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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H02B
審判 一部申し立て 2項進歩性  H02B
管理番号 1342968
異議申立番号 異議2017-700990  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-10-16 
確定日 2018-06-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6115000号発明「分電盤、分電盤システム、自立分電盤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6115000号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-17〕、〔18-22〕について」)訂正することを認める。 特許第6115000号の請求項1、2、3、4、7、9、15、17、18、19、20、21、22に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6115000号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?22に係る特許についての出願は、2014年3月19日(優先権主張2013年4月8日、日本国)を国際出願日として特許出願され、平成29年3月31日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許の請求項1、2、3、4、7、9、15、17、18、19、20、21、22に係る特許について、平成29年10月16日に特許異議申立人 川島与志雄(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において平成30年1月26日付けで取消理由を通知し、同年3月30日付けで意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して平成30年5月17日付けで特許異議申立人から意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成30年3月30日付けの訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下のとおりである。
なお、下線部は訂正箇所を示す。以下同様。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含む」
とあるのを、
「前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記処理部は、前記第1の分散型電源が前記第1の取付スペースに配置された前記第1の開閉器に接続されると、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になる」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2?4、7、9、15、17も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に、
「前記通信インターフェイス部は、さらに、前記所定場所に設置される設備機器と通信するよう構成され、前記処理部は、前記設備機器の制御と監視との少なくとも一方を行うよう構成される請求項4記載の分電盤。」
とあるのを、
「分電盤であって、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、前記通信インターフェイス部は、公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することとのうちの少なくとも一つを行うよう構成され、前記通信インターフェイス部は、さらに、前記所定場所に設置される設備機器と通信するよう構成され、前記処理部は、前記設備機器の制御と監視との少なくとも一方を行うよう構成される分電盤。」
に訂正する。
請求項5の記載を引用する請求項7、9、15、17も同様に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に、
「前記通信インターフェイス部は、さらに、通信機能を有した電力量計と通信するよう構成され、前記処理部は、前記電力量計から取得した情報を前記入力情報に加えるよう構成される請求項4又は5記載の分電盤。」
とあるのを、
「分電盤であって、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、前記通信インターフェイス部は、公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することとのうちの少なくとも一つを行うよう構成され、前記通信インターフェイス部は、さらに、通信機能を有した電力量計と通信するよう構成され、前記処理部は、前記電力量計から取得した情報を前記入力情報に加えるよう構成される分電盤。」
に訂正する。
請求項6の記載を引用する請求項7、9、15、17も同様に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項8に、
「前記通信インターフェイス部は、前記コントローラと通信するよう構成され、前記処理部は、前記コントローラから前記設備機器に関する情報を取得し、前記コントローラから取得した前記設備機器に関する情報を前記入力情報に加え、前記入力情報に基づいて前記設備機器を管理する情報を生成し、生成した情報を前記出力情報として前記コントローラに引き渡すよう構成される請求項4?7のいずれか1項に記載の分電盤。」
とあるのを、
「分電盤であって、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、前記通信インターフェイス部は、公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することとのうちの少なくとも一つを行うよう構成され、前記通信インターフェイス部は、前記コントローラと通信するよう構成され、前記処理部は、前記コントローラから前記設備機器に関する情報を取得し、前記コントローラから取得した前記設備機器に関する情報を前記入力情報に加え、前記入力情報に基づいて前記設備機器を管理する情報を生成し、生成した情報を前記出力情報として前記コントローラに引き渡すよう構成される分電盤。」
に訂正する。
請求項8の記載を引用する請求項9、15、17も同様に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項10に、
「記憶媒体が着脱可能に装着される接続部をさらに備え、前記処理部は、前記入力情報から前記出力情報を生成するためのプログラムを実行するプロセッサを備え、前記記憶媒体から前記プログラムを取得するよう構成される請求項1?8のいずれか1項に記載の分電盤。」
とあるのを、
「分電盤であって、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、記憶媒体が着脱可能に装着される接続部をさらに備え、前記処理部は、前記入力情報から前記出力情報を生成するためのプログラムを実行するプロセッサを備え、前記記憶媒体から前記プログラムを取得するよう構成される分電盤。」
に訂正する。
請求項10の記載を引用する請求項15、17も同様に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項11に、
「前記連携アダプタは、前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部とを備える請求項1?10のいずれか1項に記載の分電盤。」
とあるのを、
「分電盤であって、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部とを備える分電盤。」
に訂正する。
請求項11の記載を引用する請求項15、17も同様に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項12に、
「前記連携アダプタは、前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部と、前記第1の端子部および前記第2の端子部と電気的に接続され、かつ前記第1の開閉器が電気的に接続される第3の端子部とを備える請求項1?10のいずれか1項に記載の分電盤。」
とあるのを、
「分電盤であって、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部と、前記第1の端子部および前記第2の端子部と電気的に接続され、かつ前記第1の開閉器が電気的に接続される第3の端子部とを備える分電盤。」
に訂正する。
請求項12の記載を引用する請求項13?15、17も同様に訂正する。
なお、訂正請求書における「請求項12の記載を引用する請求項15、17も同様に訂正する」(8頁11?12行)との記載は、引用関係からみて、上記のとおり「請求項13?15、17も同様に訂正する」の誤記と認める。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項16に、
「前記連携アダプタは、前記処理部を収納し、且つ前記分電盤に取り付けられる器体をさらに備え、前記第1の取付スペースが前記器体に設けられている請求項1?15のいずれか1項に記載の分電盤。」
とあるのを、
「分電盤であって、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記処理部を収納し、且つ前記分電盤に取り付けられる器体をさらに備え、前記第1の取付スペースが前記器体に設けられている分電盤。」
に訂正する。
請求項16の記載を引用する請求項17も同様に訂正する。

(9)訂正事項9
明細書の段落【0007】を、
「本発明に係る一態様の分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記処理部は、前記第1の分散型電源が前記第1の取付スペースに配置された前記第1の開閉器に接続されると、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になる。本発明に係る一態様の分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、前記通信インターフェイス部は、公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することとのうちの少なくとも一つを行うよう構成され、前記通信インターフェイス部は、さらに、前記所定場所に設置される設備機器と通信するよう構成され、前記処理部は、前記設備機器の制御と監視との少なくとも一方を行うよう構成される。本発明の一態様に係る分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、前記通信インターフェイス部は、公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することとのうちの少なくとも一つを行うよう構成され、前記通信インターフェイス部は、さらに、通信機能を有した電力量計と通信するよう構成され、前記処理部は、前記電力量計から取得した情報を前記入力情報に加えるよう構成される。本発明の一態様に係る分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、前記通信インターフェイス部は、公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することとのうちの少なくとも一つを行うよう構成され、前記通信インターフェイス部は、前記コントローラと通信するよう構成され、前記処理部は、前記コントローラから前記設備機器に関する情報を取得し、前記コントローラから取得した前記設備機器に関する情報を前記入力情報に加え、前記入力情報に基づいて前記設備機器を管理する情報を生成し、生成した情報を前記出力情報として前記コントローラに引き渡すよう構成される。本発明に係る一態様の分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、記憶媒体が着脱可能に装着される接続部をさらに備え、前記処理部は、前記入力情報から前記出力情報を生成するためのプログラムを実行するプロセッサを備え、前記記憶媒体から前記プログラムを取得するよう構成される。本発明に係る一態様の分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部とを備える。本発明の一態様に係る分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部と、前記第1の端子部および前記第2の端子部と電気的に接続され、かつ前記第1の開閉器が電気的に接続される第3の端子部とを備える。本発明の一態様に係る分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記処理部を収納し、且つ前記分電盤に取り付けられる器体をさらに備え、前記第1の取付スペースが前記器体に設けられている。」
に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項18に、
「前記分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない前記第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースとを備え、」
とあるのを、
「前記分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない前記第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記処理部は、前記第1の分散型電源が前記第1の取付スペースに配置された前記第1の開閉器に接続されると、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になり、」
に訂正する。
請求項18の記載を引用する請求項19?22も同様に訂正する。

(11)訂正事項11
明細書の段落【0025】を、
「本発明に係る分電盤システムは、系統電源からの電力供給が停止している状態で電力の出力が可能である前記第2の分散型電源が接続された分電盤と、前記系統電源からの電力供給が停止している状態で電力供給が必要である機器が接続された第2の分岐ブレーカを備える自立分電盤とを備える。前記分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない前記第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備える。前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備える。前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含む。前記処理部は、前記第1の分散型電源が前記第1の取付スペースに配置された前記第1の開閉器に接続されると、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になる。前記自立分電盤は、前記系統電源から電力が供給されている期間には前記主幹ブレーカを通して給電され、前記系統電源からの電力供給が停止している期間には前記第2の分散型電源から給電される。」
に訂正する。

2.訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の「入力情報」に関して、「電力系統から受電する電力に関する情報」、「複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報」、「第1の開閉器を通過する電力に関する情報」、「第2の開閉器を通過する電力に関する情報」の4つの選択肢の中から「少なくとも一つを含む」としていたところ、「第1の開閉器を通過する電力に関する情報」を省いた3つの選択肢の中から「少なくとも一つを含む」とする訂正(以下、「訂正事項1-1」という。)を含んでおり、当該訂正事項1-1は、択一的記載の要素を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の「入力情報」に関して、「第1の分散型電源が第1の取付スペースに配置された第1の開閉器に接続されると、」「第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む」との特定を付加するとともに、「処理部」に関して、「第1の分散型電源が第1の取付スペースに配置された第1の開閉器に接続されると、第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む入力情報に基づいて出力情報を生成する処理が可能になる」との特定を付加する訂正(以下、「訂正事項1-2」という。)を含んでおり、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
以上を総合すると、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項1-1は、訂正前の請求項1に係る発明の「入力情報」に関する前記の4つの選択肢から1つを省くものであり、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものといえる。
また、願書に添付した明細書には次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。以下同様。
「【0094】
第1の分散型電源41が発電した電力に関する情報を処理部13が入力情報に用いて出力情報を生成する処理は、第1の分散型電源41が接続されている場合にのみ必要になる。そのため、第1の分散型電源41が接続されたときに、該当するプログラムとデータ(第1の開閉器51を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータ)を処理部13で読み込むことが望ましい。・・・」
「【0113】
処理部13は、分電盤30に第1の分散型電源41が接続されると、第1の開閉器51を通過する電力に関する情報を入力情報に加える。・・・」
「【0145】
太陽光発電装置のように発電した電力を電力系統へ逆潮流させる(たとえば、電力系統への逆潮流が許容されている)第1の分散型電源41を需要家が導入する場合は、連携アダプタ10に、第1の分散型電源41を主幹回路に接続するための第1の開閉器51が取りつけられる。さらに、第1の分散型電源41が接続された場合の処理が可能になるように、連携アダプタ10における処理部13のプログラムとデータの更新が行われる。」
以上の記載を参照すれば、訂正事項1-2は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内ものといえる。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。

(2)訂正事項2?8について
ア 訂正の目的
(ア)
訂正事項2は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項4を引用し、訂正前の請求項4が訂正前の請求項1?3のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1及び4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正である。
(イ)
訂正事項3は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項4又は5の記載を引用し、訂正前の請求項4が訂正前の請求項1?3のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1及び4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正である。
(ウ)
訂正事項4は、訂正前の請求項8が訂正前の請求項4?7のいずれか1項の記載を引用し、訂正前の請求項4が訂正前の請求項1?3のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1及び4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正である。
(エ)
訂正事項5は、訂正前の請求項10が訂正前の請求項1?8のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正である。
(オ)
訂正事項6は、訂正前の請求項11が訂正前の請求項1?10のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正である。
(カ)
訂正事項7は、訂正前の請求項12が訂正前の請求項1?10のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正である。
(キ)
訂正事項8は、訂正前の請求項16が訂正前の請求項1?15のいずれか1項の記載を引用する記載であったものを、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正である。
(ク)
以上のとおりであるので、訂正事項2?8は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2?8は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するといえる。

(3)訂正事項9について
ア 訂正の目的
訂正事項9は、訂正事項1?8による特許請求の範囲の訂正に伴い、対応する明細書の記載の整合を図るためにする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項9は、訂正事項1?8と同じ内容のものであるので、訂正事項1?8と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するといえる。

(4)訂正事項10について
ア 訂正の目的
訂正事項10は、訂正前の請求項18に係る発明に、「連携アダプタ」に関する発明特定事項を付加するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
願書に添付した明細書には次の記載がある。
「【0134】
(自立分電盤との連携)
以下、本実施形態の分電盤システムについて説明する。図1に示すように、本実施形態の分電盤システムは、系統電源25からの電力供給が停止している状態で電力の出力が可能である第2の分散型電源42が接続された分電盤30と、自立分電盤80とを備える。」
そして、願書に添付した図面の【図1】には、連携アダプタ10が備えられている分電盤30と自立分電盤80とを備える分電盤システムが示されている。
また、分電盤が「連携アダプタ」を備えることは、訂正前の請求項1に記載されており、「連携アダプタ」の「処理部」における処理内容については、上記「(1)イ」で述べたとおり、願書に添付した明細書の段落【0094】、【0113】、【0145】に記載されているといえる。
よって、訂正事項10は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項10は、訂正前の請求項18に係る発明を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。

(5)訂正事項11について
ア 訂正の目的
訂正事項11は、訂正事項10による特許請求の範囲の訂正に伴い、対応する明細書の記載の整合を図るためにする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項11は、訂正事項10と同じ内容のものであるので、訂正事項10と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するといえる。

(6)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正前の請求項1?4、7、9、15、17?22に対して特許異議申立人から特許異議の申立てがされているので、「特許請求の範囲の減縮」を目的として請求項1及び請求項1の記載を引用する請求項2?4、7、9、15、17を訂正する訂正事項1、並びに、請求項18及び請求項18の記載を引用する請求項19?22を訂正する訂正事項10に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。
また、請求項5、6、8、10?14、16については、「請求項間の引用関係の解消」を目的とする訂正(訂正事項2?8)のみがされたので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。

(7)一群の請求項
訂正前の請求項1?17について、訂正前の請求項2?17は訂正前の請求項1を直接または間接的に引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、請求項1?17は、一群の請求項である。
また、訂正前の請求項18?22について、訂正前の請求項19?22は訂正前の請求項18を直接または間接的に引用するものであり、訂正事項10によって記載が訂正される請求項18に連動して訂正されるものである。
したがって、請求項18?22は、一群の請求項である。
よって、訂正事項1?9及び訂正事項10?11は、一群の請求項ごとに請求されたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

(4)小括
以上のとおりであるので、訂正事項1?11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?17〕、〔18?22〕について訂正を認める。

なお、特許権者は、訂正事項2?8による訂正後の請求項5?12、15?17についての訂正が認められる場合には、請求項5?12、15?17は、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めているが(訂正請求書の37頁末行?38頁10行)、訂正後の請求項17は、依然として請求項1?16のいずれか1項の記載を引用するものであり、訂正後も請求項1?17は一群の請求項となるので、請求人の求めを認めることはできない。

第3 特許異議の申立てについて
1.本件発明
本件訂正により訂正された請求項1?22に係る発明(以下、「本件発明1?22」という。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?22に記載された事項により特定される次のとおりのものであるところ、本件発明1?4、7、9、15、17?22は次のとおりのものである。
「【請求項1】
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと
を備え、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記処理部は、前記第1の分散型電源が前記第1の取付スペースに配置された前記第1の開閉器に接続されると、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になる
分電盤。
【請求項2】
前記入力情報は、少なくとも、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報とを含む
請求項1記載の分電盤。
【請求項3】
前記複数の負荷回路の電力をそれぞれ計測するよう構成される複数のセンサが設けられた計測ユニットをさらに備え、
前記連携アダプタは、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報とを、前記計測ユニットから取得するよう構成される
請求項1または2記載の分電盤。
【請求項4】
前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、
前記通信インターフェイス部は、
公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、
利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、
前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することと
のうちの少なくとも一つを行うよう構成される
請求項1?3のいずれか1項に記載の分電盤。
【請求項7】
前記連携アダプタは、前記通信インターフェイス部が取り替え可能に装着される
請求項4?6のいずれか1項に記載の分電盤。
【請求項9】
前記処理部は、前記入力情報から前記出力情報を生成するためのプログラムを実行するプロセッサを備え、前記通信インターフェイス部を通して前記プログラムを取得するよう構成される
請求項4?8のいずれか1項に記載の分電盤。
【請求項15】
前記処理部は、
前記分電盤が取り付けられた所定場所に供給される電力以外の資源の使用量を計測する計測装置から前記資源の使用に関する情報を取得し、
前記取得した資源の使用に関する情報を前記入力情報に加えるよう構成される
請求項1?14のいずれか1項に記載の分電盤。
【請求項17】
前記第2の取付スペースは、前記分岐ブレーカを取りつけるためのスペースの一部であって、前記分岐ブレーカの1乃至複数個分に相当する寸法を有する
請求項1?16のいずれか1項に記載の分電盤。
【請求項18】
系統電源からの電力供給が停止している状態で電力の出力が可能である第2の分散型電源が接続された分電盤と、
前記系統電源からの電力供給が停止している状態で電力供給が必要である機器が接続された第2の分岐ブレーカを備える自立分電盤と
を備え、
前記分電盤は、
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない前記第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記処理部は、前記第1の分散型電源が前記第1の取付スペースに配置された前記第1の開閉器に接続されると、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になり、
前記自立分電盤は、前記系統電源から電力が供給されている期間には前記主幹ブレーカを通して給電され、前記系統電源からの電力供給が停止している期間には前記第2の分散型電源から給電される
分電盤システム。
【請求項19】
前記自立分電盤は、前記分電盤と前記第2の分散型電源とのいずれかから受電し、受電した電力を前記第2の分岐ブレーカに給電する第3の開閉器を備える
請求項18記載の分電盤システム。
【請求項20】
前記第3の開閉器が受電する経路に、前記系統電源から電力が供給されている期間に前記主幹ブレーカを通して受電する状態を選択し、前記系統電源からの電力供給が停止している期間に前記第2の分散型電源から受電する状態を選択する切替器をさらに備える
請求項19記載の分電盤システム。
【請求項21】
前記第3の開閉器と前記切替器とが前記自立分電盤に設けられている
請求項20記載の分電盤システム。
【請求項22】
請求項18?21のいずれか1項に記載の分電盤システムに用いられる自立分電盤。」

2.取消理由の概要
訂正前の請求項1?4、7、9、15、17?22に係る特許に対して平成30年1月26日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由1]本件特許の請求項1、4に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
[取消理由2]本件特許の請求項2、3、7、9、15、17?22に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

引用文献1:特開2004-328856号公報
引用文献2:日東工業株式会社の住宅盤用エネルギー監視装置取扱説明書、2012年1月発行
引用文献3:日東工業株式会社のHEMS対応ホーム分電盤のパンフレット、平成23年(2011年)5月発行
引用文献4:河村電器産業株式会社のエネルギー監視システムenサーバーのパンフレット、2011年8月
引用文献5:特開2001-103622号公報
引用文献6:特開2007-129891号公報
引用文献7:特開2008-136280号公報
引用文献8:特開2011-150662号公報
引用文献9:特開2011-234561号公報
引用文献10:東芝:プレスリリース:定置式家庭用蓄電システム「エネグーン」の発売 2012年9月10日
引用文献11:NEC:家庭用蓄電システムのカタログ、2012年9月
引用文献12:特開2007-300703号公報

なお、引用文献1?11は、それぞれ、特許異議申立書の甲第1?11号証である。


3.引用文献
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【請求項1】
商用電源に接続される主幹ブレーカと、その二次側の分岐部に接続された分岐ブレーカと、商用電源側に電力を逆潮流可能な分散電源が接続される分散電源用第1ブレーカと、商用電源側に電力を逆潮流できない分散電源が接続される分散電源用第2ブレーカとを備え、分散電源用第1ブレーカを主幹ブレーカの一次側に接続し、分散電源用第2ブレーカを主幹ブレーカの二次側の主幹バーの端部に設けられた送り端子に接続するとともに、分散電源用第1ブレーカの接続点と分岐部との間に、第1電流センサーを接続したことを特徴とする分電盤システム。
【請求項2】
分散電源用第1ブレーカをキャビネット内の電流制限器と主幹ブレーカとの間に配置し、分散電源用第2ブレーカを分岐部よりも端部側に配置し、同一キャビネット内に搭載したことを特徴とする請求項1記載の分電盤システム。
【請求項3】
分散電源用第1ブレーカの一次側と主幹ブレーカの一次側との間に第2電流センサーを接続するとともに、第1電流センサー及び第2電流センサーの計測値を表示部に出力する計測装置を組み込んだことを特徴とする請求項1記載の分電盤システム。」

「【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1において、1は主幹ブレーカであり、従来と同様に電流制限器2を介して商用電源に接続されている。3は主幹ブレーカ1の二次側に接続された主幹バーであり、この主幹バー3には複数の分岐ブレーカ4が接続されて分岐部5を構成している。住宅の各負荷はこれらの分岐ブレーカ4に接続されている。
【0010】
この分電盤の同一キャビネット内には上記した主幹ブレーカ1のほかに、分散電源用第1ブレーカ6と分散電源用第2ブレーカ7とが搭載されている。分散電源用第1ブレーカ6は、商用電源側に電力を逆潮流可能な太陽光発電システムなどの分散電源8が接続されるものである。また分散電源用第2ブレーカ7は、商用電源側に電力を逆潮流できないガス発電システムなどの分散電源9が接続されるものである。
【0011】
商用電源側に電力を逆潮流可能な分散電源8が接続される分散電源用第1ブレーカ6は、主幹ブレーカ1の一次側に接続される。図示のように、この分散電源用第1ブレーカ6の一次側と主幹ブレーカ1の一次側との間には第2電流センサー10を接続し、分散電源8から供給される電流を計測できるようにする。
【0012】
また商用電源側に電力を逆潮流できない分散電源9が接続される分散電源用第2ブレーカ7は、主幹ブレーカ1の二次側の主幹バー3の端部に設けられた送り端子11に接続されている。そしてこの分散電源用第1ブレーカ6の接続点12と前記分岐部5との間に、分散電源9からの逆潮流を検出するとともに、主幹バー3から分岐部5に流れる電流を検出するための第1電流センサー13が接続されている。この実施形態では第1電流センサー13は主幹ブレーカ1と分岐部5との間に接続されているが、図2に示すように第1電流センサー13の位置は主幹バー3の一次側としてもよい。
・・・
【0014】
第2電流センサー10及び第1電流センサー13の検出値はキャビネット内に組み込まれた計測装置14に入力され、分散電源8、分散電源9の発電量と、負荷の使用電流とが計測される。そして計測装置14は表示部15にこれらの計測値を出力し、リアルタイムで表示させる。なお表示部15として住宅情報盤を用いれば、専用の表示部を設置する必要がない。住宅情報盤としては例えばインターホンの室内器と組み合わされたものが好ましい。またこの実施形態では主幹ブレーカ1、電流制限器2、分散電源用第1ブレーカ6、分散電源用第2ブレーカ7を同一キャビネット内に搭載したが、分電盤キャビネットの大きさに応じて、分散電源用第1ブレーカ6、分散電源用第2ブレーカ7を別のキャビネットに搭載してもよい。」

引用文献1には、上記ア、イ及び【図1】の記載からみて、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明〕
「商用電源に接続される主幹ブレーカ1と、
その二次側の分岐部5に接続された分岐ブレーカ4と、
商用電源側に電力を逆潮流可能な分散電源8が接続される分散電源用第1ブレーカ6と、商用電源側に電力を逆潮流できない分散電源9が接続される分散電源用第2ブレーカ7とを備え、
分散電源用第1ブレーカ6を主幹ブレーカ1の一次側に接続し、分散電源用第2ブレーカ7を主幹ブレーカ1の二次側の主幹バー3の端部に設けられた送り端子11に接続し、
分散電源用第1ブレーカ6をキャビネット内の電流制限器2と主幹ブレーカ1との間に配置し、分散電源用第2ブレーカ7を分岐部5よりも端部側に配置し、同一キャビネット内に搭載し、
分散電源用第1ブレーカ6の接続点と分岐部5との間に、主幹バー3から分岐部5に流れる電流を検出するための第1電流センサー13を接続し、
分散電源用第1ブレーカ6の一次側と主幹ブレーカ1の一次側との間に、分散電源8から供給される電流を計測する第2電流センサー10を接続し、
第1電流センサー13及び第2電流センサー10の計測値を表示部15に出力する計測装置14を有した、
分電盤システム。」

(2)引用文献2に記載された事項
引用文献2には、住宅盤用エネルギー監視装置が、電力以外に、ガスメータや水道の流量センサから情報を取得することが記載されていると認められる(5頁「■配線方法」の「<配線例>」を参照。)。

(3)引用文献3に記載された事項
引用文献3には、「HEMS対応ホーム分電盤」が、「ガス・水道の使用量計測が可能。」であることが記載されている(見開き頁の右下方を参照。)。

(4)引用文献4に記載された事項
引用文献4には、「エネルギー監視システム enサーバー」が、「電気以外のエネルギー消費量もすぐ分かる! トータル表示画面を見るだけで全てのエネルギー消費量が簡単にチェックできます。」とするものであり、「エネルギー消費量」に「水道使用量」、「ガス使用量」が含まれていることが記載されている(見開き頁の左上方を参照。)。

(5)引用文献5に記載された事項
引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池,燃料電池などの住宅用補助電源が併設された住宅において、分岐ブレーカに接続されている家電機器等で消費される電力や、補助電源からの発電電力などを計測し、家全体の電気エネルギの使用状況を確実に把握することが出来る宅内電気エネルギ計測システムに関するものである。」

「【0015】分電盤1の左方の分電盤本体4内部には、主幹回路を開閉する主幹ブレーカ5が設けられており、右方の分電盤本体3内部には、補助電源供給回路を開閉する補助ブレーカ6が設けられている。また、主幹ブレーカ5と補助ブレーカ6との間に挟まれた分電盤本体4内部には、・・・複数の分岐ブレーカ7が設けられている。・・・また、補助ブレーカ6の下方の分電盤本体4内部には、主幹回路の双方向電力,各分岐回路の消費電力および補助電源供給回路の発電電力を計測する電力計測部8が内蔵されている。」

「【0017】・・・主幹ブレーカ5の2本の負荷電圧線L1,L2にはそれぞれ主幹変流器12a,12bが設けられており、これら主幹変流器12a,12bはそれぞれ負荷電圧線L1,L2に流れる電流を検出する。主幹変流器12a,12bの検出信号は、・・・電力計測部8の第1の計測部プリント板8aに入力される。」

「【0025】電力計測部8は、マイクロコンピュータ等からなる演算器21および・・・ROM(リード・オンリ・メモリ)22を主要な構成要素としている。・・・」

「【0038】また、計測部8内の通信部29は上述したようにケーブル92を介して宅内表示器38に接続されている。宅内表示器38は分電盤1が設置された家屋内に設けられており、通信部29から受信した電力値を可視表示する。また、この宅内表示器38は、ケーブル94を介してパーソナルコンピュータ(パソコン)39といった外部機器が接続されている。」

(6)引用文献6に記載された事項
引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【請求項22】
前記直流系機器ユニットの両端方向の寸法を分岐ブレーカからなる電力系機器の両端方向の寸法と同一とするとともに、前記直流系機器ユニットの幅寸法を前記分岐ブレーカの幅寸法の整数倍の寸法としたことを特徴とする請求項1乃至請求項21の何れかの1項に記載の住宅用分電盤。
【請求項23】
前記電力系機器が、互いに分離される通信モジュールと、該通信モジュールへの動作電源を供給する電源モジュールとからなる電力線通信モジュールであって、前記通信モジュール及び前記電源モジュールの幅寸法を前記分岐ブレーカの幅寸法の整数倍としていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかの1項に記載の住宅用分電盤。」

「【0051】
請求項23の発明によれば、通信モジュールを交換するだけ機能変更が容易に行え、・・・」

「【0099】
また電力線通信モジュール300は、図11に示すように電源部307を内蔵したモジュール300Aと、電源部307以外の回路部を備えたモデムモジュール300Bとに分割した構造としても良い。・・・」

(7)引用文献7に記載された事項
引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0017】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る分電盤について図面を参照して説明する。・・・分電盤1は、外部の電源から受電し、主幹回路にある主幹ブレーカ2と、この主幹回路から分岐した複数の分岐回路にある分岐ブレーカ3と、分岐回路に流れる分岐電流を検出する電流センサユニット4と、電流センサユニット4が検出したデータに基いて、表示する表示ユニット6と、電流センサユニット4と表示ユニット6に直流電源を供給する電源ユニット5と、分岐ブレーカ3等を保持するベース台7とを備えている。」

「【0024】
次に、電流センサユニット4について説明する。・・・
【0025】
電流センサ40は、第1の挿通孔42aの周辺部に、挿通孔42aを囲むように形成されたトロイダルコイルと巻き戻しコイルとを有するロゴスキー型の空芯コイル45であり、プリント基板41の面と裏面とに設けられた金属箔パターン43と、プリント基板41を貫通して金属箔パターン43を接続するスルーホール44等から構成されている。・・・」

(8)引用文献8に記載された事項
引用文献8には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0217】
ステップS212に処理を進めた場合、システム管理部1125は、第1番目にアップデートする電力管理装置11を協調動作から切り離し、アップデートを実行する(S212)。このとき、協調動作から切り離された電力管理装置11のシステム管理部1125は、システム管理サーバ33から最新のファームウェアを取得し、古いファームウェアを最新のファームウェアに更新する。ファームウェアの更新が完了した後、協調動作している残りの電力管理装置11は、アップデートが完了した電力管理装置11の動作を確認する(S213、S214)。」

(9)引用文献9に記載された事項
引用文献9には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0027】
この停電対策システム2は、・・・家屋4の内部に既存の住宅用分電盤6を備え、家屋4の外壁に拡張分電盤8を備えている。・・・
・・・
【0029】
拡張分電盤8は、電力系統10の停電時、HEV16の接続に基づき、蓄電池18の放電による電力を充放電コンセント14から受電し、負荷12のうち特定負荷12Bに給電する。・・・特定負荷12Bには、電灯、冷蔵庫、エアコン等、停電を回避したい負荷が含まれる。」

「【0034】
また、停電時には、拡張分電盤8に対する電力系統10からの給電が停止されるので、その停電を通信部20から通知し、この通知により通信部22はHEV16のECU24に停電を通知する。ECU24はコンバータ26を動作させ、蓄電池18を放電状態に切り替える。蓄電池18の放電はコンバータ26によって交流出力に変換され、この放流出力は充放電プラグ32及び充放電コンセント14を介して拡張分電盤8に供給される。蓄電池18の放電により、負荷12の特定負荷12Bに対する給電が開始される。停電時の不都合が解消される。
【0035】
そして、電力系統10の復旧時には、負荷12の一般負荷12Aには電力系統10からの給電が開始され、通信部20からの復旧通知によりHEV16からの給電が解除される。このとき、HEV16の蓄電池18は充電が開始される。」

「【0041】
拡張分電盤8は、インテリジェント分電盤又は分電盤装置の一例であって、第1の開閉手段として電磁開閉器42、第2の開閉手段として電磁開閉器44と、停電検出部54と、通信部20と、手動復帰ボタン46とを備えている。電磁開閉器42は給電系統10側に接続される給電部(第1の給電部)に設置された第1の開閉手段の一例であって、電力系統10の停電時(系統遮断時)にOFF状態となるが、瞬停時には例えば、1?4〔秒〕の保持機能を備える。
【0042】
電磁開閉器44は第2の開閉手段の一例であって、分散型負荷からの給電を受ける給電部及び特定負荷12Bへの給電部に設置されている。この電磁開閉器44は、電力系統10の停電時(系統遮断時)にON状態に切り替えられ、分散型電源から特定負荷12Bに給電する手段である。」

(10)引用文献10に記載された事項
引用文献10には、「定置式家庭用蓄電システム「エネグーン」の発売について」に関して、「5.急な停電でも貯めた電器を使用でき安心 停電になると停電を検知し、蓄電システムが自動的に電気を供給します。」(2頁下方を参照。)と記載されている。

(11)引用文献11に記載された事項
引用文献11には、「家庭用蓄電システム」に関して、「停電時は もしもの時も、非常用電源として活用できるから安心です。」(見開き頁の右下方を参照。)と記載されている。

(12)引用文献12に記載された事項
引用文献12には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0008】
太陽光発電、ガス発電、燃料電池等の分散型電源がある場合、分散型電源用ブレーカ5を分電盤1に搭載する。このとき用いる分散型電源用ブレーカ5はプラグインタイプのもので、また、分岐ブレーカ4のサイズに合わせたものである。図2のように電気機器を配列した分電盤1の、分岐ブレーカ4の分散型電源用ブレーカ5の相当寸法分を外し分散型電源用ブレーカ4を取り付ける。
【0009】
従来は分散型電源用ブレーカを搭載するために分電盤を構成するキャビネットを大きいものにして、元の主幹ブレーカと分岐ブレーカの配列とは別に、分散型電源用ブレーカを配置していたが、本発明においては、分散型電源用ブレーカ4を分岐ブレーカ4の配列に組み込むことを特徴とする。」

4.判断
(1)本件発明1について
本件発明1と引用発明とを対比する。
後者の「商用電源に接続される主幹ブレーカ1」は、前者の「電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカ」に相当する。
後者の主幹ブレーカ1の「二次側の分岐部5に接続された分岐ブレーカ4」は、前者の「主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカ」に相当する。
後者の「商用電源側に電力を逆潮流可能な分散電源8」は、前者の「発電した電力を電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源」に相当し、後者の「商用電源側に電力を逆潮流できない分散電源9」は、前者の「発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源」に相当する。
後者の「分散電源8が接続される分散電源用第1ブレーカ6」は、「主幹ブレーカ1の一次側に接続」されるものであるので、前者の「第1の分散型電源と主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器」に相当する。
後者の「分散電源9が接続される分散電源用第2ブレーカ7」は、「主幹ブレーカ1の二次側の主幹バー3の端部に設けられた送り端子11に接続」されるものであるので、前者の「第2の分散型電源と主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器」に相当する。
後者の分散電源用第1ブレーカ6が配置される「キャビネット内の電流制限器2と主幹ブレーカ1との間」は、前者の「第1の開閉器が配置される、第1の取付スペース」に相当する。
後者の分散電源用第2ブレーカ7が配置される「分岐部5よりも端部側」は、前者の「第2の開閉器が配置される、第2の取付スペース」に相当する。
後者の「分散電源用第1ブレーカ6の接続点と分岐部5との間」の「第1電流センサー13」の「計測値」は、「主幹バー3から分岐部5に流れる電流を検出」したものであるので、前者の「複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報」に相当する。また、後者の「分散電源用第1ブレーカ6の一次側と主幹ブレーカ1の一次側との間」の「第2電流センサー10」の「計測値」は、「分散電源8から供給される電流を計測」したものであるので、前者の「第1の開閉器を通過する電力に関する情報」に相当する。そうすると、後者の「第1電流センサー13及び第2電流センサー10の計測値」は、前者の「電力系統から受電する電力に関する情報と、複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、」「第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む入力情報」に相当する。
後者の「表示部15」は、前者の「他装置」に相当する。
後者の「計測装置14」は、「第1電流センサー13及び第2電流センサー10の計測値を表示部15に出力する」ものであり、計測値を表示部15で表示できるように処理するものといえるので、その機能からみて、前者の「入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え」た「連携アダプタ」に相当する。そして、後者の「計測装置14」において、「第1電流センサー13及び第2電流センサー10の計測値」を表示部15で表示できるように処理する部分は、前者の「第1の分散型電源が第1の取付スペースに配置された第1の開閉器に接続されると、第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む入力情報に基づいて出力情報を生成する処理が可能になる」「処理部」と、「第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む入力情報に基づいて出力情報を生成する処理が可能になる」「処理部」である限りにおいて一致する。
後者の「分電盤システム」は、前者の「分電盤」に相当する。

そうすると、両者は、
「電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと
を備え、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記処理部は、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になる
分電盤。」
である点で一致し、次の点で相違する。
〔相違点1〕
本件発明1は、「処理部は、第1の分散型電源が第1の取付スペースに配置された第1の開閉器に接続されると、第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む入力情報に基づいて出力情報を生成する処理が可能になる」ものであるのに対して、引用発明は、第1電流センサー13及び第2電流センサー10の計測値を表示部15に出力する計測装置14が、情報を処理するプログラムとデータとを読み込むとは特定されていない点。

上記相違点1について検討する。
引用文献2?7、9?12には、分電盤の処理部が情報処理用のプログラムとデータとを読み込むことについて何ら記載されていない(上記「3.(2)?(7)、(9)?(11)」を参照)。
また、引用文献8には、「協調動作から切り離された電力管理装置11のシステム管理部1125は、システム管理サーバ33から最新のファームウェアを取得し、古いファームウェアを最新のファームウェアに更新する。」(上記「3.(8)」を参照)ことは記載されているものの、情報処理部が、分散型電源が接続されるとプログラムとデータとを読み込み、分散型電源の電力に関する情報処理を可能となることは、記載も示唆もされていない。
また、他に相違点1に係る本件発明1の構成が周知であるとする証拠もない。
したがって、引用発明において相違点1に係る本件発明1の構成を設けることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
よって、本件発明1は、引用文献1に記載された発明(引用発明1)とはいえず、引用発明及び引用文献2?12に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(2)本件発明2?4、7、9、15、17について
本件発明2?4、7、9、15、17は、本件発明1のすべての事項を含みさらに限定を付加するものであるから、上記「(1)」の本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明4は、引用文献1に記載された発明(引用発明1)とはいえず、本件発明2?4、7、9、15、17は、引用発明及び引用文献2?12に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件発明18について
本件発明18は、本件発明1の「分電盤」を備え、さらに、「系統電源からの電力供給が停止している状態で電力の出力が可能である第2の分散型電源が接続された分電盤」、「前記系統電源からの電力供給が停止している状態で電力供給が必要である機器が接続された第2の分岐ブレーカを備える自立分電盤」、「前記自立分電盤は、前記系統電源から電力が供給されている期間には前記主幹ブレーカを通して給電され、前記系統電源からの電力供給が停止している期間には前記第2の分散型電源から給電される」との事項を付加した「分電盤システム」である。
そうすると、本件発明18と引用発明とを対比すると、両者は、少なくとも上記「(1)」で述べた「相違点1」で相違する。
そして、相違点1については、上記「(1)」で述べたとおり、引用文献2?12に記載された事項から容易に想到し得るとはいえないし、周知の事項ともいえない。
よって、本件発明18は、引用発明及び引用文献2?12に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)本件発明19?22について
本件発明19?22は、本件発明18のすべての事項を含みさらに限定を付加するものであるから、上記「(3)」の本件発明18についての判断と同様の理由により、引用発明及び引用文献2?12に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)特許異議申立人の主張について

特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件発明1、2、4は、甲第2号証(引用文献2)に記載された発明であり、本件発明3、7、9、15、17?22は、甲第2号証(引用文献2)に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得る旨主張している。
しかしながら、特許異議申立人が引用文献2から読み取れるとして認定する発明は、引用文献1に記載された発明(引用発明)と同等のものであり、結局、上記「(1)」で述べた「相違点1」に係る構成を有するものではない。そして、相違点1については、上記「(1)」で検討したとおりである。

特許異議申立人は、平成30年5月17日付けの意見書において、訂正後の請求項10に係る発明には特許性がなく、その特許は取り消されるべきである旨主張している。
しかしながら、訂正事項5による訂正後の請求項10に係る発明は、訂正前の請求項1を引用する請求項10に係る発明であり(上記「第2」の「2.(2)」を参照)、訂正前の請求項10は特許異議申立の対象外であるので、特許異議申立人の上記主張は新たな取消理由であり、採用できない。

5.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?4、7、9、15、17?22に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?4、7、9、15、17?22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
分電盤、分電盤システム、自立分電盤
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源が接続される分電盤、この分電盤を備える分電盤システム、分電盤システムに用いられる自立分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電装置、燃料電池、蓄電装置、蓄電池を搭載した電動車両のように、需要家において電力を得る分散型電源が種々製品化されている。しかし、たとえば日本国では、太陽光発電装置などは電力系統への逆潮流が許容されているが、燃料電池、蓄電装置、電動車両などは電力系統への逆潮流が禁止されている。
【0003】
そのため、逆潮流が許容されている分散型電源(発電した電力を逆潮流させる分散型電源)と、逆潮流が禁止されている分散型電源(発電した電力を逆潮流させない分散型電源)とを選択して負荷に給電する構成が広く採用されている(たとえば日本国特許出願公開番号2013-13174号参照;以下、文献1と称する)。文献1に記載された構成では、太陽光発電装置が分電盤に接続され、太陽光発電装置が発電した余剰電力は、電力系統に逆潮流を行うことが可能になっている。また、蓄電装置は、太陽光発電装置が発電した電力により充電され、需要家の一部の負荷に対しては、分電盤からの電力と蓄電装置からの電力とを選択して供給することが可能になっている。
【0004】
しかし、文献1に記載された構成では、太陽光発電装置(日本国で逆潮流が許容された分散型電源)は分電盤に接続されているが、蓄電装置(日本国で逆潮流が禁止されている分散型電源)は分電盤には接続されておらず、分散型電源を集中して管理することができないという問題を有している。
【0005】
ところで、複数種類の分散型電源を組み合わせて用いると、電力系統への電圧や周波数の影響を低減することや、需要家が電力系統から購入する電力を低減することが可能になるという効果が得られる。しかしながら、分散型電源は、比較的高価であることから、複数種類の分散型電源を需要家が一度に導入するには初期投資が膨大になり、需要家の負担が大きい。そこで、異なる種類の分散型電源を需要家に順に導入させることが考えられる。しかし、この場合、新たな分散型電源が導入されるたびに、需要家における配電網に分散型電源を接続するための工事が必要になるから、需要家にとっては分散型電源の購入費に加えて、工事費の負担が大きくなるという問題がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、需要家が複数種類の分散型電源を順に導入する場合でも分散型電源を接続するだけで配電網に対する新たな工事を行う必要がなく、しかも、複数の分散型電源の管理を1箇所で集中して行うことを可能にした分電盤を提供することを目的とする。本発明はさらに、この分電盤を備える分電盤システム、および分電盤システムに用いられる自立分電盤を提供することを目的とする。
【0007】
本発明に係る一態様の分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記処理部は、前記第1の分散型電源が前記第1の取付スペースに配置された前記第1の開閉器に接続されると、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になる。
本発明に係る一態様の分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、前記通信インターフェイス部は、公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することとのうちの少なくとも一つを行うよう構成され、前記通信インターフェイス部は、さらに、前記所定場所に設置される設備機器と通信するよう構成され、前記処理部は、前記設備機器の制御と監視との少なくとも一方を行うよう構成される。
本発明の一態様に係る分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取位スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、前記通信インターフェイス部は、公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することとのうちの少なくとも一つを行うよう構成され、前記通信インターフェイス部は、さらに、通信機能を有した電力量計と通信するよう構成され、前記処理部は、前記電力量計から取得した情報を前記入力情報に加えるよう構成される。
本発明の一態様に係る分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、前記通信インターフェイス部は、公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することとのうちの少なくとも一つを行うよう構成され、前記通信インターフェイス部は、前記コントローラと通信するよう構成され、前記処理部は、前記コントローラから前記設備機器に関する情報を取得し、前記コントローラから取得した前記設備機器に関する情報を前記入力情報に加え、前記入力情報に基づいて前記設備機器を管理する情報を生成し、生成した情報を前記出力情報として前記コントローラに引き渡すよう構成される。
本発明に係る一態様の分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、記憶媒体が着脱可能に装着される接続部をさらに備え、前記処理部は、前記入力情報から前記出力情報を生成するためのプログラムを実行するプロセッサを備え、前記記憶媒体から前記プログラムを取得するよう構成される。
本発明の一態様に係る分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部とを備える。
本発明の一態様に係る分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部と、前記第1の端子部および前記第2の端子部と電気的に接続され、かつ前記第1の開閉器が電気的に接続される第3の端子部とを備える。
本発明の一態様に係る分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカとを備え、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備え、前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含み、前記連携アダプタは、前記処理部を収納し、且つ前記分電盤に取り付けられる器体をさらに備え、前記第1の取付スペースが前記器体に設けられている。
【0009】
一実施形態において、前記入力情報は、少なくとも前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報とを含む。
【0010】
一実施形態において、分電盤は、前記複数の負荷回路の電力をそれぞれ計測するよう構成される複数のセンサが設けられた計測ユニットをさらに備える。前記連携アダプタは、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報とを、前記計測ユニットから取得するよう構成される。
【0011】
一実施形態において、前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備える。前記通信インターフェイス部は、公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することとのうちの少なくとも1つを行うよう構成される。
【0012】
一実施形態において、前記通信インターフェイス部は、さらに、前記所定場所に設置される設備機器と通信するよう構成される。前記処理部は、前記設備機器の制御と監視との少なくとも一方を行うよう構成される。
【0013】
一実施形態において、前記通信インターフェイス部は、さらに、通信機能を有した電力量計と通信するよう構成される。前記処理部は、前記電力量計から取得した情報を前記入力情報に加えるよう構成される。
【0014】
一実施形態において、前記連携アダプタは、前記通信インターフェイス部が取り替え可能に装着される。
【0015】
一実施形態において、前記通信インターフェイス部は、前記コントローラと通信するよう構成される。前記処理部は、前記コントローラから前記設備機器に関する情報を取得し、前記コントローラから取得した前記設備機器に関する情報を前記入力情報に加え、前記入力情報に基づいて前記設備機器を管理する情報を生成し、生成した情報を前記出力情報として前記コントローラに引き渡すよう構成される。
【0016】
一実施形態において、前記処理部は、前記入力情報から前記出力情報を生成するためのプログラムを実行するプロセッサを備え、前記通信インターフェイス部を通して前記プログラムを取得するよう構成される。
【0017】
一実施形態において、記憶媒体が着脱可能に装着される接続部をさらに備え、前記処理部は、前記入力情報から前記出力情報を生成するためのプログラムを実行するプロセッサを備え、前記記憶媒体から前記プログラムを取得するよう構成される。
【0018】
一実施形態において、前記連携アダプタは、前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部とを備える。
【0019】
一実施形態において、前記連携アダプタは、前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部と、前記第1の端子部および前記第2の端子部と電気的に接続され、かつ前記第1の開閉器が電気的に接続される第3の端子部とを備える。
【0020】
一実施形態において、前記連携アダプタは、前記第1の開閉器を通過した電力を計測するよう構成される内蔵センサをさらに備える。前記処理部は、前記内蔵センサが計測した電力から、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を求める。
【0021】
一実施形態において、前記処理部は、前記入力情報に含まれる要素の関係を用いて、前記第1の分散型電源が発電した電力のうち前記電力系統に逆潮流を行った電力を算出し、算出結果を前記出力情報として前記他装置に出力する。
【0022】
一実施形態において、前記処理部は、前記分電盤が取り付けられた所定場所に供給される電力以外の資源の使用量を計測する計測装置から前記資源の使用に関する情報を取得し、かつ前記取得した資源の使用に関する情報を前記入力情報に加えるよう構成される。
【0023】
一実施形態において、前記連携アダプタは、前記処理部を収納し、且つ前記分電盤に取り付けられる器体をさらに備える。前記第1の取付スペースが前記器体に設けられている。
【0024】
一実施形態において、前記第2の取付スペースは、前記分岐ブレーカを取りつけるためのスペースの一部であって、前記分岐ブレーカの1乃至複数個分に相当する寸法を有する。
【0025】
本発明に係る分電盤システムは、系統電源からの電力供給が停止している状態で電力の出力が可能である前記第2の分散型電源が接続された分電盤と、前記系統電源からの電力供給が停止している状態で電力供給が必要である機器が接続された第2の分岐ブレーカを備える自立分電盤とを備える。前記分電盤は、電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない前記第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、連携アダプタとを備える。前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備える。前記入力情報は、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報との少なくとも一つを含む。前記処理部は、前記第1の分散型電源が前記第1の取付スペースに配置された前記第1の開閉器に接続されると、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になる。前記自立分電盤は、前記系統電源から電力が供給されている期間には前記主幹ブレーカを通して給電され、前記系統電源からの電力供給が停止している期間には前記第2の分散型電源から給電される。
【0026】
一実施形態において、前記自立分電盤は、前記分電盤と前記第2の分散型電源とのいずれかから受電し、受電した電力を前記第2の分岐ブレーカに給電する第3の開閉器を備える。
【0027】
一実施形態において、前記第3の開閉器が受電する経路に、前記系統電源から電力が供給されている期間に前記主幹ブレーカを通して受電する状態を選択し、前記系統電源からの電力供給が停止している期間に前記第2の分散型電源から受電する状態を選択する切替器をさらに備える。
【0028】
一実施形態において、前記第3の開閉器と前記切替器とが前記自立分電盤に設けられている。
【0029】
本発明の構成によれば、電力系統への逆潮流が許容されている第1の分散型電源が接続される第1の開閉器と、電力系統への逆潮流が禁止されている第2の分散型電源が接続される第2の開閉器とを取り付けるスペースを備える。したがって、第1の分散型電源と第2の分散型電源とを順に導入する場合であっても分電盤を交換する必要がなく、また分散型電源を接続するだけで配電網に対する新たな工事を行う必要がないという利点がある。さらに、第1の分散型電源と第2の分散型電源とが分電盤に接続されるから、複数種類の分散型電源の管理を1箇所で集中して行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態の分電盤および自立分電盤を示すブロック図である。
【図2】同上の分電盤および自立分電盤の外観を示す正面図である。
【図3】同上の分電盤および自立分電盤の使用例を示す概略構成図である。
【図4】同上の分電盤および自立分電盤の外観を示す正面図である。
【図5】同上の分電盤に設けられる計測ユニットのセンサブロックの斜視図である。
【図6】同上の分電盤に取り付けられる第1の開閉器の正面図である。
【図7】同上の分電盤に取り付けられる第2の開閉器の斜視図である。
【図8】同上の自立分電盤の他例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本実施形態の分電盤30は、図1、2に示すように、主幹ブレーカ31と、複数の分岐ブレーカ32と、主幹ブレーカ31および複数の分岐ブレーカ32が内部に取り付けられたキャビネット35とを備える。本実施形態の分電盤30は、所定場所(住居など)にキャビネット35を取り付けた状態で使用される。また、キャビネット35内には、連携アダプタ10が取り付けられる。すなわち、連携アダプタ10は、分電盤30に内器として取り付けられる。
【0032】
まず、図1?3を参照して、連携アダプタ10について説明する。
【0033】
本実施形態の連携アダプタ10は、分電盤30を通過する電力に関する情報を取得し、取得した情報から出力情報を生成し、生成した出力情報を外部に出力する機能を有する。分電盤30を通過する電力に関する情報は、外部から分電盤30に供給される電力の量、および分電盤30から外部に供給される電力の量を含む。
【0034】
図1に示すように、連携アダプタ10は、他装置(外部)と通信する通信インターフェイス部(第1の通信インターフェイス部11、第2の通信インターフェイス部12)と、処理部13と、少なくとも処理部13を収納する器体14とを備える。以下、「通信インターフェイス部」を「通信I/F部」と略称する。
【0035】
通信I/F部のうちの第1の通信I/F部11は、通信機能を有した電力量計20と通信する。通信I/F部のうちの第2の通信I/F部12は、電力量計20が設置された需要家(分電盤30が取り付けられた所定場所)で利用される機器と通信する。なお、電力量計20と通信するための第1の通信I/F部11は省略可能である。
【0036】
図3に示すように、第2の通信I/F部12と通信する機器(需要家で利用される機器)は、照明機器、空調機器、厨房機器、映像機器などの設備機器(分電盤30が取り付けられた所定場所に設置される設備機器)72と、設備機器72の管理を行う機器(コントローラ)70と、操作表示機器のように情報の入出力を行う機器(提示機器)71と、インターネット網、CATV網、電話網などの公衆網である電気通信回線を通して通信する無線ルータのような機器(通信機器)73とのうちの少なくとも一つを含む。すなわち、第2の通信I/F部12は、設備機器72、コントローラ70、提示機器71、通信機器73の少なくとも1種類に対して出力情報を送出する機能を有する。図3の例では、第2の通信I/F部12はコントローラ70および通信機器73と通信する。
【0037】
第2の通信I/F部12から機器に送出される出力情報は、設備機器72の監視と制御との少なくとも一方を行う管理情報、提示機器71を通して利用者に提示される提示情報、通信機器73を通して外部に通知される通知情報のうちの少なくとも一つを含む。
【0038】
第2の通信I/F部12は、管理情報を設備機器72と直接授受してもよいが、通常は、設備機器72を管理するコントローラ70と授受し、設備機器72の実際の管理はコントローラ70が行うことが望ましい。この種のコントローラ70は、HEMS(Home Energy Management System)コントローラと呼ばれており、設備機器72の動作状態について監視および制御が可能になっている。なお、連携アダプタ10が、HEMSコントローラとは通信しないが通信機器73とは通信可能なデジタル家電のような設備機器72の管理を行う場合、第2の通信I/F部12は、通信機器73を通して設備機器72に管理情報を伝送してもよい。
【0039】
提示情報は、提示機器71にて提示され、利用者に種々の情報を提供する。提示機器71による情報の提示方法は、提示機器71が備える画面上への表示、提示機器71が備えるスピーカによる音声の発生を含む。
【0040】
提示機器71は、提示の機能のみを有していてもよいが、操作表示機器のように、操作も可能になっていることが好ましい。この場合には、提示機器(操作表示機器)71は、提示機器71に提示された情報を認識した利用者が、設備機器72の動作状態を変更する目的でも使用可能である。この場合、提示機器71に利用者から与えられた指示は、設備機器72に直接またはコントローラ70を介して通知される。なお、利用者が、スマートフォン、タブレット端末、テレビジョン受像機、パーソナルコンピュータなど、通信機器73と通信可能な機器を提示機器71として用いる場合、第2の通信I/F部12(分電盤30)は、図3に例示するように、通信機器73を通して提示機器71に提示情報を伝送してもよい。
【0041】
通知情報は、電気事業者に対して情報を通知するために用いられる。第2の通信I/F部12(分電盤30)は、図3に例示するように、通信機器73を通して、通知情報を電気事業者が運営する管理装置61などに伝送する。
【0042】
第1の通信I/F部11および第2の通信I/F部12は、電波を伝送媒体とする無線通信、電力線を通信線に兼用する電力線搬送通信、RS485、ECHONET(登録商標)Liteのような有線通信などから選択される通信技術を採用する。無線信号の仕様は、WiFi(登録商標)、特定小電力無線(たとえば、920MHz帯)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などから選択される。第1の通信I/F部11の通信方式(第1の通信方式;たとえば電力線搬送通信)は、第2の通信I/F部12の通信方式(第2の通信方式;たとえば無線通信)とは異なっていてもよい。
【0043】
処理部13は、プログラムを実行するプロセッサを備えたデバイスを主なハードウェア要素として備える。この種のデバイスは、メモリを備えるマイコンが代表例である。すなわち、処理部13は、図1に示すように、プログラムやデータを格納するためのメモリ131を備える。処理部13は、メモリを別途に必要とするCPU(Central Processing Unit)であってもよい。すなわち、連携アダプタ10は、処理部13とは別に設けられたメモリ(図示せず)を備えていてもよい。
【0044】
処理部13の動作に必要なプログラムとデータは、第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12とのいずれかを通して与えられる。あるいはまた、処理部13の動作に必要なプログラムとデータは、メモリカードのような記憶媒体16を通して与えられてもよい。
【0045】
処理部13が第1の通信I/F部11を通してプログラムとデータを取得する場合、電力量計20を経由する経路で電気事業者からプログラムとデータを受け取ることになる。すなわち、電力量計20は、インターネット回線、CATV網、電話網のような公衆網である電気通信回線NTを通して電気事業者などが運営する上位装置と通信することが必要である。この種の上位装置は、電気事業者が運営する管理装置61のほか、電気事業者ではないサービス提供者が運営する管理装置62などを含む(図3参照)。
【0046】
ここで、サービス提供者が運営する管理装置62は、需要家に対してはエネルギー管理を行うサービスなどを提供する。また、管理装置62は、需要家における電力の使用量を計測して電気事業者に通知するサービス、あるいは、電気事業者からの節電要求のようなデマンドレスポンスを需要家に通知するサービスなどを提供する。図3に示す例では、電気事業者が運営する管理装置61は、サービス提供者が運営する管理装置62と通信するように通信路が構成されている。管理装置62は、電力量計20と通信することにより、電力量計20が計測した電力量の遠隔検針を行い、また、電力量計20を中継に用いて節電要求の情報(いわゆる、デマンドレスポンス情報)を需要家に通知する機能を有する。本実施形態では、管理装置62から通知された節電要求の情報は、電力量計20を通して連携アダプタ10が受信する。
【0047】
管理装置62は、上述の節電要求と同様に、電力量計20を中継に用いて、連携アダプタ10にプログラムとデータを転送することも可能になっている。さらに、電力量計20は、連携アダプタ10と通信可能であるから、計測した電力に関する情報を連携アダプタ10に送信することも可能である。したがって、処理部13は、第1の通信I/F部11(および電力量計20)を通して、管理装置62(あるいは61)からプログラムとデータを取得することができる。
【0048】
処理部13が第2の通信I/F部12を通してプログラムとデータを取得する場合、第2の通信I/F部12との間で通信が可能な支援装置(図示せず)からプログラムとデータが転送される。支援装置は、インターネット回線のような電気通信回線を通してプログラムとデータのダウンロードを行い、第2の通信I/F部12を通してプログラムとデータを処理部13に読み込ませる。支援装置は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末など、第2の通信I/F部12と通信機器73との両方に対して通信可能な機器であってもよい。
【0049】
図1に示すように、連携アダプタ10は、処理部13が記憶媒体16からプログラムとデータを取得するために、器体14に、記憶媒体16の取り付けと取り外しとが可能になる接続部15を備えていてもよい。接続部15は、メモリカードが挿入されるスロットを備え、メモリカードの電極に電気的に接続される接触子がスロット内に配置された構成を備える。
【0050】
ここに、処理部13は、接続部15に記憶媒体16が装着されると、記憶媒体16が記憶しているプログラムとデータを読み出すことが望ましい。すなわち、利用者が記憶媒体16を接続部15に挿入するという操作を契機にして、処理部13が記憶媒体16に格納された情報を確認し、読出可能と判断した場合に、記憶媒体16に格納された情報を処理部13に読み込むようにすればよい。
【0051】
処理部13がプログラムとデータを読み込んだ後は、接続部15から記憶媒体16を取り外すことができるから、1つの記憶媒体16を用いて、異なる複数の連携アダプタ10にプログラムとデータを読み込ませることが可能になる。
【0052】
処理部13が第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12と記憶媒体16とのいずれからプログラムとデータを読み込むかにかかわらず、支援装置によって読み込みのタイミングの指示と読み込みの終了の報知とを行えばよい。
【0053】
たとえば、処理部13は、プログラムとデータの読み込みが必要となったときに、第2の通信I/F部12を通して、支援装置にプログラムとデータを要求する提示情報を送出する。支援装置は、プログラムとデータを要求する提示情報を画面に提示する。支援装置は、提示情報に対して使用者からプログラムとデータの読み込みの指示を受け取ると、電気通信回線を通して管理装置62にプログラムとデータを要求する。要求を受けとった管理装置62は、第1の通信I/F部11を通して、要求されたプログラムとデータを処理部13に送出する。或いは、要求を受け取った管理装置62は、支援装置および第2の通信I/F部12を通して、要求されたプログラムとデータを処理部13に送出する。処理部13は、受信したプログラムとデータを読み込んでメモリ131に格納する。また処理部13は、プログラムとデータの読み込みが終了すると、支援装置に、読み込みが終了したことを示す提示情報を送信する。
【0054】
処理部13は、たとえば、第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12との少なくとも一方を通して取得した情報を入力情報として出力情報を生成する機能を有している。たとえば、処理部13は、第1の通信I/F部11を通して電力量計20から取得した情報に基づいて、出力情報を生成する。また、処理部13が生成した出力情報は、第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12との少なくとも一方から送出される。たとえば、処理部13で生成された出力情報は、第2の通信I/F部12から、需要家で利用される機器に出力される。
【0055】
第1の通信I/F部11、第2の通信I/F部12、処理部13は、器体14に収納される。本実施形態の器体14は、分電盤30のキャビネット35に取り付けられるように、寸法および形状が定められる。具体的には、電流制限器(アンペアブレーカ)を取り付けることができる分電盤30において、電流制限器に代えて取り付けることができるように器体14の寸法および形状が定められている。したがって、本実施形態の連携アダプタ10は、既存の分電盤30に、分電盤30の設計を変更することなく取り付けることが可能である。ただし、連携アダプタ10の器体14の寸法および形状を、電流制限器が取付可能である分電盤30に収納できるように定めることは必須ではない。
【0056】
次に、図1?3を参照して、本実施形態の分電盤30について説明する。
【0057】
分電盤30のキャビネット35は、図2に示すように、一の方向(図2の左右方向)D1に長く、方向D1に直交する方向の一面(図2の正面側)が開口した矩形箱状に形成されている。図3に示すように、キャビネット35には、キャビネット35の開口を覆う開閉可能な扉36が取り付けられる。
【0058】
図2に示すように、連携アダプタ10は、キャビネット35内に取り付けられている。連携アダプタ10は、図1および図2に示すように、電力量計20が接続されている電力系統の電源線Lpが接続される第1の端子部21と、分電盤30に取り付けられた主幹ブレーカ31を接続する接続線Lcが接続される第2の端子部22とを備える。第1の端子部21と第2の端子部22とは、器体14における一面(図2の正面側)に設けられている。第1の端子部21と第2の端子部22とは、連携アダプタ10の内部(器体14の内部)で電気的に接続される。
【0059】
本実施形態は、系統電源25からの電力供給方式が単相三線方式である場合を想定しており、図2に示すように、電源線Lpおよび接続線Lcは3線(中性線、第1の電圧線、および第2の電圧線)で構成されている。したがって本実施形態では、第1の端子部21および第2の端子部22の各々は、中性線、第1の電圧線、および第2の電圧線にそれぞれ対応する3つの接続端子(第1?第3の接続端子)を備えている。
【0060】
なお、電力供給方式は、限定する趣旨ではなく、日本国において、住宅、事務所、店舗などの多くの需要家で採用されている代表例として示している。系統電源25からの電力供給方式は、単相三線方式に限られず、単相二線方式などであってもよい。単相二線方式の系統電源25に接続する場合、第1の端子部21および第2の端子部22は、1本の電圧線と1本の中性線とにそれぞれ対応する2つの接続端子(第1および第2の接続端子)を備えていればよい。
【0061】
キャビネット35内において、連携アダプタ10よりも方向D1の第1側(図2の右側)には、主幹ブレーカ31が取り付けられている。主幹ブレーカ31の電源側は、電力系統の電源線Lpと電気的に接続されている。具体的には、主幹ブレーカ31の第1端子(電源側の端子)310が接続線Lcを介して連携アダプタ10の第2の端子部22に接続され、連携アダプタ10の第1の端子部21が電力系統の電源線Lpを介して系統電源25に接続されている。すなわち、主幹ブレーカ31の電源側は、連携アダプタ10を介して系統電源25(電力系統の電源線Lp)に電気的に接続されている。
【0062】
なお、本実施形態では、連携アダプタ10の第2の端子部22と主幹ブレーカ31とは、電線である接続線Lcにより電気的に接続されているが、板状の導電部材を用いて接続される構成でもよい。
【0063】
図1、2に示すように、主幹ブレーカ31の負荷側には、複数の分岐ブレーカ32が接続されている。分岐ブレーカ32は、主幹ブレーカ31が挿入されている主幹回路を複数の負荷回路38に分岐させる。したがって、負荷回路38ごとに、分岐ブレーカ32が挿入される。ここに、主幹回路は、分電盤30の内部において電源線Lpから各分岐ブレーカ32の第1端子(電源側の端子)までの電路を意味し、負荷回路38は各分岐ブレーカ32の第1端子(電源側の端子)よりも下流側の電路を意味する。
【0064】
具体的には、図1に示すように、主幹ブレーカ31の第2端子(負荷側の端子;図示せず)には、導電バーセット37が接続されている。また、導電バーセット37には、複数の分岐ブレーカ32が接続されている。これにより、複数の分岐ブレーカ32は、主幹ブレーカ31が挿入されている主幹回路を複数の負荷回路38に分岐させる。
【0065】
図1に示すように、導電バーセット37は、主幹ブレーカ31の方向D1の第1側(図1の右側)に配置されている。導電バーセット37は、方向D1(キャビネット35の長手方向)に長く形成されている。本実施形態では、中性線、第1の電圧線、および第2の電圧線に対応して、導電バーセット37は3本の導電バーを備えている。
【0066】
複数の分岐ブレーカ32は、導電バーセット37に対して、方向D1と直交する方向D2(図2の上下方向)の両側に配置されている。複数の分岐ブレーカ32は、導電バーセット37の方向D2の両側に、方向D1に並んで配置されている。
【0067】
各分岐ブレーカ32は、第1端子(電源側の端子;図示せず)と第2端子(負荷側の端子)321とを有している。各分岐ブレーカ32の第1端子が、導電バーセット37に接続されている。各分岐ブレーカ32の第2端子321は、電線を介して、コンセントや電気機器などに接続される。
【0068】
本実施形態の主幹ブレーカ31は、たとえば3P3E型(極数3、素子数3)のブレーカであって、自己の内部に設けられた中性線、第1の電圧線、第2の電圧線の電路に、それぞれ引き外し素子(電流検出部を含む)が設けられる。主幹ブレーカ31は、中性線、第1の電圧線、第2の電圧線のいずれかの電路を流れる電流が所定の定格電流を超えたことを検知すると、複数の分岐ブレーカ32と系統電源25との間の電路を遮断する。
【0069】
また各分岐ブレーカ32は、たとえば2P1E型(極数2、素子数1)のブレーカであって、自己の内部に設けられた第1の電線、第2の電線の電路のうち、第1の電線の電路に引き外し素子(電流検出部を含む)が設けられる。各分岐ブレーカ32は、第1の電線の電路を流れる電流が所定の定格電流を超えたことを検知すると、対応する負荷回路38と主幹ブレーカ31(系統電源25)との間の電路を遮断する。各分岐ブレーカ32の第1端子は2つの端子を含み、これらは導電バーセット37の3本の導電バーのうちの2本(たとえば、中性極と第1の電圧極に対応する導電バー)にそれぞれ接続される。
【0070】
図2に示すように、分電盤30のキャビネット35内には、方向D1の第2側から第1側(図2の左側から右側)に向かって、連携アダプタ10、主幹ブレーカ31、複数の分岐ブレーカ32(および導電バーセット37)が並んで配置されている。
【0071】
次に、図1を参照して、複数の負荷回路38の電力をそれぞれ計測する計測ユニット33について説明する。
【0072】
本実施形態の分電盤30は、計測ユニット33を備えている。計測ユニット33は、分岐ブレーカ32により分岐されたすべての負荷回路38を対象として、負荷回路38ごとに分岐ブレーカ32を通過する電力を計測する複数のセンサ390を備える。すなわち、計測ユニット33は、複数の負荷回路38にそれぞれ対応する複数のセンサ390を備える。各センサ390は、対応する分岐ブレーカ32を流れる電力を検出する。
【0073】
一方、本実施形態の連携アダプタ10は、図1に示すように、負荷回路38ごとに電力を計測する計測ユニット33が接続される接続口17と、接続口17に接続された計測ユニット33から負荷回路38ごとの電力の使用に関する情報を取得する取得部18とを、さらに備えている。すなわち、連携アダプタ10は、分岐ブレーカ32をそれぞれ通過する電力に関する情報を計測ユニット33から取得する。
【0074】
計測ユニット33の各センサ390は、対応する負荷回路38を通過する電流を計測する電流センサを備え、電流センサが計測した電流値と負荷回路38の線間の電圧値とを用いて電力を算出する。電流センサは、たとえば、ロゴスキーセンサが用いられる。なお、計測ユニット33は、電流センサのみを備える構成とし、電流値と電圧値とを、連携アダプタ10に入力情報として与えることにより、処理部13が電力を算出する構成であってもよい。この場合、負荷回路38ごとの電力の使用に関する情報は、負荷回路38ごとに計測された電流値と電圧値とになる。
【0075】
たとえば計測ユニット33は、図5に示すように、複数のセンサ390が設けられたセンサブロック39を備える。センサブロック39は、矩形板状に形成されており、複数の差込孔391が長手方向に沿って2列に設けられている。図5の下側の差込孔391の各々の周りに、センサ390(ロゴスキーコイル)が設けられている。
【0076】
図5の上側の複数の差込孔391には、たとえば中性極の導電バーの複数の接続端子がそれぞれ挿入され、下側の複数の差込孔391には、たとえば第1の電圧極の導電バーの複数の接続端子がそれぞれ挿入される。各分岐ブレーカ32の第1端子の2つの端子は、中性極の導電バーの接続端子と第1の電圧極の導電バーの接続端子とに、それぞれ接続される。これにより、各分岐ブレーカ32を流れる電流を、センサ390によって計測することが可能になる。
【0077】
計測ユニット33が計測した負荷回路38ごとの電力の使用に関する情報は、入力情報として処理部13に与えられる。計測ユニット33が計測した電力の使用に関する情報は、電流値と電圧値との瞬時値でよいが、所定時間(たとえば、1分)ごとの電力量(瞬時電力とみなす)と、瞬時電力を積算した積算電力量との少なくとも一方であることがより望ましい。
【0078】
計測ユニット33は、負荷回路38ごとの電力を計測するだけではなく、主幹回路についても電力を計測することが望ましい。すなわち、計測ユニット33は、主幹ブレーカ31を通過する電力を計測するセンサを備えていることが好ましい。主幹回路の電力の使用に関する情報は、負荷回路38ごとの瞬時電力あるいは積算電力量の合計として求めることが可能であるが、負荷回路38ごとに求められた情報を合計した場合、主幹回路について計測した情報に対して誤差を含むことが多い。したがって、主幹回路の電力に関する情報は、主幹回路について直接計測することが望ましい。
【0079】
処理部13は、取得部18を通して計測ユニット33から得られた入力情報を用いることにより、負荷回路38ごとの瞬時電力と積算電力量との少なくとも一方を取得することが可能になる。また、処理部13は、主幹回路についても瞬時電力と積算電力量との少なくとも一方を取得することが可能になる。
【0080】
(第1の分散型電源との連携)
本実施形態における連携アダプタ10は、図1に示すように、発電した電力を電力系統へ逆潮流させる(たとえば、電力系統への逆潮流が許容されている)太陽光発電装置のような第1の分散型電源41と主幹ブレーカ31の電源側の主幹回路との間に接続される第1の開閉器51が接続可能な第3の端子部23を備える。第3の端子部23は、第1の端子部21および第2の端子部22と電気的に接続される。すなわち、第3の端子部23は、第2の端子部22を通して主幹ブレーカ31に電気的に接続されており、第1の端子部21を通して系統電源25に電気的に接続されている。
【0081】
第1の開閉器51は、第1の分散型電源41を電力系統と連系させる場合にオンになり、第1の分散型電源41を電力系統から切り離す場合にオフになるように制御される。すなわち、第1の開閉器51は、系統電源25からの電力供給が停止した場合、系統電源25あるいは第1の分散型電源41に異常が生じた場合などに、第1の分散型電源41を解列するために設けられる。また、第1の開閉器51は、漏電ブレーカを含んでいる。
【0082】
第1の開閉器51は、たとえば、図6に示すように3P3E型(極数3、素子数3)のブレーカである。第1の開閉器51は、第1の分散型電源41の電源ケーブルが接続される、端子部510を備える。本実施形態では、中性線、第1の電圧線、第2の電圧線に対応して、端子部510は3つの端子部を含む。
【0083】
第1の開閉器51は、分電盤30にスペースを確保できる場合には、分電盤30の内部空間において、連携アダプタ10とは別の場所に配置することが可能である。この場合、分電盤30の内部に第1の開閉器51を配置する第1の取付スペースが形成されるように、連携アダプタ10の器体14の寸法が設計される。しかし、本実施形態のように、連携アダプタ10の器体14を電流制限器と同程度の寸法に形成した場合、第1の開閉器51を配置するスペースを連携アダプタ10の取付スペースと独立して分電盤30の内部に確保することはできない。
【0084】
そのため、図2に示すように、本実施形態の連携アダプタ10は、第1の開閉器51が装着される第1の取付スペースSP1を器体14の一部に備えている。第1の開閉器51は、第1の取付スペースSP1に対して取り付けと取り外しとが可能になっている。第1の取付スペースSP1は、器体14に形成された凹所である。第1の取付スペースSP1は、第1の開閉器51が第1の取付スペースSP1に装着されたときに第1の開閉器51の端子(図示せず)が電気的に接続される、差込式の接続部(図示せず)を備える。本実施形態では、この差込式の接続部が、第3の端子部23を構成している。なお、図2に示す例では、器体14は、第1の取付スペースSP1を1つ備えているが、第1の取付スペースSP1を複数備えていてもよい。
【0085】
すなわち、本実施形態の分電盤30は、発電した電力を電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源41を接続するための第1の開閉器51が配置される、第1の取付スペース(凹所)SP1を備えている。本実施形態では、図1および図2に示すように、第1の取付スペースSP1は連携アダプタ10の器体14に設けられている。第3の端子部23は、取付スペースSP1内に設けられており、第1の開閉器51が第1の取付スペースSP1に配置されたときに、第1の開閉器51に接続される。
【0086】
したがって、第1の開閉器51が第3の端子部23に接続され、第1の分散型電源41が第1の開閉器51に接続されると、第1の分散型電源41で発電された電力を第2の端子部22を介して主幹ブレーカ31へ供給することが可能となり、また、第1の分散型電源41で発電された電力を第1の端子部21を介して系統電源25へ逆潮流することが可能となる。
【0087】
第1の開閉器51の端子と接続部(第3の端子部23)との一方は、たとえば、2枚の板ばねを向かい合わせた構造が採用され、他方は、2枚の板ばねの間に差し込まれる板状の導体片を備える構造が採用される。この種の構造は、電源プラグの栓刃とレセプタクルの刃受ばねとの関係において採用されている構造に類似している。この構成により、第1の開閉器51が第1の取付スペースSP1に装着されると、第1の開閉器51と第3の端子部23とが電気的に接続される。第1の開閉器51の端子は、電源プラグの栓刃と同様の構造(雄コネクタ)を有し、連携アダプタ10の第3の端子部23は、レセプタクルと同様の構造(雌コネクタ)を有することが好ましい。
【0088】
上述した構成(連携アダプタ10が第1の取付スペースSP1を備えた構成)では、連携アダプタ10を取り付けた分電盤30が需要家に設置されていれば、太陽光発電装置のような第1の分散型電源41が需要家に設置された時点で、第1の開閉器51を第1の取付スペースSP1に後付けで取り付けることができる。つまり、需要家において、第1の分散型電源41が必要になったときに、分電盤30の内部に第1の開閉器51を取り付けることによって、第1の分散型電源41を系統と連系させることが可能になる。
【0089】
このように、本実施形態の分電盤30は第1の取付スペースSP1を備えているので、第1の分散型電源41を新たに導入する場合でも、分電盤を交換する必要がない。さらに、第1の開閉器51を第1の取付スペースSP1に配置する(第3の端子部23に接続する)だけで、大規模な工事を行わずに第1の分散型電源41を分電盤30に接続することができる。
【0090】
本実施形態の連携アダプタ10は、図1に示すように、第1の開閉器51を通過した電力を計測する内蔵センサ24をさらに備えている。内蔵センサ24は、第2の端子部22と第3の端子部23との間に設けられている。すなわち本実施形態では、第1の分散型電源41が発電した電力は、連携アダプタ10に設けられた内蔵センサ24が計測する。内蔵センサ24は、第3の端子部23を通して受電した電力を計測するために、たとえば線路ごとに通過する電流値を計測する電流センサを備え、電流センサが計測した電流値と線間の電圧値とを用いて電力を計測する。要するに、内蔵センサ24は第1の開閉器51を通過する電力を計測する。
【0091】
内蔵センサ24が計測した電力に関する情報は、取得部18を通して入力情報として処理部13に与えられる。すなわち、処理部13は、内蔵センサ24が計測した電力に関する情報から、第1の開閉器51を通過する電力に関する情報を求める。ここに、内蔵センサ24が計測した電力に関する情報は、電流値と電圧値との瞬時値でよいが、所定時間(たとえば、1分)ごとの電力量(瞬時電力とみなす)と、瞬時電力を積算した電力量との少なくとも一方であることが望ましい。
【0092】
処理部13は、取得部18を通して内蔵センサ24から得られた入力情報(第1の開閉器51を通過する電力に関する情報)を用いることにより、第1の分散型電源41が発電した電力について、瞬時電力と積算電力量との少なくとも一方を取得することが可能になる。また、処理部13は、計測ユニット33からの入力情報(分岐ブレーカ32をそれぞれ通過する電力に関する情報)により、負荷回路38ごとに使用した電力を取得するから、第1の分散型電源41が発電した電力との差分により、余剰電力(あるいは、逆潮流を行った電力)の算出が可能になる。すなわち、処理部13は、分岐ブレーカ32をそれぞれ通過する電力に関する情報と第1の開閉器51を通過する電力に関する情報とを用いて、第1の分散型電源41が発電した電力のうち電力系統に逆潮流された電力を算出することができる。
【0093】
図示していないが、第1の分散型電源41を蓄電装置と組み合わせて用いる場合には、第1の端子部21と第2の端子部22との間に開閉器を設けてもよい。この構成では、第1の分散型電源41の電力と蓄電装置の電力とにより負荷回路38が要求する電力を充足できる場合に、開閉器によって負荷回路38から電力系統を切り離し、負荷回路38が要求する電力が不足する場合に、電力系統を接続するという動作が可能になる。このような開閉器の動作は、処理部13が制御する。
【0094】
第1の分散型電源41が発電した電力に関する情報を処理部13が入力情報に用いて出力情報を生成する処理は、第1の分散型電源41が接続されている場合にのみ必要になる。そのため、第1の分散型電源41が接続されたときに、該当するプログラムとデータ(第1の開閉器51を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータ)を処理部13で読み込むことが望ましい。たとえば処理部13は、第1の分散型電源41から所定の無線信号を第2の通信I/F部を介して受信したときに、該当するプログラムとデータを第1の通信I/F部11または第2の通信I/F部12を通して受信する。なお、プログラムとデータを処理部13にあらかじめ登録しておき、第1の分散型電源41が接続されたときに所要のプログラムとデータを起動するようにしてもよい。ただし、処理部13にプログラムとデータをあらかじめ登録している場合でも、第1の分散型電源41が接続されたときに、あらためて最新のプログラムとデータ(プログラムとデータの更新情報)を読み込むから、プログラムとデータは、選択肢から選ぶ構成ではなく、必要なときに読み込む構成であることが好ましい。
【0095】
なお、第1の分散型電源41を用いないことが明らかである場合、第3の端子部23は不要である。したがって、第3の端子部23を備えていない連携アダプタ10を分電盤30に取り付けてもよい。
【0096】
(第2の分散型電源との連携)
本実施形態の分電盤30は、発電した電力を電力系統へ逆潮流させる(たとえば、電力系統への逆潮流が許容されている)第1の分散型電源41だけではなく、発電した電力を電力系統へ逆潮流させない(たとえば、電力系統への逆潮流が禁止されている)第2の分散型電源42を接続することも可能になっている。このために、本実施形態の分電盤30は、発電した電力を電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源42を接続するための第2の開閉器52が配置される、第2の取付スペースSP2を備えている。すなわち、分電盤30のキャビネット35には、第2の分散型電源42を接続するために、分岐ブレーカ32を取り付けるスペースの一部に、図2に示すように第2の開閉器52が配置される第2の取付スペースSP2が設けられている。具体的には、第2の取付スペースSP2は、導電バーセット37の方向D1の第1側且つ方向D2の一方側(図2の右下側)に設けられている。
【0097】
また本実施形態では、第2の取付スペースSP2に、第2の開閉器52が取りつけられる取付台34が装着されている。取付台34は、導電バーセット37に接続される。したがって、第2の開閉器52は、第2の分散型電源42と主幹ブレーカ31の負荷側(導電バーセット37)との間に接続される。
【0098】
図2に示す例では、3個の分岐ブレーカ32に相当する取付スペースSP2に取付台34(第2の開閉器52)を配置しているが、第2の取付スペースSP2は、第2の開閉器52のサイズと個数とに応じて、分岐ブレーカ52の1乃至複数個分に相当する寸法が空いていればよい。
【0099】
取付台34は、連携アダプタ10と同様に、工場出荷前あるいは需要家での現場施工時に分電盤30に取り付けられる。分電盤30は、取付台34を取り付けずに、取付台34に相当する第2の取付スペースSP2を空けておくことが可能である。しかしながら、分電盤30に取付台34が装着されずに放置されていると、第2の取付スペースSP2に誤って分岐ブレーカ32が装着される可能性があり、また導電部分(導電バーの露出部分)に埃が付着したり酸化膜が生じることにより、接触抵抗が増加する可能性がある。以上のような事情により、取付台34は分電盤30にあらかじめ取りつけられていることが望ましい。なお、第2の取付スペースSP2は、第2の分散型電源42を当面使用しないことが明らかである場合には、予備の分岐ブレーカ32を装着しておいてもよい。
【0100】
第2の分散型電源42は、燃料電池、蓄電装置、蓄電池を搭載した電動車両などから選択される。なお、電動車両は、交流と直流との間で双方向に電力変換を行う変換器を搭載し、充電器を別途に必要としない構成である場合を想定する。また、第2の分散型電源42は、電力系統への逆潮流を行わなければ、太陽光発電装置のように再生可能エネルギーを電力に変換する分散型電源であってもよい。分電盤30に第2の分散型電源42を接続する場合、第1の分散型電源41と主幹回路との間に第1の開閉器51が必要であるのと同様に、第2の分散型電源42と主幹回路との間に第2の開閉器52が必要である。第2の開閉器52を通過する電力は、分岐ブレーカ32を通過する電力と同様に、計測ユニット33(計測ユニット33のセンサ390)によって計測される。すなわち、連携アダプタ10は、第2の開閉器52を通過する電力に関する情報を、計測ユニット33から取得する。
【0101】
第2の開閉器52は、取付台34に対して取り付けと取り外しとが可能になっている。第2の開閉器52と取付台34との関係は、第1の開閉器51と連携アダプタ10との関係と同様であり、第2の開閉器52は取付台34に対して取り付けと取り外しとが可能になるように装着される。
【0102】
第2の開閉器52は、漏電ブレーカを含み、第2の分散型電源42における異常発生時に、第2の分散型電源42を主幹回路から切り離す機能を有する。
【0103】
なお、第2の開閉器52は、取付台34を介さずに直接導電バーセット37に接続される構成であってもよい。この場合の第2の開閉器52の例を、図7に示す。第2の開閉器52は、たとえば、3P3E型(極数3、素子数3)のブレーカである。第2の開閉器52は、第2の分散型電源42の電源ケーブルが接続される、端子部520を備える。また第2の開閉器52は、導電バーセット37が接続される、差込口521を備える。差込口521内には端子(図示せず)が設けられている。本実施形態では、中性線、第1の電圧線、第2の電圧線に対応して、端子部520は3つの端子部を含む。また、差込口521は3つの差込口を含み、3つの差込口にそれぞれ対応して3つの端子が設けられている。
【0104】
第2の分散型電源42が第2の開閉器52を介して導電バーセット37に接続されると、第2の分散型電源42で発電された電力を、導電バーセット37を介して複数の負荷回路38に供給することが可能になる。
【0105】
このように、本実施形態の分電盤30は第2の取付スペースSP2を備えているので、第2の分散型電源42を新たに導入する場合でも、分電盤を交換する必要がなく、また、第2の開閉器52を第2の取付スペースSP2に配置する(導電バーセット37に接続する)だけで、大規模な工事を行わずに第2の分散型電源42を分電盤30に接続することができる。
【0106】
第2の分散型電源42が分電盤30に接続された場合、連携アダプタ10の処理部13には第2の分散型電源42に対応したプログラムとデータが設定される。すなわち、第2の分散型電源42は、電力系統への逆潮流を常に行わない(たとえば電力系統への逆潮流が禁止されている)から、連携アダプタ10の処理部13は、電力系統への逆潮流が生じないように制御を行う。
【0107】
すなわち、処理部13は、第2の分散型電源42から主幹回路に供給される電力と、負荷回路38に供給される電力とを比較し、第2の分散型電源42から供給される電力が負荷回路38に供給される電力より小さくなるように、第2の分散型電源42の出力を調節する。たとえば、処理部13は、第2の通信I/F部12を通して、無線通信によって第2の分散型電源42の出力を調節する。
【0108】
なお、処理部13は、第2の分散型電源42の出力を直接調節する代わりに、第2の分散型電源42に対して、第2の分散型電源42から主幹回路に供給される電力と、負荷回路38に供給される電力とを送信してもよい。この場合、第2の分散型電源42が、負荷回路38に供給される電力と第2の分散型電源42から主幹回路に供給される電力とを比較し、自身の出力を調節する。
【0109】
第2の分散型電源42は、燃料電池あるいは太陽光発電装置のように電力の供給のみを行う構成と、蓄電装置あるいは電動車両のように電力の供給(放電)だけではなく電力の蓄積(蓄電)を行う構成とが選択可能である。電力の供給のみを行う第2の分散型電源42は、上述した動作による逆潮流の防止が行われるだけであるが、充電と放電とを行う第2の分散型電源42は、逆潮流の防止だけではなく、蓄電量の管理も行われる。したがって、連携アダプタ10に設定されるプログラムとデータは、第2の分散型電源42の種類に応じて変更される。
【0110】
たとえば、蓄電装置あるいは電動車両の蓄電池は、系統電源25の電力を用いて充電されるか、第1の分散型電源41の電力を用いて充電される。系統電源25の電力により充電される場合は、電力料金の単価が比較的低額である夜間の電力が用いられるように、充電のタイミングが管理される。また、蓄電装置あるいは電動車両の蓄電池は、翌日に利用する電力量あるいは電池の寿命などの種々の条件に応じて充電量が管理される。また、蓄電装置あるいは電動車両の蓄電池が、系統電源25から購入する電力を低減させる目的、あるいは逆潮流の電力を調節する目的などに用いられる場合には、連携アダプタ10は、それらの目的に応じた制御を行う。
【0111】
(出力情報の生成)
上述のように、処理部13は、入力情報に基づいて出力情報を生成し、生成した出力情報を外部(他装置)に送出する。入力情報は、少なくとも、電力系統から受電する電力に関する情報と、複数の分岐ブレーカ32をそれぞれ通過する電力に関する情報とを含む。すなわち、分電盤30に第1の分散型電源41も第2の分散型電源42もともに接続されていない場合、処理部13は、電力系統から受電する電力に関する情報と、複数の分岐ブレーカ32をそれぞれ通過する電力に関する情報とを用いて出力情報を生成する。電力系統から受電する電力に関する情報は、たとえば電力系統から供給される電力の量である。複数の分岐ブレーカ32をそれぞれ通過する電力に関する情報は、たとえば複数の負荷回路38でそれぞれ消費される電力の量である。
【0112】
処理部13は、電力系統から受電する電力に関する情報を、電力量計20から第1の通信I/F部11を通して取得してもよいし、或いは電源線25を通過する電力を計測するために設けられた専用のセンサから取得してもよい。処理部13は、複数の分岐ブレーカ32をそれぞれ通過する電力に関する情報を、計測ユニット33から取得する。
【0113】
処理部13は、分電盤30に第1の分散型電源41が接続されると、第1の開閉器51を通過する電力に関する情報を入力情報に加える。第1の開閉器51を通過する電力に関する情報は、たとえば第1の分散型電源41から分電盤30へ供給される電力の量である。処理部13は、第1の開閉器51を通過する電力に関する情報を、内蔵センサ24から取得する。
【0114】
処理部13は、分電盤30に第2の分散型電源42が接続されると、第2の開閉器52を通過する電力に関する情報を入力情報に加える。第2の開閉器52を通過する電力に関する情報は、たとえば第2の分散型電源42から分電盤30へ供給される電力の量である。なお、第2の分散型電源42が蓄電装置の場合、第2の開閉器52を通過する電力に関する情報は、分電盤30から第2の分散型電源42へ供給される電力の量をさらに含んでもよい。処理部13は、第2の開閉器52を通過する電力に関する情報を、計測ユニット33から取得する。
【0115】
(提示機器との連携)
以下では、連携アダプタ10の動作について説明する。ここでは、連携アダプタ10に第1の分散型電源41および第2の分散型電源42が接続されていない場合を想定する。通信機能を有する電力量計20が需要家において未設置であっても、計測ユニット33が設けられていれば、連携アダプタ10は以下の動作を行う。
【0116】
処理部13は、取得部18を通して計測ユニット33が計測した負荷回路38ごとの電力に関する情報を取得し、この情報を入力情報として出力情報を生成し、出力情報を第2の通信I/F部12から出力する。処理部13は、入力情報の集計、グラフ化などの処理を行うことによって、利用者に提示したときに分かりやすい形式の出力情報を生成する。この場合、出力情報は、第2の通信I/F部12を通して表示器(画面)を備える提示機器71に送出される。
【0117】
連携アダプタ10が複数種類の出力情報を生成し、提示機器71の1画面ではすべての出力情報を表示しきれない場合は、画面に表示する内容を切り替える。そのため、提示機器71は、表示器に加えて利用者が操作する操作部を備えた操作表示機器であることが望ましい。この種の操作表示機器の操作部は、表示器とは別に設けられたスイッチ、あるいは表示器の画面に重ねたタッチスイッチが用いられる。
【0118】
提示機器71は、利用者に情報を提示する装置であって、第2の通信I/F部12と通信する専用機器のほか、第2の通信I/F部12を通して通信するスマートフォン、タブレット端末などから選択される機器が用いられる。なお、スマートフォン、タブレット端末などの端末装置を用いるためには、端末装置を提示機器71として機能させるアプリケーションプログラムを端末装置に実行させればよい。
【0119】
上述の動作例のように、通信機能を有した電力量計20が需要家に設置されていない場合には、処理部13は、電力量計20からは入力情報を取得できない。一方、需要家に通信機能を有した電力量計20が設置されている場合、処理部13は、電力量計20からも入力情報を取得する。したがって、処理部13は、提示機器71に提示する出力情報を生成するために、電力量計20から得られた入力情報を用いることが可能である。すなわち、処理部13は、電力量計20から取得した情報を入力情報に加え、入力情報(電力量計20から取得した情報を含む)に基づいて出力情報を生成する。電力量計20から得られる入力情報は、電力量計20が計測した需要家での電力の使用量、管理装置62から通知されたデマンドレスポンスの情報などがある。処理部13は、電力量計20から取得した入力情報も提示機器71に提示可能な形式に加工する処理を行って提示機器71に出力する。
【0120】
(設備機器との連携)
第2の通信I/F部12は、提示機器71だけではなく、上述のように、設備機器72、コントローラ70、通信機器(無線ルータ)73と通信することも可能である。ここで、連携アダプタ10に予め組み込まれている第2の通信I/F部12は、提示機器71、設備機器72、コントローラ70、通信機器73のいずれかとのみ通信可能に構成されていてもよい。
【0121】
たとえば、上述の動作例のように、連携アダプタ10が提示機器71に出力情報を送出する機能を有する場合、提示機器71は、連携アダプタ10と通信することが必須であるから、連携アダプタ10に組み込まれている第2の通信I/F部12と通信可能である。一方この場合、連携アダプタ10の最小限の機能では、設備機器72、コントローラ70、通信機器73との通信は必須ではない。この場合、連携アダプタ10は、設備機器72、コントローラ70、通信機器73と通信するための第2の通信I/F部12Aを、後付けで増設する構成であってもよい。
【0122】
図2に示す連携アダプタ10は、設備機器72、コントローラ70、通信機器73との通信が必要になったときに、これらの機器と通信を行うための第2の通信I/F部12Aを増設する構成を採用している。連携アダプタ10に付加される第2の通信I/F部12Aは、連携アダプタ10の器体14に装着される。第2の通信I/F部12Aは、取り替え可能であって、通信相手となる機器(コントローラ70、提示機器71、設備機器72、通信機器73)の種類に応じた構成が採用される。
【0123】
図3に示す使用例において、連携アダプタ10は、処理部13のファームウェアの更新および第2の通信I/F部12Aを付加することによって、通信機器73とWiFi(登録商標)による無線通信を行い、コントローラ70と特定小電力無線による無線通信を行う構成を採用している。この構成において、通信機器73は、管理装置61、コントローラ70、設備機器72、提示機器71として機能する端末装置と通信する。
【0124】
連携アダプタ10に組み込まれた第2の通信I/F部12が、提示機器71のみと通信する構成の場合には、第2の通信I/F部12は、たとえばWiFi(登録商標)による無線通信だけが行えればよい。この連携アダプタ10に対して、コントローラ70との通信が必要になる場合には、特定小電力無線による通信機能を有する第2の通信I/F部12Aが連携アダプタ10に装着される。また、通信機器73との通信が必要になる場合には、連携アダプタ10に組み込まれた第2の通信I/F部12は、通信機器73との通信が可能になるように、処理部13のファームウェアが更新される。
【0125】
設備機器72と通信する場合、連携アダプタ10は、設備機器72の管理を行う機能が付与される。すなわち、処理部13は、入力情報を用いて、設備機器72の動作状態を管理する出力情報を生成する。設備機器72の動作状態を管理する際に用いる入力情報は、電力量計20から取得する需要家で使用した電力の使用量あるいはデマンドレスポンス、計測ユニット33から取得する負荷回路38ごとの電力に関する情報を含む。さらに、処理部13は、設備機器72の動作状態を管理する出力情報を生成するために用いる入力情報は、設備機器72から取得する設備機器72の動作状態に関する情報を含む場合もある。
【0126】
出力情報の生成に用いられる情報(入力情報)は、たとえば第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12とを通して処理部13に与えられる。処理部13は、設備機器72を管理するためのプログラムを実行することにより、上述のような入力情報を用いて出力情報を生成し、設備機器72を制御する。連携アダプタ10は、たとえば、デマンドレスポンスに応じた節電を行うために、優先度の低い設備機器72を停止させる制御、あるいは設備機器72の動作状態を消費電力が低減される動作状態に移行させる制御などを設備機器72に指示する。
【0127】
ところで、上述した動作はコントローラ70と同様の動作であり、コントローラ70は設備機器72を管理する場合、電力量計20から取得する情報、計測ユニット33から取得する情報、設備機器72から取得する情報を必要とする。コントローラ70は、設備機器72と通信するから、設備機器72に関する情報を設備機器72から直接取得する。また、コントローラ70は、電力量計20および計測ユニット33からの情報は、連携アダプタ10から取得する。
【0128】
ここに、連携アダプタ10とコントローラ70とが同時に設備機器72を管理しようとすると、互いに干渉する可能性がある。そのため、第2の通信I/F部12がコントローラ70と通信する場合には、処理部13は設備機器72を管理する処理が禁止される。なお、第2の通信I/F部12は、コントローラ70と通信する場合は、たとえば、特定小電力無線による無線伝送路を用いる。
【0129】
通常、処理部13に用いられるプロセッサは、コスト上の制約があることなどから、高い処理能力を望むことは困難であり、設備機器72を管理する際の処理内容には制限がある。これに対して、一般に、コントローラ70に用いられるプロセッサは、処理部13に比べて処理能力が高く、また、コントローラ70に設けられるインターフェイス部も連携アダプタ10に比べて高機能である。
【0130】
したがって、設備機器72を簡便に管理する場合、連携アダプタ10が用いられ、設備機器72の管理により高度な処理が求められる場合は、コントローラ70が用いられる。コントローラ70が行うこの種の処理には、設備機器72の動作状態をタイムスケジュールに従って管理する処理、設備機器72の異常に対する対処などがある。
【0131】
(通信機器との連携)
第2の通信I/F部12がルータのような通信機器73と通信する場合には、連携アダプタ10は、通信機器73を通して管理装置61あるいは管理装置62と通信することが可能になる。連携アダプタ10は、ファームウェアのアップデータを受信する場合などに、この通信経路を利用することが可能である。
【0132】
なお、上述した提示機器71は、図3に示すように、連携アダプタ10と直接通信せずに、通信機器73を介して連携アダプタ10と通信してもよい。すなわち、需要家において、通信機器73をアクセスポイントとする無線LAN(Local Area Network)が構築されている場合、提示機器71は、通信機器73を介して連携アダプタ10と通信する構成を採用してもよい。さらに、需要家に通信機器73との通信が可能な設備機器72が設置されている場合、あるいは需要家に通信機器73との通信が可能なコントローラ70が設けられている場合、提示機器71は、通信機器73を通して設備機器72あるいはコントローラ70を管理してもよい。
【0133】
上述した連携アダプタ10および計測ユニット33は、主幹ブレーカ31および分岐ブレーカ32を分電盤30に取り付けるときに、合わせて分電盤30に取り付けられる。たとえば、主幹ブレーカ31および分岐ブレーカ32だけではなく、連携アダプタ10および計測ユニット33も併せて内蔵された分電盤30が工場から出荷される。もちろん、需要家の施工現場において、連携アダプタ10および計測ユニット33が分電盤30に取り付けられてもよい。
【0134】
(自立分電盤との連携)
以下、本実施形態の分電盤システムについて説明する。図1に示すように、本実施形態の分電盤システムは、系統電源25からの電力供給が停止している状態で電力の出力が可能である第2の分散型電源42が接続された分電盤30と、自立分電盤80とを備える。
【0135】
上述した第2の分散型電源42のうち、太陽光発電装置、蓄電装置、蓄電池を搭載した電動車両などは、系統電源25からの電力供給が停止した状態でも設備機器72に対して交流電力を出力することが可能である。このような第2の分散型電源42は、系統電源25からの電力供給が停止している状態で交流電力を出力する端子を、分電盤30の主幹回路に接続する端子とは別に備えている。以下、この端子から出力される電力を自立出力と呼ぶ。
【0136】
自立出力は、供給可能な容量に限りがあるから、需要家における特定の設備機器72にのみ供給される。自立出力を受電する特定の設備機器72は自立分電盤80に設けられた第2の分岐ブレーカ82に接続される。第2の分岐ブレーカ82は、分電盤30に設けられた分岐ブレーカ32と同様に、電力を複数の負荷回路83に分配するように設けられる。
【0137】
自立分電盤80は、第2の分岐ブレーカ82を複数個備える。第2の分岐ブレーカ82の各々は、たとえば分岐ブレーカ32と同様に2P1E型のブレーカである。自立分電盤80には、1乃至複数個分の第2の分岐ブレーカ82に相当するスペースが第3の取付スペースSP3として確保されている。第3の取付スペースSP3には、漏電ブレーカであって、自立分電盤80の受電経路に挿入される第3の開閉器53が取りつけられる。図2に示す例では、第3の取付スペースSP3は、3個の第2の分岐ブレーカ82に相当するスペースを有している。
【0138】
自立分電盤80は、平時は、主幹ブレーカ31を通して分電盤30から電力を受電しているが、系統電源25からの給電が停止すると、第2の分散型電源42の自立出力を受電する。自立分電盤80の受電元は、切替器54により選択される。切替器54は、系統電源25の給電状態を監視し、給電状態に応じて機械式の接点を切り替える。系統電源25の給電が継続している間、切替器54は分電盤30から受電する状態を選択し、給電が停止すると、切替器54は第2の分散型電源42の自立出力から受電する状態を選択する。系統電源25からの給電状態が復旧すれば、切替器54は平時の状態に復帰する。
【0139】
切替器54は、第3の開閉器53とは別に設けることが可能であるが、第3の開閉器53が切替器54と兼用されていることが望ましい。すなわち、図1には、第3の開閉器53と切替器54とを個別に記載しているが、図8に示すように、切替器54の機能は第3の開閉器53に内蔵されていることが望ましい。この構成では、切替器54が自立分電盤80に内蔵されることにより、図4に示すように、分電盤30と自立分電盤80とを隙間なく並べて配置することが可能になる。
【0140】
図3および図4には分電盤30の扉36および自立分電盤80の扉84を閉じた状態が示されており、図2には分電盤30について扉を開いた状態を示している。
【0141】
なお、切替器54は、自立分電盤80に給電する電源を選択する際に、系統電源25の停止と復帰を検出した後に、数秒程度が経過してから電源を選択することが望ましい。これは、自立分電盤80に接続されている設備機器72に残留する電荷が消費されるまで待つことによって、切替器54の接点の消耗や溶着を防止するためである。
【0142】
自立分電盤80の第2の分岐ブレーカ82に接続される設備機器72は、主として通信、照明のように安全に関わる機器であり、夏季における冷蔵庫のように、食品の保存に関わる機器が含まれていてもよい。なお、日中と夜間、夏季と冬季、人の存在と不在とのように、種々の条件に応じて第2の分岐ブレーカ82を通して給電する設備機器72が選択可能になっていてもよい。
【0143】
(使用例)
たとえば、分電盤30は、主幹ブレーカ31、分岐ブレーカ32が工場出荷前に組み込まれ、さらに、電力量計20と通信可能な連携アダプタ10が少なくとも現場施工まで(望ましくは、工場出荷前)に組み込まれる。
【0144】
最小構成の分電盤30は、たとえば、電力量計20が計測した電力に関する情報を提示機器71に提示する機能と、電力量計20を通して管理装置61,62から通知されるデマンドレスポンスのような情報を提示機器71に提示する機能とだけを有している。すなわち、需要家における電力の使用量に関する情報が利用者に提示され、また、管理装置61,62からの情報が利用者に提示され、節電の要請、電気料金の単価、供給側の電力不足が懸念される時間帯などの情報が利用者に提示される。このような情報の提示により、利用者にとって電力の使用量に関する意識付けが行われる。
【0145】
太陽光発電装置のように発電した電力を電力系統へ逆潮流させる(たとえば、電力系統への逆潮流が許容されている)第1の分散型電源41を需要家が導入する場合は、連携アダプタ10に、第1の分散型電源41を主幹回路に接続するための第1の開閉器51が取りつけられる。さらに、第1の分散型電源41が接続された場合の処理が可能になるように、連携アダプタ10における処理部13のプログラムとデータの更新が行われる。
【0146】
需要家が設備機器72を管理するためのコントローラ70を設ける場合には、必要に応じて第2の通信I/F部12Aを付加し、連携アダプタ10における処理部13のプログラムとデータを更新する。コントローラ70を設けない場合であっても、連携アダプタ10によって設備機器72の管理を行う場合には、必要に応じて第2の通信I/F部12Aを付加し、連携アダプタ10における処理部13のプログラムとデータを更新する。提示機器71と同じ通信方式を採用した通信機器73との通信を可能にする場合には、第2の通信I/F部12Aを付加することは必須ではないが、通信機器73との通信を行うために処理部13のプログラムとデータを更新する。
【0147】
発電した電力を逆潮流させない(たとえば逆潮流が禁止されている)第2の分散型電源42を需要家が導入する場合は、分電盤30に設けられた第2の取付スペースSP2に、第2の開閉器52が取りつけられる。この場合も、第1の分散型電源41を導入する場合と同様に、連携アダプタ10における処理部13のプログラムとデータが、第2の分散型電源42の管理に適するように更新される。なお、図示例は、分電盤30に第2の取付スペースSP2が1つ設けられているが、第2の取付スペースSP2は複数設けられていてもよい。
【0148】
第2の分散型電源42は、燃料電池、太陽光発電装置のように電力の供給のみを行う構成と、蓄電装置、蓄電池を搭載した電動車両のように充電と放電とを行う構成とを含む。充電と放電とを行う第2の分散型電源42を用いる場合は、充電および放電の電力の管理およびタイミングの管理を行うように、処理部13のプログラムとデータが更新される。
【0149】
さらに、第2の分散型電源42が導入されている場合に、系統電源25からの給電が停止している期間でも特定の設備機器72への給電を可能とする場合には、自立分電盤80が需要家に導入される。自立分電盤80は、第2の分散型電源42が導入されている場合に必要に応じて導入される。すなわち、自立分電盤80は、第2の分散型電源42と同時または追加して導入される。
【0150】
以上説明したように、連携アダプタ10を取りつけた分電盤30が需要家に設置されていれば、電力量計20と通信することにより得られる情報を、提示機器71を通して利用者に提示するという最小限の機能を持たせることができる。その後、第1の分散型電源41、第2の分散型電源42、コントローラ70、自立分電盤80などから選択される設備が需要家に導入されるたびに、これらの設備に必要な部材が分電盤30に組み込まれる。さらに、導入した設備の管理や動作に必要なプログラムとデータが、連携アダプタ10の処理部13に実装される。
【0151】
言い換えると、需要家は、連携アダプタ10が取りつけられた基本構成の分電盤30が最初に導入されていれば、後に、分電盤30の入れ替えのような大幅な変更を要さずに、種々の設備を必要に応じて導入することが可能になる。要するに、基本構成の分電盤30が需要家に用意されていれば、設備の充実に伴って部材を付加することにより、多機能の分電盤30を構築することが可能になる。
【0152】
上述した構成例において、連携アダプタ10の処理部13は、電力に関する情報のみを入力情報に用いている。ただし、ガス、水道、熱などの資源であって、需要家での使用量を計測する計測装置が設置されている場合、処理部13は、これらの資源の使用に関する情報を入力情報に含めてもよい。すなわち、処理部13は、資源の使用に関する情報を入力情報に加え、入力情報(資源の使用に関する情報を含む)に基づいて出力情報を生成してもよい。処理部13が電力以外の資源の情報も入力情報に含めることにより、需要家での資源の利用を総合的に管理することが可能になる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと
を備え、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記処理部は、前記第1の分散型電源が前記第1の取付スペースに配置された前記第1の開閉器に接続されると、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になる
分電盤。
【請求項2】
前記入力情報は、少なくとも、前記電力系統から受電する電力に関する情報と、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報とを含む
請求項1記載の分電盤。
【請求項3】
前記複数の負荷回路の電力をそれぞれ計測するよう構成される複数のセンサが設けられた計測ユニットをさらに備え、
前記連携アダプタは、前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報とを、前記計測ユニットから取得するよう構成される
請求項1または2記載の分電盤。
【請求項4】
前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、
前記通信インターフェイス部は、
公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、
利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、
前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することと
のうちの少なくとも一つを行うよう構成される
請求項1?3のいずれか1項に記載の分電盤。
【請求項5】
分電盤であって、
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと
を備え、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、
前記通信インターフェイス部は、
公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、
利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、
前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することと
のうちの少なくとも一つを行うよう構成され、
前記通信インターフェイス部は、さらに、前記所定場所に設置される設備機器と通信するよう構成され、
前記処理部は、前記設備機器の制御と監視との少なくとも一方を行うよう構成される
分電盤。
【請求項6】
分電盤であって、
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと
を備え、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、
前記通信インターフェイス部は、
公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、
利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、
前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することと
のうちの少なくとも一つを行うよう構成され、
前記通信インターフェイス部は、さらに、通信機能を有した電力量計と通信するよう構成され、
前記処理部は、前記電力量計から取得した情報を前記入力情報に加えるよう構成される
分電盤。
【請求項7】
前記連携アダプタは、前記通信インターフェイス部が取り替え可能に装着される
請求項4?6のいずれか1項に記載の分電盤。
【請求項8】
分電盤であって、
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと
を備え、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記連携アダプタは、前記他装置と通信するよう構成される通信インターフェイス部を備え、
前記通信インターフェイス部は、
公衆網を通して通信する通信機器に前記出力情報を送出することと、
利用者に情報を提示する提示機器に前記出力情報を送出することと、
前記分電盤が取り付けられた所定場所に設置される設備機器を管理するコントローラに前記出力情報を送出することと
のうちの少なくとも一つを行うよう構成され、
前記通信インターフェイス部は、前記コントローラと通信するよう構成され、
前記処理部は、
前記コントローラから前記設備機器に関する情報を取得し、
前記コントローラから取得した前記設備機器に関する情報を前記入力情報に加え、
前記入力情報に基づいて前記設備機器を管理する情報を生成し、生成した情報を前記出力情報として前記コントローラに引き渡す
よう構成される
分電盤。
【請求項9】
前記処理部は、前記入力情報から前記出力情報を生成するためのプログラムを実行するプロセッサを備え、前記通信インターフェイス部を通して前記プログラムを取得するよう構成される
請求項4?8のいずれか1項に記載の分電盤。
【請求項10】
分電盤であって、
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと
を備え、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
記憶媒体が着脱可能に装着される接続部をさらに備え、
前記処理部は、前記入力情報から前記出力情報を生成するためのプログラムを実行するプロセッサを備え、前記記憶媒体から前記プログラムを取得するよう構成される
分電盤。
【請求項11】
分電盤であって、
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと
を備え、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記連携アダプタは、
前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、
前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部と
を備える
分電盤。
【請求項12】
分電盤であって、
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと
を備え、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記連携アダプタは、
前記電力系統の電源線が接続される第1の端子部と、
前記第1の端子部と電気的に接続され、かつ前記主幹ブレーカが電気的に接続される第2の端子部と、
前記第1の端子部および前記第2の端子部と電気的に接続され、かつ前記第1の開閉器が電気的に接続される第3の端子部と
を備える
分電盤。
【請求項13】
前記連携アダプタは、前記第1の開閉器を通過した電力を計測するよう構成される内蔵センサをさらに備え、
前記処理部は、前記内蔵センサが計測した電力から、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を求める
請求項12記載の分電盤。
【請求項14】
前記処理部は、前記入力情報に含まれる情報の関係を用いて、前記第1の分散型電源が発電した電力のうち前記電力系統に逆潮流を行った電力を算出し、算出結果を前記出力情報として前記他装置に出力する
請求項13記載の分電盤。
【請求項15】
前記処理部は、
前記分電盤が取り付けられた所定場所に供給される電力以外の資源の使用量を計測する計測装置から前記資源の使用に関する情報を取得し、
前記取得した資源の使用に関する情報を前記入力情報に加えるよう構成される
請求項1?14のいずれか1項に記載の分電盤。
【請求項16】
分電盤であって、
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと
を備え、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記連携アダプタは、前記処理部を収納し、且つ前記分電盤に取り付けられる器体をさらに備え、
前記第1の取付スペースが前記器体に設けられている
分電盤。
【請求項17】
前記第2の取付スペースは、前記分岐ブレーカを取りつけるためのスペースの一部であって、前記分岐ブレーカの1乃至複数個分に相当する寸法を有する
請求項1?16のいずれか1項に記載の分電盤。
【請求項18】
系統電源からの電力供給が停止している状態で電力の出力が可能である第2の分散型電源が接続された分電盤と、
前記系統電源からの電力供給が停止している状態で電力供給が必要である機器が接続された第2の分岐ブレーカを備える自立分電盤と
を備え、
前記分電盤は、
電力系統の電源線と電気的に接続される主幹ブレーカと、
前記主幹ブレーカの負荷側の電路を複数の負荷回路に分岐する複数の分岐ブレーカと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源と前記主幹ブレーカの電源側との間に接続される第1の開閉器が配置される、第1の取付スペースと、
発電した電力を前記電力系統へ逆潮流させない前記第2の分散型電源と前記主幹ブレーカの負荷側との間に接続される第2の開閉器が配置される、第2の取付スペースと、
連携アダプタと
を備え、
前記連携アダプタは、入力情報に基づいて他装置に出力する出力情報を生成するよう構成される処理部を備え、
前記入力情報は、
前記電力系統から受電する電力に関する情報と、
前記複数の分岐ブレーカをそれぞれ通過する電力に関する情報と、
前記第2の開閉器を通過する電力に関する情報と
の少なくとも一つを含み、
前記処理部は、前記第1の分散型電源が前記第1の取付スペースに配置された前記第1の開閉器に接続されると、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータとを読み込むことで、前記第1の開閉器を通過する電力に関する情報を更に含む前記入力情報に基づいて前記出力情報を生成する処理が可能になり、
前記自立分電盤は、前記系統電源から電力が供給されている期間には前記主幹ブレーカを通して給電され、前記系統電源からの電力供給が停止している期間には前記第2の分散型電源から給電される
分電盤システム。
【請求項19】
前記自立分電盤は、前記分電盤と前記第2の分散型電源とのいずれかから受電し、受電した電力を前記第2の分岐ブレーカに給電する第3の開閉器を備える
請求項18記載の分電盤システム。
【請求項20】
前記第3の開閉器が受電する経路に、前記系統電源から電力が供給されている期間に前記主幹ブレーカを通して受電する状態を選択し、前記系統電源からの電力供給が停止している期間に前記第2の分散型電源から受電する状態を選択する切替器をさらに備える
請求項19記載の分電盤システム。
【請求項21】
前記第3の開閉器と前記切替器とが前記自立分電盤に設けられている
請求項20記載の分電盤システム。
【請求項22】
請求項18?21のいずれか1項に記載の分電盤システムに用いられる自立分電盤。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-06-01 
出願番号 特願2015-511082(P2015-511082)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (H02B)
P 1 652・ 121- YAA (H02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 関 信之  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 平田 信勝
尾崎 和寛
登録日 2017-03-31 
登録番号 特許第6115000号(P6115000)
権利者 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明の名称 分電盤、分電盤システム、自立分電盤  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  

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