第6117146号の請求項1ないし9に係る発明についての出願は、2000年11月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 1999年12月1日 米国)を国際出願日として出願した特願2001-541304号の一部を平成21年6月11日に新たな特許出願とした特願2009-140434号の一部を、さらに平成24年9月28日に新たな特許出願とした特願2012-216045号の一部を、さらに、平成26年6月17日に新たな特許出願としたものである。
そして、平成26年7月16日付けの手続補正により特許請求の範囲の補正がされ、平成29年3月31日に特許の設定登録がされ、その後、その特許に対し、同年10月16日付けで特許異議申立人により特許異議の申立てがされたものである。
その後、平成29年11月17日付けで特許権者より上申書が提出され、同年12月19日付けで取消理由が通知され、平成30年3月22日付けで訂正請求(以下、「本件訂正」という。)がなされるとともに、特許権者より意見書が提出され、同年5月1日付けで特許異議申立人より意見書が提出された。


第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の趣旨
本件訂正の請求の趣旨は、「特許第6117146号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?9について訂正することを求める。」というものである。

2 訂正の内容
本件訂正の訂正内容は、特許請求の範囲の請求項1に、「有機発光デバイスの発光層用組成物。」と記載されているのを、「有機発光デバイスの発光層用組成物(但し、L_(2)MX中、Xがヘキサフルオロアセチルアセトネート又はジフェニルアセチルアセトネートである組成物を除く)。」に訂正するものであって、請求項1の記載を引用する請求項2?9も同様に訂正するものである(以下、「本件訂正事項」という。)。

3 訂正の目的の適否
本件訂正事項は、本件訂正前の請求項1における組成物から、L_(2)MX中、Xがヘキサフルオロアセチルアセトネート又はジフェニルアセチルアセトネートである組成物を除くものである。
したがって、本件訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。

4 一群の請求項
請求項2?9は本件訂正事項による訂正請求の対象である請求項1を引用する関係にあり、本件訂正事項によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。よって、本件訂正前の請求項1?9は、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
したがって、本件訂正事項は、一群の請求項ごとに請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合するものである。

5 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書の段落【0118】には、「X配位子の選択が悪くても、L_(2)IrX錯体からの発光をひどくクエンチすることがある。ヘキサフルオロ-acac及びジフェニル-acacの両方の錯体は、L_(2)IrX錯体のX配位子として用いた場合、非常に弱い発光を与えるか、又は発光を全く示さない。」と記載されている。本件訂正事項は、当該記載に基づいて、非常に弱い発光を与えるか、又は発光を全く示さないとされる組成物を除くものである。
したがって、本件訂正事項は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてした訂正であるといえる。
よって、本件訂正事項は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

6 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件訂正事項は、上記3に記載したとおり、本件訂正前の請求項1における組成物から、L_(2)MX中、Xがヘキサフルオロアセチルアセトネート又はジフェニルアセチルアセトネートである組成物を除くものであり、本件訂正事項によって、訂正前の請求項1に係る発明の範囲が拡張又は変更されるものとはいえない。
したがって、本件訂正事項は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

7 むすび
以上のとおり、本件訂正による本件訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。


第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
上記「第2」のとおり、本件訂正は認められることとなったので、特許第6117146号の請求項1?9に係る発明は、それぞれ、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
式L_(2)MX
(式中、Mはイリジウムであり;
Lはsp^(2)混成軌道炭素及び窒素原子によりMに配位されたモノアニオン性二座配位子であり;
Xはモノアニオン性二座配位子であり;
LとXは異なる。)
で表される化合物を含む、有機発光デバイスの発光層用組成物(但し、L_(2)MX中、Xがヘキサフルオロアセチルアセトネート又はジフェニルアセチルアセトネートである組成物を除く)。
【請求項2】
前記sp^(2)混成軌道炭素が前記配位子Lの芳香環の一部分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記L配位子それぞれの窒素原子がトランス型の配置である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記L配位子が置換又は非置換のフェニルピリジンからなる、請求項1?3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記X配位子がアセチルアセトネートからなる、請求項1?4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
アノード、カソード、及び発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が前記アノードとカソードの間に配置されており、且つ前記発光層が請求項1又は2に記載の組成物を含む、有機発光デバイス。
【請求項7】
アノード、カソード、及び発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が前記アノードとカソードの間に配置されており、且つ前記発光層が請求項3に記載の組成物を含む、有機発光デバイス。
【請求項8】
アノード、カソード、及び発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が前記アノードとカソードの間に配置されており、且つ前記発光層が請求項4に記載の組成物を含む、有機発光デバイス。
【請求項9】
アノード、カソード、及び発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が前記アノードとカソードの間に配置されており、且つ前記発光層が請求項5に記載の組成物を含む、有機発光デバイス。」(以下、請求項1?9に係る発明を、それぞれ、「本件特許発明1」?「本件特許発明9」という。)

2 取消理由の概要
平成29年12月19日付けで通知した取消理由の概要は以下のとおりである。

理由1(サポート要件)
本件特許は、本件訂正前の請求項1?9に係る発明が、いずれも、本件特許が解決しようとする課題を解決しない発光層用組成物又は有機発光デバイスを含むものであり、出願時の技術常識に照らしても、請求項1?9に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
したがって、請求項1?9に係る特許は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、本件の請求項1?9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

3 判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由について
ア 本件特許発明1?9は、本件特許の明細書段落【0118】において、「非常に弱い発光を与えるか、又は発光を全く示さない。」とされた、L_(2)MX中、Xがヘキサフルオロアセチルアセトネート又はジフェニルアセチルアセトネートである組成物を除いたものである。
そうすると、本件訂正によって、本件特許発明1?9は、解決しようとする課題を解決しない発光層用組成物又は有機発光デバイスを含むとはいえないものとなったから、当該取消理由は解消したものといえる。

イ 特許異議申立人は、平成30年5月1日付けの意見書において、本件特許発明1?9が解決しようとする課題は、
「有機発光デバイスの発光層用組成物又は有機発光デバイスが含む錯体化合物として、L_(3)Mに代えて、L_(2)MXを用いることにより、発光品質を劣化させずに発光色を調整すること
(式中、Mはイリジウムであり;Lはsp^(2)混成軌道炭素及び窒素原子によりMに配位されたモノアニオン性二座配位子であり;Xはモノアニオン性二座配位子であり;LとXは異なる。)
(但し、L_(2)MX中、Xがヘキサフルオロアセチルアセトネート又はジフェニルアセチルアセトネートである組成物を除く)。」
であると主張している。

ウ そこで、本件特許発明1?9が解決しようとする課題について検討すると、本件特許の明細書段落【0001】には、技術分野について「本発明は、式L_(2)MX(式中、L及びXは異なる二座配位子であり、Mは金属、特にイリジウムである)の有機金属化合物、それらの合成、及び或るホスト中のドーパントとして、有機発光デバイスの発光層を形成するために使用することに関する。」と記載されており、発明が解決しようとする課題と題された段落【0008】には、「しかし、ほんの僅かなものだけしか三重項による効果的室温燐光を出すことができないことも確認されている。・・・実際、これらの性質を有する燐光染料は、大きな効率のエレクトロルミネッセンスを示している。」と記載されている。当該記載に基づけば、本件特許明細書では、燐光染料はエレクトロルミネッセンスを示すものとして期待されるところ、効果的室温燐光を出すことができる染料としてほんの僅かな染料しか知られていなかったことを技術水準の前提としていると認められる。そして、本件特許発明1?9の組成物又は有機発光デバイスにおいて使用される化合物として本件特許明細書において具体的に開示された化合物は、何れも室温燐光を出すことができる染料であって、本件特許に係る出願の出願日以前に知られていた化合物とは異なるものである。
以上の記載に基づけば、本件発明が解決しようとする課題は、「有機発光デバイスの発光層に使用した場合に燐光を発する新たな有機金属化合物を得ること」であると認めるのが相当である。

エ 特許異議申立人は、本件特許明細書の段落【0016】の記載を根拠としてその課題について論じている。本件特許明細書段落【0016】には「LとXを適切に選択することにより、L_(3)Mに対する錯体L_(2)MXの色の調節を行うことができる。」との記載がある。また、段落【0017】には「更に、Xは、発光品質の劣化を起こすことなく、キャリヤー(ホール又は電子)がX(又はL)にトラップされるように、L_(3)M錯体に対し、或るHOMOレベルを有するように選択することができる。」との記載がある。しかしながら、本件特許明細書には、色の調整をどのように調節すべきであるのか、又は、発光品質をどのようなものとするのかについて、何も記載しておらず、どのように色の調整がなされたもの、あるいはどのような発光品質を示すものが求められているのかを特定しておらず、色の調整および発光品質を特定のものとすることが当業者にとって自明の課題であったとする事情も見いだせない。そうすると、上記段落【0016】及び段落【0017】の記載は、色の調整や発光品質を調整することが可能であることを示唆するに留まるものである。したがって、訂正発明が解決しようとする課題が、特許異議申立人の主張する「L_(3)Mに代えて、L_(2)MXを用いることにより、発光品質を劣化させずに発光色を調整すること」にあるということはできない。

オ そうすると、特許異議申立人の、本件特許発明1?9が発明の課題を解決できないものであるとする主張は、前提とする課題の認定を誤ったものであるから、これを採用することができない。

(2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 理由1
特許異議申立人が主張する特許異議申立理由の理由1は、本件の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明1?9を実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないものであり、本件特許発明1?9に係る特許は同法第113条第1項第4号に該当し取消されるべきものであるというものである。

(ア)特許異議申立人は、申立の理由1として、
「本件明細書の『発明の詳細な説明』の記載は、
a)本件発明に係る『有機発光デバイスの発光層用組成物』の成分・成分の配合比率等の組成物の構成が明確でなく、
b)『発明が解決しようとする課題』が明確でなく、
c)『課題を解決するための手段』も『L_(2)MX型錯体のL、Xを適切に選択することにより、発光色の調整、発光品質の劣化防止等の作用効果が生じる』といった曖昧なものであり、
d)『実施例』をみても、特定のL_(2)MX型錯体を用いることによる、発光色の調整、発光品質の劣化防止等の作用効果が具体的に確認できないものである。」(特許異議申立書第23頁第3?11行)とし、
「当業者は本件発明の目的、構成、効果を理解することができないし、また、本件発明の目的が発光色の調整、発光品質の劣化防止等であるとしても、どのようにL_(2)MX型のL及びXを選択し、他のどのような成分をどのような配合比率で配合すればその目的が達成されるのかといった技術思想・実験データが本件明細書の『発明の詳細な説明』には開示されていないので、当業者が本件発明を実施するには過度の試行錯誤を要する。」(特許異議申立書第23頁第19行?第24頁第3行)と主張している。
特許法第36条第4項第1号実施可能要件を定める趣旨は、明細書の発明の詳細な説明に、当業者がその実施をすることができる程度に発明の構成等が記載されていない場合には、発明が公開されていないことに帰し、発明者に対して特許法の規定する独占的権利を付与する前提を欠くことになるからであると解される。そして、物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第1号)、物の発明について上記の実施可能要件を充足するためには、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造し、使用することができる程度の記載があることを要する。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明が実施可能要件を満たすというためには、本件特許発明1?4の有機発光デバイスの発光層用組成物、又は、本件特許発明5?9の有機発光デバイスを、本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件特許の出願当時の技術常識に基づいて、当業者が製造し、使用することができる程度の記載が本件明細書の発明の詳細な説明にあることを要するというべきである。

(イ) 本件明細書には、以下の記載事項がある(なお、下線は合議体が付与した。)。
a 記載事項a
「【発明を実施するための形態】
【0050】
V.(本発明の詳細な記述)
V.A.化学
本発明は、有機発光ダイオードの発光層のホスト層内にドープすることができる式L_(2)MXの或る有機金属分子の合成及びその使用に関する。場合により、式L_(2)MXの分子は、増大した濃度で、又はそのままで、発光層に用いることができる。本発明は、式L_(2)MX(式中、L及びXは、異なる二座配位子であり、Mは八面体錯体を形成する、好ましくは周期表の遷移元素の第三列から選択された金属で、最も好ましくはIr又はPtである)の分子を含有する発光層を有し、然も、前記発光層が或る波長λ_(max)で最大値を有する発光を生ずる有機発光デバイスに関する。」

b 記載事項b
「【0051】
V.A.1.ドーパント
ホスト相中にドープされる分子についての一般的化学式はL_(2)MX(式中、Mは八面体錯体を形成する遷移金属であり、Lは二座配位子であり、Xは異なる二座配位子である)である。
【0052】
Lの例は、2-(1-ナフチル)ベンゾオキサゾール、(2-フェニルベンゾオキサゾール)、(2-フェニルベンゾチアゾール)、(2-フェニルベンゾチアゾール)、(7,8-ベンゾキノリン)、クマリン、(チエニルピリジン)、フェニルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、3-メトキシ-2-フェニルピリジン、チエニルピリジン、及びトリルピリジンである。
【0053】
Xの例は、アセチルアセトネート(acac)、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、サリチリデン、ピコリネート、及び8-ヒドロキシキノリネートである。
【0054】
L及びXの更に別な例は図39に与えられており、L及びXの更に別な例は「総合配位化学」(Comprehensive Coordination Chemistry)(編集主任G. Wilkinson、Pergamon Press)第2巻、特にM.カリガリス(Calligaris)及びL.ランダチオ(Randaccio)による第20.1章(第715頁以降)及びR.S.バグ(Vagg)による第20.4章(第793頁以降)に見出すことができる。」
合議体注:図39は下記のとおりのものである。

c 記載事項c
「【0055】
V.A.2.式L_(2)MXの分子の合成
V.A.2.a.反応スキーム
式L_(2)MXの化合物は、次の式に従って製造することができる:
L_(2)M(μ-Cl)_(2)ML_(2)+XH→L_(2)MX+HCl〔式中、L_(2)M(μ-Cl)_(2)ML_(2)は、Lを二座配位子とした塩化物架橋二量体であり、MはIrなどの金属であり;XHは、架橋塩化物と反応し、二座配位子Xを導入する働きをするブレンステッド酸であり、この場合XHは、例えばアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、2-ピコリン酸、又はN-メチルサリチルアニリドにすることができる。〕L_(2)MXは、Mの周りの二座配位子L、L、及びXのほぼ八面体の配置を有する。」

d 記載事項d
「【0094】
V.A.3.可能なホスト分子
本発明は、ホスト相中に上記ドーパントを使用することに関する。このホスト相はカルバゾール部分を有する分子からなっていてもよい。本発明の範囲内に入る分子は次のものの中に含まれる:
【0095】
【化3】

【0096】
[線分は、環によって示されている利用可能な炭素原子(単数又は複数)の所での、アルキル又はアリール基による可能な置換を示す。]
【0097】
カルバゾール官能性を有する更に別の好ましい分子は4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)であり、それは次の式を有する:
【0098】
【化4】



e 記載事項e
「【0099】
V.B.1.デバイス中の利用
使用するために選択されるデバイス構造は、標準的真空蒸着されたものと非常に類似している。概観として、ホール輸送層(HTL)を、ITO(インジウム錫酸化物)被覆ガラス基体上に先ず蒸着する。12%の量子効率を与えるデバイスの場合、HTLは30nm(300Å)のNPDからなる。そのNPDの上に、ホストマトリックス中へドープした有機金属の薄膜を蒸着して発光層を形成する。例として、発光層は12重量%のビス(2-フェニルベンゾチアゾール)イリジウムアセチルアセトネート(BTIrと呼ぶ)を含有するCBPであり、その層の厚さは30nm(300Å)であった。発光層の上にブロッキング層を蒸着する。ブロッキング層はバソキュプロイン(BCP)からなり、厚さは20nm(200Å)であった。ブロッキング層の上に電子輸送層を蒸着する。電子輸送層は、厚さ20nmのAlq3からなっていた。電子輸送層の上にMg-Ag電極を蒸着することによりデバイスが完成する。これは100nmの厚さを有する。全ての蒸着は5×10^(-5)トールより低い真空度で行なった。デバイスは包装することなく、空気中で試験した。
【0100】
カソードとアノードの間に電圧を印加すると、ホールがITOからNPDへ注入され、NPD層により輸送され、一方電子はMgAgからAlqへ注入され、Alq及びBCPを通って輸送される。次にホールと電子はEMLへ注入され、キャリヤー再結合がCBPで起き、励起状態が形成され、BTIrへのエネルギー移動が起き、最終的にBTIr分子が励起され、放射崩壊する。」

f 記載事項f
「【0118】
X配位子の選択が悪くても、L_(2)IrX錯体からの発光をひどくクエンチすることがある。ヘキサフルオロ-acac及びジフェニル-acacの両方の錯体は、L_(2)IrX錯体のX配位子として用いた場合、非常に弱い発光を与えるか、又は発光を全く示さない。これらの配位子が発光をそのように強くクエンチする理由は完全には明らかになっていないが、これらの配位子の一つはacacよりも一層電子を引き付け、他のものは一層電子を与える。BQIrFAのスペクトルを図に示している。この錯体の発光スペクトルは、ヘキサフルオロacac配位子の遥かに強い電子吸引性から予測されるように、BQIrから僅かにシフトしている。BQIrFAからの発光強度は、BQIrよりも少なくとも2桁弱い。このひどいクエンチ問題のため、これらの配位子の錯体は研究しなかった。」

(ウ)本件特許発明1?5の組成物の製造可能性
まず、本件特許の明細書の記載について、当業者が本件特許発明1?5の組成物を製造することができる程度の記載がなされていたかについて検討する。
上記記載事項cには、式L_(2)MXの分子の合成方法が記載されており、記載事項bには式L_(2)MXを構成するL及びXの具体例が例示されている。
また、上記記載事項aにおける「有機発光ダイオードの発光層のホスト層内にドープすることができる式L_(2)MXの或る有機金属分子の合成及びその使用に関する。」との記載に基づけば、式L_(2)MXで表される化合物は、ホスト層内にドープして使用されることが理解できる。また、記載事項dには、使用可能なホスト分子が例示されている。そして、記載事項eの「そのNPDの上に、ホストマトリックス中へドープした有機金属の薄膜を蒸着して発光層を形成する。例として、発光層は12重量%のビス(2-フェニルベンゾチアゾール)イリジウムアセチルアセトネート(BTIrと呼ぶ)を含有するCBPであり、その層の厚さは30nm(300Å)であった。」との記載に基づけば、有機発光デバイスの発光層用組成物の一例として、その成分及び比率が開示されているのであるから、当該記載に基づけば、どのようにL_(2)MX型のL及びXを選択し、他のどのような成分をどのような配合比率で配合すればその目的が達成されるのかといった技術思想が開示されていることは明らかであり、当業者が本件特許発明の組成物を製造することができないとする事情を認めることはできない。
また、記載事項fにおいて、「X配位子の選択が悪くても、L_(2)IrX錯体からの発光をひどくクエンチすることがある。」と記載されており、その理由は完全には明らかになっていないとしているが、非常に弱い発光を与えるか、又は発光を全く示さない配位子について、「これらの配位子の一つはacacよりも一層電子を引き付け、他のものは一層電子を与える。」と記載している。これらの示唆に基づけば、当業者が本件発明を実施するにあたり、過度の試行錯誤を要するとする事情も認めることはできない。

(エ)本件特許発明6?9の有機発光デバイスの製造可能性
次に、本件特許の明細書の記載について、当業者が本件特許発明6?9の有機発光デバイスを製造することができる程度の記載がなされていたかについて検討する。
上記記載事項eには、有機発光デバイスのデバイス構造及びその製造方法が記載されている。当該記載に基づけば、当業者が本件特許発明の組成物を使用して本件特許発明の有機発光デバイスを製造することができたことは明らかである。また、有機発光デバイスを使用することが可能であることも自明である。

(オ)むすび
以上のとおり、本件特許の明細書の記載に基づけば、本件特許発明1?5の組成物を製造することが可能であり、当該組成物を使用して本件特許発明6?9の有機発光デバイスを製造すること、製造した有機発光デバイスを使用することも可能であることは明らかである。
したがって、本件特許の明細書は、当業者が本件発明1?9を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであり、特許法第36条第4甲第1号に規定する要件を満たしている。

イ 理由3
特許異議申立人が主張する特許異議申立理由の理由3は、本件発明1?9は、本件の優先日前に頒布された甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第113条第1項第2号に該当し取消されるべきものであるというものである。

甲第1号証:M.A.Baldo 他著, 「Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence」,APPLIED PHYSICS LETTERS, 米国, volume 75, number 1, American Institute of Physics, 1999年7月5日, 表紙及び4?6頁

甲第2号証:Erik S. Handy 他著, 「Solid-State Light-Emitting Devices Based on the Tris-Chelated Ruthenium(II) Complex. 2. Tris(bipyridyl)ruthenium(II) as a High-Brightness Emitter」, Journal of the American Chemical Society, 米国, volume 121, number 14, American Chemical Society, 1999年3月25日, 3525?3528頁

(ア)甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、以下の記載事項がある。
a 記載事項a
「We describe the performance of an organic light-emitting device employing the green electrophosphorescent material, fac tris(2-phenylpyridine) iridium [Ir(ppy)_(3)] doped into a 4,4'-N,N'-dicarbazole-biphenyl host.」(第4頁上欄第17?19行)
翻訳文
「我々は、4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニルからなるホストにドープされた緑色電界燐光発光材料、フェイシャル型トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム [Ir(ppy)_(3)]を採用した有機発光デバイスの性能について述べる。」

b 記載事項b
「In this work, we describe OLEDs employing the green, electrophosphorescent material fac tris(2-phenylpyridine)iridiumu [Ir(ppy)_(3)].」(第4頁左下欄第18?20行)
翻訳文
「この研究において、我々は、緑色の電界燐光発光材料であるフェイシャル型トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム[Ir(ppy)_(3)]を採用したOLEDについて述べる。」

c 記載事項c
「Based on this assumption, the blue (λ?400nm peak) emissive material 4,4'-N,N'-dicarbazole-biphenyl (CBP) was chosen as the host for Ir(ppy)_(3).」(第4頁右下欄第21?24行)
翻訳文
「この前提に基づき、青(λ?400nmのピーク)の発光材料である、4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)がIr(ppy)_(3)のホストとして選択された。」

d 記載事項d
「A proposed energy level diagram, together with the molecular structural formulas of some of the materials used in the OLEDs, is shown in Fig. 1. Organic layers were deposited by high-vacuum (10^(-6) Torr) thermal evaporation onto a cleaned glass substrate precoated with transparent, conductive indium-tin-oxide. A 400-Å-thick layer of 4,4'-bis[N-(1-napthyl)-N-phenyl-amino] biphenyl (α-NPD) is used to transport holes to the luminescent layer consisting of Ir(ppy)_(3) in CBP. A 200-Å-thick layer of the electron transport material tris-(8-hydroxyquinoline) aluminum (Alq_(3)) is used to transport electrons into the Ir(ppy)_(3):CBP layer, and to reduce Ir(ppy)_(3) luminescence absorption at the cathode.」(第4頁右下欄第28行?第5頁左欄第10行)
翻訳文
「目的とするエネルギー準位図と共にOLEDに用いた材料の分子構造を図1に示す。有機層は高真空(10^(-6)Torr)における熱蒸着によって予め透明な伝導性インジウムチタン酸化物で覆われた清浄なガラス基板に堆積された。4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニル-アミノ]ビフェニル(α-NPD)の400Å厚の層をIr(ppy)_(3):CBPで構成される発光層への空孔輸送に使用した。電子輸送材料トリス(8-キノリノール)アルミニウム(Alq_(3))の200Å厚の層をIr(ppy)_(3):CBP層への電子輸送に使用して、カソードにおける発光吸収を抑えた。」

(イ)甲第1号証に記載された発明
記載事項a?dに基づけば、甲第1号証には以下の発明が記載されているといえる。
「緑色の電界燐光発光材料であるフェイシャル型トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム[Ir(ppy)_(3)]とホスト材料である4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)で構成される発光層を含むOLED。」(以下、「甲1発明」という。)

(ウ)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、以下の記載事項がある。
a 記載事項a
「We report high-brightness, high-efficiency, solid-state light-emitting devices based on small-molecule Ru(bpy)_(3)(PF_(6))_(2) and its derivatives.」(第3525頁第8?9行)
翻訳文
「我々は、低分子Ru(bpy)_(3)(PF_(6))_(2)及びその誘導体に基づく、高輝度、高効率の固体発光デバイスについて報告する。」

b 記載事項b
「The structures of two other promising derivatives are shown in Chart 2. Lumophores III and IV, esterified versions of II, produce light of a more technologically useful red color (λ_(max)=690 nm), rather than the red-orange emission (630 nm) of I and II.」(第3527頁右欄第23?27行)
翻訳文
「他の2つの有望な誘導体の構造がChart2に示される。IIをエステル化した発光体III及びIVは、I及びIIの赤橙色発光(630nm)よりも技術的に有用な赤色発光(λ_(max)=690nm)を生成する。」
合議体注:Chart1には化学構造Iとして、中心金属Ru^(2+)に、配位子として、2分子の2,2’-ビピリジンと、1分子の4,4’-ビス(ヒドロキシメチル)-2,2’-ビピリジンが結合した化合物が記載されており、化学構造IIとして、中心金属Ru^(2+)に、配位子として、3分子の2,2’-ビピリジンが結合した化合物が記載されている。また、Chart2には、化学構造IIIとして、中心金属Ru^(2+)に、配位子として、2分子の2,2’-ビピリジンと、1分子の4,4’-ジメトキシカルボニル-2,2’-ビピリジンが結合した化合物が記載されており、化学構造IVとして、中心金属Ru^(2+)に、配位子として、3分子の4,4’-ジメトキシカルボニル-2,2’-ビピリジンが結合した化合物が記載されている。

c 記載事項c
「By replacing one or more ligands on Ru(bpy)_(3)(PF_(6))_(2) with another closely related, esterified bipyridine ligand (as in III and IV), the color of emission can be shifted from red-orange (λmax =630 nm) to a more technologically useful red color (690 nm) with little change in luminance and with a concomitant 10-100-fold increase in device stability.」(第3528頁右欄第31?36行)
翻訳文
「Ru(bpy)_(3)(PF_(6))_(2)の1つ以上の配位子を別の密接に関連した、(III及びIVのような)エステル化ビピリジン配位子に置き換えることにより、発光の色を赤橙色(λ_(max)=630nm)から、輝度の変化がほとんど無く、デバイスの安定性が10-100倍に増加し、技術的に有用な赤色(690nm)にシフトさせることができる。」

(エ)本件特許発明1と甲1発明との対比・判断
a 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
(a)甲1発明の「フェイシャル型トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム[Ir(ppy)_(3)]」は、中心金属「Ir]に二座配位子を3分子結合してなるものであるから、本件特許発明1の「式L_(2)MX」で表される化合物である点で共通する。

(b)甲1発明の「フェイシャル型トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム[Ir(ppy)_(3)]」を構成する「2-フェニルピリジン」は、その化学構造からみて、sp^(2)混成軌道炭素及び窒素原子によりイリジウムに配位しており、モノアニオン性の二座配位子として作用しているといえる。そうすると、甲1発明の「イリジウム」は、本件特許発明1の「Mはイリジウム」であるとする要件を満たし、甲1発明の「2-フェニルピリジン」は、本件特許発明1の「Lはsp^(2)混成軌道炭素及び窒素原子によりMに配位されたモノアニオン性二座配位子」及び「Xはモノアニオン性二座配位子」かつ「Xがヘキサフルオロアセチルアセトネート又はジフェニルアセチルアセトネートである組成物を除く」とする要件を満たすといえる。

(c)甲1発明の「フェイシャル型トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム[Ir(ppy)_(3)]」及び「4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)」は、とともにOLEDの発光層を構成するものである。したがって、甲1発明の「フェイシャル型トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム[Ir(ppy)_(3)]」及び「4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)」からなる組成物は、本件特許発明1の「有機発光デバイスの発光層用組成物」であるとする要件を満たす。

(d)以上より、本件特許発明1と甲1発明とは、
「式L_(2)MX
(式中、Mはイリジウムであり;
Lはsp^(2)混成軌道炭素及び窒素原子によりMに配位されたモノアニオン性二座配位子であり;
Xはモノアニオン性二座配位子である。)
で表される化合物を含む、有機発光デバイスの発光層用組成物(但し、L_(2)MX中、Xがヘキサフルオロアセチルアセトネート又はジフェニルアセチルアセトネートである組成物を除く)。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]本件特許発明1は、LとXが異なるのに対し、甲1発明は、LとXが同じ2-フェニルピリジンである点。

b 上記[相違点]について検討する。
甲第2号証の記載事項b及び記載事項cに基づけば、ルテニウムに対する配位子として、4,4’-ジメトキシカルボニル-2,2’-ビピリジンを含有する化合物は赤色発光するのに対し、配位子として2,2’-ビピリジンのみ、または2,2’-ビピリジンと4,4’-ビス(ヒドロキシメチル)-2,2’-ビピリジンを含有する化合物は赤橙色発光するといえる。特許異議申立人は、特許異議申立書第30頁第3?5行において「IIの1つのビピリジン配位子を、エステル化ビピリジン配位子に置き換えたIIIは、IIIの赤橙色発光(630nm)よりも、さらに技術的に有用な赤色(λmax=690nm)の光を発生する」ことが記載されていると主張する。しかし、甲第2号証には、配位子が全て同じ化合物であるVIについてもIIIと同様の赤色の光を発生することが記載されている。また、発色が中心金属の種類に応じて異なることも自明であり、中心金属がルテニウムである場合に技術的に有用な発色がなされたとしても、中心金属がイリジウムである場合に同じ配位子で同等の効果を奏するとはいえない。したがって、甲第2号証には、L_(3)Mである化合物をL_(2)MX(配位子XがLと異なるもの)としたことにより、「技術的に有用は赤色の発色を発生する」という技術事項が記載されているとする特許異議申立人の主張は採用することができない。
そうすると、ルテニウムに対する配位子として、4,4’-ジメトキシカルボニル-2,2’-ビピリジンを含有する化合物は赤色発光することが知られていたとしても、中心金属が異なる甲1発明において、配位子の1つを異なるものとする動機付けはない。したがって、甲1発明において、LとXが異なるものとすることが当業者にとって容易に想到し得たということはできない。
よって、本件特許発明1は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(オ)本件特許発明2?9と甲1発明との対比・判断
本件特許発明2?9は、何れも、本件特許発明1と同様に「LとXが異なる」とする要件を具備している。したがって、本件特許発明2?9も、本件特許発明1と同じ理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(カ)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人が主張する特許異議申立理由の理由3によっては、本件特許を取り消すことはできない。


第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立理由書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正後の請求項1?9に係る特許を取り消すことはできない。
また他に請求項1?9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式L_(2)MX
(式中、Mはイリジウムであり;
Lはsp^(2)混成軌道炭素及び窒素原子によりMに配位されたモノアニオン性二座配位子であり;
Xはモノアニオン性二座配位子であり;
LとXは異なる。)
で表される化合物を含む、有機発光デバイスの発光層用組成物(但し、L_(2)MX中、Xがヘキサフルオロアセチルアセトネート又はジフェニルアセチルアセトネートである組成物を除く)。
【請求項2】
前記sp^(2)混成軌道炭素が前記配位子Lの芳香環の一部分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】 前記L配位子それぞれの窒素原子がトランス型の配置である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】 前記L配位子が置換又は非置換のフェニルピリジンからなる、請求項1?3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】 前記X配位子がアセチルアセトネートからなる、請求項1?4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】 アノード、カソード、及び発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が前記アノードとカソードの間に配置されており、且つ前記発光層が請求項1又は2に記載の組成物を含む、有機発光デバイス。
【請求項7】 アノード、カソード、及び発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が前記アノードとカソードの間に配置されており、且つ前記発光層が請求項3に記載の組成物を含む、有機発光デバイス。
【請求項8】 アノード、カソード、及び発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が前記アノードとカソードの間に配置されており、且つ前記発光層が請求項4に記載の組成物を含む、有機発光デバイス。
【請求項9】 アノード、カソード、及び発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が前記アノードとカソードの間に配置されており、且つ前記発光層が請求項5に記載の組成物を含む、有機発光デバイス。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-05-22 
出願番号 特願2014-124151(P2014-124151)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (H05B)
P 1 651・ 536- YAA (H05B)
P 1 651・ 121- YAA (H05B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大竹 秀紀  
特許庁審判長 中田 誠
特許庁審判官 宮澤 浩
清水 康司
登録日 2017-03-31 
登録番号 特許第6117146号(P6117146)
権利者 ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア
発明の名称 有機LEDのためのリン光ドーパントとしてのL2MX型の錯体  
代理人 実広 信哉  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  
代理人 志賀 正武  
代理人 村山 靖彦  
代理人 村山 靖彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 志賀 正武  
代理人 志賀 正武  

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