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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1353589
審判番号 不服2018-6730  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-17 
確定日 2019-07-18 
事件の表示 特願2015-133256「車両貸出しシステム、車両貸出し方法及び管理サーバ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月19日出願公開、特開2017- 16450〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)7月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 6月23日付け:拒絶理由通知書
平成29年 9月 4日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 2月19日付け:拒絶査定
平成30年 5月17日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成30年5月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成30年5月17日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項9の記載は、次のとおり補正された。(なお、下線は補正箇所を示すものとして請求人が付加したものである。)
「【請求項9】
貸出し用の車両を管理する複数の貸出し事業体それぞれが用いる複数の事業体端末それぞれとネットワークを介して通信し、前記車両の貸出しの予約を一元的に管理する車両貸出し予約用の管理サーバであって、
前記管理サーバは、
前記貸出し事業体それぞれの前記車両の予約及び返却を管理する予約データベースと、
前記貸出し事業体それぞれが個別に有する前記車両の貸出しを管理するサーバ制御装置と
を備え、
前記サーバ制御装置は、
前記車両の貸出し予約を受け付ける予約画面を、顧客による顧客端末の操作に応じて前記顧客端末に表示し、
前記顧客端末での操作に応じて前記貸出し予約を受け付けて前記予約データベースに登録し、
さらに、前記サーバ制御装置は、特定の貸出し事業体の事業体端末から予約状況の問い合わせを受けた際、前記特定の貸出し事業体に対応する前記車両のみの予約状況を、前記特定の貸出し事業体の事業体端末に表示させ、
さらに、前記サーバ制御装置は、
貸出し対象の前記車両の利用終了時に、前記管理サーバに登録されている返却予定の駐車場の位置と、貸出し対象の前記車両に搭載されているナビゲーション装置によって検出された現在位置とを照合し、前記返却予定の駐車場の位置と前記現在位置とが所定の距離閾値以内である場合に、貸出し対象の前記車両のロック機構を作動させて施錠する
ことを特徴とする管理サーバ。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成29年9月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項9の記載は次のとおりである。
「【請求項9】
貸出し用の車両を管理する複数の貸出し事業体それぞれが用いる複数の事業体端末それぞれとネットワークを介して通信し、前記車両の貸出しの予約を一元的に管理する車両貸出し予約用の管理サーバであって、
前記管理サーバは、
前記貸出し事業体それぞれの前記車両の予約及び返却を管理する予約データベースと、
前記貸出し事業体それぞれが個別に有する前記車両の貸出しを管理するサーバ制御装置と
を備え、
前記サーバ制御装置は、
前記車両の貸出し予約を受け付ける予約画面を、顧客による顧客端末の操作に応じて前記顧客端末に表示し、
前記顧客端末での操作に応じて前記貸出し予約を受け付けて前記予約データベースに登録し、
さらに、前記サーバ制御装置は、特定の貸出し事業体の事業体端末から予約状況の問い合わせを受けた際、前記特定の貸出し事業体に対応する前記車両のみの予約状況を、前記特定の貸出し事業体の事業体端末に表示させる
ことを特徴とする管理サーバ。」

2 補正の適否
(1)本件補正は、本件補正前の請求項9に記載された発明における「サーバ制御装置」が行う処理として、新たに「さらに、前記サーバ制御装置は、貸出し対象の前記車両の利用終了時に、前記管理サーバに登録されている返却予定の駐車場の位置と、貸出し対象の前記車両に搭載されているナビゲーション装置によって検出された現在位置とを照合し、前記返却予定の駐車場の位置と前記現在位置とが所定の距離閾値以内である場合に、貸出し対象の前記車両のロック機構を作動させて施錠する」処理を追加するものである。

(2)当初明細書等に記載された事項
ア 本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等)という。)には、以下の記載がある。(なお、下線は当審において付与したものである。)
「【0137】
(A2-6.車両26の利用中及び利用終了時)
(A2-6-1.全体的な流れ)
図13は、本実施形態における車両26の利用中及び利用終了時の処理を簡略的に示したフローチャートである。図13では、車両26のステップS71?S74と、管理サーバ28のステップS91?S93に分けて説明する。車両26のステップS71?S74は、演算部74が実行する。管理サーバ28のステップS91、S92は、演算部94の車両管理部106が実行し、ステップS93については、図15を参照して後述する。
【0138】
ステップS71において、車両26は、各種センサ80の検出値(センサ値Mc)を管理サーバ28に送信する。ステップS72において、車両26は、施錠条件が成立したか否かを判定する。ここでの施錠条件には、例えば、下記の条件(a)?(c)が含まれる。
(a) 車両26のエンジンが停止していること
(b) 車両26のキーボックスに車両26のキーが返却されていること、並びに
(c) カードリーダ84にかざされた顧客Cのカード82から取得した認証情報Iid(貸出し時認証情報Iid2)が、利用中の車両26及び返却予定の駐車場に対応したものであること
【0139】
貸出し時認証情報Iid2が返却予定の駐車場に対応したものであること(換言すると、車両26が返却予定の駐車場にあること)は、例えば、次の方法で確認する。すなわち、車両26の演算部74は、管理サーバ28に登録されている駐車場の位置(緯度及び経度)と、車両26に搭載されている現在位置検出装置(例えば、ナビゲーション装置)が検出した現在位置とを照合する。そして、演算部74は、両者が一致した場合又は両者の距離が所定の距離閾値以内である場合に車両26が返却予定の駐車場にあると判定する。
【0140】
なお、管理サーバ28に登録されている駐車場の位置は、返却時に車両26が管理サーバ28と通信することで取得すること又は事前に(例えば施錠時に)取得することのいずれであってもよい。また、駐車位置に所定のマーカーを設けておき、車載カメラにより当該マーカーを検出すること等により上記判定の精度を上げることも可能である。
【0141】
施錠条件が成立しない場合(S72:NO)、ステップS71に戻る。施錠条件が成立した場合(S72:YES)、ステップS73において、車両26は、ロック機構78を作動させて施錠する。ステップS74において、車両26は、管理サーバ28に対して施錠を知らせる通知(施錠通知(又は利用終了通知))を送信して今回の処理を終了する。
【0142】
ステップS91において、管理サーバ28は、車両26から受信したセンサ値Mcにより車両DB128を更新する。センサ値Mcの詳細は、図14を参照して後述する。ステップS92において、管理サーバ28は、車両26から施錠通知を受信したか否かを判定する。
【0143】
施錠通知を受信していない場合(S92:NO)、ステップS91に戻る。施錠通知を受信した場合(S92:YES)、ステップS93において、管理サーバ28は、利用終了時処理を行う。利用終了時処理については、図14を参照して後述する。」

イ 【図13】


ウ 上記ア及びイの記載によれば、「車両26の演算部74」が、「管理サーバ28に登録されている駐車場の位置(緯度及び経度)と、車両26に搭載されている現在位置検出装置(例えば、ナビゲーション装置)が検出した現在位置とを照合」し、「両者が一致した場合又は両者の距離が所定の距離閾値以内である場合に車両26が返却予定の駐車場にあると判定する」ものであり、また、当該「施錠条件が成立した場合」に「車両26は、ロック機構78を作動させて施錠する」と記載されているのみであって、施錠条件の判定及びロック機構の作動による施錠は、「車両26」が行うものである。
これに対し、本件補正による追加された「さらに、前記サーバ制御装置は、貸出し対象の前記車両の利用終了時に、前記管理サーバに登録されている返却予定の駐車場の位置と、貸出し対象の前記車両に搭載されているナビゲーション装置によって検出された現在位置とを照合し、前記返却予定の駐車場の位置と前記現在位置とが所定の距離閾値以内である場合に、貸出し対象の前記車両のロック機構を作動させて施錠する」は、「サーバ制御装置」による処理であるから、当初明細書等には記載されていないものである。

(3)そして、上記補正により追加された「さらに、前記サーバ制御装置は、貸出し対象の前記車両の利用終了時に、前記管理サーバに登録されている返却予定の駐車場の位置と、貸出し対象の前記車両に搭載されているナビゲーション装置によって検出された現在位置とを照合し、前記返却予定の駐車場の位置と前記現在位置とが所定の距離閾値以内である場合に、貸出し対象の前記車両のロック機構を作動させて施錠する」は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年5月17日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項9に係る発明は、平成29年9月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項9に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項9に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項9に係る発明は、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2003-058979号公報
引用文献2?引用文献5:省略
引用文献6:特開2002-373280号公報(周知技術を示す文献:新たに引用された文献)
引用文献7:省略

3 引用文献
(1)引用文献1
ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2003-058979号公報(平成15年2月28日出願公開。以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。なお、下線は当審において付加したものである。
(ア)「【0005】 本発明の目的は、インターネットに接続されたレンタカーの車輌登録、予約受付、車輌管理システムを介してレンタカー事業のフランチャイズシステムと一定のフランチャイズ料をフランチャイジーから徴収し、それを収益源とするビジネスモデルを実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】 上記課題を解決すべく、本発明に係るレンタカーの車輌管理方法は、コンピュータネットワークを介して複数のレンタカー業者の保有する車輌を一括して管理するレンタカーの車輌管理方法であって、夫々のレンタカー業者に対しては、車輌の登録を受け付ける車輌登録受付段階と、該車輌登録受付段階にて受け付けた情報に基づいてデータベースに登録するデータベース登録段階とを有し、レンタカー利用者に対しては、利用可能車輌を検索する利用可能車輌検索段階と、該利用可能車輌検索段階にて得られた情報に基づいてレンタカーの予約を受け付ける予約受付段階とを有するものである。」
(イ)「【0024】
【発明の実施の形態】 以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。本システムは、中央のフランチャイザー側にインターネットに接続された大規模な貸出車輌登録、予約受付、車輌管理システムを設置し、駐車スペースと整備施設を保有するフランチャイジーが一定の費用を支払うことでその利用を可能ならしめ、レンタカー事業への新規参入を可能とし、更に全国にフランチャイジーを募ることで全国規模のレンタカー事業を展開することを可能とするレンタカーのフランチャイズシステムである。図1は、インターネットの一般的な構成を示す。パーソナルコンピュータからなる端末101,102,103,104はプロバイダなどを通じてインターネットに接続されている。携帯電話105もまた図示を省略した携帯電話網を介してインターネットに接続される。双方向TV端末(インターネットに接続されるゲーム機を介したテレビ端末やWebTV等を含む。)106もまた必要な機器を介してインターネットに接続される。サーバ10,20はウェブ上において働くサーバであって、インターネットを利用する利用者の要望により必要なアプリケーションを動かすものである。サーバ10,20には図示を省略したが必要なデータベースが接続され、必要に応じてそれを参照し、またデータを更新する作業を実行する。中央のフランチャイザー側がサーバ10,20を設けて車輌管理システムを構築する。フランチャイジー及びレンタカー利用者(又はコールセンター)のオペレータは、端末101,102,103,104、携帯電話105,衛星放送用双方向TV端末106等を介してインターネットにアクセスして、車輌管理システムへの照会、検索、登録などを実行する。」
(ウ)「【0030】 [フランチャイジーに対する提案内容2]
S市の複数のフランチャイジーAからEまでは夫々自社の保有又はリースを受ける車輌をインターネットを介して当フランチャイザが運営する車輌管理システム(以下、「W」と略す。)に車種、整備状況、貸出状況、価格等の車輌情報を登録する。」
(エ)「【0034】 図16は、本発明に係る車輌管理システムの全体像を示すハードウェア構成イメージ図である。車輌管理システムは、ファイアォールを介してインターネットに接続されたウェブサーバ上で動くものであり、貸出車輌登録システム、貸出条件呈示システム、予約受付システム、貸出車輌管理システム、保険情報管理システム、保険情報管理システム、クレジットカード認証システムなどを含む。そして、データ記憶装置に貯えられたデータベースと連携して働く。そのデータベースには、スケジュール情報、貸出車輌情報、フランチャイジー情報、価格情報などを含んでおり、関連性をもって検索可能となっている。クレジットカードの認証に当たっては、CAFIS(外部認証機関)と専用線でつながり照会に応じて信用調査が適切になされる。インターネットを介して、利用者、フランチャイジー、コールセンター、フランチャイザー、保険会社がこのシステムにつながる。利用者は、検索照会、予約処理、予約変更処理などをインターネットを介して行う。フランチャイジーは、原価管理、貸出車輌管理などの処理を行う。・・・(以下省略)・・・」
(オ)「【0035】 図17は、予約処理を示すフローチャートである。利用者がレンタカーの予約を欲してこのサイトを訪れて、所望の車輌を検索して詳細見積もり表示ボタンを押したときにこの処理に入る(ステップ700)。見積もり画面表示(ステップ710)から予約ボタンが押されると、個人情報取得処理(ステップ730)に入り、利用者が必要な情報を入力すると、クレジットカード番号などを頼りに本人認証、信用調査が実行される。CAFIS等の外部認証機関により照会がなされ、ブラックリストに載ってないか否かにより信用調査がなされる。信用調査をクリアすると(ステップ740でYES)、予約成立画面の表示(ステップ760)、予約確認メールを本人に送信する処理(ステップ770)、フランチャイジーへの通知(ステップ780)がなされて予約処理が終了する。
【0036】 図18は、車輌返却処理を示すフローチャートである。車輌返却の際にも本車輌管理システムにアクセスして必要なフォームの表示(ステップ810)をし、情報入力がされるのを待って(ステップ820)精算金額の計算(ステップ830)、クレジットカード決済処理(ステップ870)と進む。レンタカー利用者が車輌を借入れたフランチャイジーと異なる他のフランチャイジーに車を返却すること(たとえば東京世田谷のフランチャイジーで借りた車を軽井沢のフランチャイジーで返却すること)を許容することも可能である。その場合には、あらかじめその際の料金体系、収益及び費用配分を契約にて定めておき、車輌管理システムにおいて必要な入力画面を準備する。」

イ 上記記載から、引用例1には次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 上記(ア)の記載によれば、引用例1には、インターネットに接続されたレンタカーの車輌登録、予約受付、車輌管理システムを介してレンタカー事業のフランチャイズシステムを実現することを目的とし、そのためにコンピュータネットワークを介して複数のレンタカー業者の保有する車輌を一括して管理し、夫々のレンタカー業者に対しては、車輌の登録を受け付け、受け付けた情報に基づいてデータベースに登録し、レンタカー利用者に対しては、利用可能車輌を検索させ、得られた情報に基づいてレンタカーの予約を受け付けることによりその課題を解決するものであることが記載されている。
b 上記(イ)及び(エ)の記載によれば、駐車スペースと整備施設を保有するフランチャイジーが一定の費用を支払うことでその利用を可能ならしめ、レンタカー事業への新規参入を可能とし、更に全国にフランチャイジーを募ることで全国規模のレンタカー事業を展開することを可能とするレンタカーのフランチャイズシステムとして構築された車輌管理システムであって、該車輌管理システムは、ファイアォールを介してインターネットに接続されたウェブサーバ上で動くものであり、貸出車輌登録システム、貸出条件呈示システム、予約受付システム、貸出車輌管理システム、保険情報管理システム、保険情報管理システム、クレジットカード認証システムなどを含み、データ記憶装置に貯えられたデータベースと連携して働くものであり、そのデータベースには、スケジュール情報、貸出車輌情報、フランチャイジー情報、価格情報などを含んでおり、関連性をもって検索可能とされ、フランチャイジー及びレンタカー利用者は、端末を介してインターネットにアクセスして、車輌管理システムへの照会、検索、登録などを実行するものであり、利用者は、検索照会、予約処理、予約変更処理などをインターネットを介して行い、フランチャイジーは、原価管理、貸出車輌管理などの処理を行う、ことが記載されている。
c 上記(ウ)の記載によれば、フランチャイジーは夫々自社の保有又はリースを受ける車輌をインターネットを介して当フランチャイザが運営する車輌管理システムに車種、整備状況、貸出状況、価格等の車輌情報を登録するものである。
d 上記(オ)の記載によれば、予約処理では、利用者がレンタカーの予約を欲してこのサイトを訪れて、所望の車輌を検索して詳細見積もり表示ボタンを押し、見積もり画面表示から予約ボタンが押されると、個人情報取得処理に入り、利用者が必要な情報を入力すると、クレジットカード番号などを頼りに本人認証、信用調査が実行され、信用調査をクリアすると、予約成立画面の表示、予約確認メールを本人に送信する処理、フランチャイジーへの通知がなされて予約処理が終了し、車輌返却処理では、車輌返却の際にも本車輌管理システムにアクセスして必要なフォームの表示をし、情報入力がされるのを待って精算金額の計算、クレジットカード決済処理と進むものであることが記載されている。

ウ 上記ア、イから、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「駐車スペースと整備施設を保有するフランチャイジーが一定の費用を支払うことでその利用を可能ならしめ、レンタカー事業への新規参入を可能とし、更に全国にフランチャイジーを募ることで全国規模のレンタカー事業を展開することを可能とするレンタカーのフランチャイズシステムとして構築された車輌管理システムであって、
該車輌管理システムは、ファイアォールを介してインターネットに接続されたウェブサーバ上で動くものであり、貸出車輌登録システム、貸出条件呈示システム、予約受付システム、貸出車輌管理システム、保険情報管理システム、保険情報管理システム、クレジットカード認証システムなどを含み、データ記憶装置に貯えられたデータベースと連携して働くものであり、そのデータベースには、スケジュール情報、貸出車輌情報、フランチャイジー情報、価格情報などを含んでおり、関連性をもって検索可能とされ、フランチャイジー及びレンタカー利用者は、端末を介してインターネットにアクセスして、車輌管理システムへの照会、検索、登録などを実行するものであり、利用者は、検索照会、予約処理、予約変更処理などをインターネットを介して行い、フランチャイジーは、原価管理、貸出車輌管理などの処理を行い、
フランチャイジーは夫々自社の保有又はリースを受ける車輌をインターネットを介して当フランチャイザが運営する車輌管理システムに車種、整備状況、貸出状況、価格等の車輌情報を登録し、
予約処理では、利用者がレンタカーの予約を欲してこのサイトを訪れて、所望の車輌を検索して詳細見積もり表示ボタンを押し、見積もり画面表示から予約ボタンが押されると、個人情報取得処理に入り、利用者が必要な情報を入力すると、クレジットカード番号などを頼りに本人認証、信用調査が実行され、信用調査をクリアすると、予約成立画面の表示、予約確認メールを本人に送信する処理、フランチャイジーへの通知がなされて予約処理が終了し、
車輌返却処理では、車輌返却の際にも本車輌管理システムにアクセスして必要なフォームの表示をし、情報入力がされるのを待って精算金額の計算、クレジットカード決済処理と進むものである、
車輌管理システム。」

(2)引用文献6
ア 原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用された本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2002-373280号公報(平成14年12月26日出願公開。以下「引用例2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。なお、下線は当審において付加したものである。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】インターネットを用いて貸切バスを予約する貸切バス予約システムであって、
利用者からの予約依頼を受付け管理する管理サーバをインターネット上に設け、前記管理サーバは複数の貸切バス事業者の所有する貸切バスに関する登録データを有し、
利用者は、利用者側端末によりインターネットに接続して、予算を含む希望条件を入力して管理サーバに送信し、入力した希望条件を全て満たすバス情報が管理サーバから提供された時に所望のバス情報があれば予約依頼情報を管理サーバに送信し、
管理サーバは、送信された希望条件を全て満たすバス情報を前記登録データに基づいて検索し、バス情報があれば利用者側端末に送信して利用者に提示し、利用者側端末から予約依頼情報が送信された時に予約処理を実行して該当する貸切バス事業者の端末にインターネットを介して予約成立情報を送信することを特徴とする貸切バス予約システム。」
(イ)「【請求項9】各事業者は、事業者側端末によりインターネットを介して管理サーバに接続し、管理サーバに記憶されている予約状況の確認処理が実行できることを特徴とする請求項1?8のいずれか1つに記載の貸切バス予約システム。」
(ウ)「【0050】次に、図11のフローチャートを参照して、事業者側端末2により事業者が予約状況の照会を行う場合を説明する。ステップ111で、事業者は事業者側端末2によりインターネットを介して管理サーバ3にアクセスする。ステップ112で、管理サーバ3から送信された予約状況照会、データ追加・変更・削除の選択ページで予約状況照会を選択する。これにより、管理サーバ3は照会モード選択画面を送信する。照会モードとして、例えば指定日予約状況照会、指定月予約状況照会、指定車両予約状況照会等を設ける。
【0051】指定日予約状況照会モードを選択した場合は、ステップ113からステップ114に進み、指定月予約状況照会モードを選択した場合は、ステップ113からステップ116に進み、指定車両予約状況照会モードを選択した場合は、ステップ113からステップ117に進む。尚、事業者側端末2から管理サーバ3に送信される選択指定情報には予め与えられた事業者コードが自動的に添付される。管理サーバ3は、添付された事業者コードにより予約台帳データベースから該当する事業者のバスデータを検索して送信する。
【0052】ステップ114で、事業者側端末2は管理サーバ3から送信される例えば図12に示すような指定日予約状況の一覧データを受信し表示する。尚、図12の一覧データにおいて、識別番号の最初の番号(001)は前述の事業者コードであり、次の番号(001)はその事業者が登録した車両台数を示す連続番号である。
【0053】ステップ115で、予約内容照会処理を実行する。即ち、図12の一覧データの予約番号をクリックする。これにより、管理サーバ3は、クリックされた予約番号に対応する車両の予約内容を送信し、このデータを事業者側端末2が受信し表示する。表示する予約内容としては、例えば予約番号、業者名、車両番号、契約価格、予約取消条件、利用日・期間、出発地・出発時刻、目的地・コース、乗車人員、予約者名、住所、予約者電話番号、その他等である。」

イ 上記アの記載から、引用例2には、次の技術が記載されていると認められる。
「インターネットを用いて貸切バスを予約する貸切バス予約システムにおいて、利用者からの予約依頼を受付け管理する管理サーバをインターネット上に設け、前記管理サーバは複数の貸切バス事業者の所有する貸切バスに関する登録データを有し、利用者側端末から予約依頼情報が送信された時に予約処理を実行して該当する貸切バス事業者の端末にインターネットを介して予約成立情報を送信し、各事業者は、事業者側端末によりインターネットを介して管理サーバに接続し、管理サーバに記憶されている予約状況の確認処理が実行でき、事業者側端末から管理サーバに送信される選択指定情報には予め与えられた事業者コードが自動的に添付され、管理サーバは、添付された事業者コードにより予約台帳データベースから該当する事業者のバスデータを検索して送信する貸切バス予約システム。」

4 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア 本願発明の「貸出し用の車両を管理する複数の貸出し事業体それぞれが用いる複数の事業体端末それぞれとネットワークを介して通信し、前記車両の貸出しの予約を一元的に管理する車両貸出し予約用の管理サーバであって」との事項について
(ア)引用発明の「駐車スペースと整備施設を保有するフランチャイジー」は、「全国規模のレンタカー事業を展開することを可能とするレンタカーのフランチャイズシステム」に参加する事業体であるから、当該「フランチャイジー」は本願発明の「貸出し用の車両を管理する複数の貸出し事業体」に相当する。
(イ)引用発明の「全国規模のレンタカー事業を展開することを可能とするレンタカーのフランチャイズシステムとして構築された車輌管理システム」は、「ファイアォールを介してインターネットに接続されたウェブサーバ上で動くものであり、貸出車輌登録システム、貸出条件呈示システム、予約受付システム、貸出車輌管理システム、保険情報管理システム、保険情報管理システム、クレジットカード認証システムなどを含」むものであり、この「車輌管理システム」を動作させる「ウェブサーバ」は、後述するように利用者がレンタカーの予約を欲してこのサイトを訪れて、所望の車輌を検索して予約を可能とするためのサーバであって、複数のフランチャイジーの保有する貸出し車両に対する予約を一元的に管理するサーバであることは明らかであるから、引用発明の「ウェブサーバ」は本願発明の「前記車両の貸出しの予約を一元的に管理する車両貸出し予約用の管理サーバ」に相当する。
(ウ)引用発明の個々の「フランチャイジー」は、「端末を介してインターネットにアクセスして、車輌管理システムへの照会、検索、登録などを実行するもの」であり、また、「フランチャイジーは夫々自社の保有又はリースを受ける車輌をインターネットを介して当フランチャイザが運営する車輌管理システムに車種、整備状況、貸出状況、価格等の車輌情報を登録」していることから、当該「端末」は「車輌管理システム」を動作させる「ウェブサーバ」とインターネットを介して通信するものである。
そうすると、引用発明の「車輌管理システム」を動作させる「ウェブサーバ」とインターネットを介して通信する、個々の「フランチャイジー」が使用する「端末」は、本願発明の「貸出し用の車両を管理する複数の貸出し事業体それぞれが用いる複数の事業体端末」に相当する。
(エ)以上(ア)から(ウ)によれば、本願発明と引用発明は、後記する相違点を除いて、
「貸出し用の車両を管理する複数の貸出し事業体それぞれが用いる複数の事業体端末それぞれとネットワークを介して通信し、前記車両の貸出しの予約を一元的に管理する車両貸出し予約用の管理サーバであって」
の点で共通する。

イ 本願発明の「前記管理サーバは、前記貸出し事業体それぞれの前記車両の予約及び返却を管理する予約データベースと、前記貸出し事業体それぞれが個別に有する前記車両の貸出しを管理するサーバ制御装置とを備え」との事項について
(ア)引用発明の「ウェブサーバ」は、「データ記憶装置」を備えており、該「データ記憶装置」には「スケジュール情報、貸出車輌情報、フランチャイジー情報、価格情報など」を含む「データベース」が貯えられ、「貸出車輌登録システム、貸出条件呈示システム、予約受付システム、貸出車輌管理システム、保険情報管理システム、保険情報管理システム、クレジットカード認証システムなど」を含む「車輌管理システム」は上記「データベース」と連携して動作するものである。
そして、「車輌管理システム」では、レンタカーの利用者が端末を介して「検索照会、予約処理、予約変更処理」などを行うことからすれば、明確な記載はないとしても上記「データベース」に含まれる「スケジュール情報」には少なくとも車両の予約情報が格納されていることは明らかである。
また、利用者が端末から「車輌返却処理」を行うことから、各車両に対する予約、貸出し、返却などのステータス情報もデータベースで記録管理していることは技術常識からして自明である。
そうすると、引用発明の「データ記憶装置に貯えられたデータベース」は、本願発明の「前記貸出し事業体それぞれの前記車両の予約及び返却を管理する予約データベース」に相当するといえる。
(イ)引用発明の「車輌管理システム」は、すでに示したようにフランチャイジーそれぞれが保有する車両について、利用者がインターネットを介して検索照会、予約処理、予約変更処理などの予約管理を可能とするものである。
ここで、本願発明の「管理サーバ」が備える「サーバ制御装置」とは、例えば段落【0054】に「演算部94は、記憶部96に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ28の各部を制御する。図1に示すように、演算部94は、事業体管理部100と、顧客管理部102と、予約管理部104と、車両管理部106と、請求管理部108と、メンテナンス管理部110とを有する。」、また、段落【0182】に「本実施形態において、管理サーバ28は、複数の貸出し事業体EL毎且つ車両26の利用時間及び走行距離毎に設定された車両26の貸出し料金を記憶する請求DB130(料金データベース)を備える(図1)。管理サーバ28の演算部94(サーバ制御装置)は、1回の貸出しにおける車両26の利用時間と走行距離を、車両26から取得する(図15のS101)。そして、演算部94は、取得した利用時間及び走行距離と貸出し事業体ELとに基づいて(換言すると、貸出し事業体EL毎の料金情報Ifに基づいて)貸出し料金を算出する(S102)。」(なお、下線は当審において付加したものである。)と記載しているように、プログラムを実行することにより、サーバの各部を制御する演算部であって、実質的にサーバに目的とする各種機能を実現させるためのプログラムを意味するものである。
これに対して引用発明の「車輌管理システム」も、「ウェブサーバ上で動くもの」であるから、サーバのCPU(演算部)によって処理されるプログラムであることは明らかである。
そうすると、引用発明の「車輌管理システム」は、本願発明の「前記貸出し事業体それぞれが個別に有する前記車両の貸出しを管理するサーバ制御装置」に相当するものである。
(ウ)以上(ア)及び(イ)によれば、本願発明と引用発明は、後記する相違点を除いて、
「前記管理サーバは、前記貸出し事業体それぞれの前記車両の予約及び返却を管理する予約データベースと、前記貸出し事業体それぞれが個別に有する前記車両の貸出しを管理するサーバ制御装置とを備え」
の点で共通する。

ウ 本願発明の「前記サーバ制御装置は、前記車両の貸出し予約を受け付ける予約画面を、顧客による顧客端末の操作に応じて前記顧客端末に表示し、前記顧客端末での操作に応じて前記貸出し予約を受け付けて前記予約データベースに登録し」との事項について
(ア)引用発明の「予約処理では、利用者がレンタカーの予約を欲してこのサイトを訪れて、所望の車輌を検索して詳細見積もり表示ボタンを押し、見積もり画面表示から予約ボタンが押されると、個人情報取得処理に入り、利用者が必要な情報を入力すると、クレジットカード番号などを頼りに本人認証、信用調査が実行され、信用調査をクリアすると、予約成立画面の表示、予約確認メールを本人に送信する処理、フランチャイジーへの通知がなされて予約処理が終了し」によれば、「車輌管理システム」にアクセスした利用者が、所望の車輌を検索して詳細見積もり表示ボタンを押し、見積もり画面表示から予約ボタンが押されると、個人情報取得処理に入り、利用者が必要な情報を入力すると、クレジットカード番号などを頼りに本人認証、信用調査が実行され、信用調査をクリアすると、予約成立画面の表示がなされており、利用者が所望の車輌を検索する操作から予約成立までの各段階において、利用者の操作に応じて順次画面遷移を行うインターフェイスとなっていることは明らかであり、予約が成立すればウェブサーバのデータ記憶装置に貯えられたデータベースに登録されるものである。
(イ)以上(ア)によれば、本願発明と引用発明は、後記する相違点を除いて、
「前記サーバ制御装置は、前記車両の貸出し予約を受け付ける予約画面を、顧客による顧客端末の操作に応じて前記顧客端末に表示し、前記顧客端末での操作に応じて前記貸出し予約を受け付けて前記予約データベースに登録し」
の点で共通する。

エ 本願発明の「さらに、前記サーバ制御装置は、特定の貸出し事業体の事業体端末から予約状況の問い合わせを受けた際、前記特定の貸出し事業体に対応する前記車両のみの予約状況を、前記特定の貸出し事業体の事業体端末に表示させる」との事項について
(ア)引用発明では、予約成立時に「フランチャイジーへの通知がなされ」るものであり、これは予約状況を予約が行われた車両を保有するフランチャイジーの端末に表示させるものといえる。
(イ)以上(ア)によれば、本願発明と引用発明は、
「前記サーバ制御装置は、予約状況を、前記特定の貸出し事業体の事業体端末に表示させる」
点で共通し、また、
本願発明では、「特定の貸出し事業体の事業体端末から予約状況の問い合わせを受けた際、前記特定の貸出し事業体に対応する前記車両のみの予約状況を、前記特定の貸出し事業体の事業体端末に表示させる」のに対し、引用発明では、予約成立時にその情報を端末に表示させる点で相違するものである。

(2)以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「貸出し用の車両を管理する複数の貸出し事業体それぞれが用いる複数の事業体端末それぞれとネットワークを介して通信し、前記車両の貸出しの予約を一元的に管理する車両貸出し予約用の管理サーバであって、
前記管理サーバは、
前記貸出し事業体それぞれの前記車両の予約及び返却を管理する予約データベースと、
前記貸出し事業体それぞれが個別に有する前記車両の貸出しを管理するサーバ制御装置と
を備え、
前記サーバ制御装置は、
前記車両の貸出し予約を受け付ける予約画面を、顧客による顧客端末の操作に応じて前記顧客端末に表示し、
前記顧客端末での操作に応じて前記貸出し予約を受け付けて前記予約データベースに登録し、
さらに、前記サーバ制御装置は、予約状況を、前記特定の貸出し事業体の事業体端末に表示させる
ことを特徴とする管理サーバ。」

<相違点>
本願発明では、「特定の貸出し事業体の事業体端末から予約状況の問い合わせを受けた際、前記特定の貸出し事業体に対応する前記車両のみの予約状況を、前記特定の貸出し事業体の事業体端末に表示させる」のに対し、引用発明では、予約成立時にその情報を端末に表示させる点。

5 相違点についての判断
以下、相違点について検討する。
(1)引用例2の「インターネットを用いて貸切バスを予約する貸切バス予約システムにおいて、利用者からの予約依頼を受付け管理する管理サーバをインターネット上に設け、前記管理サーバは複数の貸切バス事業者の所有する貸切バスに関する登録データを有し、利用者側端末から予約依頼情報が送信された時に予約処理を実行して該当する貸切バス事業者の端末にインターネットを介して予約成立情報を送信し、各事業者は、事業者側端末によりインターネットを介して管理サーバに接続し、管理サーバに記憶されている予約状況の確認処理が実行でき、事業者側端末から管理サーバに送信される選択指定情報には予め与えられた事業者コードが自動的に添付され、管理サーバは、添付された事業者コードにより予約台帳データベースから該当する事業者のバスデータを検索して送信する貸切バス予約システム。」によれば、事業者が保有する車両について、予約成立情報を事業者側端末に送信すること、また、事業者側端末から管理サーバに記憶されている予約状況の確認処理を可能とすること、また、該事業者の保有する車両のみが検索され送信されることが記載されており、また、例えば「マイトリップ・ネット(旅の窓口)、日経コミュニケーション、日経BP社、2001年7月16日、第346号、p.148-153」には、ホテルやレンタカーのオンライン宿泊予約サイトとしてよく知られた「旅の窓口」について記載されており、このサイトのシステム構成としては、サーバでホテル情報、空室情報、ユーザ情報などを一元管理するものであり、特に148頁、149頁には、予約が成立した際にホテル側に予約が入ったことを伝えるファクシミリを送付し、また、ホテルの担当者がWebページ上で自社の予約状況の変化を確認できることが記載されており、一般に予約状況を一元管理するサーバを備えたシステムにおいて、予約成立の情報を事業者へ送信すること、及び、事業者側の端末から自社の予約状況の確認を可能とすることは周知技術である。
そして、引用発明のシステムもウェブサーバのデータベースで貸出し車両の情報や予約状況を一元管理する予約システムである点で上記周知技術と共通するものであるし、引用発明においても予約が成立した際に事業者であるフランチャイジーへの通知がなされるものの、当該通知は予約が成立した日に通知されるのであって、実際の貸出し日の順序で通知されるものではなく、事業者であるフランチャイジーとしては、例えば一週間や一月など所定の期間での予約状況を確認したいという要望は当然のことであるから、上記周知技術を適用し、事業者の端末から自社の車両の予約状況についての問い合わせ及びその表示を行わせる機能を追加し、上記相違点に係る構成とすることは当業者であれば容易に想到し得たことである。
(2)そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

6 まとめ
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-05-17 
結審通知日 2019-05-21 
審決日 2019-06-04 
出願番号 特願2015-133256(P2015-133256)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岸 健司  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 田中 秀樹
金子 幸一
発明の名称 車両貸出しシステム、車両貸出し方法及び管理サーバ  
代理人 仲宗根 康晴  
代理人 宮寺 利幸  
代理人 坂井 志郎  
代理人 千葉 剛宏  
代理人 関口 亨祐  
代理人 千馬 隆之  

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