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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1354818
審判番号 不服2018-4568  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-05 
確定日 2019-09-24 
事件の表示 特願2016- 85902「情報処理装置、情報処理方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月26日出願公開、特開2017-194889、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年4月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年 8月21日付け:拒絶理由通知書
平成29年10月27日 :意見書の提出
平成29年12月14日付け:拒絶査定
平成30年 4月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 1年 5月13日付け:拒絶理由通知書
令和 1年 6月18日 :意見書、手続補正書の提出


第2 原査定の概要
原査定(平成29年12月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(1)本願請求項1,3-6,10-11に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)本願請求項1-11に係る発明は、下記の引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2013-101421号公報
2.特開2001-357150号公報
3.特開2001-350986号公報
4.特開2014-215772号公報


第3 当審拒絶理由の概要
令和1年5月13日付け拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

(1)発明該当性
本願請求項1-3,9-11に記載されたものは、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

(2)明確性
本願請求項1-11の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(3)新規性
本願請求項1,3,10-11に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願請求項1,10-11に係る発明は、以下の引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(4)進歩性
本願請求項6及び9に係る発明は、以下の引用文献1又は2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2013-101421号公報
2.特開2002-318966号公報


第4 本願発明
本願請求項1-14に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明14」という。)は、令和1年6月18日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-2,4は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
電子商取引システムに登録された商品の中から、ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段と、
を備え、
前記提供手段は、前記取得手段により取得された情報に含まれる商品のうち前記ユーザが前記電子商取引システムで購入した商品の情報に基づいて前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供することを特徴とする情報処理装置。」

「【請求項2】
電子商取引システムに登録された商品の中から、ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段と、
を備え、
前記提供手段は、前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入履歴と前記取得手段により取得された情報とを照合して前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供することを特徴とする情報処理装置。」

「【請求項4】
電子商取引システムに登録された商品の中から、ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段と、
を備え、
前記提供手段は、前記取得手段により取得された情報に含まれる商品の品目の属性に基づいて前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供し、前記ユーザの購入傾向を抽出する際、前記商品の購入日及び発売日を照合し、前記購入日が前記発売日から所定期間内である場合、機能重視及び流行重視の少なくとも一方と判断することを特徴とする情報処理装置。」

なお、本願発明3,5-14の概要は以下のとおりである。

本願発明3は、本願発明2を減縮した発明である。

本願発明5は、本願発明4を減縮した発明である。

本願発明6-8は、本願発明1,2,4のいずれかを減縮した発明である。

本願発明9及び12は、それぞれ本願発明1に対応する「方法」及び「プログラム」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

本願発明10及び13は、それぞれ本願発明2に対応する「方法」及び「プログラム」の発明であり、本願発明2とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

本願発明11及び14は、それぞれ本願発明4に対応する「方法」及び「プログラム」の発明であり、本願発明4とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。


第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
当審拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電子モール等のインターネットを利用した商品の売買システムを利用して商品を販売する主体には、できるだけ商品を販売する機会を拡充したいとするニーズがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、インターネットを利用した商品の売買に係るシステムにおいて、商品を販売する機会を拡充したいという商品を販売する側のニーズに適切に応えることを目的とする。」

イ 「【請求項1】
表示部を有する装置にネットワークを介して接続され、
前記装置からの所定のWebページへのアクセスに応じて、前記装置の前記表示部において当該Webページが表示される表示領域とは独立した表示領域に電子ショッピングカートを表示させるカート表示部と、
前記電子ショッピングカートを利用して購入可能な商品であって、異なる複数の主体が販売する商品を管理する商品管理部と、
前記電子ショッピングカートに1の商品が入れられた場合、当該1の商品を販売する主体と、当該1の商品と関連する商品を販売する主体とが同一か否かにかかわらず、前記商品管理部が管理する商品の中から当該1の商品と関連する商品を選択し、選択した商品の情報を前記電子ショッピングカートが表示された表示領域内に表示させる関連商品選択部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「インターネットを利用した商品の売買に係るシステムにおいて、商品を販売する機会を拡充したいという商品を販売する側のニーズに適切に応えることを目的とする情報処理装置であって、
表示部を有する装置にネットワークを介して接続され、
前記装置の前記表示部において電子ショッピングカートを表示させるカート表示部と、
前記電子ショッピングカートを利用して購入可能な商品であって、異なる複数の主体が販売する商品を管理する商品管理部と、
前記電子ショッピングカートに1の商品が入れられた場合、前記商品管理部が管理する商品の中から当該1の商品と関連する商品を選択し、選択した商品の情報を前記電子ショッピングカートが表示された表示領域内に表示させる関連商品選択部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

2.引用文献2について
当審拒絶理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0014】また、本発明の更なる別の発明によれば、ネットワークを介して消費者に情報を送信することにより商品を消費者に推薦する商品推薦装置において、消費者が所有している商品に関する情報を管理する所有商品管理手段と、消費者が所有している商品に関する情報に基づいて推薦する商品を決定し、ネットワークを介して消費者に推薦する商品に関する情報を送信する推薦手段とを備える。ここで、上記推薦手段は、嗜好の傾向を示す情報である属性に基づいて各商品を分類し、消費者が所有している商品に関する情報に基づいて消費者の嗜好に合う属性を決定し、決定された属性に分類された商品に関する情報を消費者に送信することとしてもよい。」

イ 「【0017】ここで、上述の商品推薦装置は、商品を消費者に推薦すること自体を商品とするオンライン店舗であってもよい。また、ある商品を販売するオンライン店舗に上述の商品推薦装置を備えることにより、そのオンライン店舗は、商品を販売する一方で、商品を推薦するサービスを提供することとしても良い。いずれの場合も、そのオンライン店舗は、より正確に商品を消費者に推薦することにより、消費者に提供するサービスを向上させることが可能となる。」

ウ 「【0031】以下、図1を用いて本発明に係わるオンライン店舗を含むシステムの概要ついて説明する。図1に示すように、ネットワークNを介して顧客Aの端末TAにオンライン書店1が接続されている。ネットワークNとして、専用回線等のLAN(Local Area Network)、電話回線、インターネット等のWAN(Wide Area Network )が考えられる。図1において、ネットワークNは別々に記載されているが、同じネットワークであってもよい。また、オンライン店舗1は、消費者を顧客Aとして登録し、ネットワークとして顧客Aに商品を販売する。以下、消費者をオンライン店舗1の顧客Aであると仮定して説明する。」

エ 「【0033】顧客Aは、商品を所有する。顧客Aは、オンライン店舗1に個人情報等を送信することにより、オンライン店舗1の顧客Aとして登録される。さらに、顧客Aは、所有している商品に関する情報を端末TA に入力し、入力した情報をネットワークNを介してオンライン店舗1に送信する。ここで、顧客Aは、ISBN(International Standard Book Number、国際標準図書番号)及びバーコード等を用いて所有している商品に関する情報を入力しても良い。また、端末TA がスキャナSA を備えている場合、顧客Aは、スキャナSA で商品に付されたバーコードを読みとって入力することも可能である。」

オ 「【0041】図2に示すシステム構成は図1とほぼ、同様であるため、システム構成についての説明を省略する。第1実施形態に係わるオンライン書店100は、例えば、ウェブサーバとして実現することができる。図2に示すように、オンライン書店100は、顧客管理部、在庫管理部及び販売管理部(以下、販売管理部と総称する)101、所有商品管理部(仮想本棚管理部)102、売却代行部103、推薦部104、検索部105及びウェブロボット(文書収集部)106、並びに、顧客管理DB・在庫マスタ10、所有商品情報格納部(仮想本棚)11、商品説明情報格納部(書籍マスタ)12及び優良ウェブ文書マスタ13を備える。」

カ 「【0043】所有商品管理部(仮想本棚管理部)102は、購入履歴及び顧客Aが入力する情報に基づいて、顧客Aが所有している商品に関する情報を管理する。また、顧客Aの指示に基づいて、顧客Aが所有している商品に関する情報をネットワークNを介して顧客Aに提示する。以下、説明において商品を書籍と仮定するため、所有商品管理部102を仮想本棚管理部と仮称する。」

キ 「【0045】推薦部104は、各顧客Aが所有している商品に関する情報を分析し、分析結果に基づいて、各顧客Aの嗜好や要望に合うと推測される商品を顧客Aに推薦する。商品を推薦する際、推薦部104は、推薦する商品に関連するウェブ文書に関する情報を推薦する書籍と共に提示することとしてもよい。ここで、ウェブ文書とは、ネットワーク上で公開されている文章、画像等を含む文書をいう。」

ク 「【0060】図6を用いて、オンライン書店100が書籍情報一覧画面を設定し、この画面から書籍の登録又は注文を顧客Aから受け付ける処理について説明する。なお、説明において、書籍情報一覧画面が新刊一覧画面であると仮定するが、検索結果を一覧する画面の場合もほぼ同様の処理を行う。まず、顧客Aがオンライン書店100にアクセスした時点で顧客Aの顧客ID=Ax を取得する(不図示)。顧客Aが新刊を一覧することを指示すると、検索部105は、書籍マスタ12に格納された出版年月日に基づいて、現在から所定期間内に出版された書籍を新刊として判定する。検索部105は、書籍マスタ12から、新刊であると判定された書籍について、書籍ID、著者ID等の書籍に関する情報を取得し、著者名、書籍名、書籍に関する説明を画面に設定する(ステップS10)。さらに、検索部105は、画面上の著者名及び書籍名を表示する部分に、それぞれ著者情報表示画面及び書籍情報表示画面へのリンクを埋め込む。」

ケ 「【0061】続いて、検索部105は、顧客ID=Ax の各書籍の書籍IDを用いて書籍別仮想本棚111を参照し、顧客Aについて各書籍の所有状況情報を取得する。検索部105は、所有状況情報に基づいて、顧客Aが所有していない書籍に対応する画面上の所定の位置に「本棚登録」及び「購入」ボタンを設定する。
・・・・・(中略)・・・・・
【0062】検索部105は、このように設定された画面を顧客Aの端末TA に出力させ、顧客Aの入力を待つ。顧客Aが「本棚登録」ボタンを押下した場合(ステップS12:Yes)、仮想本棚管理部102は、押下されたボタンに対応する書籍を、「顧客Aが他店で購入した」書籍として仮想書棚11に登録する。より具体的には、仮想本棚管理部102は、押下されたボタンに対応する書籍の書籍ID、例えばBy を取得する。そして仮想本棚管理部102は、顧客ID=Ax 及び書籍ID=By を用いて書籍別仮想本棚111を参照し、(Ax ,By )に対応する所有状況情報を「1」に更新する。」

したがって、上記引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「消費者が所有している商品に関する情報を管理する所有商品管理手段と、消費者が所有している商品に関する情報に基づいて推薦する商品を決定し、ネットワークを介して消費者に推薦する商品に関する情報を送信する推薦手段と、を備えた商品推薦装置を、商品を販売するオンライン店舗に備えることにより、当該オンライン店舗が、商品を販売する一方で、商品を推薦するサービスを提供するシステムであって(【0014】【0017】)、
ネットワークNを介して顧客Aの端末TAに接続されているオンライン店舗は、例えば、ウェブサーバとして実現することができ、所有商品管理部(仮想本棚管理部)102、推薦部104、検索部105、商品説明情報格納部(書籍マスタ)12等を備え(【0031】【0041】)、
顧客Aは、所有している商品に関する情報を端末TAに入力し、入力した情報をネットワークNを介してオンライン店舗に送信するものであって(【0033】)、
所有商品管理部(仮想本棚管理部)102は、購入履歴及び顧客Aが入力する情報に基づいて、顧客Aが所有している商品に関する情報を管理し(【0043】)、
推薦部104は、各顧客Aが所有している商品に関する情報を分析し、分析結果に基づいて、各顧客Aの嗜好や要望に合うと推測される商品を顧客Aに推薦するものであって(【0045】)、
顧客Aが新刊を一覧することを指示すると、検索部105は、書籍マスタ12に格納された出版年月日に基づいて、現在から所定期間内に出版された書籍を新刊として判定し、新刊であると判定された書籍について、書籍マスタ12から書籍ID等の書籍に関する情報を取得し、著者名、書籍名、書籍に関する説明を画面に設定し、さらに、所有状況情報に基づいて、顧客Aが所有していない書籍に対応する画面上の所定の位置に「本棚登録」及び「購入」ボタンを設定し(【0060】【0061】)、
顧客Aが「本棚登録」ボタンを押下した場合、仮想本棚管理部102は、押下されたボタンに対応する書籍を、「顧客Aが他店で購入した」書籍として仮想書棚11に登録する(【0062】)、システム。」


第6 対比・判断
1.本願発明1について

(1-1)引用発明1との対比・判断
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

ここで、請求項1には、電子商取引システムに登録された商品の中からユーザにより選択される商品は、「ユーザが所有する商品として」選択される旨が記載されているが、前記「ユーザが所有する商品として」選択されるという事項は、ユーザの精神活動である判断内容(自己が所有する商品であるという判断内容)を特定するものであって、当該選択される商品の情報を取得する「取得手段」の機能や構造等を何ら特定するものではないため、請求項1の「ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する」という文言は、単に「ユーザにより選択された商品の情報を取得する」と解釈して以下に対比する。

ア 本願発明1の「取得手段」に関して
引用発明1は、『電子ショッピングカートに1の商品が入れられた』場合に、『関連商品選択部』が、『当該1の商品と関連する商品』を選択し、当該選択した商品を『電子ショッピングカート』が表示された表示領域内に表示させるものである。ここで、『商品』とは、『電子ショッピングカートを利用して購入可能な商品』として『管理』されているものである。
したがって、引用発明1の『電子ショッピングカートを利用して購入可能な商品』は、本願発明1の「電子商取引システムに登録された商品」に相当し、引用発明1の『電子ショッピングカート』に『入れられた』『商品』は、本願発明1の「電子商取引システムに登録された商品の中から」「ユーザにより選択された商品」に相当し、引用発明1の『関連商品選択部』は、本願発明1の「選択された商品の情報を取得する取得手段」に相当する構成を備えているといえる。

イ 本願発明1の「提供手段」に関して
引用発明1の『情報処理装置』は、『商品を販売する機会を拡充したいという商品を販売する側のニーズに適切に応えることを目的とする情報処理装置』であるから、引用発明1の『当該1の商品と関連する商品』の『情報』は、本願発明1の「販促情報」に相当し、引用発明1の前記『情報』を『電子ショッピングカートが表示された表示領域内に表示させる』『関連商品選択部』は、本願発明1の「前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段」に相当する。

ウ 本願発明1の「提供手段」における動作に関して
引用発明1においては、電子商取引システムに登録された商品の中からユーザにより選択された商品は、前記ユーザが購入する前の商品であって、加えて、引用発明1は、選択された商品に基づいて電子商取引システムにおける購入傾向を抽出するものではないことから、引用発明1における提供手段は、本願発明1のように「前記取得手段により取得された情報に含まれる商品のうち前記ユーザが前記電子商取引システムで購入した商品の情報に基づいて前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」もの、ではない。

エ 本願発明1の「情報処理装置」に関して
上記ア及びイから、引用発明1の『関連商品選択部』を備えた『情報処理装置』は、本願発明1の「取得手段」と「提供手段」とを備えた「情報処理装置」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「電子商取引システムに登録された商品の中から、ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段と、
を備え」た「情報処理装置。」

<相違点>
<相違点1-1>
本願発明1の提供手段は「前記取得手段により取得された情報に含まれる商品のうち前記ユーザが前記電子商取引システムで購入した商品の情報に基づいて前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」ものであるのに対し、引用発明1の提供手段はそのような構成を備えていない点。

<相違点についての判断>
上記相違点1-1について検討すると、当該相違点1-1に係る本願発明1の「前記取得手段により取得された情報に含まれる商品のうち前記ユーザが前記電子商取引システムで購入した商品の情報に基づいて前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」という構成が公知技術又は周知技術であるとはいえない。さらに、仮に、当該構成が公知技術又は周知技術であるとしても、引用発明1では、ユーザにより選択される商品は、前記ユーザが購入する前の商品であることから、本願の出願当時の技術常識を参酌しても、引用発明1の提供手段に前記構成を適用する動機付けがあるとはいえない。

したがって、本願発明1は、引用発明1と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(1-2)引用発明2との対比・判断
本願発明1と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。

ア 本願発明1の「取得手段」に関して
引用発明2のオンライン店舗における『商品推薦装置』は、書籍マスタ12に格納された書籍であって『新刊であると判定された書籍』について、『著者名、書籍名、書籍に関する説明』及び『「本棚登録」ボタン』を画面に設定し、顧客Aが前記『「本棚登録」ボタン』を押下した場合、当該ボタンに対応する書籍を『「顧客Aが他店で購入した」書籍として仮想書棚11に登録する』ことから、引用発明2の書籍マスタ12に格納された書籍であって『新刊であると判定された書籍』は、本願発明1の「電子商取引システムに登録された商品」に相当し、引用発明2において顧客Aが押下した『「本棚登録」ボタン』に対応する『書籍』は、本願発明1の「ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報」に相当し、引用発明2において『「顧客Aが他店で購入した」書籍として仮想書棚11に登録する』ことは、本願発明1の「商品の情報を取得する」ことに相当する。
したがって、引用発明2は、本願発明1の「電子商取引システムに登録された商品の中から、ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する取得手段」に相当する構成を備えている。

イ 本願発明1の「提供手段」に関して
引用発明2のオンライン店舗における『商品推薦装置』は、『消費者に推薦する商品に関する情報を送信する推薦手段』を備えていることから、引用発明2の『消費者に推薦する商品』は、本願発明1の「販促情報」に相当し、また、前記『消費者に推薦する商品』は、『消費者が所有している商品に関する情報に基づいて』決定されることから、引用発明2の『消費者に推薦する商品』は、本願発明1のように「前記取得手段により取得された情報に基づいて」提供されるものである。
したがって、引用発明2の『推薦手段』は、本願発明1の「前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段」に相当する。

ウ 本願発明1の「提供手段」における動作に関して
引用発明2においては、電子商取引システムに登録された商品の中からユーザにより選択された商品の情報を取得するものの、販促情報は、前記取得した情報と購入履歴とに基づいて提供することから、引用発明2は、前記選択された商品の情報に基づいて「電子商取引システムにおける購入傾向」を抽出し、「前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供」しているとはいえない。
つまり、引用発明2における提供手段は、本願発明1のように「前記取得手段により取得された情報に含まれる商品のうち前記ユーザが前記電子商取引システムで購入した商品の情報に基づいて前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」もの、ではない。

エ 本願発明1の「情報処理装置」に関して
上記ア及びイから、引用発明2の『推薦手段』を備えた『商品推薦装置』は、本願発明2の「取得手段」と「提供手段」とを備えた「情報処理装置」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「電子商取引システムに登録された商品の中から、ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段と、
を備え」た「情報処理装置。」

<相違点>
<相違点1-2>
本願発明1の提供手段は「前記取得手段により取得された情報に含まれる商品のうち前記ユーザが前記電子商取引システムで購入した商品の情報に基づいて前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」ものであるのに対し、引用発明2の提供手段はそのような構成を備えていない点。

<相違点についての判断>
上記相違点1-2について検討すると、当該相違点1-2に係る本願発明1の「前記取得手段により取得された情報に含まれる商品のうち前記ユーザが前記電子商取引システムで購入した商品の情報に基づいて前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」という構成が公知技術又は周知技術であるとはいえない。さらに、仮に、当該構成が公知技術又は周知技術であるとしても、引用発明2は、(ユーザにより選択された商品である)他店で購入した商品と、オンライン店舗で購入した商品と、に基づいて、商品を推薦することを前提とした発明であることから、本願の出願当時の技術常識を参酌しても、引用発明2の提供手段に前記構成を適用する動機付けがあるとはいえない。

したがって、本願発明1は、引用発明2と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2について
(2-1)引用発明1との対比・判断

本願発明2と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

ア 本願発明2の「取得手段」及び「提供手段」に関して
本願発明2の「取得手段」及び「提供手段」は、本願発明1の「取得手段」及び「提供手段」と同様であるため、上記「1.本願発明1について」の「(1-1)引用発明1との対比・判断」に示したとおり、引用発明1は本願発明2の「取得手段」及び「提供手段」に相当する構成を備えている。

イ 本願発明2の「提供手段」における動作に関して
引用発明1において、電子商取引システムに登録された商品の中からユーザにより選択された商品としては、前記ユーザが未購入の商品が想定されており、加えて、引用発明1は、選択された商品に基づいて電子商取引システムにおける購入傾向を抽出するものではないことから、引用発明1における提供手段は、本願発明2のように「前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入履歴と前記取得手段により取得された情報とを照合して前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」もの、ではない。

したがって、本願発明2と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「電子商取引システムに登録された商品の中から、ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段と、
を備え」た「情報処理装置。」

<相違点>
<相違点2-1>
本願発明2の提供手段は「前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入履歴と前記取得手段により取得された情報とを照合して前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」ものであるのに対し、引用発明1の提供手段はそのような構成を備えていない点。

<相違点についての判断>
上記相違点2-1について検討すると、当該相違点2-1に係る本願発明2の「前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入履歴と前記取得手段により取得された情報とを照合して前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」という構成が公知技術又は周知技術であるとはいえない。さらに、仮に、当該構成が公知技術又は周知技術であるとしても、引用発明1では、ユーザにより選択される商品は、前記ユーザが購入する前の商品であることから、本願の出願当時の技術常識を参酌しても、引用発明1の提供手段に前記構成を適用する動機付けがあるとはいえない。

したがって、本願発明2は、引用発明1と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2-2)引用発明2との対比・判断

本願発明2と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。

ア 本願発明2の「取得手段」及び「提供手段」に関して
本願発明2の「取得手段」及び「提供手段」は、本願発明1の「取得手段」及び「提供手段」と同様であるため、上記「1.本願発明1について」の「(1-2)引用発明2との対比・判断」に示したように、引用発明2は本願発明2の「取得手段」及び「提供手段」に相当する構成を備えている。

イ 本願発明2の「提供手段」における動作に関して
引用発明2においては、販促情報は、ユーザにより選択された商品の情報及び購入履歴に基づいて提供するものの、引用発明2は、前記選択された商品と購入履歴とを「照合」しているとはいえない。
つまり、引用発明2における提供手段は、本願発明2のように、「前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入履歴と前記取得手段により取得された情報とを照合して前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」もの、ではない。

したがって、本願発明2と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「電子商取引システムに登録された商品の中から、ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段と、
を備え」た「情報処理装置。」

<相違点>
<相違点2-2>
本願発明2の提供手段は「前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入履歴と前記取得手段により取得された情報とを照合して前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」ものであるのに対し、引用発明2の提供手段はそのような構成を備えていない点。

<相違点についての判断>
上記相違点2-2について検討すると、当該相違点2-2に係る本願発明2の「前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入履歴と前記取得手段により取得された情報とを照合して前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」という構成が、上記「第5」の引用文献1にも記載されていない。また、当該構成は公知技術又は周知技術であるとはいえない。さらに、仮に、当該構成が公知技術又は周知技術であるとしても、引用発明2は、(ユーザにより選択された商品である)他店で購入した商品と、オンライン店舗で購入した商品と、に基づいて、商品を推薦することを前提とした発明であることから、本願の出願当時の技術常識を参酌しても、引用発明2の提供手段に前記構成を適用する動機付けがあるとはいえない。

したがって、本願発明2は、引用発明2と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3.本願発明4について
(3-1)引用発明1との対比・判断

本願発明4と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

ア 本願発明4の「取得手段」及び「提供手段」に関して
本願発明4の「取得手段」及び「提供手段」は、本願発明1の「取得手段」及び「提供手段」と同様であるため、上記「1.本願発明1について」の「(1-1)引用発明1との対比・判断」に示したとおり、引用発明1は本願発明4の「取得手段」及び「提供手段」に相当する構成を備えている。

イ 本願発明4の「提供手段」における動作に関して
引用発明1における提供手段は、本願発明4のように「前記ユーザの購入傾向を抽出する際、前記商品の購入日及び発売日を照合し、前記購入日が前記発売日から所定期間内である場合、機能重視及び流行重視の少なくとも一方と判断する」もの、ではない。

したがって、本願発明4と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「電子商取引システムに登録された商品の中から、ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段と、
を備え」た「情報処理装置。」

<相違点>
<相違点4-1>
本願発明4の提供手段は「前記ユーザの購入傾向を抽出する際、前記商品の購入日及び発売日を照合し、前記購入日が前記発売日から所定期間内である場合、機能重視及び流行重視の少なくとも一方と判断する」ものであるのに対し、引用発明1の提供手段はそのような構成を備えていない点。

<相違点についての判断>
上記相違点4-1について検討すると、当該相違点4-1に係る本願発明4の「前記ユーザの購入傾向を抽出する際、前記商品の購入日及び発売日を照合し、前記購入日が前記発売日から所定期間内である場合、機能重視及び流行重視の少なくとも一方と判断する」という構成が公知技術又は周知技術であるとはいえない。

したがって、本願発明4は、引用発明1と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(3-2)引用発明2との対比・判断

本願発明4と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。

ア 本願発明4の「取得手段」及び「提供手段」に関して
本願発明4の「取得手段」及び「提供手段」は、本願発明1の「取得手段」及び「提供手段」と同様であるため、上記「1.本願発明1について」の「(1-2)引用発明2との対比・判断」に示したとおり、引用発明2は本願発明4の「取得手段」及び「提供手段」に相当する構成を備えている。

イ 本願発明4の「提供手段」における動作に関して
引用発明2における提供手段は、本願発明4のように「前記ユーザの購入傾向を抽出する際、前記商品の購入日及び発売日を照合し、前記購入日が前記発売日から所定期間内である場合、機能重視及び流行重視の少なくとも一方と判断する」もの、ではない。

したがって、本願発明4と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「電子商取引システムに登録された商品の中から、ユーザが所有する商品としてユーザにより選択された商品の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、販促情報を提供する提供手段と、
を備え」た「情報処理装置。」

<相違点>
<相違点4-2>
本願発明4の提供手段は「前記ユーザの購入傾向を抽出する際、前記商品の購入日及び発売日を照合し、前記購入日が前記発売日から所定期間内である場合、機能重視及び流行重視の少なくとも一方と判断する」ものであるのに対し、引用発明2の提供手段はそのような構成を備えていない点。

<相違点についての判断>
上記相違点4-2について検討すると、当該相違点4-2に係る本願発明4の「前記ユーザの購入傾向を抽出する際、前記商品の購入日及び発売日を照合し、前記購入日が前記発売日から所定期間内である場合、機能重視及び流行重視の少なくとも一方と判断する」という構成が公知技術又は周知技術であるとはいえない。
したがって、本願発明4は、引用発明2と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

4.本願発明3について
本願発明3は、本願発明2の「前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入履歴と前記取得手段により取得された情報とを照合して前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」という構成、と同一の構成を備えるものであるから、本願発明2と同じ理由により、引用発明1又は2と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明1又は2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

5.本願発明5について
本願発明5は、本願発明4の「前記ユーザの購入傾向を抽出する際、前記商品の購入日及び発売日を照合し、前記購入日が前記発売日から所定期間内である場合、機能重視及び流行重視の少なくとも一方と判断する」という構成、と同一の構成を備えるものであるから、本願発明4と同じ理由により、引用発明1又は2と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明1又は2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

6.本願発明6-8について
本願発明6-8は、本願発明1の「前記取得手段により取得された情報に含まれる商品のうち前記ユーザが前記電子商取引システムで購入した商品の情報に基づいて前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」という構成、本願発明2の「前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入履歴と前記取得手段により取得された情報とを照合して前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」という構成、又は、本願発明4の「前記ユーザの購入傾向を抽出する際、前記商品の購入日及び発売日を照合し、前記購入日が前記発売日から所定期間内である場合、機能重視及び流行重視の少なくとも一方と判断する」という構成、と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1,2及び4と同じ理由により、引用発明1又は2と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明1又は2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

7.本願発明9及び12について
本願発明9及び12は、それぞれ、本願発明1に対応する「方法」及び「プログラム」の発明であるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1又は2と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明1又は2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

8.本願発明10及び13について
本願発明10及び13は、それぞれ、本願発明2に対応する「方法」及び「プログラム」の発明であるから、本願発明2と同様の理由により、引用発明1又は2と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明1又は2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

9.本願発明11及び14について
本願発明11及び14は、それぞれ、本願発明4に対応する「方法」及び「プログラム」の発明であるから、本願発明4と同様の理由により、引用発明1又は2と相違し、かつ、当業者であっても、引用発明1又は2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


第7 原査定について
当審拒絶理由に対する令和1年6月18日の補正により、本願発明1-14は、「前記取得手段により取得された情報に含まれる商品のうち前記ユーザが前記電子商取引システムで購入した商品の情報に基づいて前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」という事項、「前記ユーザの前記電子商取引システムにおける購入履歴と前記取得手段により取得された情報とを照合して前記ユーザの購入傾向を抽出し、前記抽出した購入傾向に基づいて前記販促情報を提供する」という事項、又は、「前記ユーザの購入傾向を抽出する際、前記商品の購入日及び発売日を照合し、前記購入日が前記発売日から所定期間内である場合、機能重視及び流行重視の少なくとも一方と判断する」という事項を有するものとなっており、これらの事項は原査定で引用された上記「第2」の引用文献1-4の何れにも記載されていない。
したがって、本願発明1-14は、原査定で引用された上記引用文献1に記載された発明ではない。また、当業者であっても、原査定において引用された上記引用文献1-4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
よって、原査定の理由を維持することはできない。


第8 当審拒絶理由について

1 特許法第29条第1項柱書について
当審では、請求項1-3,9-11が、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知しているが、令和1年6月18日付けの補正において、当該拒絶の理由を有しない請求項に限定された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 特許法第36条第6項第2号について
当審では、請求項1-11に係る発明について、「所有品情報として」という記載の意味内容が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和1年6月18日付けの補正において、当該記載が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

3 特許法第29条第1項第3号について
当審では、請求項1,3,10-11に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないとの拒絶の理由を通知しているが、前記「第6 対比・判断」に示したとおり、この拒絶の理由は解消した。

4 特許法第29条第2項について
当審では、請求項6及び9に係る発明について、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとの拒絶の理由を通知しているが、前記「第6 対比・判断」に示したとおり、この拒絶の理由は解消した。


第9 むすび
以上のとおり、本願発明1-14は、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1に記載された発明ではない。また、本願発明1-14は、当業者が原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1-4に基づいて容易に発明することができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-10 
出願番号 特願2016-85902(P2016-85902)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 113- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加舎 理紅子  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 田中 秀樹
石川 正二
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム  
代理人 荒船 良男  
代理人 荒船 博司  

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