ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G06Q 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G06Q 審判 全部申し立て 2項進歩性 G06Q |
---|---|
管理番号 | 1350671 |
異議申立番号 | 異議2019-700013 |
総通号数 | 233 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-05-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-01-11 |
確定日 | 2019-03-28 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6357521号発明「ポイント管理システムおよびポイント管理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6357521号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第6357521号の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成28年12月6日に特許出願され、平成30年6月22日にその特許権の設定登録がされ、平成30年7月11日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、特許異議申立人 滝沢純平により特許異議の申立てがされたものである。 2.本件発明 特許第6357521号の請求項1?7の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(以下、それぞれ、本件発明1などという。) 【請求項1】 会員の情報端末と通信ネットワークを介して接続可能であるとともに、前記会員に付与されたポイントを管理するポイント管理システムであって、 前記会員に付与されたポイントを、交換対象品目と交換可能な利用可能ポイントとして貯める利用可能ポイント管理部と、 前記会員からの指示操作により前記利用可能ポイントのうちから運用を申し込まれた運用ポイントに対し、バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイントを演算するとともに、前記運用結果ポイントの表示を行う処理を実行するバーチャル運用管理部と、 を備え、 前記バーチャル運用管理部は、 前記会員の指示操作に応じて、前記運用ポイントの申し込みの受け付けを実行可能であるとともに、前記運用結果ポイントから前記利用可能ポイントとしての取り出しを実行可能な運用ポイント管理部と、 前記バーチャル運用管理部の外部の現実の運用結果を参照した運用結果参照情報が入力される運用情報入出力部と、 前記運用結果参照情報に基づいて、前記会員ごとに、運用ポイント数に対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイント数を算出する運用結果ポイント算出部と、 前記会員ごとの前記運用結果ポイントの表示を行う運用結果表示処理部と、 を備えることを特徴とするポイント管理システム。 【請求項2】 請求項1に記載のポイント管理システムにおいて、 前記現実の運用結果参照情報は、投資運用業者が設定する投資信託の基準価額であり、 前記運用結果ポイント数は前記基準価額に連動することを特徴とするポイント管理システム。 【請求項3】 請求項2に記載のポイント管理システムにおいて、 前記運用ポイント管理部は、全会員の前記運用ポイント数を合計したポイント数に基づいて前記投資運用業者が運用する投資資金を設定し、 前記運用情報入出力部は、前記投資資金の運用を前記投資運用業者に出力することを特徴とするポイント管理システム。 【請求項4】 請求項1?請求項3のいずれか1項に記載のポイント管理システムにおいて、 前記運用ポイント管理部では、前記運用ポイントに対する運用方針が異なる複数種類の運用コースが設定されているとともに、前記会員による各運用コースの選択を可能とするコース選択操作部を備え、 前記運用情報入出力部には、各運用コースの運用方針に対応してそれぞれ現実の運用方針が異なる複数の前記現実の運用結果参照情報が入力され、 前記運用結果ポイント算出部では、各運用コースに応じた各運用結果参照情報に基づいて、それぞれ、独立して前記運用結果ポイント数が算出され、 前記運用結果表示処理部では、前記会員が選択した運用コースの前記運用結果ポイント数の表示が実行されることを特徴とするポイント管理システム。 【請求項5】 請求項4に記載のポイント管理システムにおいて、 前記運用ポイント管理部は、前記運用ポイントの申し込み時に前記情報端末に表示される申込画面に、前記会員が保持する前記利用可能ポイントを表示するとともに、前記複数の運用コースごとに前記運用ポイントの申し込みを行う運用ポイント設定部を表示することを特徴とするポイント管理システム。 【請求項6】 請求項1?5のいずれか1項に記載のポイント管理システムにおいて、 前記運用ポイント管理部は、前記運用結果ポイントを前記情報端末に表示する運用結果表示画面に、前記運用ポイントと、前記運用結果ポイントと、前記運用ポイントと前記運用結果ポイントとの差である増減ポイントとを並列表示することを特徴とするポイント管理システム。 【請求項7】 会員の情報端末と通信ネットワークを介して接続可能であるとともに、投資運用業者から現実の運用結果を参照した運用結果参照情報を入力可能なポイント管理システムにより会員に付与されたポイントを管理するポイント管理方法であって、 前記会員に付与されたポイントを利用可能ポイントとして貯めるステップと、 前記会員からの指示操作により前記利用可能ポイントのうちから運用を申し込まれた運用ポイントのバーチャルのポイント運用を受け付けるステップと、 前記現実の運用結果参照情報の入力を行うステップと、 前記現実の運用結果参照情報に基づいて、前記運用ポイントに対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果としての運用結果ポイントを算出するステップと、 前記運用結果ポイントの表示を行うステップと、 を備えることを特徴とするポイント管理方法。 3.申立理由の概要 特許異議申立人 滝沢純平は、概略以下のとおりの主張をしている。 (3-1)特許法第29条第1項第3号の規定に違反している旨の主張について 証拠として 1)特開2002-169963号公報(以下「甲1」という。) を提出し、請求項1、7に係る特許は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、請求項1、7に係る特許を取り消すべきものである旨の主張。 (3-2)特許法第29条第2項の規定に違反している旨の主張について 証拠として、甲1に加えて 2)特開2015-088088号公報(以下「甲2」という。) 3)佐藤紘一“Kabutter”,[online],2013年11月7日,[平成30年12月28日検索],<URL:https://www.slideshare.net./kabukontse/kabutter>(以下「甲3」という。) 4)特開2008-183315号公報(以下「甲4」という。) 5)国際公開第2006/068057号(再公表特許:以下「甲5」という。) を提出し、請求項1?7に係る特許は、 (A)甲1を主たる引例として、甲3ないし甲5に記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものである、 (B)甲2を主たる引例として、甲3ないし甲5に記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものである、 から特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、請求項1?7に係る特許を取り消すべきものである旨の主張。 (3-3)特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない旨の主張について 請求項1、請求項7の「バーチャルのポイント運用」について、特許請求の範囲に記載された特定事項では、発明の詳細な説明に記載された課題を解決するための手段が反映されていないから、発明の詳細な説明に記載された事項を越えた事項も含むものとなっており、この点で発明の詳細な説明に記載された発明ということはできない。したがって、請求項1及びこれを引用する請求項2?請求項6に係る発明、並びに、本件発明1のカテゴリを方法の発明とした請求項7に係る発明は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていないから、請求項1?7に係る特許を取り消すべきものである旨の主張。 (3-4)特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない旨の主張について 請求項1、請求項7の「バーチャルのポイント運用」に関し、 「バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイントを演算する」、「運用ポイント数に対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイント数を算出する」、(請求項1) 「前記運用ポイントに対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果としての運用結果ポイントを算出する」、(請求項7) の記載では、バーチャルのポイント運用をどのように行っているか明確ではなく、どのような技術を特定しているか不明である。したがって、請求項1及びこれを引用する請求項2?請求項6に係る発明、並びに、本件発明1のカテゴリを方法の発明とした請求項7に係る発明は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていないから、請求項1?7に係る特許を取り消すべきものである旨の主張。 4.各甲号証の記載 (1)甲1には、以下のとおりの記載がある。 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、商品やサービスの提供に対するポイントを用いたシステムに関する。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来のポイントサービスのシステムでは、利用者は商品を購入したりサービスを利用することで、購入金額や利用金額に応じた数量のポイントを獲得し、そのポイントを蓄積することで、蓄積ポイントの数量に応じた商品やサービスと交換する。一方、企業等のポイントを提供するポイント提供者としては、ポイントを付加した分だけ実質的に商品またはサービスの値引きを行うことになるが、利用者がポイントを蓄積することによって、継続した商品やサービスの購入が期待でき、また、利用者の個人情報などを入手して以降のアフターサービスやダイレクトメールなどに利用することができるといった利点がある。 【0005】従来のポイントシステムは、蓄積したポイントの利用は商品やサービスとの交換であり、ポイントシステムの利用拡大には自ずと限りがあり、利用者及びポイント提供者にとってより魅力のあるシステムとすることで、このポイントシステムの利用性を拡大することが望まれている。そこで、本発明は、利用者及びポイント提供者にとってよりメリットのあるポイントシステムとし、このポイントシステムの利用性を拡大することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明のポイントシステムは、利用者が蓄積するポイントを、株式、債権、投資信託や、株式を購入する権利等の金融商品と交換する。これによって、利用者にとってはポイントで株式等の取得を可能とし、また、ポイント提供者にとっては株主の増加による資金の調達や株式の買い付けが容易となるといったポイントシステムの新たな利用性を拡大する。本発明のポイントシステムは、構成上において複数の態様をとることができる。 【0012】次に、本発明の第3の態様は、ポイントシステムを提供者側で構成する態様であり、商取引で発生したポイントを処理するシステムであって、各利用者のポイントを管理するポイント管理手段と、金融商品を管理する金融商品管理手段とを備えた構成とする。この第3の態様において、ポイント管理手段と金融商品管理手段は共に提供者側に備える構成とし、ポイント管理手段は、金融商品管理手段と同一の管理手段内に構成することも、あるいは金融商品管理手段と独立して構成することもできる。ポイント管理手段と金融商品管理手段との間において、ポイントと金融商品の交換を行い、該交換に基づいて、ポイント管理手段はポイントの数量を管理し、金融商品管理手段は金融商品の口数を管理する。第3の態様によれば、ポイント管理手段と金融商品管理手段によって、利用者が蓄積するポイントを金融商品と交換することができる。 【0013】第2の態様及び第3の態様において、ポイントと金融商品との間の交換において、利用者が蓄積するポイントの数量の増減と金融商品の口数の増減を平衡させる。また、ポイントと金融商品との間の交換の方向性は、双方向あるいは一方向とすることができる。この交換の方向性において、ポイントから金融商品への一方向のみを許容する構成とすることによって、金融商品の履歴の明確化を担保することができる。また、上記第1?第3の態様において、提供者側は、ポイントを提供する者とすることも、利用者が蓄積するポイントのみを管理する者とすることも、金融商品を提供する者とすることも、あるいはこれらの各者に組み合わせとすることもできる。また、各者は、任意の経営形態とすることができ、ポイントや金融商品を管理するコンピュータ等の制御手段やデータを格納する記憶装置等で構成することができる。 【0014】第1?第3の態様において、ポイントシステムは、金融商品との交換に加えて商品又はサービスと交換することができ、利用者は商品又はサービスとの交換と金融商品との交換の何れか一方を選択することができる。また、第1?第3の態様において、本発明のポイントシステムは、株式、債権、投資信託や、株式を購入する権利等の各種の金融商品について適用することができ、第2の態様の交換比率は株式、債権、投資信託とポイントとを等価とするように、口数とポイントの数量との間で定める比率とする。この交換比率は、交換手段において予め定めておくことも、あるいは各時点におけるポイント及び金融商品の価値に応じて定めることもできる。 【0020】はじめに、本発明のポイントシステムの第1,2の態様について説明する。図1は本発明のポイントシステムの概略を説明する図であり、図2,3は本発明のポイントシステムによるポイント処理のフローチャート及び動作状態図であり、図4はデータベースの一例である。図1において、ポイントシステム1は、利用者側Aが提供者Bとの間で行う商取引や利用者Aが行う遊技,抽選によって発生するポイントを、株式等の金融商品に交換したり、あるいはサービスポイントとして商品やサービスと交換する、ポイントを用いたシステムである。 【0021】利用者側Aにはポイント発生手段2を備える。ポイント発生手段2は、店舗2aやゲーム施設等の遊技・抽選手段2b等を備え、商品やサービスの提供と共に、これら商取引や遊技結果、通線結果に応じたポイントを発生する。例えば、店舗2aは、POS(ポイントオブセール)端末2a1を利用したポイントサービスシステムを備えており、利用者が精算を済ませた時点でPOS端末2a1に接続するカードリーダ2a2に利用者が保持する会員カード2a3を読み取らせることによって、サービスポイントを中央処理部で集計するシステムであり、商品の購入時やサービスに応じたポイントを発生する。 【0023】ポイント発生手段2で発生したポイントを株式ポイント管理手段3で管理するか、あるいはサービスポイント管理手段4で管理するかは任意に選択することができる。また、発生したポイントの内から株式ポイント管理手段3あるいはサービスポイント管理手段4で管理するポイントの数量は、利用者側A(ポイント発生手段2側)で選択、設定することができる。株式ポイント管理手段3は、ポイント発生手段2で発生して送られたポイントを株式ポイントに交換する交換手段3aと、交換した株式ポイントを利用者毎に記録する株式ポイントデータベース3bと、利用者に関わる種々の情報を記録する顧客情報データベース3cを備える。交換手段3aは、予め設定あるいは所定時期に株株価やポイントの価値に応じて定められる交換比率に基づいて、ポイント数と株式の口数との間で両者の価値が等価となるよう交換を行う。 【0031】次に、本発明のポイントシステムの第3の態様について説明する。図5は本発明のポイントシステムの他の概略を説明する図であり、図6は本発明のポイントシステムによるポイント処理の動作状態図であり、図7?図9はデータベースの一例である。図5において、ポイントシステム1は図1に示した構成例と同様に、利用者側Aに店舗2a、及び遊技,抽選施設2b等のポイント発生手段2を備え、提供者側Bに株式ポイント管理手段3、サービスポイント管理手段4を備えると共に、さらにポイント管理手段5を備える。ポイント管理手段5は、ポイント発生手段2で発生したポイントを特典ポイントとして管理し、選択によって株式ポイント管理手段3あるいはサービスポイント管理手段4にポイントを渡し、各ポイント管理手段3,4において特典ポイントを株式ポイント又はサービスポイントに交換して管理する。 【0033】ポイント管理手段5は、ポイント発生手段2で発生したポイントを利用者毎に記録する特典ポイントデータベース5bと、利用者に関わる種々の情報を記録する会員情報データベース5cを備える。ポイント発生手段2で発生したポイントは、一たん特典ポイントデータベース5bに記録した後、株式ポイント管理手段3に送られて株式ポイントに交換されて株式ポイントデータベース3bに格納されるか、あるいは、サービスポイント管理手段4に送られてサービスポイントとしてサービスポイントデータベース4bに格納される。なお、ポイント管理手段3及びサービスポイント管理手段4は、図1と同様の構成とすることができる。 【0034】また、ポイント発生手段2は、図1と同様の構成の店舗2a及び遊技・抽選施設の他、携帯電話2cによって構成することができる。携帯電話2cは、例えば、店舗2aのカードリーダ2a3に代えて、発生したポイント及び利用者の識別コード等のID情報をポイント管理手段5に送信する。携帯電話2cと店舗2aとの間の送受信は、例えばBlueToothの商標名で知られる通信技術を用いた近距離無線手段2a4によって行うことができる。 【0035】以下、図6の動作状態図を用いて、本発明のポイントシステムの第3の態様の動作例を説明する。なお、以下の( )で示す番号は図6中に示した番号と対応している。利用者側Aのポイント発生手段2は、商品やサービスの購入、あるいは遊技や抽選によってポイントを発生する。店舗2aにおいては、POS端末2a1によって購入金額に対応するポイント数を発生させ(1)、カードリーダ2a2によって会員カード2a3を読み取って利用者の識別コード等のID情報を得て、ポイント管理手段5に送信する。あるいは、近距離無線手段2a4から携帯電話2cを介してポイント数及びID情報をポイント管理手段5に送信する(2)。 【0036】ポイント管理手段5は、ポイント発生手段2から送られた利用者のID情報とポイント数を受信し、会員情報データベース5cに記憶された顧客情報に基づいて送られたID情報を確認し(3)、利用者が登録されている場合には、特典ポイントデータベース5bを更新する。このとき、会員情報に変更がある場合には、会員情報データベース5cを更新する(4)。なお、利用者が登録されていない場合には、会員情報データベース5cに新規登録を行い、特典ポイントデータベース5bに特典ポイントを記録する。ポイント管理手段5は、受信の確認、更新した特典ポイント数をポイント発生手段2a(2b)、あるいは携帯電話2cに送信する(5)。ポイント発生手段2a(2b)あるいは携帯電話2cは、ポイント管理手段5から送信された受信確認、及び更新した特典ポイント数を表示することで確認することができる(6)。 【0037】利用者は、ポイント管理手段5の特典ポイントを記録した後、株式ポイントへの交換あるいはサービスポイントへの転送、及び交換あるいは転送するポイント数を選択する。このポイント数は、特典ポイントデータベース5bに記録される全ポイント数とすることも、全ポイント数内の任意のポイント数とすることもできる。この選択は、携帯電話2cから行うことができる。株式ポイントを選択した場合には(7)、ポイント管理手段5は、利用者からの指示に基づいて転送先として株式ポイント管理手段3を選択し(8)、ポイント数と利用者のID情報を株式ポイント管理手段3に送信する(9)。 【0038】株式ポイント管理手段3は、ポイント管理手段5から送られた利用者のID情報とポイント数を受信し(10)、顧客情報データベース3cに記憶された顧客情報に基づいて送られたID情報を確認し、利用者が登録されている場合には、交換手段3aによって送られたポイントを交換比率に基づいて対応する口数の株式ポイントに交換する。この交換比率は、予め定めておくことも、あるいは交換時点において株式状況等に応じて定めることができる(11)。株式ポイントに交換した後、株式ポイントデータベース3bを更新する。また、このとき、顧客情報に変更がある場合には、顧客情報データベース3cを更新する(12)。 【0050】次に、本発明のポイントシステムの他の構成例について、図13?図15、及び図16?図18を用いて説明する。なお、この2つの構成例(第2の構成例,第3の構成例)は、本発明のポイントシステムの第3の態様の対応する例であり、図13?図15に示す構成例は、特典ポイント管理手段5に格納する特典ポイントを株式管理手段6において株式ポイントに交換する例であり、図16?図18に示す構成例は、特典ポイントをいったん株式管理手段6に格納した後に株式ポイントに交換する例である。 【0055】次に、第3の構成例は、図16において、特典ポイント管理手段5は、利用者側Aのポイント発生手段2との間で送受信を行う送受信手段5B1,株式管理手段6に送信のみを行う送信手段5B2,特典ポイントを記憶する特典ポイントデータベース5b,特典ポイントの会員情報を記録する会員データベース5c,及び管理データベース5eをバスを介して制御手段5Aに接続して構成することができる。また、株式管理手段6は、特典ポイント管理手段5から受信のみを行う受信手段6B1,株式ポイントを記憶する株式ポイントデータベース6b,顧客情報を記録する顧客データベース6c,管理データベース6e,及び特典ポイントを記録する特典ポイントデータベース6fをバスを介して制御手段6Aに接続して構成することができる。 【0056】図17は、特典ポイント管理手段5の動作を説明するフローチャートである。送受信手段5B1が携帯電話2cあるいはユーザー端末2dからの受信を受けると(ステップS61)、ID情報を受信して(ステップS62)、会員情報データベース5cに記録される会員情報と照合して確認し(ステップS63)、送信されたポイント数を受信する(ステップS64)。受信したポイント数は、対応する特典ポイント数に交換する。このポイントから特典ポイントへの交換は、制御手段5Aが管理データベース5e等に記憶する交換比率を用いて行うことができる(ステップS65)。交換した特典ポイント数は、送受信手段5B1から携帯電話2cあるいはユーザー端末2dに送信する(ステップS66)。利用者は、送信された特典ポイントを携帯電話2cの表示画面やユーザー端末2dの表示手段2Eに表示することで、確認することができる(ステップS67)。 【0057】確認された後、交換した特典ポイント数を特典ポイントデータベース5bに記憶すると共に(ステップS68)、会員情報データベース5cの履歴を更新する(ステップS69)。この後、利用者から情報の提供が要求された場合には(ステップS70)、当該利用者が保持する特典ポイント数を特典ポイントデータベース6bから読み出し、利用者に送信する(ステップS71)。株式管理手段6に対する特典ポイントの転送要求が利用者から求められた場合には(ステップS72)、送信手段5B2を介して、利用者の会員情報及び要求された特典ポイント数を株式管理手段6に送信し、転送した特典ポイント数を特典ポイントデータベース5bから減算する(ステップS73)。 【0058】図18は、株式管理手段6の動作を説明するフローチャートである。株式管理手段6は、特典ポイント管理手段5から会員情報及び特典ポイント数の情報を受信し(ステップS81)、受信した特典ポイント数を特典ポイントデータベース6fに格納する(ステップS82)。この後、利用者から特典ポイントを株式ポイントに交換する要求が出された場合には(ステップS83)、管理データベース6eから交換時期を読み出し(ステップS84)、交換時期の時点において(ステップS85)、管理データベース6eから交換比率を読み出し(ステップS86)、読み出した交換比率を用いて特典ポイント数から株式ポイント数を求め(ステップS87)、交換した株式ポイント数を株式ポイントデータベース6bに格納すると共に、特典ポイントデータベース6fの特典ポイントを減算する(ステップS88)。 【0059】図16?図18に示す構成例によれば、株式管理手段内で特典ポイントと株式ポイントを管理することができ、特典ポイントと株式ポイントの相互の交換を容易に行うことができる。上記した構成例において、株式管理手段は、例えば持ち株会に適用することができ、ポイントを発行する発行主体の持ち株会が保持する持ち株権利を金融商品とし、ポイントを持ち株権利に交換し、さらにこの持ち株権利を行使することによって株式を取得することができる。また、このときの交換比率は、持ち株権利で獲得する株式の口数とポイントの数量との間の比率とし、交換手段において予め定めておくことも、あるいは各時点におけるポイント及び金融商品の価値に応じて定めることもできる。なお、上記した図13?図18に示す構成例においても、株式ポイントに交換した後、図10?図12に示す構成例のように、株式ポイントから株式に交換することができる。 以上の甲1の記載によれば、甲1には以下のとおりの発明が開示されている。(以下、甲1発明という。) 発生するポイントを、株式等の金融商品に交換したり、あるいはサービスポイントとして商品やサービスと交換する、ポイントを用いたシステムであって(【0020】)、 ポイント発生手段2は携帯電話2cによって構成することができ、発生したポイント及び利用者の識別コード等のID情報をポイント管理手段5に送信し(【0034】)、 商品の購入時やサービスに応じたポイントを発生させるポイント発生手段2(【0021】)を備え、 ポイント管理手段5は、ポイント発生手段2で発生したポイントを特典ポイントとして管理し、選択によって株式ポイント管理手段3あるいはサービスポイント管理手段4にポイントを渡し、各ポイント管理手段3,4において特典ポイントを株式ポイント又はサービスポイントに交換して管理し(【0031】)、 ポイント管理手段5は、ポイント発生手段2で発生したポイントを利用者毎に記録する特典ポイントデータベース5bと、利用者に関わる種々の情報を記録する会員情報データベース5cを備え(【0033】)、 また、ポイント管理手段5は、受信の確認、更新した特典ポイント数を携帯電話2cに送信し、携帯電話2cは、ポイント管理手段5から送信された受信確認、及び更新した特典ポイント数を表示することで確認することができ(【0036】)、 ポイント管理手段5は、ポイント発生手段2から送られた利用者のID情報とポイント数を受信し、会員情報データベース5cに記憶された顧客情報に基づいて送られたID情報を確認し(3)、利用者が登録されている場合には、特典ポイントデータベース5bを更新し(【0036】)、 利用者が、携帯電話2cなどから、株式ポイントへの交換あるいはサービスポイントへの転送、及び交換あるいは転送するポイント数を選択すると、ポイント管理手段5は、利用者からの指示に基づいて転送先として株式ポイント管理手段3を選択し、ポイント数と利用者のID情報を株式ポイント管理手段3に送信し(【0037】)、 株式ポイント管理手段3は、ポイント管理手段5から送られた利用者のID情報とポイント数を受信し、顧客情報データベース3cに記憶された顧客情報に基づいて送られたID情報を確認し、交換手段3aによって送られたポイントを交換比率に基づいて対応する口数の株式ポイントに交換した後、株式ポイントデータベース3bを更新し、(【0038】) ポイントと金融商品との間の交換において、利用者が蓄積するポイントの数量の増減と金融商品の口数の増減を平衡させ、また、ポイントと金融商品との間の交換の方向性は、双方向あるいは一方向とすることができ、(【0013】) 交換手段3aによって送られたポイントを交換比率に基づいて対応する口数の株式ポイントに交換するときの交換比率は、予め定めておくことも、あるいは交換時点において株式状況等に応じて定めることができる(【0038】)、 ポイントシステム。 (2)甲2には、以下のとおりの記載がある。 【0001】 本発明は、ポイントを投資および融資するためのポイント投融資運用管理システムおよびポイント投融資運用管理方法に関するものである。 【0022】 図1は、本実施形態に係るポイント投融資運用管理システム1の構成を示すシステム構成図である。このポイント投融資運用管理システム1は、ポイント管理サーバ100、ファンドサーバ200、預り金サーバ300、外部ポイント変換サーバ600、ユーザ端末700、ポイント発行元企業等800を含んで構成されている。そして、このポイント管理サーバ100は、預り金サーバ300、外部ポイント変換サーバ600、ユーザ端末700、およびポイント発行元企業等800とネットワークNを介して互いにアクセスすることが可能に構成されている。 【0023】 このポイント投融資運用管理システム1において、ポイント管理サーバ100は、ポイント会員であるユーザがポイント発行元企業等800において商品購入等により発行されたポイントを、ネットワークNを介して、ユーザを識別するための会員NOに対応付けてポイント数を取得する。このポイント管理サーバ100は、あらゆる複数のポイント発行元企業等800のそれぞれにおいて発行されたポイントを収集することができ、会員NO、ポイント発行元、および発行されたポイントを含んでそれぞれ対応付けて管理することができる。詳細は後述する。 【0024】 その後、ユーザは、自己が保有するユーザ端末700を操作することにより、ポイント管理サーバ100に対してアクセスして、当該ユーザが保有するポイントの投融資依頼を行う。なお、本実施形態において、ユーザとは、個人のほか、NPO、大学、または財団などを含んだものであり、個人以外のNPOもポイント会員となることができる。例えば、NPOには、数人から数百人の職員を有している場合が有り、それら職員が同じNPOに所属するなかで、個別会員NOを有するポイント会員として行動することができる。 【0025】 ポイント管理サーバ100は、ユーザ端末700からの投融資の依頼を受信すると、ファンドサーバ200に投融資情報(会員NOおよび投融資ポイントなどを含む)を送信する。その後、その投融資に対する分配金を受け取ることができるように、このポイント管理サーバ100は、投融資結果のコミッションの情報をファンドサーバ200から受信することができる。 【0027】 このように構成されたポイント投融資運用管理システム1におけるポイント管理サーバ100について説明する。図2は、ポイント管理サーバ100の機能構成を示すブロック図である。図2に示されるように、ポイント管理サーバ100は、通信部101(発行ポイント受付手段、投融資情報受付手段、投融資情報通知手段、リターン情報受付手段、投融資先通知手段)、制御部102(更新手段、失効ポイント取得手段、投融資指示受付手段、ポイント生成手段)、顧客別データベース103(ポイント記憶手段)、利用店別実績データベース104、ポイント発行元別実績データベース105、第1寄付データベース106および失効ポイントデータベース107(失効ポイント記憶手段)を備えている。以下、各構成要素について説明する。 【0028】 通信部101は、ファンドサーバ200、預り金サーバ300、外部ポイント変換サーバ600、ユーザ端末700、およびポイント発行元企業と通信接続する部分である。例えば、この通信部101は、ポイント発行元企業等800を利用した際に付与されるポイントの情報をそのポイント発行元企業等800から受信したり、ユーザ端末700から投融資の依頼を受信し、そしてその投融資の情報をファンドサーバ200に送信したりする。また、通信部101は、投融資の結果の個人のコミッション額の情報をファンドサーバ200から受信する。 【0029】 制御部102は、ユーザ端末700から通信部101により受信したユーザのポイント情報や、投融資の依頼情報を用いて、各データベース(顧客別DB103、利用店舗実績DB104、ポイント発行元別実績DB105、および第1寄付DB106)に記憶されている情報を更新する部分である。また、制御部102は、ファンドサーバ200から受信したコミッション情報に基づいて、各データベースに記憶されている情報を算出及び更新する部分である。 【0030】 顧客別データベース103は、ユーザが保有するポイントに関する情報を記憶するデータベースである。図4は、顧客別データベース103の具体例を示す説明図である。図4に示すように、顧客別データベース103は、会員NO、利用日、利用時間、ポイント発行元、利用金額、付与ポイント数、交換ポイント数、直付ポイント数、寄附ポイント数、寄附先、失効ポイント、ポイントの小計、投融資ポイント数、リターンポイント数、および累積利用ポイント数を対応付けて記述している。ここで、会員NOは、ユーザを特定する識別情報であり、利用日および利用時間は、ユーザが商品購入処理に伴ってポイントが付与された日時である。ポイント発行元は、ユーザが商品等を購入した店舗を示す情報であり、ポイント発行元企業等800に相当する。利用金額は、ユーザが購入した商品の金額である。付与ポイント数は、利用金額に基づきユーザに付与されるポイント数である。交換ポイント数は、ユーザが保有するポイントを使用(ポイント交換により商品を購入)した場合のポイント数である。直付けポイント数は、利用金額にかかわらず、所定の条件を満たした場合にユーザに付与されるポイント数である。寄付先及び寄付ポイント数は、ユーザが指定する寄付先およびそのポイント数である。失効ポイント数は、所定の時期において失効されたと判断されたポイント数(いわゆる失効ポイント数)である。リターンポイント数は、投融資により得られたコミッションのポイント数である。累積利用ポイント数は、ユーザの累積ポイント数であり、現にユーザが保有するポイント数である。なお、本実施形態においては、ポイント発行元ごとにポイントの集計管理を行っているが、これに限ることなく、例えば、ポイントカード発行元ごとにポイントの集計管理を行うようにしてもよい。 【0047】 ファンドサーバ200は、ネットワークNを介して、ポイント管理サーバ100から投融資に関する情報を受信し、また投融資会社から投融資結果に関する情報を受信するサーバである。また、ファンドサーバ200は、コミッションに関する情報をポイント管理サーバ100に送信することにより、投融資に関する情報を管理することもできる。 【0048】 ファンドサーバ200は、機能的な構成要素として、図3に示す通り、通信部201(償還額情報受付手段、リターンポイント通知手段)、制御部202(リターンポイント算出手段)、投融資管理データベース203(投融資情報記憶手段)、配当分配テーブル204、ファンド管理データベース209、リターン分配中間テーブル205、およびリターン分配データベース206を備えている。 【0049】 次に、ファンドサーバ200の各構成要素について説明する。通信部201は、ユーザの指示に基づいてポイント管理サーバ100から投融資に関する情報を受信する部分である。投融資の情報には、投融資の対象とするポイント数、投融資先、および投融資ポイント数等の情報が含まれている。 【0050】 制御部202は、投融資会社から投融資結果である償還額を受け付け、その償還額をもとに、ポイント管理会社の受取分、および個人のコミッション額の算出等を行う部分である。償還額の受付処理は、ネットワークを介して通信部201を介して受け付けられてもよいし、操作部(図示せず)をオペレータが操作することにより受付されてもよい。 【0051】 ポイント管理会社の受取分は、ポイント会社の収益分、積立分の情報である。具体的には、以降のファンドサーバ200が有する各データベースの説明で詳述する。 【0052】 投融資管理データベース203は、ユーザ及び加盟店等の投融資に関する投融資情報を管理する部分である。図7は、投融資管理データベース203に格納されている投融資情報の一例を示す図である。図7に示すように、投融資管理データベース203は、会員NO/加盟店名、投融資対象ポイント数、年月日、投融資先、投融資ポイント数、融資ポイント数、および最終残高ポイント数の投融資情報を記述している。 【0053】 会員NO/加盟店名は、投融資する者・業者を識別するための識別情報である。投融資対象ポイント数は、投融資の対象とするポイント数であり、ユーザ等から投融資の依頼時に送信されるポイント数である。年月日は投融資の依頼をした年月日である。投融資先は、投融資の対象を示す情報である。投融資ポイント数は、投融資先に投融資するポイント数である。融資ポイント数は、融資するポイント数である。最終残高ポイント数は、投融資対象ポイント数から投融資ポイント数と融資ポイント数を減算したポイント数である。なお、投融資対象ポイント数は、投融資をするために、ポイント管理サーバ100からファンドサーバ200に対して送信されたポイント数となり、投融資ポイント数は、実際に投融資がなされたポイント数である。投融資は、投融資対象ポイント数の範囲で行なわれることになる。 【0059】 そして、償還額が受け付けられると、この償還額に基づいて、ユーザの配分額、ポイント管理会社収益分よびファンド積み立て分が演算される。 例えば、図8(a)におけるデータベースでは、投融資額、投融資家数およびコミッション配分率が記述されている。そして、償還額が受け付けられると、図8(b)に示すように、ユーザの配分額、ポイント管理会社収益分よびファンド積み立て分が演算される。すなわち、償還額は1,2000,000円が受け付けられると、配分額は160,000円、ポイント管理会社収益分は20,000円、ファンド積立分は20,000円がそれぞれ算出され、データベースに記述される。 【0062】 投融資人は、投融資管理データベース203の会員NO/加盟店名に相当するものである。投融資額は、投融資管理データベース203の投融資ポイント数に相当するものであり、各ユーザが投融資した金額である。投融資番号は、リターン分配中間テーブル205の投融資番号またはリターン分配データベース206の投融資番号に相当するものであり、投融資対象の識別情報である。コミッション配分率は、投融資結果に対して配分される率であり、全ユーザの投融資額と各ユーザの投融資額との割合に基づいて定められる。コミッション額は、最終分配残高(リターン分配中間テーブル205参照)から投融資額を差し引いた収益と配分率とに応じて個人のコミッション(収益)として算出される額である。総分配額は、投融資額とコミッション額を合算した額である。ポイント口座への戻し日は、投融資結果のポイントを顧客別データベース103のリターンポイント数に戻す日付である。口座名は、ポイント数を戻す口座名である。 【0066】 預り金サーバ300は、ポイント発行元企業等800から、発行したポイント数に相当する分の金額の振込を受け付ける。預り金サーバ300は、預り金データベース301を有する。預り金サーバ300は、預り金データベース301に格納するポイント発行元企業等800ごとの情報と、ポイント管理サーバ100が有するポイント発行元別実績データベース105との整合性のチェックを行う。 【0070】 ユーザ端末700は、ポイント管理サーバ100へ現在の累積利用ポイント(保有ポイント)の抽出を要求すると、ポイント管理サーバ100から、現在の累積利用ポイントの要求の結果を受信する。そして、ユーザ端末700は、ポイント管理サーバ100へ投融資情報を送信するための投融資指示画面に投融資対象ポイント数、投融資先、投融資ポイント数を入力し、ポイント管理サーバ100に通知することができる。そのほか、ユーザ端末700は、ユーザ操作によるポイントの投融資を実行する際に、現金情報の入力を受け付け(銀行口座から振り替えるなど)、ポイントを購入して、投融資することもできる。ポイント管理サーバ100において、ユーザ端末700からポイントの購入依頼とともに、その購入ポイント数を受け付けると、口座決済処理を行った後、ポイントを生成して、累積利用ポイントとして、顧客別データベース103に記憶する。 【0071】 さらに、ユーザ端末700の操作において、ユーザが投融資する先は、そのユーザの種別に基づいて選択できるようにしてもよい。ポイント管理サーバ100は、ユーザの会員NOとユーザの種別を管理テーブル(図示せず)に記憶しておき、そのユーザの種別に応じて投融資先をユーザに選択可能にした投融資指示画面を表示することができる。ポイント管理サーバ100は、ユーザの種別と投融資先とを示した投融資管理テーブル(図示せず9を有しており、その投融資管理テーブルに従った投融資指示画面を提示することができる。 【0072】 ポイント発行元企業等800は、ポイントの発行を行う企業や、店舗群である。ユーザは、ポイント発行元企業等で、商品またはサービスを購入することにより、ポイントの取得することができる。すなわち、各ポイント発行元企業等800には、ポイント発行のための端末が備えられており、例えばユーザが保有するポイントカードをその端末により読み取らせることにより、ユーザに対してポイントを付与するために、ポイント管理サーバ100に対して、ユーザを示す会員NOや利用金額、付与ポイントを送信する。また、一方で、預り金サーバ300に、発行したポイント数に相当する金額の振込を行う。 【0075】 そして、ポイント管理サーバ100において、その通信部101は、ユーザからの要求を受付けると、制御部102は、その会員NOに応じたユーザの現在の累積利用ポイント数を顧客別データベース103から抽出する(S102)。そして、通信部101は、ユーザ端末700に対して、抽出したポイント数を送信する(S103)。 【0076】 ユーザ端末700は、ポイント管理サーバ100からポイント数が受信されると、投融資対象ポイント数、投融資先、投融資ポイント数を入力するための投融資指示画面を表示する。ユーザは、投融資指示画面に従って、投融資・寄付対象ポイント数、投融資先、および投融資ポイント数などの各投融資情報を入力する(S104)。なお、投融資対象とする金額(ポイント数ではない)を合わせて入力してもよい。そして、ユーザ端末700は、ユーザにより入力された投融資対象ポイント数、投融資先、および投融資ポイント数を、ポイント管理サーバ100に通知する(S105)。 【0084】 次に、投融資結果をポイント管理サーバ100に通知する場合について、図14を用いて説明する。ファンドサーバ200において、投融資会社から投融資先(投融資番号)およびその償還額が指定されると、通信部201が投融資会社より投融資先および償還額を受け付ける。なお、操作部(図示せず)は、オペレータの入力により償還額を受け付けるようにしてもよい(S201)。そして、ファンドサーバ200において、制御部202は、投融資管理データベース203から、指定された投融資先を有するレコードを集計して、配当分配テーブル204を生成する。そして、制御部202は、ポイント管理会社受取分(収受分、積立)および配分額を算出する(S202)。その後、制御部202は、リターン分配中間テーブル205を作成し(S203)、それに基づいてリターン分配データベース206(コミッション額および総分配額以外)を作成するとともに(S204)、各投融資人のコミッション額および総分配額の算出を行う(S205)。 【0085】 次に、ファンドサーバ200において、制御部202は、口座への戻し日が到来したかどうかを判断する(S206)。口座への戻し日が到来している場合には、通信部201は、ポイント管理サーバ100に対して、ユーザごとに対応付けられたコミッション額および総分配額を通知する(S207)。そして、ポイント管理サーバ100において、制御部102は、ユーザごとに対応付けられたコミッション額および総分配額を、顧客別データベース103に反映させる処理を行う。具体的には、制御部102は、ユーザごとに定められたデータベースを顧客別データベース103から個別に呼び出し、通知されたユーザごとの総分配額をリターンポイント数として記述したレコードを当該データベースに追加して記憶する(S208)。 【0094】 その後、投融資に対する償還処理時において、通信部101は、ファンドサーバ200から各ユーザの投融資に対するリターンポイントを含むリターン情報を受け付ける。そして、制御部102は、受け付けられたリターン情報に基づいて、顧客別データベース103に記憶されるポイント管理情報を更新する。 【0095】 一方で、ファンドサーバ200は、ポイント管理サーバ100から通知された投融資先および投融資ポイント数を含んだ投融資情報を記憶している。そして、通信部201等を介して、投融資に対する償還額が投融資会社等から受け付けられると、制御部202は、受け付けられた償還額と投融資管理データベース203に記憶されている投融資情報とに基づいて各ユーザに対するリターンポイントを算出する。通信部201は、算出された各ユーザのリターンポイントを含んだリターン情報を前記ポイント管理サーバに対して通知する。 以上の甲2の記載によれば、甲2には以下のとおりの発明が開示されている。(以下、甲2発明という。) ポイント管理サーバ100、ファンドサーバ200、預り金サーバ300、外部ポイント変換サーバ600、ユーザ端末700、ポイント発行元企業等800を含み(【0022】)、 ポイント管理サーバ100は、預り金サーバ300、外部ポイント変換サーバ600、ユーザ端末700、およびポイント発行元企業等800とネットワークNを介して互いにアクセスすることが可能であるポイント投融資運用管理システムであって(【0022】)、 ポイント管理サーバ100は、ポイント会員であるユーザがポイント発行元企業等800において商品購入等により発行されたポイントを、ネットワークNを介して、ユーザを識別するための会員NOに対応付けてポイント数を取得し管理し(【0023】)、 ポイント管理サーバ100は、ユーザが保有するポイントに関する情報(会員NO、利用日、利用時間、ポイント発行元、利用金額、付与ポイント数、交換ポイント数、直付ポイント数、寄附ポイント数、寄附先、失効ポイント、ポイントの小計、投融資ポイント数、リターンポイント数、および累積利用ポイント数)を記憶するデータベースである顧客別データベース103を有し(【0027】、【0030】)、 ユーザが保有するポイントを使用することは、ポイント交換により商品を購入することを含み(【0030】)、 ポイント管理サーバ100では、ユーザ端末700から投融資ポイント数、投融資先、および投融資ポイント数の情報が送信されると、受信され、顧客別データベース103における投融資ポイント数等は、制御部102により更新され、顧客別データベース103の累積利用ポイント数から投融資するポイント数が減算され(【0033】)、 ファンドサーバは、 機能的な構成要素として、通信部201(償還額情報受付手段、リターンポイント通知手段)、制御部202(リターンポイント算出手段)、投融資管理データベース203(投融資情報記憶手段)、配当分配テーブル204、ファンド管理データベース209、リターン分配中間テーブル205、およびリターン分配データベース206を備え(【0048】)、 ユーザの指示に基づいてポイント管理サーバ100から投融資に関する情報(投融資の対象とするポイント数、投融資先、および投融資ポイント数等の情報)を受信し(【0049】)、 投融資会社から投融資結果である償還額を受け付け、その償還額をもとに、ポイント管理会社の受取分、および個人のコミッション額の算出等を行い(【0050】)、 会員NO/加盟店名、投融資対象ポイント数、年月日、投融資先、投融資ポイント数、融資ポイント数、および最終残高ポイント数の投融資情報を記述し(【0052】)、 投融資対象ポイント数は、投融資の対象とするポイント数であり、ユーザ等から投融資の依頼時に送信されるポイント数であり(【0053】)、 コミッションに関する情報をポイント管理サーバ100に送信し(【0047】)、 ポイント管理サーバは、 投融資結果のコミッションの情報をファンドサーバ200から受信し(【0025】)、 ファンドサーバ200から、各ユーザの投融資に基づいたコミッションの情報であるリターンポイント数が受信され、顧客別データベース103のリターンポイント数が更新されるとともに、さらに累積利用ポイントが更新される(【0034】)、 ポイント投融資運用管理システム。 (3)甲3には、以下のとおりの記載がある。 (ア)スライドの1/10ページ 「株式投資を躊躇させる2つの理由 2.現金を投資するのが怖い ポイントで疑似投資体験 もしも投資をしたポイントが株価に連動するサービスがあれば、株式投資へのハードルは大きく下がる。 失敗しても損失は現金でなくポイントであり痛くない。成功すれば擬似的な成功体験を得ることができる。 ECサイトなどと提携して実際の購買に結びつけられることが理想。」 (イ)スライドの8/10ページ 「株式投資に邁進させる2つの理由 2.ポイントだからリスクが小さい ポイント発行会社と提携 実際の株価の1/100の規模で疑似投資 選んだ企業の疑似株をポイントで買うことができる! 株価が2倍→ポイントも2倍!」 (ウ)スライドの9/10ページ 「Kabutterのサクセスストーリー ・・・ ポイントで疑似株の購入→ 株価上昇=ポイントアップ→ たまったポイントでお買い物!」 (4)甲4には、以下のとおりの記載がある。 【請求項4】 ネットワーク上に公開したウエブサイトを介して、予め登録されたゲーム参加者の端末がアクセスできるサーバ上で実行されるゲームシステムであり、上記サーバはネットワークを介して取得した現実の証券取引所の株価データに従って価格が変動する銘柄別の株価データを収容した株価データベースと、ゲーム参加者がサイト内において任意の銘柄の株式を現実の通貨で仮想売買する取引を処理する手段と、上記の株式の購入にあたり口数に応じたゲーム利用料をゲーム参加者から徴収する手段と、上記の仮想売買による買値と売値の変動率を算出して、この変動率に応じたポイントをゲーム参加者に付与して記録する取引履歴データベースと、ゲーム主催者がポイント数に応じて交換を約する商品をブラウザ上でゲーム参加者に提示する手段と、ゲーム参加者からのポイントの商品への交換をブラウザ上で受け付ける手段を有することを特徴とする株式投資ゲームシステム。 【0023】 この実施例においては、ゲーム参加者がゲームシステム内で得た株式の仮装売買の差益のポイントの変換は次の数式で行っているが、これは一例であり、これに限定されないことは勿論である。 ◆株式の売買の価格変動率計算式 (売値-買値)÷買値×100= % ◆ポイント換算率 1%=20ポイント ◆ポイントの通信販売ウエブサイトにおける商品の売価への換算率 1ポイント=1円 (5)甲5には、以下のとおりの記載がある。 【0079】 また、他の変形例として、携帯電話の利用者が有料サービスとしてネットワーク上のバーチャル株式投資ゲームに参加し、そのパフォーマンス(運用結果)に応じて決済処理システムが翌月の通話料(若しくは単価)を算出するようにすることもできる。この場合には、決済処理システムはゲームサイトの運営事業者から利用者に予め付与された投資用のポイントを取得し、通信キャリアからこの利用者の通話時間などのデータを取得し、さらにバーチャル証券会社からポイントに換算された運用結果を取得する。そして、ポイントの増減に従って翌月の通話料や単価を増減させる。運用結果は、バーチャル証券会社が現実の株価などを参照して算出する。この構成により、利用者に投資の醍醐味を味わわせることが出来ると共に、現実の通話料にも反映させることでバーチャルとリアルの境界を感じさせず、徐々に現実の投資に誘導させることができる。この場合も、通信キャリアはリスクをヘッジするために、利用者と同様のリアルポジションを保有しておくのが好ましい。 5.判断 事案に鑑み、「3.(3-3)」、「3.(3-4)」についてまず検討する。 (5-1)特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない旨の主張(「3.(3-3)」)について 「バーチャルのポイント運用」について、本件特許明細書の発明の詳細な説明では、 「ここで、バーチャルのポイント運用と称するのは、利用可能ポイントを金銭に交換し、この金銭を実際に運用するのではなく、運用ポイントは、金銭に交換することなくポイントのまま保持し、このポイントを現実の投資運用を模して増減させるからである。すなわち、本実施の態では、個々の会員の利用可能ポイントおよび運用ポイントから金銭への交換や、運用した金銭から個々の会員への利用可能ポイントおよび運用ポイントへの交換を行うことはない。」(【0022】) と定義されている。 すなわち、個々の会員の運用ポイントは運用ポイントとして保持し、運用結果は、現実の投資運用を模して上記運用ポイントを増減させることをバーチャルの運用と称しているといえる。 そして、上記バーチャルの運用を実現するための事項として、本件発明1の特許請求の範囲では、前記バーチャル運用管理部は、「前記バーチャル運用管理部の外部の現実の運用結果を参照した運用結果参照情報が入力される運用情報入出力部」、「前記運用結果参照情報に基づいて、前記会員ごとに、運用ポイント数に対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイント数を算出する運用結果ポイント算出部」とを有していることを特定しており、当該特定事項により、会員ごとの運用ポイントは、外部の現実の運用結果を参照した運用結果参照情報に基づいて運用結果ポイント数を算出することができることは明白である。 そして、当該構成によれば、運用ポイントは、金銭に交換することなく、しかし、現実の投資運用の結果と関連して運用結果を得ることができることは明らかであり、本件特許発明の効果「換金を伴わないバーチャルな運用とすることにより、換金の手間およびコストを削減し、ポイント管理システムの汎用性を高めることを可能とする」(【0013】)を実現し、発明の詳細な説明に記載された課題を解決するための手段が反映されていないということはできないから、本件発明1は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たすものである。 本件発明2?6は実質的に本件発明1の記載を引用し、本件発明1と同じ構成を有しているから、本件発明1と同様、特許法第36条第6項第1号の規定を満たすものである。 本件発明7は本件発明1の「ポイント管理システム」の構成を「ポイント管理方法」とした発明であって、本件発明1の「運用情報入出力部」、「運用結果ポイント算出部」に対応する構成である、「前記現実の運用結果参照情報の入力を行うステップ」、「前記現実の運用結果参照情報に基づいて、前記運用ポイントに対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果としての運用結果ポイントを算出するステップ」を有しているから、本件発明1と同様、特許法第36条第6項第1号の規定を満たすものである。 (5-2)特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない旨の主張(「3.(3-4)」)について 上記(5-1)で検討したように、本件発明1の「バーチャルのポイント運用」は、「個々の会員の運用ポイントは運用ポイントとして保持し、運用結果は、現実の投資運用を模して上記運用ポイントを増減させること」といえる。そして、当該バーチャルの運用を実現するための構成として、本件発明1では、 「前記バーチャル運用管理部の外部の現実の運用結果を参照した運用結果参照情報が入力される運用情報入出力部」、「前記運用結果参照情報に基づいて、前記会員ごとに、運用ポイント数に対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイント数を算出する運用結果ポイント算出部」を備えている。 すなわち、「前記バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイント数を算出する」ために必要な情報としては、「会員ごとの運用ポイント数」と「バーチャル運用管理部の外部の現実の運用結果を参照した運用結果参照情報」とであり、これらを用いて何らかの演算を行い運用結果ポイント数を算出している構成が特定されている。異議申立人は、当該演算の具体的な構成が特定されていないことをもって、本件発明1の構成が明確でないと主張しているが、「現実の投資運用を模して上記運用ポイントを増減させる」ことができる演算内容であれば、この演算内容を特定しなくとも、本件発明1を実施することができることは明白であり、上記演算内容を特定していないことを理由に本件発明1が明確でないということはできないから、本件発明1は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たすものである。 本件発明2?6は実質的に本件発明1の記載を引用し、本件発明1と同じ構成を有しているから、本件発明1と同様、特許法第36条第6項第2号の規定を満たすものである。 本件発明7は本件発明1の「ポイント管理システム」の構成を「ポイント管理方法」とした発明であって、本件発明1の「運用情報入出力部」、「運用結果ポイント算出部」に対応する構成である、「前記現実の運用結果参照情報の入力を行うステップ」、「前記現実の運用結果参照情報に基づいて、前記運用ポイントに対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果としての運用結果ポイントを算出するステップ」を有しているから、本件発明1と同様、特許法第36条第6項第2号の規定を満たすものである。 (5-3)特許法第29条第1項第3号の規定に違反している旨の主張(「3.(3-1)」)について (a)本件発明1と甲1発明との対比 甲1発明の「携帯電話2c」は、本件発明1の「会員の情報端末」に相当する。 また、上記「携帯電話2c」と各種データの送受信可能な「ポイント管理手段5」、「株式ポイント管理手段3」、「サービスポイント管理手段4」は、会員に付与されたポイント(特典ポイント、株式ポイント、サービスポイント)を管理しているから、本件発明1の「ポイント管理システム」に相当する。 甲1発明の「商品の購入時やサービスに応じたポイント」は、会員に付与されたポイントであり、ポイント管理手段5はポイント発生手段2で発生したポイントを特典ポイントとして管理し、特典ポイントはサービスポイントに変換することで「商品やサービスと交換する」ことができるから、「交換対象品目と交換可能な利用可能ポイント」である。 そして、甲1発明のポイント管理手段5は、利用者が、携帯電話2cなどから、株式ポイントへ交換するポイント数を選択するとポイント数と利用者のID情報を株式ポイント管理手段3に送信し、株式ポイント管理手段3は、ポイント管理手段5から送られた利用者のID情報とポイント数を受信し、交換手段3aによって送られたポイントを交換比率に基づいて対応する口数の株式ポイントに交換した後、株式ポイントデータベース3bを更新しているから、「前記会員からの指示操作により前記利用可能ポイントのうちから運用を申し込まれた運用ポイントに」変換している。 また、甲1発明の株式ポイント管理手段3は、 「ポイントと金融商品との間の交換において、利用者が蓄積するポイントの数量の増減と金融商品の口数の増減を平衡させ、また、ポイントと金融商品との間の交換の方向性は、双方向あるいは一方向とすることができ」、 「交換手段3aによって送られたポイントを交換比率に基づいて対応する口数の株式ポイントに交換するときの交換比率は、予め定めておくことも、あるいは交換時点において株式状況等に応じて定めることができる」 から、株式ポイントを金融商品に変換することと金融商品を株式ポイントに変換すること(運用の処理)は行っている(ポイントと金融商品との間の交換の方向性は、双方向)点で、本件発明1の運用管理部と対応し、当該処理は、双方向で変換を行えば、「前記会員ごとに、運用ポイント数に対するポイント運用の運用結果である運用結果ポイント数を算出する運用結果ポイント算出部」ということはできるが、株式ポイントについてそれ以上の処理(演算など)を行っていない。 以上のことからみて、甲1発明と本件発明1とは、以下の一致点で一致し相違点で相違する。 (一致点) 会員の情報端末と通信ネットワークを介して接続可能であるとともに、前記会員に付与されたポイントを管理するポイント管理システムであって、 前記会員に付与されたポイントを、交換対象品目と交換可能な利用可能ポイントとして貯める利用可能ポイント管理部と、 前記会員からの指示操作により前記利用可能ポイントのうちから運用を申し込まれた運用ポイントに対し、運用の処理を行う運用管理部と、 を備え、 運用管理部は、 前記会員の指示操作に応じて、前記運用ポイントの申し込みの受け付けを実行可能であるとともに、前記運用結果ポイントから前記利用可能ポイントとしての取り出しを実行可能な運用ポイント管理部と、 前記会員ごとに、運用ポイント数に対するポイント運用の運用結果である運用結果ポイント数を算出する運用結果ポイント算出部と、 を備えることを特徴とするポイント管理システム。 (相違点) 相違点1 本件発明1では、運用管理部が、「前記会員からの指示操作により前記利用可能ポイントのうちから運用を申し込まれた運用ポイントに対し、バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイントを演算する」、「バーチャル運用管理部」であるのに対し、甲1発明では、「ポイントと金融商品との間の交換において、利用者が蓄積するポイントの数量の増減と金融商品の口数の増減を平衡させ、また、ポイントと金融商品との間の交換の方向性は、双方向あるいは一方向とすることができ」の構成からみて、ポイントは金融商品に変換されるものであって、ポイントそのものを運用するのではなく、ポイントを金融商品に変換した後、当該金融商品の運用をおこない、当該運用の結果に基づき、その運用結果であるポイントを双方向の変換を行うことによって得る運用管理部である点。 相違点2 本件発明1では、運用管理部は、「前記運用結果ポイントの表示を行う処理を実行する」、「前記会員ごとの前記運用結果ポイントの表示を行う運用結果表示処理部」の構成を有しているのに対し、甲1発明では、当該構成について有していることが明示されていない点。 相違点3 本件発明1では、運用管理部が、「前記バーチャル運用管理部の外部の現実の運用結果を参照した運用結果参照情報が入力される運用情報入出力部」を有しているのに対し、甲1発明は当該構成を有していない点。 相違点4 本件発明1では、運用結果ポイント算出部が、「前記運用結果参照情報に基づいて、前記会員ごとに、運用ポイント数に対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイント数を算出する運用結果ポイント算出部」であるのに対し、甲1発明では、相違点1で検討したのと同様、ポイントは金融商品に変換されるものであって、ポイントそのものを運用するのではなく、ポイントを金融商品に変換した後、当該金融商品の運用をおこない、当該運用の結果に基づき、その運用結果であるポイントを双方向の変換を行うことで得る算出部である点。 (b)判断 以上のとおり、本件発明1と甲1とには相違点が存在している。 当該相違点のうち、特に相違点1、相違点3、相違点4について、異議申立人は「特典ポイントを株式ポイントに交換するだけでは、株に交換したことにならず・・・株式ポイントのまま保有することはバーチャルの運用に該当する」(異議申立書27ページ)と述べているが、甲1発明において「株式ポイントのまま保有すること」は、単にポイントを株式ポイントに変換していることを示し、運用をするためにはポイントを金融商品に変換することが必須であるから株式ポイントのまま保有することはバーチャルの運用に該当するということはできない。 したがって、当該主張は採用することができず、上記相違点が存在するのであるから、本件発明1は甲1に記載された発明ではない。 本件発明7は本件発明1の「ポイント管理システム」の構成を「ポイント管理方法」とした発明であって、本件発明1の「運用情報入出力部」、「運用結果ポイント算出部」に対応する構成である、「前記現実の運用結果参照情報の入力を行うステップ」、「前記現実の運用結果参照情報に基づいて、前記運用ポイントに対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果としての運用結果ポイントを算出するステップ」を有しているから、本件発明1と同様、甲1に記載された発明ではない。 (5-4)特許法第29条第2項の規定に違反している旨の主張「3.(3-2)」について (A)甲1を主たる引例とした主張について (a)本件発明1と甲1発明との対比 一致点、相違点は、上記(5-3)のとおりである。 (b)相違点についての判断 相違点1、相違点3、相違点4について検討する。 異議申立人は、甲3、甲4、甲5には、それぞれ、現実の株価を参照して、ポイントによる投資の運用結果を得ることが開示されていることからみて、甲1発明に対して、上記甲3ないし甲5に記載された事項を適用することにより、本件発明1は、当業者が容易に為し得たことである旨主張している。 本件発明1は、ポイントを用いて運用を行うに際して、「バーチャルのポイント運用」を行うことを特徴としている。上記バーチャルのポイント運用は、上記(5-1)で検討したように「個々の会員の運用ポイントは運用ポイントとして保持し、運用結果は、現実の投資運用を模して上記運用ポイントを増減させること」である。これに対して、甲1発明では、運用はポイントを金融商品に変換し、金融商品をポイントに変換するという双方向の変換を行うことを前提としており、当該前提が異なることにより、相違点1、相違点3、相違点4が存在しているといえる。 甲1発明は、特許明細書【0006】に「本発明のポイントシステムは、利用者が蓄積するポイントを、株式、債権、投資信託や、株式を購入する権利等の金融商品と交換する。これによって、利用者にとってはポイントで株式等の取得を可能とし、また、ポイント提供者にとっては株主の増加による資金の調達や株式の買い付けが容易となるといったポイントシステムの新たな利用性を拡大する。」と記載されるとおり、ポイントで現実の株式(等の金融商品)を取得することを目的としているのであるから、上記甲1発明を主たる引用例として、ポイントの運用において「換金を伴わないバーチャルな運用とすることにより、換金の手間およびコストを削減し、ポイント管理システムの汎用性を高めることを可能とする」ことを前提とする本件発明1とすることは、仮に甲3、甲4、甲5には、それぞれ、現実の株価を参照して、ポイントによる投資の運用結果を得ることが開示されているとしても、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 本件発明2?6は実質的に本件発明1の記載を引用し、本件発明1と同じ構成を有しているから、本件発明1と同様、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 本件発明7は本件発明1の「ポイント管理システム」の構成を「ポイント管理方法」とした発明であって、本件発明1の「運用情報入出力部」、「運用結果ポイント算出部」に対応する構成である、「前記現実の運用結果参照情報の入力を行うステップ」、「前記現実の運用結果参照情報に基づいて、前記運用ポイントに対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果としての運用結果ポイントを算出するステップ」を有しているから、本件発明1と同様、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 (B)甲2を主たる引例とした主張について (a)本件発明1と甲2発明との対比 甲2発明の「ユーザ端末700」は、本件発明1の「会員の情報端末」に相当する。 また、上記「ユーザ端末700」と各種データの送受信可能な、「ポイント管理サーバ100」は会員に対して発行された(付与された)ポイントを管理し、「ファンドサーバ200」はユーザ等から投融資の依頼時に送信されるポイント数である投融資対象ポイント数等を記述(管理)しているから、これらのポイントを管理しているサーバは、本件発明1の「ポイント管理システム」に相当する。 甲2発明のポイント管理サーバ100が管理するポイントは、会員に付与されたポイントであり、管理サーバ100は付与されたポイントを管理し、「ユーザが保有するポイントを使用することは、ポイント交換により商品を購入することを含」むから、ポイントは「交換対象品目と交換可能な利用可能ポイント」である。 また、甲2発明のポイント管理サーバ100では「ユーザ端末700から投融資ポイント数、投融資先、および投融資ポイント数の情報が送信されると、受信され、顧客別データベース103における投融資ポイント数等は、制御部102により更新され、顧客別データベース103の累積利用ポイント数から投融資するポイント数が減算され」るから、「前記会員からの指示操作により前記利用可能ポイントのうちから運用を申し込まれた運用ポイント」を得ている。 甲2発明のファンドサーバ200は「償還額情報受付手段」を有しており、償還額情報は、本件発明1の「外部の現実の運用結果を参照した運用結果参照情報」といえるから、当該情報が入力される運用情報入力部を有している。 そして、甲2発明のファンドサーバ200は、 「ユーザの指示に基づいてポイント管理サーバ100から投融資に関する情報(投融資の対象とするポイント数、投融資先、および投融資ポイント数等の情報)を受信し」、 「会員NO/加盟店名、投融資対象ポイント数、年月日、投融資先、投融資ポイント数、融資ポイント数、および最終残高ポイント数の投融資情報を記述し」 「投融資会社から投融資結果である償還額を受け付け、その償還額をもとに、ポイント管理会社の受取分、および個人のコミッション額の算出等を行い」 の構成を有している。 ここで、甲2発明では、投融資会社から償還額を受け付けているから、実際の投融資は「投融資会社」が行っていることが見て取れるが、この投融資会社に対して、甲2のポイント投融資運用管理システムにおいて、どのように資金が提供されているか、甲2に記載はない。甲2の【0066】等の記載をみると、甲2において実際の資金を管理しているのは預かり金サーバしかないことからみて、甲2に記載はないものの、ファンドサーバ200において投融資ポイントが記述されると、当該投融資ポイントに対応する資金が預かり金サーバを介して投融資会社に提供され、投融資会社は上記資金を用いた投融資を行い、償還日に償還金を得ると、上記償還金に相当する額を預かり金サーバに収納し、上記償還額に対応する投融資ポイントをもとにコミッション額の算出等を行っていると推定される。 してみると、甲2発明では、投融資ポイントに対応する預かり金を投融資会社に提供し、投融資会社が運用を行い、上記運用の結果(償還金)を投融資会社から得て、該償還金の額に対応するようにコミッション額がポイントとして配分されると認めることができる。 したがって、上記ファンドサーバ200等を利用した、投融資の処理は「前記会員からの指示操作により前記利用可能ポイントのうちから運用を申し込まれた運用ポイント」を、換金して外部にて現実の運用を行い、上記運用による償還金の額に基づいて、ポイントを増減させている点で、この償還金の額に基づいたポイントの処理を演算と称すれば「ポイント運用の運用結果である運用結果ポイントを演算」しているといえる。そして、この償還金の額は、先に検討したとおり、ファンドサーバ200の「償還額情報受付手段」で受け付けた「償還額情報」であるといえることは明らかである。 以上のことからみて、甲2発明と本件発明1とは、以下の一致点で一致し相違点で相違する。 (一致点) 会員の情報端末と通信ネットワークを介して接続可能であるとともに、前記会員に付与されたポイントを管理するポイント管理システムであって、 前記会員に付与されたポイントを、交換対象品目と交換可能な利用可能ポイントとして貯める利用可能ポイント管理部と、 前記会員からの指示操作により前記利用可能ポイントのうちから運用を申し込まれた運用ポイントに対し、ポイント運用の運用結果である運用結果ポイントを演算する運用管理部と、 を備え、 運用管理部は、 前記会員の指示操作に応じて、前記運用ポイントの申し込みの受け付けを実行可能であるとともに、前記運用結果ポイントから前記利用可能ポイントとしての取り出しを実行可能な運用ポイント管理部と、 運用管理部の外部の現実の運用結果を参照した運用結果参照情報が入力される運用情報入出力部と、 前記運用結果参照情報に基づいて、前記会員ごとに、運用ポイント数に対するポイント運用の運用結果である運用結果ポイント数を算出する運用結果ポイント算出部と、 を備えることを特徴とするポイント管理システム。 (相違点) 相違点1 本件発明1では、運用管理部が、「前記会員からの指示操作により前記利用可能ポイントのうちから運用を申し込まれた運用ポイントに対し、バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイントを演算する」、「バーチャル運用管理部」であるのに対し、甲2発明では、「ファンドサーバ200において投融資ポイントが記述されると、当該投融資ポイントに対応する資金が預かり金サーバを介して投融資会社に提供され、投融資会社は上記資金を用いた投融資を行い、償還日に償還金を得ると、上記償還金に相当する額を預かり金サーバに収納し、上記償還額に対応する投融資ポイントをもとにコミッション額の算出等を行っている」のであるから、ポイントは預かり金サーバを介して換金され(投融資会社によって)投融資されるものであって、ポイントそのものを運用するのではなく、ポイントを換金して投融資(運用)をおこない、当該運用の結果(償還金の額)に基づき、その運用結果であるポイントを得る運用管理部である点。 相違点2 本件発明1では、運用管理部は、「前記運用結果ポイントの表示を行う処理を実行する」、「前記会員ごとの前記運用結果ポイントの表示を行う運用結果表示処理部」の構成を有しているのに対し、甲2発明では、当該構成について有していることが明示されていない点。 相違点3 本件発明1では、運用管理部が、「前記バーチャル運用管理部の外部の現実の運用結果を参照した運用結果参照情報が入力される運用情報入出力部」を有しているのに対し、甲2発明は運用管理部が「バーチャル運用管理部」でない点。 相違点4 本件発明1では、運用結果ポイント算出部が、「前記運用結果参照情報に基づいて、前記会員ごとに、運用ポイント数に対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果である運用結果ポイント数を算出する運用結果ポイント算出部」であるのに対し、甲2発明では、相違点1で検討したのと同様、ポイントは換金され投融資会社によって投融資されるものであって、ポイントそのものを運用するのではなく、ポイントを換金した後、当該換金した資金を用いて運用をおこない、当該運用の結果(償還額)に基づき、その運用結果であるポイントを算出する算出部である点。 (b)相違点についての判断 相違点1、相違点3、相違点4について検討する。 異議申立人は、甲3、甲4、甲5には、それぞれ、現実の株価を参照して、ポイントによる投資の運用結果を得ることが開示されていることからみて、甲2発明に対して、上記甲3ないし甲5に記載された事項を適用することにより、本件発明1は、当業者が容易に為し得たことである旨主張している。 本件発明1は、ポイントを用いて運用を行うに際して、「バーチャルのポイント運用」を行うことを特徴としている。上記バーチャルのポイント運用は、上記(5-1)で検討したように「個々の会員の運用ポイントは運用ポイントとして保持し、運用結果は、現実の投資運用を模して上記運用ポイントを増減させること」である。これに対して、甲2発明においては、ポイントは預かり金サーバを介して換金され(投融資会社によって)投融資されるものであって、ポイントそのものを運用するのではなく、ポイントを換金して投融資(運用)をおこない、当該運用の結果(償還金の額)に基づき、その運用結果であるポイントを得ることを前提としており、当該前提が異なることにより、相違点1、相違点3、相違点4が存在しているといえる。 すなわち、甲2発明は、 「【背景技術】 【0002】 ポイントを投融資するためのシステムとして、特許文献1に記載の技術が知られている。この特許文献1には、ポイントを投融資するためのポイントファンドシステムが記載されており、このポイントファンドシステムは、ポイント会員により収集されたポイントを、そのポイント会員の指示のもとファンドの購入処理およびその分配処理を行うものである。より具体的には、そのポイントファンドシステムの管理者は、ポイントを発行した業者に対してポイント総計に相当するサービス金額のファンド購入資金の拠出してもらい、その拠出されたファンド購入資金でファンドを購入し、このポイントファンドシステムを使って、ポイント総計に対する各ポイント会員のポイント数の割合に応じてポイント会員ごとにファンドを分配することができる。 ・・・ 【0004】 一般的に、ポイント発行元ごとにポイントが発行されるものであり、そのポイントの利用もポイント発行元ごとに行われる。よって、ポイントが分散しがちである。この特許文献1に記載の技術においても、ポイント発行元となる業者は単独の業者であることを想定している。したがって、そのポイントをつかった投融資効率はそれほど高くはなく、そのポイントをもとに投融資をしたとしても、期待するほどのリターンを得ることは困難である。 【0005】 そこで、本発明においては、複数のポイント発行元において発行したポイントを収集して、投融資を行うことができるポイント投融資運用管理システムおよびポイント投融資運用管理方法を提供することを目的とする。」 の記載からみて、「ポイントファンドシステムの管理者は、ポイントを発行した業者に対してポイント総計に相当するサービス金額のファンド購入資金の拠出してもらい、その拠出されたファンド購入資金でファンドを購入し、このポイントファンドシステムを使って、ポイント総計に対する各ポイント会員のポイント数の割合に応じてポイント会員ごとにファンドを分配する」ことを前提にしているのであり、「ポイント総計に相当するサービス金額のファンド購入資金の拠出」は、甲2発明で認定した、投融資ポイントに対応する資金を預かり金サーバを介して投融資会社に提供することを意味するのであり、投融資会社に提供する資金を超えて運用を行っているということはできない。 このことは、例えば甲2号証に「ところで、上述の投融資選択指示画面に関して、一般的に、投融資先の募集金額の上限に達すると、それ以上投融資できないようになっている。本実施形態においても同様の上限を持たすようにすることができ、先着順に、投融資の受け付けを行うようにしており、上限に達すると投融資選択指示画面において上限に達した投融資先を表示しないようにすることができる。」(【0080】)の記載があり、一般的な投融資では投融資先に募集の上限があることも考慮していることからみて、これは、通常行われている現実の投融資には募集枠があり、この枠を越えて投資ができないことを考慮しているといえるから、甲2発明は、投融資会社に対して資金を提供して現実の運用を行うことを前提としていることの証左である。 以上のとおり、甲2発明は、ポイントは預かり金サーバを介して換金され(投融資会社によって)投融資されることを前提としているのであるから、上記甲2発明を主たる引用例として、ポイントの運用において「換金を伴わないバーチャルな運用とすることにより、換金の手間およびコストを削減し、ポイント管理システムの汎用性を高めることを可能とする」ことを前提とする本件発明1とすることは、仮に甲3、甲4、甲5には、それぞれ、現実の株価を参照して、ポイントによる投資の運用結果を得ることが開示されているとしても、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 異議申立人は、異議申立書38ページ、39ページにて、それぞれ「しかしながら、甲2発明でも、甲第2号証の【図13】及び【図14】並びにその図面を解説している明細書の対応箇所で記載されている通り、ユーザ端末から投融資ポイントを受け付け、顧客DB及び投融資管理DBを更新し、投融資会社から投融資及び償還額を受け付け、全体の償還額から各個人のコミッション額を算出してリターンポイント数に反映しており、甲第2号証の全体を通じて実際の金銭を投融資会社に渡している記載がなく、ポイントを用いたバーチャルでの運用となり、「バーチャルのポイント運用」に関する相違点はない。」、「前記した通り、甲第2号証の全体を通じて実際の金銭を投資会社に渡している記載がないが、仮に、システムの運用会社が実際の金銭を投融資会社に渡していると解釈しても、甲第2号証に記載がない以上は、システムで投資ポイント数を担当者が確認し、投資ポイント数に相当する投融資額(個々では、投資ポイント数と投融資額が1:1に対応)を投融資会社に渡すことになると想定されるが、この投融資額のうちどの割合の金銭を投融資会社に渡すかどうかはシステムの運用会社のリスクヘッジ方針に基づき当業者が適宜決定する程度の事項であることは金融業界の当業者にとっては商習慣である(一般的には、カバー取引と呼ぶ)。そして、システムの運用会社が全てのリスクを取る場合には金銭を全く渡さず(投融資額の0割でカバー取引のカバー率0%)となり、システムの運用会社が全てのリスクをヘッジする場合には投融資額の全体(投融資額の10割でカバー取引のカバー率100%)を投融資会社に渡すことになる。つまり、前記の仮定を相違点とみなしても、それは単に商習慣の範囲内で行われことに過ぎない。ちなみに、カバー率が0パーセントより大きくなる場合には、特許発明3の構成相当になることを付言する。」と主張しているが、甲2発明が、投融資会社に対して資金を提供して現実の運用を行うことを前提としていることは先に検討したとおりであるから上記主張を採用することはできない。 以上のことから、本件発明1は、甲2発明、甲3ないし甲5の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 本件発明2?6は実質的に本件発明1の記載を引用し、本件発明1と同じ構成を有しているから、本件発明1と同様、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 本件発明7は本件発明1の「ポイント管理システム」の構成を「ポイント管理方法」とした発明であって、本件発明1の「運用情報入出力部」、「運用結果ポイント算出部」に対応する構成である、「前記現実の運用結果参照情報の入力を行うステップ」、「前記現実の運用結果参照情報に基づいて、前記運用ポイントに対する前記バーチャルのポイント運用の運用結果としての運用結果ポイントを算出するステップ」を有しているから、本件発明1と同様、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 6.むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2019-03-19 |
出願番号 | 特願2016-236765(P2016-236765) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
Y
(G06Q)
P 1 651・ 121- Y (G06Q) P 1 651・ 113- Y (G06Q) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 松野 広一 |
特許庁審判長 |
佐藤 智康 |
特許庁審判官 |
渡邊 聡 田中 秀樹 |
登録日 | 2018-06-22 |
登録番号 | 特許第6357521号(P6357521) |
権利者 | 株式会社クレディセゾン |
発明の名称 | ポイント管理システムおよびポイント管理方法 |
代理人 | 弁護士法人クレオ国際法律特許事務所 |