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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1351087
審判番号 不服2018-526  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-16 
確定日 2019-04-25 
事件の表示 特願2015-187216号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月12日出願公開、特開2016- 25936号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成18年3月31日に出願した特願2006-100562号の一部を平成23年5月18日に新たな特許出願(特願2011-111685号)とし、さらにその一部を平成25年2月21日に新たな特許出願(特願2013-32165号)とし、さらにその一部を平成26年8月8日に新たな特許出願(特願2014-162352号)とし、さらにその一部を平成27年9月24日に新たな特許出願(特願2015-187216号)としたものであって、平成28年8月30日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年11月2日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年4月12日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成29年6月7日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年10月13日付け(発送日:平成29年10月17日)で、平成29年6月7日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年1月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成30年10月16日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年12月20日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。記号A?B2は、分説するため当審で付した。)は、平成30年12月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。

「A 所定の確率に応じて抽選を実行するとともに前記抽選の結果に基づいて特別図柄を表示する特別図柄表示装置を制御する主制御手段と、
B 演出図柄を表示する演出図柄表示装置を制御する副制御手段と、を備え、
A1 前記主制御手段が、前記演出図柄表示装置に表示される前記演出図柄を制御するためのコマンドを前記副制御手段に対して送信可能な
C 遊技機において、
A2 前記所定の確率は、通常確率状態と、該通常確率状態よりも遊技者に有利な確率変動状態と、を有し、
A3 前記主制御手段は、前記特別図柄を表示制御するための処理を行う特別遊技管理処理と、前記コマンドを前記副制御手段に送信するための処理を行うコマンド出力管理処理と、を含み、
A4 先に実行される前記特別遊技管理処理にて前記抽選の結果に基づいて前記特別図柄を変動表示するための処理を開始し、その後に実行される前記特別遊技管理処理にて前記特別図柄を変動表示する制御を継続して実行する一方、
A5 前記特別図柄を変動表示するための処理を開始したときの前記特別遊技管理処理よりも後に発生する割り込み処理において実行される前記コマンド出力管理処理にて前記コマンドを前記副制御手段に対して送信するための処理を行い、
B1 前記副制御手段は、前記特別図柄の変動表示開始タイミングよりも前記割り込み処理の周期分の時間差によって生じる所定期間だけ遅れて、前記コマンドに基づいて前記演出図柄の変動表示を開始させるとともに、
B2 前記特別図柄の変動表示終了タイミングよりも前記所定期間と同じ期間だけ遅れて、前記演出図柄の変動表示を終了させることを特徴とする遊技機。」

第3 当審における拒絶の理由
当審における平成30年10月16日付けの拒絶理由の概要は次のとおりである。
「1.(進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1-3

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2004-242722号公報
2.特開2006-14759号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2005-110953号公報(周知技術を示す文献、新たに引用した文献) 」

第4 引用文献について
当審において平成30年10月16日付けの拒絶理由において引用された、本願の遡及日前に頒布された特開2004-242722号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。

・記載事項

ア 「【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る遊技機の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1?図3を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1は、パチンコ機1の正面図である。図2は、遊技盤2の正面図である。図3は表示装置8の正面図である。」

イ 「【0026】
まず、特別図柄表示部28について説明する。特別図柄表示部28は、1桁の数字や1文字のアルファベット、マーク等の図柄を表示できるように構成されている。特別図柄表示部28に表示される図柄としては、本実施の形態の例では数字の「0」,「1」,「2」,「3」,「4」,「5」,「6」,「7」,「8」及び「9」の10種類があり、また、図柄の表示される背景色の種類として、「赤」、「橙」、「黄」、「緑」、「水色」、「青」、「紫」、「白」の8種類が用意されている。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞して大当たりの判定が行われると、これら10種類の図柄が原則としてこの順序で順次表示され、図柄と背景色の組み合わせにより、大当たりとなるか否か、大当たりの場合に確率変動遊技状態に突入する特定図柄であるか否かを表示するようになっている。例えば、本実施の形態では、以下のように構成されている。すなわち、「0」の場合には、「赤」の背景色で特定図柄、「橙」、「黄」、「緑」、「水色」、の背景色で非特定図柄による大当たりを示し、その他の背景色でははずれを示す。「1」の場合には、「赤」、「橙」、「黄」の背景色で特定図柄による大当たりを示し、その他の背景色でははずれを示す。「2」の場合には、「橙」の背景色で特定図柄、「赤」、「黄」、「緑」、「水色」の背景色で非特定図柄による大当たりを示し、その他の背景色でははずれを示す。「3」の場合には、「赤」、「橙」、「黄」の背景色で特定図柄による大当たりを示し、その他の背景色でははずれを示す。「4」の場合には、「黄」の背景色で特定図柄、「赤」、「橙」、「緑」、「水色」の背景色で非特定図柄による大当たりを示し、その他の背景色でははずれを示す。「5」の場合には、「赤」、「橙」、「黄」の背景色で特定図柄による大当たりを示し、その他の背景色でははずれを示す。「6」の場合には、「緑」の背景色で特定図柄、「赤」、「橙」、「黄」、「水色」の背景色で非特定図柄による大当たりを示し、その他の背景色でははずれを示す。「7」の場合には、「赤」、「橙」、「黄」の背景色で特定図柄による大当たりを示し、その他の背景色でははずれを示す。「8」の場合には、「水色」の背景色で特定図柄、「赤」、「橙」、「黄」「緑」の背景色で非特定図柄による大当たりを示し、その他の背景色でははずれを示す。「9」の場合には、「赤」、「橙」、「黄」の背景色で特定図柄による大当たりを示し、その他の背景色でははずれを示す。大当たりとなると、大入賞口16が開放される大当たり遊技状態が生起され、大入賞口16内に設けられているVゾーン(図示外)に遊技球が入賞すると、大入賞口16の開放が再度行われ、所定回数(例えば、15回や16回等)まで反復継続可能となっている。この大当たり遊技状態は、パチンコ機1のCPU51(図4参照)が図示外の大当たり遊技プログラムに従って、諸条件を判定しながら遊技者が多数の遊技球の払出を得ることができる遊技状態であり、いわゆる条件装置が作動した状態である。
【0027】
次に、デモ図柄表示画面30について説明する。本実施の形態ではデモ図柄表示画面30に表示される図柄の可変表示の一例として、図柄が上から下または下から上にスクロールされて表示される図柄の変動表示を例に説明する。図3に示すように、デモ図柄表示画面30には、左から、デモ図柄表示部D1,デモ図柄表示部D3,デモ図柄表示部D2の順に、3つのデモ図柄表示部が横一列に配置されている。このデモ図柄表示部D1?D3には、後述する図柄が上から下方向にスクロールするように変動表示され、また、デモ図柄表示画面30上には、デモ図柄表示部D1?D3の背景画像やキャラクターやメッセージ等も表示されるようになっている。
【0028】
デモ図柄表示部D1?D3に表示される図柄は、通常時はそれぞれ縦スクロール(上から下へのスクロール)がなされて、デモ図柄表示部D1、デモ図柄表示部D2、デモ図柄表示部D3の順に停止するようになっている。なお、このデモ図柄表示部D1?D3の配置および停止表示させる順序などは任意に変更できることはいうまでもない。またデモ図柄表示画面30には、上記のデモ図柄表示部D1?D3に図柄が常に表示されているわけではなく、これらの表示に代えて動画やメッセージ等も表示できるようになっている。また表示装置8は、その裏面に図柄表示基板44(図4参照)を備えている。」

ウ 「【0032】
主基板41には、プログラムに従って各種の処理を行うCPUユニット50が設けられている。このCPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、フラグやカウンタの乱数値やデータ等を記憶するRAM52と、制御プログラムおよび各種の初期値のデータや表示装置8への表示内容を指示するコマンドのデータ等を記憶したROM53とが設けられており、これらは一つのLSIとして一体にモールディングされている。また、CPUユニット50には割込信号発生回路57が接続され、この割込信号発生回路57は、0.002秒(以下、「2ms」と略す。)毎にCPU51に割込信号を与えるようになっている。CPU51は、この割込信号が入力される毎にROM53に記憶されたメインルーチン(後述)を先頭から実行し、このメインルーチンに従ってパチンコ機1の制御を行う。
・・・略・・・
【0034】
なお、主基板41はパチンコ機1の主制御を司り、電源基板42は各基板に直流電流を供給し、サブ統合基板58は音基板43、図柄表示基板44および電飾基板46を制御している。また、音基板43はパチンコ機1の効果音の発生を制御し、図柄表示基板44は特別図柄表示部28,デモ図柄表示画面30および普通図柄表示部24に表示される図柄の制御を行い、払出制御基板45は賞品球払出装置49の制御を行い、電飾基板46はパチンコ機1の各電飾の発光態様を制御し、中継基板47は、各センサーの配線の中継を行っている。サブ統合基板58にはCPU58a、ROM58bおよびRAM58cが設けられ、音基板43、図柄表示基板44、払出制御基板45および電飾基板46にも、図示外のCPU、RAM、ROM、入力インターフェース等がそれぞれ搭載されている。
・・・略・・・
【0039】
次に、図6を参照して、RAM52の記憶エリアについて説明する。図6は、RAM52の記憶エリアを示す模式図である。図6に示すように、RAM52には、各種のカウンタを一時的に記憶するループカウンタ記憶エリア52a、各ゲートを通過した遊技球や各入賞口に入賞した遊技球のそれぞれに対応したフラグの情報が書き込まれる入賞球フラグ記憶エリア52b、普通図柄始動ゲート12へ遊技球が通過した場合に取得される乱数が書き込まれる普通当たり関係情報記憶エリア52c、普通図柄始動ゲート12への遊技球の通過数が記憶される普通図柄作動保留数記憶エリア52d、特別図柄始動電動役物15への遊技球の通過時に取得される乱数や判定結果が書き込まれる大当たり関係情報記憶エリア52e、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞数が記憶される特別図柄作動保留数記憶エリア52f、条件装置が作動中か否かのフラグを記憶する条件装置作動フラグ記憶エリア52g、確率変動遊技状態に突入するか否かを示すフラグを記憶する確率変動フラグ記憶エリア52h、主基板41からサブ統合基板58に出力させる制御コマンドに対応したフラグやその制御コマンドの変数を記憶するコマンド関係記憶エリア52m、デモ図柄表示画面30上の表示状態の遷移を行うための状態フラグを記憶する状態フラグ記憶エリア52n、高確率状態となることを報知するための高確率図柄パターンを記憶する高確率図柄パターン記憶エリア52p、通常確率状態となることを報知するための通常確率図柄パターンを記憶する通常確率図柄パターン記憶エリア52q、仮停止後再変動する確率変動昇格図柄パターンを記憶する確率変動昇格図柄パターン記憶エリア52r、デモ図柄が再変動するか否かのフラグを記憶する再変動フラグ記憶エリア52s等が設けられている。なお、状態フラグ記憶エリア52nの状態フラグは2bitのフラグであり、デモ図柄表示画面30のデモ図柄表示部D1,D2,D3に変動表示される図柄の高速変動状態(変動開始から一定の高速変動を継続している状態)、低速変動状態(変動速度を低速に落とし始めて確定表示が行われる直前までの状態)、確定表示状態(図柄の変動が停止して確定表示を行っている状態)、非動作状態(図柄の変動を行わない状態)の4つの状態に対応している。」

エ 「【0051】
デモ図柄変動時間カウンタLC9は、デモ図柄の変動時の変動時間や確定表示が行われる時間を計測するために使用されるタイマカウンタである。ROM53のデモ図柄変動時間テーブル記憶エリア53c(図5参照)に記憶されたデモ図柄変動時間テーブルに基づいて決定されたデモ図柄の変動時間などが経過したかどうかを計測する。本実施の形態では、サブ統合基板58への高速変動状態の開始を指示する高速変動コマンド、低速変動状態の開始を指示する低速変動コマンド、および確定表示状態の開始を指示する全図柄停止コマンドの出力時に、それぞれ、高速変動時間、低速変動時間、および確定表示時間の終了のタイミングを計測するためのカウント値が、デモ図柄変動時間カウンタLC9の上限値としてセットされる。すなわち、同時には発生しない高速変動状態、低速変動状態、および確定表示状態のそれぞれの時間をカウントするのにデモ図柄変動時間カウンタLC9が利用される。ここで、低速変動時間はデモ図柄変動時間テーブルに基づいて決定される。また、確定表示時間は固定値である。カウント開始時は「0」よりスタートし、1割込(2ms)毎に「1」加算され、カウント値が上限値となることで前記各タイミングが計測される。例えば、デモ図柄変動時間テーブルに基づくデモ図柄の低速変動時間が10秒である場合、デモ図柄変動時間カウンタLC9の上限値には「5000」がセットされる。」

オ 「【0062】
図13に示すメインルーチンのフローチャートは、主基板41のCPU51が繰り返し行っている乱数初期値更新処理に対し、一定間隔の時間(本実施例では2ms)で、図4に示す割込信号発生回路57が発生する割込信号に同期して発生される割込みによって、実行が開始される。なお、図13に示すフローチャートの処理を行うプログラムは、図5に示すROM53の制御プログラム記憶エリア53bに記憶されている。
【0063】
割込みによってメインルーチンの処理が開始されると、まず制御コマンドをサブ基板に出力するコマンド出力処理が行なわれる(S1)。このコマンド出力処理では、図柄表示基板44に特別図柄表示部28、デモ図柄表示画面30、普通図柄表示部24へ図柄を表示させるためのコマンド、音基板43にスピーカー48から効果音等を発音させるためのコマンド、電飾基板46にパチンコ機1に設けられている各種のランプの点滅の制御を行わせるコマンド等の制御コマンドが、I/Oインターフェース54を介してサブ統合基板58に出力される。具体的には、メインルーチンのS3以降の各処理にて、サブ統合基板58に対して出力させる制御コマンドに対応したフラグと、その制御コマンドの変数がRAM52のコマンド関係記憶エリア52mに記憶される。すると、メインルーチンの次の巡目のコマンド出力処理にて、これらのフラグに対応した制御コマンドがROM53の制御コマンドテーブル記憶エリア53dより選択され、その制御コマンドの変数とともにサブ統合基板58に出力される。」

カ 「【0067】
特別電動役物処理が終了すると、大当たりの判定を行ってその結果を特別図柄表示部28に表示する特別図柄処理が行われる(S9)。特別図柄処理では、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球がある場合に、ループカウンタ記憶エリア52aに記憶されているカウンタ値を大当たり関係情報記憶エリア52eに取り込み、取り込んだカウンタ値が大当たりかどうかを判定して、特別図柄表示部28への表示態様を決定している。特別図柄処理の詳細については、図14のフローチャートを参照して後述する。メインルーチンの1巡目の処理では、まだ特別図柄始動電動役物15への入賞球はないので、特別図柄処理では何も行われない。
【0068】
特別図柄処理が終了すると、大当たり関係情報記憶エリア52eに取り込まれたカウンタ値を参照してデモ図柄をデモ図柄表示画面30に表示させるデモ図柄処理(S11)が行われる。図15及び図16に示すフローチャートに従ってデモ図柄の変動の指示等が行われるが、このデモ図柄処理の詳細については後述する。メインルーチンの1巡目の処理では、まだ大当たり関係情報記憶エリア52eには何も記憶されていないので、デモ図柄処理では何も行われない。
・・・略・・・
【0074】
例えば、遊技者が、遊技盤2の下側に設けられた発射ハンドル7を操作して遊技球を遊技領域4に打ち込み、遊技球が特別図柄始動電動役物15に入賞すると、メインルーチンのスイッチ読込処理(S3)において、遊技球の特別図柄始動電動役物15への入賞が検出され、入賞球フラグ記憶エリア52bの対応するフラグが「ON」となる。そして、特別図柄処理(S9)にて、大当たり関係情報記憶エリア52eにループカウンタLC2?LC8までが取り込まれる。取り込まれたカウント値に基づいて、特別図柄表示部28への表示がなされ(S9)、デモ図柄の変動表示が開始される(S11)。取り込まれたカウント値により大当たり条件が成立したと判定されれば、RAM52の条件装置作動フラグ記憶エリア52gに「1」が記憶され、大当たりフラグが「ON」となる。デモ図柄の変動表示が終了した次の巡目の特別電動役物処理(S7)では、条件装置作動フラグ記憶エリア52gに「1」が記憶されていれば、大入賞口16の開放、閉鎖の動作が所定回数(例えば、15回や16回)開閉される大当たり遊技が開始される。そして、この大当たり遊技終了後には、条件装置作動フラグ記憶エリア52gに「0」が記憶される。また、デモ図柄表示処理では、カウント値が大当たりと判定される場合には、次の大当たりとなる当たり確率を通常よりも高確率にするかどうかをさらに判定し、高確率状態となる変動パターンと通常確率のままとなる変動パターンの中から選択して図柄を表示させる。以上概略説明した特別図柄処理、デモ図柄処理、及び特別電動役物処理の詳細について、以下に説明する。
【0075】
まず、メインルーチンのS9で行われる特別図柄処理について、図14のフローチャートを参照して説明する。特別図柄処理が開始されると、特別図柄始動電動役物へ遊技球が入賞しているか否かを判断する(S101)。メインルーチンのスイッチ読込処理(図13、S3)において、特別図柄始動電動役物15に設けられている始動口スイッチ72が遊技球の入賞を検出した場合に、RAM52の入賞球フラグ記憶エリア52bの始動口スイッチ72に対応するフラグが立てられる。この始動口スイッチ72に対応するフラグが「ON」かどうかを確認し、「OFF」の場合には(S101:NO)、S109の処理にジャンプする。
・・・略・・・
【0077】
作動保留数が「4」でない場合、すなわち「0」?「3」のいずれかである場合(S103:NO)、特別図柄作動保留数記憶エリア52fの記憶値に「1」を加算する(S23)。そして、大当たり関係情報記憶エリア52eにループカウンタ記憶エリア52aのカウンタ値を乱数値として取り込む乱数取得処理(S24)を行う。具体的には、大当たり関係情報記憶エリア52eの記憶エリア1?4のうち、特別図柄作動保留数記憶エリア52fの記憶値に対応する番号の記憶エリアに、ループカウンタ記憶エリア52aに記憶されている大当たり判定用ループカウンタLC2、特別図柄作成カウンタLC3,デモ図柄作成カウンタLC4,LC5,LC6、リーチ判定カウンタLC7、リーチパターン決定カウンタLC8の各カウント値を取り込んで記憶させる。
・・・略・・・
【0079】
条件装置作動フラグが「OFF」である場合(S109:NO)、特別図柄が変動中か否かを判断する(S111)。特別図柄が変動中の場合は(S111:YES)、既に入賞した遊技球についての大当たりの判定結果が報知中であり、これが終わるまでは次の入賞球についての処理は行わないので、変動が終了するタイミングかどうかを判断し(S113)、まだ特別図柄が変動を継続する場合には(S113:NO)、特別図柄処理を終了してメインルーチンにリターンする。変動が終了するタイミングであれば(S113:YES)、特別図柄停止コマンドをRAM52のコマンド関係記憶エリア52mに記憶させてセットする(S115)。これを受けて、次の巡目のメインルーチンでは、S1(図13)のコマンド出力処理で特別図柄停止コマンドがサブ統合基板58に出力される。S115が終了すると、特別図柄処理を終了してメインルーチンにリターンする。
・・・略・・・
【0081】
そして、判定エリアに記憶されている大当たり判定用ループカウンタLC2の値を用いて、大当たりか否かの判断を行う(S119)。この大当たり判定処理では、判定エリアに記憶された大当たり判定用ループカウンタLC2の値が大当たりとして決められている特定の値であるか否かが判定される。大当たりとして決められている値は、通常確率状態では、特定の1つの値、例えば、「7」である。一方、確率変動フラグ記憶エリア52hに「1」が記憶されている(確率変動フラグが「ON」の場合)高確率状態では、複数の特定の値、例えば、「3」,「7」,「33」,「77」,「177」である。
【0082】
大当たりと判定された場合には(S119:YES)、高速変動後、判定エリアに記憶された特別図柄作成カウンタLC3の値に基づいて、当たり図柄となる図柄と背景色の組み合わせを決定し、特別図柄表示部28に表示するように、コマンドをRAM52のコマンド関係記憶エリア52mに記憶させてセットする(S121)。大当たりと判定されなかった場合には(S119:NO)、判定エリアに記憶された特別図柄作成カウンタLC3の値に基づいてはずれ図柄となる図柄と背景色の組み合わせを決定し、高速変動後、特別図柄表示部28に表示するように、コマンドをRAM52のコマンド関係記憶エリア52mに記憶させてセットする(S123)。そして特別図柄作動保留数記憶エリア52fの記憶数を「1」減算する保留数減算処理が行われ(S125)、特別図柄処理を終了してメインルーチンにリターンする。」

キ 「【0083】
次に、図15及び図16を参照して、メインルーチンのS11で行われる、デモ図柄処理について説明する。デモ図柄処理では、特別図柄処理の中で大当たり関係情報記憶エリア52eに取り込まれ、大当たり関係情報記憶エリア52eの判定エリアに記憶されているループカウンタの値(乱数値)を用いて図柄を選択し、デモ図柄表示画面30に表示させる処理を行う。
・・・略・・・
【0095】
次に、デモ図柄の高速変動を開始するコマンドに対応するフラグをRAM52のコマンド関係記憶エリア52mに記憶させて、高速変動コマンドをセットする(S363)。さらに、例えば「2500」(5秒)を、デモ図柄変動時間カウンタLC9に、そのカウントの上限値としてセットする。このとき、デモ図柄変動時間カウンタLC9のカウント値はリセットされる。そして、状態フラグ記憶エリア52nの状態フラグを、高速変動状態を示すフラグにセットする。そして、デモ図柄処理を終了し、メインルーチンに戻る。
・・・略・・・
【0097】
メインルーチンの次の巡目以降のデモ図柄処理では、状態フラグ記憶エリア52nの状態フラグが低速変動状態を示すフラグとなっているので(S309:YES)、低速変動終了か否かを確認し(S311)、デモ図柄変動時間カウンタLC9のカウント値が上限値(低速変動時間)に達していない場合は(S311:NO)、デモ図柄処理を終了して、メインルーチンに戻り、デモ図柄の低速変動を継続する。そして、デモ図柄変動時間カウンタLC9のカウント値が上限値(低速変動時間)に達すると(S311:YES)、全図柄停止コマンドセットを行って(S313)、デモ図柄の低速変動を停止するコマンドに対応するフラグをRAM52のコマンド関係記憶エリア52mに記憶させる。その後、デモ図柄処理を終了してメインルーチンに戻る。」

ク 【図4】


ケ 【図13】


コ 【図14】


・認定事項

サ 段落【0032】には「主基板41には、・・・CPU51・・・が設けられており・・・CPU51は・・・メインルーチン・・・を・・・実行し」と記載され、【0063】には「メインルーチンの処理が開始されると、まず制御コマンドをサブ基板に出力するコマンド出力処理が行なわれる(S1)。このコマンド出力処理では、図柄表示基板44に特別図柄表示部28、デモ図柄表示画面30・・・へ図柄を表示させるためのコマンド・・・が・・・サブ統合基板58に出力される」と記載され、段落【0034】には「主基板41はパチンコ機1の主制御を司り・・・サブ統合基板58は・・・図柄表示基板44・・・を制御している・・・図柄表示基板44は特別図柄表示部28,デモ図柄表示画面30・・・に表示される図柄の制御を行い」と記載され、【図4】には、主基板41が、サブ統合基板58及び図柄表示基板44を介して特別図柄表示部28、デモ図柄表示画面30に接続されていることが図示されているから、引用文献1には、主基板41は、特別図柄表示部28、デモ図柄表示画面30へ図柄を表示させるための制御コマンドをサブ統合基板58に出力し、サブ統合基板58は、主基板41から出力された前記制御コマンドに基づいて特別図柄表示部28、デモ図柄表示画面30を制御することが記載されていると認められる。

シ 【図14】には、「特別図柄処理」において、特別図柄変動中ではなく(S111がNO)、大当たり(S119がYES)の場合に、当たり図柄コマンドセット(S121)を実行し、大当たりではない(S119がNO)場合に、はずれ図柄コマンドセット(S123)を実行することが図示され、段落【0082】には「高速変動後・・・当たり図柄となる図柄と背景色の組み合わせを・・・特別図柄表示部28に表示する・・・コマンド・・・記憶させてセットする(S121)・・・はずれ図柄となる図柄と背景色の組み合わせを・・・高速変動後、特別図柄表示部28に表示する・・・コマンドを・・・記憶させてセットする(S123)」と記載され、【図14】には、「特別図柄処理」において、特別図柄変動中であり(S111がYES)、変動終了(S113がYES)の場合に、図柄停止コマンドセット(S115)を実行することが図示され、段落【0079】には「変動が終了するタイミングであれば(S113:YES)、特別図柄停止コマンドを・・・記憶させてセットする(S115)」と記載され、段落【0039】には「デモ図柄表示画面30のデモ図柄表示部D1,D2,D3に変動表示される図柄の高速変動状態(変動開始から一定の高速変動を継続している状態)・・・確定表示状態(図柄の変動が停止して確定表示を行っている状態)」と記載され、段落【0095】には「デモ図柄の高速変動を開始する・・・高速変動コマンドをセットする」と記載され、段落【0051】には「サブ統合基板58への・・・確定表示状態の開始を指示する全図柄停止コマンド」と記載され、段落【0097】には「全図柄停止コマンドセットを行って・・・記憶させる」と記載され、段落【0063】には「コマンド出力処理では・・メインルーチンのS3以降の各処理にて、サブ統合基板58に対して出力させる制御コマンド・・・が・・・記憶される。すると、メインルーチンの次の巡目のコマンド出力処理にて・・・制御コマンドが・・・サブ統合基板58に出力される」と記載され、上記認定事項サより、サブ統合基板58は、主基板41から出力された前記制御コマンドに基づいて特別図柄表示部28、デモ図柄表示画面30を制御することが記載されていると認められるから、引用文献1には、サブ統合基板58は、主基板41から出力された当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドに基づいて特別図柄表示部28の高速変動を開始し、主基板41から出力された特別図柄停止コマンドに基づいて特別図柄表示部28の変動を停止し、主基板41から出力された高速変動コマンドに基づいてデモ図柄表示画面30の高速変動を開始し、主基板41から出力された全図柄停止コマンドに基づいてデモ図柄表示画面30の変動を停止することが記載されていると認められる。

ス 段落【0032】には「主基板41には・・・CPU51・・・が設けられており・・・CPU51は・・・割込信号が入力される毎に・・・メインルーチン・・・を・・・実行し」と記載され、段落【0062】には「メインルーチン・・・は・・・一定間隔の時間・・・で・・・発生される割込みによって、実行が開始される」と記載され、【図13】には、メインルーチンの処理が開始されると、「コマンド出力処理」(S1)、「特別図柄処理」(S9)、「デモ図柄処理」(S11)の順に実行してメインルーチンの実行を終了することが図示され、段落【0063】には「メインルーチンの処理が開始されると、まず制御コマンドをサブ基板に出力するコマンド出力処理が行なわれる(S1)。このコマンド出力処理では・・・特別図柄表示部28、デモ図柄表示画面30・・・へ図柄を表示させるためのコマンド・・・が・・・サブ統合基板58に出力される。具体的には、メインルーチンのS3以降の各処理にて、サブ統合基板58に対して出力させる制御コマンド・・・が・・・記憶される。すると、メインルーチンの次の巡目のコマンド出力処理にて・・・制御コマンドが・・・サブ統合基板58に出力される」と記載され、段落【0075】には「メインルーチンのS9で行われる特別図柄処理について・・・説明する」と記載され、段落【0082】には「高速変動後・・・図柄と背景色の組み合わせを・・・特別図柄表示部28に表示する・・・コマンドを・・・記憶させてセットする・・・そして・・・特別図柄処理を終了してメインルーチンにリターンする」と記載され、段落【0079】には「特別図柄停止コマンドを・・・セットする(S115)・・・S115が終了すると、特別図柄処理を終了してメインルーチンにリターンする」と記載され、段落【0083】には「メインルーチンのS11で行われる、デモ図柄処理について説明する」と記載され、段落【0095】には「デモ図柄の高速変動を開始する・・・高速変動コマンドをセットする・・・そして、デモ図柄処理を終了し、メインルーチンに戻る」と記載され、段落【0051】には「サブ統合基板58への・・・確定表示状態の開始を指示する全図柄停止コマンド」と記載され、段落【0097】には「全図柄停止コマンドセットを行って・・・記憶させる。その後、デモ図柄処理を終了してメインルーチンに戻る」と記載されているから、引用文献1には、主基板41は、一定間隔の時間で発生される割込信号が入力される毎に、メインルーチンを実行し、メインルーチンの処理が開始されると、特別図柄処理とデモ図柄処理にてセットされたコマンドをサブ統合基板58に出力するコマンド出力処理、特別図柄表示部28へ図柄を表示させるためのコマンドをセットする特別図柄処理、デモ図柄表示画面30へ図柄を表示させるためのコマンドをセットするデモ図柄処理、の順に実行してメインルーチンの実行を終了することが記載されていると認められる。

セ 【図14】には、「特別図柄処理」において、特別図柄が変動中でない場合には、大当たりか否かの判定をし、大当たりと判定された場合には、当たり図柄コマンドをセットして特別図柄処理を終了し、大当たりと判定されなかった場合には、はずれ図柄コマンドをセットして特別図柄処理を終了し、特別図柄が変動中である場合には、変動終了か否かの判定をし、変動終了である場合は、特別図柄停止コマンドをセットして特別図柄処理を終了し、変動終了でない場合は、そのまま特別図柄処理を終了することが図示され、段落【0082】には「大当たりと判定された場合には・・・高速変動後・・・当たり図柄となる図柄と背景色の組み合わせを・・・特別図柄表示部28に表示する・・・コマンド・・・記憶させてセットする(S121)。大当たりと判定されなかった場合には・・・・・・高速変動後・・・はずれ図柄となる図柄と背景色の組み合わせを・・・特別図柄表示部28に表示する・・・コマンド・・・記憶させてセットする(S123)・・・そして・・・特別図柄処理を終了してメインルーチンにリターンする」と記載され、段落【0079】には「特別図柄が変動中か否かを判断する・・・特別図柄が変動中の場合は・・・変動が終了するタイミングかどうかを判断し・・・まだ特別図柄が変動を継続する場合には・・・特別図柄処理を終了してメインルーチンにリターンする。変動が終了するタイミングであれば・・・、特別図柄停止コマンドを・・・セットする(S115)・・・S115が終了すると、特別図柄処理を終了してメインルーチンにリターンする」と記載されているから、引用文献1には、特別図柄処理においては、特別図柄が変動中でない場合には、大当たりか否かの判定をし、高速変動後に図柄と背景色の組み合わせを特別図柄表示部28に表示する当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをセットして特別図柄処理を終了し、特別図柄が変動中である場合には、変動が終了するタイミングかどうかの判定をし、まだ特別図柄が変動を継続する場合には、特別図柄処理を終了し、変動が終了するタイミングであれば、特別図柄停止コマンドをセットして特別図柄処理を終了することが記載されていると認められる。

上記ア?キの記載事項、上記ク?コの図面の図示内容、及び、上記サ?セの認定事項を総合勘案すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、a?b2は、本願発明の構成A?B2に対応させて付与し、引用箇所の段落番号等も付記した。

「a 乱数値である大当たり判定用ループカウンタLC2の値が、大当たりとして決められている特定の値であるか否かを判定することで大当たりの判定を行う(【0077】、【0081】)とともに、大当たりの判定の結果を図柄と背景色の組み合わせにより特別図柄表示部28へ表示させるコマンドをサブ統合基板58に出力する主基板41(【0032】、【0067】、【0026】、【0063】)と、主基板41から出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部28に表示される図柄の制御を行うサブ統合基板58(認定事項サ)と、を備え、
b サブ統合基板58は、デモ図柄表示画面30に表示される図柄の制御を行い(【0034】)、
a1 主基板41は、デモ図柄表示画面30へ図柄を表示させるためのコマンドをサブ統合基板58に出力する(【0032】、【0063】)、
c パチンコ機1(【0020】)であって、
a2 大当たりとして決められている値は、通常確率状態では、特定の1つの値であり、一方、高確率状態では、複数の特定の値であり(【0081】)、
a3 主基板41は、一定間隔の時間で発生される割込信号が入力される毎に、メインルーチンを実行し、メインルーチンの処理が開始されると、特別図柄処理とデモ図柄処理にてセットされたコマンドをサブ統合基板58に出力するコマンド出力処理、特別図柄表示部28へ図柄を表示させるためのコマンドをセットする特別図柄処理、デモ図柄表示画面30へ図柄を表示させるためのコマンドをセットするデモ図柄処理、の順に実行してメインルーチンの実行を終了し(認定事項ス)、一方、サブ統合基板58は、前記コマンド出力処理にて出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部28及びデモ図柄表示画面30の図柄変動の開始又は停止を制御し(【0063】、認定事項シ)、
a4 主基板41は、前記特別図柄処理において、前記大当たりの判定の結果に基づいて、特別図柄表示部28の変動を開始させる当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをセットして当該特別図柄処理を終了し(認定事項セ)、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンの前記コマンド出力処理において、当該セットされた当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力し(認定事項ス)、サブ統合基板58は、当該当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドに基づいて特別図柄表示部28の変動を開始し(認定事項シ)、さらに、前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドを出力したコマンド出力処理と同じメインルーチンであり当該コマンド出力処理より後に実行される特別図柄処理においては、特別図柄が変動中であっても、図柄の変動が終了するタイミングでなければ、特別図柄表示部28の変動を停止させる特別図柄停止コマンドをセットしないで当該特別図柄処理を終了し(認定事項ス、セ)、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンの前記コマンド出力処理においても、前記特別図柄停止コマンドをサブ統合基板58に出力せず、サブ統合基板58は、特別図柄表示部28の特別図柄変動を継続し(【0063】、認定事項サ)、
a5 主基板41は、前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをセットした特別図柄処理と同じメインルーチンで実行されるデモ図柄処理において、デモ図柄表示画面30の高速変動を開始させる高速変動コマンドをセットしてデモ図柄処理を終了し(【0068】、【0074】、【0083】、【0095】、認定事項ス)、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンの、前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力するコマンド出力処理と同じコマンド出力処理において、当該高速変動コマンドもサブ統合基板58に出力し(認定事項ス)、
b1 サブ統合基板58は、前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力したコマンド出力処理と同じコマンド出力処理において出力された、前記高速変動コマンドに基づいてデモ図柄の変動を開始し(認定事項サ、シ)、
b2 主基板41は、前記特別図柄処理において、特別図柄が変動中であって、特別図柄の変動が終了するタイミングであれば、前記特別図柄停止コマンドをセットして特別図柄処理を終了し(認定事項セ)、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンのコマンド出力処理において当該特別図柄停止コマンドをサブ統合基板58に出力し(認定事項ス)、サブ統合基板58は、主基板41から出力された前記特別図柄停止コマンドに基づいて特別図柄表示部28の変動を停止し(認定事項シ)、一方、前記デモ図柄処理において、デモ図柄が変動中である場合で、デモ図柄変動時間カウンタLC9のカウント値が上限値に達すると、全図柄停止コマンドをセットしてデモ図柄処理を終了し(【0032】、【0051】、【0097】)、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンのコマンド出力処理において当該全図柄停止コマンドをサブ統合基板58に出力し(認定事項ス)、サブ統合基板58は、主基板41から出力された当該全図柄停止コマンドに基づいてデモ図柄表示画面30の変動を停止する(認定事項シ)、パチンコ機1。」

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する(対比にあたっては、本願発明の構成A?B2と引用発明の構成a?b2について、それぞれ(a)?(b2)の見出しを付して行った。)。

(a)引用発明の「乱数値である大当たり判定用ループカウンタLC2の値が、大当たりとして決められている特定の値であるか否かを判定する」「主基板41」は、乱数値に基づいて所定の確率で「特定の値であるか否かを判定」していることは明らかであるから、本願発明の「所定の確率に応じて抽選を実行する」「主制御手段」に相当する。
また、引用発明の「大当たりの判定の結果を図柄と背景色の組み合わせにより特別図柄表示部28へ表示」することは、本願発明の「抽選の結果に基づいて特別図柄を表示する」ことに相当し、引用発明の「特別図柄表示部28に表示される図柄の制御を行う」ことは、本願発明の「特別図柄を表示する特別図柄表示装置を制御する」ことと、制御内容において共通する。
さらに、引用発明における構成aの「大当たりの判定の結果を図柄と背景色の組み合わせにより特別図柄表示部28へ表示させるコマンドをサブ統合基板58に出力」する「主基板41」と、「主基板41から出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部28に表示される図柄の制御を行う」「サブ統合基板58」とを合わせたものと、本願発明の「抽選の結果に基づいて特別図柄を表示する特別図柄表示装置を制御する」「主制御手段」とは、「所定の確率に応じて抽選を実行するとともに前記抽選の結果に基づいて特別図柄を表示する特別図柄表示装置を制御する」「制御手段」である点で共通する。
そうすると、引用発明における構成aの「乱数値である大当たり判定用ループカウンタLC2の値が、大当たりとして決められている特定の値であるか否かを判定することで大当たりの判定を行うとともに、大当たりの判定の結果を図柄と背景色の組み合わせにより特別図柄表示部28へ表示させるコマンドをサブ統合基板58に出力」する「主基板41」及び「主基板41から出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部28に表示される図柄の制御を行う」「サブ統合基板58」と、本願発明における構成Aの「所定の確率に応じて抽選を実行するとともに前記抽選の結果に基づいて特別図柄を表示する特別図柄表示装置を制御する」「主制御手段」とは、いずれも、「所定の確率に応じて抽選を実行する」「主制御手段」と、「前記抽選の結果に基づいて特別図柄を表示する特別図柄表示装置を制御する」「制御手段」とを備える点で共通する。

(b)引用発明の「デモ図柄表示画面30」は、「図柄」を「表示」するものであるから、本願発明の「演出図柄を表示する演出図柄表示装置」に相当する。
そうすると、引用発明における構成bの「デモ図柄表示画面30に表示される図柄の制御を行」う「サブ統合基板58」は、本願発明における構成Bの「演出図柄を表示する演出図柄表示装置を制御する副制御手段」に相当する。

(a1)上記(b)からすると、引用発明の「デモ図柄表示画面30へ図柄を表示させるためのコマンド」は、本願発明の「前記演出図柄表示装置に表示される前記演出図柄を制御するためのコマンド」に相当する。
そうすると、引用発明における構成a1の「主基板41は、デモ図柄表示画面30へ図柄を表示させるためのコマンドをサブ統合基板58に出力する」ことは、本願発明における構成A1の「主制御手段が前記演出図柄表示装置に表示される前記演出図柄を制御するためのコマンドを前記副制御手段に対して送信可能」であることに相当する。

(c)引用発明における構成cの「パチンコ機1」は、本願発明における構成Cの「遊技機」に相当する。

(a2)引用発明において、「大当たりとして決められている値」が「複数の特定の値」である「高確率状態」は、「大当たりとして決められている値」が「特定の1つの値」のみである「通常確率状態」よりも、「特定の値」の数が多く、その結果として、「大当たり判定用ループカウンタLC2の値」が「特定の値」となる確率(つまり、大当たりの確率)が高くなるから、遊技者に有利であることは明らかである。
そうすると、引用発明における構成a2の「通常確率状態」及び「高確率状態」は、それぞれ、本願発明における構成A2の「通常確率状態」及び「通常確率状態よりも遊技者に有利な確率変動状態」に相当する。

(a3)上記(a)と同様に、引用発明においては、「主基板41」が「特別図柄表示部28へ図柄を表示させるためのコマンドをセットする特別図柄処理」を実行し、「特別図柄処理」「にてセットされたコマンドをサブ統合基板58に出力するコマンド出力処理」を実行するものであるところ、「サブ統合基板58」が「前記コマンド出力処理にて出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部」「の図柄変動の開始又は停止を制御」することは、「特別図柄表示部28」に表示される「図柄変動」「を制御」しているといえるから、引用発明の「特別図柄表示部28へ図柄を表示させるためのコマンドをセットする特別図柄処理」を実行し、「特別図柄処理」「にてセットされたコマンドをサブ統合基板58に出力するコマンド出力処理」を実行する「主基板41」と、「主基板41から出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部28」「の図柄変動の開始又は停止を制御」する「サブ統合基板58」とを合わせたものと、本願発明の「前記特別図柄を表示制御するための処理を行う特別遊技管理処理」を含む「主制御手段」とは、いずれも、「特別図柄を表示制御するための処理を行う」「制御手段」である点で共通する。
また、引用発明において、「主基板41」が「デモ図柄処理にてセットされたコマンドをサブ統合基板58に出力するコマンド出力処理を実行」することは、本願発明の「主制御手段」が「コマンドを前記副制御手段に送信するための処理を行うコマンド出力管理処理と、を含」むことに相当する。
そうすると、引用発明における構成a3の「主基板41は、一定間隔の時間で発生される割込信号が入力される毎に、メインルーチンを実行し、メインルーチンの処理が開始されると、特別図柄処理とデモ図柄処理にてセットされたコマンドをサブ統合基板58に出力するコマンド出力処理、特別図柄表示部28へ図柄を表示させるためのコマンドをセットする特別図柄処理、デモ図柄表示画面30へ図柄を表示させるためのコマンドをセットするデモ図柄処理、の順に実行してメインルーチンの実行を終了し、一方、サブ統合基板58は、前記コマンド出力処理にて出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部28及びデモ図柄表示画面30の図柄変動の開始又は停止を制御」することは、本願発明における構成A3の「前記主制御手段は、前記特別図柄を表示制御するための処理を行う特別遊技管理処理と、前記コマンドを前記副制御手段に送信するための処理を行うコマンド出力管理処理と、を含み」とは、いずれも、「制御手段」が、「特別図柄を表示制御するための処理を行」い、「主制御手段は、前記コマンドを前記副制御手段に送信するための処理を行うコマンド出力管理処理を含」む点で共通する。

(a4)上記(a)及び(a3)と同様に、引用発明において、「主基板41」が「前記特別図柄処理において、前記大当たりの判定の結果に基づいて、特別図柄表示部28の変動を開始させる当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをセット」し、「前記コマンド出力処理において、当該セットされた当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力し」、「サブ統合基板58」が「当該当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドに基づいて特別図柄表示部28の高速変動を開始」することと、本願発明の「主制御手段」が「特別遊技管理処理にて前記抽選の結果に基づいて前記特別図柄を変動表示するための処理を開始」することとは、いずれも、「制御手段」が「所定の処理にて前記抽選の結果に基づいて前記特別図柄を変動表示するための処理を開始」する点で共通する。
また、引用発明においては、「主基板41」が、「前記コマンド出力処理において、当該セットされた当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力」することで「サブ統合基板58」が「当該当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドに基づいて特別図柄表示部28の高速変動を開始」するものであり、かつ、「主基板41」が実行する「当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドを出力した」「コマンド出力処理」「より後に」「実行される特別図柄処理」においては、特別図柄が変動中であっても、図柄の変動が終了するタイミングでなければ、サブ統合基板58は、特別図柄表示部28の特別図柄変動を継続するものであるから、引用発明において、「前記大当たりの判定の結果に基づいて、特別図柄表示部28の変動を開始させる当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをセットして当該特別図柄処理を終了し、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンのコマンド出力処理において、当該セットされた当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力し、サブ統合基板58は、当該当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドに基づいて特別図柄表示部28の変動を開始」することが「先に実行される処理」といえ、そして、「前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドを出力したコマンド出力処理と同じメインルーチンであり当該コマンド出力処理後に実行される特別図柄処理においては、特別図柄が変動中であっても、図柄の変動が終了するタイミングでなければ、特別図柄表示部28の変動を停止させる特別図柄停止コマンドをセットしないで当該特別図柄処理を終了し、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンの前記コマンド出力処理においても、前記特別図柄停止コマンドをサブ統合基板58に出力せず、サブ統合基板58は、特別図柄表示部28の変動を継続する」ことが「その後に実行される処理」であるといえる。
そうすると、引用発明における構成a4の「主基板41は、前記特別図柄処理において、前記大当たりの判定の結果に基づいて、特別図柄表示部28の変動を開始させる当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをセットして当該特別図柄処理を終了し、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンのコマンド出力処理において、当該セットされた当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力し、サブ統合基板58は、当該当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドに基づいて特別図柄表示部28の変動を開始し、さらに、前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドを出力したコマンド出力処理と同じメインルーチンであり当該コマンド出力処理より後に実行される特別図柄処理においては、特別図柄が変動中であっても、図柄の変動が終了するタイミングでなければ、特別図柄表示部28の変動を停止させる特別図柄停止コマンドをセットしないで当該特別図柄処理を終了し、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンの前記コマンド出力処理においても、前記特別図柄停止コマンドをサブ統合基板58に出力せず、サブ統合基板58は、特別図柄表示部28の特別図柄変動を継続」することと、本願発明における構成A4の「先に実行される前記特別遊技管理処理にて前記抽選の結果に基づいて前記特別図柄を変動表示するための処理を開始し、その後に実行される前記特別遊技管理処理にて前記特別図柄を変動表示する制御を継続して実行」することとは、いずれも、「制御手段」が「先に実行される処理にて前記抽選の結果に基づいて前記特別図柄を変動表示するための処理を開始し、その後に実行される処理にて前記特別図柄を変動表示する制御を継続して実行する」点で共通する。

(a5)引用発明の「主基板41」が「コマンド出力処理において、当該高速変動コマンドもサブ統合基板58に出力」することは、本願発明の「主制御手段」が「コマンド出力管理処理にて前記コマンドを前記副制御手段に対して送信するための処理を行」うことに相当する。
そうすると、引用発明における構成a5の「主基板41は、前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをセットした特別図柄処理と同じメインルーチンで実行されるデモ図柄処理において、デモ図柄表示画面30の高速変動を開始させる高速変動コマンドをセットしてデモ図柄処理を終了し、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンの、前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力するコマンド出力処理と同じコマンド出力処理において、当該高速変動コマンドもサブ統合基板58に出力」することと、本願発明における構成A5の「前記特別図柄を変動表示するための処理を開始したときの前記特別遊技管理処理よりも後に発生する割り込み処理において実行される前記コマンド出力管理処理にて前記コマンドを前記副制御手段に対して送信するための処理を行」うこととは、いずれも、「主制御手段」が「前記コマンド出力管理処理にて前記コマンドを前記副制御手段に対して送信するための処理を行」う点で共通する。

(b1)引用発明の「サブ統合基板58」が「出力された前記高速変動コマンドに基づいてデモ図柄の変動を開始」することは、本願発明の「前記副制御手段」が「前記コマンドに基づいて前記演出図柄の変動表示を開始させる」ことに相当する。
そうすると、引用発明における構成b1の「サブ統合基板58は、前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力したコマンド出力処理と同じコマンド出力処理において出力された前記高速変動コマンドに基づいてデモ図柄の変動を開始」することと、本願発明における構成B1の「前記副制御手段は、前記特別図柄の変動表示開始タイミングよりも前記割り込み処理の周期分の時間差によって生じる所定期間だけ遅れて、前記コマンドに基づいて前記演出図柄の変動表示を開始させ」ることとは、いずれも、「前記副制御手段は、前記コマンドに基づいて前記演出図柄の変動表示を開始させる」点で共通する。

(b2)引用発明の「サブ統合基板58」が「主基板41から出力された当該全図柄停止コマンドに基づいてデモ図柄表示画面30の変動を停止する」ことは、本願発明の「副制御手段」が「演出図柄の変動表示を終了させる」に相当する。
そうすると、引用発明における構成b2の「主基板41は、前記特別図柄処理において、特別図柄が変動中であって、特別図柄の変動が終了するタイミングであれば、前記特別図柄停止コマンドをセットして特別図柄処理を終了し、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンのコマンド出力処理において当該特別図柄停止コマンドをサブ統合基板58に出力し、サブ統合基板58は、主基板41から出力された前記特別図柄停止コマンドに基づいて特別図柄表示部28の変動を停止し、一方、メインルーチンの前記デモ図柄処理において、デモ図柄が変動中である場合で、デモ図柄変動時間カウンタLC9のカウント値が上限値に達すると、全図柄停止コマンドをセットしてデモ図柄処理を終了し、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンのコマンド出力処理において当該全図柄停止コマンドをサブ統合基板58に出力し、サブ統合基板58は、主基板41から出力された当該全図柄停止コマンドに基づいてデモ図柄表示画面30の変動を停止する」ことと、本願発明における構成B2の「副制御手段は、前記特別図柄の変動表示終了タイミングよりも前記所定期間と同じ期間だけ遅れて、前記演出図柄の変動表示を終了させる」こととは、いずれも、「副制御手段」が「前記演出図柄の変動表示を終了させる」点で共通する。

よって、両者は、次の点で一致し、相違点1?6で相違する。

[一致点]
「A’所定の確率に応じて抽選を実行する主制御手段と、前記抽選の結果に基づいて特別図柄を表示する特別図柄表示装置を制御する制御手段と、
B 演出図柄を表示する演出図柄表示装置を制御する副制御手段、を備え、
A1 前記主制御手段が前記演出図柄表示装置に表示される前記演出図柄を制御するためのコマンドを前記副制御手段に対して送信可能な
C 遊技機において、
A2 前記所定の確率は、通常確率状態と、該通常確率状態よりも遊技者に有利な確率変動状態と、を有し、
A3’前記制御手段は、特別図柄を表示制御するための処理を行い、主制御手段は、前記コマンドを前記副制御手段に送信するための処理を行うコマンド出力管理処理を含み、
A4’前記制御手段は、先に実行される処理にて前記抽選の結果に基づいて前記特別図柄を変動表示するための処理を開始し、その後に実行される処理にて前記特別図柄を変動表示する制御を継続して実行する一方、
A5’前記主制御手段は、前記コマンド出力管理処理にて前記コマンドを前記副制御手段に対して送信するための処理を行い、
B1’前記副制御手段は、前記コマンドに基づいて前記演出図柄の変動表示を開始させるとともに、
B2’前記副制御手段は、前記演出図柄の変動表示を終了させることを特徴とする遊技機。」

[相違点1](構成A)
上記一致点における構成A’の「前記抽選の結果に基づいて特別図柄を表示する特別図柄表示装置を制御する」処理に関し、
本願発明においては、「主制御手段」が上記処理を実行するのに対し、
引用発明においては、「主基板41」が「大当たりの判定の結果を図柄と背景色の組み合わせにより特別図柄表示部28へ表示させるコマンドをサブ統合基板58に出力」し、さらに、「サブ統合基板58」が「サブ統合基板58」が「主基板41から出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部28に表示される図柄の制御を行」っている点。

[相違点2](構成A3)
上記一致点における構成A3’の「特別図柄を表示制御するための処理」に関し、
本願発明においては、「主制御手段」が含む「特別遊技管理処理」にて実行されるのに対し、
引用発明においては、「制御手段」である「主基板41」が実行する「特別図柄処理」にて「特別図柄表示部28へ図柄を表示させるためのコマンドをセット」し、当該「主基板41」が実行する「コマンド出力処理」にて当該「特別図柄処理にてセットされたコマンドをサブ統合基板58に出力」し、「制御手段」である「サブ統合基板58」が「前記コマンド出力処理にて出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部28を制御」している点。

[相違点3](構成A4)
上記一致点における構成A4’の「先に実行される処理」及び「その後に実行される処理」に関し、
本願発明においては、「主制御手段」が実行する「特別遊技管理処理」であるのに対し、
引用発明においては、「制御手段」である「主基板41」が「コマンドをセットする特別図柄処理」、「制御手段」である「主基板41」が当該「特別図柄処理にてセットされたコマンドをサブ統合基板58に出力するコマンド出力処理」、及び、「制御手段」である「サブ統合基板58」が「主基板41から出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部28の変動を開始又は停止」する処理を合わせたものである点。

[相違点4](構成A5)
上記一致点における構成A5’の「主制御手段が前記コマンド出力管理処理にて前記コマンドを前記副制御手段に対して送信するための処理を行」うタイミングに関し、
本願発明においては、「前記特別図柄を変動表示するための処理を開始したときの前記特別遊技管理処理よりも後に発生する割り込み処理において実行される」「前記コマンド出力管理処理」であるのに対し、
引用発明においては、「制御手段」である「主基板41」が「前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをセットした特別図柄処理を終了し、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンの、前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力するコマンド出力処理」「と同じ」「コマンド出力処理」である点。

[相違点5](構成B1)
上記一致点における構成B1’の「前記副制御手段は、前記コマンドに基づいて前記演出図柄の変動表示を開始させる」タイミングに関し、
本願発明においては、「前記特別図柄の変動表示開始タイミングよりも前記割り込み処理の周期分の時間差によって生じる所定期間だけ遅れて」いるのに対し、
引用発明においては、「前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをサブ統合基板58に出力したコマンド出力処理」「と同じ」「コマンド出力処理」において出力された前記高速変動コマンドに基づいてデモ図柄の変動を開始する点。

[相違点6](構成B2)
上記一致点における構成B2’の「前記副制御手段」が「前記演出図柄の変動表示を終了させる」タイミングに関し、
本願発明においては、「前記特別図柄の変動表示終了タイミングよりも前記所定期間と同じ期間だけ遅れている」のに対し、
引用発明においては、そのような特定がなされていない点。

第6 当審の判断
以下、上記相違点について検討する。

ア 相違点1?3(構成A、A3、A4)について
相違点1?3は、特別図柄の表示に関する点で共通するので、まとめて検討する。
遊技機の分野において、主制御部に特別図柄表示部を設け、サブ制御部に装飾図柄表示部を設けることにより、特別図柄を変動表示する際には、主制御部からサブ制御部へ制御コマンド送信せずに、主制御部が直接特別図柄表示部を制御することは、本願の遡及日前に当業者に広く知られた技術事項である(例えば、当審拒絶理由で引用され、本願の遡及日前に頒布された特開2006-14759号公報(【0041】、【0043】、【図5】には、主基板11が、第1可変表示装置4Aにおける特別図柄の可変表示を制御し、主基板11から特別図柄の可変表示が開始されるとき送信される第1可変表示開始コマンドを受信したことに応答して、表示制御基板12の側で、第3可変表示装置4Cによる飾り図柄の可変表示を開始することが記載されている。)、当審拒絶理由で引用され、本願の遡及日前に頒布された特開2005-110953号公報(【0030】、【図3】には、メイン制御部70において、特別図柄の変動表示を開始すると、変動開始指示をサブ制御部80に送り、表示特別図柄の変動時間が終了するタイミングで、特別図柄の停止図柄を表示し、変動表示の停止指示をサブ制御部80へ送り、サブ制御部80は、変動開始指示を受け取ると、装飾図柄の変動表示を開始し、変動表示の停止指示を受け取ると、装飾図柄の停止図柄を表示することが記載されている。)、本願の遡及日前に頒布された特開2005-304616号公報(【0009】、【0032】、【0033】、【図3】には、主制御部によって直接的に駆動制御されて前記抽選結果を表示する表示部と、主制御部から受けた演出制御用のコマンドに基づいて演出動作を実行するサブ制御部を区別することで、主制御部30の負荷を軽減することが記載されている。)、及び、本願の遡及日前に頒布された特開2006-330号公報(【0003】には、主制御回路が、特別図柄用可変表示装置における特別図柄の可変表示制御処理と表示制御回路への可変表示制御信号の出力処理を行い、表示制御回路は、主制御回路から出力された可変表示制御信号に基づいて装飾図柄用表示装置における装飾図柄の可変表示制御を行うようにすることにより、主制御回路の処理負担を軽減しながら、装飾図柄用表示装置に多種多様な可変表示態様で装飾図柄を可変表示させることが記載されている。)等を参照。以下「周知の技術事項1」という。)。
そして、引用発明と上記周知の技術事項1とは、特別図柄表示部と装飾図柄表示部とを備えた遊技機である点で共通する。
そうすると、引用発明に上記周知の技術事項1を適用し、特別図柄表示部28をサブ統合基板58ではなく主基板41に設けることで、主基板41の「特別図柄表示部28へ図柄を表示させるためのコマンドをセットする特別図柄処理」において、直接特別図柄表示部28を制御するようにすることにより、その後に、「主基板41」が「コマンド出力処理」にて当該「特別図柄処理にてセットされたコマンドをサブ統合基板58に出力」すること、及び、「サブ統合基板58」が「前記コマンド出力処理にて出力されたコマンドに基づいて特別図柄表示部28を制御」することなく、特別図柄の変動表示を開始するように構成し、上記相違点1?3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

イ 相違点4(構成A5)について
上記「ア 相違点1?3(構成A、A3、A4)について」で述べたように、引用発明に上記周知の技術事項1を適用することにより、「前記当たり図柄コマンド又ははずれ図柄コマンドをセットした特別図柄処理」において、「特別図柄を変動表示するための処理」を開始するようにすると、その結果として、引用発明の構成a5においては、「特別図柄を変動表示するための処理を開始した特別図柄処理」と同じメインルーチンで実行されるデモ図柄処理において、デモ図柄表示画面30の高速変動を開始させる高速変動コマンドをセットしてデモ図柄処理を終了し、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンのコマンド出力処理において、当該高速変動コマンドもサブ統合基板58に出力することとなることは明らかである。
よって、引用発明に上記周知の技術事項1を適用することにより、上記相違点4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 相違点5(構成B1)について
上記「イ 相違点4(構成A5)について」で述べたように、引用発明に上記周知の技術事項1を適用することにより、「特別図柄を変動表示するための処理を開始した特別図柄処理」の一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンのコマンド出力処理において、当該高速変動コマンドもサブ統合基板58に出力するようにすると、その結果として、引用発明の構成b1の「サブ統合基板58」が「コマンド出力処理において出力された前記高速変動コマンドに基づいてデモ図柄の変動を開始」するタイミングについても、「特別図柄を変動表示するための処理を開始した特別図柄処理」の一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンの実行時(本願発明の構成B1の「割り込み処理の周期分の時間差によって生じる所定期間だけ遅れて」に相当)となることは明らかである。
よって、引用発明に上記周知の技術事項1を適用することにより、上記相違点5に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

エ 相違点6(構成B2)について
まず、引用発明の構成b2においては、サブ統合基板58が主基板41から出力された特別図柄停止コマンド及び全図柄停止コマンドに基づいて特別図柄表示部28及びデモ図柄表示画面30に表示される図柄の変動を停止することが特定されているものの、引用発明においては、特別図柄表示部28の特別図柄の変動終了の条件(つまり、特別図柄の変動が終了するタイミング)と、デモ図柄表示画面30に表示されるデモ図柄の変動終了条件(つまり、デモ図柄変動時間カウンタLC9のカウント値が上限値となるタイミング)との関係について何ら明らかにするものではない。
しかしながら、遊技機の分野において、特別図柄表示と装飾図柄表示の同期を取るために、主制御部の特別図柄表示部の変動時間と、サブ制御部の装飾図柄表示部でのデモ図柄変動時間を同じ時間とすることは、本願の遡及日前に当業者に広く知られた技術事項である(例えば、当審拒絶理由で引用され、本願の遡及日前に頒布された特開2006-14759号公報(【0043】には、主基板11が、第1可変表示装置4Aにおける特別図柄の可変表示を制御し、表示制御基板12が第3可変表示装置4Cにおける飾り図柄の可変表示を制御する遊技機において、主基板11が第1可変表示装置4Aの特別図柄の可変表示が開始されるときに第1表示開始コマンドを送信し、表示制御基板12の側で第1可変表示開始コマンドを受信したことに応答して第3可変表示装置4Cにおける飾り図柄の可変表示を開始し、一方、第1可変表示装置4Aの特別図柄の可変表示が終了するときに第1可変表示終了コマンドを送信し、表示制御基板12の側で第1可変表示終了コマンドを受信したことに応答して第3可変表示装置4Cにて可変表示されていた飾り図柄を停止表示させることが記載されている。)、及び、当審拒絶理由で引用され、本願の遡及日前に頒布された特開2005-110953号公報(【0005】、【0029】には、特別図柄の変動表示が開始すると、それを契機として装飾図柄も変動表示を開始し、特別図柄が停止すると、装飾図柄の変動表示もそれと同期して停止することで、装飾図柄が特別図柄の変動表示の時間と同等の時間、変動表示されることが記載されている。)を参照。以下「周知の技術事項2」という。)と共に、当業者における技術常識である。
また、引用発明と上記周知の技術事項2とは、特別図柄表示部と装飾図柄表示部とを備えた遊技機である点で共通する。
そうすると、引用発明に周知の技術事項2を適用することにより、若しくは、当業者の技術常識を考慮して、引用発明の構成b2’において、特別図柄表示部28とデモ図柄表示画面30の変動時間を同じ変動時間とし、特別図柄表示部28及びデモ図柄表示画面30に表示される図柄の変動時間が当該期間を経過することを変動終了条件とすることは当業者が容易に想到し得るものである。
そして、上述の構成に対して、上記「ウ 相違点5(構成B1)について」で述べたとおり、引用発明に周知の技術事項1を適用することで、「主基板41」が「特別図柄を変動表示するための処理を開始した特別図柄処理」の一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンの実行時に「サブ統合基板58」が「デモ図柄の変動を開始」するようにしたものは、結果として、サブ統合基板58が主基板41から出力された当該全図柄停止コマンドに基づいてデモ図柄表示画面30の変動を停止する(本願発明の「演出図柄の変動表示を終了させる」に相当)タイミングについても、「主基板41」が「特別図柄変動を停止した特別図柄処理」より、一定間隔の時間経過後に発生される次の割込信号によって実行されるメインルーチンの実行時(本願発明の「割り込み処理の周期分の時間差によって生じる所定期間だけ遅れて」に相当)となることは明らかである。
よって、引用発明に上記周知の技術事項1及び2を適用することにより、上記相違点6に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

エ 請求人の主張について
審判請求人は、平成30年12月20日付け意見書において、本願発明の進歩性に関して、次のとおり主張している。

「2.本願発明が特許されるべき理由
・・・略・・・
(2-2)補正後の本願発明と引用文献との対比
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)は、今般の補正により、上記発明特定事項を具備し、この構成により下記(a)?(c)の効果を奏します。
(a)主制御手段の負担を軽減させつつも、確率変動状態を副制御手段に確実に通知可能となる。
(b)主制御手段は、先に実行される特別遊技管理処理にて抽選の結果に基づいて特別図柄を表示する制御を開始し、その後に発生する割り込み処理において実行されるコマンド出力管理処理にて演出制御対象の制御を開始させるためのコマンドを副制御手段に対して送信するため、特別図柄を変動表示する制御を開始した後に確実にコマンドを副制御手段に対して送信することが可能となり、制御処理の確実性や安定性を向上することに繋がる。
(c)副制御手段は、特別図柄の変動表示開始タイミングよりも割り込み処理の周期分の時間差によって生じる所定期間だけ遅れてコマンドに基づいて演出図柄の変動表示を開始させ、そのタイミングに関連して、特別図柄の変動表示終了タイミングよりも前述の所定期間と同じ期間だけ遅れて演出図柄の変動表示を終了させるため、特別図柄の変動表示開始から終了のタイミングと、演出図柄の変動表示開始から終了のタイミングとを合わせることで、それぞれの図柄変動時間を統一させて遊技の違和感を出さないようにすることができる。
これに対し、各引用文献に記載された発明においては、本願補正発明のように、「前記副制御手段は、前記特別図柄の変動表示開始タイミングよりも前記割り込み処理の周期分の時間差によって生じる所定期間だけ遅れて、前記コマンドに基づいて前記演出図柄の変動表示を開始させるとともに、前記特別図柄の変動表示終了タイミングよりも前記所定期間と同じ期間だけ遅れて、前記演出図柄の変動表示を終了させる」ことに関する開示も示唆もありません。
先般の拒絶理由通知では、相違点2について「引用発明に上記周知の技術事項を適用したものは、結果として、サブ統合基板58が、コマンド出力処理にて出力されたコマンドに基づいてデモ図柄の変動表示を「開始」又は「終了」するタイミングについても、特別図柄処理(つまり、特別図柄を変動表示するための処理)の一定間隔の時間経過後(本願発明の「所定の時間だけ遅れる」に相当)となることは明らかである。」と認定されております。
しかしながら、引用文献2も3も特別図柄の変動表示開始タイミングよりも割り込み処理の周期分の時間差によって生じる所定期間だけ遅れて演出図柄の変動表示を開始させること、加えて、そのタイミングに関連して、特別図柄の変動表示終了タイミングよりも前述の所定期間と同じ期間だけ遅れて演出図柄の変動表示を終了させるため、特別図柄の変動表示開始から終了のタイミングと、演出図柄の変動表示開始から終了のタイミングとを合わせることについてまでの開示はありません。
よって、各引用文献に記載された発明では、上記した本願補正発明の効果のうちとくに(c)を奏することはありません。」

しかしながら、審判請求人の上記主張(a)?(c)は、それぞれ、上記「第6 当審の判断」の「ア 相違点1?3(構成A、A3、A4)について」、「イ 相違点4(構成A5)について」及び「ウ 相違点5(構成B1)について」、並びに、「エ 相違点6(構成B2)について」において検討した各相違点1?6に対応するものであり、そして、既に検討したとおり、当該主張に係る本願発明の構成は、引用発明に上記周知の技術事項1?2を適用することにより、当業者が適宜なし得たものであり、また、本願発明により奏される効果も、当業者が、引用発明、及び、上記周知の技術事項1?2から予測し得る効果の範囲内のものであって、格別のものではない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

オ 小括
よって、本願発明は、引用発明、周知の技術事項1?2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-02-21 
結審通知日 2019-02-26 
審決日 2019-03-11 
出願番号 特願2015-187216(P2015-187216)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (A63F)
P 1 8・ 161- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 智也藤澤 和浩  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 濱野 隆
赤穂 州一郎
発明の名称 遊技機  
代理人 竹ノ内 勝  
代理人 横堀 芳徳  
代理人 竹沢 荘一  

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