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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1352791
審判番号 不服2018-7092  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-24 
確定日 2019-06-20 
事件の表示 特願2016-171033号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月28日出願公開、特開2016-221341号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成25年7月2日に出願した特願2013-138850号の一部を平成28年9月1日に新たな特許出願(特願2016-171033号)としたものであって、平成28年9月14日に手続補正書が提出され、平成29年7月11日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年9月12日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年2月20日付け(発送日:平成30年2月27日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年5月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成31年1月15日付けで拒絶の理由が通知され、平成31年3月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成31年3月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める(A?Nは、本願発明を分説するため当審で付した。)。

「A 第1利益状態を発生させるか否かの第1抽選を第1図柄始動条件が成立することに基づいて行う第1抽選手段と、
B 前記第1抽選の結果に基づいて第1図柄を変動表示する第1図柄表示手段と、
C 前記第1抽選で当選することに基づいて前記第1図柄表示手段の変動後の停止図柄が第1特定態様となった場合に前記第1利益状態を発生させる第1利益状態発生手段と、
D 第2利益状態を発生させるか否かの第2抽選を第2図柄始動条件が成立することに基づいて行う第2抽選手段と、
E 前記第2抽選の結果に基づいて第2図柄を変動表示する第2図柄表示手段と、
F 前記第2抽選で当選することに基づいて前記第2図柄表示手段の変動後の停止図柄が第2特定態様となった場合に前記第2利益状態を発生させる第2利益状態発生手段と
G を備えた遊技機において、
H 所定の予告演出態様を表示する予告演出表示手段を備え、
I 前記予告演出表示手段による予告演出は、前記第1抽選の結果に基づく演出であって前記第1抽選の結果に基づくものである旨を報知することなく実行する第1予告演出と、前記第2抽選の結果に基づく演出であって前記第2抽選の結果に基づくものである旨を報知することなく実行する第2予告演出とを含み、
J 前記予告演出表示手段は、前記第1予告演出と前記第2予告演出とを排他的に実行可能であり、
K 前記第1予告演出の場合の前記予告演出態様は複数種類の第1予告演出態様から選択し、
L 前記第2予告演出の場合の前記予告演出態様は複数種類の第2予告演出態様から選択し、
M 前記複数種類の第1予告演出態様のうちの特定第1予告演出態様と、前記複数種類の第2予告演出態様のうちの特定第2予告演出態様とが、最終的に表示される態様を含めて共通である
N ことを特徴とする遊技機。」

3 当審における拒絶の理由
当審における平成31年1月15日付けの拒絶理由の概要は次のとおりである。

「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1
・引用例 1
<引用文献等一覧>
1.特開2013-081548号公報(新たに引用された文献)」

4 引用文献1について
当審における平成31年1月15日付けの拒絶理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2013-081548号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

(ア)「【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

(イ)「【0031】
第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14を通過(入賞を含む)したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、遊技球が通過するとは、入賞口やゲートなどのあらかじめ入賞領域として定められている領域を遊技球が通過したことであり、入賞口に遊技球が入った(入賞した)ことを含む概念である。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。」

(ウ)「【0048】
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口(第1大入賞口)が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。」

(エ)「【0050】
演出表示装置9の表示画面には、普通図柄の表示結果を示唆するような演出や特別図柄の表示結果および変動パターンの種類を示唆するような演出が行われる演出エリア9Fが表示される。」

(オ)「【0052】
なお、この実施の形態では、15R通常大当りにもとづく大当り遊技中、2R確変大当りにもとづく大当り遊技中、15R確変大当りにもとづく大当り遊技中に、第1大入賞口が開放状態に制御される。また、小当り遊技状態中、突然確変大当りにもとづく大当り遊技中、および突然確変見せかけ大当りにもとづく大当り遊技中に、第2大入賞口が開放状態に制御される。」

(カ)「【0059】
遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄。例えば、図柄「7」)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。さらに、通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態(通常状態と比較して、特別図柄の変動表示結果として大当りと判定される確率が高められた状態)では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。また、確変状態ではないが図柄の変動時間が短縮されている時短状態(特別図柄の可変表示時間が短縮される遊技状態)でも、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。」

(キ)「【0061】
遊技機には、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において飾り図柄の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および飾り図柄の可変表示は、第1始動入賞口13への入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
【0062】
遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において飾り図柄の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および飾り図柄の可変表示は、第2始動入賞口14への入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。」

(ク)「【0116】
図7は、あらかじめ用意された飾り図柄の変動パターンを示す説明図である。図7に示すように、この実施の形態では、可変表示結果が「はずれ」であり飾り図柄の可変表示態様が「非リーチ」である場合に対応した変動パターンとして、非リーチPA1-1?非リーチPA1-4の変動パターンが用意されている。また、可変表示結果が「はずれ」であり飾り図柄の可変表示態様が「リーチ」である場合に対応した変動パターンとして、ノーマルPA2-1?ノーマルPA2-2、ノーマルPB2-1?ノーマルPB2-2、スーパーPA3-1?スーパーPA3-2、スーパーPB3-1?スーパーPB3-2の変動パターンが用意されている。なお、図7に示すように、リーチしない場合に使用され擬似連の演出を伴う非リーチPA1-4の変動パターンについては、再変動が1回行われる。「擬似連」は、全ての図柄表示エリアにおいて飾り図柄を仮停止表示させた後、全ての図柄表示エリアにおいて飾り図柄を再び変動(擬似連変動)させる演出表示を、所定回行う変動パターンである。
・・・
【0118】
また、図7に示すように、この実施の形態では、特別図柄の可変表示結果が大当り図柄または小当り図柄になる場合に対応した変動パターンとして、ノーマルPA2-3?ノーマルPA2-4、ノーマルPB2-3?ノーマルPB2-4、スーパーPA3-3?スーパーPA3-4、スーパーPB3-3?スーパーPB3-4、特殊PG1-1?特殊PG1-3、特殊PG2-1?特殊PG2-2の変動パターンが用意されている。なお、図7において、特殊PG1-1?特殊PG1-3、特殊PG2-1?特殊PG2-2の変動パターンは、突確見せかけ大当り、突確大当り、2R確変大当りまたは小当りとなる場合に使用される変動パターンである。また、図7に示すように、突確見せかけ大当り、突確大当り、2R確変大当りおよび小当りでない場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2-3を用いる場合には、再変動が1回行われる。また、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2-4を用いる場合には、再変動が2回行われる。さらに、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、スーパーPA3-3?スーパーPA3-4を用いる場合には、再変動が3回行われる。また、突確見せかけ大当り、突確大当り、2R確変大当りまたは小当りの場合に使用され擬似連の演出を伴う特殊PG1-3の変動パターンについては、再変動が1回行われる。」

(ケ)「【0128】
CPU56は、所定の時期に、乱数回路503のカウント値を抽出して抽出値を大当り判定用乱数(ランダムR)の値とするのであるが、大当り判定用乱数値が図9(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りにすることに決定する。また、大当り判定用乱数値が図9(B),(C)に示すいずれかの小当り判定値に一致すると、特別図柄に関して小当りにすることに決定する。なお、図9(A)に示す「確率」は、大当りになる確率(割合)を示す。また、図9(B),(C)に示す「確率」は、小当りになる確率(割合)を示す。また、大当りにするか否か決定するということは、大当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄を大当り図柄にするか否か決定するということでもある。また、小当りにするか否か決定するということは、小当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄を小当り図柄にするか否か決定するということでもある。」

(コ)「【0183】
普通図柄停止時処理(ステップS403):CPU56は、普通図柄の停止図柄が当り図柄であるか否か確認する。当り図柄でなければ(はずれ図柄であれば)、普通図柄プロセスフラグの値を普通図柄通常処理(ステップS400)を示す値(この例では「0」)に更新する。普通図柄の停止図柄が当り図柄であれば、普通図柄プロセスタイマに普通電動役物作動時間に相当する値をセットすることによって普通図柄プロセスタイマをスタートさせる。また、可変入賞球装置(普通電動役物)15を開放状態にする。そして、普通図柄プロセスフラグの値を普通電動役物開放中処理(ステップS404)を示す値(この例では「4」)に更新する。」

(サ)「【0189】
CPU56は、ステップS400の普通図柄通常処理において、普通図柄の変動を開始することができる状態であり、かつ、ゲート通過記憶数が0でなければ、保存領域に格納されている普通図柄当り判定用乱数の値と図18に示された普通図柄当り決定テーブルとを用いて、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定する。すなわち、普通図柄当り判定用乱数の値が普通図柄当り決定テーブルに設定されている判定値(当りに対応する判定値)のいずれかの一致する場合に、当りと判定する。当りと判定した場合には、普通図柄当りフラグをセットする。なお、CPU56は、遊技状態が低ベース状態であれば(時短フラグがセットされていなければ)、図18(A)に示されたテーブルを使用し、高ベース状態であれば(時短フラグがセットされていれば)、図18(B)に示されたテーブルを使用する。」

(シ)「【0193】
また、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値が普通図柄変動処理(ステップS402)に対応した値であるときに、ステップS33の普通図柄表示制御処理で普通図柄の可変表示(変動)を実行する。」

(ス)「【0204】
変動パターン設定処理(ステップS301):特別図柄プロセスフラグの値が1であるときに実行される。また、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:可変表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の可変表示の変動時間とすることに決定する。また、特別図柄の変動時間を計測する変動時間タイマをスタートさせる。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に対応した値(この例では2)に更新する。」

(セ)「【0234】
図26および図27は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)を示すフローチャートである。特別図柄通常処理において、CPU56は、合算保留記憶数の値を確認する(ステップS51)。具体的には、合算保留記憶数カウンタのカウント値を確認する。合算保留記憶数が0であれば、演出制御用マイクロコンピュータ100に対して客待ちデモ指定コマンドを送信する制御を行い(ステップS51A)、処理を終了する。」

(ソ)「【0243】
次いで、CPU56は、乱数バッファ領域からランダムR(大当り判定用乱数)を読み出し、大当りにするか否か決定する。すなわち、大当り判定用乱数の値が大当り判定テーブルに設定されている大当り判定値(図8参照)のいずれかに一致するか否か判定する(ステップS61)。なお、CPU56は、第1始動口スイッチ通過処理のステップS215Aや第2始動口スイッチ通過処理のステップS215Bで抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り判定用乱数を読み出し、大当り判定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とを比較する処理)を行う。具体的には、CPU56は、現在の遊技状態に応じて、大当り判定用乱数(ランダムR)の値が図9(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りとすることに決定する。」

(タ)「【0251】
次いで、CPU56は、特別図柄の停止図柄を決定する(ステップS73)。具体的には、大当りフラグおよび小当りフラグがセットされていない場合には、はずれ図柄である「-」を特別図柄の停止図柄に決定する。大当りフラグがセットされている場合には、大当り種別の決定結果に応じて、大当り図柄である「1」、「3」、「5」、「7」、「9」のいずれかを特別図柄の停止図柄に決定する。すなわち、大当り種別を「15R通常大当り」に決定した場合には「1」を特別図柄の停止図柄に決定する。「2R確変大当り」に決定した場合には「9」を特別図柄の停止図柄に決定する。「突確見せかけ大当り」に決定した場合には「5」を特別図柄の停止図柄に決定する。「突確大当り」に決定した場合には「3」を特別図柄の停止図柄に決定し、「15R確変大当り」に決定した場合には「7」を特別図柄の停止図柄に決定する。また、小当りフラグがセットされている場合には、小当り図柄である「2」を特別図柄の停止図柄に決定する。」

(チ)「【0254】
図28は、特別図柄プロセス処理における変動パターン設定処理(ステップS301)を示すフローチャートである。変動パターン設定処理において、CPU56は、大当りフラグがセットされているか否か確認する(ステップS91)。大当りフラグがセットされている場合には、CPU56は、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、大当り用変動パターン種別判定テーブル132A,132B(図11(A),(B)参照)のいずれかを選択する(ステップS92)。そして、ステップS102に移行する。
【0255】
大当りフラグがセットされていない場合には、CPU56は、小当りフラグがセットされているか否かを確認する(ステップS93)。小当りフラグがセットされている場合には、CPU56は、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、小当り用変動パターン種別判定テーブル132C(図11(C)参照)を選択する(ステップS94)。そして、ステップS102に移行する。」

(ツ)「【0329】
図41に示す例では、所定演出は、予兆演出、開始演出、報知用演出、結果報知演出の順に実行される。なお、予兆演出が実行される期間を第1期間といい、開始演出、報知用演出および結果報知演出が実行される期間を第2期間という。」

(テ)「【0335】
この実施の形態では、報知用演出は、演出エリア9Fにおいて図柄が変動するような演出である(図42(D)参照)。その後、演出エリア9Fにおいて、可変入賞球装置15が遊技球が進入しやすい状態に制御されることを示唆する画像9cが停止表示される(図42(E)参照)。次いで、可変入賞球装置15が遊技球が進入しやすい状態に制御されることを報知するような報知用画像9dが表示される(図42(F)参照)。その後、演出表示装置9に、可変入賞球装置15が遊技球が進入しやすい状態(開放状態)に制御されることを明示する画像9eが表示される(図42(F)参照)。なお、図42(E),(F)に示すような表示制御がなされる期間が結果報知演出の期間に相当する。」

(ト)「【0343】
報知用演出は演出エリア9Fにおいて図柄が変動するような演出であるが(図44(D)参照)。その後、演出エリア9Fにおいて、スーパーリーチになることを示唆する画像(大当りの期待度が高いことを報知するための画像)9iが停止表示される(図44(E)参照)。そして、飾り図柄の表示状態がリーチ状態になる(図44(F)参照)。その後、演出表示装置9に、スーパーリーチの発生を明示する画像9jが表示される(図44(F)参照)。なお、図44(E),(F)に示すような表示制御がなされる期間が結果報知演出の期間に相当する。」

(ナ)「【0363】
演出制御用CPU101は、ステップS759の処理において、所定演出決定用乱数(図39参照)を抽出し、所定演出決定用乱数が所定演出を実行することに対応する判定値のいずれかと一致した場合に、所定演出を実行することに決定する。なお、演出制御用CPU101は、普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄はずれ」に関する判定値を使用し、普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄当り」に関する判定値を使用する。また、演出制御用CPU101は、ステップS759の処理を実行したら、普通図柄変動開始指定コマンド受信フラグをリセットしておく。」

(ニ)「【0389】
そして、演出制御用CPU101は、所定演出に関する決定を行う(ステップS826)。ステップS826の所定演出に関する決定処理は、所定演出を実行するか否か決定する処理であるが、演出制御用CPU101は、その処理において、例えば、図48に示す所定演出決定テーブル(ここでは、「普通図柄はずれ」および「普通図柄当り」は除外される。)を使用する。
【0390】
演出制御用CPU101は、ステップS826の処理において、所定演出決定用乱数(図39参照)を抽出し、所定演出決定用乱数が所定演出を実行することに対応する判定値のいずれかと一致した場合に、所定演出を実行することに決定する。なお、演出制御用CPU101は、特別図柄の表示結果を小当り図柄にすることに決定されている場合、飾り図柄の変動パターンが擬似連演出を伴うノーマルリーチの変動パターンである場合、飾り図柄の変動パターンが擬似連演出を伴うスーパーリーチの変動パターンである場合、飾り図柄の変動パターンがスーパーリーチの変動パターン(擬似連演出を伴わない)である場合、および、その他の場合の各々に応じて、所定演出を実行するか否か決定する。」

(ヌ)「【0474】
(9)演出制御用マイクロコンピュータ100が、大当りの期待度が高いことを報知する所定演出(例えば、「報知内容」を図44に例示されたような「激熱」にする。)を実行する場合に、所定演出の対象の一部または全部を遊技者が視認しやすい態様(例えば、表示画面において報知演出が実行されている領域を拡大したり明るい表示状態にする。)にする遊技機。そのように構成されている場合には、大当りに対する期待度が高い場合に所定演出に対する注目度を上げることができる。」

(ネ)【図42】


(ノ)【図44】

上記【0329】には、「所定演出は、・・・報知用演出、結果報知演出の順に実行される」と記載され、上記【0335】には、「報知用演出は、演出エリア9Fにおいて図柄が変動するような演出である(図42(D)参照)。その後、演出エリア9Fにおいて、可変入賞球装置15が遊技球が進入しやすい状態に制御されることを示唆する画像9cが停止表示される(図42(E)参照)。・・・なお、図42(E),(F)に示すような表示制御がなされる期間が結果報知演出の期間に相当する」と記載され、上記【0343】には、「報知用演出は演出エリア9Fにおいて図柄が変動するような演出であるが(図44(D)参照)。その後、演出エリア9Fにおいて、スーパーリーチになることを示唆する画像(大当りの期待度が高いことを報知するための画像)9iが停止表示される(図44(E)参照)。・・・なお、図44(E),(F)に示すような表示制御がなされる期間が結果報知演出の期間に相当する。」と記載されていることを参照すると、【図42】、【図44】には、報知用演出として、演出エリア9Fにおいて図柄が変動するような演出が表示され(【図42】(D)、【図44】(D))、その後、飾り図柄の変動中である、結果報知演出の冒頭に(【図42】(E)、【図44】(E))、演出エリア9Fにおいて、可変入賞球装置15が遊技球が進入しやすい状態に制御されることを示唆する画像9c又はスーパーリーチになることを示唆する画像(大当りの期待度が高いことを報知するための画像)9iが停止表示されることが図示されている。
また、【図42】、【図44】には、単数の演出エリア9Fが設けられることが図示されている。
さらに、【図44】(E)には、演出エリア9Fに「激熱」の文字を表示することが図示されている。

(ハ)【図48】

【図48】には、「普通図柄はずれ」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が表示されることが図示され、「普通図柄当り」に対応する報知内容として「当り(○)」が表示されること図示されている。また、【図48】には、「スーパーリーチ」に対応する報知内容として「期待度大」が表示されること図示され、「その他」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が表示されることが図示されている。

上記(ア)?(ヌ)の記載事項及び図示内容(ネ)?(ハ)から、以下の事項が導かれる。なお、(a)?(n)は、本願発明の特定事項A?Nに対応した事項を示している。

(a)上記【0059】には、「遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。・・・普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する」と記載され、上記【0189】には、「CPU56は、・・・普通図柄通常処理において、・・・普通図柄当り判定用乱数の値と・・・普通図柄当り決定テーブルとを用いて、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定する」と記載されていることから、引用文献1には、遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始され、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化するように、普通図柄当り判定用乱数の値と普通図柄当り決定テーブルとを用いて、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定する普通図柄通常処理を実行するCPU56が記載されている。

(b)上記【0189】には、「CPU56は、・・・普通図柄通常処理において、・・・当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定する」と記載され、上記【0193】には、「普通図柄表示制御処理で普通図柄の可変表示(変動)を実行する」と記載され、上記【0059】には、「普通図柄表示器10の表示の可変表示」と記載されていることから、引用文献1には、CPU56が、普通図柄通常処理において、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定し、普通図柄表示制御処理を実行した場合に、普通図柄の可変表示(変動)を行う普通図柄表示器10が記載されている。

(c)上記【0189】には、「CPU56は、・・・普通図柄通常処理において、・・・当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定する」と記載され、上記【0059】には「普通図柄表示器10における・・・停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する」と記載され、上記【0183】には、「普通図柄停止時処理・・・:CPU56は、・・・可変入賞球装置(普通電動役物)15を開放状態にする」と記載されていることから、引用文献1には、普通図柄通常処理において、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定し、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化させるため可変入賞球装置(普通電動役物)15を開放状態にする普通図柄停止時処理を実行するCPU56が記載されている。

(d)上記【0061】には、「遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると」と記載され、上記【0062】には、「遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると」と記載され、上記【0234】には、「特別図柄通常処理において、CPU56は」と記載され、上記【0243】には、「CPU56は、第1始動口スイッチ通過処理・・・や第2始動口スイッチ通過処理・・・で抽出し・・・格納した大当り判定用乱数を読み出し」と記載され、上記【0128】には、「CPU56は、・・・大当り判定用乱数値が・・・大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りにすることに決定する。・・・大当り判定用乱数値が・・・小当り判定値に一致すると、特別図柄に関して小当りにすることに決定する。・・・大当りにするか否か決定するということは、大当り遊技状態に移行させるか否か決定するということである・・・小当りにするか否か決定するということは、小当り遊技状態に移行させるか否か決定するということである」と記載されている。
してみると、引用文献1には、遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、又は、遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第1始動口スイッチ通過処理や第2始動口スイッチ通過処理で大当り判定用乱数を抽出して格納し、特別図柄通常処理において、大当り判定用乱数を読み出し、大当り判定用乱数値が大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りにし、大当り遊技状態に移行させることに決定し、大当り判定用乱数値が小当り判定値に一致すると、特別図柄に関して小当りにし、小当り遊技状態に移行させることに決定するCPU56が記載されている。

(e)上記【0128】には、「CPU56は、・・・特別図柄に関して大当りにすることに決定する。・・・特別図柄に関して小当りにすることに決定する。・・・大当りにするか否か決定するということは、・・・第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄を大当り図柄にするか否か決定するということでもある。・・・小当りにするか否か決定するということは、・・・第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄を小当り図柄にするか否か決定するということでもある」と記載され、上記【0254】には、「変動パターン設定処理において、CPU56は、大当りフラグがセットされているか否か確認する」、上記【0255】には、「小当りフラグがセットされているか否かを確認する」と記載され、上記【0204】には、「変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:可変表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の可変表示の変動時間とすることに決定する」と記載され、上記【0031】には、「可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する」と記載されていることから、引用文献1には、CPU56が、特別図柄に関して大当りにすること又は小当たりにすることを決定し、つまり、停止図柄を大当り図柄にすること又は小当り図柄にすることを決定し、変動パターン設定処理において、大当りフラグがセットされているか小当りフラグがセットされているかを確認し、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:可変表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の可変表示の変動時間とすることに決定したことに基づき、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bが記載されている。

(f)上記【0251】には、「CPU56は、・・・大当り種別の決定結果に応じて、大当り図柄・・・を特別図柄の停止図柄に決定する。・・・小当り図柄・・・を特別図柄の停止図柄に決定する」と記載され、上記【0128】には、「CPU56は、・・・大当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄を大当り図柄にするか否か決定するということでもある。・・・小当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄を小当り図柄にするか否か決定するということでもある」と記載され、上記【0048】には、「第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)」と記載され、上記【0052】には、「大当り遊技中に、第1大入賞口が開放状態に制御される。また、小当り遊技状態中、・・・大当たり遊技中に、第2大入賞口が開放状態に制御される」と記載されていることから、引用文献1には、大当り種別の決定結果に応じて、大当り図柄を特別図柄の停止図柄に決定し又は小当り図柄を特別図柄の停止図柄に決定し、第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄として大当り図柄又は小当り図柄が導出表示されたとき、第1大入賞口又は第2大入賞口が開放状態に制御される大当り遊技又は小当り遊技を生起させるCPU56が記載されている。

(g)上記【0017】には、「パチンコ遊技機1」と記載されている。

(h)(i)(m)上記【図42】、【図44】には、報知用演出として、演出エリア9Fにおいて図柄が変動するような演出が表示され(【図42】(D)、【図44】(D))、その後、飾り図柄の変動中である、結果報知演出の冒頭に(【図42】(E)、【図44】(E))、演出エリア9Fにおいて、可変入賞球装置15が遊技球が進入しやすい状態に制御されることを示唆する画像9c又はスーパーリーチになることを示唆する画像(大当りの期待度が高いことを報知するための画像)9iが停止表示されることが図示されている。
また、上記【0050】には、「普通図柄の表示結果を示唆するような演出や特別図柄の・・・変動パターンの種類を示唆するような演出が行われる演出エリア9F」と記載されており、上記【0059】には、「可変入賞球装置15の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する」と記載されている。
してみると、引用文献1には、所定演出に含まれる報知用演出及び結果報知演出において、報知用演出として、図柄が変動するような演出を表示し、その後、飾り図柄の変動中である、結果報知演出の冒頭に、普通図柄の表示結果を示唆する画像や特別図柄の変動パターンの種類を示唆する画像を停止表示する演出エリア9Fが記載されている。

(j)上記【0050】には、「演出表示装置9の表示画面には、普通図柄の表示結果を示唆するような演出や特別図柄の・・・変動パターンの種類を示唆するような演出が行われる演出エリア9F」と記載され、上記【0363】には、「演出制御用CPU101は、普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄はずれ」に関する判定値を使用し、普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄当り」に関する判定値を使用する」と記載され、上記【0389】には、「演出制御用CPU101は、・・・所定演出決定テーブル(ここでは、「普通図柄はずれ」および「普通図柄当り」は除外される。)を使用する」と記載され、上記【図42】、【図44】には、単数の演出エリア9Fが設けられることが図示されていることから、引用文献1には、演出制御用CPU101が、単数の演出エリア9Fにおいて、普通図柄の表示結果を示唆するような演出を、普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄はずれ」に関する判定値を使用し、普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄当り」に関する判定値を使用することにより決定し、また、特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出を、「普通図柄はずれ」および「普通図柄当り」が除外された所定演出決定テーブルを使用して決定することが記載されている。

(i)(k)(m)上記【0050】には、「普通図柄の表示結果を示唆するような演出・・・が行われる演出エリア9F」と記載され、上記【0363】には、「演出制御用CPU101は、普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄はずれ」に関する判定値を使用し、普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄当り」に関する判定値を使用する」と記載され、上記【図48】には、「普通図柄はずれ」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が表示されることが図示され、「普通図柄当り」に対応する報知内容として「当り(○)」が表示されることが図示されていることから、引用文献1には、演出エリア9Fにおいて普通図柄の表示結果を示唆するような演出が行われる場合に、演出制御用CPU101により、普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄はずれ」に関する判定値を使用し、普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄当り」に関する判定値を使用し、「普通図柄はずれ」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が、「普通図柄当り」に対応する報知内容として「当り(○)」が表示されることが記載されているといえる。

(i)(l)(m)上記【0116】には、「可変表示結果が「はずれ」であり飾り図柄の可変表示態様が「リーチ」である場合に対応した変動パターンとして、・・・スーパーPA3-1?スーパーPA3-2、スーパーPB3-1?スーパーPB3-2の変動パターンが用意されている」と記載され、上記【0118】には、「特別図柄の可変表示結果が大当り図柄または小当り図柄になる場合に対応した変動パターンとして、・・・スーパーPA3-3?スーパーPA3-4、スーパーPB3-3?スーパーPB3-4・・・の変動パターンが用意されている」と記載され、上記【0050】には、「特別図柄の・・・変動パターンの種類を示唆するような演出が行われる演出エリア9F」と記載され、上記【0390】には、「演出制御用CPU101は、・・・飾り図柄の変動パターンがスーパーリーチの変動パターン(擬似連演出を伴わない)である場合、および、その他の場合の各々に応じて、所定演出を実行するか否か決定する」と記載され、上記【0343】には、「演出エリア9Fにおいて、スーパーリーチになることを示唆する画像(大当りの期待度が高いことを報知するための画像)9iが停止表示される」と記載され、上記【0474】には、「大当りの期待度が高いことを報知する所定演出(例えば、「報知内容」を図44に例示されたような「激熱」にする。)」と記載され、上記【図44】(E)には、演出エリア9Fに「激熱」の文字を表示することが図示され、上記【図48】には、「スーパーリーチ」に対応する報知内容として「期待度大」が表示されることが図示され、「その他」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が表示されることが図示されていることから、引用文献1には、演出エリア9Fにおいて特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出として、演出制御用CPU101により、スーパーリーチの変動パターンを示唆するような演出が行われる場合に、大当りの期待度が高いことを報知する報知内容として「激熱」の文字を表示し、「その他」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が表示されることが記載されているといえる。

(n)上記【0017】には、「パチンコ遊技機1」と記載されている。

以上(ア)?(ナ)の記載事項、図示内容(ニ)?(ネ)及び上記(a)?(n)の認定事項を総合すれば、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている(a?nは、引用発明の構成を分説するため当審で付した。)。

「a 遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始され、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化するように、普通図柄当り判定用乱数の値と普通図柄当り決定テーブルとを用いて、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定する普通図柄通常処理を実行するCPU56と、
b CPU56が、普通図柄通常処理において、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定し、普通図柄表示制御処理を実行した場合に、普通図柄の可変表示(変動)を行う普通図柄表示器10と、
c 普通図柄通常処理において、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定し、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化させるため可変入賞球装置(普通電動役物)15を開放状態にする普通図柄停止時処理を実行するCPU56と、
d 遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、又は、遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第1始動口スイッチ通過処理や第2始動口スイッチ通過処理で大当り判定用乱数を抽出して格納し、特別図柄通常処理において、大当り判定用乱数を読み出し、大当り判定用乱数値が大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りにし、大当り遊技状態に移行させることに決定し、大当り判定用乱数値が小当り判定値に一致すると、特別図柄に関して小当りにし、小当り遊技状態に移行させることに決定するCPU56と、
e CPU56が、特別図柄に関して大当りにすること又は小当たりにすることを決定し、つまり、停止図柄を大当り図柄にすること又は小当り図柄にすることを決定し、変動パターン設定処理において、大当りフラグがセットされているか小当りフラグがセットされているかを確認し、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:可変表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の可変表示の変動時間とすることに決定したことに基づき、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8bと、
f 大当り種別の決定結果に応じて、大当り図柄を特別図柄の停止図柄に決定し又は小当り図柄を特別図柄の停止図柄に決定し、第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄として大当り図柄又は小当り図柄が導出表示されたとき、第1大入賞口又は第2大入賞口が開放状態に制御される大当り遊技又は小当り遊技を生起させるCPU56と
g を備えたパチンコ遊技機1において、
h,i,m 所定演出に含まれる報知用演出及び結果報知演出において、報知用演出として、図柄が変動するような演出を表示し、その後、飾り図柄の変動中である、結果報知演出の冒頭に、普通図柄の表示結果を示唆する画像や特別図柄の変動パターンの種類を示唆する画像を停止表示する演出エリア9Fを備え、
j 演出制御用CPU101が、単数の演出エリア9Fにおいて、普通図柄の表示結果を示唆するような演出を、普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄はずれ」に関する判定値を使用し、普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄当り」に関する判定値を使用することにより決定し、また、特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出を、「普通図柄はずれ」および「普通図柄当り」が除外された所定演出決定テーブルを使用して決定し、
i,k,m 演出エリア9Fにおいて普通図柄の表示結果を示唆するような演出が行われる場合に、演出制御用CPU101により、普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄はずれ」に関する判定値を使用し、普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄当り」に関する判定値を使用し、「普通図柄はずれ」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が、「普通図柄当り」に対応する報知内容として「当り(○)」が表示され、
i,l,m 演出エリア9Fにおいて特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出として、演出制御用CPU101により、スーパーリーチの変動パターンを示唆するような演出が行われる場合に、大当りの期待度が高いことを報知する報知内容として「激熱」の文字を表示し、「その他」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が表示される
n パチンコ遊技機1。」

5 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出し(a)?(n)は、本願補正発明の特定事項A?N、引用発明の特定事項a?nに対応させている。

(a)引用発明の「有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)」は、本願発明の「第1利益状態」に相当し、引用発明の「普通図柄当り判定用乱数の値と普通図柄当り決定テーブルとを用いて、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定する」ことは、本願発明の「第1抽選」に相当する。また、引用発明の「遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出される」ことは、本願発明の「第1図柄始動条件」に相当する。
してみると、引用発明の「遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始され、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化するように、普通図柄当り判定用乱数の値と普通図柄当り決定テーブルとを用いて、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定する普通図柄通常処理を実行するCPU56」は、本願発明の「第1利益状態を発生させるか否かの第1抽選を第1図柄始動条件が成立することに基づいて行う第1抽選手段」に相当する。

(b)引用発明の「普通図柄通常処理において、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定し」たことは、本願発明の「第1抽選の結果」に相当し、引用発明の「普通図柄の可変表示(変動)を行う」ことは、本願発明の「第1図柄を変動表示する」ことに相当する。
してみると、引用発明の「CPU56が、普通図柄通常処理において、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定し、普通図柄表示制御処理を実行した場合に、普通図柄の可変表示(変動)を行う普通図柄表示器10」は、本願発明の「前記第1抽選の結果に基づいて第1図柄を変動表示する第1図柄表示手段」に相当する。

(c)引用発明の「普通図柄通常処理において、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定し、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄である」ことは、本願発明の「第1抽選で当選すること」に相当する。また、引用発明の「普通図柄表示器10における停止図柄」、「有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)」は、それぞれ、本願発明の「第1図柄表示手段の変動後の停止図柄」、「第1利益状態」に相当する。
してみると、引用発明の「普通図柄通常処理において、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定し、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化させるため可変入賞球装置(普通電動役物)15を開放状態にする普通図柄停止時処理を実行するCPU56」は、本願発明の「前記第1抽選で当選することに基づいて前記第1図柄表示手段の変動後の停止図柄が第1特定態様となった場合に前記第1利益状態を発生させる第1利益状態発生手段」に相当する。

(d)引用発明の「大当り遊技状態」及び「小当り遊技状態」は、本願発明の「第2利益状態」に相当し、引用発明の「第1始動口スイッチ通過処理や第2始動口スイッチ通過処理で大当り判定用乱数を抽出して格納し、特別図柄通常処理において、大当り判定用乱数を読み出し、大当り判定用乱数値が大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りにし、」「大当り判定用乱数値が小当り判定値に一致すると、特別図柄に関して小当りに」することは、本願発明の「第2抽選」に相当する。また、引用発明の遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出される」「又は、遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出される」ことは、本願発明の「第2図柄始動条件」に相当する。
してみると、引用発明の「遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、又は、遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第1始動口スイッチ通過処理や第2始動口スイッチ通過処理で大当り判定用乱数を抽出して格納し、特別図柄通常処理において、大当り判定用乱数を読み出し、大当り判定用乱数値が大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りにし、大当り遊技状態に移行させることに決定し、大当り判定用乱数値が小当り判定値に一致すると、特別図柄に関して小当りにし、小当り遊技状態に移行させることに決定するCPU56」は、本願発明の「第2利益状態を発生させるか否かの第2抽選を第2図柄始動条件が成立することに基づいて行う第2抽選手段」に相当する。

(e)引用発明の「特別図柄に関して大当りにすること又は小当たりにすることを決定し、つまり、停止図柄を大当り図柄にすること又は小当り図柄にすることを決定」したことは、本願発明の「第2抽選の結果」に相当し、引用発明の「特別図柄の可変表示」は、本願発明の「第2図柄を変動表示する」ことに相当する。
してみると、引用発明の「CPU56が、特別図柄に関して大当りにすること又は小当たりにすることを決定し、つまり、停止図柄を大当り図柄にすること又は小当り図柄にすることを決定し、変動パターン設定処理において、大当りフラグがセットされているか小当りフラグがセットされているかを確認し、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:可変表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の可変表示の変動時間とすることに決定したことに基づき、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8b」は、本願発明の「前記第2抽選の結果に基づいて第2図柄を変動表示する第2図柄表示手段」に相当する。

(f)引用発明の「大当り種別の決定結果に応じて、大当り図柄を特別図柄の停止図柄に決定し又は小当り図柄を特別図柄の停止図柄に決定」することは、本願発明の「第2抽選で当選すること」に相当し、引用発明の「第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄として大当り図柄又は小当り図柄が導出表示されたとき」は、本願発明の「第2図柄表示手段の変動後の停止図柄が第2特定態様となった場合」に相当する。また、引用発明の「第1大入賞口又は第2大入賞口が開放状態に制御される大当り遊技又は小当り遊技」は、本願発明の「第2利益状態」に相当する。
してみると、引用発明の「大当り種別の決定結果に応じて、大当り図柄を特別図柄の停止図柄に決定し又は小当り図柄を特別図柄の停止図柄に決定し、第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄として大当り図柄又は小当り図柄が導出表示されたとき、第1大入賞口又は第2大入賞口が開放状態に制御される大当り遊技又は小当り遊技を生起させるCPU56」は、本願発明の「前記第2抽選で当選することに基づいて前記第2図柄表示手段の変動後の停止図柄が第2特定態様となった場合に前記第2利益状態を発生させる第2利益状態発生手段」に相当する。

(g)引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

(h)引用発明の「報知用演出として、図柄が変動するような演出を表示し、その後、飾り図柄の変動中である、結果報知演出の冒頭に、普通図柄の表示結果を示唆する画像や特別図柄の変動パターンの種類を示唆する画像を停止表示する」ことは、本願発明の「所定の予告演出態様を表示する」ことに相当する。
してみると、引用発明の「所定演出に含まれる報知用演出及び結果報知演出において、報知用演出として、図柄が変動するような演出を表示し、その後、飾り図柄の変動中である、結果報知演出の冒頭に、普通図柄の表示結果を示唆する画像や特別図柄の変動パターンの種類を示唆する画像を停止表示する演出エリア9F」は、本願発明の「所定の予告演出態様を表示する予告演出表示手段」に相当する。

(i)引用発明の「演出エリア9Fにおいて普通図柄の表示結果を示唆するような演出」は、普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされているか、普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされているかに応じて報知内容が決定されることから、普通図柄がはずれであるのか当りであるのかを決定した結果に基づく演出であるといえる。
また、演出エリア9Fにおいて「はずれ(×)」及び「当り(○)」が、【図42】(E)の時点に該当する結果報知演出の冒頭に、演出エリア9Fに停止表示されることは、飾り図柄の変動中に行われており、普通図柄に関して当りとするか否かを決定した結果に基づくものであるのか、特別図柄に関して当りとするか否かを決定した結果に基づくものであるのかは報知されていないものといえる。
してみると、引用発明の「演出エリア9Fにおいて普通図柄の表示結果を示唆するような演出」として、「報知用演出として、図柄が変動するような演出を表示し、その後、飾り図柄の変動中である、結果報知演出の冒頭に、普通図柄の表示結果を示唆する画像」「を停止表示する」演出を含むことは、本願発明の「前記予告演出表示手段による予告演出は、前記第1抽選の結果に基づく演出であって前記第1抽選の結果に基づくものである旨を報知することなく実行する第1予告演出」「を含」むことに相当する。
引用発明の「演出エリア9Fにおいて特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出」は、「スーパーリーチの変動パターンを示唆するような演出が行われる場合に、大当りの期待度が高いことを報知する報知内容として「激熱」の文字を表示し、「その他」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が決定される」ものであり、特別図柄の可変表示結果が大当り図柄又は小当り図柄であるのかを決定し、変動パターンを決定した結果に基づく演出である。
また、報知内容として「激熱」及び「はずれ(×)」が、【図44】(E)の時点に該当する結果報知演出の冒頭に、演出エリア9Fに停止表示することは、飾り図柄の変動中に行われており、普通図柄に関して当りとするか否かを決定した結果に基づくものであるのか、特別図柄に関して大当りにすること又は小当たりにすることを決定した結果に基づくものであるのかは報知されていないものといえる。
してみると、引用発明の「演出エリア9Fにおいて特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出」として、「報知用演出として、図柄が変動するような演出を表示し、その後、飾り図柄の変動中である、結果報知演出の冒頭に、」「特別図柄の変動パターンの種類を示唆する画像を停止表示する」演出を含むことは、本願発明の「前記第2抽選の結果に基づく演出であって前記第2抽選の結果に基づくものである旨を報知することなく実行する第2予告演出とを含」むことに相当する。

(j)引用発明の演出エリア9Fは単数のみ設けられるものである。また、普通図柄の表示結果を示唆するような演出を普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされているか普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされているかに応じて実行するものであるとともに、特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出を、「普通図柄はずれ」および「普通図柄当り」が除外された所定演出決定テーブルを使用して決定するものである。よって、引用発明は、単数の演出エリア9Fにおいて、普通図柄の表示結果を示唆するような演出と特別図柄の表示結果を示唆するような演出を排他的に実行するものであるといえる。
してみると、引用発明の「演出制御用CPU101が、単数の演出エリア9Fにおいて、普通図柄の表示結果を示唆するような演出を、普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄はずれ」に関する判定値を使用し、普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄当り」に関する判定値を使用することにより決定し、また、特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出を、「普通図柄はずれ」および「普通図柄当り」が除外された所定演出決定テーブルを使用して決定」することは、本願発明の「前記予告演出表示手段は、前記第1予告演出と前記第2予告演出とを排他的に実行可能であ」ることに相当する。

(k)引用発明の「普通図柄の表示結果を示唆するような演出」は、本願発明の「前記第1予告演出の場合の前記予告演出態様」に相当する。また、引用発明の「「普通図柄はずれ」に対応する報知内容として「はずれ(×)」」が決定される演出及び「「普通図柄当り」に対応する報知内容として「当り(○)」が決定され」る演出は、本願発明の「複数種類の第1予告演出態様」に相当する。
してみると、引用発明の「演出エリア9Fにおいて普通図柄の表示結果を示唆するような演出が行われる場合に、演出制御用CPU101により、普通図柄変動開始指定(はずれ)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄はずれ」に関する判定値を使用し、普通図柄変動開始指定(当り)コマンド受信フラグがセットされている場合には、所定演出決定テーブルにおける「普通図柄当り」に関する判定値を使用し、「普通図柄はずれ」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が、「普通図柄当り」に対応する報知内容として「当り(○)」が決定され」ることは、本願発明の「前記第1予告演出の場合の前記予告演出態様は複数種類の第1予告演出態様から選択」されることに相当する。

(l)引用発明の「特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出」は、本願発明の「前記第2予告演出の場合の前記予告演出態様」に相当する。また、引用発明の「スーパーリーチの変動パターンを示唆するような演出が行われる場合に、大当りの期待度が高いことを報知する報知内容として「激熱」の文字を表示」する演出及び「「その他」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が表示される」演出は、本願発明の「複数種類の第2予告演出態様」に相当する。
してみると、引用発明の「演出エリア9Fにおいて特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出として、演出制御用CPU101により、スーパーリーチの変動パターンを示唆するような演出が行われる場合に、大当りの期待度が高いことを報知する報知内容として「激熱」の文字を表示し、「その他」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が表示される」ことは、本願発明の「前記第2予告演出の場合の前記予告演出態様は複数種類の第2予告演出態様から選択」されることに相当する。

(m)引用発明の「演出エリア9Fにおいて普通図柄の表示結果を示唆するような演出」は、「普通図柄はずれ」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が表示され」るものであり、「演出エリア9Fにおいて特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出」も、「「その他」に対応する報知内容として「はずれ(×)」が表示され」るものである。
そして、引用発明は「報知用演出として、図柄が変動するような演出を表示し、その後、飾り図柄の変動中である、結果報知演出の冒頭に、普通図柄の表示結果を示唆する画像や特別図柄の変動パターンの種類を示唆する画像を停止表示する」ものであるから、「演出エリア9Fにおいて普通図柄の表示結果を示唆するような演出」においても「演出エリア9Fにおいて特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出」においても、「はずれ(×)」を表示する場合には、報知用演出として、図柄が変動するような演出を表示し、その後、飾り図柄の変動中である、結果報知演出の冒頭に、普通図柄の表示結果を示唆する画像又は特別図柄の変動パターンの種類を示唆する画像として「はずれ(×)」を停止表示するものであり、最終的に表示される態様を含めて共通であるといえる。
してみると、引用発明の「演出エリア9Fにおいて普通図柄の表示結果を示唆するような演出」の「はずれ(×)」を報知内容とする演出と、「「演出エリア9Fにおいて特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出」」の「はずれ(×)」を報知内容とする演出とが、最終的に表示される態様も含めて共通であることは、本願発明の「前記複数種類の第1予告演出態様のうちの特定第1予告演出態様と、前記複数種類の第2予告演出態様のうちの特定第2予告演出態様とが、最終的に表示される態様を含めて共通である」ことに相当する。

(n)引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当し、引用発明と本願発明とは、遊技機の分野に関する発明である点で一致する。

上記(a)?(n)によれば、本願発明と引用発明とは、

「A 第1利益状態を発生させるか否かの第1抽選を第1図柄始動条件が成立することに基づいて行う第1抽選手段と、
B 前記第1抽選の結果に基づいて第1図柄を変動表示する第1図柄表示手段と、
C 前記第1抽選で当選することに基づいて前記第1図柄表示手段の変動後の停止図柄が第1特定態様となった場合に前記第1利益状態を発生させる第1利益状態発生手段と、
D 第2利益状態を発生させるか否かの第2抽選を第2図柄始動条件が成立することに基づいて行う第2抽選手段と、
E 前記第2抽選の結果に基づいて第2図柄を変動表示する第2図柄表示手段と、
F 前記第2抽選で当選することに基づいて前記第2図柄表示手段の変動後の停止図柄が第2特定態様となった場合に前記第2利益状態を発生させる第2利益状態発生手段と
G を備えた遊技機において、
H 所定の予告演出態様を表示する予告演出表示手段を備え、
I 前記予告演出表示手段による予告演出は、前記第1抽選の結果に基づく演出であって前記第1抽選の結果に基づくものである旨を報知することなく実行する第1予告演出と、前記第2抽選の結果に基づく演出であって前記第2抽選の結果に基づくものである旨を報知することなく実行する第2予告演出とを含み、
J 前記予告演出表示手段は、前記第1予告演出と前記第2予告演出とを排他的に実行可能であり、
K 前記第1予告演出の場合の前記予告演出態様は複数種類の第1予告演出態様から選択し、
L 前記第2予告演出の場合の前記予告演出態様は複数種類の第2予告演出態様から選択し、
M 前記複数種類の第1予告演出態様のうちの特定第1予告演出態様と、前記複数種類の第2予告演出態様のうちの特定第2予告演出態様とが、最終的に表示される態様を含めて共通である
N ことを特徴とする遊技機。」
である点で一致し、相違する点はない。

6 当審の判断
よって、本願発明は、引用発明と同一であるので、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

なお、引用文献1には、演出エリア9Fにおいて普通図柄の表示結果を示唆するような演出として「はずれ(×)」を報知内容とする演出と、演出エリア9Fにおいて特別図柄の変動パターンの種類を示唆するような演出として「はずれ(×)」を報知内容とする演出とについて、具体的な画面遷移を明示していないが、仮に、この点に関連する相違点があるとしても、引用文献1の【図42】(D)(E)、【図44】(D)(E)等(【図44】(E)は、飾り図柄の停止前である。)の記載を参考にして、「はずれ(×)」を報知内容とする演出においても、「普通図柄当り」に対応する報知内容として「当り(○)」を表示する演出や、「スーパーリーチ」に対応する報知内容として「激熱」を表示する演出と同様に、報知用演出として、図柄が変動するような演出を表示し、その後、結果報知演出の冒頭の普通図柄又は特別図柄の変動中に、普通図柄の表示結果を示唆する画像や特別図柄の変動パターンの種類を示唆する画像として「はずれ(×)」を停止表示する表示態様を採用することは、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(5)請求人の主張について
請求人は、平成31年3月15日付け意見書において、本願発明の進歩性に関して、次のとおり主張している(下線部は当審で付した)。
「本願発明はこのような構成により、第1予告演出と第2予告演出の何れも実行可能なタイミングで予告演出が行われ且つその結果として特定第1予告演出態様(=特定第2予告演出態様)が出現した場合、遊技者はその演出結果が第1抽選と第2抽選との何れに基づくものであるかを判断することができないため、遊技者の期待感をより喚起することができ、予告演出の結果が第1抽選と第2抽選との何れに基づくものであるかが常に明らかである場合と比較して演出効果が向上する利点があります。
2)一方、引用文献1の図48は、複数種類の「所定演出」を実行するか否かを抽選により決定するための所定演出決定テーブルとなっております。また、引用文献1の「所定演出」とは、段落0328?0343、図41等に示すように、「予兆演出」、「開始演出」、「報知用演出」、「結果報知演出」で構成されており、その順に実行されるようになっております。そして、演出エリア9Fにおいて図柄が変動するような演出は、上記のうちの「報知用演出」に該当します(段落0335等)。また、「結果報知演出」では、図42(F)、図43(F)に示すように、演出エリア9Fの近傍に「やったー 電チューを狙ってね!」の表示を行う等、報知用演出の結果を説明するための報知が行われるようになっております。
このように、引用文献1に記載の発明では、「所定演出」における「報知用演出」、即ち演出エリア9Fにおいて行われる図柄変動演出の部分だけを見れば、第1予告演出(普通図柄はずれの所定演出)と第2予告演出(その他の所定演出)とで、最終的に表示される態様(はずれ(×))を含めて共通であるとも考えられます。しかしながら、引用文献1に記載の発明の場合、第1予告演出(普通図柄に関する抽選結果に基づくもの)であるか第2予告演出(特別図柄に関する抽選結果に基づくもの)であるかについて「結果報知演出」等において明示するようになっております。即ち引用文献1に記載の発明は、上記(3)iの構成を具備していない点で本願発明とは明らかに相違します。
このような引用文献1に記載の発明の場合、「報知用演出」の結果は第1予告演出(普通図柄はずれの所定演出)と第2予告演出(その他の所定演出)とで共通であっても、その後の「結果報知演出」で第1予告演出と第2予告演出の何れであるかが明示されるため、遊技者の期待感を十分に喚起することができません。」

しかしながら、引用文献1の【0335】の記載に基づけば、【図42】(F)の演出は【図42】(E)による示唆演出の後の報知演出とみるべきであり、上記5(i)に記載したとおり、引用発明は、【図42】(E)の時点に該当する、結果報知演出の冒頭において、普通図柄に関して当りとするか否かを決定した結果に基づくものであるのか、特別図柄に関して大当りにすること又は小当たりにすることを決定した結果に基づくものであるのかは報知するものではなく、そのような予告演出を含む点で本願発明と相違するものではない。
また、請求人が主張する本願発明の効果も、引用発明における「所定演出によって遊技者の識別情報の表示結果に対する期待をより高めることによって遊技の興趣を向上させる(【0009】)」との効果と同様のものである。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。

7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-04-09 
結審通知日 2019-04-16 
審決日 2019-05-07 
出願番号 特願2016-171033(P2016-171033)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永田 美佐  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 藤田 年彦
大山 栄成
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人谷藤特許事務所  

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