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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E01D
管理番号 1353500
審判番号 不服2018-11932  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-05 
確定日 2019-07-30 
事件の表示 特願2015-206801「アーチ橋構造用の連接コンクリートブロック体に用いるブロック群の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月27日出願公開、特開2017- 78298、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年10月20日の出願であって、平成29年11月28日付け(発送日:同年12月5日)で拒絶理由通知がされ、平成30年5月28日付け(送達日:同年6月5日)で拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年9月5日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定(平成30年5月28日付け拒絶査定)の理由は次のとおりである。

本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願請求項2及び3に係る発明は、以下の引用文献1ないし5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献一覧
1.米国特許出願公開第2005/229502号明細書
2.特開平5-239813号公報
3.登録実用新案第3124617号公報(周知技術を示す文献)
4.特開平11-245210号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2015-148127号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成27年10月20日の出願時の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ブロック群を複数群連結して一連一体とすることで、全体を吊り上げたときに下辺側を内周とし、上辺側を外周とする円弧状のアーチ橋に形成可能とした、アーチ橋構造用の連接コンクリートブロック体全体を吊り上げたときに下辺側を内周とし、上辺側を外周とする円弧状に形成可能とした、アーチ橋構造用の連接コンクリートブロック体において、
このブロック群は、迫石ブロックと左端ブロックおよび右端ブロックを連接部材で連接したものであって、
この迫石ブロックは、左右の斜辺と下辺と下辺に平行で下辺より長さの長い上辺とからなる逆台形を底面としてこれに側稜が直交する四角柱状であって、
この四角柱状の迫石ブロックを逆台形の上から下に向かって2等分に縦割りにしたサイズの半身のブロックのうち、縦割り面が右側にくるものを右端ブロックとし、縦割り面が左側にくるものを左端ブロックとするとき、
左端ブロックと右端ブロックの間に迫石ブロックを1から4個程度配列させて、各ブロックはその上平面近傍に埋設された連接部材で隣接のブロックと連接されてコンクリート製のブロック群が形成されており、
これらのブロック群の製造方法は、
ブロック群の外周を囲む4側壁と底面板による直方形の型枠内に、
その内部空間を平行に間仕切る断面二等辺三角形の複数枚の仕切り壁を、
側壁と両端の仕切り壁の上辺との離間距離を1としたときに隣接する仕切り壁の上辺同士の離間距離を2とするように底面板上に短手方向に配し、
これらの仕切り壁を配した直方形の型枠内に、仕切り壁の高さまでコンクリートを投入した後、
連接部材を仕切り壁の上辺直上が連接面となるように載置し、
その上に断面逆三角形の面取板型枠部材を仕切り壁の上辺と逆三角形の下向きの頂点の位置が上下に向き合うように対向するように配し、
面取り板型枠部材と側壁で仕切られた上部空間に、それぞれ連接部材の上からコンクリートを投入して連接部材をコンクリートに埋設して固化させた後に、
複数のブロックが連接部材で連接された状態のブロック群を得る、アーチ構造用の連接コンクリートブロック体に用いるブロック群の製造方法。
【請求項2】
仕切り壁を配した直方形の型枠は、その仕切り壁が断面二等辺三角形の底辺の長さの異なる複数の仕切り壁と交換可能な型枠とすることで、迫石ブロックの逆台形の形状を調整可能としたことを特徴とする、請求項1に記載のアーチ構造用の連接コンクリートブロック体に用いるブロック群の製造方法。
【請求項3】
仕切り壁を配した直方形の型枠は、その仕切り壁同士の離間距離を可変に移動可能とすることで、迫石ブロックの逆台形の上辺長さを調整可能としたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のアーチ構造用の連接コンクリートブロック体に用いるブロック群の製造方法。 」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審決で付した。以下同様。)。

ア「[0002] The present invention relates to a new arch ring unit and a method of using the arch ring unit to form new archways particularly but not exclusively for road, rail etc. arches and bridges.」
「本発明は、新規なアーチリングユニット、および、鉄道、アーチ、橋(ただし、これに限定されない)などのアーチ道を形成するための、アーチリングユニットの使用方法に関するものである。」(当審仮訳)

イ「[0010]The arch ring unit of the present invention could be formed of any suitable material or combination of materials suitable for building an arch. Generally, the ring unit is formed wholly or substantially of concrete.・・・」
「本発明のアーチリングユニットは、アーチを構築するために利用可能な任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成することができる。一般に、そのリングユニットは、全部または一部がコンクリートで形成される。」(当審仮訳)

ウ「[0019] According to a second aspect of the present invention, there is provided a process for forming a flat-formed arch ring unit as hereinbefore described, comprising the steps of
[0020] separately forming each voussoir portion;
[0021] aligning the voussoir portions such that their wider top faces wholly or substantially meet; and
[0022] forming a connection layer across the top of the voussoir portions.
[0023] This process allows each voussoir portion to be formed separately. This is a simple process, the former or mould for which is a simple trapizoidal shape. ・・・」
「本発明の第2の態様によれば、上記の平板状アーチリング部を形成するためのプロセス、すなわち、各々の迫石部を別々に形成するステップ、それらの広い方の上面において完全にまたは実質的に互いに接するように迫石部を整列させるステップ、および、迫石部の頂部を横切って接続層を形成するステップとを含むプロセスが提供される。
このプロセスでは、各迫石部を別々に形成する。これは、簡単な方法であり、そのための型又はモールドは、シンプルな台形状である。」(当審仮訳)

エ「[0043] Fig 2 shows an arch ring unit 10 of the present invention. The arch ring unit 10 comprises a linear array of a number of connected voussoir portions 12 connected along their upper edges 14. These upper edges 14 will form the extrados of the arch in due course.
The arch ring unit 10 is shown in more detail in Fig 6.」
「図2は、本発明のアーチリングユニット10を示している。リング部10は、その上方の端縁14に沿って接続された、多数の迫石部12の直線アレイを含む。上方の端縁14は、後にアーチの外周を形成する。リング部10は、図6に詳細に示されている。」(当審仮訳)

オ「[0046] Preferably, the arch ring unit 10 is formed by a two-part casting process, wherein each voussior portion 12 is formed separately and then brought together. A separate connection layer 22 is then cast across the tops of the voussoir portions with the reinforcing grid laid therein.・・・」
「好ましくは、アーチリングユニット10は、各迫石部12を別々に形成し、次いで、それらを互いに結合させるという2つの打設プロセスにより形成される。別の接続層22は、複数の迫石部の上部を横断するように、そこに補強グリッドを配置した状態で打設される。」(当審仮訳)

カ「[0049] When required, the arch ring unit 10 is arched by lifting at appropriate lifting points along the ring unit 10, which points will depend on the weight, size and number of voussoirs 12.The lifting may also site the ring unit 10 in place. As shown in Fig 3, this forms an archway 16.」
「必要に応じて、リング部10は、量、寸法、及び迫石部12の数に応じて決められた、リング部10に沿う適切なリフティングポイントにおいて上昇されるとアーチ状となる。その上昇によりリング部10を設置することもできる。図3に示すように、これは、アーチ16を形成する。」(当審仮訳)

キ「[0052] Fig 7a shows detail of the side of one voussoir portion 12a, having a female groove 32 therealong. This matches a corresponding male edge along the neighbouring voussoir portion 12b. The female groove 32 and male edge can easily be formed in the casting process. Their interlocking forms a shear key when in the arch unit 10 is formed, and increases the overall rigidity of the unit 10. The shear key particular serves to reduce the risk of shear between the voussoir portions 12. Shear keys could be formed between all the voussoir portions 12.」
「図7aは、一つの迫石部12aが、その側面に沿って雌型の溝32を有していることを詳細に示している。これは、隣接する迫石部12bに沿った対応する雄型端部と合わせられる。雌型の溝32及び雄型端部は、打設プロセス中に容易に形成することができる。その連結は、アーチユニット10が形成されると剪断キーとなり、ユニット10全体の剛性を高める。剪断キーは、特に、迫石部12間の剪断の危険性を低減するように作用する。剪断キーはすべての迫石部12間に形成され得る。」(当審仮訳)

(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「橋などのアーチ道を形成するための、コンクリートからなるアーチリングユニット10の製造方法であって、
アーチリングユニット10は、多数の迫石部12が直線状に接続されたものであり、リフティングポイントにおいて上昇されると、アーチ状となり、その上方の端縁14はアーチの外周面となるものであって、
各迫石部12は、台形状の型に打設されることにより別々に形成され、
迫石部12の広い方の上面において互いに接するように迫石部12を整列させ、
接続層22を、複数の迫石部の上部を横断するように、そこに補強グリッドを配置した状態で打設して形成する、アーチリングユニット10の製造方法。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
ア「【特許請求の範囲】
内面が擬岩、擬石状で独立した大小さまざまな凹部を、縦横に多数設けた下部型枠を形成し、その内部にコンクリートを充填し、その上面に、不織布またはネット状のシートを配置し、その下部型枠上に、凹部と合致する貫通孔を設けた上部型枠を重合し、貫通孔から内部にコンクリートを充填し、硬化後に上部型枠を外し、下部型枠を脱型するようにしたことを特徴としたマトリックス状擬岩ブロックの製造法。」

イ「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、河川、道路等の法面や根固めに敷設するコンクリートブロックの製造方法に関するマトリックス状擬岩ブロックの製造法である。」

ウ「【0005】
【実施例】次にその構成を図面について詳しく説明する。1は下部型枠であって、上面が開放している鋼製外枠2の内面に、ゴムまたは合成樹脂等の形成層3を設け、その形成層3には内面が擬岩、擬石状の独立した凹部4を、縦横に多数設けている。5は、金属線、強靱な繊維、合成樹脂線等の不織布またはネット状のシートである。シート5の大きさは、下部型枠1と上部型枠6の内部に納まるものと、外部周縁に突出するものとがある。6は上部型枠であって、鋼製外枠7の内部に、ゴムまたは合成樹脂等の形成層8を設け、これに、凹部4と合致する貫通孔9を形成している。そして貫通孔9の上方を少しく狭小している。10は、鋼製外枠2の上面に設けたズレ止め凸部である。11は、ズレ止め凸部10と対応するズレ止め凹部である。12はコンクリート、13は柳、草木、草花等の植物である。14は必要によって内部に埋設した鉄筋で、側面または隅角部に突出している。本発明は、下部型枠1の内部にコンクリート12を充填し、その上面にシート5を配置し、その上に上部型枠6を重合することにより、シート5を抱持し、凹部4と貫通孔9とを合致させ、そして上部型枠6の内部にコンクリート12を充填し(図5参照)硬化させ、コンクリート12とシート5とを一体化し、上部型枠6を外し、次いで下部型枠1より取り出すことによってマトリックス状ブロックを形成するものである。」

(2)引用文献2に記載された技術事項
上記(1)により、引用文献2には、以下の技術事項(以下、「引用文献2の技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「河川、道路等の法面や根固めに敷設するコンクリートブロックの製造方法に関するマトリックス状擬岩ブロックの製造法であって、
内面が擬岩、擬石状で独立した大小さまざまな凹部4を、縦横に多数設けた下部型枠1を形成し、その内部にコンクリートを充填し、その上面に、不織布またはネット状のシート5を配置し、その下部型枠1上に、凹部4と合致する貫通孔9を設けた上部型枠6を重合し、貫通孔9から内部にコンクリートを充填し、硬化後に上部型枠6を外し、下部型枠1を脱型するようにした、マトリックス状擬岩ブロックの製造法。」

第6 対比・判断
1 対比
(1)引用発明1の「橋などのアーチ道」は本願発明1の「アーチ橋」に相当する。
(2)引用発明1の「台形状の型に打設されることにより」「形成され」た「迫石部12」は、本願発明1の「左右の斜辺と下辺と下辺に平行で下辺より長さの長い上辺とからなる逆台形を底面としてこれに側稜が直交する四角柱状」である「迫石ブロック」に相当する。
(3)引用発明1の「リフティングポイントにおいて上昇されると、アーチ状となり、その上方の端縁14はアーチの外周面となる」「アーチリングユニット10」は、本願発明1の「全体を吊り上げたときに下辺側を内周とし、上辺側を外周とする円弧状に形成可能とした、アーチ橋構造用の連接コンクリートブロック体」に相当する。
(4)引用発明1の「補強グリッド」は、「複数の迫石部12の上部」に「配置した状態で」「接続層22」が「打設して形成」されるものであるから、本願発明1の、「載置」されて、「上からコンクリート」が「投入」されて「コンクリートに埋設」される「連接部材」に相当する。
(5)してみると、本願発明1と引用発明1では、下記の点で一致点と相違点を有する。

<一致点>
「アーチ橋構造用の連接コンクリートブロック体全体を吊り上げたときに下辺側を内周とし、上辺側を外周とする円弧状に形成可能とした、アーチ橋構造用の連接コンクリートブロック体において、
このアーチ橋構造用の連設コンクリートブロック体は、迫石ブロックを連接部材で連接したものであって、
この迫石ブロックは、左右の斜辺と下辺と下辺に平行で下辺より長さの長い上辺とからなる逆台形を底面としてこれに側稜が直交する四角柱状であって、
型枠内にコンクリートを投入して迫石ブロックを製造し、その後、
連接部材を載置し、
連接部材の上からコンクリートを投入して連接部材をコンクリートに埋設して固化させた後に、
複数のブロックが連接部材で連接された状態で得られる、アーチ構造用の連接コンクリートブロック体の製造方法。」

<相違点1>
アーチ橋構造用の連接コンクリートブロック体が、本願発明1は、「ブロック群を複数群連結して一連一体」としたものであるのに対し、引用発明1は、ブロック群を複数群連結して一連一体としたものではない点。

<相違点2>
本願発明1は、「ブロック群」が、「迫石ブロックと左端ブロックおよび右端ブロックを連接部材で連接したもの」であって、
「四角柱状の迫石ブロックを逆台形の上から下に向かって2等分に縦割りにしたサイズの半身のブロックのうち、縦割り面が右側にくるものを右端ブロックとし、縦割り面が左側にくるものを左端ブロックとするとき、
左端ブロックと右端ブロックの間に迫石ブロックを1から4個程度配列させて、各ブロックはその上平面近傍に埋設された連接部材で隣接のブロックと連接されてコンクリート製のブロック群が形成されて」いるのに対し、
引用発明1は、そのような半身の左端ブロックと右端ブロックの間に迫石ブロックを配列させたブロック群を形成したものではない点。

<相違点3>
本願発明1は、
「ブロック群の製造方法は、
ブロック群の外周を囲む4側壁と底面板による直方形の型枠内に、
その内部空間を平行に間仕切る断面二等辺三角形の複数枚の仕切り壁を、
側壁と両端の仕切り壁の上辺との離間距離を1としたときに隣接する仕切り壁の上辺同士の離間距離を2とするように底面板上に短手方向に配し、
これらの仕切り壁を配した直方形の型枠内に、仕切り壁の高さまでコンクリートを投入した後、
連接部材を仕切り壁の上辺直上が連接面となるように載置し、
その上に断面逆三角形の面取板型枠部材を仕切り壁の上辺と逆三角形の下向きの頂点の位置が上下に向き合うように対向するように配し、
面取り板型枠部材と側壁で仕切られた上部空間に、それぞれ連接部材の上からコンクリートを投入して連接部材をコンクリートに埋設して固化させた後に、
複数のブロックが連接部材で連接された状態のブロック群を得る、アーチ構造用の連接コンクリートブロック体に用いるブロック群の製造方法」であるのに対し、
引用発明1は、そのような製造方法により得たブロック群をアーチ構造用の連設コンクリートブロック体に用いたものではない点。

2 判断
(1)上記相違点1について判断する。
引用文献1の図7には、迫石部12が5個配列されたものが、迫石部12が3個配列されたものと、雌型の溝32及びそれに対応する雄型端部により連結されて、一連一体とされているように一見看て取れるが、上記第4の1(1)キを参酌すれば、雌型の溝32及びそれに対応する雄型端部は、「迫石部12間の剪断の危険性を低減」するものであり、また、「すべての迫石部12間に形成され得る」ものであるから、「ブロック群を複数群連結して一連一体」として、「連接コンクリートブロック体」を形成するためのものではない。
また、相違点1についての構成は、引用文献2の技術事項において特定されておらず、原査定において引用された他の文献にも記載されていない。
さらに、相違点1についての構成は、例えば本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0067】に記載されているように、「搬出、搬送が容易で作業負担も減るので、保管も含めて利用しやすい」との技術的効果を奏するものであるから、当業者が適宜なし得る設計的事項ともいえない。
よって、引用発明1において、本願発明1の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができるものではない。

(2)上記相違点2について判断する。
相違点2についての構成は、引用文献2の技術事項において特定されておらず、原査定において引用された他の文献にも記載されていない。
上記相違点2についての構成は、例えば本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0068】に記載されているように、「迫石ブロックを縦割りして2等分した形状のブロックを両端に配したブロック群を1群のブロックとして連接している場合、ブロック群同士の連結は、平面上で、端ブロック同士を縦割り面を向かい合わせるようにしてなされる。密着させて連結できるので、連結箇所が一体的な状態で吊り上げられることとなり、連接部材だけで連結されたりする場合に比して、強く固定することができる」との技術的効果を奏するものであるから、当業者が適宜なし得る設計的事項ともいえない。
よって、引用発明1において、本願発明1の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができるものではない。

(3)まとめ
上記(1)及び(2)により、上記相違点3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者が、引用文献1及び2に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2及び本願発明3について
本願発明2及び本願発明3は、本願発明1を引用するものであって、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
よって、本願発明1と同じ理由により、本願発明2及び本願発明3は、引用文献1ないし5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-07-16 
出願番号 特願2015-206801(P2015-206801)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (E01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 亀谷 英樹  
特許庁審判長 秋田 将行
特許庁審判官 住田 秀弘
富士 春奈
発明の名称 アーチ橋構造用の連接コンクリートブロック体に用いるブロック群の製造方法  
代理人 横井 宏理  
代理人 横井 健至  
代理人 横井 知理  

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