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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01P
管理番号 1355285
審判番号 不服2018-13268  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-04 
確定日 2019-09-12 
事件の表示 特願2014-190143「冷却システムの制御装置及び冷却システムの制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年4月25日出願公開、特開2016-61232〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年9月18日の出願であって、平成30年1月16日付け(発送日:平成30年1月23日)で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の平成30年3月26日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成30年8月29日付け(発送日:平成30年9月4日)で拒絶査定がされ、これに対し、平成30年10月4日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成30年10月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年10月4日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正前の平成30年3月26日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
複数の冷却水通路の中から冷却水を分配する少なくとも1つの冷却水通路を順次切り替える流路切替弁を、内燃機関の暖機状態に応じて制御する冷却システムの制御装置であって、
前記冷却水通路を切り替えるとき、新たに冷却水が分配される冷却水通路への冷却水の分配量を目標値まで徐々に増加させる過程において、前記冷却水の分配量の増加を一時的に抑制する、
ことを特徴とする冷却システムの制御装置。」

(2)そして、本件補正により、上述の本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおり補正された(下線は、請求人が補正箇所を示すために付したものである。)。
「【請求項1】
複数の冷却水通路の中から冷却水を分配する少なくとも1つの冷却水通路を順次切り替える流路切替弁を、内燃機関の暖機状態に応じて制御する冷却システムの制御装置であって、
前記冷却水通路を切り替えるとき、新たに冷却水が分配される冷却水通路への冷却水の分配量を目標値まで徐々に増加させる過程において、当該冷却水通路の冷却水の温度が第1の所定温度未満になると、前記冷却水の分配量の増加を抑制し、当該抑制の結果、前記冷却水通路の冷却水の温度が前記第1の所定温度より高い第2の所定温度以上になると、前記冷却水の分配量の増加抑制を解除する、
ことを特徴とする冷却システムの制御装置。」

2.補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「冷却水の分配量の増加を一時的に抑制する」について「冷却水通路の冷却水の温度が第1の所定温度未満になると、前記冷却水の分配量の増加を抑制し、当該抑制の結果、前記冷却水通路の冷却水の温度が前記第1の所定温度より高い第2の所定温度以上になると、前記冷却水の分配量の増加抑制を解除する」との限定をするものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(以下、「本件補正発明」という。)が、同法同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1) 本件補正発明
本件補正発明は、上記1.(2)に記載したとおりのものである。

(2) 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前の平成26年1月9日に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2014-1646号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「内燃機関の冷却装置」に関して、図面(特に、【図1A】ないし【図3】を参照。)とともに次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。

ア 「【0018】
図1Bに示すように、冷却装置1は内燃機関100に適用されている。冷却装置1はシリンダブロック104及びシリンダヘッド105のエンジン本体101の各所に冷却水を供給するとともに、EGRシステム103の各種要素やオイルクーラ140等の補機類や車両に搭載された車載空調ユニット50に含まれるヒータコア51等に冷却水を供給して、これらの装置と冷却水とを熱交換させる。なお、車載空調ユニット50の詳細は後述する。
【0019】
図1Bに矢印線によって模式的に示したが、冷却装置1には、シリンダブロック104を経由してシリンダヘッド106から排出された冷却水を再びシリンダブロック104へ供給するための複数の経路13A?13Dが設けられている。冷却装置1には各経路13A?13Dを流れる冷却水の流通状態を切り替えるため、シリンダヘッド106に形成された冷却通路106aの出口側に設けられ、各経路13A?13Dが接続された切替手段としてのクーラントコントロールバルブ(CCV)15が設けられている。CCV15の詳細な構成は後述する。CCV15とシリンダヘッド106との間にはこれらの間を流れる冷却水の冷却水温に応じた信号を出力する第1水温センサ16Aが設けられている。」

イ 「【0024】
図3に示すように、CCV15はアウター25に対してインナー26が矢印線で示すように回転移動することによって、5つのモード1?モード5が選択的に成立し得る。本形態ではモード間を移行するために必要な回転移動量θ[deg]は図示のθ1?θ4に設定されている。」

ウ 「【0025】
モード1は、アウター25の上部に設けられた3つのポート31a、31e、32aがインナー26の遮蔽面34にてそれぞれ閉鎖された状態である。したがって、CCV15がモード1の場合は、導入ポート30から流入した冷却水の流通がCCV15にて遮断される。
【0026】
モード2は、アウター25の上部のポート31a、31eが遮蔽面34にて閉鎖される一方で、ポート32aが開放される。そして、アウター25のポート32b、31cの両者と第1インナー溝35Aとが重なることにより、これらのポート32b、31cが第1インナー溝35Aを介して接続され、かつアウター25のポート31b、31dの両者と第2インナー溝35Bとが重なることにより、これらのポート31b、31dが第2インナー溝35Bを介して接続される。これにより、導入ポート30から流入した冷却水はポート32a及びポート32bを経由してポート31cから第3経路13Cに導かれる。そして、LPL-EGRクーラ132→ヒータコア51→ポート31d→ポート31b→第2経路13Bの順序で冷却水が流通する。モード2の場合は導入ポート30から流入した冷却水がLPL-EGRクーラ132を経てからヒータコア51に流れるので、CCV15がモード2に操作された状態は上述した第1状態に相当する。モード1からモード2へ移行する過渡は、図3の二点鎖線で示すように、アウター25のポート32aがインナー26の遮蔽面34によって一部が遮蔽され、残りが開放された中間開度状態となる。このため、第3経路13Cに沿ってLPL-EGRクーラ132に向かう冷却水の流れはモード2の上限値よりも低い流量に制限された状態となる。過渡時におけるその流量はインナー26の回転移動量θを徐々に変化させることにより連続的に変化する。
【0027】
モード3は、アウター25の上部のポート31eが開放されることを除いてモード2と同じ状態である。そのため、導入ポート30から流入した冷却水の一部がポート31eを経由して第4経路13Dに導かれて、HPL-EGRバルブ122及びオイルクーラ140の順序で冷却水が流通する。冷却水の残りは、モード2の場合と同じ状態で流通する。すなわち、その残りの冷却水はポート32a及びポート32bを経由してポート31cから第3経路13Cに導かれる。そして、LPL-EGRクーラ132→ヒータコア51→ポート31d→ポート31b→第2経路13Bの順序で冷却水が流通する。モード3の場合もモード2の場合と同様に導入ポート30から流入した冷却水がLPL-EGRクーラ132を経てからヒータコア51に流れるので、CCV15がモード3に操作された状態は上述した第1状態に相当する。モード2からモード3へ移行する過渡は、図3の二点鎖線で示すように、アウター25のポート31eがインナー26の遮蔽面34によって一部が遮蔽され、残りが開放された中間開度状態となる。このため、第4経路13Dに沿ってHPL-EGRバルブ122及びオイルクーラ140に向かう冷却水の流れはモード3の上限値よりも低い流量に制限された状態となる。過渡時におけるその流量はインナー26の回転移動量θを徐々に変化させることにより連続的に変化する。」

エ 「【0033】
図5に示すように、冷却装置1、EGRシステム103及び車載空調ユニット50のそれぞれは電子制御装置(ECU)60にて制御される。ECU60は各種のセンサから運転パラメータを取得して内燃機関100の運転制御を行うことができるコンピュータとして構成されている。以下、ECU60が行う制御のうち、本発明に関連する制御を主に説明する。
【0034】
ECU60は内燃機関100の暖機完了前にCCV15を操作して以下の暖機制御を行う。図6は第1水温センサ16Aの検出値(第1冷却水温)と、CCV15の作動状態(インナー26の回転移動量)とが対応付けられている。ECU60は図6に示した対応関係に基づいて、第1冷却水温の変化に合わせてCCV15を制御する。
【0035】
まず、第1冷却水温が40°C未満の場合、ECU60はCCV15を上述のモード1に操作して冷却水の流通を制限する。第1冷却水温が40°C以上50°C未満の場合、ECU60は第1冷却水温の温度上昇に従ってモード1の状態から徐々にCCV15の回転移動量を増加させ、LPL-EGRクーラ132へ向かう冷却水の流量を増加させる。50°CはLPL-EGRクーラ132に導かれる排気の露点に相当する。したがって、第1冷却水温が露点に達するまでLPL-EGRクーラ132へ供給される冷却水の流量が制限された状態に維持される。このため、LPL-EGRクーラ132での凝縮水の発生を防止しつつ内燃機関100の暖機を促進できる。第1冷却水温が50°Cに達した場合、ECU60はCCV15をモード1から完全にモード2に切り替える。つまり、第1冷却水温が露点以上となったことを条件としてLPL-EGRクーラ132へ向かう冷却水の流れが制限された制限状態が解除され、冷却水がLPL-EGRクーラ132へ上限値の流量で供給される。
【0036】
図1に示した第4経路13Dには、暖機完了前において冷却要求度が比較的低い要素であるHPL-EGRバルブ122及びオイルクーラ140が設けられている。そのため、ECU60は第1冷却水温が70°Cに達する前においてCCV15をモード2に維持して第4経路13Dへの冷却水の流通を遮断する。そして、ECU60は第1冷却水温が70°Cに達してから、CCV15の回転移動量をモード2の状態から第1冷却水温の温度上昇に従って徐々に増加させて、第1冷却水温が80°Cに達した場合にモード2からモード3へ完全に移行させ、第4経路13Dへの冷却水の流通を完全に解放する。
【0037】
第1冷却水温が80°Cに達してモード3への移行が完了したら直ちにCCV15をモード3からモード4に移行させる。CCV15がモード3からモード4へ移行すると、上述したように第3経路13Cの流れが反対向きとなり、第3経路13Cを流れる冷却水はヒータコア51からLPL-EGRクーラ132に向かう。
【0038】
第1冷却水温が80°C以上82°C未満の場合、ECU60はCCV15の回転移動量をモード4の状態から第1冷却水温の温度上昇に従って徐々に増加させて第1経路13Aに向かう冷却水の流量を増加させる。82°Cはサーモスタット19の開弁温度に相当し、第1冷却水温が当該温度に達した場合に暖機が完了したと見なされる。第1冷却水温が82°Cに達した場合、つまり内燃機関100の暖機が完了した場合は、CCV15をモード5へ完全に移行し、第1経路13Aに向かう冷却水の流通制限を解除し、上限値の流量の冷却水が第1経路13Aに流れるようにしてラジエータ18と熱交換させる。」

これらの記載事項及び図面の図示内容を総合し、本件補正発明の記載ぶりに則り整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「冷却水を供給するための複数の経路13A?13Dを流れる冷却水の流通状態を切り替えるクーラントコントロールバルブ15を操作して内燃機関100の暖機制御を行う冷却装置1の電子制御装置60であって、
冷却水の流通を制限するモード1からLPL-EGRクーラ132に冷却水を供給するモード2に切り替えるとき、LPL-EGRクーラ132に向かう冷却水を徐々に増加させ上限値の流量で供給される、又はLPL-EGRクーラ132に冷却水を供給するモード2から第4経路13Dへ冷却水を流通するモード3に移行するとき、第4経路13Dへの冷却水の流通を徐々に増加させて完全に解放する、
冷却装置1の電子制御装置60。」

原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用された、本願の出願前の平成24年9月10日に頒布された、特開2012-172608号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「水冷式エンジンの制御装置」に関して、図面(特に、【図1】を参照。)とともに次の事項が記載されている。

オ 「【0006】
ここで、吐出量を変更可能なウォータポンプが設けられた機関冷却系において同ウォータポンプの吐出量が変更されると、その変更に伴って機関冷却系によるエンジン冷却の度合いが変化するため、エンジン内部の温度と冷却水温度との関係も変化してしまう。
【0007】
そのため、単に温度センサの検出信号に基づいて冷却水温度を推定したとしても、その冷却水温度をもとにエンジン内部の温度を精度よく把握することは難しいと云え、上述した冷却水温度に基づく各種制御を適正に実行することも難しい。
【0008】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウォータポンプの吐出量の変化に合わせて冷却水温度に基づく各種制御を適正に実行することのできる水冷式エンジンの制御装置を提供することにある。」

カ 「【0010】
しかも、ウォータポンプの作動状態が第1作動状態から第2作動状態に切り替わるときには、直後の所定期間にわたり、切り替えの直前において第1推定態様で推定された冷却水温度を初期値として時間経過とともに徐々に低下する徐変温度が算出されるとともに同徐変温度に基づいて各種制御が実行される。
【0011】
ウォータポンプが第1作動状態であるときには、冷却水による冷却の度合いが小さくエンジン内部の温度が比較的高くなるため、第1推定態様で推定される冷却水温度は比較的高くなる。これに対して、ウォータポンプが第2作動状態であるときには冷却水による冷却の度合いが大きくエンジン内部の温度が比較的低くなるため、第2推定態様で推定される冷却水温度は比較的低くなる。そのため、仮にウォータポンプの作動状態が第1作動状態から第2作動状態に切り替わる際に冷却水温度の推定態様が第1推定態様から第2推定態様に切り替えられると、推定される冷却水温度が急低下することになる。これは冷却水温度に基づく各種制御の不安定化を招く一因となるため好ましくない。なお実際のエンジン内部の温度は、当然のことながらウォータポンプの作動状態が第1作動状態から第2作動状態に切り替わったときに瞬時に変化することはなく、その切り替え後において徐々に低下するようになる。
【0012】
この点、請求項1に記載の発明によれば、ウォータポンプの作動状態の切り替わりに際して冷却水温度の推定態様が第1推定態様から第2推定態様に切り替わるときに、推定される冷却水温度が徐々に変化する移行期間を設定することができる。そのため、各種制御の実行に用いられる冷却水温度の急激な低下を抑えることができ、その急低下に起因する各種制御の不安定化を抑えることができる。」

キ 「【0027】
上記ポンプ作動制御は次のように実行される。本実施の形態では、電子制御ユニット20における演算処理を通じて、そのときどきの前記温度センサ23の出力信号のみに基づいて冷却水の温度(冷却水温度RT)が推定されている。そして、この冷却水温度RTに基づいてポンプ作動制御は以下のように実行される。
【0028】
図2に示すように、エンジン10の始動開始後において冷却水温度RTが所定温度J1(例えば70°C)未満であるときには(ステップS101:YES)、ウォータポンプ17の運転モードが運転停止モードに設定される(ステップS102)。この運転停止モードでは、ウォータポンプ17の作動が停止されて、同ウォータポンプ17による冷却水の圧送が行われない。本実施の形態では、運転停止モードが設定された状態がウォータポンプ17の吐出量の少ない第1作動状態として機能する。
【0029】
このときには機関冷却系16内において冷却水が強制循環されないために、エンジン10の内部温度が早期に上昇するようになって同エンジン10の早期暖機が図られる。なお、このとき高温になるエンジン10のシリンダブロック10Aやシリンダヘッド10Bによって冷却水が暖められるために、ウォータジャケット11内の冷却水の実際の温度も徐々に上昇するようになる。
【0030】
そして、その後におけるエンジン10の運転継続によって冷却水温度RTが所定温度J1以上になると(ステップS101:NO)、同冷却水温度RTが所定温度J2に達するまでの間(ステップS103:YES)、ウォータポンプ17の運転モードが抑制運転モードに設定される(ステップS104)。この抑制運転モードでは、ウォータポンプ17の吐出量が少量に抑えられた作動状態で同ウォータポンプ17が作動する。
【0031】
ここで、ウォータポンプ17の作動開始に際して同ウォータポンプ17によって多量の冷却水を圧送すると、ウォータジャケット11外部の比較的低温の冷却水が同ウォータジャケット11内部に多量に流入するようになるために、エンジン10の内部温度の不要な低下を招くおそれがある。本実施の形態のように、ウォータポンプ17の作動開始に際して先ず抑制運転モードで同ウォータポンプ17を作動させることにより、その作動開始に伴うエンジン10の内部温度の不要な低下を抑えつつ、機関冷却系16内における冷却水の強制循環を開始して同エンジン10の冷却を開始することができる。
【0032】
なお本実施の形態では、各種の実験やシミュレーションの結果をもとにエンジン10の内部温度の不要な低下を抑えつつウォータポンプ17の作動を開始させることの可能な同ウォータポンプ17の運転パターンが予め求められて電子制御ユニット20に記憶されている。本処理において抑制運転モードが設定されると、その予め定められた運転パターンでウォータポンプ17の作動が制御される。
【0033】
さらに、その後において冷却水温度RTが所定温度J2以上になると(ステップS103:NO)、ウォータポンプ17の運転モードがフル運転モードに設定される(ステップS105)。このフル運転モードでは、冷却水を多量に吐出する作動状態でウォータポンプ17が駆動される。本実施の形態では、フル運転モードが設定された状態がウォータポンプ17の吐出量の多い第2作動状態として機能する。」

これらの記載事項及び図面の図示内容を総合し、本件補正発明の記載ぶりに則り整理すると、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2の記載事項」という。)が記載されている。

「ウォータポンプ17の作動状態を切り替えるとき、冷却水温度が徐々に変化する移行期間を設定し、冷却水温度の急激な低下に起因する水冷式エンジン10の各種制御の不安定化を抑えるため、冷却水温度RTが所定温度J1未満になると、前記ウォータポンプ17の運転モードが運転停止モードに設定されて吐出量の少ない第1作動状態として機能し、冷却水温度RTが前記所定温度J1より高い所定温度J2以上になると、ウォータポンプ17の運転モードがフル運転モードに設定されて吐出量の多い第2作動状態として機能すること。」

原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用された、本願の出願前の平成18年8月17日に頒布された、特開2006-214279号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「エンジンの冷却装置」に関して、図面(特に【図1】及び【図2】を参照。)とともに次の事項が記載されている。

ク 「【0006】
そうして電動ポンプの作動によって冷却水の流通が始まると、ラジエータ内の低温の冷却水が流入することによって、折角、暖まっているウオータジャケットの冷却水温度が急速に低下してしまい、その分、エンジンの暖機が遅れることになる。また、そのように冷却水温度が急速に低下すると、一時的に燃焼悪化を招く虞れもある。
【0007】
尚、エンジンの運転状態に関係なく制御できるという電動ポンプの特長を生かし、前記のようにラジエータ側から低温の冷却水が流入するときには、電動ポンプをできるだけ低速で運転して冷却水の流通量を絞ることも考えられるが、一般にウオータポンプには、エンジンの高負荷運転時における多量の発熱に対応した最大流量を確保することが求められるので、これを如何に低速で運転しても、前記した冷却水温度の急低下を抑えるほどには流量を絞れない。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジン冷機時において特にラジエータとの間で冷却水の流通が始まるときの、その冷却水の流れ制御に工夫を凝らして、ラジエータ側からの低温の冷却水が流入することによるエンジン水温の急激な落ち込みを抑制し、これによる燃焼悪化を防止するとともに、エンジンの暖機を促進して、冷機時の燃費及びエミッションを改善することにある。」

ケ 「【0058】
前記のような冷間始動後の電動ポンプ9の作動状態とエンジン水温の上昇との関係を、従来一般的な機械式ウオータポンプを備えたエンジンと対比して、図9のタイムチャートに示すと、まず、冷間始動後に第1設定時間T1が経過するまでの間(0?t1=T1)は、電動ポンプ9の制御デューティ比が0%とされて、ポンプが停止状態に維持され(ステップS3でリターン)、これによりエンジンからの放熱が極小化される。このときに、図に実線で示すようにエンジン水温の上昇が見かけ上、遅れているのは、電動ポンプ9が停止していてウオータジャケット4,5の冷却水が流れないことから、シリンダs1?s4の周りの暖められた冷却水が水温センサ18まで到達しないことによる。
【0059】
そして、前記のように暖められた冷却水が対流により水温センサ18まで到達するようになると、図示の如くセンサの検出値は急速に上昇して、比較例のもの(破線で示す)を追い越すが、始動から第1設定時間T1が経過すると(時刻t1)、パルス制御が開始されて(ステップS4→S6)、電動ポンプ9は前記の如く間欠的に作動するようになる。この電動ポンプ9の間欠作動によって、ウオータジャケット4,5の冷却水が間欠的に流通し、それが僅かに攪拌されることになるため、各シリンダs1?s4周辺などでの局所的な温度上昇が抑制される。
【0060】
そのように電動ポンプ9が間欠的に作動しているときにサーモスタット13が開くと、ラジエータ6側から低温(略外気温)の冷却水が流通するようになるが(時刻t2)、このときに前記の如く電動ポンプ9が間欠作動しているため、低温の冷却水がウオータジャケット4に一気に流入することはなく、それは電動ポンプ9の瞬間的な作動時にのみ、少しずつ流入するようになる。そのため、図示の如く水温検出値は一時的に低下するものの、その低下の度合いはあまり大きくはない。
【0061】
しかも、その水温の低下に対応して、この実施形態では電動ポンプ9の間欠作動の周期が長くなるように変更され(ステップS6)、例えば電動ポンプ9の間欠的な作動時間の停止時間に対する比率が1/10よりも小さくなることで、ラジエータ6側からの低温の冷却水の流入は非常に少なくなり、水温の落ち込みは十分に抑制される。
【0062】
すなわち、前記の如く電動ポンプ9を間欠的に運転しているのでなければ、サーモスタット13の開弁時にはラジエータ6側から低温の冷却水が一気に流入して、ウオータジャケット4,5の冷却水温は図に仮想線で示すように急激に落ち込むと考えられれ、その分、エンジンの暖機が遅れるだけでなく、一時的に燃焼悪化を招く虞れがあるが、この実施形態では、前記のように電動ポンプ9を間欠作動させることにより、低温の冷却水のウオータジャケット4,5への流入をごく僅かなものとして、当該ウオータジャケット4,5における冷却水温の変動を十分に抑制することができる。
【0063】
つまり、この実施形態のエンジン冷却装置Aによれば、エンジンの冷間始動後に電動ウオータポンプ9を所定時間停止させ、その後は間欠運転することによって、局所的な過度の温度上昇などの不具合を抑制しながら、エンジンの暖機を可及的に促進することができるとともに、サーモスタット13の開弁による冷却水温の落ち込みも抑制して、冷機時の燃費及びエミッションを従来より一層、改善することができる。」

コ 「【0065】
-暖機後の制御手順-
前記のようにエンジンの暖機が可及的に促進されて、冷間始動からちょうど第2設定時間T2が経過する頃にはウオータジャケット4,5の冷却水全体が約90°Cになり、エンジンの暖機が完了するが、この実施形態では暖機後も電動ポンプ9のパルス制御モードを継続する。そして、さらにエンジン水温が上昇して、水温センサ18による検出値がパルス制御モードの終了条件である所定値(この例では95°C)以上になると(時刻t3)、前記図5に示すフローのステップS5においてパルス制御モードの実行条件が不成立(NO)と判定し、ステップS8?12に進んで電動ポンプ9を通常制御モードで作動させる。」

これらの記載事項及び図面の図示内容を総合し、本件補正発明の記載ぶりに則り整理すると、引用文献3には、以下の事項(以下、「引用文献3の記載事項」という。)が記載されている。

「エンジン冷機時に冷却水の流通が始まるときに、ラジエータ側からの低温の冷却水が流入することによるエンジン水温の急激な落ち込みを抑制し、これによる燃焼悪化を抑制するため、冷間始動後に電動ウォータポンプ9をパルス制御モードで間欠運転し、水温センサ18による検出値が所定値以上になると通常制御モードで作動させること。」

(3) 引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「冷却装置1」はその機能、構成又は技術的意義からみて前者の「冷却システム」に相当し、同様に、「電子制御装置60」は「制御装置」に相当する。
後者の「冷却水を供給するための複数の経路13A?13D」はその機能、構成又は技術的意義からみて前者の「複数の冷却水通路」に相当する。また、後者の「冷却水を供給するための複数の経路13A?13Dを流れる冷却水の流通状態を切り替える」ことは、前者の「複数の冷却水通路の中から冷却水を分配する少なくとも1つの冷却水通路を順次切り替える」ことに相当する。そして、このような「切り替え」を行う後者の「クーラントコントロールバルブ15」は、前者の「流路切替弁」に相当する。
同様に、後者の「内燃機関100」はその機能、構成又は技術的意義からみて前者の「内燃機関」に相当する。また、後者の「暖機制御を行う」ことは前者の「暖機状態に応じて制御する」ことに相当する。してみると、後者の「クーラントコントロールバルブ15を操作して内燃機関100の暖機制御を行う」ことは、前者の「流路切替弁を、内燃機関の暖機状態に応じて制御する」に相当する。
また、後者の「冷却水の流通を制限するモード1からLPL-EGRクーラ132に冷却水を供給するモード2に切り替える」及び「LPL-EGRクーラ132に冷却水を供給するモード2から第4経路13Dへ冷却水を流通するモード3に移行する」は、その機能、構成又は技術的意義からみていずれも「冷却水通路を切り替える」に相当し、同様に、「LPL-EGRクーラ132に向かう冷却水」及び「第4経路13Dへの冷却水の流通量」はいずれも「新たに冷却水が分配される冷却水通路への冷却水の分配量」に、「上限値の流量」及び「完全に開放する」ことはいずれも「目標値」にそれぞれ相当する。してみると、後者の「冷却水の流通を制限するモード1からLPL-EGRクーラ132に冷却水を供給するモード2に切り替えるとき、LPL-EGRクーラ132に向かう冷却水を徐々に増加させ上限値の流量で供給される」こと、及び「LPL-EGRクーラ132に冷却水を供給するモード2から第4経路13Dへ冷却水を流通するモード3に移行するとき、第4経路13Dへの冷却水の流通を徐々に増加させて完全に解放する」ことは、いずれも前者の「冷却水通路を切り替えるとき、新たに冷却水が分配される冷却水通路への冷却水の分配量を目標値まで徐々に増加させる」ことに相当するといえる。

したがって、両者は、
「複数の冷却水通路の中から冷却水を分配する少なくとも1つの冷却水通路を順次切り替える流路切替弁を、内燃機関の暖機状態に応じて制御する冷却システムの制御装置であって、
前記冷却水通路を切り替えるとき、新たに冷却水が分配される冷却水通路への冷却水の分配量を目標値まで徐々に増加させる、
冷却システムの制御装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
冷却水通路を切り替えるとき、新たに冷却水が分配される冷却水通路への冷却水の分配量を目標値まで徐々に増加させる過程において、前者は「当該冷却水通路の冷却水の温度が第1の所定温度未満になると、前記冷却水の分配量の増加を抑制し、当該抑制の結果、前記冷却水通路の冷却水の温度が前記第1の所定温度より高い第2の所定温度以上になると、前記冷却水の分配量の増加抑制を解除する」ものであるのに対し、後者は、そのような構成を有さない点。

(4) 判断
相違点について検討する。
引用文献2の記載事項は次のとおりである。
「ウォータポンプ17の作動状態を切り替えるとき、冷却水温度が徐々に変化する移行期間を設定し、冷却水温度の急激な低下に起因する水冷式エンジン10の各種制御の不安定化を抑えるため、冷却水温度RTが所定温度J1未満になると、前記ウォータポンプ17の運転モードが運転停止モードに設定されて吐出量の少ない第1作動状態として機能し、冷却水温度RTが前記所定温度J1より高い所定温度J2以上になると、ウォータポンプ17の運転モードがフル運転モードに設定されて吐出量の多い第2作動状態として機能すること。」
ここで、引用文献2の記載事項の「冷却水温度が徐々に変化する移行期間」は、その機能、構成又は技術的意義からみて本件補正発明の「冷却水の量を徐々に増加させる過程」に相当し、同様に、「冷却水温度RT」は「冷却水通路の冷却水の温度」に、「所定温度J1」は「第1の所定温度」に、「所定温度J2」は「第2の所定温度」にそれぞれ相当する。そして、引用文献2の記載事項2の「前記ウォータポンプ17の運転モードが運転停止モードに設定されて吐出量の少ない第1作動状態として機能する」ことと本件補正発明の「冷却水の分配量の増加を抑制する」こととは、「冷却水の量の増加を抑制する」ことという限りで一致し、同様に、「ウォータポンプ17の運転モードがフル運転モードに設定されて吐出量の多い第2作動状態として機能する」ことと「冷却水の分配量の増加抑制を解除する」こととは、「冷却水の量の増加抑制を解除する」という限りで一致する。
してみると、引用文献2の記載事項は、「冷却水の量を徐々に増加させる過程において、冷却水通路の冷却水の温度が第1の所定温度未満になると、前記冷却水の量の増加を抑制し、当該抑制の結果、前記冷却水通路の冷却水の温度が前記第1の所定温度より高い第2の所定温度以上になると、前記冷却水の量の増加抑制を解除すること」といえる。

また、引用文献3の記載事項は以下のとおりである。
「エンジン冷機時に冷却水の流通が始まるときに、ラジエータ側からの低温の冷却水が流入することによるエンジン水温の急激な落ち込みを抑制し、これによる燃焼悪化を抑制するため、冷間始動後に電動ウォータポンプ9をパルス制御モードで間欠運転し、水温センサ18による検出値が所定値以上になると通常制御モードで作動させること。」
ここで、引用文献3の技術事項における、「冷間始動後に電動ウォータポンプ9をパルス制御モードで間欠運転し、水温センサ18による検出値が所定値以上になると通常制御モードで作動させる」は、その機能又は技術的意義からみて、「エンジン水温の急激な落ち込みを抑制」し、徐々に変化させるものであるといえる。

そして、引用文献2の記載事項及び引用文献3の記載事項からみて、「エンジンの冷却において、冷却水の温度が急激に低下することを抑制するため、冷却水の量の増加を抑制し、冷却水の温度を徐々に変化させること」は、周知技術といえる。

引用発明と引用文献2の記載事項とは、内燃機関の冷却システムである点で共通する。そして、引用発明における「冷却水の流通を制限するモード1からLPL-EGRクーラ132に冷却水を供給するモード2に切り替えるとき、LPL-EGRクーラ132に向かう冷却水を徐々に増加させ上限値の流量で供給される」こと、及び「LPL-EGRクーラ132に冷却水を供給するモード2から第4経路13Dへ冷却水を流通するモード3に移行するとき、第4経路13Dへの冷却水の流通を徐々に増加させて完全に解放する」は、その機能又は技術的意義からみて暖機運転中の冷却水の温度制御技術に属し、上記周知技術を内在しているといえるから、引用文献2の記載事項と同様の課題を解決するものであることでも共通する。
さらに、引用発明の「クーラントコントロールバルブ15」の制御は冷却水の量を制御するものである。そして、引用文献2の技術事項とは冷却水の量の制御を行う技術である点でも共通する。してみると、引用発明のクーラントコントロールバルブ15の制御において、「冷却水の流通を制限するモード1からLPL-EGRクーラ132に冷却水を供給するモード2に切り替えるとき、LPL-EGRクーラ132に向かう冷却水を徐々に増加させ上限値の流量で供給される」こと、及び「LPL-EGRクーラー132に冷却水を供給するモード2から第4経路13Dへ冷却水を流通するモード3に移行するとき、第4経路13Dへの冷却水の流通を徐々に増加させて完全に解放する」ようにクーラントコントロールバルブ15を制御する過程で、引用文献2の記載事項を踏まえ、当業者の通常の創作能力の範囲で相違点に係る本件補正発明に係る発明特定事項とすることに格別な阻害要因があるともいえない。
そうすると、このような引用発明及び周知技術並びに引用文献2の記載事項に基づいて、当業者の通常の創作活動により上記相違点にかかる本件補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

また、本件補正発明は、全体としてみても、引用発明及び周知技術並びに引用文献2の記載事項から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。

したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術並びに引用文献2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成30年10月4日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成30年3月26日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.(1)に記載のとおりのものである。

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前に発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2014-1646号公報
引用文献3:特開2012-172608号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2006-214279号公報(周知技術を示す文献)

3.引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2[理由]2.イに記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は前記第2[理由]2.で検討した本件補正発明から、「冷却水の分配量の増加を一時的に抑制する」についての「冷却水通路の冷却水の温度が第1の所定温度未満になると、前記冷却水の分配量の増加を抑制し、当該抑制の結果、前記冷却水通路の冷却水の温度が前記第1の所定温度より高い第2の所定温度以上になると、前記冷却水の分配量の増加抑制を解除する」との限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2.(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術並びに引用文献2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-07-11 
結審通知日 2019-07-16 
審決日 2019-07-29 
出願番号 特願2014-190143(P2014-190143)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F01P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西中村 健一  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 水野 治彦
齊藤 公志郎
発明の名称 冷却システムの制御装置及び冷却システムの制御方法  
代理人 関谷 充司  
代理人 西山 春之  
代理人 小川 護晃  

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