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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1345755 |
審判番号 | 不服2018-736 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-01-19 |
確定日 | 2018-12-03 |
事件の表示 | 特願2015-507470「リンクトラックの配置を有する容量検出用デバイス、並びに前記デバイスの実装方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月31日国際公開、WO2013/160151、平成27年 6月25日国内公表、特表2015-518215、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年4月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年4月25日、フランス)を国際出願日とする出願であって、平成29年2月7日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月10日付けで手続補正がされ、同年9月14日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年1月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年9月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1-16に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記1-7の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2010-218542号公報 引用文献2.特開2010-157239号公報 引用文献3.特表2010-541109号公報 引用文献4.特表2005-538349号公報 引用文献5.特開2011-198009号公報 引用文献6.国際公開第2012/049942号 引用文献7.特開2010-262557号公報 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 審判請求時の補正によって請求項1を「前記接続トラックと接続されるフレキシブルリンクを有し、前記アクセス域に接続された第1の部分と、前記アクセス域から延びる第2の部分とを含むフレキシブルコネクタ」を含み、「前記フレキシブルコネクタの前記第1及び第2の部分の前記フレキシブルリンクが、」「サンドイッチ状に配置される」とする補正は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「フレキシブルコネクタ」が「前記アクセス域に接続された第1の部分と、前記アクセス域から延びる第2の部分とを含む」ものに限定すると共に、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「フレキシブルリンク」が「前記第1及び第2の部分」で「サンドイッチ状に配置される」ものに限定したものであり、かつ、補正の前後において、請求項1の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であり、また、前記追加された事項は当初明細書の段落【0055】及び図5aより明らかであるといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項を追加するものではないといえる。 そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-16に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1-16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明16」という。)は、平成30年1月19日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び本願発明16は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 透明検出域とアクセス域とを有するヒューマン-マシンインターフェースデバイスであって: - 前記透明検出域内に導電性透明材料製の電極を有する表面と; - 前記アクセス域内に配置され、そして、電極を有する前記表面へ接続する導電性接続トラックと; - 前記接続トラックと接続されるフレキシブルリンクを有し、前記アクセス域に接続された第1の部分と、前記アクセス域から延びる第2の部分とを含むフレキシブルコネクタと; - 電極を有する前記表面用の第一ガードとして使用される、前記透明域内の透明材料製第一導電表面と; を含む前記デバイスであって、 前記フレキシブルコネクタの前記第1及び第2の部分の前記フレキシブルリンクが、前記導電性接続トラック、前記フレキシブルリンク及び前記フレキシブルコネクタ用の前記第一ガード及び第二ガードとして使用される第二導電表面と前記第一導電表面との間に少なくとも部分的にサンドイッチ状に配置されること、並びに、 前記デバイスがさらに、前記導電性接続トラックと電極を有する前記電極表面とをリンクするための導電材料製のリンクトラックを有すること、 を特徴とし、 或るリンクトラックが、前記透明検出域にある少なくとも1つの電極に接する場合に、このリンクトラックが透明材料製であるものとし、そして、電極を有する前記表面の少なくとも2つの電極の間に置かれるものとする、前記デバイス。」 本願発明2-16は、本願発明1を直接又は間接的に引用し、本願発明1を減縮した発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 a)「【0028】 次に、本発明によるタッチパネル1の基本的な構成を図1(a)と図1(b)を用いて説明する。図1(a)はタッチパネル1の模式的な上面図、図1(b)は部分XX’の模式的な縦断面図である。 【0029】 タッチパネル1の基板の表面3には、導電体が近づいたことを検出するための複数の検出電極5と、検出電極5に電気的に接続し、検出信号を外部回路に伝達するための配線電極7が形成される。さらに、検出電極5と配線電極7を含む領域の外側、すなわち、基板の外周には、外部から侵入するノイズを遮蔽するために第1遮蔽電極8が形成される。複数の検出電極5は基板2の中央部に形成され、検出領域4を構成する。複数の検出電極5に接続する配線電極7は、検出領域4の外側に集約して形成され、配線領域6を構成する。第1遮蔽電極8は、この検出領域4と配線領域6を含む領域の外側に、検出領域4と配線領域6を囲うように形成される。この構成により、基板2の端部から侵入するノイズは、配線電極7や検出電極5に到達する前に第1遮蔽電極8により遮蔽される。 【0030】 ここで、配線電極7は、基板2の右辺端部に集約されて端子部TAを構成する。第1遮蔽電極8は、この端子部TAの近傍まで形成される。図示しないが、端子部TAにフレキシブル基板が接続され、各配線電極7は外部回路と接続される。第1遮蔽電極8は図示しないGNDに接続される。GNDへは、フレキシブル基板を介して接続される。或いは、タッチパネル1を収納する金属ケース等に接触させて、GNDに接続される。 【0031】 基板2として、ガラス基板やプラスチック基板を使用してもよい。検出電極5として、ITO(インジウム・スズ酸化物)、スズ酸化物、亜鉛酸化物、導電性ポリマー等を堆積した透明導電膜を使用してもよい。配線電極7として、透明導電膜や金属膜を使用してもよい。検出方式は、検出電極5をX-Yマトリックス状に配列した座標検出型であり、白抜きの検出電極5aが行方向(X方向)に接続され、灰色の検出電極5bが列方向(Y方向)に接続される。なお、検出方法はX-Yマトリックス状の座標検出型に限定されず、検出領域4の必要な箇所に検出電極5を形成した固定パターン方式(ボタンスイッチ型)であってもよい。配線電極7として、透明導電膜や金属膜から構成することができる。第1遮蔽電極8は、基板2の表面3にスパッタリング法や蒸着法により金属膜を堆積し、パターニングして形成されてもよい。また、第1遮蔽電極8として、粘着材や接着材を裏面に設け、表面に金属膜を設けた導電性シールを検出領域4及び配線領域6の外側、すなわち、基板の外周に貼り付けてもよい。」 b)「【実施例1】 【0033】 図2(a)と図2(b)は、本実施例に係るタッチパネル1の模式的な上面図である。図2(a)は、信号処理IC31が実装された第1フレキシブル基板30を接着したタッチパネル1を表す。図2(b)は、第1フレキシブル基板30の上面にも第1遮蔽電極8’を生成したタッチパネル1を表す。 【0034】 図2(a)に示すように、タッチパネル1の基板2の表面には、検出領域4を構成する複数の検出電極5と、配線領域6を構成する複数の配線電極7と、検出領域4及び配線領域6を含む領域を囲むように第1遮蔽電極8が形成される。これらの構成は、図1(a)に示したタッチパネル1と同様である。更に、端子部TAには第1フレキシブル基板30の一端が接続される。第1フレキシブル基板30の上に信号処理IC31が実装され、第1フレキシブル基板30の他端に第2フレキシブル基板32が接続される。第2フレキシブル基板32は図示しない制御部に接続される。 【0035】 複数の検出電極5はX-Yのマトリックス状に形成される。X方向に一列に形成された白抜きの検出電極5aは互いに電気的に接続されて、右辺の配線電極7に接続される。Y方向に一列に形成された灰色の検出電極5bは互いに電気的に接続されて、下辺又は上辺の配線電極7に接続される。第1遮蔽電極8は基板2の外周に形成される。ここで、外周とは、検出領域4及び配線領域6を含む領域の外側であれば、基板2の全外周である必要はない。即ち、第1遮蔽電極8は、基板2の上辺、左辺、下辺及び右辺の第1フレキシブル基板30の端部まで形成される。第1フレキシブル基板30の下面には接続用の複数の電極が形成され、端子部TAの配線電極7に接続される。第1遮蔽電極8は、その右辺端部において第1フレキシブル基板30の図示しないGND端子に接続される。従って、検出領域4と配線領域6を含む領域は、第1フレキシブル基板30が接続される領域を除いて周囲が第1遮蔽電極8により取り囲まれる。この構成により、基板2の端部から侵入するノイズや静電気を第1遮蔽電極8により遮蔽することができる。 【0036】 複数の検出電極5は、基板2上にITOをスパッタリング法又は蒸着法により堆積し、これをフォトリソグラフィー工程とエンチング工程によりパターニングして形成される。配線電極7及び第1遮蔽電極8は、金属膜をスパッタリング法又は蒸着法により堆積し、これをフォトリソグラフィー工程とエッチング工程によりパターニングして形成される。検出領域4は光を透過するので、タッチパネル1の下部に表示装置を設置すれば、この表示装置に表示された画像がタッチパネル1の上から視認される。 【0037】 次に、位置検出について簡単に説明する。検出領域4の特定位置に導電体19が近づくと、その導電体19が近づいた行の検出電極5と列の検出電極5の容量が変化する。この容量変化の信号が配線電極7を介して信号処理IC31に入力される。信号処理IC31は、容量が変化した行及び列を特定し、導電体19が接近した位置を特定する。なお、検出領域4に複数の導電体19を同時に近づけた場合でも、この複数の導電体19の位置を特定することができる。 【0038】 図2(b)は、本実施例の別の形態を示し、第1フレキシブル基板30の端子部TAの上部には、第1遮蔽電極8’が形成される。図示しないが、検出領域4には検出電極が、配線領域6には配線電極が、図2(a)と同様に形成されている。この第1遮蔽電極8’は、第1フレキシブル基板30に設けた図示しない貫通孔を介することにより、又はGNDに接続することにより、第1遮蔽電極8に電気的に接続される。これにより、基板2の全外周が第1遮蔽電極8、8’によって囲まれる。その結果、外部からの電磁ノイズに対して、遮蔽効果をより向上させることができる。」 c)「【実施例2】 【0043】 本実施例に係るタッチパネル1を図5(a)と図5(b)に基づいて説明する。図5(b)は、タッチパネル1の模式的な上面図であり、図5(a)は、図5(b)の部分YY’の模式的な縦断面図である。 【0044】 図5(a)に示すように、基板の表面3には、複数の検出電極5が形成されており、検出領域4が設けられる。検出領域4の外側には、配線電極7が形成されており、配線領域6が設けられる。更に、基板の表面3の外周、すなわち、検出領域4及び配線領域6を含む領域の外側には、第1遮蔽電極8が形成される。検出領域4、配線領域6及び第1遮蔽電極8の上には第1絶縁層9が形成される。更に、第1絶縁層9の上面には、配線領域6及び第1遮蔽電極8を覆うように、第2遮蔽電極10が形成される。この第2遮蔽電極10は、第1絶縁層9に形成された第1貫通孔11を介して第1遮蔽電極8に電気的に接続されており、更に、図示しないGNDに接続される。 【0045】 第2遮蔽電極10は、金属膜をスパッタリング法や蒸着法により堆積して形成してもよい。この場合に、検出領域4をマスキングして金属膜を堆積すれば、パターニング工程を省くことができる。また、第2遮蔽電極10は、表面に金属膜が付着し裏面に粘着材又は接着材が塗布された導電性テープを貼り付けて構成してもよい。 【0046】 図5(b)に示すように、第2遮蔽電極10は、検出領域4の全周囲を囲むように形成される。また、配線領域6は、基板表面に形成された第1遮蔽電極8、及び、第1遮蔽電極8の上面に形成された第2遮蔽電極10からも囲まれる。このような構成により、横方向からと上方向から侵入する電磁ノイズから配線電極7を保護して位置検出の誤認識をより効果的に防止することができる。 【0047】 図6は本実施例の別の実施形態を示す断面図である。図6に示すタッチパネルでは、第2遮蔽電極10’と第1絶縁層9の間に粘着材29が設けられる。その他の構成は図4に示したタッチパネルの構成と同様なので説明を省く。なお、ここでは第2遮蔽電極10’として、金属膜の裏面側に粘着材が形成された導電性テープを使用している。第2遮蔽電極10’は粘着材29により第1絶縁層9に接着され、第1絶縁層9に設けられた第1貫通孔11を介して第1遮蔽電極8に電気的に接続される。 【実施例3】 【0048】 図7は、本実施例に係るタッチパネル1の模式的な縦断面図である。基板2の表面に、検出電極5、配線電極7、第1遮蔽電極8、第1絶縁層9、及び、第2遮蔽電極10がそれぞれ形成される構成は、図5(b)に示す実施例2と同様なので、説明を省略する。 【0049】 基板2の裏面14には、第3遮蔽電極15がその全面に亘って形成される。第3遮蔽電極15の下面には第2絶縁層17が形成される。更に、第2絶縁層17の下面には、第1遮蔽電極8及び配線領域6に対応する領域を覆うように、第4遮蔽電極16が形成される。この第4遮蔽電極16は、第2絶縁層17に形成された第2貫通孔18を介して第3遮蔽電極15と電気的に接続される。第3遮蔽電極15として、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛等をスパッタリング法や蒸着法により堆積した透明導電膜とすることができる。また、導電性高分子ポリマーを塗布して形成してもよい。第2絶縁層17は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜をスパッタリング法やCVD法により形成してもよい。また、絶縁材料のスパッタリング法や蒸着法に代えて、絶縁体からなる透明プラスチックフィルムを貼り付けてもよい。第4遮蔽電極16として、金属膜をスパッタリング法や蒸着法により形成してもよい。また、金属膜の堆積に代えて、金属膜が形成された導電性シートを貼り付けてもよい。 【0050】 第3遮蔽電極15を裏面14全面に形成することにより、裏面14側から侵入する電磁ノイズや静電気を遮蔽することができる。特に、裏面14側に表示装置を設置した場合には、表示装置の表示面から電磁ノイズが放射される。第3遮蔽電極15は、この裏面14側からのノイズを遮蔽するのに有効である。第2絶縁層17は、基板2の裏面14及び第3遮蔽電極15の表面保護膜として機能する。第4遮蔽電極16は、基板2の裏面14端部から侵入する電磁ノイズや静電気を遮蔽することができる。 【0051】 なお、本実施例では、基板の上面側に第2遮蔽電極が設けられた構成を用いて説明したが、これに限らず、実施例1に示した構成のタッチパネルを用いて、基板の裏面に上述の電極や絶縁層を設けてもよい。」 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、実施例3にタッチパネルとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「タッチパネル1の基板の表面3には、導電体が近づいたことを検出するための複数の検出電極5と、検出電極5に電気的に接続し、検出信号を外部回路に伝達するための配線電極7が形成され、 配線電極7は、基板2の右辺端部に集約されて端子部TAを構成し、 基板2として、ガラス基板やプラスチック基板を使用し、 検出電極5として、ITO(インジウム・スズ酸化物)等を堆積した透明導電膜を使用し、 配線電極7として、透明導電膜や金属膜を使用し、 基板の表面3には、複数の検出電極5が形成されており、検出領域4が設けられ、 検出領域4の外側には、配線電極7が形成されており、配線領域6が設けられ、 基板の表面3の外周、すなわち、検出領域4及び配線領域6を含む領域の外側には、第1遮蔽電極8が形成され、 検出領域4、配線領域6及び第1遮蔽電極8の上には第1絶縁層9が形成され、 第1絶縁層9の上面には、配線領域6及び第1遮蔽電極8を覆うように、第2遮蔽電極10が形成され、この第2遮蔽電極10は、第1遮蔽電極8に電気的に接続されており、更に、GNDに接続され、 第2遮蔽電極10は、検出領域4の全周囲を囲むように形成され、配線領域6は、基板表面に形成された第1遮蔽電極8、及び、第1遮蔽電極8の上面に形成された第2遮蔽電極10からも囲まれ、横方向からと上方向から侵入する電磁ノイズから配線電極7を保護して位置検出の誤認識をより効果的に防止することができ、 基板2の裏面14には、第3遮蔽電極15がその全面に亘って形成され、 第3遮蔽電極15の下面には第2絶縁層17が形成され、 更に、第2絶縁層17の下面には、第1遮蔽電極8及び配線領域6に対応する領域を覆うように、第4遮蔽電極16が形成され、 この第4遮蔽電極16は、第2絶縁層17に形成された第2貫通孔18を介して第3遮蔽電極15と電気的に接続され、 第3遮蔽電極15として、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛等をスパッタリング法や蒸着法により堆積した透明導電膜とすることができ、 第4遮蔽電極16として、金属膜をスパッタリング法や蒸着法により形成し、 第3遮蔽電極15を裏面14全面に形成することにより、裏面14側から侵入する電磁ノイズや静電気を遮蔽することができる タッチパネル1。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア.引用発明の「検出領域4」は、本願発明1の「透明検出域」に、引用発明の「配線領域6」は、本願発明1の「アクセス域」にそれぞれ相当し、引用発明の「タッチパネル1」は、本願発明1の「透明検出域とアクセス域とを有するヒューマン-マシンインターフェースデバイス」に相当する。 イ.引用発明は、「基板の表面3には、複数の検出電極5が形成されており、検出領域4が設けられ」、「検出電極5として、ITO(インジウム・スズ酸化物)等を堆積した透明導電膜を使用」されるものであるから、引用発明の「表面3」は、本願発明1の「前記透明検出域内に導電性透明材料製の電極を有する表面」に相当する。 ウ.引用発明は、「検出電極5に電気的に接続し、検出信号を外部回路に伝達するための配線電極7が形成され」、「検出領域4の外側には、配線電極7が形成されており、配線領域6が設けられ」るものであるから、引用発明の「配線電極7」は、本願発明1の「前記アクセス域内に配置され、そして、電極を有する前記表面へ接続する導電性接続トラック」に相当する。 エ.引用発明は、「基板2の裏面14には、第3遮蔽電極15がその全面に亘って形成され」、「第3遮蔽電極15として、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛等をスパッタリング法や蒸着法により堆積した透明導電膜とすることができ」、「第3遮蔽電極15を裏面14全面に形成することにより、裏面14側から侵入する電磁ノイズや静電気を遮蔽する」ものであるから、引用発明の「第3遮蔽電極15」は、本願発明1の「電極を有する前記表面用の第一ガードとして使用される、前記透明域内の透明材料製第一導電表面」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点と相違点とがあるといえる。 〈一致点〉 「透明検出域とアクセス域とを有するヒューマン-マシンインターフェースデバイスであって: - 前記透明検出域内に導電性透明材料製の電極を有する表面と; - 前記アクセス域内に配置され、そして、電極を有する前記表面へ接続する導電性接続トラックと; - 電極を有する前記表面用の第一ガードとして使用される、前記透明域内の透明材料製第一導電表面と; を含む前記デバイス。」 である点。 〈相違点1〉 本願発明1は、「前記接続トラックと接続されるフレキシブルリンクを有し、前記アクセス域に接続された第1の部分と、前記アクセス域から延びる第2の部分とを含むフレキシブルコネクタ」を含み、「前記フレキシブルコネクタの前記第1及び第2の部分の前記フレキシブルリンクが、前記導電性接続トラック、前記フレキシブルリンク及び前記フレキシブルコネクタ用の前記第一ガード及び第二ガードとして使用される第二導電表面と前記第一導電表面との間に少なくとも部分的にサンドイッチ状に配置される」ものであるのに対し、引用発明は、フレキシブルコネクタを含むものと特定されていない点。 〈相違点2〉 本願発明1は、「前記デバイスがさらに、前記導電性接続トラックと電極を有する前記電極表面とをリンクするための導電材料製のリンクトラックを有」し、「或るリンクトラックが、前記透明検出域にある少なくとも1つの電極に接する場合に、このリンクトラックが透明材料製であるものとし、そして、電極を有する前記表面の少なくとも2つの電極の間に置かれるもの」であるのに対し、引用発明は、配線電極7と検出電極5とをリンクする構成が特定されていない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1について検討すると、上記摘記事項b)に実施例1として記載されるように、引用文献1には、「端子部TAに第1フレキシブル基板30の一端部が接続され、第1フレキシブル基板30の上に信号処理IC31が実装され、第1フレキシブル基板30の他端に第2フレキシブル基板32が接続され、第1フレキシブル基板30の下面には接続用の複数の電極が形成され、端子部TAの配線電極7に接続され、第1フレキシブル基板30の端子部TAの上部には、第1遮蔽電極8’を形成し、第1遮蔽電極8’は、GNDに接続することにより、第1遮蔽電極8に電気的に接続され、基板2の全外周が第1遮蔽電極8、8’によって囲まれ、その結果、外部からの電磁ノイズに対して、遮蔽効果をより向上させる」技術(以下、「引用文献1記載の技術」という。)も記載されており、引用発明に引用文献1記載の技術を適用し、基板2の右辺端部に集約されて端子部TAが形成され、第3遮蔽電極15を基板2の裏面14全面に形成したタッチパネル1において、前記端子部TAに第1フレキシブル基板30の一端部が接続され、第1フレキシブル基板30の他端に第2フレキシブル基板32が接続され、第1フレキシブル基板30の下面には接続用の複数の電極が形成され、端子部TAの配線電極7に接続され、第1フレキシブル基板30の端子部TAの上部には、第1遮蔽電極8’を形成したタッチパネルとすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。 ここで、引用文献1記載の技術は、「第1フレキシブル基板30の下面には接続用の複数の電極が形成され、端子部TAの配線電極7に接続され、第1フレキシブル基板30の上に信号処理IC31が実装され、第1フレキシブル基板30の他端に第2フレキシブル基板32が接続され」るものであるから、引用文献1記載の技術の「第1フレキシブル基板30の端子部TAの上部」は、本願発明1の「フレキシブルコネクタ」の「前記接続トラックと接続されるフレキシブルリンクを有し、前記アクセス域に接続された第1の部分」に相当し、また、引用文献1記載の技術の「第1フレキシブル基板30の上に信号処理IC31が実装され」る部分及び「第1フレキシブル基板30の他端に第2フレキシブル基板32が接続され」る部分は、本願発明1の「前記アクセス域から延びる第2の部分」に相当するといえ、引用発明に引用文献1記載の技術を適用し得られたタッチパネルは、本願発明1の「前記接続トラックと接続されるフレキシブルリンクを有し、前記アクセス域に接続された第1の部分と、前記アクセス域から延びる第2の部分とを含むフレキシブルコネクタ」の相当する構成を有する。 また、引用発明に引用文献1記載の技術を適用し得られたタッチパネルは、「第1フレキシブル基板30の端子部TAの上部には、第1遮蔽電極8’を形成」し、「第3遮蔽電極15を基板2の裏面14全面に形成」したものであるから、本願発明1の「前記フレキシブルコネクタの前記第1及び第2の部分の前記フレキシブルリンクが、前記導電性接続トラック、前記フレキシブルリンク及び前記フレキシブルコネクタ用の前記第一ガード及び第二ガードとして使用される第二導電表面と前記第一導電表面との間に少なくとも部分的にサンドイッチ状に配置される」ことと、「前記フレキシブルコネクタの前記第1の部分の前記フレキシブルリンクが、前記導電性接続トラック、前記フレキシブルリンク及び前記フレキシブルコネクタ用の前記第一ガード及び第二ガードとして使用される第二導電表面と前記第一導電表面との間に少なくとも部分的にサンドイッチ状に配置される」点では共通する。 しかしながら、引用発明に引用文献1記載の技術を適用し得られたタッチパネルは、「第1フレキシブル基板30の上に信号処理IC31が実装され」る部分及び「第1フレキシブル基板30の他端に第2フレキシブル基板32が接続され」る部分に「第1遮蔽電極8’」を形成したものではなく、また、「第3遮蔽電極15」は、「基板2」の「裏面14」全面に形成され、「第1フレキシブル基板30の上に信号処理IC31が実装され」る部分及び「第1フレキシブル基板30の他端に第2フレキシブル基板32が接続され」る部分の下部にはないから、本願発明1の「前記フレキシブルコネクタの前記第2の部分の前記フレキシブルリンクが、前記導電性接続トラック、前記フレキシブルリンク及び前記フレキシブルコネクタ用の前記第一ガード及び第二ガードとして使用される第二導電表面と前記第一導電表面との間に少なくとも部分的にサンドイッチ状に配置される」構成を有するものではない。 また、遮蔽効果を考慮して、「第1フレキシブル基板30」上に形成された「第1遮蔽電極8’」を、「第1フレキシブル基板30の上に信号処理IC31が実装され」る部分や「第1フレキシブル基板30の他端に第2フレキシブル基板32が接続され」る部分にも設けることも想定し得るが、「第1遮蔽電極8’」をそれらの部分に設けたものにおいても、「基板2」の「裏面14」全面に形成された「第3遮蔽電極15」は、「第1フレキシブル基板30の上に信号処理IC31が実装され」る部分及び「第1フレキシブル基板30の他端に第2フレキシブル基板32が接続され」る部分の下部にはないから、本願発明1の「前記フレキシブルコネクタの前記第2の部分の前記フレキシブルリンクが、前記導電性接続トラック、前記フレキシブルリンク及び前記フレキシブルコネクタ用の前記第一ガード及び第二ガードとして使用される第二導電表面と前記第一導電表面との間に少なくとも部分的にサンドイッチ状に配置される」構成を有するものではない。 そして、「前記フレキシブルコネクタの前記第2の部分の前記フレキシブルリンクが、前記導電性接続トラック、前記フレキシブルリンク及び前記フレキシブルコネクタ用の前記第一ガード及び第二ガードとして使用される第二導電表面と前記第一導電表面との間に少なくとも部分的にサンドイッチ状に配置される」構成は、引用文献2-7のいずれにも記載も示唆もされておらず 、また、本願の優先日前周知のこととは認められない。 したがって、本願発明1は、相違点2を検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明、引用文献1-7に記載された技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-16について 本願発明2-16は、本願発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1-7に記載された技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 原査定について 本願発明1-16は、「前記フレキシブルコネクタの前記第1及び第2の部分の前記フレキシブルリンクが、前記導電性接続トラック、前記フレキシブルリンク及び前記フレキシブルコネクタ用の前記第一ガード及び第二ガードとして使用される第二導電表面と前記第一導電表面との間に少なくとも部分的にサンドイッチ状に配置される」との構成を有するものであり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-7に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-11-19 |
出願番号 | 特願2015-507470(P2015-507470) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
WY
(G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 岩橋 龍太郎 |
特許庁審判長 |
千葉 輝久 |
特許庁審判官 |
山田 正文 稲葉 和生 |
発明の名称 | リンクトラックの配置を有する容量検出用デバイス、並びに前記デバイスの実装方法 |
代理人 | 那須 威夫 |
代理人 | 須田 洋之 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 岩崎 吉信 |
代理人 | 近藤 直樹 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 上杉 浩 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 弟子丸 健 |