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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A24F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A24F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A24F |
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管理番号 | 1356612 |
審判番号 | 不服2017-19386 |
総通号数 | 240 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-12-27 |
確定日 | 2019-10-29 |
事件の表示 | 特願2015-514514号「電気作動式エアロゾル発生システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月5日国際公開、WO2013/178769、平成27年8月20日国内公表、特表2015-523857号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2013年5月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年5月31日 欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、平成29年8月28日付けで拒絶査定され、これに対し、同年12月27日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされ、その後、当審において平成30年10月3日付けで拒絶理由が通知され、平成31年3月7日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成31年3月7日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 電気作動式エアロゾル発生装置と、該装置と共に使用するためのエアロゾル発生物品とを備えたシステムであって、前記エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成材料を含む、均質化タバコ材料の成形シートである第1のシート(2)と、非タバコ材料の第2のシート(3)とを有するロッドを含むエアロゾル形成基材を有し、前記第1のシートは、粒子状タバコと該粒子状タバコを塊にする支援となるバインダとエアロゾル形成体を含み且つ前記粒子状タバコを塊にすることで形成されており、前記第1のシート及び前記第2のシートは、ロッドの円筒軸に対して実質的に横方向に、共に折り重ねられ、及び/又は、圧縮され又は収縮されるように、共にギャザー加工されてラッパー(12)に取り巻かれる、ことを特徴とするシステム。」 第3 拒絶理由の概要 当審において、平成30年10月3日付けで通知した拒絶理由の概要は、概略次のとおりである。 1.(新規性)この出願の請求項1,3,4,9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の請求項1,3,4,9に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の引用例1に記載された発明に基いて、請求項2に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の引用例1,2に記載された発明に基いて、請求項5に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の引用例1?3に記載された発明に基いて、また、請求項6?8,10に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の引用例1?4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.(明確性)この出願は、請求項1の「ロッドは、断面が実質的に均一である」及び「実質的均一」の記載は不明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 刊行物一覧: 引用例1.国際公開第2010/113702号 引用例2.特開平2-53476号公報 引用例3.特開平9-316420号公報 引用例4.特開平9-107942号公報 第4 新規性・進歩性についての検討 1.引用例1の記載 引用例1には、図面とともに次の記載がある。 (下線は、理解の一助のために、当審が付与したものである。) (1)「非燃焼型喫煙物品用シート10は、裏打ちシート11上に、炭素質熱源シート部分12と香味発生シート部分13とが横並びに隣接して一体化されたものである。炭素質熱源シート部分12の幅W1は、通常、5?20mmであり、香味発生シート部分13の幅W2は、通常、20?40mmである。 裏打ちシート11としては、紙、アルミニウム箔、アルミニウムラミネート紙などが用いられる。なお、一体化された炭素質熱源シート部分12および香味発生シート部分13が自己支持性を有する場合には、必ずしも支持基材は用いる必要はない。なお、裏打ちシート11は、図1において、破線で示すように、炭素質熱源シート部分12のみを全体に裏打ちする第1の部分11aと、香味発生シート部分13のみを全体に裏打ちする第2の部分11bとに分割することができる。その場合、シート10を含むシガレットにおいて、炭素質熱源シート部分の燃焼に伴い、香味発生シート部分が燃えにくくするように、第1の部分11bを、アルミニウム箔、アルミニウムラミネート紙等の不燃性材料で形成することができる。」([0016]?[0017]) (2)「香味発生シート部分13は、香味発生組成物で作られる。香味発生組成物は、シート形成材と香味発生剤を含む。シート形成材としては、炭素質熱源シート部分に使用されるバインダ、カードランのようなグルカン等の熱不可逆凝固性グルカンを使用することができる。熱不可逆凝固性グルカンは、ゲル化臨界温度以上の温度(例えば、カードランにあっては80℃以上の温度)に加熱すると、ゲル化し、このゲルは、これを再び加熱しても溶融することがない。さらに、シート形成材としては、パルプと上記バインダとの組み合わせを用いることができる。 香味発生シート部分13に含まれる香味発生剤には、葉たばこ抽出エキス、天然植物性香料(例えば、リコリス、セントジョンズブレッド、スモモエキス、ピーチエキス等)、酸類(例えば、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等)、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、異性化糖等)、ニコチン塩(例えば、クエン酸ニコチン等)等の親水性香味発生剤、メントール、ココア類(パウダー、エキス等)、エステル類(例えば、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、プロピオン酸イソアミル、酪酸リナリル等)、天然精油類(植物性として、例えば、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カシア、ジャスミン等;動物性として、例えば、ムスク、アンバー、シベット、カストリウム等)、単体香料(例えば、アネトール、リモネン、リナロール、オイゲノール等)等の疎水性香味発生剤が含まれる。これら香味剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら香味発生剤の香味発生シート部分中の濃度は、香味発生材を加熱したときに、味覚・嗅覚を通じてヒトの嗜好を満足させるに充分な濃度であればよく、その濃度は、任意に調節することができる。より具体的には、香味発生剤は、最終香味発生材中に、極微量ないし20重量%、好ましくは5ないし10重量%の割合で存在する。さらに、香味発生剤としては、タバコ刻または粉末を用いることができる。タバコ刻または粉末は、香味発生シート部分中に、5?80重量%の量で配合することができる。 香味発生組成物は、加熱されることによりエアロゾルを発生するエアロゾル発生物質を含むことが好ましい。エアロゾル発生物質としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の多価アルコール、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチル等のカルボン酸脂肪族エステルを用いることができる。エアロゾル発生物質は、香味発生シート部分中に、 1?80重量%の量で用いることができる。 本発明の非燃焼型喫煙物品用シート10は、(i)炭素質熱源組成物のスラリー(a)および香味発生組成物のスラリー(b)をそれぞれ調製する工程と、(ii)支持体上にスラリー(a)および(b)を隣接させてキャストする工程と、(iii)前記キャストしたスラリー(a)および(b)を乾燥することによって炭素質熱源シート部分と香味発生シート部分とを隣接した状態で一体化させる工程とを含む方法により製造することができる。 工程(i)において、炭素質熱源組成物スラリーおよび香味発生組成物スラリーは、それぞれ、上記炭素質熱源組成物および上記香味発生組成物に水を加えて調製することができる。 工程(ii)において、支持体上に炭素質熱源組成物スラリーと香味発生組成物スラリーとを隣接させてキャストする。支持体としては、例えば金属プレートを用いることができる。あるいは、支持体として上記裏打ち材を用い、その裏打ち材上に炭素質熱源組成物スラリー(a)と香味発生組成物スラリー(b)とを隣接させてキャストしてもよい。金属プレート上にキャストした場合には裏打ち材を含まない非燃焼型喫煙物品用シートを作製することができ、裏打ち材上でキャストした場合には裏打ち材を含む非燃焼型喫煙物品用シートを作製することができる。 工程(iii)において、工程(ii)でキャストしたスラリーを乾燥する。乾燥は60?170℃の温度で行うことができる。」([0024]?[0030]) (3)「図2に示すように、本発明の非燃焼型喫煙物品20は、非燃焼型喫煙物品用シート10を折り畳んで円筒体21中に収容することで製造することができる。図3に、非燃焼型喫煙物品用シート10の円筒体21中での収容形態の一例を示す。図3では、1枚のシート10が、先端の熱源部から後端の香味発生部へ延びる空気流路101を形成するように折り畳まれて円筒体21中に収容されている。 本発明の非燃焼型喫煙物品20は、上記のように非燃焼型喫煙物品用シート10を折り畳んで円筒体21中に収容するという、従来の方法と比べて非常に簡便な工程で製造することができ、例えばロボットによる製造も期待できる。 本発明の非燃焼型喫煙物品用シート10を収容する円筒体21は、例えば、通常のシガレット巻紙、再生タバコシート(圧延法、スラリー法、抄造法再生タバコシートあるいは不織再生タバコシート等)、高坪量の巻紙(坪量50g/m^(2)以上)のような紙シート、アルミニウムシート、アルミニウムラミネート紙等で構成することができる。円筒体21は、着火端を含む先端部と、後に説明するフィルタが接続する基端を含む基端部と、先端部と基端部との間に位置する中間部を規定すると規定することができる。折り畳まれ、円筒体に収容されたたシートにおいて、炭素質熱源シート部分は、円筒体の先端部内に配置される。」([0031]?[0033]) (4)「本発明の非燃焼型喫煙物品用シート10の炭素質熱源シート部分12は、折り畳まれた状態で通常のシガレットと同様にライターにより短時間(例えば2秒)で着火させることができる。着火後、喫煙物品10を吸口端部(フィルタ22)から吸引すると、円筒体21に収容されたシートにより形成された空気流路を通って空気が吸引され、炭素質熱源シート部分12の燃焼熱により加熱される。この加熱された空気は、香味発生シート部分13を通る間にこれを加熱して香味を発生させる。発生した香味は、フィルタ22を介して喫煙者によって味わわれる。本発明の非燃焼型喫煙物品用シート10により構成される非燃焼型喫煙物品20は、1、2パフ目から最後のパフまでほぼ一定の香味を呈することを可能にする。」([0035]) (5)「実施例1および比較例1?2 カーボン粒子30重量%、炭酸カルシウム45重量%、グリセリン15重量%、およびアルギン酸アンモニウム(バインダ)10重量%からなる炭素質熱源混合物と、タバコ粉末58重量%、パルプ30重量%、グリセリン5重量%、メチルヒドロキシエチルセルロース(バインダ)7重量%からなる香味発生混合物をそれぞれミキサで混合した。各混合物に、それらをスラリーとするのに必要な量の水を加えて、炭素質熱源混合物のスラリーと、香味発生混合物のスラリーとをそれぞれ調製した。これら2種のスラリーを、金属プレート上での厚さが0.15mmとなるように隣接させながら流延した後、80℃に設定した恒温槽で約1時間乾燥した。こうして、炭素質熱源シート部分と香喫味発生シートが隣接して一体化した喫煙物品用シートを得た。炭素質熱源シート部分が幅(W1、図1参照)10mmで長さ90mmとなるように、香味発生シート部分が幅(W2、図1参照)31mmで長さ90mmとなるように切断した。」([0038]) (6)「以上の作製した実施例1の喫煙物品試料と、比較例1および比較例2の喫煙物品を、カナダ強制喫煙条件(喫煙容量55mL/2秒;吸煙間隔30秒;ベントブロック100%)の下で吸煙させた。着火に際し、比較例1の喫煙物品および比較例2の喫煙物品は、日本たばこ協会(TIOJ)法に準拠して電気式ライターで30秒間加熱しなければならなかったのに対し、実施例1の喫煙物品試料は通常のシガレットと同様に2秒で着火することができた。」([0043]) (7)「 」 (8)「 」 (9)「 」 上記(1)?(9)から、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「電気式ライターと、該ライターで着火する炭素質熱源シート部分により加熱される非燃焼型喫煙物品であって、前記非燃焼型喫煙物品は、タバコ刻または粉末を用いる香味発生剤を含む香味発生組成物で作られる香味発生シート部分と、紙、アルミニウム箔、アルミニウムラミネート紙などが用いられる裏打ちシートとを含む非燃焼型喫煙物品用シートを有し、前記香味発生シート部分は、タバコ刻または粉末を用いる香味発生剤とパルプとバインダとの組み合わせを用いるシート形成材とエアロゾル発生物質を含み、前記香味発生シート部分及び裏打ちシートは、円筒体の円筒軸に対して実質的に横方向に、共に折り畳まれて円筒体中に収容されているもの。」 2.対比 以下、本願発明と引用発明を対比する。 (1)引用発明の「電気式ライター」は、「非燃焼型喫煙物品」の炭素質熱源シート部分に着火することによりエアロゾルを発生させるものである(上記、1.(2)、(4)、(6)参照。)から、引用発明の「電気式ライター」及び、「非燃焼型喫煙物品」は、それぞれ本願発明の「電気作動式エアロゾル発生装置」及び、「エアロゾル発生物品」に相当するものであり、両者は「共に使用」することにより「システム」を構成するものである。 (2)本願明細書の段落【0019】の「本明細書で使用する「エアロゾル形成材料」という用語は、加熱時に揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生させることができる材料を意味する。エアロゾル形成基材は、エアロゾル形成材料を含み、又はエアロゾル形成材料で構成することができる。」の記載及び【0073】の「加熱要素を有する電気作動式エアロゾル発生システムで使用するためのロッドでは、エアロゾル形成体がグリセリンであることが好ましい。」の記載からすれば、本願発明の「エアロゾル形成材料」とは、エアロゾル形成体としてのグリセリンを指すものと認められるところ、引用発明の「香味発生組成物」は、エアロゾル発生物質としてグリセリンを含んでいる(上記、1.(2)参照。)から、引用発明の「香味発生組成物」は、本願発明の「エアロゾル形成材料」に相当する。 また、引用発明の「香味発生剤」はタバコ刻または粉末を配合しており(上記、1.(2)参照。)、引用発明の「香味発生剤」と本願発明の「均質化タバコ材料」は、「タバコ材料」である点で一致する。 よって、引用発明の「タバコ刻または粉末を用いる香味発生剤を含む香味発生組成物で作られる香味発生シート部分」は、裏打ち材上にキャストすることによりそれ自体シートとしての構成を備えるものである(上記、1.(2)参照。)から、本願発明の「エアロゾル形成材料を含む、均質化タバコ材料の成形シートである第1のシート」と、「エアロゾル形成材料を含む、タバコ材料を含む第1のシート」という限りにおいて一致する。 また、引用発明の「紙、アルミニウム箔、アルミニウムラミネート紙などが用いられる裏打ちシート」は、非タバコ材料であるから、本願発明の「非タバコ材料の第2のシート」に相当する。 そして、引用発明においても、当該香味発生シート部分(第1のシート)と裏打ちシート(第2のシート)は、円筒体内に収容されることによりロッドとしての構成を有する(上記、1.(3)、(8)、(9)参照。)。 以上のことから、引用発明の「タバコ刻または粉末を用いる香味発生剤を含む香味発生組成物で作られる香味発生シート部分と、紙、アルミニウム箔、アルミニウムラミネート紙などが用いられる裏打ちシートとを含む非燃焼型喫煙物品用シート」と本願発明の「エアロゾル形成材料を含む、均質化タバコ材料の成形シートである第1のシート(2)と、非タバコ材料の第2のシート(3)とを有するロッドを含むエアロゾル形成基材」は、「エアロゾル形成材料を含む、タバコ材料を含む第1のシートと、非タバコ材料の第2のシートとを有するロッドを含むエアロゾル形成基材」という限りにおいて一致する。 (3)引用発明の「タバコ刻または粉末」、「パルプとバインダとの組み合わせ」及び「エアロゾル発生物質」は、それぞれ本願発明の「粒子状タバコ」、「バインダ」及び「エアロゾル形成体」に相当する。 よって、引用発明の「香味発生シート部分」と本願発明の「第1のシート」は、粒子状タバコとバインダとエアロゾル形成体を含むという限りにおいて一致する。 (4)引用発明の「円筒体」は、通常のシガレット巻紙や高坪量の巻紙等から構成され、香味発生シート部分及び裏打ちシートを収容するものである(上記1.(3)参照。)から、本願発明の「ラッパー」に相当し、図3の記載を参照すれば、引用発明の香味発生シート部分及び裏打ちシートは、円筒体の円筒軸に対して実質的に横方向に、共に折り畳まれて円筒体中に収容されていることが明らかである(上記、1.(3)、(8)、(9)参照。)から、引用発明の香味発生シート部分及び裏打ちシートも、本願発明同様、「ロッドの円筒軸に対して実質的に横方向に、共に折り重ねられ、及び/又は、圧縮され又は収縮されるように、共にギャザー加工されてラッパー(12)に取り巻かれ」ている。 上記(1)?(4)によれば、本願発明と引用発明は、次の一致点及び相違点を有する。 【一致点】 電気作動式エアロゾル発生装置と、該装置と共に使用するためのエアロゾル発生物品とを備えたシステムであって、前記エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成材料を含む、タバコ材料を含む第1のシートと、非タバコ材料の第2のシートとを有するロッドを含むエアロゾル形成基材を有し、前記第1のシートは、粒子状タバコとバインダとエアロゾル形成体を含み、前記第1のシート及び前記第2のシートは、ロッドの円筒軸に対して実質的に横方向に、共に折り重ねられ、及び/又は、圧縮され又は収縮されるように、共にギャザー加工されてラッパーに取り巻かれる、ことを特徴とするシステム。 【相違点】 本願発明の、第1のシートが、均質化タバコ材料の成形シートであり、粒子状タバコと該粒子状タバコを塊にする支援となるバインダとエアロゾル形成体を含み且つ前記粒子状タバコを塊にすることで形成されているのに対し、引用発明は、香味発生シート部分(第1のシート)は、タバコ刻または粉末(粒子状タバコ)とパルプとバインダとの組み合わせ(バインダ)とエアロゾル発生物質(エアロゾル形成体)を含むが、本願発明のように形成された均質化タバコ材料の成形シートであるか不明である点。 3.判断 上記相違点について検討すると、引用発明の香味発生シート部分は、香味発生組成物で作られており、当該香味発生組成物は、パルプとバインダとの組み合わせ(バインダ)からなるゲル化した「シート形成材」とタバコ刻または粉末(粒子状タバコ)からなる「香味発生剤」を含むと共に、エアロゾル発生物質(エアロゾル形成体)を含み、当該香味発生組成物は、水を加えてスラリーとして調整したのち、キャストされてシート状に成形され乾燥されるものである(上記1.(2)参照。)。 してみれば、当該パルプとバインダとの組み合わせ(バインダ)は、キャストして乾燥した後に、タバコ刻または粉末(粒子状タバコ)がシートとして塊となるのを支援しているものと認められるし、また、当該タバコ刻または粉末(粒子状タバコ)は、調整したスラリー内において均質になっているものと認められるから、キャストされ乾燥されたシートは、均質化タバコ材料の成形シートとなっているものと認められる。 よって、上記相違点に係る構成は、本願発明と引用発明との実質的な相違点とは認められず、本願発明は引用発明と同一であるか、相違があるとしても当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。 なお、引用例1の香味発生シート部分は1枚のシートの部分であり炭素質熱源シート部分も存在するが、本願発明のエアロゾル発生物品は当該炭素質熱源シート部分の存在を必ずしも排除するものではないし、当該炭素質熱源シート部分への着火は香味発生シート部分の加熱のための構成である(上記1.(5)参照。)ところ、エアロゾル発生物品の加熱にあたって、香味発生シート部分(すなわち、タバコ材料を含んだ部分)を直接電気ヒータ等により加熱することは、例えば、米国特許第5591368号明細書や特開2010-178730号公報や特開平7-184627号公報に記載されているように周知の手段にすぎない。 よって、本願発明は引用発明であるか、引用発明及び周知の手段に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願請求項1記載の発明(本願発明)は、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項や他の理由について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-05-28 |
結審通知日 | 2019-06-03 |
審決日 | 2019-06-17 |
出願番号 | 特願2015-514514(P2015-514514) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A24F)
P 1 8・ 113- WZ (A24F) P 1 8・ 537- WZ (A24F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮崎 賢司 |
特許庁審判長 |
松下 聡 |
特許庁審判官 |
井上 哲男 莊司 英史 |
発明の名称 | 電気作動式エアロゾル発生システム |
代理人 | 近藤 直樹 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | 上杉 浩 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 須田 洋之 |
代理人 | 豊島 匠二 |
代理人 | 西島 孝喜 |