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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C08G
管理番号 1343047
異議申立番号 異議2018-700477  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-06-12 
確定日 2018-08-23 
異議申立件数
事件の表示 特許第6245704号発明「ポリウレタン系樹脂組成物及びリチウムイオン電池用外装体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6245704号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6245704号の請求項1ないし10に係る発明についての出願は、平成26年9月2日(優先権主張 平成25年9月3日)に特許出願され、平成29年11月24日にその特許権の設定登録がされ、同年12月13日に特許公報が発行され、その後特許に対し、平成30年6月12日に特許異議申立人 中川 賢治(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立がされたものである。

第2 本件特許について

1 本件発明について
特許第6245704号の請求項1ないし10に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される通りのものであると認められるところ、そのうち請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」という。))は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
リチウムイオン電池用外装体を製造するための接着剤又はバインダーとして用いられるポリウレタン系樹脂組成物であって、
ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)を含む、前記ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂と、
イソシアネート架橋剤、ブロックイソシアネート架橋剤、カルボジイミド架橋剤、オキサゾリン架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤、シランカップリング剤、及びチタンカップリング剤からなる群より選択される少なくとも一種の架橋剤と、を含有し、
前記ポリイソシアネートが、4,4’-メチレンビス(フェニレンイソシアネート)、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、及びダイマージイソシアネートの少なくともいずれかであり、
前記ポリウレタン系樹脂の重量平均分子量が、4,000?100,000であるポリウレタン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタン系樹脂に含まれる、前記構成単位(A)の割合が、50?98質量%である請求項1に記載のポリウレタン系樹脂組成物。」

2 本件発明1、2の優先権主張の効果の有効性について
本件発明1に関し、本件発明1の発明特定事項のうち、「ポリイソシアネート」の選択肢として記載された「キシリレンジイソシアネート」、「テトラメチルキシリレンジイソシアネート」、「ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン」及び「ダイマージイソシアネート」については、本件特許に係る出願の優先権の基礎となる出願(特願2013-181827号)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていない。よって、本件発明1のうち、「ポリイソシアネート」が、「キシリレンジイソシアネート」、「テトラメチルキシリレンジイソシアネート」、「ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン」、又は、「ダイマージイソシアネート」である部分については、優先権主張は認められない。
また、本件発明2についても、本件発明1の上記部分を引用する部分については、優先権主張は認められない。
したがって、本件発明1の上記部分及び、本件発明2の、本件発明1の上記部分を引用する部分については、現実の出願日である平成26年9月2日が、特許法第29条の規定の適用についての基準日となる。

第3 申立理由の概要
申立人は、下記甲第1号証ないし甲第8号証を提示し、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第8号証に記載された周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、当該発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条第2項に該当し、取り消すべきものである旨主張し、また、本件発明2は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明、並びに甲第2号証ないし甲第8号証に記載された周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、当該発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条第2項に該当し、取り消すべきものである旨主張する。

<申立人提示の甲号証>

甲第1号証:特開2011-187385号公報
甲第2号証:特開2014-91770号公報
甲第3号証:特開2012-54396号公報
甲第4号証:特開2008-222983号公報
甲第5号証:特開2012-182425号公報
甲第6号証:特開2005-63685号公報
甲第7号証:特開平4-136016号公報
甲第8号証:特開2010-92703号公報

以下、申立人提示の甲第1号証ないし甲第8号証を、「甲1」ないし「甲8」という。

第4 当審の判断

1 甲1ないし甲8の記載及び甲1に記載された発明

(1)甲1の記載事項及び甲1に記載された発明

ア 甲1の記載事項
(ア)「基材層と、該基材層の一方の面に順次設けられた第1の接着剤層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、第2の接着剤層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、
前記第2の接着剤層が、下記ポリウレタン系接着剤(A)を含有することを特徴とする、リチウムイオン電池用外装材。
ポリウレタン系接着剤(A):ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリエステルポリオール、および該ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる群から選ばれる1種以上の主剤(A1)と、ポリイソシアネート化合物からなる硬化剤(A2)とを反応させて得られるポリウレタン系接着剤。」(【請求項1】)

(イ)「また、主剤(A1)としては、前記ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物を用いてもよい。イソシアネート伸長物とは、前記ポリエステルポリオールに、ポリイソシアネート化合物を反応させて鎖伸長させたポリエステルウレタンポリオールである。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4-もしくは2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4-もしくは2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネート、クルードトリレンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物は、単体で使用してもよく、アダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体を使用してもよい。」(【0022】)

イ 甲1に記載された発明
上記記載事項(ア)より、甲1には以下の発明が記載されていると認められる。
「基材層と、該基材層の一方の面に順次設けられた第1の接着剤層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、第2の接着剤層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材の、第2の接着剤層に含有されるポリウレタン系接着剤であって、ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物である主剤と、ポリイソシアネート化合物からなる硬化剤とを反応させて得られるポリウレタン系接着剤。」(以下、「甲1発明」という。)

(2)甲2の記載事項
(カ)「主剤とポリイソシアネート硬化剤とを含有する電池用包装材用ポリウレタン接着剤であって、
前記主剤が、ガラス転移温度が40℃以上のポリエステルポリオール(A1)5?50重量%およびガラス転移温度が40℃未満のポリエステルポリオール(A2)95?50重量%を含むポリオール成分(A)とシランカップリング剤(B)とを含み、
前記ポリオール成分(A)由来のヒドロキシル基とカルボキシル基の合計に対する硬化剤中に含まれるイソシアネート基の当量比[NCO]/([OH]+[COOH])が10?30であることを特徴とする電池用包装材用ポリウレタン接着剤。」(【請求項1】)

(キ)「本発明は、リチウムイオン電池などの二次電池用の電池用容器や電池パックを形成するための電池用包装材用のポリウレタン接着剤に関する。また、本発明は外層側樹脂フィルム層(11)と金属箔層(13)とをポリウレタン接着剤を用いて積層した電池用包装材に関する。さらに本発明は、外層側樹脂フィルム層(11)が外層に位置するように前記電池用包装材を成型してなる電池用容器、および前記電池用容器を用いてなる電池に関する。」(【0001】)

(ク)「ガラス転移温度が40℃以上のポリエステルポリオール(A1)、およびガラス転移温度が40℃未満のポリエステルポリオール(A2)としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸およびそのエステル化合物など(以上、まとめて多塩基酸成分という)の単独、もしくは混合物と、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,9-ナノンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオールなど(以上、まとめて多価アルコール成分という)の単独、もしくは混合物を反応させて得られる。
また、前記、多塩基酸成分と多価アルコール成分を反応させて得られたポリエステルポリオールを、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートなどのポリイソシアネートと反応させて得られる、ポリエステルウレタンポリオールであっても良い。」(【0018】、【0019】)

(3)甲3の記載事項
(サ)「(a)一分子中に水酸基を2個以上含有するゴムと(b)イソシアネートとを反応させて得られる(C)変性ゴムと、(D)軟化点が85℃以上である粘着付与剤と、(E)架橋剤とを含む、太陽電池バックシート用接着剤組成物であって、(a)成分と(b)成分の配合比率において、(a)成分の水酸基(OH)に対し、(b)成分のイソシアネート基(NCO)が、イソシアネート基/水酸基=0.1?0.9の範囲であり、前記(a)成分のゴムが、イソプレンゴム、ブタジエンゴムのいずれかであり、かつ水素添加により飽和したゴムである、太陽電池バックシート用接着剤組成物。」(【請求項1】)

(4)甲4の記載事項
(タ)「ポリウレタン樹脂(A1)、エポキシ樹脂(A2)、カップリング剤(A3)、及びアミン化合物(A4)を有する主剤組成物(A)、ポリイソシアネート(B1)、リンの酸素酸又はその誘導体(B2)を有する硬化剤組成物(B)からなることを特徴とする、ラミネート用接着剤。」(【請求項1】)

(チ)「主剤組成物(A)に用いられるポリウレタン樹脂(A1)は、活性水素基含有化合物と有機ジイソシアネートを反応させて得られる、数平均分子量が500?100,000、好ましくは1,000?30,000の樹脂である。
活性水素基含有化合物としては、高分子ポリオールと鎖延長剤に大別される。高分子ポリオールは、数平均分子量500?5,000、好ましくは1,000?4,000のポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、動植物系ポリオール又はこれらのコポリオール等が挙げられる。これらの高分子ポリオールは単独で又は2種以上混合して使用してもよい。」(【0020】、【0021】)

(5)甲5の記載事項
(ナ)「少なくとも片面に塗布層を有するポリエステルフィルムであって、
前記塗布層が、ウレタン樹脂とブロックイソシアネートを主成分とし、
前記ブロックイソシアネートの解離温度が80℃以上150℃以下である、太陽電池用易接着性ポリエステルフィルム。」(【請求項1】)

(ニ)「(ウレタン樹脂)
本発明のウレタン樹脂は、構成成分として、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分を含み、さらに必要に応じて鎖延長剤を含む。本発明のウレタン樹脂は、これら構成成分が主としてウレタン結合により共重合された高分子化合物である。
ポリオール成分としては、多価カルボン酸(例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等)の反応から得られるポリエステルポリオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類などが挙げられる。なかでも、本発明のウレタン樹脂の構成成分であるポリオール成分には、耐熱、耐加水分解性に優れる脂肪族系ポリカーボネートポリオールを含有することが好ましい。さらに、塗布層の光劣化による、黄変防止の点からも脂肪族系ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。」(【0033】、【0034】)

(6)甲6の記載事項
(ハ)「少なくとも、耐熱性樹脂フィルムからなる外層、アルミニウム箔、及び熱可塑性樹脂フィルムからなる内層を備えた電池ケース用包装材料において、上記アルミニウム箔と内層とが、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする接着剤組成物により接着されていることを特徴とする電池ケース用包装材料。」(【請求項1】)

(ヒ)「本発明は、リチウムイオンポリマー二次電池の外装ケースに使用される包装用材料及び該包装材料を用いて成形された電池ケースに関するものである。」(【0001】)

(フ)「(接着剤組成物)
本発明に使用する接着剤組成物は、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とするものである。主剤として用いるポリオレフィンポリオールとしては、低分子量ポリオレフィンと同様な炭化水素骨格を持ち、複数の水酸基を有しているものであり、ポリブタジエンジオール、水素化ポリブタジエンジオール等が挙げられる。ポリオレフィンポリオールの好ましい数平均分子量は、1,000?10,000であり、より好ましくは1,000?5,000である。好ましいポリオレフィンポリオールは、1分子当たりの水酸基数が1.5?3個である。」(【0071】)

(ヘ)「ここで、実施例1?3の包装材料では、内面用接着剤として、下記表1に示すエラストマー系ポリマー接着剤を使用した。
エラストマー系ポリマー接着剤は、ポリオレフィンポリオール(数平均分子量2000、及び水酸基価:50mgkOH/g)と、多官能イソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名コロネートHX)とを必須成分とし、溶媒としては、トルエン/MEK(メチルエチルケトン):80/20を使用した。
・・・

・・・

この表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1?3によれば、深絞り成形の成形性に優れ、ピンホールやクラック等の発生を抑制できるとともに、シャープで、かつ成形高さの深い形状の成形が可能であるとともに、ラミネート強度が長期間低下することなく、優れた耐電解液性を有しており、本発明による包装材料を用いて成形された電池ケースは、体積エネルギー密度に優れているとともに、長期にわたり安定したものである。」(【0086】?【0097】)

(7)甲7の記載事項
(マ)「ポリオールとポリイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させてポリウレタンを製造するに際し、前記ポリオールとして、式(1)で示される構造単位および/または式(2)で示される構造単位からなり、分子内に水酸基を有する数平均分子量が700?7,000のポリオレフィンポリオールをポリオール成分の10?40重量%の範囲で用いることを特徴とするポリウレタンの製造法。

(式中、R^(1)は水素原子又はメチル基を表わす。)

(式中、R^(2)は水素原子又はメチル基を表わし、R^(3)はエチル基又はイソプロピル基を表わす。)」(特許請求の範囲)

(ミ)本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、耐寒性、耐加水分解性、耐水性、耐熱性に優れるポリオレフィンポリオールを、ポリオール成分の10?40重量%の範囲で用いることにより、ポリエステルポリオールのみをポリオールとするポリウレタンの欠点である耐寒性、耐加水分解性や、またポリエーテルポリオールのみをポリオールとするポリウレタンの欠点である耐熱性を改良でき、かつ力学的性能を保持できることを見出し本発明を完成するに至った。」(2頁左上欄15?右上欄4行)。

(8)甲8の記載
(ヤ)「外側層としての耐熱性樹脂延伸フィルム層と、内側層としての熱可塑性樹脂未延伸フィルム層と、これら両フィルム層間に配設されたアルミニウム箔層とを含む電池ケース用包材において、
前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層と前記アルミニウム箔層とが、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂と、多官能イソシアネート化合物とを含有してなる接着剤層を介して接着されていることを特徴とする電池ケース用包材。」(【請求項1】)

(ユ)「この発明は、例えばリチウムイオン2次電池等の電池のケース用包材に関する。」(【0001】)

2 対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1は、上記「第2 2 本件発明1、2の優先権主張の効果の有効性について」で述べたとおり、優先権主張が認められる部分と認められない部分とを包含する。
そこで、以下、まず、優先権主張が認められない部分(基準日:平成26年9月2日)について検討し、次いで、優先権主張が認められる部分(基準日:平成25年9月3日)について検討する。

ア 優先権主張が認められない部分について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の、「基材層と、該基材層の一方の面に順次設けられた第1の接着剤層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、第2の接着剤層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材」は、本件発明1の、「リチウムイオン電池用外装体」に「リチウムイオン電池用外装体」の限りで相当し、甲1発明の「ポリイソシアネート化合物からなる硬化剤」は、本件発明1の、「イソシアネート架橋剤」に相当する。
また、甲1発明の、「ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物」は、ポリウレタンポリオール(記載事項(イ)より)であるから、「ポリウレタン系樹脂」の限りで、本件発明1の「ポリウレタン系樹脂」に相当し、甲1発明の、「ポリウレタン系接着剤」は、本件発明の「接着剤」「として用いられるポリウレタン系樹脂組成物」に、「接着剤」「として用いられるポリウレタン系樹脂組成物」の限りで相当する。
してみると、本件発明1と甲1発明とは、
「リチウムイオン電池用外装体を製造するための接着剤として用いられるポリウレタン系樹脂組成物であって、ポリウレタン系樹脂とイソシアネート架橋剤を含有するポリウレタン系樹脂組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本件発明1では、「ポリウレタン系樹脂」が、「ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)を含む、前記ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂」であるのに対して、甲1発明では、「ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物」である点。

(相違点2)
本件発明1では、「ポリウレタン系樹脂」を構成する「ポリイソシアネート」が、「4,4’-メチレンビス(フェニレンイソシアネート)、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、及びダイマージイソシアネートの少なくともいずれかであ」るのに対して、甲1発明では、この点についての特定がない点。

(相違点3)
本件発明1では、「ポリウレタン系樹脂」の重量平均分子量が「4,000?100,000」であるのに対して、甲1発明においてはこの点についての記載がない点。

(相違点4)
本件発明1では、「ポリウレタン系樹脂組成物」は、ポリウレタン系樹脂と架橋剤を含有するものであるのに対し、甲1発明においては、「ポリウレタン系接着剤」は、ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物である主剤と、ポリイソシアネート化合物からなる硬化剤とを反応させたものである点。

上記相違点について検討する。

相違点1について

甲2には、ガラス転移温度が40℃以上のポリエステルポリオール(A1)と、ガラス転移温度が40℃未満のポリエステルポリオール(A2)を含むポリオール成分(A)と、シランカップリング剤(B)とを含む、リチウムイオン電池の電池包装材用のポリウレタン接着剤が記載されており(記載事項(カ)及び(キ)、前記ガラス転移温度が40℃以上のポリエステルポリオール(A1)、およびガラス転移温度が40℃未満のポリエステルポリオール(A2)としては、多塩基酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,9-ナノンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオールなどの多価アルコール成分の単独もしくは混合物を反応させて得られるポリエステルポリオールであること、また、多塩基酸成分と多価アルコール成分を反応させて得られたポリエステルポリオールを、ポリイソシアネートと反応させて得られる、ポリエステルウレタンポリオールであることが記載されている(記載事項(ク))。
上記多価アルコール成分として、列挙されたもの(記載事項(ク))から、「ポリオレフィンポリオール」を選択し、これと多塩基酸を反応させて得られるポリエステルポリオールとポリイソシアネートを反応させて得られるポリエステルウレタンポリオールは、ポリオレフィンポリオールに由来する構造単位を含むポリウレタン系樹脂であるものの、ポリオレフィンポリオールは他の多価アルコール成分と同列に例示されているに過ぎず、甲2のいずれの箇所をみても、列挙された多数の多価アルコールからポリオレフィンポリオールを選択してポリエステルポリオールを製造し、さらにこれとポリイソシアネートを反応させてポリエステルウレタンポリオールとしたことについての何らの記載も示唆もない。

甲3には、一分子中に水酸基を2個以上含有するゴムであって、イソプレンゴム、ブタジエンゴムのいずれかのゴムが水素添加により飽和したゴムと、イソシアネートとを反応させて得られる変性ゴムと、架橋剤を含む、太陽電池バックシート用接着剤組成物が記載されている(記載事項(サ))。上記「変性ゴム」は、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位を含む、ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂であるといえる。
しかしながら甲3には、当該変性ゴムと架橋剤を含む、太陽電池バックシート用接着組成物を、リチウムイオン電池用外装体を製造するための接着剤又はバインダーとして用いることについては、何らの記載も示唆もない。

甲4には、高分子ポリオールと有機ジイソシアネートを反応させて得られるポリウレタン樹脂を含む主剤組成物、ポリイソシアネートを含む硬化剤組成物からなるラミネート用接着剤が記載されており、高分子ポリオールとしてポリオレフィンポリオールが挙げられている(記載事項(タ)及び(チ))。ポリオレフィンポリオールと有機ジイソシアネートを反応させて得られるポリウレタン樹脂は、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位を含む、ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物である。
しかしながら、甲4には、列挙された多数の高分子ポリオールからポリオレフィンポリオールを選択することについては何らの記載も示唆もない。
また、甲4には、ラミネート用接着剤を、リチウムイオン電池用外装体を製造するための接着剤またはバインダーとして用いることについて、何らの記載も示唆もない。

甲5には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分が主としてウレタン結合により共重合されたウレタン樹脂と、ブロックイソシアネートを主成分とする塗布層を有する、太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムが記載されており、ポリオール成分としてポリオレフィンポリオールが記載されている(記載事項(ナ)及び(ニ))。ポリオール成分としてのポリオレフィンポリオールとポリイソシアネート成分を共重合して得られるウレタン樹脂は、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位を含む、ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物である。
しかしながら、甲5には、列挙された多数のポリオール成分からポリオレフィンポリオールを選択することについては何らの記載も示唆もない。
また、甲5には、太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムの塗布層を、リチウムイオン電池用外装体を製造するための接着剤またはバインダーとして用いることについて、何らの記載も示唆もない。

甲6には、リチウムイオンポリマー二次電池の外装ケースに使用される包装用材料に用いられる、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする接着剤組成物が記載されており、具体的には、ポリオレフィンポリオールと、トルエン/MEKと、多官能イソシアネート硬化剤と、熱可塑性エラストマー及び/又は粘着付与剤を含む接着剤組成物が、耐電解質性、成形性に優れることが記載されている(記載事項(ハ)ないし(ホ))。上記多官能イソシアネート硬化剤は、本件発明1の「イソシアネート架橋剤」であるといえる。
しかしながら、甲6には、接着剤組成物が、上記「多官能イソシアネート硬化剤」とともに、「ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位を含むポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン樹脂」とを含むことについては何らの記載も示唆もない。

甲7には、ポリオールとポリイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させてポリウレタンを製造するに際し、前記ポリオールとして、式(1)で示される構造単位および/または式(2)で示される構造単位からなり、分子内に水酸基を有する数平均分子量が700?7,000のポリオレフィンポリオールをポリオール成分の10?40重量%の範囲で用いることが記載され、またこのようなポリウレタンは、耐加水分解性、耐水性、耐熱性に優れることが記載されている(記載事項(マ)及び(ミ))。
しかしながら、甲7には、製造されたポリウレタンに架橋剤を配合すること、及び、製造されたポリウレタンをリチウムイオン電池用外装体を製造するための接着剤又はバインダーとして用いることについては何らの記載も示唆もない。

甲8には、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂と、多官能イソシアネート化合物とを含有してなる接着剤を、リチウムイオン2次電池等の電池のケース用包材に用いることが記載されている(記載事項(ヤ)及び(ユ))。上記「多官能イソシアネート化合物」は、「イソシアネート架橋剤」であるといえる。
しかしながら、甲8には、「多官能イソシアネート化合物」を含有する接着剤が、「ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位を含むポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン樹脂」を含むことについては何らの記載も示唆もない。

してみると、甲2ないし甲8のいずれをみても、リチウムイオン電池用外装材の接着剤層に含有されるポリウレタン系接着剤において、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位を含む、ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂を使用することについて、何ら記載も示唆もないから、甲1発明に、甲2ないし甲8のいずれの記載事項を組み合わせても、甲1発明において、「ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物」に代えて、「ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位を含む、ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂」を使用することの何らの動機付けも見出せない。
ここで、上記したとおり、甲3には、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位を含むポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂と架橋剤を含む太陽電池バックシート用接着組成物が記載されているにすぎず、甲2、甲4及び甲5には、上記重合反応物であるポリウレタン系樹脂が、単に多数の選択肢のうちの一つとして記載されているにすぎず、また、甲6ないし甲8には、上記重合反応物であるポリウレタン系樹脂と架橋剤を含む接着剤組成物について何ら記載されていない。よって、上記甲2ないし甲8をもって、ポリオレフィンポリオールに由来する構造単位を含む、ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂と、架橋剤を含む接着剤組成物が周知であるとまではいえない。また、仮に当該接着剤組成物が周知であったとしても、当該周知の事項を、甲1発明の、リチウムイオン電池用外装材の第2の接着剤層に含有されるポリウレタン系接着剤に適用し、ダイマー脂肪酸もしくはその水素添加物に由来する疎水性単位を有するポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物に代えて、上記ポリオレフィンポリオールに由来する構造単位を含む、ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂体を採用することの動機付けは、何ら見出せない。
そして、本件発明1が、「ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)を含む、前記ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂」を使用したことによる効果を検討する。
本件明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「【発明の効果】
本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、オレフィン樹脂、金属箔、ナイロン、及びポリエステル等の種々の材質からなる基材に対して良好な接着性を示すとともに、耐溶剤性、耐加水分解性、耐薬品性、耐電解液性、水蒸気バリア性、及び耐熱性等に優れた接着層やバインダー層を形成することができる。また、本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、塗布及び乾燥後、ドライラミネーション法によって基材同士を接着して均一な接着層やバインダー層を形成することが可能である。このため、本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、リチウムイオン電池用の外装体を簡便に製造するための材料(接着剤及びバインダー等)として好適である。」(【0013】)
「本発明のポリウレタン系樹脂組成物に用いられるポリウレタン系樹脂は、ポリオレフィンポリオールをモノマー成分として用いて得られたものであり、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)をその主骨格中に有する。すなわち、上記のポリウレタン系樹脂は、その分子構造中に、ポリオレフィンポリオールに由来する柔軟性の高い炭化水素部分をソフトセグメントとして含むものである。このため、このポリウレタン系樹脂を含有する本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、一般に接着困難とされるポリオレフィン樹脂や金属等の種々の材質からなるフィルムやシート等の基材に対して良好な接着性及び密着性を示す。また、本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、極性の高いウレタン結合を有するポリウレタン系樹脂を主成分として含有するため、ポリエステルや金属等の種々の材質からなる基材に対して良好な接着性及び密着性を示すとともに、基材の変形や熱膨張等に追従しうる柔軟性を示す接着層やバインダー層を形成することができる。さらに、上記のポリウレタン系樹脂は、その主骨格中に分解性の結合を有しないため、このポリウレタン系樹脂を含有する本発明のポリウレタン系樹脂組成物により形成された接着層やバインダー層は、耐溶剤性、耐加水分解性、耐薬品性、耐電解液性、及び耐熱性に優れている。また、ポリウレタン系樹脂中の炭化水素部分は疎水性が高いため、このポリウレタン系樹脂を含有する本発明のポリウレタン系樹脂組成物により形成された接着層やバインダー層は、水蒸気バリア性に優れている。」(【0017】)

そして、本件明細書の発明の詳細な説明における実施例1ないし44及び比較例1、2の記載から、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)を含むポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂を含有するポリウレタン系樹脂組成物は、リチウム電池用外装体を製造するための接着剤やバインダーとして使用した際の接着性に優れ、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂を含有するポリウレタン系樹脂組成物に比して、接着強度保持率や水蒸気バリヤ性に優れていることが見てとれる。

してみると、本件発明1は、「ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)を含む、前記ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂」を用いたことにより、リチウムイオン電池用の外装体を製造するための接着剤又はバインダーとして使用する際、接着性、密着性、耐溶剤性、耐加水分解性、耐薬品性、耐電解液性、及び耐熱性に優れるという効果を有し、また、ポリエステルポリオールに由来する構成単位を含むポリウレタン系樹脂を用いた場合に比して、接着強度保持率や水蒸気バリア性に優れるという効果を奏するものと認められる。
これに対して、甲1ないし甲8のいずれをみても、ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートの重合反応物であるポリウレタン系樹脂を含有するポリウレタン系樹脂組成物は、接着性、密着性、耐溶剤性、耐加水分解性、耐薬品性、耐電解液性、及び耐熱性に優れるという効果を奏すること、及び、上記ポリウレタン系樹脂組成物は、ポリエステルポリオールに由来する構成単位を含むポリウレタン系樹脂を含有するポリウレタン系樹脂組成物に比して、接着強度保持率や水蒸気バリア性に優れるという効果を奏することについては何ら記載がなく、これらの効果が甲1ないし甲8の記載から当業者が予測をできたものであるとはいえない。

以上のとおりであるから、相違点2ないし4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2ないし甲8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 優先権主張が認められる部分について
甲2は、本件特許出願の優先日(平成25年9月3日)より後に公開されたものであるから、本件特許の優先日前に頒布された刊行物ではなく、証拠として採用できない。
そこで、甲1、甲3ないし甲8について検討するに、上記アで述べたものと同様にして、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲3ないし甲8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明2について
本件発明2は本件発明1を引用するものであり、(1)ア及びイで述べたものと同様の理由により、甲1に記載された発明及び甲2ないし甲8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、甲1に記載された発明及び甲3ないし甲8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
更に、甲1に記載された発明と、甲3に記載された事項と、甲2及び甲4ないし甲8、あるいは、甲4ないし甲8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件発明1及び2は、甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第5 まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、これらの発明に係る特許は、同法第113条第2項に該当せず、取り消されるべきものではない。
また、他に本件発明1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-08-14 
出願番号 特願2014-177663(P2014-177663)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (C08G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松浦 裕介  
特許庁審判長 近野 光知
特許庁審判官 海老原 えい子
小柳 健悟
登録日 2017-11-24 
登録番号 特許第6245704号(P6245704)
権利者 大日精化工業株式会社 浮間合成株式会社
発明の名称 ポリウレタン系樹脂組成物及びリチウムイオン電池用外装体  
代理人 菅野 重慶  
代理人 近藤 利英子  
代理人 岡田 薫  
代理人 岡田 薫  
代理人 菅野 重慶  
代理人 近藤 利英子  

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