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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03F |
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管理番号 | 1345545 |
審判番号 | 不服2017-16359 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-02 |
確定日 | 2018-11-02 |
事件の表示 | 特願2013-556340「溶剤現像用シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を用いた半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 8日国際公開、WO2013/115032〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続等の経緯 特願2013-556340号(以下「本件出願」という。)は、2013年(平成25年)1月23日(優先権主張 平成24年2月1日)を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯は、概略、以下のとおりである。 平成28年 7月15日付け:拒絶理由通知書 平成28年 9月20日付け:意見書、手続補正書 平成28年12月28日付け:拒絶理由通知書 平成29年 3月13日付け:意見書、手続補正書 平成29年 7月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 平成29年11月 2日付け:審判請求書、手続補正書 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年11月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「 加水分解性シランの加水分解縮合物を含むレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布し、焼成してレジスト下層膜を形成する工程(A)、 前記下層膜上にレジスト用組成物を塗布し、レジスト膜を形成する工程(B)、 前記レジスト膜を露光する工程(C)、 露光後にレジスト膜を有機溶剤で現像し、パターン化されたレジスト膜を得る工程(D) 、及び パターン化されたレジスト膜により前記レジスト下層膜をエッチングし、パターン化されたレジスト下層膜により基板を加工する工程(E) を含む半導体装置の製造方法であり、 該加水分解性シランは下記式(1)で表されるシラン、式(2)で表されるシラン及び式(3)で表されるシランであって、全シラン中に下記式(1)で表されるシラン:下記式(2)で表されるシラン:下記式(3)で表されるシランをモル%で、45?90:6?20:0?35の割合で含有し、 該加水分解性シランの加水分解縮合物は、該加水分解性シランをケトン系溶媒中で加水分解して得られた加水分解縮合物である、 方法。 【化1】 (ただし式中、R^(1)、R^(3)、R^(5)はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、R^(2)は置換基を有していても良いベンゼン環を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、R^(4)は置換基を有していても良い炭化水素を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、aは1?3の整数を表し、bは1?3の整数を表す。)」 また、本件補正前の特許請求の範囲の請求項9の記載は、次のとおりである。 「 上記R^(2)が、アルコキシ基を有する有機基を有していても良いベンゼン環を含む有機基、又は保護されたアルコールを有する有機基を有していても良いベンゼン環を含む有機基を表し、かつ、上記R^(4)が、アルコキシ基を有していても良い炭化水素を含む有機基、保護されたアルコール性ヒドロキシ基を有していても良い炭化水素を含む有機基、又はアリル基を有していても良い炭化水素を含む有機基を表す、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は、当合議体が付したものであり、補正箇所を示す。 「 加水分解性シランの加水分解縮合物を含むレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布し、焼成してレジスト下層膜を形成する工程(A)、 前記下層膜上にレジスト用組成物を塗布し、レジスト膜を形成する工程(B)、 前記レジスト膜を露光する工程(C)、 露光後にレジスト膜を有機溶剤で現像し、パターン化されたレジスト膜を得る工程(D) 、及び パターン化されたレジスト膜により前記レジスト下層膜をエッチングし、パターン化されたレジスト下層膜により基板を加工する工程(E) を含む半導体装置の製造方法であり、 該加水分解性シランは下記式(1)で表されるシラン、式(2)で表されるシラン及び式(3)で表されるシランであって、全シラン中に下記式(1)で表されるシラン:下記式(2)で表されるシラン:下記式(3)で表されるシランをモル%で、45?90:6?20:0?35の割合で含有し、 該加水分解性シランの加水分解縮合物は、該加水分解性シランをケトン系溶媒中で加水分解して得られた加水分解縮合物である、 方法。 【化1】 (ただし式中、R^(1)、R^(3)、R^(5)はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、R^(2)はフェニル基又は置換基を有するベンゼン環を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、R^(4)はメチル基若しくはアルキレンイソシアヌレート基を含む有機基又は置換基を有するメチル基若しくは置換基を有するアルキレンイソシアヌレート基を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、aは1の整数を表し、bは1の整数を表す。ここで、R^(2)の上記ベンゼン環を含む有機基の有する置換基はアルコキシ基若しくは保護されたアルコールを有する有機基であり、またR^(4)のメチル基若しくアルキレンイソシアヌレート基の有する置換基はアルコキシ基、保護されたアルコール性ヒドロキシ基を有する有機基若しくはアリル基である。)。」 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項9に係る発明、【0016】及び【0019】の記載に基づいて、本件補正前の請求項1に係る発明の、[1]式(2)における「R^(2)」が取り得る置換基を、「置換基を有していても良いベンゼン環を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基」から、「フェニル基又は置換基を有するベンゼン環を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基」であって、「上記ベンゼン環を含む有機基の有する置換基はアルコキシ基若しくは保護されたアルコールを有する有機基」である基に限定し、また、[2]式(3)における「R^(4)」が取り得る置換基を、「置換基を有していても良い炭化水素を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基」から、「メチル基若しくはアルキレンイソシアヌレート基を含む有機基又は置換基を有するメチル基若しくは置換基を有するアルキレンイソシアヌレート基を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基」であって、「メチル基若しくアルキレンイソシアヌレート基の有する置換基はアルコキシ基、保護されたアルコール性ヒドロキシ基を有する有機基若しくはアリル基」である基に限定するとともに、[3]式(2)の「a」及び式(3)の「b」が取り得る整数を「1?3」から「1」に減じて、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)とするものである。 そうしてみると、本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定する補正である。また、本件出願の発明の詳細な説明の【0001】及び【0005】の記載からみて、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるといえる。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そこで、本件補正発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)補正後の本願発明 本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用され、本件出願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された、国際公開第2012/008538号(2012年1月19日国際公開。以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定に活用した箇所を示す。 ア 「技術分野 [0001] 本発明は、ポリシロキサン組成物及びパターン形成方法に関する。詳細には、レジスト下層膜形成用組成物として好適なポリシロキサン組成物及びこのポリシロキサン組成物を用いるパターン形成方法に関する。」 イ 「背景技術 [0002] 半導体用素子等の製造におけるパターン形成には、レジスト被膜を現像して得たレジストパターンをマスクとし、その下層に位置する有機又は無機の材料をエッチングするプロセスが多用されている。このようなプロセスにおいて、上記レジストパターンが下層材料から剥離したり、下層材料がレジスト被膜を現像する現像液により溶解してしまうという不都合が起こり得る。また、レジストパターンと下層材料とのエッチング速度が近いため下層の材料を微細に加工できないことや、レジストパターンを酸素アッシングで除去する際に下層材料がダメージを受けてしまうという不都合も起こり得る。」 ウ 「発明が解決しようとする課題 [0006] 本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、基板反射率が低く、レジスト残りが少なく、耐アルカリ性、酸素アッシング耐性等の性能を保持しつつ、パターン倒れ耐性に優れかつパターン形状が良好なレジストパターンを形成することができるポリシロキサン組成物及びこれを用いるパターン形成方法を提供することにある。」 エ 「課題を解決するための手段 [0007] 上記課題を解決するためになされた発明は、 [A]ポリシロキサン、並びに [B]窒素含有複素環構造と、極性基及びエステル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基とを有する化合物(以下、「[B]化合物」ともいう) を含有するポリシロキサン組成物である。」 オ 「[0016] [A]ポリシロキサンは、下記式(S-1)で表される化合物(以下、「化合物(S1)」ともいう)の加水分解縮合物を含むことが好ましい。 [化3] (式(S-1)中、R^(5)は、水素原子、炭素数1?5のアルキル基、シアノ基、アルケニル基又はアリール基である。上記アルキル基の有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子、シアノ基、置換されていてもよいアリール基又はオキセタン環を有するアルコキシ基で置換されていても良い。Xは、ハロゲン原子又はOR^(A)である。R^(A)は、1価の有機基である。aは、0?3の整数である。但し、R^(5) 及びXがそれぞれ複数ある場合、複数のR^(5)及びXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。) ・・・(中略)・・・ [0076]<[A]ポリシロキサンの合成方法> [A]ポリシロキサンは、例えば、上記化合物(S1)、化合物(S2)等の加水分解性シラン化合物を、公知の方法により、加水分解縮合することにより合成することができる。 ・・・(中略)・・・ [0136]<パターン形成方法> 本発明のパターン形成方法は、 (1)当該ポリシロキサン組成物を被加工基板上に塗布し、シリコン含有膜を形成する工程(以下、「(1)工程」ともいう)、 (2)上記シリコン含有膜上にレジスト組成物を塗布し、レジスト被膜を形成する工程(以下、「(2)工程」ともいう)、 (3)フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射し、上記レジスト被膜を露光する工程(以下、「(3)工程」ともいう)、 (4)露光した上記レジスト被膜を現像し、レジストパターンを形成する工程(以下、「(4)工程」ともいう)、及び (5)上記レジストパターンをマスクとし、上記シリコン含有膜及び上記被加工基板を順次ドライエッチングする工程(以下、「(5)工程」ともいう) を有する。 ・・・(中略)・・・ [0157][(4)工程] (4)工程では、(3)工程において露光したレジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する。 [0158] 現像に用いる現像液としては、使用されるレジスト組成物の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等のアルカリ性水溶液等が挙げられる。また、これらのアルカリ性水溶液は、メタノール、エタノール等のアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適量添加したものであってもよい。 [0159] 用いるレジスト組成物が上記ネガ型レジスト組成物の場合の現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、TMAH、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液等が挙げられる。 [0160] 上記ネガ型パターンを形成する現像液としての有機溶媒としては、例えばケトン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒等が挙げられる。」 カ 「実施例 [0172] ・・・(中略)・・・ [0174]<[A]ポリシロキサンの合成> [A]ポリシロキサンの合成に用いた単量体を以下に示す。各単量体の構 造を下記式にそれぞれ示す。 化合物(M-1):テトラメトキシシラン 化合物(M-2):フェニルトリメトキシシラン 化合物(M-3):3-エチル-3-オキセタニルメチルトリメトキシシラン 化合物(M-4):メチルトリメトキシシラン 化合物(M-5):4-トリルトリメトキシシラン 化合物(M-6):テトラエトキシシラン 化合物(M-7):1,4-ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン [0175][化10] [0176][合成例1](ポリシロキサン(A-1)の合成) シュウ酸1.28gを水12.85gに加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、上記化合物(M-1)25.05g、化合物(M-2)3.63g及びプロピレングリコールモノエチルエーテル57.19gを入れたフラスコに、冷却管と、上記調製したシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからエバポレーターにセットし、反応により生成したメタノールを除去してポリシロキサン(A-1)を含む溶液97.3gを得た。 得られたポリシロキサン(A-1)を含む溶液中の固形分濃度は18.0質量%であった。また、得られたポリシロキサン(A-1)のMwは、2,000であった。 ・・・(中略)・・・ [0180] 各合成例において、得られた[A]ポリシロキサンのMw、及び[A]ポリシロキサンを含む溶液の固形分濃度(質量%)を、下記表1に合わせて示す。 [0181] [表1] [0182]<ポリシロキサン組成物の調製> ポリシロキサン組成物を構成する上記[A]ポリシロキサン以外の成分を以下に示す。 [0183][[B]化合物] それぞれの構造を下記式に示す。 B-1:N-t-アミロキシカルボニル-4-ヒドロキシピペリジン B-2:N-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピペリジン B-3:N-t-ブトキシカルボニル-3-ヒドロキシ-5-カルボキシピロリジン B-4:N-t-ブトキシカルボニル-2-カルボキシピロリジン B-5:N-2,3-ジヒドロキシプロピルピペリジン B-6:N-9-アントラニルメチルオキシカルボニルピペリジン b-1:N,N’,N’’,N’’’-テトラブトキシグリコールウリル b-2:3,12-ジヒドロキシ-24-ノル-5β-コラン-23-酸t-ブトキシカルボニルメチルエステル [0184][化11] [0185][[C]化合物] それぞれの構造を下記式に示す。 C-1:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート C-2:トリフェニルスルホニウムトリシクロ[3.3.1.1^(3,7) ]デカニルジフルオロメタンスルホネート C-3:ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート [0186][化12] [0187][[D]溶媒] D-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート D-2:プロピレングリコールモノエチルエーテル D-3:プロピレングリコールモノプロピルエーテル [0188][実施例1] [A]ポリシロキサンとしての上記ポリシロキサン(A-1)を含む溶液9.70質量部、[B]化合物としての(B-1)0.05質量部、並びに[D]溶媒としての(D-1)68.74質量部及び(D-2)21.51質量部を混合して溶解させた後、孔径0.2μmのフィルターでろ過して、実施例1のポリシロキサン組成物を得た。 [0189][実施例2?31及び比較例1?6] 下記表2及び表3に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様にして、各ポリシロキサン組成物を調製した。[E]成分の水の配合量は、ポリシロキサン組成物の調製において、添加した水の量を意味する。表2及び表3中の「-」は、該当する成分を使用しなかったことを示す。 ・・・(中略)・・・ [0192] [表3] ・・・(中略)・・・ [0199][リソグラフィー性能] (アルカリ現像の場合) 12インチシリコンウェハ上に、下層反射防止膜形成用組成物(HM8006、JSR製)をスピンコートした後、250℃で60秒間PBを行うことにより膜厚100nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記ポリシロキサン組成物をスピンコートし、220℃で60秒間PBした後、23℃で60秒間冷却することにより膜厚30nmのシリコン含有膜を形成した。次いで、このシリコン含有膜上に、レジスト組成物(ARF AR2772JN、JSR製)をスピンコートし、100℃で60秒間PBした後、23℃で30秒間冷却することにより膜厚100nmのレジスト被膜を形成した。さらに、形成したレジスト被膜上に上層膜形成用組成物を、塗布/現像装置(Lithius Pro-i、東京エレクトロン製)を使用してスピンコートし、90℃で60秒間PBを行うことにより膜厚90nmの上層膜を形成した。 [0200] 次いで、ArF液浸露光装置(S610C、NIKON製)を使用し、NA:1.30、Dipoleの光学条件にて、42nmライン/84nmピッチ形成用のマスクサイズのマスクを介して露光した。上記「Lithius Pro-i」のホットプレート上で100℃で60秒間PEBを行い、23℃で30秒間冷却した後、現像カップのLDノズルにて、TMAH水溶液を現像液として30秒間パドル現像を行い、超純水をリンス液としてリンスした。さらに、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、42nmライン/84nmピッチのレジストパターンが形成された評価用基板を得た。 [0201] 上記レジストパターンの形成の際に、ラインの線幅が42nmであり、隣り合うライン間の距離(スペース)が84nm(ライン対スペースが1対2)であるレジストパターンを形成した露光量を最適露光量とし、この最適露光量から段階的に露光量を大きくして順次露光を行い、それぞれの評価用基板を得た。 [0202] これらの評価用基板を用いて、下記方法にて、パターン倒れ耐性及びパターン形状の評価を行った。これらの評価におけるレジストパターンの観察及び測長には、走査型電子顕微鏡(CG-4000、日立ハイテクノロジーズ製)を用いた。 [0203] 露光量を段階的に大きくしていくと、得られるパターンの線幅は次第に細くなるため、ある露光量に対応する線幅で、レジストパターンの倒壊が観察される。そこで、レジストパターンの倒壊が確認されない最大の露光量に対応する線幅を最小倒壊前寸法と定義してパターン倒れ耐性の指標とした。最小倒壊前寸法の測定値(単位:nm)を表4及び表5に示す。なお、表4及び表5中の「-」は、露光量を種々変えてもパターン倒れが起こりパターン倒れの評価ができなかったことを示す。パターン倒れ耐性は、測定された最小倒壊前寸法が40nm以下の場合は「A」と、最小倒壊前寸法が40nmを超える場合又は露光量を種々変えてもパターン倒れが起こりパターン倒れの評価ができない場合は「B」と評価した。パターン形状は、レジストパターンのボトムに裾引きがない場合は「A」と、パターン倒れ又は裾引きがある場合は「B」と評価した。 [0204] (有機溶媒現像の場合) 上記アルカリ現像の場合において、マスクとして40nmライン/80nmピッチ形成用のマスクを介して露光し、現像液として酢酸ブチルを用い、リンス液として、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)を用いた以外は、上記アルカリ現像の場合と同様にして、レジストパターンが形成された評価用基板を得た。このレジストパターンの形成の際に、、ラインの線幅が40nmであり、隣り合うライン間の距離(スペース)が80nm(ライン対スペースが1対2)であるレジストパターンを形成した露光量を最適露光 量とし、この最適露光量から段階的に露光量を大きくして順次露光を行い、それぞれの評価用基板を得た。得られた評価用基板を用いて、上記方法及び評価基準にて、パターン倒れ耐性及びパターン形状の評価を行った。 ・・・(中略)・・・ [0206] [表5] 」 (3)引用発明 上記(2)から、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。 ア 引用発明1 引用文献1の[0001]には、引用文献1にいう本発明は、シロキサン組成物を用いるパターン形成方法に関するものであることが記載されている。 また、引用文献1の[0002]には、パターン形成は、半導体素子等の製造におけるものであることが記載されている。 そうしてみると、上記パターン形成方法は、半導体素子の製造に関するものであるといえる。 さらに、引用文献1には、実施例19として、ポリシロキサン(A-1)を含む溶液を含有するポリシロキサン組成物を得て、有機溶媒現像を行って、レジストパターンを形成することが記載されている。 そうしてみると、引用文献1には、以下のパターン形成方法に関する発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。 なお、略語「PB」及び「PEB」を、[0151]及び[0156]の記載に従って、それぞれ、「プレベーク」及び「ポストエクスポージャーベーク」に書き改めた。 「 シュウ酸1.28gを水12.85gに加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製し、化合物(M-1)25.05g、化合物(M-2)3.63g及びプロピレングリコールモノエチルエーテル57.19gを入れたフラスコに、冷却管と、シュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットし、オイルバスにて60℃に加熱した後、シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させ、反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからエバポレーターにセットし、反応により生成したメタノールを除去してポリシロキサン(A-1)を含む溶液97.3gを得、 [A]ポリシロキサン(A-1)を含む溶液9.85質量部、化合物(B-1):N-t-アミロキシカルボニル-4-ヒドロキシピペリジン0.02質量部、化合物(C-1):トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート0.01質量部、溶媒(D-1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート68.39質量部及び溶媒(D-2):プロピレングリコールモノエチルエーテル21.23質量部、並びに水(E)0.50質量部を混合して溶解させた後、孔径0.2μmのフィルターでろ過して、ポリシロキサン組成物を得、 12インチシリコンウェハ上に、下層反射防止膜形成用組成物をスピンコートした後、プレベークを行うことにより膜厚100nmの下層反射防止膜を形成し、下層反射防止膜上に、ポリシロキサン組成物をスピンコートし、プレベークした後、冷却することにより膜厚30nmのシリコン含有膜を形成し、 シリコン含有膜上に、レジスト組成物をスピンコートし、プレベークした後、冷却することにより膜厚100nmのレジスト被膜を形成し、 レジスト被膜上に上層膜形成用組成物を、塗布/現像装置を使用してスピンコートし、プレベークを行うことにより膜厚90nmの上層膜を形成し、 ArF液浸露光装置を使用し、NA:1.30、Dipoleの光学条件にて、40nmライン/80nmピッチ形成用のマスクを介して露光し、 塗布/現像装置のホットプレート上でポストエクスポージャーベークを行い、冷却した後、酢酸ブチルを現像液として現像を行い、リンスし、スピンドライすることにより、40nmライン/80nmピッチのレジストパターンを形成する、 半導体素子の製造に関する、 パターン形成方法。」 (当合議体注:化合物(M-1)及び化合物(M-2)は、それぞれ、テトラメトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランであって、以下の化学式で表される化合物である。 ) イ 引用発明2-10 引用文献1の段落[0189]、[0192]、[0199]-[0201]、[0204]及び[0206]には、実施例20-27、31として、引用発明1のポリシロキサン組成物の組成を下表のとおり変更した、パターン形成方法が記載されている(以下、それぞれ「引用発明2」-「引用発明10」といい、また、「引用発明1」-「引用発明10」を総称して「引用発明1-10」という。)。 (4)引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由で引用され、本件出願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された、国際公開第2010/140551号(2010年12月9日国際公開。以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。 ア 「技術分野 [0001] 本発明は、半導体装置の製造に使用される基板とレジスト(例えば、フォトレジスト、電子線レジスト)の間に下層膜を形成するための組成物に関する。詳しくは、半導体装置製造のリソグラフィー工程においてフォトレジストの下層に使用される下層膜を形成するためのリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。また、当該下層膜形成組成物を用いたレジストパターンの形成方法に関する。」 イ 「発明を実施するための形態 [0018] 本発明では基板上にレジスト下層膜を塗布法により形成するか、又は基板上の有機下層膜を介してその上にレジスト下層膜を塗布法により形成し、そのレジスト下層膜上にレジスト膜(例えば、フォトレジスト、電子線レジスト)を形成する。そして、露光と現像によりレジストパターンを形成し、そのレジストパターンを用いてレジスト下層膜をドライエッチングしてパターンの転写を行い、そのパターンにより基板を加工するか、又は有機下層膜をエッチングによりパターン転写しその有機下層膜により基板の加工を行う。 ・・・(中略)・・・ [0025] 本発明はケイ素原子含有化合物として、イオウ原子含有基を含む加水分解性オルガノシラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含む組成物であって、前記ケイ素原子含有化合物全体において、ケイ素原子に対するイオウ原子の割合が5モル%未満であるリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物である。前記イオウ原子含有基はスルフィド結合を含む。 本発明において、ケイ素原子含有化合物として縮合物も含むものとする。 [0026] そして上述の加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、及びその加水分解縮合物はそれらの混合物として用いることもできる。加水分解性オルガノシランを加水分解し、得られた加水分解物を縮合した縮合物で用いることができる。加水分解縮合物を得る際に加水分解が完全に完了しない部分加水分解物や加水分解性オルガノシランが加水分解縮合物に混合されて、その混合物を用いることもできる。この縮合物はポリシロキサン構造を有するポリマーである。このポリシロキサンにはスルフィド結合を含む有機基が結合している。 ・・・(中略)・・・ [0067] 加水分解に用いられる有機溶媒としては、例えば・・・(中略)・・・;アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;・・・(中略)・・・ [0068] ・・・(中略)・・・等を挙げることができる。これらの溶剤は1種又は2種以上の組み合わせで用いることができる。 [0069] 特に、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒が溶液の保存安定性の点で好ましい。」 ウ 「[0161](合成例1) 式(1-1)で表される化合物0.18g、テトラエトキシシラン13.54g、フェニルトリメトキシシラン1.98g、メチルトリエトキシシラン4.37g、アセトン30.11gを100mLのフラスコに入れて溶解させ、得られた混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら加温し、還流させた。次にイオン交換水6.60gに塩酸0.01gを溶解させた水溶液を混合溶液に添加した。240分反応させた後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。その後、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート21.00gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、加水分解縮合物(ポリオルガノシロキサン)の溶液を得た。得られたポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw2000であった。この加水分解縮合物は、原料のケイ素原子含有化合物全体において、ケイ素原子に対するイオウ原子の割合が0.50モル%に相当し、得られた加水分解縮合物であるポリオルガノシロキサンにおけるケイ素原子に対するイオウ原子の割合は、その割合に相当するものであった。」 (5)引用文献3の記載 原査定の拒絶の理由で引用され、本件出願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された、国際公開第2011/033965号(2011年3月24日国際公開。以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。 ア 「技術分野 [0001] 本発明は、半導体装置の製造に使用される基板とレジスト(例えば、フォトレジスト、電子線レジスト)の間に下層膜を形成するための組成物に関する。詳しくは、半導体装置製造のリソグラフィー工程においてフォトレジストの下層に使用される下層膜を形成するためのリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。また、当該下層膜形成組成物を用いたレジストパターンの形成方法に関する。」 イ 「発明を実施するための形態 [0020] 本発明はスルホンアミド基を有するシラン化合物を含む膜形成組成物であって、該スルホンアミド基を有するシラン化合物は、スルホンアミド基を分子内に有する加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、又はその加水分解縮合物である膜形成組成物である。そして、スルホンアミド基を有するシラン化合物を含むレジスト下層膜形成組成物であって、該スルホンアミド基を有するシラン化合物は、スルホンアミド基を分子内に有する加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、又はその加水分解縮合物であるリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物である。 本発明ではスルホンアミド基を有するシラン化合物とスルホンアミド基を有しないシラン化合物とを含む組成物であって、該シラン化合物全体中にスルホンアミド基を有するシラン化合物が1モル%未満の割合で存在するものとすることができる。 ・・・(中略)・・・ [0065] 加水分解に用いられる有機溶媒としては、例えば・・・(中略)・・・;アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;・・・(中略)・・・等を挙げることができる。これらの溶剤は1種又は2種以上の組み合わせで用いることができる。 特に、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒が溶液の保存安定性の点で好ましい。」 ウ 「[0127](合成例1) 化合物(1)0.044g、テトラエトキシシラン14.76g、フェニルトリメトキシシラン1.98g、メチルトリエトキシシラン3.61g、アセトン30.59gを100mlのフラスコに入れて溶解させ、得られた混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら加温し、還流させた。次にイオン交換水6.74gに塩酸0.01gを溶解させた水溶液を混合溶液に添加した。240分反応させた後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。その後、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20.00gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、加水分解縮合物(ポリマー)溶液を得た。得られたポリマーは式(10-13)に相当し全シラン中でスルホンアミド基を有するシランが0.12モル%の割合で存在する原料由来のポリシロキサンであった。得られたポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1500であった。」 (6)引用文献4の記載 原査定の拒絶の理由で引用され、本件出願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された、国際公開第2011/105368号(2011年9月1日国際公開。以下「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。 ア 「技術分野 [0001] 本発明は、半導体装置の製造に使用される基板とレジスト(例えば、フォトレジスト、電子線レジスト)の間に下層膜を形成するための組成物に関する。詳しくは、半導体装置製造のリソグラフィー工程においてフォトレジストの下層に使用される下層膜を形成するためのリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。また、当該下層膜形成組成物を用いたレジストパターンの形成方法に関する。」 イ 「発明を実施するための形態 [0009] 本発明では基板上にレジスト下層膜を塗布法により形成するか、又は基板上の有機下層膜を介してその上にレジスト下層膜を塗布法により形成し、そのレジスト下層膜上にレジスト膜(例えば、フォトレジスト、電子線レジスト)を形成する。そして、露光と現像によりレジストパターンを形成し、そのレジストパターンを用いてレジスト下層膜をドライエッチングしてパターンの転写を行い、そのパターンにより基板を加工するか、又は有機下層膜をエッチングによりパターン転写しその有機下層膜により基板の加工を行う。 微細なパターンを形成する上で、パターン倒れを防ぐためにレジスト膜厚が薄くなる傾向がある。レジストの薄膜化によりその下層に存在する膜にパターンを転写するためのドライエッチングは、上層の膜よりもエッチング速度が高くなければパターン転写ができない。本発明では基板上に有機下層膜を介するか、又は有機下層膜を介さず、その上に本発明のレジスト下層膜(無機系シリコン系化合物含有)を被覆し、その上にレジスト膜(有機レジスト膜)の順で被覆される。有機系成分の膜と無機系成分の膜はエッチングガスの選択によりドライエッチング速度が大きく異なり、有機系成分の膜は酸素系ガスでドライエッチング速度が高くなり、無機系成分の膜はハロゲン含有ガスでドライエッチング速度が高くなる。 例えばレジストパターンが形成され、その下層に存在している本発明のレジスト下層膜をハロゲン含有ガスでドライエッチングしてレジスト下層膜にパターンを転写し、そのレジスト下層膜に転写されたパターンでハロゲン含有ガスを用いて基板加工を行う。あるいは、パターン転写されたレジスト下層膜を用いて、その下層の有機下層膜を酸素系ガスでドライエッチングして有機下層膜にパターン転写を行って、そのパターン転写された有機下層膜で、ハロゲン含有ガスを用いて基板加工を行う。 本発明では当該レジスト下層膜がハードマスクとして機能するものであり、 上記式(1)の構造中のアルコキシ基やアシロキシ基、ハロゲン原子等の加水分解性基は加水分解乃至部分加水分解し、その後にシラノール基の縮合反応によりポリシロキサン構造のポリマーを形成する。このポリオルガノシロキサン構造はハードマスクとしての十分な機能を有している。 また、ポリオルガノシロキサンに含まれるこれらの結合部位は炭素-窒素結合や、炭素-酸素結合を有していて、炭素-炭素結合よりもハロゲン系ガスによるドライエッチング速度が高く、上層レジストパターンをこのレジスト下層膜に転写する際に有効である。 そして、ポリオルガノシロキサン構造(中間膜)は、その下に存在する有機下層膜のエッチングや、基板の加工(エッチング)にハードマスクとして有効である。即ち、基板加工時や有機下層膜の酸素系ドライエッチングガスに対して十分な耐ドライエッチング性を有するものである。 本発明のレジスト下層膜がこれらの上層レジストに対するドライエッチング速度の向上と、基板加工時等の耐ドライエッチング性を具備するものである。 そして良好なレジストパターン形状を形成することができる。 ・・・(中略)・・・ [0033] 加水分解に用いられる有機溶媒としては、例えば・・・(中略)・・・アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒; ・・・(中略)・・・等を挙げることができる。これらの溶剤は1種又は2種以上の組み合わせで用いることができる。 特に、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン(1,1,3-トリメチル-2-ノルボルネン)等のケトン系溶媒が溶液の保存安定性の点で好ましい。」 ウ 「[0076](合成例1) 0.32gの化合物1、14.58gのテトラエトキシシラン(TEOS)、0.99gのフェニルトリメトキシシラン(PhTMOS)、4.28gのメチルトリエトキシシラン(MeTEOS)、30.26gのアセトンを100mLのフラスコに入れて溶解し、得られた混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら加温し、還流させた。次に0.01Mの塩酸水溶液6.67gを混合溶液に添加した。240分反応させた後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。その後、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20.00gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、加水分解縮合物溶液を得た。その後、加水分解縮合物溶液にプロピレングリコールジエチルエーテルを加え、最終的に、15%の加水分解縮合物溶液を得た。得られたポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1600であった。得られたポリマーは式(2-1)で表される単位構造を有するポリマーに相当するものであった。 」 (7)引用発明1-10との対比及び判断 ア 対比 本件補正発明と引用発明1-10を対比すると、以下のとおりとなる。 (ア)加水分解性シラン、加水分解縮合物 引用発明1-10の化合物(M-1)及び化合物(M-2)は、それぞれ、その化学式からみて、本件補正発明の「式(1)で表されるシラン」及び「式(2)で表されるシラン」に該当する。 また、引用発明1-10におけるポリシロキサン(A-1)は、化合物(M-1)及び化合物(M-2)が加水分解により縮合反応して生成したものであるから、本件補正発明の「加水分解縮合物」に相当する。 そして、化合物(M-1)及び化合物(M-2)の分子量は、それぞれ、152及び198である。そうしてみると、引用発明1-10における化合物(M-1)及び化合物(M-2)のモル比は、0.165:0.018(25.05/152:3.63/198)である(なお、[0181]の表1においても、「使用量(モル%)」)が「90」、「10」とされ、同じモル比が導き出される)。 そうしてみると、引用発明1-10は、本件補正発明の「加水分解性シランは下記式(1)で表されるシラン、式(2)で表されるシラン及び式(3)で表されるシランであって、全シラン中に下記式(1)で表されるシラン:下記式(2)で表されるシラン:下記式(3)で表されるシランをモル%で、45?90:6?20:0?35の割合で含有」するという要件を満たすものである(なお、引用発明9(実施例27)は、[A]ポリシロキサン(A-1)に加えて(A-6)を含むが、(A-6)は、本件補正発明の式(3)で表される加水分解性シラン(M-4)からなり、本件補正発明の式(1)及び(2)で表される化合物を含有しておらず、本件補正発明の「加水分解性シランの加水分解縮合物」に相当しない。そして、本件補正発明の「レジスト下層膜形成組成物」は、本件補正発明の要件を満たす「加水分解性シランの加水分解縮合物を含む」ものであれば、本件補正発明の要件を満たさないものも含んで良い。したがって、(A-6)は本件補正発明でいう「加水分解性シランの加水分解縮合物」から除いて考えるのが相当である。)。 【化1】 (ただし式中、R^(1)、R^(3)、R^(5)はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、R^(2)はフェニル基又は置換基を有するベンゼン環を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、R^(4)はメチル基若しくはアルキレンイソシアヌレート基を含む有機基又は置換基を有するメチル基若しくは置換基を有するアルキレンイソシアヌレート基を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、aは1の整数を表し、bは1の整数を表す。ここで、R^(2)の上記ベンゼン環を含む有機基の有する置換基はアルコキシ基若しくは保護されたアルコールを有する有機基であり、またR^(4)のメチル基若しくアルキレンイソシアヌレート基の有する置換基はアルコキシ基、保護されたアルコール性ヒドロキシ基を有する有機基若しくはアリル基である。) (イ)工程(A) 引用発明1-10は、「シリコン含有膜」を形成するための工程として、「12インチシリコンウェハ上に、下層反射防止膜形成用組成物をスピンコートした後、プレベークを行うことにより膜厚100nmの下層反射防止膜を形成し、下層反射防止膜上に、ポリシロキサン組成物をスピンコートし、プレベークした後、冷却することにより膜厚30nmのシリコン含有膜を形成」する工程を含んでいる。また、引用発明1-10は、「レジスト被膜」を形成するための工程として、「シリコン含有膜上に、レジスト組成物をスピンコートし、プレベークした後、冷却することにより膜厚100nmのレジスト被膜を形成」する工程を含んでいる。 そうしてみると、引用発明1-10の「12インチシリコンウェハ」、「シリコン含有膜」及び「ポリシロキサン組成物」は、その位置関係及び役割からみて、基板、レジスト被膜の下層膜、及びレジスト被膜の下層膜を形成するための組成物ということができる。また、引用発明1-10の「ポリシロキサン組成物」は、上記(ア)で述べた「ポリシロキサン(A-1)」を含むものであるから、加水分解性シランの加水分解縮合物を含むといえる。加えて、引用発明1-10の「スピンコート」及び「プレベーク」は、それぞれ、その文言ないし工程上の役割からみて、それぞれ、本件補正発明の「塗布」及び「焼成」に相当するものと理解できる。 したがって、引用発明1-10の「ポリシロキサン組成物」、「12インチシリコンウェハ」及び「シリコン含有膜」は、それぞれ本件補正発明の「レジスト下層膜形成組成物」、「基板」及び「レジスト下層膜」に相当する。また、引用発明1-10の「12インチシリコンウェハ上に、下層反射防止膜形成用組成物をスピンコートした後、プレベークを行うことにより膜厚100nmの下層反射防止膜を形成し、下層反射防止膜上に、ポリシロキサン組成物をスピンコートし、プレベークした後、冷却することにより膜厚30nmのシリコン含有膜を形成」する工程は、本件補正発明の「加水分解性シランの加水分解縮合物を含むレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布し、焼成してレジスト下層膜を形成する」という要件を満たすから、本件補正発明の「工程(A)」に相当する。 (ウ)工程(B) 引用発明1-10は、上記(イ)で述べたとおり、「シリコン含有膜上に、レジスト組成物をスピンコートし、プレベークした後、冷却することにより膜厚100nmのレジスト被膜を形成」する工程を含んでいる。そして、この工程における「レジスト組成物」、「スピンコート」及び「レジスト被膜」は、技術的にみて、それぞれ本件補正発明の「レジスト用組成物」、「塗布」及び「レジスト膜」に相当する。 そうしてみると、引用発明1-10の「シリコン含有膜上に、レジスト組成物をスピンコートし、プレベークした後、冷却することにより膜厚100nmのレジスト被膜を形成」する工程は、本件補正発明の「前記下層膜上にレジスト用組成物を塗布し、レジスト膜を形成する」という要件を満たすから、本件補正発明の「工程(B)」に相当する。 (エ)工程(C) 引用発明1-10の「ArF液浸露光装置を使用し、NA:1.30、Dipoleの光学条件にて、40nmライン/80nmピッチ形成用のマスクを介して露光」する工程は、技術的にみて、本件補正発明の「レジスト膜を露光する工程(C)」に相当する。 (オ)工程(D) 引用発明1-10は、「ArF液浸露光装置を使用し、NA:1.30、Dipoleの光学条件にて、40nmライン/80nmピッチ形成用のマスクを介して露光」する工程の後、「塗布/現像装置のホットプレート上でポストエクスポージャーベークを行い、冷却した後、酢酸ブチルを現像液として現像を行い、リンスし、スピンドライすることにより、40nmライン/80nmピッチのレジストパターンを形成」する工程を含んでいる。 そうしてみると、このレジストパターンを形成する工程は、本件補正発明でいう「露光後」の工程ということができる。また、この工程における「酢酸ブチル」、「現像」及び「40nmライン/80nmピッチのレジストパターン」は、技術的にみて、本件補正発明の「有機溶剤」、「現像」、及び「パターン化されたレジスト膜」に相当する。 したがって、引用発明1-10の「塗布/現像装置のホットプレート上でポストエクスポージャーベークを行い、冷却した後、酢酸ブチルを現像液として現像を行い、リンスし、スピンドライすることにより、40nmライン/80nmピッチのレジストパターンを形成」する工程は、本件補正発明の「露光後にレジスト膜を有機溶剤で現像し、パターン化されたレジスト膜を得る」という要件を満たすから、本件補正発明の「工程(D)」に相当する。 (カ)半導体装置の製造方法 引用発明1-10の「半導体素子の製造に関する、パターン形成方法」は、技術的にみて、本件補正発明の「半導体装置の製造方法」に相当する。 イ 一致点及び相違点 以上のことから、本件補正発明と引用発明1-10との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「 加水分解性シランの加水分解縮合物を含むレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布し、焼成してレジスト下層膜を形成する工程(A)、 前記下層膜上にレジスト用組成物を塗布し、レジスト膜を形成する工程(B)、 前記レジスト膜を露光する工程(C)、 露光後にレジスト膜を有機溶剤で現像し、パターン化されたレジスト膜を得る工程(D) を含む半導体装置の製造方法であり、 該加水分解性シランは下記式(1)で表されるシラン、式(2)で表されるシラン及び式(3)で表されるシランであって、全シラン中に下記式(1)で表されるシラン:下記式(2)で表されるシラン:下記式(3)で表されるシランをモル%で、45?90:6?20:0?35の割合で含有する、 方法。 (ただし式中、R^(1)、R^(3)、R^(5)はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、R^(2)はフェニル基又は置換基を有するベンゼン環を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、R^(4)はメチル基若しくはアルキレンイソシアヌレート基を含む有機基又は置換基を有するメチル基若しくは置換基を有するアルキレンイソシアヌレート基を含む有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合している基を表し、aは1の整数を表し、bは1の整数を表す。ここで、R^(2)の上記ベンゼン環を含む有機基の有する置換基はアルコキシ基若しくは保護されたアルコールを有する有機基であり、またR^(4)のメチル基若しくアルキレンイソシアヌレート基の有する置換基はアルコキシ基、保護されたアルコール性ヒドロキシ基を有する有機基若しくはアリル基である。)」 (相違点1) 本件補正発明は、「パターン化されたレジスト膜により前記レジスト下層膜をエッチングし、パターン化されたレジスト下層膜により基板を加工する工程(E)」を含むのに対し、引用発明1-10は、このような構成を含んでいない点。 (相違点2) 本件補正発明は、「加水分解性シランの加水分解縮合物は、該加水分解性シランをケトン系溶媒中で加水分解して得られた加水分解縮合物である」のに対し、引用発明1-10の「ポリシロキサン(A-1)は、「化合物(M-1)」及び「化合物(M-2)」を「プロピレングリコールモノエチルエーテル」中で反応させたものである点。 ウ 判断 相違点1及び2についての判断は以下のとおりである。 (ア)相違点1について 引用文献1の[0136]には、引用文献1にいう本発明は、レジストパターンを形成する工程の後に、レジストパターンをマスクとし、シリコン含有膜及び被加工基板を順次ドライエッチングする工程を有することが記載されている。ここで、当該ドライエッチングする工程は、技術的にみて、本件補正発明の「パターン化されたレジスト膜により前記レジスト下層膜をエッチングし、パターン化されたレジスト下層膜により基板を加工する工程(E)」に相当する。 そうしてみると、「レジストパターンを形成した」後に、「パターン化されたレジスト膜により前記レジスト下層膜をエッチングし、パターン化されたレジスト下層膜により基板を加工する工程(E)」を行うことは、引用発明1-10において予定されているものにすぎない。 (イ)相違点2について レジスト下層膜用の材料である、加水分解性シランを加水分解する際の溶媒として、溶液の保存安定性のために、ケトン系溶媒を用いることは、周知技術である(必要ならば、引用文献2の[0067]-[0069]、[0161]、引用文献3の[0065]、[0127]、引用文献4の[0033]、[0076]を参照されたい。)。 そして、引用文献1の[0076]には、加水分解性シラン化合物を公知の方法により加水分解縮合することにより合成することが記載されている。 そうしてみると、引用発明1-10と上記周知技術は、いずれも、加水分解性シランを加水分解してレジスト下層膜用の材料を得るものである点で共通するものであり、引用発明1-10において、ポリシロキサン(A-1)を含む溶液の保存安定性のために、プロピレングリコールモノエチルエーテルにかえて、ケトン系溶媒を用いることは、当業者における通常の創意工夫の範囲内の事項である。 また、ケトン系溶媒の使用に関して、本件の明細書の【0026】には、「加水分解に用いられる有機溶媒としては、例えば・・・(中略)・・・ケトン系溶媒・・・(中略)・・・等を挙げることができる。これらの溶剤は1種又は2種以上の組み合わせで用いることができる。 特に、ケトン系溶媒が溶液の保存安定性の点で好ましい。」と記載されている。そして、こうした技術的事項は、上述のとおり、周知である。そうしてみると、上記相違点2に係る本件補正発明の構成によってもたらされる効果は、引用発明1-10において上記周知技術を採用した構成と同じものにすぎない。また、本件補正発明は、加水分解縮合物を一定期間保存することを特定するものではなく、上記相違点2に係る本件補正発明の構成によってもたらされる効果は、引用発明1-10と同じものにすぎないともいえる。 エ 審判請求人の主張について 審判請求人は、平成29年11月2日付け審判請求書において、概略、加水分解性シランをケトン系溶媒中で加水分解した方が、アルコール系溶媒中で加水分解した場合と比して、縮合反応を生じさせるシラノール基がリッチな状態で加水分解が形成されるため、より緻密に加水分解性シラン由来のケイ素を有する加水分解物を得ることができ、シラン化合物中に存在する基R^(2)及びR^(4)が密集して存在することになるので、親水化されたレジスト膜に対して高い密着性を有するという効果を奏する旨主張している。 しかしながら、本件の明細書には、そのような効果は記載されていないから、審判請求人が主張する効果は参酌できない。 仮に、請求人が主張する効果が、当業者に予測可能なものであるとしても、請求人が主張する効果は、引用発明1-10と周知技術を組み合わせようとする当業者が予測可能なものにすぎない。 オ 小括 本件補正発明発明は、引用発明1-10及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成29年11月2日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本件の請求項1-9に係る発明は、平成28年9月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項、及び、平成29年3月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-10に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献2-4参照)に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:国際公開第2012/008538号 引用文献2:国際公開第2010/140551号 引用文献3:国際公開第2011/033965号 引用文献4:国際公開第2011/105368号 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載及び引用発明は、前記第2の[理由]2(2)及び(3)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「R^(2)」及び「R^(4)」を、それぞれ、「置換基を有していても良いベンゼン環を含む置換基」及び「置換基を有していても良い炭化水素を含む有機基」とし、選択し得る置換基を拡張するとともに、「a」及び「b」の範囲を「1の整数」から「1?3の整数」としたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、「R^(2)」、「R^(4)」、「a」及び「b」を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(7)に記載したとおり、引用発明1-10及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1-10及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-08-30 |
結審通知日 | 2018-09-05 |
審決日 | 2018-09-21 |
出願番号 | 特願2013-556340(P2013-556340) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G03F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 倉持 俊輔、塚田 剛士、本田 博幸 |
特許庁審判長 |
樋口 信宏 |
特許庁審判官 |
川村 大輔 宮澤 浩 |
発明の名称 | 溶剤現像用シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を用いた半導体装置の製造方法 |
代理人 | 特許業務法人はなぶさ特許商標事務所 |