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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61M
管理番号 1357336
審判番号 不服2018-9479  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-09 
確定日 2019-11-21 
事件の表示 特願2015-533724「保護シースを有するカテーテルアセンブリ及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月 3日国際公開、WO2014/049482、平成27年10月15日国内公表、特表2015-530177〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)9月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年(平成24年)9月27日 イタリア)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 5月 1日 :国内書面提出
平成29年 5月11日付け:拒絶理由通知書
平成29年10月16日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 3月 6日付け:拒絶査定
平成30年 7月 9日 :審判請求書、手続補正書の提出
平成30年 7月23日 :手続補正書(審判請求書)の提出

第2 平成30年7月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年7月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正前の、平成29年10月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
ガイドワイヤチャネル(12)及びインフレーションチャネル(16)を備えるコネクタ(8)と、
近位端(24)から遠位端(28)まで軸方向(X-X)に沿って延在し、ガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)を有するシャフト(20)とを備え、
前記シャフト(20)が、その近位端(24)においてコネクタ(8)に接続されて、前記ガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)がそれぞれ前記ガイドワイヤチャネル(12)及びインフレーションチャネル(16)と機械的かつ流体的に接続されており、
前記機械的かつ流体的な接続が、前記シャフト(20)の前記近位端(24)においてカテーテル(4)のキンク部(44)に対応させて実現され、前記キンク部(44)が、前記コネクタ(8)に対する前記シャフト(20)の相対的な屈曲を可能とするように可撓性を有する、カテーテル(4)において、
前記ガイドワイヤルーメン及びインフレーションルーメン(32,36)とは反対側の前記シャフト(20)の外壁(56)の周囲に設置された保護シース(52)を備え、該保護シース(52)が、前記シャフト(20)の前記外壁(56)と前記キンク部(44)の内壁(64)とが直接接触して固定されるように前記シャフト(20)の前記近位端(24)から第1の距離(L1)に軸方向に設置された第1シース端(60)から、前記シャフト(20)の前記外壁(56)と前記キンク部(44)の前記内壁(64)とが直接接触して固定されるのを避けるように少なくとも前記キンク部(44)の第2キンク端(42)に対応させて軸方向に延在している第2シース端(68)まで延在していることを特徴とするカテーテル(4)。
【請求項2】
前記第2シース端(68)が、前記キンク部(44)の前記第2キンク端(42)から第2の距離(L2)だけ延びている、請求項1に記載のカテーテル(4)。
【請求項3】
前記第1の距離(L1)が1?50mmである、請求項1又は2に記載のカテーテル(4)。
【請求項4】
前記第1の距離(L1)が1?20mmである、請求項1、2又は3に記載のカテーテル(4)。
【請求項5】
前記第1の距離(L1)が2?10mmである、請求項1?4のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項6】
前記第2の距離(L2)が0?100mmである、請求項2に記載のカテーテル(4)。
【請求項7】
前記第2の距離(L2)が2?50mmである、請求項2に記載のカテーテル(4)。
【請求項8】
前記第2の距離(L2)が2?10mmである、請求項2に記載のカテーテル(4)。
【請求項9】
前記保護シース(52)が、前記カテーテル(4)を前記キンク部(44)に対応させて屈曲させている間前記保護シース(52)及びシャフト(20)を相対移動できるように、前記シャフト(20)の周りに軸方向に設置されている、請求項1?8のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項10】
前記保護シース(52)が、カテーテルをモールドしている間、前記保護シース(52)と前記キンク部(44)との間から溶融材料が漏出するのを避けるように、前記第2シース端(68)に対応させて前記シャフト(20)の前記外壁(56)の周囲に密接し、前記シャフト(20)が、前記キンク部(44)を屈曲させている間前記保護シース(52)に対して軸方向に相対移動することが可能になっている、請求項1?9のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項11】
前記保護シース(52)の前記第2シース端(68)が、カテーテルをモールドしている間、前記保護シース(52)と前記キンク部(44)との間から溶融材料が漏出するのを避けるように、テーパ化又は面取りされている、請求項1?10のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項12】
前記シャフト(20)の前記近位端(24)が、前記コネクタ(8)の軸方向当接部(40)に接触している、請求項1?11のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項13】
前記キンク部(44)が、軸方向及び前記軸方向(X-X)に対して垂直な横方向(Y-Y)の両方に指向された複数のリブ(48)を備える、請求項1?12のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項14】
前記シャフト(20)及び前記コネクタ(8)がポリマー材料で作られる、請求項1?13のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項15】
前記シャフト(20)及び前記コネクタ(8)が、それらの間により良好な封止を得るために同じポリマー材料で作られる、請求項1?14のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項16】
前記カテーテル(4)が同軸又はデュアルルーメン構成を有する、請求項1?15のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項17】
請求項1?16のいずれか一項に記載のカテーテル(4)を製造する方法であって、
近位端(24)から遠位端(28)まで軸方向(X-X)に沿って延在し、ガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)を有するシャフト(20)を設ける工程と、
前記ガイドワイヤルーメン及びインフレーションルーメン(32,36)とは反対側の前記シャフト(20)の外壁(56)の周囲に設置され、第1シース端(60)から第2シース端(68)まで延在し、前記シャフト(20)に対して軸方向に相対移動可能である保護シース(52)を設ける工程と、
前記第1シース端(60)が、前記シャフト(20)の前記近位端(24)から第1の距離(L1)に軸方向に設置される工程と、
射出成形によって前記シャフト(20)の前記近位端(24)上にコネクタ(8)及びキンク部(44)をオーバーモールドする工程であって、前記コネクタ(8)が、それぞれ前記ガイドワイヤルーメン(32)及び前記インフレーションルーメン(36)と流体的かつ機械的に接続されたガイドワイヤチャネル(12)及びインフレーションチャネル(16)を備える工程とを含み、
前記オーバーモールドする工程が、前記シャフト(20)の前記外壁(56)を前記コネクタ(8)の内壁(64)と前記第1の距離(L1)に沿って機械的に接続し、
前記オーバーモールドが、前記キンク部(44)の第2キンク端(42)まで延び、前記第2キンク端(42)が、前記第2シース端(68)の前方第2の距離(L2)の位置に軸方向に設置されて、前記シャフト(20)が前記保護シース(52)に対して軸方向に相対移動可能な状態で、前記シャフト(20)の前記外壁(56)と前記キンク部(44)の前記内壁(64)とが直接接触して固定されるのを避ける方法。
【請求項18】
前記シャフト(20)と前記コネクタ(8)との間の封止を向上させるために前記シャフト(20)の前記近位端(24)に対して前処理技術を施す工程を含み、前記前処理技術が、プラズマ処理、コロナ処理、又は、プライマー若しくは接着剤系材料の塗布を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記シャフト(20)及び前記コネクタ(8)が、それらの間により良好な封止を得るために同じポリマー材料で作られる、請求項17又は18に記載の方法。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
ガイドワイヤチャネル(12)及びインフレーションチャネル(16)を備えるコネクタ(8)と、
近位端(24)から遠位端(28)まで軸方向(X-X)に沿って延在し、デュアルルーメンとしてガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)を有するシャフト(20)とを備え、
前記シャフト(20)が、その近位端(24)においてコネクタ(8)に接続されて、前記ガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)がそれぞれ前記ガイドワイヤチャネル(12)及びインフレーションチャネル(16)と機械的かつ流体的に接続されており、
前記機械的かつ流体的な接続が、前記シャフト(20)の前記近位端(24)においてカテーテル(4)のキンク部(44)に対応させて実現され、前記キンク部(44)が、前記コネクタ(8)に対する前記シャフト(20)の相対的な屈曲を可能とするように可撓性を有する、カテーテル(4)において、
前記ガイドワイヤルーメン及びインフレーションルーメン(32,36)とは反対側の前記シャフト(20)の外壁(56)の周囲に設置された保護シース(52)を備え、該保護シース(52)が、前記シャフト(20)の前記外壁(56)と前記キンク部(44)の内壁(64)とが直接接触して固定されるように前記シャフト(20)の前記近位端(24)から第1の距離(L1)に軸方向に設置された第1シース端(60)から、前記シャフト(20)の前記外壁(56)と前記キンク部(44)の前記内壁(64)とが直接接触して固定されるのを避けるように少なくとも前記キンク部(44)の第2キンク端(42)に対応させて軸方向に延在している第2シース端(68)まで延在していることを特徴とするカテーテル(4)。
【請求項2】
前記第2シース端(68)が、前記キンク部(44)の前記第2キンク端(42)から第2の距離(L2)だけ延びている、請求項1に記載のカテーテル(4)。
【請求項3】
前記第1の距離(L1)が1?50mmである、請求項1又は2に記載のカテーテル(4)。
【請求項4】
前記第1の距離(L1)が1?20mmである、請求項1、2又は3に記載のカテーテル(4)。
【請求項5】
前記第1の距離(L1)が2?10mmである、請求項1?4のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項6】
前記第2の距離(L2)が1?100mmである、請求項2に記載のカテーテル(4)。
【請求項7】
前記第2の距離(L2)が2?50mmである、請求項2に記載のカテーテル(4)。
【請求項8】
前記第2の距離(L2)が2?10mmである、請求項2に記載のカテーテル(4)。
【請求項9】
前記保護シース(52)が、前記カテーテル(4)を前記キンク部(44)に対応させて屈曲させている間前記保護シース(52)及びシャフト(20)を相対移動できるように、前記シャフト(20)の周りに軸方向に設置されている、請求項1?8のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項10】
前記保護シース(52)が、カテーテルをモールドしている間、前記保護シース(52)と前記キンク部(44)との間から溶融材料が漏出するのを避けるように、前記第2シース端(68)に対応させて前記シャフト(20)の前記外壁(56)の周囲に密接し、前記シャフト(20)が、前記キンク部(44)を屈曲させている間前記保護シース(52)に対して軸方向に相対移動することが可能になっている、請求項1?9のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項11】
前記保護シース(52)の前記第2シース端(68)が、カテーテルをモールドしている間、前記保護シース(52)と前記キンク部(44)との間から溶融材料が漏出するのを避けるように、テーパ化又は面取りされている、請求項1?10のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項12】
前記シャフト(20)の前記近位端(24)が、前記コネクタ(8)の軸方向当接部(40)に接触している、請求項1?11のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項13】
前記キンク部(44)が、軸方向及び前記軸方向(X-X)に対して垂直な横方向(Y-Y)の両方に指向された複数のリブ(48)を備える、請求項1?12のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項14】
前記シャフト(20)及び前記コネクタ(8)がポリマー材料で作られる、請求項1?13のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項15】
前記シャフト(20)及び前記コネクタ(8)が、それらの間により良好な封止を得るために同じポリマー材料で作られる、請求項1?14のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項16】
前記カテーテル(4)が同軸又はデュアルルーメン構成を有する、請求項1?15のいずれか一項に記載のカテーテル(4)。
【請求項17】 請求項1?16のいずれか一項に記載のカテーテル(4)を製造する方法であって、
近位端(24)から遠位端(28)まで軸方向(X-X)に沿って延在し、ガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)を有するシャフト(20)を設ける工程と、
前記ガイドワイヤルーメン及びインフレーションルーメン(32,36)とは反対側の前記シャフト(20)の外壁(56)の周囲に設置され、第1シース端(60)から第2シース端(68)まで延在し、前記シャフト(20)に対して軸方向に相対移動可能である保護シース(52)を設ける工程と、
前記第1シース端(60)が、前記シャフト(20)の前記近位端(24)から第1の距離(L1)に軸方向に設置される工程と、
射出成形によって前記シャフト(20)の前記近位端(24)上にコネクタ(8)及びキンク部(44)をオーバーモールドする工程であって、前記コネクタ(8)が、それぞれ前記ガイドワイヤルーメン(32)及び前記インフレーションルーメン(36)と流体的かつ機械的に接続されたガイドワイヤチャネル(12)及びインフレーションチャネル(16)を備える工程とを含み、
前記オーバーモールドする工程が、前記シャフト(20)の前記外壁(56)を前記コネクタ(8)の内壁(64)と前記第1の距離(L1)に沿って機械的に接続し、
前記オーバーモールドが、前記キンク部(44)の第2キンク端(42)まで延び、前記第2キンク端(42)が、前記第2シース端(68)の前方第2の距離(L2)の位置に軸方向に設置されて、前記シャフト(20)が前記保護シース(52)に対して軸方向に相対移動可能な状態で、前記シャフト(20)の前記外壁(56)と前記キンク部(44)の前記内壁(64)とが直接接触して固定されるのを避ける方法。
【請求項18】
前記シャフト(20)と前記コネクタ(8)との間の封止を向上させるために前記シャフト(20)の前記近位端(24)に対して前処理技術を施す工程を含み、前記前処理技術が、プラズマ処理、コロナ処理、又は、プライマー若しくは接着剤系材料の塗布を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記シャフト(20)及び前記コネクタ(8)が、それらの間により良好な封止を得るために同じポリマー材料で作られる、請求項17又は18に記載の方法。」

2 補正の適否
請求項1に係る本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「シャフト」が有する「ガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)」について、上記のとおり「デュアルルーメン」に限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、請求項6に係る本件補正は、本件補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2の距離(L2)」について、上記のとおり本件補正前の「0?100mm」を「1?100mm」に範囲を狭めるものであって、本件補正前の請求項6に記載された発明と本件補正後の請求項6に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)の請求項1に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された引用文献である、米国特許出願公開第2005/0234499号明細書(以下「引用文献」という。)には、次の記載がある。

「[0001]The invention is related to the field of medical devices, and more particularly, to catheters including medical balloon catheters including a manifold.」
(当審訳、下線は当審で付与した。以下同じ。:本発明は医療装置の分野に関し、特に、マニホールドを含む医療用バルーンカテーテルを含むカテーテルに関する。)

「[0026]Refer now to FIG. 1 , which is a partial side view of one example embodiment of a catheter 10 including a manifold 22 . In the embodiment shown, the catheter 10 is a balloon catheter, for example; an over-the-wire (OTW) balloon catheter that may be configured for advancement over a guidewire 25 , or other such device. The catheter 10 can include a shaft assembly 12 including a proximal portion 14 having a proximal end 16 , and a distal portion 18 having a distal end 20 . A manifold 22 can be disposed adjacent the proximal end 16 of the shaft assembly 12 , and one or more deployable balloon assembly 24 can be disposed adjacent the distal end 20 of the shaft assembly 12 . 」
(ここで図1を参照すると、それは、マニホールド22を備えたカテーテル10の一実施形態の部分側面図である。図示の実施形態では、カテーテル10は、バルーンカテーテル、例えば、ガイドワイヤ25上を前進するように構成されたオーバー・ザ・ワイヤ(OTW)バルーンカテーテル、または他のそのような装置である。カテーテル10は、近位端16を有する近位部14を含む軸アセンブリ12、および遠位端20を有する遠位部分18を含むことができる。マニホールド22は、シャフトアセンブリ12の近位端16に隣接して配置することができ、1つ以上の展開可能なバルーンアセンブリ24がシャフトアセンブリ12の遠位端20に隣接して配置することができる。)

「[0027]Referring now to FIG. 2 , the shaft assembly 12 can include at least two or more lumens extending therein. The embodiment shown includes two lumens, for example a device lumen 26 and an inflation lumen 28 . The device lumen 26 extends the length of the shaft assembly 12 , and may be adapted to receive a device 25 , such as a guide wire, or other such medical device, as is generally known in the art. In general, the device lumen 26 can be accessed through the manifold 22 such that the device 25 can extend through the manifold 22 into the lumen 26 . The inflation lumen 28 allows fluid communication between the manifold 22 and the deployable balloon assembly 24 . In general, the proximal end of the inflation lumen 28 can be put into fluid communication with an inflation source via the manifold 22 , and the distal end of the inflation lumen 28 is in fluid communication with the interior of the deployable balloon assembly 24 . 」
(ここで図2を参照すると、シャフトアセンブリ12は、その内部に延在する少なくとも2本またはそれ以上のルーメンを含むことができる。図示実施形態は2のルーメン、装置ルーメン26及び膨張ルーメン28を含む。装置ルーメン26は、シャフトアセンブリ12の全長に亘って延びており、ガイドワイヤ、または、当技術分野で一般的に知られているような他の医療用デバイスである装置25を受容するように適合させることができる。一般に、装置ルーメン26は、装置25がマニホールド22を通って延在するルーメン26に入ることができるようにマニホールド22を介してアクセスすることができる。膨張ルーメン28は、マニホルド22と展開可能なバルーン組立体24との間の流体連通を可能にする。一般に、膨張ルーメン28の近位端は、マニホールド22を介して膨張供給源と流体連通することが可能であり、膨張ルーメン28の遠位端は、展開可能なバルーン組立体24の内部と流体連通している。)
「[0028]・・・ In the embodiment shown, the proximal end 35 of the inner tubular member 30 extends proximally beyond the proximal end 37 of the outer tubular member 32, and the manifold 22 is disposed about the proximal portion 14 of the shaft assembly 12.・・・」
(図示の実施形態では、内側管状部材30の近位端35は、外側管状部材32の近位端37を超えて近位に延び、マニホールド22はシャフト組立体12の近位部14の周りに配置されている。)

「[0029]Also, in some embodiments, the distal end 31 of the inner tubular member 30 may extend distally beyond the distal end 33 of the outer tubular member 32 such that when the balloon assembly 24 is attached, as discussed below, the inflation lumen 28 is in fluid communication with the interior of the balloon assembly 24. ・・・」
(また、いくつかの実施形態において、内側管状部材30の遠位端31は、バルーン組立体24が取り付けられている場合、以下に説明するように、膨張ルーメン28はバルーン組立体24の内部と流体連通するように外側管状部材32の遠位端33を超えて遠位方向に延びてもよい。)

「[0036]The manifold 22 can be of unitary or monolithic construction, meaning, for example, that it is a single or unitary piece of material. The manifold 22 can be overmolded or otherwise formed or created directly onto a part of the proximal portion 14 of the shaft 12 adjacent and/or about the proximal end 16 of the shaft 12. Due to the staggered arrangement of the inner and outer tubular members 30/32 adjacent the proximal end 16 of the shaft 12, the manifold 22 can be overmolded about both a part of the outer tubular member 32 and a part of the inner tubular member 30. ・・・」
(マニホールド22は、単一又は単一の構成要素であることを意味し、例えば、単一または一体構造のものであり得る。マニホールド22は、シャフト12の近位端部16に隣接しておよび/またはシャフト12の近位端部16の周りに、オーバーモールドされるか、そうでなければシャフト12の近位部14の一部に直接形成または形成され得る。シャフト12の近位端部16に隣接する内側及び外側管状部材30/32の互い違いの配置により、マニホールド22は、外側管状部材32の一部及び内側管状部材30の一部の周りにオーバーモールドすることができる。)

「[0037]For example, in the embodiment shown, the manifold 22 may include a proximal portion 48 defining a plurality of protrusions 41/43 each defining a port 42/44, respectively. The manifold 22 may also include a distal portion 50 disposed about the proximal end 16 of the shaft 12. The manifold 22 defines a plurality of lumens, for example lumens 46/47, that each extend through the manifold 22 from the shaft assembly 12 to one of the ports 42/44. 」
(例えば、図示の実施形態では、マニホールド22は、それぞれポート42/44をそれぞれ画定する複数の突起41/43を画定する近位部分48を含むことができる。マニホールド22はまた、シャフト12の近位端16の周りに配置された遠位部分50を含み得る。マニホールド22は、シャフトアセンブリ12からポート42/44のうちの一つまでマニホールド22を通ってそれぞれ延びる複数のルーメン、例えばルーメン46/47を画定する。)

「[0038]Referring now to FIG. 3 , the lumen 47 extends from the proximal end 35 of the inner tubular member 30 to the port 44, thereby defining a pathway between the port 44 and the device lumen 26 through the manifold 22. The pathway may, for example, allow for a medical device, such as a guidewire or the like, to extend from the port 42 through the lumen 47 to device lumen 26. The lumen 46 extends from the proximal end 37 of the outer tubular member 32 to the port 42, thereby defining a pathway between the port 42 and the inflation lumen 28 through the manifold 22. ・・・ 」
(ここで図3を参照すると、ルーメン47は、内側管状部材30の近位端35からポート44間で延び、それによってマニホールド22通るポート44と装置ルーメン26との間の経路を画定する。経路は、例えば、ガイドワイヤ等のような医療装置がルーメン47を通ってポート42から装置ルーメン26まで延びることを可能にし得る。ルーメン46は、外側管状部材32の近位端37からポート42まで延び、それによってマニホールド22を通るポート42と膨張ルーメン28との経路を画定する。)

「[0041]Additionally, catheter 10 may also include one or more strain relief portions, for example, strain relief portion 60 disposed about the proximal portion of the shaft 12. In at least some embodiments, the strain relief portion 60 can be a portion of the unitary and/or monolithic manifold 22, meaning that the strain relief portion 60 is merely an extension of the unitary manifold 22. In other words, the unitary manifold 22 can include a strain relief portion 60 in the distal manifold portion 50 that is of unitary construction with the remainder of the manifold 22. Some embodiments, however, may include separate strain relief members, as are generally known in the art that may be attached to the shaft 12 adjacent the manifold 22. Yet other embodiments may include a separate strain relief which is disposed about the shaft 12, and thereafter, a portion of the manifold may be overmolded about a portion of the strain relief. 」
(更に、カテーテル10はまた、一つ又はそれ以上の張力緩和部材、例えば、シャフト12の近位部分の周りに配置された張力緩和部材60を含むことができる。少なくともいくつかの実施形態では、張力緩和部材60は、一体型および/またはモノリシック型マニホールド22の一部であってもよく、張力緩和部材60は、一体的なマニホールド22の延長部であることを意味する。言い換えれば、単一のマニホルド22は、マニホルド22の残りの部分と一体構成である遠位マニホールド部50に張力緩和部材60を含むことができる。いくつかの実施形態では、マニホールド22に隣接してシャフト12に取り付けてもよいことが当技術分野で知られているように、別個の張力緩和部材を含んでいてもよい。さらに他の実施形態は、シャフト12の周りに配置された、別個の張力緩和を含んでもよく、その後、マニホールドは、張力緩和材の一部分の周りにオーバーモールドされてもよい。)

「[0042]The strain relief portion 60 may include structure that may allow for desired flexibility characteristics, for example, to provide for a transition in flexibility between the shaft assembly 12 and the remainder of the manifold 22. ・・・」
(張力緩和部材60は、例えば、シャフトアセンブリ12とマニホールド22の残りの部分との間の可撓性の変化をもたらすために、所望の可撓性を可能し得る構造を含み得る。・・・)

「[0052]Refer now to FIG. 8 , which is a section view illustrating another alternative embodiment of a manifold 22 disposed about a proximal end 16 of a catheter shaft assembly 12 similar to the embodiments described above, wherein like reference numbers indicate similar structure. This embodiment, however, includes a member and/or layer of material 117 disposed about a portion of the outer tubular member 32. A cross sectional view taken along line 9-9 of FIG. 8 is shown in FIG. 9 . A portion of the member and/or layer 117 may be disposed between the outer tubular member 32 and a portion of the manifold 22, for example, a part of the strain relief portion 60 of the manifold 22. 」
(ここで、図8を参酌すると、これは、上述の実施形態と同様のカテーテルシャフトアセンブリ12の近位端部16の周りに配置されたマニホールド22の別の代替実施形態を示す断面図であり、類似の参照番号は類似の構造を示す。しかしながらこの実施形態は、外側管状部材32の一部の周りに配置された部材及び/または材料の層117を含む。いくつかの実施形態において、層117は、完成したデバイスにおいて、破裂強度などのより良い強度を提供し得る。図8の9-9線に沿った断面図を図9に示す。部材および/または層117の一部は、外側筒状部材32とマニホールド22の一部、例えば、マニホールド22の張力緩和部材60の一部との間に配置されてもよい。)

「[0053]The layer 117 may be provided over a portion of the proximal end of the outer tubular member 32 and/or the inner tubular member 30 to achieve certain desired characteristics. The embodiment shown includes a layer 117 over only the outer tubular member 32, but it should be understood that a similar layer may be disposed over the inner tubular member 30. In some embodiments, the layer 117 may provide better bonding of the manifold 22 to the tubular member 30/32. In some embodiments, the layer 117 may provide for better strength, such as burst strength, in the finished device. In some embodiments, the layer 117 may provide a protective layer to a portion of the tubular member 30/32 to provide protection and/or insulation to the tubular member 30/32 during the molding of the manifold 22 thereto. For example, when the molding material is molded onto the shaft 12, the outer tubular member 32 can in some cases be damaged (particularly if a braided steel or other support member is provided) by the heat involved in the molding process. The inclusion of a layer 117 over the proximal end of the outer tubular member 32 can improve burst strength of the finished product by protecting the outer tubular member 32 from excessive heat as well as providing additional material for containing pressure and keeping braid strands encased. 」
(層117は、特定の所望の特性を達成するために、外側筒状部材32および/または内側管状部材30の近位端の一部の上に設けられてもよい。図示の実施形態は、外側管状部材32のみを覆う層117を含むが、同様の層を内側管状部材30を覆うように配置してもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態において、層117は、マニホールド22の管状部材30/32へのより良好な結合を提供し得る。いくつかの実施形態において、層117は、完成したデバイスにおいて、破裂強度などのより良い強度を提供し得る。いくつかの実施形態では、層117は、管状部材30/32の一部への保護層を提供して、マニホールド22の成形中の管状部材30/32を保護および/または絶縁することができる。例えば、成形材料がシャフト12上に成形されるとき(特に編組鋼または他の支持部材が設けられている場合。)、成形プロセスに伴う熱によって外側管状部材32が損傷を受けることがある。外側管状部材32の近位端を覆う層117を含めることは、外側管状部材32を過度の熱から保護すると共に、圧力を封じ込めて編組ストランドを包み込むための追加の材料を提供することによって完成品の破裂強度を改善することができる。)
「図1



「図2





「図8


(イ)上記記載、及び図面から、引用文献には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

a 図2の記載、並びに「内側管状部材30の近位端35は、外側管状部材32の近位端37を超えて近位に延び、」([0028])及び「外側管状部材32の遠位端33を超えて遠位方向に延び」([0029])との記載から、引用文献に記載された外側管状部材は、近位端37から遠位端33まで外側管状部材の軸方向に沿って延在しているといえる。
また、図2の記載及び「図2を参照すると、シャフトアセンブリ12は、その内部に延在する少なくとも2本またはそれ以上のルーメンを含むことができる。」([0027])との記載から、シャフト12は、外側管状部材が存在している部分を意図しているといえるから、引用文献に記載されたシャフト12は、近位端37から遠位端33まで外側管状部材の軸方向に沿って延在しているといえる。
b 図2の記載、及び「装置ルーメン26は、装置25がマニホールド22を通って延在するルーメン26に入ることができるようにマニホールド22を介してアクセスすることができる。」([0027])との記載から、マニホールド22のルーメン47とシャフト12の装置ルーメン26は、機械的に接続されているといえる。
c 図2の記載、及び「膨張ルーメン28の近位端は、マニホールド22を介して膨張供給源と流体連通することが可能であり、膨張ルーメン28の遠位端は、配置可能なバルーン組立体24の内部と流体連通している。」([0027])との記載から、マニホールドのルーメン46とシャフト12の膨張ルーメン28は、流体的に接続されているといえる。
d 図2の記載より、マニホールドのルーメン47及びルーメン46は、シャフト12の装置ルーメン26及び膨張ルーメン28と張力緩和部材60の付近で接続されているから、マニホールドのルーメン47及びルーメン46は、シャフト12の装置ルーメン26及び膨張ルーメン28との接続は、張力緩和部材60に対応させて実現されているといえる。
e 「成形材料がシャフト12上に成形されるとき(特に編組鋼または他の支持部材が設けられている場合。)、成形プロセスに伴う熱によって外側管状部材32が損傷を受けることがある。外側管状部材32の近位端を覆う層117を含めることは、外側管状部材32を過度の熱から保護すると共に、圧力を封じ込めて編組ストランドを包み込むための追加の材料を提供することによって完成品の破裂強度を改善することができる。」([0053])との記載、図8において、層117は、外側管状部材の外壁と張力緩和部材60とが直接接触して固定されるように近位端37から所定の距離離れた軸方向に設置された位置から、外側管状部材の外壁と張力緩和部材60の内側とが直接接触して固定されるのを避けるように張力緩和部材60の遠位端33側の端部に対応させて軸方方向にまで延在していることが看取できること、及びモールドによる成形を行うと、接触するものが固定されるという技術常識を踏まえると、装置ルーメン26及び膨張ルーメン28とは反対側の外側管状部材の外壁の周囲に、外側管状部材32を過度の熱から保護するための層117を備え、外側管状部材の外壁と張力緩和部材60とが直接接触して固定されるように外側管状部材の近位端37から所定の距離離れた軸方向に設置された位置から外側管状部材の外壁と張力緩和部材60の内側とが直接接触して固定されるのを避けるように張力緩和部材60の遠位端33側の端部に対応させて軸方向にまで延在しているといえる。

(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献の図8の実施例に着目すると、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ガイドワイヤ25が通るルーメン47及びルーメン46とを備えるマニホールド22と、
近位端37から遠位端33まで外側管状部材32の軸方向に沿って延在しガイドワイヤ25が入る装置ルーメン26及び膨張ルーメン28を有するシャフト12とを備え、
前記シャフト12がその近位端37においてマニホールド22に接続されて、前記装置ルーメン26及び膨張ルーメン28がそれぞれルーメン47及びルーメン46と機械的かつ流体的に接続されており、
前記機械的かつ流体的な接続が、前記シャフト12の前記近位端37においてカテーテル10の周りに配置された可撓性の張力緩和部材60を有するカテーテル10において、
装置ルーメン26及び膨張ルーメン28とは反対側の外側管状部材32の外壁の周囲に、外側管状部材32を過度の熱から保護するための層117を備え、外側管状部材32の外壁と張力緩和部材60とが直接接触して固定されるように外側管状部材32の近位端37から所定の距離離れた軸方向に設置された位置から外側管状部材32の外壁と張力緩和部材60の内側とが直接接触して固定されるのを避けるように張力緩和部材60の遠位端33側の端部に対応させて軸方向にまで延在しているカテーテル10。」
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「ガイドワイヤ25が通るルーメン47」は、その機能等からみて、本件補正発明の「ガイドワイヤチャネル(12)」に相当する。
同様に、「ルーメン46」は「インフレーションチャネル(16)」に、「マニホールド22」は「コネクタ(8)」に、「膨張ルーメン28」は、「インフレーションルーメン(36)」に、「近位端37」は「近位端(24)」に、「遠位端33」は「遠位端(28)」に、「外側管状部材32」及び「シャフト12」は「シャフト(20)」に、「ガイドワイヤ25が入る装置ルーメン26」は「ガイドワイヤルーメン(32)」に、「膨張ルーメン28」は「インフレーションルーメン(36)」に、「カテーテル10」は「カテーテル(4)」に、「カテーテル10の周りに配置された可撓性の張力緩和部材60」は「キンク部(44)」に、「外側管状部材32を過度の熱から保護するための層117」は「シャフト(20)の外壁(56)の周囲に設置された保護シース(52)」にそれぞれ相当する。
(イ)引用発明の「近位端37から遠位端33まで外側管状部材の軸方向に沿って延在しガイドワイヤ25が入る装置ルーメン26及び膨張ルーメンを有するシャフト12」は、本件補正発明の「位端(24)から遠位端(28)まで軸方向(X-X)に沿って延在し、デュアルルーメンとしてガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)を有するシャフト(20)」とは、「ガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)の複数のルーメンを有するシャフト」の限りで一致する。
(ウ)引用発明の「シャフト12がその近位端37においてマニホールド22に接続されて、前記装置ルーメン26及び膨張ルーメン28がそれぞれルーメン47及びルーメン46と機械的かつ流体的に接続されており、前記機械的かつ流体的な接続が、前記シャフト12の前記近位端37においてカテーテル部分の周りに配置された可撓性の張力緩和部材60を有する」態様は、本件補正発明の「シャフト(20)が、その近位端(24)においてコネクタ(8)に接続されて、前記ガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)がそれぞれ前記ガイドワイヤチャネル(12)及びインフレーションチャネル(16)と機械的かつ流体的に接続されて」いる態様に相当する。
(エ)引用発明の「前記機械的かつ流体的な接続が、前記シャフト12の前記近位端37においてカテーテル部分の周りに配置された可撓性の張力緩和部材60を有する」態様は、本件補正発明の「前記機械的かつ流体的な接続が、前記シャフト(20)の前記近位端(24)においてカテーテル(4)のキンク部(44)に対応させて実現され、前記キンク部(44)が、前記コネクタ(8)に対する前記シャフト(20)の相対的な屈曲を可能とするように可撓性を有する」態様に相当する。
(オ)引用発明の「装置ルーメン26及び膨張ルーメン28とは反対側の外側管状部材の外壁の周囲に、外側管状部材32を過度の熱から保護するための層117を備え、外側管状部材の外壁と張力緩和部材60とが直接接触して固定されるように外側管状部材の近位端37から所定の距離離れた軸方向に設置された端部から外側管状部材の外壁と張力緩和部材60の内側とが直接接触して固定されるのを避けるように張力緩和部材60の遠位端33側の端部に対応させて軸方方向にまで延在している」態様は、本件補正発明の「前記ガイドワイヤルーメン及びインフレーションルーメン(32,36)とは反対側の前記シャフト(20)の外壁(56)の周囲に設置された保護シース(52)を備え、該保護シース(52)が、前記シャフト(20)の前記外壁(56)と前記キンク部(44)の内壁(64)とが直接接触して固定されるように前記シャフト(20)の前記近位端(24)から第1の距離(L1)に軸方向に設置された第1シース端(60)から、前記シャフト(20)の前記外壁(56)と前記キンク部(44)の前記内壁(64)とが直接接触して固定されるのを避けるように少なくとも前記キンク部(44)の第2キンク端(42)に対応させて軸方向に延在している第2シース端(68)まで延在している」態様に相当する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「ガイドワイヤチャネル及びインフレーションチャネルを備えるコネクタと、
近位端から遠位端まで軸方向に沿って延在し、ガイドワイヤルーメン及びインフレーションルーメンの複数のルーメンを有するシャフトとを備え、
前記シャフトが、その近位端においてコネクタに接続されて、前記ガイドワイヤルーメン及びインフレーションルーメンがそれぞれ前記ガイドワイヤチャネル及びインフレーションチャネルと機械的かつ流体的に接続されており、
前記機械的かつ流体的な接続が、前記シャフトの前記近位端においてカテーテルのキンク部に対応させて実現され、前記キンク部が、前記コネクタに対する前記シャフトの相対的な屈曲を可能とするように可撓性を有する、カテーテルにおいて、
前記ガイドワイヤルーメン及びインフレーションルーメンとは反対側の前記シャフトの外壁の周囲に設置された保護シース(52)を備え、該保護シースが、前記シャフトの前記外壁と前記キンク部の内壁とが直接接触して固定されるように前記シャフトの前記近位端から第1の距離に軸方向に設置された第1シース端から、前記シャフトの前記外壁と前記キンク部の前記内壁とが直接接触して固定されるのを避けるように少なくとも前記キンク部の第2キンク端に対応させて軸方向に延在している第2シース端まで延在していることを特徴とするカテーテル。」

[相違点]
「シャフト」が有する「ガイドワイヤルーメン及びインフレーションルーメン」に関して、本件補正発明は、「デュアルルーメン」であるのに対して、引用発明は、「デュアルルーメン」であるか否か不明な点。

(4)判断
以下、上記相違点について検討する。
ア 相違点について
ガイドワイヤルーメン及び膨張ルーメンを備えたカテーテルのシャフトにおいて、ガイドワイヤルーメン及び膨張ルーメンを備えたデユアルルーメン構造を採用することは周知技術であるので(必要であれば、特表2010-527259号公報の【0022】、【0023】、【図4C】、【図6C】及び【図6D】参照。以下「周知技術」という。)、引用発明に前記周知技術を採用し、「デュアルルーメン」とすること、すなわち、前記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

イ したがって本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年7月9日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年10月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される前記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

引用文献1:米国特許出願公開第2005/0234499号明細書

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は,前記第2の[理由]2(4)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から「ガイドワイヤルーメン(32)及びインフレーションルーメン(36)を有するシャフト(20)」について「デュアルルーメンとして」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに、他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-06-25 
結審通知日 2019-06-26 
審決日 2019-07-12 
出願番号 特願2015-533724(P2015-533724)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61M)
P 1 8・ 575- Z (A61M)
P 1 8・ 113- Z (A61M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉▲崎▼ 覚佐藤 吉信  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 莊司 英史
沖田 孝裕
発明の名称 保護シースを有するカテーテルアセンブリ及びその製造方法  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  

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