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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する E04G
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する E04G
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する E04G
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する E04G
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する E04G
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する E04G
管理番号 1351679
審判番号 訂正2019-390032  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2019-02-22 
確定日 2019-04-25 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5999539号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5999539号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5999539号(以下「本件特許」という。)は、平成28年5月13日に特許出願され、平成28年9月9日にその特許権の設定登録がなされ、その後、平成31年2月22日に本件訂正審判が請求されたものである。


2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書および特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書および訂正特許請求の範囲のとおり訂正すること認める、との審決を求めるものであって、その請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟で連結せられた2本の支柱の所定の高さ位置に建物側が解放された平面視コ形の連結部材がこれに設けられたクランプにより取付けられ」とあるのを、
「仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟で連結せられた2本の支柱の所定の高さ位置に建物と反対側が解放された平面視コ形の連結部材がこれに設けられたクランプにより取付けられ」に訂正する。
請求項1を引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「この連結部材にシート取付け枠の管状縦部材の下端部嵌め入れ用短筒が2つ並んで建物側方向に傾斜自在に取付けられ」とあるのを、
「この連結部材にシート取付け枠の管状枠縦部材の下端部嵌め入れ用短筒が2つ並んで建物側方向に立ち上がるように傾斜自在に取付けられ」に訂正する。
請求項1を引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「両短筒と両枠縦部材の側壁下部に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する短筒と縦部材の連結部材が取り付けられると共に短筒の側壁と枠縦部材のロックピン対応箇所にピン孔があけられており」とあるのを、
「両短筒の外面に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する短筒と枠縦部材の連結部材が取り付けられると共に短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており」に訂正する。
請求項1を引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「枠上下横部材および左右縦部材の建物側面にそれぞれ所要数のメッシュシート掛止めピンが設けられており、これら掛止めピン全体をメッシュシートの周囲に多数取付けられたはとめに通すことにより、メッシュシートがシート取付け枠に張止められ、左右縦部材の真中より上方位置に支持部材上端部取付片が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片に支柱側下端部または長さの中程に下部紐取付け用逆U形部材を有する支持部材の上端部が揺動自在に取付けられ、左右縦部材の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱に支持部材下端部保持部材が取付けられており」とあるのを、
「枠上下横部材および左右枠縦部材の建物側面にそれぞれ所要数のメッシュシート掛止めピンが設けられており、これら掛止めピン全体をメッシュシートの周囲に多数取付けられたはとめに通すことにより、メッシュシートがシート取付け枠に張止められ、左右枠縦部材の真中より上方位置に支持部材上端部取付片が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片に支柱側下端部または長さの中程に下部紐取付け用逆U形部材を有する支持部材の上端部が揺動自在に取付けられ、左右枠縦部材の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱に支持部材下端部保持部材が取付けられており」に訂正する。
請求項1を引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。

(5)訂正事項5
明細書の段落0007に「請求項1の発明による仮設用朝顔装置は、仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟で連結せられた2本の支柱の所定の高さ位置に建物側が解放された平面視コ形の連結部材がこれに設けられたクランプにより取付けられ、この連結部材にシート取付け枠の管状縦部材の下端部嵌め入れ用短筒が2つ並んで建物側方向に傾斜自在に取付けられ、これら短筒の対向する連結部材側の外面に平面視コ形突出部が設けられ、他方両端が若干上向きに曲げられた枠下横部材の外側横に上下水平部に貫通孔があけられた外向きコ形部材が固着せられ、短筒外面の平面視コ形突出部に枠下横部材の外向きコ形部材が嵌め被せられ、くさびが差込まれることにより、枠下横部材が連結部材に連結せられ、両短筒と両枠縦部材の側壁下部に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する短筒と縦部材の連結部材が取り付けられると共に短筒の側壁と枠縦部材のロックピン対応箇所にピン孔があけられており、両孔にロックピンが挿入せられることにより、両短筒と両枠縦部材が連結せられ、他方、シート取付け枠の枠上横部材の両端に上端に上部紐取付け用逆U形部材を有する有底短筒が底側を上にして固着せられており、両有底短筒の対向面の下部に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する枠縦部材と枠上横部材の連結部材が取付けられると共に有底短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており、両孔にロックピンが挿入せられることにより、左右の枠縦部材の上部が枠上横部材に連結せられており、枠上下横部材および左右縦部材の建物側面にそれぞれ所要数のメッシュシート掛止めピンが設けられており、これら掛止めピン全体をメッシュシートの周囲に多数取付けられたはとめに通すことにより、メッシュシートがシート取付け枠に張止められ、左右縦部材の真中より上方位置に支持部材上端部取付片が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片に支柱側下端部または長さの中程に下部紐取付け用逆U形部材を有する支持部材の上端部が揺動自在に取付けられ、左右縦部材の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱に支持部材下端部保持部材が取付けられており、両上部紐取付け用逆U形部材に取り付けられた2本の紐が一番上の桟に上から引っ掛けられて下におろされ、両下部紐取付け用逆U形部材に取付けられているものである。」とあるのを、
「請求項1の発明による仮設用朝顔装置は、仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟で連結せられた2本の支柱の所定の高さ位置に建物と反対側が解放された平面視コ形の連結部材がこれに設けられたクランプにより取付けられ、この連結部材にシート取付け枠の管状枠縦部材の下端部嵌め入れ用短筒が2つ並んで建物側方向に立ち上がるように傾斜自在に取付けられ、これら短筒の対向する連結部材側の外面に平面視コ形突出部が設けられ、他方両端が若干上向きに曲げられた枠下横部材の外側横に上下水平部に貫通孔があけられた外向きコ形部材が固着せられ、短筒外面の平面視コ形突出部に枠下横部材の外向きコ形部材が嵌め被せられ、くさびが差込まれることにより、枠下横部材が連結部材に連結せられ、両短筒の外面に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する短筒と枠縦部材の連結部材が取り付けられると共に短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており、両孔にロックピンが挿入せられることにより、両短筒と両枠縦部材が連結せられ、他方、シート取付け枠の枠上横部材の両端に上端に上部紐取付け用逆U形部材を有する有底短筒が底側を上にして固着せられており、両有底短筒の対向面の下部に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する枠縦部材と枠上横部材の連結部材が取付けられると共に有底短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており、両孔にロックピンが挿入せられることにより、左右の枠縦部材の上部が枠上横部材に連結せられており、枠上下横部材および左右枠縦部材の建物側面にそれぞれ所要数のメッシュシート掛止めピンが設けられており、これら掛止めピン全体をメッシュシートの周囲に多数取付けられたはとめに通すことにより、メッシュシートがシート取付け枠に張止められ、左右枠縦部材の真中より上方位置に支持部材上端部取付片が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片に支柱側下端部または長さの中程に下部紐取付け用逆U形部材を有する支持部材の上端部が揺動自在に取付けられ、左右枠縦部材の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱に支持部材下端部保持部材が取付けられており、両上部紐取付け用逆U形部材に取り付けられた2本の紐が一番上の桟に上から引っ掛けられて下におろされ、両下部紐取付け用逆U形部材に取付けられているものである。」に訂正する。

(6)訂正事項6
明細書の段落0010に「請求項1の発明による仮設用朝顔装置は、仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟で連結せられた2本の支柱の所定の高さ位置に建物側が解放された平面視コ形の連結部材がこれに設けられたクランプにより取付けられ、この連結部材にシート取付け枠の管状縦部材の下端部嵌め入れ用短筒が2つ並んで建物側方向に傾斜自在に取付けられ、これら短筒の対向する連結部材側の外面に平面視コ形突出部が設けられ、他方両端が若干上向きに曲げられた枠下横部材の外側横に上下水平部に貫通孔があけられた外向きコ形部材が固着せられ、短筒外面の平面視コ形突出部に枠下横部材の外向きコ形部材が嵌め被せられ、くさびが差込まれることにより、枠下横部材が連結部材に連結せられ、両短筒と両枠縦部材の側壁下部に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する短筒と縦部材の連結部材が取り付けられると共に短筒の側壁と枠縦部材のロックピン対応箇所にピン孔があけられており」とあるのを、
「請求項1の発明による仮設用朝顔装置は、仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟で連結せられた2本の支柱の所定の高さ位置に建物と反対側が解放された平面視コ形の連結部材がこれに設けられたクランプにより取付けられ、この連結部材にシート取付け枠の管状枠縦部材の下端部嵌め入れ用短筒が2つ並んで建物側方向に立ち上がるように傾斜自在に取付けられ、これら短筒の対向する連結部材側の外面に平面視コ形突出部が設けられ、他方両端が若干上向きに曲げられた枠下横部材の外側横に上下水平部に貫通孔があけられた外向きコ形部材が固着せられ、短筒外面の平面視コ形突出部に枠下横部材の外向きコ形部材が嵌め被せられ、くさびが差込まれることにより、枠下横部材が連結部材に連結せられ、両短筒の外面に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する短筒と枠縦部材の連結部材が取り付けられると共に短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており」に訂正する。

(7)訂正事項7
明細書の段落0011に「また、枠上下横部材および左右縦部材の建物反対側面にそれぞれ所要数のメッシュシート掛止めピンが設けられており」とあるのを、
「また、枠上下横部材および左右枠縦部材の建物側面にそれぞれ所要数のメッシュシート掛止めピンが設けられており」に訂正する。

(8)訂正事項8
明細書の段落0012に「さらに、左右縦部材の真中より上方位置に支持部材上端部取付片が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片に支柱側下端部に下部紐取付け用逆U形部材を有する支持部材の上端部が揺動自在に取付けられ、左右縦部材の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱に支持部材下端部保持部材が取付けられており」とあるのを、
「さらに、左右枠縦部材の真中より上方位置に支持部材上端部取付片が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片に支柱側下端部に下部紐取付け用逆U形部材を有する支持部材の上端部が揺動自在に取付けられ、左右枠縦部材の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱に支持部材下端部保持部材が取付けられており」に訂正する。

(9)訂正事項9
明細書の段落0015に「【図8】上縦部材と枠上横部材とが連結されている状態を示す部分拡大断面図である。」とあるのを、
「【図8】枠縦部材と枠上横部材とが連結されている状態を示す部分拡大断面図である。」に訂正する。

(10)訂正事項10
明細書の段落0017に「図1ないし図10に示す仮設用朝顔装置は、仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟(1)で連結せられた2本の支柱(2)の所定の高さ位置に建物側が解放された平面視コ形の連結部材(3)がこれに設けられたクランプ(4)により取付けられ、この連結部材(3)にシート取付け枠(5)の角管状縦部材(6)の下端部嵌め入れ用角短筒(7)が2つ並んで建物側方向に傾斜自在に取付けられ、これら上記出願対向する連結部材(3)側の外面に平面視コ形突出部(8)が設けられ、他方両端が若干上向きに曲げられた枠下横部材(9)の外側横に上下水平部に貫通孔があけられた外向きコ形部材(10)が固着せられ、角短筒(7)外面の平面視コ形突出部(8)に枠下横部材(9)の外向きコ形部材(10)が嵌め被せられ、くさび(11)が差込まれることにより、枠下横部材(9)が連結部材(3)に連結せられ、両短筒(7)と両枠縦部材(6)の側壁下部に渦巻きバネ(46)で付勢せられたロックピン(47)を有する短筒(7)と縦部材(6)の連結部材(48)が取り付けられると共に短筒(7)の側壁と枠縦部材(6)のロックピン(47)対応箇所にピン孔(49)(50)があけられており」とあるのを、
「図1ないし図10に示す仮設用朝顔装置は、仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟(1)で連結せられた2本の支柱(2)の所定の高さ位置に建物と反対側が解放された平面視コ形の連結部材(3)がこれに設けられたクランプ(4)により取付けられ、この連結部材(3)にシート取付け枠(5)の角管状枠縦部材(6)の下端部嵌め入れ用角短筒(7)が2つ並んで建物側方向に立ち上がるように傾斜自在に取付けられ、これら短筒の対向する連結部材(3)側の外面に平面視コ形突出部(8)が設けられ、他方両端が若干上向きに曲げられた枠下横部材(9)の外側横に上下水平部に貫通孔があけられた外向きコ形部材(10)が固着せられ、角短筒(7)外面の平面視コ形突出部(8)に枠下横部材(9)の外向きコ形部材(10)が嵌め被せられ、くさび(11)が差込まれることにより、枠下横部材(9)が連結部材(3)に連結せられ、両短筒(7)の外面に渦巻きバネ(46)で付勢せられたロックピン(47)を有する短筒(7)と枠縦部材(6)の連結部材(48)が取り付けられると共に短筒(7)の側壁と枠縦部材(6)の側壁のロックピン(47)対応箇所にピン孔(49)(50)があけられており」に訂正する。

(11)訂正事項11
明細書の段落0018に「そして、シート取付け枠(5)の縦部材(6)および上横部材(14)には、所定間隔おきに、逆L形のシート止め部材(51)が取付けられている。」とあるのを、
「そして、シート取付け枠(5)の枠縦部材(6)および枠上横部材(14)には、所定間隔おきに、逆L形のシート止め部材(51)が取付けられている。」に訂正する。

(12)訂正事項12
明細書の段落0020に「左右縦部材(6)の真中より上方位置に支持部材上端部取付片(38)が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片(38)に支柱側下端部に下部紐取付け用逆U形部材(39)を有する支持部材(40)の上端部が揺動自在に取付けられ、左右縦部材(6)の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱(2)に支持部材下端部保持部材(41)が取付けられており」とあるのを、
「左右枠縦部材(6)の真中より上方位置に支持部材上端部取付片(38)が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片(38)に支柱側下端部に下部紐取付け用逆U形部材(39)を有する支持部材(40)の上端部が揺動自在に取付けられ、左右枠縦部材(6)の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱(2)に支持部材下端部保持部材(41)が取付けられており」に訂正する。

(13)訂正事項13
明細書の段落0023に「(6) 角管状縦部材」とあるのを、
「(6) 角管状枠縦部材」に訂正する。


3 当審の判断
(1)訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項1は、平面視コ形の連結材の解放された方向が、「建物側」であったものを「建物と反対側」に訂正するものである。
該解放された方向について、段落【0018】には、「シート取付け枠(5)の枠下横部材(9)および角短筒(7)の建物側面には、所定間隔おきに、シート止め部材(30)が取付けられている。」と記載され、【図5】をみると、角短筒(7)の左側、つまり支柱(2)側に、シート止め部材(30)が設けられていることが看取できる。そして【図3】をみると、短筒(7)の左側に支柱(2)が設けられていることから、【図3】の左側が建物側といえるところ、連結部材(3)の解放された方向は、【図3】の右方向であるから、連結部材(3)の解放された方向は、建物と反対側であることは明らかである。
よって、平面視コ形の連結材の解放された方向について、訂正前の「建物側」は、「建物と反対側」の誤記であることは明らかであるから、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものである。

(イ)特許請求の範囲の実質・拡張の存否について
訂正事項1は、上記(ア)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、発明のカテゴリや対象、目的を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)新規事項の有無について
上記(ア)のとおりであるから、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的の適否について
a 「管状縦部材」を「管状枠縦部材」とする訂正について
訂正前の請求項1には、「管状縦部材」、「両枠縦部材」、「縦部材」、「枠縦部材」、「左右縦部材」の用語が混在している。これらの用語が「シート取付け枠」の同一の構成部材を指すことは、段落0017、0018、0020および図1、2、4、5、8において、上記各用語に対して同一の符号(6)が使用されていることからみても明らかである。
よって、上記「管状縦部材」を「管状枠縦部材」とする訂正は、構成部材を指す用語を統一して、請求項1に係る記載を明瞭なものとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

b 「短筒」が「建物側方向に傾斜自在」であったものを、「建物側方向に立ち上がるように傾斜自在」とする訂正について
明細書の段落0022に「支持部材(40)の長さは、シート(36)の取付けられたシート取付け枠(5)が、上方から落ちてくる不定落下物を受止めうるように、支柱(2)から斜め上に張出す形態となるような長さとなされている。そして、強風や積雪前にシート取付け枠(5)を垂直にしたい場合は、2本の紐(42)をシート取付け枠(5)が垂直になるまでたぐり寄せ、余った部分を左右の支柱(2)に巻止めておけばよい。」との記載がある。
そして、図1および図2は、シート取付け枠(5)が支柱(2)を斜め上に張り出す形態を示すものであって、短筒(7)は、シート取付け枠(5)と同じく、支柱(2)から建物と反対側方向へ向かって斜めに張り出している。
また、図3ないし図5には、短筒(7)が、建物側方向に向かって立ち上がった形態が示されている。
つまり、明細書及び図面の記載によれば、短筒(7)が傾斜する方向は建物とは反対方向であって、建物側方向には立ち上がった状態であるから、訂正前の請求項1の「短筒が2つ並んで建物側方向に傾斜自在に取付られ」との記載は、明細書及び図面の記載と整合しておらず、明瞭でないと言える。
よって、「短筒」が「建物側方向に傾斜自在」であったものを、「建物側方向に立ち上がるように傾斜自在」とする訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、発明のカテゴリや対象、目的を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)新規事項の有無について
上記(ア)で述べたとおり、訂正事項2は、段落0017、0018、0020、0022及び図1ないし5及び8に記載された事項であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されて事項の範囲内の訂正である。

ウ 訂正事項3
(ア)訂正の目的の適否について
a 「連結部材」が取り付けられる位置が「両短筒と両枠縦部材の側壁下部」であったものを「両短筒の外面」とする訂正について
「連結部材(48)」は、図5から明らかなように、「両短筒(7)と両枠縦部材(6)の側壁下部」に取り付けられたものではなく、「両短筒(7)の外面」に取り付けたものである。
また、段落0017には、「短筒(7)と縦部材(6)の連結部材(48)」と実質的に同一の構造を有する「枠縦部材(6)と枠上横部材(14)の連結部材(19)」について、「両有底短筒(16)の対向面の下部に渦巻きバネ(17)で付勢せられたロックピン(18)を有する枠縦部材(6)と枠上横部材(14)の連結部材(19)が取り付けられると共に短筒(16)の側壁(20)と枠縦部材(6)の側壁(21)のロックピン対応箇所にピン孔(49)(50)があけられており」との記載がある。
よって、訂正前の請求項1の連結部材が取り付けられる位置が「両短筒と両枠縦部材の側壁下部」であることは「両短筒の外面」の誤記であることは明らかである。
よって、「連結部材」が取り付けられる位置が「両短筒の両枠縦部材の側壁下部」であったものを「両短筒の外面」とする訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。

b 「縦部材」を「枠縦部材」とする訂正について
「縦部材」を「縦枠部材」と訂正することは、上記訂正事項2の「管状縦部材」を「管状枠縦部材」とする訂正と実質的に同じであるから、上記(イ)で検討したとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

c 「枠縦部材」にあけられている「ピン孔」の位置を、「枠縦部材の側壁」とする訂正について
「枠縦部材」の「ピン孔」の位置は、より明確に特定すると、図5から明らかなように「枠縦部材(6)の側壁のロックピン対応箇所」にあけられたものである。そして、上記(ア)で挙げた段落0017の記載とも整合するものである。
よって、「枠縦部材」にあけられている「ピン孔」の位置を、「枠縦部材の側壁」とする訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項3は、上記(ア)のとおり、誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、発明のカテゴリや対象、目的を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)新規事項の有無について
訂正事項3は、上記イ(ア)a及び上記(ア)のとおり、段落0017、0018、0020及び図1、2、4、5、8に記載された事項であるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されて事項の範囲内の訂正である。

エ 訂正事項4
訂正事項4は、「縦部材」を「枠縦部材」に訂正するものであって、上記訂正事項2の「管状縦部材」を「管状枠縦部材」とする訂正と実質的に同様の訂正であるから、その適否も上記イで述べたとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されて事項の範囲内の訂正である。

オ 訂正事項5、6、8、10、11、12
訂正事項5、6、8、10、11、12は、請求項1に係る訂正事項1ないし訂正事項4の訂正に伴い、明細書の段落0007、0010、0012、0017、0018、0020の記載を、訂正後の請求項1の記載と整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、特許請求の範囲を実質上、拡張又は変更するものではないことは明らかである。

カ 訂正事項7
(ア)訂正の目的の適否
a 「左右縦部材」を「左右枠縦部材」とする訂正について
「左右縦部材」を「左右縦枠部材」と訂正することは、上記訂正事項2のうち、「管状縦部材」を「管状枠縦部材」とする訂正と実質的に同じであるから、上記イで検討したとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

b メッシュシート掛止めピンが設けられる位置を、「枠上下横部材及び左右枠縦部材」の「建物反対側面」であるものを「建物側面」とする訂正について
「メッシュシート掛止めピン」は、図1及び図2をみると、建物側面に設けられていることは明らかであって、請求項1にも、「枠上下横部材および左右縦部材の建物側面にそれぞれ所要数のメッシュシート掛止めピンが設けられており、」と記載されていることから、メッシュシート掛止めピンが設けられる位置を、「枠上下横部材および左右枠縦部材」の「建物反対側」であるものを「建物側面」とする訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。

(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項7は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明及び誤記の訂正を目的とするものであって、発明のカテゴリや対象、目的を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)新規事項の有無について
訂正事項7は、上記イ(ア)a及び上記(ア)で述べたとおり、請求項1、段落0017、0018、0020、図1、2、4、5、8に記載された事項であるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されて事項の範囲内の訂正である。

キ 訂正事項9
(ア)訂正の目的の適否について
【図8】は、枠縦部材6の上端と枠上横部材14とが連結されている状態を示すことは明らかであるから、訂正事項9は誤記の訂正を目的とするものである。

(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項9は、上記(ア)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、発明のカテゴリや対象、目的を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)新規事項の有無について
訂正事項9は、上記(ア)で述べたとおり、図8に記載された事項であるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されて事項の範囲内の訂正である。

ク 訂正事項13
訂正事項13は、「角管状縦部材」を「角管状枠縦部材」に訂正するものであって、上記訂正事項2の「管状縦部材」を「管状枠縦部材」とする訂正と実質的に同様の訂正であるから、その適否も上記イで述べたとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されて事項の範囲内の訂正である。

(2)独立特許要件について
上記(1)で検討したとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものを含む訂正である。
そこで、特許法第126条第7項の規定により、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1ないし3に係る発明(以下「訂正後発明1」等という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討すると、訂正後発明1ないし3が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は発見しない。
したがって、訂正後発明1ないし3は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。


4 むすび
以上のとおり、訂正事項1ないし13は、特許法第126条第1項ただし書第2号または第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
仮設用朝顔装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、仮設用朝顔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場において作業用部材や工具などの落下物を受け止めるための仮設用朝顔装置は、下記特許文献1および2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第319413号公報
【特許文献2】特開2015-48670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の朝顔装置では、縦枠と横枠とをねじで固定する構造になっているので、現場での朝顔の取付け取外しの作業時ねじを落とすおそれがある。また、縦枠と横枠をばらさないとシートが外れない構造になっているので、台風接近時等に現地でシートのみを短時間で簡単に外すことができない。
【0005】
上記特許文献2の朝顔装置では、斜め部材の下端部でピンを抜き差ししてロックの解除を行う構造になっており、折畳み作業場所とロック解除作業場所が離れているため、一人の作業では時間がかかる。また、構造も複雑であるため、設置位置を随意とすることは難しいという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、朝顔パネルの折畳みと張出し作業を一人で簡単に行えるようにし、さらにシートを現地で簡単に外せるようにした仮設用朝顔装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明による仮設用朝顔装置は、仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟で連結せられた2本の支柱の所定の高さ位置に建物と反対側が解放された平面視コ形の連結部材がこれに設けられたクランプにより取付けられ、この連結部材にシート取付け枠の管状枠縦部材の下端部嵌め入れ用短筒が2つ並んで建物側方向に立ち上がるように傾斜自在に取付けられ、これら短筒の対向する連結部材側の外面に平面視コ形突出部が設けられ、他方両端が若干上向きに曲げられた枠下横部材の外側横に上下水平部に貫通孔があけられた外向きコ形部材が固着せられ、短筒外面の平面視コ形突出部に枠下横部材の外向きコ形部材が嵌め被せられ、くさびが差込まれることにより、枠下横部材が連結部材に連結せられ、両短筒の外面に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する短筒と枠縦部材の連結部材が取り付けられると共に短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており、両孔にロックピンが挿入せられることにより、両短筒と両枠縦部材が連結せられ、他方、シート取付け枠の枠上横部材の両端に上端に上部紐取付け用逆U形部材を有する有底短筒が底側を上にして固着せられており、両有底短筒の対向面の下部に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する枠縦部材と枠上横部材の連結部材が取付けられると共に有底短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており、両孔にロックピンが挿入せられることにより、左右の枠縦部材の上部が枠上横部材に連結せられており、枠上下横部材および左右枠縦部材の建物側面にそれぞれ所要数のメッシュシート掛止めピンが設けられており、これら掛止めピン全体をメッシュシートの周囲に多数取付けられたはとめに通すことにより、メッシュシートがシート取付け枠に張止められ、左右枠縦部材の真中より上方位置に支持部材上端部取付片が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片に支柱側下端部または長さの中程に下部紐取付け用逆U形部材を有する支持部材の上端部が揺動自在に取付けられ、左右枠縦部材の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱に支持部材下端部保持部材が取付けられており、両上部紐取付け用逆U形部材に取り付けられた2本の紐が一番上の桟に上から引っ掛けられて下におろされ、両下部紐取付け用逆U形部材に取付けられているものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の仮設用朝顔装置において、シート取付け枠に張止められたメッシュシートがシート取付け枠下端より若干はみ出す大きさに形成せられ、このメッシュシートはみ出し部が建物側に折り曲げられているものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1記載の仮設用朝顔装置において、支持部材下端部保持部材が、縦長扁平角筒の支持部材側の壁にほぼその全長にわたって長孔があけられるとともにその上部の支柱側縁に欠円形切欠部が形成せられ、下端に支柱の反対側に折れ曲がった斜め下向き孔が連続してあけられており、支持部材下端部に欠円形切欠部から長孔に嵌め入れられる長孔の幅より若干大きい径で縦長扁平角筒の壁厚より若干長い軸により固定せられている円盤と支持部材下端部保持部材の下端部とにより長孔の両縁が緩く挟まれるようになされているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明による仮設用朝顔装置は、仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟で連結せられた2本の支柱の所定の高さ位置に建物と反対側が解放された平面視コ形の連結部材がこれに設けられたクランプにより取付けられ、この連結部材にシート取付け枠の管状枠縦部材の下端部嵌め入れ用短筒が2つ並んで建物側方向に立ち上がるように傾斜自在に取付けられ、これら短筒の対向する連結部材側の外面に平面視コ形突出部が設けられ、他方両端が若干上向きに曲げられた枠下横部材の外側横に上下水平部に貫通孔があけられた外向きコ形部材が固着せられ、短筒外面の平面視コ形突出部に枠下横部材の外向きコ形部材が嵌め被せられ、くさびが差込まれることにより、枠下横部材が連結部材に連結せられ、両短筒の外面に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する短筒と枠縦部材の連結部材が取り付けられると共に短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており、両孔にロックピンが挿入せられることにより、両短筒と両枠縦部材が連結せられ、他方、シート取付け枠の枠上横部材の両端に上端に上部紐取付け用逆U形部材を有する有底短筒が底側を上にして固着せられており、両有底短筒の対向面の下部に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する枠縦部材と枠上横部材の連結部材が取付けられると共に有底短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており、両孔にロックピンが挿入せられることにより、左右の枠縦部材の上部が枠上横部材に連結せられており、枠形成にねじを使用しないから、枠組立て時にねじを落とすなどというおそれはない。
【0011】
また、枠上下横部材および左右枠縦部材の建物側面にそれぞれ所要数のメッシュシート掛止めピンが設けられており、これら掛止めピンをメッシュシートの周囲に多数取付けられたはとめに通すことにより、メッシュシートがシート取付け枠に張止められているから、必要とあれば、現地でメッシュシートを簡単に枠から外すことができる。
【0012】
さらに、左右枠縦部材の真中より上方位置に支持部材上端部取付片が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片に支柱側下端部に下部紐取付け用逆U形部材を有する支持部材の上端部が揺動自在に取付けられ、左右枠縦部材の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱に支持部材下端部保持部材が取付けられており、両上部紐取付け用逆U形部材に取り付けられた2本の紐が一番上の桟に上から引っ掛けられて下におろされて両下部紐取付け用逆U形部材に取付けられているものであるから、一人で紐をたぐり寄せてメッシュシートの張られた枠を垂直に保持することができるので、強風や積雪対策のために朝顔を閉じるのに便利である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1記載の仮設用朝顔装置において、シート取付け枠に張止められたメッシュシートがシート取付け枠下端より若干はみ出す大きさに形成せられ、このメッシュシートはみ出し部が建物側に折り曲げられているものであるから、足場の上方からの落下物が、シート取付け枠の枠より若干建物よりに落下してもこれを受止めることができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1記載の仮設用朝顔装置において、支持部材下端部保持部材が、縦長扁平角筒の支持部材側の壁にほぼその全長にわたって長孔があけられるとともにその上部の支柱側縁に欠円形切欠部が形成せられ、下端に支柱の反対側に折れ曲がった支持部材に対してほぼ直角方向の斜め下向き孔が連続してあけられており、支持部材下端部に欠円形切欠部から長孔に嵌め入れられる長孔の幅より若干大きい径で縦長扁平角筒の壁厚より若干長い軸により固定せられている円盤と支持部材下端部保持部材の下端部とにより長孔の縁が緩く挟まれるようになされているものであるから、シート取付け枠を上からの落下物を受け止めうるように斜めに開いてその支持部材の下端部をその保持部材に簡単かつ確実に保持することができる。さらに下から吹き上げる風に対しても支持部材の長さ方向に対してほぼ直角方向の斜め下向き孔により、支持部材下端部をその保持部材に確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のメッシュシートの一部を切り欠いた仮設用朝顔装置の斜視図である。
【図2】本発明の仮設用朝顔装置の側面図である。
【図3】枠下横部材が、支柱に取付けられた連結部材に連結される直前の状態を示す部分拡大斜視図である。
【図4】枠下横部材が、支柱に取付けられた連結部材に連結され、連結部材の短筒に枠縦部材の下端部が嵌め入れられる直前の状態を示す部分拡大斜視図である。
【図5】枠下横部材が、支柱に取付けられた連結部材に連結され、連結部材の短筒に枠縦部材の下端部が嵌め入れられた状態を示す部分拡大断面図である。
【図6】支柱に取付けられた支持部材下端部保持部材の拡大正面図である。
【図7】図6のVII?VII線の断面図である。
【図8】枠縦部材と枠上横部材とが連結されている状態を示す部分拡大断面図である。
【図9】図8のIX?IX線の断面図である。
【図10】図8のX?X線の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0017】
図1ないし図10に示す仮設用朝顔装置は、仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟(1)で連結せられた2本の支柱(2)の所定の高さ位置に建物と反対側が解放された平面視コ形の連結部材(3)がこれに設けられたクランプ(4)により取付けられ、この連結部材(3)にシート取付け枠(5)の角管状枠縦部材(6)の下端部嵌め入れ用角短筒(7)が2つ並んで建物側方向に立ち上がるように傾斜自在に取付けられ、これら短筒の対向する連結部材(3)側の外面に平面視コ形突出部(8)が設けられ、他方両端が若干上向きに曲げられた枠下横部材(9)の外側横に上下水平部に貫通孔があけられた外向きコ形部材(10)が固着せられ、角短筒(7)外面の平面視コ形突出部(8)に枠下横部材(9)の外向きコ形部材(10)が嵌め被せられ、くさび(11)が差込まれることにより、枠下横部材(9)が連結部材(3)に連結せられ、両短筒(7)の外面に渦巻きバネ(46)で付勢せられたロックピン(47)を有する短筒(7)と枠縦部材(6)の連結部材(48)が取り付けられると共に短筒(7)の側壁と枠縦部材(6)の側壁のロックピン(47)対応箇所にピン孔(49)(50)があけられており、両孔(49)(50)にロックピン(47)が挿入せられることにより、両短筒(7)と両枠縦部材(6)が連結せられ、他方、シート取付け枠(5)の枠上横部材(14)の両端に上端に上部紐取付け用逆U形部材(15)を有する有底短筒(16)が底側を上にして固着せられており、両有底短筒(16)の対向面の下部に渦巻きバネ(17)で付勢せられたロックピン(18)を有する枠縦部材(6)と枠上横部材(14)の連結部材(19)が取付けられると共に短筒(16)の側壁(20)と枠縦部材(6)の側壁(21)のロックピン対応箇所にピン孔(49)(50)があけられており、両孔(49)(50)にロックピン(47)が挿入せられることにより、左右の枠縦部材(7)の上部が枠上横部材(7)に連結せられている。連結部材(19)は、有底角短筒(16)に固着せられかつバネ(17)を受ける垂直壁(24)を有するコ形台座(25)と、台座(25)の垂直壁(24)を貫通せしめられたバネ受け(26)付きロックピン(18)の頭が固着せられている平坦部(27)と、これから台座(25)の両外側に折曲げられた逆L形部(28)と、平坦部(27)の残りの両辺から逆L形部(28)の反対側に折曲げられたつまみ(29)とよりなるものである。ロックピン(18)を有底角短筒(16)の側壁(20)と枠縦部材(16)の側壁(21)の各ピン孔(22)(23)から抜き、枠縦部材(6)と枠上横部材(14)の端の有底角短筒(16)結合を解き、枠縦部材(6)と枠上横部材(14)を分離可能とする。この状態を保つには、連結部材(14)の逆L形部(28)を持ってロックピン(18)をピン孔(22)(23)から抜き、つまみ(29)を持って逆L形部(28)を90度回した後、逆L形部(28)の垂直部(28a)を台座(25)の上に置く。すると、ロックピン(18)のバネ受け(27)にうけられているバネ(17)の力が台座(25)に置かれた逆L形部(28)に働き、ロックピン(18)がピン孔(22)(23)から抜かれた状態が保たれる。
【0018】
シート取付け枠(5)の枠下横部材(9)および角短筒(7)の建物側面には、所定間隔おきに、シート止め部材(30)が取付けられている。角短筒(7)の建物側面にもシート止め部材(30)が取付けられている。シート止め部材(30)は、シート取付け枠(5)に固定されたこれと直角をなしかつ上端に二股部(31)を有する固定部(32)と固定部(32)の二股部(31)に長さ方向の長孔(33)を介してピン(34)で揺動自在に止められたシート押さえ片(35)とよりなる。そして、シート取付け枠(5)の枠縦部材(6)および枠上横部材(14)には、所定間隔おきに、逆L形のシート止め部材(51)が取付けられている。枠下横部材(9)に備わったシート止め部材(30)は、そのシート押さえ片(35)をその固定部(32)と同じ向きになるように真っ直ぐにし、これらにシート(36)の全周に所定間隔おきに取付けられたはとめに通した後シート押さえ片(35)を直角に折り曲げてシート(36)をシート取付け枠(5)に張止める。逆L形のシート止め部材(51)の場合は、単にはとめに通すだけである。シート(36)としては、軽量なメッシュシートが用いられている。
【0019】
シート(36)は、シート取付け枠(5)の下端より若干はみ出す大きさに形成せられ、そのはみ出し部(37)が建物側に折り曲げられており、支柱(2)より建物側における上からの落下物を受止め得るようになっている。
【0020】
左右枠縦部材(6)の真中より上方位置に支持部材上端部取付片(38)が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片(38)に支柱側下端部に下部紐取付け用逆U形部材(39)を有する支持部材(40)の上端部が揺動自在に取付けられ、左右枠縦部材(6)の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱(2)に支持部材下端部保持部材(41)が取付けられており、両上部紐取付け用逆U形部材(15)に取り付けられた2本の紐(42)が一番上の桟(1)に上から引っ掛けられて下におろされ、両下部紐取付け用逆U形部材(39)に取付けられている。
【0021】
2本の支柱(2)の所定の高さ位置に支柱(2)と直角をなして建物方向に突出する3つの突出状横管(43)が支柱(2)に固着せられ、両横管(43)に作業棚(44)がその両端にも設けられたフック(45)により上から引掛けられることにより渡止められている。
【0022】
支持部材(40)の長さは、シート(36)の取付けられたシート取付け枠(5)が、上方から落ちてくる不定落下物を受止めうるように、支柱(2)から斜め上に張出す形態となるような長さとなされている。そして、強風や積雪前にシート取付け枠(5)を垂直にしたい場合は、2本の紐(42)をシート取付け枠(5)が垂直になるまでたぐり寄せ、余った部分を左右の支柱(2)に巻止めておけばよい。
【符号の説明】
【0023】
(1) 桟
(2) 支柱
(3) 連結部材
(4) クランプ
(5) シート取り付け枠
(6) 角管状枠縦部材
(7) 角短筒
(8) 平面視コ形突出部
(9) 枠下横部材
(10)外向きコ形部材
(11)くさび
(14)枠上横材
(15)上部紐取付け用逆U形部材
(16)有底短筒
(17)渦巻きバネ
(18)ロックピン
(19)枠縦部材と枠上横部材の連結部材
(20)短筒の側壁
(21)枠縦部材の側壁
(22)ピン孔
(23)ピン孔
(24)台座の垂直壁
(25)コ形台座
(26)バネ受け
(27)平坦部
(28)逆L形部
(28a)逆L形部の垂直部
(29)つまみ
(30)シート止め部材
(31)二股部
(32)固定部
(33)長孔
(34)ピン
(35)シート押さえ片
(36)シート
(37)シートのはみ出し部
(38)支持部材上端部取付片
(39)下部紐取付け用逆U形部材
(40)支持部材
(41)支持部材下端部保持部材
(42)紐
(43)突出状横管
(44)作業棚
(45)フック
(46)渦巻きバネ
(47)ロックピン
(48)短筒と枠縦部材の連結部材
(49)ピン孔
(50)ピン孔
(51)逆L形のシート止め部材
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設足場に所定間隔をおいて立てられ複数の桟で連結せられた2本の支柱の所定の高さ位置に建物と反対側が解放された平面視コ形の連結部材がこれに設けられたクランプにより取付けられ、この連結部材にシート取付け枠の管状枠縦部材の下端部嵌め入れ用短筒が2つ並んで建物側方向に立ち上がるように傾斜自在に取付けられ、これら短筒の対向する連結部材側の外面に平面視コ形突出部が設けられ、他方両端が若干上向きに曲げられた枠下横部材の外側横に上下水平部に貫通孔があけられた外向きコ形部材が固着せられ、短筒外面の平面視コ形突出部に枠下横部材の外向きコ形部材が嵌め被せられ、くさびが差込まれることにより、枠下横部材が連結部材に連結せられ、両短筒の外面に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する短筒と枠縦部材の連結部材が取り付けられると共に短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており、両孔にロックピンが挿入せられることにより、両短筒と両枠縦部材が連結せられ、他方、シート取付け枠の枠上横部材の両端に上端に上部紐取付け用逆U形部材を有する有底短筒が底側を上にして固着せられており、両有底短筒の対向面の下部に渦巻きバネで付勢せられたロックピンを有する枠縦部材と枠上横部材の連結部材が取付けられると共に有底短筒の側壁と枠縦部材の側壁のロックピン対応箇所にピン孔があけられており、両孔にロックピンが挿入せられることにより、左右の枠縦部材の上部が枠上横部材に連結せられており、枠上下横部材および左右枠縦部材の建物側面にそれぞれ所要数のメッシュシート掛止めピンが設けられており、これら掛止めピン全体をメッシュシートの周囲に多数取付けられたはとめに通すことにより、メッシュシートがシート取付け枠に張止められ、左右枠縦部材の真中より上方位置に支持部材上端部取付片が垂下状に固定せられ、両支持部材上端部取付片に支柱側下端部または長さの中程に下部紐取付け用逆U形部材を有する支持部材の上端部が揺動自在に取付けられ、左右枠縦部材の連結部材取付け位置の下方位置において2本の支柱に支持部材下端部保持部材が取付けられており、両上部紐取付け用逆U形部材に取り付けられた2本の紐が一番上の桟に上から引っ掛けられて下におろされ、両下部紐取付け用逆U形部材に取付けられている仮設用朝顔装置。
【請求項2】
シート取付け枠に張止められたメッシュシートがシート取付け枠下端より若干はみ出す大きさに形成せられ、このメッシュシートはみ出し部が建物側に折り曲げられている請求項1記載の仮設用朝顔装置。
【請求項3】
支持部材下端部保持部材が、縦長扁平角筒の支持部材側の壁にほぼその全長にわたって長孔があけられるとともにその上部の支柱側縁に欠円形切欠部が形成せられ、下端に支柱の反対側に折れ曲がった斜め下向き孔が連続してあけられており、支持部材下端部に欠円形切欠部から長孔に嵌め入れられる長孔の幅より若干大きい径で縦長扁平角筒の壁厚より若干長い軸により固定せられている円盤と支持部材下端部保持部材の下端部とにより長孔の両縁が緩く挟まれるようになされている請求項1記載の仮設用朝顔装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-03-26 
結審通知日 2019-03-28 
審決日 2019-04-16 
出願番号 特願2016-96879(P2016-96879)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (E04G)
P 1 41・ 841- Y (E04G)
P 1 41・ 855- Y (E04G)
P 1 41・ 854- Y (E04G)
P 1 41・ 856- Y (E04G)
P 1 41・ 853- Y (E04G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 五十幡 直子  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 小野 忠悦
住田 秀弘
登録日 2016-09-09 
登録番号 特許第5999539号(P5999539)
発明の名称 仮設用朝顔装置  
代理人 松村 直都  
代理人 渡邉 彰  
代理人 岸本 瑛之助  
代理人 渡邉 彰  
代理人 岸本 瑛之助  
代理人 松村 直都  

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