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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
管理番号 1355944
異議申立番号 異議2018-700363  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-11-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-05-01 
確定日 2019-08-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6224366号発明「支持部材及び基板処理装置」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第6224366号の明細書,特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書,特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第6224366号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6224366号の請求項1ないし11に係る特許についての出願は,平成25年7月12日に出願され,平成29年10月13日にその特許権の設定登録がされ,平成29年11月1日に特許掲載公報が発行された。その後,本件特許に対して特許異議の申立てがあり,次のとおりに手続が行われた。
平成30年 5月 1日 :特許異議申立人川部典子による請求項1な
いし11に係る特許に対する特許異議の申
立て
平成30年 7月20日付け:取消理由通知書
平成30年 9月25日 :特許権者による意見書の提出
平成30年12月14日付け:取消理由通知書(決定の予告)
平成31年 2月13日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求
(以下「本件訂正請求」という。)
平成31年 3月22日付け:手続補正指令書(方式)
平成31年 4月 5日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出

第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は,以下のとおりである。
・請求項1ないし11に記載した「支持部材」を,「支持フレーム」に訂正する。(以下「訂正事項1」という。)
・発明の詳細な説明の段落【0007】に記載した「支持部材」を,「支持フレーム」に訂正する。(以下「訂正事項2」という。)
本件訂正請求は,一群の請求項〔1-11〕に対して請求されたものである。また,明細書に係る訂正は,一群の請求項〔1-11〕について請求されたものである。

2 訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
請求項1ないし11に記載された「支持部材」は,明細書の記載を参酌したとしても,発明の詳細な説明の段落【0027】に記載された「支持フレーム」以外にいかなるものまでを含む用語なのか判然としなかったところ,本件訂正請求により「支持部材」が「支持フレーム」に訂正されたことで,用語の意味する構成が明瞭になったものである。よって,訂正事項1は,明瞭でない記載の釈明を目的としたものである。
また,訂正事項1は,発明の詳細な説明の段落【0027】に記載されており,明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は,上記(1)の特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正であるから,明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

3 小括
以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合する。
したがって,明細書,特許請求の範囲を,訂正請求書に添付された訂正明細書,特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし11に係る発明(以下「本件特許発明1」ないし「本件特許発明11」という。)は,訂正特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
基板処理装置を支持する支持フレームであって,
内部に中空部を有するフレームと,
前記中空部に配設され,冷媒体又は熱媒体が循環供給される少なくとも1つの配管とを有する,支持フレーム。
【請求項2】
前記配管は,前記基板処理装置の高さ方向上方に伸長して配設されている,
請求項1に記載の支持フレーム。
【請求項3】
前記配管は,外表面が断熱材で覆われ,
前記断熱材の外表面の少なくとも一部は,配管クランプによって支持され,
前記配管クランプは,固定部によって前記フレームに固定されている,
請求項1または2に記載の支持フレーム。
【請求項4】
前記断熱材の厚さは,1mm以上4mm以下である,
請求項3に記載の支持フレーム。
【請求項5】
前記断熱材及び前記配管は,前記フレームに接触しないように配設されている,
請求項3または4に記載の支持フレーム。
【請求項6】
前記配管は,外表面が断熱材で覆われ,
前記断熱材の外表面は,前記フレームに接触している,
請求項1または2に記載の支持フレーム。
【請求項7】
前記断熱材は,ポリイミド樹脂,ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂,フッ素樹脂,アラミド繊維,シリコンスポンジ及びエアロフレックスの群から選択される1つ以上の材料を含む,
請求項3?6のいずれか一項に記載の支持フレーム。
【請求項8】
前記配管の外表面は,前記フレームの一部である固定部によって固定されており,
前記フレームは,ヒートシンク部を有する,
請求項1または2に記載の支持フレーム。
【請求項9】
前記フレームは,前記配管との接触部に,接触面積を低減するための突起部が設けられている,
請求項8に記載の支持フレーム。
【請求項10】
前記配管の内部に150℃の熱媒体が導入された場合に,前記フレームの外表面の温度が60℃以下となる,
請求項1?9のいずれか一項に記載の支持フレーム。
【請求項11】
基板処理装置であって,
請求項1?10のいずれか一項に記載の前記支持フレームと,
前記支持フレームの前記配管内に循環供給される冷媒体又は熱媒体を利用して前記基板処理装置の任意の構成要素を温調する温調手段とを有する,
基板処置装置。」

第4 平成30年7月20日付け取消理由通知書に記載した取消理由の概要
1 特許法第36条第6項第1号について
本件特許の請求項1に記載された発明の課題は,チラーホースの断熱性及び省スペース性の両方であり,基板処理装置の各構成要素を支持する支持フレームである支持部材の内部にチラーホースを配置することにより上記課題を解決できると認識されるが,
・基板処理装置自体は省スペースの問題は生じないこと
・基板処理装置は,チラーホース等も包含する各構成要素の結合体であることが明示されていないこと
・本件明細書の発明の詳細な説明には,基板処理装置自体を支持する支持部材や,これと一体となって支持する支持部材は記載されていないこと
から,本件特許の請求項1に記載された発明は,課題を解決できると認識できる範囲を超えるものである。
よって,本件特許の請求項1ないし11の記載は,発明の詳細な説明の記載により,当業者が課題を解決できると認識できる範囲を超えており,サポート要件に適合しない。

2 特許法第29条第1項第3号について
本件特許の請求項1,2,11に係る発明は,甲第1号証に記載された発明であるから,請求項1,2,11に係る本件特許は,特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。

3 特許法第29条第2項について
本件特許の請求項1,2,11に係る発明は,特許異議申立書に記載された刊行物である甲第1号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,請求項1,2,11に係る本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

甲第1号証:特開2013-514669号公報

第5 平成30年12月14日付け取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の概要
特許法第36条第6項第2号について
本件特許の請求項1に記載された「支持部材」は,明細書の記載を参酌すると,発明の詳細な説明には,「基板処理装置の構成要素を支持する支持フレームである後述する支持部材」(【0027】)が記載されており,支持フレームは,基板処理装置の各構成要素を支持する能力を持つ構成であるとは認められるとはいえ,「支持部材」が,「支持フレーム」以外にいかなるものまで含む用語なのか判然としないことから,本件特許の請求項1ないし11に記載された発明は,特許法第36条第6項第2号に規定の要件を満たしていない。

第6 当審の判断
1 特許法第36条第6項第1号について
本件訂正請求により,本件特許の請求項1ないし11に記載された「支持部材」は「支持フレーム」に訂正された。
そこで,最初に,本件特許において,基板処理装置,支持フレーム,配管の関係について検討し,次に,支持フレームの内部に配管を配置することで
チラーホースの断熱性及び省スペース性の課題を解決できると認識されるかについて検討する。
(1)本件特許明細書及び図面の記載事項
ア 「【0002】
基板処理装置として、プラズマを使用して半導体デバイス用のウェハ等の基板に対してエッチング等の所定の処理を施すプラズマ処理装置が広く知られている。
【0003】
プラズマ処理装置は、例えば、内部にプラズマが発生する処理容器、対向して設けられた上部電極及び下部電極、及び、この上部電極及び下部電極に挟まれた空間にガス供給孔を介して処理ガスを供給するガス供給部等を有して構成される。そして、対向して設けられた上部電極及び下部電極の少なくともいずれか一方に高周波電力を印加して、その電界エネルギーにより処理ガスを励起させてプラズマを生成し、生成された放電プラズマによって基板にプラズマ処理を施す。」

イ 「【0004】
上部電極の温度制御は、チラーユニットを使用して、配管を介して所定温度の冷媒体又は熱媒体を循環供給されることで実施される。例えば、上部電極の温度を150℃に温度制御する場合、150℃に温められた熱媒体を循環供給することで実施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管は、供給される熱媒体に依存した温度になるため、人間が触れても安全になるように、配管には断熱材を巻いて断熱化している。しかしながら、これにより、断熱材と配管が大きなスペースを占めてしまい、フットプリントの観点から問題となっている。」

ウ 「【0027】
本発明者らは、通常、基板処理装置1の各構成要素を支持する支持フレームである後述する支持部材を改良し、支持部材の内部にチラーホース8,9を配置することにより、チラーホース8,9の断熱性及び省スペース性の両方に係る課題を解決できることを見出した。」

エ 「【0029】
(第1の実施形態の支持部材)
先ず、従来の支持部材について、説明する。図3に、従来の支持部材の概略断面図を示す。
【0030】
支持部材30に求められる特性として、高強度でありかつ軽量であることが挙げられる。そのため、従来の支持部材30は、例えば、比較的安価で、高い強度を有するアルミニウム又はアルミニウム合金等から形成される。しかしながら、従来の支持部材30は、チラーホースを配置する空間、例えば中空部が設けられていない。即ち、チラーホースが剥き出しの状態で配置されるため、人間が、高温又は低温になったチラーホースに直接触れる可能性があるという問題点があった。」

オ 図1には,本実施形態に係る基板処理装置の一例の概略構成として,基板処理装置が,チャンバC,チラーホース8,チラ-ユニット10,ガス供給源4,制御部11,第1の高周波電源5等を含む構成が記載されている。

(2)基板処理装置,支持フレーム,配管の関係について
上記アでは,基板処理装置としてプラズマ処理装置が広く知られ,プラズマ処理装置は、内部にプラズマが発生する処理容器やガス供給部等を有して構成されることが記載されている。また,本実施形態に係る基板処理装置の一例の概略構成が記載された図1には,基板処理装置が,チャンバCだけでなく,チラーホース8,ガス供給源4,制御部11,第1の高周波電源5等を含む構成が記載されている。
そうすると,基板処理装置は,基板を直接処理するチャンバだけでなく,基板処理に関わるチャンバまわりの構成を含めたものであると解するのが自然であるから,「基板処理装置」とは,基板処理に関わる各構成要素の集合体であり,「支持フレーム」および「配管」も,それぞれ基板処理に関わる構成要素であるから,「基板処理装置」を構成する構成要素の1つであると認められる。
また,上記エから,従来の「支持部材」は,内部にチラ-ホースは配置されていなかったこと,高い強度が求められていたことから,「支持部材」とは,本来,チラ-ホース等の配管を支持するものではなく,チャンバや電源のような重い構成要素を支持するものと認められるところ,本件特許発明1および上記ウから,支持部材である「支持フレーム」は内部にチラ-ホース等の配管を配置することが特定されているので,支持フレームにより支持されるものは,配管から供給される「冷媒体又は熱媒体」を利用するチャンバ等であると認められる。

(3)本件特許発明の課題解決の認識について
上記イには,配管で150℃に温められた熱媒体を循環供給していたため,人間が触れても安全になるように配管には断熱材を巻いていたが,断熱材と配管が大きなスペースを占めていたこと,上記ウには,従来の「支持部材」が内部にチラ-ホースを配置していなかったため,チラーホースが剥き出しの状態で配置され、人間が高温又は低温になったチラーホースに直接触れる可能性があったこと,が記載されている。
これに対して,本件特許発明1は,「内部に中空部を有するフレームと,前記中空部に配設され,冷媒体又は熱媒体が循環供給される少なくとも1つの配管とを有する,支持フレーム。」であることから,配管はフレーム内部の中空部に配設されるので,人間が直接触れることはなくなり,また,支持フレームとは別の領域に配管が配置されることがなくなるので,本件特許発明1の構成により,チラーホース等の配管の断熱性及び省スペース性の課題を解決できると認識できる。

(4)小括
したがって,本件特許の請求項1ないし11の記載は,発明の詳細な説明の記載により,当業者が課題を解決できると認識できるものであり,本件特許の請求項1ないし11の記載は,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。

2 特許法第36条第6項第2号について
本件訂正請求により,本件特許の請求項1ないし請求項11の「支持部材」は「支持フレーム」に訂正されたため,「支持フレーム」以外のものは含まれなくなり,請求項1ないし請求項11の記載は明確となった。
したがって,本件特許の請求項1ないし11の記載は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。

3 特許法第29条第1項第3号および特許法第29条第2項について
(1)甲第1号証に記載された事項と甲第1号発明
ア 甲第1号証の記載事項
「【0001】
本発明の実施形態は,一般に半導体処理チャンバに関し,より詳細には,半導体処理チャンバのための,被加熱支持体ペデスタルに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理は複数の異なる化学プロセスおよび物理プロセスを含み,このことによって微細な集積回路を基板上に作成する。集積回路を構成する材料の層は,化学気相堆積,物理的気相堆積,エピタキシャル成長などを含むプロセスによって作成される。材料の層のいくつかは,フォトレジストマスクおよび湿式エッチング技法または乾式エッチング技法を使用してパターン形成される。集積回路を形成するために使用される基板は,シリコン,ガリウムヒ素,リン化インジウム,ガラス,または他の適切な材料であり得る。
【0003】
集積回路の製造において,プラズマプロセスが,様々な材料の層の堆積またはエッチングにしばしば使用される。プラズマ処理は,熱処理に対して多くの利点がある。例えば,プラズマ化学気相堆積(PECVD)によって,類似の熱プロセスで達成可能であるものよりも,より低温かつより速い堆積速度で,堆積プロセスを実施することが可能になる。したがって,PECVDは,超大規模集積回路または超々大規模集積回路(VLSIまたはULSI)デバイス製造など,厳しいサーマルバジェットをもつ集積回路の製造にとって有利である。
【0004】
これらのプロセスで使用される処理チャンバは,典型的には,処理の期間に基板を支持するため,処理チャンバ内に設置される基板支持体またはペデスタルを含む。いくつかのプロセスにおいて,ペデスタルは,基板の温度を制御し,かつ/またはプロセス中で使用され得る高温を提供するようになされた,埋め込みヒータを含む場合がある。基板処理の期間,基板を適切に温度制御し,均一に加熱することは,特に集積回路のサイズが減少するにつれて,非常に重要である。埋め込みヒータを備える従来型の支持体は,基板上に堆積される膜の品質に影響を及ぼす,多数のホットスポットおよびコールドスポットを有することが多い。
【0005】
基板表面の平面性も,集積回路の製造全体にわたって,極めて重要である。したがって,基板を保持するペデスタルの表面は,できるだけ平面でなければならない。加熱されたとき,従来型の基板支持体ペデスタルは,ペデスタルの中心が温まり,ペデスタルの周辺が熱を失うので,上向きに湾曲する可能性が高い。撓んだ支持体ペデスタルは,支持体ペデスタル上に保持される基板の撓みをもたらす可能性があり,したがってウエハ表面の平面性を著しく損なう。
【0006】
したがって,プロセスサイクル全部にわたる全ての時における能動的な温度制御をもたらすペデスタルが必要である。」

「【0018】
図1は,本明細書に記載の実施形態による,ペデスタル128を有する例示的なプラズマシステム100の,部分断面図である。本明細書に記載のように,ペデスタル128は能動冷却システムを備え,能動冷却システムによって,基板が多数のプロセスおよびチャンバ状態にさらされるとき,広い温度範囲にわたってペデスタル上に配置された基板の温度を能動的に制御することを可能にする。プラズマシステム100は,一般的に,コントローラ110に結合される処理チャンバ本体102を備える。処理チャンバ本体102は,側壁112,底壁116ならびに1対の処理領域120Aおよび120Bを画定する内部側壁101を有する。処理領域120A?Bのそれぞれは,同様に構成されており,簡潔にするために,処理領域120Bの中の構成要素のみを記載することとする。
【0019】
ペデスタル128は,システム100の底壁116の中に形成される通路122を通って,処理領域120Bの中に設置される。ペデスタル128は,その上面で基板(図示せず)を支持するようになされている。ペデスタル128は,例えば抵抗素子といった加熱素子を含み,所望のプロセス温度に基板温度を加熱し,かつ制御することができる。別法として,ペデスタル128を,ランプアセンブリなどの,遠隔加熱素子で加熱することができる。」

「【0026】
図2Aは,プラズマシステム100で使用されるペデスタル128の,1つの実施形態の等角上面図である。ペデスタル128は,シャフト126および円形基板支持体205と対向するベースアセンブリ129を含む。1つの実施形態において,シャフト126は管状の部材または中空シャフトとして構成される。1つの実施形態において,ベースアセンブリ129は,電力出力または電力ボックス103の中または上に設置される電気接続との,着脱可能な整合する インターフェイスとして使用される。基板支持体205は,実質的に平面の,基板受取面または支持面210を含む。支持面210は,200mm基板,300mm基板,または450mm基板を支持するように適合することができる。1つの実施形態において,支持面210は,支持面210の平面の上に延在する隆起または突起であり得る,複数の構造215を含む。複数の構造215のそれぞれの高さは実質的に等しく,支持面210からわずかに高いまたは離間した,実質的に平面の基板受取面または基板受取面を提供する。1つの実施形態において,構造215のそれぞれは,支持面210の材料と異なる材料で形成され,またはコーティングされる。基板支持体205は,基板支持体205を貫通して形成され,リフトピン161を受け取るようになされる複数の開孔220も含む(図1)。」

「【0032】
図3Aは,ペデスタル128の1つの実施形態の底面概略図である。誘電体プラグ230は,冷却剤を冷却チャネルに送達するための冷却チャネル入り口302,冷却剤を冷却チャネルから除去するための冷却チャネル出口304,および導電性プラグ320を有する。
【0033】
図3Bは,能動冷却システムを有するペデスタル128の1つの実施形態の,図3Aの線3B-3Bに沿った断面側面図である。図3Cは,図3Bのペデスタルの1つの実施形態の,拡大断面図である。1つの実施形態において,能動冷却システムは,抵抗ヒータアセンブリ305,冷却チャネルアセンブリ306,および熱制御間隙308を備える。抵抗ヒータ305は,基板支持体205の導電性本体300内に,設置または封入される。1つの実施形態において,導電性本体300は,アルミニウムなどの導電性金属からなる材料で作られる。
【0034】
冷却チャネルアセンブリ306は,伝熱流体または「冷却剤」を冷却チャネルアセンブリに供給するための,冷却チャネル307,冷却チャネル入り口302,冷却チャネル出口304,および流体再循環器309を有する。1つの実施形態において,冷却チャネル307は,シャフト126の本体内に配置され,シャフト126の中空部分を取り囲む,リング状チャネルである。図3Eを参照して,冷却チャネル307は,上壁350,対向する下壁352,内周壁354,外周壁356によって画定される。1つの実施形態において,冷却チャネル307は,シャフト126の中空部分の直径を取り囲む,連続リングである。ある種の実施形態において,冷却チャネル307は,シャフト126の中空部分の一部だけを取り囲む,部分的なリングである。
【0035】
1つの実施形態において,冷却チャネル入り口302は,ペデスタルアセンブリ128のシャフト126を通って延在する,長手方向チャネルである。冷却チャネル入り口302の第1の端部は,流体再循環器309と結合し,冷却チャネル入り口302の第2の端部は,冷却チャネル307と流体結合する。1つの実施形態において,冷却チャネル出口304は,ペデスタルアセンブリ128のシャフト126を通って延在する,長手方向チャネルである。冷却チャネル出口304の第1の端部は,冷却チャネル307と結合し,冷却チャネル出口の第2の端部は,流体再循環器309と結合する。
【0036】
動作において,伝熱流体は,流体再循環器309によって冷却チャネルアセンブリ306を通って再使用され,かつ連続的にポンプ送出することができる。ある種の実施形態において,伝熱流体は,冷却チャネル入り口302に入る前に,流体再循環器309によって,事前選択された温度に加熱または冷却することができる。例えば,流体再循環器309は,伝熱流体を冷却チャネルアセンブリ306を通してポンプ送出させるポンプ(図示せず),伝熱流体を冷却または加熱する冷却器またはヒータ(やはり図示せず),および伝熱流体の温度を監視し,温度を所望のレベルに維持するため冷却器またはヒータを制御するサーモスタット(やはり図示せず)を備えることができる。流体再循環器309は,簡潔にするために記載されていない,流体圧力を監視するための圧力計,ゲージ,流れを制御するためのバルブ,および伝熱流体の流れを制御するための他の構成要素も備えることができる。動作において,伝熱流体は,冷却チャネルアセンブリ306の冷却チャネル入り口302に供給される。伝熱流体は,冷却チャネル入り口302にポンプ注入され,基板支持体205の導電性本体300を(伝熱流体と基板支持体205の相対的な温度に応じて)加熱または冷却するため,冷却チャネル306を通って流れ,冷却チャネル出口304から除去または排出される。
【0037】
ある種の実施形態において,熱電対など第1の温度センサ362を,基板支持体205内の冷却チャネル入り口302に隣接して配置し,伝熱流体が冷却チャネル入り口302に入るとき,伝熱流体の温度を監視することができる。ある種の実施形態において,熱電対など第2の温度センサ364を,基板支持体205内の冷却チャネル出口304に隣接して配置し,伝熱流体が冷却チャネル出口304を出るとき,伝熱流体の温度を監視することができる。第1の温度センサ362および第2の温度センサ364は,冷却チャネル入り口302および冷却チャネル出口304の中に配置されているが,伝熱流体の温度を監視することができる,基板支持体205の中または外側の任意の場所に配置することができる。さらに,2つの温度センサが示されているが,任意の数の温度センサを使用して伝熱流体の温度を監視して良い。測定された温度をコントローラ110が使用して,熱交換器(図示せず)に供給される電力を制御し,伝熱流体および基板支持体205を所望の温度に維持することができる。熱交換器が流体再循環器309の部分であって良く,または熱交換器が別個の構成要素であって良い。伝熱流体の測定温度に応答して,コントローラ110は,流体再循環器309からの伝熱流体の流れを増加または減少させることもできる。
【0038】
1つの実施形態において,伝熱流体は,水,エチレングリコール,ガスなどを含むことができる。1つの実施形態において,伝熱流体は,例えば50%の水と50%のエチレングリコールの混合物といった,水とエチレングリコールの混合物を含む。ある種の実施形態において,別個の貯蔵容器が冷却チャネル出口304と結合し,使用された冷却剤を貯蔵することができる。図3Dに示されるように,冷却チャネル入り口302および冷却チャネル出口304は,シャフト126の本体によって,導線315a,315bから分離される。」

「【0042】
図3Dは,本明細書に記載の能動冷却システムを有するペデスタル128の1つの実施形態の,図3Aの線3D-3Dに沿った断面側面図である。図3Bに示すように,シャフト126は,図1に示すように電力出力または電力ボックス103と結合する。抵抗ヒータ305は,シャフト126内に設置される導線315a,315bによって,電力ボックス103内に設置される電源310と結合する。シャフト126は,熱電対(図示せず)を受け取るようになされる,長手方向チャネルまたは孔350も含む。この実施形態において,誘電体プラグ230は,そこに設置される1つまたは複数の導電性プラグ320を含み,導線315を,電力ボックス103内に設置される1つまたは複数のソケット326a,326bそれぞれと結合する。1つの実施形態において,導電性プラグ320は,多接点プラグである。導線315および導電性プラグ320は,動作の期間,電気的にバイアスされて良いが,誘電体プラグ230の周壁325によって,スロット付き導電性部分225,シャフト126,および基板支持体205から電気的に分離される。」

イ 甲第1号証発明
前記アより,甲第1号証には次の発明(以下「甲第1号証発明」という。)が記載されていると認められる。

「プラズマシステム100の内部側壁101であって,
側壁112,底壁116ならびに1対の処理領域120Aおよび120Bを画定する内部側壁101と,
底壁116の中に形成される通路122を通って,処理領域120Bの中に設置される冷却チャネルアセンブリ306を備えるペデスタル128と, を有するプラズマシステム100の内部側壁101。」

(2)対比及び判断
ア 本件特許発明1について
(ア)本件特許発明1と甲第1号証発明との対比
最初に,本件特許発明1と甲第1号証発明を対比すると,以下のことがいえる。
a 甲第1号証発明の「プラズマシステム100」は,基板を処理するための装置であるから,本件特許発明1の「基板処理装置」に対応する。
b 本件特許発明1の「支持フレーム」は「基板処理装置を支持する」「部材」であるといえ,また,甲第1号証発明の「内部側壁101」も「基板処理装置」の一部を構成する「部材」であるといえるから,本件特許発明1の「支持フレーム」と甲第1号証発明の「内部側壁101」とは,「基板処理装置に関連する部材」である点で共通する。
c 甲第1号証発明の「1対の処理領域120Aおよび120Bを画定する内部側壁101」は,内部に1対の処理領域120Aおよび120Bという中空な空間を有するものといえ,かつ,該処理領域120Bには「ペデスタル128」が設置された構成となっているから,本件特許発明1と甲第1号証発明とは,「内部に中空部を有する構成」を有する点で共通する。
d 甲第1号証発明の「冷却チャネルアセンブリ306を備えるペデスタル128」は,伝熱流体または冷却剤の流路を構成するものであり,本件特許発明1の「配管」に対応する。
よって,本件特許発明1と甲第1号証発明とは,
「基板処理装置に関連する部材であって,
内部に中空部を有する構成と,
前記中空部に配設され,冷媒体又は熱媒体が循環供給される配管とを有する,部材。」
の点で一致するものの,本件特許発明1の「部材」は「基板処理装置を支持する支持フレーム」であるのに対し,甲第1号証発明の「部材」は「内部側壁101」であって,処理領域120Aおよび120Bを画定するものであるが,基板処理装置を支持するものではない点で相違するから,本件特許発明1は,甲第1号証に記載された発明ではない。
また,甲第1号証には,「ペデスタル128」を設置するための空間を「内部側壁101」を用いないで確定する構成は記載されておらず,さらに,甲第1号証発明の「内部側壁101」は,処理領域を画定するために必須の構成であることから,「内部側壁101」を「基板処理装置」の構成要素とはならない部材に置き換えることはできない。
そうすると,本件特許発明1は,甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものではない。

イ 本件特許発明2,11について
本件特許発明2及び11は,それぞれ,本件特許発明1に対して,さらに本件の請求項2及び11に記載された技術的事項を追加したものである。よって,前記アに示した理由と同様の理由により,本件特許発明2及び11は,甲第1号証に記載された発明ではなく,また,甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものでもない。

(3)小括
したがって,本件特許の請求項1,2,11に係る発明は,甲第1号証に記載された発明ではないから,本件特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
また,本件特許の請求項1,2,11に係る発明は,甲第1号証発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから,本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は,特許異議申立書において,訂正前の請求項1ないし11に係る発明は,特許異議申立書に記載された下記の刊行物である甲第2号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第7号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,請求項1ないし11に係る特許発明は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであると主張している。

甲第2号証:特開平10-303168号公報
甲第3号証:特開2013-26387号公報
甲第4号証:特開2004-197876号公報
甲第5号証:登録実用新案第3037425号公報
甲第6号証:特開2006-339555号公報
甲第7号証:実開平5-50274号公報

そこで,訂正後の本件特許発明1が,甲第2号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第7号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるかについて以下に検討する。

1 甲第2号証に記載された事項と甲第2号証発明
ア 甲第2号証の記載事項
「【0020】 ・・・この基板処理装置は,半導体ウエハ,液晶表示装置用ガラス基板およびPDP用ガラス基板などの基板を処理流体を用いて処理するためのもので,装置本体1と,グレーチング2に置かれ,装置本体1を支持するための支持フレーム3と,グレーチング2の下方に配設されたファシリティー側(工場側)のメイン配管4から処理流体を装置本体1に供給するための供給配管5とを備えている。処理流体には,薬液および純水などの処理液,ならびにN_(2)ガスやIPA(イソプロピルアルコール)ガスなどの処理ガスが含まれる。」

「【0022】支持フレーム3は,直方体の各辺に対応する形状の基本フレーム部3aを備えており,この基本フレーム部3aの下端に取り付けられた支持脚3bを介してグレーチング2の上に置かれている。基本フレーム部3aによって囲まれた空間は,供給配管5を収容するための配管空間3cとなっている。」

「【0031】また,装置本体1の下方に形成された配管空間3c内に流通配管および集合配管を収容しているから,配管専用の設置スペースが不要となり,装置の占有面積が小さくて済む。しかも,各集合配管8A,8Bの取合口は平面視において配管空間3cが占める領域に設けられているから,装置の占有面積はさらに小さくなる。したがって,省スペース化を実現できる。」

イ 甲第2号証に記載された発明
前記アより,甲第2号証には次の発明(以下「甲第2号証発明」という。)が記載されていると認められる。

「基板処理装置の装置本体を支持するための支持フレームであって,
支持フレームは,直方体の各辺に対応する形状の基本フレーム部を備え,
基本フレーム部によって囲まれた空間は,処理流体を装置本体に供給する供給配管を収容するための配管空間となっている,支持フレーム。」

2 甲第3号証に記載された事項
「【0042】
温調媒体循環機構は,所定の設定温度に調整した温調媒体を主流路320に供給し循環させるとともに,その温調媒体を分流させて,さらに設定温度より高い温度又は低い温度に調整した上で補助流路330に供給し循環させるように構成される。
【0043】
具体的には温調媒体循環機構は図2に示すように,温調媒体循環器としてのチラーユニット310を備える。チラーユニット310は,例えば温調器やポンプを備え,温調媒体の送出口(OUT)と帰還ロ(IN)を備え,温調媒体を所定の設定温度(サセプタ210全体の設定温度)に調整して送出口(OUT)から送出し,帰還口(IN)に戻ってきた温調媒体を上記設定温度に調整して再び送出口(OUT)から送出するように構成されている。サセプタ210全体の設定温度は,制御部140によって所望の温度に設定できるようになっている。
【0044】
チラーユニット310の送出口(OUT)には,主流路320に温調媒体を供給する主供給配管322が接続されており,チラーユニット310の帰還口(IN)には戻ってきた温調媒体を流入する主帰還配管324が接続されている。主供給配管322の下流側は主流路320の流入口に椄続され,主帰還配管324の上流側は主流路320の流出口に接続されている。
【0045】
上記主供給配管322の途中には,この主供給配管322から分岐して上記補助流路330に温調媒体を供給する補助供給配管332が接続されている。補助供給配管332は,補助流路330の流入口に接続されている。補助流路330の流出口には補助帰還配管334が接続されており,この補助帰還配管334の下流側は主帰還配管324に合流するように接続される。これにより,補助流路330を循環して補助帰還配管334に流出された温調媒体は,主帰還配管324にて主流路320を循環した温調媒体と合流してチラーユニット310に戻される。
【0046】
補助供給配管332の途中には,補助流路330に供給する温調媒体を温調する補助温調器338を備える。補助温調器338は冷却器と加熱器のいずれか一方を備えてもよく,また両方備えてもよい。補助温調器338によって補助供給配管332を流れる温調媒体の温度を調整することで,補助流路330を循環させる温調媒体の温度を主流路320を循環する温調媒体の設定温度よりも高い温度又は低い温度にすることができる。」

3 甲第4号証に記載された事項
「【0026】
そして,図1に示したように束ねられた冷媒搬送管1の断熱層2を圧縮しないように外嵌めし,ボルト13,13にナット15,15をねじ嵌合したあと,連結部材14の長孔18,18に挿通し,金属製バンド11の締め付け必要長さ調整を行った後,再度別のナット15をねじ嵌合し,緊締することによって金属製バンド11を連結部材14に固定する。
【0027】
その後適宜手段で支持部材16を連結部材14に固定し,この支持部材16を壁又は天井などの建物構造物に固定する。
以上で冷媒搬送管の取り付けは終了する。
【0028】
この場合において,冷媒搬送管に冷媒を流通させた場合,管表面から断熱層表面へ向け,断熱層内の温度は外へ行くほど厚さに応じて次第に高温となる。一方,金属製バンド11の表面は外気温によって冷媒搬送管表面よりは高温となっており,この表面から金属製バンド11内面に設けられたセパレート層12内部の熱は冷媒搬送管に近づくほど低下している。
【0029】
この場合,断熱層2とセパレート層12とが本発明と異なり単一層となっている場合は,冷媒搬送管の冷熱が緩慢とは言え次第にバンド11へと伝わり,経時的に外気温より低下して結露するといったことが生じる。
【0030】
しかし,本発明のように断熱層2にセパレート層12を介してバンド11を当接させると,断熱層2,セパレート層12の間は単に接触しているだけとなるから熱伝導が極めて行われにくく,両層間の温度差がそのまま温度段差として維持されていると考えられる。
【0031】
従って,両者の間に熱的な段差があっても,不連続面を境界として互いの方向への伝熱がされにくくなり,この結果,バンド金具表面が外気の結露温度以下に低下し難くなる。
【0032】
断熱層表面に微小凹凸を多数形成した場合は,層間に微小空間が多数出来るので直接接触がそれだけ避けられ,伝熱性がさらに悪くなる。
なお,上記実施の形態として大小二本の冷媒搬送管を取り付ける場合について説明したが,図示は省略するが一本あるいは,三本以上のパイプであっても束にして一まとめに止着する場合も同様にできる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように,冷媒搬送管の外周に設けた断熱層に対し直接金属製バンドを当接するのではなく,内面にセパレート層を設けた金属製バンドを当接させて冷媒搬送管を支持するため,断熱層とセパレート層間での熱伝達が非常に悪くなり,この結果金属製バンドの表面温度の低下が防げ,バンド表面の結露が防止できるのである。」

4 甲第5号証に記載された事項
「 【0007】
図において,符号1は銅パイプなどの金属製パイプ2の外周をパイプ状の断熱材3で被覆したパイプ材である。本考案のパイプ吊り具4は,上下に配置した2本のパイプ材1,1の外周を帯状のクッション材5で周方向に巻き付け,さらにそのクッション材5の外周をクッション材5よりも若千細巾のバンド6で巻き付けてなる。ここで,バンド6は,金属製又はプラスチック製の厚さの薄い板材からなり,長手方向に所定ピッチでボルト7等の締結具を挿通する締結孔8を形成してあり,バンド6の両側部で各締結孔8,8間には応力集中が発生し易いように楔状の分断用の切欠9を形成してある。そして,巻き付けたバンド6の両端部を,その両端部に形成した締結孔が重なるように重ね,該締結孔にボルト7を挿通しナット10で締めつけて柱11に固定する。
【0008】
このようにクッション材5を介してバンド6でパイプ材1を固定するようにしたので,パイプ吊り具4をパイプ材1の長手方向に動かす場合にも,クッション材5が緩衝材として作用し断熱材3を傷つけることがない。また,クッション材5と断熱材3との接触面積が広く,クッション材5で幅広く金属製のパイプ2,2の加重を受けるので,長年の使用によっても断熱材3がへたることがない。さらに,断熱材3に水滴が付着しても,バンド6との間にクッション材5が介在しているため,バンド6に水滴が付着せず,金属製バンドを用いた場合にも錆びない。」

5 甲第6号証に記載された事項
「【0032】 本明細書においては,これら基板Wの温度調整を行うユニット(加熱ユニットおよび冷却ユニット)を熱処理ユニットと称する。また,塗布処理ユニットSI,SC2および現像処理ユニットSD1,SD2のような基板に処理液を供給して所定の処理を行う処理ユニットを液処理ユニットと称する。そして,液処理ユニットおよび熱処理ユニットを総称して処理ユニットとする。」

「【0037】
<2.熱処理ユニットの構成>
次に,加熱ユニットHP1の構成についてさらに説明を続ける。ここでは,加熱ユニットHP1について説明するが,加熱ユニットHP2?HP10についても同様の構成を有している。
【0038】
図3は本発明に係る基板熱処理装置たる加熱ユニットHP1の概略構成を示す側断面図であり,図4は加熱ユニットHP1の載置プレートの平面図である。
【0039】
本発明におけるプレートに相当する載置プレート11は,ピートパイプ構造を採用して熱容量を極めて小さくしつつ,温度分布の面内均一性を高めたものであり,熱伝導性の良好な金属,例えば銅にて形成されている。
載置プレート11の上面に当たる載置面11aには基板Wが載置される。
載置面11aには図示しないセラミック製の小球(プロキシミティボール)が分散して複数個はめ込まれており,基板Wを裏面から点接触の状態で支持して熱処理ムラを防止するようになっているが,小球を省略して基板Wを面接触の状態で支持するようにしてもよい。
【0040】
載置プレート11の上部に位置する扁平部13の内部には空洞が形成されている。その内部空間12は,ピートパイプ構造のために減圧されており,縦方向の強度を補うように複数本の柱13bが立設されている。
【0041】
載置プレート11の下部位置には,2つの作動液室14が設けられている。各作動液室14は略直方体形状であって,2つの作動液室14が平面視で載置プレート11の中央を挟み込むように構成されている。これらの作動液室14には,発熱抵抗体としてのピーク15が内蔵されるとともに,作動液16が貯留されている。本実施形態では,作動液16として例えば水を使用している。
【0042】
載置プレート11の底部(つまり作動液室14の底部)には,凹状の穴が複数穿設されており,各穴の内壁面に雌ねじ29が刻設されている。各雌ねじ29は,重量調整部材たるバランサ用ねじを着脱自在に取り付け可能な取付部として機能する。なお,雌ねじ29の形設位置は載置プレート11の底部に限定されるものではなく,側面であっても良い。
【0043】
また,作動液室14と扁平部13の内部空間12とは連通しており,これによって載置プレート11内にヒートパイプ構造が実現される。すなわち,ヒータ15を加熱することにより生じる作動液16の蒸気は,内部空間12を作用域としてこの作用域中を移動したり蒸発潜熱の授受を行うことにより載置面11aの温度分布を均一に保持しつつ,載置面11aを急速に加熱することができる。
【0044】
図4に示すように,加熱ユニットHP1における冷却構造としての冷却管21は,載置プレート11の内部空間12のほぼ全域に配設されている。冷却管21は,熱伝導性の材料(たとえば金属や合金)で形成されており,略水平にかつ載置面11aのほぼ全域に対向するように配設されている。
【0045】
冷却管21は,供給配管22を介して冷却媒体供給源25と接続されている。供給配管22の経路途中には開閉弁26が介挿されている。また,冷却管21は図示しないドレインとも排出配管23を介して接続されている。したがって,冷却媒体供給源25から供給される冷却媒体は,開閉弁26を開放することにより供給配管22を介して冷却管21に供給され,冷却管21を介して載置プレート11の内部空間12と熱交換を行った後,排出配管23をから図示しないドレインへと排出される。すなわち,冷却管21の表面が内部空間12内の作動流体に接触しており,この作動流体を介して載置面11aへの冷却作用を生じさせる。換言すれば,ヒートパイプ構造の作動流体は,ヒータ15によって加熱されることもできるし,冷却管21によって冷却されることもできる。
【0046】
また,図4に示すように,冷却管21は,その表面積を増加させるため,載置プレート11の内部空間12を複数回折り返すように蛇行して配設されている。そのため,効率的に冷却管21と内部空間12との熱交換を行うことができる。
【0047】
さらに,冷却管21は,載置プレート11とリング状(ドーナツ状)断 熱部材24を介して載置プレート11の扁平部13の壁面に支持されている。そのため,冷却管21と載置プレート11とは,断熱部材24によって熱的に遮断されているため,冷却管21から載置プレート11へ直接の熱移動が生じない構造となっている。断熱部材24の例としては,セラミックスや耐熱樹脂が挙げられる。」

6 甲第7号証に記載された事項
「 【0028】
更に,以上の例では,凸部は環状であるが,これに限らず,図12(a),(b),(c)),(d)に示すように,複数の部分に区分された凸部14,15,165,16であってよい。区分された各凸部は,どのような形状であってもよい。」

7 対比及び判断
(1)本件特許発明1について
ア 本件特許発明1と甲第2号証発明との対比
甲第2号証発明の「支持フレーム」が支持するものは「基板処理装置の装置本体」であるが,前記第6の1の(1)で検討したように,本件特許発明1の「支持フレーム」により支持されるものも,配管から供給される「冷媒体又は熱媒体」を利用するチャンバ等であることを踏まえると,甲第2号証発明の「基板処理装置の装置本体を支持するための支持フレーム」は,本件特許発明1の「基板処理装置を支持する支持フレーム」に相当する。
甲第2号証発明の「支持フレーム」は,「基本フレーム部」で構成され,かつ,「供給配管」が収容されるものであるから,甲第2号証発明の「基本フレーム部」と「供給配管」は,本件特許発明1の「フレーム」と「配管」に対応する。
よって,本件特許発明1と甲第2号証発明とは,下記の点で一致し,また相違する。
(一致点)
「基板処理装置を支持する支持フレームであって,
フレームと,
少なくとも1つの配管とを有する,
支持フレーム。」
(相違点1)
本件特許発明1の「フレーム」は,「内部に中空部を有する」ものであるのに対し,甲第2号証発明の「基本フレーム部」は,内部に中空部を有するものであるか定かではない点。
(相違点2)
本件特許発明1では,フレームの内部にある「中空部」に「配管」を配設しているのに対し,甲第2号証発明では,供給配管が収容されるのは基本フレーム部の内部ではなく,「基本フレーム部によって囲まれた空間」である「配管空間」に収容される点。
(相違点3)
本件特許発明1の「配管」は,「冷媒体又は熱媒体が循環供給される」ものであるのに対し,甲第2号証発明の「供給配管」を流れる「処理流体」はどのような媒体であるか定かではない点。
相違点の判断
ここで,事案に鑑み,相違点2について検討する。
甲第2号証には,「配管空間3c内に流通配管および集合配管を収容しているから,配管専用の設置スペースが不要となり,・・・省スペース化を実現できる。」ことは記載されているものの,基本フレーム部が内部に中空部を有するものとし,該中空部に供給配管を収容することは記載も示唆もされていない。また,甲第3号証ないし甲第7号証にも,何らかの装置を支持するフレームにおいて,該フレーム自体の内部に配管を収容することは,記載も示唆もされていない。
さらに,甲第2号証発明では,「基本フレーム部によって囲まれた空間」に「供給配管」が収容されることで,既に省スペース化という課題は解決されたものとなっており,供給配管に流れる「処理流体」の温度の人に対する配慮については何ら記載されていない甲第2号証発明において,「供給配管」をあえて基本フレーム部自体の内部に収容する動機付けは存在しない。
そうすると,甲第2号証ないし甲第7号証の記載,技術常識等を考慮したとしても,甲第2号証発明において,相違点2の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものとは言えない。
よって,相違点1及び3を検討するまでもなく,本件特許発明1は,甲第2号証に記載された発明,甲第2号証ないし甲第7号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明できたものではない。

(2)本件特許発明2ないし11について
本件特許発明2ないし11は,それぞれ,本件特許発明1に対して,さらに本件の請求項2ないし11に記載された技術的事項を追加したものである。よって,前記(1)に示した理由と同様の理由により,本件特許発明2ないし11は,甲第2号証に記載された発明,甲第2号証ないし甲第11号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明できたものでもない。

(3)小括
したがって,本件特許の請求項1ないし11に係る発明は,甲第2号証に記載された発明,甲第2号証ないし甲第11号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明できたものでもないから,本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので,上記異議申立人の主張を採用することはできない。

第8 結び
以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,請求項1?11に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
支持部材及び基板処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置として、プラズマを使用して半導体デバイス用のウェハ等の基板に対してエッチング等の所定の処理を施すプラズマ処理装置が広く知られている。
【0003】
プラズマ処理装置は、例えば、内部にプラズマが発生する処理容器、対向して設けられた上部電極及び下部電極、及び、この上部電極及び下部電極に挟まれた空間にガス供給孔を介して処理ガスを供給するガス供給部等を有して構成される。そして、対向して設けられた上部電極及び下部電極の少なくともいずれか一方に高周波電力を印加して、その電界エネルギーにより処理ガスを励起させてプラズマを生成し、生成された放電プラズマによって基板にプラズマ処理を施す。
【0004】
上部電極の温度制御は、チラーユニットを使用して、配管を介して所定温度の冷媒体又は熱媒体を循環供給されることで実施される。例えば、上部電極の温度を150℃に温度制御する場合、150℃に温められた熱媒体を循環供給することで実施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管は、供給される熱媒体に依存した温度になるため、人間が触れても安全になるように、配管には断熱材を巻いて断熱化している。しかしながら、これにより、断熱材と配管が大きなスペースを占めてしまい、フットプリントの観点から問題となっている。
【0006】
上記課題に対して、配管の断熱化と省スペース化とを両立する支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、
基板処理装置を支持する支持フレームであって、
内部に中空部を有するフレームと、
前記中空部に配設され、冷媒体又は熱媒体が循環供給される少なくとも1つの配管と
を有する、
支持フレームが提供される。
【発明の効果】
【0008】
一の態様によれば、配管の断熱化と省スペース化とを両立する支持部材が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る基板処理装置の一例の概略構成を示した縦断面図である。
【図2】断熱材を巻いたチラーホースの一例の概略図である。
【図3】従来の支持部材の断面の一例の概略断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る支持部材の一例の概略断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る支持部材の一例の概略断面図である。
【図6】第3の実施形態に係る支持部材の一例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。なお、本実施形態においては、基板処理装置として、プラズマを使用してウェハにプラズマ処理を施すプラズマ処理装置を例として説明する。しかしながら、本発明はこの点において限定されず、温調手段(例えば、チラーユニット)と配管(例えばチラーホース)を介して接続されている、如何なる基板処理装置であっても良い。具体的には、ウェハに、成膜処理、酸化処理、拡散処理、改質処理、自然酸化膜の除去処理等の各種処理を実施する縦型基板処理装置であっても良い。
【0011】
[基板処理装置の概略構成]
先ず、本実施形態に係る基板処理装置の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る基板処理装置の一例の概略構成を示した縦断面図である。
【0012】
基板処理装置1は、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼等の金属製の円筒型チャンバ(以下、チャンバCと呼ぶ。)を有している。チャンバCは接地されている。チャンバC内では、半導体ウェハ(以下、ウェハWと呼ぶ。)にプラズマ処理が施される。
【0013】
チャンバC内には、ウェハWを載置する載置台2が設けられている。載置台2は下部電極としても機能する。
【0014】
チャンバCの天井部には、上部電極3が載置台2に対向して配置されている。上部電極3には、ガス供給源4が接続されている。上部電極3の内部にはガス供給源4からのガスを拡散する拡散室3aが形成されている。拡散室3a内のガスは、上部電極3の底部に設けられた多数のガス孔3bを通ってチャンバC内に導入される。上部電極3は、ガスを供給するためのシャワーヘッドとしても機能する。
【0015】
プラズマエッチング装置1には、第1の高周波電源5及び第2の高周波電源6が設けられている。載置台2(下部電極)又は上部電極3のいずれか一方には、第1の高周波電源5から出力されたプラズマ生成用の高周波電力が印加される。図1に示す例では、一例として、第1の高周波電源5からの高周波電力を、下部電極に印加する例を示した。
【0016】
第2の高周波電源6から出力されたバイアス用の高周波電力は、載置台2に印加される。
【0017】
チャンバC内に導入されたガスは、高周波電力のパワーによりプラズマ化される。これにより、チャンバC内にてウェハWにプラズマ処理が施される。
【0018】
上部電極3の内部には、通常、熱媒体管7が設けられている。この熱媒体管7には、配管であるチラーホース8,9を介して、チラーユニット10から所定の温度の熱媒体が循環供給される。チラーユニット10による加熱又は冷却によって、上部電極3の処理温度は所望の温度に調節される。
【0019】
チラーユニット10は、一般的に、基板処理装置1の底部近傍に配置される。そして、チラーホース8,9は、少なくとも基板処置装置1の高さ方向上方に伸長し、熱媒体管7に接続される。
【0020】
プラズマエッチング装置1では、制御部11の制御に従いプラズマ処理が実行される。制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する。CPUは、ROM等の記憶領域に格納された各種レシピに従ってプラズマ処理を実行する。レシピには、プロセス条件に対する装置の制御情報であるプロセス時間、処理室内温度(上部電極温度、処理室の側壁温度、ESC温度など)、圧力(ガスの排気)、高周波電力や電圧、各種プロセス流量、伝熱流量などが記載されている。
【0021】
以上、本実施形態に係る基板処理装置1の概略構成について説明した。次に、基板処理装置1のチラーホース8,9に係る問題点について、説明する。
【0022】
(チラーホース8,9に係る問題点)
前述したように、上部電極3の内部には、熱媒体管7が設けられており、この熱媒体管7には、チラーホース8,9を介してチラーユニット10から所定の温度の熱媒体が循環供給される。例えば、上部電極3の温度を150℃に制御する場合、150℃に温められた熱媒体を上部電極3へと循環供給することで実施される。この際、チラーホース8,9も、熱媒体によって加熱され高温になる。そのため、チラーホース8,9は、一般的には、断熱材が巻かれて断熱化されている。
【0023】
図2に、断熱材を巻いたチラーホースの一例の概略図を示す。
【0024】
例えば、内部に150℃の熱媒体が流れるチラーホース8の外径がφ20mmであり、このチラーホース8の外周に対して、熱伝導率λ_(1)が5.0×10^(-2)W/m・kのシリコンスポンジシートから構成される断熱材20を、一様に巻いたと仮定する。また、外気温度が25℃であると仮定する。
【0025】
この場合、図2に示すように、チラーホース8と断熱材20を合わせた構造体の外径が60mmである場合(即ち、20mmの断熱材を巻いた場合)に、その断熱材20の表面温度が54℃となる。
【0026】
人間が容易に触れることができる箇所の温度は、安全の観点から、60℃以下、好ましくは50℃以下であることが好ましい。そのため、図2に示す実施形態のように、チラーホース8,9に約20mmの断熱材20を巻くことによって、チラーホース8は、人間が安全に触ることが可能な温度となる。しかしながら、断熱材20の厚さが約20mmと大きくなるため、フットプリントの観点から問題となる。
【0027】
本発明者らは、通常、基板処理装置1の各構成要素を支持する支持フレームである後述する支持部材を改良し、支持部材の内部にチラーホース8,9を配置することにより、チラーホース8,9の断熱性及び省スペース性の両方に係る課題を解決できることを見出した。
【0028】
以下、従来の支持部材及び本実施形態に係る支持部材について、詳細に説明する。なお、本明細書においては、本実施形態及び比較の実施形態の比較の為に、チラーホースの外径と、支持部材の断面の外周寸法と、を統一して説明する。具体的には、本実施形態及び比較の実施形態の両方において、チラーホースの外径が20mmであり、支持部材の断面の外周寸法が、図3乃至図6のx軸方向の長さ×y軸方向の長さで、90mm×45mmである場合について、説明する。しかしながら、本発明は、この点において限定されない。
【0029】
(第1の実施形態の支持部材)
先ず、従来の支持部材について、説明する。図3に、従来の支持部材の概略断面図を示す。
【0030】
支持部材30に求められる特性として、高強度でありかつ軽量であることが挙げられる。そのため、従来の支持部材30は、例えば、比較的安価で、高い強度を有するアルミニウム又はアルミニウム合金等から形成される。しかしながら、従来の支持部材30は、チラーホースを配置する空間、例えば中空部が設けられていない。即ち、チラーホースが剥き出しの状態で配置されるため、人間が、高温又は低温になったチラーホースに直接触れる可能性があるという問題点があった。
【0031】
次に、第1の実施形態に係る支持部材について、説明する。図4に、第1の実施形態に係る支持部材の一例の概略断面図を示す。
【0032】
第1の実施形態に係る支持部材40Aは、支持部材40Aのハウジングを形成するフレーム48Aによって構成される。
【0033】
フレーム48Aは、中空部42Aを有し、この中空部42A内に、チラーホース8,9、後述する断熱材20A及び後述する配管クランプ44Aが配置されるように、構成される。
【0034】
断熱材20Aは、チラーホース8,9の外表面に接触して設けられる。第1の実施形態において、断熱材20Aの厚さは、好ましくは1mm?4mm程度である。
【0035】
断熱材20の材料としては、熱媒体の温度に耐え得る耐熱性を有するものであれば、従来の断熱材材料を適宜使用することができる。断熱材20の具体的な材料としては、ポリイミド樹脂、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂、フッ素樹脂、アラミド繊維、シリコンスポンジ、エアロフレックス(Aeroflex:登録商標)等を使用することができる。
【0036】
断熱材20Aの外周側には、断熱材20Aの外周の少なくとも一部を支持する配管クランプ44Aが配置される。また、支持部材40Aのフレーム48Aには、配管クランプ44Aの外周側に、この配管クランプ44Aを固定する固定部46Aが設けられる。
【0037】
配管クランプ44Aを用いることにより、チラーホース8,9と、フレーム48Aとが直接接触することはないため、フレーム48Aの外表面温度を、容易に人間が安全に触ることができる温度とすることができる。本実施形態においては、配管クランプ44Aとして、ポリプロピレン製の配管クランプを使用した。
【0038】
固定部46Aとしては、中空部42A内に配置されたチラーホース8,9をフレーム48Aに固定することができれば、特に制限はなく、本実施形態においては、ステンレススチール製のネジ部材を利用してフレーム48Aに固定した。
【0039】
フレーム48Aの材料としては、特に制限されないが、比較的安価で、高い強度を有するアルミニウム又はアルミニウム合金を使用することが好ましい。
【0040】
第1の実施形態に係る支持部材40Aは、チラーホース8、9が、支持部材40Aの中空部42A内に配置される。また、チラーホース8,9と、フレーム48Aとが直接接触することがないため、フレーム48Aの外表面温度を、容易に、人間が安全に触れることができる温度、例えば60℃以下にすることができる。
【0041】
また、従来の支持部材30を使用する場合、支持部材30の占有領域に加え、チラーホース8,9の占有領域が必要となる。しかしながら、第1の実施形態の支持部材40Aを使用することにより、フレーム48A内にチラーホース8,9が配置されるため、省スペース化が図れる。
【0042】
第1の実施形態の支持部材40Aの効果を確認した実施形態について説明する。
【0043】
予め150℃に設定されたチラーホース8,9の外表面に、断熱材20Aとして発泡ポリイミド(熱伝導率λ:0.044(W/m・K))を2mm巻き、これを配管クランプ44Aで固定した。そして、これらをネジ部材により支持部材40Aに固定した。
【0044】
この状態で、支持部材40Aのフレーム48Aの外表面の温度をモニタリングした。その結果、フレーム48Aの外表面の温度は、48.1℃で一定となった。即ち、本実施形態の支持部材40Aを使用することにより、チラーホース8,9を支持部材40Aの内部に保持可能であると共に、支持部材40Aの外表面温度を、人間が安全に触ることができる温度とすることができることがわかった。
【0045】
また、支持部材40Aの、図4のx軸方向における断面2次モーメントは約166mm^(4)であり、y軸方向にける断面2次モーメントは約35mm^(4)であった。図3に示した従来の支持部材30の、図3のx軸方向における断面2次モーメントは約129mm^(4)であり、y軸方向における断面2次モーメントは約33mm^(4)である。即ち、第1の実施形態の支持部材40Aは、従来の支持部材30と比して、十分な強度を有することがわかった。
【0046】
(第2の実施形態)
図5に、第2の実施形態に係る支持部材の一例の概略断面図を示す。
【0047】
第2の実施形態に係る支持部材40Bは、第1の実施形態と同様、支持部材40Bのハウジングを形成するフレーム48Bによって構成される。
【0048】
フレーム48Bは、第1の実施形態と同様、中空部42Bを有する。第2の実施形態では、中空部42B内には、チラーホース8,9及び断熱材20Bのみが配置される点で、第1の実施形態とは異なる。即ち、第2の実施形態では、断熱材20Bは、チラーホース8,9の外表面に接触して設けられ、この断熱材20Bの外表面がフレーム48Bと接触している。
【0049】
断熱材20Bの材料としては、熱媒体の温度に耐え得る耐熱性を有するものであれば、従来の断熱材材料を適宜使用することができる。断熱材20の具体的な材料としては、ポリイミド樹脂、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂、フッ素樹脂、アラミド繊維、シリコンスポンジ、エアロフレックス(Aeroflex:登録商標)等を使用することができる。
【0050】
フレーム48Bの材料としては、特に制限されないが、比較的安価で、高い強度を有するアルミニウム又はアルミニウム合金を使用することが好ましい。
【0051】
第2の実施形態の支持部材40Bは、第1の支持部材40Aと同様、チラーホース8,9が、支持部材40Bの中空部42B内に配置される。そのため、人間が、熱媒体によって高温又は低温になったチラーホース8,9を直接触ることはない。
【0052】
また、第2の実施形態の支持部材40Bでは、断熱材20Bとフレーム48Bとが直接接触する。しかしながら、第1の実施形態の支持部材40Aの構成要素である、配管クランプ44Aを使用する必要がない。そのため、断熱材20Bの厚さを、第1の実施形態と比して、厚くすることができる。これにより、フレーム48Bの外表面温度を、人間が安全に触れることができる温度、例えば60℃以下にすることができる。
【0053】
さらに、第2の実施形態の支持部材40Bを使用することにより、フレーム48B内にチラーホース8,9が配置されるため、省スペース化が図れる。
【0054】
第2の実施形態の支持部材40Bの効果を確認した実施形態について説明する。
【0055】
150℃に設定されたチラーホース8,9の外表面に、断熱材20Bとしてシリコンスポンジ(熱伝導率λ:0.08(W/m・K))又はエアロフレックス(熱伝導率λ:0.034(W/m・K))を7mm巻き、断熱材20BとフレームBとを接触させることで、チラーホース8,9を固定した。この状態で、支持部材40Bのフレーム48Bの外表面の温度をモニタリングした結果、フレーム48Bの外表面の温度は、各々、59.0℃、46.8℃で一定となった。即ち、本実施形態の支持部材40Bを使用することにより、チラーホース8,9を支持部材40Bの内部に保持可能であると共に、支持部材40Bの外表面温度を、人間が安全に触ることができる温度とすることができることがわかった。
【0056】
また、支持部材40Bは、第1の実施形態の支持部材40Aと同様の、断面2次モーメントを有する。即ち、第2の実施形態の支持部材40Bは、従来の支持部材30と比して、十分な強度を有する。
【0057】
(第3の実施形態)
図6に、第3の実施形態に係る支持部材の一例の概略断面図を示す。
【0058】
第3の実施形態に係る支持部材40Cは、第1の実施形態と同様、支持部材40Cのハウジングを形成するフレーム48Cによって構成される。
【0059】
フレーム48Cは、第1及び第2の実施形態と同様、中空部42Cを有する。第3の実施形態では、断熱材を使用することなく、中空部42C内にチラーホース8,9のみが配設され、チラーホース8,9が、フレーム48Cの一部である固定部50Cによって、直接、フレーム48Cに固定される点で、第1及び第2の実施形態とは異なる。
【0060】
第3の実施形態では、チラーホース8,9が、固定部50Cを介して、直接、フレーム48Cと接触する。そのため、フレーム48Cが、人間が安全に触ることができない温度にまで加熱されることを防ぐよう、支持部材48Cには、フレーム48Cを冷却するための、ヒートシンク部52Cが設けられる。
【0061】
ヒートシンク部52Cは、フレーム48Cの少なくとも一部を、例えば剣山状又は蛇腹状に成形することによって、形成することができる。
【0062】
固定部50Cは、チラーホース8,9の外表面の少なくとも一部に接触する。固定部50Cの、チラーホース8,9との接触面側には、チラーホース8,9との接触面積を低減させるために、例えば突起部が設けられることが好ましい。
【0063】
フレーム48Cの材料としては、特に制限されないが、比較的安価で、高い強度を有するアルミニウム又はアルミニウム合金を使用することが好ましい。
【0064】
第3の実施形態の支持部材40Cは、第1及び第2の支持部材40A、40Bと同様、チラーホース8,9が、支持部材40Cの中空部42C内に配置される。そのため、人間が、熱媒体によって高温又は低温になったチラーホース8,9を直接触ることはない。
【0065】
また、第3の実施形態の支持部材40Cでは、固定部50Cとフレーム48Cとが直接接触する。しかしながら、支持部材40Cはヒートシンク部52Cを有するため、フレーム48Cを冷却することができる。これにより、フレーム48Cの外表面温度を、人間が安全に触ることができる温度、例えば60℃以下にすることができる。
【0066】
さらに、第3の実施形態の支持部材40Cを使用することにより、フレーム48Cないに、チラーホース8,9が配置されるため、省スペース化が図れる。
【0067】
なお、支持部材40Cの、図6のx軸方向における断面2次モーメントは約160mm^(4)であり、y軸方向にける断面2次モーメントは約36mm^(4)であった。上述したように、図2に示した従来の支持部材30の、図2のx軸方向における断面2次モーメントは約129mm^(4)であり、y軸方向における断面2次モーメントは約33mm^(4)である。即ち、第3の実施形態の支持部材40Cは、従来の支持部材30と比して、十分な強度を有することがわかった。
【0068】
なお、上記本実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0069】
例えば、本明細書において、支持部材40A?40Cに形成される中空部42A?42Cには、チラーホース8,9が配置される構成について説明したが、本発明はこの点において限定されない。基板処理装置の各種電気ケーブル等のケーブル部材が配置される構成であっても良い。
【符号の説明】
【0070】
1 基板処理装置
2 載置台
3 上部電極
4 ガス供給源
5 第1の高周波電源
6 第2の高周波電源
7 熱媒体管
8 チラーホース
9 チラーホース
10 チラーユニット
11 制御部
20 断熱材
C チャンバ
W ウェハ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置を支持する支持フレームであって、
内部に中空部を有するフレームと、
前記中空部に配設され、冷媒体又は熱媒体が循環供給される少なくとも1つの配管と
を有する、支持フレーム。
【請求項2】
前記配管は、前記基板処理装置の高さ方向上方に伸長して配設されている、
請求項1に記載の支持フレーム。
【請求項3】
前記配管は、外表面が断熱材で覆われ、
前記断熱材の外表面の少なくとも一部は、配管クランプによって支持され、
前記配管クランプは、固定部によって前記フレームに固定されている、
請求項1または2に記載の支持フレーム。
【請求項4】
前記断熱材の厚さは、1mm以上4mm以下である、
請求項3に記載の支持フレーム。
【請求項5】
前記断熱材及び前記配管は、前記フレームに接触しないように配設されている、
請求項3または4に記載の支持フレーム。
【請求項6】
前記配管は、外表面が断熱材で覆われ、
前記断熱材の外表面は、前記フレームに接触している、
請求項1または2に記載の支持フレーム。
【請求項7】
前記断熱材は、ポリイミド樹脂、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂、フッ素樹脂、アラミド繊維、シリコンスポンジ及びエアロフレックスの群から選択される1つ以上の材料を含む、
請求項3?6のいずれか一項に記載の支持フレーム。
【請求項8】
前記配管の外表面は、前記フレームの一部である固定部によって固定されており、
前記フレームは、ヒートシンク部を有する、
請求項1または2に記載の支持フレーム。
【請求項9】
前記フレームは、前記配管との接触部に、接触面積を低減するための突起部が設けられている、
請求項8に記載の支持フレーム。
【請求項10】
前記配管の内部に150℃の熱媒体が導入された場合に、前記フレームの外表面の温度が60℃以下となる、
請求項1?9のいずれか一項に記載の支持フレーム。
【請求項11】
基板処理装置であって、
請求項1?10のいずれか一項に記載の前記支持フレームと、
前記支持フレームの前記配管内に循環供給される冷媒体又は熱媒体を利用して前記基板処理装置の任意の構成要素を温調する温調手段とを有する、
基板処置装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-08-19 
出願番号 特願2013-146571(P2013-146571)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (H01L)
P 1 651・ 537- YAA (H01L)
P 1 651・ 121- YAA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 聡一郎  
特許庁審判長 加藤 浩一
特許庁審判官 飯田 清司
小田 浩
登録日 2017-10-13 
登録番号 特許第6224366号(P6224366)
権利者 東京エレクトロン株式会社
発明の名称 支持部材及び基板処理装置  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  

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