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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 A23F 審判 全部申し立て 2項進歩性 A23F 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A23F |
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管理番号 | 1352327 |
異議申立番号 | 異議2018-700609 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-07-23 |
確定日 | 2019-06-06 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 特許第6266339号発明「エタノール含有茶飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6266339号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6266339号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成25年12月25日に出願され、平成30年1月5日にその特許権の設定登録がされ、平成30年1月24日に特許掲載公報が発行された。 本件異議申立ての経緯は、次のとおりである。 平成30年7月23日:特許異議申立人 合同会社SASによる請求項1ないし7に係る特許に対する異議の申立て(以下、「申立1」という。) 平成30年7月24日:特許異議申立人 栗 暢行による請求項1ないし7に係る特許に対する異議の申立て(以下、「申立2」という。) 平成30年10月12日:取消理由通知書 平成30年11月30日:特許権者による意見書の提出 平成31年2月22日:取消理由通知書(決定の予告) 平成31年4月26日:特許権者による意見書の提出 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれを「本件特許発明1」ないし「本件特許発明7」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 茶飲料であって、該茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下であり、該茶飲料中のエタノールの含有量が0.005?0.1質量%であり、さらにポリフェノールを含み、かつ該茶飲料100ml当たりの総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mgである、茶飲料。 【請求項2】 茶飲料が緑茶飲料または無糖茶である、請求項1に記載の茶飲料。 【請求項3】 茶飲料中のエタノールの含有量が0.01?0.1質量%である、請求項1または2のいずれか一項に記載の茶飲料。 【請求項4】 甘味料が添加されない、請求項1?3のいずれか一項に記載の茶飲料。 【請求項5】 容器詰めである、請求項1?4のいずれか一項に記載の茶飲料。 【請求項6】 茶飲料の製造方法であって、 茶抽出液に、該茶飲料100ml当たりカフェイン含有量が6mg以下となるようにカフェイン低減処理を行う工程、 茶飲料中のエタノールの含有量が0.005?0.1質量%となるようにカフェイン低減処理された茶抽出液にエタノールを加える工程、および 該茶飲料100ml当たりの総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mgとなるように調整する工程 を含む、製造方法。 【請求項7】 カフェイン低減処理された茶抽出液に、茶飲料中のエタノールの含有量が0.005?0.1質量%となるようにエタノールを加え、かつ該茶飲料100ml当たりの総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mgとなるように調整することを特徴とする、茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下である茶飲料の甘味改善方法。」 第3 取消理由の概要 請求項1ないし7に係る特許に対して当審が平成31年2月22日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。 本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 記 ・甲第1号証:特開2008-113569号公報(異議申立人 合同会社SASが甲第3号証として、及び異議申立人 栗 暢行が甲第1号証として提出したもの。) ・甲第2号証:特開2007-167003号公報(異議申立人 栗 暢行が甲第4号証として提出したもの。) ・甲第3号証:特開2005-102606号公報(異議申立人 合同会社SASが甲第4号証として提出したもの。) ・甲第4号証:特開2001-172667号公報(異議申立人 合同会社SASが甲第6号証として提出したもの。 (以下、甲第○号証を略して甲○という。) 第4 甲1ないし甲4の記載 1.甲1 本件特許の出願前に頒布された甲1には、「茶飲料」に関して次の記載がある(なお、下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。 (1)甲1の記載 1a)「【0007】 そこで、カフェインの含有量を抑制しつつカテキン類の含有量を高めることを目的として、熱水や水溶性有機溶媒を用いて茶葉からカテキン類を選択的に抽出した茶抽出物を、通常の茶抽出液に添加する技術(例えば特許文献1及び2を参照。)や、茶抽出液に活性炭等の吸着剤を作用させてカフェインを吸着除去する技術(例えば特許文献3を参照。)が提案されている。 【0008】 【特許文献1】特開2004-129669号公報 【特許文献2】特開2006-67828号公報 【特許文献3】特開平10-4919号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 しかし、特許文献1及び2に記載された技術のように茶抽出液にカテキン類を高い含有量で含む茶抽出物を添加する場合には、カフェイン自体の含有量は変化しないことから、依然としてカフェイン摂取を望んでいない人たちの飲用には不適当であり、これを回避するために茶葉の使用量や茶葉からの抽出率を低くした茶抽出液に茶抽出物を添加すると茶本来の香味が損なわれるという問題があった。また、有機溶媒抽出を用いた茶抽出物は安全上の問題があることなどにも関係するが、古くから親しまれている止渇飲料としての茶飲料に、一般的に配合される酸化防止剤やpH調整剤、嗜好性を高める一部の素材以外の茶抽出物などを添加することは、好ましく思われない傾向にある。また、特許文献3に記載された技術のように茶抽出液からカフェインを吸着除去する場合には、同時に他の成分も吸着除去されることから、やはり茶本来の香味を損なうという問題があった。 【0010】 この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、茶本来の香味を損なうことなくカフェインの含有量を低減した茶飲料を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記の目的を達成するため、この発明の茶飲料は、タンニン及びカフェインを含有し、タンニン含有量/カフェイン含有量の比が30以上であることを特徴とする。タンニンは、カテキン類を含む渋味成分の総称であり、茶に含まれる主要成分を指す用語としては古くから一般に用いられている。タンニンは茶の公定分析法である酒石酸鉄試薬を用いた比色定量法により、簡便に測定が可能である。特に不発酵茶である緑茶の場合には、カテキン類の総量を簡便に測定する方法とされている。このようなことからタンニン量は茶飲料を作る上で、香味を数値化し、調整する値の一つとして使用されている。そして、この発明では、カフェイン含有量に対するタンニン含有量の比を上記の範囲とすることで、カフェイン含有量を低減した場合にも、香味を確保することができる。 【0012】 タンニン含有量としては20?60mg/100mlの範囲が好ましく、また、カフェイン含有量としては2mg/100ml以下の範囲が好ましい。 【0013】 さらに、超臨界抽出により脱カフェイン処理をした茶葉の抽出液を用いること、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶及びこれらの混合物から選択された茶葉の抽出液を用いることが好ましい。 【0014】 加えて、この発明の茶飲料は密封容器に充填することが好ましい。」 1b)「【0015】 この発明によれば、カフェイン含有量を低減しながらも、タンニン含有量を確保することで、茶本来の香味に優れた低カフェイン茶飲料を提供することが可能となる。」 1c)「【0018】 タンニン含有量が低すぎる場合には、香味が不足し、水っぽく感じられたり薄く感じられたりすることから、これを20mg/100ml以上とすることが好ましい。一方、タンニン含有量が高すぎる場合には、苦み、渋み及びえぐみが強くなりすぎ、一般的な飲料には適さなくなることから、これを60mg/100ml以下とすることが好ましい。」 1d)「【0019】 カフェインの安全許容上限摂取量については必ずしも明確ではないが、高齢者、乳幼児及び妊産婦に関しては、極力摂取を控えることが望ましいとされている。また、コーヒーに関しては、コーヒー飲用の表示に関する公正競争規約に、カフェインを90%以上除去したコーヒー豆についてはカフェインレスコーヒーと表示することが定められており、これは飲用に供するコーヒーの状態で約2mg/100ml以下のカフェイン含有量範囲に相当する。これらの諸点に鑑み、高齢者、乳幼児及び妊産婦であっても安心して飲用できるように、この発明に従う茶飲料では、カフェイン含有量を2mg/100mlとすることが好ましい。 【0020】 このようにタンニン含有量を維持しつつカフェイン含有量を低減するには、茶の抽出工程においてカフェインを吸着除去してもよいが、香味を保持する観点からは、カフェイン含量を低減した茶葉を原料として用いることが好ましい。カフェイン含有量を低減した茶葉としては、品種改良によるものや、有機溶媒抽出(ケミカルメソッド)、水抽出(ウォーターメソッド)又は超臨界抽出(超臨界二酸化炭素抽出)により茶葉からカフェインを選択的に除去したものを用いることができるが、品種改良によるものは安定供給に難点があり、有機溶媒抽出のものは安全上の問題があり、かつ日本では食品衛生法上使用が認められておらず、水抽出によるものはカフェイン除去率が比較的低く、かつ香味の低下が起きやすいことから、超臨界抽出により脱カフェイン処理をした茶葉を用いることがさらに好ましく、カフェイン含有量が0.5%以下となるまで脱カフェイン処理をした茶葉が特に好ましい。」 1e)「【0021】 また、カフェイン含有量が低くなるように茶葉からの抽出率を低く抑えた茶抽出液に、タンニンを主成分とする茶抽出物を添加することで、この発明の茶飲料の好適なタンニン含有量及びカフェイン含有量を達成することもできるが、香味向上の観点からは、これらタンニン及びカフェインは全て茶葉からの茶抽出液由来とすることが好ましい。」 1f)「【0023】 原料として用いる茶葉は、煎茶、玉露、かぶせ茶、玉緑茶、番茶、ほうじ茶、てん茶などの緑茶類(不発酵茶)、包種茶、烏龍茶などの半発酵茶、紅茶(発酵茶)、またはこれらをブレンドしたものを用いることができる。茶葉の抽出温度は低温でも良いが、タンニンをより効率的に回収するには50?100℃の温水がより好ましい。 【0024】 また、この発明に従う茶飲料は、茶葉からの茶抽出液をそのまま又は水で希釈したものとすることもできるが、保存時の安定性を高めるために酸化防止剤やpH調整剤等の一般的な茶飲料の製造に用いられている添加物を加えてもよく、さらに嗜好性を高めるために果汁、野菜汁、糖類、糖アルコール、甘味料、酸味料、香料等を加えてもよい。 【0025】 さらに、得られた茶飲料を密封容器に充填することが好ましい。これにより、茶飲料の酸化と香気成分の揮発が抑制され、長期間にわたり茶本来の香味を維持した低カフェインの茶飲料を簡便に提供することが可能となるからである。かかる密封容器としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)ボトル、アルミ製又はスチール製の缶、紙容器、ポリエチレンバッグ、ガラス瓶等を用いることができる。」 1g)「【0028】 (実施例1) 超臨界抽出を用いた脱カフェイン処理によりカフェイン含量を0.1%に低減させた静岡県産緑茶葉60gを抽出機に入れ、60℃の温純水150gを注水し、その抽出液を排出後、60℃の温純水3000gを段階的に注水し18分間抽出した。緑茶の抽出液は、金属メッシュを用いたろ過処理を行った後、冷却し、遠心分離を行い、さらに2μmフィルターを用いたろ過処理を行って残茶葉を除去した。この緑茶の抽出液に対し純水を加えて10Lにメスアップするとともに、ビタミンCを適量加え、重曹でpH調整を行った。この液を136℃で30秒間の加熱殺菌を行い、PETボトルに充填し実施例1の茶飲料を得た。 【0029】 (実施例2) 60℃の温純水2000gに、超臨界抽出を用いた脱カフェイン処理によりカフェイン含量を0.2%に低減させた国産緑茶葉50gを投入し、5分間撹拌抽出した。緑茶の抽出液は、金属メッシュを用いたろ過処理を行った後、冷却し、遠心分離機を使用して残茶葉を除去した。その後、最終タンニン量を約50mg/100mlに合わせるために、メスアップに使用する茶抽出液の量を調整し、この抽出液に対して純水を加えて5Lにメスアップするとともに、ビタミンCを適量加え、重曹でpH調整を行った。この液を缶容器に加熱充填し、119℃で20分間のレトルト殺菌を行い実施例2の茶飲料を得た。 【0030】 (実施例3) 90℃の温純水3200gに、超臨界抽出を用いた脱カフェイン処理によりカフェイン含量を0.2%に低減させた烏龍茶葉80gを投入し、8分間撹拌抽出した。烏龍茶の抽出液は、金属メッシュを用いたろ過処理を行った後、冷却し、遠心分離機を使用して残茶葉を除去した。その後、最終タンニン量を約50mg/100mlに合わせるために、メスアップに使用する茶抽出液の量を調整し、この抽出液に対して純水を加えて10Lにメスアップするとともに、ビタミンCを適量加え、重曹でpH調整を行った。この液を138℃で30秒間の加熱殺菌を行い、PETボトルに充填し実施例3の茶飲料を得た。 【0031】 (実施例4) 91℃の温純水1400gに、超臨界抽出を用いた脱カフェイン処理によりカフェイン含量を0.06%に低減させた紅茶葉45gを投入し、4分間撹拌抽出した。紅茶の抽出液は、金属メッシュを用いたろ過処理を行った後、冷却し、遠心分離機を使用して残茶葉を除去し、さらにクリームダウン防止のためにタンナーゼ処理を行った。その後、最終タンニン量を約45mg/100mlに合わせるために、メスアップに使用する茶抽出液の量を調整し、この抽出液に対して純水を加えて10Lにメスアップするとともに、ビタミンCを適量加え、重曹でpH調整を行った。また砂糖4%と紅茶香料を加えた。この液を138℃で30秒間の加熱殺菌を行い、PETボトルに充填し実施例4の茶飲料を得た。 【0032】 (比較例1) 一般的な静岡県産煎茶葉を用い、60℃の温純水3000gを段階的に注水し18分間抽出後、実施例1と同様の処理を行い、比較例1の茶飲料を得た。」 1h)「【0036】 (タンニン含有量測定方法) 茶飲料の試料1mlを25ml褐色メスフラスコに量りとる。硫酸第一鉄7水和物100mg、酒石酸ナトリウム・カリウム4水和物500mgをイオン交換水100mlに溶解させた酒石酸鉄溶液5mlを加え、Sorensenリン酸緩衝液(pH7.5)を用いて25mlにメスアップしたものを測定用試料とする。測定は純水をブランクとして波長540nmの吸光度を測定する。予め没食子酸エチルを用いて作成した検量線より定量する(タンニン量は没食子酸エチル量の1.5倍量である)。」 1i)「【0038】 表2に、各茶飲料のタンニン含有量及びカフェイン含有量の測定結果を示す。表2から明らかなように、実施例1?4の茶飲料は、比較例1?3の茶飲料と比較して、タンニン含有量すなわち香味成分を同等に維持しながら、カフェイン含有量が格段に減少していることが分かる。 【0039】 」 1j)上記1d)段落【0020】の記載から、タンニン含有量を維持しつつカフェイン含有量を低減するために、茶の抽出工程においてカフェインを吸着除去してもよいことが分かる。 (2)甲1に記載された発明 上記(1)からみて、甲1には次の発明が記載されている。 「茶飲料であって、茶飲料のカフェイン含有量が2mg/100ml以下の範囲であり、タンニン含有量が20?60mg/100mlである茶飲料。」(以下、「甲1発明」という。) 2.甲2 本件特許の出願前に頒布された甲2には「茶飲料用添加剤」に関して次の記載がある。 (1)甲2の記載 2a)「【0002】 緑茶に代表される茶類は、日々の生活に潤いを与え、日本人の生活にはなくてはならないものである。近年では茶類の持つ抗酸化性が注目を集めており、ノンカロリーの健康的な飲み物として、茶飲料は無糖飲料の代表的なものとなってきている。しかしながら、従来の茶飲料の持つ欠点としては、茶類が本来持っているまったりとした自然な甘味が消費者の手に渡る前に失われるという問題点があった。また、最近では高級な茶葉による茶飲料が消費者に選択される傾向にあり、高級茶葉の有する豊かな旨味、まったりと甘い風味が求められてきている。」 2b)「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 解決しようとする課題は、高級茶類、特に高級抹茶類が本来有している、まったりとした自然な甘さを茶飲料に付与する素材が無いという点である。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記課題を解決するために、本発明者らは各種天然素材を検索し、茶飲料への香味成分の寄与を検討した結果、微量の2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンの添加が茶飲料へまったりとした自然な甘さを付与することを見いだし、本発明を完成させた。即ち本発明は、 (1)2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンからなる茶飲料用添加剤。 (2)2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンを1?1000ppm濃度添加したことを特徴とする茶飲料用香味料組成物。 (3)2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンを1?1000ppb濃度添加したことを特徴とする茶飲料。 (4)(2)の香味料組成物を含有することを特徴とする茶飲料。 (5)(2)の香味料組成物を0.01?10質量%含有することを特徴とする茶飲料。 (6)2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンを1?1000ppb濃度添加することを特徴とする茶飲料への甘味増強方法。 である。」 2c)「【0025】 [実施例7](茶飲料用香味料) (Z)-3-ヘキセノール0.01部(質量部、以下同じ)、オイゲノール0.02部、ゲラニオール0.02部、δ-デカラクトン0.02部、リナロール0.04部、メチルジャスモネート0.1部、フェニルエチルアセテート0.2部、フェニルエチルアルコール0.4部、ジャスミンラクトン2部、インドール0.02部、95%エタノール497部、水400部からなる茶飲料用香味料を調製した、このものに2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンを50ppm濃度になるように添加し、本発明の茶飲料用香味料を調製した。 【0026】 [実施例8](緑茶飲料) 60℃の湯500mlに対して、緑茶葉(静岡産)10g、ビタミンC0.2gを添加し、5分間抽出を行った。抽出後固液分離を行い、水を加えて1,000mlとし、炭酸水素ナトリウムにてpHを5.5に調整後、実施例7の茶飲料用香味料を0.1%濃度添加し、121℃×10分間殺菌することにより本発明の緑茶飲料を調製した。このものは、実施例1?6と比較してもさらに高級感のある嗜好性の高い茶飲料であった。」 2d)上記2c)における茶飲料用香味料(段落【0025】参照。)を、緑茶の抽出液に0.1%濃度添加(段落【0026】参照。)すると、エタノール濃度は、エタノール497部/茶飲料用香味料全体900部×0.95(95%エタノール)×0.001(0.1%)×100=0.052重量%となることが分かる。 (2)甲2に記載された技術 上記(1)からみて、甲2には次の技術が記載されている。 「(Z)-3-ヘキセノール0.01部(質量部、以下同じ)、オイゲノール0.02部、ゲラニオール0.02部、δ-デカラクトン0.02部、リナロール0.04部、メチルジャスモネート0.1部、フェニルエチルアセテート0.2部、フェニルエチルアルコール0.4部、ジャスミンラクトン2部、インドール0.02部、95%エタノール497部、水400部からなるものに2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンを50ppm濃度になるように添加した茶飲料用香味料を、抽出した緑茶に0.1%濃度添加することにより、エタノール濃度0.052重量%の緑茶飲料を調製することにより、高級茶類、特に高級抹茶類が本来有している、まったりとした自然な甘味を茶飲料に付与する技術。」(以下、「甲2技術」という。) 3.甲3 本件特許の出願前に頒布された甲3には「茶飲料用添加剤」に関して次の記載がある。 (1)甲3の記載 3a)「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 解決しようとする課題は、茶飲料が本来持っている入れ立ての風味を増強・エンハンスし、殺菌および経時的に生じるオフフレーバーをマスキングする効果を有する、力価の高い茶飲料用添加剤を、簡便な方法で提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明は、Brix 10?50°に濃縮した緑茶抽出液に対して0.5?3倍容量のエタノールを添加し、不溶物を除去してなる茶飲料用添加剤であり、詳しくは、茶飲料が緑茶飲料であることを特徴とする前記茶飲料用添加剤であり、また、前記茶飲料用添加剤を添加したことを特徴とする茶飲料であり、詳しくは、茶飲料が緑茶飲料であることを特徴とする前記茶飲料であり、詳しくは、緑茶エキス固形分の添加率が0.0002?0.004質量%であることを特徴とする前記茶飲料である。」 3b)「【0012】 本発明の抽出液は更に、エタノール100%換算で0.5?3倍容量のエタノールを添加し、不溶物を除去する。エタノールが0.5倍容量未満であれば渋み、苦味等の雑味が強くなる傾向があり、エタノールが3倍容量を越えると力価が弱くなる傾向がある。更に好ましくは0.8?1.5倍容量の添加が望ましい。また必要に応じて、上記茶抽出エキスを活性炭、合成吸着樹脂、イオン交換樹脂に接触させることにより精製しても良い。本発明の抽出物は、緑茶抽出物中から多糖類等の夾雑物を取り除き、キナ酸、酒石酸等の有機酸類、シュークロース、グルコース、フルクトース等の糖類、テアニン等を主成分とした混合物であり、通常の茶抽出物の苦味や渋みを抑え、すっきりとした風味を有している。本発明の抽出物においては、前記抽出及びエタノール処理の条件が重要である。 【0013】 本発明の抽出物は必要に応じて更に水、アルコール等で希釈される。好ましい一例として、エタノール処理した緑茶エキスに対し水を添加し、エタノール濃度を5?15質量%、固形分濃度1%前後に調製される。これは本発明の抽出物の力価の調整と安定化の目的で行われる。エタノール濃度が5質量%未満であると力価が不足することがあり、エタノール濃度が15質量%を越えると沈殿が析出してくることがある。しかし沈殿をろ過により取り除けば問題なく使用可能である。 【0014】 本発明の抽出物を茶系飲料への添加率は特に限定されることはないが、通常は緑茶エキス固形分として、0.0002?0.004質量%、好ましくは0.0003?0.002質量%、特に好ましくは0.0004?0.0015質量%で添加される。添加率が0.0002質量%未満であれば風味増強・エンハンス効果が弱い場合があり、添加率が0.004質量%を越えると苦味や渋味が感じられることがある。本発明の抽出物が用いられる茶飲料は、茶飲料であれば特に限定されることはなく、緑茶、ウーロン茶、紅茶などに使用できるが、本発明の効果が最も顕著なのは言うまでもなく緑茶飲料に対してである。」 3c)「【0015】 [実施例1] 緑茶葉150g、L-アスコルビン酸3g及び蒸留水3000gを混合し、40℃で1時間抽出した。その後茶葉を固液分離により取り除き、抽出液を重曹にてpH5.5に調整後、加圧濾過し2750gの茶抽出液を得た。その抽出液を減圧薄膜濃縮(50mmHg、45℃)によりBrix 20°まで濃縮し190gの茶濃縮液を得た。これに95%エタノール285gを加え、加圧濾過後水を添加して全量3000gに調整し、茶飲料用添加剤を得た(エキス固形分0.91%)。 【0016】 [比較例1] 緑茶葉150g、L-アスコルビン酸3g及び蒸留水3000gを混合し、40℃で1時間抽出した。その後茶葉を固液分離により取り除き、抽出液を重曹にてpH5.5に調整後、加圧濾過し2750gの茶抽出液を得た。その抽出液に水を添加し全量3000gとし、茶抽出エキスを得た(エキス固形分1.12%)。 【0017】 [比較例2] 緑茶葉150g、L-アスコルビン酸3g及び蒸留水3000gを混合し、40℃で1時間抽出した。その後茶葉を固液分離により取り除き、抽出液を重曹にてpH5.5に調整後、これに95%エタノール45000gを加え、加圧濾過後、3000gになるまで減圧薄膜濃縮(50mmHg、45℃)し、茶抽出エキスを得た(エキス固形分1.06%)。 【0018】 [試験例1] 実施例1、比較例1及び2の抽出物を、飲用緑茶抽出液(処方1)にそれぞれエキス固形分として0.002%添加し、それらの緑茶飲料の殺菌前後について、無添加品をコントロールとして習熟した10名のパネルにより官能評価を行った。殺菌前の結果を表1、殺菌後の結果を表2に示した。なお表1、2中の評価の点数は、下記の基準で採点(1?7点、*総合評価に関しては0?3点)した平均点である。 【0019】 (処方1) 品名 配合量(g) 緑茶葉(静岡茶) 10.0 L-アスコルビン酸 0.2 重曹 適量 イオン交換水 残余 合計 1000.0 Brix:0.25° pH:5.5 抽出条件:60℃×5分間 殺菌条件:134℃×30秒間 ・茶葉10gをL-アスコルビン酸0.2g添加したイオン交換水400gにて熱水抽出した ・抽出液から茶葉を除去し、冷却後濾紙ろ過した ・イオン交換水にて重量調整し、重曹にてpH5.5に調整した ・殺菌後容器に充填した」 3d)上記3b)段落【0013】における「エタノール処理した緑茶エキスに対し水を添加し、エタノール濃度を5?15質量%、固形分濃度1%前後に調製される。」及び 段落【0014】における「本発明の抽出物を茶系飲料への添加率は特に限定されることはないが、通常は緑茶エキス固形分として、0.0002?0.004質量%、」の記載から、茶飲料用添加剤を飲用緑茶抽出液に添加した場合、茶飲料中のエタノール濃度は、5×0.0002(=0.001)?15×0.004(=0.06)質量%となることが分かる。 (2)甲3に記載された技術 上記(1)からみて、甲3には次の技術が記載されている。 「エタノール処理した緑茶エキスに対して水を添加して得た茶飲料用添加剤を、飲用緑茶抽出液に添加して、茶飲料中のエタノール量を0.001ないし0.06質量%とし、茶飲料が本来持っている入れ立ての風味を増強・エンハンスする技術。」(以下、「甲3技術」という。) 4.甲4 本件特許の出願前に頒布された甲4には、「香気組成物の製造方法及びこれを用いるフレーバー、飲食品の調整方法」関して次の記載がある。 (1)甲4の記載 4a)「【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した〇1?〇4の方法における各問題点を解消した新規な、何千倍に希釈して用いても香気が生きている香気組成物の製造方法の提供と、この方法で得られた香気組成物をフレーバーや飲食品に配合することによりこれらにまろやかさ、天然的な香りが付与された新規なフレーバー、飲食品の調製方法を提供するものである。」(当審注:○の中に1、4が入っているものを上記のように○1、○4と便宜上表記した。) 4b)「【0030】 【実施例7】実施例2で得られた香気組成物(リョクチャ回収フレーバー)を用いて下記の処方でフレーバーを調製した。 グリーンティフレーバーの処方 重量% エチルアルコール 10 リョクチャ回収フレーバー 64 イオン交換水 25 グリーンティベース 1 合 計 100 」 4c)「【0035】 【実施例12】実施例7で得られたリョクチャフレーバーを用いて下記の処方で飲料を調製した。 リョクチャ飲料の処方(g) リョクチャ抽出液 Bx0.3 998.85 ビタミンC 0.15 リョクチャ回収フレーバー 1 」 4d)上記4b)及び4c)から、 10重量%のエチルアルコールを含むグリーンティフレーバーをリョクチャ飲料に1g添加した場合のアルコール濃度は、10重量%×1/(998.85+0.15+1)=0.01重量%となることが分かる。 (2)甲4に記載された技術 上記(1)からみて、甲4には次の技術が記載されている。 「エチルアルコールを含むリョクチャフレーバーを、リョクチャ抽出液に添加することにより、エチルアルコール濃度が0.01重量%であって、まろやかさ、天然的な香りを付与した緑茶飲料とする技術。」(以下、「甲4技術」という。) 第5 取消理由についての判断 1.本件特許発明1 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明における「茶飲料」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件特許発明1における「茶飲料」に相当する。 そして、甲1発明における「茶飲料のカフェイン含有量が2mg/100ml以下の範囲」であることは、本件特許発明1における「茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下」であることに相当し、甲1発明における「タンニン含有量が20?60mg/100mlである」であることは、その下限値の20mg/100mlや、甲1の段落【0039】、【表2】に記載の実施例1におけるタンニン含有量51.00mg/100mlが2.5?55mg/100mlの範囲内であることを踏まえると、本件特許発明1における「茶飲料100ml当たりの総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mgである」ことに相当する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 「茶飲料であって、該茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下であり、ポリフェノールを含み、かつ該茶飲料100ml当たりの総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mgである、茶飲料。」 [相違点] 本件特許発明1においては、「茶飲料中のエタノールの含有量が0.005?0.1質量%」であるのに対して、甲1発明においては、茶飲料中にエタノールを含有するか不明である点。 以下、上記相違点について検討する。 [相違点について] 甲2ないし甲4に記載された技術によると、茶飲料に香味料等を添加することにより、茶飲料中のエタノールの含有量を0.005?0.1質量%とする技術が公知であったと認められる。 しかしながら、茶飲料に香味料等を添加した場合において、必ずしもエタノール含有量が0.005?0.1質量%となるとはいえない。 すなわち、特許権者は平成31年4月26日に提出した意見書において、乙第1号証ないし乙第11号証を添付している。 そのうち、乙第2号証(特開2005-143467号公報)における記載 「【実施例】【0063】 緑茶フレーバー組成物の例を、表-1(実施例1?8)および表-2(実施例9?16)に示した。又、紅茶フレーバー組成物の例を表-3に示した。」、 「【0071】 」、 「【0072】 」 によると、リョクチャフレーバーには溶剤として、「95%エタノール」のほか、「プロピレングリコール」(上記【表1】、【表2】の下から第2及び3行目を参照。)が用いられることが分かる。 さらに、乙第8号証(特開2000-342178号公報)における記載 「【0011】実施例3 表1の緑茶飲料用香味料組成物100重量部に、4-メトキシ-2-メチル-2-ブタンチオールの1ppbエタノール溶液を5重量部加え、4-メトキシ-2-メチル-2-ブタンチオールを0.05ppb含有する本発明の香味料組成物を得た。このものを緑茶抽出物100重量部に対し、1重量部加え、4-メトキシ-2-メチル-2-ブタンチオールを0.0005ppb含有する緑茶飲料を調製した。 【0012】 」 によると、表1における緑茶飲料用香味料組成物1000重量部における95%アルコールは、他の成分の残余部であるから598重量部、これに、4-メトキシ-2-メチル-2-ブタンチオールの1ppbエタノール溶液(95%と仮定)を5重量部加えた上で緑茶抽出物100重量部に対して1重量部加えるのであるから、乙第8号証における緑茶抽出物に緑茶飲料用香味料組成物を加えた場合のエタノール濃度は、 (59.8+5)/(100+5)×0.95×1/(100+1)×100=0.58質量%となることが分かる。 そうすると、茶飲料に添加する香味料等は、エタノールを溶媒として含むとは限らないのであって、香味料等がエタノールを溶媒として含む場合においても、茶飲料に添加した場合におけるエタノールの濃度が0.005?0.1質量%であるとは限らない。 よって、甲1発明に香味料等を添加したとしても、上記相違点に係る本件特許発明1の発明特定事項にはならない。 そして、様々な茶飲料に添加する香味料等がある中で、エタノールの含有量のみに着目して甲1発明に甲2技術ないし甲4技術を組み合わせる動機付けはない。 また、甲1発明の茶飲料は、カフェイン含有量を「2mg/100ml以下の範囲」に減少させたものにおいて、「タンニン含有量が20?60mg/100ml」とすることにより「茶本来の香味を損なうことなくカフェインの含有量を低減した茶飲料を提供する」(上記第4 1.(1)1a)参照。)ものである。一方、甲2技術における「抽出した緑茶」、甲3技術における「飲用緑茶抽出液」及び甲4技術における「リョクチャ抽出液」がそれぞれ具体的にどのような成分をどの程度の濃度で含有するものであるかは不明であるから、甲1発明に甲2技術ないし甲4技術における香味料等を添加するとしても、その添加量までがそのまま採用できるとはいえない。 すなわち、甲2技術における「茶飲料香味料」を添加する対象である「抽出した緑茶」、甲3技術における「茶飲料用添加剤」を添加する対象である「飲用緑茶抽出液」あるいは甲4技術における「リョクチャフレーバー」を添加する対象である「リョクチャ抽出液」に対するのと同等の割合で、甲1発明における、特定のカフェイン含有量及び特定のタンニン含有量を備えた(茶本来の香味に優れた低カフェイン)茶飲料に対しても、甲2技術における「茶飲料用香味料」、甲3技術における「茶飲料用添加剤」あるいは甲4技術における「リョクチャフレーバー」を添加することを甲2技術ないし甲4技術は示唆するものではない。 よって、甲1発明に甲2技術ないし甲4技術における香味料等を添加するとしても、茶飲料のエタノールの含有量を0.005?0.1質量%として上記相違点に係る本件特許発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 したがって、本件特許発明1は、甲1発明及び甲2技術ないし甲4技術に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 2.本件特許発明2ないし5について 本件特許の請求項2ないし5の記載は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく本件特許の請求項1を直接または間接的に引用してされたものであるから、本件特許発明2ないし5は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものである。 したがって、本件特許発明2ないし5は、本件特許発明1と同様の理由により甲1発明及び甲2技術ないし甲4技術に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 3.本件特許発明6及び7について 本件特許発明6及び7は、それぞれ「茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下」、「茶飲料中のエタノールの含有量が0.005?0.1質量%」及び「茶飲料100ml当たりの総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mg」という発明特定事項を有するものであって、本件特許発明1のカテゴリーを「方法」としたものであるから、本件特許発明1と同様の理由により甲1発明及び甲2技術ないし甲4技術に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 第6 申立1による特許異議理由のうち、取消理由において採用しなかった理由について 申立1における特許異議理由の概要は、次のとおりである。 1.異議理由1 本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の甲第1-1号証ないし甲第1-9号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから同法第113条2号に該当する。 記 ・甲第1-1号証:特開2007-14283号公報 ・甲第1-2号証:特開2013-165690号公報 ・甲第1-3号証:特開2008-113569号公報(取消理由における甲1) ・甲第1-4号証:特開2005-102606号公報(取消理由における甲3) ・甲第1-5号証:特開2005-80552号公報 ・甲第1-6号証:特開2001-172667号公報(取消理由における甲4) ・甲第1-7号証:梶浦英明、横向慶子、大野寿彦、「エタノールの味」、日本味と匂学会誌、1999年8月、Vol.6、No.2、p.139-144 ・甲第1-8号証:特開2010-252697号公報 ・甲第1-9号証:特開昭61-146150号公報 (以下、甲第○-△号証を略して甲○-△という。) 2.異議理由2 本件特許は、下記の点で特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものであり、同法第113条第4号に該当する。 記 (1)本件特許発明1において「茶飲料中のエタノール」が特定されているところ、エタノールが含まれている香料や茶エキスを茶飲料に添加したものまで包含されている。 しかし、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、エタノールを含む香料又は茶エキスを茶飲料に添加した態様については記載されていない。そして、そのような態様の効果も確認できていない。 したがって、当該技術分野の通常の知識を有する者が、本件特許発明1を実施することができる程度に明細書が明確かつ十分に記載されていない。 本件特許発明2ないし5についても同様である。 (2)本件特許明細書の段落【0032】には、「好ましくは本発明の効果に影響しない程度の甘味料が添加された茶飲料であり、より好ましくは甘味料が添加されない茶飲料である。」と記載されているが、本件特許明細書の発明の詳細な説明(実施例)において、甘味料が添加されたものについては実施例がなく、効果を確認していない。 なお、甘味料とは、そもそも甘味を付与するために加えるための添加剤であるが、本件特許発明1は、茶飲料の本来の甘味を改善するものであり、その茶飲料に甘味料を加えた場合は、本来の甘味を感じることが難しくなる。 したがって、当該技術分野の通常の知識を有する者が、本件特許発明1を実施することができる程度に明細書が明確かつ十分に記載されていない。 3.異議理由3 本件特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであり、同法第113条第4号に該当する。 記 (1)本件特許発明1において「茶飲料中のエタノール」が特定されているところ、エタノールが含まれている香料や茶エキスを茶飲料に添加したものまで包含されている。しかし、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、エタノールを含む香料又は茶エキスを茶飲料等に添加した態様については記載されていないし、そのような態様による効果も確認されていない。 したがって、本件特許発明1は本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではない。 本件特許発明2ないし5においても同様である。 (2)本件特許明細書の段落【0032】には、「好ましくは本発明の効果に影響しない程度の甘味料が添加された茶飲料であり、より好ましくは甘味料が添加されない茶飲料である。」と記載されているが、本件特許明細書の発明の詳細な説明(実施例)において、甘味料が添加されたものについては実施例がなく、効果を確認していない。 なお、甘味料とは、そもそも甘味を付与するために加えるための添加剤であるが、本件特許発明1は、茶飲料の本来の甘味を改善するものであり、その茶飲料に甘味料を加えた場合は、本来の甘味を感じることが難しくなる。 したがって、本件特許発明1は本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではない。 第7 申立1による特許異議理由のうち、取消理由において採用しなかった理由についての判断 1.甲各号証の記載 (1)甲1-1 本件特許の出願前に頒布された甲1-1には、「容器詰緑茶飲料」に関して次の記載がある。) ア 甲1-1の記載 1-1a)「【請求項1】 水素イオン型陽イオン交換樹脂に接触させてカフェインを低減させた緑茶抽出液に、非重合体カテキン類含有組成物を配合して得られる容器詰緑茶飲料であって、 非重合体カテキン類を40mg/100mL?300mg/100mLの濃度で含有し、 カフェイン/非重合体カテキン類の比率が0.001?0.15であり、 非重合体カテキン類中のガレート体含有率が40?80重量%であり、 pHが4?7である容器詰緑茶飲料。」 1-1b)「【0007】 本発明者らは、緑茶葉から水を用いて抽出した緑茶抽出液のカフェインを低減させるべく検討を行った結果、緑茶葉から水を用いて抽出した緑茶抽出液を、塩濃度及び電気伝導度を十分に低減させ、pHを弱酸性から中性程度に調整した水素イオン型陽イオン交換樹脂に通液させることにより、従来よりもカフェイン含有量が少ない緑茶抽出液を得た。さらに、これにカフェインが低減された非重合体カテキン類含有組成物を配合することにより、非重合体カテキン類を高濃度で含有し、カフェイン含有量が大幅に低減した緑茶飲料を得られることを見出した。 【0008】 すなわち、本発明は、水素イオン型陽イオン交換樹脂に接触させてカフェインを低減させた緑茶抽出液に、非重合体カテキン類含有組成物を配合して得られる容器詰緑茶飲料であって、非重合体カテキン類を40mg/100mL?300mg/100mLの濃度で含有し、カフェイン/非重合体カテキン類の比率が0.001?0.15であり、非重合体カテキン類中のガレート体含有率が40?80重量%であり、pHが4?7であるものを提供するものである。」 1-1c)「段落【0057】 」 1-1d)上記1-1c)の「本発明品1」の容器詰緑茶飲料において、非重合体カテキン類濃度が174.0mg/100ml、カフェイン濃度が0.26mg/100mlであることが記載されている。 イ 甲1-1発明 上記アからみて、甲1-1には次の発明が記載されている。 「容器詰茶飲料であって、容器詰茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が0.26mgであり、さらにポリフェノールとしての非重合体カテキン類を含み、かつ容器詰茶飲料100ml当たりの非重合体カテキン類の含有量が174.0mgである容器詰茶飲料。」(以下、「甲1-1発明」という。) (2)甲1-2 本件特許の出願前に頒布された甲1-2には、「高香味脱カフェイン茶飲料」に関して次の記載がある。) ア 甲1-2の記載 1-2a)「【請求項1】 カフェインの含有量が10ppm未満である脱カフェイン茶飲料の製造において、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis-3-ヘキセン-1-オール又はcis-3-ヘキセン-1-オール含有物を添加して、茶飲料中のcis-3-ヘキセン-1-オールが0.05ppm以上、2ppm以下含有するように調整したことを特徴とする加熱劣化臭のマスキングされた高香味脱カフェイン茶飲料の製造方法。」 イ 甲1-2発明 上記アからみて、甲1-2には次の発明が記載されている。 「カフェインの含有量が10ppm未満である脱カフェイン茶飲料。」(以下、「甲1-2」発明という。) (3)甲1-3(取消理由における甲1) 甲1-3には、上記第4 1.(1)、(2)における認定のとおりの事項が記載されており、次の発明が記載されている。 「茶飲料であって、茶飲料のカフェイン含有量が2mg/100ml以下の範囲であり、タンニン含有量が20?60mg/100mlである茶飲料。」(以下、「甲1-3発明」という。) (4)甲1-4(取消理由における甲3) 甲1-4には、上記第4 3.(1)、(2)のとおりの事項が記載されている。 (5)甲1-5 本件特許の出願前に頒布された甲1-5には、「茶抽出物の製造法」に関して次の記載がある。 ア 甲1-5の記載 1-5a)「【請求項1】 カメリア シネンシスに属する茶葉から茶抽出物を製造する方法であって、抽出溶媒として0.5?5重量%のエタノール水溶液を用い、該抽出溶媒に対して茶葉を0.5?20重量%用い、抽出温度0?77℃で抽出する茶抽出物の製造法。」 1-5b)「【0007】 抽出溶媒としては、エタノール水溶液を使用し、そのエタノール濃度は0.5?5重量%、好ましくは1.5?5重量%、より好ましくは2?4重量%である。エタノール濃度が0.5重量%未満では、得られる茶抽出物の香気が十分でなく、5重量%を超えると青臭く、生臭い、茶らしくない香気が抽出される。」 1-5c)「【0012】 茶系飲料を得る場合には、得られた抽出液を3?70%に希釈し、必要に応じて茶由来の成分に合わせて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して添加しても良い。」 (6)甲1-6(取消理由における甲4) 甲1-6には、上記第4 4.(1)、(2)における認定のとおりの事項が記載されている。 (7)甲1-7 本件特許の出願前に頒布された甲1-7には、「エタノールの味」に関して次の記載がある。 ア 甲1-7の記載 1-7a)「2.2 エタノールの甘味への効果 エタノールは甘味も増強する。エタノールはシュ-クロ-ス溶液の甘味を増強する効果がある^(15))。」(141ページ右欄第7ないし9行) (8)甲1-8 本件特許の出願前に頒布された甲1-8には、「茶抽出液の製造方法」に関して次の記載がある。 ア 甲1-8の記載 1-8a)「【0051】 」 1-8b)上記1-8a)の表1において、緑茶のタンニン量が71mg/100ml、カフェイン量が17.006mg/100ml(実施例4)、または、緑茶のタンニン量が69mg/100ml、カフェイン量が16.386mg/100ml(比較例2)であることが示されている。 (9)甲1-9 本件特許の出願前に頒布された甲1-9には、「茶類エキストラクトの製法」に関して次の記載がある。 ア 甲1-9の記載 1-9a)「 」 (第5ページ左下欄) 1-9b)上記1-9a)の第1表の比較例1において、紅茶エキストラクトのBrixが3.5°、タンニン含有量(対エキス%)が0.68%、カフェイン含有量(対エキス%)が0.14%であることが示されている。 2.異議理由1についての判断 (1)本件特許発明1 ア 本件特許発明1と甲1-1発明とを対比する。 甲1-1発明における「容器詰茶飲料」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件特許発明1における「茶飲料」に相当し、同様に、「ポリフェノールとしての非重合体カテキン」は、「ポリフェノール」に相当する。 そして、甲1-1発明における「容器詰茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が0.26mg」であることは、本件特許発明1における「茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下」であることに相当する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 「茶飲料であって、該茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下であり、ポリフェノールを含む、茶飲料。」 [相違点1] 本件特許発明1においては「茶飲料中のエタノールの含有量が0.005?0.1質量%」であるのに対して、甲1-1発明においては、容器詰め茶飲料中にエタノールを含むか不明な点。 [相違点2] 本件特許発明1においては「茶飲料中の茶飲料100ml当たりの総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mgである」のに対して、甲1-1発明においては「非重合体カテキンの容器詰茶飲料100ml当たりの非重合体カテキンの含有量が174.0mg」であるものの、タンニン量としての総ポリフェノールの含有量が不明である点。 以下、相違点について検討する。 [相違点1について] カフェイン含有量を低減した茶飲料において、エタノールの含有量を0.005?0.1質量%とすることは、甲1-4ないし甲1-7において記載や示唆がされていない。 そして、甲1-4(取消理由における甲3)における「茶飲料用添加剤」あるいは甲1-6(取消理由における甲4)における「リョクチャフレーバー」を、様々な茶飲料に添加する香味料がある中で、エタノールの含有量のみに着目して茶飲料に対して添加して組み合わせる動機付けはなく、組み合わせたとしても茶飲料のエタノールの含有量を0.005?0.1質量%とすることが当業者が容易に想到し得たとすることはできないことは、上記第5 1.で判断したのと同様である。 よって、本件特許発明1は、相違点2について判断するまでもなく、甲1-1発明、及び甲1-4ないし甲1-7の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 イ 本件特許発明1と甲1-2発明とを対比する。 甲1-2発明における「脱カフェイン茶飲料」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件特許発明1における「茶飲料」に相当する。 そして、甲1-2発明における「脱カフェイン茶飲料」の「カフェインの含有量が10ppm未満である」ことは、「脱カフェイン茶飲料」100ml(=100g)当たりのカフェイン含有量が(100g×10×10^(-6)=1×10^(-3)g=)1mgとなるから、 本件特許発明における「茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下」であることに相当する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 「茶飲料であって、該茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下である茶飲料。」 [相違点1] 本件特許発明1においては「茶飲料中のエタノールの含有量が0.005?0.1質量%」であるのに対して、甲1-2発明においては脱カフェイン茶飲料中にエタノールを含むか不明である点。 [相違点2] 本件特許発明1においては「ポリフェノールを含み、かつ該茶飲料100ml当たりの総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mgである、茶飲料」であるのに対して、甲1-2発明においては、脱カフェイン茶飲料がポリフェノールを含むか不明である点。 以下、相違点について検討する。 [相違点1について] カフェイン含有量を低減した茶飲料において、エタノールの含有量を0.005?0.1質量%とすることは、甲1-4ないし甲1-7において記載や示唆がされていない。 そして、甲1-4(取消理由における甲3)における「茶飲料用添加剤」あるいは甲1-6(取消理由における甲4)における「リョクチャフレーバー」を、様々な茶飲料に添加する香味料がある中で、エタノールの含有量のみに着目して茶飲料に対して添加して組み合わせる動機付けはなく、組み合わせたとしても茶飲料のエタノールの含有量を0.005?0.1質量%とすることが当業者が容易に想到し得たとすることはできないことは、上記第5 1.で判断したのと同様である。 よって、本件特許発明1は、相違点2について判断するまでもなく、甲1-2発明、及び甲1-4ないし甲1-7の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 ウ 本件特許発明1と甲1-3発明とを対比する。 本件特許発明1と甲1-3発明との対比及び判断は、上記第5 取消理由についての判断 1.のとおりである。 そして、上記第5 1.において検討していない甲1-5及び甲1-7においては、カフェイン含有量を低減した茶飲料において、エタノールの含有量を0.005?0.1質量%とすることについて記載や示唆がされていない。 したがって、本件特許発明1は、甲1-3発明、及び甲1-4ないし甲1-7の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 (2)本件特許発明2ないし5について 本件特許の請求項2ないし5の記載は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく本件特許の請求項1を直接または間接的に引用してされたものであるから、本件特許発明2ないし5は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものである。 したがって、本件特許発明2ないし5は、本件特許発明1と同様の理由により甲1-1発明、甲1-2発明または甲1-3発明及び甲1-4ないし甲1-7の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 (3)本件特許発明6及び7について 本件特許発明6及び7は、それぞれ「茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下」、「茶飲料中のエタノールの含有量が0.005?0.1質量%」及び「茶飲料100ml当たりの総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mg」という発明特定事項を有するものであって、本件特許発明1のカテゴリーを「方法」としたものであるから、本件特許発明1と同様の理由により甲1-1発明、甲1-2発明または甲1-3発明及び甲1-4ないし甲1-7の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 3.異議理由2についての判断 (1)の理由について 本件特許明細書の記載 「【0034】 本発明の茶飲料は、例えば、茶抽出液を吸着剤(例えば、酸性白土)に接触させて茶飲料の中のカフェイン量を低減させ、さらにエタノールの所定量を加えて本発明の茶飲料を調製し、調製した茶飲料を容器詰めとして、本発明の茶飲料を製造することができる。」、 「【0043】 本発明の茶飲料の甘味改善方法の好ましい態様によれば、カフェイン低減処理された茶抽出液に、緑茶飲料中のエタノールの含有量が0.01?0.1質量%となるようにエタノールを加え、緑茶飲料中の総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mgとなるように調整することを特徴とする、茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下である緑茶飲料の甘味改善方法が提供される。 【0044】 本発明の別の態様によれば、カフェイン低減処理された茶抽出液に、茶飲料中のエタノールの含有量が0.005?0.1質量%となるようにエタノールを加えることを特徴とする、茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下である茶飲料の劣化臭および劣化味低減方法が提供される。」 によれば、茶飲料にエタノールを所定含有量加えることにより甘味改善や劣化味低減などの効果が得られるものであって、茶飲料にエタノールを所定含有量加えることに関して具体的には、 「【0052】 (3)緑茶抽出液へのエタノール添加 緑茶抽出液Bの200gにエタノールを容器詰め時の濃度が下記表2に記載の濃度となるように加え、さらにL-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、イオン交換水で1000gとし、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、緑茶飲料(比較例1および実施例1?4)を得た。一方で、緑茶抽出液Bにエタノールを加えず、緑茶抽出液Bの200gに、L-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、イオン交換水で1000gとし、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、緑茶飲料(比較例2)を得た。」 と記載されている。 そして、 「【0056】 【0057】 上記表2の結果から、茶飲料中のエタノール濃度が0.3質量%(比較例1)およびエタノールが全く含まれていない茶飲料(比較例2)と比較して、エタノールが0.005?0.1質量%含まれる茶飲料(実施例1?4)では、茶本来の甘味の増強効果があることがわかった。また、実施例1?3(エタノール含有量:0.01?0.1質量%)の茶飲料ではさらに劣化臭および劣化味の抑制効果があることがわかった。さらに、実施例2および3(エタノール含有量:0.01?0.05質量%)の茶飲料では、実施例1および4の茶飲料よりもエタノール様の香味が抑えられた茶本来の甘みの増強効果と、劣化臭および劣化味の抑制効果とがあり、茶飲料として最も好ましいものであった。」 と所定の効果が得られることについて記載されている。 そうすると、エタノールをどのような形態で加えるかにかかわらず、本件特許発明1において、茶飲料におけるエタノールの含有量を所定のものとすることについての特定がされており、本件特許明細書の発明の詳細な説明において、茶飲料にエタノールを所定濃度含有させることにより所定の効果が得られることについて上記のとおり記載されているのであるから、当業者が、本件特許発明1を実施することができる程度に本件特許明細書が明確かつ十分に記載されていないということはできない。 本件特許発明2ないし5についても同様である。 (2)の理由について 本件特許明細書の記載 「【0032】 本発明の茶飲料は、好ましくは本発明の効果に影響しない程度の甘味料が添加された茶飲料であり、より好ましくは甘味料が添加されない茶飲料である。本発明の茶飲料は、甘味料を用いることなしに、茶本来の甘味を改善することができる点で有利である。本発明の茶飲料に添加されない甘味料としては、例えば、ショ糖、果糖、スクラロースが挙げられる。」によると、本件特許発明1における茶飲料は、「より好ましくは甘味料が添加されない」ものであり、「甘味料を用いることなしに、茶本来の甘味を改善することができる」ものである。 そして、甘味料が添加されるとしても「本発明の効果に影響しない程度の甘味料が添加」されるのであって、本件特許発明1による効果に影響しない程度のごく僅かな量であることは上記本件特許明細書の記載からみて明らかである。 したがって、本件特許発明1における茶飲料において甘味料が添加されるとしても、効果に影響しない程度のごく僅かな量であることは上記本件特許明細書の記載からみて明らかであるから、当該技術分野の通常の知識を有する者が、本件特許発明1を実施することができる程度に本件特許明細書が明確かつ十分に記載されていないということはできない。 4.異議理由3についての判断 (1)の理由について 上記3.(1)の理由について、において示した、本件特許明細書の段落【0052】には、「緑茶抽出液Bの200gにエタノールを容器詰め時の濃度が下記表2に記載の濃度となるように加え、」と記載されているが、緑茶抽出液Bにエタノールを加える具体的手段については記載されていない。 しかし、本件特許明細書の段落【0056】、【表2】に記載のとおり、茶飲料においてエタノール濃度の調整のみで効果が得られることが確認できるのであるから、茶飲料にエタノールを加える具体的手段がどのような手段であれ、茶飲料においてエタノールを茶飲料において所定含有量となるように加えれば課題を解決することは明らかである。 したがって、本件特許発明1が「エタノールが含まれている香料や茶エキスを茶飲料に添加したものまで包含」しているとしても、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではないとはいえない。 (2)の理由について 上記3.(2)の理由についてにおいて示したとおり、本件特許発明1における茶飲料において甘味料が添加されるとしても、効果に影響しない程度のごく僅かな量であることは明らかであるから、本件特許発明1によって課題を解決することはできる。 したがって、本件特許発明1は本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではないとはいえない。 第8 申立2による特許異議理由のうち、取消理由において採用しなかった理由について 申立2における特許異議理由の概要は、次のとおりである。 1.異議理由1 本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の甲第2-1号証ないし甲第2-6号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから同法第113条2号に該当する。 記 ・甲第2-1号証:特開2008-113569号公報(取消理由における甲1) ・甲第2-2号証:梶浦英明、横向慶子、大野寿彦、「エタノールの味」、日本味と匂学会誌、1999年8月、Vol.6、No.2、p.139-144(申立1における甲1-7) ・甲第2-3号証:SANDRA MARTIN, ROSE MARIE PANGBORN,"TASTE INTERACTION OF ETHYL ALCOHOL WITH SWEET, SALTY, SOUR AND BITTER COMPOUNDS",Journal of the Science of Food and Agriculture, 1970, Vol.21, December, p 653-655 (https:onlinelibrary.wiley.com/journal/10970010) ・甲第2-4号証:特開2007-167003号公報(取消理由における甲2) ・甲第2-5号証:特開2013-165690号公報 ・甲第2-6号証:厚生省、「食品衛生法の一部を改正する法律等の施行について」(発衛第四一三号の二各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省公衆衛生局長通達) 、昭和三二年九月一八日 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta5544&dataType=1&pageNo=1) 2.異議理由2、3及び4 本件特許は、下記の点で特許法第36条第4項第1号、同法第36条第6項第1号及び同法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであり、同法第113条第4号に該当する。 (1)カフェイン含有量に関する不備 ア 試験例1について 本件特許明細書に記載された試験例1は、使用した緑茶抽出液Bによる試験用飲料のカフェイン濃度が記載されていないから、本件特許発明に係る低カフェイン濃度の茶飲料の効果を確認できない。 イ 試験例2について 本件特許明細書に記載された試験例2は、本件特許明細書の段落【0060】、【表4】によれば、カフェイン濃度が6mg/100ml付近の狭い範囲であり、また、エタノール含有量はいずれの実施例においても0.05質量%であるから本件特許発明1ないし7に係るカフェイン濃度範囲(6mg以下)及びエタノール濃度範囲のすべてに亘って甘味増強効果が得られるのか不明である。 (2)官能評価の判定基準に関する不備 本件特許発明に係る「茶本来の甘み」は、「旨みを伴ったさわやかな甘み」(段落【0041】)である。「旨味」、「さわやかさ」、「甘味」は、それぞれ異なる風味に対する評価指標であるところ、本件特許明細書の記載からは判定基準を明確に理解できない。 第9 申立2による特許異議理由のうち、取消理由通知において採用しなかった理由についての判断 1.甲各号証の記載 (1)甲2-1(取消理由における甲1) 甲2-1の記載事項及び記載された発明は、上記第4 1.(1)、(2)のとおりである。 (2)甲2-2(申立1における甲1-7) 甲2-2の記載事項は、上記第7 1.(7)のとおりである。 (3)甲2-3 本件特許の出願前に頒布された甲2-3には「エタノールと、甘味、塩味、酸味及び苦みの混合物とにおける、味の相互作用」に関して次の記載がある。 "The influence of ethyl alcohol in concentrations ranging from 4 to 24%, on the perceived taste intensities of sucrose, citric acid, quinine, and sodium chloride was determined by 24 subjects. A paired comparison method was used in which subjects selected the sample with the greater taste intensity (sweetness, sourness, bitterness or saltiness) as well as rating the intensity on a 13‐point scale. The alcohol generally enhanced the sweetness of sucrose, with results varying slightly according to the subjects' task. "(653ページ 第4ないし8行) (訳:スクロース、クエン酸、キニーネ、および塩化ナトリウムの知覚される味覚強度に対する4?24%の範囲の濃度のエチルアルコールの影響を、24人の被験者によって決定した。1対の比較方法を使用して、被験者は、味強度(甘み、酸味、苦味または塩味)がより大きい試料を選択し、強度を13ポイント尺度で評価した。アルコールは、一般にスクロースの甘味を増強し、その結果は、被験者の作業によってわずかに変化した。) (4)甲2-4(取消理由における甲2) 甲2-4の記載事項は、上記第4 2.(1)、(2)のとおりである。 (5)甲2-5 本件特許の出願前に頒布された甲2-5には「高香味脱カフェイン茶飲料」に関して次の記載がある。 ア 甲2-5の記載 2-5a)「【請求項1】 カフェインの含有量が10ppm未満である脱カフェイン茶飲料の製造において、脱カフェイン処理した茶飲料抽出液に、cis-3-ヘキセン-1-オール又はcis-3-ヘキセン-1-オール含有物を添加して、茶飲料中のcis-3-ヘキセン-1-オールが0.05ppm以上、2ppm以下含有するように調整したことを特徴とする加熱劣化臭のマスキングされた高香味脱カフェイン茶飲料の製造方法。」 2-5b)「【0005】 一方で、容器詰め茶飲料においては、その製造工程中に高温加熱殺菌工程が入るために、該加工食品に独特の臭い、いわゆる加熱劣化臭が生じる。茶飲料は比較的加熱劣化臭を生じやすい傾向があるが、カフェインを除去した茶飲料は香気成分の多くが失われているため、非脱カフェイン飲料に比較して、加熱劣化臭を感じやすく、通常の茶飲料より香味面で劣るという問題がある。」 2-5c)「【0012】 本発明の課題は、カフェインの含有量が10ppm以下である、脱カフェインされた高香味茶飲料において、飲料の製造工程の高温加熱殺菌することにより生じる加熱劣化臭をマスキングすることにより、茶飲料の香味を改善した高香味脱カフェイン茶飲料を提供することにある。」 (6)甲2-6 本件特許の出願前に頒布された甲2-6には「食品衛生法における標示」に関して次の記載がある。 2-6a)「第三 標示に関する事項 一 標示を行うべき食品及び添加物は、省令別表第三に規定されることとなつたが、改正された事項のうち、次の諸点に留意すること。 (一) 乳酸菌飲料、魚肉ハム、魚肉ソーセージ及び鯨肉ベーコンの類、容器包装に入れられた納豆、つぼ詰の食品及び合成樹脂製容器包装詰の食品が追加されたこと。 (二) 清涼飲料水及び保存飲料水を一本化して、清涼飲料水としたこと。その定義は、乳酸菌飲料、乳及び乳製品を除く酒精分一容量パーセント未満を含有する飲料をいうものであること。従つて、酸味を有しない飲料水、主として児童を対象として製造されコルク等で簡単に栓を施した飲料水(例えばニツケ水、ハツカ水等)、トマトジユース、摂取時に希釈、融解等により飲み物として摂取することを目的としたもの(例えば、濃厚ジユース、凍結ジユース等)(ただし、粉末ジユースを除く。)もすべて含まれるものであること。」(「第三 標示に関する事項」の欄 第1ないし12行) 2.異議理由1についての判断 (1)本件特許発明1 本件特許発明1と甲2-1発明との対比は、上記第5 取消理由についての判断 1.のとおりである。そして、上記第5 1.において検討していない甲2-2、甲2-3、甲2-5及び甲2-6の記載においては、カフェイン含有量を低減した茶飲料において、エタノールの含有量を0.005?0.1質量%とすることについて開示や示唆がされていない。 したがって、本件特許発明1は、甲2-1発明、及び甲2-2ないし甲2-6の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 (2)本件特許発明2ないし5について 本件特許の請求項2ないし5の記載は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく本件特許の請求項1を直接または間接的に引用してされたものであるから、本件特許発明2ないし5は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものである。 したがって、本件特許発明2ないし5は、本件特許発明1と同様の理由により甲2-1発明、及び甲2-2発明ないし甲2-6の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 (3)本件特許発明6及び7について 本件特許発明6及び7は、それぞれ「茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量が6mg以下」、「茶飲料中のエタノールの含有量が0.005?0.1質量%」及び「茶飲料100ml当たりの総ポリフェノールの含有量がタンニン量として2.5?55mg」という発明特定事項を有するものであって、本件特許発明1のカテゴリーを「方法」としたものであるから、本件特許発明1と同様の理由により甲2-1発明、及び甲2-2ないし甲2-6の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。 3.異議理由2、3及び4についての判断 (1)カフェイン含有量に関する不備について ア 試験例1について 本件特許明細書における記載 「【0017】 本発明の茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量を6mg以下とすることができればどのような手段を用いてもよいが、好ましくは吸着剤処理、イオン交換処理、茶原料熱水処理、または二酸化炭素超臨界抽出処理を行うことによって本発明の茶飲料中のカフェイン量を低減させることができる。また、茶原料や、茶抽出方法を変更し、茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量を6mg以下となるように調製してもよい。 【0018】 本発明の茶飲料中のカフェイン量を低減させるために用いられる吸着剤としては、特に限定されるものではないが、好ましくは白土、ゼオライト、および合成吸着剤からなる群から選択される1種または2種以上であり、白土を用いることがより好ましい。 【0019】 本発明の茶飲料の製造するために用いられる白土は、特に限定されるものではなく、例えば、酸性白土、活性白土、ベントナイト、活性ベントナイトおよびこれらの一部または全部の組合せが挙げられる。好ましくは、酸性白土および活性白土並びにこれらの組合せを用いることができ、より好ましくは酸性白土を用いることができる。」、 「【0050】 試験例1:エタノールによる茶飲料の各種効果の検討 (1)緑茶抽出液の調製 緑茶葉100gに、70℃に加熱したイオン交換水3000gを加えて10分間抽出した。その後、抽出した抽出液から茶葉を取り除き、氷水にて10℃以下に冷却し、緑茶抽出液Aを得た。 【0051】 (2)緑茶抽出液の吸着剤処理 緑茶抽出液Aの400gと、酸性白土ミズカエース♯20(水澤化学社製)8gとを混合し、室温(25℃)にて、10分間接触させ、遠心分離機にて固液分離後、メンブランフィルターにてろ過を行い、緑茶抽出液Bを得た。」 によれば、試験例1において緑茶抽出液Aを酸性白土ミズカエース♯20(水澤化学社製)と10分間接触させて吸着剤処理を行っていることからみて、緑茶抽出液Aのカフェイン量を低減しており、上記段落【0017】の記載によると、本件特許発明の実施例としての記載である以上、茶飲料100ml当たりのカフェイン含有量を6mg以下としているものと認められる。 したがって、下記の本件特許明細書の段落【0056】、【表2】における評価結果は、低カフェイン濃度の茶飲料の効果を示したものであって、本件特許明細書の発明の詳細な説明における記載は、当業者が本件特許発明1ないし7を実施できる程度に明確に記載されていないとはいえない。 本件特許明細書の段落【0056】 「 」 イ 試験例2について 本件特許明細書における記載 「【0002】 茶やコーヒーなどを愛飲する消費者が多いが、カフェインの中毒性や、妊婦への悪影響等があり、カフェインを低減した飲料の開発が求められている。一方で、茶飲料中のカフェイン含有量を低減させるために吸着剤を用いて処理した場合、茶原料の使用量を低減させた場合には、茶本来の甘味を損ねてしまう場合があった。」、 「【0009】 本発明によれば、茶飲料に含まれるカフェイン含有量が低減され、かつ茶本来の甘味を有する茶飲料を提供できる点で有利である。また、本発明によれば、エタノールを一定量加えるとの簡易な工程により、茶飲料に含まれるカフェイン含有量が低減された茶飲料の茶本来の甘味を改善できる点で有利である。」 によれば、茶飲料のカフェインを吸着剤により吸着して低減した結果、茶本来の甘味を損ねてしまうのであり、茶飲料においてカフェイン含有量の範囲である上限付近である少なくともカフェイン含有量5.0?5.5の場合において、エタノールを加えることによる甘味改善効果が得られることが試験例2において示されている。 さらに、本件特許明細書における記載 「【0041】 本発明において、甘味の改善とは、エタノールが0.005?0.1質量%含まれない茶飲料と比較して、僅かでも茶本来の甘味が増強されていれば甘味が改善されたとされ、複数人が茶飲料を試飲した場合に、試飲者の一部が茶本来の甘味の増強効果があると判断(回答)した場合も、茶飲料の甘味が改善されたとされる。ここで、茶本来の甘味とは、旨みを伴ったさわやかな甘味である。」 によれば、ごく僅かでも茶本来の甘味が増強されていれば甘味改善効果が得られるというのであって、茶飲料においてカフェイン含有量が数値範囲の上限付近より小さい領域においても、茶本来の甘味をエタノールが増強することによる甘味改善効果は僅かでも得られるものと認められる。 そして、カフェイン含有量が数値範囲の上限付近より小さい領域において、茶飲料にエタノールを加えることによる甘味改善効果が得られないという事情も見当たらない。 また、茶飲料中のエタノール濃度を0.005?0.1質量%に変化させた場合に、当該範囲において甘味改善効果が得られることについては、本件特許明細書の段落【0056】の【表2】において示されている。 したがって、カフェイン含有量に関して本件特許明細書において記載の不備があるということはできない。 (2)官能評価の判定基準に関する不備について 本件特許明細書における記載 「【0002】 茶やコーヒーなどを愛飲する消費者が多いが、カフェインの中毒性や、妊婦への悪影響等があり、カフェインを低減した飲料の開発が求められている。一方で、茶飲料中のカフェイン含有量を低減させるために吸着剤を用いて処理した場合、茶原料の使用量を低減させた場合には、茶本来の甘味を損ねてしまう場合があった。」、 「【0009】 本発明によれば、茶飲料に含まれるカフェイン含有量が低減され、かつ茶本来の甘味を有する茶飲料を提供できる点で有利である。また、本発明によれば、エタノールを一定量加えるとの簡易な工程により、茶飲料に含まれるカフェイン含有量が低減された茶飲料の茶本来の甘味を改善できる点で有利である。」 によれば、茶飲料のカフェインを吸着剤により吸着して低減した結果、茶本来の甘味を損ねてしまうのであり、「茶本来の甘み」とは吸着剤によりカフェインとともに吸着されてしまうものであるから、茶が本来有する成分によるものである。 さらに、本件特許明細書における記載 「【0041】 本発明において、甘味の改善とは、エタノールが0.005?0.1質量%含まれない茶飲料と比較して、僅かでも茶本来の甘味が増強されていれば甘味が改善されたとされ、複数人が茶飲料を試飲した場合に、試飲者の一部が茶本来の甘味の増強効果があると判断(回答)した場合も、茶飲料の甘味が改善されたとされる。ここで、茶本来の甘味とは、旨みを伴ったさわやかな甘味である。」 によると、茶本来の甘みとは「旨みを伴ったさわやかな甘味」とされているものの、官能評価は甘み、旨み、さわやかさを個別に評価しているわけではないから、これらの関係を特段明記していなくても訓練されたパネリストであれば茶本来の甘みを評価することはできると認められる。 したがって、本件特許明細書における官能評価に関する記載に不備があるとはいえない。 (3)小括 したがって、異議理由2、3及び4により、本件特許が特許法第36条第4項第1号、同法第36条第6項第1号及び同法第36条第6項第2号に違反してされたものということはできない。 第10 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した異議理由によっては、本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2019-05-29 |
出願番号 | 特願2013-267500(P2013-267500) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
Y
(A23F)
P 1 651・ 121- Y (A23F) P 1 651・ 536- Y (A23F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 戸来 幸男 |
特許庁審判長 |
紀本 孝 |
特許庁審判官 |
槙原 進 松下 聡 |
登録日 | 2018-01-05 |
登録番号 | 特許第6266339号(P6266339) |
権利者 | キリン株式会社 キリンビバレッジ株式会社 |
発明の名称 | エタノール含有茶飲料 |
代理人 | 反町 洋 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 藤井 宏行 |
代理人 | 朝倉 悟 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 横田 修孝 |
代理人 | 藤井 宏行 |
代理人 | 朝倉 悟 |
代理人 | 佐藤 泰和 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 佐藤 泰和 |
代理人 | 反町 洋 |
代理人 | 勝沼 宏仁 |
代理人 | 勝沼 宏仁 |
代理人 | 横田 修孝 |