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審決分類 |
審判 一部申し立て 特174条1項 H04Q 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H04Q 審判 一部申し立て 2項進歩性 H04Q |
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管理番号 | 1352319 |
異議申立番号 | 異議2019-700217 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-03-18 |
確定日 | 2019-06-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6392522号発明「操作端末、プログラム、及び方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6392522号の請求項1、2、4、5に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6392522号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成26年2月14日に出願され、平成29年7月19日付けで拒絶理由が通知され、同年11月20日に手続補正がされ、平成30年5月29日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年7月4日に手続補正がされ、同年7月13日付けで特許査定がされ、同年8月31日にその特許権の設定登録がされ、同年9月19日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許のうち請求項1、2、4、5に係る特許に対し、平成31年3月18日に特許異議申立人西林博(以下「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 特許第6392522号の請求項1、2、4、5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明4」、「本件発明5」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、2、4、5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 表示部、通信部及び制御部を備える操作端末であって、 前記通信部は、機器が属する機器種別を示す情報要素及び機器に適用可能な操作を示す情報要素を含む機器情報を、前記操作端末が操作可能な複数の機器から受信し、 前記制御部は、2以上の対象機器のそれぞれに適用可能な操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作の内容と前記2以上の対象機器とを対応付ける参照情報、及び、前記複数の機器から受信する前記機器情報に基づいて、前記組み合わせ操作の内容を示す組み合わせ操作オブジェクトを前記表示部に表示する制御を行い、 前記組み合わせ操作を定義する操作は、公衆ネットワークを経由する操作指示が許容される操作と、前記公衆ネットワークを経由する操作指示が許容されない操作とを含むことを特徴とする操作端末。」 「【請求項2】 前記制御部は、前記組み合わせ操作オブジェクトを選択するユーザ入力を検知した場合に、前記組み合わせ操作に対応する操作指示を前記2以上の対象機器に送信するように前記通信部を制御することを特徴とする請求項1に記載の操作端末。」 「【請求項4】 表示部及び通信部を備える操作端末に、 機器が属する機器種別を示す情報要素及び機器に適用可能な操作を示す情報要素を含む機器情報を、前記操作端末が操作可能な複数の機器から受信するステップと、 2以上の対象機器のそれぞれに適用可能な操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作の内容と前記2以上の対象機器とを対応付ける参照情報、及び、前記複数の機器から受信する前記機器情報に基づいて、前記組み合わせ操作の内容を示す組み合わせ操作オブジェクトを表示するステップと、 を実行させ、 前記組み合わせ操作を定義する操作は、公衆ネットワークを経由する操作指示が許容される操作と、前記公衆ネットワークを経由する操作指示が許容されない操作とを含むことを特徴とするプログラム。」 「【請求項5】 操作端末を含む制御システムにおいて用いられる方法であって、 機器が属する機器種別を示す情報要素及び機器に適用可能な操作を示す情報要素を含む機器情報を、前記操作端末が操作可能な複数の機器から受信するステップと、 2以上の対象機器のそれぞれに適用可能な操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作の内容と前記2以上の対象機器とを対応付ける参照情報、及び、前記複数の機器から受信する前記機器情報に基づいて、前記組み合わせ操作の内容を示す組み合わせ操作オブジェクトを表示するステップと、 を含み、 前記組み合わせ操作を定義する操作は、公衆ネットワークを経由する操作指示が許容される操作と、前記公衆ネットワークを経由する操作指示が許容されない操作とを含むことを特徴とする方法。」 第3 申立理由の概要 異議申立人の申立理由の概要は、以下のとおりである。 1 異議申立人は、主たる証拠として特開2007-259329号公報(以下「甲1」という。)並びに従たる証拠として国際公開第2006/095593号(以下「甲2」という。)、特開2008-283433号公報(以下「甲3」という。)及び特開2012-253756号公報(以下「甲4」という。)を提出し、請求項1、2、4、5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、請求項1、2、4、5に係る特許を取り消すべきものである旨主張する(以下「申立理由1」という。)。 2 異議申立人は、平成29年11月20日にされた手続補正により請求項3についてされた補正及び平成30年7月4日に請求項1、2、4、5についてされた前記請求項3の事項を追加する補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、同法第113条第1号に該当し、請求項1、2、4、5に係る特許を取り消すべきものである旨主張する(以下「申立理由2」という。)。 3 異議申立人は、請求項1、2、4、5に係る特許についての出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、同法第113条第4号に該当し、請求項1、2、4、5に係る特許を取り消すべきものである旨主張する(以下「申立理由3」という。)。 4 異議申立人は、請求項1、2、4、5に係る特許についての出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、同法第113条第4号に該当し、請求項1、2、4、5に係る特許を取り消すべきものである旨主張する(以下「申立理由4」という。)。 第4 文献の記載 1 甲1の記載と甲1発明 甲1には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「【0019】 <第1実施形態> 図1は本発明の好ましい第1の実施形態に係る遠隔制御システムの概略構成図である。このシステムは、遠隔制御装置1と、遠隔制御装置1によって制御されるAV機器2-1、テレビ2-2などの各種の機器2とを含む。 【0020】 機器2は自己に固有の情報(機器2の識別番号、ID、シリアル番号、メーカ番号、型式番号、機種、外部ネットワーク上のアドレスなど機器2に固有の情報であれば何でも可)である機器固有情報を赤外線信号などの光学的信号に重畳して発信する固有情報発信部61と、遠隔制御装置1からの遠隔制御信号(赤外線信号その他の光学的信号あるいはBluetoothその他の電気的信号で発信)を受信する受信部62とを備える。固有情報発信部61は発光ダイオードや赤外線LEDなどで構成される。 【0021】 固有情報発信部61は、低周波数のパイロット信号を機器固有情報の光学的信号に重畳して発信する。固有情報発信部61の発光装置がLEDであり、元々低周波数での輝度の変調(輝度のレベルの変化)が入っていれば、その輝度の変調を利用してパイロット信号を重畳するとよい。一般の人々はLEDの明滅には慣れているから、輝度の変調によるパイロット信号の発信には違和感を覚えないであろう。また、輝度の変調を二値で行うのではなく、緩やかに輝度が判るように変調すればより違和感を覚えにくくなる。 【0022】 受信部62は、遠隔制御装置1から遠隔制御信号を受信し、その信号を図示しない内蔵のワンチップマイコンなどで構成された制御装置に送る。制御装置は、遠隔制御信号の規定する制御内容を解釈し、その制御内容に応じて、図示しない映像再生回路、音声再生回路などの各ブロックを制御する。 【0023】 図2は、本発明の好ましい実施形態に係る遠隔制御装置1の機能ブロック図である。遠隔制御装置1は、撮像レンズ、CMOSやCCDなどの固体撮像素子、ドライバが固体撮像素子から読み取ったアナログ画像をデジタル信号に処理するためのアナログフロントエンドIC、アナログフロントエンドICからのデジタル画像信号を処理するDSP(Digital Signal Processor)等の信号処理ICなどを含んだカメラ部20、ワンチップマイコンなどで構成されカメラ部20の撮像動作を制御するカメラ制御部21を含む。 【0024】 また、遠隔制御装置1は、テンキーや十字キーなどで構成された操作部14への入力操作、リモコン信号送受信部22が外部から受信した各種の操作信号、カメラ部20の取得した画像や機器固有情報などに従って表示部13の表示制御を行う表示制御部26を備えている。 【0025】 また、遠隔制御装置1は、各部の動作制御を統括するCPU10、各種データやプログラムを記憶するROM12、CPU10の処理に必要な各種データを記憶するRAM11を備えている。 【0026】 特にROM12には、CPU10が操作部14への操作に応じた機器2の制御コードを重畳した遠隔制御信号を発信するようリモコン信号制御部23または無線制御部16を制御するための制御プログラムおよび操作部14の各部の操作とその操作によって重畳される制御コードとの関係を視覚的に表示するリモコンGUIを、複数存在する機器2ごとに格納している。 【0027】-【0037】(略) 【0038】 リモコン信号送受信部22は、受光素子を備える。図2はカメラ部20とリモコン信号送受信部22とは別体で示されているが、実際には、受光素子は、カメラ部20の固体撮像素子と共通する。このため、カメラ部20が機器2の固有情報発信部61を被写体Sとして撮像すると、画像と合わせて、各機器2が光学的に発信した機器固有情報が取得できる。 【0039】 リモコン信号制御部23は、パイロット信号の検出位置に基づき、情報発信位置を特定する。リモコン信号制御部23は、カメラ部20の固体撮像素子を制御し、情報発信位置部分に関しては高フレームレートで、それ以外の部分は低フレームレートで再び静止画取得動作を行う。情報取得のフレームレートを増やせば、それだけ伝送できる情報を多くできる。 【0040】 リモコン信号制御部23は、外部の機器2からリモコン信号送受信部22に入射した光学信号に重畳されている機器固有情報を、高フレームレートで取得された情報発信位置から抽出し、デジタルデータに変換してCPU10に出力する。 【0041】 CPU10は、リモコン信号制御部23から入力した機器固有情報に応じ、機器固有情報で特定される機器2に固有の制御コードを規定したテーブルをROM12からRAM11に読み出す。そして、操作部14の操作に応じた特定の機器2の制御コードをRAM11から読み出して、リモコン信号制御部23に送る。 【0042】 リモコン信号送受信部22は発光ダイオードや赤外線LEDなどで構成された光学的信号発信手段を備える。リモコン信号制御部23は、CPU10から指示された制御コードその他のデータを重畳した光学的信号を機器2に発信する。このように、遠隔制御装置1から機器2に光学的な制御信号を送ることで操作部14による特定の機器2の遠隔操作が可能である。 【0043】 また、遠隔制御装置1は、USBその他の規格に従ってパソコンやプリンタなどの各種電子機器と通信する外部インターフェース部15を備える。」 図2は以下のとおり。 「【0046】 図3は遠隔制御装置1の遠隔操作処理の流れを示すフローチャートである。 【0047】 S1では、CPU10は、カメラ部20の得た静止画像における情報発信位置の機器固有情報を取得する。そして、機器固有情報に基づいて各機器2を視覚的に識別可能な映像情報(典型的にはアイコン)を生成した上、取得した静止画と映像情報とを合成して表示する。アイコンの合成位置はパイロット信号の検出位置の近傍にすれば、静止画における各機器2の被写体像と機器2の発信した情報との関係が視覚的にかつ直感的に分かりやすい。 【0048】 S2では、機器固有情報の取得された機器2を一斉に制御する指示を開始するか否かの選択が操作部14から入力されたか否かを判断する。一斉制御の指示の開始が選択された場合はS3、一斉制御の指示の開始が選択されない場合はS6に移行する。 【0049】 なお、図4に示すように、「一斉操作」の選択を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースMAを表示し、インターフェースMAの「一斉操作」に対するタッチ操作やクリック操作に応じて一斉制御の選択を受け付けるとよい。 【0050】 S3では、CPU10は、操作部14を介し、操作対象となる所望の機器2の選択を受け付ける。 【0051】 S4では、選択された機器に対して発行される制御内容、例えば電源オン、音声ボリュームの変更などの選択を受け付ける。 【0052】 S5では、リモコン信号制御部23は、リモコン信号送受信部22を介し、選択された制御内容を規定した制御コードを含んだ遠隔制御信号を、選択された特定の機器2に発信する。選択された機器2は、遠隔制御信号に応じて動作する。 【0053】 なお、図4に示すように、各機器2の選択や制御内容の選択は、機器2ごとに設けられたグラフィカルユーザインターフェースM1、M2に対するタッチ操作やクリック操作に応じて受け付けるとよい。 【0054】 S6では、「電源OFF」や「電源ON」などすべての機器2に対して発行される共通の制御内容の選択を受け付ける。 【0055】 なお、図5に示すように、「電源OFF」や「電源ON」などのコマンドの選択を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースMAを表示し、インターフェースMAの「電源OFF」や「電源ON」に対するタッチ操作やクリック操作に応じて一斉制御の制御内容の選択を受け付けるとよい。 【0056】 S7では、リモコン信号制御部23は、リモコン信号送受信部22を介し、選択された制御内容を規定した制御コードを含んだ遠隔制御信号を、各機器2に発信する。各機器2は、遠隔制御信号に応じて一斉に共通の動作をする。 【0057】 このように、本実施形態では、ユーザが遠隔制御装置1を用いて、機器2を個別にあるいは一斉に遠隔制御することができる。特に、本実施形態では、機器2を一斉に遠隔制御できるから、外出時に複数の機器2の電源をオフにしたい場合や、帰宅時に複数の機器2の電源をオンにしたい場合など、同じ動作を複数の機器2に対して一斉に行わせたい場合は、非常に便利である。」 図5は以下のとおり。 「【0063】 遠隔制御装置1は、基地局8、移動体通信網7、インターネット6およびルータ5を介した外部ネットワークか、無線ステーション4との無線通信を介してLAN3と接続する。遠隔制御装置1は、インターネット6介して接続されたサーバ30に対して機器2の制御に関する情報を要求し、この要求に応じてサーバ30が機器操作データベース31から当該機器2の制御に関する情報を抽出して遠隔制御装置1に送る。こうすることで制御コードなどのアップデートが可能である。その他の構成は第1実施形態と同様である。」 a 段落【0019】より、甲1には、「遠隔制御装置1と、遠隔制御装置1によって制御されるAV機器2-1、テレビ2-2などの各種の機器2とを含む」「遠隔制御システム」について記載され、そのうち「遠隔制御装置1」について以下の記載がある。 b 段落【0020】より、前記機器2は「自己に固有の情報(機器2の識別番号、ID、シリアル番号、メーカ番号、型式番号、機種、外部ネットワーク上のアドレスなど機器2に固有の情報であれば何でも可)である機器固有情報を赤外線信号などの光学的信号に重畳して発信する固有情報発信部61」を備え、段落【0038】より、前記「遠隔制御装置1」の「リモコン信号送受信部22」は、「カメラ部20が機器2の固有情報発信部61を被写体Sとして撮像すると、画像と合わせて、各機器2が光学的に発信した機器固有情報が取得でき」、段落【0040】より、「リモコン信号制御部23は、外部の機器2からリモコン信号送受信部22に入射した光学信号に重畳されている機器固有情報を、高フレームレートで取得された情報発信位置から抽出し、デジタルデータに変換してCPU10に出力」し、段落【0041】より、「CPU10は、リモコン信号制御部23から入力した機器固有情報に応じ、機器固有情報で特定される機器2に固有の制御コードを規定したテーブルをROM12からRAM11に読み出」し、「操作部14の操作に応じた特定の機器2の制御コードをRAM11から読み出して、リモコン信号制御部23に送」り、段落【0042】より、「リモコン信号送受信部22は発光ダイオードや赤外線LEDなどで構成された光学的信号発信手段を備え」、「リモコン信号制御部23は、CPU10から指示された制御コードその他のデータを重畳した光学的信号を機器2に発信」することで、「遠隔制御装置1から機器2に光学的な制御信号を送ることで操作部14による特定の機器2の遠隔操作が可能である」ことから、図2も参照すると、甲1には、「遠隔制御装置1はリモコン信号送受信部22及びCPU10を備え」、「前記リモコン信号送受信部22は、各機器2の機種を含む機器固有情報を、前記遠隔制御装置1が遠隔操作可能である前記各機器2から受信すること」が記載されている。 c 段落【0024】及び図2より、「遠隔制御装置1」は「表示部13」を備え、前記「CPU10」は、段落【0047】より、「カメラ部20の得た静止画像における情報発信位置の機器固有情報を取得」し、「機器固有情報に基づいて各機器2を視覚的に識別可能な映像情報(典型的にはアイコン)を生成した上、取得した静止画と映像情報とを合成して表示」するとともに、段落【0049】より、「図4に示すように、「一斉操作」の選択を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースMAを表示し、インターフェースMAの「一斉操作」に対するタッチ操作やクリック操作に応じて一斉制御の選択を受け付ける」と、段落【0055】より、「図5に示すように、「電源OFF」や「電源ON」などのコマンドの選択を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースMAを表示」する制御を行うものであり、段落【0054】より、「電源OFF」や「電源ON」は、「すべての機器2に対して発行される共通の制御内容」であるから、甲1には、「遠隔制御装置1は表示部13を備え」、「前記CPU10は、すべての機器2に対して発行される共通の制御内容を示す「電源OFF」や「電源ON」などのコマンドの選択を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースMAを表示部に表示する制御を行うこと」が記載されている。 d さらに、段落【0063】より、「遠隔制御装置1」は、「基地局8、移動体通信網7、インターネット6およびルータ5を介した外部ネットワークか、無線ステーション4との無線通信を介してLAN3と接続」し、「インターネット6介して(当審注:当該「インターネット6介して」は、文脈からみて「インターネット6を介して」の誤記と認める。)接続されたサーバ30に対して機器2の制御に関する情報を要求し、この要求に応じてサーバ30が機器操作データベース31から当該機器2の制御に関する情報を抽出して遠隔制御装置1に送」り、「こうすることで制御コードなどのアップデートが可能であ」るから、甲1には、「インターネット6を介して接続されたサーバ30から前記機器2の制御に関する情報を受信すること」が記載されている。 上記aないしeより、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 (甲1発明) 「表示部13、リモコン信号送受信部22及びCPU10を備える遠隔制御装置1であって、 前記リモコン信号送受信部22は、各機器2の機種を含む機器固有情報を、前記遠隔制御装置1が遠隔操作可能である前記各機器2から受信し、 前記CPU10は、すべての機器2に対して発行される共通の制御内容を示す「電源OFF」や「電源ON」などのコマンドの選択を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースMAを表示部に表示する制御を行い、 インターネット6を介して接続されたサーバ30から前記機器2の制御に関する情報を受信する 遠隔制御装置1。」 2 甲2の記載 甲2には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「[0022] 家電機器1は、家電機器1を識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部11と、プロパティマップを記憶するプロパティマップ記憶部12と、ネットワーク3を介して制御装置2とデータを送受信する通信部13と、家電機器1の現在の状態 (設定項目の設定値)を記憶する機器状態記憶部14とを具備する。 [0023] 識別情報は、少なくとも家電機器1の種類を表す機種情報と、家電機器1のメーカを表すメーカコードと、家電機器1の品番を表す品番情報と、家電機器1を制御するための設定項目や設定値等の機能情報を予め定めた規格情報のバージョンを表すバージョン情報とを含んで構成される。図2(a)は、識別情報の内容の一例を示す図である。図2(a)に示すように、識別情報記憶部11が予め記憶する識別情報100には、機種情報、メーカコード、品番情報及びバージョン情報が含まれる。 [0024] プロパティマップは、制御装置2からの要求により設定項目に値を設定可能(SET可能)であるか、及び制御装置2からの要求により設定項目の設定値を取得可能(GET可能)であるかを記述したアクセスルールと、家電機器1の設定項目の設定値が変化した時に変更内容が家電機器1から制御装置2に送られてくる力否かを表す状態変化通知等の情報で構成される。図2(b)及び(c)は、プロパティマップの内容の一例を示す図であり、図2(b)は、機種がエアコンである家電機器のプロパティマップの内容の一例を示す図であり、図2(c)は、機種が電気ポットである家電機器のプロパティマップの内容の一例を示す図である。」 「[0041] 次に、制御装置2の通信部28は、家電機器1によって送信された識別情報を受信し、受信した識別情報を機能情報判定部24に出力する(ステップS102)。このようにして、通信部28は、家電機器1の識別情報を取得する。」 「[0052] 情報取得部25aは、内部のメモリに記憶されている識別情報(家電機器より取得した識別情報)に含まれる機種情報及びバージョン情報と一致する規格情報の規格情報記憶部21からの取得と、内部のメモリに記憶されている識別情報に含まれる機種情報及びバージョン情報と一致する組み合わせ情報の組み合わせ情報記憶部23からの取得と、通信部28により家電機器1からのプロパティマップの取得と、通信部28 により家電機器1からの家電機器1の状態の取得を行う。統合情報作成部25bは、取得した規格情報と組み合わせ情報とプロパティマップとから統合情報を作成し内部のメモリに記憶する。状態取得判定部25cは、情報取得部25aで家電機器1の状態を取得できたか否かの判定を行う。機器状態情報作成部25dは、状態取得判定部25c での判定の結果、家電機器1の状態を取得できた場合には、その情報をもとに機器状態情報を作成し内部のメモリに記憶する。設定確認データ作成部25eは、統合情報から設定確認データを作成する。」 上記記載より、制御装置2の通信部28は、家電機器1の種類を表す機種情報と前記家電機器1を制御するための設定項目や設定値等の機能情報を予め定めた規格情報のバージョンを表すバージョン情報を含む識別情報と、制御装置2からの要求により設定項目に値を設定可能であるかを記述したアクセスルールを含むプロパティマップを、前記家電機器1から取得しており、「家電機器1を制御するための設定項目や設定値等の機能情報を予め定めた規格情報のバージョンを表すバージョン情報」及び「制御装置2からの要求により設定項目に値を設定可能であるかを記述したアクセスルールを含むプロパティマップ」は、「家電機器に適用可能な操作を示す情報」といえるから、甲2には、次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されていると認める。 (甲2記載事項) 「制御装置の通信部は、家電機器の種類を表す機種情報と前記家電機器に適用可能な操作を示す情報とを、制御装置が制御可能な家電機器から受信すること。」 3 甲3の記載 甲3には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「【0028】 (3)一括動作の制御方法 次に、上記構成のネットワーク家電システムにおいて、ユーザが携帯電話13を用いて住宅1内の家電機器3?7を一括して動作させる場合について説明する。 【0029】 ユーザは生活の場面において、複数の家電機器3?7を一括して動作させたい場合がある。例えば、外出時においては住宅1内の複数のエアコンを停止させると共に、照明を消灯させる必要がある。また、就寝時においては全てのエアコンを停止させ、照明も消灯し、電気錠18を施錠する必要がある。さらに、帰宅時においてはエアコンを動作させ、お風呂を予め沸かしておくのが好都合である。 【0030】 そのため、上記のような各生活の場面において必要となる家電機器3?7を一括して動作または停止させる制御方法の概要について説明する。 【0031】 まず、ユーザが所有している携帯電話13を操作して、図2に示すように表示画面を表示させる。この表示画面には、このネットワーク家電システムのサービス一覧の画面が表示され、その中に便利ボタンが表示されている。ユーザがこの便利ボタンを押すと、図2(b)に示すように一括して複数の家電機器を制御できる選択ボタンが表示される。この表示画面は、上段から「おでかけ」モード、「おやすみ」モード、「おかえり」モードとなっている。ユーザが例えば、おでかけモードを選択した場合には、表示画面が進み、おでかけモードにおいて一括して制御できる家電機器の動作状態が表示される。例えば、図2(c)においては、エアコン(リビング)が停止し、エアコン(寝室)が停止し、照明(リビング)が停止する状態が表示されている。そして、ユーザがこの動作状態で良いと判断するとサービス選択画面へ移行して、おでかけモードの指示をASPサーバ11に送信する。 【0032】 ASPサーバ11には、各モードにおける各家電機器の動作状態がユーザID毎に登録されている。例えば、ユーザID0001において、おでかけモードが選択された場合にはエアコン1が停止し、照明1が停止する情報が記憶されている。そのため、ユーザID0001を所有する携帯電話13からおでかけモードの信号が入力した場合には、この図4に示されている登録内容に基づいて各家電機器3?7を制御する。 【0033】 なお、このデータベースに記憶する各モードにおける家電機器の動作状態は、図2(d)?(f)に示すように、各携帯電話13から登録を行なうことができる。即ち、図2(a)において設定を選択し、図2(d)において便利ボタンを選択すると、各モードが表示される。そして、例えばおかえりモードを表示すると、各家電機器の動作状態(オン/オフ)を選択することができるので、ここでその操作を行ない、その設定した内容をASPサーバ11に送信すると、その内容が図4に示すデータベースに登録される。」 図2は以下のとおり。 図4は以下のとおり。 上記記載より、甲3には、次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されている。 (甲3記載事項) 「携帯電話は、ユーザが便利ボタンを押すと一括して複数の家電機器を制御できる選択ボタンが表示され、前記選択ボタンが押されたときの前記2以上の家電機器の各動作状態がデータベースに登録されていること。」 4 甲4の記載 甲4には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「【0029】 本例の具体的な適用場面において、構内通信網NW2は、ユーザの自宅内に形成された無線LANなどの通信網である場合である。そして、携帯端末1Aが広域通信網NW1及び構内通信網NW2のいずれとも通信できる場合には、構内通信網NW2が優先的に利用され、構内通信網NW2と通信が可能な場合には、携帯端末1Aを所持するユーザは自宅内にいるものと推定される。一方、広域通信網NW1とのみ通信が可能な場合には、ユーザは自宅外にいるものと推定される。 このような推定のもと、携帯端末1Aが通信を確立している通信網NW1、NW2の種別に応じて、ユーザからの操作指示情報の実行許否を決定する。これにより例えば、自宅内にいると推定されるときにはヒーターのスイッチ操作を許可する一方、自宅外にいるときはこれを禁止するといった処理を実現することができる。」 「【0032】 許否情報記憶部102は、携帯端末1Aが通信を確立している通信網の種別に応じて、ユーザ指定の操作指示情報の実行の許否に関する記憶する記憶部である。 この許否情報記憶部102には、図3に示されるように、操作指示情報ごとに、広域通信網NW1か構内通信網NW2かの通信網種別に応じて、実行を許可するか否かの情報が関連付けて記憶されている。」 「【0120】 なお、本例において、UI中の操作を指示するボタンには、複数の操作指示情報をまとめて実行できるように、一連の操作指示情報をマクロ操作により一括して実行可能に構成してもよい。 この場合、一つのボタンに対応した一連の操作指示情報を、リモコンサーバ4Eの信号情報記憶部441中に関連付けて登録しておく。 これにより例えば、テレビで映画を見る際に、照明のスイッチ、DVD機器のスイッチやテレビのスイッチといった複数の操作対象機器5が一度に操作され、ユーザが作り出したい環境を一度に作り出すことができる。」 上記記載より、甲4には、次の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されている。 (甲4記載事項) 「複数の操作対象機器を一度に操作可能な携帯端末による前記操作対象機器の操作には、広域通信網を経由する操作指示が許容される操作と、広域通信網を経由する操作指示が許容されない操作が含まれること。」 第5 当審の判断 1 申立理由1について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、 a. 下記相違点を除き甲1発明の「表示部13」、「リモコン信号送受信部22」、「CPU10」及び「遠隔制御装置1」は、それぞれ本件発明1の「表示部」、「通信部」、「制御部」及び「操作端末」に相当する。 b. 甲1発明の「機器2」及び「各機器2の機種」は、それぞれ本件発明1の「機器」及び「機器が属する機器種別を示す情報要素」に相当するから、甲1発明の「前記リモコン信号送受信部22は、各機器2の機種を含む機器固有情報を、前記遠隔制御装置1が遠隔操作可能である前記各機器2から受信し」と、本件発明1の「前記通信部は、機器が属する機器種別を示す情報要素及び機器に適用可能な操作を示す情報要素を含む機器情報を、前記操作端末が操作可能な複数の機器から受信し」とは、「前記通信部は、機器が属する機器種別を示す情報要素を含む機器情報を、前記操作端末が操作可能な複数の機器から受信し」の点で共通する。一方、甲1発明の「機器2の制御に関する情報」は、本件発明1の「機器に適用可能な操作を示す情報要素」に相当するが、甲1発明の「インターネット6を介して接続されたサーバ30から前記機器2の制御に関する情報を受信する」点は、本件発明1と相違する。 c. 甲1発明の「全ての機器2」、「共通の制御内容を示す「電源OFF」や「電源ON」などのコマンド」及び「グラフィカルユーザインターフェースMA」は、それぞれ本件発明1の「2以上の対象機器」、「組み合わせ操作の内容」及び「組み合わせ操作オブジェクト」に相当するから、甲1発明の「前記CPU10は、すべての機器2に対して発行される共通の制御内容を示す「電源OFF」や「電源ON」などのコマンドの選択を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースMAを表示部に表示する制御を行い」と、本件発明1の「前記制御部は、2以上の対象機器のそれぞれに適用可能な操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作の内容と前記2以上の対象機器とを対応付ける参照情報、及び、前記複数の機器から受信する前記機器情報に基づいて、前記組み合わせ操作の内容を示す組み合わせ操作オブジェクトを前記表示部に表示する制御を行い」とは、「前記制御部は、2以上の対象機器のそれぞれに適用可能な操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作の内容を示す組み合わせ操作オブジェクトを前記表示部に表示する制御を行」う点で共通する。 以上より、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、また相違する。 (一致点) 「表示部、通信部及び制御部を備える操作端末であって、 前記通信部は、機器が属する機器種別を示す情報要素を含む機器情報を、前記操作端末が操作可能な複数の機器から受信し、 前記制御部は、2以上の対象機器のそれぞれに適用可能な操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作の内容を示す組み合わせ操作オブジェクトを前記表示部に表示する制御を行う、 操作端末。」 (相違点1) 一致点である「通信部」について、本件発明1では、「通信部」が「機器が属する機器種別を示す情報要素及び機器に適用可能な操作を示す情報要素を含む機器情報を、前記操作端末が操作可能な複数の機器から受信」するのに対し、甲1発明では、前記「機器情報」のうち「機器に適用可能な操作を示す情報要素」に相当する「機器2の制御に関する情報」について、「インターネット6を介して接続されたサーバ30から」受信する点。 (相違点2) 制御部が、表示部に表示する制御を行う組み合わせ操作の内容を示す組み合わせ操作オブジェクトについて、本件発明1では、「2以上の対象機器のそれぞれに適用可能な操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作の内容と前記2以上の対象機器とを対応付ける参照情報、及び、前記複数の機器から受信する前記機器情報に基づいて」表示するのに対し、甲1発明では、「すべての機器2に対して発行される共通の制御内容を示す「電源OFF」や「電源ON」などのコマンドの選択を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースMA」を表示する点。 (相違点3) 本件発明1では、「前記組み合わせ操作を定義する操作は、公衆ネットワークを経由する操作指示が許容される操作と、前記公衆ネットワークを経由する操作指示が許容されない操作とを含む」点を特定しているが、甲1発明では、その点が特定されていない点。 事案に鑑み相違点2について検討すると、相違点2に係る本件発明1の構成は、「組み合わせ操作オブジェクト」は、「参照情報」と「前記複数の機器から受信する前記機器情報に基づいて」表示するものであり、その具体例が本願明細書(段落【0054】)に記載されている。 一方、異議申立人が提示した甲3には、「携帯電話は、ユーザが便利ボタンを押すと一括して複数の家電機器を制御できる選択ボタンが表示され、前記選択ボタンが押されたときの前記2以上の家電機器の各動作状態がデータベースに登録されていること。」(上記第4の3の「甲3記載事項」。)が 記載され、前記「一括して複数の家電機器を制御する選択ボタン」は、本件発明1の「組み合わせ操作オブジェクト」に対応するものの、「ユーザが便利ボタンを押すと」表示されるものであって、「受信した機器情報」に基づいて表示されるものではないから、相違点2に係る本件発明1の構成は、甲1発明と甲3の記載事項から当業者が容易に想到できたものではない。 また、相違点2に係る本件発明1の構成は、甲2及び甲4の記載事項から導出できないことも明らかである。 したがって、相違点1及び3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲4に記載された事項に基づいて容易に発明することができたものではない。 (2)本件発明2、4、5について 本件発明2は、本件発明1の事項を全て含みさらに請求項2に記載した事項により限縮した発明であるから、本件発明1と同じ理由により甲1発明及び甲2ないし甲4に記載された事項に基づいて容易に発明することができたものではない。 本件発明4及び本件発明5は、本件発明1のカテゴリーを変更したものであって、本件発明1の上記相違点2に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により甲1発明及び甲2ないし甲4に記載された事項に基づいて容易に発明することができたものではない。 2 申立理由2について (1)申立理由2に係る補正の内容 平成30年7月4日にされた手続補正により、請求項1は以下のとおりに補正された。(下線は補正箇所を示す。) 「【請求項1】 表示部、通信部及び制御部を備える操作端末であって、 前記通信部は、機器が属する機器種別を示す情報要素及び機器に適用可能な操作を示す情報要素を含む機器情報を、前記操作端末が操作可能な複数の機器から受信し、 前記制御部は、2以上の対象機器のそれぞれに適用可能な操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作の内容と前記2以上の対象機器とを対応付ける参照情報、及び、前記複数の機器から受信する前記機器情報に基づいて、前記組み合わせ操作の内容を示す組み合わせ操作オブジェクトを前記表示部に表示する制御を行い、 前記組み合わせ操作を定義する操作は、公衆ネットワークを経由する操作指示が許容される操作と、前記公衆ネットワークを経由する操作指示が許容されない操作とを含むことを特徴とする操作端末。」 そして、異議申立人は、特許異議申立書の申立ての理由において、補正により請求項1に追加された「前記組み合わせ操作を定義する操作は、公衆ネットワークを経由する操作指示が許容される操作と、前記公衆ネットワークを経由する操作指示が許容されない操作とを含む」(以下「補正事項」という。)が願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載されていない内容である旨主張するので、以下検討する。 (2)当初明細書等の記載事項 明細書には図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0046】 図5は、実施形態に係る組み合わせテーブルを示す図である。組み合わせテーブルは、記憶部540に記憶されている。 【0047】 図5に示すように、組み合わせテーブルは、機器個別の操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作が適用可能な複数の組み合わせ操作対象機器を示す情報を、組み合わせ操作の内容と対応付ける。 【0048】 例えば、図5に示す組み合わせテーブルでは、組み合わせ操作の内容が「省エネ冷房」である場合、複数の組み合わせ対象機器として扇風機及びエアコンが指定されている。つまり、「省エネ冷房」は、扇風機の動作状態をONにする操作とエアコンの動作状態をONにする操作との組み合わせ操作であり、冷房効率を高めることができる操作であることを意味する。他に、組み合わせ操作の例として、図5に示す組み合わせテーブルでは、宅内の換気を一斉に行う「全室空気循環」(窓開閉装置及び天窓開閉装置の開閉動作を開にする操作の組み合わせ)、宅内の照明を一斉に点灯又は消灯する「一斉ON/OFF」(複数の照明の動作状態をON/OFFにする操作の組み合わせ)、外出時に特定の機器を一斉に停止させる「おでかけモード」(照明、エアコン、床暖房の動作状態をOFFにする操作の組み合わせ)が指定されている。」 図5は以下のとおり。 「【0067】 上述した実施形態では、操作端末500が狭域ネットワーク70を介して操作指示を送信する例について説明した。しかしながら、操作端末500は、インターネット等の公衆ネットワークを介して操作指示をサーバ600に送信してもよい。このようなケースにおいて、操作端末500は、公衆ネットワークに設けられたサーバに操作指示を送信する。サーバは、操作端末500から受信した操作指示を、公衆ネットワーク及び狭域ネットワーク70を介してHEMSコントローラ200に送信する。HEMSコントローラ200は、サーバ600から受信した操作指示を、狭域ネットワーク70を介して機器300に送信する。このようなケースにおいて、操作端末500は、機器300に対して適用可能な操作のうち、遠隔操作が許容される操作が識別可能となるように、操作画面を構成してもよい。」 (3)判断 明細書には、図5とともに、「図5に示すように、組み合わせテーブルは、機器個別の操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作が適用可能な複数の組み合わせ操作対象機器を示す情報を、組み合わせ操作の内容と対応付けたものであり」(段落【0047】)、組み合わせ操作の例として、「図5に示す組み合わせテーブルでは、組み合わせ操作の内容が「省エネ冷房」である場合、複数の組み合わせ対象機器として扇風機及びエアコンが指定されている。つまり、「省エネ冷房」は、扇風機の動作状態をONにする操作とエアコンの動作状態をONにする操作との組み合わせ操作であり、冷房効率を高めることができる操作であることを意味する。」(段落【0048】)ことが記載されており、前記組み合わせテーブルには、組み合わせ操作の内容ごとに複数の対象機器が指定され、それぞれの対象機器ごとに操作が定義されているといえ、それぞれの対象機器毎に定義されている操作を「組み合わせ操作を定義する操作」ということができる。 さらに、明細書(段落【0067】)には、「操作端末500は、インターネット等の公衆ネットワークを介して操作指示をサーバ600に送信」するケースにおいて、「操作端末500は、機器300に対して適用可能な操作のうち、遠隔操作が許容される操作が識別可能となるように、操作画面を構成してもよい」ことが記載されており、この記載は、機器300に対して適用可能な操作には、遠隔操作、すなわち公衆ネットワークを経由する操作指示が許容される操作と許容されない操作があることを示唆するものである。 そして、請求項1には、補正事項の「前記組み合わせ操作を定義する操作」について、当該記載より前に「組み合わせ操作」の記載はあるが、「操作組み合わせ操作を定義する操作」の記載は無いから、「前記」は「組合せ操作」に係り、結局「前記組み合わせ操作」は、請求項1の「2以上の対象機器のそれぞれに適用可能な操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作」のことといえる。そうすると、「2以上の対象機器のそれぞれに適用可能な操作の組み合わせにより定義される組み合わせ操作」のうち、それぞれの対象機器毎に定義されている操作である「組み合わせ操作を定義する操作」が、公衆ネットワークを経由する操作指示が許容される操作と公衆ネットワークを経由する操作指示が許容されない操作を含むことは、明細書に記載されている事項といえる。 そして、請求項2、請求項4、請求項5に追加された事項は、前記補正事項と同じ事項であり、上述の理由により明細書に記載されている事項といえる。 (4)小括 したがって、平成30年7月4日に請求項1、2、4、5についてされた前記補正事項を追加する補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。 3 申立理由3について 異議申立人は、特許異議申立書の申立ての理由において、本件特許の請求項1、2、4、5に記載された上記2(1)の補正事項は、発明の詳細な説明に記載したものでない旨主張するが、上記2(3)で説示したとおり、補正事項は発明の詳細な説明に記載した事項であるから、本件特許の請求項1、2、4、5の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。 4 申立理由4について (1) 異議申立人は、特許異議申立書の申立ての理由において、本件特許の請求項1、4、5に記載された「前記組み合わせ操作を定義する操作」の記載は、不明確である旨主張するが、上記2(3)で説示したとおり、その意味を明確に理解できるから、当該主張を採用できない。 (2) 異議申立人は、特許異議申立書の申立ての理由において、本件特許の請求項5には、「操作端末を含む制御システムにおいて用いられる方法」と記載されているものの、各ステップと操作端末、制御システムとの関連が不明確であるるため、全体の構成が不明であり、具体的には、各ステップが操作端末によって行われるのか、制御システムによって行われるのか、あるいはユーザによって行われるのかが不明確である旨主張するが、請求項5に記載された「…受信するステップ」及び「…表示するステップ」のいずれもが制御システムに含まれる「操作端末」を主体とするステップであることが明らかであるから、当該主張を採用できない。 (3) したがって、本件特許の請求項1、2、4、5の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、請求項1、2、4、5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、2、4、5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2019-05-28 |
出願番号 | 特願2014-26426(P2014-26426) |
審決分類 |
P
1
652・
55-
Y
(H04Q)
P 1 652・ 121- Y (H04Q) P 1 652・ 537- Y (H04Q) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 西巻 正臣 |
特許庁審判長 |
北岡 浩 |
特許庁審判官 |
中野 浩昌 丸山 高政 |
登録日 | 2018-08-31 |
登録番号 | 特許第6392522号(P6392522) |
権利者 | 京セラ株式会社 |
発明の名称 | 操作端末、プログラム、及び方法 |
代理人 | キュリーズ特許業務法人 |