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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A23K
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A23K
管理番号 1350022
審判番号 不服2018-6780  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-18 
確定日 2019-04-02 
事件の表示 特願2014- 16139「魚類用飼料」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月 3日出願公開、特開2015-139445、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯
本願は、平成26年1月30日の出願であり、原審では、平成29年8月22日付け(平成29年8月29日発送)で拒絶理由が通知がされ、平成29年10月27日付けで手続補正がされ、平成30年2月13日付け(平成30年2月20日発送)で拒絶査定(原査定)がされた。
本件はこれに対し、原査定の謄本送達から3月以内の平成30年5月18日に、拒絶査定不服審判の請求がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成30年2月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明及び引用文献2?3に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献:
1.特開平10-229830号公報
2.特開2000-184856号公報
3.特開2007-151549号公報


第3 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年10月27日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であって、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
マメ科植物又はその抽出物及びシソ科植物又はその抽出物を有効成分とする飼料添加物を飼料全質量に対して0.1?10質量%含有する魚類用飼料であって、前記マメ科植物がルイボスであり、前記シソ科植物がバジルであることを特徴とする魚類用飼料。」


第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
(1)記載事項
原査定に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、本審決で付した。以下同様。)。


「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、養殖魚用の飼料に関するものであり、更に詳しくは、養殖された食用の魚、特に赤身魚から得られる肉が短期間で劣化することを防止して、鮮度劣化による旨味、風味の早期喪失、臭いの発生を抑制しうるようにした養殖魚用飼料及び養殖方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マグロ、カツオ、ブリなどの赤身魚は、マダイやヒラメのような白身魚と異なり、全筋肉中に血合い肉(血液色素や脂肪を多量に含むもの)の占める割合が高い。血合い肉は、普通肉(白身魚の白身肉)に較べ短期間の劣化によりまずくなりやすい。カツオの場合、通常、血合い肉は、氷蔵1日目で旨味が低下し、ついでコクも消失し、更に、時間の経過とともに風味の低下も著しい。また、普通肉では、氷蔵1週間でも臭さを感じないが、赤身魚の血合い肉では、2日目で強い臭気が認められ、1週間では脂焼け(脂の劣化臭)の強いものとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑み、食用の養殖魚、特に赤身魚の血合い肉の短期間の劣化による鮮度低下による旨味、風味の低下、悪臭の発生を抑制することが可能な方法を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上のような問題点を解決するため鋭意研究を重ねた結果、養殖する食用魚に給与する飼料に香辛料を添加することで、上記の問題を根本的に解決しうることを見出し、本発明を完成させた。
【0005】古来より香辛料は、食品の香り付けと同時にその機能性が様々な分野で利用されてきた。香辛料の各種の機能性の中で、抗菌性とともに抗酸化性については多くの研究結果が報告されている。この作用は、香辛料の精油中に含まれる活性成分、主として、ポリフェノール類が有効な働きをする。先に、本発明者らは、家畜、家禽の飼料に香辛料を添加し、その脂肪分や鶏卵中に香辛料の有効成分が移行し、脂肪が酸化され難いことを確認した(特開平7-31382号公報、特開平7-79709号公報)。本発明者らは、さらに研究を重ねた結果、魚類においても、養殖に際して飼料に香辛料を添加することにおいて、魚肉の鮮度保持効果を有することを確認し、また、ミオグロビンの抗酸化作用も有することが確認でき、本発明を完成したのである。
【0006】すなわち本発明は、シソ科、ナス科、ゴマ科、キク科、コショウ科、ニクズク科、クスノキ科、モクレン科、アブラナ科、マメ科、ミカン科、フトモモ科、セリ科、及びショウガ科からなる群から選択される少なくとも1種の香辛料を添加したことを特徴とする養殖魚用飼料(請求項1)、ハッカ、セーボリー、バジル、マジョラム、オレガノ、セージ、タイム、ローズマリー、レッドペッパー、チリペッパー、パプリカ、ゴマ、タラゴン、コショウ、ナットメグ、メース、ベイリーフ、スターアニス、マスタード、フェヌグリーク、サンショウ、クローブ、オールスパイス、ディル、セロリ、キャラウェイ、コリアンダー、クミン、フェンネル、パセリ、アニス、ガーリック、オニオン、カルダモン、ジンジャー及びターメリックからなる群から選択される少なくとも1種の香辛料を添加したことを特徴とする養殖魚用飼料(請求項2)、シナモン、ナットメグ、ジンジャー、ローズマリー、セージ、タイム、オレガノ、フェンネル及びオールスパイスからなる群から選択される少なくとも1種の香辛料を添加してなることを特徴とする養殖魚用飼料(請求項3)、香辛料が粉末状である請求項1?3のいずれかに記載の養殖魚用飼料(請求項4)、請求項1?4のいずれかに記載の飼料を給与して養殖することを特徴とする食用魚の養殖方法(請求項5)、請求項1?4のいずれかに記載の飼料を供与して養殖することで、養殖魚から得られる肉を改質する方法(請求項6)、養殖魚が赤身魚である請求項5に記載の養殖方法(請求項7)、養殖魚が赤身魚である請求項6に記載の魚肉の改質方法(請求項8)、である。」


「【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる香辛料について説明する。本発明でいう香辛料とは、広義の香辛料であり、地中海沿岸を中心に産出し、芳香を第一とするハーブ類と、熱帯及び亜熱帯に産出し、香気と辛味の強いスパイス類との両者を含むものである。これらの香辛料のもつ本来の機能として知られているものは、香気と辛味の刺激による食用増進効果、これらの香辛料に含まれる成分の化学作用や香りによる魚や肉の不快臭に対する矯臭(マスキング)や芳香による臭い付け、更には、香辛料に特有の色素による着色等が主なものである。また、香辛料の中には前記のような香気や辛味以外に、防腐作用、生理薬理作用等の効果を有するものもある。本発明は、香辛料の有する鮮度保持効果に着目し、これを食用魚を養殖するための飼料に用いることで、この飼料を給与して養殖した食用魚から得られる肉の鮮度保持力を増大せしめ、その味、風味、臭いなどを改善するものである。
【0009】本発明に用いられる香辛料は、シソ科、ナス科、ゴマ科、キク科、コショウ科、ニクズク科、クスノキ科、モクレン科、アブラナ科、マメ科、ミカン科、フトモモ科、セリ科、及びショウガ科の中から選択される。
【0010】具体的な香辛料としては、ハッカ、セーボリー、バジル、マジョラム、オレガノ、セージ、タイム、ローズマリー、レッドペッパー、チリペッパー、パプリカ、ゴマ、タラゴン、コショウ、ナットメグ、メース、ベイリーフ、スターアニス、マスタード、フェヌグリーク、サンショウ、クローブ、オールスパイス、ディル、セロリ、キャラウェイ、コリアンダー、クミン、フェンネル、パセリ、アニス、ガーリック、オニオン、カルダモン、ジンジャー及びターメリックが挙げられる。
【0011】さらに、前記各種香辛料の中でも、特に、シナモン、ナットメグ、ジンジャー、ローズマリー、セージ、タイム、オレガノ、フェンネル及びオールスパイスが本発明において好ましいものである。
【0012】本発明では、上記のような各種の香辛料の中から選択される1種の香辛料を単独で、又は2種の香辛料以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】そして、前記のような香辛料を給与して食用魚を養殖することで、この養殖魚から得られる肉を改質することができ、鮮度の低下を防止し、味、風味の低下、臭いなどを改善することができる。このように食用の養殖魚に香辛料を与えて飼育するに際しては、これらの香辛料をそのまま養殖魚に与えてもよいが、魚が香辛料を摂取し易くするために、本発明では、香辛料を飼料に添加して供与する。飼料に添加する際の香辛料の形態としては、粉体状のものを添加することが好ましい。
【0014】本発明を適用しうる食用の養殖魚の種類に特に制限はないが、特に、マグロ、カツオ、ブリ、ハマチなどの赤身魚の場合に本発明の効果が顕著である。
【0015】また、香辛料を配合する際のベースとなる飼料には特に限定はなく、各種養殖魚の種類に応じた一般的な配合の飼料でよい。例えば、添加される上記のような香辛料の他に、この飼料には、魚粉、小麦粉、馬鈴薯澱粉、酵母、ミネラル、ビタミン類、アミノ酸などを含むことができる。又、飼料への香辛料の添加量は、飼料中に香辛料を0.1?1.0重量%程度添加すると効果があり、経済性を考慮すれば、0.1?0.3重量%が好ましい。飼料中の香辛料の添加量がこの範囲より少ない場合には、効果が得られない。また、前記の範囲を超えて香辛料を添加しても、効果が飽和し、先の添加量以上の効果は期待できない。尚、本発明では上記のように香辛料を与える以外の養殖条件については特に制限はなく、通常通りでよい。」


「【0016】
【実施例】比較例の飼料として、魚粉を7.0kg、馬鈴薯澱粉を0.5kg、酵母、ビタミン類、ミネラル類を1.0kg、小麦粉1.5kgを混合し、湿式造粒後、乾燥し、養殖魚用飼料10.0kgを得た。また、上記比較例の飼料配合中に、香辛料を数種組み合わせて小麦粉の一部と置き換えて混合し、湿式造粒後、乾燥して実施例1?3の養殖魚用飼料を得た。上記の各種養殖魚用飼料の配合を表1に示した。なお、これらの実施例で使用した香辛料(1)?(3)は、表1の欄外に示した各3種類の粉体状香辛料を、配合比率(重量比)が1:1:1となるように混合したものである。」


段落【0017】の【表1】中には、飼料10kg中に「香辛料(1)」、「香辛料(2)」または「香辛料(3)」のいずれかを0.2kg配合した、3つの実施例が記載されている。
また、同段落【0017】の【表1】の欄外には、
「香辛料(1)」は「シナモン、ナットメグ、ジンジャー」が「1:1:1」であること、香辛料(2)」は「ローズマリー、セージ、タイム」が「1:1:1」であること、「香辛料(3)」は「オレガノ、フェンネル、オールスパイス」が「1:1:1」であること、が記載されている。

(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)より、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「シソ科、ナス科、ゴマ科、キク科、コショウ科、ニクズク科、クスノキ科、モクレン科、アブラナ科、マメ科、ミカン科、フトモモ科、セリ科、及びショウガ科からなる群から選択される1種又は2種以上の香辛料を0.1?1.0重量%程度添加した、
又は、
ハッカ、セーボリー、バジル、マジョラム、オレガノ、セージ、タイム、ローズマリー、レッドペッパー、チリペッパー、パプリカ、ゴマ、タラゴン、コショウ、ナットメグ、メース、ベイリーフ、スターアニス、マスタード、フェヌグリーク、サンショウ、クローブ、オールスパイス、ディル、セロリ、キャラウェイ、コリアンダー、クミン、フェンネル、パセリ、アニス、ガーリック、オニオン、カルダモン、ジンジャー及びターメリックからなる群から選択される1種又は2種以上の香辛料を0.1?1.0重量%程度添加した、
又は、
シナモン、ナットメグ及びジンジャーの3種の香辛料、又は、ローズマリー、セージ及びタイムの3種の香辛料、あるいは、オレガノ、フェンネル及びオールスパイスの3種の香辛料を、飼料10kg中に0.2kg配合した、
養殖魚用飼料。」

2 引用文献2
原査定に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に廃棄物として処理されている植物搾汁滓を原料とする飼料の製造法に関するものである。
【0002】本発明によって製造される飼料は蛋白質含有量が高いので魚介類の栽培、養殖、畜養に好適であり、また、畜産業や養鶏業などにおける動物の飼料としても有用である。」


「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、より有用な飼料を提供することを技術的課題として、予備的な研究中に得られた各種微生物醗酵物を用いて魚介類用や動物用の飼料を製造し、単独飼料又は配合飼料としての価値を評価するための試験・研究を行ってきた。
【0007】そして、本発明者等は前記試験・研究において、飼料としての価値は、高蛋白質とその周辺関連物の成分組成に起因するものであり、代表的なモデルとしてはかつを節(可食部100g 当たり:エネルギー356Kcal, 水分15.2g,蛋白質77.1g,脂質2.9g,糖質0.8g,灰分4.0g )が挙げられ、飼料の製造に当たっての理想的な数値の一つの目標となることを知った。
【0008】そこで、本発明者等は前記知見を基礎として、さらなる研究を推進した結果、植物搾汁滓を原料として蛋白質含有量が高い醗酵蛋白飼料を効率よく製造できるという刮目すべき技術的手段を完成し、前記技術的課題を達成したのである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は次の通りの本発明によって達成できる。
【0010】即ち、本発明は、植物搾汁滓の粉末に電子線を照射して反応活性の向上と滅菌とを行った後、当該植物搾汁滓の粉末に菌糸型真菌を加えて水分の存在下において該菌糸型真菌を繁殖させると共に酵母型真菌及びその培地成分を加えて醗酵させることを特徴とする飼料の製造法である。」


「【0016】本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0017】先ず、本発明において原料とする植物搾汁滓の主なものは、柑橘類果汁残滓、果実果汁しぼり粕、コーヒー豆抽出滓、各種茶類(緑茶,ウーロン茶,紅茶,ほうじ茶,杜仲茶,柿葉茶,ギムネマ茶,甘草茶,麦茶,玄米茶,ハトムギ茶,ヨモギ茶,プーアル茶,バナバ茶,ハーブ茶,甜凉茶,クコ茶,ドクダミ茶,ハス茶,ルイボス茶,天台烏薬茶等)からの抽出滓や野菜ジュース滓などであり、これらは、一般に棄却するか、焼却するか、効果の期待できない肥料や飼料増量材にするか等のごとく極めて利用価値の少ないものである。
【0018】なお、植物搾汁滓の成分は、セルロース(主成分β-D-グルカン)、ヘミセルロース(主成分キシラン)、ペクチン(主成分ガラクツロナン)、タンニン(苦味成分)及び若干量の糖分(グルコース,フラクトース,スクロース,マンニット等)である。
【0019】現在、工業的に最も多量に得られている果汁は柑橘類果汁であって全果汁の60%を占めており、その製造に際しては莫大な量の柑橘類搾汁残滓が副生している。柑橘類搾汁滓の年間発生量は米国約55万トン、ブラジル約50万トン、中国約30万トン、日本約8万トンと推定されている。柑橘類搾汁残滓を石灰で中和後圧縮して固体と液体に分離し、前者を乾燥すれば乾燥搾汁滓となり、後者を減圧濃縮すると回収リモネンと着色したシトラス・モラセス粘液(冷却により固化する)となる。この乾燥搾汁滓にシトラス・モラセスをふりかけて混合パルプ成型品となしたものは現在家畜飼料用として出荷されてはいるが、ほとんど栄養的価値はなく単に飼料の増量材にしか過ぎないとみられている。」


「【0024】高分子材料に電子線を照射すると主鎖分断と架橋反応が同時に起こり、また、電子線酸化反応による高分子劣化等も併起する。どの反応が優先するかは、化学構造と照射効果又は雰囲気などの条件によって決まる。高分子材料がリグニン質の多い針葉樹材料の場合には強い電子線照射等を行った後、糖化酵素を用いて分解を行わせることによって糖化される。
【0025】植物搾汁滓に電子線を照射する場合には、原料を予め細かく粉砕しておくことが照射効率を上げるために望ましく、これは乾燥搾汁滓であっても湿潤搾汁滓であっても、また水中に分散した状態の搾汁滓であっても必要なことである。
【0026】本発明に適する植物搾汁滓の粒度は20メッシュ以上であり、特に好ましくは実用的見地からして20?200メッシュである。
【0027】そして、本発明者等は、粒度を20?200メッシュにすれば電子線照射により植物搾汁滓の粉末の化学的及び生化学的な反応活性が著しく向上することを確かめており、また、同時に滅菌も行われることを確かめている。」


「【0043】実施例1:バレンシア・オレンジ(チトルス・シネンシス)の果実を洗浄し、これを圧搾機を用いて搾汁すれば、液汁(果汁に若干のd-リモネンを含む混合物)と搾汁滓とが大体半々ずつ得られる。この搾汁滓には水分が約80%,d-リモネンが0.7?1.2%程度含まれている。このものには炭水化物が14?18%,粗繊維が2.2?2.5%,粗脂質が約0.2%,粗蛋白が約1.0%,総窒素分が約1.0%,灰分が約0.8%含まれており、pHは3.7である。この搾汁滓に0.6%の石灰乳を加えて中和混練した後、30分間放置すると離水が起こってくるので、これを再度圧搾すると初めの原料果実の約25%程度の液体が得られる。なお、この液体を減圧濃縮すると糖分が約40%のシトラス・モラセスが得られる。
【0044】前記の再度圧搾を行った柑橘粕(パルプ)を120℃で乾燥した後、これを機械的に微粉砕し、タイラー篩の150?160メッシュを通過する粉粒体を集めてポリエチレン袋に入れ、粉粒体を厚さ1mm程度に拡げた状態にて、前記電子線照射装置に入れて電子線照射をする。電子線は750kV,30Mrad,(300kGy)を室温(15?30℃)で数秒間、連続照射する。
【0045】次いで、この電子線照射物500g に、菌糸型真菌としてトリコデルマ・ビリデ12g 及び培地液(ミネラル分,リン酸塩,マグネシウム塩,ビタミン剤を含んだpH6.0の硫酸アンモニウム溶液)100g を加えて混練機に入れ充分混練した後、ノズルより加圧して押出して30℃で7日間保った後、再度、混練機に入れ、酵母型真菌としてサツカロマイセス・セルビシエ5g 及び培地液(酵母エキス,ペプトン.リン酸カリウム,硫酸マグネシウム,硫酸アンモニウム等を含んだpH7.0の溶液)150g を加えて充分混練した後、成型ノズルより加圧して粒状に押出し空気中でゆっくりと攪拌しながら50時間(25?30℃)醗酵させると全体が餅状物になる。この餅状物を水洗、粗砕、乾燥すると粗蛋白質42?44%,脂質0.5%,炭水化物30.5%,灰分2?3%の醗酵蛋白飼料400gが得られた。このものは養魚用の配合飼料の原料になった。」


3 引用文献3
原査定に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
近年、不健康な食事やライフスタイルの変化により、生体に有害な物質にさらされる機会が増加している。例えば、合成甘味剤や色素などの食品添加物、塩素のような消毒剤、保存料、除草剤などの農薬、煙草の煙などの影響に曝されやすい。また、現代社会は、排ガス、フロンガス、酸性雨などの環境汚染物質、歯の充填剤に含まれている水銀や、鉛、アルミニウム、ヒ素のように人体に有害な金属類などに汚染される可能性も少なくはない生活環境になっている。特に、前述の有害な金属類はふだんの生活の中で知らず知らずのうちに蓄積し、他の要因とあいまって、不定愁訴をもたらし、さらにそれが生活習慣病の大きな要因にもなってくる。
【0003】
そこで、最近では体内に蓄積した毒素を取り除く様々な方法が提案されており、一般に「デトックス(解毒)」と呼ばれている。この「デトックス」を行えば、健康状態や免疫力が向上し、精力や気力が充実し、美容面でも皮膚の透明感が増し、便通も規則的になり、肝臓や腎臓などの臓器が効率よく機能するようになると言われている。
【0004】
上記「デトックス」の方法には、1?2日間断食を行うものから、長期間かけて食生活を改善するものまで数多く紹介されており、特に多忙な毎日を送っている現代人には、自宅で週末などを利用して行うセルフ断食に人気がある。そこで、この短期間の断食方法として、次のような方法が紹介されている。(非特許文献1 p.23参照)
(1)水だけを飲む(毎日少なくとも2Lのミネラルウォーターか湧き水、蒸留水を飲む)。
(2)ジュースだけを飲む(リンゴ、ニンジン等)。
(3)プロバイオティクス(生きたまま腸に届く乳酸菌入り)ヨーグルトとジュースをとる。
(4)リンゴやブドウのようにひとつの食物だけを食べ、それから水を飲む。個人の好みでジュースを飲んでもいい。
【0005】
しかし、実際にこれらの方法で断食を実施する場合、次のような問題がある。(1)の方法では、すぐには排出できないほどの大量の毒素が一度に血液中に流れ込み、「中毒性のデトックス」を引き起こす場合があり、この「中毒性のデトックス」に至ると、体調を崩し、炎症や肌の吹き出物、筋肉や関節の痛みなどの症状が起きることがある。(非特許文献1
p.24参照)
【0006】
一方、(2)?(4)の方法では、無農薬や有機栽培の食材(野菜、果実)を推奨しており、個人でこのような食材を調達し、調理するには大変な手間暇がかかる。また、断食中に摂取すべき必要カロリーや塩分、ミネラル、各種ビタミン量の管理が困難であり、摂取が不十分な場合には、めまい、動悸、頭痛、不眠、吐き気、便秘などの副作用を伴うこともある。
【0007】
【非特許文献1】「デトックス・プラン?誰にでもできる。心と体の浄化・解毒の総合プログラム」、産調出版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決しようとするもので、体内浄化用キット及び体内浄化方法を開発するにあたり、以下の3点の課題解決を目指した。
【0009】
すなわち第1の課題は、1ヶ月から3ヶ月の長期間や週末などの1?2日間の短期間で、優れたデトックス(解毒)作用があること。第2の課題は、デトックスが引き起こす肉体面や精神面に及ぼすリスクが低く、安全性が高いこと。第3の課題は、実施者が簡単な準備で、無理なく実施できることである。」


「【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明による体内浄化用キット及び体内浄化方法の一例を以下に詳述する。
【0022】
まず[ア群]は、生薬を含む体内浄化用食品であって、該生薬として、漢方医学でいう帰経が5つのカテゴリー、すなわち(A)肝及び胆、(B)心、心包、小腸及び三焦、(C)脾及び胃、(D)肺及び大腸、(E)腎及び膀胱の(A)?(E)全てのカテゴリーに対して有効となるように1種又は2種以上の生薬であることが、体内浄化効果の点で好適である。
【0023】
(A)の帰経が肝及び胆である生薬としては、特に限定されるものではなく、霊芝、杜仲、桂皮、ウイキョウ、当帰、熟地黄、何首烏、白芍薬、枸杞子、サンザシ、五味子、山茱萸、烏梅、覆盆子、連翹、菊花、タンポポ、オウゴン、黄連、牡丹皮、川キュウ、ウコン、延胡索、桃仁、紅花、丹参、鶏血藤、香附、秦ギョウ、酸棗仁、マイカイカ、柏子仁、ピルベアリングスパージ、ミルラ、ショウブ、ヤエムグラ、アロエ、マリーゴールド、アマラキ、フェンネル、芍薬、旱蓮草、ローズマリー、イラクサ、薄荷、セイヨウメギ、柴胡、アメリカヒトツバタゴ、セイヨウアザミ、マリアアザミ(オオアザミ、ミルクシスル)、セイヨウタンポポ、クマツヅラ、大黄、エゾウコギ、シベリア人参、五加皮、レモンバーム、ヨモギ、金櫻子、ホップ、トケイソウ、グクル、女貞子、カッコウチョロギ、ソバ、セイヨウノコギリソウ、ヤロー、益母草、ホーソン、マロニエ、メリロート、ラベンダー、ナツシロギク、フィーバーフュー、セロリ、デビルズクロー、ウィッチヘーゼル、パセリ、シツリシ、オドリコソウ、ハゴロモグサ、チェストツリー、ヘロニアス、ホーステイル、スギナ、仙鶴草、ローマンカモミール、リンデン、フジバカマ、クワ、夏枯草、トウモロコシ、アーティチョーク、ブドウ葉、サフラン、マテ茶、ローヤルゼリー、タマネギ、荷葉、ハイビスカス、荊芥、田七ニンジン、シザンドラ、アキノキリンソウ、ゴールデンロッド、リンゴ、モモ、松の実、胡麻、決明子及びドクダミなどが挙げられる。
【0024】
(B)の帰経が心、心包、小腸及び三焦である生薬としては、特に限定されるものではなく、朝鮮人参、霊芝、甘草、桂皮、桂枝、当帰、熟地黄、麦門冬、西洋参、百合、赤小豆、貝母、五味子、蓮子、連翹、オウゴン、黄連、牡丹皮、川キュウ、ウコン、紅花、丹参、酸棗仁、遠志、柏子仁、竜眼肉、ミルラ、ショウブ、マリーゴールド、ハコベ、ローズマリー、ハス、サンダルウッド、柴胡、セイヨウアザミ、マリアアザミ(オオアザミ・ミルクシスル)、ブルースカルキャップ、カノコソウ、レモンバーム、ホップ、トケイソウ、益母草、メリロート、ラベンダー、アルニカ、セイヨウシロヤナギ、バラ、クスノキ、ブラックコホッシュ、オキナグサ、ローマンカモミール、アーティチョーク、サフラン、マテ茶、荷葉、クマザサ、リンゴ、モモ及びほうれん草などが挙げられる。
【0025】
(C)の帰経が脾及び胃である生薬としては、特に限定されるものではなく、朝鮮人参、白朮、黄耆、山薬、霊芝、大棗、甘草、党参、益智仁、桂皮、ウイキョウ、生姜、胡椒、丁香、烏薬、ニクズク、当帰、白芍薬、火麻仁、麦門冬、陳皮、サンザシ、麦芽、神麹、ヨクイニン、茯苓、砂仁、カッコウ、蒼朮、赤小豆、白芥子、ケルプ、烏梅、蓮子、金銀花、タンポポ、オウゴン、黄連、延胡索、鶏血藤、香附、秦ギョウ、マイカイカ、竜眼肉、ヤナギハッカ、オオグルマ、タイム、ミルラ、セージ、ショウブ、ビロウドモウズイカ、アロエ、アマラキ、アイブライト、フェンネル、ゴボウ、インドセンダン、マツヨイグサ、芍薬、ハコベ、ローズマリー、イラクサ、ウスベニタチアオイ、ハス、サンダルウッド、セイヨウメギ、セイヨウタンポポ、クマツヅラ、大黄、カルダモン、アカニレ、ニガヨモギ、コケモモ、カノコソウ、ツボクサ、ゴツコラ、オート麦、ヨモギ、金櫻子、ニンニク、トウガラシ、ソバ、セイヨウノコギリソウ、ヤロー、高良姜、ホーソン、ナツシロギク、フィーバーフュー、コンフリー、デビルズクロー、補骨脂、スモールクランベリー、ノコギリパルメット、ハゴロモグサ、チェストツリー、ヘロニアス、シモツケソウ、仙鶴草、ローマンカモミール、フジバカマ、ティーツリー、アルファルファ、ワイルドヤム、スリッパリーエルム、クズ、葛花、ツルニチニチソウ、マテ茶、ローヤルゼリー、荷葉、カイエンヌ、シソ、葱白、田七ニンジン、ほうれん草、ザクロ果実及び黒豆などが挙げられる。
【0026】
(D)の帰経が肺及び大腸である生薬としては、特に限定されるものではなく、朝鮮人参、黄耆、山薬、霊芝、甘草、党参、桂枝、生姜、胡椒、胡桃仁、ニクズク、火麻仁、麦門冬、西洋参、百合、陳皮、ヨクイニン、茯苓、カッコウ、貝母、杏仁、白芥子、桔梗、五味子、烏梅、金銀花、連翹、菊花、蒼耳子、オウゴン、黄連、黄柏、ウコン、桃仁、遠志、柏子仁、ヤナギハッカ、オオグルマ、タイム、エキナセア、麻黄、ピルベアリングスパージ、セージ、訶子、ビロウドモウズイカ、エルダー、アロエ、アイブライト、ゴボウ、インドセンダン、マツヨイグサ、ハコベ、ローズマリー、ウスベニタチアオイ、薄荷、サンダルウッド、オオバコ、サイリウム、大黄、アカニレ、ニガヨモギ、コケモモ、カノコソウ、天門冬、アシュワガンダー、オトギリソウ、レモンバーム、ヨモギ、金櫻子、トケイソウ、バジル、グクル、イチョウ、カッコウチョロギ、ニンニク、トウガラシ、ラベンダー、コンフリー、カーリードック、ブラックコホッシュ、レッドクローバー(赤クローバー)、ホーステイル、スギナ、ブルーコホッシュ、オキナグサ、仙鶴草、ローマンカモミール、リンデン、フジバカマ、ティーツリー、ハナビシソウ、ユーカリノキ、クワ、イヌハッカ、夏枯草、ワイルドヤム、スリッパリーエルム、マテ茶、ハイビスカス、カイエンヌ、シソ、クマザサ、荊芥、葱白、リンゴ、ほうれん草、ザクロ果実、ザクロ皮、松の実及びドクダミなどが挙げられる。
【0027】
(E)の帰経が腎及び膀胱である生薬としては、特に限定されるものではなく、山薬、霊芝、杜仲、益智仁、桂皮、桂枝、ウイキョウ、フェヌグリーク、丁香、烏薬、胡桃仁、熟地黄、何首烏、枸杞子、西洋参、茯苓、砂仁、沢瀉、ケルプ、五味子、山茱萸、蓮子、覆盆子、黄柏、牡丹皮、独活、遠志、柏子仁、麻黄、セージ、ビロウドモウズイカ、アマラキ、フェンネル、旱蓮草、イラクサ、ウスベニタチアオイ、ハス、セイヨウメギ、柴胡、アメリカヒトツバタゴ、クマツヅラ、カルダモン、アカニレ、ブルースカルキャップ、天門冬、ツボクサ、ゴツコラ、アシュワガンダー、オート麦、エゾウコギ、シベリア人参、五加皮、オトギリソウ、ヨモギ、金櫻子、ホップ、バジル、イチョウ、女貞子、益母草、ナツシロギク、フィーバーフュー、セロリ、カーリードック、セイヨウシロヤナギ、バラ、補骨脂、パセリ、スモールクランベリー、オドリコソウ、ノコギリパルメット、ダミアナ、ハゴロモグサ、ヘロニアス、ブラックコホッシュ、レッドクローバー(赤クローバー)、ホーステイル、スギナ、シモツケソウ、ブルーコホッシュ、オキナグサ、サンシキスミレ、ユーカリノキ、イヌハッカ、トウモロコシ、ワイルドヤム、ブッコノキ、スリッパリーエルム、ブドウ葉、ツルニチニチソウ、マテ茶、ザクロ皮、胡麻、黒豆及び決明子などが挙げられる。
【0028】
本発明に用いる生薬の剤形は、例えば、植物体の各部位[全草、地上部、花、果実、花皮、葉、枝、幹、茎、樹皮、根茎、根皮、塊茎、根、種子、菌核、子実体、菌糸体、めかぶ(胞子葉又は成実葉)等]をそのまま用いることができる。また、これらをそのまま、或は、生薬を抽出溶媒により抽出した生薬抽出液や精油であってもよい。
【0029】
上記生薬抽出液や精油を得るには、例えば、生薬の刻みや粉末を、単独或は2種以上混合し、生薬の合計質量に対して5?25倍量、好ましくは8?20倍量の溶媒を加えて抽出すればよい。
上記抽出溶媒としては、水、エタノール等のアルコール類、アセトン、エチルエーテル、酢酸エチルエステル、ヘキサン等の有機溶媒の1種以上を任意に組合せて使用することができる。
【0030】
得られた生薬抽出液は、特に限定されるものではなく、生薬抽出液をそのまま用いることもできるが、必要に応じて、濃縮液、粉末、ペースト状、ゲル状に加工しても良い。例えば、生薬抽出液を濃縮し、生薬抽出濃縮液が得られる。さらに、通常の乾燥方法、例えばスプレードライ、減圧濃縮乾燥、凍結乾燥等により乾燥して粉末、ペースト状、ゲル状にすることができる。また、抽出液は、必要に応じて、ろ過、イオン交換樹脂処理、活性炭処理など、一般的に適用される通常の手段を任意に選択して、吸着・脱色・脱臭などの処理を加えて精製してもよい。」


第5 対比・判断
1 引用発明1との対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1における「シソ科、ナス科、ゴマ科、キク科、コショウ科、ニクズク科、クスノキ科、モクレン科、アブラナ科、マメ科、ミカン科、フトモモ科、セリ科、及びショウガ科からなる群から選択される1種又は2種以上の香辛料」、「ハッカ、セーボリー、バジル、マジョラム、オレガノ、セージ、タイム、ローズマリー、レッドペッパー、チリペッパー、パプリカ、ゴマ、タラゴン、コショウ、ナットメグ、メース、ベイリーフ、スターアニス、マスタード、フェヌグリーク、サンショウ、クローブ、オールスパイス、ディル、セロリ、キャラウェイ、コリアンダー、クミン、フェンネル、パセリ、アニス、ガーリック、オニオン、カルダモン、ジンジャー及びターメリックからなる群から選択される1種又は2種以上の香辛料」、「シナモン、ナットメグ及びジンジャーの3種の香辛料」、「ローズマリー、セージ及びタイムの3種の香辛料」、及び「オレガノ、フェンネル及びオールスパイスの3種の香辛料」は、いずれも植物を香辛料としての有効な成分材料として「養殖魚用飼料」に「添加」しているから、本願発明における「マメ科植物又はその抽出物及びシソ科植物又はその抽出物を有効成分とする飼料添加物」とは、「植物を有効成分とする飼料添加物」という点で共通する。
引用発明1における香辛料の添加量である、「0.1?1.0重量%程度」あるいは「飼料10kg中に0.2kg」は、いずれも本願発明における「飼料全質量に対して0.1?10質量%含有する」に相当する。
引用発明1における「養殖魚用飼料」は、本願発明における「魚類用飼料」に相当する。

以上より、本願発明と引用発明1とは、次の点で一致する。
「植物を有効成分とする飼料添加物を飼料全質量に対して0.1?10質量%含有する魚類用飼料。」

一方、本願発明と引用発明1とは、以下の点で相違する。
(相違点)
飼料添加物について、
本願発明では、「ルイボス」又はその抽出物、及び、「バジル」又はその抽出物、という特定の2つの植物の組合せを用いるのに対し、
引用発明1では、使用する植物の選択肢の中に「バジル」、「シソ科」の植物、「マメ科」の植物が含まれるものの、「バジル」と「ルイボス」という2つの植物の組合せを添加するものではなく、植物を添加する目的も「香辛料」としてである点。

2 相違点についての判断
上記相違点について検討する。
(1)引用文献1に基く検討
引用文献1において、植物を飼料に添加する目的は、上記第4の1(1)アに摘記した段落【0001】及び同イに摘記した段落【0008】に記載されるとおり、「香辛料」として食用魚の肉の「鮮度保持力」を増大し「味、風味、臭いなどを改善」することである。
そして、引用発明1においては、香辛料として使用し得る多数の植物が選択肢として存在する一方、「ルイボス」の選択肢は存在しない。また引用文献1のその他の記載を考慮しても、ルイボスをバジルと組み合わせれば食用魚の肉の鮮度保持力の点で有利であること、又はルイボスをバジルと組み合わせれば他の何らかの面で付加的な利点があること、あるいはルイボス単独で他の香辛料植物より有利な点があることを示唆するような記載はない。
そのため、引用発明1において、使用する植物の選択肢の1つとして「バジル」が存在するものの、バジルと組み合わせて使用する植物材料として、さらにルイボスを選択して追加することは、引用文献1中に示唆されているということができない。

(2)引用文献2に基く検討
ここで、引用文献2には、上記第4の2に摘記したとおり、魚介類用飼料に用いる植物搾汁滓の一例として、ルイボス茶が示されている。しかしながら、引用文献2における植物搾汁滓は、それ自体は極めて利用価値の少ない材料であるが(段落【0017】参照)、電子線照射により反応活性を高めたうえで菌糸型真菌と酵母型真菌とを加えて発酵させる場合には、発酵蛋白飼料の有利な材料とすることができる(段落【0010】、【0027】及び【0045】参照)という、特定の条件下では有用な材料という位置づけである。そして、引用文献2における植物搾汁滓の例示の中で、「ルイボス茶」が当該特定の条件下において、あるいは当該特定の条件を離れた何らかの点で、他の植物搾汁滓より有利であること等は、記載も示唆もされていない。

そのため、引用文献2中に「ルイボス茶」の記載が存在するからといって、引用発明1において「バジル」と組み合わせて使用する植物として、「ルイボス」を選択して追加することが、引用文献2に示唆されているということはできない。
また、引用文献2に「ルイボス茶」が記載されることから、「ルイボス」自体が「茶」等として利用される植物として周知であるとしても、「ルイボス」自体が周知であることをもって、引用発明1における「バジル」と組み合わせる植物として、引用文献1中に記載のない「ルイボス」を追加することが、当業者に示唆されていたということもできない。

(3)引用文献3に基く検討
引用文献3には、上記第4の3に摘記したとおりの記載があり、食品添加物、消毒剤、保存料、農薬、煙草の煙、環境汚染物質、金属類など、各種の有害物質を体内から取り除くのに有用と思われる多数の生薬名があげられ、その中には「バジル」や、ルイボスと同様にマメ科の植物である「黒豆」等の植物名も含まれている。
しかしながら、引用文献3の記載の全体を考慮しても、「ルイボス」が「バジル」と組み合わせれば何らかの有利な効果を生じること、あるいは、「ルイボス」自体が何らかの点で他の生薬あるいは植物に比して特に優れていることを示唆するような記載はない。
そのため、引用文献3の記載の全体を考慮しても、引用発明1において、バジルと組み合わせて使用する植物として、ルイボスを選択して追加することが示唆されているということはできない。

(4)小括
以上のとおり、上記相違点に係る本願発明の構成は、引用発明1を出発点として、引用文献2-3の記載及びそこに示される周知技術を考慮しても、本願出願前に当業者が容易に想到することができたとはいえない。
したがって、本願発明は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2-3に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。


第6 原査定について
本願発明は、前記第5で検討したとおり、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1-3に基いて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-03-19 
出願番号 特願2014-16139(P2014-16139)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A23K)
P 1 8・ 537- WY (A23K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川野 汐音竹中 靖典  
特許庁審判長 前川 慎喜
特許庁審判官 富士 春奈
有家 秀郎
発明の名称 魚類用飼料  

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