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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A63F
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1343254
審判番号 訂正2018-390086  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-05-21 
確定日 2018-07-20 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6066515号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6066515号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6066515号(以下、「本件特許」という。)は、平成21年7月16日に出願した特願2009-168322号の一部を平成26年3月19日に新たな特許出願(特願2014-56636号)とし、さらにその一部を平成27年8月19日に新たな特許出願(特願2015-161476号)としたものであって、平成29年1月6日に特許権の設定登録がなされ、平成30年5月21日に訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)、特許請求の範囲(以下「訂正前特許請求の範囲」ともいう。)を、本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
1.訂正事項1
訂正前特許請求の範囲の請求項1に「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示すにおいて実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」と記載されているのを、「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間において実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」に訂正する。(下線は訂正箇所を示すため当審にて付与。以下同様。)

2.訂正事項2
本件特許明細書の段落【0010】に「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示すにおいて実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」と記載されているのを、「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間において実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」に訂正する。

3.訂正事項3
訂正前特許請求の範囲の請求項2を削除する。

4.訂正事項4
訂正前特許請求の範囲の請求項3を削除する。

第4 当審の判断
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的について
ア 明瞭でない記載の存在について
訂正箇所に係る、訂正前特許請求の範囲の請求項1における「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示すにおいて実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」なる記載(以下「記載1」という。下線は説明のため当審にて付与。)は、「示す」という動詞のあとに、ものや時点などを示す名詞に引き続いて用いられるべき「において」が記載されている点、及び、「・・・実行可能である」ことの主語が見当たらない点で、当該記載自体の日本語としての意味が不明瞭であるといえる。
また、動詞である前記「示す」なる記載は、これを以て文を終了するか、または修飾されるべき名詞が引き続いて記載されるべきところ、当該記載の箇所は文末ではないから、引き続いて記載されるべき修飾対象としての名詞(節)が脱落していることが明らかであり、そのために、前記記載は、前記修飾対象である「・・・大当り期待度を示す」対象となるものが何であるのかが不明瞭である点で、それ自体意味が不明瞭な記載であるといえる。
同様に、前記「において」に先行すべき「ものや時点」を示す名詞(節)も脱落していることが明らかであり、そのために、前記記載において「実行された以降」という期間の起点が不明瞭である点で、前記記載はそれ自体意味が不明瞭な記載であるといえる。
以上から、訂正前特許請求の範囲の請求項1には、前記記載1において、記載上の不備が生じているといえる。

イ 明瞭でない記載の釈明に該当するか、について
(ア)訂正前特許請求の範囲の請求項1では、上記記載1の前段に「前記第二演出制御手段は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうち、前記特別の演出態様が出現するまでの前期間において前記別の大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能であるとともに、前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間において未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能に構成されてなり、」なる記載(以下「記載2」という。)があり、ここでは、「第二演出制御手段」が
a.「前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうち、前記特別の演出態様が出現するまでの前期間において前記別の大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能」(以下「演出記載a」という。)であり、
b.「前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間において未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能」(以下「演出記載b」という。)
であると特定している。
上記記載1は冒頭に「前記第二演出制御手段により実行された・・・」と記載されていることから、前記記載2で特定された「第二演出制御手段」の制御内容に関連する記載であると推察されるところ、記載1の「示すにおいて」なる記載の直前部にわたる「未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す」なる記載は、前記記載2の演出記載bに含まれる「未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出」なる記載(以下「共通記載1」という。)の一部に一致し、前記演出記載aには一致する記載がない。
よって、前記「示すにおいて」なる不明瞭な記載のうち「示す」の後には、前記共通記載1で「・・・示す」に後続する「演出」が脱落したものであると推認され、これを補って、前記記載1の前半部分である「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す」を、「第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出」と訂正したことは、前記脱落による明瞭でない記載の釈明にあたるといえる(下線は説明のため当審にて付与。以下同様。)。

(イ)前記記載1では、「示すにおいて」なる記載の後続部分にわたり、「において実行された以降・・・実行条件が成立するまで実行可能」と、「実行可能」な期間の始点と終点について記載されていることから、ここでの「において」は、「実行」の始点すなわち開始時点を示す意図で用いられたものと推認される。
一方、前記(ア)で推認された、記載1の「示すにおいて」なる記載の「示す」に後続すべき記載を含めた「第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出」は、前記演出記載bにおいて「前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間において・・・実行可能」であると記載されている。
そうすると、前記「示すにおいて」なる記載の「において」の直前部からは、前記演出記載bの「前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間」なる記載が脱落しているものと推認される。
また、前記「前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間」は、前記記載1に先行する前記記載2の演出記載bにおいて既に記載されたものであるから、記載1ではこれを省略して「前記後期間」と記載しても明瞭性を欠くとはいえない。
さらに、「後期間」は、前記記載2において、「前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうち」なる期間に含まれる期間として、前記演出記載aの「前期間」と共に規定されたものであるから、前記「前記後期間」が「前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうち」に含まれるものであることを明確化するため、前記「前記後期間」を「前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間」と書き換えることは、文意の変更を伴わず、明瞭でない記載の釈明にあたるといえる。

ウ 補正の経緯について
訂正前特許請求の範囲の請求項1は、平成27年11月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載(以下「補正前請求項1」という。)が、特許査定前の平成28年6月16日付け手続補正により補正されたものであるが、該補正については同日付意見書において、特許権者により、「補正前の「別の(未だ保留の状態にある)大当たり判定処理に関する演出」の記載を「別の(未だ保留の状態にある)大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出」にそれぞれ変更する補正」であると説明されている。(下線は説明のため当審にて付与した。以下同様。)
そして、前記補正前請求項1には前記「補正前の「別の(未だ保留の状態にある)大当たり判定処理に関する演出」に該当する記載が4箇所存在したところ、前記手続補正により、そのうち3箇所については、前記意見書のとおり補正、すなわち「に関する」が「についての大当たり期待度を示す」に変更されたものの、上記記載1に対応する補正前請求項1の記載である
「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理に関する演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間において実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」
については、補正前の「に関する」のみならず「に関する演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間」までの記載が「についての大当たり期待度を示す」に変更されて、
「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示すにおいて実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」
と補正された。
よって、前記意見書における補正の主旨についての主張からみて、前記記載1に対応する補正前請求項1の記載については、前記補正により、本来変更を意図していなかった「演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間」なる記載までもが錯誤により削除されてしまったものと推認される。
そして、特許権者が請求する上記訂正事項1に係る訂正は、前記補正における錯誤により過剰に削除されたことで不明瞭となった記載事項を復元するものと理解して矛盾はない。

エ 小括
以上、ア?ウのとおりであるから、前記記載1の「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示すにおいて実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」を、上記訂正事項1のとおり、「前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間において実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、」と訂正することは、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(2)新規事項の有無について
上記(1)イで検討したとおり、訂正事項1によって上記記載1に加入された事項は何れも、訂正前特許請求の範囲の請求項1、すなわち、設定登録された時点の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項であるから、訂正事項1は特許がされた明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
上記(1)、(2)のとおり、訂正事項1は、明瞭でない事項の釈明を目的として、特許がされた特許請求の範囲の請求項1に記載された事項の範囲内で記載事項の欠落を補うものであるから、特許請求の範囲の拡張または変更に該当しないことが明らかである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

2.訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0010】の記載を、上記第3の1.「訂正事項1」による、請求項1の訂正に伴い、整合性を図るためにする訂正である。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項2は、訂正事項1による請求項1の訂正に伴い整合性を図るためにする訂正であり、上記1.(2)で説示したとおり、訂正事項1に係る請求項1の訂正が、特許がされた明細書、特許請求の範囲等に記載した事項の範囲内においてされたものであるから、該訂正事項1と訂正内容が共通する訂正事項2もまた、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、上記1.(3)で説示したとおり、訂正事項1による特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、該訂正事項1と訂正内容が共通する訂正事項2も、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3.訂正事項3?4について
(1)訂正の目的について
訂正前特許請求の範囲には請求項1?3があるところ、訂正事項3?4は、訂正前の請求項2?3を削除する訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項3?4は、訂正前特許請求の範囲の請求項2?3を削除する訂正であるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、訂正事項3?4は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項3?4は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

4.独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見することはできない。
したがって、訂正事項1?4は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第5 むすび
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5?7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぱちんこ遊技機(一般的に「パチンコ機」とも称する)等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、始動口への遊技球の入球があったことを契機として、大当たりについての当落にかかる判定処理が行われる遊技機が知られている。
【0003】
すなわち、この特許文献1に記載の遊技機では、始動口への遊技球の入球があるか否かを判断する。そして、始動口への入球があったときは、予め定められた一の当選確率をもって大当たりについての判定を行う。そしてこの結果、上記大当たりが当選されたときは、遊技者に大量の遊技球が払い出される大当たり遊技を行う。なお、予め定められた一の当選確率は、所定の条件下では確率変動機能によってより高い確率に設定変更される場合がある。
【0004】
また、同文献1に記載の遊技機では、大当たりについての当落にかかる判定処理が行われるときには、液晶画面における所定の図柄表示部にて複数の図柄を変動表示させる。次いで、こうして変動表示された複数の図柄が、大当たりに当選されたことを示唆する特別な図柄組み合わせにて停止表示されるか否かについての期待演出が行われる。これにより、遊技者は、特別な図柄組み合わせにて停止表示されるか否かについての上記期待演出に一喜一憂してこれを楽しむとともに、最終的に停止表示される図柄組み合わせから上記判定処理の結果を認識して遊技できるようになる。
【0005】
また、同文献1に記載の遊技機も含めて、この種の遊技機では、始動口に遊技球が入球される都度、大当たりについての当落にかかる判定処理(当落判定処理)を所定の上限数まで保留状態とし、これによってそれら判定処理の実行を一旦待機させることが多い。すなわち、所定の始動条件が成立される都度、こうして保留の状態とされる上記当落判定処理を順次消化するようにすることで、上記当落判定処理についての期待演出が途切れることなく連続して行われるようにし、これによって持続的な楽しさを付与することのできる保留遊技性の実現を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-34403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、上記従来の遊技機では、保留の状態とされている上記当落判定処理が順次消化される都度、適宜の乱数に基づいて定められる変動時間だけ上記期待演出を行うことで、大当たりが当選されるまでの遊技興趣の低下を抑制するようにしている。
【0008】
ただし、上述の保留遊技性によって期待演出が途切れることなく連続して行われるようにしても、大当たり図柄が現れる確率との兼ね合いから、大当たりに当選される期待度の高い変動パターンばかりを出現させることはできず、大当たりに当選される期待度の低い変動パターンも出現せざるを得ない。そして、こうして大当たりに当選される期待度の低い変動パターンが出現したときには大当たりの期待感を持続させ難くなり、遊技興趣が低下する懸念がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、興趣の低下を抑制可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、始動口への遊技球の入球に基づいて乱数を取得する乱数取得手段と、前記乱数取得手段により取得される乱数に基づいて、大当たり判定処理を行う大当たり判定手段と、前記大当たり判定手段による大当たり判定処理の結果が大当たりであることに基づいて、遊技者に特典が付与される大当たり遊技を行う大当たり遊技実行手段と、前記乱数取得手段により乱数が取得された場合、該取得された乱数に応じた前記大当たり判定手段による大当たり判定処理をその実行条件が成立するまで待機させて保留する遊技保留手段と、前記遊技保留手段により保留の状態とされる大当たり判定処理についての大当たり期待度をその実行条件が成立するよりも前に示すか否かを演出判定する先行演出判定手段と、前記遊技保留手段により保留の状態とされる大当たり判定処理の実行条件が成立したとき、該大当たり判定処理の結果に基づいて図柄変動態様を決定する図柄変動態様決定手段と、前記大当たり判定手段による大当たり判定処理の結果がハズレであるときに出現しうる特別の演出態様を表示可能な特別演出表示制御手段と、前記先行演出判定手段により前記大当たり判定処理についての大当たり期待度をその実行条件が成立するよりも前に示す旨の演出判定がなされていないなかで当該大当たり判定処理とは別の大当たり判定処理の実行条件が成立した結果、該別の大当たり判定処理の結果に基づいて前記図柄変動態様決定手段により特定の図柄変動態様が決定されて、該特定の図柄変動態様にて該別の大当たり判定処理が消化される場合、該別の大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を、前記特定の図柄変動態様により定められる特定演出時間にわたって出現させるように制御する第一演出制御手段と、前記先行演出判定手段により前記大当たり判定処理についての大当たり期待度をその実行条件が成立するよりも前に示す旨の演出判定がなされているなかで当該大当たり判定処理とは別の大当たり判定処理の実行条件が成立した結果、該別の大当たり判定処理の結果に基づいて前記図柄変動態様決定手段により前記特定の図柄変動態様が決定されて、該特定の図柄変動態様にて該別の大当たり判定処理が消化される場合、前記特定演出時間が経過していない早い段階で前記特別演出表示制御手段によって特別の演出態様を表示させる制御を実行可能な第二演出制御手段とを備え、前記第二演出制御手段は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうち、前記特別の演出態様が出現するまでの前期間において前記別の大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能であるとともに、前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間において未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能に構成されてなり、さらに、前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間において実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、前記第二演出制御手段による制御によって前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出が実行されるに際しては、少なくとも前記特別の演出態様が出現されるまでの間、前記先行演出判定手段によって前記大当たり期待度をその実行条件が成立するよりも前に示す旨の演出判定がなされていることが秘匿にされうるようにしたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、興趣の低下を抑制可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係るパチンコ機の外枠に対して本体枠を開放し、本体枠に対して扉枠を開放した状態を示す斜視図である。
【図2】パチンコ機の正面図である。
【図3】パチンコ機の側面図である。
【図4】パチンコ機の平面図である。
【図5】パチンコ機の背面図である。
【図6】パチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の後方から見た分解斜視図である。
【図7】パチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の前方から見た分解斜視図である。
【図8】外枠の正面斜視図である。
【図9】外枠の正面から見た分解斜視図である。
【図10】外枠の正面図である。
【図11】外枠の背面図である。
【図12】図10のB-B断面図(A)と図12(A)のC-C断面図(B)、D-D断面図(C)、E-E断面図(D)である。
【図13】本体枠の上軸支金具と外枠の上支持金具との脱着構造を説明するための斜視図である。
【図14】外枠の上支持金具の裏面に設けられるロック部材の取付状態を示す分解斜視図(A)と下方から見た斜視図(B)である。
【図15】軸支ピンとロック部材との関係を説明するための上支持金具部分の裏面図である。
【図16】ロック部材の作用を説明するための上支持金具部分の裏面図である。
【図17】扉枠の正面図である。
【図18】扉枠の背面図である。
【図19】扉枠を右前方から見た斜視図である。
【図20】扉枠を左前方から見た斜視図である。
【図21】扉枠の正面から見た分解斜視図である。
【図22】扉枠の背面から見た分解斜視図である。
【図23】(A)は扉枠ベースユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠ベースユニットの背面斜視図である。
【図24】扉枠ベースユニットを分解して前から見た分解斜視図である。
【図25】扉枠ベースユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。
【図26】扉枠ベースユニットにおけるサイドスピーカ電飾ユニットの左ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。
【図27】図26を後ろから見た分解斜視図である。
【図28】扉枠ベースユニットにおけるサイドスピーカ電飾ユニットの右ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。
【図29】図28を後ろから見た分解斜視図である。
【図30】扉枠ベースユニットにおける球送りユニットを分解して示す分解斜視図である。
【図31】(A)は扉枠ベースユニットにおけるジョイントユニットの部分を拡大して示す斜視図であり、(B)はジョイントユニットを分解して示す分解斜視図である。
【図32】(A)はトップランプ電飾ユニットの正面斜視図であり、(B)はトップランプ電飾ユニットの背面斜視図である。
【図33】トップランプ電飾ユニットを斜め前下から示す斜視図である。
【図34】(A)はトップランプ電飾ユニットを主な構成毎に分解して前から示す分解斜視図であり、(B)は(A)を後から示す分解斜視図である。
【図35】トップランプ電飾ユニットにおけるトップランプリフレクタユニットを分解してトップランプベースと共に前から示す分解斜視図である。
【図36】図35を後から示す分解斜視図である。
【図37】トップランプ電飾ユニットにおける左回転灯を分解して示す分解斜視図である。
【図38】トップランプ電飾ユニットにおける右回転灯を分解して示す分解斜視図である。
【図39】トップランプ電飾ユニットにおける中央回転灯を分解して示す分解斜視図である。
【図40】皿ユニットの正面斜視図である。
【図41】皿ユニットの背面斜視図である。
【図42】皿ユニットの平面図である。
【図43】図42におけるA-A断面図である。
【図44】皿ユニットの皿奥板を取外した状態で示す背面図である。
【図45】皿ユニットの皿奥板及び貸球ユニットを取外した状態で後から示す斜視図である。
【図46】皿ユニットを主な構成部品毎に分解して前から示す分解斜視図である。
【図47】図46を後ろから示す分解斜視図である。
【図48】皿ユニットにおける皿ユニット本体を分解して前から示す分解斜視図である。
【図49】図48を後ろから示す分解斜視図である。
【図50】皿ユニットにおける第一球抜き機構を示す背面図である。
【図51】皿ユニットにおける第二球抜き機構を後から示す斜視図である。
【図52】皿ユニットにおける操作ボタンユニットを分解して示す分解斜視図である。
【図53】皿ユニットにおける操作ボタンユニットの操作ボタンユニット基板を取外した状態の底面図である。
【図54】皿ユニットにおける操作ボタンユニットのメインボタンを下から示す底面斜視図である。
【図55】皿ユニットにおける操作ボタンユニットのメインボタンを分解して示す分解斜視図である。
【図56】扉枠に取付けられたハンドル装置の断面図である。
【図57】ハンドル装置を構成する操作ハンドル部とジョイントユニットとの関係を示す斜視図である。
【図58】ハンドル装置における操作ハンドル部の分解斜視図である。
【図59】操作ハンドル部とジョイントユニットの動作を説明するための動作図である。
【図60】ハンドル装置と本体枠に設けられる打球発射装置との関係を示す斜視図である。
【図61】ハンドル装置と打球発射装置とを連結する状態を説明するための断面図である。
【図62】(A)は皿ユニット内での遊技球の流れを示す説明図であり、(B)は皿ユニット内での第二球抜き口と遊技球の流れとの関係を示す説明図である。
【図63】皿ユニットにおける横長の球流入口と貯留皿との関係を示す説明図である。
【図64】ガラスユニットの正面斜視図である。
【図65】ガラスユニットを分解して前から示す分解斜視図である。
【図66】図65を後から示す分解斜視図である。
【図67】部品を取付ける前の本体枠主体の正面図である。
【図68】部品を取付ける前の本体枠主体の背面図である。
【図69】部品を取付ける前の本体枠主体の側面図である。
【図70】部品を取付ける前の本体枠主体の背面から見た斜視図である。
【図71】部品を取付けた本体枠の前方から見た斜視図である。
【図72】部品を取付けた本体枠を外枠に軸支した状態を前方から見た斜視図である。
【図73】部品を取付けた本体枠の背面図である。
【図74】部品を取付けた本体枠の背面から見た斜視図である。
【図75】パチンコ機の中程(主制御基板ボックス部分)の水平線で切断したパチンコ機の断面平面図である。
【図76】遊技盤の正面から見た斜視図である。
【図77】遊技盤の正面図である。
【図78】遊技盤の背面図である。
【図79】遊技盤の平面図である。
【図80】遊技盤に形成される取り外し防止機構部分の拡大斜視図である。
【図81】遊技盤の取り外し防止機構に対する本体枠側の構造を示す本体枠の部分斜視図である。
【図82】遊技盤における前構成部材、遊技パネル、及びパネルホルダを組立てた状態で縦方向に切断して示す断面図である。
【図83】遊技盤を主に構成する前構成部材、遊技パネル、及びパネルホルダ等を分解して斜め前から見た分解斜視図である。
【図84】図83を斜め後から見た分解斜視図である。
【図85】盤用基板ホルダに主制御基板ボックスを固定した状態で斜め後から示す斜視図である。
【図86】図85を盤用基板ホルダ、ドロワホルダ、及び主制御基板ボックスに分解して斜め後から示す分解斜視図である。
【図87】遊技盤における機能表示ユニットの分解斜視図の概略図である。
【図88】機能表示シールの概略図である。
【図89】遊技窓を介して遊技盤の機能表示シールを見た部分図である。
【図90】打球発射装置の全体の斜視図(A),発射モータ部分を取り外した状態の斜視図(B)である。
【図91】打球発射装置の分解斜視図である。
【図92】打球発射装置と発射レールとの関係を示す正面図(A),発射モータ部分の斜視図(B)である。
【図93】操作ハンドル部を操作していない状態における打球発射装置と発射レールとの関係を示す背面図である。
【図94】操作ハンドル部を操作している状態における打球発射装置と発射レールとの関係を示す背面図である。
【図95】打球発射装置に設けられるスライド部材の平面図(A),正面図(B),正面から見た斜視図(C),正面図(B)のA-A断面図(D)である。
【図96】賞球タンクの斜視図(A)、平面図(B)、側面図(C)である。
【図97】従来の賞球タンク(A),(B)と本実施形態に係る賞球タンク(C)との排出口部分における球の圧力状態を示す平面図である。
【図98】賞球タンク、タンクレール部材、球通路ユニット、賞球ユニット、及び満タンユニットの関係を示すパチンコ機1の背面側から見た斜視図である。
【図99】賞球タンク、タンクレール部材、球通路ユニット、賞球ユニット、及び満タンユニットの関係を示すパチンコ機1の正面側から見た斜視図である。
【図100】タンクレール部材の下流部と球通路ユニットの上流部との関係を示す断面図(A)と平面図(B)である。
【図101】本体枠と球通路ユニット及び賞球ユニットとの関係を示す分解斜視図である。
【図102】球通路ユニット及び賞球ユニットとの関係を示す背面図である。
【図103】球通路ユニットの背面から見た斜視図である。
【図104】球通路ユニットの正面図である。
【図105】球通路ユニットと賞球ユニットとの連結構造を説明するための側面図である。
【図106】賞球ユニットの背面側から見た分解斜視図である。
【図107】払出モータと払出部材としてのスプロケットとの関係を説明するための背面図である。
【図108】賞球ユニットの通路と駆動関係を説明するための背面図である。
【図109】図108のA-A断面図である。
【図110】賞球ユニットと満タンユニットとの関係を示す斜視図である。
【図111】満タンユニットの斜視図である。
【図112】満タンユニットの正面から見た分解斜視図である。
【図113】満タンユニットの背面から見た分解斜視図である。
【図114】満タンユニットとファール口との関係を示す一部破断斜視図である。
【図115】満タンユニットに設けられる底面揺動板部分で切断した横断面図である。
【図116】満タンユニットとファール口との関係を示す断面図である。
【図117】錠装置と本体枠との関係を示す背面斜視図である。
【図118】錠装置の本体枠への掛け止め構造を示す拡大側方断面図である。
【図119】パチンコ機の縦方向中央よりやや下方の位置で水平方向に切断した一部断面図である。
【図120】錠装置と本体枠の側壁との詳細な関係を示す拡大断面図である。
【図121】錠装置の側面図(A)、前面側から見た斜視図(B)である。
【図122】錠装置の背面側から見た斜視図(A)、錠装置のコ字状基体の内部に摺動自在に設けられるガラス扉用摺動杆と本体枠用摺動杆の斜視図(B),(C)である。
【図123】錠装置の分解斜視図である。
【図124】ガラス扉用摺動杆と本体枠用摺動杆の作用を説明するための正面図である。
【図125】不正防止部材の作用を説明するための正面図である。
【図126】基板ユニットを背面側から見た斜視図である。
【図127】基板ユニットの背面側から見た分解斜視図である。
【図128】基板ユニットを前面側から見た斜視図である。
【図129】基板ユニットの前面側から見た分解斜視図である。
【図130】基板ユニットの主体をなす枠用基板ホルダの前面側から見た正面図である。
【図131】枠用基板ホルダの背面図である。
【図132】基板ユニットの背面図である。
【図133】払出制御基板ボックス及び端子基板ボックスを取り外した状態の基板ユニットの背面図である。
【図134】基板ユニットに設けられる各基板の接続関係を示す平面図である。
【図135】基板ユニットと遊技盤との電気的な接続を示す概略図である。
【図136】払出制御基板と基板ユニットとの配線等を示すパチンコ機の背面図の一部である。
【図137】図138の断面図の断面箇所を説明するための遊技盤の正面図である。
【図138】図137のC-C断面図である。
【図139】第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機であってカバー体を開放した状態の背面から見た斜視図である。
【図140】第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機の側面図である。
【図141】第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機であってカバー体の開放側から見た斜視図である。
【図142】第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機であってカバー体の軸支側から見た斜視図である。
【図143】第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機の背面図である。
【図144】第二実施形態に係るカバー体を取り外した状態のパチンコ機の背面図である。
【図145】第二実施形態に係るカバー体の下辺部と重合当接する払出制御基板ボックスの斜視図である。
【図146】第二実施形態に係るカバー体の内側から見た斜視図である。
【図147】第二実施形態に係るカバー体に設けられるシリンダ錠の作用を説明するための背面図である。
【図148】図143のA-A断面図である。
【図149】図143のB-B断面図である。
【図150】図143のC-C断面図である。
【図151】遊技盤の正面図である。
【図152】遊技盤を斜め右前から見た斜視図である。
【図153】遊技パネルの後側に見える裏ユニットと共に示す遊技盤の正面図である。
【図154】遊技パネルの後側に見える裏ユニットと共に遊技盤を斜め左前から見た斜視図である。
【図155】遊技盤を斜め後から見た斜視図である。
【図156】図153におけるA-A断面図である。
【図157】図153におけるB-B断面図である。
【図158】図153におけるC-C断面図である。
【図159】遊技盤を構成する主な部材毎に分解して斜め前から見た斜視図である。
【図160】遊技盤を構成する主な部材毎に分解して斜め後から見た斜視図である。
【図161】裏ユニットを主要な構成毎に分解して前から見た分解斜視図である。
【図162】裏ユニットを主要な構成毎に分解して後から見た分解斜視図である。
【図163】下可動装飾体、左上可動装飾体及び右上可動装飾体を液晶表示装置の前面から退避させた状態を示す遊技盤の正面図である。
【図164】センター枠可動装飾体の動きを示す説明図である。
【図165】センター役物におけるセンター枠可動装飾体付近の切欠き部を示す拡大斜視図である。
【図166】主基板及び周辺基板のブロック図である。
【図167】主制御基板および周辺制御基板の機能的な構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図168】主基板の主制御基板に搭載されるCPUが実行するメインシステム処理の一例を示すフローチャートである。
【図169】電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。
【図170】タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。
【図171】特別図柄・特別電動役物制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図172】第一・第二始動口入賞処理の一例を示すフローチャートである。
【図173】第2保留記憶処理の一例を示すフローチャートである。
【図174】第1保留記憶処理の一例を示すフローチャートである。
【図175】装飾図柄の変動パターンの一例を示す変動パターンテーブルである。
【図176】装飾図柄の変動パターンおよび付加演出を示すタイムチャートである。
【図177】ステップアップ予告演出が行われるときの液晶表示装置の表示画面の正面図である。
【図178】ステップアップ予告演出が行われるときの液晶表示装置の表示画面の正面図である。
【図179】第1キャラクタの連続登場演出が行われるときの液晶表示装置の表示画面の正面図である。
【図180】下可動装飾体を用いた演出が行われるときの液晶表示装置の表示画面の周辺の正面図である。
【図181】下可動装飾体を用いた演出が行われるときの液晶表示装置の表示画面の周辺の正面図である。
【図182】背景チェンジ演出が行われるときの液晶表示装置の表示画面の周辺の正面図である。
【図183】背景チェンジ演出が行われるときの液晶表示装置の表示画面の周辺の正面図である。
【図184】(a)保留表示領域において第一特別乱数についての保留が蓄積される態様を説明するための図である。(b)保留表示領域において第二特別乱数についての保留が蓄積される態様を説明するための図である。
【図185】(a)が保留表示領域において第一特別乱数についての保留が蓄積される態様を説明するための他の図である。(b)が保留表示領域において第二特別乱数についての保留が蓄積される態様を説明するための他の図である。
【図186】保留表示領域において第一特別乱数及び第二特別乱数についての保留が消化される態様を説明するための図である。
【図187】リーチが形成されたのちに事後期待演出が表示される態様の一例を説明する図である。
【図188】図187から続く図柄変動演出および/または事後期待演出の一態様を示す図である。
【図189】リーチが形成されなかったときに事後期待演出が行われる一例を説明する図である。
【図190】装飾図柄の変動演出が中途で終了し、残りの時間を、事後期待演出に割り当てた態様の一例を説明する図である。
【図191】リーチが形成されたものの大当りの期待感が低いときに事後期待演出が行われる態様の一例を説明する図である。
【図192】図191から続く図柄変動演出および事後期待演出の一態様を示す図である。
【図193】通常遊技状態における保留関連演出の一態様を示す図である。
【図194】通常遊技状態における保留関連演出の別の態様を示す図である。
【図195】通常遊技状態における昇格態様の保留関連演出の一態様を示す図である。
【図196】特別遊技状態における保留関連演出の一態様を示す図である。
【図197】時短遊技状態における保留関連演出の一態様を示す図である。
【図198】(a)時短機能が作動しない通常遊技状態における保留の態様を示す図である。(b)時短機能が作動する特別遊技状態における保留の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[1.パチンコ機の全体構造]
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図7を参照して実施形態に係るパチンコ機の全体について説明する。図1は実施形態に係るパチンコ機の外枠に対して本体枠を開放し、本体枠に対して扉枠を開放した状態を示す斜視図であり、図2はパチンコ機の正面図であり、図3はパチンコ機の側面図であり、図4はパチンコ機の平面図であり、図5はパチンコ機の背面図であり、図6はパチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の後方から見た分解斜視図であり、図7はパチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の前方から見た分解斜視図である。
【0024】
図1乃至図7において、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技ホールの島(図示しない)に設置される外枠2と、外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、本体枠3に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域605を遊技者が視認し得る遊技窓101とその遊技窓101の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿としての皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
【0025】
外枠2には、その下方前方に装飾カバー板15を補強するカバー補強金具14が固着されている。また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、その裏面下部に打球発射装置650と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板1136等が一纏めに設けられている基板ユニット1100が取付けられ、本体枠3の後面開口580(図6を参照)を覆うカバー体1250が着脱自在に設けられている。更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300の他に、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット450と、ハンドル装置400とが設けられている。そして、本実施形態の特徴は、扉枠5に設けられる皿ユニット300が1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていたハンドル装置400が扉枠5に設けられ、また、扉枠5と本体枠3とが正面から見て略同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認できなくした点である。以下、パチンコ機1を構成する部材について詳細に説明する。
【0026】
[1-1.外枠]
外枠2について、主として図8乃至図12を参照して説明する。図8は、外枠2の正面斜視図であり、図9は、同外枠2の正面から見た分解斜視図であり、図10は、同外枠2の正面図であり、図11は、同外枠2の背面図であり、図12は、図10のB-B断面図(A)と図12(A)のC-C断面図(B)、D-D断面図(C)、E-E断面図(D)である。また、図13は本体枠の上軸支金具と外枠の上支持金具との脱着構造を説明するための斜視図であり、図14は外枠の上支持金具の裏面に設けられるロック部材の取付状態を示す分解斜視図(A)と下方から見た斜視図(B)である。更に、図15は軸支ピンとロック部材との関係を説明するための上支持金具部分の裏面図であり、図16はロック部材の作用を説明するための上支持金具部分の裏面図である。
【0027】
図8及び図9において、本実施形態に係る外枠2は、横方向へ延びる上下の上枠板10及び下枠板11と、縦(上下)方向へ延びる左右の側枠板12,13とを、夫々の端部を連結するための連結部材19で連結することによって方形状に組み付けられるものである。具体的には、連結部材19は、中央と左右とに段差のある表彰台状に形成され、突出した中央の部分が上枠板10及び下枠板11の両端部中央に形成された係合切欠部20に嵌合され、一段下がった左右の部分の平面に上枠板10の裏面と下枠板11の上面とが当接し且つ一段下がった左右の部分の一側面に側枠板12,13の内側面が当接するようになっている。
【0028】
そして、その状態で、上枠板10の係合切欠部20の両側方及び下枠板11の係合切欠部20の両側方に夫々形成される挿通穴21と連結部材19の一段下がった左右の部分の平面に形成される複数(図示の場合2個)の連結穴22(図9の上枠板10と側枠板12とを連結する連結部材19に表示するが、他の連結部材19にも存在する)とを一致させて上方又は下方から複数(図示の場合2本)の連結ビス23で止着し、更に、側枠板12,13の上下端部分に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴24と連結部材19の一段下がった左右の部分の側面に形成される複数(図示の場合3個)の連結穴25とを一致させて側方外側から複数(図示の場合3本)の連結ビス26,27で止着することにより、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とが強固に連結固定される。ただし、3本の連結ビス26,27のうち、1本の連結ビス27は、側枠板12,13と連結部材19とを連結するものではなく、上枠板10及び下枠板11と連結部材19とを側方から直接連結するものである。
【0029】
外枠2を構成する上枠板10と下枠板11、及び側枠板12,13のうち、上枠板10と下枠板11とは従来と同じ木製であり、側枠板12,13は、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板10及び下枠板11を従来と同じ木製で構成した理由は、パチンコ機1を遊技場に列設される島に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くするためである。一方、側枠板12,13をアルミニュウム合金の押出し成型板により構成した理由は、従来の木製に比べ強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することができるため、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の側面壁540?543(図69を参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができる。このため左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができることになり、結果的に遊技盤4の遊技領域605を大きく形成することができるからである。
【0030】
なお、側枠板12,13をアルミニュウム合金の平板で構成すると、充分な剛性が確保できないため、図12(C)に示すように、側枠板12(側枠板13も全く同じ構造である。)の後方部分内側にリブによって後方が開放した空間部28(側枠板13の空間部28は図11に表示)を形成して後方部分の肉厚h1が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h1は、従来の木製の肉厚と同等若しくは若干薄い寸法となっている。
【0031】
また、図12(B),(D)に示すように、側枠板12の空間部28の前方には、連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる溝部29(側枠板13の溝部29は図8に表示)が形成されている。側枠板12の溝部29から前端部までは、図12(B)?(D)に示すように、その内側面が連結部材19の一段下がった左右の部分の他方の部分が当接する平板状をなすものであるが、その平板部に材料軽減のための浅い凹部が形成されている。更に、溝部29が形成される反対側の面(外側面)には、図8及び図12(B)に示すように、上支持金具45の垂下片部53が挿入される凹部30(側枠板13の凹部30は図9に表示)が形成されている。
【0032】
そして、上記のように形成される軸支側の側枠板12には、連結部材19を取付けるための構成以外に、その上部に上支持金具45の垂下片部53を側枠板12の外側に止着ビス32で止着するための取付穴31が穿設されると共に、その下部に下支持金具66の垂直当接片72に形成される取付穴69と一致させて止着ビス34で止着するための取付穴33が穿設されている。また、取付穴33の下部であって側枠板12の前方部分に側枠板12とカバー補強金具14とを止着ビス36で止着するための取付穴35が形成されている。
【0033】
一方、開放側の側枠部13には、連結部材19を取付けるための構成以外に、その上部に閉鎖用突起38を取付ネジ39で取付けるための取付穴37が穿設され、その下部に閉鎖用突起41を取付ネジ42で取付けるための取付穴40が穿設されると共に、さらに最下方に側枠板13とカバー補強金具14とを止着ビス44で止着するための取付穴43が形成されている。
【0034】
なお、この閉鎖用突起38,41は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取付けられる錠装置1000のフック部1054,1065(図121を参照)と係合するものであり、後に詳述するように錠装置1000のシリンダ錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖用突起38,41との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができるものである。
【0035】
また、下枠板11と左右の側枠板12,13の下部前面に固定されるカバー補強金具14は、閉止時においてその上面に本体枠3が載置されるものであり、カバー補強金具14の表面及び側面は、装飾カバー板15によって被覆されている。なお、外枠2の装飾カバー板15の開放側の上面には、本体枠3の閉止時に本体枠3をスムーズに案内するための案内板18が交換可能に装着されている。
【0036】
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板10と側枠板12とを連結する機能も兼用する上支持金具45とカバー補強金具14の一側上面に沿って取付けられる下支持金具66とが設けられている。上支持金具45には、前方に突出している支持突出片46に支持突出片46の側方から先端中央部に向かって屈曲して形成された支持鉤穴47が形成されており、この支持鉤穴47に本体枠3の後述する上軸支金具503の軸支ピン504(図71を参照)が着脱自在に係合されるようになっている。
【0037】
また、下支持金具66も前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分に上向きに支持突起68が突設され、この支持突起68に本体枠3の後述する枠支持板506(図72を参照)に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具66の支持突起68に本体枠3の枠支持板506に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504を支持鉤穴47に掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる。
【0038】
また、上支持金具45は、上枠板10の軸支側の上面及び前面に凹状に形成される取付段部49に装着されるものであるが、その装着に際し、上支持金具45に形成される複数(図示の場合2個)の取付穴48と取付段部49に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴50とを一致させて取付ビス51を上方から差し込み、上枠板10の裏面から押し当てられる挟持板52に止着することにより上支持金具45が上枠板10に堅固に固定される。
【0039】
また、上支持金具45の外側側方には、側枠板12の外側に当接する垂下片部53があり、その垂下片部53にも取付穴が穿設され、この取付穴と取付穴31とを止着ビス32で止着することにより、上支持金具45と側枠板12とを固定すると共に、上枠板10と側枠板12とを上支持金具45を介して連結している。
【0040】
一方、下支持金具66は、前述したように側枠板12の取付穴33と垂直当接片72の取付穴69とを一致させた状態で止着ビス34で止着し、さらに、下支持金具66の水平面の中程に穿設される取付穴70に取付ネジ71を差し込むことにより、装飾カバー板15を介してカバー補強金具14の上面に止着されるものである。
【0041】
上記のように構成される外枠2において、その構成部材である上枠板10と下枠板11と側枠板12,13とを連結部材19で連結することにより、連結部材19が側枠板12,13の内面に密着して止着されると共に連結部材19と上枠板10及び下枠板11が係合した状態で止着されるので、その組み付け強度が高く頑丈な方形状の枠組みとすることができる。上記した連結部材19と上枠板10及び下枠板11との係合状態に加え、連結部材19の側枠板12,13への取付けに際し、溝部29に連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる構造であるため、連結部材19の側枠板12,13への取付けが強固となり、これによっても方形状の枠組みの強度を向上することができると共にその位置決めを正確に行うことができる。
【0042】
また、連結部材19によって上枠板10、下枠板11、側枠板12,13を連結した後、上支持金具45を所定の位置に取付けたときに、図10及び図11に示すように、各枠板10,11,12,13の外側面(外周面)から外側に突出する部材は存在しないので、パチンコ機1を図示しないパチンコ島台に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する玉貸器)と密着して取付けることができる。また、下支持金具66を取付けたときにも、カバー補強金具14の上面と下支持金具66の上面とが略同一平面となるようになっている。
【0043】
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支するための上支持金具45の裏面には、図14に示すようにロック部材80が回動自在に軸支されている。より詳細に説明すると、図14(A)に示すように、上支持金具45の支持突出片46は、先端部が円弧状の平板として形成されると共に支持突出片46の外側縁に沿って直角に折り曲げられた垂下壁46aが形成される。この垂下壁46aにより、上支持金具45の支持突出片46の強度を向上させることができると共に、正面から見たときに次に説明するロック部材80が視認できないようにして外観を良くし、更に、次に説明するロック部材80の弾性片80cの先端当接部が当接する部位として利用したりロック部材80が支持突出片46から外側に飛び出さないように停止部として利用している。また、支持突出片46に形成される支持鉤穴47は、垂下壁46aが形成されない反対側の側方から内側にやや向ってさらに先端中央部に向かって傾斜状となるように屈曲して形成されている。そして、支持鉤穴47の傾斜状穴部の溝寸法は、軸支ピン504の直径よりもやや大きな寸法に形成されている。
【0044】
また、上記した垂下壁46aは、支持鉤穴47の前方の入口端部から支持突出片46及び上支持金具45の外側縁に沿って直角に折り曲げられて形成されていると共に、支持鉤穴47の前方の入口端部の部分で内側に向って折り曲げられて停止垂下部47aとなっている。また、支持突出片46の略中央に取付穴46bが穿設され、取付穴46bにロック部材80がリベット81によって回転自在に軸支されている。ロック部材80は、合成樹脂によって成型されるものであり、ストッパー部80aと操作部80bとがL字状に形成され、また操作部80bと反対側に円弧状の弾性片80cが一体的に延設されている。そして、ストッパー部80aと操作部80bとがなすL字状の基部にリベット81が挿通される取付穴80dが形成されている。しかして、ロック部材80がリベット81によって取付穴46bに取付けられて支持突出片46の裏面に回転自在に固定した状態においては、図14(B)に示すように、弾性片80cの先端当接部が垂下壁46aの内側面と当接しており、ストッパー部80aが支持鉤穴47の傾斜状穴部を閉塞するようになっている。また、このときストッパー部80aの先端部分は、支持鉤穴47の傾斜状穴部の先頭空間部分を閉塞した状態となっていない。即ち、通常の状態で支持鉤穴47の先頭空間部分には、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504が挿入される空間が形成されている。
【0045】
ところで、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の先端空間部分に挿入されてストッパー部80aの先端側方が入口端部の停止垂下部47aに対向している状態(この状態ではストッパー部80aの先端側方と停止垂下部47aとの間に僅かな隙間があり当接した状態となっていない)である通常の軸支状態においては、屈曲して形成される支持鉤穴47の傾斜状穴部の先端空間部分に位置する軸支ピン504とストッパー部80aの先端面80eとの夫々の中心が斜め方向にずれて対向した状態となっている。そして、この通常の軸支状態においては、重量のある本体枠3を軸支している軸支ピン504が支持鉤穴47の先端部分に当接した状態となっているので、軸支ピン504からストッパー部80aの先端面80eへの負荷がほとんどかかっていないため、ロック部材80の弾性片80cに対し負荷がかかっていない状態となっている。また、図15(A)に示すように、ストッパー部80aの先端面80eが操作部80bを操作して回動したときにロック部材80がスムーズに回動するように円弧状に形成されている。図示の場合、この円弧状先端面80eの円弧中心は、リベット81の中心(ロック部材80の回転中心)である。
【0046】
このため、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面80eに当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン504と円弧状の先端面80eとの当接部分に作用する分力F1(円弧状先端面80eの円弧の法線方向)と、軸支ピン504と支持鉤穴47の傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けたときに、分力F1の方向がリベット81の中心(ロック部材80の回転中心)を向くため、ロック部材80のストッパー部80aの先端部が支持突出片46から外れる方向(図示の時計方向)に回転させるモーメントが働かず、軸支ピン504がロック部材80のストッパー部80aの先端部と支持鉤穴47の傾斜状穴部の一側内面との間に挟持された状態を保持する。このため、通常の軸支状態でもあるいは軸支ピン504の作用力がロック部材80にかかった状態でも、ロック部材80の弾性片80cに常時負荷がかからず、合成樹脂で一体形成される弾性片80cのクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン504の支持鉤穴47からの脱落を防止することができる。なお、仮に無理な力がかかってロック部材80のストッパー部80aの先端部が支持突出片46から外れる方向(図示の時計方向)に回転させられても、ストッパー部80aの先端部の一側方が停止垂下部47aに当接してそれ以上外れる方向に回転しないので、ロック部材80が支持突出片46の外側にはみ出ることはない。
【0047】
また、図15(A)に示す実施形態においては、ストッパー部80aの円弧状先端面80eの円弧中心がリベット81の中心(ロック部材80の回転中心)であることにより、軸支ピン504に対し支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向の作用力Fがかかってもロック部材80に回転モーメントが生じないものについて説明したが、図15(B)に示すように、ストッパー部80aの円弧状先端面80fの曲率半径をさらに小さくし、且つロック部材80のリベット81による軸支位置を支持突出片46の内側にした場合に、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面80fに当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン504と円弧状の先端面80fとの当接部分に作用する分力F1(円弧状先端面80fの円弧の法線方向)と、軸支ピン504と支持鉤穴47の傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けた場合において、分力F1によって回転モーメントが働いてロック部材80を図示の矢印方向(時計回転方向)に回転させるが、ロック部材80が回転してもストッパー部80aの先端一側方が停止垂下部47aに当接するだけであるため、ロック部材80が支持突出片46の外側にはみ出ることもないし、ロック部材80の弾性片80cに対しても負荷がかかることもない。
【0048】
つまり、図15(A)及び図15(B)に示す実施形態から理解することができる点は、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって先端面80e,80fに当接したとき、その作用力Fの軸支ピン504と先端面80e,80fとの当接部分に作用する分力F1によってロック部材80を回転させる回転モーメントが生じない位置若しくはロック部材80をその先端部が支持突出片46の外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材80の回転中心(リベット81により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材80の弾性片80cに対しても負荷がかかることはないし、ロック部材80が回転してもストッパー部80aの先端一側方が停止垂下部47aに当接するだけであるため、ロック部材80が支持突出片46の外側にはみ出ることもない。なお、ストッパー部80aの先端面の形状が円弧状でなくても、上記した分力F1の作用により回転モーメントが生じない位置又はロック部材80をその先端部が支持突出片46の外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材80の回転中心(リベット81により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材80の弾性片80cに対しても負荷がかかることはないし、ロック部材80が回転してもストッパー部80aの先端一側方が停止垂下部47aに当接するだけであるため、ロック部材80が支持突出片46の外側にはみ出ることもないという点を本出願人は確認している。
【0049】
上記のように構成されるロック部材80の作用について図16を参照して説明する。外枠2に本体枠3を開閉自在に軸支する前提として、本体枠3の枠支持板506(図71を参照)に形成される支持穴(図示しない)に下支持金具66の支持突起68が挿通されていることが必要である。そのような前提において、図16(A)に示すように、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504をロック部材80のストッパー部80aの側面に当接させて押し込むことにより、図16(B)に示すように、ロック部材80が弾性片80cを変形させながら反時計方向に回動させるので、軸支ピン504を支持鉤穴47に挿入することができる。そして、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の先頭空間部分に到達すると、図16(C)に示すように、軸支ピン504とストッパー部80aの先端側面とが当接しなくなるためロック部材80が弾性片80cの弾性力に付勢されて時計方向に回動し、ロック部材80のストッパー部80aが再度通常の状態に戻って支持鉤穴47の入口部分を閉塞すると同時に、ストッパー部80aの先端部分が軸支ピン504と対向して軸支ピン504が支持鉤穴47から抜け落ちないようになっている。そして、この状態は、図16(D)に示すように、本体枠3が完全に閉じられた状態でもあるいは本体枠3の通常の開閉動作中も保持される。次いで、軸支ピン504を支持鉤穴47から取り外すためには、図16(E)に示すように、指を支持突出片46の裏面に差し入れてロック部材80の操作部80bを反時計方向に回動することにより、ロック部材80が弾性片80cの弾性力に抗して回動し、ストッパー部80aの先端部分が支持鉤穴47から退避した状態となるため、軸支ピン504を支持鉤穴47から取り出すことができる。その後、本体枠3を持ち上げて、枠支持板506に形成される支持穴と下支持金具66の支持突起68との係合を解除することにより、本体枠3を外枠2から取り外すことができる。
【0050】
上記したように、第二実施形態に係る外枠2の上支持金具45に設けられるロック部材80は、ストッパー部80aと操作部80bと弾性片80cとが合成樹脂によって一体的に形成されているので、上支持金具45の裏面に極めて簡単に取付けることができると共に、極めて簡単な構造であるため故障も少なく且つ製造コストの低減を計ることができる。また、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって先端面80e,80fに当接したとき、その作用力Fの軸支ピン504と先端面80e,80fとの当接部分に作用する分力F1によってロック部材80を回転させる回転モーメントが生じない位置若しくはロック部材80をその先端部が支持突出片46の外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材80の回転中心(リベット81により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材80の弾性片80cに対しても負荷がかかることはなく、合成樹脂で一体形成される弾性片80cのクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン504の支持鉤穴47からの脱落を防止することができると共に、ロック部材80が回転してもストッパー部80aの先端一側方が停止垂下部47aに当接するだけであるため、ロック部材80が支持突出片46の外側にはみ出ることもない。
【0051】
[1-2.扉枠の全体構成]
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図17乃至図22を参照して説明する。図17は、扉枠の正面図であり、図18は、扉枠の背面図である。また、図19は、扉枠を右前方から見た斜視図であり、図20は、扉枠を左前方から見た斜視図である。図21は、扉枠の正面から見た分解斜視図であり、図22は、扉枠の背面から見た分解斜視図である。
【0052】
図17、図18、図21及び図22に示すように、扉枠5は、外形が縦長の矩形状に形成され内周形状が縦長の多角形状とされた遊技窓101を有する扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の上部に取付けられる横長のトップランプ電飾ユニット200と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の下部に取付けられる皿ユニット300と、扉枠ベースユニット100の後側に遊技窓101を閉鎖するように取付けられるガラスユニット450と、ガラスユニット450の後側下部を被覆するように扉枠ベースユニット100の後側に取付けられる防犯カバー470とを備えている。この扉枠5における扉枠ベースユニット100には、詳細な説明は後述するが、遊技窓101の左右両側にサイドスピーカ電飾ユニット120を備えており、このサイドスピーカ電飾ユニット120、トップランプ電飾ユニット200、及び皿ユニット300によって、遊技窓101の外周が囲まれた形態となっている。また、扉枠5には、皿ユニット300の正面視左側(開放側)に遊技球の打込操作をするためのハンドル装置400が備えられている。
【0053】
[1-2A.扉枠ベースユニット]
続いて、扉枠5における扉枠ベースユニット100について、主に図23乃至図31を参照して説明する。図23(A)は扉枠ベースユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠ベースユニットの背面斜視図である。図24は、扉枠ベースユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図25は、扉枠ベースユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。また、図26は、扉枠ベースユニットにおけるサイドスピーカ電飾ユニットの左ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図27は、図26を後ろから見た分解斜視図である。図28は、扉枠ベースユニットにおけるサイドスピーカ電飾ユニットの右ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図29は、図28を後ろから見た分解斜視図である。更に、図30は、扉枠ベースユニットにおける球送りユニットを分解して示す分解斜視図である。また、図31(A)は扉枠ベースユニットにおけるジョイントユニットの部分を拡大して示す斜視図であり、(B)はジョイントユニットを分解して示す分解斜視図である。
【0054】
図示するように、扉枠ベースユニット100は、外形が縦長の矩形状に形成されると共に、前後方向に貫通し内周が縦長で多角形状に形成された遊技窓101を有した扉枠ベース本体110と、扉枠ベース本体110の前側で遊技窓101の左右両側に固定されるサイドスピーカ電飾ユニット120と、扉枠ベース本体110の後側に固定される金属製で枠状の補強板金140と、補強板金140の後側に固定される横長の装着台160と、装着台160に固定され皿ユニット300から供給される遊技球を一つずつ打球発射装置650へ送る球送りユニット170と、扉枠ベース本体110の後側で補強板金140及び装着台160を介して固定される球送りユニット170の略下側に配置され、ハンドル装置400における操作ハンドル部410の回転操作を打球発射装置650へ伝達させるジョイントユニット180とを主に備えている。
【0055】
また、扉枠ベースユニット100は、扉枠ベース本体110の前側で遊技窓101の左下側に固定される左下装飾基板190と、扉枠ベース本体110における皿ユニット300の球抜き経路393と対応する位置に形成された球抜き経路開口112を閉鎖する球抜き経路カバー191と、扉枠ベース本体110の後側で遊技窓101よりも下側に固定される扉装飾駆動基板192と、扉装飾駆動基板192を後方から覆う扉装飾駆動基板カバー193と、扉枠ベース本体110の後側でジョイントユニット180の直上に固定されるハンドル中継端子板194と、遊技窓101の下側で扉枠ベース本体110の後側に形成され左下装飾基板190やハンドル中継端子板194からの配線等を収容可能な配線収容溝110bを後側から閉鎖する配線カバー195と、遊技窓101の左右上部に夫々配置され扉枠ベース本体110の後側に回動可能に軸支される止めレバー196とを備えている。
【0056】
本例の扉枠ベースユニット100は、合成樹脂からなる矩形状の扉枠ベース本体110の後側に、金属板金をリベット等で組立てた補強板金140が固定されることで、全体の剛性が高められていると共に、トップランプ電飾ユニット200や皿ユニット300等を充分に支持することができる強度を有している。
【0057】
また、扉枠ベースユニット100における左下装飾基板190は、その前面に複数のLED190aが実装されており、後述する皿ユニット300の左端部を発光装飾させることができるようになっている。一方、扉装飾駆動基板192は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(各基板等に実装されたLEDやランプ、スピーカ121,391、ハンドル装置400の操作ハンドル部410内に設けられるスイッチ、貸球ユニット301、操作ボタンユニット370等)からの配線が集約して接続され、その扉装飾駆動基板192からの配線が本体枠3の裏面に取付けられる基板ユニット1100に組み込まれる扉中継基板1102等を介しての賞球払出制御基板1186や遊技盤4に取付けられる主制御基板ボックス624の主制御基板4100(図166を参照)に接続されている。
【0058】
[1-2A-1.扉枠ベース本体]
まず、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110は、図24及び図25等に示すように、合成樹脂によって縦長の額縁状に形成されており、前後方向に貫通し内形が縦長で多角形状の遊技窓101が全体的に上方へオフセットするような形態で形成されている。この扉枠ベース本体110は、遊技窓101によって形成される上辺、及び左右の側辺の幅が、後述する補強板金140の上側補強板金141、軸支側補強板金142、及び開放側補強板金143の幅と略同じ幅とされており、正面視における扉枠ベース本体の大きさに対して、遊技窓101が可及的に大きく形成されている。従って、扉枠5の後側に配置される遊技盤4のより広い範囲を遊技者側から視認できるようになっており、従来のパチンコ機よりも広い遊技領域を容易に形成することができるようになっている。
【0059】
また、扉枠ベース本体110における遊技窓101よりも下方には、軸支側(正面視で左側)の上部に皿ユニット300の賞球連絡樋343が貫通する賞球通過口111と、賞球通過口111の下方で皿ユニット300における球抜き経路393と対応する位置に形成された球抜き経路開口112と、開放側(正面視で右側)の上部に球送りユニット170を装着するための球送り開口113と、球送り開口113のさらに開放側寄りに後述するシリンダ錠1010が挿通する錠穴114と、球送り開口113の下側でハンドル装置400のカム416が挿通可能なカム挿入開口115とが、扉枠ベース本体110を貫通するように夫々形成されている。
【0060】
更に、扉枠ベース本体110には、遊技窓101の下端の左右両側に詳細は後述するが防犯カバー470の装着弾性片473を装着するための装着開口部116と、装着開口部116の夫々左右外側に配置され後述するサイドスピーカ電飾ユニット120における左右下側のサイドスピーカ121の後端を逃がすためのスピーカ用開口117とが、貫通するように夫々形成されている。
【0061】
また、扉枠ベース本体110の後側には、遊技窓101の内周に略沿って前側へ凹みガラスユニット450の前面外周縁が当接可能なガラスユニット支持段部110aと、遊技窓101の下側で下側補強板金144の前面と略対応する位置に前側へ凹んで形成され配線を収容可能な配線収容溝110bと、カム挿入開口115が開口し前側へ向かって凹みジョイントユニット180を取付けるためのジョイントユニット装着凹部110cとを備えている。
【0062】
更に、扉枠ベース本体110の後側には、その下辺から後方へ所定量突出する扉枠突片110d,110eが形成されており、これら扉枠突片110d,110eが、後述する本体枠3の係合溝584,585内に挿入されることで、扉枠5が本体枠3に対して位置決め係止されるようになっている。なお、扉枠突片110dの後方への突出量は、扉枠突片110eの突出量よりも大きくなるように形成されている。
【0063】
また、扉枠ベース本体110には、図示するように、その前面上部に、トップランプ電飾ユニット200を固定するための前方へ突出した複数の取付ボス110hが備えられていると共に、その後面に、止めレバー196を回転可能に軸支するための止めレバー取付部110iが備えられている。また、その他に、扉枠ベース本体110には、サイドスピーカ電飾ユニット120、補強板金140、装着台160、皿ユニット300等を固定するための取付ボスや、取付穴が適宜位置に多数形成されている。
【0064】
[1-2A-2.サイドスピーカ電飾ユニット]
続いて、扉枠ベースユニット100におけるサイドスピーカ電飾ユニット120は、扉枠5の前面で遊技窓101の左右両側を電飾(発光装飾)すると共に、遊技窓101の四隅に配置された四つのサイドスピーカ121によって所定の音楽や効果音等を遊技者に対して発することができるものであり、遊技窓の101の軸支側(正面視で左側)に配置される左サイドスピーカ電飾ユニット120Lと、遊技窓101の開放側(正面視で右側)に配置される右サイドスピーカ電飾ユニット120Rとを備えている。このサイドスピーカ電飾ユニット120は、左右のユニット夫々に、縦長の電飾部122と、電飾部122の上下に夫々配置されサイドスピーカ121を有する音響部130とを備え、略左右が対称の構成となっている。
【0065】
詳述すると、サイドスピーカ電飾ユニット120の電飾部122は、図26乃至図29に分解して示すように、縦長の半円柱状で透明なサイド電飾レンズ123と、サイド電飾レンズ123の後側に配置されサイド電飾レンズ123と共に円柱を構成する透明なサイド電飾リフレクタ124と、サイド電飾リフレクタ124の後側に配置されるサイド電飾ベース125と、サイド電飾ベース125の後側に固定されるサイド装飾基板126と、サイド電飾レンズ123及びサイド電飾リフレクタ124の上端及び下端を夫々前側から包み込むように形成されサイド電飾ベース125に取付けられることでサイド電飾レンズ123及びサイド電飾リフレクタ124を支持するサイド電飾フラッシュカバー127と、サイド電飾フラッシュカバー127のフラッシュ開口127aを後側から閉鎖する透光性を有したフラッシュレンズ128と、フラッシュレンズ128の後側に配置されサイド電飾ベース125の前面に支持されるフラッシュ基板129とを備えている。
【0066】
このサイドスピーカ電飾ユニット120の電飾部122は、サイド電飾基板126の前面に、上下方向に所定間隔で様々な色に発光可能な複数のカラーLED126aと、複数のLED126aの上下に高輝度の白色LED126bとが夫々実装されている。また、サイド電飾リフレクタ124及びサイド電飾ベース125におけるサイド電飾基板126のLED126a,126bと対応する位置には、夫々前後方向に貫通する開口部124a,125aが形成されており、サイド装飾基板126に実装されたLED126a,126bからの光が、サイド電飾ベース125の開口部125a、及びサイド電飾リフレクタ124の開口部124aを通して前方へ照射することができるようになっている。
【0067】
また、電飾部122では、サイド電飾レンズ123とサイド電飾リフレクタ124の透明な円柱内の内側に、サイド電飾レンズ123の内周全体とサイド電飾リフレクタ124の内周の一部にかかるように断面略U字状のサイドレンズシート123aが配置されている。このサイドレンズシート123aは、透過光や反射光を、パール状或いは彩光状に見せる公知の光学シートにより形成されおり、遊技者側から見ると、このサイドレンズシート123aによって、サイド電飾レンズ123及びサイド電飾リフレクタ124により形成された透明な円柱(パイプ)内に、あたかも蛍光管(蛍光管)が配置されたような外観を呈することができるようになっている。
【0068】
更に、電飾部122では、サイド電飾リフレクタ124に、サイド装飾基板126の複数のLED126aと対応して形成された複数の開口部124aを、上下方向に三つのグループに分割する分割壁124bを備えており、この分割壁124bによって所定のLED126aからの光が他のグループへ進入するのを抑制するようにしている。つまり、分割壁124bによって、サイド電飾レンズ123及びサイド電飾リフレクタ124によって形成される蛍光管を上中下の三つに明確に分割することができるようになっている。従って、サイド装飾基板126に実装された複数のLED126aを適宜発光させることで、蛍光管を全体的あるいは部分的に発光させたり、上中下の各部分毎に様々な色に発光させたりすることができるようになっている。
【0069】
また、サイド電飾リフレクタ124には、サイド装飾基板126における上下のLED126bと対応した位置に、前側から凹んだレンズ凹部124cが形成されており、このレンズ凹部124cに前側から半円形状のサブレンズ122a(図28及び図29を参照)が挿入されるようになっている。本例の電飾部122は、このサブレンズ122a及びLED126bにより、LED126aを発光させる前に、LED126bのみを強く発光させることで、サイド電飾レンズ123及びサイド電飾リフレクタ124によって形成される蛍光管をあたかも本物の蛍光灯のように、両端のみが光ってから点灯するような発光演出をすることができるようになっている。
【0070】
更に、電飾部122は、サイド電飾フラッシュカバー127の後側に支持されるフラッシュ基板129の前面に強い光を発光可能なフラッシュライト129a(例えば、超高輝度白色LED等)が取付けられており、このフラッシュライト129aを発光させることで、閃光(フラッシュ)を遊技者側へ照射させることができるようになっている。
【0071】
サイドスピーカ電飾ユニット120の音響部130は、最前部に配置され略円形のスピーカ開口131aを有したスピーカ飾り131と、スピーカ飾り131のスピーカ開口131aを後側から閉鎖するパンチングメタルからなる略円盤状のスピーカカバー132と、スピーカカバー132の後側に配置されスピーカ飾り131と協働してスピーカカバーを狭持し円形のスピーカ前支持口133aを有した飾りスペーサ133と、飾りスペーサ133のスピーカ前支持口133aを後側から閉鎖するように配置されるサイドスピーカ121と、サイドスピーカ121の外周に後側から嵌合するスピーカ嵌合口134aを有した裏押え部材134とを主に備えている。
【0072】
この音響部130は、図示するように、スピーカ飾り131や飾りスペーサ133、及び裏押え部材134の形状が、取付けられる位置に応じて異なる形状とされている。具体的には、図26及び図27に示すように、正面視で左上の音響部130では、スピーカ飾り131が円筒状に形成された上で左側から外方へ延び出す装飾部131bを有し、飾りスペーサ133がスピーカ飾り131内へ挿入可能な円筒状とされると共に、裏押え部材134にはスピーカ飾り131の装飾部131bと組になる裏押え装飾部134bが形成されている。なお、左上の音響部130には、裏押え部材134の裏押え装飾部134bの上部に配置され補強板金140における上軸支部146の軸ピン145よりも下側を覆うヒンジカバー135を更に備えている。また、正面視で左下の音響部130では、スピーカ飾り131が装飾部131bを有した板状に形成されると共に、飾りスペーサ133がスピーカ飾り131の装飾部131bと組になるスペーサ装飾部133bを有した板状に形成され、裏押え部材134がリング状に形成されている。
【0073】
一方、図28及び図29に示すように、正面視で右上の音響部130では、スピーカ飾り131が円筒状に形成されると共に、飾りスペーサ133と裏押え部材134とがスピーカ飾り131内へ挿入可能な円筒状に形成されている。また、正面視で右下の音響部130では、スピーカ飾り131が円環状に形成された上で、飾りスペーサ133がスピーカ飾り131の後面と当接するスペーサ装飾部133bを有した平板状に形成されると共に、裏押え部材134がリング状に形成されている。なお、右下の音響部130では、裏押え部材134の更に後側に、裏押え部材134を前側から挿通固定可能な貫通する裏押え部材固定口136aを有した飾りベース136を更に備えている。
【0074】
本例のサイドスピーカ電飾ユニット120における四つのサイドスピーカ121は、図示するように、遊技窓101の上下左右の四隅に配置されており、蓋然的に、遊技する遊技者の頭部に対しても上下左右の位置に配置されるようになっているので、各サイドスピーカ121に対して独立した音響信号(例えば、2chステレオ信号、4chステレオ信号、後述する下部スピーカ391を加えた2.1chサラウンド信号或いは4.1chサラウンド信号、等)を送ることで、従来よりも臨場感のある音響効果(音響演出)を提示することができるようになっている。なお、本例のサイドスピーカ121は、主に中音域から高音域を担当し、下部スピーカ391は、低音域を担当するものとなっている。
【0075】
[1-2A-3.補強板金]
次に、扉枠ベースユニット100における補強板金140は、主に図24及び図25に示すように、扉枠ベース本体110の上辺部裏面に沿って取付けられる上側補強板金141と、扉枠ベース本体110の軸支側辺部裏面に沿って取付けられる軸支側補強板金142と、扉枠ベース本体110の開放側辺部裏面に沿って取付けられる開放側補強板金143と、扉枠ベース本体110の遊技窓101の下辺裏面に沿って取付けられる下側補強板金144と、が相互にビス等で締着されて方形状に形成されている。
【0076】
この補強板金140は、図24に示すように、軸支側補強板金142の上下端部に、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン145を有する上軸支部146と、その下面に軸ピン147(図18を参照)を有する下軸支部148と、が一体的に形成されている。そして、上下の軸ピン145,147が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具503及び下軸支金具509に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に設けられるものである。
【0077】
また、補強板金140の下側補強板金144は、所定幅を有して扉枠ベース本体110の横幅寸法と略同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁が後方に向って折曲した下折曲突片149となっており(図25を参照)、上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲した上折曲突片150となっているものの、その両側部の上折曲突片150に挟まれる部分が垂直方向に延設される垂直折曲突片151となっている。下折曲突片149の突出量はあまり大きくなく、この下折曲突片149が溝部や凹部と係合して凹凸係合をなすものではなく、強度を高めるために形成されているのに対し、両側部の上折曲突片150の突出量は下折曲突片149の突出量よりもやや大きく下方からの不正具の侵入を多少防止するが、むしろ、本実施形態における下側補強板金144の構成で最も特徴的な構成は、垂直折曲突片151である。
【0078】
この垂直折曲突片151は、その上端縁形状が後述するガラスユニット450のユニット枠451の下端形状に合致するように凹状に形成され、ガラスユニット450を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片151の上端片がガラスユニット450のユニット枠451における幅方向(前後方向)の略中央の外周に沿って形成される係合溝451cに係合するようになっている。なお、下側補強板金144には、扉枠ベース本体110に形成された賞球通過口111の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部152が形成されている。
【0079】
また、補強板金140の開放側補強板金143には、上側補強板金141と下側補強板金144との間の長辺の両側に、後方へ向かって屈曲された開放側外折曲突片153及び開放側内折曲突片154が夫々形成されており、開放側外折曲突片153よりも開放側内折曲突片154の方が後方へ長く延び出したように形成されている。また、上側補強板金141には、その長辺の両側に後方へ向かって屈曲された屈曲突片155,156が夫々形成されている。更に、軸支側補強板金142には、その長辺の外側端に後方へ延び出した軸支側L字状折曲突片157が形成されている。また、開放側補強板金143の後側下部には、後述する錠装置1000の扉枠用フック部1041と当接するフックカバー158が取付けられている。
【0080】
[1-2A-4.装着台・球送りユニット]
次に、扉枠ベースユニット100における装着台160及び球送りユニット170について説明する。まず、装着台160は、図18、図24、及び図25に示すように、扉枠ベースユニット100の板部裏面の上半分を覆うように取付けられ、防犯カバー470と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されている。この装着台160は、発射レール515から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台160の後面と本体枠3の板部511とによって発射レール515を挟持するように形成されており、装着台160の後面に球飛送誘導面161が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台160には、その軸支側上部に下側補強板金144に形成される賞球通過口被覆部152の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口162が形成されており、その開放側下部に球送りユニット170を取付ける球送りユニット取付凹部163が形成されている。この球送りユニット取付凹部163から斜め方向の領域が球飛送誘導面161となっている。
【0081】
また、装着台160の中程下部には、後述する球抜き経路カバー191、扉装飾駆動基板192及び扉装飾駆動基板カバー193を取り外す際に指を入れることができる蓋用切欠き164が形成されていると共に、装着台160の上辺の一部には、垂直に立設される立壁165が形成されている。この立壁165は、図18に示すように、防犯カバー470を取付けたときに、防犯カバー470の前面と当接して防犯カバー470の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
【0082】
更に、この装着台160には、上述した球飛送誘導面161の下方から賞球通過口用開口162にかけて斜め状に後方へ向かって突設された防犯突片166を備えている。この防犯突片166は、前述したように、本体枠3の板部511に形成される防犯空間586との間で、扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
【0083】
一方、球送りユニット170は、図30に示すように、球送りユニット取付凹部163に固定される箱状の本体部171と、本体部171の支持軸171aに回動可能に軸支された球送り部材172と、球送り部材172の球受部を上方へ回動させると共に回転可能に球送り部材172に軸支された錘173とを備えている。この球送りユニット170は、球送り部材172が後述する打球発射装置650の打球槌687の往復動差に対応して揺動することで、皿ユニット300の第三傾斜面311cの流下端にある球を、本体部171に形成された打球供給口171bを通して発射レール515の発射位置に1個ずつ供給するものである。
【0084】
なお、図中の符号174は、Eリングであり、本体部171の支持軸171aから球送り部材172が抜けるのを防止したり、球送り部材172から錘173が抜けるのを防止したりするものである。
【0085】
[1-2A-5.ジョイントユニット]
続いて、扉枠ベースユニット100におけるジョイントユニット180について説明する。ジョイントユニット180は、図31に示すように、扉枠ベース本体110のジョイントユニット装着凹部110cの内部に収納されて横方向にスライド可能なスライド体182と、スライド体182が収納された状態でジョイントユニット装着凹部110cの前面を被覆するカバー体184とから構成されている。
【0086】
扉枠ベース本体110のジョイントユニット装着凹部110cは、前面が開放した直方体の箱状に形成され、その後面にカム挿入開口115が開設されている。また、ジョイントユニット装着凹部110cの一つの略対角線状に位置する隅部には、ジョイントユニット180のカバー体184を固定するための一対の取付穴110fが形成されている。更に、ジョイントユニット装着凹部110cの内側面の上辺及び底辺には、スライド体182の上下辺の外側面と当接してスライド体182がスムーズに移動できるようにするための円弧状の当接凸部110g(図31(B)では下辺の当接凸部110gだけを図示し、上辺の当接凸部110gは図示省略されている。)が突設されている。
【0087】
一方、ジョイントユニット180のスライド体182は、ジョイントユニット装着凹部110cとカバー体184とによって形成される空間内に左右方向に移動可能に収納されるように、ジョイントユニット装着凹部110cよりも小さな後面が開放した直方体の箱状に形成され、その後面壁には、後方へ所定量突出し略水平方向に並んで配置された二つの案内突起182aと、背面視で右側の案内突起182aの下側に配置され後方へ突出する板状のスライド突片183と、二つの案内突起182aの間でスライド突片183よりも背面視で左側に後述するハンドル装置400の配線通し筒部428が貫通するように穿設された矩形状の筒部材貫通開口182bとを備えている。このスライド体182のスライド突片183は、スライド時の進行方向(背面視で右方向)が斜めにカットされた傾斜辺183aとなっている。また、スライド体182の前面壁には、ハンドル装置400における回転軸415の先端部に固定されるカム416が収納されるカム係合凹部182cがリブによってコ字形状に形成されている。そして、カム係合凹部182cを形成するリブの一部の垂直部分がカム係合凹部182c内に突出するように円弧状のリブとして形成され、その部分がカム416と当接するカム当接部182dとなっている。
【0088】
また、ジョイントユニット180のカバー体184は、前面が開放した直方体の箱状に形成され、その前面にスライド体182の前面に突設される円筒ボス状の案内突起182aが挿入されてスライド体182の移動を案内する横長穴状の2つの案内横穴194aと、スライド体182の前面に突設されるスライド突片183が挿通される挿通横穴184bと、操作ハンドル部410の後握り部材413の後端に取付けられてカム挿入開口115から挿入される配線通し筒部428の後端部が臨む配線開口184cと、ジョイントユニット装着凹部110cの取付穴110fと対応する位置から外方へ突出するように形成された取付穴184dとを備えている。この取付穴184dを介してジョイントユニット装着凹部110cの取付穴110fへ所定のビス(図示しない)を止着することで、カバー体184をジョイントユニット装着凹部110cに取付けることができるようになっている。
【0089】
ジョイントユニット180のスライド体182とカバー体184とをジョイントユニット装着凹部110cに組み付けるには、ジョイントユニット装着凹部110cにスライド体182を収納し、その状態でカバー体184を前方から被覆する。被覆する際には、案内突起182aが案内横穴194aに、スライド突片183が挿通横穴184bに、夫々挿通するようにする。そして、被覆した後には、取付穴184dを介して取付穴110fにビスで螺着することにより、スライド体182を内部に収納した状態となってジョイントユニット180の組み付けが終了する。
【0090】
[1-2B.トップランプ電飾ユニット]
次に、扉枠5におけるトップランプ電飾ユニット200について、主に図32乃至図39を参照して説明する。図32(A)はトップランプ電飾ユニットの正面斜視図であり、(B)はトップランプ電飾ユニットの背面斜視図であり、図33はトップランプ電飾ユニットを斜め前下から示す斜視図である。図34(A)はトップランプ電飾ユニットを主な構成毎に分解して前から示す分解斜視図であり、(B)は(A)を後から示す分解斜視図である。また、図35はトップランプ電飾ユニットにおけるトップランプリフレクタユニットを分解してトップランプベースと共に前から示す分解斜視図であり、図36は図35を後から示す分解斜視図である。更に、図37はトップランプ電飾ユニットにおける左回転灯を分解して示す分解斜視図であり、図38はトップランプ電飾ユニットにおける右回転灯を分解して示す分解斜視図であり、また、図39はトップランプ電飾ユニットにおける中央回転灯を分解して示す分解斜視図である。
【0091】
本実施形態の扉枠5におけるトップランプ電飾ユニット200は、図33にも示すように、左右方向に並んだ三つの回転灯244,264,284(所謂、パトライト(登録商標))を備えており、それら回転灯244,264,284の大きさは正面視で左側から順に大きなものが配置されている。このトップランプ電飾ユニット200は、横長で箱状のトップランプベース210と、トップランプベース210の前面に固定されると共にトップランプベース210を挟んで扉枠ベースユニット100の前面上部に固定されるトップランプリフレクタユニット220と、トップランプリフレクタユニット220の前面に取付けられる左回転灯ユニット240、右回転灯ユニット260、及び中央回転灯ユニット280と、左回転灯ユニット240、右回転灯ユニット260、及び中央回転灯ユニット280の前面を夫々覆いトップランプリフレクタユニット220に取付けられる回転灯カバー201,202,203と、トップランプリフレクタユニットの略中央下面を覆うリフレクタインナ204と、を主に備えている(図34を参照)。
【0092】
また、トップランプ電飾ユニット200には、トップランプベース210の前側右に固定されるトップランプ電源基板205と、トップランプベース210の後側に固定される二つのトップランプ装飾駆動基板206とを更に備えている。このトップランプ電源基板205は、トップランプ電飾ユニット200内の各基板224,226,231やLED244a,266a,231a、各回転灯ユニット240,260,280のモータ245,265,285や各基板248,268,288,296のLED、後述するガラスユニット450のLED453a等へ電源基板1136(後述する)からの電源を中継して供給するためのものである。また、トップランプ装飾駆動基板206は、トップランプリフレクタユニット220内のLEDや、中央回転灯ユニット280内のLED、及び各回転灯ユニット240,260,280のモータ245,265,285等の発光や駆動を、後述する周辺基板4010(周辺制御基板4140)からの制御信号に基いて駆動させるためのものである。
【0093】
[1-2B-1.トップランプベース]
次に、トップランプ電飾ユニット200におけるトップランプベース210は、図35及び図36に示すように、上面及び左右側面が扉枠ベースユニット100の上辺及び左右側辺と略沿った形状とされると共に、下面が扉枠ベースユニット100の遊技窓101と略沿った形状とされ、横長で前後方向の中間で仕切られたような箱状に形成されている。このトップランプベース210は、その外周沿った位置に、後側から扉枠ベース本体110の取付ボス110hが挿通されると共に、前側からトップランプリフレクタユニット220から後方へ突出する取付ボス221iの後端が嵌合して夫々を位置決めし、所定のビスが挿通可能な挿通孔を有した略筒状の取付ボス部211を複数備えている。この取付ボス部211に対して、後方から扉枠ベースユニット100の取付ボス110hの先端を挿入すると共に、前方からトップランプリフレクタユニット220の取付ボス221iの後端を挿入し、扉枠ベースユニット100の後側から所定のビスをトップランプリフレクタユニット220の取付ボス221iへ止着することで、トップランプベース210(トップランプ電飾ユニット200)が扉枠ベースユニット100に取付固定されるようになっている。
【0094】
また、トップランプベース210には、トップランプリフレクタユニット220から後方へ突出する固定ボス221jの後端が嵌合し所定のビスが通過可能な挿通孔を有した複数の固定ボス部212が備えられている。この固定ボス部212を介して後側からトップランプリフレクタユニット220の固定ボス221jへ所定のビスを止着することで、トップランプベース210とトップランプリフレクタユニット220とを互いに組付けることができるようになっている。
【0095】
更に、トップランプベース210には、正面視で右側端部付近に、トップランプ電源基板205の接続コネクタ205aが挿通可能なコネクタ開口部213を備えており、このコネクタ開口部213を介してコネクタ205aがトップランプベース210の後側から臨むようになっている。また、トップランプベース210の後側の左右には、夫々基板取付部214が備えられており、この基板取付部214にトップランプ装飾駆動基板206が取付けられるようになっている。
【0096】
[1-2B-2.トップランプリフレクタユニット]
続いて、トップランプ電飾ユニット200におけるトップランプリフレクタユニット220について説明する。本実施形態のトップランプリフレクタユニット220は、図35及び図36にも示すように、トップランプベース210を前方から被覆可能とされ後側が開放された箱状のリフレクタベース221を備えている。このリフレクタベース221は、前面に三つの回転灯244,264,284が並んで取付けられる、中央の回転灯284と左右の回転灯244,264との間が、前方へ大きく突出する筒状の円筒部221aと、円筒部221aから下方へ垂下すると共に下方へ向かうに従って後方へ傾斜する傾斜部221bとによって仕切られている。このリフレクタベース221は、円筒部221aには略円形の開口部が形成されていると共に、傾斜部221bには上下方向に三つ並んだ矩形状の開口部が形成されている(図33を参照)。また、リフレクタベース210には、左右両端に前方へ突出する縦長の膨出部221eを備えており、この膨出部221eの前面に縦長に開口する矩形状のスリット221fが形成されている。このリフレクタベース211は、図示するように、二つの円筒部221a及び傾斜部221bと、二つの膨出部221eによって、三つの回転灯244,264,284の取付位置が後方へ凹んだような形状となっている。
【0097】
また、リフレクタベース221は、二つの円筒部221a及び傾斜部221bとの間(中央の回転灯284が配置される位置)が、後方へ凹んだ緩やかな湾曲面形状とされていると共に、二つの円筒部221a及び傾斜部221bとの間に、左右方向略中央を挟んだ左右に正面視で略台形状に貫通するレンズ開口部221gが形成されている。更に、リフレクタベース221には、各回転灯244,264,284を備えた各回転灯ユニット240,260,280の回転灯ユニットベース241,261,281の前端が後側から通過可能な回転灯取付口221hが形成されている。また、リフレクタベース221には、トップランプベース210の取付ボス部211と嵌合する後方へ突出した複数の取付ボス221iと、トップランプベース210の固定ボス部212と嵌合し後方へ突出した複数の固定ボス221jとを備えている。なお、詳細な図示は省略するが、リフレクタベース221には、トップランプベース210を介さずに、扉枠ベースユニット100へ直接取付けられる取付ボス221kも備えられている。
【0098】
ところで、トップランプリフレクタユニット220は、リフレクタベース221の他に、リフレクタベース221の後側で左右方向略中央に固定される一対のトップインナレンズ222と、トップインナレンズ222の後側でリフレクタベース221のレンズ開口部221gと対応した位置に配置される一対のレンズシート223と、レンズシート223の後側に配置され前面に複数のカラーLED224aが実装された一対のリフレクタ装飾基板224と、リフレクタベース210における円筒部221a内に後側から挿入され開口部221cを閉鎖する透明な丸レンズ225と、丸レンズ225及びトップインナレンズ222を挟んでリフレクタベース210の円筒部221a及び傾斜部221bの後側に配置され前面にLED226aが実装された一対の仕切装飾基板226とを備えている。
【0099】
このトップインナレンズ222は、透明な樹脂により形成されており、リフレクタベース221のレンズ開口部221gを閉鎖する略台形で湾曲面状の湾曲レンズ部222aと、リフレクタベース221における傾斜部221bの三つの開口部221dを閉鎖する仕切レンズ部222bと、丸レンズ225の後端と当接する丸レンズ支持部222cとを備えている。なお、湾曲レンズ部222aの上下辺には鋸状の拡散レンズ部222dが形成されており、湾曲レンズ部222aとは異なる態様で発光することができると共に、発光していない時でも前側からの光を乱反射させることができるようになっている。
【0100】
また、トップインナレンズ222には、拡散レンズ部222dの後側から後方へ板状に突出する突出片222eと、上下の突出片に挟まれ湾曲レンズ部222aの後側にレンズシート223を支持する支持凹部222fとが形成されている。なお、図示するように、リフレクタ装飾基板224では複数のLED224aが、トップインナレンズ222の突出片222eと対応した位置に列設されていると共に、トップインナレンズ222の湾曲面レンズ部222aと対応した位置にも分散配置されている。これにより、トップインナレンズ222の湾曲レンズ部222aと拡散レンズ部222dとでは、夫々異なる態様で発光させることができるようになっている。
【0101】
なお、レンズシート223は、リフレクタ装飾基板224に実装されたLED224aからの透過光や、他の光源等からの反射光を、パール状或いは彩光状に見せる公知の光学シートとされている。また、仕切装飾基板226に実装されたLED226aは、超高輝度LEDとされており、強い閃光を発することができるようになっている。
【0102】
更に、トップランプリフレクタユニット220には、リフレクタベース221の左右の膨出部221eに形成された縦長のスリット221fを閉鎖するトップサイドレンズ227と、トップサイドレンズ227の上端を前側から固定するトップサイドレンズ押え228と、トップサイドレンズ227及びリフレクタベース221の後側に配置されるレンズシート229と、リフレクタベース221の後側に固定されることでレンズシート229を狭持するトップサイド基板ベース230と、トップサイド基板ベース230に固定されレンズシート229を介して前方のトップサイドレンズ227へ光を照射可能なカラーLED231aが前面に実装されたトップサイド基板231とを更に備えている。
【0103】
このトップサイドレンズ221は、透明な樹脂により平面視でく字状に形成されると共に、上下の端部に夫々係止片227a,227bが形成されており、下端の係止片227bをリフレクタベース221におけるスリット221fの下端と係止させた上で、上端の係止片227aをトップサイドレンズ押え228により押えることで、リフレクタベース221に取付けられるようになっている。また、トップサイドレンズ221の後側に配されるレンズシート229は、上記のレンズシート223と同様の光学シートで形成されていると共に、図示するように、湾曲状に形成されており、リフレクタベース221に取付けられることで、トップサイドレンズ227の後側に、あたかも円柱状の蛍光管が配置されているような外観を呈することができるようになっている。
【0104】
また、トップサイド基板ベース230は、図示するように、縦長の矩形枠状に形成され、その枠内を通して後側に固定されるトップサイド基板231のLED231aからの光が、レンズシート229及びトップサイドレンズ227を介して前面へ光を照射することができるようになっている。
【0105】
[1-2B-3.回転灯ユニット]
次に、トップランプ電飾ユニット200における三つの回転灯ユニット240,260,280について説明する。まず、左回転灯ユニット240は、図37に示すように、上下方向に貫通する円形状の開口241aを有し、その開口241aがリフレクタベース221の回転灯取付口221hから前側へ突出した位置となるようにリフレクタベース221の後側に固定される回転灯ユニットベース241と、回転灯ユニットベース241の開口241aと同軸上に配置され回転灯ユニットベース241の上面に固定される略円環状の回転部ベース242と、回転部ベース242と同軸上に配置され回転部ベース242の上面に摺動回転可能に載置される回転灯ベースギア243と、回転灯ベースギア243から垂下するようにその下面に固定される回転灯244と、回転灯ベースギア243の軸線と略平行でリフレクタベース221の回転灯取付口221hよりも後側の軸線上に配置され回転軸245aが回転灯ユニットベース241の上面から上方へ突出するように回転灯ユニットベース241の下面に固定される左回転灯モータ245と、左回転灯モータ245の回転軸245aに固定され回転灯ベースギア243と噛合する伝達ギア246と、回転灯ベースギア243の全体及び伝達ギア246の一部を上方から覆うと共に回転灯ベースギア243を回転部ベース242と協働して軸支し、回転灯ユニットベース241に固定される回転部ホルダ247と、回転灯ベースギア243と同軸上で回転部ホルダ247の下面に固定され、下方の回転灯244へ向かって発光可能な高輝度カラーLED(図示は省略)を有した左回転灯基板248と、を備えている。
【0106】
また、左回転灯ユニット240は、回転部ホルダ247を上方から覆う回転灯ユニットカバー249と、回転灯244の回転位置を検出する左回転位置検出センサ250と、左回転位置検出センサ250が実装された左回転位置検出基板251と、を更に備えている。
【0107】
この左回転灯ユニット240の回転灯ユニットベース241は、その上面に開口241aの内周に略沿って形成された取付段部241bと、開口241aよりも後側の位置で下方へ向かって垂下しリフレクタベース211の後側に取付けられる取付部241cと、開口241aの後側に配置され左回転灯モータ245を固定するモータ固定部241dとを備えており、この取付段部241b内に上方から回転部ベース242が嵌合するようになっている。また、回転部ベース242には、回転灯ユニットベース241の開口241aと同軸上で小径の軸支口242aと、回転灯ベースギア243の外周よりも外側となる上面の所定位置に左回転位置検出基板251の下端を支持する基板支持部242bと、基板支持部242bよりも後方に配置され左回転灯基板248及び左回転位置検出基板251に接続される配線を係止する配線係止部242cとを備えている。
【0108】
また、回転灯ベースギア243は、外径が回転部ベース242の軸支口242aよりも大径の円環状の平歯車とされ、下面から下方へ向かって延び回転部ベース242の軸支口242a内に挿通可能な円筒状のギア軸筒(図示は省略)と、ギア軸筒よりも小径で上下方向に貫通する軸支穴243aと、下面の外周から半径方向外方へ突出した回転位置検出片243bとを備えている。この回転灯ベースギア243の軸筒の外径は、回転部ベース242の軸支口242aの内径よりも若干小径とされており、軸支口242a内へ挿入されることで、回転灯ベースギア243が軸支口242aと略同軸上に回転することができるようになっている。また、左回転灯ユニット240では、回転灯ベースギア243の回転位置検出片243bを、左回転位置検出センサ250で検出することで、回転灯244の回転位置を検出することができるようになっている。
【0109】
更に、回転部ホルダ247は、図示は省略するが、回転部ベース242の軸支口242aと同軸上となる位置に下方へ突出し回転灯ベースギア243の軸支穴243a内へ挿通可能な円筒状のホルダ軸筒が形成されている。このホルダ軸筒の外径は、回転灯ベースギア243の軸支穴243aよりも若干小径とされており、ホルダ軸筒を回転灯ベースギア243の軸支穴243aへ挿入することで、回転灯ベースギア243をホルダ軸筒と略同軸上に回転させることができるようになっている。つまり、本例の左回転灯ユニット240では、回転部ベース242の軸支口242a、回転灯ベースギア243のギア軸筒及び軸支穴243a、回転部ホルダ247のホルダ軸筒によって、回転灯ベースギア243が回転可能に軸支されている。なお、回転部ホルダ247のホルダ軸筒の下端に、左回転灯基板248が固定されるようになっている。また、回転部ホルダ247には、図示は省略するが、その下面の回転部ベース242の基板支持部242bと対応する位置に、左回転位置検出基板251の上端を支持する基板支持部が形成されており、左回転位置検出基板251が回転部ベース242と回転部ホルダ247とで狭持固定されるようになっている。
【0110】
また、左回転灯ユニット240の回転灯244は、図示するように、回転灯ベースギア243の下側に配置される透明な円盤状の回転灯レンズ252と、回転灯レンズ252の下側に配置され回転灯ベースギア243の下面に固定されるリフレクタ253と、リフレクタ253を覆うリフレクタカバー254とで構成されている。この回転灯244のリフレクタ253は、表面に金属光沢を有したメッキ処理が施されており、円盤状のベース部253aと、ベース部253aの中央に穿設された開口部253bと、ベース部253aの下面から下方へ垂下する湾曲状の反射部253cと、ベース部253aの上面から上方へ延びだし上端が回転灯ベースギア243と当接可能な複数の取付ボス253dと、を備えている。
【0111】
この回転灯244は、リフレクタ253の開口部253bから回転灯レンズ252の下面が臨むようになっていると共に、回転灯レンズ252にはリフレクタ253の取付ボス253dを挿通可能な挿通孔252aが形成されており、挿通孔252aに取付ボス253dを挿通させた上で、取付ボス253dを回転灯ベースギア243へ固定することで、回転灯レンズ252が回転灯ベースギア243とリフレクタ253との間に狭持固定されるようになっている。また、回転灯244のリフレクタカバー254は、平面視で略正八角形状とされ、上方が開放された箱状となっていると共に、リフレクタ253における反射部253cの内面側と対向する側面に開口部254aが形成されている。
【0112】
続いて、右回転灯ユニット260は、図38に示すように、上下方向に貫通する円形状の開口261aを有し、その開口261aがリフレクタベース221の左側の回転灯取付口221hから前側へ突出した位置となるようにリフレクタベース221の後側に固定される回転灯ユニットベース261と、回転灯ユニットベース261の開口261aと同軸上に配置され回転灯ユニットベース261の上面に固定される略円環状の回転部ベース262と、回転部ベース262と同軸上に配置され回転部ベース262の上面に摺動回転可能に載置される回転灯ベースギア263と、回転灯ベースギア263から垂下するようにその下面に固定される回転灯264と、回転灯ベースギア263の軸線と略平行でリフレクタベース221の回転灯取付口221hよりも後側の軸線上に配置され回転軸265aが回転灯ユニットベース261の上面から上方へ突出するように回転灯ユニットベース261の下面に固定される右回転灯モータ265と、右回転灯モータ265の回転軸265aに固定され回転灯ベースギア263と噛合する伝達ギア266と、回転灯ベースギア263の全体及び伝達ギア266の一部を上方から覆うと共に回転灯ベースギア263を回転部ベース262と協働して軸支し、回転灯ユニットベース261に固定される回転部ホルダ267と、回転灯ベースギア263と同軸上で回転部ホルダ267の下面に固定され、下方の回転灯264へ向かって発光可能な高輝度カラーLED(図示は省略)を有した右回転灯基板268と、を備えている。
【0113】
また、右回転灯ユニット260は、回転部ホルダ267を上方から覆う回転灯ユニットカバー269と、回転灯264の回転位置を検出する右回転位置検出センサ270と、右回転位置検出センサ270が実装された右回転位置検出基板271と、を更に備えている。
【0114】
この右回転灯ユニット260の回転灯ユニットベース261は、その上面に開口261aの内周に略沿って形成された取付段部261bと、開口261aよりも後側の位置で下方へ向かって垂下しリフレクタベース211の後側に取付けられる取付部261cと、開口261aの後側に配置され右回転灯モータ265を固定するモータ固定部261dとを備えており、この取付段部261b内に上方から回転部ベース262が嵌合するようになっている。また、回転部ベース262には、回転灯ユニットベース261の開口261aと同軸上で小径の軸支口262aと、回転灯ベースギア263の外周よりも外側となる上面の所定位置に右回転位置検出基板271の下端を支持する基板支持部262bと、基板支持部262bよりも後方に配置され右回転灯基板268及び右回転位置検出基板271に接続される配線を係止する配線係止部262cとを備えている。
【0115】
また、回転灯ベースギア263は、外径が回転部ベース262の軸支口262aよりも大径の円環状の平歯車とされ、下面から下方へ向かって延び回転部ベース262の軸支口262a内に挿通可能な円筒状のギア軸筒(図示は省略)と、ギア軸筒よりも小径で上下方向に貫通する軸支穴263aと、下面の外周から半径方向外方へ突出した回転位置検出片263bとを備えている。この回転灯ベースギア263の軸筒の外径は、回転部ベース262の軸支口262aの内径よりも若干小径とされており、軸支口262a内へ挿入されることで、回転灯ベースギア263が軸支口262aと略同軸上に回転することができるようになっている。また、右回転灯ユニット260では、回転灯ベースギア263の回転位置検出片263bを、右回転位置検出センサ270で検出することで、回転灯264の回転位置を検出することができるようになっている。
【0116】
更に、回転部ホルダ267は、図示は省略するが、回転部ベース262の軸支口262aと同軸上となる位置に下方へ突出し回転灯ベースギア263の軸支穴263a内へ挿通可能な円筒状のホルダ軸筒が形成されている。このホルダ軸筒の外径は、回転灯ベースギア263の軸支穴263aよりも若干小径とされており、ホルダ軸筒を回転灯ベースギア263の軸支穴263aへ挿入することで、回転灯ベースギア263をホルダ軸筒と略同軸上に回転させることができるようになっている。つまり、本例の右回転灯ユニット260では、回転部ベース262の軸支口262a、回転灯ベースギア263のギア軸筒及び軸支穴263a、回転部ホルダ267のホルダ軸筒によって、回転灯ベースギア263が回転可能に軸支されている。なお、回転部ホルダ267のホルダ軸筒の下端に、右回転灯基板268が固定されるようになっている。また、回転部ホルダ267には、図示は省略するが、その下面の回転部ベース262の基板支持部262bと対応する位置に、右回転位置検出基板271の上端を支持する基板支持部が形成されており、右回転位置検出基板271が回転部ベース262と回転部ホルダ267とで狭持固定されるようになっている。
【0117】
また、右回転灯ユニット260の回転灯264は、図示するように、左回転灯ユニット240の回転灯244よりも全体的に大きく、回転灯ベースギア263の下側に配置される透明な円盤状の回転灯レンズ272と、回転灯レンズ272の下側に配置され回転灯ベースギア263の下面に固定されるリフレクタ273と、リフレクタ273を覆うリフレクタカバー274とで構成されている。この回転灯264のリフレクタ273は、表面に金属光沢を有したメッキ処理が施されており、円盤状のベース部273aと、ベース部273aの中央に穿設された開口部273bと、ベース部273aの下面から下方へ垂下する湾曲状の反射部273cと、ベース部273aの上面から上方へ延びだし上端が回転灯ベースギア263と当接可能な複数の取付ボス273dと、を備えている。
【0118】
この回転灯264は、リフレクタ273の開口部273bから回転灯レンズ272の下面が臨むようになっていると共に、回転灯レンズ272にはリフレクタ273の取付ボス273dを挿通可能な挿通孔272aが形成されており、挿通孔272aに取付ボス273dを挿通させた上で、取付ボス273dを回転灯ベースギア263へ固定することで、回転灯レンズ272が回転灯ベースギア263とリフレクタ273との間に狭持固定されるようになっている。また、回転灯264のリフレクタカバー274は、平面視で略正八角形状とされ、上方が開放された箱状となっていると共に、リフレクタ273における反射部273cの内面側と対向する側面に開口部274aが形成されている。
【0119】
次に、中央回転灯ユニット280は、図39に示すように、上下方向に貫通する円形状の開口281aを有し、その開口281aがリフレクタベース221の左右方向中央の回転灯取付口221hから前側へ突出した位置となるようにリフレクタベース221の後側に固定される回転灯ユニットベース281と、回転灯ユニットベース281の開口281aと同軸上に配置され回転灯ユニットベース281の上面に固定される略円環状の回転部ベース282と、回転部ベース282と同軸上に配置され回転部ベース282の上面に摺動回転可能に載置される回転灯ベースギア283と、回転灯ベースギア283から垂下するようにその下面に固定される回転灯284と、回転灯ベースギア283の軸線と略平行でリフレクタベース221の回転灯取付口221hよりも後側の軸線上に配置され回転軸285aが回転灯ユニットベース281の上面から上方へ突出するように回転灯ユニットベース281の下面に固定される中央回転灯モータ285と、中央回転灯モータ285の回転軸285aに固定され回転灯ベースギア283と噛合する伝達ギア286と、回転灯ベースギア283の全体及び伝達ギア286の一部を上方から覆うと共に回転灯ベースギア283を回転部ベース282と協働して軸支し、回転灯ユニットベース281に固定される回転部ホルダ287と、回転灯ベースギア283と同軸上で回転部ホルダ287の下面に固定され、下方の回転灯284へ向かって発光可能な高輝度カラーLED(図示は省略)を有した中央回転灯基板288と、を備えている。
【0120】
また、中央回転灯ユニット280は、回転部ホルダ287を上方から覆う回転灯ユニットカバー289と、回転灯284の回転位置を検出する中央回転位置検出センサ290と、中央回転位置検出センサ290が実装された中央回転位置検出基板291と、を更に備えている。
【0121】
この中央回転灯ユニット280の回転灯ユニットベース281は、その上面に開口281aの内周に略沿って形成された取付段部281bと、開口281aよりも後側の位置で下方へ向かって垂下しリフレクタベース211の後側に取付けられる取付部281cと、開口281aの後側に配置され中央回転灯モータ285を固定するモータ固定部281dとを備えており、この取付段部281b内に上方から回転部ベース282が嵌合するようになっている。また、回転部ベース282には、回転灯ユニットベース281の開口281aと同軸上で小径の軸支口282aと、回転灯ベースギア283の外周よりも外側となる上面の所定位置に中央回転位置検出基板291の下端を支持する基板支持部282bと、基板支持部282bよりも後方に配置され中央回転灯基板288及び中央回転位置検出基板291に接続される配線を係止する配線係止部282cとを備えている。
【0122】
また、回転灯ベースギア283は、外径が回転部ベース282の軸支口282aよりも大径の円環状の平歯車とされ、下面から下方へ向かって延び回転部ベース282の軸支口282a内に挿通可能な円筒状のギア軸筒(図示は省略)と、ギア軸筒よりも小径で上下方向に貫通する軸支穴283aと、下面の外周から半径方向外方へ突出した回転位置検出片283bとを備えている。この回転灯ベースギア283の軸筒の外径は、回転部ベース282の軸支口282aの内径よりも若干小径とされており、軸支口282a内へ挿入されることで、回転灯ベースギア283が軸支口282aと略同軸上に回転することができるようになっている。また、中央回転灯ユニット280では、回転灯ベースギア283の回転位置検出片283bを、中央回転位置検出センサ290で検出することで、回転灯284の回転位置を検出することができるようになっている。
【0123】
更に、回転部ホルダ287は、図示は省略するが、回転部ベース282の軸支口282aと同軸上となる位置に下方へ突出し回転灯ベースギア283の軸支穴283a内へ挿通可能な円筒状のホルダ軸筒が形成されている。このホルダ軸筒の外径は、回転灯ベースギア283の軸支穴283aよりも若干小径とされており、ホルダ軸筒を回転灯ベースギア283の軸支穴283aへ挿入することで、回転灯ベースギア283をホルダ軸筒と略同軸上に回転させることができるようになっている。つまり、本例の中央回転灯ユニット280では、回転部ベース282の軸支口282a、回転灯ベースギア283のギア軸筒及び軸支穴283a、回転部ホルダ287のホルダ軸筒によって、回転灯ベースギア283が回転可能に軸支されている。なお、回転部ホルダ287のホルダ軸筒の下端に、中央回転灯基板288が固定されるようになっている。また、回転部ホルダ287には、図示は省略するが、その下面の回転部ベース282の基板支持部282bと対応する位置に、中央回転位置検出基板291の上端を支持する基板支持部が形成されており、中央回転位置検出基板291が回転部ベース282と回転部ホルダ287とで狭持固定されるようになっている。
【0124】
また、中央回転体ユニット280の回転灯294は、図示するように、その大きさが左回転灯ユニット240の回転灯244と、右回転灯ユニット260の回転灯264との中間の大きさとされ、回転灯ベースギア283の下側に配置される透明な円盤状の回転灯レンズ292と、回転灯レンズ292の下側に配置され回転灯ベースギア283の下面に固定されるリフレクタ293と、リフレクタ293を覆うリフレクタカバー294とで構成されている。この回転灯284のリフレクタ293は、表面に金属光沢を有したメッキ処理が施されており、円盤状のベース部293aと、ベース部293aの中央に穿設された開口部293bと、ベース部293aの下面から下方へ垂下する湾曲状の反射部293cと、ベース部293aの上面から上方へ延びだし上端が回転灯ベースギア283と当接可能な複数の取付ボス293dと、を備えている。
【0125】
この回転灯284は、リフレクタ293の開口部293bから回転灯レンズ292の下面が臨むようになっていると共に、回転灯レンズ292にはリフレクタ293の取付ボス293dを挿通可能な挿通孔292aが形成されており、挿通孔292aに取付ボス293dを挿通させた上で、取付ボス293dを回転灯ベースギア283へ固定することで、回転灯レンズ292が回転灯ベースギア283とリフレクタ293との間に狭持固定されるようになっている。また、回転灯284のリフレクタカバー294は、平面視で略正八角形状とされ、上方が開放された箱状となっていると共に、リフレクタ293における反射部293cの内面側と対向する側面に開口部294aが形成されている。
【0126】
ところで、本実施形態の中央回転灯ユニット280は、図示するように、回転部ホルダ287と回転灯ユニットカバー289との間に、回転灯ユニットカバー289の前側の三つの側面に形成された複数の切欠き部289a内へ後側から挿入される複数の突出部295aを有したカバーレンズ295と、カバーレンズ295の後側に配置され表面に複数のカラーLED296aが実装されたカバー装飾基板296とを更に備えている。これらカバーレンズ295及びカバー装飾基板296は、回転部ホルダ287の前端に形成された溝状のレンズ支持部287a及び基板支持部287bに夫々下端が支持されると共に、回転灯ユニットカバー289に形成された図示しない溝状のレンズ支持部及び基板支持部に夫々上端が支持されることで取付けられるようになっている。本例では、カバー装飾基板296のLEDを発光させることで、中央回転灯ユニット280の回転灯ユニットカバー289の前端を発光装飾させることができるようになっている。
【0127】
[1-2C.皿ユニット]
次に、扉枠5における皿ユニット300について、主に図40乃至図63を参照して説明する。図40は皿ユニットの正面斜視図であり、図41は皿ユニットの背面斜視図であり、図42は皿ユニットの平面図である。図43は、図42におけるA-A断面図である。図44は皿ユニットの皿奥板を取外した状態で示す背面図であり、図45は皿ユニットの皿奥板及び貸球ユニットを取外した状態で後から示す斜視図である。また、図46は皿ユニットを主な構成部品毎に分解して前から示す分解斜視図であり、図47は図46を後ろから示す分解斜視図である。また、図48は皿ユニットにおける皿ユニット本体を分解して前から示す分解斜視図であり、図49は図48を後ろから示す分解斜視図である。更に、図50は皿ユニットにおける第一球抜き機構を示す背面図であり、図51は皿ユニットにおける第二球抜き機構を後から示す斜視図である。また、図52は皿ユニットにおける操作ボタンユニットを分解して示す分解斜視図であり、図53は皿ユニットにおける操作ボタンユニットの操作ボタンユニット基板を取外した状態の底面図であり、図54は皿ユニットにおける操作ボタンユニットのメインボタンを下から示す底面斜視図であり、図55は皿ユニットにおける操作ボタンユニットのメインボタンを分解して示す分解斜視図である。
【0128】
また、図56は扉枠に取付けられたハンドル装置の断面図であり、図57はハンドル装置を構成する操作ハンドル部とジョイントユニットとの関係を示す斜視図であり、図58はハンドル装置における操作ハンドル部の分解斜視図である。更に、図59は操作ハンドル部とジョイントユニットの動作を説明するための動作図であり、図60はハンドル装置と本体枠に設けられる打球発射装置との関係を示す斜視図であり、図61はハンドル装置と打球発射装置とを連結する状態を説明するための断面図である。更に、図62(A)は皿ユニット内での遊技球の流れを示す説明図であり、(B)は皿ユニット内での第二球抜き口と遊技球の流れとの関係を示す説明図である。また、図63は、皿ユニットにおける横長の球流入口と貯留皿との関係を示す説明図である。
【0129】
本実施形態の扉枠5における皿ユニット300は、後述する賞球ユニット800から払出され遊技球を貯留することができると共に、貯留した遊技球を球送りユニット170を介して後述する打球発射装置650へ供給することができるものである。この皿ユニット300は、図46及び図47にも示すように、上方及び後方が開放され所定量の遊技球を貯留可能な貯留皿311を有した皿体310と、皿体310の前面を覆う皿ユニット本体320と、皿ユニット本体320及び皿体310の後面を覆う板状の皿奥板340と、皿体310の貯留皿311に貯留された遊技球を全て排出可能な第一球抜き機構350と、皿体310の貯留皿に貯留された遊技球の一部残して排出可能な第二球抜き機構360と、パチンコ機1に隣接して設置された図示しない球貸し機(CRユニットとも称す)を作動させる貸球ユニット301と、皿体310の上面に固定され遊技状態(遊技状況)によって遊技者が操作可能な操作ボタンユニット370と、皿体310の下側で皿ユニット本体320と皿奥板340との間に配置され扉枠ベースユニット100におけるサイドスピーカ電飾ユニット120のサイドスピーカ121よりも大型の下部スピーカ391を有した下部スピーカユニット390と、皿ユニット本体320の正面視右下隅に配置されるハンドルベース303と、ハンドルベース303に支持され遊技球の打込操作をするためのハンドル装置400とを主に備えている。なお、符号302は、後述する皿ユニット本体320における皿電飾基板336と接続される電気配線を覆う配線カバーである。また、図示するように、皿奥板340の正面視で左側には、皿ユニット本体320の左端を発光装飾させる左下装飾基板190が配置されている。
【0130】
この皿ユニット300における貸球ユニット301は、図示するように、左右方向の略中央で皿奥板340の上辺に固定されており、貸球ボタン301aと、貸球ボタン301aの横に配置された返却ボタン301bと、貸球ボタン301aと返却ボタン301bとの間に配置され球貸し機に現金やプリペイドカードの残数を表示する貸出残表示器(図示せず)と、を備えている。この貸球ユニット301は、パチンコ機1に隣接して設けられた球貸し機に対して現金やプリペイドカードを投入した上で、貸球ボタン301aを押すと、所定数の遊技球を皿ユニット300の貯留皿311内へ貸出す(払出す)ことができると共に、返却ボタン301bを押すと貸出された分の残りを引いた上で投入した現金の残金やプリペイドカードが返却されるようになっている。
【0131】
また、皿ユニット300における操作ボタンユニット370のメインボタン371及び二つのサブボタン372は、遊技盤4に設けられる液晶表示装置1400等で行われる遊技内容(遊技演出)に遊技者が参加する際に操作するものである。
【0132】
[1-2C-1.皿体]
まず、皿ユニット300における皿体310は、図示するように、平面視で左端から全体の略2/3を占め上方及び後方に開放された所定深さの貯留皿311と、貯留皿311内の底部の所定位置に配置され上下方向に貫通する第二球抜き口312と、貯留皿312の右端から貯留皿311と連続し第三傾斜面311cの下流側に配置されると共に遊技球が流通可能とされ遊技球を第二球抜き口312の略直下まで誘導可能な第一球抜き経路313(図44及び図47を参照)と、貯留皿311の右側で略菱形状に上方へ開放し操作ボタンユニット370を装着可能な操作ボタンユニット装着凹部314と、操作ボタンユニット装着凹部314の後側で略円形状に開口し第一球抜き機構350の第一球抜きボタン351が装着される第一球抜きボタン装着口315と、第一球抜きボタン装着口315の略直下に配置され第一球抜き機構350を支持する第一球抜き機構支持部316と、を主に備えている。
【0133】
この皿体310における貯留皿311は、皿奥板340の球流入口341の前面に配置され平面視で右側及び前側へ向かって低くなる第一傾斜面311aと、第一傾斜面311aの右側端部の後部と連続し右側及び後側へ向かって低くなる第二傾斜面311bと、第二傾斜面311bの右側端部と連続し奥皿板340の球供給口342へ向かって低くなる第三傾斜面311cと、第一傾斜面311aの右側端部の前部及び第二傾斜面311bの前側端部と連続し右側及び第二傾斜面311bへ向かって低くなる第四傾斜面311dと、第四傾斜面311dの右側端部と連続し第四傾斜面311dへ向かって低くなる第五傾斜面311eと、を備えている(図42及び図43等を参照)。
【0134】
また、貯留皿311には、第五傾斜面311eの後側端部から上方へ立上り遊技球が越境不能とされた仕切壁311fと、仕切壁311fと第三傾斜面311cとの間に配置され第三傾斜面311cへ向かって低くなる第六傾斜面311gとを更に備えている。なお、第二球抜き口312は、第一傾斜面311aと第二傾斜面311bとの間に配置されている。また、第二球抜き口312は、通常は第二球抜き機構360の第二球抜きシャッター364により閉鎖された状態となっている。
【0135】
本実施形態の貯留皿311では、図示するように平面視で、第一傾斜面311aは、貯留皿311の大きさの略半分を占める大きさの四角形状(台形状)とされていると共に、第二傾斜面311bは、左右方向の長さが貯留皿311の長さの約1/4で前後方向の奥行きが第三傾斜面311cへ向かって狭くなるような変五角形状とされ、更に、第三傾斜面311cは、前後方向の奥行きが遊技球の外径よりも若干大きい横長の区形状とされている。また、第四傾斜面311dは、左右方向の長さが第二傾斜面311bと略同じ長さで第二傾斜面311bへ向かうに従って長さが短くなる四角形状(台形状)とされている。更に、第五傾斜面311eは、その後側端部が左端部から右方向へ第三傾斜面311cと略平行に所定距離延びた上で後方の第三傾斜面311cへ向かって斜めに延びた後に仕切壁311fを挟んで第三傾斜面311cに沿って延びると共に、前側端部(右側端部)が後側端部の右端部へ向かって右方向へ向かうに従って後方へ向かうように延び、全体として逆へ字状に形成されており、仕切壁311fが第五傾斜面311eの後側端部に沿って形成されている。
【0136】
また、この貯留皿311は、図示するように、第一傾斜面311aの左側端部と前側端部、第四傾斜面311dの前側端部、及び第五傾斜面の前側端部(右側端部)から上方へ立上る外周壁311hを備えており、この外周壁311hにより貯留皿311が皿体310の上面から下方へ所定量凹んだ形態となっている。また、貯留皿311の外周壁311hは、第一傾斜面311a、第四傾斜面311d、及び第五傾斜面311eの前側端部では右方向へ向かうに従って前方へ向かうような緩い円弧状に形成されており、球流入口341から第一傾斜面311a上へ流入した遊技球が、外周壁311hにおける球流入口341と対向する位置と当接すると、第五傾斜面311eの方向へ反射して第五傾斜面311d上へ流通するようになっている。また、第五傾斜面311eは、球流入口341から貯留皿311内へ流入してきた遊技球が登坂可能な緩斜面とされており、第五傾斜面311eの右端部まで登坂した後に、その向きを変えて第四傾斜面311dの方向(左方向)へ流下するようになっている。つまり、本例の貯留皿311は、球流入口341から流入した遊技球を、一旦第五傾斜面311eへ迂回させてから球供給口342への供給路となる第三傾斜面311cへ流入させるようになっている。
【0137】
また、貯留皿311における第六傾斜面311gは、他の傾斜面311a?311eと比較して傾斜角度が急になっており、その下流側となる第三傾斜面311c上で複数の遊技球を球供給口342へ向かって左右方向へ一列に整列させ易くすることができるようになっている。なお、第三傾斜面311cには、ステンレス製のレール体304が装着されるようになっており、流通する遊技球による耐摩耗性を向上させるようにしていると共に、遊技球に帯電した静電気を除去することができるようになっている。
【0138】
更に、貯留皿311の第三傾斜面311cは、図44及び図47に示すように、その右側端部が、斜め右下へ潜り込んだ上で下方へ垂下し後側が開放された溝状に形成されていると共に第一球抜き経路313と連続するように形成されており、第一球抜き経路313と連続することで左右方向に対して折り返すような流路が形成されている。この第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分は、第一球抜き機構350の第一球抜きスライド356により流路が閉鎖されるようになっており、この第一球抜きスライド356に望むように皿奥板340の球供給口342が開口している。これにより、第三傾斜面311cを流下してきた遊技球が、第一球抜きスライド356により流下を遮られることで、球供給口342側へと流通するようになっている。
【0139】
なお、皿体310における第一球抜き機構支持部316には、第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分の横(正面視で右側、図44では左側)に第一球抜きスライド356が左右方向へスライド可能に挿入配置されるスライド溝316a、スライド溝316aを挟んで第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分の反対側には後述する第一球抜きバネ357の下端部を係止する鉤部316bとが形成されている。
【0140】
[1-2C-2.皿ユニット本体]
次に、皿ユニット300における皿ユニット本体320は、図48及び図49に示すように、皿ユニット300の前面を構成し皿体310と下部スピーカユニット390の前面を被覆し上方及び後方が開放された箱状の本体部321を備えている。この本体部321は、正面視で左側の約3/4が前方へ膨出したような形態となっており、この膨出した部分の内側(後側)に下部スピーカユニット390が収容されるようになっている。また、本体部321には、その膨出した部分の前面の中央右寄りで下部スピーカユニット390の下部スピーカ391と対応する位置に貫通するように形成されたスピーカ用開口321aと、スピーカ用開口321aの左側に形成されたダミー開口321bと、ダミー開口321bの左側に形成された第二球抜きボタン用開口321cとが夫々貫通するように形成されている。更に、本体部321には、右下隅部にハンドルベース303を取付けるための楕円形状のハンドルベース取付口321dと、ハンドルベース取付口321dの上側に配置され後述するシリンダ錠1010が臨む錠用開口321eと、ハンドルベース取付口dの左側で前側へ膨出した部分の右側面に開口する区形状のダクト用開口321fと、左右方向の略中央下部に開口する区形状の球排出口321gと、を備えている。
【0141】
また、皿ユニット300における皿ユニット本体320には、本体部321のスピーカ用開口321aとダミー開口321bとを前側から覆う前面裏板322と、前面裏板322のスピーカ用開口322aを通して本体部321のスピーカ用開口321aと対応する前面に配置されパンチングメタルからなり四隅が切り落とされた板状の右カバー323と、右カバー323の前面の略中央に配置され右カバー323よりも小型で表面に金属光沢のメッキ処理が施された板状の右飾りベース324と、右飾りベース324の前面の略中央に配置され右飾りベース324よりも小型で板状の右飾り325と、前面裏板322における本体部321のダミー開口321bと対応する前面に配置されパンチングメタルからなり四隅が切落とされた板状の左カバー326と、左カバー326の前面の略中央に配置され左カバー326よりも小型で表面に金属光沢のメッキ処理が施された板状の左飾りベース327と、左飾りベース327の前面の略中央に配置され左飾りベース327よりも小型で板状の左飾り328と、本体部321のスピーカ用開口321a、ダミー開口321b、及び第二球抜きボタン用開口321cの周縁を装飾する枠状の前面本体329と、を主に備えている。この皿ユニット本体320における前面裏板322には、本体部321のスピーカ用開口321aへ望むように貫通する複数の透孔322aが形成されており、これら透孔322a及び右飾りベース323のパンチング孔(図示は省略)を介して下部スピーカ391からの音を外部へ良好に伝達させることができるようになっている。
【0142】
また、本例の皿ユニット本体320は、左下装飾基板190の前側で本体部321の左端に固定される本体左飾りベース330と、本体左飾りベース330の前面に固定され表面に金属光沢のメッキ処理が施された本体左飾り331と、を更に備えている。この本体左飾りベース330は、透光性を有しており、本体左飾りベース330の後側に配置される左下装飾基板190のLED190aによって発光装飾させることができるようになっている。
【0143】
更に、皿ユニット本体320は、本体部321のダクト用開口321fを覆うパンチングメタルからなる板状のダクト用カバーと、ダクト用カバーが表面から臨むようなダクト用切欠き部333aが形成され、本体部321における前側へ膨出した部分の右側面全体を覆うと共に表面に金属光沢のメッキ処理を施した本体右飾り333と、を更に備えている。
【0144】
また、皿ユニット本体320は、本体部321の上縁に沿って配置され上下方向に貫通する横長のスリット334aを複数有し、表面に金属光沢のメッキ処理が施された本体上飾り334と、本体上飾り334の下側で本体部321内に配置され、本体上飾り334のスリット334a内へ挿入される導光部335aを有した上飾りレンズ335と、上飾りレンズ335の下側に配置され上面に複数のカラーLED336aが実装された皿電飾基板336と、を備えている。この皿電飾基板336のLED336aを適宜発光させることで、上飾りレンズ335を介して本体上飾り334、つまり、皿ユニット本体320の上縁を発光装飾させることができるようになっている。
【0145】
[1-2C-3.皿奥板]
続いて、皿ユニット300における皿奥板340は、図46及び図47等に示すように、全体が横長の板状に形成され、正面視で左上隅部に配置され横長の区形状で前後方向に貫通する球流入口341と、球流入口341よりも右下方向へ所定距離はなれて配置され遊技球が通過可能な区形状で貫通する球供給口342と、球流入口341と連通し後方へ延出する角筒状の賞球連絡樋343と、を主に備えている。この皿奥板340の球流入口341は、図43等に示すように、皿体310の貯留皿311内へ向かって開口すると共に、左右方向の長さが貯留皿311の第一傾斜面311aの長さと略同じ長さとされている。また、球供給口342は、貯留皿311における第三傾斜面331cの右端で第一球抜き機構350の第一球抜きスライド356と対応した位置に配置されている。また、賞球連絡樋343は、球流入口341に対して正面視で左端に偏った位置に配置されていると共に、左右方向の長さが球流入口341の長さに対して約半分の長さとされ、後端が扉枠ベース本体110の賞球通過口111を貫通して後述する満タンユニット900における前方誘導通路920の流下端(前端)の出口921と連通するようになっている。
【0146】
また、皿奥板340は、賞球連絡樋343の前端が球流入口341に対して後方へ所定量控えた位置に配置されており、球流入口341と賞球連絡樋343との間に、球流入口341の左右方向全長に亘って延び遊技球が流通可能な棚部344を更に有している。この棚部344により賞球連絡樋343を流通してきた遊技球を、貯留皿311の第二球抜き口312よりも下流側へ流入させることができるようになっている。
【0147】
更に、奥皿板340は、後述する下部スピーカユニット390の球抜き経路393と対応し略L字状に貫通した球抜き経路用開口345と、球抜き経路用開口345の正面視左上で球流入口341(皿体310における第二球抜き口312)の下側に配置され、後述する第二球抜き機構360のラッチユニット366の後端が挿通される区形状に貫通したラッチ用開口346と、正面視で右上隅部に配置され略区形状に貫通する配線挿通口347と、球流入口341と配線挿通口346との間で奥皿板340の上辺に配置され貸球ユニット301を取付けるための貸球ユニット取付部348と、を備えている。
【0148】
[1-2C-4.第一球抜き機構]
次に、皿ユニット300における第一球抜き機構350は、図44、図45及び図50等に示すように、遊技者が押圧操作する第一球抜きボタン351と、第一球抜きボタン351を上下方向へスライド可能に支持すると共に皿体310の第一球抜きボタン装着口315に対して下側から挿入される第一球抜きボタンベース352と、第一球抜きボタンベース352の上部に皿体310を挟んで第一球抜きボタン351が上方へ突出するように固定される第一球抜きボタン装飾体353と、第一球抜きボタン装飾体353と第一球抜きボタンベース352とで支持された第一球抜きボタン351の下端の正面視で右側(図50では左側)となる皿体311の第一球抜き機構支持部316の位置に支持される回動軸354と、回動軸354に回動可能に軸支され一端側が第一球抜きボタン351の下端部と当接すると共に他端側が下方へ延出した逆L字状の第一球抜きクランク355と、第一球抜きクランク355の他端側の下端と当接可能とされると共に皿体311の第一球抜き機構支持部316に略左右方向へスライド可能に支持され、皿体310の第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分を閉鎖可能な第一球抜きスライド356と、第一球抜きクランク355が所定方向へ回動するように付勢する第一球抜きバネ357と、を備えている。
【0149】
この第一球抜き機構350の第一球抜きスライド356は、皿体310における第一球抜き機構支持部316のスライド溝316a内に挿入配置されることで左右方向へスライドすることができるようになっていると共に、その状態で、第一球抜きクランク355が回動することで第一球抜きクランク355の他端側の下端によって左右方向へスライドさせられるようになっている。この第一球抜きスライド356は、左右方向へスライドすることで先端部が皿体310の第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分の流路内に対して進退することができるようになっており、境界部分へ前進して流路を閉鎖すると第三傾斜面311cを流通してきた遊技球を球供給口342へ供給することができ、境界部分から後退して流路を開放すると第三傾斜面311cを流通してきた遊技球を第一球抜き経路313側へ供給(排出)することができるようになっている。
【0150】
また、第一球抜きクランク355には、回動軸354を挟んで第一球抜きボタン351の下端部と当接する一端側とは反対側に第一球抜きバネ357の上端部を係止する鉤部355aが形成されている。この第一球抜きバネ357は、その上端部を第一球抜きクランク355の鉤部355aに係止すると共に、下端部を皿体310における第一球抜き機構支持部316の鉤部316bに係止することで、第一球抜きクランク355を、第一球抜きスライド356が第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分を閉鎖する位置、及び第一球抜きボタン351が最も上昇した位置となる方向へ回動するように付勢することができるようになっている。
【0151】
この第一球抜き機構350は、遊技者によって第一球抜きボタン351が押圧されると、第一球抜きボタン351の下端部と当接する当接ピン355bを介して、第一球抜きクランク355が第一球抜きバネ357の付勢力に抗してその一端側が下方へ移動する方向へ回動すると共に、その他端側が第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分から遠ざかる方向へ移動する。そして、第一球抜きスライド356が第一球抜きクランク355の下端と共に第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分から遠ざかる方向へと移動し、第一球抜きスライド356の先端が境界部分の流路内から後退して第三傾斜面311cと第一球抜き経路313とが連通した状態となり、第三傾斜面311cつまり貯留皿311内の全ての遊技球を、第一球抜き経路313を介して外部へ排出することができるようになっている。
【0152】
なお、第一球抜きボタン351の押圧を解除すると、第一球抜きバネ357の付勢力により第一球抜きクランク355が回動して、第一球抜きボタン351が上昇すると共に、第一球抜きスライド356の先端が第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分の流路内へ前進してその流路を閉鎖し、第三傾斜面311c上(貯留皿311内)の遊技球を、球供給口342を介して打球発射装置650へ供給することができるようになっている。
【0153】
[1-2C-5.第二球抜き機構]
続いて、皿ユニット300における第二球抜き機構360は、図51等に示すように、皿ユニット本体320における本体部321の第二球抜きボタン用開口321cから前方へ向かって突出する第二球抜きボタン361と、第二球抜きボタン361が先端に嵌合固定され後述する下部スピーカユニット390によって前後方向へスライド可能に支持された第二球抜きスライド362と、第二球抜きスライド362の前後方向の移動を伝達し下部スピーカユニット390により左右方向へ延びる軸回りに回動可能に軸支された棒状の第二球抜きクランク363と、第二球抜きクランク363の回動により皿体310における第二球抜き口312を閉鎖する閉位置と第二球抜き口312を開放する開位置との間で上下方向へ延びる軸周りに回動可能とされた第二球抜きシャッター364と、第二球抜きシャッター364を第二球抜き口312が閉鎖される閉位置へ付勢する第二球抜きバネ365と、第二球抜きバネ365の付勢力に抗して第二球抜きシャッター364を開位置へ保持可能なラッチユニット366と、第二球抜きシャッター364の下面を摺動可能に支持すると共に第二球抜き口312と対応した開口部367aを有し、皿体310の下側に固定される第二球抜きベース367と、第二球抜きスライド362の後端を摺動可能に保持すると共にラッチユニット366を支持し、後述する下部スピーカユニット390のスピーカボックス392と協同して第二球抜きクランク363を回動可能に軸支する第二球抜き機構支持体368(図44及び図47を参照)と、を備えている。
【0154】
この第二球抜き機構360の第二球抜きスライド362には、その後端部に上方へ開放され第二球抜きクランク363の下端部が挿入される伝達溝362aと、後端部から後方へ突出しラッチユニット366の係合爪366aと係合可能な係合突起362bとを備えている。また、第二球抜きクランク363は、略上下方向へ延びた棒状の部材とされ、その下端部が第二球抜きスライド362の伝達溝362a内へ上方から挿入されると共に、上下方向の略中間部分で下部スピーカユニット390のスピーカボックス392により回動可能に軸支されている。而して、第二球抜きスライド362が前後方向へスライドすると、その伝達溝362aのスライドに伴って第二球抜きクランク363の下端部が移動し、第二球抜きクランク363が回動すると共に、第二球抜きクランク363の上端部が下端部とは反対方向へ移動するようになっている。
【0155】
また、第二球抜きシャッター364は、図示するように、第二球抜きスライド362よりも上方に配置され、皿体310の第二球抜き口312及び第二球抜きベース367の開口部367aを閉鎖可能な平面視略半円形状(D字状)で板状の閉鎖部364aと、閉鎖部364aから左右方向の一方(正面視で左方向、図51では右方向)へ延びる棒状の棹部364bとを備えており、全体として略P字状に形成されている。また、この第二球抜きシャッター364は、棹部364bの先端が皿体310と第二球抜きベース367とによって上下方向へ延びる軸周りに回動可能に軸支されていると共に、棹部364bの後側で左右方向の略中間部分に、第二球抜きクランク363の上端部が当接するようになっている。更に、第二球抜きシャッター364における棹部364bの後側基端部分に第二球抜きバネ365の前端部が係止されるようになっている。なお、図示は省略するが、第二球抜きバネ365の後端部は、皿体310の下面から下方へ垂下する係止ボスに係止されるようになっており、第二球抜きバネ365により、第二球抜きシャッター364の閉鎖部364aが第二球抜き口312を閉鎖する閉位置(図51に示す位置)となるように付勢されている。
【0156】
また、第二球抜き機構360の第二球抜きベース367は、開口部367aと第二球抜きシャッター364を軸支する位置との間に、第二球抜きクランク363の上端部が通過可能な前後方向へ延びるスリット367bを備えており、このスリット367bを介して第二球抜きベース367の下側で軸支された第二球抜きクランク363の上端部が、第二球抜きベース367の上面に配置された第二球抜きシャッター364の棹部364bと当接することができるようになっている。なお、第二球抜きベース367は、図示するように、浅い皿状に形成されており、皿体310とで第二球抜きシャッター364を収容する収容空間を形成することができるようになっている。また、第二球抜きシャッター364を収容する収容空間の高さは、遊技球の外径よりも小さく低い高さとされており、第二球抜きシャッター364が回動して第二球抜き口312が開状態となっても、皿体310と第二球抜きベース367との間に遊技球が進入しないようになっている。
【0157】
本実施形態の第二球抜き機構360は、遊技者が皿ユニット本体320の前面から前方へ突出する第二球抜きボタン361を押すと、第二球抜きスライド362が後方へスライドすると共に、第二球抜きスライド362の伝達溝362aに案内されて第二球抜きクランク363の下端部が後方へと移動するように第二球抜きクランク363が回動する。そして、第二球抜きクランク363が回動することでその上端部が下端部とは反対方向の前方へ移動することとなり、第二球抜きクランク363の上端部と当接する第二球抜きシャッター364が、第二球抜きバネ365の付勢力に抗して棹部364bの先端を中心として閉鎖部364aが前方へ移動するように回動する。このようにして閉鎖部364aが前方へ移動して皿体310の第二球抜き口312及び第二球抜きベース367の開口部367aが開放されると、貯留皿311における第二球抜き口312よりも上流側に貯留された遊技球が第二球抜き口312を通って皿ユニット300の下方外部へ排出されることとなる。
【0158】
なお、本例の第二球抜き機構360には、ラッチユニット366を備えており、第二球抜きボタン361を押して第二球抜きスライド362の後端の係合突起362bがラッチユニット366における一対の係合爪366aの間に当接すると、一対の係合爪366aが係合突起362bを挟むように閉じて係合し、第二球抜きバネ365の付勢力に抗して第二球抜きボタン361が押された状態、つまり、第二球抜きシャッター364の閉鎖部364aにより第二球抜き口312が開いた(開放され)位置に保持することができるようになっている。この状態で、第二球抜きボタン361を押すと、ラッチユニット366の一対の係合爪366aが開いて、係合突起362bとの係合が解除され、第二球抜きバネ365の付勢力により第二球抜きシャッター364の閉鎖部364aが第二球抜き口312を閉鎖する位置へと復帰できるようになっている。
【0159】
[1-2C-6.操作ボタンユニット]
次に、皿ユニット300における操作ボタンユニット370は、図52乃至図55等に示すように、皿ユニット300における皿体310の操作ボタン装着凹部314に対して上方から装着固定されるものであり、平面視で正方形の四隅を切落とした八角形状のメインボタン371と、メインボタン371の左右両側に夫々対称に配置され平面視でホームベース形状の左サブボタン372L及び右サブボタン372Rからなる一対のサブボタン372と、メインボタン371とサブボタン372を上下方向へ摺動可能に保持すると共に皿体310の操作ボタン装着凹部314内へ挿入される操作ボタンユニットベース373と、操作ボタンユニットベース373の上面を装飾する板状の操作ボタンユニット装飾部材374と、操作ボタンユニットベース373の下側に固定され操作ボタンユニット370を発光装飾させるカラーLED375aが上面に複数実装された操作ボタンユニット基板375と、を備えている。
【0160】
また、操作ボタンユニット370には、メインボタン371の操作を検出するメインボタンセンサ376と、左サブボタン372Lの操作を検出する左サブボタンセンサ377Lと、右サブボタン372Rの操作を検出する右サブボタンセンサ377Rと、を更に備えている。これらメインボタンセンサ376、左サブボタンセンサ377L及び右サブボタンセンサ377Lは、夫々発光部と受光部とを備えたフォトセンサとされており、操作ボタンユニット基板375の所定位置に夫々固定されている。
【0161】
この操作ボタンユニット370における操作ボタンユニットベース373には、図示するように、平面視で略菱形形状とされ、メインボタン371を上方から収容可能なメインボタン収容凹部373aと、メインボタン収容部373aの内周面に形成されメインボタン371を上下方向へ案内するために上方が開放された上下方向へ延びる複数の案内溝373bと、メインボタン収容凹部373aの底面に形成された略円形状の開口部373cと、メインボタン収容凹部373aの外周に沿って所定幅で開口し下側に配置された操作ボタンユニット基板375のLED375aからの光を上面側へ導く複数の導光用開口部373dと、サブボタン372を上方から収容可能な一対のサブボタン収容凹部373eと、長軸の対角線上隅部に形成されたネジ挿通孔373fと、操作ボタンユニットベース373の上面を形成する板状の天板部373gと、天板部373gの外周に沿って下面から下方へ外周を囲うように垂下する板状の側壁部373hと、を主に備えている。
【0162】
この操作ボタンユニットベース373は、天板部373gと側壁部373hとにより、下面が開放された箱状に形成されており、この天板部373gの所定位置に、メインボタン収容凹部373a、複数(ここでは、八個)の導光用開口部373d、二つのサブボタン収容凹部373e、及び二つのネジ挿通孔373fが夫々開口している。また、操作ボタンユニットベース373は、メインボタン収容凹部373aは、案内溝373bが形成されていないところの厚さが肉厚に形成されており、内壁面と底面の強度・剛性が高められていると共に、メインボタン収容凹部373aの外周に形成された各導光用開口部373dが、夫々上下方向に長い筒状に形成されており、これら筒状の導光用開口部373dの外周壁によってもメインボタン収容凹部373aが補強されている(図53を参照)。
【0163】
また、メインボタン371は、図54及び図55に示すように、メインボタン371の上面を形成し透光性を有したメインボタンレンズ371aと、メインボタンレンズ371aを支持し上下が開放された筒状のメインボタンベース371bと、メインボタンベース371bの下側に配置される振動体371cと、振動体371cを包み込むと共にメインボタンベース371bの下側に取付ビス371dを介して固定される振動体ホルダ371eと、を備えている。なお、図示は省略するが、メインボタン371には、上端がメインボタンベース371aの下側側面に当接すると共に、下端が操作ボタンユニットベース373におけるメインボタン収容凹部373aの底面と当接し、メインボタン371が上昇するように付勢するメインボタンバネを備えている。
【0164】
このメインボタン371におけるメインボタンレンズ371aは、平面視が八角形状で下面が開放された箱状に形成され、表面側が滑らかな形状とされているのに対して、裏面側には複数の小レンズ部が形成されており、操作ボタンユニット基板375のLED375aからの光を広く拡散させて、メインボタン370の表面全体が略均一に発光装飾させることができるようになっている。
【0165】
また、メインボタンベース371bは、図示するように、上端側の外形がメインボタンレンズ371と同様の八角形状とされているのに対して、上下方向の略中間部から下端側が下方へ窄まる円錐形状とされており、下端部が操作ユニットボタンベース373におけるメインボタン収容凹部373aの底面に形成された開口部373cから下方へ延出して操作ボタンユニット基板375の中央に配置されたLED375a群の直上に位置することができるようになっている。また、メインボタンベース371bには、対向する二辺から下方へ延出するメイン係止爪371fと、操作ボタンユニットベース373の案内溝373b内へ挿入される上下方向に延びた複数の案内凸条371gと、を備えている。このメインボタンベース371bのメイン係止爪371fが、操作ボタンユニットベース373におけるメインボタン収容凹部373a内の係止部(図示は省略する)に係止されることで、メインボタン371がメインボタンバネの付勢力によりメインボタン収容凹部373aから抜け出るのを防止することができるようになっている。
【0166】
更に、メインボタンベース371bは、一方のメイン係止爪371fの内側に、振動体ホルダ371e及び取付ビス371dを介して振動体371cを取付けられるようになっていると共に、振動体371cを取付ける部位の内側に、メインボタンセンサ376によって検出される検出片371h(図54を参照)が形成されている。
【0167】
本例のメインボタン371は、メインボタンバネの付勢力に抗してメインボタン371を下方へ押すと、メインボタンベース371bの検出片371hがメインボタンセンサ376の発光部と受光部との間に進入してその操作がメインボタンセンサ376により検出されるようになっている。また、メインボタン371は、メインボタンセンサ376により操作が検出されると、振動体371cが作動するようになっており、振動体371cの作動によってメインボタン371が振動することで、遊技者に対してメインボタン371の操作が受付けられていることを認識させることができると共に、メインボタン371の振動により遊技者を驚かせることができるようになっている。なお、操作ボタンユニット基板375には、実装されたLED375aからの光によってメインボタンセンサ376が誤作動するのを防止するための遮光板375bが取付けられている。
【0168】
また、操作ボタンユニット370のサブボタン372は、平面視が略二等辺直角三角形状で透光性を有したサブボタンレンズ372aと、サブボタンレンズ372aを平面視がホームベース状の上面に支持し操作ボタンユニットベース373におけるサブボタン収容凹部373e内へ上方から収容されるサブボタンベース372bと、サブボタンベース372bとサブボタン収容凹部373eの底面との間でサブボタンレンズ372aの下方に配置されサブボタンベース372bを上昇させる方向へ付勢するサブボタンバネ372cと、を備えている。このサブボタン372のサブボタンベース372aには、サブボタンバネ372cを挟んた前後に下方へ垂下するサブ係止爪372dと、ホームベース状の長辺から下方へ垂下する板状の案内壁部372eと、案内壁部372eの下端から更に下方へ延出する検出片372fと、を備えている。
【0169】
このサブボタン372は、サブ係止爪372dが、操作ボタンユニットベース373におけるサブボタン収容凹部373e内の係止部(図示は省略する)に係止されるようになっており、サブ係止爪372dが係止部に係止されることで、サブボタン372がサブボタンバネ372cの付勢力によりサブボタン収容凹部373eから抜け出るのを防止することができるようになっている。また、サブボタン372は、サブボタンバネ372cの付勢力に抗して下方へ押されると、サブボタンベース372bの検出片372fがサブボタンセンサ377の発光部と受光部との間に進入してサブボタン372の操作がサブボタンセンサ377により検出されるようになっている。
【0170】
更に、操作ボタンユニット370の操作ボタンユニット装飾部材374は、図示するように、平面視形状が略菱形で板状に形成されており、メインボタン371のメインボタンレンズ371a及び二つのサブボタン372のサブボタンレンズ372aが通過可能な開口部374aが形成されていると共に、操作ボタンユニットベース373の導光用開口部373dと対応する位置に透光性を有した装飾部材レンズ374bが備えられている。また、長軸の対角線上隅部には、図示しない取付ビスが上方から挿通可能な取付孔374cが穿設されており、この取付孔374c及び操作ボタンユニットベース373のネジ挿通孔373fを介して所定の取付ビスにより操作ボタンユニット370が皿体310へ取付固定されるようになっている。なお、本例では、操作ボタンユニット装飾部材374の上面には、二つの取付孔374cを隠すネジ隠し378が貼付けられるようになっている。
【0171】
本実施形態の操作ボタンユニット370は、上述したように、操作ボタンユニットベース373が、メインボタン収容凹部373a、導光用開口部373d、及び側壁部373hによって三重の筒状に形成されており、強度及び剛性が高められているので、メインボタン371等を叩いたりして強く操作されても、操作ボタンユニット370が破損し難くなっている。また、操作ボタンユニット370は、皿体310の操作ボタン装着凹部314に対して上方から装着固定されるようになっており、万が一、操作ボタンユニット370が破損したり不具合が発生したりした場合でも、皿体310の上方から簡単に着脱して交換することができるようになっている。更に、操作ボタンユニット370は、皿体310を介してその下側が後述する下部スピーカユニット390のスピーカボックス392に支持(載置)されているので、メインボタン371等からの耐衝撃性や耐荷重性が更に高められており、操作ボタンユニット370のみならず皿ユニット300全体が破損し難くなっている。
【0172】
[1-2C-7.下部スピーカユニット]
続いて、皿ユニット300における下部スピーカユニット390は、図46及び図47に示すように、扉枠ベースユニット100におけるサイドスピーカ電飾ユニット120のサイドスピーカ121よりも大径の下部スピーカ391と、下部スピーカ391を正面視における前面右寄りの位置で、皿ユニット本体320における本体部321のスピーカ用開口321aの後側となる位置に保持する箱状のスピーカボックス392と、を主に備えている。本実施形態の下部スピーカユニット390は、スピーカボックス392の内部空間が開放口392aを通して外部へ開放されたバスレフ型スピーカとされており、下部スピーカ391のスピーカ径に対してより重低音を発することができるようになっている。
【0173】
このスピーカボックス392の開放口392aは、皿ユニット本体320における本体部321のダクト用開口321fに望む位置に形成されており、下部スピーカ391の振動によりスピーカボックス392内を出入りする空気の流れが、ダクト用開口321fを介して出入りするようになっている。また、下部スピーカ391の駆動(振動)によりダクト用開口321fを介して出入りする空気の流れは、ハンドル装置400における操作ハンドル部410の握り部材412,413を通るように形成されており、操作ハンドル部410を操作する遊技者の手に下部スピーカ391からの空気の流れ(風)を当てることができ、遊技者に対してこれまでにない感触を与えて、楽しませることができるようになっている。なお、下部スピーカ391に対して、人間の可聴帯域よりも低い周波数の音響信号を送ることで、ダクト用開口321fから風だけを遊技者に当てることができ、メインボタン371の振動体371cと合わせて、これまでの遊技機にない触感演出を楽しませることができるようになっている。
【0174】
また、スピーカボックス392には、その後面に、皿体310の第一球抜き経路313及び第二球抜き口312の下流に配置され、第一球抜き経路313及び第二球抜き口312を流通してきた遊技球を、スピーカボックス392の左右方向略中央の下部に誘導する球抜き経路393を備えている。この球抜き経路393は、後方が開放された略L字状に形成されており、皿ユニット300における奥皿板340の球抜き経路用開口345を介して扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球抜き経路用開口111を閉鎖する球抜き経路カバー191によって後側が閉鎖されるようになっている。また、球抜き経路393を流通した遊技球は、皿ユニット本体320における本体部321の球排出口321gから、皿ユニット300の下方へ排出されるようになっている。
【0175】
更に、スピーカボックス392には、正面視で左側上部に第二球抜き機構360の第二球抜きスライド362の前端を前後方向へ摺動可能に保持する第二球抜きスライド保持孔394と、第二球抜きスライド保持孔394の後側に配置され第二球抜き機構360の第二球抜き機構支持体368を支持する第二球抜き機構支持部395と、を備えている。これら、第二球抜きスライド保持孔394及び第二球抜き機構支持部395によって、第二球抜き機構360を所定位置に支持することができるようになっている。
【0176】
[1-2C-8.ハンドル装置]
次に、皿ユニット300におけるハンドル装置400は、図56乃至図58等に示すように、扉枠5の開放側下部前面に設けられる操作ハンドル部410と、操作ハンドル部410に対応する扉枠5の裏面に組み付けられて操作ハンドル部410の回動操作に応じて回転する回転軸415と連携され且つ回転軸415の回転運動をスライド運動に変化させるジョイントユニット180と、から構成されている。
【0177】
まず、操作ハンドル部410は、扉枠5における皿ユニット300の皿ユニット本体320における本体部321のハンドルベース取付口321dから前方へ突出するように取付けられる円筒状のハンドルベース303のハンドル支持筒部303aに挿入固定される。このハンドル支持筒部303aは、パチンコ機1の上方から見た平面視で外側(右側)に向くように傾斜して形成されているため、ハンドル支持筒部303aに挿入固定される操作ハンドル部410も平面視で外側に傾斜(換言するならば、パチンコ機1の前面垂直面に直交する線に対してその先端部がパチンコ機1の外側に向かうように傾斜している。)して扉枠5に取付固定されることになる。このように、操作ハンドル部410を平面視で外側に向けて傾斜させることにより、遊技者が操作ハンドル部410を握り易く、回動動作に違和感がなく回動操作が行いやすいという利点がある。そして、本実施形態においては、後述するように、操作ハンドル部410を傾斜設置しても、操作ハンドル部410の回転軸415の回転運動がスムーズに伝達されて打球発射装置650の弾発力を調整することができる構造が採用されている。なお、操作ハンドル部410のハンドル支持筒部303aへの挿入後、ハンドル支持筒部303aと操作ハンドル部410(正確には、後握り部材413)とをビス等で連結して操作ハンドル部410がハンドル支持筒部303aから引き抜きできないようになっている。
【0178】
また、操作ハンドル部410は、図58に示すように、前握り部材412と、後握り部材413と、前握り部材412と後握り部材413との間で回動自在に軸支される回動操作部材414と、回動操作部材414にその一端部が固定される直線円柱状の回転軸415と、回転軸415の他端部に固定されるカム416と、から構成されている。後握り部材413は、ハンドル支持筒部303aに嵌合される小径部と小径部の前方の大径部とが一体的に形成され、その中心に回転軸415が貫通される軸貫通穴418が形成されている。回転軸415が軸貫通穴418に挿通される際には、軸受ブッシュ417が軸貫通穴418の後端に嵌めこまれ、その軸受ブッシュ417に回転軸415が挿通される。一方、軸受ブッシュ417を介して軸貫通穴418に貫通された回転軸415は、後握り部材413の前面側に固定される固定軸受部材423の軸受穴424を貫通して回動操作部材414の中心に形成される軸嵌合穴426に嵌合される。
【0179】
また、後握り部材413の前面側には、タッチセンサ420、発射停止スイッチ422を固定するための突起や取付穴(共に図示しない)が設けられると共に、単発ボタン421が揺動自在に支持される揺動ピン(図示しない)が形成され、それらの突起や取付穴及び揺動ピンにタッチセンサ420、発射停止スイッチ422及び単発ボタン421が取付けられている。そして、それらが取付けられた状態でタッチセンサ420や発射停止スイッチ422からの配線が纏められて後握り部材413の軸貫通穴418の側方に形成される配線通し穴419を有した配線通し筒部428及び配線開口184c(図31を参照)から扉枠5の裏面に導き出され、ハンドル中継端子板194(図24及び図25を参照)に接続されるようになっている。このハンドル中継端子板194からの配線は、上述した下補強板36に沿って取付けられており、後述する払出制御基板1186に電気的に接続されるようになっている。また、固定軸受部材423と回動操作部材414との間には、付勢スプリング425が回転軸415に周設されるように設けられ、この付勢スプリング425が回動操作部材414を常に元の位置に復帰させるようになっている。更に、回動操作部材414の軸嵌合穴426の外側にはスイッチ接触凸部427が突設され、回動操作部材414が付勢スプリング425の付勢力により元位置にある場合に、スイッチ接触凸部427が発射停止スイッチ422のアクチュエータに接触して発射停止スイッチ422をOFFとし、回動操作部材414が遊技者によって回動操作されるとスイッチ接触凸部427が発射停止スイッチ422のアクチュエータと離れてONとする。また、発射停止スイッチ422がONとなっている状態で単発ボタン421が揺動可能になるので、単発ボタン421を押圧することにより、発射停止スイッチ422のアクチュエータをOFF操作することができるようになっている。
【0180】
なお、回動操作部材414の外周表面には、導電性のメッキが施されており、遊技者が回動操作部材414に接触することによりタッチセンサ420が接触を検出するようになっている。そして、遊技者が回動操作部材414を回動して発射停止スイッチ422がONとなり且つタッチセンサ420が接触を検出しているときに打球発射装置650の後述する発射モータ695(図91を参照)が回転駆動されるようになっている。
【0181】
また、回転軸415の先端に固定されるカム416は、勾玉状に形成され、回転軸415の回転にしたがって後述するジョイントユニット180のスライド体182(図31及び図59を参照)のカム当接部182dを押圧して一方向にスライドさせるようになっている。そして、本実施形態においては、この回転軸415の先端に固定されるカム416とジョイントユニット180のスライド体182との連携構造によって前述したような操作ハンドル部410の平面視での傾斜状取付けが可能となっている。
【0182】
上述したように、操作ハンドル部410を扉枠5の前面側からハンドルベース303のハンドル支持筒部303aに挿通支持し、ジョイントユニット180を扉枠5の裏面側からジョイントユニット装着凹部110cに取付けることにより、図56に示すように、回転軸415の先端部に固定されるカム416がスライド体182のカム係合凹部182cに収納されるようになっている。この場合、操作ハンドル部410が平面視で傾斜状に取付けられることにより、カム416も扉枠5の垂直面に対して傾斜状となっているが、カム係合凹部182cが前後方向に所定の空間幅を有しているので、傾斜したカム416の全体をカム係合凹部182cの空間内に収納できるようになっている。また、その収納状態は、図59(A)に示すように、カム416の回転中心がカム当接部182dの側方に位置し、勾玉状のカム416の先端がカム係合凹部182cの下方空間内に位置するようになっている。
【0183】
上述した状態で操作ハンドル部410の回動操作部材414を遊技者が回動操作すると、回転軸415が回動し、それにつれてカム416も回転するので、図59(B)に示すように、カム係合凹部182cのカム当接部182dとカム416の一側外形面(回転前方の外形面)との当接によってスライド体182が一方向(図59の場合には、図示の右側方向)にスライド移動する。つまり、回転軸415の回転運動がスライド体182のスライド運動に変換される。このため、図59(A)に示す初期状態(回動前)におけるカム416の回転中心とスライド体182のスライド突片183の進行方向の端辺との距離S1が、カム416の最大限の回転によって距離S1よりも大きな距離S2となる。つまり、スライド体182のスライド突片183が「S2-S1」の距離だけスライドすることになる。そして、ジョイントユニット180のスライド突片183のスライド移動が、図57、図60、図61に示すように、打球発射装置650のスライド部材710に伝達されて打球発射装置650の付勢バネ684(図91を参照)の張力を調節し、もって打球槌687の付勢力の強弱を調整して遊技者の望む打球の弾発力を得ることができる。なお、ハンドル装置400と打球発射装置650との関係については、打球発射装置650についての説明の後で詳細に説明する。
【0184】
なお、操作ハンドル部410の内部から配線通し穴419、配線通し筒部428及び配線開口184cを通って扉枠5の裏面に導出された配線は、扉枠5の裏面下辺に沿って軸支側に引き回され、その後、本体枠3の裏面側に取付けられる基板ユニット1100に集約して取付けられる払出制御基板1186の操作ハンドル用端子1194(図132を参照)に接続されるようになっている。
【0185】
[1-2C-9.皿ユニットの作用効果]
続いて、本実施形態の皿ユニット300の貯留皿311内における遊技球の流れについて図62及び図63を主に参照して説明する。本例では、後述する賞球ユニット800から払出された遊技球が、満タンユニット900、奥皿板340の賞球連絡樋343を介して球流入口341から貯留皿311内へ流入するようになっており、球流入口341から流入した遊技球が、初めに第一傾斜面311aへと流入するようになっている。この第一傾斜面311aは、前側及び正面視右側が低くなるように形成されており、球流入口341から第一傾斜面311aへ流入した遊技球は、第一傾斜面311aの傾斜に沿って貯留皿311の前側外周を囲う外周壁311hの球流入口341と略対向する位置と当接することとなる。外周壁311hのこの位置は、球流入口341が形成された皿裏板340の面に対して曲線状に傾斜しており、外周壁311hに当接した遊技球は、正面視で右方向へ反射するようになっている。
【0186】
そして、球流入口341から貯留皿311内へ流入して外周壁311hで右方向へ反射した遊技球は、第四傾斜面311dを越えて第五傾斜面311eへと進入する。この第五傾斜面311eは、正面視で左側、つまり、第四傾斜面311d側が低くなると共に、その傾斜角度が第一傾斜面311aから進入してきた遊技球が登坂可能な緩い斜度とされており、第四傾斜面311dを越えて第一傾斜面311aから進入してきた遊技球が、第五傾斜面311eを上りながら第五傾斜面311eの上部(平面視で右側端部)へと流通することとなる。また、この第五傾斜面311eは、前側から右側端部を巡って後側までが外周壁311hと仕切壁311fとによって仕切られており、第五傾斜面311eへ進入した遊技球は、その周りを囲う外周壁311h及び仕切壁311fに略沿うように第五傾斜面311e内を巡って第五傾斜面311eの左側に配置された第四傾斜面311d側へ戻るようになっている。
【0187】
第五傾斜面311eから第四傾斜面311dへ進入した遊技球は、第四傾斜面311dの傾斜に従って第四傾斜面311dの後側にある第二傾斜面311bへと流通し、更に、第二傾斜面311bから右側の第三傾斜面311cへと進入して、第三傾斜面311cの下流端に配置された皿裏板340の球供給口342から球発射装置650へと供給されるようになっている。つまり、球供給口341から貯留皿311内へ流入した遊技球は、第一傾斜面311aから第二傾斜面311bを介して直接第三傾斜面311cへ向わずに、第一傾斜面311aから第四傾斜面311dを介して第五傾斜面311eへ一旦進入した上で、第四傾斜面311e及び第二傾斜面311bを介して第三傾斜面311cへ至るようになっており、球流入口341から流入した遊技球を迂回させることができるようになっている。
【0188】
これにより、貯留皿311の全体を有効に使って複数の遊技球を貯留することができ、従来のパチンコ機のように貯留の少ない状態で貯留され遊技球が球流入口341を塞いでしまうことで、満タンユニット900の満タンスイッチ916が作動して、遊技球の払出しが停止してしまったり、球発射装置650での遊技球の発射動作が停止してしまったりして遊技が中断してしまうのを良好に防止することができるようになっている。
【0189】
ところで、本例の皿ユニット300の貯留皿311に多くの遊技球が貯留されることで球流入口341が貯留された遊技球によって閉鎖されて、皿裏板340の賞球連絡樋343と賞球ユニット800との間に配置された満タンユニット900内で遊技球が滞留すると、満タンユニット900の満タンスイッチ916が作動して、賞球ユニット800からの遊技球の払出しを停止したり、球発射装置650での遊技球の発射動作を停止したりするようになっており、特に球発射装置650の発射動作が停止されると遊技を中断せざる負えなくなるので、遊技者は、貯留皿311に貯留された遊技球が適宜の量となったら第一球抜きボタン351や第二球抜きボタン361を操作して、貯留皿311から遊技球を皿ユニット300の下方に配置した容器(例えば、ドル箱)へ排出する必要がある。なお、本例では、満タンスイッチ916が作動すると、貯留皿311内が満タンである旨を遊技者に案内してから球発射装置650の発射動作を停止させるようになっている。
【0190】
この貯留皿311内から遊技球を排出するには、皿ユニット300の上面に配置された第一球抜きボタン351を操作する(押す)と、第一球抜き機構350の第一球抜きスライド356がスライドして、第三傾斜面311cの下流端と第一球抜き経路313との間の閉鎖を解除し、第三傾斜面311cの遊技球を第一球抜き経路313へと流下させ、球抜き経路393を介して球排出口321gから皿ユニット300の下方へと排出することができるようになっている。この第一球抜きボタン351の操作により、貯留皿311における最も低い位置となる第三傾斜面311cの下流端から遊技球を抜くことができるので、貯留皿311内から全ての遊技球を排出することができるようになっている。しかしながら、第一球抜きボタン351の操作による球抜きでは、第三傾斜面311cにおいて遊技球が一列に整列されるので、球抜きに時間がかかる問題がある。
【0191】
そこで、皿ユニット300の前面左側に配置された第二球抜きボタン361を操作する(押す)と、第二球抜き機構360の第二球抜きシャッター364が移動して貯留皿311内の第二球抜き口312が開放され、貯留皿311内における第二球抜き口312よりも上流側の遊技球が第二球抜き口312を通り、球抜き経路393を介して球排出口321gから皿ユニット300の下方へと排出することができるようになっている(図62(B)を参照)。この第二球抜き口312は、図示するように、遊技球の外径よりも数倍大きい開口とされており、一度に多くの遊技球を素早く排出することができるようになっている。従って、第一球抜きボタン351と第二球抜きボタン361の二つのボタンの存在により、遊技者に対して球抜きにかける時間の長短を選択させることができるようになっている。また、遊技中に大当りとなった場合に皿ユニット300に大量の球が払出されることになり、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる満タンスイッチ916(図111を参照)の機能が作動して払出動作が停止されたり弾発動作が停止されて大当り中であるにもかかわらず遊技球の打球動作が停止して遊技が継続できなくなったりする虞れがあり、このような場合に、第二球抜きボタン361の操作を行うことにより、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に発射位置への球の供給を維持して大当り中の遊技を継続することができるようになっている。
【0192】
また、本例の皿ユニット300では、第二球抜きボタン361を操作すると、第二球抜き機構360のラッチユニット366により、第二球抜きシャッター364が開位置で保持され、第二球抜き口312が開いたままの状態とすることができるようになっている。この状態で第二球抜き口312よりも上流側の遊技球が排出されて、第一傾斜面311a上の遊技球が殆どなくなると、球流入口341から流入する遊技球は、上述したように、外周壁311hで反射して第五傾斜面311eの方向へ流通しようとし、第四傾斜面311dや第五傾斜面311e、及び第二球抜き口312よりも下流側の第二傾斜面311bや第三傾斜面311c上に遊技球が供給されるようになっている。従って、球発射装置650の発射動作により第三傾斜面311c上の遊技球が消費されても、球流入口341から貯留皿311内へ遊技球が流入して来る限り、第二傾斜面311b、第四傾斜面311d、及び第五傾斜面311eを介して第三傾斜面311cへ遊技球が供給されると共に、遊技球の発射動作を停止させて流入してきた遊技球が多くなれば第二球抜き口312から輩出されることとなるので、第二球抜き口312を開放したままでも、常に貯留皿311内に一定量の遊技球を確保して、遊技を継続させることができるようになっている。つまり、大当り遊技中等の遊技球の払出しが連続するような状態でも、貯留皿311内の遊技球の量を気にすることなく遊技を続けることができるようになっている。
【0193】
本例の皿ユニット300では、皿体310の貯留皿311は、図63等に示すように、その底面が第一傾斜面311a、第二傾斜面311b、第三傾斜面311cが連続して正面視で右方向(球供給口342)へ向うに従って低くなるようになっているのに対して、皿奥板340の球流入口341は、略水平に左右方向へ長く延びた矩形状とされているので、蓋然的に、貯留皿311の底面と球流入口341の底辺との間に段差が形成されるようになっていると共に、その段差が正面視右方向へ向うほど大きくなるようになっている。この貯留皿311の底面と球流入口341の底辺との間の段差は、球流入口341の左端では殆ど段差がない状態となっており、球流入口341の右端では遊技球の外径よりも若干高い段差となっている。これにより、賞球連絡樋343を介して前後方向へ略真直ぐに流入してきた遊技球は、主に段差の少ない球流入口341の中央寄りも左側の部分を通って貯留皿311内へ流入することとなるので、段差の少ない分、球流入口341から貯留皿311へ落下する遊技球の位置エネルギー(落下エネルギー)も小さく、貯留皿311へ与える負荷を軽減させて貯留皿311が破損するのを防止することができるようになっている。
【0194】
ところで、貯留皿311内での遊技球の貯留量が多くなって第一傾斜面311a上にも多くの遊技球が貯留されるようになると、賞球連絡樋343を介して球流入口341から貯留皿311内へ流入する遊技球が、貯留皿311内に貯留された遊技球を横から押すような形となり、各遊技球に横方向の力が作用することで遊技球同士が押し合った状態となる。その状態で、球供給口342を介して貯留皿311(第三傾斜面311c)内の遊技球が消費されると、第三傾斜面311cの上流付近(第二傾斜面311b)で遊技球の流路の幅が狭くなると、遊技球同士が押し合って遊技球の流動性が低下し球詰りが発生する場合があるが、本例では、上述したように、球流入口341が左右方向へ延びた矩形状とされているので、賞球連絡樋343からの遊技球が棚部344を通って第二傾斜面311bへ直接流入し、第三傾斜面311cへ遊技球を供給することができるようになっている(図62(B)を参照)。
【0195】
また、球流入口341の左右方向中央よりも右側の部分は、球流入口341の下辺が貯留皿311の底面に対して遊技球の外径よりも高くなっているので、棚部344を介して貯留皿311内へ流入する遊技球が、貯留皿311内に貯留された遊技球の上側に流入することとなり、遊技球同士が横方向へ押し合うのを抑制して遊技球の流動性が低下すのを防止することができると共に、上から流入する遊技球により下側の遊技球(特に皿奥板340の前面と当接した遊技球)は横方向への移動が促され、自然と球詰りを解消させることができるようになっている(図63を参照)。
【0196】
このように、本例の貯留皿300は、貯留皿311内に貯留された遊技球の量が多くなっても、賞球ユニット800から払出された遊技球を、横長の球流入口341の棚部344を介して貯留皿311内に貯留された遊技球の上側へ流入させるようにしているので、貯留皿311内で遊技球の球詰りが発生するのを良好に防止することができ、貯留皿311内の遊技球を気にすることなく遊技を継続させて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
【0197】
[1-2D.ガラスユニット]
次に、扉枠5におけるガラスユニット450について、主に図64乃至図66を参照して説明する。図64はガラスユニットの正面斜視図であり、図65はガラスユニットを分解して前から示す分解斜視図であり、図66は図65を後から示す分解斜視図である。このガラスユニット450は、図示するように、遊技窓101よりも大きな開口を有し合成樹脂で成型した環状で縦長八角形状のユニット枠451と、ユニット枠451の開口の前後端を夫々閉鎖する二枚の透明なガラス板452と、二枚のガラス板452の間でユニット枠451の内周に添って配置される帯状のガラス装飾基板453と、を備えている。
【0198】
このガラスユニット450におけるユニット枠451は、後方側が開放されガラス装飾基板453が挿入される基板挿入溝451aと、基板挿入溝451aからユニット枠451の内周側へ向って開口する複数の開口部451bと、ユニット枠451の前後方向略中央の外周に形成された係止溝451cと、正面視で左側上端より左方向へ突出する端子板支持部451dと、上下方向中央に対して上寄りの外周位置から左右方向へ夫々突出する止め片451eと、下辺の両端から左右方向外方へ夫々突出する係止突起451fと、を備えている。
【0199】
また、ガラスユニット450におけるガラス装飾基板453は、帯状で可撓性を有しており、表面側(ユニット枠451の内面側)にユニット枠451の開口部451bと対応する位置に複数のカラーLED453aが実装されており、ガラス装飾基板453をユニット枠451の基板挿入溝451a内へ挿入すると、LED453aが開口部451bを介してユニット枠451の内面側へ臨むようになっている。
【0200】
更に、ガラスユニット450は、ガラス装飾基板と接続されユニット枠451の端子板支持部451dに支持されるガラス装飾中継端子板454と、ガラス装飾中継端子板454にガラス装飾基板453の端部を固定する基板押え455と、ガラス装飾中継端子板454を支持したユニット枠451の端子板支持部451dを覆う端子板ホルダ456と、を更に備えている。
【0201】
このガラスユニット450は、ユニット枠451の基板挿入溝451a内にガラス装飾基板453が挿入された状態で、ユニット枠451の前後にガラス板452が夫々接着固定されている。そして、このガラスユニット450は、ユニット枠451の外周下辺に形成された係合溝451cが補強板金140の垂直折曲突片151と係合すると共に、ユニット枠451の外周縁と止め片451e及び係止突起451fとが扉枠ベース本体110のガラスユニット支持段部110a内に後側から嵌合された上で、止めレバー196により扉枠5に対して脱着可能に取付けられるようになっている。
【0202】
また、ガラスユニット450は、ガラス装飾基板453のLED453aを適宜発光させることで、二つのガラス板452の間を発光装飾させることができるようになっており、これまでのパチンコ機とは異なる雰囲気(ムードのある)の遊技窓101を有したパチンコ機1とすることができるようになっている。
【0203】
[1-2E.防犯カバー]
続いて、扉枠5における防犯カバー470について、主に図21及び図22を参照して説明する。この防犯カバー470は、上記したガラスユニット450の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与されたものであり、図示するように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金142,143の間のガラスユニット450の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部が遊技盤4の内レール603の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部471として形成されていると共に、その当接凹部471に沿って後方に向って防犯後突片474が突設されている。また、防犯カバー470を取付けた状態で軸支側裏面には、防犯後端部突片475が斜め状に突設形成されている。一方、防犯カバー470の前面には、防犯カバー470を取付けた状態でガラスユニット450におけるユニット枠451の下方形状に沿った防犯前突片472が突設されると共に、下部両端にU字状に形成される装着弾性片473が前方に向けて突設形成されている。
【0204】
上記のように構成される防犯カバー470は、装着弾性片473を扉枠ベースユニット100に形成される装着開口部116に装着することにより、扉枠5の裏面側に着脱自在に取付けられる。そして、取付けた状態では、図示は省略するが、防犯前突片472がガラスユニット450のユニット枠451の後方下片面と対面するようになっている。また、防犯前突片472の前端は、垂直折曲突片151と当接している。また、防犯後突片474及び防犯後端部突片475は、後方へ突出した状態となっているが、扉枠5を閉じたときに、防犯後突片474の軸支側の半分は、遊技盤4に固定される内レール603の下側面に侵入して対面した状態となるが、防犯後突片474の開放側の半分は、前構成部材601の内レール603に形成されたレール防犯溝607に挿入された状態となり、また、防犯後端部突片475は、本体枠3の軸支側に形成される防犯突起608の上面に沿って重合状の位置となる(図76を参照)。
【0205】
而して、防犯カバー470を取付けて扉枠5を閉じた状態においては、前述した扉枠突片110dと係合溝584,585とによる防犯構造、及び後述する防犯突片166と防犯空間586とによる防犯構造に加えて、ガラスユニット450の下方から不正具を侵入させようとしても、防犯前突片472とユニット枠451との重合により、防犯カバー470の前面下方方向からの不正具の侵入が防止され、防犯後突片474と前構成部材601を構成する内レール603との重合により、防犯カバー470の後面下方方向からの不正具の侵入が防止される。特に、扉枠5の軸支側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、防犯突起608と防犯後端部突片475との重合構造によって外レール602への不正具の侵入が阻止され、さらに内レール603と防犯後突片474との重合構造によって遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができるようになっている。
【0206】
また、同様に、扉枠5の開放側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、前述した開放側補強板金143の二重の折曲突片153,154による防犯構造に加えて、レール防犯溝607と防犯後突片474との凹凸係合によりさらに遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。なお、防犯カバー470の裏面側の防犯後突片474と防犯後端部突片475との間の垂直面は、扉枠5を閉じた状態で外レール602と内レール603とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うものであるため、誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板452への衝突を防止する機能も有している。
【0207】
[1-3.本体枠]
次に、パチンコ機1における本体枠3について、図67乃至図75を参照して説明する。図67は、部品を取付ける前の本体枠主体500の正面図であり、図68は、部品を取付ける前の本体枠主体500の背面図であり、図69は、部品を取付ける前の本体枠主体500の側面図であり、図70は、部品を取付ける前の本体枠主体500の背面から見た斜視図であり、図71は、部品を取付けた本体枠3の前方から見た斜視図であり、図72は、部品を取付けた本体枠3を外枠2に軸支した状態を前方から見た斜視図であり、図73は、部品を取付けた本体枠3の背面図であり、図74は、部品を取付けた本体枠3の背面から見た斜視図であり、図75は、パチンコ機1の中程(主制御基板ボックス624部分)の水平線で切断したパチンコ機の断面平面図である。
【0208】
本実施形態の本体枠3は、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、打球発射装置650と、賞球を払い出すための賞球タンク720とタンクレール部材740と球通路ユニット770と賞球ユニット800(本発明の払出ユニットに相当)と満タンユニット900と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う錠装置1000と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板1136等が一纏めに設けられている基板ユニット1100と、後面開口580を覆うカバー体1250と、等の各種の部品が装着される本体枠主体500を備えている。
【0209】
まず、上記した各種の部品が装着される本体枠主体500及び各種の部品が装着された本体枠3について説明する。図67において、本体枠主体500の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具503及び下軸支金具509(共に図71を参照)を取付けるための軸支金具取付段部501,502が形成され、この軸支金具取付段部501,502に上軸支金具503及び下軸支金具509を取付けた状態では、本体枠主体500の上辺及び側辺が上軸支金具503の上辺及び側辺と略同一平面状となり、本体枠主体500の下辺及び側辺が下軸支金具509の下辺及び側辺と略同一平面状となっている(図73を参照)。ここで、上軸支金具503と下軸支金具509について図71と図73を参照して説明する。上軸支金具503は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその上端辺が前方に突出し、その前方に突出した上面に軸支ピン504が立設固定され、その軸支ピン504の側方に扉軸支穴505が穿設されている。
【0210】
一方、下軸支金具509は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその下端辺及びやや上部に2つの支持板506,507が一体的に突設されている。下方に位置する支持板506は、本体枠3を外枠2の下支持金具66に支持するための枠支持板506を構成するものであり、上方に位置する支持板507は、扉枠5の下軸支部148を本体枠3に支持するための扉支持板507を構成するものである。このため、枠支持板506に外枠2の下支持金具66の支持突起68を挿入するための軸支穴(図示しない)が形成され、扉支持板507に扉枠5の下軸支部148に突設される軸ピン147を挿入するための軸支穴508が穿設されている。
【0211】
ところで、本体枠主体500は、正面から見た場合に、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部510(図71を参照)となっており、その遊技盤設置凹部510の下方のやや奥まった領域が板部511となっている。また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部及び前面開放側辺部は、扉枠5の裏面と対面するように所定幅を有して形成されており、前面上辺部には、横方向に平行状に突設される突起によって上部防犯二重溝581が形成され、正面から見て右側の前面開放側辺部には、外側に側部防犯溝582が形成されると共に内側に後端が第一側面壁540に接続される傾斜面となっている内壁によって形成される防犯凹部583が形成され、正面から見て左側の前面軸支側辺部は、前面上辺部や前面開放側辺部と異なり扉枠5の裏面と対面する所定幅を有するように形成されていないが、本体枠主体500の前面軸支側辺部が前面上辺部や前面開放側面部に比べて前方への突出量が多い軸支辺部587(図110を参照)となっている。
【0212】
より詳細に説明すると、前面上辺部に形成される上部防犯二重溝581は、扉枠5の上辺部裏面に取付固定される上側補強板金141の両長辺端を後方に向って折曲される折曲突片155,156が夫々挿入されるようになっているものである。また、前面開放側辺部に形成される側部防犯溝582及び防犯凹部583は、扉枠5の開放部裏面に取付固定される開放側補強板金143の両長辺端を後方に向って折曲される開放側外折曲突片153及び開放側内折曲突片154が夫々挿入されるようになっているものである。更に、前面軸支側辺部の軸支辺部587には、扉枠5の軸支側裏面に取付固定される軸支側補強板金142の軸支側L字状折曲突片157の先端部が当接するようになっている。
【0213】
そして、上記した構造によって扉枠5と本体枠3との当接面の隙間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を防止することができ、特に、最も不正行為が行われやすい開放側辺部や次いで不正行為が行われやすい上辺部における不正行為の防止をはかることができる構造となっている。もちろん、軸支側における軸支側補強板金142と軸支側L字状折曲突片157との当接による不正行為の防止も充分に機能するが、多くの場合、軸支側は、頑丈な支持金具45,66と軸支金具503,509とで本体枠3と扉枠5とが連結されているため、上辺部及び開放側辺部に比べて本体枠3と扉枠5との間に隙間が作り難い。このため、本実施形態においては、二重の防犯構造ではなく、一重の防犯構造としている。これらの点については、後に詳述する。
【0214】
また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部、前面開放側辺部、及び前面軸支側辺部には、上記した構成以外に前面開放側辺部の上部、中間部、下部に本体枠3の開放側裏面に取付けられる後述する錠装置1000に設けられる扉用フック部1041(図121を参照)を貫通させて前方に飛び出させるための扉用フック穴549が開設されており、また、前面軸支側辺部の内側面に遊技盤4に形成される位置決め凹部611と係合するための盤位置決め突起576が設けられている。更に、前面軸支側辺部の盤位置決め突起576のやや下方位置の内側前方面に、扉枠5を閉じた状態で軸支側補強板金142の軸支側L字状折曲突片157の先端が挿入される上下2つの規制突起577が突設されている。この規制突起577の作用については前述した通りである。また、図67に示すように、開放側の平面部分と遊技盤設置凹部510との境目の上下に遊技盤4に設けられる遊技盤止め具614の端部が係合される盤止め具挿入穴578が形成されている。
【0215】
次に、板部511の構成について図67乃至図72を参照して説明する。板部511の上面は、遊技盤4を載置するための遊技盤載置部512となっており、その遊技盤載置部512の略中央に遊技盤4を載置したときに、遊技盤4に形成されるアウト口606(図76を参照)の下面を支持する通路支持突起513が突設されている。また、図67に示すように、板部511の前面の中央部から開放側の端部に向かってレール取付ボス514が所定間隔を置いて突設され、このレール取付ボス514に発射レール515(図71を参照)がビス止め固定されている。また、発射レール515の先端位置に対応する板部511の前面には、レール接続部材516が突設され、遊技盤設置凹部510に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の内レール603の下流端である接続通路部609(図76を参照)と隣接するようになっている。
【0216】
また、レール接続部材516の側方位置(発射レール515と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具519(図71を参照)の上端部を取付けるための固定具取付ボス517が突設され、その斜め下方にストッパー518が突設されている。即ち、遊技盤固定具519は、固定具取付ボス517を中心にして回転自在に設けられ、遊技盤載置部512に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具519を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。また、遊技盤を取り外す場合には、遊技盤固定具519を反時計方向に回して取り外すことにより、簡単に行うことができる。この場合、遊技盤固定具519はストッパー518により反時計方向の余分な回転ができないようになっている。
【0217】
また、板部511の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部520が形成されており、この発射装置取付部520に本体枠主体500の裏面から打球発射装置650が固定されている。この点については、後に詳述する。上記した発射装置取付部520の前面壁部分には、前述したジョイントユニット180のスライド突片183と連携されるスライド部材710(図95を参照)が収納されるハンドル連結窓522が形成され、そのハンドル連結窓522の隣接する位置に打球槌687の軸受689(図91を参照)の端面が臨む軸用穴523が開設されている。また、発射装置取付部520の上壁部分には、打球発射装置650の打球槌687が上方に突出するための槌貫通開口521が切欠形成され、その槌貫通開口521の斜め上方の板部511の前面に錠装置1000のシリンダ錠1010が貫通するシリンダ錠貫通穴526が開設されている。
【0218】
一方、板部511の裏面には、図68に示すように、軸支側の上部から板部511の中央部分に向けて延設された後下方に向かう球抜排出通路524が形成されている。この球抜排出通路524は、後述する球抜接続通路880(図71を参照)から排出される球をパチンコ機1の下方から島の内部に排出するためのものである。また、上述した発射装置取付部520の上方には、円柱状の案内突起525が後方に向かって突設され、この案内突起525に後述する基板ユニット1100の案内孔1212(図128を参照)が差し込まれて基板ユニット1100の取付けを容易にしている。また、基板ユニット1100をビスで取付けるための取付穴部527が板部511の左右上下に形成され、この取付穴部527に基板ユニット1100の取付片1122を対応させてビスで止着する。また、発射装置取付部520の凹状の内部には、打球発射装置650を取付けるための発射装置取付ボス529が後方に向かって突設され、更に、開放側の最下端部には、図70に示すように、本体枠3を外枠2に対して閉じる際に、装飾カバー板15の上面に当接しながら本体枠3の閉止動作を案内するために先端が先細状で縦長形状の案内突片528が後方に向かって突設されている。
【0219】
板部511には、以上説明した構成以外に、図70に示すように、軸支側の端部上面に球抜排出通路524の上流端の開口である球抜接続開口530が形成されている。この球抜接続開口530に球抜接続通路880の下流端が接続されるようになっている。また、球抜接続開口530に隣接する部分は、後に詳述する満タンユニット900(図71を参照)を載置するための満タンユニット載置部531が板部511と直交するように水平状に形成され、その満タンユニット載置部531の前方部分に満タンユニット900の係合片924(図111を参照)と係合するユニット係合溝532が形成されている。更に、図71に示すように、満タンユニット載置部531の前方の板部511の前面には、扉枠5の開放時に満タンユニット900の出口921から排出される賞球を堰き止める出口開閉装置579が設けられている。
【0220】
この出口開閉装置579については、詳細に説明しないが、扉枠5が閉じているときには、扉枠5の裏面に当接するレバーによって開閉板が下降した状態となっているが、扉板5が開放されるとレバーへの当接がなくなるため開閉板が上昇して出口921を閉塞するものである。このため、扉枠5の開放時においても満タンユニット900内に貯留された賞球が出口921から零れ落ちることがない。また、図71に示すように、板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている。この締結連杆534は、本体枠3からの遊技盤4の取り外しを防止するための機構である。
【0221】
次に、遊技盤設置凹部510の構成について説明する。遊技盤設置凹部510は、軸支側の内側面及び上記した上辺部及び開放側の鍔面部から後方へ周設される第一側面壁540と、第一側面壁540から後方に周設される第二側面壁541と、第二側面壁541から後方に周設される第三側面壁542と、第三側面壁542から後方に周設される第四側面壁543、とにより、本体枠3の左右側辺及び上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。
【0222】
なお、第一側面壁540?第四側面壁543は、背面から見て上辺及び右辺(軸支側の辺)が段差をもって後方に真っ直ぐに延長されるように形成されるのに対し、左辺(開放側の辺)が第一側面壁540から第四側面壁543に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図75を参照)に形成される。これは、左辺(開放側の辺)の第一側面壁540から第四側面壁543までを後方に真っ直ぐ形成したときに、本体枠3を開放する際に、第四側面壁543の最後端部が外枠2の側枠板13の内面と当接してスムーズに開放できない場合があるため、開放側の第一側壁面540から第四側面壁543までが内側傾斜状とすることによりスムーズに開放することができるようにしたものである。
【0223】
また、それと同時に開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取付けられるが、その取付けを第一側面壁540の後端辺に設けられる錠取付穴547(図117を参照)を利用して行うため、その錠取付穴547を形成するためにも開放側の第一側面壁540から第四側面壁543を傾斜段差状に形成したものである。更に、第一側面壁540?第四側面壁543の段差の寸法も、第一側面壁540と第二側面壁541との段差は、後述する遊技盤4の裏面の周辺と当接する必要があるため、ある程度大きな段差をもって形成されるが、それ以外の段差は、極めて小さな段差となっている。もちろん、第二側面壁541?第四側面壁543までは段差を形成することなく連続的に形成してもよい。
【0224】
そして、上記した側面壁540?543は、図69に示すように、夫々奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約135mmとなっている。特に、第一側面壁540の幅寸法d1は、遊技盤4の厚みに相当し、残りの第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間に遊技盤4に設けられる各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。
【0225】
つまり、第一側面壁540は、遊技盤4の厚さと略同じ奥行寸法を有する前側面壁を構成し、第二側面壁541?第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部裏面と当接する段差部を有して第一側面壁540から後方に向かって略第一側面壁540と平行状に延設され且つ遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁を構成するものである。特に、本実施形態の場合には、図4に示すように、第二側面壁541?第四側面壁543のすべての部位の後方への突出量が、本体枠3の裏面側上部に固定される賞球タンク720の球を貯留する貯留部728の後面壁722と略同じ位置となるように形成されている。
【0226】
これにより、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4の略全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。
【0227】
また、図68及び図70に示すように、第四側面壁543の後端辺からは背面から見てその左辺(開放側)、上辺及び右辺(軸支側)に、開放側後面壁544、上後面壁545及び後面壁としての軸支側後面壁546が夫々パチンコ機の正面と平行となるように内側に向かって突設されている。軸支側後面壁546は、その前面が平板状(図67を参照)となっており、その後面に球払出機構を構成する後述の球通路ユニット770と賞球ユニット800とが着脱自在に取付けられるようになっている。従って、軸支側後面壁546の内側への突出幅寸法は、球通路ユニット770と賞球ユニット800とを取付ける幅があれば充分である。
【0228】
また、上後面壁545は、その前面が平板状(図67を参照)となっており、その後面に後述するタンクレール部材740が取付けられるため、その下端辺が傾斜状に形成されている。従って、上後面壁545の内側への突出幅は、傾斜状に取付けられるタンクレール部材740の高さ幅寸法があれば充分である。更に、開放側後面壁544には、その前面が平板状(図67を参照)となっており、その後面に後述するカバー体1250を軸支するカバー体支持筒部575が形成されている。したがって、開放側後面壁544の内側への突出幅寸法は、カバー体支持筒部575を形成する幅寸法があれば充分である。
【0229】
上述したように、第四側面壁543の後端辺から内側に向かって突設される開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の前面が平板状に形成され、この平板状部分が遊技盤4の周辺部に対応するものであるため、上記したように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4の略全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の内側は、後面開口580となっており、この後面開口580が後述するカバー体1250によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
【0230】
次に、遊技盤設置凹部510の更に詳細な構成について説明すると、前述したように、開放側の平面部分には、錠装置1000の扉枠用フック部1041が貫通する扉用フック穴549が上中下の3箇所開設されているが、その上下の扉用フック穴549のさらに上中下に錠装置1000の後述する係止突起1004が係合される錠係止穴548(図68を参照)が形成されている。また、開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取付けられるが、その取付けをビスで行うための錠取付穴547(図68を参照)が第一側面壁540の後端部の上部と中程に形成されている。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003とシリンダ錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させてビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取付けられるようになっている。
【0231】
また、図70に示すように、第一側面壁540の上辺前方の左右には、本体枠3を外枠2に対して閉止する際に、外枠2の上枠板10の内周面と当接する案内円弧突起552が突設され、第一側面壁540の後端辺中央に後述する賞球タンク720の切欠部729と連通する逃げ凹部551が形成され、第一側面壁540と第二側面壁541と接続する垂直面にタンク取付溝550が形成されている。そして、このタンク取付溝550に賞球タンク720の取付鍔部733を取付けたときには、図74に示すように、賞球タンク720の切欠部729が逃げ凹部551と連通して賞球タンク720内に貯留された球の球圧が増加したときに圧抜きして球詰まりが発生しないように機能する。また、賞球タンク720を本体枠3に取付けたときには、平面視で賞球タンク720の正面側から見て奥側の後面壁722と第四側面壁543の後端辺が略一致(図4を参照)するようになっている。なお、上記した案内円弧突起552は、本体枠3の上辺を外枠2の上枠板10の内周面と当接させることにより、本体枠3を持ち上げて本体枠3の下辺と装飾カバー板15との間に隙間を形成し、その隙間から不正器具を挿入するような不正行為を防止するためのものである。
【0232】
また、前述した上後面壁545には、タンクレール部材740を取付けるためのレール係止溝553が後面開口580の開口縁に沿って形成されており、また、第四側面壁543と上後面壁545の屈曲部にレール係止溝554が形成されている。そして、これらレール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750(図99を参照)を係止させることにより、タンクレール部材740を本体枠3に取付けることができる。また、タンクレール部材740を取付けたときの下流側に対応する上後面壁545の上部には、レール掛止弾性片555が形成され、レール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750を係止させて、タンクレール部材740を本体枠3に取付けたときに、その係止状態が外れないようにレール掛止弾性片555がタンクレール部材740の下流側上端の上から当接するようになっている。
【0233】
このタンクレール部材740を取り外すときには、レール掛止弾性片555を後方へ押圧しておいてからレール係止溝553,554と係止突片749,750との係止状態を解除すべくタンクレール部材740を上方に持ち上げればよい。また、レール掛止弾性片555の側方に逃げ穴556が穿設され、レール掛止弾性片555の下方にアース線接続具557(図110等を参照)形成されている。逃げ穴556は、タンクレール部材740に設けられる整列歯車747の軸ピン748の端部を逃がすために穿設されるものであり、また、アース線接続具557は、タンクレール部材740の内部に貼着される金属製の導電板(図示しない)に接触していると共に、電源基板1136に設けられるアース用コネクタに接続される配線が接続されるものである。
【0234】
また、軸支側後面壁546には、図68及び図70に示すように、軸支側後面壁546の左右両端に垂直状の立壁560を立設し、その立壁560の間に球通路ユニット770と賞球ユニット800とが取付けられる。また、左右の立壁560の間の最上流部から中流部よりやや上方まで賞球案内突起561が屈曲状に突設されている。この賞球案内突起561は、軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように後方に向かって突設され、後述する球通路ユニット770を取付けたときに、球通路ユニット770の球落下通路772(図104を参照)に対応するもので、賞球を一列状に誘導するものである。また、賞球案内突起561の左右には、球通路ユニット770をビスで止着するための通路ユニット取付ボス562、及び位置決めするための位置決めピン574が突設されると共に、後述する球切れスイッチ778(図104を参照)に対面するスイッチ対応突起563が突設されている。通路ユニット取付ボス562及び位置決めピン574については、後に詳述する。
【0235】
更に、左右の立壁560の中流部から下流部にかけて賞球ユニット800の係合部としての鉤状係合部824(図106を参照)と係合する係止部としての係合突片565と、賞球ユニット800のボタン挿通係合穴821(図106を参照)と係合するロック用弾性爪564と、が形成されると共に、賞球ユニット800のスプロケット807の回転軸808(図106を参照)の端部が受入れられる逃げ穴566が形成されている。また、軸支側後面壁546の下方には、払出モータ用逃げ開口部572が形成されており、この払出モータ用逃げ開口部572に賞球ユニット800の駆動モータとしての払出モータ815が臨むようになっている(図71を参照)。そして、賞球ユニット800は、軸支側後面壁546の裏面最下端に形成される係止溝573のその下端を係止して係合突片565及びロック用弾性爪564によって軸支側後面壁546に着脱自在に取付けられるようになっている。この着脱自在の構成については、後に詳述する。
【0236】
また、軸支側後面壁546の開放側の端部には、そのカバー体1250の開放側の端辺が入り込むカバー体当接溝567が形成されていると共に、カバー体当接溝567の下方に施錠壁569が突設されている。カバー体当接溝567には、カバー体1250の止め穴1253(図74及び図139を参照)に対応する止め穴568が形成されており、これら止め穴1253,568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができるようになっている。また、施錠壁569には、平面視U字状の施錠用突出鉤片570が突設され、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570をカバー体1250に形成される貫通穴1254(図74を参照)を貫通させ、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
【0237】
以上、遊技盤設置凹部510及び板部511とからなる本体枠主体500の構成について説明してきたが、上記に説明した以外に、板部511の最下端辺部に、扉枠5を閉じたときに、扉枠ベース本体110の下辺を後方に向けて折曲した扉枠突片110d,110e(図25を参照)が挿入される係合溝584,585(図67を参照)が形成されている。係合溝584は、前述した発射装置取付部520の下方に形成される溝であり、係合溝585は、係合溝584の一端から軸支側に向って形成される溝である。なお、係合溝585に対応する扉枠突片110dは、係合溝584に対応する扉枠突片110eの突出量よりも大きくなるように後方に向って突設されている。ただし、開放端下部には、突出量の多い扉枠突片110dが僅かに形成されている。そして、上記した扉枠突片110d,110eと係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
【0238】
上記のように板部511には、発射レール515や出口開閉装置579が設けられ且つレール接続部材516や発射装置取付部520が突設形成されているが、発射装置取付部520及び発射レール515の板部511における配置位置が開放側に偏り、しかもそれらが板部511の表面よりも突出して形成されている。このため、扉枠5を閉じた状態において、発射装置取付部520及び発射レール515が配置される板部511の略中央部から開放側にいたる領域は、扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面とが密着した状態となるため、前述した扉枠突片110dと係合溝585との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具を扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面との間をさらに上手にすり抜けさせて遊技盤4の表面側若しくは遊技盤4の裏面側に到達させることは極めて困難である。
【0239】
一方、発射装置取付部520及び発射レール515が配置されない板部511の略中央部から軸支側にいたる領域は、板部511の表面に突出した部分がないため、扉枠5を閉じた状態において、扉枠5の裏面と板部511の前面との間に空間586が生じてしまう。このため、前述した扉枠突片110dと係合溝584との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具が扉枠5の裏面と板部511の前面との間の空間586を簡単にすり抜けてしまうことができるため、この空間586を不正具が上方に向ってすり抜けないように、扉枠5の裏面下部に取付けられる装着台160には、扉枠5を閉じた状態で空間586に侵入する防犯突片166が形成されている。この防犯突片166は、板部511の略中程から軸支側端部までいたるように装着台160に形成されている。したがって、発射レール515及び遊技盤4に取付けられる外レール602の下方空間は、装着台160に突設される防犯突片166を受入れる防犯空間586を構成している。そして、この防犯突片166と防犯空間586とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
【0240】
本体枠3は、上記したように、遊技盤4、打球発射装置650、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、満タンユニット900、錠装置1000、基板ユニット1100及びカバー体1250が取付けられるが、以下、これらを順次説明する。
【0241】
[1-3A.遊技盤の概略構成]
遊技盤4の概略構成について図76乃至図86を参照して説明する。図76は、遊技盤4の正面から見た斜視図であり、図77は、遊技盤4の正面図であり、図78は、遊技盤4の背面図であり、図79は、遊技盤4の平面図であり、図80は、遊技盤4に形成される取り外し防止機構部分の拡大斜視図であり、図81は、遊技盤4の取り外し防止機構に対する本体枠側の構造を示す本体枠3の部分斜視図である。また、図82は、遊技盤における前構成部材、遊技パネル、及びパネルホルダを組立てた状態で縦方向に切断して示す断面図であり、図83は、遊技盤を主に構成する前構成部材、遊技パネル、及びパネルホルダ等を分解して斜め前から見た分解斜視図であり、図84は、図83を斜め後から見た分解斜視図である。更に、図85は、盤用基板ホルダに主制御基板ボックスを固定した状態で斜め後から示す斜視図である。図86は、図85を盤用基板ホルダ、ドロワホルダ、及び主制御基板ボックスに分解して斜め後から示す分解斜視図である。また、図87は遊技盤における機能表示ユニットの分解斜視図の概略図である。更に、図88は機能表示シールの概略図であり、図89は遊技窓を介して遊技盤の機能表示シールを見た部分図である。
【0242】
本実施形態の遊技盤4は、図示するように、透明板状の遊技パネル600と、遊技パネル600を保持し外形が略正方形状のパネルホルダ630と、パネルホルダ630を介して遊技パネル600の前面に遊技領域605を囲むように取付けられる前構成部材601と、前構成部材601の後側に固定される機能表示ユニット640(図87等を参照)と、から構成されている。遊技パネル600の表面には、遊技領域605に各種の遊技装置や多数の障害釘(いずれも図示省略)が植立されている。そして、それらの遊技装置や障害釘が設けられた後に前構成部材601がパネルホルダ630の前面に取付けられるが、その前構成部材601は、遊技領域605の外周を囲むように内部が円形の空洞状に形成され且つ外形がパネルホルダ630の外形に沿った形状に形成されており、その下辺中程から上辺の中心を過ぎた斜め上方までの円弧面が外レール602として形成され、その外レール602の終端に設けられる衝止部620の下部位置から上辺の衝止部620の対称の逆流防止部材604が設けられる位置までが内レール603として形成されている。外レール602は、その始端部に発射レール515の延長状に設けられたレール接続部材516に連接する接続通路部609が斜め状に形成されており、その接続通路部609に隣接してファール口610が形成されている。また、ファール口610の上流端から衝止部620までの外レール602には、金属製のレールが密着して取付けられている。
【0243】
なお、衝止部620は、勢いよく外レール602を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域605の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものであり、逆流防止部材604は、一端発射されて遊技領域605の内側に取り入れられた打球が再度外レール602に逆流しないように防止するものである。更に、外レール602の下部一側には、金属製のレールの一部に沿うように防犯突起608が突設されている。この防犯突起608は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー470に突設される防犯後端部突片475と上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の軸支側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を防止するものである。
【0244】
また、内レール603の下部中央には、アウト口606が設けられ、そのアウト口606から逆流防止部材604までの内レール603と外レール602との間は、発射された打球が遊技領域605まで誘導される誘導通路を構成するものであるが、遊技領域605に到達せずに外レール602を逆流した打球はファール口610に取り込まれて後述する満タンユニット900のファール球入口923に導かれて再度皿ユニット300に排出されるようになっている。なお、遊技領域605は、実質的に内レール603によって囲まれる領域である。また、内レール603のアウト口606から衝止部620に向かう途中の前構成部材601には、レール防犯溝607が形成されている。このレール防犯溝607は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー470に突設される防犯後突片474の一部が侵入するように溝状に形成されており、このレール防犯溝607と防犯後突片474との凹凸係合により、上下方向に重複して本体枠3と扉枠5における開放側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を最終的に防止するものである。
【0245】
ところで、遊技盤4の一側には、本体枠3に形成される盤位置決め突起576に嵌合する位置決め凹部611が形成され、遊技盤4の他側には、本体枠3に形成される盤止め具挿入穴578に挿入される遊技盤止め具614が設けられている。遊技盤止め具614は、押し込み固定したときにその端部が盤止め具挿入穴578に挿入されるようになっている。而して、遊技盤4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部611が盤位置決め突起576に嵌合するように斜め方向から差し込んだ後、遊技盤4の全体を本体枠3の第一側面壁540に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技盤止め具614を押し込み固定してその端部を盤止め具挿入穴578に挿入して固定する。その後、遊技盤固定具519を回動して遊技盤4の下部前面を固定する。これによって遊技盤4を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技盤4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。
【0246】
また、本実施形態における遊技盤4は、遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを極めて簡単に防止する構成を有している。即ち、図76及び図80に示すように、遊技盤4の下方の通路用切欠部613と反対側の下端部に遊技盤4の前後に貫通する取付用切欠部616を形成し(正確には、前構成部材601に取付用切欠部616が形成されている。)、その取付用切欠部616の下部に水平方向に締結バー617を掛け渡し固定する。締結バー617には、その略中央に締結バンド619を掛け止めるための帯溝状の締結部618が形成されている。一方、本体枠3に設けられる取り外し防止機構としては、前述したように、本体枠3下方の板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている(図81を参照)。
【0247】
上記のように構成される遊技盤4を本体枠3の遊技盤設置凹部510に収納配置したときには、図80に示すように、締結バー617が遊技盤載置部512に当接して載置した状態になると共に、締結部618と締結連杆534とが一致した状態となる。そして、その状態で締結部618と締結連杆534との一致している部分に対して、締結バー617の上方から一般的に市販されている締結バンド619の先端を取付用切欠部616に差し込んで下方に向けて締結穴533に差し込み前方に導き、その先端を締結バンド619の締結具部分に係合させる。そして、締結バンド619の締結具より前方に飛び出した不必要な先端部分を切断しておく。このようにすれば、締結バンド619を切断しない限り、遊技盤止め具614と遊技盤固定具519等の固定を解除しても、遊技盤4を本体枠3から取り外すことができない。締結バンド619を切断すれば、遊技盤4を本体枠3から取り外すことはできるものの、例えば、締結バンド619をパチンコ店独特のものを使用することにより、異なる締結バンドが締結されていれば、遊技盤4を取り外して何らかの不正行為を行われたことが容易に理解することができるものである。このように極めて簡単な取り外し防止機構により遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを防止することができる。
【0248】
また、遊技盤4の外形形状は、その上部左右に切欠部612が形成され、また、ファール口610の側方斜め下に後述する満タンユニット900の前方誘導通路920部分の一部が挿入される通路用切欠部613が形成されている。また、前構成部材601の下方左右には、証明確認用の証紙を貼付する証紙貼付部615が設けられている。更に、前構成部材601の下方右り証紙貼付部615の上側には、機能表示シール649が貼付けられている。
【0249】
一方、遊技盤4の裏面には、遊技領域605に設けられる各種の遊技装置(例えば、一般入賞口2004,2101、始動口2001,2002、大入賞口2003、等)に入賞した球を下流側に整列して誘導することができる裏箱621の裏面に遊技領域605の略中央に配置される表示装置としての液晶表示装置1400(図151等を参照)の表示を制御する液晶制御基板4150及び周辺制御基板4140が収納される周辺基板ボックス622が取付けられている。
【0250】
更に、遊技盤4の裏面には、裏箱621の下方に盤用基板ホルダ623が固定されている。この盤用基板ホルダ623は、その前方に裏箱621によって整列誘導された入賞球を集めるように空間部(この空間部は、前後方向の幅が裏箱621の幅よりも比較的広いものとして形成されている。)が形成され、その空間部の底面に落下口629(図75を参照)が形成されている。この落下口629は、アウト口606の後面部分で合流して後述する基板ユニット1100に形成されるアウト球通路1119(図128を参照)に連通するものである。
【0251】
また、盤用基板ホルダ623には、その裏面に遊技動作を制御する主制御基板4100を収納する主制御基板ボックス624と、後述する基板ユニット1100に設けられる払出制御基板1186や電源基板1136等と接続するための中継端子板625と、が取付けられている。中継端子板625には、遊技盤4を本体枠3に装着するだけで自動的に基板ユニット1100に設けられているドロワコネクタ1200,1202と接続されるドロワコネクタ626,627が備えられている。
【0252】
更に、盤用基板ホルダ623には、ドロワコネクタ626,627の間から中継端子板625を貫通するように後方に向かって突出する接合案内突起628が形成されている。この接合案内突起628は、後に詳述するように遊技盤4を本体枠3に装着する作業を行ったときに、基板ユニット1100側に設けられるドロワコネクタ1200,1202と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ626,627とが自然に接続されるように基板ユニット1100の枠用基板ホルダ1101に形成される接合案内孔1213に挿入される(図128を参照)ものである。なお、これらドロワコネクタの接続については、後に詳述する。
【0253】
[1-3A-1.前構成部材・遊技パネル・パネルホルダ・パネル裏板]
続いて、遊技盤4における遊技パネル600の保持構造について、主に図82乃至図84を参照して詳細に説明する。本実施形態の遊技盤4は、図示するように、遊技領域605と対応する大きさの透明な合成樹脂からなる板状の遊技パネル600と、遊技パネル600を前方から着脱可能に保持する合成樹脂からなる枠状のパネルホルダ630と、パネルホルダ630の前側に配置され遊技領域605の外周を区画形成すると共に遊技領域605内に遊技球を案内する案内する外レール602及び内レール603を備えた前構成部材601と、パネルホルダ630の後面側で下端から所定高さまでの所定範囲内に配置される板状のパネル裏板635とを主に備えている。
【0254】
この前構成部材601は、図示するように、その後面側に、後方へ突出する複数の位置決めボス601a及び位置決め突起601bが備えられている。これら位置決めボス601a及び位置決め突起601bは、詳細は後述するが、後側に配置されるパネルホルダ630や盤用基板ホルダ623、及び遊技パネル600と位置決めできるようになっている。
【0255】
遊技盤4における遊技パネル600は、その外形が遊技領域605よりも若干大きい多角形状とされており、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂板により形成されている。なお、遊技パネル600の板厚は、パネルホルダ630よりも薄く、図示しない障害釘を植設しても十分に保持可能な必要最低限の厚さ(8?10mm)とされている。
【0256】
この遊技パネル600には、外周近傍に配置され前後方向に貫通する丸孔からなる複数の嵌合孔600aと、左下部の外周近傍に配置され前後方向に貫通し上下方向に延びる長孔600bが夫々備えられている。これら嵌合孔600a及び長孔600bは、遊技領域605よりも外側に配置されており、パネルホルダ630との位置決めを行うものである。また、遊技パネル600には、その上辺の両端と下辺の両端に、前側が窪んだ段状の係合段部600cが夫々備えられている。この係合段部600cは、遊技パネル600の板厚の略半分を切欠いた形態とされると共に、嵌合孔600a及び長孔600bと同様に、遊技領域605よりも外側に配置されており、遊技パネル600をパネルホルダ630へ係合固定するためのものである。
【0257】
また、遊技パネル600には、所定位置に内レール固定孔600dが複数備えられている。この内レール固定孔600dに内レール603の後側から突出する位置決め突起601bを嵌合固定させることで、内レール603を所定の位置に固定することができるようになっている。
【0258】
更に、遊技パネル600には、センター役物2300、及びアタッカユニット2000等が備えられるように内形が所定形状で前後方向に貫通する開口部600eが複数形成されている(図159及び図160を参照)と共に、それらを固定するための固定孔が適宜位置に形成されている。なお、これら開口部600eは、遊技パネル600の上下左右方向の外周に対して貫通しないような形状となっており、遊技パネル600の外周が繋がっているので、開口部600eによって遊技パネル600の強度が低下するのを抑制するようになっている。
【0259】
遊技盤4におけるパネルホルダ630は、遊技パネル600を包含する大きさで外形が略四角形状とされ、従来のパチンコ機の遊技盤における木製合板からなる部材(例えば、遊技盤ベース等)の厚さと略同じ厚さ(本例では、約20mm)とされた熱可塑性合成樹脂からなるものである。このパネルホルダ630には、遊技パネル600を着脱可能に保持し前面側から後方側に向かって凹んだ保持段部630aと、保持段部630aの内側において略遊技領域605と同等の大きさで前後方向に貫通する貫通口630bとを主に備えている。
【0260】
パネルホルダ630の保持段部630aは、前面からの深さが遊技パネル600の厚さと略同じ深さとされており、保持段部630a内に保持された遊技パネル600の前面がパネルホルダ630の前面と略同一面となるようになっている。また、この保持段部630aは、その前側内周面が、遊技パネル600の外周面に対して所定量のクリアランスC(図82を参照)が形成される大きさとされている。このクリアランスCにより、温度変化や経時変化により相対的に遊技パネル600が伸縮しても、その伸縮を吸収できるようになっている。なお、クリアランスC内にゴム等の弾性部材を詰めても良い。
【0261】
また、パネルホルダ630には、保持段部630aに保持される遊技パネル600に形成された嵌合孔600a及び長孔600bと対応する位置に配置され、保持段部630aの前面から前方に向かって延び、遊技パネル600の嵌合孔600a及び長孔600bに嵌合及び挿通可能な複数の突出ピン630cを備えている。これらの突出ピン630cを遊技パネル600の嵌合孔600a及び長孔600bに嵌合及び挿通することで、パネルホルダ630と遊技パネル600とを互いに位置決めすることができるようになっている。
【0262】
更に、パネルホルダ630には、遊技パネル600の係合段部600cと対応する位置に、係合段部600cと係合する係合爪630d及び係合片630eを供えている。詳述すると、甲82及び図82に示すように、係合爪630dは、パネルホルダ630の上側の保持段部630aに配置されており、遊技パネル600における上側の係合段部600cと対応し、保持段部630aの前面から前方に向かって突出し係合段部600cと弾性係合するようになっている。この係合爪630dは、その先端がパネルホルダ630の前面から突出しない大きさとされている。一方、係合片630eは、パネルホルダ630の下側の保持段部630aに配置され、遊技パネル600における下側の係合段部600cと対応し、保持段部630aの前面との間に遊技パネル600の係合段部600cが挿入可能な大きさの所定の隙間を形成した状態で、パネルホルダ630の前面に沿って上側(中心側)に向かって所定量延びる形態とされている。これら係合爪630d及び係合片630eに遊技パネル600の係合段部600cを係合させることで、遊技パネル600がパネルホルダ630に対して着脱可能に保持されるようになっている。
【0263】
また、パネルホルダ630には、前構成部材601に備えられた位置決めボス601aを挿通可能な前後方向に貫通するボス挿通孔630fを備えており、このボス挿通孔630fに前構成部材601の位置決めボス601aを挿通することで、パネルホルダ630と前構成部材601とが互いに位置決めされるようになっている。
【0264】
このパネルホルダ630には、図82及び図84に示すように、その後面側に、上下方向の中央やや下方より下側と外周縁を残すように前側に所定量窪んだ形態の取付支持部630gが備えられている。この取付支持部630gにより、パネルホルダ630の後面は、下端より所定高さまでの所定範囲より上側で、後面側外周部が後方に突出したような状態で窪んだ形態となると共に、その窪み量(深さ)が、取付支持部630gに取付固定される裏ユニット2000の裏箱621のフランジ状の固定部621a(図155を参照)を収容できる深さ(本例では、約2.5mmとされており、1?3mmの間とすることが望ましい)とされている。この取付支持部630gに所定の部材を取付固定することで、その固定部621aがパネルホルダ630よりも後側に突出するのを防止することができ、パネルホルダ630すなわち遊技盤4をパチンコ機1の遊技盤設置凹部510内に確実に設置装着できるようになっている。
【0265】
また、パネルホルダ630の後面側には、下端より所定高さまでの所定範囲内で取付支持部630gが形成された位置より下側に形成され、前側に向かって窪み、パネル裏板635を収容可能な収容凹部630hと、この収容凹部630h内に前後方向に貫通するように配置されパネル裏板635に形成された係止爪635cを係止可能な係止部630iとを更に備えている。この収容凹部630hは、パネル裏板635の係止爪635cを係止部630iに係止させることでパネル裏板635を着脱可能に収容すると共に、収容されたパネル裏板635の後面が、パネルホルダ630の後面と略同一面となるように形成されている。
【0266】
更に、パネルホルダ630には、図82及び図84に示すように、後面側の取付支持部630g内及び収容凹部630hよりも上側に配置され所定のビスを螺合可能な複数の取付孔630jが所定配列で配置されている。また、パネルホルダ630には、取付孔630jと対応するように配置される複数の位置決め孔630kが備えられている。この位置決め孔630kは、取付孔630jを用いて取付固定される部材に形成された位置決め突起(例えば、裏箱621における前面のフランジ状に形成された固定部621aから前方へ突出する位置決め突起(図示は省略する))が挿入されるものである。なお、本例では、位置決め孔630kは、背面視略矩形状(角孔状)の止り孔とされている。
【0267】
なお、取付孔630jに対して、その孔の内径が大径のものと小径のものとを混在させるようにして、取付固定する所定の部材の大きさや重量等に応じて、適宜径の取付孔630jを用いるようにしても良い。
【0268】
更に、パネルホルダ630には、少なくとも下端から所定高さまでの所定範囲では後面側に開口する複数の肉抜き部630lが形成されており、肉抜き部630lによりパネルホルダ630の重量が軽減されるようになっている。図83に示すように、収容凹部630hの前側、つまり、パネルホルダ630の前面側の下端から所定高さまでの所定範囲内には、これらの肉抜き部630lが形成されておらず、その範囲内では、パネルホルダ630の前面が略平らな面となるようになっているので、その前面に配置される前構成部材601の接続通路部609の後面が略平らな面となり、打球発射装置650から発射された遊技球が、滑らかに案内されるようになっている。また、このパネルホルダ630は、図示するように、肉抜き部630lが形成されることで、取付孔630j等がボス状に形成されると共に、それらを支持したりパネルホルダ630の強度を維持したりするために、格子状のリブが形成された状態となっている。
【0269】
なお、このパネルホルダ630には、障害釘植設装置(図示しない)や、組立治具等の位置決め手段に対応した位置決め部630mが形成されており、障害釘植設装置に遊技パネル600を保持した状態でセットできるようになっている。また、パネルホルダ630の下部には、前構成部材601のアウト口606と連通する開口630nと、前構成部材601のファール口610と連通する連通孔630oとが更に備えられている。
【0270】
次に、パネル裏板635は、パネルホルダ630の後面側で下端から所定高さまでの所定範囲内の肉抜き部630lを覆うように配置されると共に、パネルホルダ630の収容凹部630hに後面同士が略同一面となるように収容可能とされ、平面状の後面に所定配列で配置され所定のビスを螺合可能な複数のビス孔635aと、ビス孔635aと対応するように配置される複数の位置決め孔635bと、パネルホルダ630の係止部630iに係止可能な係止爪635cと、前面側から貫通しないように陥没する減量用の凹陥部635dとを備えている。
【0271】
なお、このパネル裏板635におけるビス孔635a及び位置決め孔635bは、パネルホルダ630における取付孔630j及び位置決め孔630kと略同じ構成とされている。また、このパネル裏板635もパネルホルダ630と同様に、凹陥部635dにより、ビス孔635a及び位置決め孔635b等が形成された部分がボス状に形成されると共に、それらを支持したりパネル裏板635の強度を維持したりするために、格子状のリブが形成された状態となっている。更に、パネル裏板635には、パネルホルダ630の開口630n、連通孔630o、及びボス挿通孔630fと対応した位置に前後方向に貫通する開口635eが備えられている。
【0272】
このパネル裏板635は、パネルホルダ630の収容凹部630hに収容させると共に、パネル裏板635の係止爪635cをパネルホルダ630の係止部630iに係止させることで、パネルホルダ630と一体となり、その状態では、パネル裏板635の後面が、パネルホルダ630の後面と略同一面となる。このようにパネルホルダ630とパネル裏板635とを一体化することで、パネルホルダ630の後面側には、貫通口630bの外周側で略全周に亘って所定配列で取付孔630j、ビス孔635a等からなる取付孔と、位置決め孔630k及び635bが配置されることとなり、それら取付孔の存在により、所定の部材を任意の位置に取付固定できるようになっている。
【0273】
上述したように、本例における遊技パネル600の保持構造によると、前方からパネルホルダ630の保持段部630a内へ遊技パネル600を嵌合挿入して、係合爪630d及び係合片630eと、係合段部600cとを係合させることで、パネルホルダ630に遊技パネル600を保持させることができると共に、遊技パネル600とパネルホルダ630の前面側が略面一となるようになっており、従来より用いられている障害釘植設装置を改造等しなくても遊技パネル600をパネルホルダ630に保持した状態で従前の障害釘植設装置にセットすることが可能となり、障害釘の植設にかかるコストが増加するのを抑制することができるようになっている。
【0274】
また、遊技領域605を有した遊技盤4を、遊技パネル600、パネルホルダ630、及び前構成部材601に分割するようにしているので、パチンコ機1の機種によって障害釘や入賞口等の位置が変化する遊技パネル600を交換パーツとすると共に、パネルホルダ630及び前構成部材601を共通パーツとすることができ、パネルホルダ630や前構成部材601等をリサイクル可能とすることができると共に遊技パネル600のみを交換するだけで種々の機種に対応可能な遊技盤4を備えたパチンコ機1とすることができるようになっている。
【0275】
更に、パネルホルダ630に予め複数の取付孔630jが所定配列で備えられているので、機種に応じてパネルホルダ630の後面側に取付固定される裏ユニット2000や盤用基板ホルダ623等の種々の所定の部材の取付固定位置が異なる位置となっていても、各種部材の固定部を取付孔630jの位置と対応させるように設計することで、パネルホルダ630を機種に依存しないパチンコ機1の共通パーツとすることができるようになっている。
【0276】
なお、本実施形態では、遊技盤4において、遊技領域605の後面を形成する透明な遊技パネル600をパネルホルダ630で保持した形態のものを示したが、従来のパチンコ機と同様に、遊技パネル600をパネルホルダ630と一体とすると共に、ベニア板等の木製合板により形成するようにしても良い。
【0277】
[1-3A-2.盤用基板ホルダ]
続いて、遊技盤4における盤用基板ホルダ623の詳細な構成について、主に図85及び図86を参考にして説明する。この盤用基板ホルダ623は、パネルホルダ630の後側に取付固定されるものであり、図示するように、前方及び上方が開放された箱状とされ、その底部が左右方向の略中央で前側に向かって低くなるように傾斜しており、遊技パネル600の後側に排出された遊技球を受け取った上で、左右方向の略中央から下方へ排出することができるようになっている。この盤用基板ホルダ623の後面には、主制御基板ボックス624を取付けるための主制御基板ボックス取付部623aが形成されていると共に、主制御基板ボックス取付部623aの横(背面視で右側)に主制御基板ボックス624に備えられた封止部624aと対応する被封止部623bが形成されている。また、盤用基板ホルダ623の後面には、中継端子板625及びドロワコネクタ626,627を支持するドロワホルダ636が固定されている。
【0278】
本例の主制御基板ボックス624は、盤用基板ホルダ623の後面の主制御基板ボックス取付部623aに支持されると共に、主制御基板ボックス624の封止部624aが主制御基板ボックス取付部623aの横の被封止部623bへ封止されるようになっている。そして、この状態で主制御基板ボックス624を盤用基板ホルダ623から取り外す場合、主制御基板ボックス取付部623aの被封止部623bに開封痕が残るようになっており、主制御基板ボックス624が不正に取り外されたか否かが目視で判るようになっている。
【0279】
[1-3A-3.機能表示ユニット]
まず、本実施形態のパチンコ機1における機能表示ユニットは、図87に示すように、機能表示基板640a、カバー部材640bを備えいる。この機能表示基板640aは、図示するように、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1?LED12を備えおり、セグメント表示器SEG1には第一特別図柄表示器641が割り当てられ、セグメントSEG2には第二特別図柄表示器642が割り当てられている。セグメント表示器SEG1,SEG2は、英数字及び図形等を表示することができるようになっており、これらの英数字及び図形等を特別図柄として表示することによって、後述するアタッカユニット2000の第一始動口2001に遊技球が入賞すると、セグメント表示器SEG1が所定の特別図柄を変動表示し、第二始動口2002に遊技球が入賞すると、セグメント表示器SEG2が所定の特別図柄を変動表示するようになっている。
【0280】
また、LED1には第一特別図柄記憶ランプ643a、LED2には第一特別図柄記憶ランプ643bが夫々割り当てられ、LED3には第二特別図柄記憶ランプ644a、LED4には第二特別図柄記憶ランプ644bが夫々割り当てられている。第一始動口2001へ入賞した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されないときには、入賞した遊技球の球数を保留数として第一特別図柄記憶表示器643が点灯又は点滅するようになっている。具体的には、保留球(始動記憶)が1球のときには第一特別図柄記憶ランプ643aが点灯して第一特別図柄記憶ランプ643bが消灯し、保留球が2球のときには第一特別図柄記憶表示器643がともに点灯し、保留球が3球のときには第一特別図柄記憶ランプ643aが点滅して第一特別図柄記憶ランプ643bが点灯し、保留球が4球のときには第一特別図柄記憶表示器643がともに点滅する。一方、第二始動口2002へ入賞した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されないときには、入賞した遊技球の球数を保留数として第二特別図柄記憶表示器644が点灯又は点滅するようになっている。具体的には、保留球(始動記憶)が1球のときには第二特別図柄記憶ランプ644aが点灯して第二特別図柄記憶ランプ644bが消灯し、保留球が2球のときには第二特別図柄記憶表示器644がともに点灯し、保留球が3球のときには第二特別図柄記憶ランプ644aが点滅して第二特別図柄記憶ランプ644bが点灯し、保留球が4球のときには第二特別図柄記憶表示器644がともに点滅する。
【0281】
更に、LED5には普通図柄表示器645が割り当てられている。LED5は赤色/緑色/橙色を点灯することができるLEDであり、これらの赤色/緑色/橙色を組み合わせて点灯することもできるようになっている。LED5は、その点灯する色を普通図柄として表示することによって、後述するゲート部材2200のゲート2201を遊技球が通過すると、所定の普通図柄が変動表示するようになっている。
【0282】
また、LED6?LED9には普通図柄記憶表示器646が夫々割り当てられている。ゲート2201を通過した遊技球は、普通図柄の変動表示で使用されないとき(普通図柄表示器645にて普通図柄の変動表示を実行しているとき及び可動片2005を開閉動作させているときにゲート2201を通過したことにより即座に普通図柄の変動表示に使用されない遊技球)には、通過した遊技球の球数を保留数として普通図柄記憶表示器646が点灯するようになっている。具体的には、保留球が1球のときには普通図柄記憶ランプ646aが点灯して普通図柄記憶ランプ646b?646dが消灯し、保留球が2球のときには普通図柄記憶ランプ646a,646bが点灯して普通図柄記憶ランプ646c,646dが消灯し、保留球が3球のときには普通図柄記憶ランプ646a?646cが点灯して普通図柄記憶ランプ646bが消灯し、保留球が4球のときには普通図柄記憶表示器646がすべて点灯する。
【0283】
また、LED10には遊技状態表示器647が割り当てられている。LED10は赤色/緑色/橙色を点灯することができるLEDであり、これらの赤色/緑色/橙色を組み合わせて点灯することもできるようになっている。LED10は、その点灯する色を遊技状態として表示することによって、確率変動が生じている遊技状態である旨を報知するようになっている。
【0284】
更に、LED11には2ラウンド表示ランプ648a、LED12には15ラウンド表示ランプ648bが夫々割り当てられている。上述したように、2ラウンド表示ランプ648aは大入賞口2003が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回である旨を点灯して報知するようになっており、一方、15ラウンド表示ランプ648bはラウンドが15回である旨を点灯して報知するようになっている。
【0285】
このように、機能表示基板640aに実装された、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1?LED12は、第一特別図柄表示器641、第二特別図柄表示器642、第一特別図柄記憶表示器643、第二特別図柄記憶表示器644、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646、遊技状態表示器647、ラウンド表示器648が夫々割り当てられており、各種機能表示を行う、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1?LED12、つまり第一特別図柄表示器641、第二特別図柄表示器642、第一特別図柄記憶表示器643、第二特別図柄記憶表示器644、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646、遊技状態表示器647、ラウンド表示器648が機能表示基板640aに集約された構成になっている。
【0286】
また、第一特別図柄表示器641及び第二特別図柄表示器642は、大当り遊技状態を特別図柄として夫々変動表示するため、第一特別図柄記憶表示器643、第二特別図柄記憶表示器644、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646、遊技状態表示器647、ラウンド表示器648と区別して、それらに割り当てられるLED1?LED12と異なるセグメント表示器SEG1,SEG2を用いて、英数字及び図形等を特別図柄として変動表示している。
【0287】
なお、普通図柄記憶表示器646に割り当てられるLED6?LED9の数と、ラウンド表示器648に割り当てられるLED11,LED12の数と、の和が固定値6となっている。
【0288】
ところで、機能表示基板640aは、カバー部材640bに図示しないネジで固定され、カバー部材640bが遊技盤4の前構成部材601の裏面から図示しないネジで取付けられるようになっている。前構成部材601には、機能表示基板640aのセグメントSEG1,SEG2に対応する位置にセグメント表示器用開口601cが形成されており、これらのセグメント表示器SEG1,SEG2が表示する内容を視認できるようになっている。
【0289】
また、前構成部材601には、図87にも示すように、機能表示基板640aのLED1?LED12に対応する位置にLED用挿通孔601dが夫々設けられており、カバー部材640bを前構成部材601の裏面に取付ける際に、LED1?LED12が遊技盤4と干渉しないようになっている。これらのLED用挿通孔601dは、LED1?LED12の点灯又は点滅した光が隣接するLEDの点灯又は点滅した光と誤認されないように円筒状に形成されている。なお、セグメント表示器SEG1,SEG2が表示する内容、LED1?LED12が点灯又は点滅して表示する内容は、後述する機能表示シール649に印刷されている。前構成部材601には、機能表示シール649を貼り付ける機能表示シール貼付部601eが形成されている。なお、機能表示シール貼付部601eには凹部601fが形成されている。この凹部601fにマイナスドライバ等の工具を挿入して貼り付けた機能表示シール649を剥がし易くしている。ここで、機能表示シール649を剥がし易くするために機能表示シール649に突出部を設けることも考えられるが、扉枠5を本体枠3から開閉する際に、その突出部が何らかの原因によって引っ張られて機能表示シール649が機能表示シール貼付部601eから剥がれるおそれがある。そこで本実施形態では、機能表示シール貼付部601eに凹部601fを形成することによって、扉枠5を本体枠3から開閉する際に、機能表示シール649が機能表示シール貼付部601eから剥がれないようにしている。
【0290】
[1-3A-4.機能表示シール]
次に、遊技機4における機能表示シール649は、図88に示すように、その表面に機能表示ごとにグループGrp1?Grp3にグループ化等されて印刷されており、遊技盤4の非遊技領域である前構成部材601に形成された機能表示シール貼付部601eに貼り付けられている。
【0291】
グループGrp1は、図88に示すように、第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643から構成されており、これらの第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643を視認できる実線SL1で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されている。実線SL1で囲まれた領域は、第一特別図柄表示器641による表示や第一特別図柄記憶表示器643による点灯又は点滅を視認できるように、第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643と対応する位置が透明となっている。グループGrp1では、第一始動口2001への遊技球の入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を表示する。例えば、第一始動口2001へ始動入賞すると、第一特別図柄表示器641が所定の特別図柄を変動表示したり、入賞した遊技球の球数を保留数として第一特別図柄記憶表示器643が点灯又は点滅したりする。このように、第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643を1つのグループGrp1にグループ化することによって、これらの第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643が第一始動口2001への遊技球の入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を示していることを遊技者に伝えることができる。これにより、遊技者は、実線SL1で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されたグループGrp1を目視することによって第一始動口2001への遊技球の始動入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を容易に確認することができる。
【0292】
一方、グループGrp2は、図88に示すように、第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644から構成されており、これらの第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644を視認できる実線SL2で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されている。実線SL2で囲まれた領域は、第二特別図柄表示器642による表示や第二特別図柄記憶表示器644による点灯又は点滅を視認できるように、第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644と対応する位置が透明となっている。このグループGrp2では、第二始動口2002への遊技球の入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を表示する。例えば、第二始動口2002へ遊技球が始動入賞すると、第二特別図柄表示器642が所定の特別図柄を変動表示したり、入賞した遊技球の球数を保留数として第二特別図柄記憶表示器644が点灯又は点滅したりする。このように、第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644を1つのグループGrp2にグループ化することによって、これらの第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644が第二始動口2002への遊技球の入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を示していることを遊技者に伝えることができる。これにより、遊技者は、実線SL2で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されたグループGrp2を目視することによって第二始動口2002への遊技球の入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を容易に確認することができる。
【0293】
また、グループGrp3は、図88に示すように、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646から構成されており、これらの普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646を視認できる実線SL3で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されている。実線SL3で囲まれた領域は、普通図柄表示器645による点灯や普通図柄記憶表示器646による点灯を視認できるように、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646と対応する位置が透明となっている。普通図柄表示器645は、上述したように、可動片2005の開閉の有無を所定の普通図柄として変動表示し、可動片2005が閉状態から開状態となると、遊技球が第二始動口2002へ入賞し易くなる。このため、普通図柄表示器645には、第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643、第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644、普通図柄記憶表示器646、遊技状態表示器647、ラウンド表示器648と見分けが付くように星印が印刷されている。このグループGrp3では、ゲート2201に関する各種情報を表示することもできるようになっている。例えば、ゲート2201を遊技球が通過すると、普通図柄表示器645が所定の普通図柄を変動表示したり、通過した遊技球の球数を保留数として普通図柄記憶表示器646が点灯したりする。このように、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646を1つのグループGrp3にグループ化することによって、これらの普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646が普通図柄の変動表示に関する各種情報を示していることを遊技者に伝えることができる。これにより、遊技者は、実線SL3で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されたグループGrp3を目視することによって普通図柄の変動表示に関する各種情報を容易に確認することができる。
【0294】
更に、遊技状態表示器647、ラウンド表示器648と対応する位置には、図88に示すように、遊技状態表示器647、ラウンド表示器648が視認できる実線SL4?SL6で夫々囲まれた状態で区画されて印刷されている。実線SL4?SL6で囲まれた領域は、遊技状態表示器647、ラウンド表示器648による点灯を視認できるように、遊技状態表示器647、ラウンド表示器648と対応する位置が透明となっている。ラウンド表示器648には、ラウンドの最大回数を理解し易いように、2ラウンド表示ランプ648aと対応する位置にはラウンドの最大回数である値2が印刷され、15ラウンド表示ランプ648bと対応する位置にはラウンドの最大回数である値15が印刷されている。上述したように、遊技状態表示器647は点灯する色を遊技状態として表示することによって遊技状態が確率変動である旨を報知し、2ラウンド表示ランプ648aは大入賞口2003が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回である旨を点灯して報知し、15ラウンド表示ランプ648bはラウンドが15回である旨を点灯して報知する。これにより、遊技者は、実線SL4で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷された遊技状態表示器647を目視することによって遊技状態を容易に確認することができ、実線SL5で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷された2ラウンド表示ランプ648aを目視することによってラウンドの最大回数が2回であるか否かを容易に確認することができ、実線SL6で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷された15ラウンド表示ランプ648bを目視することによってラウンドの最大回数が15回であるか否かを容易に確認することができる。
【0295】
なお、本実施形態では、上述したように、グループGrp1?グループGrp3は実線SL1?SL6で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されており、遊技状態表示器647、ラウンド表示器648と対応する位置は遊技状態表示器647、ラウンド表示器648が視認できる実線SL4?SL6で夫々囲まれた状態で区画されて印刷されている。
【0296】
このように、機能表示シール649は、図87に示した機能表示基板640aに集約して実装された、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1?LED12の機能がグループGrp1?Grp3等のようにグループ化されてその内容が印刷されており、区画されている。また普通図柄表示器645等には星印が印刷されており、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1?LED12が表示する内容が、機能表示シール649に集約して印刷されても、それらの意味を容易に理解することができるようになっている。
【0297】
このような機能と印刷された内容との対応関係が、図88に示すように、シール管理番号649aとして機能表示シール649に印刷されている。このシール管理番号649aは、図88及び図89に示すように、扉枠5を本体枠3に閉じた際に、遊技窓101を介して遊技窓101から視認し難い位置に印刷されており、遊技者に必要ではない情報を伝えないようになっている。また、機能表示シール貼付部601eに設けた凹部601fも、図88及び図89に示すように、扉枠5を本体枠3に閉じた際に、遊技窓101を介して視認し難い位置に形成されており、凹部601fを遊技者に視認し難くしている。
【0298】
また、シール管理番号649aは、パチンコ機1を製造するメーカの作業者が、パチンコ機1を組み立てる際に、誤って別仕様の機能表示シールを取付ける作業ミスを防止するためのものである。また、シール管理番号649aは機能表示シール649の在庫管理にも用いられており、グループGrp1?グループGrp3等の態様がシール管理番号649aに紐付けされて管理されている。これにより、シール管理番号649aを調べると、シール管理番号649aに対応する機能表示シール649の在庫が分かるようになっている。
【0299】
ここで、近年のパチンコ機は、そのライフサイクルの短縮化にともないパチンコ機の開発期間も短くなってきている。このため、本実施形態では、例えば、大入賞口2003が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回、15回である旨を点灯して報知する2ラウンド表示ランプ、15ラウンド表示ランプに加えて、ラウンド数が5回、8回である旨を点灯して報知する5ラウンド表示ランプや8ラウンド表示ランプを追加する場合、始動口の数を2つから1つに減らす場合等によるパチンコ機1の仕様変更には、共通の機能表示基板640aを使用することで対応することができるようになっている。このようなパチンコ機1の仕様変更にともない機能表示シールに印刷する内容も変更するため、上述した、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1?LED12の機能と、機能表示シールに印刷された内容と、の対応関係を、シール管理番号として機能表示シールに印刷している。これにより、例えばパチンコ機1の製造元では、ラインの作業者が遊技盤4に機能表示シール649を貼り付ける前に、パチンコ機1の仕様と機能表示シール649とが対応しているか否かを、シール管理番号649aを目視することによって確認することができ、パチンコ機1の仕様に対応しない機能表示シール649が貼り付けられるのを防止することができる。なお、機能表示シール649はシールであり、接着剤などを機能表示シール649の裏面等に塗る作業工程がなく、生産性の向上に寄与している。
【0300】
[1-3B.打球発射装置]
次に、打球発射装置650について図90乃至図95を参照して説明する。図90は、打球発射装置650の全体の斜視図(A),発射モータ部分を取り外した状態の斜視図(B)であり、図91は、打球発射装置650の分解斜視図であり、図92は、打球発射装置650と発射レール515との関係を示す正面図(A),発射モータ部分の斜視図(B)であり、図93は、操作ハンドル部410を操作していない状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図94は、操作ハンドル部410を操作している状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図95は、打球発射装置650に設けられるスライド部材710の平面図(A),正面図(B),正面から見た斜視図(C),正面図(B)のA-A断面図(D)である。
【0301】
打球発射装置650は、発射ベース枠651に打球槌687を回動自在に軸支すると共に、その打球槌687に往復回動を付与する発射モータ695を発射ベース枠651に取付け、さらに打球槌687に復帰する付勢力を付与する付勢バネ684の付勢力を調節するスライド杆677及びスライド部材710が発射ベース枠651に設けられることにより構成される。
【0302】
より詳細に説明すると、図91に示すように、発射ベース枠651は、合成樹脂によって横長な長方形状に成型されるものであり、その略中心に打球槌687の軸受689が嵌合される軸受筒652が形成され、その上部及び側方に打球槌687の発射原点位置を規制するゴムストッパー部材653,654が取付け固定されている。即ち、ゴムストッパー部材653,654は、打球槌687が付勢バネ684の付勢力により発射原点位置に戻ったときに打球槌687の衝撃を受け止めるものである。また、発射ベース枠651の後方(発射レール515の下方に対応する部位の反対側)の上方に横長細溝状のスライド案内孔655が形成され、そのスライド案内孔655の下方にスライド部材収納空間656が形成されている。
【0303】
このスライド案内孔655は、後述するスライド杆677の後端上部に突設される案内係止片678が挿入されてスライド杆677のスライド移動を案内するものであり、スライド部材収納空間656には、スライド部材710が左右方向に移動可能に収納されるものである。なお、スライド杆677の前方部分のスライド案内は、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682によって発射ベース枠651に形成される止め穴662に止着される案内ブッシュ681を貫通させることにより行われる。また、スライド部材収納空間656の底面には、図92に示すように、長方形状の連結開口664が形成されている。
【0304】
また、発射ベース枠651の上辺の前方部分には、発射ベース枠651の本体に対して庇部が形成されており、軸受筒652の上方の庇部に作動片用開口657が穿設されている。この作動片用開口657には、扉枠5の皿ユニット300の下流側の打球供給口171b(図18を参照)に臨んで設けられている球送り部材172(図18を参照)の錘173と当接する作動片658が作動片用開口657の開口縁の後方上部に突設されている取付部660に止めピン659によって揺動自在に設けられるものである。作動片658は、「て」字状に形成され、その上辺の後端部が止めピン659によって軸支され、その軸支部から下方の円弧部に打球槌687と一体的に回動するベース板690に突設される作動片当接部693と当接し、打球槌687の往復動作に連動して上辺部が球送り部材172を揺動させ、球送り部材172の揺動動作により打球供給口171bから流出する打球を1個ずつ発射レール515の発射位置に供給するようになっている。
【0305】
更に、発射ベース枠651には、発射モータ695を内蔵するモータカバー694を止着するためのモータ取付ボス661が後方下部に2箇所と前方上部に1箇所の合計3箇所に突設されていると共に、スライド部材収納空間656の下部後方にスライド杆677をスライドさせるためにスライド部材710と連結される揺動片672の下端の軸穴673が挿入される揺動片用ボス663が突設されている。
【0306】
上記した発射ベース枠651には、打球発射装置650の剛性を高めるために金属プレート665が略密着するように取付けられている。このため、金属プレート665には、軸受筒652、下方のゴムストッパー部材653、スライド案内孔655、案内ブッシュ681、及び揺動片用ボス663に夫々対応する貫通孔666,667,668,669,671が形成されていると共に、スライド部材710の連結凸部712が貫通する横長楕円状の貫通孔670も貫通されている。上記のように構成される金属プレート665は、スライド部材710をスライド部材収納空間656に収納した後、夫々の貫通孔666?671がそれに対応する部材652,653,655,681,712,663を貫通あるいは一致させるように発射ベース枠651に密着させてビス止めすることにより発射ベース枠651に固定されるものである。
【0307】
金属プレート665が取付けられた発射ベース枠651の揺動片用ボス663の先端部分が貫通孔671から頭を出しているが、その頭の部分に揺動片672の軸穴673が挿通されて、揺動片672が下端を中心にして揺動自在に軸支される。揺動片672は、図91に示すように、縦長杆状に形成され、その下端に軸穴673が形成され、その中程にスライド部材710の連結凸部712が挿入されるやや縦長穴形状の連結穴674が形成されている。そして、その連結穴674より上方の前方面がスライド杆677の一端(後端)と当接する当接部675となっている。しかして、揺動片672を揺動片用ボス663に挿通し、且つ貫通孔670から頭を出しているスライド部材710の連結凸部712に連結穴674を挿入してワッシャ付きピン676を連結凸部712に止着することにより、揺動片672が発射ベース枠651に取付けられる。そして、取付けられた揺動片672は、スライド部材710のスライドに伴って下端を中心にしてその上方部分が揺動するようになっている。
【0308】
また、金属プレート665の上部前面には、横長杆状のスライド杆677が左右方向にスライド可能に取付けられる。即ち、スライド杆677の後方上部に突設されるL字状の案内係止片678を金属プレート665の貫通孔668に貫通係合させ、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682を有する案内ブッシュ681を貫通させて止めネジ682を止め穴662に止着する。上記した案内係止片678と貫通孔668、及び案内長孔680と案内ブッシュ681とにより、スライド杆677が金属プレート665を介して発射ベース枠651にスライド可能に装着される。また、スライド杆677には、その一端(後端)に上述した揺動片672の当接部675と当接する被当接部679が形成され、その他端(前端)に付勢バネ684の一端の係止輪685を掛け止めるためのバネ係止部683が突設されている。
【0309】
金属プレート665が取付けられた発射ベース枠651の軸受筒652が貫通孔666から突出しているが、その軸受筒652には、打球槌687の軸受689が抜け落ちないように嵌合されている。軸受689の軸には、打球槌687の下端部が固着されると共に同時にベース板690が固着される。ベース板690には、その前方裏面側に作動片658と当接する作動片当接部693が突設され、その前方前面に付勢バネ684の他端の係止輪686を掛け止めるためのバネ係止部692が突設され、さらにその後方前面に発射モータ695のモータカム697と係脱するモータ当接突片691が突設されている。打球槌687の上端には、合成樹脂製の槌先688が固着されており、この槌先688が発射レール515の下端部とその上方に固着される発射位置ストッパー702とによって形成される発射位置に突入するように臨んでいる。
【0310】
一方、発射ベース枠651の前述したモータ取付ボス661には、モータカバー694に収納された発射モータ695が取付けられる。より具体的には、図92(B)に示すように、モータカバー694は、内部に発射モータ695を収納するように形成された円筒部と、円筒部の前方に拡大してモータ取付ボス661に取付けるための取付固定穴699が形成される取付部と、が一体的に形成され、円筒部の内部に収納される発射モータ695のモータ軸696の先端に逆回転防止カム698とモータカム697とが固定されている。
【0311】
この逆回転防止カム698の外周には、多数の逆歯が形成されており、ストッパー片取付ボス701に揺動自在に固定されるストッパー片700(図93を参照)と係合して発射モータ695の逆方向の回転を防止している。これは、モータカム697が逆方向に回転してモータカム697とモータ当接突片691とが噛み合って打球発射装置650が駆動できなくなる故障が発生しないように防止するためである。また、モータカム697は、勾玉状に形成されており、発射モータ695の回転に伴いモータ当接突片691と係脱しながら打球槌687を往復動作させる。なお、モータカバー694をモータ取付ボス661に取付けたときには、図90(A)に示すように、打球発射装置650の主たる構成が後面から見て被覆されたような状態となっている。
【0312】
ところで、前述したスライド部材収納空間656に収納されてスライド移動するスライド部材710は、図95に示すように、後方が開放した直方体状に形成され、その前面に楕円形状の楕円凸部711が突設され、更に、楕円凸部711の後方位置に円形状の連結凸部712が突設されている。また、上面及び下面には、スライド部材収納空間656内をスライドし易いように断面円弧状のスライド用当接突部713がその両端に突設されている。一方、直方体状に形成されるスライド部材710の空間は、扉枠5の裏面下部に設けられるジョイントユニット180のスライド突片183が挿入される挿入空間714となっている。
【0313】
そして、この挿入空間714は、スライド方向前方の側壁手前側に第一傾斜面715が形成されると共に、その第一傾斜面715のやや後方寄りに上面及び下面の内側から内部に向かって突設され且つ相互の先端間に所定の間隔が形成される挟持片716が形成されている。挟持片716の手前側にも奥に向かって側方視でハ字状に傾斜する第二傾斜面717も形成されている。しかして、スライド突片183が挿入空間714に挿入された状態では、図95(B)に示すように、スライド突片183の傾斜辺183a側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態となっている。なお、スライド部材710の挿入空間714の側方に空間部718が形成されているが、この空間部718は、特に機能を奏しているわけではない。
【0314】
而して、上記のように構成されるスライド部材710は、スライド部材収納空間656に収納された状態で、図92(A)に示すように、スライド部材収納空間656の底面に形成される楕円形状の連結開口664に挿入空間714が臨むように形成されていると共に、スライド部材710がスライド部材収納空間656の一方の空間内壁に当接した状態(図92(A)では左の空間内壁に当接しているように図示されているが、通常の状態では右の空間内壁に当接した状態となっている。)となっている。
【0315】
そこで、まず、スライド部材710と打球発射装置650の付勢バネ684の強弱を調整する関係について説明すると、スライド部材710がスライド部材収納空間656の内部の初期位置(図92(A)において右の空間内壁に当接した位置)にあるときには、図93に示すように、スライド部材710の連結凸部712に連結された揺動片672が略垂直状態となっている。このため、揺動片672と当接しているスライド杆677も付勢バネ684の付勢力により一方向(図93において左側方向)に付勢された状態で揺動片672の当接部675とスライド杆677の被当接部679とが当接した状態となっている。この状態では、付勢バネ684が張力されていないので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動しても、打球槌687の復帰力も弱く、発射位置にある打球が弾発されても遊技盤4の遊技領域605に到達することはない。
【0316】
一方、スライド部材収納空間656の内部をスライド部材710が初期位置から他方方向に移動したとき(図92(A)において左の空間内壁方向に向かって移動したとき)、図94に示すように、揺動片672が下端の軸穴673を軸として揺動して傾動するため、当接部675と被当接部679との当接によりスライド杆677が他方向(図94において右側方向)に向かってスライド移動する。すると、スライド杆677のバネ係止部683に係止されている付勢バネ684も張力されて伸びた状態となる。この状態では、付勢バネ684が張力されているので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動したときの打球槌687の復帰力が強くなり、発射位置にある打球が強く弾発されて遊技盤4の遊技領域605に到達する。そして、この打球の弾発力の強弱は、スライド部材710のスライド部材収納空間656内でのスライド量に応じて調整することができる。
【0317】
上記したように、スライド部材710を移動させることにより、打球発射装置650による弾発力を調整することができるが、このスライド部材710の移動は、前述したハンドル装置400の操作ハンドル部410の回動操作部材414の回動操作に応じて移動するジョイントユニット180のスライド体182の移動と連動するようになっている。この点について図60等を参照して説明する。
【0318】
前述したように、ハンドル装置400の操作ハンドル部410の回動操作部材414を回転させることにより、回転軸415の先端に固着される勾玉状のカム416も回転するため、ジョイントユニット180のスライド体182がジョイントユニット装着凹部110cの内部を一方向に向かってスライド移動する。このため、スライド体182の前面に突設されるスライド突片183も同じ方向にスライド移動することになる。スライド体182のスライド突片183は、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態では、本体枠5の発射装置取付部520に形成される連結開口664を貫通してスライド部材710の挿入空間714に挿入されるようになっている。この場合の挿入状態は、前述したようにスライド突片183の傾斜辺183a側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態である。したがって、スライド突片183が一方向に向かってスライド移動すると、スライド部材710も同一方向に向かってスライド移動することになる。このとき、前述したように、スライド部材710のスライド移動に伴ってスライド杆677もスライド移動するので、付勢バネ684の付勢力を調整することができる。つまり、ハンドル装置400の回動操作部材414を回動操作することにより、打球発射装置650の打球の弾発力を調整することができるものである。
【0319】
ところで、本実施形態においては、ハンドル装置400が扉枠5に設けられ、打球発射装置650が本体枠3に設けられているので、扉枠5を開閉する毎にハンドル装置400のスライド突片183と打球発射装置650のスライド部材710とが連携したり離れたりすることになる。しかし、本実施形態においては、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を閉じることにより、スライド突片183がスライド部材710の挿入空間714に自動的に挿入されてハンドル装置400と打球発射装置650とが連携され、逆に、本体枠3に対して扉枠5を開放することにより、スライド突片183が挿入空間714から離れてハンドル装置400と打球発射装置650とを分離することができるので、極めて簡単に扉枠5の開閉に伴ってハンドル装置400と打球発射装置650との連携・分離を行うことができる。特に、スライド突片183が挿入空間714に挿入される際には、スライド突片183の位置が上下方向に多少ずれていても、挿入空間714内に突設される挟持片716の第二傾斜面717によってスライド突片183がスムーズに挟持位置に挿入されるようになっている。
【0320】
また、時として、操作ハンドル部410の回動操作部材414に遊技者が詰め物を詰めてある程度回動した位置で固定している場合があるが、遊技場の店員がその詰め物を知らずに扉枠5を開閉する場合がある。このような場合でも、扉枠5を開放する場合には、単にスライド突片183が挿入空間714から離れるだけであるので問題はないが、扉枠5を閉める場合に、スライド突片183の位置が多少一方向にずれた状態となっているものの、スライド突片183の傾斜辺183aとスライド部材710の第一傾斜面715との協働作用により、扉枠5の閉止動作に伴ってスライド部材710を一方向に移動させながら最終的にスライド突片183とスライド部材710とが係合するようになっている。つまり、本実施形態においては、操作ハンドル部410の回動操作部材414がどのような回動位置で固定されていても、操作ハンドル装置400と打球発射装置650との連携を行うことができるものである。
【0321】
[1-3C.賞球タンク]
次に、本体枠3の裏面上部に取付けられる賞球タンク720について、主として図96を参照して説明する。図96は、賞球タンク720の斜視図(A)、平面図(B)、側面図(C)である。賞球タンク720は、前述したように、本体枠3の裏面上部に形成されるタンク取付溝550(図70を参照)に着脱自在に取付けられるものである。しかして、賞球タンク720は、長方形状の箱状に形成され、パチンコ機1の正面側から見て、その前面壁721に切欠部729が形成され、その底面が上流側壁724から下流側壁723に向かって傾斜する第一傾斜底面726と前面壁721から次に説明する排出口730に向かって傾斜する第二傾斜底面727とによって貯留部728が形成されている。
【0322】
また、その第二傾斜底面727の傾斜下端に排出口730が形成されるが、この排出口730は、パチンコ機1の正面側から見て賞球タンク720の後面壁722よりも外側に突出するように下流側壁723と後面壁722とをコ字状に連結する排出口突出壁725に囲まれるように形成されている。また、賞球タンク720の前面壁721の両端外側には、タンク取付溝550と係合する取付鍔部733が形成されていると共に、賞球タンク720の底面の裏面側に本体枠3の第四側面壁543に載置当接する載置当接片731,732が突設され、さらに、賞球タンク720の上流側の後面壁722の下部に後述する球ならし部材744を取付けるための球ならし取付軸735が突設されている。また、排出口730を除く賞球タンク720の後面壁722及び上流側壁724には、球の跳ね飛びを防止するための溢れ防止部材734が着脱自在に取付けられるようになっている。
【0323】
上記のように構成される賞球タンク720においては、本体枠3のタンク取付溝550に対して取付鍔部733を上方から差し込むように取付け、載置当接片731,732を本体枠3の第四側面壁543に当接させる。これによって、賞球タンク720が本体枠3の裏面側上部に載置して取付けられるが、この取付けられた状態においては、図74に示すように、前面壁721の切欠部729を介して貯留部728と本体枠3の裏面に形成された逃げ凹部551とが連通し、また、図4に示すように、排出口730が次に説明するタンクレール部材740の上流端部に臨むようになっている。したがって、賞球タンク720において、球を貯留する貯留部728(第一傾斜底面726及び第二傾斜底面727に対応する貯留空間部分)の前後方向の幅は、本体枠3の第二側面壁541?第四側面壁543までの前後方向の幅と略同じとなるように形成されると共に、それらの側面壁541?543までの上部に載置されるようになっている。
【0324】
また、前述したように、本体枠3の第一側面壁540?第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部の後方突出空間を覆うように深く形成されているので、その側面壁541?543の上部に載置される賞球タンク720の貯留部の深さは、従来の貯留タンクにくらべて浅く形成されているものの、賞球が貯留されて重量が増加しても賞球タンク720の全体を本体枠3の側面壁542?543で支持しているので、傾斜底面726,727が変形することなく貯留された球をスムーズに排出口730に導くことができる。また、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているため、貯留部728に貯留された球の流れが第二傾斜底面727から外側に向かって流れるように構成されている。このため、従来のように傾斜底面の一部に開口を設けて排出口としていた賞球タンクに比べて、排出口近傍の貯留部に球詰まり解消のための球崩し突部を突出形成することなく球詰まりが発生し難い構造とすることができる。
【0325】
そして、本実施形態においては、前述したように、遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541?543の上部外側に賞球タンク720の貯留部が載置された状態で、しかも、賞球タンク720の排出口730が貯留部の後面壁722よりも外側に突出して設けられているため、タンクレール部材740が賞球タンク720の貯留部の外側(パチンコ機1の正面から見て奥側)に位置して、タンクレール部材740と賞球タンク720の貯留部728とが上下方向に重複しない位置となっているので、遊技盤4の裏面に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541?543の上辺を本体枠3の上辺に近い位置で後方に向って突出させることができ、これにより、遊技装置の後方突出部が遊技盤4の上辺部で突出していても後側面壁541?543の内部に楽に収納することができる。
【0326】
更に、賞球タンク720の貯留部728が遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541?543の上部外側に載置されているか否かに関係なく、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているという構成だけで従来の賞球タンクにはない独特の効果を奏するものである。これについて図97を参考にして説明する。図97は、従来の賞球タンク(A),(B)と本実施形態に係る賞球タンク(C)との排出口部分における球の圧力状態を示す平面図である。図において、通常時、賞球タンク720に貯留される球は、賞球タンク720の貯留部に貯留されて滞留した状態となっている。この場合、従来の賞球タンクのように貯留部の傾斜底面の一部を開口して排出口730Aを形成している場合、例えば、図97(A)に示すように、球崩し突部736Aと反対側に排出口730Aが形成された賞球タンクや、図97(B)に示すように、球崩し突部736Bに隣接して排出口730Bが形成されている場合には、排出口730A,730Bの部分では、貯留された球の圧力とその圧力に基く賞球タンクの側壁からの反作用により、常に排出口730A,730B部分に四方から球圧がかかった状態となっている。
【0327】
このため、たまたま球の重合具合によって球同士の圧力が釣り合い、下流側の球が流れ出ても、排出口730A,730B部分で球噛み状態が発生し球詰まりが発生することがあった。これに対し、本実施形態に係る賞球タンク720では、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているので、図97(C)に示すように、排出口730部分における貯留された球の圧力は、貯留部から排出口730方向に向かう作用力とその反作用だけの二方向からの圧力であり、従来のように四方から圧力を受けるわけではない。このため、下流側の球が流れ出ても、排出口730部分における球噛み状態が発生し難く、球詰まりが発生しないという優れた効果を奏することができる。
【0328】
[1-3D.タンクレール部材]
続いて、上記した賞球タンク720の下方に配置されるタンクレール部材740について主として図98乃至図100を参照して説明する。図98は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の背面側から見た斜視図であり、図99は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の正面側から見た斜視図であり、図100は、タンクレール部材740の下流部と球通路ユニット770の上流部との関係を示す断面図(A)と平面図(B)である。
【0329】
タンクレール部材740は、前述したように、本体枠3の上後面壁545のレール係止溝553,554(図70を参照)に着脱自在に取付けられるものである。そのため、タンクレール部材740には、その後面側の側面の左右辺及び下辺にレール係止溝553に上から差し込まれる複数の係止突片749が突設されると共に、その後面側側面の上辺中央にレール係止溝554に上から掛け止められる鉤状の係止突片750が突設されている。しかして、タンクレール部材740は、上面が開放した傾斜樋状に形成され、その上流端上面が賞球タンク720の排出口730に臨み、その下流端下面が後に詳述する球通路ユニット770に臨んでいる。また、タンクレール部材740の内部は、図4に示すように仕切壁741によって球が2列に整列して流下する通路742となっている。
【0330】
なお、通路742の底面は、細溝が切り欠けられており、通路742を球と一緒に転動する異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、通路742の側壁には、静電気を除去するための金属板(図示しない)が貼付されており、この金属板の下流端が前述したアース線接続具557(図68を参照)に接続されている。このため、タンクレール部材740を流下する球に帯電していた静電気が金属板からアース線接続具557を介して電源基板1136のアース用コネクタを経て外部にアースされるようになっている。
【0331】
また、タンクレール部材740の中流域のやや下流側に重錘を有する卵形状の球ならし部材744が揺動自在に設けられている。この球ならし部材744は、前述した賞球タンク720の球ならし取付軸735に揺動自在に軸支されるものであり、タンクレール部材740における2列の夫々の通路742内に向かって垂下され、各通路742を流下する球が上下方向に複数段で流下してきたときに1段となるように整流するものである。また、球ならし部材744の設置位置より下流側のタンクレール部材740の上面が球押え板745によって被覆されている。この球押え板745は、球ならし部材744によって1段とならなかった球を強制的に1段とするように傾斜円弧状に形成されるものである。
【0332】
更に、タンクレール部材740の下流端部には、夫々の通路742に臨んで一対の整列歯車747が軸ピン748によって回転自在に軸支されている。この整列歯車747は、外周に複数の歯が形成され、一対の整列歯車747における歯のピッチが半ピッチずつずれるようにして軸ピン748に固定されている。このため、タンクレール部材740の各通路742を流下してきた球の上部が整列歯車747の歯と噛み合いながら下流側に流下するときに2列の通路742の球が交互に1つずつ送られることになる。この場合、図100に示すように、各通路742を流れてきた球は、整列歯車747と噛み合いながら2列の通路742の下部に形成される傾斜面743に沿って中央方向に誘導され、その誘導中に次に説明する球通路ユニット770の球落下通路772の上端入口773に2列の通路742からの球を交互に一列状にして落下するようになっている。なお、整列歯車747は、その上面を円弧状の歯車カバー746によって被覆されている。
【0333】
[1-3E.球通路ユニット]
次に、上記したタンクレール部材740から一列状に落下される球を賞球ユニット800に導くための球通路ユニット770について、主に図101乃至図105を参照して説明する。図101は、本体枠3と球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す分解斜視図であり、図102は、球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す背面図であり、図103は、球通路ユニット770の背面から見た斜視図であり、図104は、球通路ユニット770の正面図であり、図105は、球通路ユニット770と賞球ユニット800との連結構造を説明するための側面図である。なお、図102及び図103において、賞球ユニット800部分は、ギヤカバー866、アルミ放熱板841、ユニットサブ板825が削除され、ユニットベース体801に形成された球通路部分をわかりやすく描いたものである。ただし、ギヤ等については、球通路との関係を理解し易くするため、一点鎖線で示してある。
【0334】
本例の球通路ユニット770は、略長方形状の板材の裏面(背面から見える面を表面という。)に屈曲した一対の屈曲通路壁771によって球落下通路772が形成されている。この球落下通路772は、図100(A)に示すように、その上流が前後方向(背面から見て奥行方向)に屈曲する前後屈曲通路部772aと、前後屈曲通路部772aに連通して左右方向(背面から見て左右方向)に屈曲する左右屈曲通路部772bと、左右屈曲通路部772bに連通して略垂直状となっている垂直通路部772cとからなっている。
【0335】
この前後屈曲通路部772aは、図100(A)に示すように、上述したタンクレール部材740から落下する上端入口773の位置が前述したように2列の通路742の略中央であるため、本体枠3の上後面壁545及び軸支側後面壁546の表面から背面側に離れた位置となっているので、前後屈曲通路部772aと軸支側後面壁546に突設される賞球案内突起561とによって球落下通路772を軸支側後面壁546の表面に近い位置とするように前後方向に屈曲するものである。また、左右屈曲通路部772bは、図104に示すように、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球の勢いを弱めるために球通路ユニット770の略横幅一杯にコ字状に屈曲して形成されるものである。
【0336】
更に、垂直通路部772cも略垂直状に形成されているものの若干緩やかに湾曲して形成され、その垂直通路部772cを構成する一方の屈曲通路壁771に切欠部775が形成され、その切欠部775に上端が支軸777によって軸支される球切れ検出片776が揺動自在に取付けられている。この球切れ検出片776の側方には、球切れスイッチ778が取付けられ、球切れスイッチ778のアクチュエータ779が球切れ検出片776に当接している。球切れ検出片776及び球切れスイッチ778によって垂直通路部772cでの球切れを検出する球切れ検出機構が構成されている。
【0337】
しかして、垂直通路部772cに球が存在しているときには、垂直通路部772cに存在する球によって球切れ検出片776が押圧されてアクチュエータ779を押して球切れスイッチ778をONとするが、垂直通路部772cに球詰まりや球欠乏により球が存在しなくなると球切れ検出片776が垂直通路部772c内に向かって揺動するので、アクチュエータ779が球切れスイッチ778をOFFとする。球切れスイッチ778がOFFになると、後述する賞球ユニット800の払出モータ815の回転が停止して賞球の払出が停止されるようになっている。
【0338】
なお、切欠部775の下端部には、球切れ検出片776の通路部と反対側への過剰な揺動を防止するためにストッパー突起780が形成されており、また、球通路ユニット770の球切れ検出片776に対応する垂直通路部772cに球詰まり用挿入溝781が形成されている。この球詰まり用挿入溝781は、球詰まり等で球切れ検出片776の揺動動作が行われ難い場合に、球通路ユニット770の後面側からピンを差し込んで球切れ検出片776部分の球詰まりの解消を図るために設けられるものである。更に、球切れ検出片776に対面する他方の屈曲通路壁771は、若干球切れ検出片776側に向かって膨出状に形成されている。これは、垂直通路部772cに球が存在しているときに確実に球切れ検出片776を押圧して球切れスイッチ778をONにするためである。
【0339】
また、球通路ユニット770には、上記した球落下通路772を避けた位置に止め穴782と位置決めボス783とが形成されている。位置決めボス783は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される位置決めピン574に係合されるものであり、止め穴782は、同様に軸支側後面壁546に形成される通路ユニット取付ボス562に対応するものである。しかして、球通路ユニット770を本体枠3に取付けるには、図101に示すように、位置決めボス783を位置決めピン574に係合させながら通路ユニット取付ボス562と止め穴782とを一致させ、その状態で止め穴782からビス784を螺着することにより行うことができる。更に、球通路ユニット770には、その一側中程にカバー体1250の係合片と係合するカバー体係合溝785が形成されていると共に、下部に賞球ユニット800と連結するための連結蓋部材786が回動自在に設けられている。
【0340】
連結蓋部材786は、図103に示すように、長方形状の板材の裏面に円弧状に突設される一対の通路壁790を突設することにより構成されており、球通路ユニット770の下部表面の左右両端部に突設される軸支部としての支持突片787に、連結蓋部材786の両端部から延びる支持片788の先端に突設される回転軸部としての突起軸789を嵌合することにより回動自在に軸支されるものである。また、連結蓋部材786は、閉じることにより球通路ユニット770の下方に延長されて通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通した状態(図105(B)に示す状態)と、開放することにより通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通しない状態(図105(A)に示す状態)と、に回動し得るが、開放した状態から閉じた状態に移行する際に、連結蓋部材786の支持片788を案内する案内突起791が球通路ユニット770の後面下端部に突設されている。
【0341】
而して、球通路ユニット770を本体枠3の軸支側後面壁546に固定した状態で、しかも、後述するように賞球ユニット800を同じく軸支側後面壁546に装着した状態(図105(A)に示す状態)で、連結蓋部材786を閉じて賞球ユニット800に設けられる係止弾性爪820によってその後面を係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772と賞球ユニット800の屈曲通路803とを通路壁790にて連通して、球通路ユニット770の球落下通路772を落下する球を賞球ユニット800の屈曲通路803に導くことができるものである。このように球通路ユニット770に回動自在な連結蓋部材786を設けた理由は、後述するように賞球ユニット800を本体枠3に対して着脱自在に装着し易くすることと、その着脱自在に装着したことに起因して球通路ユニット770と賞球ユニット800との間に形成される空間が球のスムーズな落下を阻害しないようにするためである。
【0342】
また、球通路ユニット770に突設される一対の屈曲通路壁771の間に本体枠3の軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように突設される賞球案内突起561を挿入することで、球落下通路772の上端入口773がタンクレール部材740の2列の通路742の略中央下部に位置するように、球落下通路772の上流部を背面からみて前後方向に屈曲する前後屈曲通路部772aとして形成する。これにより、一対の整列歯車747によって2列で流下する球を交互に1個ずつ賞球ユニット800側に送り出す構成において、球落下通路772を通して球を1個ずつスムーズに賞球ユニット800に送り出すことができる。また、この構成によれば、複数の部材の組立体から球落下通路772を構成する必要がないため、球落下通路772を構成する部品点数を削減することができると共に、球落下通路772の組み付け作業性を向上することができる。
【0343】
また、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球は、左右屈曲通路部772bを通過することでその勢いを弱め、その後、垂直通路部772cを通って賞球ユニット800に送られる。また、勢いが弱められた状態で球が送り込まれる垂直通路部772cには、球切れを検出するための球切れ検出機構(球切れ検出片776及び球切れスイッチ778)が設けられる。これにより、球落下通路772での球切れ、言い換えれば賞球ユニット800に供給する球が切れたこと(球切れ)を確実に検出することができる。
【0344】
[1-3F.賞球ユニット]
次に、上記した球通路ユニット770の下流側に配置される賞球ユニット800について、主に図106乃至図109を参照して説明する。図106は、賞球ユニット800の背面側から見た分解斜視図であり、図107は、払出モータ815と払出部材としてのスプロケット807との関係を説明するための背面図であり、図108は、賞球ユニット800の通路と駆動関係を説明するための背面図であり、図109は、図108のA-A断面図である。
【0345】
図106において、賞球ユニット800は、一対の屈曲通路壁802によって球通路を構成する屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成されるユニットベース体801と、ユニットベース体801の後面を覆うユニットサブ板825と、ユニットサブ板825の上部表面(後面側)に取付けられる賞球ユニット内中継端子板830と、ユニットサブ板825の略中央表面領域(後面側領域)に設けられるギヤ群843,844,847及び検出円盤850(回転伝達部材)を被覆するギヤカバー866とから構成されている。以下、これらの構成を順次説明する。
【0346】
ユニットベース体801は、略長方形状の板状(この板部分を「底面」という場合がある。)に形成され、その板状のユニットサブ板825側に向かって突設される一対の屈曲通路壁802によって屈曲通路803が形成されている。屈曲通路壁802は、ユニットベース体801の上部中央から下流側の略中程まで球の直径よりもやや大きな間隔で突設されるが、その中程から下流側に大きく左右に分かれて中程から下流端までユニットベース体801の両端辺の側壁を兼ねている。また、中程の屈曲通路壁802が大きく左右に分かれた部分は、球送り回転体としてのスプロケット807が配置される振分空間805を構成し、その振分空間805の下部からユニットベース体801の下流端までに左右に分かれた屈曲通路壁802の対をなすように通路区画壁809が突設形成されている。
【0347】
つまり、中程から下流側の左右の屈曲通路壁802と通路区画壁809とによって振分空間805から左右に2つの通路が構成されることなり、一方の通路が賞球通路810を構成し、他方の通路が球抜通路811を構成している。なお、通路区画壁809も左右に大きく分かれており、その分かれた通路区画壁809の内側に払出モータ815を収納するモータ収納空間814が形成されている。即ち、払出モータ815は、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)を避けた位置であって、その球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納固定される。なお、屈曲通路803は、通路803内に停留する球のスプロケット807への圧力を弱めるために蛇行状に形成されて振分空間805に到達しているが、その振分空間805の上流側の底面に楕円形状の開口804が形成されている。この開口804は、屈曲通路803内に入った小さなゴミ等を貯留するもので、賞球ユニット800を本体枠3から取り外したときに溜まったゴミ等を取り出すことができるようになっている。
【0348】
また、上記した振分空間805には、外周に球が嵌り合う複数(図示の場合は、3つ)の凹部が形成された払出部材としてのスプロケット807が回転自在に配置されるが、このスプロケット807が固定される回転軸808の他端を軸支する軸受筒806が振分空間805の底面に形成されている。また、振分空間805の底部を構成する通路区画壁809の上端部は、スプロケット807の回転円弧に沿った凹円弧状に形成され、その一方に形成される賞球通路810の上流部には、計数スイッチ812が着脱自在に装着されている。
【0349】
この計数スイッチ812は、先端部に球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、その後端部の形状と合致するスイッチ嵌合凹部865を屈曲通路壁802で形成することにより、簡単に着脱自在に取付けられるものである。なお、計数スイッチ812からの配線(図示しない)は、後述する賞球ユニット内中継端子板830に接続されるようになっている。更に、賞球通路810を構成する屈曲通路壁802の下流側には、ユニットサブ板825と一体的に形成される通路蓋板部859に形成される係止部860と係合する係止爪813が複数形成されている。ただし、複数の係止爪813のうち、通路蓋板部859の下端の一方の係止部860と係合する係止爪813は、通路区画壁809側に形成されている。
【0350】
また、ユニットベース体801の下方であって賞球通路810と球抜通路811との間には、払出モータ815を収納する円形状のモータ収納空間814が形成されるが、このモータ収納空間814の内部に払出モータ815の円筒状本体が収納されるようになっている。ただし、払出モータ815は、その前面に形成される一対の取付片816によってユニットサブ板825の下方に取付けられるアルミ放熱板841の裏面側にビス817で固着されるようになっている。そして、払出モータ815がユニットサブ板825のアルミ放熱板841に取付けられた状態で、払出モータ815のモータ軸818は、アルミ放熱板841に穿設された軸挿通穴842を貫通して第一ギヤ843が固着されるようになっている。
【0351】
また、ユニットサブ板825及びアルミ放熱板841でユニットベース体801の後面側を被覆することにより、上記した屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成される奥行幅方向の空間内に払出モータ815の円筒状本体部分も収納配置されることになる。そして、払出モータ815を収納するモータ収納空間814と前述したスプロケット807が配置される振分空間805とが、上下方向の極めて近い位置関係に形成されているため、ユニットベース体801の上下方向の長さを短くすることができ、結果的に賞球ユニット800のコンパクト化を図ることができる。
【0352】
更に、ユニットベース体801には、上記した球抜通路811の最下端に球抜きされた球を賞球ユニット800の裏面側に誘導する誘導突片819が突設され、この誘導突片819に誘導された球が後述する球抜接続通路880に誘導されて最終的にパチンコ機1の外部(島台の下方に設けられる回収樋)に放出されるようになっている。また、ユニットベース体801の上部には、前述した球通路ユニット770の連結蓋部材786を係止する係止弾性爪820が突設されると共に、賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に着脱自在に取付けるためのボタン挿通係合穴821及び鉤状係合部824と、ユニットベース体801とユニットサブ板825を挟持した状態でギヤカバー866とを連結するための取付ボス823が設けられている。
【0353】
このボタン挿通係合穴821には、ユニットベース体801の上部一側に設けられて棒状の着脱ボタン822が奥行幅方向に摺動自在に取付けられるものであり、後述するように、その前方先端が本体枠3の軸支側後面壁546に形成されるロック用弾性爪564に対応している。また、ボタン挿通係合穴821の後端面は、図101に示すように、ロック用弾性爪564の先端部が入り込むように凹状となっている。また、鉤状係合部824は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される係合突片565と係合するもので、賞球ユニット800を軸支側後面壁546に押し当てて下方に押下げることにより、鉤状係合部824と係合突片565とが係合するものである。そして、その係合状態においてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合するので、賞球ユニット800の上方向の移動ができないようになっている。
【0354】
なお、鉤状係合部824は、ユニットベース体801の上部左右に形成されている。また、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結するための取付ボス823は、後面側に向かって長く突設され、ユニットサブ板825に穿設される貫通穴858を貫通した後、ギヤカバー866の取付穴867に対応させ、そのギヤカバー866の表面からネジ868を螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結している。
【0355】
上記したユニットベース体801を被覆するユニットサブ板825の構成について説明すると、ユニットサブ板825は、ユニットベース体801の屈曲通路803部分と振分空間805部分と賞球通路810部分とを覆う合成樹脂製の板材に払出モータ815が取付けられると共に球抜通路811の下流部分とを覆うアルミ放熱板841を取付けることにより構成されている。そして、ユニットサブ板825の合成樹脂板部の表側(後面側)には、賞球ユニット内中継端子板830を取付けるための中継基板領域826が上部に形成され、その下方に複数のギヤ843,844,847や検出円盤850が取付けられるギヤ領域840が形成されている。
【0356】
この中継基板領域826は、略正方形状に形成され、その正方形状に沿って賞球ユニット内中継端子板830を載置する載置リブ827が突設され、その一側垂直辺の上下に後述する基板カバー835の係合突起836と係合する係合溝部828が形成され、その他側垂直辺の中央に基板カバー835の係止突部837と係合する係止爪部829が形成されている。また、中継基板領域826には、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴834と賞球ユニット内中継端子板830をビス(図示しない)で止着するための取付ボス部832が形成されている。
【0357】
上記した中継基板領域826に取付けられる賞球ユニット内中継端子板830は、賞球ユニット800に設けられる上述した計数スイッチ812、払出モータ815、及び後述する回転角スイッチ855からの配線と、後述する払出制御基板1186(図71及び図126を参照)からの配線とを中継するもので、そのために複数のコネクタが設けられると共に、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴833と取付ボス部832に対応する取付穴831とが穿設されている。しかして、賞球ユニット内中継端子板830を中継基板領域826の載置リブ827に載置した状態で取付穴831と取付ボス部832とを合致させて図示しないビスで止着することにより賞球ユニット内中継端子板830をユニットサブ板825の表面(後面)に止着することができる。
【0358】
また、上記のように取付けられる賞球ユニット内中継端子板830は、基板カバー835によって被覆される。基板カバー835は、略正方形状の前面側が開放したボックス状に形成され、その一側垂直辺の上下基部に係合突起836と他側垂直辺の略中央側面に係止突部837が形成されている。また、基板カバー835の正方形状の垂直面には、ボタン開口838と接続開口部839とが形成されている。しかして、基板カバー835の係合突起836を中継基板領域826の係合溝部828に差し込んで係合した後、係止突部837と係止爪部829とを係合させることにより、簡単に基板カバー835で賞球ユニット内中継端子板830を被覆することができる。逆に、取り外す場合には、係止爪部829を弾性変形させて係止突部837との係合を解除すると共に基板カバー835を斜め手前側に引いて係合突起836と係合溝部828との係合を解除することができる。なお、基板カバー835を被覆した状態では、ボタン挿通係合穴821に係合されている着脱ボタン822の頭部がボタン挿通穴833,834を挿通してボタン開口838から外部に僅かに臨んでいる。また、賞球ユニット内中継端子板830に接続された配線は、接続開口部839から外部に引き出されるようになっている。
【0359】
次に、ユニットサブ板825に形成されるギヤ領域840に設けられるギヤ843,844,847、及び検出円盤850について説明する。前述したように、払出モータ815のモータ軸818の先端は、ユニットサブ板825のアルミ放熱板841に穿設される軸挿通穴842を貫通してユニットサブ板825の表面(後面側)に突出しており、その突出した部分に第一ギヤ843(駆動ギヤ)が固着されている。第一ギヤ843の上方には、第一ギヤ843と噛合する第二ギヤ844(回転伝達ギヤ)がギヤカバー866の裏面(前面側)に一端が圧入され且つアルミ放熱板841に穿設される軸穴846に他端が支持される軸845に回転自在に設けられ、その第二ギヤ844の上方には、第二ギヤ844と噛合する第三ギヤ847(回転伝達ギヤ)がユニットサブ板825に形成される軸穴849に圧入された軸848に回転自在に設けられている。更に、第三ギヤ847の上方には、第三ギヤ847と噛合するギヤ部852(従動ギヤ)を有する検出円盤850がスプロケット807を軸支する回転軸808に回転自在に設けられている。
【0360】
なお、図109に示すように、モータ軸818の先端部がギヤカバー866に形成される受穴に遊嵌されている。また、回転軸808は、その一端がユニットベース体801に形成される軸受筒806に圧入されて支持され、その他端がギヤカバー866に形成される軸受穴に支持されるものであるが、ギヤ領域840の中央よりやや下方に形成された軸貫通穴864を貫通して振分空間805においてスプロケット807を回転自在に軸支し、ユニットサブ板825とギヤカバー866とによって形成される空間において検出円盤850を回転自在に軸支している。ただし、図109に示すように、スプロケット807の後端部が検出円盤850の中心前面部と係合した状態となっているので、スプロケット807と検出円盤850とは、回転軸808を中心として一体的に回転するようになっている。したがって、払出モータ815が回転駆動すると、その回転が第一ギヤ843、第二ギヤ844、第三ギヤ847、検出円盤850のギヤ部852を介してスプロケット807を回転するように伝達される。
【0361】
この検出円盤850の外周は、ギヤ部852の円よりも一回り大きく形成されており、そのギヤ部852よりも外側に突出している外周部分には、スプロケット807の凹部と同じ数(図示の場合には、3個)の検出切欠851が形成されている。この検出切欠851は、ユニットサブ板825の表面に形成される基板取付部857に挟持支持されるセンサ基板854に設けられる投受光方式の回転角スイッチ855(回転位置検出手段)によって検出されるものである。そして、回転角スイッチ855は、払出動作時において所定のインターバル時間内に検出切欠851の検出個数を検出することにより、スプロケット807が正常に回転しているか否かを監視するためのものである。仮に、回転角スイッチ855により、異常回転が検出されたとき(多くは、スプロケット807による球噛み状態)には、スプロケット807を所定回数正逆回転させて異常状態(例えば、球噛み状態)を解消するものである。なお、実際に払いだされた球の個数は、前述した賞球通路810に設けられる計数スイッチ812によって検出して計数のために使用している。なお、図109に示すように、センサ基板854の他端辺もギヤカバー866に形成される基板取付部に挟持されるようになっている。
【0362】
上述したように、ギヤ領域840に設けられる複数のギヤのうち、第二ギヤ844だけがギヤカバー866側に圧入される回転軸845に回転自在に設けられているところ、ギヤ領域840を覆うギヤカバー866には、ユニットベース体801に突設されてユニットサブ板825の貫通穴858を貫通する取付ボス823の先端部に対応する位置に穿設される取付穴867が形成されている。そして、ギヤカバー866側に設けられる第二ギヤ844の歯とユニットサブ板825側に設けられる第一ギヤ843及び第三ギヤ847の歯とを噛み合わせながら、取付穴867と取付ボス823とを一致させた状態でギヤカバー866の後面からネジ868で螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持する状態でユニットベース体801とギヤカバー866とが一体的に固定される。また、ギヤカバー866の一側側面には、賞球ユニット内中継端子板830に接続される配線(例えば、賞球ユニット内中継端子板830と後述する払出制御基板1186とを接続する配線等)を掛け留めて纏める配線処理片869が突設されている。
【0363】
以上、賞球ユニット800の構成について説明してきたが、ユニットベース体801とユニットサブ板825と賞球ユニット内中継端子板830と基板カバー835とギヤカバー866とを組み付けた状態においては、図109に示すように、払い出すべき球が導かれる屈曲通路803の下方位置に払出モータ815の円筒状の本体部分が収納されるように位置する。また、ユニットベース体801には、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)内に配置されたスプロケット807と、球通路を避けた位置であって球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納された払出モータ815と、を設け、ユニットサブ板825には、その非閉塞面側に沿って払出モータ815のモータ軸818の回転をスプロケット807の回転軸808に伝達する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)を設け、しかも、払出モータ815と屈曲通路803の振分空間805に配置される払出部材としてのスプロケット807とをユニットサブ板825の後面のギヤ領域840に設けられる複数のギヤ843,844,847,850(852)によって回転駆動するように連結した構造となっている。即ち、ユニットベース体801とユニットサブ板825との間に形成される球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)の奥行き幅内にスプロケット807と払出モータ815とを収納し、しかも、スプロケット807と払出モータ815とを連結する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)をユニットサブ板825の非閉塞面側の所定幅内に沿って設けたので、球通路の外側に払出モータやスプロケットの一部を配置したものに比べて、賞球ユニット800を薄型化することができる。
【0364】
また、このような賞球ユニット800は、賞球ユニット800内の球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)が一条の通路形状で形成されることにより、より一層の薄型化が図られている。即ち、従来のように、払出モータ815を賞球ユニットの前面側又は後面側又は側方側に突出させるものと異なり、本体枠3の軸支側後面壁546の後面側に取付けたときに、賞球ユニット800のいずれの部分もさらに後方に向かって突出することがない構造とすることができる。なお、図109において、払出モータ815の前端部分がユニットベース体801の後面よりも僅かに突出して構成されているが、この突出部分は、図71に示すように、軸支側後面壁546の下方の払出モータ用逃げ開口部572から本体枠3の前方部分に臨むようになっているため、結果的にその突出寸法から軸支側後面壁546の板厚寸法を差し引いた寸法だけ突出する程度となり、軸支側後面壁546よりも前方に向かう突出量は僅かなものとなっている。また、このような構成をとることにより、本実施形態では、賞球ユニット800が取付けられる本体枠3の軸支側後面壁546と遊技盤4の裏面との間に、遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部分を収納する収納空間を奥行き幅方向で大きくとることができる。
【0365】
更に、上記のように構成される賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に取付けるためには、図101に示すように、鉤状係合部824と係合突片565とを対応させて位置合わせした後、賞球ユニット800の下端を係止溝573に掛け止め且つ鉤状係合部824と係合突片565とを係合させるために賞球ユニット800を軸支側後面壁546に密着させたまま下方に押下げる。このとき、賞球ユニット800の下端部と係止溝573とが係合し且つ鉤状係合部824と係合突片565とが係合しているので、取付自体は完了しているが、賞球ユニット800を上方に移動させることにより簡単に上記の夫々の係合状態が解除されてしまうため、これを防止するために、ロック用弾性爪564がボタン挿通係合穴821に係合するようになっている。
【0366】
つまり、ロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合することにより、取付状態で賞球ユニット800の上方への移動を防止している。このように、賞球ユニット800を取付けた後に、球通路ユニット770の連結蓋部材786を前述したように回動して係止弾性爪820で係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772下流端と賞球ユニット800の屈曲通路803の上流端とを一対の通路壁790によって構成される通路を介して連通化することができる。また、賞球ユニット800を取付けた状態では、賞球通路810の下流端と後に詳述する満タンユニット900の賞球入口927とが接続され、球抜通路811の下流端が球抜接続通路880の上流端と接続される。
【0367】
一方、賞球ユニット800を取り外すときは、係止弾性爪820による係合を解除して連結蓋部材786を手前側に回動し、その後、着脱ボタン822を押圧してロック用弾性爪564を前面側に移動させてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821との係合を解除させ、その後着脱ボタン822を押圧したままの状態で賞球ユニット800を上方に引き上げて賞球ユニット800の下端部と係止溝573との係合及び鉤状係合部824と係合突片565との係合を解除して賞球ユニット800を手前側に引き出すことにより、賞球ユニット800を簡単に取り外すことができる。
【0368】
[1-3G.満タンユニット]
続いて、上記した賞球ユニット800の下流側に配置される満タンユニット900について、主として図110乃至図116を参照して説明する。図110は、賞球ユニット800と満タンユニット900との関係を示す斜視図であり、図111は、満タンユニット900の斜視図であり、図112は、満タンユニット900の正面から見た分解斜視図であり、図113は、満タンユニット900の背面から見た分解斜視図であり、図114は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す一部破断斜視図であり、図115は、満タンユニット900に設けられる底面揺動板907部分で切断した横断面図であり、図116は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す断面図である。
【0369】
満タンユニット900は、前述したように本体枠3の満タンユニット載置部531に載置固定されるものであり、図112に示すように、上面が開放したボックス状に形成されるボックス主体901と、ボックス主体901の上面を覆う蓋体926とから構成されている。ボックス主体901は、賞球通路810の下流端から流入した球が内部をジグザグ状に誘導されて出口921から排出されるようになっている。このため、その上流部に蓋体926に形成される賞球入口927から流入した球を一端から他端に向かって側方に誘導する側方誘導通路902が形成されている。側方誘導通路902の賞球入口927の直下の一端部には、球を側方に向かって誘導するように凹円弧状に形成される側方誘導受部903が設けられ、側方誘導通路902の他端内面に側方誘導通路902を流れてきた球の衝撃を受け止めて球を下流側に誘導する緩衝部材904が設けられている。
【0370】
また、側方誘導通路902の他端内面に設けられる緩衝部材904に衝突した球は、向きを下流側に変えた後、側方誘導通路902の球の流れと逆方向に流れるように誘導される逆側方誘導通路905が形成されている。逆側方誘導通路905を流れた球は、その後、前方に向かって形成される前方誘導通路920に導かれて前方誘導通路920の流下端に形成される出口921から前述した皿ユニット300の賞球連絡樋343に導かれる。
【0371】
ところで、逆側方誘導通路905の上流側の底面には、その底面の全域に亘って開口する底面開口906が形成され、その底面開口906を底面揺動板907が揺動自在に閉塞している。底面開口906は、上面が開放された略正方形の凹状に形成され、その内部の正面から見て前後方向の側壁に一対の軸支突起911が突設されている。また、底面開口906の凹状の底面にバネ913の下端を位置決めするための円形状のバネ載置凹部912が形成されている。一方、底面開口906を閉塞する底面揺動板907は、略正方形状に形成され、その裏面下流側に正面から見て軸支突起911に嵌合することにより軸支される半円形状の軸受部908が突設形成されている。
【0372】
また、底面揺動板907の裏面中央には、図115に示すように、バネ913の上端が係止されるバネ係止突起910が下方に向かって突設されている。したがって、底面揺動板907は、バネ913の付勢力によりその上流側が常に上方へ揺動された方向に付勢されている。そして、バネ913は、通常の賞球の払出個数(例えば、15個)が一度に底面揺動板907上に載置したときでも底面揺動板907が下方に揺動せず、賞球の払出個数以上の所定個数の球が底面揺動板907上に載置したときに下方に揺動するようなバネ係数を有するバネ部材によって形成されている。更に、底面揺動板907の上流側に検出突片909が前方に向かって突出されている。この検出突片909は、底面揺動板907の軸受部908を軸支突起911に嵌合軸支したときに、連通孔929を貫通して次に説明するスイッチ収納空間914に位置するようになっている。
【0373】
また、逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側には、満タンスイッチ916を収納するためのスイッチ収納空間914が一体的に形成されている。スイッチ収納空間914に満タンスイッチ916を取付けるために、スイッチ収納空間914の上部であって逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側面にスイッチ取付部918が形成され、そのスイッチ取付部918に満タンスイッチ916を保持するスイッチホルダ915の取付片917がネジ919によって止着されている。満タンスイッチ916は、投光器と受光器とからなるスイッチとして構成され、その受光器と投光器との間を検出突片909が上下に揺動することによりON・OFFを検出するものである。
【0374】
更に、逆側方誘導通路905の下流側の一側方にファール球通路922が形成されている。ファール球通路922は、その上流側のファール球入口923が図114に示すように、前述したファール口610に連通し、その下流側が前方誘導通路920の上流側に連通するように屈曲して形成されている。このため、ファール口610に取り入れられたファール球は、ファール球入口923から屈曲したファール球通路922を通って前方誘導通路920に導かれ、さらに出口921及び賞球連絡樋343を通って皿ユニット300に戻される。
【0375】
また、ボックス主体901には、出口921の両側方とファール球入口923の一側方に満タンユニット載置部531に形成されるユニット係合溝532に係合される係合片924が突設されると共に、蓋体926に形成される掛止片928と係合する掛止突起925が形成されている。この掛止突起925は、ボックス主体901の左右後方の側壁上部に適宜形成されている。
【0376】
一方、蓋体926は、ボックス主体901の側方誘導通路902、逆側方誘導通路905、前方誘導通路920、及びファール球通路922の上面を覆うような板形状に形成され、側方誘導通路902に上流端に対応する位置に正方形状の賞球入口927が開口されている。また、蓋体926の周囲には、ボックス主体901の掛止突起925と係合するための掛止片928が下方に向かって突設されている。
【0377】
上記のように構成される満タンユニット900においては、図110に示すように、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球が賞球入口927から側方誘導通路902の上流側に入って側方誘導受部903によって側方に向かって誘導されて緩衝部材904に衝突する。緩衝部材904に衝突した球は、そのまま下流側に向かって逆側方誘導通路905を側方誘導通路902の誘導方向と逆方向に誘導されて前方誘導通路920に導かれ、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋343を通って皿ユニット300に導かれる。また、ファール球入口923から入ったファール球も屈曲したファール球通路922によって球の勢いを弱められて前方誘導通路920に合流し、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋343を通って皿ユニット300に導かれる。
【0378】
そして、通常時、満タンユニット900内を球が自然に流れているときには、側方誘導通路902から逆側方誘導通路905に球が移動する際に、底面揺動板907に落下するが、通常の賞球の払出個数程度では、バネ913の弾発力が強いので、底面揺動板907が揺動することがなく、図115の実線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、皿ユニット300に賞球が貯留されて満タンユニット900内にも球が充満してきたときには、前方誘導通路920及び逆側方誘導通路905の上流側の全域に形成される底面揺動板907上に貯留された球の圧力により底面揺動板907がバネ913の付勢力に抗して下方に揺動し、図115の二点鎖線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ916がONすると、賞球ユニット800の払出モータ815の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。
【0379】
上記したように、満タンユニット900においては、球が流下する通路(図示の場合には、逆側方誘導通路905)の通路底面の幅と略同じ幅の底面揺動板907によって満タンスイッチ916を作動させるようにすると共に、通常時の球の流れによって揺動せずある程度の球が載置したときに底面揺動板907揺動するように付勢部材(バネ913)で付勢したので、従来のように一部の通路の底面等に球が載置したことにより球詰まりを検出するものに比べて、その一部の通路部分における球の載置が球詰まりによって検出されない事態を確実に防止することができる。このことは、球の満タンを確実に検出することができるものである。
【0380】
また、本実施形態に係る満タンユニット900においては、本体枠3の満タンユニット載置部531に着脱自在に取付けるものであるため、従来のように、満タン装置を本体枠に形成された払出通路の内部に組み付けるものに比べて、本体枠に満タン構造のための通路を形成する必要がない。また、満タンユニット900の内部をジグザグ状の通路とすることにより、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球の勢いを弱めながら皿ユニット300に誘導することができるので、払い出された賞球が皿ユニット300から外に飛び出すこともない。更に、本実施形態に係る満タンユニット900は、ファール球を導くファール球通路922が賞球を払い出す前方誘導通路920の途中に球の勢いを弱めて合流するようになっているので、賞球の流れを阻害することなくファール球を合流させることができる。
【0381】
[1-4.錠装置]
次に、本体枠3の開放側の裏側端辺に沿って垂直方向に取付けられる錠装置1000について主として図117乃至図125を参照して説明する。図117は、錠装置1000と本体枠3との関係を示す背面斜視図であり、図118は、錠装置1000の本体枠3への掛け止め構造を示す拡大側方断面図であり、図119は、パチンコ機1の縦方向中央よりやや下方の位置で水平方向に切断した一部断面図であり、図120は、錠装置1000と本体枠3の側壁540,541との詳細な関係を示す拡大断面図であり、図121は、錠装置1000の側面図(A)、前面側から見た斜視図(B)であり、図122は、錠装置1000の背面側から見た斜視図(A)、錠装置1000のコ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の斜視図(B),(C)であり、図123は、錠装置1000の分解斜視図であり、図124は、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の作用を説明するための正面図であり、図125は、不正防止部材1023,1032の作用を説明するための正面図である。
【0382】
錠装置1000は、本体枠3の開放側の第一側面壁540に沿って本体枠3の略上端から下端にかけて取付けられるものであり、図117に示すように、本体枠3の外周側辺と第一側面壁540の立ち上がり部との間の上下端近い部分及び中程に形成される複数(図示の場合、3個)の錠係止穴548と、第一側面壁540の垂直面の上部と中程に切り欠けられて形成される錠取付穴547とシリンダ錠貫通穴526の上部近傍に形成される錠取付穴547と、によって次に説明する錠装置1000のコ字状基体1001が支持固定されるものである。そこで、以下、錠装置1000の構造について詳細に説明する。
【0383】
図121乃至図123に示すように、錠装置1000は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体1001と、コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と、コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆1050と、本体枠用摺動杆1050の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体1001の下部に取付けられる不正防止部材1023,1032と、からなる。
【0384】
コ字状基体1001は、金属を断面コ字状となるように折り曲げ、その内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設けるものであるが、その横幅寸法は従来の断面L字状に成形された基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これは、前述したように遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540?543で囲まれる空間を大きくしたため、側面壁540と本体枠3の外周辺との間の寸法が極めて小さくなっていることにより、本実施形態に係る錠装置1000の横幅寸法を小さく形成して錠装置1000を本体枠3の裏側に取付けることができるような取付構造として改良したためである。そして、コ字状基体1001の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態の不正防止構造となっている。
【0385】
まず、コ字状基体1001の開放側と反対の閉塞側上下に本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065が貫通される長方形状のフック貫通開口1002が開設されると共に、閉塞側であって第一側面壁540と密着する側面1001b(図123を参照)上部と中程に水平方向にビス止め部1003が突設され、更に、開放側の第一側面壁540と密着しない側面1001a(図123を参照)の上端部及び中間部と、開放側の両側面1001a,1001bの下端部に係止突起1004が突設形成されている。
【0386】
このビス止め部1003と係止突起1004は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取付けるためのものであり、係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ(図118を参照)、その状態でビス止め部1003と錠取付穴547とが一致するため、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができる。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部1003だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003とシリンダ錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させて図示しないビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取付けられるようになっている。
【0387】
また、その取付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中の2箇所に形成されたビス止め部1003及びコ字状基体1001の開放側(前方部)に形成されたビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定し且つ錠装置1000の下方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
【0388】
換言すると、錠装置1000を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体1001に集約して構成した場合でも、錠装置1000の前方部と後方部との係止及び固定により、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
【0389】
また、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bの上部、中程、下部に挿通穴1005が形成され、コ字状基体1001に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納した状態で挿通穴1005にリベット1006を差込んでかしめることにより、コ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取付けることができる。即ち、扉枠用摺動杆1040の上中下の3箇所に形成されるリベット用長穴1042と本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に夫々1つずつ形成されるリベット用長穴1055,1061にリベット1006を貫通させることにより、扉枠用摺動杆1040が上方に移動できるようにし、本体枠用摺動杆1050が下方に移動できるようになっている。したがって、図122(B)に示すように本体枠用摺動杆1050のリベット用長穴1055,1061の下端部にリベット1006が貫通しており、図122(C)に示すように扉枠用摺動杆1040のリベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通している。
【0390】
更に、コ字状基体1001の下方部には、その閉塞側面に不正防止切欠部1007が形成されると共に、その開放側の本体枠3の第一側面壁540と密着する側面1001bの前端部にシリンダ錠1010を取付けるための錠取付片1008が側方に向かって突設され、更に、第一側面壁540と密着する側面1001bに挿入縦開口1020、バネ係止片1021、及び逃げ横穴1022が夫々形成されている。不正防止切欠部1007は、後に説明する第一不正防止部材1023のストッパー片部1027が進退するようになっている。この点については、後に詳述する。また、錠取付片1008は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取付けた状態で、遊技盤設置凹部510の下端辺よりも下方の位置となるようにコ字状基体1001の側面1001bの前端部から側方に向かって突設されるが、この錠取付片1008には、シリンダ錠1010が貫通する錠挿通穴1009が形成されると共にシリンダ錠1010の錠取付基板1011に形成される取付穴1013をビス1012で取付けるための取付穴1014が上下2箇所に穿設され、更に、錠装置1000の下部を本体枠3の裏面に取付けるためのビス止め部1003が穿設されている。
【0391】
また、挿入縦開口1020は、シリンダ錠1010に固定される係合カム1016の第一係合突片1017及び第二係合突片1018がシリンダ錠1010の回動時に侵入するための開口であり、バネ係止片1021は、不正防止部材1023,1032に設けられるバネ1035が係止されるものであり、逃げ横穴1022は、連結ピン1034の移動の邪魔をしないように逃げ穴を構成するものである。この点については後に詳述する。
【0392】
上記した錠取付片1008に取付けられるシリンダ錠1010について説明すると、シリンダ錠1010は、錠取付基板1011の前方に円筒状のシリンダ錠本体が固定され、そのシリンダ錠本体の錠軸1015が錠取付基板1011より後面に出ており、その錠軸1015の後端に係合カム1016がビス1019によって固定されている。係合カム1016は、ブーメラン形状に形成され、その一端辺が回動時に本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合する第一係合突片1017となっており、その他端辺が回動時に扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合する第二係合突片1018となっている。そして、上記のように構成されるシリンダ錠1010は、円筒状のシリンダ錠本体部分を錠挿通穴1009に挿通して錠取付基板1011の上下2箇所に形成される取付穴1013と錠取付片1008の取付穴1014とを一致させてビス1012で螺着することにより、シリンダ錠1010をコ字状基体1001に固定することができる。
【0393】
次に、コ字状基体1001に取付けられる不正防止部材1023,1032,について図123を参照して説明する。不正防止部材1023,1032は、シリンダ錠1010を正式な鍵で回動せずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆1050を下降させることを防止するためのものである。しかして、不正防止部材1023,1032は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結した構造となっている。第一不正防止部材1023は、上端の揺動軸穴1025を中心にして揺動自在に構成される縦長の板状に形成され、その揺動軸穴1025を前述したコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取付けるための挿通穴1005及びリベット1006のうち、最下方の挿通穴1005及びリベット1006によって取付けられる。
【0394】
また、第一不正防止部材1023には、その板状面に挿入縦開口1020と重複する縦長な突片挿入穴1026が開設され、この突片挿入穴1026に第二係合突片1018が挿入し得るようになっている。つまり、突片挿入穴1026と挿入縦開口1020を第二係合突片1018が貫通することにより、コ字状基体1001の内部に設けられる扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045と第二係合突片1018とが係合するようになっている。また、第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026の開設位置の斜め上方の外形線が傾斜部1024となっている。この傾斜部1024は、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017の後面側と当接するもので、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017と傾斜部1024とが当接することにより第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として揺動(図125(B)において時計回転方向)するようになっている。
【0395】
更に、第一不正防止部材1023には、突片挿入穴1026の斜め下方の外形線上にストッパー片部1027が突設され、そのストッパー片部1027の下方に規制突片1031が突設され、規制突片1031の前方部にピン穴1029と連結穴1030とが上下に形成されている。ストッパー片部1027は、本体枠用摺動杆1050の施錠時に不正防止切欠部1007及び本体枠用摺動杆1050の係合切欠部1066に侵入係合して本体枠用摺動杆1050が不正に摺動しないようにするものである。また、規制突片1031は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とはバネ1035によって連結されるが、そのバネ1035で連結されたときに第二不正防止部材1032の付勢方向への移動を規制するものである。ピン穴1029は、ガイドピン1028が固定されるものであり、ガイドピン1028が第一不正防止部材1023の裏面側からピン穴1029に固定された状態で、そのガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端部に形成される横長状開口部に係合させることにより、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001の側面1001bに沿って案内するものである。更に、連結穴1030は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結するためのものである。
【0396】
上記した第一不正防止部材1023に連結される第二不正防止部材1032は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴1033が形成され、その上部他端にバネ係止穴1036が穿設され、下方端部に当接部1037が設けられている。連結穴1033は、第一不正防止部材1023の連結穴1030と一致させて連結ピン1034で連結するためのものであり、バネ係止穴1036は、一端がコ字状基体1001のバネ係止片1021に係止されるバネ1035の他端を係止するものである。また、当接部1037は、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定される閉鎖用突起41と当接するものである。なお、上記した第一不正防止部材1023及び第二不正防止部材1032の作用については、後に詳述する。
【0397】
次に、コ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050について説明する。まず、扉枠用摺動杆1040は、縦長の金属製の板状部材から構成され、その一側縦辺の上中下の3箇所に扉枠用フック部1041が前方に向かって一体的に突設されている。この扉枠用フック部1041は、コ字状基体1001内に収納したときに、その開放側から前方に突出しているもので、錠装置1000を本体枠3の裏面に固定したときに、本体枠3に形成される扉用フック穴549(図67及び図68を参照)から前方に突出し、扉枠5の裏面に形成されるフックカバー158(図18を参照)に係止するものである。なお、扉枠用フック部1041は、下向きの係合爪形状となっているため、扉枠用摺動杆1040を上昇させることにより扉枠用フック部1041とフックカバー158との係止状態を解除することができる。
【0398】
また、扉枠用摺動杆1040の上中下の側面中央に、リベット1006が挿通される縦長のリベット用長穴1042が形成され、リベット用長穴1042のうちの最上部のリベット用長穴1042の下方及び扉枠用摺動杆1040の最下端にガイド突起1043が突設されている。リベット用長穴1042は、コ字状基体1001の挿通穴1005に挿通されるリベット1006が貫通されるものであり、しかも、このリベット1006が扉枠用摺動杆1040の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。そして、通常状態においては、リベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通当接した状態となっている。また、ガイド突起1043は、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に形成される突片移動穴1056,1064に挿通されるものであり、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の摺動動作を案内するようになっている。
【0399】
また、扉枠用摺動杆1040の上端部にスプリングフック部1046が形成され、このスプリングフック部1046にスプリング1048の一端が係止され、そのスプリング1048の他端が本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051に形成されるスプリングフック部1057に係止される。これにより、扉枠用摺動杆1040が下方向に、本体枠用摺動杆1050が上方向に、夫々相互に付勢されている。扉枠用摺動杆1040の中程には、当接弾性片1047が凸状に形成されている。この当接弾性片1047は、扉枠用摺動杆1040の一側側面からプレスで打ち出して凸状に形成したものであり、コ字状基体1001の内側面に当接して内部で扉枠用摺動杆1040がガタつかないようにするものである。
【0400】
更に、扉枠用摺動杆1040の下方部分の側面には、共に縦長な遊び穴1044と上昇係合穴1045とが形成されている。遊び穴1044は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第一係合突片1017の先端部が移動しえる空間を構成するものである。また、上昇係合穴1045は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって扉枠用摺動杆1040が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆1040の縦辺下部後方には、不正防止切欠部1007よりも上下方向に大きな切欠である逃げ切欠部1049が形成されている。この逃げ切欠部1049は、第一不正防止部材1023のストッパー片部1027を確実に不正防止切欠部1007及び係合切欠部1066に係合させるために邪魔しないように形成されるものである。
【0401】
一方、本体枠用摺動杆1050は、金属板製の上フック部材1051と、金属板製の下フック部材1052と、上フック部材1051と下フック部材1052とを連結する連結線杆1052と、から構成されている。つまり、本体枠用摺動杆1050は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されているわけではなく、フック部1054,1065を有する上フック部材1051と下フック部材1052とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材1051と下フック部材1052とを細い金属製の連結線杆1053で連結したものである。このため、狭いコ字状基体1001の空間に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを効率よく収納することができる。
【0402】
ところで、上フック部材1051には、その上端部に後方に向かってフック部1054が突設され、その板面部にリベット用長穴1055と突片移動穴1056とが形成され、また、その前方の縦辺下端部にスプリングフック部1057と連結穴1058とが形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1059が形成されている。フック部1054は、コ字状基体1001の上方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の上部に設けられる閉鎖用突起38に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。
【0403】
このリベット用長穴1055は、扉枠用摺動杆1040の上部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1055にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1055の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、上フック部材1051が下方に向かって移動することができるようになっている。突片移動穴1056は、前述したように扉枠用摺動杆1040の上方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。スプリングフック部1057は、前述したようにスプリング1048の他端が係止されるものである。また、連結穴1058は、連結線杆1053の上端が折り曲げられて挿入されるものである。更に、当接部1059は、コ字状基体1001に収納されたときに、コ字状基体1001の内部側壁に当接して上フック部材1051の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
【0404】
一方、下フック部材1052には、その下端部に後方に向かってフック部1065が突設され、その板面部の上方から下方にかけてリベット用長穴1061と下降係合穴1062と遊び穴1063と突片移動穴1064とが順次形成され、また、その前方の縦辺上端部に連結穴1060が、その後方の縦辺下部に係合切欠部1066が夫々形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1067が形成されている。フック部1065は、コ字状基体1001の下方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の下部に設けられる閉鎖用突起41に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴1061は、扉枠用摺動杆1040の下部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1061にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1061の最下端部を貫通した状態となっている。
【0405】
これにより、下フック部材1052が下方に向かって移動することができるようになっている。下降係合穴1062は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって本体枠用摺動杆1050が下降するように係合するためのものである。また、遊び穴1063は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第二係合突片1018の先端部が移動し得る空間を構成するものである。突片移動穴1064は、前述したように扉枠用摺動杆1040の下方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。また、連結穴1060は、連結線杆1053の下端が折り曲げられて挿入されるものである。更に当接部1067は、コ字状基体1001に収納されたときに、このコ字状基体1001の内部側壁に当接して下フック部材1052の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
【0406】
以上、錠装置1000を構成する各部材について説明してきたが、この錠装置1000を組み付けるには、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051と下フック部材1052とを連結線杆1053で連結し、その状態で扉枠用摺動杆1040のガイド突片1043を上フック部材1051と下フック部材1052の突片移動穴1056,1064に挿入すると共に、相互のリベット長穴1042とリベット用長穴1055,1061を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材1051のフック部1054と下フック部材1052のフック部1065とをコ字状基体1001のフック貫通開口1002に貫通させながら扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001のコ字状の空間に挿入する。その後、挿通穴1005からリベット1006を差し込む。
【0407】
この際、リベット1006がリベット用長穴1055,1061、1042を貫通するように差し込む。ただし、最下端のリベット1006を差し込むときには、第一不正防止部材1023の揺動軸穴1025にもリベット1006を差し込んで第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に同時に取付ける必要がある。なお、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に取付ける前に、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結し且つガイドピン1028をピン穴1029に図示しないビスで止着しておき、さらにガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
【0408】
更に、リベット1006で扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001内に収納固定した状態で、スプリング1048をスプリングフック部1046,1057相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ1035をバネ係止片(穴)1021,1036に掛け渡して第二不正防止部材1032が規制突片1031に当接した状態とする。その後、錠取付片1008の錠挿通穴1009にシリンダ錠1010の円筒状本体部分を挿入してシリンダ錠1010をビス1012で取付穴1014に固定する。なお、このとき係合カム1016の第一係合突片1017の先端部が傾斜部1024の外側で且つ挿入縦開口1020に僅かに挿入し、係合カム1016の第二係合突片1018の先端部が第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026及び挿入縦開口1020に僅かに挿入した状態となるようにシリンダ錠1010を錠取付片1008に取付ける。
【0409】
上記のようにして組み付けた錠装置1000を本体枠3の裏面に取付けるためには、前述したように、扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041を本体枠3に形成される扉用フック穴549に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、図117に示すように、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
【0410】
ところで、本体枠3の裏面に取付けられた錠装置1000の作用について図124及び図125を参照して説明する。まず、図124を参照して本体枠3の開閉動作と扉枠5の開閉動作について説明する。本体枠3が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図124(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止し且つ扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041と扉枠5のフックカバー158とが係止した状態となっている。その状態でシリンダ錠1010に図面示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図124(B)に示すように、第一係合突片1017の先端が本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合してスプリング1048の付勢力に抗して下フック部材1052を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆1053と上フック部材1051も押下げられて下降する。このため、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止状態が解除されるため、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
【0411】
なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部1054,1065がスプリング1048の付勢力により上昇した状態(図124(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部1054,1065の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部1054,1065の上辺傾斜部が閉鎖用突起38,41の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆1050が下方に下降し、遂には、フック部1054,1065の上向き爪部と閉鎖用突起38,41とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆1050が上昇して係止状態に戻る。
【0412】
一方、シリンダ錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第二係合突片1018が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図124(C)に示すように、第二係合突片1018の先端が扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合してスプリング1048の付勢力に抗して扉枠用摺動杆1040を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフックカバー158と扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041とが係止状態が解除されるため、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。
【0413】
なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部1041がスプリング1048の付勢力により下降した状態(図124(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部1041の下辺が外側に向かって上り傾斜しているため、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部1041の下辺傾斜部がフックカバー158の上端部と当接するので、扉枠用摺動杆1040が上方に上昇し、遂には、扉枠用フック部1041の下向き爪部とフックカバー158とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆1040が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の全長と略同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体1001が本体枠3の縦方向の側面の略全長に亘って取付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部1041が扉枠用摺動杆1040の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているため、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠が確実に行われ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないという利点もある。
【0414】
上記したように、本実施形態に係る錠装置1000は、シリンダ錠1010に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。この場合、シリンダ錠1010に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させる不正行為が行われることがあるが、本実施形態においては、このような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第一番目が第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とから構成されるロック機構であり、第二番目の不正防止構造がコ字状基体1001の閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050が収納される構造である。
【0415】
まず、第一番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図125を参照して説明する。まず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態においては、図125(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ1035の付勢力により第一不正防止部材1023が反時計方向に回動してストッパー片部1027が不正防止切欠部1007内に侵入し、ストッパー片部1027が不正防止切欠部1007に対応する位置にある本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052に形成される係合切欠部1066と係合した状態となっている。このため、本体枠用摺動杆1050にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパー片部1027と係合切欠部1066とが係合しているので、本体枠用摺動杆1050を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができない。
【0416】
一方、シリンダ錠1010に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図125(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入するように回動される。この第一係合突片1017の回動時に、第一不正防止部材1023の傾斜部1024と第一係合突片1017の側面とが当接するため、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパー片部1027も不正防止切欠部1007から退避するように移動する。このため、ストッパー片部1027と係合切欠部1066との係合が解除された状態となる。このとき、第二不正防止部材1032は、バネ1035を伸ばして当接部1037が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム1016を回動させて第一係合突片1017も回動させると、第一係合突片1017の先端が下フック部材1052の下降係合穴1062に係合して本体枠用摺動杆1050の全体を下降させるので、フック部1054,1065と外枠2の閉鎖用突起38,41との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
【0417】
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じるときには、第二不正防止部材1032は、規制突片1031に当接した状態となっているため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032との位置関係は、図125(A)に示す状態と略同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが正面から当接し、最終的に図125(A)に示す状態となる。このため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠3を閉じるときに邪魔になることはない。また、本実施形態においては、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠用摺動杆1050の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆1050を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆1040を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆1050に対する不正操作ができないように工夫されている。
【0418】
また、上記した第一番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第一不正防止部材1023をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置1000が本体枠3に取付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体1001の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げようとしても、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
【0419】
以上、詳述したように、本実施形態に係る錠装置1000は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設け且つ錠装置1000を操作するためのシリンダ錠1010のコ字状基体1001への取付位置を遊技盤の下端辺よりも下方となる位置としたので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540?543で囲まれる空間を大きくしても、錠装置1000を本体枠3の裏側に強固に取付けることができる。そして、断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができない。
【0420】
また、錠装置1000の取付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003及びビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
【0421】
なお、上記した実施形態においては、コ字状基体1001の下方部をビス止めする構造として錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と本体枠3のシリンダ錠貫通穴526の上部近傍に形成した錠取付穴547とを螺着する構造としたが、これに代えて、シリンダ錠1010を錠取付片1008に取付けるビス1012を利用して、ビス1012の先端が錠取付片1008を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダ錠貫通穴526の上下に形成する構造でも良い。また、コ字状基体1001の下方部をビス止めしなくても、錠装置1000の後方部のビス止め部1003と錠取付穴547との固定だけでも、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定されることを確認している。
【0422】
また、上記した実施形態においては、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を左右の側面1001a,1001bを有するコ字状基体1001で完全に被覆するものとしたが、例えば、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を第一側面壁540に密着しない反対側の側面1001aに摺動自在にリベット等で装着し、第一側面壁540に密着する側面1001bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面1001aと第一側面壁540とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納する構造としてもよい。この場合でも、実施形態と同じような取付構造及び不正防止構造とすることができる。
【0423】
[1-5.基板ユニット]
次に、本体枠3の裏面下部に取付けられる基板ユニット1100について、主として図126乃至図134を参照して説明する。図126は、基板ユニットを背面側から見た斜視図であり、図127は、基板ユニットの背面側から見た分解斜視図であり、図128は、基板ユニットを前面側から見た斜視図であり、図129は、基板ユニットの前面側から見た分解斜視図であり、図130は、基板ユニットの主体をなす枠用基板ホルダの前面側から見た正面図であり、図131は、枠用基板ホルダの背面図であり、図132は、基板ユニットの背面図であり、図133は、払出制御基板ボックス及び端子基板ボックスを取り外した状態の基板ユニットの背面図であり、図134は、基板ユニットに設けられる各基板の接続関係を示す平面図であり、図135は、基板ユニットと遊技盤との電気的な接続を示す概略図であり、図136は、払出制御基板と基板ユニットとの配線等を示すパチンコ機の背面図の一部であり、図137は、図138の断面図の断面箇所を説明するための遊技盤(ただし、この遊技盤は、図76乃至図80に示す取り外し防止機構を組み込んだ遊技盤である。)の正面図であり、図138は、図137のC-C断面図である。
【0424】
基板ユニット1100は、本体枠3の裏面下部に複数形成されるホルダ用の取付穴部527(図68及び図70を参照)に取付けられるものであり、図126及び図127に示すように、合成樹脂成形された枠用基板ホルダ1101に、扉中継基板1102、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、払出制御基板ボックス1105、主ドロワ中継基板1107、及び副ドロワ中継基板1108の各種基板を取付けることにより構成されている。上記の基板のうち、扉中継基板1102、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、及び払出制御基板ボックス1105は、枠用基板ホルダ1101の後面側に前後方向に重複して取付けられ、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108は、枠用基板ホルダ1101の前面側に取付けられるものである。後述するように、電源基板1136は+34V、+18V及び+9Vを作成して供給するため極めて高温な熱源となっており、電源基板1136から発せられた熱が上昇する。このため、払出制御基板1186を収納する払出制御基板ボックス1105を電源基板ボックス1103の上面に重複して取付けることによって、その上昇する熱を受けずに済むようになっている。なお、払出制御基板ボックス1105の裏面には、電源基板1136等からの電磁波の影響を防止すると共に電源基板1136から発せられる熱を放熱するために金属製のシールド放熱板1106が取付けられ、また、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108は、基板カバー1109に被覆されて取付けられている。以下、基板ユニット1100を構成する各部材について詳細に説明する。
【0425】
なお、本実施形態におけるシールド放熱板1106は、特に、電源基板ボックス1103の上面から熱が発せられた熱を外部(外気)に放熱するために、図127及び図129に示すように、シールド放熱板1106の板面が凹凸状の凹凸面1106aとして形成されている。シールド放熱板1106によって払出制御基板1186に伝達される熱を小さく抑えることができる。凹凸面1106aによって外部(外気)との接触面積を増加させて放熱効果を高めるものである。また、凹凸面1106aは、設置したときに熱が放熱し易いように垂直状若しくは傾斜状に形成することが望ましい。もちろん、シールド放熱板1106に凹凸面1106aを形成しても電磁波に対するシールド効果が損なわれることはない。シールド放熱板1106は電源基板1136等からの電磁波の影響を防止する。これにより、電磁波によるノイズの影響を抑えることができるため、ノイズの影響による払出制御基板ボックス1105に収納された払出制御基板1186の誤動作を防止することができる。また、このシールド放熱板1106のシールド放熱機能は、電源基板ボックス1103と払出制御基板ボックス1105との間だけではなく、枠用基板ホルダ1101に他の複数の基板ボックスが重複して取付けられる場合には、その下側に位置する基板ボックスと上側に位置する基板ボックスとの間に、本実施形態と同じシールド放熱板1106を設けることによっても奏されるものである。
【0426】
まず、枠用基板ホルダ1101は、横長状に合成樹脂で成形され、図127及び図130に示すように、その後面側一側部(図130において右側部)に配線用開口1124が形成され、配線用開口1124の内側に扉中継基板1102を取付けるための中継基板用凹部1110が形成されている。この中継基板用凹部1110は、略正方形状の扉中継基板1102の外形に合致するように正方形状の凹部として形成され、この中継基板用凹部1110内の上下辺には、扉中継基板1102の裏面を支える当接突部1113が突設されると共に、中継基板用凹部1110に扉中継基板1102を収納した状態で扉中継基板1102の一側縦辺の表面と係止する止め爪1111が形成されている。また、中継基板用凹部1110の外側寄りの上下には、電源基板ボックス1103の一端辺に形成される係合係止穴1135に係合されて図示しないビスで止着するための取付ボス1112が突設されている。
【0427】
また、枠用基板ホルダ1101の後面側において、上記した中継基板用凹部1110よりも中央寄りに内部に通す配線を係止して纏めるための2つの配線処理片1114が形成されている。この配線処理片1114は、垂直面に対して側方から見たときにL字状に突出形成されるもので、その垂直面とL字状突片との間に配線を掛け止めるようになっている。更に、枠用基板ホルダ1101の中継基板用凹部1110の上部から略中央よりやや他端側に近い部分までが電源基板ボックス1103を取付けるための領域(次に説明する右側の低い領域)となっており、その上下辺に電源基板ボックス1103の裏面と当接する当接突部1115が突設されている。したがって、この電源基板ボックス取付領域に電源基板ボックス1103を当接突部1115に当接するように取付けた状態では、電源基板ボックス1103の裏面と枠用基板ホルダ1101の垂直面との間に空間が形成され、この空間内に基板相互を接続する配線が収納されることになり、この収納された配線を係止して纏めるものが2つの配線処理片1114である。
【0428】
なお、電源基板ボックス1103を取付ける領域の他端辺から枠用基板ホルダ1101の他端辺(図130において左側辺)までは、後方への突出量が大きく形成されている。つまり、枠用基板ホルダ1101は、背面から見たときに、中央よりやや左側の位置で左側が高く右側が低い段差状に形成されており、その右側の低い領域が電源基板ボックス1103を取付けるための領域(以下、「電源基板ボックス取付領域」という場合がある。)となっている。そして、この電源基板ボックス取付領域の他端辺側には、電源基板ボックス1103の他端辺上下に突設される挿入突起1134が挿入される挿入口1115aが形成されている。このため、電源基板ボックス1103を取付けるためには、挿入突起1134を挿入口1115aに差し込んだ後、電源基板ボックス1103の一端辺上下に形成される係合係止穴1135を取付ボス1112に上から差し込んで図示しないビスで止着することにより、電源基板ボックス1103を枠用基板ホルダ1101に固定することができる。
【0429】
更に、枠用基板ホルダ1101の背面側において、上記した段差状の高い領域は、払出制御基板ボックス1105を取付けるための領域(以下、「払出制御基板ボックス取付領域」という場合がある。)の一部を構成するものであり、この段差状の高い領域の一部には、横L字状の凹状の配線引き廻し空間1116が形成されている。この配線引き廻し空間1116の底面には、配線用開口1121(図129乃至図132を参照)が形成されており、電源基板ボックス取付領域内の2つの配線処理片1114に掛け止められた配線を配線引き廻し空間1116及び配線用開口1121から枠用基板ホルダ1101の前面側に引き出すようになっている。また、払出制御基板ボックス取付領域の他端側(図127の左端部側)には、払出制御基板ボックス1105の係合弾性片1184が係合するための係止突部1117が突設形成されている。
【0430】
次に、枠用基板ホルダ1101の前面側の構成について説明すると、図128、図129、図131に示すように、枠用基板ホルダ1101の前面側の略中央には、アウト球通路1119が逆さL字状に形成されている。このアウト球通路1119は、前述したアウト口606(図78を参照)、球抜排出通路524(図68を参照)の下流側、及び落下口629(図75を参照)と対応するように上方が幅広く形成され、下流側が球を列状に排出するように幅狭く形成されている。したがって、基板ユニット1100を本体枠3に取付けたときには、図71に示すように、アウト球通路1119の幅広上流部がアウト口606の下面を支持する通路支持突起513の後方に位置するようになっている。そして、アウト球通路1119の下流端からアウト球や入賞球、あるいは球抜き球がパチンコ機の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって放出されるものである。
【0431】
また、枠用基板ホルダ1101の前面側であって払出制御基板ボックス取付領域に対応する前面側には、その上方領域に主ドロワ中継基板1107と副ドロワ中継基板1108とを横方向に所定間隔を空けて並列状に取付けるドロワ取付領域1120が形成されている。ドロワ取付領域1120には、夫々の中継基板1107,1108に形成された支持穴1204,1205が貫通されて各中継基板1107,1108を支持するためのドロワ取付ボス1118が突設されると共に、夫々の中継基板1107,1108の中間位置の上下に接合案内孔1126と案内孔1125が穿設されている。この接合案内孔1126は、図138に示すように、遊技盤4を本体枠3に装着する作業に伴って、基板ユニット1100側に設けられるドロワコネクタ1200,1202(ホルダ側コネクタ)と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ626,627(遊技盤側コネクタ)とが自然に接続されるように遊技盤4の盤用基板ホルダ623に形成される接合案内突起628(図78を参照)が挿入されるものである。一方、案内孔1125は、基板ユニット1100を本体枠3に取付ける際に、本体枠3に突設される案内突起525(図68及び図70を参照)が挿入されるもので、基板ユニット1100の位置決めを行うと共に装着作業の容易化を図っているものである。また、枠用基板ホルダ1101の左右両辺及び下辺には、基板ユニット1100を本体枠3に取付けるための取付片1122が外側に向かって突設され、取付片1122を本体枠3の取付穴部527(図68を参照)に対応させて図示しないビスで止着することにより、基板ユニット1100が本体枠3の背面下部に取付けられる。なお、取付穴部527は、図70に示すように、取付片1122の外形形状に合致する外周壁を有して形成されている。更に、枠用基板ホルダ1101の他端側(図128の右側)側壁の外側に、配線を係止するための配線掛止片1123が突設形成されている。
【0432】
枠用基板ホルダ1101の構成は、概ね上記した通りであるが、そのような構成を有する枠用基板ホルダ1101に取付けられる各種の基板の構成について説明する。まず、枠用基板ホルダ1101の後面側の中継基板用凹部1110に装着される扉中継基板1102について説明すると、扉中継基板1102には、図127に示すように、多ピンコネクタ形式の内部接続端子1130と扉枠用接続端子1131とが設けられている。扉枠用接続端子1131は、枠用基板ホルダ1101にすべての基板を取付けた状態においても、図132に示すように、背面から見て外部から視認できるようになっており、扉枠5に設けられるランプ及びLEDからなる電飾部品やスピーカ等の扉枠用配線1212(図134を参照)が配線用開口1124を通って扉枠用接続端子1131に接続されるものである。また、内部接続端子1130は、副ドロワ中継基板1108に設けられる扉枠用コネクタ1203に内部配線1213(図134を参照)によって接続されるものである。ただし、この内部配線1213は、前述した配線処理片1114及び配線引き廻し空間1116、配線用開口1124を敷設されるように枠用基板ホルダ1101の内部に設けられている。
【0433】
また、枠用基板ホルダ1101の後面側の電源基板ボックス取付領域に取付けられる電源基板ボックス1103は、電源基板1136(図133を参照)を固定するボックス主体1132と、ボックス主体1132を被覆するカバー体1133と、から構成されている。ボックス主体1132には、その一端部の上下に取付ボス1112と係合する係合係止穴1135が一体的に形成され、その他端部の上下に挿入口1115aに挿入される挿入突起1134が一体的に形成されている。また、電源基板1136のカバー体1133に被覆されない部分(図133の右側部と左下部)には、図133に示すように、電源スイッチ1137と電源線コネクタ1138とCRユニット電源コネクタ1139とアース用コネクタ1140と払出制御基板用電源コネクタ1141とが設けられている。電源スイッチ1137は、パチンコ機1の全ての電気機器に電源を供給するためのスイッチであり、パチンコ機1を使用する際にONとするものである。また、電源線コネクタ1138は、島内に供給されている交流24V(AC24V)の電源用配線からの電源配線を接続したり、パチンコ機1に帯電したノイズ等を外部にフレームグランドとしてアースしたりするためのコネクタである。CRユニット電源コネクタ1139は、パチンコ機1に隣接されるカード式球貸器(図示しない;一般的に、CRユニットと言われている。)への電源を供給したりするためのコネクタである。アース用コネクタ1140は、パチンコ機1に設けられる帯電防止用の種々のアース線が電気的に接続されており、パチンコ機1に侵入したノイズ等を、電源線コネクタ1138を介して、外部にアースするためのコネクタである。具体的には、扉枠5(補強板211?214)からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドとしてアース用コネクタ1140aと電気的に接続され、タンクレール部材740を流下する球からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFG1としてアース用コネクタ1140bと電気的に接続され、賞球ユニット800からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFG1としてアース用コネクタ1140cと電気的に接続され、CRユニットからのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドとしてアース用コネクタ1140dと電気的に接続されている。これらのフレームグランドは、電源線コネクタ1138のフレームグランドと電気的に接続されており、このフレームグランドを介して、パチンコ機1の外部にアースされる。更に、払出制御基板用電源コネクタ1141には、図134に示すように、電源供給用配線1214が接続され、電源供給用配線1214が払出制御基板1186の電源用端子1192に接続されている。そして、この電源供給用配線1214により、払出制御基板1186を介して他の制御基板(例えば、周辺基板ボックス622に収納される液晶制御基板4150や主制御基板ボックス624に収納される主制御基板4100)等に電源を供給するようになっている。なお、電源供給用配線1214は、払出制御基板用電源コネクタ1141から配線引き廻し空間1116に導かれ払出制御基板ボックス1105の裏面から後方に引き出されて電源用端子1192に接続されるようになっている。つまり、この電源供給用配線1214も枠用基板ホルダ1101の内部に敷設された状態となっている。
【0434】
ところで、電源基板ボックス1103のカバー体1133の後面は、図127に示すように、段差状に形成され、その段差の高い領域が端子基板ボックス1104を取付けるための取付領域1142となっており、段差の低い領域が払出制御基板ボックス1105を取付けるための取付領域1143となっている。取付領域1143は、枠用基板ホルダ1101の前述した払出制御基板ボックス取付領域と一緒になって横長の払出制御基板ボックス1105を取付けるための取付領域を構成するものである。なお、上記した段差部の略中央には、払出制御基板ボックス1105の後述する係合片1182(図129を参照)が係合挿入される係合穴1146が形成されている。
【0435】
端子基板ボックス1104を取付けるための取付領域1142を構成するカバー体1133には、端子基板ボックス1104の裏面側に形成される位置決めピン1148及び係合片部1147と夫々位置決め若しくは係合する位置決め穴1145及び取付係合穴1144が形成されている。係合片部1147は、断面L字状に形成される一方、取付係合穴1144は、幅広部と幅狭部とが連続する穴状に形成されているので、係合片部1147を取付係合穴1144の幅広部に挿入した後、一方向(図示の場合は、枠用基板ホルダ1101の中央方向)にスライド移動させることにより、L字状の係合片部1147と取付係合穴1144の幅狭部とが係合するようになっている。なお、端子基板ボックス1104の他側辺の下部に掛止片1149が突設され、端子基板ボックス1104がカバー体1133にスライド移動係合されたときに、掛止片1149が払出制御基板ボックス1105のボックス主体1180の一部と係合するようになっている。なお、この係合は、少し力を入れて端子基板ボックス1104を非係合方向にスライド移動させることにより、簡単に外れる程度の係合状態である。
【0436】
また、端子基板ボックス1104には、図132に示すように、複数の外部情報端子1151と払出制御基板用端子1156とが設けられる外部端子板1150aと、度数表示器用端子1152と電源アース端子1153とCRユニット用端子1154と払出制御基板用端子1155とが設けられるCRユニット端子板1150bと、の2つの基板が上下方向に並列状に収納されている。外部端子板1150aに設けられる複数の外部情報端子1151は、大当り情報出力信号や始動口入賞情報出力信号等のパチンコ機1の管理に必要な各種の情報信号を外部(例えば、遊技場に設置してある管理コンピュータ(ホールコンピュータ))に導出するためのコネクタであり、それらの情報信号は、主として主制御基板ボックス624に収納されている主制御基板4100から後に詳述する主ドロワ中継コネクタ1200を介して払出制御基板1186に伝送され、さらに払出制御基板1186に設けられる外部端子板用端子1188と払出制御基板用端子1156との接続により、最終的に複数の外部情報端子1151の夫々に伝達される。CRユニット端子板1150bの度数表示器用端子1152は、パチンコ機1の、例えば皿ユニット300に設けられるプリペイドカードの残度数表示器、貸球スイッチ、及び返却スイッチとの配線が接続されるものである。また、電源アース端子1153は、2つのコネクタから構成され、一方のコネクタ(図132の左側)には電源基板1136のCRユニット電源コネクタ1139からの配線が接続され、他方のコネクタには電源基板1136の複数のアース用コネクタ1140のうちの1つのアース用コネクタ1140からの配線が接続されるものである。更に、CRユニット用端子1154は、図示しないCRユニットからの配線が接続されるものであり、払出制御基板1186のCRユニット端子板用端子1189と払出制御基板用端子1155とが接続されることにより、払出制御基板1186とCRユニットとが接続されることになる。
【0437】
上記したように、端子基板ボックス1104は、主制御基板ボックス624に収納される主制御基板4100からの遊技情報を外部に導出する外部端子板1150aと、払出制御基板1186とCRユニットとの接続を中継するCRユニット端子板1150bと、の両方の基板を収納するものであり、これらは従来別々の基板ボックスに収納されてパチンコ機1の裏面に別々の位置に設けられていたが、本実施形態においては、1つの端子基板ボックス1104に纏めて枠用基板ホルダ1101に装着したものである。このため、特に、本実施形態の場合、主制御基板4100と外部端子板1150aとを直接配線で接続することなく、払出制御基板1186を介して接続した独特な構成を有するものとなっている。
【0438】
次に、枠用基板ホルダ1101の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス1103のカバー体1133に形成される取付領域1143とにわたって取付けえる払出制御基板ボックス1105について、主として図127、図129及び図132を参照して説明する。払出制御基板ボックス1105は、横長の長方形状の払出制御基板1186が図示しないビス等で固定されるボックス主体1180と、ボックス主体1180に取付けられて払出制御基板1186の表面を覆うカバー体1181と、から構成されている。ボックス主体1180とカバー体1181とは、その一側辺(図132の右側辺)を係合させ、その他側辺(図132の左側辺)に分離切断部1183でカシメ固定している。これによってボックス主体1180とカバー体1181とを分離するためには、分離切断部1183を切断しないと分離できないようになっている。ただし、分離切断部1183におけるカシメ固定は、複数箇所(図示の場合は、1?4の数字で示す4箇所)のうち、いずれかをカシメ部材でカシメれば良く、例えば、検査等で分離する必要がある場合には、3回まで行うことができる。もちろん、不正に分離した場合には、切断した痕跡が残ることになるので、不正行為があったか否かを直ちに知ることができる。また、ボックス主体1180の一側短辺中央には、電源基板ボックス1103のカバー体1133に形成される係合穴1146に差し込まれる係合片1182が突設形成され、他側短辺下部には、枠用基板ホルダ1101に形成される係止突部1117に弾性係合する係合弾性片1184が形成されている。したがって、払出制御基板ボックス1105を枠用基板ホルダ1101に取付けるには、係合片1182を係合穴1146に差し込んだ後、係合弾性片1184を係止突部1117に係合させることにより、簡単に取付けることができる。そして、枠用基板ホルダ1101の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス1103のカバー体1133に形成される取付領域1143とにわたって払出制御基板ボックス1105を取付けた状態においては、それらの取付領域1143内に払出制御基板ボックス1105が収納された状態となり左右方向にも上下方向にも移動できないように固定された状態となっている。逆に、取り外す場合には、係合弾性片1184を弾性方向と逆方向に押圧して係合弾性片1184と係止突部1117との係合を外して払出制御基板ボックス1105を引き上げながら、係合穴1146から係合片1182を引き抜くことにより、払出制御基板ボックス1105を枠用基板ホルダ1101から外すことができる。
【0439】
また、上記したボックス主体1180とカバー体1181とによって被覆される払出制御基板1186には、その一側部(図132の右側部)に扉枠開放スイッチ用端子1185a、本体枠開放スイッチ用端子1185b、賞球ユニット用端子1187、外部端子板用端子1188、CRユニット端子板用端子1189、操作ハンドル用端子1194、エラーLED表示器4130、エラー解除スイッチ4131、及び球抜きスイッチ4132が設けられ、その他側下部(図132の左側部)に満タンスイッチ用端子1190、検査用出力端子1191、電源用端子1192、発射モータ用端子1193、及び内部接続端子1195が設けられている。
【0440】
扉枠開放スイッチ用端子1185aは、扉枠5が本体枠3から開放されたことを検出する扉枠開放スイッチ4133からの配線が接続されるコネクタである。本体枠開放スイッチ用端子1185bは、本体枠3が外枠2から開放されたことを検出する本体枠開放スイッチ4134からの配線が接続されるコネクタである。賞球ユニット用端子1187は、前述した賞球ユニット800の中継基板480からの配線が接続される多ピンコネクタである。外部端子板用端子1188は、前述したように外部端子板1150aの払出制御基板用端子1156に接続される多ピンコネクタである。CRユニット端子板用端子1189は、前述したようにCRユニット端子板1150bの払出制御基板用端子1155に接続される多ピンコネクタである。満タンスイッチ用端子1190は、満タンユニット900の満タンスイッチ916からの配線が接続されるコネクタである。エラーLED表示器4130は、CRユニット接続異常等のパチンコ機の状態を表示する。エラー解除スイッチ4131は、操作されるとエラーLED表示器4130に表示されているエラーに応じた解除方法の案内がサイドスピーカ121や下部スピーカ391から流れる。球抜きスイッチ4132は、操作されると賞球タンク720及びタンクレール部材740に貯留された球を排出開始する(球抜き開始する)。検査用出力端子1191は、払出制御基板1186を検査する際に検査機器に接続するためのコネクタであり、検査用の各種の出力信号を出力するための端子である。電源用端子1192は、前述したように電源基板1136の払出制御基板用電源コネクタ1141に電源供給用配線1214によって接続されるコネクタである。発射モータ用端子1193は、打球発射装置650の発射モータ695からの配線が接続されるコネクタである。操作ハンドル用端子1194は、ハンドル装置400の操作ハンドル部410の内部に設けられるタッチセンサ420及び発射停止スイッチ422からの配線が接続されるコネクタである。内部接続端子1195は、主ドロワ中継基板1107に設けられる払出制御基板用コネクタ1201に信号電源配線1215によって接続されるコネクタである。
【0441】
なお、エラー解除スイッチ4131の左方近傍には、図132に示すように、抵抗R1194a?R1194dが配置されている。これらの抵抗R1194a?R1194dは、操作ハンドル用端子1194に入力された各種検出信号に扉枠5(図18に示した補強板211?214)からのノイズ等が侵入した際に、グランド(GND)が不安定にならないようにするものであり、その詳細な説明は後述する。
【0442】
次に、枠用基板ホルダ1101の前面側に形成されるドロワ取付領域1120に取付ける主ドロワ中継基板1107と副ドロワ中継基板1108について説明する。図129に示すように、主ドロワ中継基板1107には、遊技盤4の裏面側に取付けられる中継端子板625に設けられる主ドロワコネクタ626(遊技盤側コネクタ:図78を参照)と接続される主ドロワ中継コネクタ1200(ホルダ側コネクタ)と、払出制御基板1186の内部接続端子1195と信号電源配線1215を介して接続される払出制御基板用コネクタ1201とが上下に設けられている。また、副ドロワ中継基板1108には、遊技盤4の裏面側に取付けられる中継端子板625に設けられる副ドロワコネクタ627(遊技盤側コネクタ:図78を参照)と接続される副ドロワ中継コネクタ1202(ホルダ側コネクタ)と、扉中継基板1102の内部接続端子1130と内部配線1213を介して接続される扉枠用コネクタ1203とが上下に設けられている。また、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108には、各基板の左右両側に支持穴1204,1205が穿設され、支持穴1204,1205をドロワ取付領域1120に突設されるドロワ取付ボス1118に差し込むことにより、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108をドロワ取付領域1120内に位置決め支持され、その後、基板カバー1109で被覆することにより、堅固に固定される。
【0443】
ところで、基板カバー1109には、主ドロワ中継基板1107に設けられる主ドロワ中継コネクタ1200及び払出制御基板用コネクタ1201と、副ドロワ中継基板1108に設けられる副ドロワ中継コネクタ1202及び扉枠用コネクタ1203とが基板カバー1109の外側に突出するための長方形状のコネクタ用開口1206,1207,1208,1209が開設され、また、基板カバー1109の裏面側に、ドロワ取付ボス1118の先端部が挿通されるピン挿通穴1210(図127を参照)が形成されると共に、左右両端に基板カバー1109を枠用基板ホルダ1101に図示しないビスで止着するための止め穴1211が形成されている。このため、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108の支持穴1204,1205をドロワ取付領域1120に突設されるドロワ取付ボス1118に差し込み、ドロワ取付ボス1118の先端部をピン挿通穴1210に挿通しながら基板カバー1109で被覆し、止め穴1211に図示しないビスで止着することにより、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108をドロワ取付領域1120内に堅固に固定することができる。
【0444】
以上、基板ユニット1100の構成について説明してきたが、本実施形態の場合には、パチンコ機1を駆動制御するために必要な各種の基板のうち、遊技盤4の変更に伴って交換される主制御基板4100及び液晶制御基板4150以外の基板である扉中継基板1102、電源基板ボックス1103に収納された電源基板1136、端子基板ボックス1104に収納された外部端子基板1150、払出制御基板ボックス1105に収納された払出制御基板1186を、枠用基板ホルダ1101に予め組み付けてユニット化し、その組み付けてユニット化した基板ユニット1100を本体枠3の背面側下部に取付けるだけの簡単な作業によって、従来別々に本体枠3の背面側に取付けていた各種の基板取付作業に比べ、作業能率を向上することができる。また、この場合、基板ユニット1100にユニット化される各基板同士の配線も枠用基板ホルダ1101の内部に収めることができるので、基板同士を接続する配線が乱雑に入り乱れることがなく、整然と敷設することができる。
【0445】
また、本実施形態においては、基板ユニット1100の前面に主ドロワ中継コネクタ1200(ホルダ側コネクタ)を有する主ドロワ中継基板1107と副ドロワ中継コネクタ1202(ホルダ側コネクタ)を有する副ドロワ中継基板1108とが設けられているので、図138に示すように、本体枠3に遊技盤4をその前面側から装着する作業に伴って、遊技盤4の裏面側に設けられる中継端子板625の主ドロワコネクタ626と副ドロワコネクタ627(遊技盤側コネクタ)が夫々対応する主ドロワ中継コネクタ1200と副ドロワ中継コネクタ1202(ホルダ側コネクタ)とに接続されるので、遊技盤4の装着と基板間の接続とを同時に行うことができる。このため、遊技盤4の交換作業を手際よく行うことができる。
【0446】
更に、本実施形態においては、基板ユニット1100を本体枠3の裏面に固定した後に、本体枠3に設けられる各種の電気機器との配線の接続作業が必要な払出制御基板ボックス1105と、外部のCRユニットや管理コンピュータとの接続作業が必要な端子基板ボックス1104と、を基板ユニット1100の最も後方の視認し易い位置に並列状に配置する一方、外部との接続作業の必要性が少ない電源基板ボックス1103や扉中継基板1102を内部に配置しているので、複数の基板を前後方向に効率よく重複配置することができ、基板ユニット1100の大きさを最小限に設計することができる。ただし、内部に配置される電源基板ボックス1103や扉中継基板1102においても、外部に接続される端子部分は、すべて外部から視認できるようになっているので、それらの接続作業が手探りになるという問題はない。
【0447】
[1-5A-1.基板ユニットと遊技盤との電気的な接続(ドロワコネクタによる接続)]
次に、基板ユニット1100と遊技盤4との電気的な接続について図135を参照して説明する。上述したように、遊技盤4側にはドロワコネクタ626,627が設けられ、基板ユニット1100側にはドロワコネクタ1200,1202が設けられている。図135(a)に示すように、遊技盤4側のドロワコネクタ626,627を基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200,1202に挿入することで電気的に接続することができる。遊技盤4側のドロワコネクタ626,627は、図135(b)に示すように、ターミナル626a,627aを備えており、基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200,1202は、図135(c)に示すように、コンタクト1200a,1202aを備えている。遊技盤4側のドロワコネクタ626,627を基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200,1202に挿入すると、図135(c)に示すように、ターミナル626a,627aがコンタクト1200a,1202aを押し下げコンタクト1200a,1202aが変位する。この変位によって発生したコンタクト1200a,1202aの反発力は、ターミナル626a,627aを強く接触することで電気的な導通状態となる。これにより、遊技盤4側のドロワコネクタ626,627と、基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200,1202と、には、各種制御基板相互による(例えば、主制御基板4100と払出制御基板1186とによる)各種制御信号を伝える制御信号ラインが形成される。また遊技盤4側のドロワコネクタ626と、基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200と、には、さらに、電源基板1136によって作成された各種電圧を供給する電圧供給ラインが形成される。このように、遊技盤4を本体枠3に着脱自在に装着することで、遊技盤4側のドロワコネクタ626,627と、基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200,1202と、による制御信号ライン及び電圧供給ラインが接離自在に接続することができる。
【0448】
なお、本実施形態におけるターミナル626a,627a及びコンタクト1200a,1202aは、ベローズタイプのものを採用している。ピンタイプのものでは作業時にうっかりピンに触れて曲げてしまうおそれがあるが、ベローズタイプのものではそのおそれがない。また、ターミナル626a,627a及びコンタクト1200a,1202aのメッキには摩擦係数の小さい金メッキを採用している。これにより、遊技盤4の着脱時のすべり良さ(嵌合の良さ)が確保されている。
【0449】
ここで、遊技盤4を本体枠3に取付けるときに、図133に示した電源スイッチ1137を入れたままの状態で、その作業を行うと、ターミナル626aとコンタクト1200aとの接点、具体的には、各種電圧供給ライン用接点では大電流(後述する突入電流)が流れるため溶着することとなる。この溶着した状態のまま、遊技盤4を本体枠3に無理に押し込んで取付けようとすると、コンタクト1200aが折れ曲がって壊れたり、その遊技盤4を本体枠から取り外すときに、コンタクト1200aがドロワコネクタ1200から剥がれて破損したりして、ドロワコネクタ1200が使用できなくなる。
【0450】
また、ターミナル626aとコンタクト1200aとが溶着すると、コネクタの破損にともない、各種制御基板が誤動作したり、各種制御基板に実装された電子部品が破損したりするおそれもある。そこで、本実施形態では、溶着を防止する回路を後述する主制御基板4100に設けて対応している。その詳細な説明については後述する。
【0451】
[1-5A-2.賞球ユニットとの配線等]
次に、払出制御基板ボックス1105に収納された払出制御基板1186と賞球ユニット800との配線等について図136を参照して説明する。賞球ユニット内中継端子板830には、上述したように、計数スイッチ用コネクタ830a、払出モータ用コネクタ830b、回転角スイッチ用コネクタ830c、球切れスイッチ用コネクタ830d、アース用コネクタ830e、及び払出制御基板用コネクタ830fが設けられている。
【0452】
計数スイッチ用コネクタ830aは計数スイッチ812からの配線が接続され、払出モータ用コネクタ830bは払出モータ815からの配線が接続され、回転角スイッチ用コネクタ830cは回転角スイッチ855からの配線が接続され、切れスイッチ用コネクタ830dは球通路ユニット770の球切れスイッチ778からの配線が接続され、アース用コネクタ830eは払出モータ815からのアース線が接続されている。払出制御基板用コネクタ830fは払出制御基板1186の賞球ユニット用端子1187と配線(ハーネス)により接続されている。
【0453】
球切れスイッチ778からの配線及び回転角スイッチ855からの配線を除いた、計数スイッチ812からの配線、払出モータ815からの配線、払出モータ815からのアース線、及び賞球ユニット用端子1187とのハーネスは、配線処理片869により掛け留めてまとめられている。
【0454】
島から供給された球は、上述したように、賞球タンク720及びタンクレール部材740に貯留され、球通路ユニット770に取り込まれ、賞球ユニット800に導かれる。球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生する。このため、賞球ユニット800はノイズの影響を受けやすり環境下にある。
【0455】
上述したように、賞球ユニット800のセンサ基板854には回転角スイッチ855が設けられており、この回転角スイッチ855からの検出信号は、球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。また、上述した、払出制御用コネクタ480fと賞球ユニット用端子1187とを接続するハーネス、つまり賞球ユニット800と払出制御基板1186とを接続するハーネスも球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。
【0456】
[1-6.カバー体]
次に、カバー体1250について、図5、図70及び図74等を参照して説明する。カバー体1250は、本体枠3の後面開口580を覆うものであり、その一側の上中下の3箇所に本体枠3の背面一側に形成されるカバー体支持筒部575に上方から挿入される軸支ピン1251が形成され、その他側の略中央に球通路ユニット770に形成されるカバー体係合溝785と係合する係合片1252が形成されている。しかして、カバー体1250の軸支ピン1251をカバー体支持筒部575に差し込むことにより、カバー体1250を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片1252をカバー体係合溝785に係止することにより、カバー体1250を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる各種部品の背面を保護することができる。なお、開放する場合には、係合片1252とカバー体係合溝785との係合を解除すればよい。
【0457】
また、図示の場合のカバー体1250においては、開放側の係合片1252の上下に止め穴1253が形成され、また、本体枠3の施錠壁569に突設される施錠用突出鉤片570を貫通させる貫通穴1254が形成され、更に詳細に図示しないが、次に説明する第二実施形態に係るカバー体1270と同じように、接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブが形成されている。これら接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブは、第二実施形態に係るカバー体1300の接続操作用開口1303、立壁1304、当接突起1305、補強リブと同じ位置に設けられて同じ機能を奏するものである。そして、カバー体1250を閉じた状態で、カバー体1250の止め穴1253と本体枠3側の止め穴568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができる。そして、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570がカバー体1250の貫通穴1254を貫通しているので、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
【0458】
[1-6A.カバー体の他の実施形態]
上記した図5及び図74に示したカバー体1250(以下、「第一実施形態に係るカバー体1250」という。)は、図5からも明らかなように、遊技盤4の裏面下部に取付けられる主制御基板ボックス624を除いた遊技盤4の裏面を覆うように形成されているが、これを主制御基板ボックス624を含む遊技盤4の裏面の全体を覆うカバー体としても良い。このようなカバー体1300(以下、「第二実施形態に係るカバー体1300」という。)を取付けたパチンコ機について、図139乃至図150を参照して説明する。図139は、第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機であってカバー体を開放した状態の背面から見た斜視図であり、図140は、第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機の側面図であり、図141は、第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機であってカバー体の開放側から見た斜視図であり、図142は、第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機であってカバー体の軸支側から見た斜視図であり、図143は、第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機の背面図であり、図144は、第二実施形態に係るカバー体を取り外した状態のパチンコ機の背面図であり、図145は、第二実施形態に係るカバー体の下辺部と重合当接する払出制御基板ボックスの斜視図であり、図146は、第二実施形態に係るカバー体の内側から見た斜視図であり、図147は、第二実施形態に係るカバー体に設けられるシリンダ錠の作用を説明するための背面図であり、図148は、図143のA-A断面図であり、図149は、図143のB-B断面図であり、図150は、図143のC-C断面図である。なお、図139乃至図150において、それ以前の図面に表示される構成と同じ機能を奏する構成には、同一の符号を付してある。
【0459】
この第二実施形態に係るカバー体1300が取付けられるパチンコ機1の外枠2Aは、図139及び図140に示すように、前述した第二実施形態に係る外枠2Aであり、扉枠5に設けられる皿ユニット300の形状も若干異なるものである。更に、本体枠3の構成も軸支側後面壁546の開放端側に形成される後述する止め穴568、施錠穴569a及び案内孔569bを有する施錠壁569の点(図144を参照)、及び後側面壁を構成する第三側面壁542及び第四側面壁543の切欠部221の位置が下方まで延設されている点(図140を参照)で相違し、また、払出制御基板ボックス1105の構成においても、カバー体1181に当接低段面1181aが形成される点(図145を参照)で相違するだけである。ただし、図139及び図144に表示される主制御基板ボックス624は、図78に示される実施形態と同様に遊技盤4の裏面下部に取付けられる盤用基板ホルダ623に取付けられるものであり、図139及び図144においては、遊技盤4の図示が省略されている。
【0460】
そこで、まず、図146を参照して第二実施形態に係るカバー体1300について説明する。カバー体1300は、やや縦長長方形状の周辺の側壁が立ち上がった皿状に合成樹脂によって形成され(側壁部や長方形板部の上半分には、多数の空気穴が形成されている。)、その縦辺一側の側壁に本体枠3に形成されるカバー体支持筒部575に挿入されて軸支される複数(図示の場合には4個)の軸支ピン1301が一体的に形成され、その縦辺他側の側壁のやや上部寄りに球通路ユニット770に形成されるカバー体係合溝785に係合する係合片1302が一体的に形成されている。この軸支ピン1301と係合片1302は、第一実施形態に係るカバー体1250と同様に、カバー体1300の軸支ピン1301をカバー体支持筒部575に差し込むことにより、カバー体1300を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片1302をカバー体係合溝785に係止することにより、カバー体1300を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる主制御基板ボックス624を含む各種部品の背面を保護することができるものである。そして、この第二実施形態に係るカバー体1300が第一実施形態に係るカバー体1250と異なる点は、ただ単に開閉自在に設けられるだけではなく、閉じた状態で不正に開放することができないようにシリンダ錠1309が設けられる点と、主制御基板ボックス624の裏面まで覆ってしまうため、主制御基板ボックス624に外部に露出して設けられるRAMクリアスイッチ624aと検査機器が接続される試験用端子624b,624cとに対応する位置に接続操作用開口1303が設けられている点と、カバー体1300の下辺の側壁の先端辺が閉じた状態で払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の表面に当接する点である。そこで、これらの第二実施形態に係るカバー体1300の特徴的な構成について以下説明する。
【0461】
まず、接続操作用開口1303について説明すると、接続操作用開口1303は、カバー体1300の下辺の当接下辺側壁1306の上部に長方形状に形成されており、その大きさは、図143に示すように主制御基板ボックス624に外部に露出して設けられるRAMクリアスイッチ624aと検査機器が接続される試験用端子624b,624cとが臨む大きさに開設されている。また、接続操作用開口1303の内側には、閉じた状態で主制御基板ボックス624の外周面に当接する立壁1304と当接突起1305とが突設されている。立壁1304は、接続操作用開口1303の左右開口縁に沿って比較的高く形成され、当接突起1305は、接続操作用開口1303の上開口縁から一側開口縁に沿って比較的低く突設形成されており、これらの立壁1304と当接突起1305は、図148及び図149に示すように、主制御基板ボックス624の外周面(主制御基板ボックス624に収納される主制御基板4100の表面を含む)との間に隙間が生じないようにして接続操作用開口1303から不正具を差し込んで主制御基板ボックス624に対して不正な行為が行えないようにしている。
【0462】
次に、カバー体1300の下辺に形成される当接下辺側壁1306について説明すると、カバー体1300を本体枠3に対して閉じたときに、当接下辺側壁1306は、図149及び図150に示すように、枠用基板ホルダ1101に取付けられる払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上辺部分に当接するようになっている。このため、第二実施形態に係るカバー体1300が取付けられるパチンコ機1の枠用基板ホルダ1101に装着される払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上辺部には、図145に示すように、表面より一段と低く形成される当接低段面1181aが形成されている。しかして、枠用基板ホルダ1101に取付けられる払出制御基板ボックス1105は、図144に示すように、枠用基板ホルダ1101の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス1103のカバー体1133に形成される取付領域1143とにわたって取付けられた状態において、それらの取付領域1143内に払出制御基板ボックス1105が収納された状態となり左右方向にも上下方向にも移動できないように固定された状態となっている。このため、払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上面の一部である当接低段面1181aがカバー体1300の当接下辺側壁1306によって当接被覆されることによって、カバー体1300を開放しない限り、払出制御基板ボックス1105を枠用基板ホルダ1101から取り外すことができない構成となっている。
【0463】
次に、シリンダ錠1309に関連する構成について説明する。図146において、カバー体1300の下方側の下方寄りにシリンダ錠1309を貫通するための楕円形状の錠穴1308が開設されている。この錠穴1308にシリンダ錠1309の断面楕円状のネジ部1310が貫通され、この貫通したネジ部1310に内側からナット1312が螺着されることによりシリンダ錠1309が錠穴1308に固定される。また、シリンダ錠1309には、ネジ部1310の中心から錠軸1311がカバー体1300の内側に向かって突設され、その錠軸1311を楕円形状の施錠片1313の下方部に穿設されるネジ穴1314に貫通させてナット1315で締着することにより、施錠片1313をシリンダ錠1309の後端部に固着している。この構成により、シリンダ錠1309に鍵(遊技場の管理責任者等が所持している)を差し込んで回動することにより施錠片1313を90度の範囲で回動することができるようになっている。また、錠穴1308の下部には、カバー体1300を閉じる際に、開閉を案内するための案内突起1316が内側に向かって突設されている。更に、カバー体1300の開放側の上方部であって係合片1302の上下にネジを螺着するためのネジ止め穴1307が形成されている。
【0464】
一方、上記したネジ止め穴1307、施錠片1313、及び案内突起1316に対応するように、本体枠3側には、止め穴568、施錠穴569a、及び案内孔569bが形成されている。この構成について図144を参照して説明すると、本体枠3の前述した軸支側後面壁546には、前述したようにカバー体当接溝567が形成されているが、このカバー体当接溝567の上下部(球通路ユニット770のカバー体係合溝785を挟んだ上下)にネジ止め穴1307に対応する止め穴568が形成されている。更に、本体枠3の軸支側後面壁546の下方部には、図147に示すように、施錠壁569が本体枠3の縦中心線方向に向かって延設されており、その施錠壁569の上下に施錠穴569aと案内孔569bとが開設されている。施錠穴569aは、楕円形状に形成されて施錠片1313が貫通するようになっていると共に、施錠穴569aの前面側周囲の施錠壁569は、補強用のリブが突設されている。
【0465】
しかして、カバー体1300を開放状態から閉止状態に回動させることにより、図147(A)に示すように、案内突起1316が案内孔569bに挿入されつつ、シリンダ錠1309の施錠片1313が施錠穴569aを貫通した状態となる。その状態でシリンダ錠1309に鍵を差し込んで回動することにより、図147(B)に示すように、施錠片1313が90度回転し、施錠片1313の一端部が施錠壁569の前面側と係合する。このため、カバー体1300が本体枠3に対して施錠されることになる。また、シリンダ錠1309によるカバー体1300の施錠は、カバー体1300の下方部であるため、カバー体1300の上方部を本体枠3に固定するために、閉じた状態で合致しているネジ止め穴1307と止め穴568に図示しないネジを螺着することにより、カバー体1300の上方部も本体枠3に固定される。なお、カバー体1300の上方部にもシリンダ錠を設けて、上下でシリンダ錠によってカバー体1300を本体枠3に施錠しても良い。
【0466】
また、第二実施形態に係るカバー体1300は、図140に示すように、閉じた状態で、その背面側が賞球タンク720の最後端部(本実施形態の場合には、排出口730の後面壁)、及びタンクレール部材740の後端壁と側方から見たときに同一垂直面となっている。このため、パチンコ機1の背面から見たときに、背面側の上部から下方までに凹凸がなく、きわめてスッキリした形状となっているため、パチンコ機1を運搬するときに全体の厚みが均一で把握し易いため、積み込みや重ね合わせ作業が行いやすく、また、実際に遊技場の島台に設置する際も、背向列設されるパチンコ機1の背面において、相手方のパチンコ機の背面に突出する配線等を気にすることなく、きわめてスムーズに設置することができるものである。この点は、第一実施形態に係るカバー体1250を使用したパチンコ機1においても、図3に示すように同一の効果を奏するものである。
【0467】
なお、上記した第二実施形態において、カバー体1300の閉止状態を上方のネジと下方のシリンダ錠1309との両方で行った理由は、第一の理由として、カバー体1300が第一実施形態に係るカバー体1250に比べて被覆面積が縦方向に大きくなっているため、カバー体1300の中央だけで閉止状態を保持すると上下部分が熱によって変形するおそれがあるため、上下の2箇所で閉止状態を保持する構成にしたこと。第二の理由として、前述したようにカバー体1300の当接下辺側壁1306によって払出制御基板ボックス1105の上辺部に当接するようにしたので、特に、カバー体1300の下辺部をこじ開けることができないようにカバー体1300の下方部の閉止状態を強固に維持することが必要であり、結果的にカバー体1300の上方部も閉止せざるを得ないこと。そして、この第二の理由により、特に下辺部の閉止状態を維持するためにシリンダ錠1309等の施錠装置(シリンダ錠に限らず、遊技場の管理者しか解錠できない施錠装置であれば良い。)を用いることが望ましい。
【0468】
以上、第二実施形態に係るカバー体1300について説明してきたが、この第二実施形態に係るカバー体1300は、カバー体1300を本体枠3に対して閉じたときに、カバー体1300の下辺部である当接下辺側壁1306が枠用基板ホルダ1101に取付けられる払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上辺部分に当接被覆するようになっているため、カバー体1300を開放しない限り、払出制御基板ボックス1105を枠用基板ホルダ1101から取り外すことができない構成となっている。そして、カバー体1300がシリンダ錠1309によって施錠されるため、カバー体1300に被覆される主制御基板ボックス624に対する不正行為はもちろん、カバー体1300に被覆されない払出制御基板ボックス1105に対する不正行為も防止することができる。また、カバー体1300を閉じた状態で且つシリンダ錠1309を施錠した状態であっても、カバー体1300に接続操作用開口1303が開設されているため、試験用の試験用端子624b,624cに検査機器を接続したり、あるいはソフトウエア等が暴走して復旧する際に、RAMクリアスイッチ624aを操作したりすることができる。そして、この接続操作用開口1303の内側には、立壁1304や当接突起1305が形成されて主制御基板ボックス624との間に隙間が生じないようにされているので、接続操作用開口1303からピアノ線等を挿入して遊技盤4の裏面に対する不正行為を防止することができる。
【0469】
更に、第二実施形態に係るカバー体1300は、閉じた状態で、その背面側が賞球タンク720の最後端部、及びタンクレール部材740の後端壁と側方から見たときに同一垂直面となっているため、パチンコ機1の背面から見たときに、背面側の上部から下方までに凹凸がなく、きわめてスッキリした形状となっており、パチンコ機1を運搬するときに全体の厚みが均一で把握し易いため、積み込みや重ね合わせ作業が行いやすく、また、実際に遊技場の島台に設置する際も、背向列設されるパチンコ機1の背面において、相手方のパチンコ機の背面に突出する配線等を気にすることなく、きわめてスムーズに設置することができる。
【0470】
[2.遊技盤の詳細構成]
続いて、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4の詳細な構成について、主に図151乃至図165を参照して説明する。図151は、遊技盤の正面図であり、図152は、遊技盤を斜め右前から見た斜視図である。また、図153は、遊技パネルの後側に見える裏ユニットと共に示す遊技盤の正面図であり、図154は、遊技パネルの後側に見える裏ユニットと共に遊技盤を斜め左前から見た斜視図であり、図155は、遊技盤を斜め後から見た斜視図である。更に、図156は図153におけるA-A断面図であり、図157は図153におけるB-B断面図であり、図158は図153におけるC-C断面図である。また、図159は遊技盤を構成する主な部材毎に分解して斜め前から見た斜視図であり、図160は遊技盤を構成する主な部材毎に分解して斜め後から見た斜視図であり、図161は裏ユニットを主要な構成毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図162は裏ユニットを主要な構成毎に分解して後から見た分解斜視図である。
【0471】
また、図163は、下可動装飾体、左上可動装飾体及び右上可動装飾体を液晶表示装置の前面から退避させた状態を示す遊技盤の正面図であり、図164は、センター枠可動装飾体の動きを示す説明図であり、図165は、センター役物におけるセンター枠可動装飾体付近の切欠き部を示す拡大斜視図である。
【0472】
図示するように、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4は、外レール602及び内レール603を有し、遊技者が操作ハンドル部410を操作することで遊技媒体としての遊技球(単に「球」とも称す)が打ち込まれる遊技領域605の外周を区画形成する枠状の前構成部材601と、前構成部材601の後側で遊技領域605を閉鎖するように配置される透明板状の遊技パネル600と、遊技パネル600の外周を覆うと共に遊技パネル600を前側から着脱可能に保持し、前構成部材601の後側に取付けられる枠状のパネルホルダ630と、遊技領域605の外側でアウト口606よりも右側の前構成部材601下部に配置された機能表示ユニット640と、機能表示ユニット640の前面に貼り付けられる機能表示シール649と、遊技領域605内の左右方向略中央でアウト口606の上側に配置され遊技パネル600の前面に支持されるアタッカユニット2000と、アタッカユニット2000の左側で遊技領域605の外周に沿って配置され遊技パネル600の前面に支持されるサイド入賞口部材2100と、遊技領域605内の上下方向中央からやや上寄り左側に配置され遊技パネル600の前面に支持されるゲート部材2200と、遊技領域605の略中央部分に配置され遊技パネル600に支持される枠状のセンター役物2300と、パネルホルダ630の後側に取付けられる裏ユニット3000と、裏ユニット3000の後側に透明な遊技パネル600及びセンター役物2300の枠内を通して遊技者側から視認可能に取付けられ所定の演出画像を表示可能な演出表示手段としての液晶表示装置1400と、を主に備えている。
【0473】
[2-1.アタッカユニット]
本例のパチンコ機1における遊技盤4のアタッカユニット2000は、透明な遊技パネル600における左右方向中央の下部に形成された開口部600eに対して、前側から挿入された上で、遊技パネル600の前面に固定されるものである。このアタッカユニット2000は、遊技領域605内へ打ち込まれた遊技球が受入可能とされた複数の受入口(入賞口)を有しており、具体的には、左右方向の略中央に配置された第一始動口2001と、第一始動口2001の下側に配置された第二始動口2002と、第二始動口2002の下側に配置され第一始動口2001や第二始動口2002よりも左右方向へ大きく延びた区形状の大入賞口2003と、大入賞口2003の左右両側やや上寄りに配置された一般入賞口2004と、を備えている。
【0474】
このアタッカユニット2000の第一始動口2001は、上側が開放されており遊技球が常時受入(入賞)可能となっている。一方、第一始動口2001の下側に配置された第二始動口2002は、第一始動口2001との間に始動口ソレノイド2015(図166を参照)により拡開可能な一対の可動片2005が配置されており、一対の可動片2005が略垂直に立上った状態では第一始動口2001と一対の可動片2005とによって第二始動口2002へ遊技球が受入不能となるのに対して、一対の可動片2005が左右方向へ拡開した状態(図151を参照)では第二始動口2002へ遊技球が受入可能となるようになっている。つまり、第二始動口2002が一対の可動片2005により可変入賞口となっている。なお、一対の可動片2005は、後述するゲート部材2200のゲートセンサ2202による遊技球の通過の検出に基いて始動口ソレノイド2015の駆動により開閉されるようになっている。
【0475】
また、アタッカユニット2000の大入賞口2003は、その開口を閉鎖可能な横長矩形状の開閉部材2006によって開閉可能とされている。この開閉部材2006は、下辺が回動可能に軸支されており、略垂直な状態では大入賞口2003を閉鎖して遊技球を受入不能とすることができると共に、上辺が前側へ移動するように回動すると大入賞口2003を開放して遊技球を受入可能とすることができるようになっている。この開閉部材2006は、通常の遊技状態では大入賞口2003を閉鎖した状態となっており、第一始動口2001や第二始動口2002へ遊技球が受入れられる(始動入賞する)ことで抽選される特別抽選結果に応じて(特別抽選結果が「大当り」の時に)アタッカソレノイド2016(図166を参照)の駆動により開閉するようになっている。
【0476】
更に、アタッカユニット2000の一般入賞口2004は、図示するように、斜め左上向きに開放されており、遊技球が常時受入(入賞)可能となっている。
【0477】
[2-2.サイド入賞口部材]
また、遊技盤4におけるサイド入賞口部材2100は、透明な遊技パネル600における左右方向中央から左寄りの下部で、アタッカユニット2000が挿入固定される開口部600eよりも左側に形成された開口部600eに対して、前側から挿入された上で、遊技パネル600の前面に固定されるものであり、アタッカユニット2000における正面視左側の一般入賞口2004と並ぶように遊技領域605の外周に沿って配置された二つの一般入賞口2101を備えている。これら二つの一般入賞口2101は、図示するように、上方に開放され遊技球が常時受入(入賞)可能となっている。
【0478】
また、サイド入賞口部材2100には、その左上端部に左側の端部が遊技領域605の外周と略接するような位置に配置され、右側の端部へ向うに従って低くなるように傾斜した棚部2102を備えており、この棚部2102によって遊技領域605の外周に沿って流下してきた遊技球を遊技領域605の中央側へ寄せることができるようになっている。なお、二つの一般入賞口2101は、棚部2102の右側の端部よりも右側へ配置されており、棚部2102により遊技球が遊技領域605の中央側へ寄せられても、一般入賞口2102へ入賞する可能性があるようになっている。
【0479】
[2-3.ゲート部材]
更に、遊技盤4におけるゲート部材2200は、透明な遊技パネル600における左右方向中央よりも左側で上下方向中央からやや上寄りの位置に形成された開口部600eに対して、前側から挿入された上で、遊技パネル600の前面に固定されるものである。このゲート部材2200は、遊技球が一つのみ通過可能な幅のゲート2201を有しており、そのゲート2201内に配置されたゲートセンサ2202によりゲート2201を通過した遊技球を検出することができるようになっている。
【0480】
[2-4.センター役物]
また、遊技盤4におけるセンター役物2300は、透明な遊技パネル600の略中央を貫通するように大きく形成された開口部600eに対して、前側から挿入された上で、遊技パネル600の前面に固定されるものであり、図示するように、遊技領域605の大半を占める大きさで枠状に形成され、正面視右側の外周面は遊技領域605の外周との間で遊技球の外径よりも若干大きい隙間が形成されるように円弧状に形成されていると共に、左側の外周面は遊技領域605の外周との間で所定幅の領域が形成されるように垂下した略直線上に形成されている。なお、このセンター役物2300の左側の外周面と遊技領域605の外周との間にゲート部材2200が配置されている。
【0481】
このセンター役物2300は、遊技パネル600の前面と当接する薄板状で枠状に形成されたフランジ部2300aと、フランジ部2300aから遊技パネル600の開口部600e内へ向って延出する挿入壁部2300bと、フランジ部2300aから前方へ突出する前壁部2300cと、を主に備えている。このセンター役物2300の前壁部2300cには、上側の外周面における左右方向中央のやや右寄りの位置から左側に、左方向へ向うに従って低くなるように傾斜した上棚部2301が形成されており、遊技領域605内の上部へ打ち込まれた遊技球が、上棚部2301へ流下するとセンター役物2300の左側を通って流下するようになっていると共に、上棚部2301よりも右側へ流下(進入)した遊技球はセンター役物2300の右側を通って一気に遊技領域605の下部へ流下するようになっている。つまり、センター役物2300における上棚部2301よりも右側へ遊技球が進入するように遊技球を打ち込むと、遊技球の流下を楽しむ機会が少なくなるようになっているので、遊技球の打込強さを適宜調整させることができ、緊張感を維持させて漫然とした遊技となるのを抑制することができるようになっている。
【0482】
また、センター役物2300は、前壁部2300bの左側の外周面に遊技領域605を流下する遊技球が進入可能とされたワープ入口2302と、ワープ入口2302に進入した遊技球を枠内へ放出するワープ出口2303と、ワープ出口2303から放出された遊技球を左右方向へ転動させた後にアタッカユニット200の上側の遊技領域605内へ放出させ挿入壁部2300bの下辺上面に形成されたステージ2310と、を主に備えている。このセンター役物2300におけるステージ2310は、ワープ出口2303から放出された遊技球が供給される第一ステージ2311と、第一ステージ2311の前側に配置され第一ステージ2311から遊技球が供給されると共に遊技領域605内へ遊技球を放出可能とされた第二ステージ2312と、を備えている。
【0483】
これら第一ステージ2311及び第二ステージ2312は、左右方向の略中央が低くなるような湾曲面状に形成されている。また、第一ステージ2311の左右方向略中央の後側には、遊技球が進入可能なチャンス入口2313が形成されており、チャンス入口2313へ進入した遊技球はセンター役物2300におけるフランジ部2300aの下端前面のチャンス出口2314から遊技領域605内へ放出されるようになっている。このチャンス出口2314は、図示するように、アタッカユニット2000における第一始動口2001の直上に配置されており、チャンス出口2314から放出された遊技球は、高い確率で第一始動口2001へ受入れられる(入賞する)ようになっている。
【0484】
また、センター役物2300には、図示するように、ステージ2310の下側でチャンス出口2314の左右両側に、機能表示ユニット640の第一特別図柄記憶表示器643及び第二特別図柄記憶表示器644とは異なる特別図柄記憶表示部2315を備えている。この特別図柄記憶表示部2315は、チャンス出口2314の左側に「1」?「4」、右側に「5」?「8」の数字の絵柄が透光性を有した状態で記載表示されていると共に、それら数字の後側に、カラーLEDを実装した特別図柄記憶表示部基板が配置されており、始動口2001,2002への遊技球の始動入賞に基づいて取得された第一特別乱数や第二特別乱数が保留されると、保留が解除(実行)される順番に保留数に応じた数のLEDが所定色で発光することで、その保留数を遊技者に「文字(数字)」として案内することができるようになっている。なお、特別図柄記憶表示部2315では、「1」?「8」の各絵柄毎に、夫々独立して発光可能な八つの保留表示部(第1の保留表示領域1401a?第8の保留表示領域1401h)が構成されていると共に、左側の「1」?「4」が第一表示群、右側の「5」?「8」が第二表示群とされている。
【0485】
なお、「第一特別乱数」は、第一始動口2001への遊技球の入賞に基づいて取得された第一特別図柄の当否判定用乱数であり、「第二特別乱数」は、第二始動口2002への遊技球の入賞に基づいて取得された第二特別図柄の当否判定用乱数である。また、保留された第一特別乱数を第一始動記憶と称し、保留された第二特別乱数を第二始動記憶と称する。「保留」とは、取得された特別乱数についての当否判定処理の実行を保留する意である。
【0486】
また、保留している特別乱数が、第一特別乱数の時はLEDが「赤」に、第二特別乱数の時はLEDが「緑」に発光するようになっており、LEDの発光色によって何れの始動口2001,2002への入賞にかかる特別乱数の保留(始動記憶)であるかが判るようになっている。また、この実施の形態では、後述の保留順記憶手段4940による処理を通じて、第一始動記憶の保留解除(保留消化)よりも第二始動記憶の保留解除(保留消化)のほうが優先されるようになっている。すなわち、保留順記憶手段4940は、第一始動口2001への入賞に基づく第一始動記憶(第一特別図柄保留カウンタ4903による保留)と、第二始動口2002への入賞に基づく第二始動記憶(第二特別図柄保留カウンタ4913による保留)との両方が存在する場合は、第二始動記憶についての当否判定処理が、第一始動記憶についての当否判定処理よりも先んじて行われるように、それら始動記憶の消化順序についての入れ替え等にかかる管理を行う。そのため、第二始動記憶は、第一始動記憶よりも先に導出(いわゆる、保留の消化)がなされるようになり、こうした始動記憶の消化される順序が特別図柄記憶表示部2315における発光表示態様により示唆されるようになるが、詳細は後述する
【0487】
また、特別図柄記憶表示部2315では、右側の「5」?「8」の第二表示群には第二始動記憶についての当否判定処理の結果(抽選結果)が表示されることはないので、「5」?「8」の第二表示群の後側のLEDは第一始動記憶にのみ対応して「赤」のみに発光するLEDとされていると共に、「1」?「4」の第一表示群の後側のLEDは第一始動記憶及び第二始動記憶に対応して少なくとも「赤」と「緑」に発光するカラーLED又は、赤色LEDと緑色LEDの二つのLEDとされている。これにより、特別図柄記憶表示部2315におけるLEDに係るコストが増加するのを抑制することができると共に、特別図柄記憶表示部2315に係る制御負荷が増加するのを抑制することができるようになっている。更に、保留している特別乱数が確変情報や時短情報を含まない通常の乱数の場合では、LEDが常に点灯し、確変情報等を含む乱数の場合では、LEDが所定サイクルで点滅するようになっており、事前に「確変大当り」等が抽選されている可能性を遊技者に認識させて、期待感を高められるようになっている。
【0488】
更に、センター役物2300には、その枠内の上部にパチンコ機1のコンセプトを表示するロゴ装飾体2320と、ワープ入口2302の上側で枠内に配置されたセンター枠可動装飾体2350と、を備えている。これらロゴ装飾体2320及びセンター枠可動装飾体2350は、共に発光装飾可能とされている。また、センター枠可動装飾体2350は、パチンコ機1のコンセプトと密接に関係した所定のキャラクタを模したキャラクタ体2351と、キャラクタ体2351をセンター枠用モータ2352によって上下方向へ移動させるセンター枠可動装飾体駆動機構2354と、を備えている(図160を参照)。
【0489】
このセンター枠可動装飾体駆動機構2354は、詳細な図示は省略するが、センター枠用モータ2352の駆動軸に固定された円盤状の駆動回転板と、駆動回転板に基端が固定され先端にキャラクタ体2351を回転可能に軸支する長尺状の棹部材2355と、駆動回転板の前面を覆うと共に駆動回転板の回転角度端を規制する回転規制部材2356と、駆動回転板の回転位置を検出する位置検出センサ2353と、を主に備えている。このセンター枠可動装飾体2350は、遊技状態等に応じてセンター枠用モータ2352が駆動することでキャラクタ体2351(棹部材2355)が略直立した位置と、キャラクタ体2351がセンター役物2300における枠内の中央寄りの位置との間の所定角度の範囲内で回動するようになっている。なお、キャラクタ体2351が略直立した位置に相当する挿入壁部2300bには、切欠き部2300dが形成されており(図165を参照)、この切欠き部2300dによって、キャラクタ体2351が枠内の中央から可及的に離れた位置となるようになっていると共に、センター枠可動装飾体2350の可動により慣性力が作用したキャラクタ体2351が薄板状の挿入壁部2300bに衝突して挿入壁部2300bが破損するのを防止することができるようになっている。
【0490】
また、センター役物2300には、図159及び160に示すように、その枠内が二つに分割された形態となっており、中央の大きなメイン窓2361は、後側に配置される液晶表示装置1400が臨むように対応し、右側の縦長の小さいサブ窓2362は、後述する裏ユニット3000における右可動装飾体3200の右可動体3220が臨むようになっている。なお、センター役物2300におけるメイン窓2361は、透明板2363によって閉鎖されている(図156を参照)。
【0491】
[2-5.裏ユニット]
続いて、遊技盤4における裏ユニット3000は、パネルホルダ630の後側に配置固定されており、図示するように、パネルホルダ630から所定距離後側へ離れた位置に液晶表示装置1400を支持する裏箱621と、裏箱621内で液晶表示装置1400の左側に配置される左可動装飾体3100と、裏箱621内で液晶表示装置1400の右側に配置される右可動装飾体3200と、裏箱621内で液晶表示装置1400の下側に配置される下可動装飾体3300と、裏箱621内で液晶表示装置1400の左右上部に配置される左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500と、を主に備えている。
【0492】
この裏ユニット3000における裏箱621は、図示するように、前側が開放された箱状に形成され、前端に外方へ突出するフランジ状の固定部621aが複数備えられており、この固定部621aを介してパネルホルダ630の後側に固定されるようになっている。また、裏箱621は、後壁621bの略中央に矩形状の開口621cが形成されており、この開口621cを通して後側に支持される液晶表示装置1400が遊技者側から視認できるようになっている。更に、裏箱621は、各可動装飾体3100,3200,3300,3400,3500や、各基板3606,3030,3032,3034等を取付固定するための取付部が適宜位置に形成されている。
【0493】
裏ユニット3000における左可動装飾体3100及び右可動装飾体3200は、夫々左モータ3110及び右モータ3210の駆動により上下方向が長い左可動体3120及び右可動体3220とが夫々上下方向へ可動することができるようになっている。また、下可動装飾体3300は、下モータ3310の駆動により液晶表示装置1400よりも下側の位置を中心として回動することができるようになっており、太陽型の下可動体3320が液晶表示装置1400の下側から液晶表示装置1400の前面へ現れたり隠れたりすることができるようになっている。更に、裏ユニット3000の左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500は、左上モータ3410及び右上モータ3510の駆動によって左上可動体3420及び右上可動体3520が夫々略水平方向となって左右方向へ略直線上に繋がったような位置(図151を参照)と、左上可動体3420及び右上可動体3520が夫々垂下した位置との間で回動することができるようになっている。また、左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500は、夫々が略水平方向に延びるような位置となることで、後側に配置された液晶表示装置1400の表示画面を上下に二分割することができ、液晶表示装置1400は、略水平方向となった左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500を境に、上下で異なる演出画像を表示させることができるようになっている。
【0494】
この裏ユニット3000における左可動装飾体3100は、詳細な図示は省略するが、上下方向へ延び金属板を屈曲形成したベース部材3111と、ベース部材3111の上下両端に固定されるレール支持部材3112と、上下のレール支持部材3112によって上下方向へ延びるように所定間隔で平行に保持される二本のレール部材3113と、二本のレール部材3113によって上下方向へスライド可能に保持され左可動体3120が固定される摺動部材と、摺動部材の所定位置に備えられ上下方向へ延びるラックギアと、ラックギアと噛合しベース部材3111に軸支されるピニオンギアと、ピニオンギアと同軸上に配置されると共にピニオンギアと共に回転しベース部材3111に軸支される伝達ギアと、伝達ギアと噛合しベース部材3111に取付けられた左モータ3110の回転軸に固定される駆動ギアと、を備えている。
【0495】
この左可動装飾体3100には、図示は省略するが、摺動部材にベース部材3111側へ向って突出する検知片が形成されていると共に、ベース部材3111の所定位置に検知片を検出する位置検出センサ3130が取付けられており、位置検出センサ3130により検知片を検出することで摺動部材つまり左可動体3120の移動位置を検出することができるようになっている。
【0496】
また、左可動装飾体3100における左可動体3120は、上下方向に長く延び後側が開放された可動体ベースと、可動体ベースの前面側に取付けられ綱状の模様が造形された表面部材と、可動体ベースの後側に取付けられ可動体ベース内へ向って光を照射可能な複数のLEDが実装された左可動体装飾基板3123と、を備えており、可動体ベースが摺動部材に固定されることで、左モータ3110により上下方向へ移動することができるようになっている。また、可動体ベース及び表面部材は、透光性を有しており、左可動体装飾基板3123のLEDからの光により発光装飾することができるようになっている。
【0497】
更に、左可動装飾体3100には、左可動体3120とレール部材3113との間に配置され、レール部材3113やベース部材3111の前面側を被覆する板状のカバー部材3140を更に備えている。このカバー部材3140は、透光性を有すると共に、表面に複数の円形を所定パターンで配列したレリーフが形成されており、レール部材3113やベース部材3111が遊技者側から見えないように被覆して意匠性を高められるようになっている。また、詳細な図示は省略するが、カバー部材3140には、上下方向へ延びたスリットが形成されており、そのスリットを通して摺動部材と左可動体3120とが連結されている。
【0498】
一方、裏ユニット3000における右可動装飾体3200は、詳細な図示は省略するが、上下方向へ延び金属板を屈曲形成したベース部材3211と、ベース部材3211の上下両端に固定されるレール支持部材3212と、上下のレール支持部材3212によって上下方向へ延びるように所定間隔で平行に保持される二本のレール部材3213と、二本のレール部材3213によって上下方向へスライド可能に保持され右可動体3220が固定される摺動部材と、摺動部材の所定位置に備えられ上下方向へ延びるラックギアと、ラックギアと噛合しベース部材3211に軸支されるピニオンギアと、ピニオンギアと同軸上に配置されると共にピニオンギアと共に回転しベース部材3211に軸支される伝達ギアと、伝達ギアと噛合しベース部材3211に取付けられた右モータ3210の回転軸に固定される駆動ギアと、を備えている。
【0499】
この右可動装飾体3200には、図示は省略するが、摺動部材にベース部材3211側へ向って突出する検知片が形成されていると共に、ベース部材3211の所定位置に検知片を検出する位置検出センサ3230が取付けられており、位置検出センサ3230により検知片を検出することで摺動部材つまり右可動体3220の移動位置を検出することができるようになっている。
【0500】
また、右可動装飾体3200における右可動体3220は、上下方向に長く延び後側が開放された可動体ベースと、可動体ベースの前面側に取付けられ綱状の模様が造形された表面部材と、可動体ベースの後側に取付けられ可動体ベース内へ向って光を照射可能な複数のLEDが実装された右可動体装飾基板3223と、を備えており、可動体ベースが摺動部材に固定されることで、右モータ3210により上下方向へ移動することができるようになっている。また、可動体ベース及び表面部材は、透光性を有しており、右可動体装飾基板3223のLEDからの光により発光装飾することができるようになっている。
【0501】
更に、右可動装飾体3200には、右可動体3220とレール部材3213との間に配置され、レール部材3213やベース部材3211の前面側を被覆する板状のカバー部材3240を更に備えている。このカバー部材3240は、透光性を有すると共に、表面に複数の円形を所定パターンで配列したレリーフが形成されており、レール部材3213やベース部材3211が遊技者側から見えないように被覆して意匠性を高められるようになっている。また、詳細な図示は省略するが、カバー部材3240には、上下方向へ延びたスリットが形成されており、そのスリットを通して摺動部材と右可動体3220とが連結されている。
【0502】
本例の左可動装飾体3100及び右可動装飾体3200は、図示するように、綱をイメージした形状となっていると共に、上下方向の略中央に、綱を掴む手が造形されている。また、右可動装飾体3200は、左可動装飾体3100よりも大きく形成されていると共に、左可動装飾体3100が遊技パネル600の後側に配置されているのに対して、右可動装飾体3200は、センター役物2300の枠内を通って遊技パネル600の前面よりも前側に一部が突出した状態となっており、その大きさが更に強調されている。また、右可動装飾体3200は、図示するように、ベース部材3211の面が、遊技盤4(遊技パネル600)の面に対して斜め(遊技領域605の中央側が後方向へ後退した)に配置されており、これにより、右可動体3220の左右方向の長さが右可動装飾体3200を設置するための左右方向のスペースよりも長くなり、より大型の右可動体3220を備えることができるようになっている。
【0503】
また、裏ユニット3000における下可動装飾体3300は、詳細な図示は省略するが、下モータ3310を支持する共に裏箱621内の所定位置に固定されるベース部材3311と、ベース部材3311に支持された下モータ3310の回転軸に固定される駆動ギア3312と、駆動ギア3312と噛合しベース部材3311に軸支される第一伝達ギアと、第一伝達ギアと同軸上に配置され第一伝達ギアと共に回転すると共に第一伝達ギアよりも小径の第二伝達ギア3314と、第二伝達ギア3314と噛合しベース部材3311に軸支されると共に下可動体3320が取付けられる従動ギア3315と、を備えている。なお、従動ギア3315は、その歯部が周方向の約1/4の範囲内にのみ形成された形態となっている。
【0504】
この下可動装飾体3300は、従動ギア3315に半径方向外方へ突出する検知片3316が形成されていると共に、ベース部材3311の所定位置に検知片3316を検出する位置検出センサ3330が取付けられており、位置検出センサ3330により検知片3316を検出することで、従動ギア3315つまり下可動体3320の回動位置を検出することができるようになっている。
【0505】
また、下可動装飾体3300の下可動体3320は、従動ギア3315に固定され下可動体3320の全体形状を備え後側が開放された容器状の可動体ベース3321と、可動体ベース3321の前側に固定され可動体ベース3321内を所定形状に仕切るリフレクタと、リフレクタの前側に固定され表面に所定の装飾が形成された表面部材3323と、可動体ベース3321の後側開口を閉鎖し前面側に複数のLEDが実装された下可動体装飾基板3324と、下可動体装飾基板3324の後側に配置され可動体ベース3321の後側に固定される後保護板3325と、を備えており、下モータ3310の駆動により下可動体3320が所定角度の範囲内で回動することができるようになっている。また、この下可動装飾体3300における可動体ベース3321及び表面部材3323は、透光性を有しており、下可動体装飾基板3324の前面に実装されたLEDからの光により、下可動体3320全体を発光装飾させることができるようになっている。
【0506】
なお、この下可動装飾体3300は、図示するように、その前側にアタッカユニット2000が配置されるので、下モータ3310が、遊技盤4の左右方向中央に対して右側へオフセットした位置に配置されており、下モータ3310がアタッカユニット2000から可及的に離れた位置に配置することで、下モータ3310で発生する磁気が、アタッカユニット2000内の磁気検出センサ3024や、遊技領域605内を流下する遊技球に対して影響を及ぼすのを回避させることができるようになっている。また、下モータ3310を、アタッカユニット2000の右側、換言すると、センター役物2300によって遊技領域605内での遊技球の流下領域が左右方向の何れか一方側(左側)に寄せられた側とは反対側(右側)に配置しているので、下モータ3310と対応する遊技領域605内の領域には殆ど遊技球が流下することがなく、下モータ3310から発生する磁気によって遊技球の動きに影響が及ぼされるのを低減させることができるようになっている。なお、下モータ3310を作動させた時には、磁気検知センサ3024での磁気の検知を無効にするようにしても良い。
【0507】
次に、本例の裏ユニット3000における左上可動装飾体3400は、詳細な図示は省略するが、左上モータ3410を支持するベース部材3411と、ベース部材3411に支持された左上モータ3410の回転軸に固定される駆動ギアと、駆動ギアと噛合する歯部が扇状に形成されベース部材3411に軸支されると共に左上可動体3420が固定される従動ギアと、駆動ギアから半径方向外方へ突出する検知片と、検知片を検出しベース部材3411に支持された位置検出センサ3430と、を備えている。この左上可動装飾体3400は、左上モータ3410の回転により左上可動体3420が約90度の角度範囲内で回動可能とされていると共に、位置検出センサ3430により駆動ギアの検知片を検出することで、駆動ギアつまり左上可動体3420の回動位置を検出することができるようになっている。
【0508】
また、左上可動装飾体3400の左上可動体3420は、一端が従動ギアに固定され長尺状で後側が開放された箱状の可動体ベース3421と、可動体ベース3421内に配置され前面に複数のLEDが実装された左上可動体装飾基板と、可動体ベース3421の後端を閉鎖する板状の基板カバー3423と、可動体ベース3421の前面に配置される幕状の拡散シートレンズと、拡散シートレンズの前側に配置されるレンズ部材と、レンズ部材の前側に配置されると共にレンズ部材及び拡散シートレンズを覆うように可動体ベース3421に固定され所定形状(文字や記号)の貫通孔を有した表面部材3426と、を備えている。本例では、可動体ベース3421、拡散シートレンズ、及びレンズ部材が透光性を有していると共に、表面部材3426が不透光性とされており、左上可動体装飾基板に実装されたLEDを適宜色に発光させることで、表面部材3426に形成された所定形状の貫通孔が発光装飾され、所定の文字や記号が浮び上がるようになっている。
【0509】
一方、裏ユニット3000における右上可動装飾体3500は、詳細な図示は省略するが、右上モータ3510を支持するベース部材3511と、ベース部材3511に支持された右上モータ3510の回転軸に固定される駆動ギアと、駆動ギアと噛合する歯部が扇状に形成されベース部材3511に軸支されると共に右上可動体3520が固定される従動ギアと、駆動ギアから半径方向外方へ突出する検知片と、検知片を検出しベース部材3511に支持された位置検出センサ3530と、を備えている。この右上可動装飾体3500は、右上モータ3510の回転により右上可動体3520が約90度の角度範囲内で回動可能とされていると共に、位置検出センサ3530により駆動ギアの検知片を検出することで、駆動ギアつまり右上可動体3520の回動位置を検出することができるようになっている。
【0510】
また、右上可動装飾体3500の右上可動体3520は、一端が従動ギアに固定され長尺状で後側が開放された箱状の可動体ベース3521と、可動体ベース3521内に配置され前面に複数のLEDが実装された右上可動体装飾基板と、可動体ベース3521の後端を閉鎖する板状の基板カバー3523と、可動体ベース3521の前面に配置される幕状の拡散シートレンズと、拡散シートレンズの前側に配置されるレンズ部材と、レンズ部材の前側に配置されると共にレンズ部材及び拡散シートレンズを覆うように可動体ベース3521に固定され所定形状(文字や記号)の貫通孔を有した表面部材3526と、を備えている。本例では、可動体ベース3521、拡散シートレンズ、及びレンズ部材が透光性を有していると共に、表面部材3526が不透光性とされており、右上可動体装飾基板に実装されたLEDを適宜色に発光させることで、表面部材3526に形成された所定形状の貫通孔が発光装飾され、所定の文字や記号が浮び上がるようになっている。
【0511】
本例の裏ユニット3000では、左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500が、液晶表示装置1400に最も近い位置、つまり、遊技者側から見て最も奥まった位置に配置されており、左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500の前側に、左可動装飾体3100、右可動装飾体3200、及び下可動装飾体3300が配置され、更に、センター役物2300に備えられたセンター枠可動装飾体2350が、左可動装飾体3100、及び下可動装飾体3300の前側に配置されている。これにより、遊技盤4全体としては、可動装飾体2350,3100,3200,3300,3400,3500が前後方向に複数層(ここでは三層)配置された状態となっており、夫々の可動装飾体2350,3100,3200,3300,3400,3500が可動することで、奥行感が強調され、遊技者を楽しませることができるようになっていると共に、他のパチンコ機と比べて一見して異なる雰囲気や外観のパチンコ機1とすることができ、遊技者の関心を強く引き付けられるパチンコ機1となっている。
【0512】
また、右可動装飾体3200は、左可動装飾体3100よりも大型に形成されていると共に、遊技パネル600の前面よりも前側へ突出するように形成されており、遊技盤4全体としては、同じような造形の左可動装飾体3100と右可動装飾体3200により左右が対称のような印象を与えつつ、右側の右可動装飾体3200を大型化することで、非対称のような印象も与えることができ、飽き難いデザインとなっている。また、左右に配置された左可動装飾体3100及び右可動装飾体3200を夫々上下方向へ移動させるようにしているので、左可動体3120及び右可動体3220が液晶表示装置1400の前面に移動することがなく、左可動体3120及び右可動体3220によって液晶表示装置1400に表示された演出画像が見辛くなるのを防止することができるようになっている。
【0513】
更に、太陽型の下可動装飾体3300が、液晶表示装置1400の下側から液晶表示装置1400の前面へ移動するようになっているので、太陽型の下可動体3320の出現を確実に遊技者に認識させることができ、下可動装飾体3300の動きを楽しませることができると共に、太陽型の下可動体3320の出現により遊技に対する期待感を高めることができるようになっている。また後述するが、こうして液晶表示装置1400の前面へ移動した後には、当該下可動装飾体3300は、上記液晶表示装置1400における表示演出と協働した所定の移動時演出(発光演出)を行うようになっている。
【0514】
この裏ユニット3000には、裏箱621内で左可動装飾体3100、右可動装飾体3200、下可動装飾体3300、左上可動装飾体3400、及び右上可動装飾体3500の後側に配置され、液晶表示装置1400の外周を囲う発光装飾体3600を備えている。この発光装飾体3600は、表面に所定の模様がレリーフ状に形成されると共に透光性を有した前面装飾体3602と、前面装飾体3602の後側に配置され表面に複数の小径レンズが形成された透明で薄箱状のレンズ部材3604と、レンズ部材3604の後側に固定され前面側に複数のLEDが実装された発光装飾基板3606と、で構成されている。発光装飾体3600における前面装飾体3602は、液晶表示装置1400の前面上側で裏箱621の上辺に略沿って配置される横長の上飾り装飾体3602aと、液晶表示装置1400の前面下側で下可動装飾体3300を挟んで左右に配置される左下飾り装飾体3602b及び右下飾り装飾体3602cと、裏箱621の上辺前端に固定される横長の上飾りカバー3602dと、を備えている。これら前面装飾体3602には、複数の円をパターン配列した模様が施されていると共に、上飾り装飾体3602aには所定のキャラクタや植物(松や梅の花)を模したレリーフが形成されている。
【0515】
また、発光装飾体3600におけるレンズ部材3604は、上飾り装飾体3602aと対応する位置に配置され、外形形状が上飾り装飾体3602aの外形と略沿った形状で、後側が開放された薄い箱状に形成されており、前面の所定位置に小径レンズが複数形成されている。なお、本例では、左下飾り装飾体3602b及び右下飾り装飾体3602cと対応するレンズ部材3604は省略している。
【0516】
一方、発光装飾体3600における発光装飾基板3606は、レンズ部材3604の後側に固定され上飾り装飾体3602aの左半分を発光装飾させる左上発光装飾基板3606aと、レンズ部材3604の後側に固定され上飾り装飾体3602aの右半分を発光装飾させる右上発光装飾基板3606bと、左下飾り装飾体3602bの後側に固定される左下発光装飾基板3606cと、右下飾り装飾体3602cの後側に固定される右下発光装飾基板3606dと、を備えている。また、発光装飾基板3606には、左可動装飾体3100におけるカバー部材3140の右端後側に配置され上下方向へ長く延びた左中発光装飾基板3606eと、右可動装飾体3200におけるカバー部材3240の左端後側に配置され上下方向へ長く延びた右中発光装飾基板3606fと、を更に備えており、左中発光装飾基板3606eと右中発光装飾基板3606fとによって、左可動装飾体3100のカバー部材3140と右可動装飾体3200のカバー部材3240を発光装飾させることができるようになっている。
【0517】
また、発光装飾体3600の発光装飾基板3606には、上飾り装飾体3602aとレンズ部材3604との間に配置され、前面に複数のLEDが実装された上発光装飾基板3606gを更に備えている。この上発光装飾基板3606gは、レンズ部材3604の前面に取付けられるようになっている。
【0518】
この発光装飾体3600は、左上発光装飾基板3606a及び右上発光装飾基板3606bが固定されるレンズ部材3604と、左下発光装飾基板3606cが固定される左下飾り装飾体3602bと、右下発光装飾基板3606dが固定される右下飾り装飾体3602cとが、裏箱621の後壁621b前面に固定されるようになっていると共に、上飾り装飾体3602aがレンズ部材3604を挟むように裏箱621の後壁621b前面に固定されている。なお、上飾り装飾体3602aとレンズ部材3604との間には所定量の隙間が形成されるようになっており、その隙間によって、LEDからの光がレンズ部材3604でより広く拡散されて上飾り装飾体3602aに照射されるようになっている。
【0519】
また、裏ユニット3000には、アタッカユニット2000の後側と対応する位置に配置されると共に、発光装飾体3600における左下飾り装飾体3602b及び右下飾り装飾体3602cを介して裏箱621に固定され、表面に雲を模した造形が形成された下中央装飾体3610と、下中央装飾体3610の右側に配置された下右装飾体3612と、を更に備えている。この下中央装飾体3610は、遊技パネル600の後面と略線状に当接する当り部3610aを備えており、この当り部3610aが遊技パネル600の後面と当接することで、遊技パネル600が後側へ撓むのを防止することができるようになっている。詳述すると、遊技パネル600に植設された複数の障害釘を調整する時に、所定の工具を用いて障害釘を叩くことで障害釘の植設具合を調整するようにしているが、上述したように、透明な遊技パネル600は、従来品と比較してその厚さが約半分と薄く撓み易くなっているので、メンテナンス等で障害釘が叩かれると、遊技パネル600が撓んで障害釘を的確に調整することができない虞がある。しかしながら、本例では、下中央装飾体3610の当り部3610aが遊技パネル600の後面と当接しているので、遊技パネル600が後側へ撓むのを防止することができ、メンテナンス等の際に障害釘の調整を的確且つ迅速に行うことができるようになっている。
【0520】
更に、裏ユニット3000には、裏箱621の後側に軸支され各装飾基板に実装されたLEDを駆動するランプ駆動基板3011を収容したランプ駆動基板ボックス3010と、ランプ駆動基板ボックス3010の後面に取付けられ左モータ3110、右モータ3210、下モータ3310、左上モータ3410、右上モータ3510、及びセンター役物2300のセンター枠用モータ2352、扉枠5に備えられたトップランプ電飾ユニット200の左回転灯モータ245、右回転灯モータ265、及び中央回転灯モータ285を駆動するモータ駆動基板3013を収容したモータ駆動基板ボックス3012と、液晶表示装置1400の後側に取付けられ周辺制御基板4140及び液晶制御基板4150からなる周辺基板4010を収容した周辺基板ボックス622と、液晶表示装置1400の後側で周辺基板ボックス622の上側に取付けられインバータ基板3017を収容したインバータ基板ボックス3016と、を備えている。
【0521】
また、裏ユニット3000には、周辺制御基板4140と主制御基板4100との接続を中継するパネル中継端子板3030と、周辺制御基板4140と右可動装飾体3200及び発光装飾体3600等との接続を中継する左裏中継基板3032と、周辺制御基板4140と下可動装飾体3300との接続を中継する左中中継基板3034と、周辺制御基板4140と左可動装飾体3100との接続を中継する左上中継基板3036と、を更に備えている。これらパネル中継端子板3030、左裏中継基板3032、及び左中中継基板3034は、裏箱621の後壁621b後側に夫々固定されていると共に、左上中継基板3036は、レンズ部材3604の前面に固定されている。
【0522】
液晶表示装置1400は、下辺及び上辺に夫々外方へ突出する固定片1402を備えており、下側の固定片1402が裏ユニット3000における裏箱621の液晶支持部に係止されると共に、上側の固定片1402がロック部材3020により裏箱621へ固定されるようになっており、ロック部材3020によって裏箱621の後側へ着脱可能に固定されている。なお、図155に示すように、ランプ駆動基板ボックス3010が液晶表示装置1400の後側にかかるように裏箱621へ固定されており、液晶表示装置1400を取外す際には、ランプ駆動基板ボックス3010を回動させる必要があるようになっている。
【0523】
また、本例の裏ユニット3000には、裏箱621内の下部に配置され、裏箱621内へ送風可能な送風ファン3040を備えており、これにより、裏ユニット3000内の温度が上昇して不具合が発生するのを防止することができるようになっている。
【0524】
[3.主基板・周辺基板]
続いて、パチンコ機1の各種制御を行う制御基板について、図166を参照して説明する。図166は主基板及び周辺基板のブロック図である。パチンコ機1の制御構成は、図示するように、主基板4000のグループ及び周辺基板4010のグループから構成されており、これら2つのグループにより各種制御が分担されている。主基板4000のグループは、遊技動作(遊技の進行)を制御する主制御基板4100と、遊技球の払出し等を制御する払出制御基板1186と、を備えて構成されている。また、周辺基板4010のグループは、主制御基板4100からのコマンドに基いて遊技中の各種演出を制御する周辺制御基板4140と、周辺制御基板4140からのコマンドに基いて液晶表示装置1400での演出画像の表示を制御する液晶制御基板4150と、を備えている。
【0525】
[3-1.主制御基板]
遊技の進行を制御する主制御基板4100は、図166に示すように、マイクロプロセッサとしての主制御MPU4100aと、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート4100bと、上述したRAMクリアスイッチ624aと、を備えている。主制御MPU4100aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵される他に、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。
【0526】
主制御MPU4100aは、第一始動口2001へ受入れられた遊技球を検出する第一始動口センサ2011、第二始動口2002へ受入れられた遊技球を検出する第二始動口センサ2012、及び一部の一般入賞口センサ2014からの検出信号が夫々主制御I/Oポート4100bを介して入力されたり、ゲートセンサ2202、一般入賞口センサ2014、カウントセンサ2013及び裏ユニット3000に取付けられた磁気検出センサ3024からの検出信号が、遊技盤4に取付けられたパネル中継端子板3030、そして主制御I/Oポート4100bを介して入力されたりする。主制御MPU4100aは、これらの検出信号に基いて、主制御I/Oポート4100bそしてパネル中継端子板3030を介して始動口ソレノイド2015及びアタッカソレノイド2016への駆動信号を出力したり、主制御I/Oポート4100b、パネル中継端子板3030、そして、機能表示基板640aを介して第一特別図柄表示器641、第二特別図柄表示器642、第一特別図柄記憶表示器643、第二特別図柄記憶表示器644、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646、遊技状態表示器647、ラウンド表示器648、センター役物2300の特別図柄記憶表示部2315に駆動信号を出力したりする。
【0527】
また主制御MPU4100aは、遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払出しに関する各種コマンド等を、上述した主ドロワ中継基板1107を介して払出制御基板1186に送信したり、この払出制御基板1186からのパチンコ機1の状態に関する各種コマンド等を、主ドロワ中継基板1107を介して受信したりする。更に主制御MPU4100aは、遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを、主制御I/Oポート4100bを介して後述する周辺基板4010の周辺制御基板4140に送信したりする(主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間は図示しないハーネスより電気的に接続されている)。なお、主制御MPU4100aは、その詳細な説明は後述するが、払出制御基板1186からパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを受信すると、これらの各種コマンドを整形して周辺制御基板4140に送信する。
【0528】
主制御基板4100には、その詳細な説明は後述するが、電源基板1136から各種電圧が供給されている。この電源基板1136は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板4100に電力を供給するバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)を備えている。このキャパシタにより主制御MPU4100aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報をその内蔵するRAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板4100のRAMクリアスイッチ624aが操作されると、内蔵するRAMから消去(クリア)されるようになっている。このRAMクリアスイッチ624aの操作信号(検出信号)は、主ドロワ中継基板1107を介して払出制御基板1186にも出力されるようになっている。
【0529】
また、主制御基板4100には、停電監視回路が設けられている。この停電監視回路は、電源基板1136から供給される各種電圧の低下を監視しており、それらの電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号を出力するようになっている。この停電予告信号は、主制御I/Oポート4100bを介して主制御MPU4100aに入力される他に図示しないハーネスを介して払出制御基板1186等にも伝達されている。
【0530】
[3-2.払出制御基板]
遊技球の払出し等を制御する払出制御基板1186は、図166に示すように、払出しに関する各種制御を行う払出制御部4110と、上述した発射モータ695の発射制御を行う発射制御部4120と、上述した、エラーLED表示器4130と、エラー解除スイッチ4131と、球抜きスイッチ4132と、を備えて構成されている。
【0531】
払出制御基板1186における払出しに関する各種制御を行う払出制御部4110は、図166に示すように、マイクロプロセッサとしての払出制御MPU4110aと、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート4110bと、払出制御MPU4110aが正常に動作しているか否かを監視する外部ウォッチドックタイマ4110c(以下、「外部WDT4110c」と記載する。)と、上述した払出モータ815に駆動信号を出力する払出モータ駆動回路4110dと、を備えて構成されている。払出制御MPU4110aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵される他に、不正を防止するため機能等も内蔵されている。
【0532】
払出制御MPU4110aは、その詳細な説明は後述するが、主制御基板4100からの遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払出しに関する各種コマンドを受信したり、主制御基板4100からのRAMクリアスイッチ624aの操作信号(検出信号)が入力されたりする他に、満タンスイッチ916からの検出信号が入力されたり、球切れスイッチ778、計数スイッチ812及び回転角スイッチ855からの検出信号が賞球ユニット内中継端子板830を介して入力されたりする。
【0533】
また払出制御MPU4110aは、主制御基板4100からの払出しに関する各種コマンドを受信すると、その受信した払出しに関する各種コマンドに基いて払出モータ駆動回路4110dから払出モータ815に駆動信号を出力したり、球抜きスイッチ4132が操作されると、この操作信号(検出信号)に基いて上述した、賞球タンク720及びタンクレール部材740に貯留された遊技球を排出する(球抜きする)ために払出モータ駆動回路4110dから払出モータ815に駆動信号を出力したり、図示しないCRユニット(球貸し機)からの貸球要求信号がCRユニット端子板1150bを介して入力されると、この貸球要求信号に基いて払出モータ駆動回路4110dから払出モータ815に駆動信号を出力したり、満タンスイッチ916からの検出信号が入力されると、この検出信号に基いて払出モータ駆動回路4110dから払出モータ815への駆動信号を停止して払出モータ815を停止したりする。
【0534】
更に払出制御MPU4110aは、パチンコ機1の状態をエラーLED表示器4130に表示したり、その状態を示す各種コマンドを主制御基板4100に送信したり、計数スイッチ812からの検出信号が入力されると、この検出信号に基いて、実際に払出した遊技球の球数を外部端子板1150aに出力したりする。この外部端子板1150aは、遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと電気的に接続されている。このホールコンピュータは、パチンコ機1が払出した遊技球の球数やパチンコ機1の遊技情報等を把握することにより遊技者の遊技を監視している。
【0535】
一方、払出制御基板1186における発射モータ695の発射制御を行う発射制御部4120は、図166に示すように、各種信号が入力される入力回路4120aと、定時間毎にクロック信号を出力する発信回路4120bと、このクロック信号に基いて発射モータ695の回転速度を決定する基準パルスを出力する発射制御回路4120cと、この発射制御回路4120cからの基準パルスに基いて発射モータ695に駆動信号を出力する発射モータ駆動回路4120dと、を備えて構成されている。発射制御回路4120cは、発信回路4120bからのクロック信号に基いて、1分当り約99.95個の遊技球が遊技領域605に向けて発射されるよう発射モータ695の回転速度を制御している。つまり、上述した打球槌687の可動を制御している。
【0536】
なお、上述したハンドル装置460(操作ハンドル部410)には、上述したように、タッチセンサ420、発射停止スイッチ422が内蔵されており、操作ハンドル部410の回動操作部材464に触れるとタッチセンサ420により検出され、単発ボタン421を操作すると発射停止スイッチ422により検出される。これらの検出信号は、その詳細な説明は後述するが、上述したハンドル中継端子板194を介して入力回路4120aに入力されている。また、CRユニットがCRユニット端子板1150bに電気的に接続されると、CR接続信号がCRユニット端子板1150bを介して入力回路4120aに入力される。
【0537】
この払出制御基板1186には、電源基板1136から各種電圧が主制御基板4100と同様に供給されている。この電源基板1136は、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板1186に電力を供給するキャパシタを備えている。このキャパシタにより払出制御MPU4110aは電源遮断時にでも払出しに関する各種の払出情報をその内蔵するRAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した払出情報は、電源投入時に主制御基板4100のRAMクリアスイッチ624aが操作されると、その内容が内蔵するRAMから消去(クリア)されるようになっている。
【0538】
[3-3.周辺制御基板]
周辺基板4010における演出制御を行う周辺制御基板4140は、図166に示すように、マイクロプロセッサとしての周辺制御MPU4140aと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶する周辺制御ROM4140bと、高音質の演奏を行う音源IC4140cと、この音源IC4140cが参照する音楽及び効果音等の音情報が記憶されている音ROM4140dと、を備えて構成されている。
【0539】
周辺制御MPU4140aは、パラレル入出力ポート、シリアル入出力ポート及びウォッチドックタイマ(WDT)等の各種入出力ポートを内蔵しており、主制御基板4100から各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基いて、扉枠5に備えられた各装飾基板のLEDに点灯信号又は点滅信号を出力する扉枠側点灯点滅コマンドをランプ駆動基板3011に出力したり、遊技盤4に備えられた各発光装飾基板3606のLEDに点灯信号又は点滅信号を出力する遊技盤側点灯点滅コマンドをランプ駆動基板3011に出力したり、扉枠5に備えられたトップランプ電飾ユニット200の左回転灯モータ245、右回転灯モータ265、及び中央回転灯モータ285に回転駆動信号を出力する扉枠側モータ駆動コマンドをモータ駆動基板3013に出力したり、遊技盤4に備えられたセンター枠用モータ2352、左モータ3110、右モータ3210、下モータ3310、左上モータ3410、及び右上モータ3510に回転駆動信号を出力する遊技盤側モータ駆動コマンドをモータ駆動基板3013に出力したり、音ROM4140dから抽出する音情報を示す制御信号(音コマンド)を音源IC4140cに出力したり、液晶表示装置1400に表示させる画面を示す表示コマンドを液晶制御基板4150に出力したりする。
【0540】
周辺制御MPU4140aから液晶制御基板4150に出力される表示コマンドはシリアル入出力ポートにより行われ、本実施形態では、ビットレート(単位時間あたりに送信できるデータの大きさ)として19.2キロ(k)ビーピーエス(bits per second、以下、「bps」と記載する)が設定されている。一方、周辺制御MPU4140aからランプ駆動基板3011やモータ駆動基板3013に出力される、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド、扉枠側モータ駆動コマンド、遊技盤側モータ駆動コマンド、表示コマンドと異なる複数のシリアル入出力ポートにより行われ、本実施形態では、ビットレートとして250kbpsが設定されている。
【0541】
このランプ駆動基板3011は、受信した扉枠側点灯点滅コマンドに基いて点灯信号又は点滅信号を、副ドロワ中継基板1108を介して扉枠5に備えられた各装飾基板126,190,206,224,225,296等のLEDに出力したり、受信した遊技盤側点灯点滅コマンドに基いて点灯信号又は点滅信号を遊技盤4に備えられた各発光装飾基板3606や各可動装飾体2350,3100,3200,3300,3400,3500の装飾基板のLEDや、扉枠5のガラスユニット450におけるガラス装飾基板453のLED453aに出力したりする。一方、モータ駆動基板3013は、受信した扉枠側モータ駆動コマンドに基いて回転駆動信号を、副ドロワ中継基板1108を介して扉枠5に備えられた左回転灯モータ245、右回転灯モータ265、及び中央回転灯モータ285に出力したり、受信した遊技盤側モータ駆動コマンドに基いて回転駆動信号を遊技盤4に備えられたセンター枠用モータ2352、左モータ3110、右モータ3210、下モータ3310、左上モータ3410、及び右上モータ3510に出力したりする。
【0542】
また、周辺制御MPU4140aは、遊技盤4のキャラクタ体2351、左可動体3120、右可動体3220、下可動体3320、左上可動体3420、右上可動体3520の可動位置を夫々検出する位置検出センサ2353,3130,3230,3330,3430,3530からの検出信号が、モータ駆動基板3013を介して夫々入力されており、これらの検出信号に基いてキャラクタ体2351、左可動体3120、右可動体3220、下可動体3320、左上可動体3420、右上可動体3520の原位置を把握している。また、周辺制御MPU4140aは、扉枠5の回転灯244,264,284の回転位置を夫々検出する左回転位置検出センサ250、右回転位置検出センサ270、中央回転位置検出センサ290からの検出信号が、副ドロワ中継基板108及びモータ駆動基板3013を介して夫々入力されており、これらの検出信号に基いて各回転灯224,264,284の回転位置を把握している。更に周辺制御MPU4140aは、液晶制御基板4150が正常動作している旨を伝える信号(動作信号)が液晶制御基板4150から入力されたり、扉枠5における皿ユニット300に備えられた操作ボタンユニット370のメインボタン371やサブボタン372の操作を検出するメインボタンセンサ376やサブボタンセンサ378からの操作検出信号が、副ドロワ中継基板1108及びランプ駆動基板3011を介して入力されたりする。なお、メインボタン371には、振動体371cが備えられており、この振動体371cに対して副ドロワ中継基板1108及びランプ駆動基板3011を介して周辺制御MPU4140aから駆動信号が送られるようになっている。
【0543】
音源IC4140cは、周辺制御MPU4140aから出力された音コマンドに基いて音ROM4140dから音情報を抽出し、ランプ駆動基板3011、そして副ドロワ中継基板1108を介して扉枠5のサイドスピーカ121や下部スピーカ391から各種演出に合わせた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行う。
【0544】
なお、周辺制御基板4140は、図示しない、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)も備えており、周辺制御MPU4140aは、その内蔵されたウォッチドックタイマ(内蔵WDT)と外部WDTとを併用して周辺制御MPU4140aのシステムが暴走していないかを診断している。
【0545】
[3-4.液晶制御基板]
次に、周辺基板4010における液晶表示装置1400の描画制御を行う液晶制御基板4150は、図示するように、マイクロプロセッサとしての液晶制御MPU4150aと、各種処理プログラム、各種コマンド及び各種データを記憶する液晶制御ROM4150bと、上述した液晶表示装置1400を表示制御するVDP(Video Display Processorの略)4150cと、液晶表示装置1400に表示される画面の各種データを記憶するキャラROM4150dと、このキャラROM4150dに記憶されている各種データが転送されてコピーされるキャラRAM4150eと、を備えている。
【0546】
この液晶制御MPU4150aは、パラレル入出力ポート、シリアル入出力ポート等を内蔵しており、周辺制御基板4140から上述した表示コマンドを受信すると、その詳細な説明は後述するが、受信した表示コマンドに基いてVDP4150cを制御して液晶表示装置1400の描画制御を行う。なお、液晶制御MPU4150aは、正常に動作していると、上述したように、その旨を伝える動作信号を周辺制御基板4140に出力する。
【0547】
液晶制御ROM4150bは、液晶表示装置1400の表示領域のうち、中央部の主表示領域に表示される例えば図柄変動演出および下部領域に表示される保留関連演出として描画する画面を生成するための各種プログラムの他に、表示コマンドに対応するスケジュールデータ、表示コマンドに対応する非常駐領域転送スケジュールデータ等を複数記憶している。スケジュールデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、液晶表示装置1400に描画する画面の順序が規定されている。非常駐領域転送スケジュールデータは、キャラROM4150dに記憶されている各種データをキャラRAM4150eの後述する非常駐領域に転送する際に、その順序を規定する非常駐領域転送データが時系列に配列されて構成されている。この非常駐領域転送データは、スケジュールデータの進行に従って液晶表示装置1400に描画される画面データを、前もって、キャラROM4150dからキャラRAM4150eの非常駐領域に各種データを転送する順序が規定されている。
【0548】
液晶制御MPU4150aは、周辺制御基板4140から表示コマンドを受信すると、この表示コマンドに対応するスケジュールデータを抽出し、この抽出したスケジュールデータの先頭の画面データを液晶制御ROM4150bから抽出してVDP4150cに出力する。そして液晶制御MPU4150aは、先頭の画面データに続く画面データを抽出してVDP4150cに出力する。このように、液晶制御MPU4150aは、スケジュールデータに時系列に配列された画面データを、先頭の画面データから1つずつ、液晶制御ROM4150bから抽出してVDP4150cに出力する。
【0549】
VDP4150cは、液晶制御MPU4150aから出力された画面データが入力されると、この入力された画面データに基いてキャラRAM4150eから後述するスプライトデータを抽出して液晶表示装置1400に表示する描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示装置1400に出力する。なお、VDP4150cは、ラインバッファ方式が採用されている。この「ラインバッファ方式」とは、液晶表示装置1400の左右方向を描画する1ライン分の描画データをラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した1ライン分の描画データを液晶表示装置1400に出力する方式である。
【0550】
キャラROM4150dは、極めて多くのスプライトデータを記憶しており、その容量が大きくなっている。キャラROM4150dの容量が大きくなると、つまり液晶表示装置1400に描画するスプライトの数が多くなると、キャラROM4150dのアクセス速度が無視できなくなり、液晶表示装置1400に描画する速度に影響することとなる。そこで、本実施形態では、アクセス速度の速いキャラRAM4150eに、キャラROM4150dに記憶されているスプライトデータを転送してコピーし、このキャラRAM4150eからスプライトデータを抽出している。スプライトデータは、スプライトをビットマップ形式に展開する前のデータである基データであり、圧縮された状態でキャラROM4150dに記憶されている。ここで、「スプライト」とは、液晶表示装置1400にまとまった単位として表示されるイメージである。例えば、液晶表示装置1400に種々の人物を表示させる場合には夫々の人物を描くためのデータを「スプライト」と呼ぶ。これにより、液晶表示装置1400に複数人の人物を表示させる場合には複数のスプライトを用いることとなる。また人物のほかに、背景を構成する家、山、道路等もスプライトであり、背景全体を1つのスプライトとすることもできる。これらのスプライトは、画面に配置される位置やスプライト同士が重なる場合の上下関係(以下、「スプライトの重ね合わせの順序」と記載する。)が設定されて液晶表示装置1400に表示される。なお、スプライトは縦横夫々64画素の矩形領域を複数張り合わせて構成されている。この矩形領域を描くためのデータを「キャラクタ」と呼ぶ。小さなスプライトの場合には1つのキャラクタを用いて表現することができるし、人物など比較的大きいスプライトの場合には、例えば横2×縦3などで配置した合計6個のキャラクタを用いて表現することができる。背景のように更に大きいスプライトの場合には更に多数のキャラクタを用いて表現することができる。このように、キャラクタの数及び配置は、スプライトごとに任意に指定することができるようになっている。
【0551】
液晶表示装置1400は、左右方向に800画素、上下方向に600画素(SVGA)を有しており、液晶表示装置1400の左から右に向かって順次、画素に沿った一方向に画素ごとの表示状態を設定する主走査と、その一方向と交差する方向に主走査を繰り返し行う副走査と、によって駆動されるようになっている。液晶表示装置1400は、液晶制御基板4150から出力された1ライン分の描画データが入力されると、液晶ドライブ回路1315bは、この1ライン分の描画データに基いて、主走査として液晶表示装置1400の左から右に向かって順次、1ライン分の画素に夫々出力する。そして1ライン分の出力が完了すると、副走査として直下のラインに移行し、同様に次ライン分の描画データが入力されると、この次ライン分の描画データに基いて、主走査として液晶表示装置1400の左から右に向かって順次、1ライン分の画素に夫々出力する。
【0552】
また、液晶表示装置1400は、インバータ基板3017によって点灯されるバックライト(冷陰極管)が内蔵されている。
【0553】
[主制御基板および周辺制御基板の機能的な構成について]
次に、パチンコ機1の主制御基板4100の機能的な構成について、図167を参照して説明する。図167は、主制御基板および周辺制御基板の機能的な構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0554】
同図167に示すように、主制御基板4100は、遊技状態制御手段4934と、第一特別図柄抽選手段4900と、第一特別図柄表示制御手段4702と、第一特別図柄保留表示制御手段4930と、第一特別図柄保留カウンタ4903と、第二特別図柄抽選手段4910と、第二特別図柄表示制御手段4704と、第二特別図柄保留表示制御手段4932と、第二特別図柄保留カウンタ4913と、保留順記憶手段4940と、当否判定用乱数記憶領域5131と、処理領域5132と、大当り遊技実行手段4715と、開閉動作制御手段4938と、開閉装置作動処理手段4714と、普通図柄抽選手段4920と、普通図柄表示制御手段4716と、普通図柄保留表示制御手段4718と、普通図柄保留手段4923と、可動片開閉制御手段4928と、コマンド送信手段4946と、を備えている。
【0555】
ここで、遊技状態制御手段4934は、パチンコ機1の遊技状態がいずれの遊技状態であるかを判断し、当該判断した遊技状態に基づいて遊技状態を制御する部分である。本実施形態では、パチンコ機1の遊技状態として、確変機能および時短機能のいずれも作動しない通常遊技状態と、確変機能および時短機能がいずれも作動する特別遊技状態と、時短機能のみが作動する時短遊技状態と、のうちいずれかの遊技状態に制御される。ここで、確変機能が作動すると、その非作動時よりも大当りに当選しやすい当選確率のもとで当否判定処理が行われるため、大当りへの期待感が高くなり、遊技者に有利となる。また、時短機能が作動すると、その非作動時よりも一対の可動片2005の開閉動作が高い頻度にて行われるようになるため、第二始動口2002に遊技球が受け入れられやすくなり、遊技者に有利となる。
【0556】
また、第一特別図柄抽選手段4900は、遊技球が第一始動口2001への入賞に基づいて第一始動口センサ2011により検出されると、所定の乱数幅(例えば、0?599)で発生する特別図柄の当否判定用乱数のうち一つの乱数を、第一特別図柄当否判定用乱数取得手段4902により取得する(第一特別図柄当否判定用乱数取得手段4902により取得された当否判定用乱数が第一特別乱数である)。この取得した乱数は当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されると共に、当該取得した乱数の数は、第一特別乱数として、第一特別図柄保留カウンタ4903によって第一所定数(例えば4個)まで保留される(第一特別図柄保留カウンタ4903によって保留された第一特別乱数が第一始動記憶である)。そして、第一特別図柄保留カウンタ4903による保留が解除(所定の始動条件としての第一特別図柄の変動条件が成立)されると、取得された順に当否判定用乱数記憶領域5131に記憶される乱数が処理領域5132に移され、第一特別図柄当否判定手段4904によって大当りに当選したか否かまたは特定条件が成立したか否か(当否判定)が、主制御MPU4100aに内蔵されたROMに記憶された当り判定テーブル4906に基づいて判定される。すなわち、第一始動口2001に入賞したことに基づいて取得された当否判定用乱数についての当否判定処理は、第一特別図柄の変動開始時に行われる。
【0557】
また、第二特別図柄抽選手段4910は、遊技球が第二始動口2002への入賞に基づいて第二始動口センサ2012により検出されると、遊技球が第一始動口2001に入賞したときと同様に、所定の乱数幅(例えば、0?599)で発生する特別図柄の当否判定用の乱数のうち一つの乱数を、第二特別図柄当否判定用乱数取得手段4912により取得する(第二特別図柄当否判定用乱数取得手段4912により取得された当否判定用乱数が第二特別乱数である)。この取得した乱数は当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されると共に、当該取得した乱数の数は、第二特別乱数として、第二特別図柄保留カウンタ4913によって第二所定数(例えば4個)まで保留される(第二特別図柄保留カウンタ4913によって保留された第二特別乱数が第二始動記憶である)。そして、第二特別図柄保留カウンタ4913による保留が解除(所定の始動条件としての第二特別図柄の変動条件が成立)されると、取得された順に当否判定用乱数記憶領域5131に記憶される乱数が処理領域5132に移され、第二特別図柄当否判定手段4914によって大当りに当選したか否か(当否判定)が、当り判定テーブル4906に基づいて判定される。すなわち、第二始動口2002に入賞したことに基づいて取得された当否判定用乱数についての当否判定処理は、第二特別図柄の変動開始時に行われる。このとき、特定条件が成立したか否かについての判定は行われない。
【0558】
このように、遊技球が第一始動口2001および第二始動口2002のいずれに入賞した場合であっても取得された当否判定用乱数についての当否判定が保留され、当該保留の解除条件が成立するまで、当否判定用乱数についての当否判定が行われない(つまり、大当りでについての抽選処理が行われない)。なお、当否判定用乱数についての当否判定は一つの当否判定用乱数ずつ行われ、一つ前の当否判定用乱数についての当否判定処理の結果の表示が終了したこと(変動中の特別図柄の変動が終了したこと)に基づいて保留の解除条件が成立し、次に保留されている当否判定用乱数についての当否判定が行われる。
【0559】
なお、本実施形態では、当否判定用乱数として、主制御基板4100のCPUにより実行される制御プログラムで生成されるソフト乱数を採用しているが、CPUの外部に設けた乱数発生回路から供給されるハード乱数を採用してもよい。
【0560】
ここで、主制御MPU4100aに内蔵されたROMに記憶された当り判定テーブルを表1に示す。
【表1】
【0561】
ここで、第一特別図柄当否判定手段4904は、上記遊技状態制御手段4934によって確変機能が作動しない遊技状態(通常遊技状態、時短遊技状態)に制御されているときは、第一特別図柄当否判定用乱数取得手段4902によって取得された乱数値と、当り判定テーブル4906のうちの通常時(確変機能非作動時)のテーブルとの比較に基づいて大当りに当選したか否かの判定を行う。本実施形態では、表1に示すように7および307が通常時(確変機能非作動時)の大当り値(大当り当選と判定される乱数値)なので、第一特別図柄当否判定用乱数取得手段4902により取得した乱数値がこれらの大当り値であるか否かが判定され、大当り値であれば大当り遊技実行手段4715によって大当り遊技が実行される。
【0562】
これに対し、確変機能が作動する特別遊技状態に制御されているときは、第一特別図柄当否判定用乱数取得手段4902によって取得された乱数値と、当り判定テーブル4906のうちの特別遊技状態時(確変機能作動時)のテーブルとの比較に基づいて大当りに当選したか否かの判定を行う。本実施形態では、表1に示すように7、77、87、97、177、187、197、207、217、277、287、297307、377、387、397、477、487、497、507が特別遊技状態時(確変機能作動時)の大当り値なので、第一特別図柄当否判定用乱数取得手段4902により取得した乱数値がこれらの大当り値であるか否かが判定され、大当り値であれば大当り遊技実行手段4715によって大当り遊技が実行される。
【0563】
一方、第二特別図柄当否判定手段4914も、上記遊技状態制御手段4934によって確変機能が作動しない遊技状態(通常遊技状態、時短遊技状態)に制御されているときは、第二特別図柄当否判定用乱数取得手段4912によって取得された乱数値と、当り判定テーブル4906のうちの通常時(確変機能非作動時)のテーブルとの比較に基づいて大当りに当選したか否かの判定を行う。また、確変機能が作動する特別遊技状態に制御されているときは、第二特別図柄当否判定用乱数取得手段4912によって取得された乱数値と、当り判定テーブル4906のうちの確変機能作動時のテーブルとの比較に基づいて大当りに当選したか否かの判定を行う。このように、この実施の形態では、第一特別図柄当否判定手段4904による当否判定と第二特別図柄当否判定手段914による当否判定とでは、共通のテーブル(当り判定テーブル4906のうち確変機能非作動時のテーブル)が用いられる。したがってこの場合も、第二特別図柄当否判定用乱数取得手段4912により取得された乱数値がこれらの大当り乱数であるか否かが判定され、大当り乱数であれば大当り遊技実行手段4715によって大当り遊技が実行されることとなる。
【0564】
なお上述の通り、大当り遊技が実行されているときは、たとえ第一始動口2001や第二始動口2002に遊技球が入賞しても当否判定は行われない。すなわちこの場合、第一特別図柄当否判定判定用乱数取得手段4902(若しくは第二特別図柄当否判定用乱数取得手段4912)により取得された当否判定用乱数は当否判定用乱数記憶領域5131に記憶され、第一特別図柄保留カウンタ4903(若しくは第二特別図柄保留カウンタ4913)のカウンタ値がカウントアップされることとなる。
【0565】
ここで、当否判定用乱数記憶領域5131は、特別図柄抽選手段の別に抽選順序(即ち第一特別図柄抽選手段4900による抽選順序および第二特別図柄抽選手段4910による抽選順序)を、それぞれ記憶しているものの、両者を併合した抽選順序は記憶していない。すなわち、第一始動口2001への入賞に基づく抽選(いわゆる、第一特別図柄の保留球)と、第二始動口2002への入賞に基づく抽選(いわゆる、第二特別図柄の保留球)との両方が存在する場合に、どのような順序で抽選結果の導出を行なうか(言い換えれば、保留球の消化を行なうか)は、保留順記憶手段4940によって設定される。したがって、保留順記憶手段4940によって設定された順序に基づいて、第一特別図柄抽選手段4900(詳細には第一特別図柄当否判定手段4904)または第二特別図柄抽選手段4910(詳細には第二特別図柄当否判定手段4914)によって、取得された乱数の当否判定が一つずつ行われることとなる(一つの乱数ずつ当否判定を行う)。
【0566】
本実施形態にかかる保留順記憶手段4940は、始動口2001,2002への始動入賞タイミングにかかわらず、当否判定用乱数記憶手段5131にて保留されている第一特別乱数と第二特別乱数とのうち、第二特別乱数を優先して実行(消化)させる部分である。この保留順記憶手段4940は、まず、当否判定用乱数記憶手段5131にて保留されている第二特別乱数があるか否かを判断する。そして、該第二特別乱数がある旨判断する限りは、当否判定用乱数記憶手段5131にて保留されている第一特別乱数の保留消化が後回しにされて、当否判定用乱数記憶手段5131にて保留されている全ての第二特別乱数が順次に消化されるように、それら特別乱数の消化にかかる順序を管理する部分である。これにより、第二特別乱数、つまり、第二始動口2002に係る抽選結果の保留が優先して実行(消化)されるようになり、保留中の抽選結果が保留順記憶手段4940によって優先的に消化される順序が特別図柄記憶表示部2315で表示されるようになる。
【0567】
ところで、第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914による当否判定の結果が大当りと判定されると、図示しない図柄乱数取得手段によって取得されている図柄乱数(例えば0?99の乱数幅で発生する図柄乱数のうちの一つの乱数)の値が確認される。
【0568】
そしてこのうち、第一特別図柄当否判定手段4904による当否判定にて大当りが当選されたときは、図柄乱数の乱数値が0?39であれば(1)第1長開放大当り(通常(非確変)大当り)と判定され、40?79であれば(2)第2長開放大当り(確変大当り)と判定され、80?99であれば(3)短開放大当り(確変小価値当り)と判定される。
【0569】
これに対し、第二特別図柄当否判定手段4914による当否判定にて大当りが当選されたときは、図柄乱数の乱数値が0?2、39?68であれば(1)第1長開放大当り(通常(非確変)大当り)と判定され、3?38、69?99であれば(2)第2長開放大当り(確変大当り)と判定される。
【0570】
このように、第一始動口2001への入賞に基づく抽選と、第二始動口2002への入賞に基づく抽選との間で、大当りが当選されたときの当選種別(大当り遊技時のラウンド数)の選択率を異ならしめるようにすることで、第二特別図柄当否判定手段491による当否判定の結果に応じて付与される大当り遊技での期待値(払い出される遊技球数の期待値)は、第一特別図柄当否判定手段4904で付与される大当り遊技での期待値よりも高く設定されることとなる。これにより、第一始動口2001への入賞に基づく抽選のほうが、第二始動口2002への入賞に基づく抽選よりも不利な抽選として位置づけされるようになる。なお、(1)?(3)の当選種別の内容は、例えば以下の通りである。
【0571】
(1)「第1長開放大当り」は、大当り(特に、第1長開放大当り)に当選した旨を示す演出画像(例えば、3つ揃いの青色の図柄組み合わせ)が液晶表示装置1400の表示面に表示される状況のもとで、長開放大当り遊技実行手段4715aによってアタッカユニット2000の開閉部材2006を開閉動作させる長開放大当り(遊技者に対する第1所定量の遊技球の払い出しが促される大当り遊技)が実行されるものである。遊技者は、大当り遊技の間に遊技球を大入賞口に入賞させることで、多くの賞球を獲得することができる。なお、各ラウンド動作は例えば30秒間が経過するか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。また大当り遊技は、ラウンド動作が15回終わると終了となる。大当り遊技の終了後には、確変機能が作動せずに次回大当りの抽選確率は通常時の確率に設定されるものの、時短機能が所定期間(例えば100回の図柄変動演出が行われる期間)だけ作動することによって有利性の高い抽選が行われる側の第二始動口2002への遊技球の入賞が容易な状態へと変化させる頻度が通常遊技状態にあるときよりも高められる時短遊技状態に制御されるものである。
【0572】
(2)「第2長開放大当り」は、大当り(特に、第2長開放大当り)に当選した旨を示す演出画像(例えば、3つ揃いの赤色の図柄組み合わせ)が液晶表示装置1400の表示面に表示される状況のもとで、上記(1)と同様の大当り遊技を可能とするものであるが、大当り遊技の終了後には、確変機能及び時短機能がそれぞれ作動することによって、次回大当りの抽選確率が通常時よりも高く設定されるとともに、有利性の高い抽選が行われる側の第二始動口2002への遊技球の入賞が容易な状態へと変化させる頻度が通常遊技状態にあるときよりも高められる特別遊技状態に制御されるものである。
【0573】
(3)「短開放大当り」は、大当りに当選した旨を示す演出画像(3つ揃いの図柄組み合わせ)が液晶表示装置1400の表示面に表示されない状況のもとで、短開放大当り遊技実行手段4715bによってアタッカユニット2000の開閉部材2006を開閉動作させる短開放大当り遊技(遊技者に対する第1所定量の遊技球の払い出しが促されない大当り遊技)を可能とするものであるが、大当り遊技の終了後には、確変機能が作動することによって、次回大当りの抽選確率が通常時よりも高く設定される。また、時短遊技状態及び特別遊技状態のいずれかにあるときに短開放大当りが当選されたときは、確変機能及び時短機能のいずれもが次回大当りが当選されるまで作動する。
【0574】
なお、以上の(1)?(3)でいう具体的な数値は、本発明の実施において最良のものである。その上で、これら数値については各種の変更が可能であり、最良の数値によって限定されることはない。
【0575】
他方、第一特別図柄当否判定用乱数取得手段4902によって取得された乱数値が大当り値でなければ、特定条件が成立しているか否かが、第一特別図柄当否判定手段4904によって判定される。
【0576】
具体的には、表1に示されるように、当り判定テーブル4906のうち第一特別図柄の通常時(確変機能非作動時)の特定条件成立判定のテーブルには、99、199、299、399、499、599が特定条件成立値として記憶されている。また、当り判定テーブル4906のうち第一特別図柄の高確率時(確変機能作動時)の特定条件成立判定のテーブルは、第一特別図柄の通常時の特定条件成立判定のテーブルと同じテーブルであるから、第一特別図柄の確変機能作動時の特定条件成立判定のテーブルには、99、199、299、399、499、599が特定条件成立値として記憶されている。
【0577】
そして、取得した乱数がこれらの特定条件成立乱数であると判定されると、開閉装置作動処理手段4714によって上記短開放大当りの開閉動作に近似させて上記アタッカユニット2000の開閉部材2006が開閉動作される開閉装置作動処理が実行される。なお、この開閉動作の前後では遊技状態に変化はなく、遊技状態は維持される。
【0578】
このように、第一特別図柄抽選手段4900による抽選処理では、確変機能や時短機能が作動しているか否かに拘らず、特定条件が成立する確率は常に一定である。
【0579】
ここで、時短機能が作動している時短遊技状態であれば、一対の可動片2005の開閉動作を行うにあたり、例えばその開放時間としてより長い時間が採用されるため(促進態様)、第二特別図柄抽選手段4910による抽選頻度が高められる(第二特別乱数についての抽選機会が増加する)。即ち、時短機能の作動しない遊技状態にある場合よりも第二特別乱数の抽選機会が増加する分、大当りに当選する期待感が高まる。従って、第二特別図柄抽選手段4910による抽選処理において特定条件の成立判定を行わないことで、特別遊技状態では何らの意味を持たない、特別遊技状態への移行契機となる短開放大当り遊技の実行に起因する煩わしさを生じさせることがない。
【0580】
一方、時短機能が作動しない遊技状態であれば、一対の可動片2005の開閉動作を行うにあたり、例えばその開放時間としてより長い時間が採用されることはないため、開放延長機能が作動している遊技状態と比べて第二特別乱数についての抽選機会が少ない。ここで、開閉装置作動処理と短開放大当り遊技とは互いに極似する遊技態様なので、特定条件が成立する頻度を高めることで、通常遊技状態や時短遊技状態にあるときには確変機能が作動するのではないかといった期待感を遊技者に与える頻度が高くなり、多様なゲーム性を実現することができるようになる。
【0581】
このように、第一特別図柄抽選手段4900による抽選処理において当否判定にて大当りに落選したときに特定条件が成立しうる一方で、第二特別図柄抽選手段4910による抽選処理において当否判定の結果にかかわらず特定条件が成立しえないようにすることで、いずれの遊技状態であっても、興趣の低下を抑制できる。
【0582】
ところで、第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914による判定結果は、第一特別図柄表示制御手段4702または第二特別図柄表示制御手段4704によって、第一特別図柄表示器641または第二特別図柄表示器642に表示される。ただし、当該表示は、複数のLEDの点灯パターンによって文字情報として認識できないかたちで表示されるため、第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914による判定結果を、遊技者が把握することは困難である。
【0583】
また、第一特別図柄保留カウンタ4903または第二特別図柄保留カウンタ4913による保留数は、それぞれ、第一特別図柄保留表示制御手段4930または第二特別図柄保留表示制御手段4932によって、第一特別図柄記憶表示器643または第二特別図柄記憶表示器644に表示される。
【0584】
大当り遊技実行手段4715および開閉装置作動処理手段4714は、第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914による判定結果に基づいて、大当り遊技または開閉装置作動処理を実行する。ここで、大当り遊技は条件装置の作動を伴う遊技であり、開閉装置作動処理は条件装置の作動を伴わない遊技である。
【0585】
条件装置は、第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914による判定結果が大当りである場合にのみ作動するものであって、一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者に有利な遊技状態への変更(移行)は、条件装置が作動した場合にのみ可能となる。例えば通常遊技状態から時短遊技状態(若しくは特別遊技状態)への変更(移行)などは条件装置が作動することが条件である。従って、開閉装置作動処理が実行されるに際して遊技状態が変更することはなく、例えば、通常遊技状態であるときに開閉装置作動処理が実行されても通常遊技状態が継続し、時短遊技状態(若しくは特別遊技状態)であるときに開閉装置作動処理が実行されても時短遊技状態(若しくは特別遊技状態)が継続する。
【0586】
ただし、一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者に不利な遊技状態への変更(移行)は、条件装置が作動することの他、遊技状態変更抽選(一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者により不利な遊技状態に変更するか否かの抽選)に当選すること、または、特別図柄の変動が一定回数行われること、の条件が成立したときに行われる場合もある。
【0587】
ここで、大当り遊技実行手段4715は、第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914により判定された抽選結果が大当りであれば、開閉動作制御手段4938によってアタッカソレノイド2016を作動させてアタッカユニット2000の開閉部材2006を開閉させる動作を行い、大当り遊技を実行する。
【0588】
大当り遊技の種類としては、上述の通り、開閉部材2006の最大開放時間(例えば30sec)が相対的に長い長開放大当り遊技と、開閉部材2006の最大開放時間(例えば0.6sec)が相対的に短い短開放大当り遊技とがある。第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914により判定された抽選結果が、第1長開放大当り、または第2長開放大当りであれば、大当り遊技実行手段715としての長開放大当り遊技実行手段4715aが長開放大当り遊技を実行する。一方、第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914により判定された抽選結果が、短開放大当りであれば、大当り遊技実行手段4715としての短開放大当り遊技実行手段4715bが短開放大当り遊技を実行する。
【0589】
ここで、長開放大当り遊技は、例えば、アタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉動作を、開閉動作制御手段4938によって15ラウンド行う遊技である。短開放大当り遊技は、開閉部材2006の開閉動作を、開閉動作制御手段4938によって2ラウンド行う遊技である。開閉部材2006に遊技球が入賞すると、適宜のカウントセンサによって入賞球数がカウントされる。そして、賞球としての所定数(例えば15球)の遊技球が、払出制御基板1186による制御を通じて受け皿に払い出される。
【0590】
なお、大当り遊技の種別は、長開放大当りと短開放大当りとに限定されるものではなく、開閉部材2006の最大開放時間がほぼ同じ(例えば30秒)であるが、最大開放回数が相対的に多い大当り(例えば15ラウンド)と、最大開放回数が相対的に少ない大当り(例えば2ラウンド)とであっても良い。また、最大開放回数がほぼ同じ(例えば15ラウンド)であるが、開閉部材2006の最大開放時間が相対的に長い当り(例えば30sec)と、開閉部材2006の最大開放時間が相対的に短い当り(例えば0.3sec)とであっても良い。
【0591】
ここで、「ラウンド」とは大当り遊技時における開閉部材2006の開閉動作単位であって、開閉部材2006が開放したのち、当該開放状態から閉鎖条件が成立して開閉部材2006が閉鎖するまでが1ラウンドである。当該閉鎖条件は、開閉部材2006が開放してから所定時間経過すること、または、開閉部材2006に最大入賞数の遊技球が入賞すること、である。このいずれかの条件を満たしたときに、開閉部材2006が閉鎖状態となる。
【0592】
ところで、本実施形態では、長開放大当り遊技時における閉鎖条件と短開放遊技時における閉鎖条件とが異なっている。長開放大当り遊技における閉鎖条件は、開閉部材2006が開放してから30sec経過すること、または、9球の遊技球が入賞すること、である。一方、短開放大当り遊技における閉鎖条件は、開閉部材2006が開放してから0.6sec経過すること、または、3球の遊技球が入賞すること、である。
【0593】
なお、開閉部材2006の閉鎖条件はこれらに限られるものではない。ただし、長開放大当り遊技時においては、開閉部材2006が開放してから所定時間経過するまでに最大入賞数の遊技球が開閉部材2006に入賞可能である程度となるように、閉鎖条件が設定されることが好ましい。一方、短開放大当り遊技時においては、開閉部材2006が開放中に辛うじて1球または2球の遊技球が開閉部材2006に入賞可能である程度となるように、閉鎖条件が設定されることが好ましい。
【0594】
このように、第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914による判定結果が大当りであったとしても、当該大当りの種別が長開放大当りである場合と短開放大当りである場合とで、遊技者に付与される利益が大きく異なる。即ち、当選した大当りの種別が第1長開放大当り、または第2長開放大当りである場合には、開閉部材2006に多量の遊技球が入賞しうる。一方、当選した大当りの種別が短開放大当りである場合には、開閉部材2006に辛うじて1球または2球の遊技球が入賞しうる程度である。これにより、長開放大当り遊技が実行される場合と短開放大当り遊技が実行される場合とで、遊技者に付与される利益が大きく異なることとなる。
【0595】
開閉装置作動処理手段4714は、第一特別図柄当否判定手段4904により判定された抽選結果が外れであって且つ特定条件が成立していると判定されると、短開放大当り遊技と極似する態様で、開閉部材2006を開閉動作させる開閉装置作動処理を行う。「極似(近似)する態様」には、短開放大当り遊技と全く同一の態様および短開放大当り遊技と極めて似た態様の両方が含まれる。
【0596】
なお、「極めて似た態様」とは、開閉部材2006の開放態様を視認しただけでは、短開放大当り遊技が行われたのか開閉装置作動処理が行われたのかを遊技者が判断できない程度に外観上似た態様であることを意味する。従って、本実施形態では、第一特別図柄当否判定手段4904により判定された抽選結果が外れであって且つ特定条件が成立していると判定されると、開閉部材2006が開放してから0.6sec経過すること、または、3球の遊技球が入賞すること、を閉鎖条件とする開閉部材2006の開閉動作が2回行われる(大当り遊技時における開閉部材2006の開閉動作単位を「ラウンド」と称するのに対し、開閉装置作動処理における開閉部材2006の開閉動作単位を「回」と称する)。
【0597】
さらに、本実施形態では、液晶表示装置1400に表示される表示態様およびスピーカ144,341から出力される効果音や演出音は、開閉装置作動処理が終了したときと短開放大当りに基づく短開放大当り遊技が終了したときとで互いに極似している。また、「極似している」とは、全く同一のみならず極めて似たものを含む意味である。
【0598】
このように、通常遊技状態において主として行われる第一特別図柄抽選手段4900による抽選では、大当りに当選しなかった場合であっても特定条件が成立する可能性があり、しかも、短開放大当り遊技と開閉装置作動処理とが互いに極似する態様なので、通常遊技状態時に、特別遊技状態に移行したのではないかといった期待感を、大当りに当選する確率よりも高い頻度で遊技者に与えることができる。
【0599】
また、第一特別図柄当否判定手段4904による大当りの当否判定は、特定条件の成立判定に先立ってそれと別に行われる。ここで、特定条件の成立判定が大当りの当否判定よりも仮に先に行われたとすると、特定条件が成立した場合には大当りの当選判定が行われないことになってしまう。即ち、特定条件の成立判定は、第一特別図柄当否判定手段4904による大当りの当否判定結果が外れであることが前提となるので、大当りの当否判定に先立って特定条件の成立判定が仮に先に行われると、特定条件が成立した時点で大当りに当選する機会が失われることとなる。従って、大当りの当否判を特定条件の成立判定に先立って行うことで、第一特別図柄抽選手段4900によって行われる全ての第一特別乱数についての抽選において、大当りへの当否判定が行われることとなり、興趣の低下を抑制できる。
【0600】
さらに、特定条件が成立する確率は大当りへの当選確率よりも高く設定されており、しかも、開閉装置作動処理が実行されているのか短開放大当り遊技が実行されているのかを把握することができない。従って、遊技者は、通常遊技状態において特定条件が成立する毎に、確変機能が作動する可能性がある短開放大当りに当選したのではないかといった期待感を持つことができ、興趣の低下を抑制できる。
【0601】
なお、第一特別図柄当否判定手段4904および第二特別図柄当否判定手段4914による当否判定処理に用いられるテーブルは、必ずしも同じテーブルを用いる必要はなく、第一特別図柄当否判定手段4904および第二特別図柄当否判定手段4914のそれぞれが異なるテーブルを用いても良い。またこの場合、第一特別図柄抽選手段4900による抽選における当選確率と、第二特別図柄抽選手段4910による抽選における当選確率と、が異なるようにしても良い。さらに、第一特別図柄抽選手段4900による抽選において当選した場合の大当り遊技態様と、第二特別図柄抽選手段4910による抽選において当選した場合の大当り遊技態様と、が異なる態様(例えば遊技者に付与される利益が異なる態様等)としても良い。
【0602】
次に、普通図柄抽選手段4920による抽選について説明する。
【0603】
普通図柄抽選手段4920は、遊技球がゲート2201を通過してゲートセンサ2202により検出されると、0?250の乱数幅で発生する普通図柄当否判定用乱数のうち一つの乱数を、普通図柄当否判定用乱数取得手段4922により取得する。この取得した乱数は、当該取得した乱数を記憶する記憶領域および当該取得した乱数の数をカウンタ値として記憶する普通図柄保留カウンタを有する普通図柄保留手段4923によって所定の上限値(例えば4個)まで保留される。そして、普通図柄保留手段4923による保留が解除されると、取得された順に普通図柄当否判定手段4924によって当否が判定される。
【0604】
ここで、普通図柄当否判定手段4924は、上記遊技状態制御手段4934によって時短機能が作動しない遊技状態に制御されているときは、普通図柄当否判定用乱数取得手段4922によって取得された乱数値と通常普図判定テーブル4926とに基づいて普通当りに当選したか否かの判定を行う。なお、本実施形態にかかる通常普図判定テーブル4926には、時短機能が作動しない遊技状態に制御されているときの当り乱数値「250」と、同遊技状態に制御されているときの普通図柄の変動時間「4000msec」と、同遊技状態に制御されているときに上記普通当りが当選された場合に、上記一対の可動片2005が開閉動作するときの動作態様(例えば開放時間「180msec」にて1回だけ開閉動作)とが記憶されている。
【0605】
すなわち、時短機能が作動しない遊技状態に制御されているとき、普通図柄当否判定手段4924では、上記通常普図判定テーブル4926に基づいて、普通図柄当否判定用乱数取得手段4922により取得された乱数値が上記当り乱数値としての「250」であるか否かを判定する。そして、こうして普通当りについての当落にかかる抽選処理が「1/251」の当選確率をもって行われた後、同普通図柄当否判定手段4924では、当該抽選処理の結果を示す当落情報と、上記通常普図判定テーブル4926から取得された上記普通図柄の変動時間「4000msec」を示す変動時間情報とを上記普通図柄表示制御手段4716に送信する。これにより、上記普通図柄表示制御手段4716は、上記普通図柄表示器645に表示される図柄が上記普通図柄の変動時間「4000msec」だけ変動表示される制御(変動時間情報に基づく制御)を行うようになる。また、こうして変動時間「4000msec」だけ変動表示された後は、上記抽選結果が示唆されるように同普通図柄を停止表示させる制御(当落情報に基づく制御)を行うようになる。
【0606】
また、同普通図柄当否判定手段4924では、上記取得された乱数値が上記当り乱数値としての「250」であり、時短機能が作動しない遊技状態に制御されているときに上記普通当りが当選された旨の判定を行なったときは、上記可動片開閉制御手段4928に対して上記一対の可動片2005が開閉動作するときの動作態様を示す動作態様情報を送信する。これにより、上記可動片開閉制御手段4928は、上記始動口ソレノイド2015を通じて、上記一対の可動片2005が開放時間「180msec」にて1回だけ開閉動作される制御(動作態様情報に基づく制御)を行うようになる(平時態様)。また、遊技領域605に打ち込まれた遊技球が、同開閉動作される制御が行われる時間だけ第二始動口2002に入球可能とされるようになる。ただし、可動片開閉制御手段4928によるこのような制御は、上記普通図柄表示制御手段4716によって上記普通図柄が停止表示(この場合は普通当りが示唆される停止表示)された以降に行われる。すなわちこの場合、普通当りについての抽選結果が遊技者に示唆されることなく、上記一対の可動片2005が開閉動作されてしまうようなことが回避されるようになる。なお、この実施の形態では、上記普通図柄が変動時間「4000msec」だけ変動表示された後に停止表示されてから所定のインターバル期間(例えば「200msec」)が経過した後に、上記一対の可動片2005が開放時間「180msec」にて1回だけ開閉動作される。このようなインターバル期間を設けることで、遊技者は、上記普通図柄が停止表示された後に上記一対の可動片2005が開閉動作されるまで比較的余裕を持って遊技を行うことができるようになる。
【0607】
ここで、上記一対の可動片2005が開閉動作している状態にあるときの上記第二始動口2002は、上記第一始動口2001よりも遊技球の受け入れが容易となっており、この状態では、遊技領域605に所定数の遊技球が打ち込まれたとき、上記第一始動口2001に受け入れられる遊技球よりも上記第二始動口2002に受け入れられる遊技球の数のほうが多くなる。しかしながら、上記時短機能が作動しない遊技状態に制御されているときは、上記普通当りの当選確率「1/251」、上記普通図柄の変動時間「4000msec」、上記一対の可動片2005の開放時間「180msec」によって、遊技を継続して行なったとしても上記第二始動口2002には遊技球が入球し難いようになっている。
【0608】
一方、時短機能が作動する遊技状態(時短遊技状態、確変遊技状態)であれば、普通図柄当否判定手段4924による当否判定は、普通図柄当否判定用乱数取得手段4922によって取得された乱数値と開放延長普図判定テーブル4927とに基づいて行われる。なお、本実施形態にかかる開放延長普図判定テーブル4927には、時短機能が作動する遊技状態に制御されているときの当り乱数値「1」?「250」と、同遊技状態に制御されているときの普通図柄の変動時間「1000msec」と、同遊技状態に制御されているときに上記普通当りが当選された場合に、上記一対の可動片2005が開閉動作するときの動作態様(例えば開放時間「1500msec」にて3回だけ開閉動作)とが記憶されている。このように時短機能が作動する遊技状態では、上記一対の可動片2005の開閉動作にかかる時間のほうが上記普通図柄の変動時間よりも長く設定されているため、上記一対の可動片2005が連続的に開閉動作されるように遊技することが可能である。
【0609】
すなわち、時短機能が作動する遊技状態に制御されているとき、普通図柄当否判定手段4924では、上記開放延長普図判定テーブル4927に基づいて、普通図柄当否判定用乱数取得手段4922により取得された乱数値が上記当り乱数値としての「1」?「250」のいずれかであるか否かを判定する。そして、こうして普通当りについての当落にかかる抽選処理が「250/251」の当選確率をもって行われた後、同普通図柄当否判定手段4924では、当該抽選処理の結果を示す当落情報と、上記開放延長普図判定テーブル4927から取得された上記普通図柄の変動時間「1000msec」を示す変動時間情報とを上記普通図柄表示制御手段4716に送信する。これにより、上記普通図柄表示制御手段4716は、上記普通図柄表示器645に表示される図柄が上記普通図柄の変動時間「1000msec」だけ変動表示される制御(変動時間情報に基づく制御)を行うようになる。また、こうして変動時間「1000msec」だけ変動表示された後は、上記抽選結果が示唆されるように同普通図柄を停止表示させる制御(当落情報に基づく制御)を行うようになる。
【0610】
また、同普通図柄当否判定手段4924では、上記取得された乱数値が上記当り乱数値としての「1」?「250」のいずれかであり、時短機能が作動する遊技状態に制御されているときに上記普通当りが当選された旨の判定を行なったときは、上記可動片開閉制御手段4928に対して上記一対の可動片2005が開閉動作するときの動作態様を示す動作態様情報を送信する。これにより、上記可動片開閉制御手段4928は、上記始動口ソレノイド2015を通じて、上記一対の可動片2005が開放時間「1500msec」にて3回だけ開閉動作される制御(動作態様情報に基づく制御)を行うようになる(促進態様)。また、遊技領域605に打ち込まれた遊技球が、同開閉動作される制御が行われる時間「4500msec」(上記一対の可動片2005が複数回に亘って開放されるときはそれら複数回の各開閉時間の加算時間)だけ第二始動口2002に入球可能とされるようになる。ただしこの場合も、可動片開閉制御手段4928によるこのような制御は、上記普通図柄表示制御手段4716によって上記普通図柄が停止表示(この場合は普通当りが示唆される停止表示)された以降に行われる。なお、この実施の形態にかかる時短機能が作動する遊技状態では、上記普通図柄が変動時間「1000msec」だけ変動表示された後に停止表示されてから所定のインターバル期間(例えば「200msec」)が経過した後に、上記一対の可動片2005が開放時間「1500msec」にて3回だけ開閉動作される。
【0611】
このように、上記通常普図判定テーブル4926に記憶されている上記普通図柄当否判定手段4924による普通当りの当選確率、及び上記普通図柄の変動時間、及び上記一対の可動片2005の開閉動作態様(開閉時間)は、上記時短機能が作動しない遊技状態に制御されているときの上記第二始動口2002がその遊技球の入賞自体が困難となるようにそれぞれ設定されている。これに対し、上記開放延長普図判定テーブル4927に記憶されている上記普通図柄当否判定手段4924による普通当りの当選確率、及び上記普通図柄の変動時間、及び上記一対の可動片2005の開閉動作態様(開閉時間)は、上記時短機能が作動する遊技状態に制御されているときの上記第二始動口2002が上記第一始動口2001への遊技球の受け入れよりも容易となるようにそれぞれ設定されている。これにより、上記時短機能が作動する遊技状態にあるときは、上記時短機能が作動しない遊技状態にある場合と比べて、第二始動口2002への遊技球の入賞頻度が飛躍的に向上し、これによって第二始動口2002への遊技球の入賞頻度が第一始動口2001への遊技球の入賞頻度よりも高くなる。従って、時短機能が作動する遊技状態では、遊技者は持ち球をほとんど減らすことなく遊技を楽しむことができる。さらに、第二始動口2002側での特別乱数についての抽選機会が飛躍的に増加し、より有利な抽選が行われる期待感が高まり、時短機能が作動する遊技状態における興趣の低下が抑制される。
【0612】
ここで、通常普図判定テーブル4926および開放延長普図判定テーブル4927は、いずれも主制御MPU4100a(図166参照)のROMに記憶されている。
【0613】
なお、本実施形態において、普通図柄当否判定手段4924による当否判定は、時短機能が作動しない遊技状態であっても当りであると判定されて一対の可動片2005の開閉動作が実行されうるが、これに代えて、時短機能が作動しない遊技状態であるときは当り確率がゼロとなるようにしても良い。即ち、一対の可動片2005の開閉動作が行われるのは、確変遊技状態または時短遊技状態であるときのみとしても良い。また逆に、普通図柄当否判定手段4924による当否判定は、時短機能が作動する遊技状態では普通当りの当選確率が「100%」となるようにしてもよい。
【0614】
普通図柄当否判定手段4924による判定結果は、普通図柄表示制御手段4716によって普通図柄表示器645に表示される。また、普通図柄保留手段4923による保留数は、普通図柄保留表示制御手段4718によって普通図柄記憶表示器646に表示される。
【0615】
可動片開閉制御手段4928は上述の通り、普通図柄当否判定手段4924によって判定された抽選結果が当りであるときに、始動口ソレノイド2015を作動させて一対の可動片2005を開閉動作させる。ただし、これも上述したとおり、時短機能が作動する遊技状態(確変遊技状態、時短遊技状態)である場合と、時短機能が作動しない遊技状態(通常遊技状態)である場合とでは、一対の可動片2005の開閉動作態様は異なっている。
【0616】
なお、本実施形態では、一対の可動片2005が閉鎖されているとき、第二始動口2002への遊技球の入賞が不可能となっている。ただし、一対の可動片2005が動作した開状態では、第二始動口2002への遊技球の入賞が、第一始動口2001への遊技球の入賞よりも容易となる。なお、一対の可動片2005が動作していない閉状態にあるとき、第二始動口2002への遊技球の入賞は必ずしも不可能でなくともよく、第一始動口2001への遊技球への入賞よりも困難であれば良い。
【0617】
コマンド送信手段4946は、第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914による抽選結果情報(当否判定処理の結果情報)およびこの抽選結果に拘わる情報を周辺制御基板4140に送信する。「抽選結果に拘わる情報」とは、後述する特殊演出判定処理の結果情報、液晶表示装置1400にて行われる装飾図柄の変動時間の情報等が相当する。
【0618】
なお、第一特別図柄当否判定手段4904、第二特別図柄当否判定手段4914および普通図柄当否判定手段4924による当否判定結果には、必ずしもハズレが含まれている必要はない。
【0619】
一方、周辺制御基板4140は、図167に示すように、コマンド受信手段4950と、演出抽選手段4960と、演出制御手段4962と、を備えている。
【0620】
コマンド受信手段4950は、主制御基板4100から送信された第一特別図柄当否判定手段4904または第二特別図柄当否判定手段4914による判定結果および当該判定結果に拘わる情報を受信する部分である。
【0621】
また、演出抽選手段4960は、主制御基板4100から送信されるコマンドに基づいて液晶表示装置1400に表示すべき演出態様や、スピーカから出力される効果音、楽曲等の演出音、さらには各種ランプや発光装飾体における演出態様、等々を決定する部分である。
【0622】
また、演出制御手段4962は、演出抽選手段4960により決定された演出態様として液晶表示装置1400に表示される図柄演出を制御する図柄演出制御手段、および後述する保留関連演出として実行されるべき演出態様を制御する保留演出制御手段を有している。また、図柄演出および保留関連演出と併せて、演出音および表示等が、スピーカおよび枠装飾ランプにおいて出力されるように枠装飾中継端子板を介して制御する。さらには、装飾制御基板を介して発光装飾体における発光や駆動なども制御する。
【0623】
また、保留演出制御手段は、第一始動記憶または第二始動記憶が消化される(当否判定処理が行われる)ことにより変化した保留状況を表現する保留消化状況表現手段と、後述する特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて当該当りと判定された始動記憶が遊技者にとって期待を持てる有利なものであることを示す有利付け演出(この有利付け演出が行われない演出を「不利付け演出」と称する)を当否判定に先だって事前に示す高確抽選事前示唆手段と、後述するフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであるときに表示された保留関連演出がフェイクであったことを当否判定が行われる前に事前に暴露するフェイク保留表示暴露演出制御手段とを有している。これらの手段により行われる演出については後述する。
【0624】
次に、パチンコ機1の遊技進行に応じて主制御基板4100で実行される種々の制御処理について、図168?図172を参照して説明する。
【0625】
[メインシステム処理について]
まず、図168に基づいて説明する。図168は、主制御基板4100に搭載される主制御MPU4100a(図166参照)により実行されるメインシステム処理の一例を示すフローチャートである。
【0626】
図168に示すように、パチンコ機1へ電源が供給されると、主制御MPU4100aは、電源投入時処理を実行する(ステップS10)。この電源投入時処理では、まず、当該主制御MPU4100aにて内蔵されるバックアップRAM(電力の常時供給によって各種の制御データがバックアップされる記憶領域)に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否かを判別する。そして、パチンコ機1は、電力供給の停止に際しては、処理領域に記憶されている各種の制御データを上記バックアップRAMに一時退避させる処理を行うとともに、電源復帰時にこの一時退避されたデータを処理領域に読み戻すことで、電源遮断時から継続性のある遊技を実行可能としている。
【0627】
したがって、この電源投入時処理(ステップS10)では、バックアップデータ(バックアップRAM内のデータ)が正常であれば、該バックアップデータに従って電力供給の停止時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行する。一方、バックアップデータが異常であれば、該バックアップデータは消去される。そしてその後、処理領域には、例えば大当りの当選確率や、現在の遊技状態を示す制御データなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる(初期化処理)。また、製品化されてから最初の電源投入時も、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる。
【0628】
なお、電源投入時処理において書き込まれた現在の遊技状態は、周辺制御基板4140にコマンド送信され、これに基づいて液晶表示装置1400の表示が制御される。このように、停電時における現在の遊技状態を主制御基板4100のRAMに記憶し、現在の遊技状態を復電後に周辺制御基板4140に送信することで、停電した場合であっても、内部的な遊技状態と液晶表示装置1400に表示される遊技状態とを一致させることができる(周辺制御基板4140では停電時の遊技状態が記憶されない)。ところで、現在の遊技状態については、液晶表示装置1400の装飾図柄の変動を特別図柄の変動に同調させるために、特別図柄の変動を開始するタイミングで、後述する変動パターンについての情報をコマンド送信している。そして、当該コマンドを送信した直後に、現在の遊技情報についてのコマンドを、その都度、主制御基板4100から周辺制御基板4140に送信している。これにより、周辺制御基板4140でも、現在の遊技状態を常に把握できるようになっている。
【0629】
ただし、この電源投入時処理(ステップS10)では、RAMに記憶されているバックアップデータの消去を指示するRAM消去スイッチがオンであるか否かの判断も行われる。即ち、このRAM消去スイッチがオンであったときも、RAMに記憶されているバックアップデータは消去される。また併せて、RAMの処理領域には、例えば大当りの当選確率や、現在の遊技状態を示す制御データなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる(初期化処理)。なお、こうした初期化処理が行われた状態では(イニシャル時では)、大当りの当選確率を示す制御データは、上記第1確率(低確率)を示すようになり、現在の遊技状態を示す制御データは、時短機能および確変機能の両方とも作動しない遊技状態(通常遊技状態)を示すようになる。したがって、上記一対の可動片2005がイニシャル時に動作するようなことがあれば、この一対の可動片2005は、開放時間180msの開閉動作を1回実行することとなる(平時態様)。
【0630】
また、電源投入時処理(ステップS10)では、このような初期化処理を実行したときに主制御基板4100が起動したことを示す電源投入コマンドを、周辺制御基板4140に送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板4100が起動したことを周辺制御基板4140に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAMにバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
【0631】
電源投入時処理(ステップS10)が終了すると、主制御MPU4100aは、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判断する(ステップS20)。なお、この実施形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板によって生成される。即ち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に電源を供給している。そして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板から主制御基板4100に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS20で主制御基板4100に搭載される主制御MPU4100aにより停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS40)。
【0632】
この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給される電源電圧(本実施形態では24V)が復旧(以下「復電」と称する)した場合に、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAMのバックアップ領域にデータを一時退避させる処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
【0633】
ステップS20で停電予告信号が検知されていない場合(ステップS20におけるNO)、即ち、外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる乱数を更新する非当落乱数更新処理を行う(ステップS30)。なお、非当落乱数更新処理にて更新される乱数については後述する。
【0634】
[電源断発生処理について]
図169は、電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理(ステップS40)は、メインシステム処理において、停電予告信号が検出された時に(ステップS20におけるYES)実行される処理である。主制御MPU4100aは、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS42)。そして、RAMの処理領域におけるチェックサムを算出し、この算出結果と各種の遊技データをRAMのバックアップ領域に記憶する(ステップS44)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAMの内容が適正に保持されているか否かをチェックするために使用される。
【0635】
次いで、主制御MPU4100aは、RAMの所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS46)。以上の処理を終えると、主制御MPU4100aは、RAMへのアクセスを禁止し(ステップS48)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。ところで、この処理では、ごく短時間の停電等(以下「瞬停」と称する)により電源電圧が不安定になって電源断発生時処理が開始されてしまうと、実際には電源電圧は停止されないため、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例の主制御MPU4100aには、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入ると、更新が行われなくなる。その結果、瞬停によって電源断発生時処理に入り、図169の無限ループに入った場合でも所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスで主制御MPU4100aが起動することになる。
【0636】
なお、RAMのバックアップ領域に代えて、書き換え可能な不揮発性メモリ(EEPROMなど)を備えるようにしてもよい。この場合、データをバックアップさせるために常時の電力供給を必要としない、といったメリットがある。
【0637】
若しくは、上記RAMの全領域を、電力の常時供給によってデータがバックアップされるバックアップ領域(バックアップRAM)としてもよい。この場合、電源遮断時において、RAMの特定領域に記憶されているデータをその他の領域に退避させる必要がなくなる。また、電源復帰時にも、退避データを処理領域に読み出す必要がなくなるため、これらの処理に要する負荷が軽減されるようになる。
【0638】
[タイマ割込処理について]
図170は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。本実施の形態においては、メインシステム処理の実行中に主制御基板4100に搭載される主制御MPU4100aにより4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、主制御MPU4100aは、レジスタの待機処理を実行した後(ステップS50)、ステップS60からステップS270の処理を実行する。
【0639】
ステップS60のセンサ監視処理では、上述した各種のセンサ(ゲートセンサ2202、第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2012などの検出信号を監視する処理を実行する。
【0640】
ステップS70の当落乱数更新処理では、遊技で用いられる乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施形態では、当落乱数更新処理にて更新される乱数と、上述の非当落乱数更新処理にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、当落乱数更新処理にて更新される乱数を非当落乱数更新処理でも更新するようにしてもよい。
【0641】
また、ステップS80の払出制御処理では、センサ監視処理(ステップS60)にて検出された信号に基づいて払出制御基板1186に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。
【0642】
ステップS90の普通図柄・普通電動役物制御処理では、センサ監視処理処理(ステップS60)にてゲートセンサ2202から検出された信号に基づいて普通図柄表示器645に関わる制御処理を実行するとともに、一対の可動片2005の開閉制御を行うための処理を実行する。
【0643】
ステップS100の特別図柄・特別電動役物制御処理では、特別図柄の変動開始から当り遊技の開始までの一連の処理を実行するとともに、アタッカの開閉部材の開閉制御を行うための処理を実行する。
【0644】
ステップS260の出力データ設定処理では、特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS100)等において定まる情報に基づいて、主制御基板4100から周辺制御基板4140に送信するコマンドを生成する処理を実行する。
【0645】
ステップS270のコマンド送信処理では、出力データ設定処理(ステップS260)において設定されたコマンドを周辺制御基板4140に送信する処理が行われる。ステップS60からステップS270の処理を実行すると、レジスタ復帰処理(ステップS280)を実行して、タイマ割込処理を終了する。
【0646】
ここで、上述した非当落乱数更新処理(ステップS30)および当落乱数更新処理(ステップS70)において主制御MPU4100aにより更新される各種乱数について説明する。
【0647】
本実施形態において、遊技にて用いられる各種乱数として、当否判定用乱数(当否判定用乱数)、図柄乱数、リーチ判定用乱数(落選時専用乱数)、変動パターン乱数(変動パターン決定用乱数)および普通図柄当否判定用乱数等がある。
【0648】
当否判定用乱数は、大当り遊技または開閉装置作動処理を発生させるか否かの判定に用いられる乱数である。図柄乱数は、大当り遊技を発生させると判定されたときに、大当りの種別(第1長開放大当り、第2長開放大当り、短開放大当り)の判定に用いられる乱数である。リーチ判定用乱数は、当否判定にて大当りに当選せず(即ち外れ)、当該当否判定が第一始動口2001への入賞に基づくものであればさらに特定条件も成立していないと判定されたときに、リーチ演出などの高期待演出を行うか否かの判定に用いられる乱数である。変動パターン乱数は、第一特別図柄表示器641および第二特別図柄表示器642に表示する特別図柄の変動パターンを決定するために用いられる乱数である。普通図柄当否判定用乱数は、一対の可動片2005を開放状態に制御するか否かの判定に用いられる乱数である。
【0649】
ここで、図柄の変動パターン(液晶表示装置1400にて表示制御される装飾図柄の変動パターン、特別図柄表示器641,642にて表示制御される特別図柄の変動パターン)は、第一始動口2001または第二始動口2002に入賞したときに取得された変動パターン乱数と、主基板4000(具体的には主制御MPU4100a)のROMに記憶された変動パターンテーブルとに基づいて決定される。図175は、装飾図柄の変動パターンの一例を示す変動パターンテーブルである。変動パターン乱数が取得されると、主制御MPU4100aは、取得された変動パターン乱数に基づいて、図175に示される1?14の変動パターンのうちいずれかの変動パターンに決定する。変動パターンを決定すると、周辺制御基板4140は、変動パターン情報を含むコマンドを周辺制御基板4140に送信する。なお、図175の変動パターンテーブルに示されている変動パターンは、便宜上、複数の変動パターンのうち一部の変動パターンのみである。したがって、実際には、より多くの変動パターンが変動パターンテーブルに記憶されている。
【0650】
当否判定処理の結果が当りであるときは、図175に示される変動パターンのうち、変動番号「20」が最も選択されやすく、次いで変動番号「18」が選択されやすく、以下、変動番号「16」、「14」、「12」、「10」、「8」の順に選択されやすい。すなわち、当否判定処理の結果が当りであるときは、変動番号「8」の変動パターンが最も選択され難くなっており、この変動番号「8」の変動パターンは、当否判定処理の結果が当りであるときよりもハズレでるときの方が選択されやすくなっている。したがって、液晶表示装置1400にてノーマルリーチAが表示されたときは、当否判定処理の結果がハズレである可能性が高い(すなわち、変動番号「6」または「7」である可能性が高い)。
【0651】
装飾図柄の変動パターンは、主制御基板4100(詳しくは主制御MPU4100a)によって決定するものに限られず、例えば装飾図柄の変動時間を主制御基板4100にて決定し、この変動時間に基づいて周辺制御基板4140に搭載される周辺制御MPU4140aまたは液晶制御基板4150に搭載される液晶制御MPU4150a(いずれも図166参照)により装飾図柄の変動パターンを決定するようにしてもよい。また、変動パターン乱数は必須ではなく、リーチ判定用乱数を用いて装飾図柄または/および特別図柄の変動パターンを決定するようにしても良い。
【0652】
当落乱数更新処理では、これらの乱数のうち、大当り遊技または開閉装置作動処理の発生に関わる当否判定用乱数、図柄乱数、および、遊技球を受け入れやすい開放状態に一対の可動片2005を制御するか否かに関わる普通図柄当り判定用乱数の更新を行う。ここで、大当り遊技の発生および一対の可動片2005を開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は一定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数における所定期間における確率(大当り遊技または開閉装置作動処理を発生させると判定される確率、一対の可動片2005を開放状態に制御すると判定される確率)を一定にする(即ち狙い打ち等により確率に偏りが発生することを防止する)ことができ、遊技者が不利な状態となることを防止できる。
【0653】
一方、非当落乱数更新処理では、当り遊技の発生および普通図柄の表示結果に関わらないリーチ判定用乱数、並びに、変動パターン乱数の更新を行う。なお、主制御基板4100で更新される乱数は、上記したものに限られず、非当落乱数更新処理では、当否判定用乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる当否判定用乱数の初期値を決定するための初期値決定乱数等の更新も行う。
【0654】
なお、本実施例においては、当否判定用乱数を取得するための手段として、第一特別図柄当否判定用乱数取得手段4902および第二特別図柄当否判定用乱数取得手段4912の2つの手段を設けているが、これを一つのみ設けた構成としてもよい。
【0655】
[特別図柄・特別電動役物制御処理について]
次に、図171に基づいて特別図柄・特別電動役物制御処理について説明する。図171は、特別図柄・特別電動役物制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0656】
この特別図柄・特別電動役物制御処理では、まず、第一・第二始動口入賞処理(ステップS110)を行う。具体的には後述するが、第一始動口2001、第二始動口2002に遊技球が受け入れられたか否か判別し、これに基づいて一連の処理を行う。第一・第二始動口入賞処理(ステップS110)を行うと、次に、処理フラグを確認し(ステップS120?ステップS230)、処理フラグに対応する処理を行う。
【0657】
第一・第二始動口入賞処理(ステップS110)を終えると、先ず、処理フラグが0であるか否かを判断し(ステップS120)、処理フラグが0であれば(ステップS120におけるYES)変動開始処理(ステップS130)を実行する。変動開始処理(ステップS130)では、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。そして、大当り遊技または開閉装置作動処理を開始させるか否かの判断を行い、処理フラグを「1」に更新する。またこのとき、第一特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う場合には第一特別図柄保留カウンタ4903のカウンタ値C1を1だけ減算する処理を行い、第二特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う場合には第二特別図柄保留カウンタ4913のカウンタ値C2を1だけ減算する処理を行う。一方、ステップS120において処理フラグが0でなければ(ステップS120におけるNO)ステップS140に進む。
【0658】
ステップS140に進むと、処理フラグが1であるか否かを判断する(ステップS140)。処理フラグが1であれば(ステップS140におけるYES)変動パターン設定処理(ステップS150)を実行する。この変動パターン設定処理では、第一特別図柄表示器641または第二特別図柄表示器642に表示される特別図柄および液晶表示装置1400に表示される装飾図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンに対応して設定される変動時間(第一特別図柄表示器641または第二特別図柄表示器642のいずれかにおいて特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットし、処理フラグを「2」に更新する。一方、ステップS140において処理フラグが1でなければ(ステップS140におけるNO)、ステップS170に進む。
【0659】
ステップS170に進むと、処理フラグが2であるか否かを判断する(ステップS170)。処理フラグが2であれば(ステップS170におけるYES)変動中処理(ステップS180)を実行する。この変動中処理では、変動パターン設定処理(ステップS150)で設定された変動時間をタイマにより監視し、タイムアウトしたことに基づいて第一特別図柄表示器641または第二特別図柄表示器642における特別図柄の変動表示を停止させる。このとき、変動開始処理(ステップS130)にて大当りとする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、特定条件成立とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「4」に更新し、大当りおよび特定条件成立とする判定のいずれもなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。一方、ステップS170において処理フラグが2でなければ(ステップS170におけるNO)、ステップS190に進む。
【0660】
ステップS190に進むと、処理フラグが3かどうか判断する(ステップS190)。処理フラグが3であれば(ステップS190におけるYES)大当り遊技開始処理(ステップS200)を実行する。この大当り遊技開始処理では、大当り遊技の種別(長開放か短開放か)を判断し、その種別に応じてアタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉動作を制御するためのラウンド回数、開放時間および遊技球の入賞制限個数をセットし、処理フラグを「5」に更新する。一方、ステップS190において処理フラグが3でなければ(ステップS190におけるNO)、ステップS210に進む。
【0661】
ステップS210に進むと、処理フラグが4かどうか判断する(ステップS210)。処理フラグが4であれば(ステップS210におけるYES)特定条件成立時処理(ステップS220)を実行する。この開閉装置作動処理では、開閉部材2006の開放動作を制御するための開放回数および開放時間をセットし、処理フラグを「6」に更新する。一方、処理フラグが4でなければ(ステップS210におけるNO)、ステップS230に進む。
【0662】
ステップS230に進むと、処理フラグが5かどうか判断する(ステップS230)。処理フラグが5であれば(ステップS230におけるYES)特別電動役物大当り制御処理(ステップS240)を実行する。この特別電動役物大当り制御処理では、大当り遊技開始処理(ステップS200)においてセットしたラウンド回数、開放時間および遊技球の入賞制限個数に基づいて開閉部材2006の開閉動作を制御し、大当り遊技が終了する場合には、確変機能や時短機能を作動させるか否か判断されるとともに処理フラグを「0」に更新する処理を行う。
【0663】
一方、ステップS230において処理フラグが5でなければ(ステップS230におけるNO)開閉装置作動処理(ステップS250)を実行する。この開閉装置作動処理(ステップS250)では、特定条件成立時処理(ステップS220)においてセットした開放回数、開放時間および制限個数に基づいて、開閉部材2006の開閉動作を制御し、開閉装置作動処理が終了する場合には、処理フラグを「0」に更新する処理を行う。なお、開閉装置作動処理は、大当り遊技のように条件装置の作動を伴う遊技ではないものの、上述したとおり、大当り遊技の一種である短開放大当り遊技と極似する遊技である。
【0664】
ステップS130からステップS250の各種処理のいずれかを実行すると特別図柄・特別電動役物制御処理を終了する。
【0665】
[第一・第二始動口入賞処理について]
次に、第一・第二始動口入賞処理について図172に基づいて説明する。図172は、第一・第二始動口入賞処理の一例を示すフローチャートである。
【0666】
第一・第二始動口入賞処理では、主制御MPU4100aは、まず、第二始動口2002に遊技球が入賞したか否かを判断する(ステップS1101)。具体的には、第二始動口センサ2012による遊技球検知の有無を確認する。このとき、第二始動口センサ2012による遊技球の検知があれば、第二始動口2002に遊技球が入賞したと判断する(ステップS1101におけるYES)。第二始動口センサ2012による遊技球の検知がいずれもなければ、第二始動口2002に遊技球が入賞していない(ステップS1101におけるNO)と判断する。
【0667】
ステップS1101において第二始動口2002に遊技球が入賞したと判断したときには、各種データ(第二特別図柄当否判定用乱数取得手段4912によって取得された当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を取得する。そして、第二特別図柄保留カウンタ4913のカウンタ値が上限値である4未満であるか否かを判断する(ステップS1102)。
【0668】
ステップS1101において第二特別図柄保留カウンタ4913のカウンタ値が上限の4未満であると判断すると(ステップS1102におけるYES)、主制御MPU4100aは、第2保留記憶処理を行い(ステップS1103)、その後、ステップS1104に進む。
【0669】
ここで、第2保留記憶処理について図173に基づいて説明する。図173は、第2保留記憶処理の一例を示すフローチャートである。
【0670】
第2保留記憶処理では、第二始動口2002に遊技球が入賞したことによって取得した各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を当否判定用乱数記憶領域5131に記憶する処理(ステップS11031)、第二特別図柄保留カウンタ4913のカウンタ値C2に1を加算する処理(ステップS11032)が主として行われる。
【0671】
この第2保留記憶処理では、通常遊技状態または時短遊技状態にあっては(ステップS11033におけるNO)、始動口2001,2002に入賞したときの第一特別図柄保留カウンタ4903または第二特別図柄保留カウンタ4913のカウンタ値が2以上(今回の始動入賞を含む)であるときは(ステップS11037におけるYES)、後述する特殊演出を実行するか否かの判定処理(以下、「特殊演出判定処理」と称する)が行われる(ステップS11038)。特殊演出判定処理の結果が当りであるときは、特殊演出判定処理の結果が当りである旨の情報が、上述のコマンド送信処理(ステップS270)において主制御基板4100から周辺制御基板4140に向けてコマンド送信される。第2保留記憶処理にて行われる特殊演出判定処理は、第二始動口2002に遊技球が入賞したことによって取得された当否判定用乱数を利用して行われる。
【0672】
なお、第2保留記憶処理ではないが、周辺制御基板4140は、特殊演出判定処理の結果が当りである旨の情報を受信すると、特殊演出フラグをオンする。また、周辺制御基板4140は、特殊演出判定処理の結果がハズレである旨を情報を受信したときは、フェイク特殊演出を実行するか否かの判定処理(以下、「フェイク特殊演出判定処理」)を独自に(主制御基板4100による処理とは無関係に)行い、このフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであるときは、フェイク特殊演出フラグをオンする。なお、このフェイク特殊演出では、始動口2001,2002に入賞したことによって取得された当否判定用乱数を用いて行われる。また、オンされた特殊演出フラグまたはフェイク特殊演出フラグは、後述する事後期待演出を行った際にオフにされる。
【0673】
また、特別遊技状態にあっては(ステップS11033におけるYES)、上記第2保留記憶処理では、第一特別図柄保留カウンタのカウンタ値C1と第二特別図柄保留カウンタのカウンタ値C2との和が0以上であるか否かを判定し(ステップS11034)、0以上であれば、後述するモード演出にかかわるモード演出処理が上記主制御MPU4100aにより行われる(ステップS11035)。このモード演出処理では、第二始動口2002に遊技球が入賞したことによって取得された図柄乱数に基づいて、大当り種別情報が判定される。そして、モード演出処理において判定された大当り種別情報は、当該大当り種別情報が第二特別図柄についてのものであることを把握できる態様で、保留数情報とともに、上述のコマンド送信処理(ステップS270)において当該主制御基板4100から周辺制御基板4140に向けてコマンド送信される。
【0674】
なお、ステップS11034において第一特別図柄保留カウンタのカウンタ値C1と第二特別図柄保留カウンタのカウンタ値C2との和が0以上でないと判定された場合には、エラー処理を行う(ステップS11036)。なぜなら、ステップS11032において第二特別図柄保留カウンタのカウンタ値C2が加算されている限り、ステップS11034において0であると判定されることはあり得ないからである。エラー処理としては、例えば、強制的に電源をOFFにしたり、遊技球の発射を禁止する処理等が行われる。
【0675】
ここで、主制御基板4100から周辺制御基板4140に向けた大当り種別情報についてのコマンド送信は、図柄乱数が取得されたのちすぐに(すなわち、当該図柄乱数とともに取得された当否判定用乱数についての当否判定処理が上記主制御MPU4100aによって行われるよりも前に)行われる。すなわち、モード演出は、未だ保留の解除条件が成立していないときに行われる。なお、こうしてコマンド送信が行われると、該コマンド送信の対象となった大当り種別情報は当該主制御基板4100から消去可能な状態(例えばデータの上書きが可能とされる状態)に操作される。
【0676】
また、当否判定用乱数記憶領域5131は、当否判定用乱数記憶領域、図柄乱数記憶領域および特別図柄種別記憶領域を有しており、第二始動口2002に遊技球が入賞したことによって取得した各種データは、それぞれの記憶領域に記憶される。
【0677】
主制御MPU4100aが、ステップS1101において第二始動口2002に遊技球が入賞していないと判断したとき(ステップS1101におけるNO)、および、ステップS1102において第二特別図柄保留カウンタ4913のカウンタ値が上限値の4に達していると判断したとき(ステップS1102におけるNO)は、いずれもステップS1104に進む。
【0678】
ステップS1104では、主制御MPU4100aは、第一始動口2001に遊技球が入賞したか否かを判断する(ステップS1104)。具体的には、第一始動口センサ2011による遊技球検知の有無を確認する。このとき、第一始動口センサ2011によって遊技球が検知された場合には第一始動口2001に遊技球が入賞したと判断する(ステップS1104におけるYES)。第一始動口センサ2011による遊技球の検知がなければ、第一始動口2001に遊技球が入賞していない(ステップS1104におけるNO)と判断する。
【0679】
ステップS1104において第一始動口2001に遊技球が入賞したと判断したときには、各種乱数(第一特別図柄当否判定用乱数取得手段4902によって取得された当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を取得し、第一特別図柄保留カウンタ4903のカウンタ値が上限値である4未満であるか否かを判断する(ステップS1105)。
【0680】
ステップS1104において第一特別図柄保留カウンタ4903のカウンタ値が上限の4未満であると判別すると(ステップS1105におけるYES)、主制御MPU4100aは、第1保留記憶処理を行い(ステップS1106)、第一・第二始動口入賞処理を終了する。
【0681】
ここで、第1保留記憶処理について図174に基づいて説明する。図174は、第1保留記憶処理の一例を示すフローチャートである。
【0682】
第1保留記憶処理では、第一始動口2001に遊技球が入賞したことによって取得した各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を当否判定用乱数記憶領域5131に記憶する処理(ステップS11061)、第一特別図柄保留カウンタ4903のカウンタ値C1に1を加算する処理(ステップS11062)が主として行われる。
【0683】
この第1保留記憶処理では、通常遊技状態または時短遊技状態にあっては(ステップS11063におけるNO)、始動口2001,2002に入賞したときの第一特別図柄保留カウンタ4903または第二特別図柄保留カウンタ4913のカウンタ値が2以上(今回の始動入賞を含む)であるときは(ステップS11067におけるYES)、特殊演出判定処理が行われる(ステップS11068)。特殊演出判定処理の結果が当りであるときは、特殊演出判定処理の結果が当りである旨の情報が、上記のコマンド送信処理(ステップS270)において主制御基板4100から周辺制御基板4140に向けてコマンド送信される。第1保留記憶処理にて行われる特殊演出判定処理は、第二始動口2002に遊技球が入賞したことによって取得された当否判定用乱数を利用して行われる。
【0684】
なお、第1保留記憶処理ではないが、周辺制御基板4140は、特殊演出判定処理の結果が当りである旨の情報を受信すると、特殊演出フラグをオンする。また、周辺制御基板4140は、特殊演出判定処理の結果がハズレである旨を情報を受信したときは、フェイク特殊演出判定処理を独自に(主制御基板4100による処理とは無関係に)行い、このフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであるときは、フェイク特殊演出フラグをオンする。なお、このフェイク特殊演出では、始動口2001,2002に入賞したことによって取得された当否判定用乱数を用いて行われる。また、オンされた特殊演出フラグまたはフェイク特殊演出フラグは、後述する事後期待演出を行った際にオフにされる。
【0685】
また、特別遊技状態にあっては(ステップS11063におけるYES)、上記第1保留記憶処理では、第一特別図柄保留カウンタのカウンタ値C1と第二特別図柄保留カウンタのカウンタ値C2との和が0以上であるか否かを判定し(ステップS11064)、0以上であれば、後述するモード演出処理が上記主制御MPU4100aにより行われる(ステップS11065)。このモード演出処理では、第一始動口2001に遊技球が入賞したことによって取得された図柄乱数に基づいて、大当り種別情報が判定される。そして、モード演出処理において判定された大当り種別情報は、当該大当り種別情報が第一特別図柄についてのものであることを把握できる態様で、保留数情報とともに、上述のコマンド送信処理(ステップS270)において当該主制御基板4100から周辺制御基板4140に向けてコマンド送信される。
【0686】
なお、ステップS11064において第一特別図柄保留カウンタのカウンタ値C1と第二特別図柄保留カウンタのカウンタ値C2との和が0以上でないと判定された場合には、エラー処理を行う(ステップS11066)。なぜなら、ステップS11062において第二特別図柄保留カウンタのカウンタ値C2が加算されている限り、ステップS11064において0であると判定されることはあり得ないからである。エラー処理としては、例えば、強制的に電源をOFFにしたり、遊技球の発射を禁止する処理等が行われる。
【0687】
ここで、主制御基板4100から周辺制御基板4140に向けた大当り種別情報についてのコマンド送信は、図柄乱数が取得されたのちすぐに(すなわち、当該図柄乱数とともに取得された当否判定用乱数についての当否判定処理が上記主制御MPU4100aによって行われるよりも前に)行われる。すなわち、モード演出は、未だ保留の解除条件が成立していないときに行われる。なお、こうしてコマンド送信が行われると、該コマンド送信の対象となった大当り種別情報は当該主制御基板4100から消去可能な状態(例えばデータの上書きが可能とされる状態)に操作される。
【0688】
また、第二始動口2002に遊技球が入賞したことによって取得した各種データと同様に、第一始動口2001に遊技球が入賞したことによって取得した各種データは、当否判定用乱数記憶領域5131におけるそれぞれの記憶領域に記憶される。
【0689】
主制御MPU4100aが、ステップS1104において第一始動口2001に遊技球が入賞していないと判断したとき(ステップS1104におけるNO)、および、ステップS1105において第一特別図柄保留カウンタ4903のカウンタ値が上限値の4に達していると判断したとき(ステップS1105におけるNO)は、いずれも第一・第二始動口入賞処理を終了する。
【0690】
なお、ステップS1102において、第二始動口2002に遊技球が入賞したときに第二特別図柄保留カウンタ4913のカウンタ値が上限値であるとき、ステップS1101で取得した各種データを破棄する。同様に、ステップS1105において、第一始動口2001に遊技球が入賞したときに第一特別図柄保留カウンタ4903のカウンタ値が上限値であるとき、ステップS1104で取得した各種データを破棄する。
【0691】
なお、第二始動口2002に遊技球が入賞したと判断したとき、各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)の取得は、必ずしもステップS1101で行う必要はなく、ステップS1101?ステップS1103の間で行えばよい。例えば、ステップS1101で各種データを取得せずに、ステップS1102で第二特別図柄保留カウンタ4913のカウンタ値が上限値未満であることを判定した後に各種データを取得してもよいし、ステップS1103の第2保留記憶処理で取得するようにしてもよい。
【0692】
同様に、第一始動口2001に遊技球が入賞したと判定したとき、各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)の取得は、必ずしもステップS1104で行う必要はなく、ステップS1104?ステップS1106の間で行えばよい。例えば、ステップS1104で各種データを取得せずに、ステップS1102で第一特別図柄保留カウンタ4903のカウンタ値が上限値未満であることを判別した後に各種データを取得してもよいし、ステップS1106の第1保留記憶処理で取得するようにしてもよい。
【0693】
次に、第2保留記憶処理(ステップS1103)や第1保留記憶処理(ステップS1106)にて行われる上記特殊演出判定処理及び上記フェイク特殊演出判定処理について説明する。
【0694】
特殊演出判定処理は、確変機能が作動しない遊技状態(通常遊技状態、時短遊技状態)において第一始動口2001、第二始動口2002に遊技球が入賞したことに基づいて、当否判定用乱数が取得されたときに上記主制御MPU4100aにより行われる。そして、特殊演出判定処理の結果がハズレであるときはさらにフェイク特殊演出判定処理が、取得された当否判定用乱数を利用して上記主制御MPU4100aにより行われる。
【0695】
そして、特殊演出判定処理の結果情報およびフェイク特殊演出判定処の結果情報は、これらの結果情報が第一特別図柄および第二特別図柄のうちいずれについてのものであるかを把握できる態様で、保留数情報とともに、上述のコマンド送信処理において当該主制御基板4100から周辺制御基板4140に向けてコマンド送信される。
【0696】
ここで、主制御基板4100から周辺制御基板4140に向けた特殊演出判定処理およびフェイク特殊演出判定処の結果情報についてのコマンド送信は、特殊演出判定処理が行われたのちすぐに(特殊演出判定処理の結果がハズレであったときはフェイク特殊演出判定処理が行われたのちすぐに)行われる。すなわち、主制御基板4100から周辺制御基板4140に向けた特殊演出判定処理およびフェイク特殊演出判定処の結果情報についてのコマンド送信は、特殊演出判定処理の対象となった当否判定用乱数についての当否判定処理が上記主制御MPU4100aによって行われるよりも前に、行われる。換言すると、特殊演出判定処理およびフェイク特殊演出判定処理のいずれも、未だ保留の解除条件が成立していないときに行われる。そして、特殊演出判定処理またはフェイク特殊演出判定処理に当選したときは、未だ保留の解除条件が成立していないとき(すなわち保留状態にあるとき)に、特殊演出またはフェイク特殊演出が行われる。なお、こうしてコマンド送信が行われると、該コマンド送信の対象となった結果情報は当該主制御基板4100から消去可能な状態(例えばデータの上書きが可能とされる状態)に操作される。
【0697】
特殊演出判定処理は、例えば、第一始動口2001への入賞(遊技球の入球)に基づいて0?599の乱数幅で発生する当否判定用乱数のうち一つの乱数が取得されると、当該取得された第一特別図柄の当否判定用乱数と、主制御MPU4100aに内蔵されたROMに記憶された特殊演出判定テーブル4908とに基づいて当否が判定される。
【0698】
ここで、主制御MPU4100aに内蔵されたROMに記憶された特殊演出判定テーブルを表2に示す。
【表2】
【0699】
例えば、特殊演出判定テーブル4908のうちの第一特別図柄の特殊演出判定テーブル(主として第一始動口2001に入賞する通常遊技状態時ではこのテーブルが主に用いられる)には、演出当り値として197、198、199、307が記憶されている。確変機能が作動していない遊技状態(通常遊技状態もこれに含まれる)時の第一特別図柄の2つの大当り値7、307のうち1つの大当り値(本実施形態では307)は、上記の演出当り値にも含まれている。
【0700】
ここで、第一始動口2001への入賞に基づいて0?599のなかから1つだけ当否判定用乱数が取得されるが、当否判定にてハズレと判定されるハズレ値に対する大当り値の割合(598分の2)よりも、特殊演出判定処理にてハズレと判定される演出ハズレ値に対する演出当り値の割合(3分の1)の方が高く設定されている。これにより、当否判定処理よりも先だって行われる特殊演出判定処理の結果が当りであるときは、特殊演出判定処理の結果がハズレであるときよりも、遊技者に期待度が高い点で有利な有利付け演出が行われることとなる。有利付け演出がおこなわれたときに、実際に有利であると遊技者が実感できる観点からいえば、特殊演出判定処理にてハズレと判定される演出ハズレ値に対する演出当り値の割合は、当否判定にてハズレと判定されるハズレ値に対する大当り値の割合よりも倍以上に高く設定されていることが好ましい。
【0701】
そして、主として第一始動口2001に入賞しうる通常遊技状態にあるときに第一始動口2001に入賞したことによって取得された当否判定用乱数が197、198、199、307のうちいずれかであれば、特殊演出フラグがオンされる。そして、通常遊技状態にあるときに第一始動口2001に入賞したことによって取得された当否判定用乱数が197、198、199、307のうちいずれでもない場合には、10分の1の確率で当選しうるフェイク特殊演出の実行にかかるフェイク特殊演出判定処理が行われる。このフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであれば、フェイク特殊演出フラグがオンされる。特殊演出フラグおよびフェイク特殊演出フラグのいずれかがオンであれば、第一始動口2001に入賞したことによって取得された当否判定用乱数についての当否判定に先だって、特殊演出またはフェイク特殊演出が行われる。
【0702】
なお、通常遊技状態にあるときに第一始動口2001に入賞したことによって取得された当否判定用乱数が197、198、199、307のうちいずれでもなく、且つフェイク特殊演出判定処理の結果がハズレである場合には(特殊演出フラグおよびフェイク特殊演出フラグのいずれかもオンでなければ)、上記の特殊演出およびフェイク特殊演出のいずれも行われず、当該当否判定用乱数についての当否判定結果に基づく演出が行われるだけである。
【0703】
ただし、通常遊技状態にあるときに第一始動口2001に入賞したことによって取得された当否判定用乱数が「7」であるときは、当否判定の結果が大当りとなるにもかかわらず、特殊演出およびフェイク特殊演出のいずれも行われないことがある。したがって、取得された当否判定用乱数についての当否判定に先だって特殊演出およびフェイク特殊演出のいずれもが行われなかったとしても、当否判定の結果が確定表示されるまで大当りへの期待感が失われないので、興趣の低下を抑制できる。
【0704】
また、通常遊技状態にあるときに第一始動口2001に入賞したことによって取得された当否判定用乱数が「7」であるときは、当否判定の結果が大当りとなるにもかかわらず、当該当否判定の結果が確定表示される前に、フェイク特殊演出が行われることがある。詳細は後述するが、フェイク特殊演出が行われる場合には、取得された当否判定用乱数についての当否判定に先だって、いかにも特殊演出判定処理の結果が当りであったかのような演出が行われるものの、取得された当否判定用乱数についての当否判定が行われるまでには、特殊演出判定処理の結果が実はハズレであったことが遊技者に明かされる。このとき、特殊演出判定処理の結果がハズレであることが明かされることによって一旦は遊技者に落胆を与えるものの、取得された当否判定用乱数についての当否判定の結果が大当りである旨が確定表示されることになるので、遊技者を抑揚させることができ、興趣の低下を抑制できる。
【0705】
なお、表1及び表2によると、特殊演出判定テーブル4908のうち、通常遊技状態時に第一始動口2001に入賞したときに用いられるテーブルに記憶されている演出当り値(表2参照)に含まれる大当り値の割合が4分の1(197、198、199および307のうち307のみが大当り値)であるのに対し、通常遊技状態時に第二始動口2002に入賞したときに用いられるテーブルに記憶されている演出当り値(表2参照)に含まれる大当り値の割合が2分の1(199および307のうち307のみが大当り値)である。このように、始動口に応じて演出当り値に含まれる大当り値の割合を異ならしめることで、大当りの当選確率などの遊技仕様を変化させずとも、第一始動口2001側と、第二始動口2002側とでの遊技に変化(第二始動口2002側で特殊演出が行われたときのほうが大当りの期待度が高い)を与えることができるようになる。
【0706】
また、例えば、第二始動口2002への入賞(遊技球の入球)に基づいて0?599の乱数幅で発生する当否判定用乱数のうち一つの乱数が取得されると、当該取得された第二特別図柄の当否判定用乱数と、特殊演出判定テーブル4908のうち第二特別図柄の遊技状態に応じたテーブルとに基づいて当否が判定される。
【0707】
例えば、特殊演出判定テーブル4908のうち、第二特別図柄の時短遊技状態時のテーブルには、演出当り値として7、77、87、97、177、187、197、207、217、277、287、297、307、377、387、397、477、487、497、507が記憶されている。これらの演出当り値は、確変機能が作動しているときの第二特別図柄の大当り値と同じ値である。なお、確変機能が作動していない遊技状態(時短遊技状態もこれに含まれる)時の第二特別図柄の2つの大当り値7、307は、いずれも上記の演出当り値に含まれている。
【0708】
ここで、第二始動口2002への入賞に基づいて0?599のなかから1つだけ当否判定用乱数が取得されるが、当否判定にてハズレと判定されるハズレ値に対する大当り値の割合(598分の2)よりも、特殊演出判定処理にてハズレと判定される演出ハズレ値に対する演出当り値の割合(20分の1)の方が高く設定されている。これにより、当否判定処理よりも先だって行われる特殊演出判定処理の結果が当りであるときは、特殊演出判定処理の結果がハズレであるときよりも、遊技者に期待度が高い点で有利な有利付け演出が行われることとなる。有利付け演出がおこなわれたときに、実際に有利であると遊技者が実感できる観点からいえば、特殊演出判定処理にてハズレと判定される演出ハズレ値に対する演出当り値の割合は、当否判定にてハズレと判定されるハズレ値に対する大当り値の割合よりも倍以上に高く設定されていることが好ましい。
【0709】
そして、時短遊技状態にあるときに第二始動口2002に入賞したことによって取得された当否判定用乱数が7、77、87、97、177、187、197、207、217、277、287、297、307、377、387、397、477、487、497、507のうちいずれかであれば、特殊演出フラグがオンされる。そして、時短遊技状態にあるときに第二始動口2002に入賞したことによって取得された当否判定用乱数が7、77、87、97、177、187、197、207、217、277、287、297、307、377、387、397、477、487、497、507のうちいずれでもない場合には、10分の1の確率で当選しうるフェイク特殊演出の実行にかかるフェイク特殊演出判定処理が行われる。このフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであれば、フェイク特殊演出フラグがオンされる。特殊演出フラグおよびフェイク特殊演出フラグのいずれかがオンであれば、第二始動口2002に入賞したことによって取得された当否判定用乱数についての当否判定に先だって、特殊演出またはフェイク特殊演出が行われる。
【0710】
なお、時短遊技状態にあるときに第二始動口2002に入賞したことによって取得された当否判定用乱数が7、77、87、97、177、187、197、207、217、277、287、297、307、377、387、397、477、487、497、507のうちいずれでもなく、且つフェイク特殊演出判定処理の結果がハズレである場合には(特殊演出フラグおよびフェイク特殊演出フラグのいずれかもオンでなければ)、上記の特殊演出およびフェイク特殊演出のいずれも行われず、当該当否判定用乱数についての当否判定結果に基づく演出が行われるだけである。
【0711】
ところで、特殊演出判定テーブル4908のうち、第二特別図柄の時短遊技状態時のテーブルに記憶された演出当り値は、当り判定テーブル4906の第二特別図柄の確変機能作動(特別遊技状態)時のテーブルに記憶された当り値と全く同じ値である。したがって、時短遊技状態において特殊演出が行われ且つ抽選結果がハズレであるときには、“特別遊技状態であれば当りであったのに!”と、いかにも抽選結果が惜しかったことを遊技者に実感させることができる。
【0712】
なお、主として第二始動口2002に入賞しうる時短遊技状態では、特殊演出が行われない限り、大当り遊技が行われることがない。すなわち、第二始動口2002に入賞したことによって取得された当否判定用乱数についての当否判定に先だって特殊演出が行われない限り、当該当否判定用乱数についての当否判定の結果が当りとなることがない。しかしながら、本実施形態では、従来の遊技機のように、当否判定用乱数についての当否判定の結果に基づく演出画像をもって大当りへの期待演出を行うのではなく、始動入賞された時点から当否判定の結果が確定表示されるまでの長きにわたって期待演出が行われる。さらには、従来の遊技機では、保留解除条件が成立しない限り(つまり変動表示が行われない限り)大当りへの期待演出が行われなかったので、当否判定用乱数一つずつについてしか大当りへの期待演出を行うことができなかった。この点、本実施形態では、複数の当否判定用乱数についての特殊演出を同時に行うことが可能となるので、その分期待演出が行われる頻度が高められることとなり、絶え間なく大当りへの期待感を抱きながら遊技を行うことが可能となる。
【0713】
ところで、表2に示されるとおり、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれについても、通常遊技状態時の演出当り値には、複数の大当り値のうちの一部のほか、それら大当り値のいずれにも該当しないハズレ値の一部が含まれている。したがって、上記特殊演出判定処理の結果情報は「演出当り値に対して大当り値の含まれる割合から決定付けられる大当り期待度を示すデータ」となる。
【0714】
このような構成にかかるパチンコ機1では、始動条件(例えば、ステップS120でのYES、且つステップS1301でのNO)の成立に先立って(主制御基板4100これ自体も大当りに当選されているか否かを把握していない状態で)、大当り値だけでなくハズレ値も含まれる演出当り値についての上記特殊演出判定処理を行うとともに、その結果情報を当該主制御基板4100から出力するようにした。これに対し、周辺制御基板4140では、上記主制御基板4100から出力された結果情報が上記演出当り値への当選を示すものであるときには後述の特殊演出(保留関連演出)を行うようにしている。このため、周辺制御基板4140側では、主制御基板4100内での当否判定処理に先立って(当否判定処理についての結果情報が上記主制御基板4100から出力されるのを待つことなく)、偽りのない大当りの期待度(演出当り値に対して大当り値の含まれる割合から定められる期待度)を遊技者に対して事前予告することが可能となる。すなわちこの場合、その後に上記主制御基板4100内にて行われる大当りについての当否判定処理において大当りに落選されるような場合であっても、大当り期待度が偽りなく示唆される事前予告によって遊技興趣の低下を好適に抑制することができるようになる。しかも、このような事前予告を、大当りについての当落判定処理が行われる前の、上記予め定められた始動条件が成立していない時点から行うようにしたため、長期にわたって大当りへの期待感を持続させることが実現可能となる。
【0715】
ところで、有利付け演出および不利付け演出のうちいずれの演出を行うかについては、第一始動口2001または第二始動口2002に遊技球が入賞したことに基づいて取得された当否判定用乱数を用いて行われた特殊演出判定処理の結果が当りであるかハズレであるかによって決定される。すなわち、特殊演出判定処理の結果が当りであるグループとしての高確演出グループと、特殊演出判定処理の結果がハズレであるグループとしての低確演出グループとのうちいずれに分類されるかによって決定される。
【0716】
具体的には、表2に示される演出当り値(197、198、199、307)が高確演出グループであり、0?599のうち演出当り値(197、198、199、307)を除外した値が低確演出グループである。すなわち、高確演出グループでは、高確演出グループに含まれる値としては、0?599の乱数幅のうちのハズレ値の一部(197、198、199)、および、0?599の乱数幅のうちの当否判定処理の結果が大当りとなる複数の大当り値(7、307)のうちの一部(307)のみである。
【0717】
この高確演出グループでは、当否判定処理の結果がハズレとなるハズレ値に相当する3個の演出当り値(197、198、199)に対して、当否判定処理の結果が大当りとなる大当り値に相当する1個の演出当り値(307)が設定されている。また、低確演出グループでは、当否判定処理の結果がハズレとなるハズレ値に相当する595個の演出当り値(0?599のうち7、197、198、199、307が除外された値)に対して、当否判定処理の結果が大当りとなる大当り値に相当する1個の演出当り値(7)が設定されている。
【0718】
例えば、第一始動口2001または第二始動口602に遊技球が入賞したことに基づいて取得された当否判定用乱数が「307」である場合には、常に、有利付け演出が実行される。そして、当該当否判定用乱数が取得されたときに始動記憶が保留されていれば、当該始動記憶にかかる変動表示が行われる際にも有利付け演出が実行される。これにより、第一始動口2001または第二始動口2002に遊技球が入賞したことに基づいて取得された当否判定用乱数についての当否判定処理に先だって、特殊演出としての有利付け演出の実行が可能となる。
【0719】
このように有利付け演出が実行される有利なモードでは、表2から把握されるように4分の1の確率で大当り遊技が実行されることとなるので、取得された当否判定用乱数が「307」である場合には、遊技者にとって非常に有利度合いが高い態様のもとで図柄変動演出にかかる遊技が行われることとなる。
【0720】
これに対し、第一始動口2001または第二始動口2002に遊技球が入賞したことに基づいて取得された当否判定用乱数が「7」である場合には、特殊演出を経ることなく大当り遊技が実行される。すなわち、特殊演出を経ることなく大当り遊技が実行される場合には、表1および表2から把握されるように大当り遊技が実行される確率が596分の1といった、遊技者にとって非常に有利度合いが低い不利なモードのもとで図柄変動演出にかかる遊技が行われることとなる。
【0721】
このように、当否判定処理に先だって特殊演出を行う構成とすることで、一の抽選確率(300分の1)で抽選処理(詳しくは当否判定処理)が行われながらも、いかにも高確率で抽選処理が行われているかのような印象を与える有利付けされた演出が実行される有利なモードと、低確率で抽選処理が行われているかのような印象を与える不利付けされた演出が実行される不利なモードとを創出することが可能となる。したがって、従来のように、確変機能が作動していない遊技状態のもとでメリハリのない遊技が行われることによる興趣の低下を抑制できる。
【0722】
しかも、表2に示されるような特殊演出判定テーブルを設けることで、設計上の負荷をさほど与えることなく、上記のようなこれまでにない新たな遊技性を実現することが可能となる。
【0723】
なお、当否判定処理における一の抽選確率は、当否判定処理の結果が大当りとなる大当り値の個数と、当否判定処理の結果がハズレとなるハズレ値の個数との割合で決定付けられる。本実施形態では、当り判定テーブル4906にて示されるように、0?599の乱数幅のうち、確変機能非作動時(通常遊技状態、時短遊技状態)において当否判定処理の結果が大当りとなる大当り値が2個(7、307)であるのに対し、当否判定処理の結果がハズレとなるハズレ値が598個(0?599の乱数幅のうち7および307が除外された値)である。したがって、抽選確率は300分の1となる。
【0724】
なお、上記にて説明した特殊演出は、従来の遊技機にみられるような連続演出(1回の変動表示でありながらも、複数回の変動表示が行われたかのように見せる演出)とは異なり、連続する回数が多いほど期待感が高められるといったものではない。すなわち、本実施形態の特殊演出は、特別図柄についての特殊演出判定処理の結果が当りである旨の情報を含むコマンドが主制御基板4100から周辺制御基板4140に向けて送信されたときに記憶されている始動記憶数(保留数)によって、特殊演出が行われる変動表示の回数が異なる点において、従来の遊技機にみられるような連続演出とは異なる。
【0725】
[4.遊技内容]
本実施形態のパチンコ機1における遊技内容について、具体的に説明する。本実施形態のパチンコ機1は、扉枠5の右下に配置された操作ハンドル部410を遊技者が回転操作することで、皿ユニット300の貯留皿311に貯留された遊技球が、透明な遊技パネル600の前面に配置された遊技領域605内の上部へと打ち込まれて、遊技球による遊技が開始されるようになっている。遊技領域605内の上部へ打ち込まれた遊技球は、その打込強さによってセンター役物2300の上側の左側或いは右側の遊技領域605内を流下することとなる。なお、遊技球の打込強さは、操作ハンドル部410の回転量によって調整することができるようになっており、時計回りの方向へ回転させるほど強く打ち込むことができるようになっている。また、遊技領域605内には、適宜位置に所定のゲージ配列で複数の障害釘が遊技パネル600の前面に植設されており、遊技球がその障害釘に当接することで、遊技球の流下速度が抑制されると共に、遊技球に様々な動きが付与されて、その動きを楽しませられるようになっている。
【0726】
センター役物2300の上部へ打ち込まれた遊技球が、左右方向の略中央から左側を流下してセンター役物2300の上棚部2301へ到達すると、上棚部2301によってセンター役物2300の左側の領域へと誘導される。そして、センター役物2300の左側を流下する遊技球が、センター役物2300の左側に配置されたゲート2201に進入してゲートセンサ2202により検出されると、その検出信号に基いて主制御基板4100では、普通抽選結果としての普通乱数(普通図柄当否判定用乱数取得手段4922)が発生する。そして、その普通乱数に基いて、機能表示ユニット1400における普通図柄表示器645の普通図柄が変動表示(一つのLEDからなる普通図柄表示器645が、赤色、緑色、橙色に交互に発光)され、所定時間(例えば、2秒?30秒の間)経過後に抽出され普通乱数(普通抽選結果)に基いた普通図柄が停止表示(普通図柄表示器645が赤色又は緑色の何れかに発光)される。この普通図柄の変動表示は、所定の普通図柄変動パターン選択テーブルから選択された普通図柄変動パターンに基いて行われるようになっている。
【0727】
詳しくは、抽選された普通乱数が「普通当り」乱数の場合、当りを示唆する普通図柄で停止表示(普通図柄表示器645が緑色に発光)され、抽選された普通乱数が「普通ハズレ」乱数の場合、ハズレを示唆する普通図柄で停止表示(普通図柄表示器645が赤色に発光)されるようになっている。そして、当りを示唆する普通図柄が停止表示されると、第二始動口2002を閉鎖する一対の可動片2005が所定時間(例えば、0.3秒?3秒の間)拡開して、第二始動口2002へ遊技球が入賞できるようになっている。
【0728】
なお、普通図柄の変動時間や第二始動口2002における可動片2005の拡開時間については、後述する始動記憶についての当否判定結果に応じて変化させるようにしても良く、例えば、特別乱数として、「時短当り(普通時短当り、高確率時短当り、等を含む)」が抽出された場合に、その変動時間や拡開時間を短い時間に変更するようにしても良い。具体的には、例えば、普通図柄変動パターンを選択する普通図柄変動パターンテーブルを異なるテーブルと差替えた上で、選択させることで容易に変化させることができる。
【0729】
なお、本例のパチンコ機1では、センター役物2300の上側において、左右方向中央から左側には遊技球が流下可能な領域が備えられているものの、中央から右側は遊技領域605の外周に沿って下方へ延びる円弧状の領域が備えられており、この領域に遊技球が進入するとゲート2201やワープ入口2302へ遊技球が進入する機会を得ることなくセンター役物2300の下側へ送られてしまい、チャンスが少なくなると共に遊技球の動きがあまり楽しめなくなるようになっている。従って、遊技者は、遊技球がセンター役物2300の上側において左右方向中央から左側の領域を流下するように、操作ハンドル部410の回転量を適宜調整して遊技することとなり、闇雲に遊技球を強く打ち込むような遊技操作を抑制して、パチンコ機1本来の操作ハンドル部410の操作による遊技を楽しませて興趣が低下するのを防止することができるようになっている。
【0730】
ところで、本例では、普通図柄表示器645において普通図柄が変動表示中に、ゲートセンサ2202で遊技球の通過が検出されると、変動中の普通図柄停止して先に発生・抽出された普通乱数の結果が確定するまでの間、ゲートセンサ2202からの検出信号に基いて抽出された普通乱数(普通図柄変動パターンを含む)を一時的に記憶してその表示を保留するようになっており、その記憶された普通乱数の数(保留数とも言う)を、普通図柄記憶表示器646で表示するようになっている。この普通図柄記憶表示器646は、四つのLEDからなっており、点灯する各LEDの数によって記憶数を示唆するようになっており、本例では、四つまで記憶して表示するようになっている。なお、記憶数が四つを越えた場合は、ゲートセンサ2202の検出信号に基いて抽出された普通乱数が破棄されるようになっている。
【0731】
また、遊技領域605内へ打ち込まれセンター役物2300の左側を流下した遊技球は、サイド入賞口部材2100の棚部2102によってセンター役物2300の下側で遊技領域605の中央側へ寄せられるようになっている。そして、センター役物2300の下方に配置された一般入賞口2004,2101に遊技球が入賞して、一般入賞口センサ2014に検出されると、その検出信号に基いて主制御基板4100では払出制御基板1186に対して所定の払出コマンドを送信し、その払出コマンドに応じて払出制御基板1186が賞球ユニット800の払出モータ815を制御して所定数(例えば、10個)の遊技球が、貯留皿311へ払出されるようになっている。
【0732】
なお、遊技領域605内へ打ち込まれた遊技球が、一般入賞口2004,2101、第一始動口2001、第二始動口2002、及び大入賞口2003の何れにも入賞しなかった場合、遊技領域605の左右方向中央下端に設けられてアウト口606から、遊技盤4の後側下方へ排出されるようになっている。また、遊技球が、一般入賞口2004,2101、第一始動口2001、第二始動口2002、及び大入賞口2003の何れに入賞しても、入賞した遊技球は、遊技領域605内へ戻されること無く遊技盤4の後側下方へ排出されるようになっている。
【0733】
一方、センター役物2300の左側を流下する遊技球が、センター役物2300の左側側面に開口するワープ入口2302へ進入すると、センター役物2300のステージ2310における後側の第一ステージ2311へと供給されるようになっている。そして、第一ステージ2311上へ供給された遊技球は、第一ステージ2311上を左右方向へ転動して、前方へと放出されて第二ステージ2312上へと供給される。この第二ステージ2312でも遊技球が左右方向へ転動してアタッカユニット2000の上方の遊技領域605内へ放出される。このステージ2310へ供給された遊技球が、第一ステージ2311における中央のチャンス入口2313へ進入すると、アタッカユニット2000における第一始動口2001の直上に配置されたチャンス出口2314から遊技領域605内へ放出され、遊技球が高い確率で第一始動口2001へと受入れられるようになっている。そして、遊技球が第一始動口2001に受入れられて第一始動口センサ2011に検出されると、主制御基板4100等を介して賞球ユニット800から所定数(例えば、3個)の遊技球が、貯留皿311へ払出されるようになっている。
【0734】
なお、本例のパチンコ機1では、第一始動口2001、第二始動口2002、及び大入賞口2003が、上下方向に並んで配置されているので、ステージ2310から放出される遊技球が、高い確率で第一始動口2001等に受入れられるようになっており、第二始動口2002や大入賞口2003が受入可能な時に、遊技球がステージ2310やチャンス出口2314から放出されると受入れられる可能性が高いので、第一始動口2001だけでなく第二始動口2002や大入賞口2003に対しても、遊技球の受入れに関する期待感を持たせて興趣を高めることができるようになっている。
【0735】
ところで、遊技球がゲート2201へ進入してゲートセンサ2202により検出されて普通抽選結果として「普通当り」が抽選されると、上述したように、第二始動口2002を閉鎖する一対の可動片2005が所定時間拡開して入賞可能となり、その入賞可能となった時に、遊技球が第二始動口2002へ受入れられて第二始動口センサ2012に検出されると、主制御基板4100等を介して賞球ユニット800から所定数(例えば、4個)の遊技球が、貯留皿311へ払出されるようになっている。
【0736】
また、主制御基板4100では、これら第一始動口2001、第二始動口2002に遊技球が入賞して、第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2012に検出されると、第一始動口2001では所定の第一特別乱数の発生・抽出が、第二始動口2002では所定の第二特別乱数の発生・抽出が夫々行われる。そして、抽出された特別乱数に基いて、機能表示ユニット1400の対応する第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642に表示された特別図柄の変動表示が開始された後に、抽出された特別乱数と対応する特別図柄が特別抽選結果として停止表示されるようになっている。これら第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642において、「大当り」を示唆する態様で特別図柄が停止表示されると、アタッカユニット2000の開閉部材2006が、所定のパターンで開閉動作する特別有利遊技状態(例えば、大当り遊技)が発生し、その間に大入賞口2003へ遊技球を入賞させることで、より多くの遊技球を獲得できるようになっている。なお、一つの遊技球が大入賞口2003へ入賞すると、賞球ユニット800から所定数(例えば、13個)の遊技球が貯留皿311へ払い出されるようになっている。
【0737】
なお、これら第一始動口2001、第二始動口2002においても、ゲート2201への遊技球の進入による普通図柄の変動表示と同様に、第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642において特別図柄が変動表示中、又は、特別有利遊技状態としての大当り遊技中等の特別図柄を変動表示さることができない時に、始動口2001,2002へ遊技球が入賞して第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2012で検出されると、特別図柄の変動表示が可能となるまでの間、第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2012からの検出信号に基いて抽出された第一特別乱数や第二特別乱数を、当否判定用乱数記憶領域5131で記憶してその表示を保留するようになっており、その記憶された特別乱数の数を、それら取得元となった始動口の別に、第一特別図柄記憶表示器643や第二特別図柄記憶表示器644において表示するようになっている。これら第一特別図柄記憶表示器643や第二特別図柄記憶表示器644は、夫々二つのLEDからなっており、消灯・点灯・点滅する各LEDの発光状態の組合せによって記憶数を示唆するようになっており、本例では、夫々四つまで記憶して表示するようになっている。なお、記憶数が四つを越えた場合は、抽出された特別乱数が破棄されるようになっている。また、保留順記憶手段4940によって、当否判定用乱数記憶領域5131においては第二特別乱数が第一特別乱数よりも優先して実行(消化)されるようになっている。つまり、第二始動口2002に係る抽選結果の保留が、第一始動口2001に係る抽選結果の保留よりも優先して実行(消化)されるようになっている。
【0738】
また上述の通り、本例では、センター役物2300にも第一特別乱数や第二特別乱数の保留数(始動記憶数)を表示する特別図柄記憶表示部2315を備えており、上述の第一特別図柄記憶表示器643や第二特別図柄記憶表示器644とは別に保留数と保留が消化(実行)される順番とを表示することができるようになっている。具体的には、特別図柄記憶表示部2315には、「1」?「8」までの数字が透光性を有した状態で記載表示されていると共に、それら数字の後側に、カラーLEDを実装した特別図柄記憶表示部基板が配置されており、第一特別乱数や第二特別乱数が保留されると、保留数に応じた数のLEDが所定色で発光することで、その保留数を遊技者に「文字(数字)」として案内することができるようになっている。なお、保留している特別乱数が、第一特別乱数の時はLEDが「赤」に、第二特別乱数の時はLEDが「緑」に発光するようになっており、LEDの発光色によって何れの始動口2001,2002への入賞にかか係る特別乱数の保留(始動記憶)であるかが判るようになっている。また、保留された特別乱数に対して、後述する保留順記憶手段4940で第一特別乱数よりも第二特別乱数の方を優先して保留を解除(消化)するようになっており、特別乱数が消化される順序で抽選結果が特別図柄記憶表示部2315に表示されるようになっている。従って、特別図柄記憶表示部2315では、右側の「5」?「8」の第二表示群に、第二特別乱数に係る抽選結果が表示されることはない。更に、保留している特別乱数が確変情報や時短情報を含まない通常の乱数の場合では、LEDが常に点灯し、確変情報等を含む乱数の場合では、LEDが所定サイクルで点滅するようになっており、事前に「確変大当り」等が抽選されている可能性を遊技者に認識させて、期待感を高められるようになっている。
【0739】
また、主制御基板4100では、第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2012の検出に基いて抽出された第一特別乱数や第二特別乱数の特別乱数を、上記保留順記憶手段4940により管理される保留の消化順に基づいて、予め決められた所定の乱数判定テーブル(当り判定テーブルおよび特殊演出テーブルの総称)と照合することで、その特別乱数が、「ハズレ」、「大当り」の何れであるかが判別されると共に、「大当り」について、「2R大当り」、「15R大当り」の何れかであるかも判別されるようになっている。また、乱数判定テーブルによって、(1)第1長開放大当り、(2)第2長開放大当り、(3)短開放大当り等も判別されるようになっている。
【0740】
ところで、本実施形態のパチンコ機1では、第一始動口2001や第二始動口2002への遊技球の始動入賞を契機として抽出された第一特別乱数や第二特別乱数に応じて(特別抽選結果に応じて)、機能表示ユニット1400の第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642が変動表示される他に、液晶表示装置1400においても、特別乱数についての当否判定処理の結果(特別抽選結果)に応じた演出画像が表示されるようになっている。具体的には、液晶表示装置1400において、複数の異なる図柄からなる一連の図柄列が複数列(例えば、三列)表示された状態で各図柄列の変動表示が開始され、その後に、順次停止表示され、最終的に全ての図柄列が停止表示されると、停止表示された図柄の組合せによって抽出された特別乱数についての当否判定処理の結果が遊技者側に示唆されるようになっている。つまり、始動入賞による特別抽選結果に応じて、複数の図柄列が変動表示された後に特別抽選結果を示唆するように停止表示される演出画像が表示されるようになっている。なお、第一及び第二特別図柄表示器641,642の特別図柄よりも、液晶表示装置1400に表示される図柄の方が大きく見易いため、一般的に遊技者は液晶表示装置1400に表示された図柄に注目することとなる。
【0741】
この複数の図柄列が変動表示する演出画像としては、変動中の複数の図柄列の全てが互いに異なる図柄となる「ハズレ変動」があり、また、一つの変動する図柄列を残して停止表示された図柄の組合せが特定条件(リーチ)を充足するように表示される「リーチ演出画像」がある。
【0742】
本実施形態では、「リーチ演出画像」としてノーマルリーチ変動A、ノーマルリーチ変動B、スーパーリーチ変動A、スーパーリーチ変動B、スペシャルリーチ変動Aがある。これらの「リーチ演出画像」が表示される特別抽選結果として、「リーチ当り」、「リーチハズレ」、がある。
【0743】
また、上記の「リーチ演出画像」と繋がるように表示され、リーチ表示後に、変動表示している残りの図柄列を強調して表示する「リーチ発展演出画像」もある。この「リーチ発展演出画像」としては、スーパーリーチ変動A(発展)およびスーパーリーチ変動B(発展)がある。また、液晶表示装置1400には、始動入賞に係る演出表示だけでなく、「大当り」遊技中に表示される「大当り遊技演出画像」も表示可能とされている。
【0744】
そして、当否判定の結果に基づいて、上記のハズレ変動、ノーマルリーチ変動A、ノーマルリーチ変動B、スーパーリーチ変動A、スーパーリーチ変動A(発展)、スーパーリーチ変動B、スーパーリーチ変動B(発展)、スペシャルリーチ変動Aのうちいずれかの演出画像に決定され、この決定された演出画像が液晶表示装置1400に表示される。これらの演出画像は、ノーマルリーチ変動A、ノーマルリーチ変動B、スーパーリーチ変動A、スーパーリーチ変動A(発展)、スーパーリーチ変動B、スーパーリーチ変動B(発展)、スペシャルリーチ変動Aの順に、当否判定にて大当りとなる期待度合いが高くなっていく(大当りとなる期待度は、ノーマルリーチ変動Aが最も低く、スペシャルリーチ変動Aが最も高い)。
【0745】
ところで、特殊演出フラグがオンであるとき(上述した特殊演出判定処理の結果が当りであるとき)は、当否判定結果にかかわらず、上記のスーパーリーチ変動A(発展)が60%の比率で選択され、上記のスーパーリーチ変動B(発展)が30%の比率で選択され、スペシャルリーチ変動Aが10%の比率で選択される。すなわち、特殊演出フラグがオンであるときは、常に、大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われることとなり、ハズレ変動や大当りの期待度が低いノーマル変動が行われることはない。
【0746】
なお、特殊演出フラグがオフであって且つ当否判定の結果が当りであるとき(通常遊技状態において第一始動口2001に入賞したことによって取得された当否判定用乱数が「7」であるとき)は、ノーマルリーチ変動Aが3%の比率で選択され、ノーマルリーチ変動Bが7%の比率で選択され、スーパーリーチ変動Aが10%の比率で選択され、スーパーリーチ変動A(発展)が25%の比率で選択され、スーパーリーチ変動Bが10%の比率で選択され、スーパーリーチ変動B(発展)が35%の比率で選択され、スペシャルリーチ変動Aが10%の比率で選択される。このように、特殊演出判定の結果が当りであるときは、特殊演出判定処理の結果がハズレであったとしても当否判定の結果が実際に当りであったときに選択されやすいリーチ演出画像のみしか選択されないので、特殊演出判定処理の結果が当りであったときに遊技者に与える期待度は大きなものとなる。
【0747】
なお、第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642での特別図柄の変動表示は、主制御基板4100によって直接制御されるようになっているのに対して(図166を参照)、液晶表示装置1400での図柄の変動表示は、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される抽選結果に係るコマンドに基づいて周辺制御基板4140及び液晶制御基板4150によって制御されるようになっている。これにより、特に遊技者が注目する液晶表示装置1400での図柄の変動表示を周辺制御基板4140等で制御するようにしているので、主制御基板4100から送信されてくる抽選結果に係る或る一つのコマンドに対して、複数の装飾図柄の変動パターンを予め用意して液晶表示装置1400における装飾図柄の変動パターンをより多くすることができる。また、「大当り」遊技中等に表示される「大当り遊技演出画像」等も周辺制御基板4140等で制御されるようになっており、様々なパターンの演出画像が予め用意されている。これにより、主制御基板4100における演算処理の負荷を高めることなく表示される演出画像の表示パターンを増やすことができ、遊技者をより楽しませて飽きられ難いパチンコ機1とすることができるようになっている。
【0748】
このように、本実施形態のパチンコ機1によると、パネルホルダ630に保持されパネルホルダ630よりも薄い透明板状の遊技パネル600の後面に、裏箱621を介してパネルホルダ630に固定された下中央装飾体3610の当り部3610aが当接するようになっているので、遊技パネル600の前面に植設された障害釘をメンテナンスする際に障害釘を所定の工具で叩いても、遊技パネル600が後側へ撓んでしまうのを防止することができ、工具からの力を確実に障害釘へ作用させることが可能となり、障害釘を的確に調整することができる。また、下中央装飾体3610によって遊技パネル600が撓むのを防止することができ、工具からの力を確実に障害釘へ作用させることができるので、従来のように必要以上の力で障害釘を叩く必要がなく、遊技パネル600に無理な力が作用するのを回避させることができ、メンテナンス等の際に遊技パネル600が破損してしまうのを防止することができる。従って、パチンコ機1のメンテナンスにかかる時間を可及的に短縮することができ、メンテナンスの為にパチンコ機1が使用不能により遊技者の興趣が低下するのを抑制することが可能なパチンコ機1を提供することができる。
【0749】
また、遊技パネル600を薄手の透明板としているので、透明な遊技パネル600の後側に、大型の液晶表示装置1400を配置することで大画面で迫力のある演出画像を表示させて遊技者を楽しませたり、可動装飾体3100,3200,3300,3400,3500や発光装飾体3600を配置することで奥行のあるこれまでにない立体的な遊技盤4を備えたパチンコ機1としたりすることができ、他のパチンコ機に対してより大きく差別化することが可能なパチンコ機1を確実に具現化することができる。
【0750】
更に、遊技者の操作によって遊技領域605内へ打ち込まれた遊技球が、始動口2001,2002や入賞口2004,2101へ受入れられると、所定数の遊技球が払出され遊技者の興趣を高めることができる。また、始動口2001,2002へ遊技球が受入れられると所定の抽選結果(第一特別乱数や第二特別乱数)が抽選され、その抽選された抽選結果に応じて遊技者に有利な有利遊技状態(「大当り」遊技)が発生するので、有利遊技状態の発生中は遊技球が払出される機会が多くなり、遊技者の興趣を更に高めることができる。更に、遊技者に対して、有利遊技状態が発生する抽選結果が抽選されるように始動口2001,2002を狙った遊技をさせることができ、遊技球の打込操作を楽しませることができると共に、有利遊技状態が発生する抽選結果が抽選されるか否かで遊技者の期待感を高めて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
【0751】
また、下中央装飾体3610を、遊技球を受入可能な始動口2001,2002や一般入賞口2004を備えたアタッカユニット2000と対応した遊技パネル600の後面の位置と当接するようにしているので、始動口2001,2002周りに植設された障害釘を調整する際に遊技パネルが撓んでしまうのを確実に防止することが可能となり、始動口2001,2002周りの障害釘の調整に時間がかかるのを防止して障害釘を充分に且つ的確に調整することができ、遊技するパチンコ機として本パチンコ機1を選択させ易くすることができると共に、遊技ホール側の負担を軽減させることができる。
【0752】
また、遊技球が左右方向へ転動可能なステージ2310を有したセンター役物2300を備えるようにしているので、従来のステージを備えたパチンコ機と同様のパチンコ機1とすることができ、従来のパチンコ機に慣れた遊技者が違和感を覚えて遊技に対する興趣を低下させてしまうのを防止することができると共に、ステージ2310上を転動する遊技球の動きを楽しませて、遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
【0753】
更に、上述したように、遊技パネル600の後面に下中央装飾体3610の当り部3610aを当接させて遊技パネル600が後側へ撓むのを防止するようにしており、遊技パネル600に、遊技球を受入可能な始動口2001,2002等を有したアタッカユニット2000や、サイド入賞口部材2100を挿入支持する開口部600eや、遊技球を左右方向へ転動可能なステージ2310を有した枠状のセンター役物2300を挿入支持する開口部600eを形成することで、遊技パネル600の強度剛性が低下しても、下中央装飾体3610によって遊技パネル600が後側へ撓むのを確実に防止して障害釘を的確且つ迅速に調整することができるので、遊技パネル600に開口部600eを形成してアタッカユニット2000やセンター役物2300を備えることができ、より遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
【0754】
また、液晶表示装置1400を支持する箱状の裏箱621内に下中央装飾体3610を固定するようにしているので、下中央装飾体3610の後側が裏箱621によって更に支持されることとなり、遊技パネル600の後面をより強固に支持することができ、遊技パネル600が後側に撓むのを防止して障害釘の調整をより確実に行うことができる。また、液晶表示装置1400を備えるようにしているので、液晶表示装置1400に遊技状態に応じて所定の演出画像を表示させることが可能となり、遊技者に対して遊技球の動きだけでなく演出画像も楽しませることができ、飽き難いパチンコ機1とすることができる。
【0755】
更に、下中央装飾体3610を装飾体としているので、透明な遊技パネル600を通して後側の下中央装飾体3610が遊技者側から視認できても、見栄えが悪くなるのを防止することができ、パチンコ機1の意匠性を高めて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
【0756】
[5.液晶表示装置における表示演出]
本実施形態の液晶表示装置1400における表示演出について、その具体例を説明する。なお上述の通り、本実施形態における液晶表示装置1400は、略水平方向にて配設される左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500を境に、上下で異なる演出画像を表示させることができるようになっている。
【0757】
例えば、図177に示されるように、液晶表示装置1400の表示画面のうち、左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500を境に、これよりも下側となる領域では、縦方向に変動表示される3つの装飾図柄(3つの装飾図柄列)ZG1?ZG3と、これら装飾図柄ZG1?ZG3の背後にて現れる背景画像とがそれぞれ演出表示される。これに対し、左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500よりも上側となる領域には、上記下側となる領域にて表示される上記背景画像とは異なる画像内容が現れるようになっている。
【0758】
なお、左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500よりも上側となる領域にて現れている画像内容は通常、ほとんど変化しない静的な画像とされる。また、この上側となる領域では、上記3つの装飾図柄ZG1?ZG3は変動表示されない。
【0759】
ここで、液晶表示装置1400における表示演出にかかる制御の手順は以下の通りである。すなわち、いま、所定の始動条件(例えば特別図柄の変動が終了したこと)が成立したとすると、上記主制御基板4100ではまず、この時点で既に取得されている特別乱数に基づいて大当りについての判定処理(当否判定処理等)を行う。この判定処理では、大当りの当落にかかる当否判定のみならず、大当りが当選された旨判定されたときに行われる上記大当り遊技のラウンド数(2R、15R)や、大当り遊技の終了後の遊技状態(大当り確率が高く設定変更される「確変あり」の遊技状態とするか否か)についての大当り種別判定も行われる。ただし、大当りの当落にかかる当否判定は、特別乱数のうちの当否判定用乱数に基づいて行われるのに対し、ラウンド数や遊技状態についての判定は、特別乱数のうちの図柄決定用乱数に基づいて行われる。
【0760】
次いで、主制御基板4100では、大当りの当落にかかる判定の結果と、この時点で既に取得(始動口への入賞に基づいて取得)されている変動パターン乱数とに基づいて上記装飾図柄の変動パターン、ひいては特別図柄の変動時間を決定する。
【0761】
そして次に、主制御基板4100では、こうして判定、決定された各結果情報を上記周辺制御基板4140に対して出力する。これにより、周辺制御基板4140が、こうして主制御基板4100から出力された各結果情報に基づいて上記液晶表示装置1400における表示演出にかかる制御を行うようになる。
【0762】
周辺制御基板4140ではまず、上記主制御基板4100からの結果情報のうち、上記大当りの当落にかかる結果情報と装飾図柄の変動パターン情報とに基づいて、上記液晶表示装置1400における表示演出の内容を決定する。
【0763】
なお、上記では、大当りの当落にかかる結果情報と装飾図柄の変動パターン情報とに基づいて液晶表示装置1400における表示演出の内容が決定されているが、装飾図柄の変動パターン情報に大当りの当落にかかる情報が含まれている遊技機(例えば、当りであるときにのみ選択される変動番号とハズレであるときにのみ選択される変動番号とに区別されている遊技機)であれば、装飾図柄の変動パターン情報に基づいて、液晶表示装置1400における表示演出の内容が決定される。
【0764】
ところで、周辺制御基板4140には、上記所定の始動条件の成立に先だって第一始動口2001または第二始動口2002に遊技球が入賞すると、演出フラグのオンオフ情報が主制御基板4100から送信される。周辺制御基板4140は、特殊演出フラグがオフである旨の情報が主制御基板4100から送信されたことを条件に当否判定用乱数に基づいてフェイク特殊演出判定処理を行い、このフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであるときは、フェイク特殊演出フラグをオンする。
【0765】
そして、周辺制御基板4140は、主制御基板4100から送信されたコマンドに基づいて、少なくとも、例えば保留状態にある特別乱数の数である保留数(始動記憶数)と、特殊演出フラグのオンオフ情報と、フェイク特殊演出フラグのオンオフ情報とを、周辺制御ROM4140bの保留情報記憶領域に記憶する。表3は、保留情報記憶領域に記憶される態様を示す一例である。なお、表3に示される○印はフラグオンであることを示し、×印はフラグオフであることを示す。また、○および×のいずれの印もない空白の領域には特別乱数が保留されていないことを示す。
【0766】
【表3】
【0767】
表3によると、第1特別乱数は3個保留されており、第2特別乱数は1個だけ保留されている。保留状態が入賞した別に示されている(すなわち第1特別乱数と第2特別乱数とが別に示されている)のは、入賞した始動口にかかわらず入賞した順に特別乱数の保留が解除されるのではなく、第一特別乱数の保留解除(保留消化)よりも第二特別乱数の保留解除(保留消化)のほうが優先されるようになっているからである。フェイク特殊演出フラグは、特殊演出フラグがオフであるときに限り行われるので、特殊演出フラグとフェイク特殊演出フラグとの両方がオンになることはあり得ない。
【0768】
そして、上記所定の始動条件が成立すると、主制御基板4100から周辺制御基板4140に、今回の変動の対象となっている特別乱数についての大当りの当落にかかる結果情報と装飾図柄の変動パターン情報とがコマンド送信される。このとき、周辺制御基板4140は、主制御基板4100から送信された装飾図柄の変動パターンに対して、液晶表示装置1400に期待演出(例えばキャラクタ演出)を表示するか否かを決定する。「変動パターンに対して、?期待演出を表示する」とは、変動パターンの表示中に期待演出を表示する態様、および変動パターンの表示を強制的に終了して期待演出を表示する態様のいずれをも含む(この明細書において以下同様)。
【0769】
上記の期待演出には、今回の当否判定処理の結果に対する期待度(現在の装飾図柄の変動表示が終了したときに、当否判定処理の結果が当りである旨が表示される期待度)を向上させうる今回期待演出と、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度を向上させうる事後期待演出とがある。
【0770】
今回期待演出には、装飾図柄の変動パターンに対してキャラクタの動作等による通常付加演出を付加することによって今回の当否判定処理の結果に対する期待度を向上させうる通常付加演出と、例えばスペシャルリーチ変動のように装飾図柄の変動パターンそれ自体が今回の当否判定処理の結果に対する期待度を向上させうる当該変動演出とが含まれる。
【0771】
これに対して事後期待演出には、装飾図柄の変動パターンに対してキャラクタの動作等による特殊付加演出を付加することによって未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度を向上させうる特殊付加演出と、装飾図柄の変動パターンそれ自体が未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度を向上させうる事後変動演出とが含まれる。
【0772】
周辺制御基板4140は、主制御基板4100から今回の変動の対象となっている特別乱数についての装飾図柄の変動パターン情報がコマンド送信されたことに基づいて、通常付加演出を実行するか否かを決定する通常付加演出実行決定手段と、事後期待演出を実行するか否かを決定する事後期待演出実行決定手段とを有する。さらに、事後期待演出実行手段は、特殊付加演出を実行するか否かを決定する特殊付加演出実行決定手段と、主制御基板4100から送信された今回の変動の対象となっている特別乱数についての装飾図柄の変動パターンに代えて独自の事後変動演出を実行するか否かを決定する事後変動演出実行決定手段とを有する。
【0773】
本実施形態では、後述するように、図175の変動パターンテーブルに示される変動番号「1」、「6」、「11」および「18」が、上記特定の変動パターンに相当する。
【0774】
事後期待演出を行う旨が決定されると、周辺制御基板4140は、以下のように制御する。すなわち、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に、特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれている場合には、特殊演出判定処理の結果が当りである旨を示唆する事後期待演出を、主制御基板4100から送信された装飾図柄の変動パターンに割り当てられた時間内に、液晶表示装置1400(より具体的には後述する図柄表示領域1410)に表示する。一方、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に、特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれていない場合には、特殊演出判定処理の結果がハズレである旨を示唆する事後期待演出を、主制御基板4100から送信された装飾図柄の変動パターンに割り当てられた時間内に、液晶表示装置1400(より具体的には後述する図柄表示領域1410)に表示する。
【0775】
ただし、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に、特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれている場合に、特殊演出判定処理の結果がハズレである旨を示唆する事後期待演出を所定の割合で行うようにしたり、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に、特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれていない場合に、特殊演出判定処理の結果が当りである旨を示唆する事後期待演出を所定の割合で行うようにしてもよい。
【0776】
また、事後期待演出を行う旨が決定されたにもかかわらず、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれていない場合には、事後期待演出を実行することなく、主制御基板4100から送信された装飾図柄の変動パターンのみを表示するか、または、通常付加演出を付加する程度にとどめてもよい。
【0777】
ところで、上記の手法によれば、第一始動口2001または第二始動口2002に入賞したことに基づいて取得された当否判定用乱数についての当否判定処理の結果が当りであったとしても、この当否判定処理の結果は、特別乱数が保留された時点ですぐには遊技者に示されずに、一旦は秘匿された状態で保留されることになる。
【0778】
そして、今回期待演出と事後期待演出とのうち、今回期待演出のみを行うと決定されたときは、今回期待演出のみが装飾図柄の変動パターンに割り当てられた時間内に表示される。また、事後期待演出のみを行うと決定されたときは、事後期待演出のみが装飾図柄の変動パターンに割り当てられた時間内に表示される。さらに、今回期待演出と事後期待演出との両方を行うと決定されたときは、今回期待演出と事後期待演出との両方が装飾図柄の変動パターンに割り当てられた時間内に表示される。
【0779】
事後期待演出が行われる場合の処理について、図176を参照しつつ説明する。図176は、液晶表示装置1400の図柄表示領域1410に表示される装飾図柄の変動パターンおよび付加演出を示すタイムチャートであり、主制御基板4100から周辺制御基板4140に送信された変動番号情報が、(a)変動番号「18」であることを示す情報である場合、(b)変動番号「1」であることを示す情報である場合、(c)変動番号「6」であることを示す情報である場合、(d)変動番号「11」であることを示す情報である場合、についてのタイムチャートである。
【0780】
なお、図176(a)?(d)に示される変動パターンは、いずれも、変動パターンテーブルに基づいて決定された当該変動演出であるが、後述するように、周辺制御基板4140が独自に選択した装飾図柄の図柄変動演出としての事後変動演出を行うようにしてもよい。
【0781】
変動番号「18」である旨の情報が主制御基板4100から周辺制御基板4140にコマンド送信された場合、図176(a)に示されるように、液晶表示装置1140(より具体的には後述する図柄表示領域1410)には、スーパーリーチBが表示されたのち、スーパーリーチBに発展し、当否判定処理の結果が当りである旨が表示される変動パターンに割り当てられた時間内に、通常付加演出と特殊付加演出とが重複して表示される。これにより、装飾図柄の変動演出に伴う今回の当否判定処理の結果に対する期待度の向上のみならず、これを超越する演出(すなわち、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度を向上させる演出)を実現することが可能となる。
【0782】
変動番号「1」である旨の情報が主制御基板4100から周辺制御基板4140にコマンド送信された場合、図176(b)に示されるように、液晶表示装置1140(より具体的には後述する図柄表示領域1410)には、複数の変動パターンのうち当否判定処理の結果が当りである旨の期待度が低い部類に含まれる変動パターンである通常変動に割り当てられた時間内に、通常付加演出と特殊付加演出とのうち特殊付加演出のみが表示される。これにより、たとえ当否判定処理の結果が当りである旨の期待度が低い変動パターンが表示されたとしても、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度を維持することができ、興趣の低下を抑制できる。なお、「複数の変動パターンのうち当否判定処理の結果が当りである旨の期待度が低い部類」には、例えば変動番号「1」?「10」が属するといえる。これに対して、例えば変動番号「11」?「20」は、「複数の変動パターンのうち当否判定処理の結果が当りである旨の期待度が高い部類」に属するといえる。
【0783】
変動番号「6」である旨の情報が主制御基板4100から周辺制御基板4140にコマンド送信された場合、図176(c)に示されるように、液晶表示装置1140(より具体的には後述する図柄表示領域1410)には、ノーマルリーチ変動Aが表示されたのちに、全ての装飾図柄がいかにも停止表示されたかのような仮停止状態となる変動パターンに割り当てられた時間内に、通常付加演出と特殊付加演出とのうち特殊付加演出のみが表示される。このとき、今回期待演出としての当該変動演出(装飾図柄の変動パターン)と特殊付加演出とが重複して行われるのではなく、全ての装飾図柄が仮停止されたのちに、変動パターン「6」に割り当てられた時間のうちノーマルリーチ変動Aに要する時間よりも長い時間にわたって、例えばストーリー演出のような特殊付加演出が行われる。すなわち、変動パターン「6」に割り当てられた時間のうち、今回の当否判定処理の結果が示唆される当該変動演出に要する時間よりも長い時間にわたって、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度を向上させる演出に割り当てられることになる。これにより、今回の当否判定処理の結果に対する期待度演出(今回期待演出)と、未だ当否判定が行われておらず事後に変動される事後変動(保留状態にある特別乱数)についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度演出(事後期待演出)との競合演出を排除して、液晶表示装置1400の演出領域の略全域(装飾図柄の図柄変動演出が行われる領域)を使った事後変動の演出を、当否判定処理が行われるよりも前に延長して実現可能となる。
【0784】
変動番号「11」である旨の情報が主制御基板4100から周辺制御基板4140にコマンド送信された場合、図176(d)に示されるように、液晶表示装置1140(より具体的には後述する図柄表示領域1410)には、スーパーリーチ変動Aが表示されたのちに、当否判定処理の結果がハズレである旨が表示される変動パターンに割り当てられた時間内に、今回期待演出としての通常付加演出と、事後期待演出としての特殊付加演出との両方が表示される。具体的には、全ての装飾図柄の変動が開始されたのちであって且つリーチにいたる前に、今回期待演出として、当否判定処理の結果がいかにもハズレであるかのような期待度の低い演出が表示される。そしてその後スーパーリーチ変動Aが表示される。このとき、たとえ、今回の当否判定処理の結果が当りである旨の期待感を持つことができるスーパーリーチ変動Aが表示されたとしても、当否判定処理の結果がいかにもハズレであるかのような期待度の低い通常付加演出が表示されていることから、遊技者は、当否判定処理の結果が当りであることの期待感を持って遊技を継続することが困難となる。そこで、このスーパーリーチ変動Aに割り当てられた時間内に、液晶表示装置1140(より具体的には後述する図柄表示領域1410)にて特殊付加演出を表示するようにしたものである。これにより、遊技者は、今回の当否判定処理の結果が当りであることの期待感を持てなくなったとしても、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度を維持することができ、興趣の低下を抑制できる。
【0785】
以上、主制御基板4100から周辺制御基板4140にコマンド送信された変動パターン情報が特定の変動パターンである旨の情報であるときに液晶表示装置1400に表示される演出の一例について、図176(a)?(d)を参照しつつ説明したが、これらはいずれも、本来であれば装飾図柄の変動パターンに費やされるべき時間の一部を利用して、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度演出が行われるようにしたものである。これにより、今回の当否判定処理の結果に対する期待度のみならず、これを超越する期待度を実現することが可能となる。その結果、今回の当否判定処理の結果に対する期待度を維持することが困難な表示演出が行われたとしても、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待感を持って遊技を行うことが可能となり、興趣の低下を抑制できる。
【0786】
なお、上記によれば、主制御基板4100から周辺制御基板4140にコマンド送信された装飾図柄の変動パターン情報が特定の変動パターンである旨の情報であるときに、当該特定の変動パターンに割り当てられた時間内に、事後期待演出をが行うか否かが決定されるが、これに限られない。例えば、周辺制御基板4140が、特殊演出フラグまたはフェイク特殊演出フラグがオンであるときに、何れの変動パターンであっても事後期待演出をが行うか否かを決定するようにしてもよい。このとき、周辺制御基板4140は、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれている場合に、主制御基板4100からコマンド送信された装飾図柄の変動パターン情報に応じて異なる確率で事後期待演出が行われるように決定しうる事後期待演出実行決定手段を有することが好ましい。
【0787】
例えば、当否判定処理の結果が当りとなる期待度合いが低い装飾図柄の変動が行われているときよりも、スペシャルリーチ変動のように当否判定処理の結果が当りとなる期待度合いが高いリーチ変動が行われているときのほうが高い確率で事後期待演出を行うようにしてもよい(第1のコントロール手法)。このとき、事後に行われる当否判定処理に対する期待度がさらに付加されて、当否判定処理の結果が当りとなる期待感をより大きくアピールすることができるようになる。
【0788】
これに対し、当否判定処理の結果が当りとなる期待度合いが高い装飾図柄の変動パターンが表示されているときよりも、今回の当否判定処理の結果が当りとなる期待度合いが低い装飾図柄の変動パターンが表示されているときのほうが高い確率で、事後期待演出についての演出時間を割り当てるようにしてもよい(第2のコントロール手法)。このとき、装飾図柄の変動パターンとしての当該変動演出だけでは持続させ難い上記所定の図柄表示領域1410における期待感が、事後期待演出によってうまく補填されるかのような抜け目のない効率的な期待演出を実現することができるようになる。ただし、例えば300分の1といった低く設定されることの多い当否判定処理にて当りと判定される確率(当選確率)と相まって、上記所定の図柄表示領域1410においては、当否判定処理の結果が当りと判定される期待度合いが低い装飾図柄の変動パターンが表示されることが多いことに鑑みれば、上記第1のコントロール手法よりも上記第2のコントロール手法を採用するようにすることが好ましい。すなわちこの場合、装飾図柄の変動パターンにかかる演出時間の一部を、事後期待演出に比較的高い頻度で割り当てることができるようになり、これによって上記所定の図柄表示領域1410にて現れる演出表示に対する遊技者の期待感の底上げが適切に図られるようになる。
【0789】
第2のコントロール手法が採用されるにあたっては、例えば、n番目(nは3または4)に保留解除される第nの保留記憶領域に特殊演出フラグオンの特別乱数が保留されているとしたときに、例えば1番目に保留解除される(今回の変動対象となる)特別乱数についての変動パターンが、スペシャルリーチ変動のような高期待変動パターンであるときには、2番目以降に保留解除される特別乱数についての変動パターンが送信されるまで、事後期待演出の実行を待機するようにすると好ましい。このように、例えば1番目に保留解除される特別乱数についての変動パターンがスペシャルリーチ変動のような高期待変動パターンであるときには、この高期待変動パターンにおいて事後期待演出を実行する確率を0%とすることで待機してもよいが、この高期待変動パターンにおいて事後期待演出を実行する確率(例えば30%)を、2番目に保留解除される特別乱数についての変動パターンにおいて事後期待演出を実行する確率(例えば70%)よりも低くすることによって待機されやすいようにしてもよい。
【0790】
また、事後期待演出を行う旨の決定は、周辺制御基板4140が、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれているときに、特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれていないときよりも高い確率で決定されるようにすると好ましい。
【0791】
ところで、上記では、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度が向上しうる事後期待演出として、主制御基板4100から送信された変動パターンに割り当てられた時間内に、例えばキャラクタの動作等が付加される特殊付加演出を採用することによって実現しているが、これに限られない。例えば、主制御基板4100から送信された装飾図柄の変動パターンに代えて、周辺制御基板4140により独自に選択された装飾図柄の変動パターンとしての事後変動演出を表示することによって、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度を向上させることが可能となる。
【0792】
例えば図176(c)では、ノーマルリーチ変動Aが表示されたのちに全ての装飾図柄がいかにも停止表示されたかのような仮停止状態となる変動パターンに割り当てられた時間内に特殊付加演出が表示されるようにしているが、これに限られず、周辺制御基板4140により独自に選択された変動パターンを、次のように表示することができる。例えば、主制御基板4100から周辺制御基板4140にコマンド送信された装飾図柄の変動パターン情報が特定の変動パターンである旨の情報である場合には、周辺制御基板4140は、上記所定の始動条件が成立したときに主制御基板4100から送信された変動パターン(今回の変動対象となる始動記憶の変動パターン)に代えて、周辺制御ROM4140bに記憶された割当演出テーブル(図示せず)に基づいて独自の変動パターンに決定することによって実現できる。このとき、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に、特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれていれば、特殊演出判定処理の結果が当りである旨の変動パターンに決定される。また、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に、特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれていなければ、特殊演出判定処理の結果がハズレである旨の変動パターンに決定される。
【0793】
ただし、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれている場合に、特殊演出判定処理の結果がハズレである旨を示唆する事後期待演出を所定の割合で行うようにしたり、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数に特殊演出フラグオンまたはフェイク特殊演出フラグオンの特別乱数が含まれていない場合に、特殊演出判定処理の結果が当りである旨を示唆する事後期待演出を所定の割合で行うようにしてもよい。
【0794】
なお、主制御基板4100から送信された変動パターンに代えて、周辺制御ROM4140bに記憶された割当演出テーブルに基づいて、周辺制御基板4140により独自の変動パターンに決定される場合には、特定の変動パターンとしては、例えば変動番号「11」、「13」、「15」、「17」または「19」のように、変動時間が相対的に長い変動パターンであることが好ましい。さらに、後述するようにスーパーリーチ変動を強制的に終了する観点から言えば、変動番号「13」または「17」のように発展形のスーパーリーチ変動であることが好ましい。周辺制御ROM4140bに記憶された割当演出テーブルに基づいて独自の変動パターンに決定する場合、図175の変動番号「6」の変動パターンは不要となる。
【0795】
上記の割当演出テーブルに記憶された変動パターンは、主制御基板4100から送信された装飾図柄の変動パターンと同じ変動時間に設定されているものの、主制御基板4100から送信された変動番号情報に基づく装飾図柄の変動パターン(すなわち今回の当否判定処理の対象となっている特別乱数についての変動パターン)を中途で強制的に終了し、残りの時間を、特殊演出判定処理の結果にかかわる期待度演出に割り当てた変動パターンである。例えば、主制御基板4100から送信された変動番号情報が変動番号「13」であるときには、スーパーリーチ変動Aは行われるもののスーパーリーチA(発展)が行われずに、スーパーリーチ変動Aが行われたのちに装飾図柄が仮停止し(この時点で今回の当否判定処理の結果に対する期待感は喪失される)、その後、装飾図柄の変動が行われる図柄変動領域にて特殊演出判定処理の結果にかかわる期待度演出が行われる。これにより、図176(c)の場合と同様に、今回の当否判定処理の結果に対する期待度演出(今回の当否判定処理の対象となっている特別乱数についての変動パターン)と、未だ当否判定が行われておらず事後に変動される事後変動(保留状態にある特別乱数)についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度演出との競合演出を排除して、液晶表示装置1400の演出領域の略全域(装飾図柄の図柄変動演出が行われる図柄表示領域1410)を使った事後変動の演出を、当否判定処理が行われるよりも前に延長して実現可能となる。なお、特殊演出判定処理の結果にかかわる期待度演出は、例えば、複数のキャラクタによる勝負演出であり、特定のキャラクタが勝負に勝った場合には、未だ当否判定処理が行われていない特別乱数(保留状態にある特別乱数)についての特殊演出判定処理の結果が当りである期待度が高い旨が示唆される。なお、中途で強制的に終了させるタイミングとしては、主制御基板4100から送信された装飾図柄の変動パターンに基づく変動時間のうちの早い段階(変動時間を14秒とするとき、その1/2である7秒よりも早い時期(3秒など)であることが、事後変動(保留状態にある特別乱数)についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度演出を、当該変動時間内における主体的な演出として位置づける上で重要である。また、変動パターンを中途で強制終了させる手法としては、装飾図柄を中途にて仮停止させる手法に限らず、強制終了された時点で今回の当否判定処理の結果に対する期待感が喪失されるようなもの、例えば装飾図柄を中途にて突然視認できなくさせる手法などであってもよい。
【0796】
そして次に、周辺制御基板4140では、変動パターン(主制御基板4100から送信された装飾図柄の変動パターン、または、独自に決定した変動パターン)にかかる情報を表示コマンドとして液晶制御基板4150に出力する。これにより、上記主制御基板4100から送信された変動パターンまたは周辺制御基板4140独自に決定された変動パターンの内容が上記液晶表示装置1400にて現れるようになる。またこの際、こうした表示演出の内容が選択されたことに応じて生成された情報(コマンド)が、ランプ駆動基板3011や、モータ駆動基板3013や、音源IC4140cなどに適宜に出力されることによって、上記液晶表示装置1400における表示演出と連動した各種の演出が実現されている。
【0797】
なお、本実施形態では、上記液晶表示装置1400の表示画面にて特別な図柄組み合わせ(3つの装飾図柄ZG1?ZG3が全て揃った数字にて現れる図柄組み合わせ)が現れたときには、大当りが当選されたことが示唆される。
【0798】
(ステップアップ予告演出)
図177及び図178は、周辺制御基板4140による表示演出の内容として、いわゆるステップアップ予告演出が行われることが判断されたときに上記液晶表示装置1400にて現れる表示画像の一例である。本実施形態では、変動番号「12」、「13」、「16」および「17」の発展形の変動パターンが、ステップアップ予告演出に相当する。なおここでは、液晶表示装置1400の周辺に設けられる各種役物についてはその図示を割愛している。
【0799】
すなわち、いま、図177(a)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が上記表示画面にてそれぞれ停止表示されている状態にあるときに、所定の始動条件が成立され、周辺制御基板4140にてステップアップ予告演出が行われることが判断されたとする。
【0800】
すると、周辺制御基板4140ではまず、上記液晶表示装置1400にて表示されている3つの装飾図柄ZG1?ZG3の変動表示を開始させる。次いで、図177(b)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が変動表示されているもとで、「ウナギイヌ」として表現されているステップ1用の第1キャラクタCR1を登場させる。
【0801】
そして次に、図177(c)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が変動表示されているもとで、警察官の格好をしたステップ2用の第2キャラクタCR2を新たに登場させる。なおこの際、ステップ1用の第1キャラクタCR1については第2キャラクタCR2を見て驚いた顔をするように表現されている。
【0802】
そして次に、図177(d)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が変動表示されているもとで、むぎわら帽子をかぶったオジサンとして表現されているステップ3用の第3キャラクタCR3を新たに登場させる。なおこの時点では、ステップ1用の第1キャラクタCR1については上記液晶表示装置1400の表示画面外に逃げ出しており、表示されていない。また、ステップ2用の第2キャラクタCR2は、釣りをするようなかたちで演出表示されている。
【0803】
そして次に、図178(e)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が変動表示されているもとで、ハチマキをしたオジサンとして表現されているステップ4用の第4キャラクタCR4を新たに登場させる。なおこの時点では、ステップ1用の第1キャラクタCR1については上記液晶表示装置1400の表示画面外に逃げ出しており、表示されていない。また、ステップ2用の第2キャラクタCR2は、釣りをするようなかたちで演出表示されている。また、ステップ3用の第3キャラクタCR3は、第2キャラクタCR2の釣りを手伝うようなかたちで演出表示されている。
【0804】
そして次に、図178(f)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が変動表示されているもとで、第2キャラクタCR2によって釣られたサメとして表現されているステップ5用の第5キャラクタCR5を新たに登場させる。なおこの時点では、ステップ1用の第1キャラクタCR1については上記液晶表示装置1400の表示画面外に逃げ出しており、表示されていない。また、ステップ2用の第2キャラクタCR2、ステップ3用の第3キャラクタCR3、ステップ4用の第4キャラクタCR4はそれぞれステップ5用の第5キャラクタCR5が新たに登場したことに驚愕したり喜んだりするようなかたちで演出表示されている。
【0805】
このように、本実施形態のステップアップ予告演出では、3つの装飾図柄ZG1?ZG3(複数の画像図柄)が液晶表示装置1400の表示画面にて変動表示されるとき、それら装飾図柄ZG1?ZG3の全てが停止表示されるのに先立って、液晶表示装置1400の表示画面における表示演出が段階的に発展し得るように複数の予告演出シーン(図177(b)?(d)、図178(e)、(f))にてそれぞれ表示されている5つの予告演出シーン)を順次に表示可能としている。
【0806】
ただし、これら5つの予告演出シーン(図177(b)?(d)、図178(e)、(f))は、周辺制御基板4140により判断される表示演出の内容によっては、必ずしも全て表示されるわけではない。例えば、5つのキャラクタCR1?CR5のうち、ステップ1用の第1キャラクタCR1(図177(b))が登場しただけで当該ステップアップ演出が終了し、その後に上記3つの装飾図柄ZG1?ZG3が停止表示されてしまう場合がある。また同様に、ステップ2用の第2キャラクタCR2(図177(c))が登場した時点や、ステップ3用の第3キャラクタCR3(図177(d))が登場した時点や、ステップ4用の第4キャラクタCR4(図178(e))が登場した時点で当該ステップアップ演出が終了し、その後に上記3つの装飾図柄ZG1?ZG3が停止表示されてしまう場合がある。
【0807】
すなわち、このステップアップ演出では、それら予告演出シーンが順次に表示された回数が多いほど、上記液晶表示装置1400の表示画面にて特別な図柄組み合わせ(例えば、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が全て揃った数字にて現れる図柄組み合わせ)が現れる期待度(信頼度)が高いことを示唆するようにしている。
【0808】
ここで、期待度(信頼度)とは、特定の演出(ステップアップ予告演出や、ウナギイヌチャンス演出や、下可動装飾体演出や、背景チェンジ演出など)や特定の表示態様(黒色や白色の第1キャラクタCR1)が現れたときに大当り遊技(特別遊技)が付与されることを期待することができる程度を表すものである。特定の演出や特定の表示態様に対する期待度としては、例えば、大当りが当選されているときに、特定の演出や特定の表示態様が現れる表示演出を実行させる比率(当り時実行比率)と、大当りが当選されていないとき(ハズレのとき)に、特定の演出や特定の表示態様が現れる表示演出を実行させる比率(ハズレ時実行比率)とによって設定することが可能である。この値が大きいほど期待度は高くなり、小さいほど期待度は低くなる。
【0809】
なお、本実施形態では、第3キャラクタCR3の登場によってリーチ演出が予告表示(確定)されるとともに、第4キャラクタCR4の登場によって上記背景画像が変更されたもとで行われるリーチ演出(スーパーリーチ演出)が予告表示(確定)される。また、第5キャラクタCR5の登場によって大当りが当選されている期待度が極めて高いことが示唆される。
【0810】
ただし上述の通り、このように複数のキャラクタCR1?CR5が段階的に発展表示され得るステップアップ予告演出においては、それら複数のキャラクタCR1?CR5のうちの最初の第1キャラクタCR1しか表示されないようなことがある。そしてこの場合、例えばリーチ演出が行われないことが確定してしまうなど、特別な図柄組み合わせにて停止表示される可能性が低いこと、すなわち期待値が低いことを示唆することとなってしまうことから、当該ステップアップ予告演出によって遊技興趣が逆に低下する懸念がある。
【0811】
また、こうしたステップアップ予告演出にて段階的に発展表示され得るキャラクタCR1?CR5のうち、最初に現れる第1キャラクタCR1は、上記液晶表示装置1400の表示画面に登場してもほとんど期待度が上がらないような、そもそもの期待度の低い画像であるとして遊技者から忌み嫌われる傾向にあり、第1キャラクタCR1が表示されるだけでも遊技興趣が低下してしまいかねない。また、第1キャラクタCR1が登場した後に上記複数のキャラクタCR2?CR5が段階的に発展表示されたとしても、遊技者は、期待度が着実に上がっていることの実感を覚え難いといった懸念もある。
【0812】
そこで、本実施形態では、上記ステップ予告演出にて段階的に発展表示され得るキャラクタCR1?CR5(複数の予告演出シーン)のうちの最初に表示される第1キャラクタCR1(特定の予告演出シーン)のみが上記液晶表示装置1400の表示画面にて登場するとき、この第1キャラクタCR1の登場シーン(特定の予告演出シーン)を繰り返すように連続表示し得ることによって上記期待度の高さを予告表示することが可能とされている(特定予告連続演出手段)。
【0813】
すなわちこの場合、複数のキャラクタCR1?CR5(複数の予告演出シーン)のうち、最も低い期待度を持たせられた第1キャラクタCR1の登場シーン(特定の予告演出シーン)のみが繰り返されるように連続表示されることとなる(連続登場演出)。ただし、このような第1キャラクタCR1の登場シーンであってもこれが繰り返されるように連続表示されることで、もともと低かった期待度も、その積み重ねによって期待度が着実に上がっていることを遊技者に認識させることができるようになる。これにより、遊技者は、こうした繰り返しの連続表示を見るだけで、ある程度の期待度が持たせられた演出であることを認識可能となる。
【0814】
したがって、低い期待度を持たせられた第1キャラクタCR1の登場シーンのみが現れた場合における遊技興趣の低下を抑制することができるようになる。また、そもそもの期待度の低い第1キャラクタCR1なりに期待度を高くしようと努力している様子をみて、遊技者が、こうした第1キャラクタCR1の登場シーンに対して嫌悪感を覚えてしまうようなことを回避することができるようになり、これによって第1キャラクタCR1が表示されたときの遊技興趣の低下についてもこれを抑制することができるようになる。
【0815】
(連続ウナギイヌチャンス演出(連続登場演出))
図179は、周辺制御基板4140による表示演出の内容として、第1キャラクタCR1の連続登場演出が行われることが判断されたときに上記液晶表示装置1400にて現れる表示画像の一例である。なおここでも、液晶表示装置1400の周辺に設けられる各種役物についてはその図示を割愛している。
【0816】
すなわち、いま、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が上記表示画面にてそれぞれ停止表示されている状態にあるときに、所定の始動条件が成立され、周辺制御基板4140にて連続表示演出が行われることが判断されたとする。
【0817】
すると、周辺制御基板4140ではまず、上記液晶表示装置1400にて表示されている3つの装飾図柄ZG1?ZG3の変動表示を開始させる。次いで、図177(b)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が変動表示されているもとで、「ウナギイヌ」として表現されているステップ1用の第1キャラクタCR1を登場させる。これにより、複数のキャラクタCR1?CR5が段階的に発展表示され得るステップアップ予告演出が開始されたことが遊技者に認識されるようになる。
【0818】
ただしここでは、ステップ2用の第2キャラクタCR2を新たに登場させることはなく、上記登場した第1キャラクタCR1を上記液晶表示装置1400の表示画面外に逃げ出すように動作させる。そして、こうして複数のキャラクタCR1?CR5のうちの最初の第1キャラクタCR1しか表示されずに上記ステップアップ予告演出が終了したことを遊技者に認識させた後に、図179(a)に示されるように、第1キャラクタCR1を大きく表示して、「連続ウナギイヌチャンス(連続登場演出)」が行われることが示唆される演出を行う。
【0819】
そして次に、周辺制御基板4140では、図179(b)に示されるように、1回目の第1キャラクタCR1aの登場シーンを演出表示する。なおこの際、第1キャラクタCR1の登場シーンを最大5回連続して演出表示することが予告表示される連続予告表示領域HRを表示する。この連続予告表示領域HRでは、5つの表示画像が並ぶように表示されており、「連続ウナギイヌチャンス(連続登場演出)」にて第1キャラクタCR1が登場する都度、それら5つの表示画像のうちの右端の表示画像から順番にその表示態様が変化するようになっている。これにより、最大残り何回の登場シーンがあり、これまで何回の登場シーンが行われたかを認識可能となる。
【0820】
そして、周辺制御基板4140では、図179(c)に示されるように、1回目の登場シーンにて現れた第1キャラクタCR1aが上記液晶表示装置1400の表示画面外に逃げ出す前の、同表示画面内にて未だ表示されているような短い期間内に、2回目の第1キャラクタCR1bの登場シーンを演出表示する。このように、同一キャラであるにもかかわらず、重複した表示となる程度の短い期間内に第1キャラクタCR1aの登場シーンを連続して演出表示することで、もともと低かった期待度が積み重ねられてその期待度が着実に上がっていることを遊技者に認識させることができるようになる。なおこの際、連続予告表示領域HRでは、5つの表示画像のうちの右側の2つの表示画像の表示態様が変化して表示されることとなる。
【0821】
そして、こうした第1キャラクタCR1aの登場シーンについての連続的な表示は、図179(d)に示されるように、4回目の登場シーンにて現れた第1キャラクタCR1dが上記液晶表示装置1400の表示画面内にて未だ表示されているときに、5回目の第1キャラクタCR1eの登場シーンが演出表示されるまで繰り返し行われる。そしてこの結果、5回目の第1キャラクタCR1eの登場シーンが演出表示されたときには、図179(e)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3のうち、左側の装飾図柄ZG1と右側の装飾図柄ZG2とがリーチ状態を形成するように停止表示されることが確定されることとなる。
【0822】
このような連続表示演出では、上記3つの装飾図柄ZG1?ZG3の変動表示が開始されてから停止(擬似連の場合は仮停止)されるまでの短い期間内に、ステップ1用の第1キャラクタCR1の登場シーンを繰り返してこれが連続表示される。より正確に言えば、同一キャラが重複表示されるような短い期間内にて上記第1キャラクタCR1の登場シーンを連続表示し、これによって期待度が積み重ねられていることが表示画面内の表示に現れるようにしている。そして、こうして連続表示されるときに現れる演出態様によって上記特別な図柄組み合わせが現れる期待度の高さを予告表示するようにしている。
【0823】
すなわち、本実施形態では、第1キャラクタCR1の登場シーンが連続表示された回数が多いほど期待度が高いことを予告表示するようにしている。またさらに、第1キャラクタCR1の登場動作についての連続した演出表示では、期待度の低い表示態様が、連続して表示される都度、より期待度の高い表示態様に変更され得るようにしている。
【0824】
例えば、本実施形態において、第1キャラクタCR1は、本来、黒色の配色が施されたキャラクタであるが、この連続表示演出では、第1キャラクタCR1が登場する都度、黒色とは期待度の異なる配色(赤色や白色や金色)が施されて登場し得るようにしている。したがって、この連続表示演出では、第1キャラクタCR1が淡々と繰り返し登場する程度のものではなく、該登場の都度、上記第1キャラクタCR1の表示態様によって上記期待度が上がるチャンスを遊技者に短期間内に連続して付与するような極めて興趣の高い演出として行われることとなる。なお、赤色は黒色よりも期待度が高く、白色は赤色よりも期待度が高く、金色は大当り確定である。
【0825】
そして、こうした表示態様の変化が何回目の第1キャラクタCR1の登場シーンにて現れたのか、といった点でも期待度は異なるようになっている。例えば、期待度の高い配色が施された第1キャラクタCR1が早い段階で現れるほど、期待度を高くするようにすることが可能である。また、4回まで最低の期待度の配色が施された第1キャラクタCR1しか現れなかったものの、5回目で金色の配色が施された第1キャラクタCR1が登場するようにすれば、遊技者にとって大逆転の演出が実現することができるようになる。
【0826】
そして、本実施形態では、1回目から白色の配色が施された第1キャラクタCR1が登場したような場合など、当該連続表示演出にて現れた表示態様によっては、上記ステップアップ予告演出にて予告表示される期待度のうちの最も高い期待度(ステップ5用の第5キャラクタCR5が新たに登場する場合)よりもさらに高い期待度をもって、上記特別な図柄組み合わせが現れることを予告表示し得るようにしている。これにより、低い期待度を持たせられた第1キャラクタCR1の登場シーンのみが現れた場合における期待度のイメージの向上を適切に図ることができるようになる。
【0827】
このように、本実施形態では、連続登場演出の実行に際し、複数のキャラクタCR1?CR5のうちの最初の第1キャラクタCR1しか表示されずに上記ステップアップ予告演出が終了したことを遊技者に認識させるだけの所定時間を待つようにした。これにより、ステップアップ予告演出がどの段階で終了した場合であっても、ある程度の期待度は維持されるようになる。
【0828】
また、本実施形態では、前回登場した第1キャラクタCR1が上記表示画面にて未だ表示されている間に、次回の第1キャラクタCR1を新たに登場させるかたちで上記連続登場演出を行うようにした。すなわちこの場合、特定の第1キャラクタCR1が同一画面内にて複数表示されるようになるとともに、その登場シーンが連続表示されるときのスピードも高速にすることが可能となり、これによって当該第1キャラクタCR1の存在を強調させることができるようになる。
【0829】
なお、こうして第1キャラクタCR1が連続して登場するときには、その際の演出音や枠ランプ、等々といった表示演出以外の演出についても、同じ態様の演出が繰り返されるかたちで連続実行されるように、ランプ駆動基板3011や、モータ駆動基板3013や、音源IC4140cなどに適宜出力するようにすることが望ましい。このように全ての演出要素の動きが短期間内に繰り返される滑稽な演出によって、遊技者の注目を集めさせることができるようになる。
【0830】
また、連続登場演出の期待度が示唆される演出態様(連続表示されるときに現れる演出態様としては、上記液晶表示装置1400の表示画面内の表示態様に限られず、演出音の出力態様や枠ランプの点灯態様などによって期待度を表現してもよい。例えば、第1キャラクタCR1が登場する都度、演出音の出力態様を異なるようにしたり、枠ランプの出力態様を異なるようにしたりすることによって、期待度を表現するようにしてもよい。
【0831】
また、連続登場演出については、第1キャラクタCR1を1つだけ表示し、この表示した第1キャラクタCR1の逆送り再生シーンと順送り再生シーンとによって、その登場シーンが繰り返されるようにこれを連続表示するようにしてもよい。すなわちこの場合、一旦間違えた表示(黒ウナギ)をしてしまったものをパチンコ機1これ自身が訂正して表示白ウナギ)したようなイメージのもとで遊技させることが可能となり、ひいては遊技興趣の低下が抑制されるようになる。またこの際には、演出音や枠ランプ、等々といった表示演出以外の演出についても、逆戻りと順送りとによって、液晶表示装置1400の表示画面内の演出に協調するようにすることが望ましい。
【0832】
また、本実施形態の連続登場演出では、第1キャラクタCR1が登場する都度、この登場した第1キャラクタCR1が上記液晶表示装置1400の表示画面外に逃げ出すような演出を行って、当該表示画面には最大で2つの第1キャラクタCR1だけしか表示されないようにしている。ただし、第1キャラクタCR1が登場する都度、この登場した第1キャラクタCR1を上記液晶表示装置1400の表示画面内に待機させておき、全ての第1キャラクタCR1が登場した時点で、それら登場した第1キャラクタCR1が群となって表示画面外に移動する演出を行うようにすることがより望ましい。すなわちこの場合、より多くの第1キャラクタCR1が群となって表示画面外に移動する演出が行われるほど、期待度が高いことを認識させやすくなり、これによって第1キャラクタCR1の登場シーンがどれだけ繰り返されるかについてより興味を持たせて演出を行うことができるようになる。またこの場合、群予告を行うにあたっての前演出、同群予告における期待度を段階的に事前示唆する演出、等々として位置付けされることにもなる。
【0833】
また、本実施形態では、連続登場演出の実行に際し、複数のキャラクタCR1?CR5のうちの最初の第1キャラクタCR1しか表示されずに上記ステップアップ予告演出が終了したことを遊技者に認識させるような表示を行うこととした。ただし、上記ステップアップ予告演出にて用いられる第1キャラクタCR1が表示されてすぐに、2回目の第1キャラクタCR1が連続して表示されるようにしてもよい。すなわちこの場合、ステップアップ予告演出が段階的に発展し得る状況(第1キャラクタCR2が登場し得る状況)にあって、突然に連続登場演出が行われることとなり、これによってサプライズのもとで当該連続登場演出を行うことができるようになる。
【0834】
また、本実施形態では、ステップアップ予告演出にて現れる複数のキャラクタCR1?CR5のうちの最初の第1キャラクタCR1を用い、この第1キャラクタCR1の登場シーン(登場動作)が繰り返されるようにこれを連続表示することとした。ただし、特別な図柄組み合わせが現れる期待度が示唆される適宜の期待演出において、当該演出にて表示され得る表示態様(例えば、攻撃する動作態様(パンチ、キック、遠距離攻撃))のうちの期待度の低い表示態様(例えば、パンチ)とされた特定画像が現れるような場合がある。そしてこの際、期待度の低い表示態様(例えば、パンチ)とされた特定画像による特定の動作(パンチ攻撃)が繰り返されるように連続して演出表示するようにしてもよい。
【0835】
このような低い期待度を持たせられた特定の動作であってもこれが繰り返されるように連続表示されることで、もともと低かった期待度も、その積み重ねによって期待度が着実に上がっていることを遊技者に認識させることができるようになる。これにより、遊技者は、こうした繰り返しの連続表示を見るだけで、ある程度の期待度が持たせられた演出であることを認識可能となる。また、期待度の低い表示態様の繰り返しの際には、その特定の動作(パンチ攻撃)の種類を変えることなく、その表示態様(上視点から見たパンチ攻撃、前視点から見たパンチ攻撃、下視点から見たパンチ攻撃など)のみを変えることによって期待度が上がるチャンスを連続表示される都度付与するようにすることがより望ましい。
【0836】
(下可動装飾体演出)
ここで、下可動装飾体演出とは、上記下可動装飾体3300を用いた演出のことである。すなわち上述の通り、上記下可動装飾体3300については、本来、3つの装飾図柄ZG1?ZG3の全てが停止表示されるのに先立って、上記液晶表示装置1400の表示画面の投影面内にその投影面外から移動させるとともに該投影面内にて当該下可動装飾体3300による所定の移動時演出を行うべく用意されたものである(図153、図154など参照)。すなわちこの場合、所定の移動時演出が行われることによって、上記表示画面にて特別な図柄組み合わせが現れる期待度が高いことが予告表示され得ることとなる。
【0837】
しかしながら、大型の役物(下可動装飾体3300)が用意されるこのようなパチンコ機では、下可動装飾体3300による所定の移動時演出が行われないときにはこれを演出に用い難いばかりか、遊技領域605としてのスペースが圧迫されてしまうなど、同下可動装飾体3300が邪魔な存在にもなりかねない。
【0838】
特に、大型な下可動装飾体3300による演出は、遊技者にとってインパクトの強いものであることから、期待度の高い演出として採用されることが多い。このため、大型な下可動装飾体3300は、動作せずにひたすら静止状態とされるようなことが多く、こうした静止状態におけるデメリットは無視できない問題となっていた。
【0839】
なお、こうした問題を受けて、可動体による演出が実際には行われないにもかかわらず、微動や振動だけすることによって可動体による演出が行われるかもしれないことを示唆し、これによって非演出状態におけるデメリットの解消を意図したものも知られている。ただしこの場合、これまで見えていなかったもの、全く演出をしていなかったものが突然に動き出して遊技者に対してサプライズ的な印象のもとで演出を行う、といった可動体演出としての重要な部分が喪失されてしまう。
【0840】
この点、本実施形態にかかるパチンコ機1では、上述の通り、透過性をもった板状部としての遊技パネル600を有しており、該遊技パネル600を沿うように上記遊技領域605に打ち込まれた遊技球を流下させるものとなっている。そして、下可動装飾体3300による所定の移動時演出が行われないとき、当該下可動装飾体3300については、上記表示画面の投影面外であって、且つ上記遊技パネル600の裏側スペースに収容するようにしている。このため、下可動装飾体3300による移動時演出が行われないときに遊技領域605としてのスペースが圧迫されてしまうようなことが好適に回避されるようになる。
【0841】
また、こうして遊技パネル600の裏側スペースに上記下可動装飾体3300が収容されている間も、該収容されている下可動装飾体3300を用いた所定の収容時演出が、上記遊技球の流下経路となる上記透過性をもった遊技パネル600を通して遊技者に視認可能とされるように実行可能となる。したがって、下可動装飾体3300による移動演出が行われないときにもこれを演出に用いることが可能となり、これによって下可動装飾体3300による移動時演出が行われないときの遊技興趣についてもこれを好適に維持することができるようになる。
【0842】
また、下可動装飾体3300による所定の収容時演出については、遊技球の流下経路となる上記透過性をもった遊技パネル600を通して実行可能としたため、遊技者が遊技球の流下状況を確認しているときに上記液晶表示装置1400の表示画面にて期待度の高い演出が行われるような場合であっても、遊技球の流下経路にて行われる上記収容時演出によって上記表示画面における演出への注目が促されるようになるため、これを見逃してしまうようなことが抑制されるようになる。
【0843】
図180及び図181は、周辺制御基板4140による表示演出の内容として、下可動装飾体3300を用いた演出(この実施形態では、擬似変動演出)が行われることが判断されたときに上記液晶表示装置1400にて現れる表示画像の一例である。
【0844】
すなわち、いま、図180(a)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が上記表示画面にてそれぞれ停止表示されている状態にあるときに、所定の始動条件が成立され、周辺制御基板4140にて擬似変動演出が行われることが判断されたとする。
【0845】
すると、周辺制御基板4140ではまず、図180(b)に示されるように、上記液晶表示装置1400にて表示されている3つの装飾図柄ZG1?ZG3の変動表示を開始させる。次いで、図180(c)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3の変動表示が終了したかのように見せる仮停止の状態にて表示(停止表示演出)する。なお、この停止表示演出では、3つの装飾図柄ZG1?ZG3は、実際には、わずかに変動表示されている。
【0846】
そして次に、周辺制御基板4140では、図180(d)に示されるように、上記液晶表示装置1400の表示画面の左外側にて配設されている上記センター枠可動装飾体2350を当該表示画面内に入り込むように動作させる。そして、センター枠可動装飾体2350によるこうした動作に上記液晶表示装置1400が反応したかのような演出をその表示画面内の表示演出によって行う。またこの際、上記透明板状の遊技パネル600を通して上記下可動装飾体3300による発光演出(収容時演出)を行うことで、上記液晶表示装置1400の表示画面における発光演出がその表示画面外まで広がったような演出を実現するようにしている。
【0847】
そして、こうした液晶表示装置1400と下可動装飾体3300との間での協調演出が行われた後、周辺制御基板4140では次に、図180(e)に示されるように、装飾図柄ZG1?ZG3の仮停止の状態が解除されるかたちでその変動表示を実行させることで、2回目の変動表示が保留消化されることなく行われたかのように見せる擬似変動演出(1回目の擬似変動)を行う。
【0848】
なお、こうした擬似変動演出は、仮停止の状態とその解除との間で実現される擬似変動が繰り返される都度、期待度が高くなることを示唆することとなるが、ここでは説明の便宜上、1回の擬似変動にてリーチ演出が行われる場合とする。ただし、上記下可動装飾体3300による発光演出(収容時演出)については、1回目の擬似変動が開始されるときと、2回目の擬似変動が開始されるときと、3回目の擬似変動が開始されるときとでは(擬似変動の回数によって)、その発光色を異ならせるようにすることが、上記特別な図柄組み合わせが現れる期待度を示唆する上でより望ましい。ただし、この収容時演出が行われたときに上記液晶表示装置1400の表示画面にて特別な図柄組み合わせが現れる確率は「50%」を下回る程度の確率としておくことが望ましい。
【0849】
そして次に、周辺制御基板4140では、図181(f)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3のうち、左側の装飾図柄ZG1と右側の装飾図柄ZG2とがリーチ状態を形成するように停止表示させる。次いで、図181(g)に示されるように、背景画像が変更されたもとで行われるリーチ演出(スーパーリーチ演出)を表示する。このスーパーリーチ演出では、二人の男キャラが上記特別な図柄組み合わせが現れるために必要な図柄「4」を捕まえにいく表示が行われている。
【0850】
そして次に、周辺制御基板4140では、図181(h)に示されるように、二人の男キャラが図柄「4」を捕まえるのに失敗して、大当りが当選されないことが示唆される図柄組み合わせを表示する。
【0851】
そして、こうして大当りが当選されないことが示唆される図柄組み合わせが表示された後、周辺制御基板4140では、上記下可動装飾体3300を、液晶表示装置1400の下側から液晶表示装置1400の前面へ移動させるとともに、この移動した箇所にて、図181(i)に示されるように、上記液晶表示装置1400における表示演出と協働した所定の移動時演出(発光演出)を行う。
【0852】
なお、この移動時演出は、上記下可動装飾体3300が上記遊技パネル600の裏側スペースに収容されているときの収容時演出よりもその期待度は高くなっている。より具体的には、この移動時演出が現れたときには例えば「50%」を超える確率で、図181(j)に示されるように、上記液晶表示装置1400の表示画面にて特別な図柄組み合わせが現れるようになっている。ただし、このような移動時演出が現れたときには、上記液晶表示装置1400の表示画面にて特別な図柄組み合わせが現れることが確定されるようにすることが、上記下可動装飾体3300が露わにされることなく行われる収容時演出との区別を付ける上でより望ましい。
【0853】
ここで、本実施形態では、表示画面の投影面内にて行われる上記下可動装飾体3300による所定の移動時演出のほうが、上記表示画面の投影面外であって、且つ透過性をもった上記遊技パネル600の裏側スペースにて行われる上記下可動装飾体3300による所定の収容時演出よりも、特別な図柄組み合わせが現れる期待度を高くすることとした。すなわち、こうした期待度の高い移動時演出を実現するにあたって用意した下可動装飾体3300を、期待度の低い収容時演出においても利用されるようにしたことで、当該下可動装飾体3300を用いた演出の実行頻度の向上を図ることができるようになる。また、期待度の高い移動時演出が行われないときに上記下可動装飾体3300が収容されるスペース(従来においては死にスペース)についてもこれを演出用のスペースとして活用することができるようになり、これによってパネル全体を用いた演出が実現され易くなる。
【0854】
ただし、このように期待度の異なる演出が同一の下可動装飾体3300を用いて行われる場合、下可動装飾体3300による演出が行われたときの期待度を遊技者が把握し難くなりかねない。この点、本実施形態では、期待度の低い側の演出では、遊技者と下可動装飾体3300との間の透過性をもった遊技パネル600を通して当該下可動装飾体3300による収容時演出を行うようにしている。すなわちこの場合、遊技者に対して同一の下可動装飾体3300による演出を行ったとしても、遊技パネル600を通して見る下可動装飾体3300と、遊技パネル600を通さずに直接見る下可動装飾体3300とでは視認したときの形態が異なるように見えることから、下可動装飾体3300による演出が行われたときの期待度を遊技者が把握し難くなってしまうことを回避することができるようになる。この意味では、下可動装飾体3300については100%未満の透過性をもった材料や、有色材料など、遊技パネル600を通してみたときの下可動装飾体3300の形態を異ならしめることの可能な材料により構成されるようにすることが望ましい。
【0855】
より好ましくは、遊技パネル600については、その裏側スペースにて収容された上記下可動装飾体3300が収容時演出によって発光されない限りは、その存在を遊技者が認識し難くなる程度の低さの透過性や有色性をもった材料であることが望ましい。すなわちこの場合、遊技者が注視し易い遊技球の流下経路の裏側にて上記下可動装飾体3300を収容させるようにしても、収容時演出が行われない通常の状態にあるときにはそれを意識することなく遊技することが可能となる。また、収容時演出が行われたときには、それまで意識していなかった下可動装飾体3300による演出が行われることによって、遊技者は、サプライズ的な印象のもとで大当りへの期待感を持つことができるようになる。
【0856】
また、収容時演出については、下可動装飾体3300の外形が現れないようなかたちで同下可動装飾体3300に設けられる発光部が発光する演出として行うようにすることが望ましい。これにより、収容時演出によって下可動装飾体3300の外形が露わになってしまうようなことが抑制されるようになり、当該収容時演出よりも期待度の高い上記移動時演出が行われるときの期待感を好適に維持することができるようになる。またその後に、移動時演出が行われた場合であっても、別の部材を利用した演出であるように見えるため、当該移動時演出の期待度に悪影響を及ぼしてしまうこともより好適に回避されるようになる。すなわち、収容時においても適切な演出を実行可能としつつも、これまで見えていなかったもの、全く演出をしていなかったものが突然に動き出して遊技者に対してサプライズ的な印象のもとで演出を行う、といった可動体演出としての重要な部分を確保することができるようになる。なおこの場合、下可動装飾体3300に設けられる発光部は、下可動装飾体3300の外形が現れないような発光態様(輝度や発光パターン)にて発光するか、予め下可動装飾体3300の外形が現れないような配列にて設けられることとなる。
【0857】
なお、下可動装飾体3300による収容時演出や移動時演出についてはこれを発光演出としてそれぞれ実現した。ただし、この発光演出は、下可動装飾体3300これ自体が発光するものでなくてもよく、他の部材(液晶表示装置1400)からの発光によって下可動装飾体3300が光っているように見えるものであってもよい。
【0858】
(背景チェンジ演出)
ここで、背景チェンジ演出とは、上記液晶表示装置1400の表示画面における演出表示によって背景画像が変更される演出のことである。
【0859】
すなわち、3つの装飾図柄ZG1?ZG3の背後にて表示される背景画像についてはその表示を恒常的に行う必要がある都合上、背景画像を切り替える際にはこれを短期間にて完了させることが多かった。また、遊技者によっては、背景画像にあまり注視せず、演出用画像(背景画像の前にて表示されるキャラクタなど)ばかりに注視して遊技するものもおり、この場合、背景画像が切り替わった後と切り替わる前との間での画像関係を認識させ難い。
【0860】
そこで、本実施形態のパチンコ機1ではまず、図182(a)に示されるように、背景画像として、略水平方向にて配設される左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500を境に、上下で画像内容の異なる前背景MH及び後背景UHを上記表示画面にてそれぞれ表示可能とするとともに上記前背景MHについては上記後背景UHよりも上記表示画面にて優先表示されるようにしている(二背景表示制御手段)。このため、3つの装飾図柄ZG1?ZG3の背後にて表示される上記背景画像として前背景MHが表示されている状況であっても、前背景MHの背景画像としての機能が喪失されるように当該前背景MHを例えば縮小表示することが可能となる(背景機能喪失手段)。
【0861】
そして、周辺制御基板4140dでは、3つの装飾図柄ZG1?ZG3の背後にて表示される上記背景画像として前背景MHが表示されているときに、背景チェンジ演出が行われることが判断されたときには、上記3つの装飾図柄ZG1?ZG3を変動表示させた後に前背景MHの画像内容を変更するにあたり、図182(b)に示されるように、左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500を、上記液晶表示装置1400の表示画面外に移動させる。これにより、前背景MH及び後背景UHが互いに接するように見えるようになる。
【0862】
そして次に、周辺制御基板4140dでは、図182(c)に示されるように、3つの装飾図柄ZG1?ZG3の変動する領域が上記前背景MHに収まらない程度まで、該前背景MHを縮小表示する。このように、前背景MHの演出表示される前背景表示領域が、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が演出表示される図柄表示領域よりも小さい領域とされることで、前背景MHの背景画像としての機能が喪失されることとなる。なお、図182中の3つの点線矢印はそれぞれ装飾図柄ZG1?ZG3の変動する領域を概念的に示したものである。
【0863】
そしてこの場合、周辺制御基板4140dでは、背景画像としての機能が喪失された上記前背景MHが上記表示画面にて表示されているもとで、上記後背景UHが、上記3つの装飾図柄ZG1?ZG3に対しての背景画像として演出表示されることとなる(後背景表示制御手段)。すなわち、前背景MHについては、その背景画像としての機能を喪失させて後背景UH(背景画像)の前にて表示される画像のうち、装飾図柄ZG1?ZG3とは異なる演出用画像(キャラクタなどの画像も含む)として一旦表示する。そしてその後、上記3つの装飾図柄ZG1?ZG3に対しての背景画像として再び機能させるにあたり、当該前背景MHの画像内容を別の画像内容に変更するようにすることで、背景画像が切り替えられる背景チェンジ演出を行うようにした(前背景変更制御手段)。
【0864】
より具体的には、図182(d)及び(e)、図183(f)に示されるように、周辺制御基板4140dではまず、前背景MHがそのまま左方向に移動させられて上記表示画面内から排除するような演出を行う。ただしこの際、図182(e)及び図183(f)に示されるように、上記表示画面の右側から別の画像内容の前背景MHを新たに出現させてこれを左方向に向かって移動させ、上記表示画面内に誘導するような演出も併せて行われる。そしてこの場合、2つの異なる画像内容の背景画像HGが同時に現れる状況となり、これによって背景画像HGの入れ替えが行われることを認識できるようになる。
【0865】
これに対し、3つの装飾図柄ZG1?ZG3は、前背景MHのこうした動きによる影響を受けることなく、前背景MHの表示領域に収まらずにこれを超えたところでの変動表示が続行されている。換言すれば、3つの装飾図柄ZG1?ZG3は、前背景MHの動きにかかわらず、その変動表示にかかる態様(大きさなど)は一定であり、その背後に背景画像としての上記後背景UHが表示された状態にてその変動表示が淡々と続行されている。
【0866】
そしてこの結果、新たに出現した別の画像内容の前背景MHが上記表示画面の中央にて停止されると、周辺制御基板4140dでは、図183(g)?(i)に示されるように、左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500を動作させて、これらを表示画面前にて略水平方向にて配設させるようにする。また併せて、3つの装飾図柄ZG1?ZG3の変動する領域が当該前背景MHに収まる程度まで、上記前背景MHを拡大表示する。このように、前背景MHの演出表示される前背景表示領域が、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が演出表示される図柄表示領域よりも大きい領域とされることで、前背景MHの背景画像としての機能が再び働くようになり、これによって前背景MHの背景画像が演出によって変更されることとなる。
【0867】
すなわちこの場合、前背景MHの背景画像を変更するにあたり、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が複数回のゲームにわたって変動表示される間にずっと上記背景画像として静的に表示(表示位置の移動のない表示)されていた前背景MHが、背景画像の前にて表示される演出用画像として突然に切り替わって現れることとなる(図182(c)?(e)、図183(f)及び(g))。このため、背景画像としての役割を超えたより幅の広い表示演出が実現されるようになり、ひいては背景画像これ自体に演出的な要素を持たせて表示することができるようになる。
【0868】
また、遊技者によっては、背景画像にあまり注視せず、演出用画像(背景画像の前にて表示されるキャラクタ)ばかりに注視して遊技する者もいる。ただし、本実施形態では、上記前背景MHの画像内容が切り替えられる背景チェンジ演出を行うにあたり、当該前背景MHを、上記後背景UH(背景画像)の前にて表示される演出用画像にまずは切り替えることによって遊技者による注視が集められるようにした。そしてこの上で、前背景MHの画像内容を別の画像内容に変更するとともにこれを背景画像として再び機能させることによって、前背景MH(背景画像)が切り替えられる背景チェンジを上記演出用画像による演出によって実現するようにしたため、背景画像が切り替わる前と後とでの画像関係を演出によって注視させることができるようになる。
【0869】
また、本実施形態では、上記前背景MHに対し、後背景UHの前にて表示される演出用画像としてのキャラクタ(警察官の格好をしたキャラクタ)を対応付けして表示することとした。そして、このキャラクタが、縮小表示された前背景MHを移動させる演出を行うようにした。また、新たな前背景MHが出現するときには、その新たな前背景MHには別のキャラクタ(幼児のキャラクタ)を対応付けして表示することとし、この別のキャラクタが新たな前背景MHを移動させる演出を行うようにした。
【0870】
すなわちこの場合、前背景MHの画像内容の別に期待度を異ならせることをせずとも、キャラクタによって期待度を異ならせるようにすれば、背景チェンジ演出が行われる前と後とで期待度を異ならしめることが可能となる。しかも、本実施形態では、幼児のキャラクタが持ってきた前背景MHが拡大表示されて上記3つの装飾図柄ZG1?ZG3に対しての背景画像として表示されるようになると、所定の高い確率にて、大入賞口2003が2ラウンドだけ開放されるようになっている。
【0871】
したがって、本実施形態の背景チェンジ演出では、前背景MHが演出によって別の画像内容の前背景MHに変更されるようにしたことで、相当の時間を要して背景画像を変更することが可能となる。このため、上記3つの装飾図柄ZG1?ZG3については、前背景MHが変更された後にすぐに停止表示させることも可能となる。そして、こうして変更された前背景MHが幼児のキャラクタに対応付けされた画像内容であり、大入賞口2003が2ラウンドだけ開放したときには、短開放大当りに当選したか、特定条件が成立したかのいずれかである。したがって、このように背景が変更されるだけの演出であっても、遊技興趣の向上を図ることができるようになる。なお、変更された前背景MHが幼児のキャラクタに対応付けされた画像内容であるときには、2ラウンドの開放が行われることを確定するようにしてもよい。
【0872】
また、本実施形態では、前背景MHの背景画像としての機能喪失(装飾図柄ZG1?ZG3が収まらない程度に前背景MHを縮小表示すること)については、3つの装飾図柄ZG1?ZG3が変動表示されている状態、すなわち装飾図柄ZG1?ZG3が視認困難とされる状態にて行うようにした。これにより、前背景MHの背景画像としての機能が喪失されることに違和感を遊技者が覚えてしまうようなことが抑制されるようになる。
【0873】
また、本実施形態では、前背景MHの画像内容を変更することはもとより、図182(a)及び図183(i)に示されるように、後背景UHの画像内容についてもこれを変更するようにしている。これにより、前背景MHの画像内容が変更されたときの期待度をより認識し易くしている。
【0874】
ただし、上記背景チェンジ演出が行われて、前背景MHが演出用画像となって移動する演出が行われたものの、当該背景チェンジ演出の前後でその画像内容が変わらない場合があるようにしてもよい。そしてこの際、後背景UHの画像内容だけを変更して大入賞口2003が2ラウンドだけ開放されるようにすることがより望ましい。すなわちこの場合、背景チェンジ演出にて前背景MHの画像内容の変更に失敗しても、後背景UHの画像内容の変更に成功すれば、2ラウンドの大当りの当選を契機として特別遊技状態に制御され得ることとなる。
【0875】
また、本実施形態では、表示画面にて表示されている前背景MHを、上記背景画像としての機能が喪失されたままで変更するようにした。そしてその際には、画像内容の異なる2つ以上の前背景MHとしての採用候補が表示されるようにした(図182(e))。なお、画像内容の異なる前背景MHについては互いに期待度も異なるようにすることがより望ましい。
【0876】
また、本実施形態では、後背景UHが背景画像として演出表示される期間において、後背景UH(より正確には、後背景UHの前に現れる演出用画像としての幼児のキャラクタ)によっても期待度を示唆するようにしたため、背景チェンジ演出により遊技興趣の低下を抑制することができるようになる。
【0877】
また、後背景UHのうち、背景チェンジ演出が行われない期間は上記前背景MHによって隠されて非表示とされる所定部分に、期待度が示唆される画像を表示可能とすることがより望ましい。すなわちこの場合、背景チェンジ演出が行われるときに前背景MHがその所定部分を露わにするように変化することとなり、これによって背景が変更されることとは別の部分での遊技興趣の向上を図ることができるようになる。
【0878】
例えば、縮小表示された前背景MHこれ自体を表示画面から排除するように移動させることによって後背景UHの上記隠されている所定部分を露わにする。これにより、遊技者は、前背景MHによって隠されていた期待度を認識することができるようになる。また併せて、別の画像内容の前背景MHこれ自体を表示画面に入り込む(所定部分を隠す)ように移動させる。なお、こうして入り込んだ前背景MHについては、表示画面を通過(所定部分を所定時間だけ隠して、再び露わに)するだけでもよいが、この場合は、さらに、別の内容の前背景MHを出現させてこれを表示画面に入り込むように移動させることとなる。そして最終的に、表示画面に入り込んでその動きが停止された前背景MHが拡大表示されて背景画像となる。なお、適宜の前背景MHを通過させる場合には、通過前と通過後とで所定部分にて示唆されていた期待度が変化し得るように上記後背景UHを演出表示することが、遊技興趣の低下を抑制する上でより望ましい。
【0879】
また、本実施形態では、後背景UHは前背景MHよりも常に大きく表示されており、前背景MHが背景画像となった後も視認可能となっている。そして、前背景MHが背景画像とされているとき、前背景MHと後背景UHとの領域を左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500によって仕切るようにしている。この仕切役物(左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500)は、前背景MHが背景機能を喪失する際には、仕切りを解除するように動作し、これによって後背景UHが前背景MHを取り込んで表示画面全体が背景画像として表示されることを可能ならしめている。なお、こうして後背景UHが前背景MHを取り込むように表示されることで、前背景MHが見えていながらも後背景UHが背景画像として機能することとなる。
【0880】
また、本実施形態では、こうして後背景UHを予め大きく表示しておき、前背景MHを縮小表示するときには、上記後背景UHとの間での仕切役物を排除して、この後背景UHが前背景MHを取り込むようにしたことで、前背景MHについては少し小さくするだけでもかなり縮小された演出用画像として見せることができるようになる。
【0881】
また、本実施形態では、3つの装飾図柄ZG1?ZG3に対しての背景画像とされる前背景MHの大きさを、装飾図柄ZG1?ZG3の変動する領域に対して背景画像としてアンバランスとする程度に縮小表示してから、前背景MHの画像内容を変更するようにしたため、背景画像が全てそのまま交換される様子が認識し易くなる
【0882】
なお、この実施の形態では、第1の長開放大当りが当選されたときには、当該大当りに応じた大当り遊技が行われた後の100回の図柄変動期間は、時短機能が作動して時短遊技状態に制御されるが、この時短遊技状態では、液晶表示装置1400において通常遊技状態(青色の背景画像)にあるときとは異なる背景画像(黄色など)を表示することによって、遊技者が時短遊技状態に制御されたことを認識できるようにしている。
【0883】
また、第2の長開放大当りが当選されたときには、当該大当りに応じた大当り遊技が行われた後の所定期間は、時短機能及び確変機能がそれぞれ作動して特別遊技状態に制御されるが、この特別遊技状態では、液晶表示装置1400において通常遊技状態や時短遊技状態にあるときとは異なる背景画像(赤色など)を表示することによって、遊技者が時短遊技状態に制御されたことを認識できるようにしている。
【0884】
また、この実施の形態では、通常遊技状態にあるときに短開放大当りが当選されたか特定条件が成立した場合には、共通の演出モードAに突入することで、確変機能が作動しているのか否かが遊技者側から認識し難くなるようにしている。
【0885】
[6.液晶表示装置における保留表示態様について]
ここで、液晶表示装置における保留表示態様について、図184?図186を参照して説明する。図184は、(a)が保留表示領域において第一特別乱数についての保留が蓄積される態様を説明するための図であり、(b)が保留表示領域において第二特別乱数についての保留が蓄積される態様を説明するための図である。図185は、(a)が保留表示領域において第一特別乱数についての保留が蓄積される態様を説明するための他の図であり、(b)が保留表示領域において第二特別乱数についての保留が蓄積される態様を説明するための他の図である。図186は、保留表示領域において第一特別乱数及び第二特別乱数についての保留が消化される態様を説明するための図である。
【0886】
図177に示されるように、液晶表示装置1400には、第一特別図柄及び第二特別図柄の各保留数が表示される保留表示領域1401と、装飾図柄ZG1?ZG3が表示される図柄表示領域1410とが設けられている。保留表示領域1401は、左右方向に一列に配列された複数の保留記憶表示部を有しており、図184?図186に示すように、当該保留表示領域1401における左方から右方に向けて、第1の保留記憶表示部1401a、第2の保留記憶表示部1401b、第3の保留記憶表示部1401c、第4の保留記憶表示部1401d、第5の保留記憶表示部1401e、第6の保留記憶表示部1401f、第7の保留記憶表示部1401gおよび第8の保留記憶表示部1401h、の計8つの保留記憶表示部から構成される。
【0887】
なお、保留表示領域1401における各保留記憶表示部1401a?1401hは、それぞれ第一特別図柄抽選手段4900による抽選の保留または第二特別図柄抽選手段4910による抽選の保留を一つずつ表示可能な領域である。そして、保留表示領域1401は、第一特別図柄保留カウンタ4903による保留数および第二特別図柄保留カウンタ4913による保留数を視覚的に容易に把握できる態様で表示するものである。よって、保留表示領域1401を参照することで、遊技者は現在の特別乱数の総保留数(総始動記憶数)を確認することができる。
【0888】
本実施の形態では、第一特別図柄保留カウンタ4903による保留の上限値(第1所定数)および第二特別図柄保留カウンタ4913による保留の上限値(第2所定数)がいずれも「4つ」(保留消化後を基準として「3つ」)である。そのため、保留表示領域1401も、特別図柄保留カウンタ4903,4913を合わせた最大保留可能数(ここでは、8つ)を表示可能とするために、8つの保留記憶表示部1401a?1401hを有している。
【0889】
また、各保留記憶表示部1401a?1401hは、この順で左右方向に規則的に並んでおり、装飾図柄ZGが表示される領域における抽選結果の導出は、この並び順序に従って導出される。すなわち、先頭の保留(第1の保留記憶表示部1401aに対応する保留)から順に末尾の保留(例えば、第8の保留記憶表示部1401h)まで、各保留記憶表示部に対応する抽選の保留がその保留順に導出されることになる。これにより、遊技者は装飾図柄ZGが表示される領域において抽選結果が導出される順序を明確に把握することができる。
【0890】
各保留記憶表示部1401a?1401hは、第一特別図柄保留カウンタ4903によって保留されていることを示す表示態様である第1特図保留画像1411、第二特別図柄保留カウンタ4913によって保留されていることを示す表示態様である第2特図保留画像1422、第一特別図柄保留カウンタ4903および第二特別図柄保留カウンタ4913のいずれにも保留されていないことを示す非表示態様、のうちいずれかの表示態様で表示される。
【0891】
本実施形態では、第2特図保留画像1422として、桶(本実施形態では赤色の桶)を模した画像が表示される(図184(b)参照)。一方、第1特図保留画像1411として、第2特図保留画像1422を示す桶とは異なる色彩の桶(本実施形態では白色の桶)を模した画像が表示される(図184(a)参照)。このように、第一特別図柄保留カウンタ4903によって保留されていることを意味する表示態様と、第二特別図柄保留カウンタ4913によって保留されていることを意味する表示態様と、をそれぞれ異ならせて両者を明確に区別できるようにしている。さらに、上述の通り、第二特別乱数についての保留は上述の通り、第一特別乱数についての保留よりも先に消化される(第二特別乱数についての当否判定処理が第一特別乱数についての当否判定処理よりも先に行われる)。言い換えれば、第一始動記憶は、第二始動記憶よりも後回しの消化となり、特に時短機能が作動しているような状態においては消化され難い。そのため、当否判定の結果に応じて付与される大当り遊技での期待値が高い第2特図保留画像1422として示す桶の画像が、第1特図保留画像1411として示す桶の画像よりもアツイことをイメージさせるべく赤色とされている。
【0892】
保留表示領域1401における表示態様について説明すると、例えば図184(a)、(b)においては、保留記憶表示部1401a?1401hの全部が非表示態様となっており、第一特別図柄保留カウンタ4903および第二特別図柄保留カウンタ4913のいずれの保留数もがゼロであることが示されている。なお、非表示態様となっている保留記憶表示部1401a?1401hの表示部には背景画像がそのまま表示されており、始動記憶の保留表示が追加される箇所が太線で囲う表示がなされている。
【0893】
第一特別図柄保留カウンタ490および第二特別図柄保留カウンタ4913のいずれの保留数もゼロの状態において、第一始動口2001に遊技球が入賞して第一特別図柄保留カウンタ4903によって保留されると(具体的には、コマンド受信手段4950が「第一始動口2001に入賞したこと」を特定するためのコマンドを主制御基板4100から受信すると)、保留表示領域1401の最も左端に位置する第1の保留記憶表示部1401aが、非表示態様から第1特図保留画像1411に表示制御される。これにより、第一特別図柄保留カウンタ4903における保留数が「1」であることが認識できる。
【0894】
さらに、第一始動口2001に遊技球が引き続き入賞して第一特別図柄保留カウンタ4903によって順に保留されると、保留表示領域1401における第2の保留記憶表示部1401b、第3の保留記憶表示部1401c、第4の保留記憶表示部1401dが、順次、非表示態様から第1特図保留画像1411に表示制御される。
【0895】
このように、第一特別乱数についての保留は、保留表示領域1401において順次末尾(図では右方)に追加されるようにして蓄積表示される。そして、第一特別図柄保留カウンタ4903による保留数がN(Nは1以上且つ第1所定数以下の自然数)になったときは、保留表示領域1401において第一始動記憶の数に応じた第1特図保留画像1411が一列にN個(最大4個)隣接して表示される。
【0896】
一方、図184(b)に示すように、先述のように保留表示領域1401(保留記憶表示部1401a?1401h)は全て非表示態様となった状態において、第二始動口2002に遊技球が入賞して第二特別図柄保留カウンタ4913によって保留されると(具体的には、コマンド受信手段4950が「第二始動口2002に入賞したこと」を特定するためのコマンドを主制御基板4100から受信すると)、保留表示領域1401の最も左端に位置する第1の保留記憶表示部1401aが、非表示態様から第2特図保留画像1422に表示制御される。これにより、第二特別図柄保留カウンタ4903における保留数が「1」であることが認識できる。
【0897】
さらに、第二始動口2002に遊技球が入賞して第二特別図柄保留カウンタ4913によって保留されると、保留表示領域1401における第1の保留記憶表示部1401aに示される第2特図保留画像1422が第2の保留記憶表示部1401bに(すなわち、後方に)シフト表示される。そして、第1の保留記憶表示部1401aには、第2の保留記憶表示部1401bにシフト表示された第2特図保留画像1422に代えて、新たな第2特図保留画像1422が追加されるように表示される。
【0898】
ここで、「後方にシフト表示」とは、一の保留記憶表示部を基準とした場合に、当該一の保留記憶表示部の表示態様が次の保留記憶表示部に移動して、当該保留記憶表示部における表示態様として表示されることをいう。具体的には、上記の例では、第1の保留記憶表示部1401aに表示された第2特図保留画像1422が第2の保留記憶表示部1401bに移動するようにして、当該第2の保留記憶表示部1401bにおいて第2特図保留画像1422が表示される。
【0899】
さらに、第二始動記憶の数が「2」の状態で第二始動口2002に遊技球が入賞すると、第1の保留記憶表示部1401aおよび第2の保留記憶表示部1401bに各々表示される第2特図保留画像1422が、第2の保留記憶表示部1401bおよび第3の保留記憶表示部1401cにそれぞれシフト表示されるとともに、第1の保留記憶表示部1401aに新たな第2特図保留画像1422が追加されるように表示される。同様に、第二始動記憶の数が「3」の状態で第二始動口2002に遊技球が入賞すると、第1の保留記憶表示部1401a、第2の保留記憶表示部1401b及び第3の保留記憶表示部1401cに各々表示される第2特図保留画像1422が、第2の保留記憶表示部1401b、第3の保留記憶表示部1401c及び第4の保留記憶表示部1401dにそれぞれシフト表示されるとともに、第1の保留記憶表示部1401aに新たな第2特図保留画像1422が追加されるように表示される。
【0900】
このように、第二始動記憶は、保留表示領域1401において順次先頭(図では左方)に追加されるようにして蓄積表示される。そして、第二特別図柄保留カウンタ913による保留数がN(Nは1以上且つ第1所定数以下の自然数)になったときは、保留表示領域1401において第二始動記憶の数に応じた第2特図保留画像1422が一列にN個(最大4個)隣接して表示される。
【0901】
ところで、保留表示領域1401において第二特別乱数が保留されている場合、第一特別乱数についての保留態様は次のようになる。例えば、図185(a)に示すように、第二始動記憶の数が「4」の状態(第1の保留記憶表示部1401a?第4の保留記憶表示部1401dに第2特図保留画像1422が表示されている状態)で、第一始動口2001に遊技球が入賞したものとする。このとき、非表示状態となっている次の保留記憶表示部(ここでは、第5の保留記憶表示部1401d)から順に、第一特別乱数についての保留(第1特図保留画像1411)が蓄積表示される。この場合も、先述と同様に、第一始動口2001に遊技球が入賞するのに応じて、保留表示領域1401における末尾(図では右方)に順次追加される態様で、第5の保留記憶表示部1401e?第8の保留記憶表示部1401hの順に第1特図保留画像1411が蓄積表示される。
【0902】
また、保留表示領域1401において第一特別図柄の始動記憶が保留されている場合、第二特別乱数についての保留態様は次のようになる。例えば、図185(b)に示すように、第一始動記憶の数が「4」の状態(第1の保留記憶表示部1401a?第4の保留記憶表示部1401dに第1特図保留画像1411が表示されている状態)で、第二始動口2002に遊技球が入賞したものとする。このとき、保留表示領域1401における先頭の保留記憶表示部(ここでは、第1の保留記憶表示部1401a)に、第二特別乱数の保留(第2特図保留画像1422)が順次追加表示される。この場合も、先述と同様に、第二始動口2002に遊技球が入賞するのに応じて、保留表示領域1401における先頭(図では左方)に順次追加される態様で第2特図保留画像1422が蓄積表示されるのに伴って、他の保留記憶表示部では前の保留記憶表示部の表示態様が順次後方にシフト表示される。具体的には、図185(b)に示す状態で第二始動記憶の数が「4」になると、第1の保留記憶表示部1401a?第7の保留記憶表示部1401hの各表示態様が、第2の保留記憶表示部1401b?第8の保留記憶表示部1401hにそれぞれ後方にシフト表示されるとともに、第1の保留記憶表示部1401aに第2特図保留画像1422が新たに追加される。
【0903】
このように本実施形態では、保留表示領域1401において、第一特別乱数の保留は保留表示領域1401の末尾(図では右方)に順次追加される一方、第二特別乱数の保留は保留表示領域1401の先頭(図では下方)から順次追加される。そのため、保留表示領域1401に第1特図保留画像1411および第2特図保留画像1422が表示されている状態では、常に第2特図保留画像1422が第1特図保留画像1411よりも前の保留記憶表示部に表示される。
【0904】
ところで、本実施形態では、次に説明するように、第二始動記憶のほうが第一始動記憶よりも先に抽選結果が導出される(いわゆる消化される)。そのため、上記のような保留表示領域1401の表示制御によって、第一始動記憶および第二始動記憶の両方が存在する場合には、第二始動記憶のほうが第一始動記憶よりも先に消化されることを、遊技者が明確に把握できるようにしている。
【0905】
ただし、第二始動記憶が存在するときに第二始動口2002に入賞したときにも、先に保留された第二始動記憶よりも後に保留された第二始動記憶のほうが先に消化されるように見えるが、これは表示上だけのものであって、内部的には、後に保留された第二始動記憶よりも先に保留された第二始動記憶のほうが先に消化される。
【0906】
次に、各始動記憶の消化態様を、図186を参照して説明する。なお、図82において、特別乱数の保留表示が削除(消化)される箇所が太線で囲う表示がなされている。すなわち、図186から明らかなように、本実施形態では、保留表示領域1401の先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1401a)の表示態様に対応する始動記憶が削除(消化)により消滅される(保留消化状況表現手段)。
【0907】
図186に示すように、例えば、第一始動記憶の数が「4」及び第二始動記憶の数が「4」の状態では、保留表示領域1401において第1の保留記憶表示部1401a?第4の保留記憶表示部1401dに第2特図保留画像1422が表示されるとともに、第5の保留記憶表示部1401e?第4の保留記憶表示部1401hに第1特図保留画像1411が表示される。かかる状態で、先頭の始動記憶(ここでは、第二始動記憶)に基づいて抽選結果の導出が開始されると、第1の保留記憶表示部1401aの第2特図保留画像1422が削除される。これに伴い、他の保留記憶表示部(第2の保留記憶表示部1401b?第8の保留記憶表示部1401h)の表示態様が、前の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1401a?第7の保留記憶表示部1401g)にそれぞれシフト表示される。なお、各保留記憶表示部の表示態様が前方にシフト表示されるのに伴って、末尾の保留記憶表示部(第8の保留記憶表示部1401h)の表示態様は、非表示態様となる。
【0908】
ここで、「前方にシフト表示」とは、一の保留記憶表示部を基準とした場合に、当該一の保留記憶表示部の表示態様が前の保留記憶表示部に移動して、当該保留記憶表示部における表示態様として表示されることをいう。具体的には、上記の例では、第1の保留記憶表示部1401aの第2特図保留画像1422が削除されるのに伴って、第5の保留記憶表示部1401e?第8の保留記憶表示部1401hに表示された第1特図保留画像1411が、第4の保留記憶表示部1401d?第7の保留記憶表示部1401gに各々移動するようにして、当該第4の保留記憶表示部1401d?第7の保留記憶表示部1401gにおいて第1特図保留画像1411が表示され、第8の保留記憶表示部1401hは非表示態様となる。また、第2の保留記憶表示部1401b?第4の保留記憶表示部1401dに表示された第2特図保留画像1422が、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに各々移動するようにして、当該第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cにおいて第2特図保留画像1422が表示される。
【0909】
以下、同様にして、保留表示領域1401においては、始動記憶の消化に応じて、先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1401a)の表示態様の削除と、他の保留記憶表示部における表示態様の前方へのシフト表示とが行われる。これにより、始動記憶の消化に応じて保留数(始動記憶数)が減少したことや、第一始動記憶および第二始動記憶のうちいずれの始動記憶に基づく図柄変動演出が行なわれたかを、遊技者は視覚的に把握することができる。
【0910】
ところで、本実施形態では、保留表示領域1401においては常に第2特図保留画像1422が第1特図保留画像1411よりも前の保留記憶表示部に表示されることからも明らかなように、第一特別図柄保留カウンタ4903による保留が第二特別図柄保留カウンタ4913による保留よりも先に行なわれたとしても、第二始動記憶が第一始動記憶よりも先に消化される。言い換えれば、第二特別図柄保留カウンタ4913による保留が存在する限り、第一特別図柄保留カウンタ4903による保留が解除されることない。そのため、第二始動記憶が全て消化されるまで、第一始動記憶が消化されることがなく、第二始動記憶のみが消化され続ける。
【0911】
なお、第二始動口2002に入賞すると、保留表示領域1401における先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1401a)に第2特図保留画像1422が追加表示される。一方、保留表示領域1401における先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1401a)の表示態様に相当する始動記憶が消化される。そのため、遊技者からみれば、複数の第二始動記憶が存在する場合には、第二特別図柄保留カウンタ4913により保留された最新の始動記憶が一番先に消化されるように見える。しかしながら、保留表示領域1401に表示される第2特図保留画像1422の保留順序は、必ずしも第二始動記憶の導出順序と一致せず、あくまで第二特別図柄保留カウンタ4913による保留順序で(すなわち、先に保留された始動記憶から順に)消化される。
【0912】
[7.図柄表示領域に表示される今回期待演出および事後期待演出]
確変機能および時短機能のいずれも作動しない通常遊技状態において、液晶表示装置の図柄表示領域に表示される今回期待演出および事後期待演出について、図187?図191を参照して説明する。上述したとおり、今回期待演出は、今回の当否判定処理の結果(装飾図柄の変動パターンの対象となっている特別乱数についての当否判定処理の結果)に対する期待度が向上しうる演出であり、事後期待演出は、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度を向上させうる演出である。今回期待演出および事後期待演出は、いずれも、演出制御手段4962により液晶表示装置1400の図柄表示領域1010に表示される。なお、上述したとおり、本実施形態における液晶表示装置1400は、略水平方向にて配設される左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500を境に、上下で異なる演出画像を表示させることができるようになっているが、便宜上、左上可動装飾体3400及び右上可動装飾体3500よりも上の表示領域を無視して説明する。
【0913】
ここで、特殊演出判定処理の結果に対する期待度(信頼度)とは、特殊演出判定処理の結果が当りであることを期待することができる程度を表すものである。本実施形態では、特殊演出判定処理の結果が当りであると、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての当否判定処理の結果が当りである期待度が高くなるので、特殊演出判定処理の結果に対する期待度とは、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての当否判定処理の結果が当りである期待度であるといえる。
【0914】
図187?図192は、いずれも、主として第一始動口2001への入賞遊技が行われる通常遊技状態における今回期待演出および/または事後期待演出の一態様を示す図である。
【0915】
図187は、装飾図柄ZG1?ZG3がリーチとなったのちに事後期待演出が表示される態様の一例を説明する図である。図188は、図187から続く図柄変動演出および/または事後期待演出の一態様を示す図である。
【0916】
図187(a)では、今回の当否判定処理の結果を示す機能を有する左・中・右の全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3が互いに異なる図柄(ハズレ図柄態様)で停止表示されている。このとき、第1の保留記憶表示部1401a?第4の保留記憶表示部1401eの全てに第一始動記憶が保留されていることを示す白い桶が4個表示されている。これにより、第一特別乱数の保留数が4個保留されていること(第一始動記憶数が4であること)を把握できる。
【0917】
第1の保留記憶表示部1401aに表示されている第一特別乱数の保留が解除されると、図187(b)に示されるように、全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3の変動表示が開始され、第1の保留記憶表示部1401aに表示されている第一特別乱数の保留(第一始動記憶)が消滅するとともに、第2の保留記憶表示部1401b?第4の保留記憶表示部1401eに表示されている第一特別乱数の保留が、それぞれ、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cにシフト表示される。そして、変動表示されている装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3のうち、左装飾図ZG1と右装飾図柄ZG3とがいずれも「7」図柄で停止すると、図187(c)に示されるようにリーチとなり、その後、図187(d1)?(d3)のうちいずれかが表示される。
【0918】
図187(d1)は、今回期待演出と事後期待演出とのうち今回期待演出のみが表示された場合の一態様であり、図187(d2)は、今回期待演出と事後期待演出とのうち事後期待演出のみが表示された場合の一態様であり、図187(d3)は、今回期待演出と事後期待演出とのうち両方が表示された場合の一態様である。本実施形態では、図187(d1)?図188(g1)および図187(d3)?図188(g3)に示される装飾図柄ZG1?ZG3の変動パターンが、図175の変動番号「18」が選択された場合に表示されるスペシャルリーチ変動A(図176(a)の態様を示す図)に相当し、図187(d2)?図188(g2)に示される装飾図柄ZG1?ZG3の変動パターンが、一般的に行われているリーチ変動に相当する。
【0919】
図187(d1)?図188(g1)おいて表示されるスペシャルリーチ変動Aでは、今回の当否判定処理の結果(図柄変動演出の対象となっている特別乱数についての当否判定処理の結果)に対する期待度を専ら向上させうる機能を有する第6キャラクタCR6(第3キャラクタCR3と異なり帽子を被っていない)が液晶表示装置1400の表示領域に登場する。
【0920】
また、図188(e1)および(f1)に示されるように、今回期待演出として例えば第6キャラクタCR6が左右方向に移動表示する演出が表示され、これにより、当否判定処理の結果が大当りとなる期待感(中装飾図柄ZG2が「7」図柄で停止表示される期待感)が高められる。図187(d1)?図188(f1)では、スペシャルリーチ変動Aが表示されることに加えて今回期待演出が表示されているので、今回の当否判定処理の結果が当りとなる可能性が非常に高いことが遊技者に示される。そして、図188(g1)に示されるように中装飾図柄が「7」図柄で停止表示されると、左・中・右の全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3が同じ図柄となり、今回の当否判定処理の結果(図柄変動演出の対象となっている特別乱数についての当否判定処理の結果)が当りである旨が遊技者に示される。ただし、スペシャルリーチ変動Aと今回期待演出との両方が表示された場合であっても、今回の当否判定処理の結果がハズレである旨が表示される場合もある。
【0921】
図187(d2)において表示されるリーチ変動では、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のうち少なくともいずれか一つについての特殊演出判定処理の結果が当りである旨の期待度を専ら向上させうる機能を有する第7キャラクタCR7(第2キャラクタCR2と異なりピストルを手に持っている)が液晶表示装置1400の表示領域に登場する。この第7キャラクタCR7は、いかなる動作を行ったとしても、今回の当否判定処理の結果に対する期待度に影響を与えるものではない。
【0922】
また、図188(e2)に示されるように、事後期待演出として例えば第7キャラクタCR7がピストルを発砲する演出が表示されると、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている期待感が遊技者に与えられる。すなわち、図188(e2)に示される事後期待演出は、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている期待感を持たせる演出であるといえる。
【0923】
そして、図188(f2)に示されるように、例えば第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から事後期待演出用の第8キャラクタCR8(ステップ1用の第1キャラクタCR1と異なり出現態様が異なる)が出現すると、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている可能性が高いことが示される。すなわち、上述した特殊演出判定処理は当否判定用乱数(特別乱数)が取得されたときに行われているにもかかわらず、この特別乱数が保留される時点では、特殊演出判定処理の結果を示唆するような演出が行われずに、一旦は秘匿状態とされる。そして、秘匿状態として保留されているときに、特殊演出判定処理の結果が遊技者に暴露されるようにしているのである。
【0924】
一方、例えば、第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から第8キャラクタCR8が出現することなく発砲する玉がなくなって空砲になったかのような演出(図187(d2)?図188(g2)では図示していないが、例えば図188(g3)に図示されるような演出)が表示されると、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれていない可能性が高い(含まれている可能性が低い)ことが示される。すなわち、図188(f2)に示される演出は、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている可能性が高いことを示唆する演出であるといえる。これにより、今回の当否判定処理の結果(現在変動の対象となっている特別乱数についての当否判定処理の結果)に対する期待度のみならず、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対しても期待度を持って遊技を行うことが可能となり、これまでにない新たなゲーム性を創出することが可能となる。
【0925】
その後、図188(f2)において出現した第8キャラクタCR8が、図188(g2)に示されるように保留記憶表示部(本実施形態では第3の保留記憶表示部1401c)に表示されている桶の上に飛び乗ると、第8キャラクタCR8が飛び乗った保留記憶表示部に保留されている特別乱数についての特殊演出判定処理の結果が当りである可能性が高いことが示される。すなわち、図188(g2)に示される演出は、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数が複数ある場合には、この複数の特別乱数のうち、特殊演出判定処理の結果が当りである可能性の高い特別乱数がいずれであるかを示す演出であるといえる。図188(g2)では、今回の当否判定処理の結果がハズレであることを示すハズレ態様で装飾図柄ZG1?ZG3が停止表示しているが、今回の当否判定処理の結果が当りであることを示す当り態様で装飾図柄ZG1?ZG3が停止表示することもある。
【0926】
なお、上記では、第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から第8キャラクタCR8が出現する演出が表示されると(図188(f2)参照)、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている可能性が高いことが示されるが、必ずしもこれに限られない。例えば、後述する保留関連演出を考慮しなければ、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれていることが確定されるようにしてもよい。このとき、図188(g2)において、第8キャラクタCR8が飛び乗った保留記憶表示部に保留されている特別乱数は、特殊演出判定処理の結果が当りであることが確定的に示されることになる。
【0927】
図188(d3)以降において表示されるスペシャルリーチ変動Aでは、今回の当否判定処理の結果(図柄変動演出の対象となっている特別乱数についての当否判定処理の結果)に対する期待度を専ら向上させうる機能を有する第6キャラクタCR6と、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のうち少なくともいずれか一つについての特殊演出判定処理の結果が当りである旨の期待度を専ら向上させうる機能を有する第7キャラクタCR7との両方が、液晶表示装置1400の表示領域に登場する。
【0928】
また、図188(e3)および(f3)に示されるように、今回期待演出として例えば第6キャラクタCR6が左右方向に移動表示する演出が表示されるとともに、事後期待演出として例えば第7キャラクタCR7がピストルを発砲する演出が表示される。このように、図188(e3)および(f3)では、今回期待演出と事後期待演出とが液晶表示装置1400の表示領域に重複して表示される。すなわち、液晶表示装置1400には、今回の当否判定処理の結果(現在変動の対象となっている特別乱数についての当否判定処理の結果)に対する期待度が向上しうる演出にとどまらず、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度までもが向上しうる演出が表示される。これにより、今回の当否判定処理の結果に対する期待度のみが向上しうる従来のような演出を超越する超越演出(今回期待演出と事後期待演出とが重複して表示される演出)が実現され、これまでにない新たなゲーム性を創出することが可能となる。
【0929】
なお、上述したように今回期待演出が表示されたにもかかわらず、図188(g3)では、今回の当否判定処理の結果(現在変動の対象となっている特別乱数についての当否判定処理の結果)がハズレである旨が表示されている。また、上述したように事後期待演出が表示されたにもかかわらず、図188(g3)では、第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から第8キャラクタCR8が出現することなく発砲する玉がなくなって空砲になったかのような演出が表示されており、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれていないことが示される。しかしながら、今回の当否判定処理の結果がハズレである旨と、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれていない旨との両方が示されることは稀である。
【0930】
なお、上述した第1のコントロール手法、すなわち、当否判定処理の結果が当りとなる期待度合いが低い装飾図柄の変動が行われているときよりも、スペシャルリーチ変動のように当否判定処理の結果が当りとなる期待度合いが高いリーチ変動が行われているときのほうが高い確率で事後期待演出を行うといった手法を採用すると、事後に行われる当否判定処理に対する期待度がさらに付加される分だけ、当否判定処理の結果が当りとなる期待感をより大きくアピールすることができるようになる。
【0931】
また、図187(d2)?図188(g2)または図187(d3)?図188(g3)によれば、特殊演出判定処理の結果が当りでと判定された特定の特別乱数が保留の状態とされた場合であっても、その期待度(擬似当選確率)を、予め定められた特定のタイミング(例えば保留のタイミング)にて機械的に報知するようなことはせず、これをまずは秘匿可能としている。そして、今回期待演出として当否判定処理の結果が当りと判定される気体度合いが高い例えばスペシャルリーチ変動が行われることによって上記所定の図柄表示領域1410に遊技者による注視が促されている期間中に、上記所定の保留表示領域1401にて現れた通常の表示形態(桶のみの表示)を、上記擬似当選確率が高い旨判定されていることを示唆する特別な表示形態(桶の上に第8キャラクタCR8が乗っている表示)に昇格変更させる演出を実行可能としている(隠密変更制御手段)。
【0932】
すなわちこの場合、特殊演出判定処理の結果が当りであったとしても、この当りと判定された特別乱数が保留の状態とされていることは一旦秘匿にされる。そして、こうして秘匿にされた遊技者にとって有利な情報(特殊演出判定処理の結果が当りと判定された特別乱数が保留されている可能性がある情報)は、遊技者による注視が上記所定の図柄表示領域1410に促されている期間中に、この注視される図柄表示領域1410とは異なる所定の保留表示部(保留表示領域1401)にて暴露表示されることとなる。このように、所定の保留表示部(保留表示領域1401)にて現れた通常の表示形態が特別な表示形態に昇格変更される演出を遊技者が見逃し易くなるようにすることで、当該演出については、通常の表示形態をもった保留表示がいつの間にか特別な表示形態に昇格変更されているサプライズ機能をもった演出として実現させることができるようになり、これによって遊技興趣の低下を抑制することができるようになる。
【0933】
なお、こうしたサプライズ機能を有効にするためには、少なくとも上記所定の図柄表示領域1410に遊技者による注視が促されている期間が終了する時点、すなわち現在の入賞始動遊技についての演出表示に要する演出時間が経過して次の入賞始動遊技が開始される時点まで、上記特別な表示形態に昇格変更された保留表示を表示し続けることが重要である。これにより、遊技者は、上記所定の図柄表示領域1410に注視が促されている期間中に見逃した昇格変更についての演出を、適宜のタイミングにてサプライズをもって気付くようになり、こうした意図しない演出によって遊技興趣の向上が図られるようになる。「入賞始動遊技」とは、始動口2001,2002への入賞を契機として行われる遊技であり、例えば、始動口2001,2002への入賞に基づいて取得された当否判定用乱数を用いて行われる特殊演出判定処理と、始動口2001,2002への入賞に基づいて取得された当否判定用乱数を用いて行われる当否判定処理と、当否判定処理の結果として行われうる大当り遊技とが含まれる。
【0934】
上記昇格変更についての演出を、適宜のタイミングにてサプライズをもって遊技者に気付かせる観点からいえば、秘匿状態とされた、高確乱数グループに属する値である旨の先行判定がなされた特定の入賞始動遊技が保留の状態とされていることを、上記所定の図柄表示部にて大当りの期待感が高い高期待リーチ演出が行われているときに暴露表示(保留昇格)することが好ましい。上記所定の図柄表示部にて大当りの期待感が高い高期待リーチ演出が行われているときは、上記暴露表示が見逃されやすくなるからである。
【0935】
図189は、装飾図柄ZG1?ZG3がリーチとならなかったとき(通常変動であるとき)に事後期待演出が行われる場合の一例を説明する図であり、図176(b)の態様を示す図である。
【0936】
図189(a)では、今回の当否判定処理の結果を示す機能を有する左・中・右の全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3が互いに異なる図柄(ハズレ図柄態様)で停止表示されている。このとき、第1の保留記憶表示部1401a?第4の保留記憶表示部1401eの全てに第一特別乱数が保留されていることを示す白い桶が4個表示されている。これにより、第一特別乱数の始動記憶が4個保留されていること(第一始動記憶数が4であること)を把握できる。
【0937】
第1の保留記憶表示部1401aに表示されている第一特別乱数の保留が解除されると、図189(b)に示されるように、全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3の変動表示が開始され、第1の保留記憶表示部1401aに表示されている第一特別乱数の保留が消滅(第一始動記憶が消滅)するとともに、第2の保留記憶表示部1401b?第4の保留記憶表示部1401eに表示されている第一特別乱数の保留が、それぞれ、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cにシフト表示される。
【0938】
図189(c)では、全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3が変動しているときに、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のうち少なくともいずれか一つについての特殊演出判定処理の結果が当りである旨の期待度を専ら向上させうる機能を有する第7キャラクタCR7が液晶表示装置1400の表示領域に登場する。
【0939】
図189(d)では、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている期待感を持たせる演出として、事後期待演出(例えば第7キャラクタCR7がピストルを発砲する演出)が表示される。
【0940】
図189(e)では、例えば第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から第8キャラクタCR8が出現し、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている可能性が高いことが示される。一方、例えば、第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から第8キャラクタCR8が出現することなく発砲する玉がなくなって空砲になったかのような演出が表示されると、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれていない可能性が高い(含まれている可能性が低い)ことが示される。
【0941】
そして、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている可能性が高いことが示されたのちに、全ての装飾図柄ZG1?ZG3が停止表示されて、今回の当否判定処理の結果がハズレである旨が示される(図189(f)参照)。
【0942】
その後、第8キャラクタCR8が、図189(g)に示されるように保留記憶表示部(本実施形態では第3の保留記憶表示部1401c)に表示されている桶の上に飛び乗ると、第8キャラクタCR8が飛び乗った保留記憶表示部に保留されている特別乱数についての特殊演出判定処理の結果が当りである可能性が高いことが示される。また、全ての装飾図柄ZG1?ZG3が停止し、今回の当否判定処理の結果がハズレである旨が示される。
【0943】
このように、装飾図柄の変動パターンとして通常変動パターンが選択されたときに行われる事後期待演出は、全ての装飾図柄ZG1?ZG3が変動表示されているときに表示される。つまり、通常変動パターンは、リーチにもいたらずに、リーチ変動される他の変動パターンと比べて短い変動時間で図柄変動演出が終了するといった遊技者にとって全くつまらない変動パターンである。このような遊技者にとって全くつまらない変動パターンが表示されるときには、変動開始初期の時点で当否判定処理の結果が当りである旨の期待感が失われがちとなり、たとえ変動時間が短くとも遊技者にとっては全く無駄な時間をすごすこととなる。この点、図189に示されるように、全ての装飾図柄ZG1?ZG3が変動表示されているような変動開始初期の時点で事後期待演出を行うことで、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対して期待度を持って遊技を行うことが可能となり、これまでにない新たなゲーム性を創出することができる。
【0944】
また、全ての装飾図柄ZG1?ZG3が変動表示されているときに事後期待演出が表示されるようにすることで、通常変動パターンのように他の変動パターンと比べて短い変動パターンであっても、事後期待演出を行いうる十分な時間を確保することができる。
【0945】
図190は、装飾図柄ZG1?ZG3の変動演出が中途で(強制的に)終了し、残りの時間を、事後期待演出に割り当てた態様の一例を説明する図(図176(c)の態様を示す図)である。例えば、スーパーリーチ変動Aは行われるもののスーパーリーチA(発展)が行われずに、スーパーリーチ変動Aが行われたのちに装飾図柄を仮停止させた後、装飾図柄ZG1?ZG3の変動が行われる図柄変動領域にて事後期待演出が行われる。
【0946】
図190(a)では、今回の当否判定処理の結果を示す機能を有する左・中・右の全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3が互いに異なる図柄(ハズレ図柄態様)で停止表示されている。このとき、第1の保留記憶表示部1401a?第4の保留記憶表示部1401eの全てに、第一特別乱数が保留されていることを示す白い桶が4個表示されている。これにより、第一特別乱数が4個保留されていること(第一始動記憶の数が4であること)を把握できる。
【0947】
第1の保留記憶表示部1401aに表示されている第一特別乱数の保留が解除されると、図190(b)に示されるように、全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3の変動表示が開始され、第1の保留記憶表示部1401aに表示されている第一特別乱数の保留が消滅(第一始動記憶が消滅)するとともに、第2の保留記憶表示部1401b?第4の保留記憶表示部1401eに表示されている第一特別乱数の保留が、それぞれ、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cにシフト表示される。
【0948】
その後、左装飾図柄ZG1と右装飾図柄ZG3とが同じ図柄「7」で停止表示され(図190(c)参照)、さらにその後、中装飾図柄ZG2が停止表示される。本実施形態では、図190(d)に示されるように、中装飾図柄ZG2が、左装飾図柄ZG1および右装飾図柄ZG3の停止図柄とは異なる図柄「6」で停止表示されている。なおこのとき、全ての装飾図柄ZG1?ZG3は、当否判定処理の結果を確定的に示すように完全に停止しているわけではなく、当否判定処理の結果を遊技者に示唆しうるように暫定的に停止する仮停止態様となっている。図190(d)?(g)に示されるように、装飾図柄ZG1?ZG3が揺れているような表示態様が仮停止態様である。
【0949】
そして、図190(e)に示されるように、全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3が仮停止されているときに、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のうち少なくともいずれか一つについての特殊演出判定処理の結果が当りである旨の期待度を専ら向上させうる機能を有する第7キャラクタCR7が液晶表示装置1400の表示領域に登場する。
【0950】
図190(f)では、全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3が仮停止された状態で、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている期待感を持たせる演出(例えば第7キャラクタCR7がピストルを発砲する演出)が表示される。
【0951】
図190(g)では、全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3が仮停止された状態で、例えば第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から第8キャラクタCR8が出現し、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている可能性が高いことが示される。一方、例えば、第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から第8キャラクタCR8が出現することなく発砲する玉がなくなって空砲になったかのような演出が表示されると、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれていない可能性が高い(含まれている可能性が低い)ことが示される。
【0952】
その後、第8キャラクタCR8が、図190(h)に示されるように保留記憶表示部(本実施形態では第3の保留記憶表示部1401c)に表示されている桶の上に飛び乗ると、第8キャラクタCR8が飛び乗った保留記憶表示部に保留されている特別乱数についての特殊演出判定処理の結果が当りである可能性が高いことが示される。また、仮停止状態にあった全ての装飾図柄ZG1?ZG3が完全に停止し、今回の当否判定処理の結果がハズレである旨が示される。
【0953】
図190では、(a)?(d)が今回期待演出に相当し、(e)?(h)が事後期待演出に相当する。すなわち、図190に示される演出は、装飾図柄ZG1?ZG3bの変動が開始されたのち当初は今回期待演出が行われるものの、この今回期待演出としての変動パターンが強制的に終了され、その後、事後期待演出が行われるものである。これにより、今回期待演出と事後期待演出とによる演出の競合を排除して、当否判定処理に先だって行われる事後期待演出が当否判定処理よりも前に延長して行われる前延長演出を、今回期待演出が表示される領域を使って表示することが可能となる。
【0954】
また、装飾図柄ZG1?ZG3が仮停止された状態にあっては、再度変動を開始して当否判定処理の結果が当りである旨が表示される可能性がある場合がある。さらに図190では、1回の変動時間のうち、今回の当否判定処理の結果が当りである期待感が与えられる今回期待演出よりも長い時間にわたって、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対する期待度が向上しうる事後期待演出が割り当てられている。したがって、仮停止状態にある装飾図柄ZG1?ZG3が再度変動して当否判定処理の結果が当りである旨が表示される可能性を、事後期待演出が終了する(装飾図柄ZG1?ZG3が完全に停止表示される)までの長きわたって維持した状態で、事後変動が行われることとなる。これにより、今回期待演出と事後期待演出とによる演出の競合が液晶表示装置1400の表示領域上では排除されながらも、当否判定処理の結果が当りである旨が表示される可能性を排除することなく、事後期待演出を行うことが可能となる。
【0955】
図191は、装飾図柄ZG1?ZG3がリーチになったものの大当りの(当否判定処理の結果が当りとなる)期待感が低いときに事後期待演出が行われる態様の一例を説明する図であり、図176(d)の態様を示す図である。また、図192は、図191から続く図柄変動演出および事後期待演出の一態様を示す図である。
【0956】
図191(a)では、今回の当否判定処理の結果を示す機能を有する左・中・右の全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3が互いに異なる図柄(ハズレ図柄態様)で停止表示されている。このとき、第1の保留記憶表示部1401a?第4の保留記憶表示部1401eの全てに、第一特別乱数が保留されていることを示す白い桶が4個表示されている。これにより、第一特別乱数が4個保留されていること(第一始動記憶数が4であること)を把握できる。
【0957】
第1の保留記憶表示部1401aに表示されている第一特別乱数の保留が解除されると、図191(b)に示されるように、全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3の変動表示が開始され、第1の保留記憶表示部1401aに表示されている第一特別乱数の保留が消滅(第一始動記憶が消滅)するとともに、第2の保留記憶表示部1401b?第4の保留記憶表示部1401eに表示されている第一特別乱数の保留が、それぞれ、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cにシフト表示される。そして、図191(c)に示されるように、全ての装飾図柄ZG1・ZG2・ZG3の変動表示が行われているときに、今回期待演出としての「おみくじ演出」が表示される。「おみくじ演出」が表示されると、今回の当否判定処理の結果が当りであるか否かが図191(d1)?図191(d3)のように示される。なお、図191(c)、(d1)、(d2)および(d4)では、中装飾図柄ZG2の符号が示されていないが、実際には、「おみくじ演出」としての表示の背後において中装飾図柄の変動が行われている。
【0958】
図191(d1)では、おみくじに「激アツ」が表示され、今回の当否判定処理の結果が当りである可能性が高いことが遊技者に示される。その後、図192(e1)に示されるように、左装飾図柄ZG1および右装飾図柄ZG3がいずれも「7」図柄で停止してリーチにいたり、次いで中装飾図柄ZG2も「7」図柄で停止して(図192(f1)参照)、今回の当否判定処理の結果が当りであったことが遊技者に示される。したがって、装飾図柄ZG1?ZG3の変動が未だ終了していない段階でおみくじに「激アツ」が表示された場合には、今回の装飾図柄の変動が終了するまで当りへの期待感を維持することができる。
【0959】
図191(d2)では、おみくじに「小吉」が表示され、今回の当否判定処理の結果が当りである可能性は低いものの、可能性はゼロでないことが遊技者に示される。その後、図192(e2)に示されるように、左装飾図柄ZG1および右装飾図柄ZG3がいずれも「7」図柄で停止してリーチにいたり、次いで中装飾図柄ZG2が、左装飾図柄ZG1および右装飾図柄ZG3とは異なる「6」図柄で停止して(図192(f2)参照)、今回の当否判定処理の結果がハズレであったことが遊技者に示される。
【0960】
図191(d3)では、おみくじに「?」が表示され、今回の当否判定処理の結果が当りである可能性が極めて低いことが遊技者に示される。その後、図192(e3)に示されるように、左装飾図柄ZG1および右装飾図柄ZG3がいずれも「7」図柄で停止してリーチにはいたっているものの、おみくじに「?」が表示された場合には、この時点で今回の装飾図柄の変動に対する期待感(今回の当否判定処理の結果が当りであることの期待感)が喪失されがちである。
【0961】
このように、装飾図柄ZG1?ZG3の変動が未だ終了していない段階で期待感が喪失されると、今回の装飾図柄の変動が終了するまでの時間が退屈となりがちである。そこで、本実施形態では、図192(f3)?図192(i3)に示されるように、事後期待演出が行われるようにしている。
【0962】
詳しくは、図192(f3)に示されるように、左装飾図柄ZG1および右装飾図柄ZG3がいずれも「7」図柄で停止し且つ中図柄ZG2のみが変動しているリーチ状態において、第7キャラクタCR7が液晶表示装置1400の表示領域に登場する。この第7キャラクタCR7は、上述したとおり、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のうち少なくともいずれか一つについての特殊演出判定処理の結果が当りである旨の期待度を向上させうる機能を有する。
【0963】
そして、図192(g3)に示されるように、例えば事後期待演出として第7キャラクタCR7がピストルを発砲する演出が表示されると、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている期待感が遊技者に与えられる。
【0964】
そして、図192(h3)に示されるように、例えば第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から第8キャラクタCR8が出現すると、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数(本実施形態では、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cに表示されている複数の第一特別乱数)のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている可能性が高いことが示される。この場合も、上述した特殊演出判定処理が当否判定用乱数(特別乱数)が取得されたときに行われているにもかかわらず、この特別乱数が保留される時点では、特殊演出判定処理の結果を示唆するような演出が行われずに、一旦は秘匿状態とされる。そして、秘匿状態として保留されているときに、特殊演出判定処理の結果が遊技者に暴露されるようにしている。
【0965】
一方、例えば、第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から第8キャラクタCR8が出現することなく発砲する玉がなくなって空砲になったかのような演出が表示されると、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに、特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれていない可能性が高い(含まれている可能性が低い)ことが示される。このような演出をとおして、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている可能性が高いか否かが遊技者に示される。これにより、装飾図柄ZG1?ZG3の変動が未だ終了していない時点で今回の当否判定処理の結果(現在変動の対象となっている特別乱数についての当否判定処理の結果)に対する期待度が喪失されてしまったとしても、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対して期待感を持って遊技を行うことが可能となるといった、これまでにない新たなゲーム性を創出することが可能となる。
【0966】
その後、図192(h3)において出現した第8キャラクタCR8が、図192(i3)に示されるように保留記憶表示部(本実施形態では第3の保留記憶表示部1401c)に表示されている桶の上に飛び乗ると、第8キャラクタCR8が飛び乗った保留記憶表示部に保留されている特別乱数についての特殊演出判定処理の結果が当りである可能性が高いことが示される。これにより、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数が複数ある場合には、この複数の特別乱数のうち、特殊演出判定処理の結果が当りである可能性が高い特別乱数がいずれであるかが遊技者に示される。また、図192(i3)では、今回の当否判定処理の結果がハズレであることを示すハズレ態様で装飾図柄ZG1?ZG3が停止表示されている。
【0967】
なお、図191および図192では、全ての装飾図柄ZG1?ZG3が変動状態にある時点で、「おみくじ演出」により「?」が表示されて今回の当否判定処理の結果に対する期待感が喪失されているが、これに限られず、期待感が喪失されたのちも装飾図柄の変動が継続する態様であればよい。したがって、例えばリーチが表示された後等、全ての装飾図柄ZG1?ZG3のうちいずれかの装飾図柄が停止された時点で今回の当否判定処理の結果に対する期待感が喪失される場合であっても、その後に事後変動を行うことによって、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数についての特殊演出判定処理の結果に対して期待度を遊技者に与えることができればよい。
【0968】
また、本実施形態では、第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から第8キャラクタCR8が出現する演出が表示されると(図192(h3)参照)、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれている可能性が高いことが示されるが、必ずしもこれに限られない。例えば、後述する保留関連演出を考慮しなければ、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のなかに特殊演出判定処理の結果が当りである特別乱数が含まれていることが確定されるようにしてもよい。このとき、図192(i3)において、第8キャラクタCR8が飛び乗った保留記憶表示部に保留されている特別乱数は、特殊演出判定処理の結果が当りであることが確定的に示されることになる。
【0969】
ところで、図187(g2)、図189(g)、図190(h)および図192(i3)に示されるように、第8キャラクタCR8が飛び乗った保留記憶表示部に保留されている特別乱数についての特殊演出判定処理の結果が当りである可能性が高いことが示されるのは、始動口2001,2002への入賞に基づいて主制御基板4100により行われた特殊演出判定処理の結果が当りであるとき、または、周辺制御基板4140により行われたフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであるときである。したがって、第1の保留記憶表示部4140a?第7の保留記憶表示部1401gのうちいずれかの保留記憶表示部に表示された桶の上に第8キャラクタCR8が飛び乗ると、第8キャラクタCR8が飛び乗った保留記憶表示部に対応する特別乱数についての特別図柄ひいては装飾図柄ZG1?ZG3の変動が開始されたときに、大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が高くなる。
【0970】
なお、本実施形態では、第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から出現する第8キャラクタCR8の色については言及していないが、白色の第8キャラクタCR8が出願する場合と、赤色の第8キャラクタCR8が出願する場合と、黒色の第8キャラクタCR8が出願する場合とがあり、これについては後述する。
【0971】
また、図187および図188における説明では、第1のコントロール手法を採用することにより、当否判定処理の結果が当りとなる期待感をより大きくアピールすることができる旨を説明した。
【0972】
ところが、上述したとおり、例えば300分の1といった当否判定処理にて当りと判定される確率(当選確率)が低く設定されたような遊技機にあっては、所定の図柄表示部において当否判定処理の結果が当りと判定される期待度合いが低い今回期待演出が表示されることが多いことに鑑みると、上記第1のコントロール手法よりも上記第2のコントロール手法を採用するようにすることが好ましい。この第2のコントロール手法を採用すると、当否判定処理の結果が当りとなる期待度合いが高い今回期待演出が表示されているときよりも、今回の当否判定処理の結果が当りとなる期待度合いが低い今回期待演出が表示されているときのほうが高い確率で、事後期待演出についての演出時間を割り当てられ、今回期待演出だけでは持続させ難い上記所定の図柄表示部における期待感が、事後期待演出によってうまく補填されるかのような抜け目のない効率的な期待演出を実現することができるようになる。これにより、今回期待演出にかかる演出時間の一部を、事後期待演出に比較的高い頻度で割り当てることができるようになり、所定の図柄表示部にて現れる演出表示に対する遊技者の期待感の底上げが適切に図られるようになる。
【0973】
また、上記のように今回期待演出のみならず事後期待演出をも行いうることによって、保留の状態にある間と、保留が消化されて装飾図柄の変動が行われる間との2つの異なるタイミングにて、それぞれ演出表示の実行機会を付与することができるようになる。これにより、各特別乱数に持たせられる演出時間を長くすることが可能となることはもとより、演出種類が増加された分だけ従来よりも単純に2倍の面白さを持たせることができるようになる。
【0974】
さらに、上記によると、事後期待演出の手法としても、特殊演出判定処理の結果が当りの特別乱数(すなわち当否判定処理の結果が当りとなる期待度が高い特別乱数)が保留の状態とされていることが確定される単純報知ではなく、当否判定処理の結果が当りとなる期待度(擬似当選確率)が高くされた特別乱数と、当否判定処理の結果が当りとなる期待度(擬似当選確率)が低くされた特別乱数とのうちいずれかが保留の状態とされている可能性を遊技者に意識付けるリスク性演出として行うようにしている。
【0975】
ここで、リスク性演出とは、取得された特別乱数の値が「7」であったときのように、特殊演出判定処理において当りである旨と判定されなかった特別乱数の保留が消化されるときに、当否判定処理の結果が当りであると判定される期待度(擬似当選確率)が、上記表1の当り判定テーブルにて決定付けられる当否判定処理の結果が当りと判定される期待度(当選確率)よりも低くなることを利用した演出である。したがって、取得された特別乱数が、上記特殊演出判定処理の結果が当りであると判定される特殊演出当り値のグループ(高確乱数グループ)に属する値である旨の先行判定がなされている場合に限らず、上記高確乱数グループに属する値である旨の先行判定がなされていないときにも所定の確率にて実行可能とされるものとなっている。
【0976】
すなわち、このリスク性演出では、今回期待演出についての演出時間のうちの上記事後期待演出についての演出表示に対して割り当てられた演出時間において、例えば、所定の表示態様が現れるか否かの当落演出として行われる。そして、この当落演出にて所定の表示態様としての第7キャラクタCR7が現れたときには、当否判定処理の結果が当りと判定される期待度(擬似当選確率)が高いと判定された特別乱数が、保留の状態とされている可能性が遊技者に対して意識付けされる。その一方で、所定の表示態様としての第7キャラクタCR7が現れなかったときには、当否判定処理の結果が当りと判定される期待度(擬似当選確率)が高いと判定された特別乱数が保留の状態とされていない可能性、すなわち上記当り判定テーブル4906にて決定付けられる当否判定処理の結果が当りと判定される期待度(当選確率)よりも低くされた特別乱数が保留の状態とされている擬似低確遊技状態にある可能性が遊技者に対して意識付けされることとなる。なお、擬似低確遊技状態とは、当否判定処理の結果が当りと判定される期待度(擬似当選確率)の高い旨の先行判定がなされなかった特別乱数が保留の状態とされていることを遊技者が認識し得る演出状態のことであり、該当する特別乱数の保留が消化されるまでの複数回の装飾図柄の変動遊技(保留数に応じてその都度異なる)が行われるまでの期間のことである。
【0977】
このようなリスク性演出によれば、今回期待演出についての演出表示に要する演出期間の途中であるにもかかわらず、遊技者にとっての遊技価値が実効性をもって変化し得るようになる。すなわちこの場合、条件装置やアタッカ装置の作動を必要としない単純な演出制御によって実現することができるようになり、これによって複数回の入賞始動遊技が行われる期間にわたって遊技興趣が好適に維持されるようになる。
【0978】
なお、当り判定テーブル4906にて決定付けられる当否判定処理の結果が当りと判定される期待度(当選確率)よりも高くされた特別乱数が保留の状態とされているときと、当り判定テーブル4906にて決定付けられる当否判定処理の結果が当りと判定される期待度(当選確率)よりも低くされた特別乱数が保留の状態とされているときとでは、遊技者にとっての遊技価値が大きく異なることは明らかである。
【0979】
また、本実施形態では、今回の当否判定処理の結果に対する期待度を専ら向上させうる機能を有する第6キャラクタCR6、または/および、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のうち少なくともいずれか一つについての特殊演出判定処理の結果が当りである旨の期待度を専ら向上させうる機能を有する第7キャラクタCR7を、図柄表示領域1410に表示しうるようにしたが、これに限られない。例えば、装飾図柄の変動が開始されたのちに第6キャラクタが出現して今回の当否判定処理の結果に対する期待度を向上させる演出を行い、その後(例えば、今回の当否判定処理の結果が当りとなる期待感が喪失されたとき)に、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のうち少なくともいずれか一つについての特殊演出判定処理の結果が当りである旨の期待度を向上せる演出を行うようにしてもよい。このようにすることで、第7キャラクタCR7が出現しなかったとしても、事後期待演出が行われることの期待感が喪失されないだけでなく、今回の当否判定処理の結果に対する期待度を専ら向上させうる機能を有すると思っていたキャラクタが、未だ当否判定処理が行われていない保留状態にある特別乱数のうち少なくともいずれか一つについての特殊演出判定処理の結果が当りである旨の期待度を向上せる演出を行うといったサプライズ機能をもった演出として実現させることができるようになり、これによって遊技興趣の低下を抑制することができるようになる。
【0980】
また、本実施形態では、通常遊技状態においては、第二始動口2002よりも第一始動口2001の方が入賞しやすいだけでなく、第一始動口2001と第二始動口2002とのうち主として第一始動口2001に入賞する。この場合において、例えば所定の乱数幅(例えば、0?599)で発生する特別図柄の当否判定用乱数のうち、第一始動口2001への入賞に基づいて取得された一つの乱数値が、197?199または307であるときに、特殊演出判定処理の結果が当りである旨が判定されるので、特殊演出判定処理の結果が当りである旨が判定される確率は、600分の4となる。一方、通常遊技状態において、例えば所定の乱数幅(例えば、0?599)で発生する特別図柄の当否判定用乱数のうち、第一始動口2001への入賞に基づいて取得された一つの乱数値が、7または307であるときに、当否判定処理の結果が当りである旨が判定されるので、当否判定処理の結果が当りである旨が判定される確率は、600分の2となる。したがって、フェイク特殊演出判定処理を考慮しなくとも、事後期待演出において遊技者に有利な結果が現れる確率(特殊演出判定処理の結果が当りである旨が判定される確率(本実施形態では600分の4))は、当該変動演出において遊技者に有利な結果が現れる確率(当否判定処理の結果が当りである旨が判定される確率(本実施形態では600分の2)よりも高くなる。これにより、当否判定処理の結果が当りと判定される確率が低く設定されたような遊技機であっても、これよりも高頻度で事後期待演出が行われうることとなり、当否判定処理の結果が実際にはハズレであるにもかかわらず当りであるかのようにみせる従来のようなガセ演出を行うことなく、遊技興趣の低下を抑制することができるようになる。
【0981】
以上、通常遊技状態において図柄表示領域に表示される今回期待演出および事後期待演出について説明したが、今回期待演出および/または事後期待演出を、確変機能および時短機能の両方が作動する特別遊技状態、確変機能が作動しないが時短機能が作動する時短遊技状態、および、確変機能は作動するが時短機能が作動しない遊技状態において行うようにしてもよい。
【0982】
[8.保留表示領域を利用した保留関連演出]
次で、液晶表示装置に表示される保留表示領域を利用した保留関連演出について、図193?図198を参照して説明する。この保留関連演出は、上述した特殊演出処理およびフェイク特殊演出処理の結果として、演出制御手段4962としての保留演出制御手段によって実現される演出である。つまり、上述した特殊演出と、この特殊演出と外観上区別できないフェイク特殊演出とが内部的に行われることによって、外観上視認できる保留関連演出として実行される。そして、この保留関連演出を通じて、特殊演出当りの期待度が遊技者に与えられる。具体的には、第2の保留記憶表示部1401b?第7の保留記憶表示部1401hに第8のキャラクタCR8が表示されていたとしても、この時点では、特殊演出判定処理の結果が当りであることが確定されず、第1の保留記憶表示部1401aに表示されてようやく確定される可能性があるようにしている。
【0983】
ここで、特殊演出当りの期待度(信頼度)とは、特殊演出判定処理の結果が当りであることを期待することができる程度を表すものである。本実施形態では、特殊演出判定処理の結果が当りであると当否判定処理の結果が当りである期待度が高いリーチ演出画像が必ず表示されるので、特殊演出当りの期待度とは、大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度であるといえる。ただし、特殊演出判定処理の結果が当りであったとしても、必ずしも当否判定処理の結果が当りである期待度が高いリーチ演出画像が必ず表示されるようにしなくてもよい。
【0984】
[通常遊技状態における保留関連演出]
図193は、主として第一始動口2001への入賞遊技が行われる通常遊技状態において、高確抽選事前示唆手段またはフェイク保留表示暴露演出制御手段により行われる保留関連演出の一態様を示す図である。
【0985】
なお、通常遊技状態では、図187?図192において説明した図柄表示領域に表示された事後期待演出において第8キャラクタCR8が出現すると、この第8キャラクタCR8の動作により、複数の特別乱数が保留されているときには、これら複数の特別乱数のうち、特殊演出判定処理の結果が当りである可能性が高い特別乱数がいずれであるかが遊技者に示される。
【0986】
図193によると、事後期待演出において第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から出現した白色の第8キャラクタCR8が、第3の保留記憶表示部1401cに表示された白色の桶の上に乗っている。このとき、第3の保留記憶表示部1401cの表示に対応する第一特別乱数についての装飾図柄の図柄変動演出において、大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が高くなる。
【0987】
第一特別乱数の保留が一つ消化されると(第1の保留記憶表示部1401aに表示されている始動記憶の変動表示が開始されると)、第3の保留記憶表示部1401cに表示されていた白色の第8キャラクタCR8が、第2の保留記憶表示部1401bに表示されている白色の桶に向かって飛び跳ねるようにして移動表示され、その後、第2の保留記憶表示部1401bの白色の桶の上に表示される。そして、第3の保留記憶表示部1401cに表示されていた白色の桶は消滅し、第3の保留記憶表示部1401cが非表示態様となる。なお、第2の保留記憶表示部1401bに表示されている白色の桶に飛び跳ねるようにして移動した第8キャラクタCR8の色は白色のままである。
【0988】
また、第一特別乱数の保留が2つ保留され且つ第2の保留記憶表示部1401bに白色の第8キャラクタCR8が表示されている状態で第一特別乱数の保留が一つ消化されると、第2の保留記憶表示部1401bに表示されていた白色の第8キャラクタCR8が、第1の保留記憶表示部1401aに表示されている白色の桶に向かって飛び跳ねるようにして移動表示され、その後、第1の保留記憶表示部1401aの白色の桶の上に表示され、特殊演出判定の結果が当りであったことが確定する。また、第2の保留記憶表示部1401bに表示されていた白色の桶は消滅し、第2の保留記憶表示部1401bが非表示態様となる。なお、第1の保留記憶表示部1401aに表示されている白色の桶に飛び跳ねるようにして移動した第8キャラクタCR8の色は白色のままである。
【0989】
このようにして、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて、この当りが当選された特別乱数に対応した保留記憶表示部における表示については、通常の表示態様(桶のみの表示)とは異なり、事後期待演出において第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から出現した白色の第8キャラクタCR8が桶の上に乗るといった特定の表示態様での表示制御が実行可能とされている。これにより、この特定の表示態様が現れた保留記憶表示部に対応した特別乱数については、当否判定処理の結果としての大当り値のハズレ値に対する割合(598分の2)によって決定付けられる大当りの当選確率(300分の1)よりも高い確率(4分の1)にて大当りが当選されることが、その特別乱数に応じた図柄変動演出が開始される前の時点で液晶表示装置1400にて事前示唆されるようになる(高確抽選事前示唆手段)。
【0990】
これに対して、第2の保留記憶表示部1401bに表示されていた白色の桶から第1の保留記憶表示部1401bに表示されている白色の桶に向かって飛び跳ねるようにして移動表示された第8キャラクタCR8が、第1の保留記憶表示部1401aに表示されている白色の桶の上に表示されずに、第1の保留記憶表示部1401aの枠外に消えていくと、特殊演出判定の結果がハズレ(フェイク特殊演出の結果が当り)であったことが確定する。なお、表示されていた第8キャラクタCR8が消えていく場合には、第1の保留記憶表示部1401aで消える態様に限られず、第1の保留記憶表示部1401aにいたるまでに消えるようにしてもよい。
【0991】
また、第1の保留記憶表示部1401aに表示されている白色の桶の上に第8キャラクタCR8が表示されなければ、第一特別乱数が「7」でない限り、大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示されることがない。ただし、特殊演出判定の結果がハズレである旨の確定表示(表示されていた第8キャラクタCR8が消えていく表示)が行われたにもかかわらず大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示された場合には、当否判定処理の結果が当りである可能性が高くなるので、遊技者を一喜一憂させうる遊技を実現することが可能となる。
【0992】
このように、特殊演出判定処理の結果がハズレであるにもかかわらず、上記特定の表示態様が液晶表示装置1400にて現れるかたちでのフェイク特殊演出表示制御を実行可能である一方で、このフェイク特殊演出表示制御を実行したときには、フェイク特殊演出表示制御による保留表示が保留消化状況表現手段により消滅させられる(すなわち当否判定処理が行われる)よりも前に現れている間に、その表示形態を特定の表示態様から通常の表示態様に表示変更させる変更制御がさらに実行される(偽保留表示暴露演出制御手段)。
【0993】
すなわち、当否判定処理の結果が大当りとなる確率は、表1の当り判定テーブルに記憶されている大当り値のハズレ値に対する割合(598分の2)によって決定付けられることとなる。この点、上記構成では、まず、上記大当り値の一部(307)と上記ハズレ値の一部(197?199)とを特殊演出当り値として判別可能とするとともに(表2参照)、該判別可能とされる上記大当り値の一部の上記ハズレ値の一部に対する割合(4分の1)は、上記表1の当り判定テーブルでの上記大当り値の上記ハズレ値に対する割合よりも高く設定されてなる。ここで、表2の演出当り値に含まれるハズレ値(本実施形態では197?199)に対する演出当り値に含まれる大当り値(本実施形態では307)の割合は、表1のハズレ値(本実施形態では0?599のうち3と307とを除く値)に対する大当り値(本実施形態では3,307)の割合は、有利付け演出がおこなわれたときに、実際に有利であると遊技者が容易に実感できるように、倍以上に高いことが好ましい。
【0994】
ところで、図193においては、第8キャラクタCR8の色が白色であったが、図194に示されるように、事後期待演出において第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から出現した第8キャラクタCR8が赤色であることがある。ここで、図194は、通常遊技状態における保留関連演出の別の態様を示す図である。
【0995】
図193と図194とを比較すると、見た目上は、第8キャラクタCR8の色が異なるだけで、第一特別乱数の保留が一つ消化される際に、第nの保留記憶表示部(nは2?7のいずれか)から第(n-1)の保留記憶表示部に向かって第8キャラクタCR8が移動表示される態様は同じである。ただし、内部的には、無事に第1の保留記憶表示部1401aにまでいたった第8キャラクタCR8の色が白であるときには、大当りの期待度が高いリーチ演出画像の表示が確定されるのに対して、無事に第1の保留記憶表示部1401aにまでいたった第8キャラクタCR8の色が赤であるときには、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度は50%にとどまる。また、図示はしていないが、第1の保留記憶表示部1401aにまでいたった第8キャラクタCR8の色が黒色であるときには、第1の保留記憶表示部1401aに第8キャラクタCR8が表示されているにもかかわらず、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度は0%である。なお、第1の保留記憶表示部1401aに第8キャラクタCR8が表示されていないときも、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度は0%である。
【0996】
なお、上記の実施形態では、事後期待演出において第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から出現した第8キャラクタCR8は、第3の保留記憶表示部1401cに表示されている桶に乗るようにして表示されている。上述したとおり、特殊演出判定処理は、始動口2001,2002に入賞したときの第一特別図柄保留カウンタ4903または第二特別図柄保留カウンタ4913のカウンタ値が今回の始動入賞を含めて2以上であるときはいつでも行われる。しかも、たとえ特殊演出フラグまたはフェイク特殊演出フラグがオンであったとしても、第1の保留記憶表示部1401a?第8の保留記憶表示部1401hのいずれかに保留された旨が表示される際には特殊演出抽選処理の結果を示唆するような演出は行われずに、保留されたのちに、第1の保留記憶表示部1401aに保留されている特別乱数についての装飾図柄の変動が行われる際に、特殊演出抽選処理の結果を示唆する演出としての事後期待演出が行われる。したがって、特殊演出判定処理の結果が当りであるときは、第8キャラクタCR8が第1の保留記憶表示部1401b?第7の保留記憶表示部1401gのいずれに表示された桶の上に乗ることとなる。フェイク特殊演出処理の結果が当りであるときは、第8キャラクタCR8が第1の保留記憶表示部1401aに表示された桶の上に乗ることはなく、第2の保留記憶表示部1401b?第7の保留記憶表示部1401gのいずれかに表示された桶の上に乗ることとなる。
【0997】
また、第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から出現した第8キャラクタCR8は、第一特別乱数の保留についての特殊抽選処理またはフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであるときに、第一特別乱数が保留されていることを示す桶の上に乗ることに限られず、第二特別乱数についての特殊抽選処理またはフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであるときに、第二特別乱数が保留されていることを示す桶の上に乗るように表示されてもよいことは言うまでもない。
【0998】
さらに、本実施形態では、図193または図194に示されるように、第一特別乱数の保留が消化される過程で第8キャラクタCR8が表示され続けるか否かにとどまらない。例えば、図195に示される昇格態様での保留関連演出も行われる。図195は、通常遊技状態における昇格態様の保留関連演出の一態様を示す図である。
【0999】
図195によると、第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から出現した黒色の第8キャラクタCR8が、第3の保留記憶表示部1401cに表示された白い桶の上に乗っている。
【1000】
このように第一特別乱数の保留が3つ保留され且つ第3の保留記憶表示部1401cに黒色の第8キャラクタCR8が表示されている状態で第一特別乱数の保留が一つ消化されると、第3の保留記憶表示部1401cに表示されていた黒色の第8キャラクタCR8が、第2の保留記憶表示部1401bに表示されている白色の桶に向かって飛び跳ねるようにして移動表示され、その後、第2の保留記憶表示部1401bの白色の桶の上に表示されている。このとき、飛び跳ねている段階(つまり、第2の保留記憶表示部1401bに表示されている白色の桶の上に無事に表示されるか否か分からない段階)では黒色であった第8キャラクタCR8が、第2の保留記憶表示部1401bに表示されている白色の桶の上に表示されるとほぼ同時に赤色に変化している(図195からはわかりづらいが尻尾の色を見ると変化していることが把握できる)。したがって、この時点(第2の保留記憶表示部1401bに第8キャラクタCR8が表示されている時点)では、仮に第8キャラクタCR8が第1の保留記憶表示部1401aに表示されたとすると、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が50%となり、黒色の第8キャラクタCR8が第1の保留記憶表示部1401aに表示されたときの期待度(0%)から昇格されたこととなる。
【1001】
そして、第2の保留記憶表示部1401bに表示されていた赤色の第8キャラクタCR8が、第1の保留記憶表示部1401aに表示されている白色の桶に向かって飛び跳ねるようにして移動表示され、その後、第1の保留記憶表示部1401aの白色の桶の上に表示されている。このとき、飛び跳ねている段階では赤色であった第8キャラクタCR8が、第1の保留記憶表示部1401aに表示されている白色の桶の上に表示されるとほぼ同時に白色に変化し、特殊演出判定に当選したことが確定され、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が100%となる。ただし、特殊演出判定に当選したとしても、そこから大当りとなる確率は4分の1(表2参照)なので、第1の保留記憶表示部1401aに白色の第8キャラクタCR8が表示されることは滅多になく、プレミア的な演出の位置付けとなる。
【1002】
このようにして、事後期待演出において第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口から出現した第8キャラクタCR8の色が期待度の低い例えば黒色であったとしても、複数の始動記憶についての変動表示が行われる過程で期待度の高い赤色や白に変化していく演出を行いうる。これにより、遊技者に不利な不利付け演出が行われることが示唆される例えば黒色の第8キャラクタCR8が出現したとしても、期待度の低い第8キャラクタCR8の出現により生じうる期待感の消失が軽減される。
【1003】
すなわち、液晶表示装置1400において保留関連演出が行われるに際しては、特殊演出判定処理の結果が当りである信頼度を示す表示形態としての第8キャラクタCR8(黒色、赤色および白色のうちいずれかに色付けされた第8キャラクタCR8)を表示すると判断されたにもかかわらず、特殊演出判定処理の結果に依存することなく、信頼度の低い例えば黒色の第8キャラクタCR8を採用して強制的に桶の上に出現させる表示制御を実行可能となっている(低信頼度保留強制表示制御手段)。
【1004】
ただし、低信頼度保留強制表示制御手段により複数色の第8キャラクタCR8のうちの信頼度の低い特定の表示形態である黒色の第8キャラクタCR8を採用して保留表示されたときには、当該保留表示が保留消化状況表現手段により消滅させられるよりも前に液晶表示装置1400にて現れている間に、その表示形態を、特殊演出判定処理の当落の結果に基づいて複数色の第8キャラクタCR8のうちの特殊演出判定処理の結果に見合った表示態様に昇格変更させる変更制御を実行可能としている(強制表示解除制御手段)。
【1005】
また、上記の実施形態では、先ず始めに出現される第8キャラクタCR8の色が黒色であり、その後に、より期待度が高い赤色に変化し、さらにその後に、より期待度が高い白色に変化しているが、これに限られず、先ず始めに赤色の第8キャラクタCR8を出現させて、その後に、より期待度が高い白色に変化する態様であってもよい。また、赤色を経ることなく黒色からいきなり白色に変化してもよい。
【1006】
なお、第8キャラクタCR8の色が変化するタイミングを含む上記の保留関連演出は、液晶制御ROM4150b(保留表示態様記憶手段)に記憶された表示コマンドに対応するスケジュールデータとして記憶されている。そして、このスケジュールデータに基づいて、液晶制御MPU4150aにより保留関連演出が実現される。
【1007】
ところで、上述したとおり、図193?図195に示されるように第8キャラクタCR8が第1の保留記憶表示部1401aに出現していれば、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が、出現している第8キャラクタCR8の色に応じて示される。そして、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示されるときには、第1の保留記憶表示部1401aに出現していた第8キャラクタCR8がこのリーチ演出画像に向かって移動表示し、そのままリーチ演出画像に加えられるといったリーチ演出が、演出制御手段4962によって実現される。これにより、保留関連演出とリーチ演出画像との間に関連性があることを容易に把握できる。
【1008】
なお、第1の保留記憶表示部1401aに第8キャラクタCR8が表示された場合には、特殊演出判定処理の結果が当りであることが確定されるようにしたが、これに限られず、特殊演出判定処理の結果がハズレであったときには、第1の保留記憶表示部1401aに一旦は第8キャラクタCR8を表示するものの、表示された第8キャラクタCR8が第1の保留記憶表示部1401aの枠外にひっそりと消えていく態様にしてもよい。このとき、特殊演出判定処理の結果がハズレであるから、大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される可能性は低い。ところが、確変機能が作動しない通常遊技状態時には、上述の表1に示される第1特別図柄の当り判定テーブルの当り値に含まれる「7」が、上述の表2に示される第1特別図柄の特殊演出判定テーブルの演出当り値に含まれていないので、第一始動口2001への入賞に基づいて取得された当否判定用乱数が「7」であるときには、第1の保留記憶表示部1401aに表示されていた第8キャラクタCR8が第1の保留記憶表示部1401aの枠外にひっそりと消えていったとしても、大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示されることが稀にある。これにより、遊技者にとって不利な不利付け演出が行われたとしても、大当りが発生する可能性を残すことができ、最後まで期待感を維持し続けることが可能となる。
【1009】
以上、特別乱数の保留が消化されていく過程で、保留の消化に伴って大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が昇格していく昇格態様の保留関連演出について説明したが、これに限られない。例えば、特別乱数の保留が消化されていく過程で、保留の消化に伴って大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が降格していく降格態様の保留関連演出が行われるようにしてもよい。この降格態様の保留関連演出について、以下に説明する。
【1010】
降格態様の保留関連演出は、本実施形態では、特殊演出判定処理の結果がハズレであって且つフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであったときに限り行われる。この降格態様の保留関連演出では、図示はしないが、事後期待演出において第7キャラクタCR7が手に持つピストルの発砲口からは、先ずは白色または赤色の第8キャラクタCR8が出現する。
【1011】
第一特別乱数の保留が一つ消化されると(第1の保留記憶表示部1401aに表示されている始動記憶の変動表示が開始されると)、第nの保留記憶表示部(nは2?7のいずれか)に表示されていた白色または赤色の第8キャラクタCR8が、第(n-1)保留記憶表示部に表示されている白色の桶に向かって飛び跳ねるようにして移動表示され、その後、第(n-1)の保留記憶表示部1401cの白色の桶の上に表示される。そして、第(n-1)の保留記憶表示部の白色の桶に飛び跳ねるようにして移動した第8キャラクタCR8は、適宜の移動タイミングで白色または赤色から黒色に変化することがある。なお、白色から赤色に変化するパターンを含んでもよく、また、黒色への変化に代えて第8キャラクタCR8の表示が消えるようにしてもよい。
【1012】
したがって、最初に出現した第8キャラクタCR8の色が期待度の高い例えば白色であったとしても、複数の始動記憶についての変動表示が行われる過程で期待度が0%の黒色に変化する演出を行いうる。特殊演出判定処理の結果が当りであるときには、先ずは白色または赤色の第8キャラクタCR8が出現し、そのまま最後まで白または赤色の第8キャラクタCR8が出現しうるものの上記のような降格演出が行われうるので、有利付け演出が行われることが示唆される例えば白色の第8キャラクタCR8が出現したとしても決して安心することができず、最後まで気の抜けない演出を実現することができる。
【1013】
ところで、通常遊技状態においては、上記の昇格態様の保留関連演出および降格態様の保留関連演出のいずれであっても、第nの保留記憶表示部(nは2?7のいずれか)に表示されている第8キャラクタCR8が、第(n-1)の保留記憶表示部に移動表示されるとき(すなわち、保留が1つ消化されるとき)に色が変化している。ただし、第8キャラクタCR8の色が変化するタイミング(期待度が変化するタイミング)は、これに限られず、第nの保留記憶表示部から第(n-1)の保留記憶表示部に第8キャラクタCR8が移動表示されてから所定時間の間に行なわれるようにしてもよい。すなわち、第1の保留記憶表示部1401aに表示されていた特別乱数についての図柄変動演出が行われるときに、第nの保留記憶表示部から第(n-1)の保留記憶表示部に第8キャラクタCR8が移動表示されるが、図柄変動演出が開始されてから例えばリーチが表示されるまでの所定時間の間は、遊技者が図柄変動演出を注視する必要性に乏しい。よって、遊技者が図柄変動演出を注視する必要性に乏しいこの時間に、昇格態様の保留関連演出または降格態様の保留関連演出を行うことで、遊技者に保留関連演出に注目を向かせることが可能となる。また、そればかりか、図柄変動演出が開始されてから所定時間の間は遊技者にとって退屈な時間となりうるので、この時間を利用して保留関連演出を行うことで、液晶表示装置1400における演出に絶え間なく面白みを持たせることが可能となる。
【1014】
また、第1の保留記憶表示部1401aに保留されている特別乱数についての保留が解除されて装飾図柄ZG1?ZG3の変動が行われる際には、上述の昇格態様または降格態様の保留関連演出が行われると同時に、事後期待演出が行われうることは言うまでもない。したがって、第1の保留記憶表示部1401a?第8の保留記憶表示部1401hに、複数の第8のキャラクタCR8が同時に表示されることがありうる。
【1015】
[特別遊技状態における保留関連演出]
上述したように、第一特別乱数の保留解除(保留消化)よりも第二特別乱数の保留解除(保留消化)のほうが優先されるので、主として第二始動口2002の入賞遊技が行われる特別遊技状態では、第一特別乱数の保留と第二特別乱数の保留とがいずれも上限まで記憶されていると、図196に示される表示態様で表示される。図196は、特別遊技状態における保留関連演出の一態様を示す図である。
【1016】
上述したとおり、特別遊技状態ではモード演出が実行される。このモード演出は、内部的な制御は同じ(すなわち、遊技状態は同じ)であるにもかかわらず、遊技者にとっての不利度合いが変化するものである。詳しくは、内部的には同じ制御でありながらも、下記の複数のモード演出のうちいずれかのモード演出のもとで遊技が行われる。・遊技者にとって不利な不利遊技が行われうる不利演出モード・遊技者にとって不利な不利遊技が行われることのない有利演出モード・遊技者にとって不利な不利遊技が行われうるものの、この不利遊技を回避しうる回避モード・第一特別乱数の保留解除を消化させるほうが有利な第一特図消化モード
【1017】
上記の各モード演出について、図196を参照しつつ説明する。なお、図196は、特別遊技状態における保留関連演出の態様としてのモード演出を示す図である。
【1018】
特別遊技状態では、通常遊技状態にて行われた特殊演出判定処理に代えて、モード演出処理が行われる。このモード演出処理では、始動口2001,2002に遊技球が入賞したことによって取得された図柄乱数に基づいて、当否判定処理の結果が当りであると仮定したならばこの大当り種別を判定する大当り種別判定処理と、大当り種別判定処理にて判定された大当り種別に基づいて、保留関連演出として表示すべき表示態様を決定する表示態様決定処理とが行われる。なお、上記のモード演出処理として行われる大当り種別判定処理および表示態様決定処理は、いずれも、特殊演出判定処理と同様に、当否判定に先だって行われる。
【1019】
上記の大当り種別判定処理において、当否判定処理の結果が当りであると仮定したならばこの当りの種別が第1長開放大当りであると判定されるときに限り、図196に示すように、点火された爆弾が表示される。すなわち、当否判定処理の結果が第1長開放大当りであるときには、特別遊技状態から確変機能が作動しない時短遊技状態に移行するので、遊技者にとっては、当選して欲しくない大当りの種別である。ただし、たとえ点火された爆弾が表示されたとしても、上記の大当り種別判定処理は当否判定処理に先だって行われることから、点火された爆弾が表示された時点では、大当りとなる確率が30分の1でしかない(表1参照)。このように、点火された爆弾が表示されたとしても特別遊技状態の終了が確定するわけではないので、この爆弾が表示された始動記憶についての保留消化(図柄変動演出)が行われるまでは、遊技者に緊張感を与えることとなる。
【1020】
例えば、図196(a)では、第2の保留記憶表示部1401b、第5の保留記憶表示部1401eおよび第8の保留記憶表示部1401fに、点火された爆弾が表示されている。なお、第2の保留記憶表示部1401bには第二特別乱数が保留されており、第5の保留記憶表示部1401eおよび第8の保留記憶表示部1401fには第一特別乱数が保留されている。このとき、第2の保留記憶表示部1401bの第二特別乱数についての保留消化は避けようがなく、必ず当否判定が行われる。そして、第2の保留記憶表示部1401bの第二特別乱数についての当否判定の結果が仮にハズレであったとしても、第5の保留記憶表示部1401eおよび第8の保留記憶表示部1401fに点火された爆弾が表示されている。したがって、第二特別乱数についての保留を全て消化した時点で、第一特別乱数についての保留を消化することと、第二始動口2002に遊技球を入賞させることとのうちいずれを行った方が有利であるかといった選択肢がない。つまり、この図196(a)の表示態様は、第二特別乱数についての保留消化および第一特別乱数についての保留消化のいずれにあっても、遊技者にとって不利な第1長開放大当りが当選される可能性がある不利遊技が行われる不利演出モードである。
【1021】
また、図196(b)では、第1の保留記憶表示部1401a?第8の保留記憶表示部1401hのうちいずれの保留記憶表示部にも、点火された爆弾が表示されていない。このとき、第1長開放大当りが当選される可能性は0%である一方で、第2長開放大当りが当選される可能性は残されている。すなわち、この図196(b)の表示態様は、特別遊技状態から確変機能が作動しない時短遊技状態に移行することがありえない点において、遊技者にとって不利な不利遊技が行われることのない有利演出モードである。
【1022】
また、図196(c)では、第5の保留記憶表示部1401eおよび第8の保留記憶表示部1401fにのみ、点火された爆弾が表示されている。すなわち、第二特別乱数が保留されている第1の保留記憶表示部1401a?第4の保留記憶表示部1401dには、点火された爆弾が表示されていないので、現時点においては、第一特別乱数の保留についての当否判定が行われない限り、時短遊技状態への移行を回避しうる。したがって、この図196(c)の表示態様は、第二始動口2002への入賞が促進される特別遊技状態では、第二特別乱数の保留についての保留がなくならないように第二始動口2002に入賞させるべく遊技を行うことで、時短遊技状態への移行を回避しうる不利遊技回避モードであるといえる。
【1023】
なお、図196(c)の不利遊技回避モードでは、第5の保留記憶表示部1401eおよび第8の保留記憶表示部1401fの第一特別乱数についての保留消化が行われることなく時短遊技状態に移行された場合には、たとえ第1長開放大当りであっても、遊技者にとっては当選して欲しいと願うので、特別遊技状態から通常遊技状態への移行を回避したいといった願望はもはやない。さらには、時短遊技状態では当否判定の結果が当りとなる確率が300分の1(表1参照)となるので、点火された爆弾の表示が何らの意味を持たないものとなる。
【1024】
したがって、図196(c)の場合に限らず、特別遊技状態から時短遊技状態に移行したときには、特別遊技状態にて表示されていた点火された爆弾の表示を全て消滅させる処理が行われる。このとき、特別遊技状態において点火された爆弾がどこに表示されていたかを遊技者が覚えておくことで、時短遊技状態に変更されたのちに表示されうる第8キャラクタCR8の表示態様とあわせていかなる当りが付与されるのかを推測することが可能となる。そして、このような推測に基づいて、どのような遊技を行うべきか(例えば第一特別乱数の保留を消化すべきかそれとも回避すべきか)といった遊技戦略を考える余地を、遊技者に与えることができるといったこれまでにない斬新な遊技性を提供することが可能となる。
【1025】
さらに、図196(d)では、第3の保留記憶表示部1401cにのみ、点火された爆弾が表示されている。ここで、第3の保留記憶表示部1401cの第二特別乱数についての保留消化が行われたとしても第1長開放大当りが当選されなかったときには、第二特別乱数についての保留を全て消化した時点で、遊技者は、既に保留されている第一特別乱数についての保留を消化することと、第二始動口2002に遊技球を入賞させることとのうちいずれを行うかを選択することが可能となる。ただし、第二始動口2002に遊技球を入賞させたときには点火された爆弾が表示される可能性があることから、第2長開放大当りが当選される可能性のある第一特別乱数の保留解除を消化させるほうが、遊技者にとっては有利である。つまり、この図196(d)の表示態様は、第一特別乱数の保留解除を消化させるほうが有利な第一特図消化モードであるといえる。
【1026】
このように、特別遊技状態において保留関連演出が行われると、内部的な遊技状態は同じであるにもかかわらず、遊技者にとって有利度合いが異なる複数の演出モードのうちいずれかの演出モードにて遊技が行われることとなる。しかも、いずれの演出モードにて遊技が行われるかについては、特別乱数についての保留が消化される都度移行しうるので、遊技者に抑揚感を与える演出が実現される。
【1027】
図196では、点火された爆弾の導火線の長さによって、遊技者にとってのリスク度合いが表現されている。例えば、図196(a)の第2の保留記憶表示部1401b、および図196(d)の第3の保留記憶表示部1401cの第二特別乱数についての保留消化は避けようがないので、もうすぐ爆発するようなイメージを想起させるべく、導火線が短くなっている。また、図196(a)の第5の保留記憶表示部1401e、図196(a)の第8の保留記憶表示部1401h、図196(c)の第5の保留記憶表示部1401e、および図196(c)の第8の保留記憶表示部1401hの第一の特別乱数の保留については、第一特別乱数の保留消化よりも第二特別乱数の保留消化のほうが優先して行われる限り回避することが可能であるので、爆発するまでにはまだ時間が暫く要するようなイメージを想起させるべく、導火線が長くなっている。なお、第5の保留記憶表示部1401eの第一特別乱数の保留消化よりも、第8の保留記憶表示部1401hの第一の特別乱数の保留消化の方が行われ難いので、第5の保留記憶表示部1401eに表示された爆弾の導火線よりも、第8の保留記憶表示部1401hに表示された爆弾の導火線の方が長くなっている。
【1028】
なお、上記では、大当り種別判定処理において、当否判定処理の結果が当りであると仮定したならばこの当りの種別が第1長開放大当りであると判定されるとき(すなわち確変機能が非作動となるとき)に限り、図196に示すように、点火された爆弾が表示されるようにしたが、これに限られない。例えば、大当り種別判定処理において、当否判定処理の結果が当りであると仮定したならばこの当りの種別が第2長開放大当りまたは短開放大当り(すなわち確変機能の作動が継続する当り)であると判定されるときであっても、所定の確率で抽選を行い、この抽選の結果に基づいて、点火された爆弾が表示されるようにしてもよい。このとき、点火された爆弾に対応する特別乱数の当否判定処理が行われる前に、真の結果(当否判定処理の結果が当りであると仮定したならば確変機能の作動が継続する当りであるとの結果)を暴露すべく、点火された爆弾の表示を消滅させることが好ましい(昇格態様)。これにより、確変機能が非作動となるかのようなリスクのある演出が高頻度で行われることとなり、単に当否判定処理の結果が当りとなるのを待つだけのような退屈感を軽減することができる。また、これとは逆に、大当り種別判定処理において、当否判定処理の結果が当りであると仮定したならばこの当りの種別が第1長開放大当り(すなわち確変機能が非作動となる当り)であると判定されるときであっても、所定の確率で抽選を行い、この抽選の結果に基づいて、点火された爆弾が表示されないようにしてもよい。このとき、当該点火された爆弾を表示しないとされた特別乱数の当否判定処理が行われる前に、真の結果(当否判定処理の結果が当りであると仮定したならば確変機能が非作動となる当りであるとの結果)を暴露すべく、点火された爆弾が出現するようにすることが好ましい(降格態様)。これにより、たとえ点火された爆弾表示されなかったとしても、確変機能が非作動となるリスクがある旨を常に遊技者に意識させることが可能となり、単に当否判定処理の結果が当りとなるのを待つだけのような退屈感を軽減することができる。なお、上記の昇格態様と降格態様とのうちいずれか一方だけを採用してもよく、両方を採用してもよい。
【1029】
ところで、特別遊技状態における保留関連演出では、始動口2001,2002への入賞に基づいて取得された当否判定用乱数を用いた特殊演出判定処理は、あえて行われていない。なぜなら、例えば第一始動口2001に入賞したことに基づいて取得された第一特別乱数(当否判定用乱数)が当否判定処理において当りと判定される乱数であったときに、点火された爆弾が表示されず且つ特殊演出判定処理の結果が当りである旨の表示が行われると、この第一特別乱数は確変機能が作動する第2長開放大当りである可能性が高く、遊技者に射幸心を煽る結果となりかねないからである。
【1030】
なお、上記では、特別遊技状態において、始動口2001,2002への入賞に基づいて取得された当否判定用乱数を用いた特殊演出判定処理をあえて行わないようにしているが、これに限られない。例えば、始動口2001,2002への入賞に基づいて取得された当否判定用乱数を用いた特殊演出判定処理を行うものの、そのときの遊技状態を判別し、所定条件を満たさないとき(例えば時短遊技状態であるとき)に、特殊演出判定処理の結果を表示しないようにしてもよい。
【1031】
また、図柄乱数に基づいて行われた、当否判定処理の結果が当りであると仮定したならばこの大当り種別を判定する大当り種別判定処理の結果が第1長開放大当りであるときには(すなわち点火された爆弾が表示されるときには)、特殊演出判定処理を行い、この結果を表示するようにしてもよい。なぜなら、このときは遊技者に射幸心を煽る可能性が低いだけでなく、一の特別乱数の保留表示に、点火された爆弾と特殊演出判定処理の結果が当りである旨との両方が表示されると、この一の特別乱数についての当否判定処理が行われたときに特別遊技状態の終了がより現実的となりうるので、この一の特別乱数についての当否判定処理の結果が表示されるまでの間、遊技者に大きな緊張感を与えることができうるからである。
【1032】
なお、本実施形態では、特別遊技状態において、当否判定の結果が当りであると仮定したときに確変機能が作動しない当りであるか否かを爆弾の絵柄によって表示するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、出球の少ない当り(ラウンド数が少ない当り)と出球の多い当り(ラウンド数が多い当り)とが設けられているときには、例えばラウンド数を表示することによって、遊技者に緊張感を与えるようにしてもよい。
【1033】
[時短遊技状態における保留関連演出]
上述したように、第一特別乱数の保留解除(保留消化)よりも第二特別乱数の保留解除(保留消化)のほうが優先されるので、時短遊技状態においても、主として第二始動口2002の入賞遊技が行われる。ただし、確変機能が作動していない遊技常態であるから、特別遊技状態のときのように、第1長開放大当りが当選されて欲しくないといった願望は遊技者に芽生えにくい。
【1034】
ここで、図197は時短遊技状態における保留関連演出の一態様を示す図である。この図197に示されるように、特別遊技状態から時短遊技状態に移行すると、上述したとおり、特別遊技状態にて表示されていた点火された爆弾の表示が全て消滅する。そして、この時短遊技状態では、通常遊技状態時と同様に、始動口2001,2002への入賞によって取得された当否判定用乱数を用いて、当否判定に先だって特殊演出判定処理が行われる。そして、第二特別図柄特殊演出判定処理の結果がハズレであるときには、フェイク特殊演出判定が行われる。
【1035】
時短遊技状態では、図197に示されるように、第1の保留記憶表示部1401a?第8の保留記憶表示部1401hの全てに第8キャラクタCR8が表示される。そして、各保留記憶表示部の桶の上で上下に繰り返し飛び跳ねるように表示されることで、保留関連演出が行われる。
【1036】
ここで、特殊演出判定処理の結果が当りであるとき、またはフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであるときは、後述する昇格態様の保留関連演出が行われる場合を除いて白色または赤色の第8キャラクタCR8が表示される。これに対し、特殊演出判定処理の結果がハズレであって且つフェイク特殊演出判定処理の結果もハズレであるときは、後述する降格態様の保留関連演出が行われる場合を除いて黒色の第8キャラクタCR8が表示される。第1の保留記憶表示部1401aに白色の第8キャラクタCR8が表示されると特殊演出判定の結果が当りであることが確定され、当否判定(特別図柄ひいては装飾図柄の図柄変動演出)が行われる際に、常に、大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される。また、第1の保留記憶表示部1401aに赤色の第8キャラクタCR8が表示されていれば、特殊演出判定の結果が当りである可能性があり、当否判定(特別図柄ひいては装飾図柄の図柄変動演出)が行われる際に、50%の信頼度で、大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される。また、第1の保留記憶表示部1401aにおいて表示される第8キャラクタCR8が黒色であれば、特殊演出判定およびフェイク特殊演出判定処理の結果のいずれもがハズレであることが確定し、大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示されることがなく、常にハズレ変動が表示される。
【1037】
また、この時短遊技状態においても、特別乱数の保留が消化されていく過程で、始動記憶の消化に伴って大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が昇格していく昇格態様の保留関連演出、および特別乱数の保留が消化されていく過程で、始動記憶の消化に伴って大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が降格していく降格態様の保留関連演出が行われる。
【1038】
時短遊技状態における昇格態様の保留関連演出は、桶の上で上下に繰り返し飛び跳ねているときに、例えば黒色であった第8キャラクタCR8が赤色に変化する(図197の第6の保留記憶表示部1401f参照)。時短遊技状態では、第8キャラクタCR8の色の変化は1回に限り行われるようになっているので、黒色から例えば赤色に変化した時点で、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が50%となり、黒色の第8キャラクタCR8のままであったときの期待度(0%)から昇格されたこととなる。
【1039】
また、桶の上で上下に繰り返し飛び跳ねているときに、例えば黒色であった第8キャラクタCR8が白色に変化することもある(図197の第6の保留記憶表示部1401f参照)。このとき、特殊演出判定に当選したことが確定し、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示される期待度が100%となり、この場合も期待度が昇格されたこととなる。ただし、特殊演出判定に当選したとしても、そこから大当りとなる確率は4分の1(表2参照)なので、白色の第8キャラクタCR8に変化することは滅多になく、プレミア的な演出の位置付けとなる。
【1040】
このように、最初に出現した第8キャラクタCR8の色が期待度の低い例えば黒色であったとしても、桶の上で上下に繰り返し飛び跳ねている過程で期待度の高い赤色や白に変化する演出を行いうる。これにより、不利な入賞始動遊技が行われることが示唆される例えば黒色の第8キャラクタCR8が出現したとしても、期待度の低い第8キャラクタCR8の出現により生じうる期待感の消失が軽減される。
【1041】
ところで、上述したとおり、時短遊技状態においては、昇格態様および降格態様の保留関連演出のいずれであっても、桶の上で上下に繰り返し飛び跳ねているときに第8キャラクタCR8の色が変化して、大当りに対する期待度が変化する。ここで、第1の保留記憶表示部1401aに表示されていた特別乱数に対応する図柄変動演出が開始されてから例えばリーチが表示されるまでの所定時間の間は、遊技者が図柄変動演出を注視する必要性に乏しいので、第8キャラクタCR8の色が変化するタイミング(期待度が変化するタイミング)は、第1の保留記憶表示部1401aに表示されていた特別乱数についての図柄変動演出が行われるとき(より詳しくは、第1の保留記憶表示部1401aに表示されていた特別乱数についての図柄変動演出が開始されてから所定時間の間)であることが好ましい。この所定の時間は、遊技者が図柄変動演出を注視する必要性に乏しい時間であり、この間に昇格態様の保留関連演出または降格態様の保留関連演出を行うことで、遊技者に保留関連演出に注目を向かせることが可能となる。また、そればかりか、図柄変動演出が開始されてから所定時間の間は遊技者にとって退屈な時間となりうるので、この時間を利用して保留関連演出を行うことで、液晶表示装置1400における演出に絶え間なく面白みを持たせることが可能となる。
【1042】
なお、第8キャラクタCR8の色が変化するタイミングは、特殊演出判定処理の結果が当りであったとき、またはフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであったときに、変化するタイミングがそれぞれ異なる複数のパターンが記憶された保留演出パターンテーブルのなかからいずれかのパターンに選択決定される。なお、このテーブルは、主制御MPU4100aのROMに記憶されている。
【1043】
また、上記の実施形態では、先ず始めに出現される第8キャラクタCR8の色が黒色であり、その後に、より期待度が高い赤色または白色に変化しているが、これに限られず、先ず始めに赤色の第8キャラクタCR8を出現させて、その後に、より期待度が高い白色に変化する態様であってもよい。
【1044】
ところで、通常遊技状態時と同様に、特殊演出判定処理の結果が当りであることに基づいて大当りの期待度が高いリーチ演出画像が表示されるときには、第1の保留記憶表示部1401aに出現していた第8キャラクタCR8がこのリーチ演出画像に向かって移動表示し、そのままリーチ演出画像に加えられるといったリーチ演出が、演出制御手段4962によって実現される。これにより、保留関連演出とリーチ演出画像との間に関連性があることを容易に把握できる。
【1045】
なお、第1の保留記憶表示部1401aに表示されていた第8キャラクタCR8の色が黒色であった場合には、特殊演出判定処理の結果がハズレであったことが確定し、特別図柄ひいては装飾図柄の図柄変動演出が行われる際に、第1の保留記憶表示部1401aの枠外にひっそりと消えていく。このとき、特殊演出判定処理の結果がハズレであるから、当否判定の結果が当りとなることがない。これは、上述の表1に示される確変機能が作動している第一特別図柄の当り判定テーブルの当り値と、上述の表2に示される第二特別図柄の特殊演出判定テーブルの演出当り値とが同じ値であるからである。これにより、特殊演出判定の結果が当りであることが確定されたにもかかわらず当否判定の結果がハズレであるときは、“特別遊技状態であれば当選していたのに”といった残念さにリアリティを持たせることができる。
【1046】
また、時短遊技状態における降格態様の保留関連演出は、図示しないが、桶の上で上下に繰り返し飛び跳ねているときに、例えば白色であった第8キャラクタCR8が黒色に変化する。時短遊技状態では、第8キャラクタCR8の色の変化は1回に限り行われるようになっているので、例えば白色から黒色に変化した時点で、特殊演出判定処理の結果がハズレであることが確定される。
【1047】
第8キャラクタCR8の色が変化するタイミングは、特殊演出判定処理の結果が当りであったとき、またはフェイク特殊演出判定処理の結果が当りであったときに、変化するタイミングがそれぞれ異なる複数のパターンが記憶された保留演出パターンテーブルのなかからいずれかのパターンに選択決定される。なお、このテーブルは、主制御MPU4100aのROMに記憶されている。
【1048】
このようにして、最初に出現した第8キャラクタCR8の色が期待度の高い例えば白色であったとしても、桶の上で上下に繰り返し飛び跳ねているときに、期待度が0%の黒色に変化する演出を行いうる。特殊演出判定処理の結果が当りであるときには、先ずは白色または赤色の第8キャラクタCR8が出現し、そのまま最後まで白または赤色の第8キャラクタCR8が出現しうるものの上記のような降格演出が行われうるので、有利な入賞始動遊技が行われることが示唆される例えば白色の第8キャラクタCR8が出現したとしても決して安心することができず、最後まで気の抜けない演出を実現することができる。
【1049】
ところで、上述した保留関連演出は、通常遊技状態および特別遊技状態にあっては、液晶表示装置1400の表示領域のうち下部に位置する下部領域に表示され、主表示領域である液晶表示装置1400の表示領域の中央部には、当否判定の結果に注目させるべく、当否判定の結果を示す図柄変動演出が表示される。
【1050】
ところが、特別遊技状態から時短遊技状態に移行したことに基づいて、特定条件としての全ての第8キャラクタCR8が黒色であるときに、液晶表示装置1400の下部領域に表示されていた保留関連演出が、上記の主表示領域にて行われるようになる。
【1051】
確変機能が作動していない遊技状態(時短遊技状態もこれに含まれる)時の大当り値(第一特別乱数および第二特別乱数のいずれも7および307)は、いずれも特殊演出判定テーブル4908の演出当り値に含まれている。したがって、保留された特別乱数についての図柄変動演出が行われるときには、当否の結果が表示される前から当否の結果を遊技者が知りえることになり、もはや、図柄変動演出は意味をもたないものとなる。そしてこの図柄変動演出に代えて、保留関連演出それ自体が当否の結果を知りうる演出となる。しかも、特別乱数は複数個(第一特別乱数および第二特別乱数の各々が4個)まで保留可能となっているので、保留されている特別乱数についての当否にかかわる演出を同時に遊技者に見せる演出が実現される。それ故、時短遊技状態においては、液晶表示装置1400の主表示領域にて保留関連演出を行うようにしたのである。
【1052】
また、時短遊技状態では、図柄変動演出が行われる際には当否判定処理の結果をすでに把握しうる状態にありながらも、保留関連演出が当否にかかわる演出として行われることに鑑み、リーチ形態をもった大当りとなる期待度が高いリーチ演出(比較的長い時間の要する図柄変動演出)の実行が割愛される制御(保留の状態とされている入賞始動遊技の短時間消化させる制御)を行うようにしている(特定状態変動制御手段)。また、リーチ演出の実行が割愛されたとしても、時短遊技状態では第二始動口2002への遊技球の入球が容易化されているので、保留が途切れるおそれもない。
【1053】
そして、リーチ形態をもった大当りとなる期待度が高いリーチ演出の実行が割愛される上記のような制御を行うようにすると、液晶表示装置1400にて表示される図柄変動演出に対しては期待を持ち難いことが露骨に現れてしまう。しかしながら、「時短遊技状態における新たな保留表示の出現し易さ」とも相まって、液晶表示装置1400においては、上記信頼度の高い表示形態をもった保留表示(例えば白第8キャラクタCR8)が新規に現れるか、すなわち、特殊演出判定処理の結果が当りと判定されたときに表示される保留関連演出が行われるか否かについて興味が惹かれるようになる。
【1054】
すなわち、液晶表示装置1400における図柄演出には敢えて期待を持たせない制御(入賞始動遊技の短時間消化)を行うことによって実現されるこのような連続的な保留表示(保留演出)によれば、低く設定されることの多い大当り確率に起因して本来は大きな期待を持ち難い図柄変動演出に頼ることなく、遊技興趣を好適に維持することができるようになる。また、特殊演出判定処理にて当りと判定される当否判定用乱数が新たに取得されたことが上記保留関連演出を通じて示唆された後は、特殊演出判定処理にてハズレと判定される当否判定用乱数である可能性が排除された当選確率、すなわち表1の当り判定テーブルにて決定付けられる当選確率よりも高い確率にて大当り抽選が行われるが如くの処理が実現されるようになる。そして、こうした高い期待度が液晶表示装置1400における高期待図柄変動演出として表現されることによって、遊技者の遊技興趣が好適に維持されるようになる。
【1055】
なお、時短遊技状態において、液晶表示装置1400の略中央部としての主表示領域において必ずしも保留関連演出を行う必要はなく、時短遊技状態を通じて、液晶表示装置1400の下部領域にて保留関連演出を行うとともに、主表示領域にて図柄変動演出を行うようにしてもよい。このとき、主表示領域に表示される図柄変動演出の例えば背後に表示される背景演出にて出現する第8キャラクタCR8が、保留関連演出として表示される第8キャラクタCR8に対して作用を及ぼすかのような演出を行ってもよい。例えば、従来であれば図柄変動演出に際して図柄に対して作用を及ぼすかのように出現していた第8キャラクタCR8が、本実施形態の保留関連演出として例えば桶の上に出現した第8キャラクタCR8の色を変化させるような演出を行うようにするとよい。このようにすることで、遊技者の注視が図柄変動演出よりも保留関連演出に重きがおかれるようになり、低く設定されることの多い大当り確率に起因して本来は大きな期待を持ち難い図柄変動演出に頼ることなく、遊技興趣を好適に維持することができるといった時短遊技状態における保留関連演出により奏される効果を享受しうる。
【1056】
以上、各遊技状態における保留関連演出について説明したが、上述したとおり、通常遊技状態および時短遊技状態では特殊演出判定処理の結果が表示され、特別遊技状態では特殊演出判定処理の結果が表示されることなく当否判定処理の結果が当りであると仮定したときに当選種別が表示される。
【1057】
よって、通常遊技状態または時短遊技状態において取得された当否判定用乱数についての特殊演出判定処理の結果が当りであるときは保留関連演出として第8キャラクタCR8が表示されるものの、この第8キャラクタCR8が表示されているときに、これよりも先に取得された当否判定用乱数についての当否判定処理の結果が当りであったことを契機として特別遊技状態に変更されたときは、上記第8キャラクタCR8が消滅される。
【1058】
そして、特別遊技状態に変更されたときに、上記表示されていた第8キャラクタCR8に対応する特別乱数に点火された爆弾が表示されれば、上記第8キャラクタCR8が表示されていた特別乱数は、確変機能が作動しない第1長開放大当りである可能性が高い。一方、特別遊技状態に変更されたときに、上記表示されていた第8キャラクタCR8に対応する特別乱数に点火された爆弾が表示されなければ、上記第8キャラクタCR8が表示されていた特別乱数は、確変機能が作動する第2長開放大当りまたは短開放大当りである可能性が高い。
【1059】
また、通常遊技状態または時短遊技状態において第8キャラクタCR8が表示されていたとしても、特別遊技状態に変更されるに際して当該第8キャラクタCR8の表示が消滅する。そこで、本実施形態においては、通常遊技状態または時短遊技状態において表示されていた第8キャラクタCR8を遊技者が覚えておくことで、特別遊技状態に変更されたのちに表示されうる点火された爆弾の表示の有無とあわせていかなる当りが付与されるのかを推測することが可能となる。そして、このような推測に基づいて、どのような遊技を行うべきか(例えば第一特別乱数の保留を消化すべきかそれとも回避すべきか)といった遊技戦略を考える余地を、遊技者に与えることができるといったこれまでにない斬新な遊技性を提供することが可能となる。
【1060】
ところで、上述したとおり、本実施形態においては、第二始動口2002への入賞に基づいて取得された当否判定用乱数(第二特別乱数)が、第一始動口2001への入賞に基づいて取得された当否判定用乱数(第一特別乱数)よりも優先して消化されるようになっているので、それを把握できるように保留表示が行われる。以下、図198を参照しつつ保留の態様について説明する。図198は、(a)時短機能が作動しない通常遊技状態における保留の態様を示す図、(b)時短機能が作動する特別遊技状態における保留の態様を示す図である。
【1061】
通常遊技状態においては、第二始動口2002よりも主として第一始動口2001に入賞する遊技となる。図198(a)の最上段には、第一特別乱数についての特殊演出判定処理の結果がハズレであることを示す通常の表示態様(白い桶のみの表示態様)が第1の保留記憶表示部1401aに表示され、第一特別乱数についての特殊演出判定処理の結果が当りである可能性があることを示す特定の表示態様(白い桶の上に第8キャラクタCR8が出現した表示態様)が第2の保留記憶表示部1401bに表示されている。この状態で第二始動口2002に入賞すると、第二始動口2002に入賞したことを示す表示態様(赤い桶のみの表示態様)が第1の保留記憶表示部1401aに表示される。そして、第1の保留記憶表示部1401aに表示されていた通常の表示態様は第2の保留記憶表示部1401bにシフト表示され、第2の保留記憶表示部1401bに表示されていた特定の表示態様は第3の保留記憶表示部1401cにシフト表示される。これにより、第一始動口2001に入賞した第一特別乱数よりも、のちに第二始動口2002に入賞した第二特別乱数の方が優先して保留が消化されることを明確に把握できるようになっている。
【1062】
この状態で第一始動口2001に入賞すると、第一始動口2001に入賞し且つ特殊演出判定処理の結果がハズレであることを示す表示態様(白い桶のみの表示態様)が第4の保留記憶表示部1401dに表示される。これにより、保留されている特別乱数のなかでは保留の消化の優先度合いが最も低いことを明確に把握できる。なお、第1の保留記憶表示部1401a?第3の保留記憶表示部1401cの表示は、第二始動口2002に入賞するか保留が消化されない限り、そのままである。
【1063】
さらにこの状態で第一始動口2001に入賞すると、第一始動口2001に入賞し且つ特殊演出判定処理の結果が当りであることを示す表示態様(白い桶の上に第8キャラクタCR8が出現した表示態様)が第5の保留記憶表示部1401eに表示される。これにより、保留されている特別乱数のなかでは保留の消化の優先度合いが最も低いことを明確に把握できる。なお、第1の保留記憶表示部1401a?第4の保留記憶表示部1401dの表示は、第二始動口2002に入賞するか保留が消化されない限り、そのままである。
【1064】
一方、特別遊技状態においては時短機能が作動するので、第一始動口2001よりも主として第二始動口2002に入賞する遊技となる。図198(b)の最上段には、確変機能が非作動となるリスクがないことを示す表示態様(赤い桶のみの表示態様)が第1の保留記憶表示部1401aに表示され、確変機能が非作動となるリスクがある第一特別乱数が保留されていることを示す表示態様(白い桶の上に点火された爆弾がある表示態様)が第2の保留記憶表示部1401bに表示されている。このとき、第2の保留記憶表示部1401bに表示された爆弾の導火線の長さは、第5の保留記憶表示部1401eに表示された爆弾の導火線の長さよりも短い。これにより、第5の保留記憶表示部1401eに表示された第一特別乱数よりも、第2の保留記憶表示部1401bに表示された第一特別乱数の方が、消化されたときに確変機能が非作動となりうるリスクが高いことを把握することができる。
【1065】
この状態で第二始動口2002に入賞すると、第二始動口2002に入賞し且つ確変機能が非作動となるリスクがあることを示す表示態様(赤い桶の上に点火された爆弾がある表示態様)が第2の保留記憶表示部1401bに表示される。そして、第2の保留記憶表示部1401b?第5の保留記憶表示部1401eの表示は、それぞれ、第3の保留記憶表示部1401c?第6の保留記憶表示部1401fにシフト表示される。これにより、第2の保留記憶表示部1401b?第5の保留記憶表示部1401fに保留されていた第一特別乱数よりも、のちに第二始動口2002に入賞した第二特別乱数の方が優先して保留が消化されることを明確に把握できるようになっている。また、第2の保留記憶表示部1401bから第3の保留記憶表示部1401cにシフト表示された保留、および、第5の保留記憶表示部1401eから第6の保留記憶表示部1401fにシフト表示された保留は、それぞれ消化されるリスクから遠のいたので、導火線の長さがシフト表示に伴って長くされている。これにより、遊技者は、確変機能が非作動となりうるリスクから遠のいたことを把握することができる。
【1066】
この状態で第二始動口2002に入賞すると、第二始動口2002に入賞し且つ確変機能が非作動となるリスクがないことを示す表示態様(赤い桶のみの表示態様)が第3の保留記憶表示部1401cに表示される。そして、第3の保留記憶表示部1401c?第6の保留記憶表示部1401fの表示は、それぞれ、第4の保留記憶表示部1401d?第7の保留記憶表示部1401gにシフト表示される。これにより、第3の保留記憶表示部1401c?第6の保留記憶表示部1401eに保留されていた第一特別乱数よりも、のちに第二始動口2002に入賞した第二特別乱数の方が優先して保留が消化されることを明確に把握できるようになっている。また、第3の保留記憶表示部1401cから第4の保留記憶表示部1401dにシフト表示された保留、および、第6の保留記憶表示部1401fから第7の保留記憶表示部1401gにシフト表示された保留は、それぞれ消化されるリスクから遠のいたので、導火線の長さがシフト表示に伴ってさらに長くされている。これにより、遊技者は、確変機能が非作動となりうるリスクからさらに遠のいたことを把握することができる。
【1067】
さらにこの状態で第二始動口2002に入賞すると、第二始動口2002に入賞し且つ確変機能が非作動となるリスクがないことを示す表示態様(赤い桶のみの表示態様)が第4の保留記憶表示部1401dに表示される。そして、第4の保留記憶表示部1401d?第7の保留記憶表示部1401gの表示は、それぞれ、第5の保留記憶表示部1401e?第8の保留記憶表示部1401hにシフト表示される。これにより、第4の保留記憶表示部1401d?第7の保留記憶表示部1401fに保留されていた第一特別乱数よりも、のちに第二始動口2002に入賞した第二特別乱数の方が優先して保留が消化されることを明確に把握できるようになっている。また、第4の保留記憶表示部1401dから第5の保留記憶表示部1401eにシフト表示された保留、および、第7の保留記憶表示部1401gから第8の保留記憶表示部1401hにシフト表示された保留は、それぞれ消化されるリスクから遠のいたので、導火線の長さがシフト表示に伴ってさらに長くされている。これにより、遊技者は、確変機能が非作動となりうるリスクからさらに遠のいたことを把握することができる。
【1068】
このように、特別遊技状態において確変機能が非作動となるおそれがある場合には、確変機能が非作動となるリスクがあることを示す表示態様として点火された爆弾が表示され、この点火された爆弾が第(n-1)の保留記憶表示部から第nの保留記憶表示部にシフト表示されたときに(nは2、3または4)、確変機能が非作動となりうるリスクから遠のいたことを把握することができるように、導火線の長さがシフト表示に伴って長くされている。これとは逆に、点火された爆弾が第nの保留記憶表示部から第(n-1)の保留記憶表示部にシフト表示されたときに(nは2、3または4)、確変機能が非作動となりうるリスクが近づいたことを把握することができるように、導火線の長さがシフト表示に伴って短くされるようにすることが好ましい。
【1069】
ただし、点火された導火線の長さが変化するタイミング(確変機能が非作動となるリスク度合いが変化するタイミング)は、これに限られず、第(n-1)の保留記憶表示部から第nの保留記憶表示部に点火された爆弾が移動表示されてから所定時間の間、または、第nの保留記憶表示部から第(n-1)の保留記憶表示部に点火された爆弾が移動表示されてから所定時間の間に行なわれるようにしてもよい。
【1070】
なお、導火線の長さが変化するのに要する時間は一瞬であってもよいが、導火線の長さが変化していること(すなわち確変機能が非作動となるリスク度合いが変化しいること)を外観上把握できるように、上記の所定時間にわたって変化する方が好ましい。
【1071】
また、第1の保留記憶表示部1401aに表示されていた特別乱数の保留が消化されることに伴って、点火された爆弾が第nの保留記憶表示部から第(n-1)の保留記憶表示部に移動表示される際には、上記所定の時間は、消化された特別乱数についての図柄変動演出が開始されてから例えばリーチが表示されるまでの間の一部の時間または全部の時間であることが好ましい。なぜなら、消化された特別乱数についての図柄変動演出が開始されてから例えばリーチが表示されるまでの間は、遊技者が図柄変動演出を注視する必要性に乏しいからである。よって、遊技者が図柄変動演出を注視する必要性に乏しいこの時間を利用して導火線の長さを変化させることにより、確変機能が非作動となるリスク度合いが変化しているさまを遊技者の視覚に訴えることが可能となる。
【1072】
以上、本発明を実施するにあたり最良な実施形態について説明したが、以上より、下記に示す作用効果を奏することができる。なお、従来より、当否判定処理にて大当りと判定される確率(大当りの当選確率)は、主制御MPU4100aに内蔵されたROMに記憶された当り判定テーブル4906(当落確率決定付手段、正確には当り判定テーブル4906を記憶するROM、表1参照)にて記憶されているハズレ値(本実施形態では0?599のうち3と307とを除いた値)に対する当り値(3,307)の割合によって決定付けられることとなる。
【1073】
この種のパチンコ機1には、始動口に遊技球が入賞したことに基づいて取得された乱数値についての当否判定処理(大当り抽選)を図柄変動演出が行われる前に行い、その当否判定処理の結果を、保留されている段階で遊技者に把握させるような事前演出が行われるものがあった。ところが、上記の事前演出が行われるパチンコ機1にあっては、事前演出が行われなければ大当りに対する期待感が喪失してしまうので、当否判定処理の結果が当りでないにもかかわらずガセの事前演出を行われていた。しかし、ガセの事前演出が行われると、事前演出の仕組みを知っている遊技者からすると、たとえ事前演出が行われたとしてもこれに不信感を抱く結果となっていた。つまり、ガセの事前演出を行う場合と行わない場合とでいずれにしてもデメリットがあった。
【1074】
そこで、上記構成では、まず、大当り判定手段(第一特別図柄当否判定手段4904、第二特別図柄当否判定手段4914)による判定処理が保留(すなわち特別乱数が保留)の状態とされている間にこれに供される乱数に基づいて、当該判定処理が行われるときの大当りの当選にかかる期待度を先行判定するようにしている。
【1075】
ただし、この先行判定にかかる手法としては、例えば、・大当り確率を決定付けるように用意されている大当り値及びハズレ値のうちの一部を高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)としてそれぞれ判別可能とするとともに、該高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)として判別可能とされる上記大当り値の上記ハズレ値に対する割合は、上記大当りの当選確率が決定付けられる上記分類割合よりも高く設定されてなる高確乱数決定付手段(表2の特殊演出判定テーブル4908、正確には特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)、及び・乱数取得手段(第一特別図柄当否判定用乱数取得手段4902、第二特別図柄当否判定用乱数取得手段4912)により取得される乱数のうちの当落判定用乱数(当否判定用乱数)が上記ハズレ値と上記大当り値とのいずれかに分類判別される上記大当り判定(当否判定処理)についてはこれを未実行の状態に維持したままで、同判定に供される当落判定用乱数(当否判定用乱数)が大当り値とハズレ値とが混在された上記高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値であるか否かを判断することで、保留の状態とされている判定処理(始動記憶)毎に大当りの当選にかかる期待度(擬似当選確率)についての先行判定を実行可能とする擬似確率先行判定手段(特殊演出判定処理を行う主制御基板4140)を備え、上記擬似確率先行判定手段により大当りの当選にかかる期待度を先行判定することが望ましい。
【1076】
このように、大当り値とハズレ値とが混在された高確乱数決定付手段(特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)を備えるようにしたことで、未だ保留の状態とされている大当り判定の当落結果(当否判定処理の結果)についての機密情報(当落情報、当選種別情報など)が漏出され得るリスクを排除した従来の演出構造を維持しつつも、当該高確乱数決定付手段(特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)における大当り値及びハズレ値の混在率に応じた上記大当りの当選にかかる期待度(擬似当選確率)についてはその先行判定が実行可能とされるようになる。例えば、上記大当り判定(当否判定)の実行(判定処理の消化)に先立って、当該大当り判定に供される当落判定用乱数(当否判定用乱数)が高確乱数グループに属する値(特殊演出当り値)である旨の先行判定がなされたときは、該先行判定された特殊当り値(特殊演出当り値)に基づく判定処理が消化されるときの大当りの当選にかかる期待度(擬似当選確率)は、大当り値及びハズレ値により決定付けられる大当りの期待度(当選確率)よりも高いことが確定されることとなる(擬似的に高くされた当選確率)。これに対し、高確乱数グループに属する値(特殊演出当り値)である旨の先行判定がなされなかったときは、該先行判定された特殊演出当り値でない乱数値(高確乱数グループと対の関係となる低確乱数グループに属する値)に基づく判定処理が消化されるときの大当りの当選にかかる期待度(擬似当選確率)は、上記大当りの期待度(当選確率)よりも低いことが確定されることとなる(擬似的に低くされた当選確率)。
【1077】
このような高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)についての先行判定手法によれば、特定の判定処理が保留の状態とされた時点では、その大当り判定を未実行の状態(保留状態)にて維持するにもかかわらず、その期待度(擬似当選確率)についてはこれを先行して、例えば、その保留表示の新規出力時や保留消化に応じたシフト表示時などの予め定められたタイミングにて報知することが可能とされるようになる。この点、上記構成では、高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされた特定の判定処理が保留の状態とされた場合であっても、その期待度(擬似当選確率)を予め定められたタイミングにて報知(機械的に報知)するようなことはせず、これをまずは秘匿可能としている。そしてこの上で、乱数取得手段により取得された乱数のうちの変動時間の決定に用いられる乱数により定められる演出時間(判定処理の実行条件が成立することによって消化される判定処理についての演出表示のために用意される演出時間)の一部を、こうして秘匿された先行判定にかかる情報出力用の時間(事後の判定処理についての演出表示(事後期待演出)に要する時間)として割り当て可能としている(事後遊技演出割当手段)。
【1078】
すなわちこの場合、大当りの当選にかかる期待度(擬似当選確率)についての演出表示(保留の状態とされている事後の判定処理についての演出表示(事後期待演出))を、機密情報がパチンコ機1外に漏出されるようなリスクを負うこともなく、現在の判定処理についての演出表示(今回期待演出)との関係(例えば、現在の判定処理の期待度の高さなどとの関係)での適宜のタイミングにて出力することが可能となり、これによって所定の図柄表示(図柄表示領域1410)にて現れる演出表示に対する遊技者の期待感をコントロールすることができるようになる。
【1079】
例えば、大当りに当選される(当否判定処理の結果が当りと判定される)信頼度が低い上記現在の判定処理についての演出表示(今回期待演出)が現れている演出時間中にあるとき(すなわち、選択された変動パターンに相当する変動時間内にあるとき)よりも、大当りに当選される信頼度が高い上記現在の判定処理についての演出表示(今回期待演出)が現れている演出時間中にあるときのほうが高い確率で、上記秘匿された先行判定にかかる情報が出力され得るようにその演出時間を割り当てるようにすれば、事後の判定処理に対する期待度がさらに付加される分だけ、大当りの当選にかかる期待感をより大きくアピールすることができるようになる(第1のコントロール手法)。
【1080】
また逆に、大当りに当選される信頼度が高い上記現在の判定処理についての演出表示(今回期待演出)が現れている演出時間中にあるときよりも、大当りに当選される信頼度が低い上記現在の判定処理についての演出表示(今回期待演出)が現れている演出時間中にあるときのほうが高い確率で、上記秘匿された先行判定にかかる情報が出力され得るようにその演出時間を割り当てるようにすれば、現在の判定処理についての演出表示(今回期待演出)だけでは持続させ難い上記所定の図柄表示(図柄表示領域1410)における期待感が、事後の判定処理についての演出表示(事後期待演出)によってうまく補填されるかのような抜け目のない効率的な期待演出を実現することができるようになる(第2のコントロール手法)。
【1081】
ただし、例えば300分の1といったように低く設定されることの多い大当りの当選確率と相まって、所定の図柄表示(図柄表示領域1410)においては、大当りに当選される信頼度が低い上記現在の判定処理についての演出表示(今回期待演出)が現れることが多いことに鑑みれば、上記第1のコントロール手法よりも上記第2のコントロール手法を採用するようにすることが望ましい。すなわちこの場合、現在の判定処理の演出表示(今回期待演出)における演出時間の一部を、事後の判定処理についての演出表示(事後期待演出)に比較的高い頻度で割り当てることができるようになり、これによって所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)にて現れる演出表示に対する遊技者の期待感の底上げが適切に図られるようになる。
【1082】
また、上記構成では、各判定処理に対し、保留の状態とされている間と、保留が消化されて図柄変動される間との2つの異なるタイミングにて、それぞれ演出表示の実行機会を付与することができるようになる(事後期待演出についての演出表示、今回期待演出についての演出表示)。これにより、各判定処理に持たせられる演出時間を長くすることが可能となることはもとより、演出種類が増加された分だけ従来よりも単純に2倍の面白さを持たせることができるようになる。
【1083】
なお、擬似当選確率とは、上記高確乱数決定付手段(特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)にて上記高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)としてそれぞれ判別可能される大当り値とハズレ値との混在率により決定付けられるものである。例えば、大当り値が1つ及びハズレ値が3つによって構成される高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされたときの上記擬似当選確率は「1/4」であり、同先行判定がなされた判定処理における大当り判定においては、上記当落確率決定付手段にて決定付けられる大当り確率が例えば「1/300」であったとしても、理論上は「1/4」の擬似当選確率にて大当りが当選されることとなる。なお、この擬似当選確率については、当落確率決定付手段にて決定付けられる大当り確率よりも倍以上に設定されることが好ましい。特に、確変機能が搭載されたパチンコ機1であれば、確変機能が作動したときの大当り確率よりも高い確率に設定しておくことがより好ましい。すなわちこの場合、高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされてから当該先行判定がなされた判定処理が消化されるまでの所定期間については、確変機能が作動したときの大当り確率(例えば30分の1)よりも高い確率(例えば4分の1)にて大当りが当選される判定処理が保留の状態とされている特別な演出状態とすることができるようになる。
【1084】
さらに、上記実施形態に記載のパチンコ機1では、上記事後の入賞始動遊技についての演出表示手法としても、該演出表示が先行して行われたときには大当り期待度(擬似当選確率)の高くされた入賞始動遊技が保留の状態とされていることが確定される単純報知ではなく、大当り期待度(擬似当選確率)の高くされた入賞始動遊技と、大当り期待度(擬似当選確率)の低くされた入賞始動遊技とのいずれかが保留の状態とされている可能性を遊技者に意識付けるリスク性状態演出として行うことも可能としている。
【1085】
ここで、リスク性状態演出とは、高確乱数グループに属する値(特殊演出当り値)である旨の先行判定がなされなかった入賞始動遊技が消化されるときの大当りの当選にかかる期待度(擬似当選確率)が、上記当落確率決定付手段にて決定付けられる大当りの期待度(当選確率)よりも低くなることを利用した遊技者にとって有利性だけでなくリスク性も持たされた状態演出である。したがって、上記高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされている場合に限らず、上記高確乱数グループに属する値である旨の先行判定がなされていないときにも所定の確率にて実行可能とされるものとなっている。
【1086】
すなわち、このリスク性状態演出では、現在の入賞始動遊技についての演出時間(選択された変動パターンの変動時間)のうちの上記事後の入賞始動遊技(事後期待演出)についての演出表示に対して割り当てられた演出時間において、例えば、所定の表示態様(第7キャラクタCR7がピストルを発砲する表示態様)が現れるか否かの当落演出として行われる。そして、この当落演出にて所定の表示態様が現れたときには、大当り期待度(擬似当選確率)の高い旨の先行判定がなされた入賞始動遊技(事後の入賞始動遊技)が保留の状態とされている可能性が遊技者に対して意識付けされる。その一方で、所定の表示態様が現れなかったときには、大当り期待度(擬似当選確率)の高い旨の先行判定がなされた入賞始動遊技(事後の入賞始動遊技)が保留の状態とされていない可能性、すなわち上記当落確率決定付手段にて決定付けられる大当りの期待度(当選確率)よりも低くされた入賞始動遊技(事後の入賞始動遊技)が保留の状態とされている擬似低確遊技状態にある可能性が遊技者に対して意識付けされることとなる。なお、擬似低確遊技状態とは、大当り期待度(擬似当選確率)の高い旨の先行判定がなされなかった入賞始動遊技(事後の入賞始動遊技)が保留の状態とされていることを遊技者が認識し得る演出状態のことであり、該当する入賞始動遊技が消化されるまでの複数回の入賞変動遊技(保留数に応じてその都度異なる)が行われるまでの期間のことである。
【1087】
このようなリスク性状態演出によれば、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)に要する演出期間の途中であるにもかかわらず、当該入賞始動遊技を対象としない状態演出が行われるようになる。そして、大当りの当選確率(当否判定処理にて当りである旨が判定される確率)よりも低い擬似当選確率である旨の先行判定がなされた入賞始動遊技が保留の状態とされている擬似低確遊技状態にあることが示唆され得るリスクが遊技者に持たされた代償として、大当りの当選確率よりも高い擬似当選確率である旨の先行判定がなされた入賞始動遊技が保留の状態とされている擬似高確遊技状態にあることが示唆され得るようになり、これによって複数回の入賞始動遊技が行われる期間にわたって遊技者にとっての遊技価値が実効性をもって変化し得るようになる。すなわちこの場合、条件装置やアタッカ装置の作動を必要としない単純な演出制御によってこのような遊技状態を実現することができるようになり、これによって複数回の入賞始動遊技が行われる期間にわたって遊技興趣が好適に維持されるようになる。
【1088】
なお、当落確率決定付手段にて決定付けられる大当りの期待度(当選確率)よりも高くされた入賞始動遊技が保留の状態とされているときと、当落確率決定付手段にて決定付けられる大当りの期待度(当選確率)よりも低くされた入賞始動遊技が保留の状態とされているときとでは、遊技者にとっての遊技価値が大きく異なることは明らかである。
【1089】
また、高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされた特定の判定処理が秘匿状態で保留された場合には、所定の始動条件が成立することによって消化される現在の入賞始動遊技についての演出表示のために用意される演出時間の一部を、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)と、未だ消化の対象とされることなく保留の状態が継続されることとなる事後の入賞始動遊技についての演出表示(事後期待演出)との両方が現れる期間として割り当てることもできる(期待度超越演出制御手段)。
【1090】
すなわちこの場合、機密情報が漏出されるようなリスクを負うこともなく、所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)にて現れる演出表示に対する大当りの期待度が、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)のみが行われているときに得られる大当りの期待度(現在の入賞始動遊技に対しての大当りの期待度の上限)を超越したより大きなものとなるようになる。したがって、現在の入賞始動遊技(今回の図柄変動)に対しての大当りの期待度の範囲内で、その期待度を複数段階に分けた演出のみが行われる従来と比較して、遊技興趣の向上を図ることができるようになる。なお、大当りが確定されるときの期待度を「1」とするとき、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)では同期待度が「1」とされた演出表示を実行可能である(期待度の上限値)。ただし、事後の入賞始動遊技についての演出表示(事後期待演出)とは、大当り及びハズレ値が混在された高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値であるか否かについての演出であり、大当りが確定される演出は実現されないことから、当該演出表示における大当りの期待度として表現可能な上限値は「1」未満となる。したがって、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)と、未だ消化の対象とされることなく保留の状態が継続されることとなる事後の入賞始動遊技についての演出表示(事後期待演出)との両方が上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)にて現れた場合であっても、この図柄表示部における大当りの期待度は「2」未満に制約されることとなる。これにより、大当りが2連続で当選されることの確定報知など、遊技興趣を無駄に煽ってしまうような可能性が排除されるようになる。
【1091】
ちなみに、大当りの期待度が超越されるこのような演出は、単一の判定処理のみを対象とした2つの関連性演出でなく、当否判定処理と特殊演出判定処理といった互いに異なる大当りの判定処理を対象とした2つの独立性演出を用意したことによって実現可能とされるものである。このような2つの独立性演出が用意されるときには、演出実行が後回しにされる側の機密情報(大当りの当落情報など)が漏出されるようなリスクが懸念されるが、上述の高確乱数決定付手段(特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)及び擬似確率先行判定手段によれば、このようなリスクを排除しつつ、大当りの期待感が補填される演出を実現することができるようになる。
【1092】
また、各入賞始動遊技に対し、保留の状態とされている間と、保留が消化されて図柄変動される間との2つの異なるタイミングにて、それぞれ演出表示の実行機会を付与することができるようになる(事後期待演出である事後の入賞始動遊技についての演出表示、今回期待演出である現在の入賞始動遊技についての演出表示)。これにより、各入賞始動遊技に持たせられる演出時間を長くすることが可能となることはもとより、演出種類が増加された分だけ従来よりも単純に2倍の面白さを持たせることができるようになる。
【1093】
また、高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされた特定の判定処理が秘匿状態で保留された場合には、その期待度(擬似当選確率)を予め定められたタイミングにて報知(機械的に報知)するようなことはせず、これをまずは通常の表示形態をもって保留表示することにより秘匿可能としている(先行判定秘匿手段)。そして、現在の判定処理についての演出表示(今回期待演出)が行われることによって上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)に遊技者による注視が促されている期間中に、上記所定の保留表示部(保留表示領域1401)にて現れた通常の表示形態を、上記擬似当選確率が高い旨判定されていることを示唆する特別な表示形態に昇格変更させる演出を実行可能としている(隠密変更制御手段)。
【1094】
すなわちこの場合、高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされた特定の判定処理が保留の状態とされていることは一旦秘匿にされる。そして、こうして秘匿にされた遊技者にとって有利な情報は、遊技者による注視が上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)に促されている期間中に(すなわち装飾図柄の変動中に)、この注視される表示部とは異なる所定の保留表示部(保留表示領域1401)にて暴露表示(有利な情報となるように表示形態を昇格変更)されることとなる。このように、所定の保留表示部(保留表示領域1401)にて現れた通常の表示形態(桶のみの表示形態)が特別な表示形態(桶の上に第8キャラクタCR8が乗った表示形態)に昇格変更される演出を遊技者が見逃し易くなるようにすることで、当該演出については、通常の表示形態をもった保留表示がいつの間にか特別な表示形態に昇格変更されているサプライズ機能をもった演出として実現させることができるようになり、これによって遊技興趣の低下を抑制することができるようになる。
【1095】
なお、こうしたサプライズ機能を有効にするためには、少なくとも上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)に遊技者による注視が促されている期間が終了する時点、すなわち現在の判定処理についての演出表示(今回期待演出)に要する演出時間が経過して次の判定処理が開始される時点まで、上記特別な表示形態に昇格変更された保留表示を表示し続けることが重要である。これにより、遊技者は、上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)に注視が促されている期間中に見逃した昇格変更についての演出を、適宜のタイミングにてサプライズをもって気付くようになり、こうした意図しない演出によって遊技興趣の向上が図られるようになる。また、例えばリーチ状態すら形成されずに図柄変動が行われているような状況では、遊技者による注視が図柄演出部にて促されない懸念があることから、「遊技者による注視が前記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)に促されている期間中」については、リーチ状態が形成されてリーチ演出などの高期待演出が行われているような状況であることが望ましい。
【1096】
また、先行判定秘匿手段により保留表示可能とされる通常の表示形態については、擬似当選確率が高い旨判定されていることを示唆するものでなければよく、例えば、上記擬似当選確率が高い旨判定されている保留信頼度として各々異なる保留信頼度が対応付けされた複数種の表示形態のうちの低い保留信頼度が対応付けされた特定の表示形態などであってもよい。ただしこの場合、上記特別な表示形態は、複数種の表示形態のうちの高い保留信頼度が対応付けされた表示形態として位置付けされることとなる。
【1097】
また、上述したように、高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされた特定の入賞始動遊技が保留の状態とされた場合であっても、その期待度(擬似当選確率)を予め定められたタイミングにて報知(機械的に報知)するようなことはせず、これをまずは秘匿可能としている(先行判定秘匿手段)が、消化される入賞始動遊技についての演出表示が所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)にて行われるとき、上記先行判定秘匿手段による秘匿状態を維持することによって上記先行判定の結果に応じた期待度演出が消化されないようにこれを貯蓄する。そして、大当り遊技の行われる信頼度が異なるように設定された複数の変動表示パターンのうちの低い信頼度の変動表示パターンをもって上記現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)が行われるときに、上記貯蓄された先行判定の結果に応じた期待度演出を上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)にて行うことで、上記消化される入賞始動遊技についての演出表示だけでは持続させ難い上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)における期待感が上記貯蓄された期待度演出(事後期待演出)によって補填され得るようにしている。
【1098】
すなわち、上記実施形態にかかるパチンコ機1とは、上記先行判定の結果に応じた事後の入賞始動遊技についての演出(秘匿とされた演出)が実行可能とされる実行許可タイミングを、保留の状態にある入賞始動遊技の別にそれぞれ持たせたものとなっている。そして、このようなパチンコ機1にあって、「演出の貯蓄」とは、所定の実行許可タイミングになった場合であっても、所定の図柄演出部における図柄演出の演出態様(図柄演出の期待度の高低など)によっては、当該演出が実行(暴露)されることなくこれを次の実行許可タイミングまで延期することである。このような貯蓄演出によれば、上記先行判定の結果に応じた事後の入賞始動遊技についての演出(秘匿とされた演出)は、所定の図柄演出部における図柄演出が予め定められた特定の演出態様(例えば、期待度の低い演出態様)となるまで、その実行(暴露)が持ち越されることとなり、保留の状態にある入賞始動遊技が順次消化されることとなる。そして、こうして入賞始動遊技が消化された結果、所定の図柄演出部における図柄演出が予め定められた特定の演出態様をもって現れたときに、上記先行判定の結果に応じた事後の入賞始動遊技についての演出が行われるようになる。これにより、事後の入賞始動遊技についての演出を、所定の図柄演出部における図柄演出に対して演出効果の低いときなどに無駄に消費してしまうことを抑制しつつ、最良のタイミングを狙って効果的に実行し得るようになる。なお、「演出の貯蓄」を行うか否かの判断対象については、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)にて大当たり図柄が現れる信頼度であればよく、必ずしも変動表示パターンの信頼度の高さでなくてもよい。例えば、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)にて高信頼度画像(例えば「おみくじ演出」における「激アツ」の画像)と低信頼度画像(例えば「おみくじ演出」における「?」の画像)とのいずれかが表示されるような場合、低信頼度画像が表示されるまでの期間、上記先行判定秘匿手段による秘匿状態を維持することによって上記先行判定の結果に応じた期待度演出が消化されないようにこれを貯蓄するようにしてもよい。すなわちこの場合、低信頼度画像が表示される演出表示にあって、低信頼度画像が表示された後に上記貯蓄された期待度演出(事後期待演出)を行うこととなり、これによっても事後の入賞始動遊技についての演出を、所定の図柄演出部(図柄表示領域1410)における図柄演出に対して演出効果の低いときなどに無駄に消費してしまうことを抑制しつつ、最良のタイミングを狙って効果的に実行し得るようになる。ところで、こうした信頼度の低い谷間を狙って「演出の貯蓄」を行った結果、信頼度の低い演出表示が現れることなく、保留の状態とされている入賞始動遊技が順次消化されてしまい、当該貯蓄の対象とされた入賞始動遊技が消化されるようになった場合には、上記貯蓄された演出(貯蓄された事後期待演出)は実行されない。すなわちこの場合、実行可能とされた貯蓄演出がありながらも、その秘匿の状態は解除されることなく最後まで維持されて該当の入賞始動遊技が消化されることとなるが、所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)にて現れる信頼度の高い演出に遊技者を集中させる上では望ましいといえる。
【1099】
また、所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)における期待感は、基本的には、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)を通じて維持されることとなるが、大当りに当選される信頼度の低い演出表示が現れるような期待感の谷間を狙って、上記先行判定された大当りの当選にかかる期待度(擬似当選確率)についての演出表示(保留の状態とされている事後の入賞始動遊技についての演出表示)が行われることとなる。これにより、保留の状態とされている事後の入賞始動遊技についての演出表示が、機密情報が漏出されるようなリスクを負うこともなく、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)だけでは持続させ難い大当りの期待感が補填されるかたちで実行されるようになる。
【1100】
より具体的には、大当りに当選される(当否判定処理の結果が当りと判定される)信頼度が高い上記現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)が現れている演出時間中にあるとき(すなわち、選択された変動パターンに相当する変動時間内にあるとき)よりも、大当りに当選される信頼度が低い上記現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)が現れている演出時間中にあるときのほうが高い確率で、上記秘匿された先行判定にかかる情報が出力され得るようにその演出時間を割り当てるようにしている。これにより、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)だけでは持続させ難い上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)における期待感が、事後の入賞始動遊技についての演出表示(事後期待演出)によってうまく補填されるかのような抜け目のない効率的な期待演出を実現することができるようになる。
【1101】
ちなみに、こうした大当りの期待感が補填される演出は、単一の判定処理のみを対象とした2つの関連性演出でなく、当否判定処理と特殊演出判定処理といった互いに異なる判定処理を対象とした2つの独立性演出を用意したことによって実現可能とされるものである。このような2つの独立性演出が用意されるときには、演出実行が後回しにされる側の機密情報(大当りの当落情報など)が漏出されるようなリスクが懸念されるが、上述の高確乱数決定付手段(特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)及び擬似確率先行判定手段によれば、このようなリスクを排除しつつ、大当りの期待感が補填される演出を実現することができるようになる。
【1102】
また、大当りの当選確率は低く設定されることが多く、信頼度の低い演出表示が現れやすいことに鑑みれば、このような演出手法を採用するようにすることで、現在の入賞始動遊技の演出時間の一部を、事後の入賞始動遊技についての演出表示(事後期待演出)に比較的高い頻度で割り当てることができるようになり、これによって所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)にて現れる演出表示に対する遊技者の期待感の底上げが適切に図られるようになる。
【1103】
また、上記構成では、各入賞始動遊技に対し、保留の状態とされている間と、保留が消化されて図柄変動される間との2つの異なるタイミングにて、それぞれ演出表示の実行機会を付与することができるようになる(事後の入賞始動遊技についての演出表示、現在の入賞始動遊技についての演出表示)。これにより、各入賞始動遊技に持たせられる演出時間を長くすることが可能となることはもとより、演出種類が増加された分だけ従来よりも単純に2倍の面白さを持たせることができるようになる。
【1104】
なお、低い信頼度の変動表示パターンとは、例えば、リーチ状態すら形成せずに演出が終了するようなパターンまたはリーチ状態が形成されたとしても単なるノーマルなリーチ変動で期待感を持てないようなパターンであり、高い信頼度の変動表示パターンとは、例えば、リーチ状態が形成されて期待度合いが高い例えばスペシャルリーチのようなリーチ演出が行われるようなパターンのことである。また、擬似当選確率とは、上記高確乱数決定付手段(特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)にて上記高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)としてそれぞれ判別可能される大当り値とハズレ値との混在率により決定付けられるものである。例えば、大当り値が1つ及びハズレ値が3つによって構成される高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされたときの上記擬似当選確率は「1/4」であり、同先行判定がなされた入賞始動遊技における大当り抽選においては、上記当落確率決定付手段にて決定付けられる大当り確率が例えば「1/300」であったとしても、理論上は「1/4」の擬似当選確率にて大当りが当選されることとなる。なお、この擬似当選確率については、当落確率決定付手段にて決定付けられる大当り確率よりも倍以上に設定されることが好ましい。特に、確変機能が搭載されたパチンコ機1であれば、確変機能が作動したときの大当り確率よりも高い確率に設定しておくことがより好ましい。すなわちこの場合、高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされてから当該先行判定がなされた入賞始動遊技が消化されるまでの所定期間については、確変機能が作動したときの大当り確率(例えば30分の1)よりも高い確率(例えば4分の1)にて大当りが当選される入賞始動遊技が保留の状態とされている特別な演出状態とすることができるようになる。
【1105】
また、高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされた特定の判定処理が秘匿状態で保留された場合には、所定の始動条件が成立することによって消化される現在の入賞始動遊技についての演出表示に要する演出期間のうちの中途において上記表示図柄を停止表示態様にて表示させることで、それ以降の残りの演出期間を、未だ消化の対象とされることなく保留の状態が継続されることとなる事後の入賞始動遊技についての演出表示(事後期待演出)に要する事後演出用期間として創出することを可能としている(事後演出期間創出手段)。そして、こうして創出される事後演出用期間において、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)との間での演出競合を排除しつつ、上記期待度先行判定手段による先行判定の結果に応じた上記秘匿された事後の入賞始動遊技についての期待度演出(事後期待演出)を行うようにしている。
【1106】
ちなみに、このような演出時間が2つの異なる遊技(大当りに関連した遊技)に区分けされる演出は、単一の入賞始動遊技のみを対象とした2つの関連性演出でなく、当否判定処理にかかる遊技と特殊演出判定処理にかかる遊技といった互いに異なる入賞始動遊技を対象とした2つの独立性演出を用意したことによって実現可能とされるものである。このような2つの独立性演出が用意されるときには、演出実行が後回しにされる側の機密情報(大当りの当落情報など)が漏出されるようなリスクが懸念されるが、上述の高確乱数決定付手段(特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)及び擬似確率先行判定手段によれば、このようなリスクを排除しつつ、上記定められる演出時間を2つの異なる遊技の演出時間に区分けすることが可能である。
【1107】
さらに、乱数取得手段により取得された乱数のうちの変動時間の決定に用いられる乱数により定められる当該入賞始動遊技についての演出表示に要する演出期間のうちの中途において上記表示図柄を停止表示態様にて表示させる際には、それ以降の残りの演出期間は、上記表示図柄が停止表示態様にて表示される所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)とは異なる上記所定の保留表示部(保留表示領域1401)において、上記保留表示された通常の表示形態を特別な表示形態に昇格変更させる演出表示を実行するようにしてもよい(中途切替制御手段)。
【1108】
これらのような演出構造によれば、変動時間の決定に用いられる乱数により定められる演出時間の中途までは、上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)における現在の入賞始動遊技についての表示演出(今回期待演出)が、遊技者による注視を集める主演出として行われる(所定の図柄表示部における演出)。ただし、変動時間の決定に用いられる乱数により定められる演出時間の中途において上記表示図柄が停止表示態様にて表示された後の残りの演出時間は、上記所定の保留表示部(保留表示領域1401)における事後の入賞始動遊技についての表示演出(先行判定秘匿手段によって保留表示された通常の表示形態を上記特別な表示形態に昇格変更させる演出表示(事後期待演出))が、遊技者による注視を集める主演出として行われる(所定の保留表示部における演出)。
【1109】
すなわちこの場合、変動時間の決定に用いられる乱数により定められる現在の入賞始動遊技についての演出期間中であるにもかかわらず、例えば、ハズレ図柄が突然に停止表示態様にて現れて、所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)における現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)が強制終了されるかの如くの画像が現れることとなる。したがって、所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)において、長期間、大当り図柄が運悪く現れないような状況にあったとしても、演出期間の中途において、このように演出対象とされる入賞始動遊技と、演出表示が行われる表示部との両方が切り替えられ得るようにしたことで、遊技者に対して悪印象を与えることなく、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)を実質的に終了させることも可能となる。
【1110】
また、これまでの悪い流れを作ってきた演出対象とその表示部との両方を切り替えつつ、大当りの期待度に関連した演出が新たに行われるようにしたことで、遊技者にとっても気持ちを新たにして上記所定の保留表示部(保留表示領域1401)における表示演出に注視することができるようになる。またさらに、この保留表示部(保留表示領域1401)における表示演出にて上記期待度が高い旨の先行判定がなされていることが示唆される確率(高確乱数グループに属する値である確率)は、上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)における表示演出にて大当りが当選されていることが示唆される確率(大当り値である確率)よりも高いこともあり、こうした新たな演出対象にかかる演出表示を通じて遊技興趣の低下を抑制することができるようになる。
【1111】
なお、演出時間の途中であるにもかかわらずその演出対象と演出領域(表示部)との両方が切り替えられるこのような演出制御については、大当りの当選される信頼度が高い演出態様が現れるときよりも、大当りの当選される信頼度が低い演出態様が現れるときに高い確率で行うようにすることが、期待度の低い演出が無駄に長い演出時間を要して行われることを回避する上でより望ましい。またこの際は、変動時間の決定に用いられる乱数により定められる演出期間のうちの中途において、現在の入賞始動遊技における大当り抽選をハズレ確定とすることがより望ましい。ただし、信頼度の高い期待演出が図柄表示部(図柄表示領域1410)にて現れたときの「最終的にはハズレ図柄が現れるようなガセ演出だ」といった悪印象を遊技者に与えることを回避する上では、大当りの当選される信頼度が高い演出態様が現れるときに高い確率で行うようにすることがより望ましいといえる。
【1112】
ちなみに、このような演出対象とその演出領域との両方が入れ替えされる全交換演出は、単一の入賞始動遊技のみを対象とした2つの関連性演出でなく、当否判定処理と特殊演出判定処理といった互いに異なる入賞始動遊技を対象とした2つの独立性演出を用意したことによって実現可能とされるものである。このような2つの独立性演出が用意されるときには、演出実行が後回しにされる側の機密情報(大当りの当落情報、当選種別情報など)が漏出されるようなリスクが懸念されるが、上述の高確乱数決定付手段(特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)及び擬似確率先行判定手段によれば、このようなリスクを排除しつつ、上記定められる演出時間を2つの異なる遊技用に区分けすることが可能である。
【1113】
また、高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされた上記特定の入賞始動遊技が秘匿状態で保留されたときには、変動時間の決定に用いられる乱数により定められる上記消化される入賞始動遊技についての演出表示に要する演出期間のうち、上記信頼度演出制御手段により低信頼度画像が表示された後に、上記先行判定秘匿手段により秘匿とされた上記先行判定の結果に応じた期待度演出を所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)にて行うようにしている。
【1114】
このような演出構造によれば、変動時間の決定に用いられる乱数により定められる上記所定の図柄演出部における演出期間の途中において、現在の入賞始動遊技には期待を持ち難いことが遊技者に確信された場合であっても、確信された入賞始動遊技(現在の入賞始動遊技)とは異なる入賞始動遊技(事後の入賞始動遊技)についての上記先行判定の結果に応じた期待演出が行われるため、当該演出期間の最後まで大当りの期待感を持続させることができるようになる。
【1115】
ちなみに、大当りの期待感が一旦は喪失されるにもかかかわらず演出期間の最後まで期待感が持続させるこのような演出は、単一の入賞始動遊技のみを対象とした2つの関連性演出でなく、互いに異なる入賞始動遊技を対象とした2つの独立性演出を用意したことによって実現可能とされるものである。このような2つの独立性演出が用意されるときには、演出実行が後回しにされる側の機密情報(大当りの当落情報など)が漏出されるようなリスクが懸念されるが、上述の高確乱数決定付手段(特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)及び擬似確率先行判定手段によれば、このようなリスクを排除しつつ、期待を持ち難いことが遊技者に確信された入賞始動遊技(現在の入賞始動遊技)とは異なる入賞始動遊技(事後の入賞始動遊技)についての上記先行判定の結果に応じた期待演出を行うことが可能である。
【1116】
また、大当りの当選確率は低く設定されることが多く、低信頼度画像が表示されやすいことに鑑みれば、このような演出手法を採用するようにすることで、現在の入賞始動遊技の演出時間の一部を、事後の入賞始動遊技についての演出表示(事後期待演出)に比較的高い頻度で割り当てることができるようになり、これによって所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)にて現れる演出表示に対する遊技者の期待感の底上げが適切に図られるようになる。
【1117】
なお、低信頼度画像とは、例えば、入賞始動遊技にて大当り遊技が行われる図柄信頼度としてそれぞれ異なる図柄信頼度が対応付けされた複数種の予告画像のうちの低い図柄信頼度が対応付けされた予告画像のことであり、高信頼度画像とは、例えば、入賞始動遊技にて大当り遊技が行われる図柄信頼度としてそれぞれ異なる図柄信頼度が対応付けされた複数種の予告画像のうちの高い図柄信頼度が対応付けされた予告画像のことである。
【1118】
また、高確乱数グループ(特殊演出当り値のグループ)に属する値である旨の先行判定がなされた上記特定の入賞始動遊技が秘匿状態で保留されたときには、変動時間の決定に用いられる乱数により定められる上記消化される入賞始動遊技についての演出表示に要する演出期間のうち、上記図柄演出制御手段により低信頼度画像が表示された後に、低信頼度画像が表示された所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)とは異なる上記所定の保留表示部(保留表示領域1401)において、上記先行判定秘匿手段によって保留表示された通常の表示形態を上記特別な表示形態に昇格変更させる演出表示を実行可能としている。
【1119】
このような演出構造によれば、変動時間の決定に用いられる乱数により定められる上記所定の図柄演出部における演出期間の途中において、低信頼度画像が表示された上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)における演出表示には期待を持ち難いことが遊技者に確信された場合であっても、期待を持ち難いことが確信された所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)とはその期待度に何ら関連性のない別の表示部(所定の保留表示部としての保留表示領域1401)における大当りについての期待演出が新たに開始されることで、当該演出期間の最後まで遊技者に期待させることができるようになる。
【1120】
ちなみに、所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)に対する期待感が早い段階にて完全喪失された場合であっても、演出期間の最後まで大当りの期待感を持続させるこのような所定の保留表示部(保留表示領域1401)における演出は、単一の入賞始動遊技のみを対象とした2つの関連性演出でなく、互いに異なる入賞始動遊技(現在の入賞始動遊技、事後の入賞始動遊技)を対象とした2つの独立性演出を用意したことによって実現可能とされるものである。このような2つの独立性演出が用意されるときには、演出実行が後回しにされる側の機密情報(大当りの当落情報など)が漏出されるようなリスクが懸念されるが、上述の高確乱数決定付手段(特殊演出判定テーブル4908を記憶するROMを内蔵する主制御MPU4100a)及び擬似確率先行判定手段によれば、このようなリスクを排除しつつ、期待を持ち難いことが遊技者に確信された入賞始動遊技(現在の入賞始動遊技)とは異なる入賞始動遊技(事後の入賞始動遊技)についての上記先行判定の結果に応じた期待演出を行うことが可能である。
【1121】
また、大当りの当選確率は低く設定されることが多く、低信頼度画像が表示されやすいことに鑑みれば、このような演出手法を採用するようにすることは、現在の入賞始動遊技についての演出表示(今回期待演出)が行われる上記所定の図柄表示部(図柄表示領域1410)だけでは維持され難い大当りの期待感を補填する上で望ましいといえる。
【1122】
本実施形態の遊技機は、遊技領域内に配置される始動口に遊技媒体が入賞したことに基づいて大当りについての抽選処理が行われるとともに、該抽選処理にて大当りが当選されたときの当該大当りの当選種類に応じて通常遊技状態と該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態とのいずれかを発生し得る遊技機において、前記始動口として、第1の始動口及び第2の始動口が設けられてなり、前記第1の始動口に遊技媒体が入賞したことに基づいて、前記通常遊技状態にあるときよりも前記特別遊技状態にあるときのほうが高い確率に設定される第1の抽選確率にて前記大当りについての抽選処理が行われるとともに、該抽選処理にて大当りが当選された場合には遊技者に対して遊技媒体が付与される第1の特別遊技がさらに行われる第1の始動入賞遊技を行う第1の遊技制御手段と、前記第2の始動口に遊技媒体が入賞したことに基づいて、前記通常遊技状態にあるときと前記特別遊技状態にあるときとで前記第1の抽選確率に対してそれぞれ同一確率となるように設定される第2の抽選確率にて前記大当りについての抽選処理が行われるにもかかわらず、該抽選処理にて大当りが当選された場合には遊技者に対して前記第1の特別遊技にて付与される遊技媒体の数量の期待値よりも少ない数量の期待値の遊技媒体しか付与されない第2の特別遊技がさらに行われる前記第1の始動入賞遊技よりも遊技者にとって有利性の低い第2の始動入賞遊技を行う第2の遊技制御手段と、前記第1の始動口に遊技媒体が入賞した場合、当該第1の始動口への遊技媒体の入賞に基づき前記第2の始動入賞遊技よりも遊技者にとって有利性の高い第1の始動入賞遊技をその実行条件が成立するまで待機させて保留する有利遊技保留手段、及び前記第2の始動口に遊技媒体が入賞した場合、当該第2の始動口への遊技媒体の入賞に基づき前記有利性の低い第2の始動入賞遊技をその実行条件が成立するまで待機させて保留する不利遊技保留手段と、前記第1の特別遊技及び前記第2の特別遊技のいずれかの特別遊技が実行された後の所定期間を、当該特別遊技の実行契機とされた大当りの当選種類に応じた前記通常遊技状態と前記特別遊技状態とのいずれかの遊技状態として制御可能な状態制御手段と、前記特別遊技状態において、前記有利性の低い第2の始動入賞遊技の実行を回避可能とする制御を行う特定遊技制御手段とを備え、前記特定遊技制御手段は、前記特別遊技状態において前記第1の始動口への遊技媒体の入賞が容易な状態へと変化させる頻度を前記通常遊技状態にあるときよりも高めることによって、前記有利性の高い第1の始動入賞遊技が行われる機会を増大させる有利遊技促進制御、及び前記特定の遊技状態において前記有利性の高い第1の始動入賞遊技の実行が保留されている場合、前記不利遊技保留手段による保留の有無にかかわらず、前記有利性の高い第1の始動入賞遊技と前記有利性の低い第2の始動入賞遊技とのうちの前記有利性の高い第1の始動入賞遊技のみの実行を前記有利遊技保留手段により保留された順に行うことで、前記有利性の低い第2の始動入賞遊技については、前記有利性の高い第1の始動入賞遊技についての前記有利遊技保留手段による保留をすべて消化してからの後回しとしてこれを実行させる不利遊技抑制制御の2つの制御をそれぞれ行うことによって、前記特別遊技状態においては前記有利性の低い第2の始動入賞遊技の実行を回避可能とするものであることを特徴とする。
【1123】
上記の遊技機は、有利性の高い抽選と有利性の低い抽選とが行われるものであって、特別遊技状態の際には、それら抽選のうち、有利性の高い抽選の頻度を確実に増加させるとともに、有利性の高い抽選を有利性の低い抽選よりも優先して実行するようにすることで、有利性の低い抽選が行われることによる遊技者の不利益を抑制することを趣旨としている。
【1124】
上記の遊技機は、遊技領域内に配置される始動口に遊技媒体が入賞したことに基づいて大当りについての抽選処理が行われるとともに、該抽選処理にて大当りが当選されたときの当該大当りの当選種類に応じて通常遊技状態と該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り確率が高く設定される状態)とのいずれかを発生し得る遊技機に関するものである。
【1125】
すなわち、この種の遊技機では、有利な遊技状態(確変機能が作動している遊技状態など)に制御されたとしても、遊技の状況によってはその有利性を十分に高めることができるとは限らない。そしてこの場合、有利な遊技状態に制御されたにもかかわらず、当該遊技状態における興趣が逆に低下してしまうようなことにもなりかねない。
【1126】
そこで、上記の遊技機はまず、始動口を、第1の始動口(第二始動口2002)及び第2の始動口(第一始動口2001)として備え、それら2つの始動口のいずれに遊技媒体が入賞したとしても、遊技状態にかかわらず互いに同一確率となるように設定された抽選確率にて上記大当りについての抽選処理が行われるようにしている。ただし、このように互いに同一確率にて大当りについての抽選処理を行うようにしたにもかかわらず、第1の始動口への遊技媒体の入賞に基づいて行われる抽選処理にて大当りが当選された場合と、第2の始動口への遊技媒体の入賞に基づいて行われる抽選処理にて大当りが当選された場合とでは、第2の始動口への遊技媒体の入賞に基づいて行われる抽選処理にて大当りが当選された場合のほうが遊技者に対して少ない数量の期待値の遊技媒体しか付与されないようにしている。
【1127】
このように、第2の始動口に遊技媒体が入賞したときには、抽選確率に見合った分の大当り賞球数が払い出されない不利な遊技(遊技者にとって有利性の低い第2の始動入賞遊技)を行うようにすることによって、第1の始動口に遊技媒体が入賞したときには、抽選確率に見合った分以上の大当り賞球数が払い出される有利な遊技(遊技者にとって有利性の高い第1の始動入賞遊技)を行うことができるようになる。
【1128】
またこの場合、有利性の高い第1の始動入賞遊技と有利性の低い第2の始動入賞遊技とのいずれかが上記遊技媒体の入賞先となった始動口(第1の始動口、第2の始動口)に応じて選択的に行われる遊技性が実現されることにもなる。そこで、上記遊技機は、第1の始動口への遊技媒体の入賞が容易な状態へと変化させる頻度を、特別遊技状態よりも通常遊技状態に制御されているときのほうが低くなるようにすることで、通常遊技状態においては有利性の高い第1の始動入賞遊技が行われ難くし、これによって有利性の低い第2の始動入賞遊技がより高い頻度で行われるようにしている(状態制御手段)。
【1129】
ここで、例えば、本実施形態における大当り確率が「1/300」といった低確率のもとでようやく大当りが当選されたとしても、数個の遊技球が辛うじて大入賞口に入賞できる程度の特別遊技しか行われない遊技、すなわち大当り確率「1/300」とそれに対して設定される大当り賞球数の期待値とが極端にアンバランスとされた遊技が上記有利性の低い第2の始動入賞遊技となる。したがって、有利性の低い第2の始動入賞遊技が行われ易い上記通常遊技状態においては、遊技者は、始動口に遊技媒体が入賞される都度、特別遊技にて払い出される大当り賞球数の期待値の低さに見合わない大当り確率にて大当りについての抽選処理が行われることが多くなる。換言すれば、通常遊技状態においては、遊技者は、上記有利性の高い第1の始動入賞遊技を実現したことによる利益が享受され難いばかりか、上記有利性の高い第1の始動入賞遊技を実現させるための存在としての上記有利性の低い第2の始動入賞遊技による不利益(損)ばかりを被ることとなる。
【1130】
ただし、このように特別遊技状態に移行制御される前の段階(通常遊技状態)にてこうした不利益ばかりを被るようにすることで、特別遊技状態に移行制御された後はその分だけ有利性の高い、すなわち遊技の不利益性が除かれた遊技状態を実現できるようになる。この点、上記遊技機によると、特別遊技状態においては、上記有利性の低い第2の始動入賞遊技の実行が必ず後回しにされて、上記有利性の高い第1の始動入賞遊技についての上記保留がすべて先に消化されるようにし(不利遊技抑制制御)、これによって上記有利性の高い第1の始動入賞遊技の保留状態が途切れて無くなるまでは上記有利性の高い第1の始動入賞遊技のみが順次行われるようにしている。しかも、先に消化される側の遊技(有利性の高い第1の始動入賞遊技)の保留状態が途切れないように同遊技の実行契機となる上記第1の始動口への遊技媒体の入賞が容易な状態へと変化させる頻度を高めるようにし(有利遊技促進制御)、これによって上記有利性の高い第1の始動入賞遊技のみの連続実行を可能としている(特定遊技制御手段)。
【1131】
このように有利性の低い第2の始動入賞遊技を回避可能とする制御を行うようにすることで、特別遊技状態においては、遊技者は、不利益ばかりを被った通常遊技状態とは逆に、有利性の高い第1の始動入賞遊技を実現したことによる利益だけを享受することが可能となる。また、有利性の高い第1の始動入賞遊技のみがこうして連続実行される限りは、その後に消化される側の遊技(有利性の低い第2の始動入賞遊技)の保留は消化されることなくその保留状態が維持(有利性の低い第2の始動入賞遊技の実行が回避)されることから、上記有利性の低い第2の始動入賞遊技が実行されることによる興趣の低下を抑制することができるようになる。
【1132】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【1133】
すなわち、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1に適用したものを示したが、これに限定するものではなく、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機に、適用しても良く、この場合でも、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【1134】
1 パチンコ機
2 外枠
3 本体枠
4 遊技盤
5 扉枠
400 ハンドル装置
410 操作ハンドル部
600 遊技パネル
600e 開口部
601 前構成部材
602 外レール
603 内レール
605 遊技領域
606 アウト口
621 裏箱
621c 開口(開口部)
630 パネルホルダ
630b 貫通口
635 パネル裏板
650 打球発射装置
800 賞球ユニット(払出ユニット)
1400 液晶表示装置
2000 アタッカユニット(受入口ユニット)
2001 第一始動口(受入口)
2002 第二始動口(受入口)
2003 大入賞口(受入口)
2004 一般入賞口(受入口)
2005 可動片
2006 開閉部材
2100 サイド入賞口部材(受入口ユニット)
2101 一般入賞口(受入口)
2200 ゲート部材
2300 センター役物
2302 ワープ入口(進入口)
2303 ワープ出口
2310 ステージ
2350 センター枠可動装飾体
3000 裏ユニット
3300 下可動装飾体
3400 左上可動装飾体
3500 右上可動装飾体
3610 下中央装飾体(パネル支持部材)
3610a 当り部
ZG1?ZG3 装飾図柄
CR1 第1キャラクタ
CR2 第2キャラクタ
CR3 第3キャラクタ
CR4 第4キャラクタ
CR5 第5キャラクタ
CR6 第6キャラクタ
CR7 第7キャラクタ
CR8 第8キャラクタ
MH 前背景
UH 後背景
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動口への遊技球の入球に基づいて乱数を取得する乱数取得手段と、
前記乱数取得手段により取得される乱数に基づいて、大当たり判定処理を行う大当たり判定手段と、
前記大当たり判定手段による大当たり判定処理の結果が大当たりであることに基づいて、遊技者に特典が付与される大当たり遊技を行う大当たり遊技実行手段と、
前記乱数取得手段により乱数が取得された場合、該取得された乱数に応じた前記大当たり判定手段による大当たり判定処理をその実行条件が成立するまで待機させて保留する遊技保留手段と、
前記遊技保留手段により保留の状態とされる大当たり判定処理についての大当たり期待度をその実行条件が成立するよりも前に示すか否かを演出判定する先行演出判定手段と、
前記遊技保留手段により保留の状態とされる大当たり判定処理の実行条件が成立したとき、該大当たり判定処理の結果に基づいて図柄変動態様を決定する図柄変動態様決定手段と、
前記大当たり判定手段による大当たり判定処理の結果がハズレであるときに出現しうる特別の演出態様を表示可能な特別演出表示制御手段と、
前記先行演出判定手段により前記大当たり判定処理についての大当たり期待度をその実行条件が成立するよりも前に示す旨の演出判定がなされていないなかで当該大当たり判定処理とは別の大当たり判定処理の実行条件が成立した結果、該別の大当たり判定処理の結果に基づいて前記図柄変動態様決定手段により特定の図柄変動態様が決定されて、該特定の図柄変動態様にて該別の大当たり判定処理が消化される場合、該別の大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を、前記特定の図柄変動態様により定められる特定演出時間にわたって出現させるように制御する第一演出制御手段と、
前記先行演出判定手段により前記大当たり判定処理についての大当たり期待度をその実行条件が成立するよりも前に示す旨の演出判定がなされているなかで当該大当たり判定処理とは別の大当たり判定処理の実行条件が成立した結果、該別の大当たり判定処理の結果に基づいて前記図柄変動態様決定手段により前記特定の図柄変動態様が決定されて、該特定の図柄変動態様にて該別の大当たり判定処理が消化される場合、前記特定演出時間が経過していない早い段階で前記特別演出表示制御手段によって特別の演出態様を表示させる制御を実行可能な第二演出制御手段と
を備え、
前記第二演出制御手段は、
前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうち、前記特別の演出態様が出現するまでの前期間において前記別の大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能であるとともに、前記特別の演出態様が出現してから当該特定演出時間が経過するまでの後期間において未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出を実行可能に構成されてなり、
さらに、
前記第二演出制御手段により実行された前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出は、前記特定の図柄変動態様により定められる前記特定演出時間のうちの前記後期間において実行された以降、少なくとも当該演出の対象とされた前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理の実行条件が成立するまで実行可能であるとともに、
前記第二演出制御手段による制御によって前記未だ保留の状態にある大当たり判定処理についての大当たり期待度を示す演出が実行されるに際しては、少なくとも前記特別の演出態様が出現されるまでの間、前記先行演出判定手段によって前記大当たり期待度をその実行条件が成立するよりも前に示す旨の演出判定がなされていることが秘匿にされうる
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-06-25 
結審通知日 2018-06-27 
審決日 2018-07-10 
出願番号 特願2015-161476(P2015-161476)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
P 1 41・ 851- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 祐一  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 樋口 宗彦
川崎 優
登録日 2017-01-06 
登録番号 特許第6066515号(P6066515)
発明の名称 遊技機  

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