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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01B
管理番号 1356320
審判番号 不服2018-8951  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-28 
確定日 2019-10-17 
事件の表示 特願2014- 14980「遠隔操作可能な自然会話型の測定システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月 3日出願公開、特開2015-141140〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この審判事件に関する出願(以下、「本件出願」という。)は、平成26年 1月29日にされた特許出願である。
本件出願については、平成29年 9月21日付けで拒絶理由が通知され、同年11月15日に意見書が提出されるとともに特許請求の範囲及び明細書についての補正がなされたが、平成30年 4月19日付けで拒絶査定がなされ、査定の謄本が同年 5月 8日に送達された。
これに対し、平成30年 6月28日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に特許請求の範囲及び明細書についての補正がされた。
更に、平成31年 3月25日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和元年 5月24日に意見書が提出されるとともに特許請求の範囲及び明細書についての補正(以下、「本件補正」という。)がされた。


第2 本件発明
本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、本件補正がされた特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
インスタント・メッセンジャー機能、及び、ユーザー入力を測定制御用メッセージに変換すると共に、測定機からのメッセージを操作画面表示用制御情報に変換するメッセージ情報変換機能、更に、音声と入力をメッセージに変換すると共に、前記測定機からの操作応答結果や測定結果を含む音声と情報を音声出力と画面表示に変換する音声+操作情報変換機能を有する、通話可能なユーザー側の携帯端末と、
インスタント・メッセンジャー機能、及び、前記測定制御用メッセージを測定機コマンドに変換して送信すると共に、前記測定機からの制御情報を操作画面表示用メッセージに変換するメッセージ変換機能、更に、音声を認識して制御コマンドに変換すると共に、前記測定機の応答を音声合成する音声認識・合成+メッセージ変換機能を有する、前記ユーザー側の携帯端末と交信可能な通信端末と、
該通信端末と信号をやりとりするための入出力部、測定部、及び、前記通信端末からの指令により該測定部を動作させると共に測定結果を返信する制御部を有する測定機と、
を備えたことを特徴とする遠隔操作可能な自然会話型の測定システム。」


第3 当審拒絶理由の概要
本件出願の請求項1ないし請求項10に係る発明は、以下の引用文献1ないし引用文献5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2000-161945号公報
引用文献2.特開平10-339630号公報
引用文献3.米国特許出願公開第2007/0286181号明細書
引用文献4.特開2006-236353号公報
引用文献5.米国特許出願公開第2008/0313356号明細書


第4 引用文献に記載された発明等
1 引用文献1
当審拒絶理由における引用文献1には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。

(1) 段落0001
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像測定機、三次元測定機等の測定機を遠隔場所から操作する遠隔操作式測定システムに関する。」

(2) 段落0012
「【0012】一方、遠隔操作端末2は次のように構成されている。画像測定機1から送信されてきた圧縮画像データはデータ通信部21(データ受信手段)で受信され、画像データ伸長部22に供給される。画像データ伸長部は、圧縮画像データに対してMPEGデコード又は直線補間処理を施し、画像データをもとの画素数に伸長する。伸長された画像データは、画像表示部23で表示される。操作指示部24を介して入力された操作指示は、データ通信部21を介して画像測定機1に転送される。また、これを受けて画像測定機1の画像測定処理部15による測定処理で得られた測定結果は、データ通信部14を介して遠隔操作端末2に送られ、遠隔操作端末2の測定結果表示部25で表示される。」

(3) 段落0016ないし0018
「【0016】図4は、この発明を三次元測定システムに適用した例を示す図である。三次元測定機3と、前述した遠隔操作装置2とは、通信回線を介して相互に接続されている。三次元測定機3は、三次元測定機本体31と、これを駆動制御する制御装置32と、この制御装置32に測定コマンドを出力したり、測定データに対して必要な演算処理を実行するコンピュータ33とを備えて構成されている。
【0017】測定機本体31は、ワーク41に対してプローブ42を三次元方向に移動させてワーク41とプローブ42とが接触したプローブ座標からワーク41の所定寸法を測定する。制御装置32は、操作指示部16の操作又は遠隔操作端末2からコンピュータ33を介して与えられる操作指示に基づいて三次元測定機本体31を制御する。プローブ42を含む測定領域は、撮像装置10で撮像され、得られたビデオ信号がコンピュータ33の画像データ変換部11で画像データに変換されたのち、画像データ圧縮部13でデータ圧縮され、データ通信部14を介して遠隔操作端末2に送信されるようになっている。これにより、遠隔操作端末2で三次元測定機本体31による測定状況が確認できるようになっている。また、遠隔操作端末2から入力された操作指示は、データ通信部14で受信され三次元測定処理部43を介して制御装置32に与えられる。
【0018】この実施例のように三次元測定機を用いた遠隔操作式測定システムにおいても、測定個所の画像データが測定機側から遠隔操作端末側に転送される場合、本発明の画像圧縮転送方式を利用すれば、リアルタイムでマニュアル測定やティーチング操作を行うことができ、操作性が大幅に向上する。」

【図4】


上記(1)ないし(3)の記載によれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「三次元測定機を遠隔場所から操作し、リアルタイムでマニュアル測定を行うことができる遠隔操作式測定システムであって、
通信回線を介して相互に接続される遠隔操作端末2と三次元測定機3とを備え、
遠隔操作端末2は、
三次元測定機3から送信されてきた圧縮画像データを受信するとともに、操作指示を三次元測定機3に転送するデータ通信部21、
受信した圧縮画像データに対してMPEGデコード又は直線補間処理を施し、画像データをもとの画素数に伸長する画像データ伸長部22、
伸長された画像データを表示する画像表示部23、
操作指示を入力する操作指示部24、
及び三次元測定機3から送られてきた測定結果を表示する測定結果表示部25、
を備え、
三次元測定機3は、
プローブ42を含む測定領域を撮像する撮像装置10、
プローブ42によってワーク41の所定寸法を測定する三次元測定機本体31、
操作指示部16の操作又は遠隔操作端末2からコンピュータ33を介して与えられる操作指示に基づいて三次元測定機本体31を制御する制御装置32、
及び遠隔操作端末2から入力された操作指示を受信して制御装置32に測定コマンドを出力し、測定データに対して必要な演算処理を実行し、撮像装置10で得られたビデオ信号を画像データに変換してデータ圧縮し、遠隔操作端末2に送信するコンピュータ33、
を備える、
遠隔操作式測定システム。 」


2 引用文献2
当審拒絶理由における引用文献2には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。

(1) 段落0001
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、三次元測定機を遠隔操作するのに好適の三次元測定システムに関する。」

(2) 段落0011
「【0011】ここで、例えばホストコンピュータと遠隔操作装置とがTCP/IPによる通信プロトコルに基づいて相互に通信を行うものであると、LANやWAN等の専用通信ネットワークのみならず、インターネットを介して全世界のどこからでも三次元測定機の遠隔制御が可能になる。」

上記(1)及び(2)の記載によれば、引用文献2には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

「三次元測定機を遠隔操作する三次元測定システムにおいて、ホストコンピュータと遠隔操作装置とがTCP/IPによる通信プロトコルに基づいて相互に通信を行うようにし、インターネットを介して全世界のどこからでも三次元測定機の遠隔制御を可能とする。」


3 引用文献3
当審拒絶理由における引用文献3には、以下の記載がある。なお、下線及び訳文は合議体が付したものである。

(1) 段落0001ないし0006
「BACKGROUND OF THE INVENTION
[0001] Skype is a popular peer-to-peer communication service which uses IP network connectivity to communicate via instant messages and voice or video calls between multiple parties. Due to its peer-to-peer distributed nature and attractive pricing, Skype has good scalability features and can support and attract a large number of users. Several hardware vendors presently integrate Skype connectivity into their telephone solutions. Skype applications presently run on a variety of PC and Linux-based computing platforms,
[0002] Remote premises monitoring and control is presently wide spread using specialized hardware and software applications and networks. SANSAPHONE device, for example, monitors temperature and sound levels at some installation, and then call several pre-programmed telephone numbers in case the alarm condition is being raised.
[0003] Communication of the alarm conditions typically requires the presence of the telephone network in its traditional or cellular forms. Industrial-strength applications may also utilize Internet-protocol based networks, and require highly-specialized control and monitoring applications that tend to be available to a select group of subscribers only.
[0004] Control and monitoring of the Mobile installations is presently a difficult problem, as the application-level mobility and support needs to be resolved. This limits the applicability and increases the associated costs with such monitoring applications.
[0005] Finally, monitoring and control of premises performed by mobile users (via smart phones, mobile phones, etc) is fairly limited toward highly specialized solutions utilizing expensive home networking gateways and dial-up monitoring stations or applications. Typically additional fees and limitations exerted by cell-phone operators further inhibit the use of these applications.

SUMMARY OF THE INVENTION
[0006] The present invention is embodied in several software and hardware functional modules comprising the architecture for remote monitoring and control of various stationary and mobile installations using popular Skype peer-to-peer software.
(訳文:発明の背景
[0001] スカイプは、IPネットワーク接続を用い、インスタントメッセージ及びボイスコール又はビデオコールを介して複数の仲間で通信できるようにした、一般的なピア・ツー・ピア通信サービスである。ピア・ツー・ピアの流通性及び魅力的な価格のために、スカイプは、良好な拡張性を有し、多数のユーザをサポートし、引き寄せることができる。いくつかのハードウェア・ベンダは、現在、スカイプの接続性を、電話のソリューションに統合している。スカイプアプリケーションは、現在、種々のPC及びLinuxベースのコンピューティングプラットフォーム上で実行されている。
[0002] 遠隔構内の監視及び制御が、現在、特殊なハードウェア及びソフトウェアアプリケーション及びネットワークを使用して広く普及している。例えば、SANSAPHONE装置は、いくつかの設備で温度及び音量を監視し、警報状態が引き起こされた時に、予めプログラムされた電話番号を呼び出す。
[0003] 警報状態の通信は、典型的には従来の又はセルラの電話ネットワークの存在を必要とする。耐久性のあるアプリケーションは、インターネットプロトコルに基づくネットワークを利用し、加入者のみの選択グループに利用可能であるような非常に特殊な制御及び監視アプリケーションを必要とするかもしれない。
[0004] 移動体設備の制御及び監視は、現在、困難な問題となっており、アプリケーションレベルの移動性及びサポートが解決される必要がある。このことは、適用性を制限し、このような監視アプリケーションに関するコストを増加させる。
[0005] 最後に、(スマートフォン、携帯電話等を介する)移動体ユーザによって実行される構内監視及び制御は、高価なホームネットワークゲートウェイ及びダイヤルアップ監視ステーション又はアプリケーションを利用する高度に特殊化された解決策に制限される。典型的には、携帯電話事業者によって与えられる追加的な料金や制限が、これらのアプリケーションの使用を阻害する。

発明の概要
[0006] 本発明は、人気のあるスカイプのピア・ツー・ピアソフトウェアを使用する、様々な固定及び可搬の設備の遠隔監視及び制御のためのアーキテクチャを含む、いくつかのソフトウェア及びハードウェアの機能モジュールで構成されている。)」

(2) 段落0034ないし0039
「DETAILED DESCRIPTION OF EMBODIMENTS OF THE INVENTION
[0034] Skype application provides to its users a low priced or free instant message (IM) and voice communication services using scalable peer-to-peer paradigm of computer voice, video and text communication. Due to it's high audio quality and highly scalable nature, Skype has a growing number of adopters. Several companies offer services complimentary to Skype, while utilizing Skype communication facility.
[0035] …(略)…
[0036] This invention relates to hardware and software device and services that by interfacing with Skype instant message and voice communication facilities provide for remote premises surveillance (e.g., temperature, alarm continuity sensors, other environmental sensors) and for the remote premises-based device control (e.g., garage doors, lights, etc.)
[0037] Referring to FIG. 1 , a computer 104 residing at some premises 106 has a connected to it hardware interface module 105 subject to this invention. A plurality of environmental sensors and appliances 107 is connected to hardware interface module 105 . Hardware interface module can read the status of the sensors 107 as well as instruct appliances to perform a specific function under the control of the Controlling Proxy Application 104 .
[0038] A remote user 102 communicates with computer 104 running Home Monitoring Controlling Proxy application 201 (shown in detail in FIG. 2 ) via a wide area Internet network 101 by utilizing Skype Communicator application 103 instant messaging and voice communication capability. These messages can flow in both directions. Messages flowing from 102 to 104 are intended for control operation or sensor status inquiry. Messages from 104 to 102 carry status information and control acknowledgement signals.
[0039] Referring to FIG. 2 , hardware interface module 105 is interacting with Home Monitoring and Controlling Proxy application 201 via a serial protocol over USB driver 204 . …(略)… As seen in FIG. 2 , various sensors (temperature, contact, barometric pressure, water indicator, etc) can be attached to the hardware interface module 105 . Hardware interface module depicted in greater detail in FIG. 3 can also be connected to actuators of various kinds (motors, lights, etc). Instant Message (IM) containing control information is sent from remote (mobile) client running Skype application 206 over Skype IM communication channel. Home Monitoring and Controlling Proxy application 201 receives messages via Skype communication channel from remote Skype applications 206 via Skype Application Programming Interface (API) 207 and can instruct hardware interface module 105 to actuate some of these actuators as a result of a specific Skype message received. For example "OPEN 1" Skype IM leads toward hardware interface module closing a relay thus actuating external motor to open the garage door 1 .
(訳文:本発明の実施形態の詳細な説明
[0034] スカイプアプリケーションは、コンピュータ音声、ビデオ及びテキスト通信からなるスケーラブルなピア・ツウ・ピア・パラダイムを使用して、低額若しくは無料のインスタントメッセージ(IM)及び音声通話のサービスをそのユーザに提供する。高いオーディオ品質及び高度な拡張性のため、スカイプは、ますます多くのアダプタを有することになっている。いくつかの会社は、スカイプの通信設備を利用しつつ、スカイプを補完するサービスを提供している。
[0035] …(略)…
[0036] 本発明は、スカイプのインスタントメッセージ及び音声通信の設備と接続することにより、遠隔構内監視(温度やアラームの継続的センサ、他の環境センサ等)と遠隔構内ベースの機器制御(車庫のドア、ライト等)とを適用するハードウェア及びソフトウェアの装置及びサービスに関する。
[0037] 図1を参照すると、いくつかの構内106にあるコンピュータ104が、本発明のハードウェア・インタフェース・モジュール105に接続されている。複数の環境センサや機器107が、ハードウェア・インタフェース・モジュール105に接続されている。ハードウェア・インタフェース・モジュールは、センサ107の状態を読み込み、制御プロキシアプリケーション104の制御下で、特定の機能を実行するように機器に指示することができる。
[0038] 遠隔ユーザ102は、スカイプコミュニケータアプリケーション103のインスタント・メッセージング及び音声通信の能力を利用することにより、広域インターネット網101を介し、ホーム監視・制御プロキシアプリケーション201(図2に詳細に示す)を実行するコンピュータ104と通信する。これらのメッセージは、双方向に流れることができる。102から104に流れるメッセージは、制御操作又はセンサ状態の問い合わせを目的としている。104から102へのメッセージは、状態情報及び制御肯定応答信号を搬送する。
[0039] 図2を参照すると、ハードウェア・インタフェース・モジュール105は、シリアルプロトコルのUSBドライバ204を介して、ホーム監視・制御プロキシアプリケーション201と対話している。…(略)…図2に見られるように、様々なセンサ(温度、接触、気圧、水分インジケータ等)を、ハードウェアインターフェースモジュール105に取り付ることができる。図3でより詳細に示されるハードウェア・インタフェース・モジュールは、また、様々な種類(モータ、ライト等)のアクチュエータに接続することができる。制御情報を含むインスタントメッセージ(IM)が、スカイプIM通信チャネルを介し、スカイプアプリケーション206を実行する遠隔(モバイル)クライアントから送信される。ホーム監視・制御プロキシアプリケーション201は、スカイプアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)207経由で、遠隔のスカイプアプリケーション206からスカイプ通信チャネルを介したメッセージを受信し、受信した特定のスカイプ・メッセージの結果として、いくつかのアクチュエータを作動させるように、ハードウェア・インタフェース・モジュール105に指示することができる。例えば「1を開けて」のスカイプIMは、ハードウェアインターフェースモジュールにリレーを閉じさせ、それによって外部モータを作動させて車庫のドア1を開く。)」

【図1】

【図2】


図1には、「User 102(ユーザ102)」側の「Skype Mobile Device 103(スカイプモバイル装置103)」と、「Remote Installation 106(遠隔設備106)」側の「Computer 104(コンピュータ104)」とが、「IP Network 101(IPネットワーク101)」を介して通信することが示されている。

(3) 段落0046
「[0046] Referring now to FIG. 8 , in another aspect of this invention, user voice-driven monitoring and control are realized by combining Home Monitoring and Controlling Proxy application 201 , GUI 202 , component 204 and hardware interface module 105 with text-to-speech converter 801 and Voice recognition (VR) module 802 . Audio software driver 803 interfaces 802 and 801 with Skype voice communication channel. Voice recognition module 802 translates voice commands received over Skype from the remote user into the appropriate control signals to be issued by 201 to 105 within the controlled and monitored premises. Remote user can say "Turn on Light". 802 translates this command into a textual command "Turn on light", causing 201 to translate it into "Turn On 1" instruction issued over 204 , subsequently causing 105 to close the corresponding relay output 304 . Similarly, temperature reading from 105 can be translated by 201 into a text string "Temperature in the Bedroom is 75 degrees", causing 801 to issue a voice prompt over Skype voice channel with the same content.
(訳文:[0046] ここで図8を参照すると、本発明の別の態様では、ホーム監視・制御プロキシアプリケーション201、GUI202、構成要素204及びハードウェア・インタフェース・モジュール105をテキスト-スピーチコンバータ801及び音声認識(VR)モジュール802と組み合わせることにより、ユーザ音声駆動による監視・制御が実現される。オーディオソフトウェアドライバ803は、スカイプ音声通信チャネルを介して802及び801と接続する。音声認識モジュール802は、スカイプを介して遠隔ユーザから受信された音声コマンドを、制御されて監視される構内にて、201から105に発せられる適当な制御信号に変換する。遠隔ユーザは、「ライトをつけて」と言うことができる。802は、このコマンドをテキスト・コマンド「ライトをつけて」に変換し、これを201が「1をつけて」という命令に変換して204に発し、その結果、105が対応するリレー出力304を閉じることになる。同様に、105からの温度の読みは、201によってテキストストリング「寝室の温度は75度です」に変換され、801がスカイプ音声チャネルを介して同じ内容で音声プロンプトを発することになる。)」

【図8】


(4) 段落0049
「[0049] Referring now to FIG. 11 , in another aspect of this innovation, locally occurring alarm event or the received over Skype remote user instruction can trigger an acquisition of the surveillance video of the premises by the Video Capture module 1101 by invoking the video driver software 1102 and video camera 1103 . The resultant video file can then be transmitted to the remote user of the system via Skype File Transfer (FT) API 207 under the control of 201 Home Monitoring and Controlling Proxy.
(訳文:[0049] ここで図11を参照すると、本発明の別の態様では、局所的に発生するアラームイベントやスカイプで受信した遠隔ユーザの指令が、ビデオ・ドライバ・ソフトウェア1102及びビデオカメラ1103を起動し、ビデオキャプチャモジュール1101により構内の監視映像を取得することのトリガとなり得る。そして、その結果生じるビデオファイルは、201のホーム監視・制御プロキシによる制御の下で、スカイプファイルトランスファ(FT)API207を介して、システムの遠隔ユーザに送信され得る。)」

【図11】


上記(1)ないし(4)の記載によれば、引用文献3には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

「加入者のみの選択グループに利用可能であるような非常に特殊な制御及び監視アプリケーションを必要としたり、監視アプリケーションに関するコストを増加させたりすることなく、様々な固定及び可搬の設備の遠隔監視及び制御を行うために、IPネットワークを介して互いに通信する遠隔設備側のコンピュータとユーザ側のモバイル装置とで、インスタントメッセージ及びボイスコール又はビデオコールが可能なスカイプアプリケーションを使用することとし、
ユーザは、モバイル装置を用いてインスタントメッセージ又は「ライトをつけて」などの音声によりコマンドを発し、
遠隔設備側のコンピュータは、ユーザ側から受信したインスタントメッセージのコマンドを設備に対する制御信号に変換し、若しくは、ユーザ側から受信した音声コマンドを音声認識モジュールによってテキストコマンドに変換してから設備に対する制御信号に変換して、設備を制御し、
また、遠隔設備側のコンピュータは、センサ状態の情報をインスタントメッセージとしてユーザ側に送信し、若しくは、センサ状態の情報をテキストストリングに変換してテキスト-スピーチコンバータにより「寝室の温度は75度です」などの音声プロンプトとしてユーザ側に送信し、
さらに、遠隔設備側のコンピュータは、ビデオカメラからの監視映像を取得し、ビデオファイルとして遠隔ユーザ側に送信する。」


第5 対比・判断
1 対比
本件発明1と、上記第4の1で述べた引用発明とを対比すると、以下のとおりである。

(1) 引用発明における「遠隔操作端末2」は、「リアルタイムでマニュアル測定を行う」ため、「操作指示部24」により入力された「操作指示」を「データ通信部21」によって「三次元測定機3に転送する」とともに、「三次元測定機3から送られてきた測定結果」を「測定結果表示部25」により表示する機能を有しているが、この機能を実現するために、操作指示を送信データに変換するデータ変換、及び受信データを表示用データに変換するデータ変換が行われていることは明らかである。
よって、上記機能を有する「遠隔操作端末2」と、本件発明1における「インスタント・メッセンジャー機能、及び、ユーザー入力を測定制御用メッセージに変換すると共に、測定機からのメッセージを操作画面表示用制御情報に変換するメッセージ情報変換機能、更に、音声と入力をメッセージに変換すると共に、前記測定機からの操作応答結果や測定結果を含む音声と情報を音声出力と画面表示に変換する音声+操作情報変換機能を有する、通話可能なユーザー側の携帯端末」とは、「ユーザー入力を測定制御用送信データに変換すると共に、測定機からの受信データを操作画面表示用制御情報に変換するデータ変換機能を有する、ユーザー側の端末」である点で共通する。

(2) 引用発明における「三次元測定機3」の「コンピュータ33」は、「遠隔操作端末2」から「操作指示を受信して制御装置32に測定コマンドを出力」する機能を有しているが、この機能を実現するために、「遠隔操作端末2」からの受信データを測定コマンドへ変換するデータ変換が行われており、かかる測定コマンドを「制御装置32」に送信していることが明らかである。
また、引用発明における「三次元測定機3」の「コンピュータ33」は、「測定データに対して必要な演算処理を実行」する機能を有しているが、「遠隔操作式測定システム」が「リアルタイムでマニュアル測定を行うことができる」ものとされ、「遠隔操作端末2」が「三次元測定機3から送られてきた測定結果を表示する」するとされていることからすれば、「三次元測定機3」の「コンピュータ33」が、測定データに対する演算処理の他に、「遠隔操作端末2」での表示に供するため、測定結果を送信データに変換して送信する機能を有していることが明らかである。
よって、「三次元測定機3」の「コンピュータ33」と、本件発明1における「インスタント・メッセンジャー機能、及び、前記測定制御用メッセージを測定機コマンドに変換して送信すると共に、前記測定機からの制御情報を操作画面表示用メッセージに変換するメッセージ変換機能、更に、音声を認識して制御コマンドに変換すると共に、前記測定機の応答を音声合成する音声認識・合成+メッセージ変換機能を有する、前記ユーザー側の携帯端末と交信可能な通信端末」とは、「前記測定制御用送信データを測定機コマンドに変換して送信すると共に、前記測定機からの制御情報を操作画面表示用送信データに変換するデータ変換機能を有する、前記ユーザー側の端末と交信可能な通信端末」である点で共通する。

(3) 引用発明における「三次元測定機3」の「プローブ42によってワーク41の所定寸法を測定する三次元測定機本体31」は、本件発明1における「測定機」が有する「測定部」に相当する。

(4) 引用発明における「三次元測定機3」の「制御装置32」は、「遠隔操作端末2からコンピュータ33を介して与えられる操作指示に基づいて三次元測定機本体31を制御する」機能を有しているが、上記(2)で述べたように、「三次元測定機3」の「コンピュータ33」が、「遠隔操作端末2」での表示に供するために測定結果を送信する機能を有しているのであるから、「三次元測定機3」の「制御装置32」は「コンピュータ33」に対し、測定結果を送信する機能を有していることが明らかである。
よって、「三次元測定機3」の「制御装置32」は、本件発明1における「測定機」が有する「前記通信端末からの指令により該測定部を動作させると共に測定結果を返信する制御部」に相当するといえる。

(5) 引用発明では、「制御装置32」が「コンピュータ33」と信号をやりとりするために「入出力部」を有していることが明らかであり、これが、本件発明1における「該通信端末と信号をやりとりするための入出力部」に相当する。

(6) 引用発明における「三次元測定機を遠隔場所から操作し、リアルタイムでマニュアル測定を行うことができる遠隔操作式測定システム」は、「通信回線を介して相互に接続され」て「操作指示」や「測定結果」をやりとりする「遠隔操作端末2と三次元測定機3とを備え」ており、この「遠隔操作式測定システム」と、本件発明1における「遠隔操作可能な自然会話型の測定システム」とは、「遠隔操作可能な対話型の測定システム」である点で共通する。


2 一致点及び相違点
上記1の対比の結果をまとめると、本件発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(1) 一致点
「 ユーザー入力を測定制御用送信データに変換すると共に、測定機からの受信データを操作画面表示用制御情報に変換するデータ変換機能を有する、ユーザー側の端末と、
前記測定制御用送信データを測定機コマンドに変換して送信すると共に、前記測定機からの制御情報を操作画面表示用送信データに変換するデータ変換機能を有する、前記ユーザー側の端末と交信可能な通信端末と、
該通信端末と信号をやりとりするための入出力部、測定部、及び、前記通信端末からの指令により該測定部を動作させると共に測定結果を返信する制御部を有する測定機と、
を備えたことを特徴とする遠隔操作可能な対話型の測定システム。」

(2) 相違点
ア 相違点1
本件発明1では、測定システムが「自然会話型」のシステムであって、ユーザー側の端末及び通信端末が共に「インスタント・メッセンジャー機能」を有しており、ユーザー側の端末は、「通話可能」であって「ユーザー入力を測定制御用メッセージに変換すると共に、測定機からのメッセージを操作画面表示用制御情報に変換するメッセージ情報変換機能、更に、音声と入力をメッセージに変換すると共に、前記測定機からの操作応答結果や測定結果を含む音声と情報を音声出力と画面表示に変換する音声+操作情報変換機能」を有し、通信端末は、「前記測定制御用メッセージを測定機コマンドに変換して送信すると共に、前記測定機からの制御情報を操作画面表示用メッセージに変換するメッセージ変換機能、更に、音声を認識して制御コマンドに変換すると共に、前記測定機の応答を音声合成する音声認識・合成+メッセージ変換機能」を有するのに対して、引用発明では、測定システムが「自然会話型」のシステムではなく、ユーザー側の端末及び通信端末が「インスタント・メッセンジャー機能」を有しておらず、「メッセージ」や「音声」に関する変換機能も有していない点。

イ 相違点2
ユーザー側の端末が、本件発明1では、「携帯端末」であるのに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。


3 相違点についての判断
(1) 相違点1について
上記第4の1で述べたように、引用発明は、「三次元測定機を遠隔場所から操作する」ため、「通信回線を介して相互に接続される遠隔操作端末2と三次元測定機3と」で、「操作指示」、「測定結果」及び「画像データ」をやりとりするものである。ここで、引用発明が使用する「通信回線」がどのようなものであるのかは特定されていないが、測定機器の遠隔制御又は監視にインターネットを用いることが、例示するまでもなく広く一般に知られており、また、上記第4の2で述べたように、引用文献2において、「インターネットを介して」「三次元測定機の遠隔制御」を行う技術が記載されている点にも鑑みれば、引用発明において、「遠隔操作端末2と三次元測定機3」の間の「通信回線」として、「インターネット」を採用することは、当業者が当然に考慮し得ることということができる。
一方、上記第4の3で述べたように、引用文献3には、
「加入者のみの選択グループに利用可能であるような非常に特殊な制御及び監視アプリケーションを必要としたり、監視アプリケーションに関するコストを増加させたりすることなく、様々な固定及び可搬の設備の遠隔監視及び制御を行うために、IPネットワークを介して互いに通信する遠隔設備側のコンピュータとユーザ側のモバイル装置とで、インスタントメッセージ及びボイスコール又はビデオコールが可能なスカイプアプリケーションを使用することとし、
ユーザは、モバイル装置を用いてインスタントメッセージ又は「ライトをつけて」などの音声によりコマンドを発し、
遠隔設備側のコンピュータは、ユーザ側から受信したインスタントメッセージのコマンドを設備に対する制御信号に変換し、若しくは、ユーザ側から受信した音声コマンドを音声認識モジュールによってテキストコマンドに変換してから設備に対する制御信号に変換して、設備を制御し、
また、遠隔設備側のコンピュータは、センサ状態の情報をインスタントメッセージとしてユーザ側に送信し、若しくは、センサ状態の情報をテキストストリングに変換してテキスト-スピーチコンバータにより「寝室の温度は75度です」などの音声プロンプトとしてユーザ側に送信し、
さらに、遠隔設備側のコンピュータは、ビデオカメラからの監視映像を取得し、ビデオファイルとして遠隔ユーザ側に送信する」
という技術事項が記載されている。
そして、引用発明と引用文献3に記載された技術事項とは、測定機器を遠隔場所から操作するため、通信回線を介して相互に接続される遠隔操作端末と測定機器とで、操作指示、測定結果及び画像データをやりとりするものであるという点で、互いに共通するものであり、引用発明は、引用文献3に記載された技術事項と同様に、「インターネット」を用いて遠隔操作端末と測定機器との間の通信を行い得るものであり、また、引用発明は、引用文献3に記載された技術事項のように、「加入者のみの選択グループに利用可能であるような非常に特殊な制御及び監視アプリケーションを必要としたり、監視アプリケーションに関するコストを増加させたりすること」がないようにするという課題をも、当然に有するものと認められる。
したがって、引用発明において、「加入者のみの選択グループに利用可能であるような非常に特殊な制御及び監視アプリケーションを必要としたり、監視アプリケーションに関するコストを増加させたりすること」がないようにするために、上述のような共通点を有する引用文献3に記載された技術事項を採用し、「遠隔操作端末2と三次元測定機3」とで、「インスタントメッセージ及びボイスコール又はビデオコールが可能なスカイプアプリケーションを使用する」ようにして、「遠隔操作端末2」を使用するユーザが、「インスタントメッセージ又は」「音声によりコマンドを発」するようにし、「三次元測定機3」の「コンピュータ33」は、「ユーザ側から受信したインスタントメッセージのコマンドを設備に対する制御信号に変換し、若しくは、ユーザ側から受信した音声コマンドを音声認識モジュールによってテキストコマンドに変換してから設備に対する制御信号に変換」するようにし、また、「三次元測定機3」の「コンピュータ33」は、「測定結果」を「インスタントメッセージとしてユーザ側に送信し、若しくは、」「テキストストリングに変換してテキスト-スピーチコンバータにより」「音声プロンプトとしてユーザ側に送信」するようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことということができる。
そのようにした場合、「遠隔操作端末2と三次元測定機3」とで使用することになる「インスタントメッセージ及びボイスコール又はビデオコールが可能なスカイプアプリケーション」が、本件発明におけるユーザー側の端末及び通信端末が共に有する「インスタント・メッセンジャー機能」に相当し、通信端末を「通話可能」とする機能にも相当する。また、「遠隔操作端末2」を使用するユーザが、「インスタントメッセージ又は」「音声によりコマンドを発」するようになり、「三次元測定機3」の「コンピュータ33」は、「測定結果」を「インスタントメッセージとしてユーザ側に送信し、若しくは、」「テキストストリングに変換してテキスト-スピーチコンバータにより」「音声プロンプトとしてユーザ側に送信」するようになることから、「遠隔操作端末2」が、本件発明における「ユーザー側の端末」が有する「ユーザー入力を測定制御用メッセージに変換すると共に、測定機からのメッセージを操作画面表示用制御情報に変換するメッセージ情報変換機能、更に、音声と入力をメッセージに変換すると共に、前記測定機からの操作応答結果や測定結果を含む音声と情報を音声出力と画面表示に変換する音声+操作情報変換機能」に相当する機能を有することになることが、明らかである。また、「三次元測定機3」の「コンピュータ33」は、「ユーザ側から受信したインスタントメッセージのコマンドを設備に対する制御信号に変換し、若しくは、ユーザ側から受信した音声コマンドを音声認識モジュールによってテキストコマンドに変換してから設備に対する制御信号に変換」するようになり、「測定結果」を「インスタントメッセージとしてユーザ側に送信し、若しくは、」「テキストストリングに変換してテキスト-スピーチコンバータにより」「音声プロンプトとしてユーザ側に送信」するようになることから、「三次元測定機3」の「コンピュータ33」が、本件発明における「通信端末」が有する「前記測定制御用メッセージを測定機コマンドに変換して送信すると共に、前記測定機からの制御情報を操作画面表示用メッセージに変換するメッセージ変換機能、更に、音声を認識して制御コマンドに変換すると共に、前記測定機の応答を音声合成する音声認識・合成+メッセージ変換機能」に相当する機能を有することになることが、明らかである。更に、引用文献3に記載された技術事項によれば、ユーザから遠隔設備側に対し「ライトをつけて」との音声が送信され、また、遠隔設備側からユーザに対し「寝室の温度は75度です」との音声が送信されるなど、ユーザと遠隔設備側のコンピュータとの間で、自然会話のような音声のやりとりがされていることが理解でき、かかる技術事項を引用発明に採用した場合には、「遠隔操作端末2」を使用するユーザと「三次元測定機3」の「コンピュータ33」との間で、自然会話のような音声のやりとりがされることになるといえる。したがって、引用発明において、引用文献3に記載された技術事項を採用した場合に、相違点1に係る本件発明の構成を備えるようになることは明らかである。

(2) 相違点2について
ユーザ側の「携帯端末」によって機器の遠隔制御又は監視を行うことは周知の技術であって、引用文献3にも「ユーザ側のモバイル装置」によって「設備の遠隔監視及び制御を行う」技術が記載されていることからすれば、引用発明において、そのような周知の技術を採用し、ユーザ側の「遠隔操作端末2」を「携帯端末」とすることは、ユーザ側で必要とする演算処理能力や可搬性等にも応じて、当業者が適宜決定し得る単なる設計的事項にすぎないというべきである。


4 請求人の主張について
請求人は令和元年 5月24日に提出した意見書において、本件発明は、単に「測定開始」や「結果表示」等の単語認識をするだけでなく、自然言語処理によって測定機と自然会話しながら制御できるようにしたものであるのに対し、引用文献3には、「音声認識機能」と「音声合成機能」を設けることが記載されているだけであって、「自然言語処理」を可能とすることまでは記載されていないことから、引用文献3に記載された技術事項に基づき、「自然言語で会話できる測定機」を当業者が容易に想到し得るということはでいないという旨の主張をしている。
しかしながら、本件出願の請求項1では、単に「自然会話型」と記載されているのみであって、具体的にどのようにして「自然会話」を実現しているのか等が何ら特定されておらず、一方、引用文献3には、上記3の(1)で述べたように、ユーザと遠隔設備側のコンピュータとの間で、「ライトをつけて」や「寝室の温度は75度です」などの音声のやりとりがされることが示されており、これは、請求人のいうような単なる単語の認識ではなく、自然会話にあるような文の認識であると認められるから、本件発明の「自然会話型」という事項と、引用文献3に示されている、「ライトをつけて」や「寝室の温度は75度です」などの音声のやりとりがされるという事項との間に、差異があるとは認められない。
ただし、引用文献3においても、「ライトをつけて」や「寝室の温度は75度です」などの音声のやりとりが具体的にどのようにして実現されているのかが明確に記載されていないことから、請求人のいう単なる単語認識の延長線上にあるような、単なる定型文の認識によってこれが実現される可能性も否定できず、そのような手法が本件発明における「自然会話型」という事項の範疇に含まれないと解せるのであれば、この点は一応、両者の差異であるといえる。しかしながら、請求人も上記意見書において、本件出願の出願前に発行された文献を参照しつつ「人がコンピュータと直接コミュニケーションする」には「基本技術である」「自然言語処理」が必要であると述べているように、単なる定型文の認識ではない「自然言語処理」の技術は、本件出願の出願前に周知の技術となっており、引用文献3に接した当業者であれば、「ライトをつけて」や「寝室の温度は75度です」などの音声のやりとりを実現するために、周知の「自然言語処理」の技術を採用すべきということを、当然に考慮し得るものと認められる。
以上によれば、上記3の(1)で述べたように、引用発明において引用文献3に記載された技術事項を採用した場合には、「自然会話型」の測定システムが実現されることが明らかといわざるを得ない。
よって、請求人の主張は採用することができない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び引用文献3に記載された技術事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-08-19 
結審通知日 2019-08-20 
審決日 2019-09-02 
出願番号 特願2014-14980(P2014-14980)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河内 悠三好 貴大  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 濱野 隆
櫻井 健太
発明の名称 遠隔操作可能な自然会話型の測定システム  
代理人 須藤 修三  
代理人 高矢 諭  
代理人 藤田 崇  
代理人 特許業務法人MTS国際特許事務所  
代理人 松山 圭佑  

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