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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1357503 |
審判番号 | 不服2018-10879 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-08-08 |
確定日 | 2019-12-05 |
事件の表示 | 特願2017-235613「クリニック支援プログラム、クリニック支援方法、及び、クリニック支援装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月24日出願公開、特開2019-102002〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年12月7日の出願であって、平成30年1月15日付けの拒絶理由の通知に対し、同年3月13日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年5月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月8日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成30年8月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年8月8日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正により補正された、特許請求の範囲の請求項1乃至7に係る発明(以下、「本件補正発明1」、「本件補正発明2」・・・「本件補正発明7」といい、総じて「本件補正発明」という。)は、次のとおりのものである(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 コンピュータに、 歯科診療時の患者の口腔内に関する口腔データを取得する第1取得機能と、 前記歯科診療時の内容に関する診療時データを取得する第2取得機能と、 前記口腔データ及び前記診療時データを、患者毎に関連付けて記憶する記憶機能と、 前記口腔データ及び前記診療時データを、関連付けられた患者に関する情報とともに所定の表示部に表示させる表示情報を出力する出力機能と、 前記患者に対する、前記口腔データ及び前記診療時データに応じた第1推奨処置情報の入力を受け付ける受付機能と、 前記第1推奨処置情報を、前記患者に対応付けられた端末装置へ送信する送信機能と、 を実現させ、 前記出力機能は、前記患者の担当医と異なる診療従事者であって、前記担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力し、 前記受付機能は、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記診療従事者からさらに受け付け、 前記出力機能は、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させるクリニック支援プログラム。 【請求項2】 前記記憶機能は、前記診療時データとして、前記歯科診療を行った歯科医、及び、歯に関する所定の処置を行った人物の少なくともいずれか一方を記憶し、 前記出力機能は、前記記憶機能によって記憶された、前記歯科医に関する情報、又は、前記人物に関する情報を表示させる表示情報を出力する、 ことを特徴とする請求項1に記載のクリニック支援プログラム。 【請求項3】 前記コンピュータに、 前記患者に対応付けられた端末装置から、前記患者の口腔内画像を取得する第3取得機能をさらに実現させ、 前記出力機能は、前記口腔内画像を表示させる表示情報を出力し、 前記受付機能は、前記患者の口腔内画像に応じた推奨処置情報の入力を受け付ける、 ことを特徴とする請求項1に記載のクリニック支援プログラム。 【請求項4】 前記第3取得機能は、前記患者に対応付けられた端末装置から、前記患者の食事に関する情報を取得し、 前記出力機能は、前記食事に関する表示情報を出力し、 前記受付機能は、前記患者の食事に応じた推奨処理情報の入力を受け付ける、 ことを特徴とする請求項3に記載のクリニック支援プログラム。 【請求項5】 前記第3取得機能は、前記患者に対応付けられた端末装置から、前記患者の行った運動に関する情報を取得し、 前記出力機能は、前記運動に関する表示情報を出力し、 前記受付機能は、前記患者の行った運動に応じた推奨処理情報の入力を受け付ける、 ことを特徴とする請求項3または4に記載のクリニック支援プログラム。 【請求項6】 コンピュータに、 歯科診療時の患者の口腔内に関する口腔データを取得する第1取得ステップと、 前記歯科診療時の内容に関する診療時データを取得する第2取得ステップと、 前記口腔データ及び前記診療時データを、患者毎に関連付けて記憶する記憶ステップと、 前記口腔データ及び前記診療時データを、関連付けられた患者に関する情報とともに所定の表示部に表示させる表示情報を出力する出力ステップと、 前記患者に対する、前記口腔データ及び前記診療時データに応じた第1推奨処置情報の入力を受け付ける受付ステップと、 前記第1推奨処置情報を、前記患者に対応付けられた端末装置へ送信する送信ステップと、 を実行させ、 前記出力ステップは、前記患者の担当医と異なる診療従事者であって、前記担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力し、 前記受付ステップは、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記診療従事者からさらに受け付け、 前記出力ステップは、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させるクリニック支援方法。 【請求項7】 歯科診療時の患者の口腔内に関する口腔データを取得する第1取得部と、 前記歯科診療時の内容に関する診療時データを取得する第2取得部と、 前記口腔データ及び前記診療時データを、患者毎に関連付けて記憶する記憶部と、 前記口腔データ及び前記診療時データを、関連付けられた患者に関する情報とともに所定の表示部に表示させる表示情報を出力する出力部と、 前記患者に対する、前記口腔データ及び前記診療時データに応じた第1推奨処置情報の入力を受け付ける受付部と、 前記第1推奨処置情報を、前記患者に対応付けられた端末装置へ送信する送信部と、 を備え、 前記出力部は、前記患者の担当医と異なる診療従事者であって、前記担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力し、 前記受付部は、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記診療従事者からさらに受け付け、 前記出力部は、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させるクリニック支援装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、平成30年3月13日の手続補正による特許請求の範囲の請求項1乃至7に係る発明(以下、「本願発明1」、「本願発明2」・・・「本願発明7」といい、総じて「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 コンピュータに、 歯科診療時の患者の口腔内に関する口腔データを取得する第1取得機能と、 前記歯科診療時の内容に関する診療時データを取得する第2取得機能と、 前記口腔データ及び前記診療時データを、患者毎に関連付けて記憶する記憶機能と、 前記口腔データ及び前記診療時データを、関連付けられた患者に関する情報とともに所定の表示部に表示させる表示情報を出力する出力機能と、 前記患者に対する、前記口腔データ及び前記診療時データに応じた第1推奨処置情報の入力を受け付ける受付機能と、 前記第1推奨処置情報を、前記患者に対応付けられた端末装置へ送信する送信機能と、 を実現させ、 前記受付機能は、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記患者の担当医と異なる診療従事者からさらに受け付け、 前記出力機能は、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させるクリニック支援プログラム。 【請求項2】 前記記憶機能は、前記診療時データとして、前記歯科診療を行った歯科医、及び、歯に関する所定の処置を行った人物の少なくともいずれか一方を記憶し、 前記出力機能は、前記記憶機能によって記憶された、前記歯科医に関する情報、又は、前記人物に関する情報を表示させる表示情報を出力する、 ことを特徴とする請求項1に記載のクリニック支援プログラム。 【請求項3】 前記コンピュータに、 前記患者に対応付けられた端末装置から、前記患者の口腔内画像を取得する第3取得機能をさらに実現させ、 前記出力機能は、前記口腔内画像を表示させる表示情報を出力し、 前記受付機能は、前記患者の口腔内画像に応じた推奨処置情報の入力を受け付ける、 ことを特徴とする請求項1に記載のクリニック支援プログラム。 【請求項4】 前記第3取得機能は、前記患者に対応付けられた端末装置から、前記患者の食事に関する情報を取得し、 前記出力機能は、前記食事に関する表示情報を出力し、 前記受付機能は、前記患者の食事に応じた推奨処理情報の入力を受け付ける、 ことを特徴とする請求項3に記載のクリニック支援プログラム。 【請求項5】 前記第3取得機能は、前記患者に対応付けられた端末装置から、前記患者の行った運動に関する情報を取得し、 前記出力機能は、前記運動に関する表示情報を出力し、 前記受付機能は、前記患者の行った運動に応じた推奨処理情報の入力を受け付ける、 ことを特徴とする請求項3または4に記載のクリニック支援プログラム。 【請求項6】 コンピュータに、 歯科診療時の患者の口腔内に関する口腔データを取得する第1取得ステップと、 前記歯科診療時の内容に関する診療時データを取得する第2取得ステップと、 前記口腔データ及び前記診療時データを、患者毎に関連付けて記憶する記憶ステップと、 前記口腔データ及び前記診療時データを、関連付けられた患者に関する情報とともに所定の表示部に表示させる表示情報を出力する出力ステップと、 前記患者に対する、前記口腔データ及び前記診療時データに応じた第1推奨処置情報の入力を受け付ける受付ステップと、 前記第1推奨処置情報を、前記患者に対応付けられた端末装置へ送信する送信ステップと、 を実行させ、 前記受付ステップは、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記患者の担当医と異なる診療従事者からさらに受け付け、 前記出力ステップは、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させるクリニック支援方法。 【請求項7】 歯科診療時の患者の口腔内に関する口腔データを取得する第1取得部と、 前記歯科診療時の内容に関する診療時データを取得する第2取得部と、 前記口腔データ及び前記診療時データを、患者毎に関連付けて記憶する記憶部と、 前記口腔データ及び前記診療時データを、関連付けられた患者に関する情報とともに所定の表示部に表示させる表示情報を出力する出力部と、 前記患者に対する、前記口腔データ及び前記診療時データに応じた第1推奨処置情報の入力を受け付ける受付部と、 前記第1推奨処置情報を、前記患者に対応付けられた端末装置へ送信する送信部と、 を備え、 前記受付部は、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記患者の担当医と異なる診療従事者からさらに受け付け、 前記出力部は、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させるクリニック支援装置。」 2 補正の適否 本件補正は、本願発明を特定するために必要な事項である「出力機能」、「出力ステップ」又は「出力部」について、「前記患者の担当医と異なる診療従事者であって、前記担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力し」との限定を付加するものであって、本願発明と本件補正発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、事案に鑑み、本件補正発明7が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明7 本件補正発明7は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2) 引用文献の記載事項 ア 引用文献1 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2016-212584号公報(平成28年12月15日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審が付与した。以下、同様。)。 a 「【0001】 本発明は、検査結果管理装置、検査結果管理方法及び検査結果管理システムに関する。」 b 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 被検査者は、医師等の医療関係者に検査結果を見せることで、医療関係者から検査結果に対する助言を受けることもできる。しかしながら、医療関係者は、検査結果だけに基づいて助言を行うため、限られたアドバイスしかできないおそれがある。このため、被検査者が検査結果に対する適切な助言を受けられるサービスの提供が求められている。 【0005】 そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、被検査者が健康状態の検査結果を加味した適切な助言を受けることができるようにすることを目的とする。」 c 「【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明の第1の態様においては、被検査者の健康状態の検査結果を取得する第1取得部と、前記被検査者に付与される第1の被検査者識別情報と、医療機関における前記被検査者の診療内容を含む診療情報に関連付けられた第2の被検査者識別情報と、前記第1取得部により取得された前記検査結果とを関連付けて記憶する記憶部と、前記第1の被検査者識別情報を含み、医療関係者の前記検査結果に対する助言を受けることを要求する助言要求を取得する第2取得部と、前記被検査者の前記第2の被検査者識別情報に関連付けられた前記診療情報を取得する第3取得部と、前記第2取得部が、前記助言要求を取得すると、前記被検査者に対応する前記検査結果と、前記第1の被検査者識別情報に対応する前記診療情報とを、前記医療関係者が使用する通信端末に送信する送信部と、を備える検査結果管理装置を提供する。」 d 「【発明の効果】 【0014】 本発明によれば、被検査者が健康状態の検査結果に対する適切な助言を受けることができるようになるという効果を奏する。」 e 「【0021】 続いて、ユーザは、検査キットを用いて自身の検体を採取し、採取した検体を格納した検体格納容器を含む検査キットを検査センターに返送する(S6)。なお、ユーザは、検査キットを返送した後に、検査サービスサイトにおいてキット番号を入力してもよい。すなわち、S4からS6が行われる順序は任意である。 【0022】 検査センターに検査キットが届くと、検査センターでは検体格納容器に格納された検体を検査する(S7)。検査が終了すると、検査センターの職員は、コンピュータ5において、検査結果と、検体が格納されていた検査キットのキット番号とを関連付けて入力する。入力された検査結果及びキット番号は、検査結果管理装置1に送信され、検査結果データベースに登録される(S8)。検査結果管理装置1は、コンピュータ5から検査結果を受信すると、ユーザID、キット番号及び検査結果を関連付けて記憶する。」 f 「【0024】 [検査結果管理システムSの概要] 以下、本実施形態に係る検査結果管理システムSの概要を説明する。 検査結果管理システムSは、上述した健康検査サービスにおいてユーザに提供される検査結果に対して、当該ユーザが医療関係者の助言を受けるためのシステムである。図3は、本実施形態に係る検査結果管理システムSの概要を示す図である。 【0025】 検査結果管理システムSは、ユーザの検査結果を記憶している検査結果管理装置1と、医療関係者が使用する通信端末である医療関係者端末2と、ユーザが用いる通信端末であるユーザ端末3と、医療機関におけるユーザの診療内容を含む診療情報が記憶されている診療情報記憶装置4とを含んで構成されている。診療情報は、例えばレセプトデータ、電子カルテのデータ、薬の処方履歴、栄養補助食品の摂取履歴、及びセルフケアの履歴等である。医療関係者端末2は、例えばPCであり、診療情報記憶装置4は、例えば、医療機関により運用されるデータベース装置である。なお、本実施形態では、医療関係者が医師であるものとして説明を行う。 【0026】 検査結果管理システムSにおいて、ユーザは、検査結果を確認した後、ユーザ端末3を介して、検査結果に対する医療関係者の助言を要求する助言要求を行うことにより、医療関係者からの助言を示す助言情報を確認することができる。 【0027】 具体的には、まず、ユーザが、ユーザ端末3を用いて検査サービスサイトにアクセスすると、検査結果管理装置1から送信されたメニュー画面や検査結果がユーザ端末3に表示される(S9)。ユーザは、表示された検査結果を確認し、ユーザ端末3を介して検査結果に対する助言要求を検査結果管理装置1に送信する(S10)。 【0028】 検査結果管理装置1は、助言要求を受信すると、ユーザ端末3のユーザのユーザIDに予め関連付けられている保険証番号に基づいて、診療情報記憶装置4からユーザの診療情報を取得する(S11)。 【0029】 検査結果管理装置1は、ユーザ端末3から医療関係者を選択するための情報を取得し、当該情報に基づいて医療関係者を選択する(S12)。続いて、検査結果管理装置1は、選択された医療関係者が利用している医療関係者端末2に対して、ユーザの検査結果及び診療情報を含む助言依頼を送信する(S13)。 【0030】 医療関係者端末2は、助言依頼を受信すると、ユーザの検査結果及び診療情報を表示する。医療関係者は、表示された検査結果及び診療情報に基づいて、医療関係者端末2に、検査結果に対する助言情報を入力する。このようにすることで、検査結果に対する助言を求められた医療関係者は、検査結果だけでなく、診療情報についても確認して、適切な助言を行うことができる。 続いて、医療関係者端末2は、入力された助言情報を検査結果管理装置1に送信する(S14)。検査結果管理装置1は、受信した助言情報を、ユーザID及び検査結果に関連付けて記憶する。」 g 「【0043】 [検査結果の取得] 第1取得部131は、ユーザの検査結果を取得する。例えば、検査センターの職員が、検体の検査結果と、検体が格納されていた検査キットのキット番号とを関連付けてコンピュータ5に入力すると、コンピュータ5は、LANを介して、当該検査結果及びキット番号を検査結果管理装置1に送信する。第1取得部131は、検査結果及びキット番号を受信すると、当該検査結果を検査結果データベースに登録する。 【0044】 図5は、記憶部12に記憶された検査結果データベースの一例を示す図である。図5に示すように、検査結果データベースは、ユーザIDと、保険証番号と、キット番号と、検査日と、検査結果とを関連付けて記憶する。図5では、ユーザID「K334455」と、ユーザの保険証番号「0101・・・21」とに、複数のキット番号及び検査結果が関連付けられて記憶されていることが確認できる。ここで、保険証番号は、保険者番号、記号・番号から構成された番号である。保険証番号は、予め、ユーザ端末3から受け付けられ、ユーザIDと関連付けて記憶される。 【0045】 第1取得部131は、キット番号及び検査結果を取得すると、検査結果データベースにおいて、取得したキット番号と一致するキット番号を特定する。そして、第1取得部131は、特定したキット番号に対応するユーザIDに関連付けて、取得した検査結果を記憶部12に記憶させることにより、検査結果データベースを更新する。例えば、第1取得部131は、キット番号「C2014332」と、検査日「2014/8/25」に対応する検査結果とを取得すると、キット番号「C2014332」に関連付けて当該検査結果を記憶する。 【0046】 [検査結果の表示] 提供部132は、ユーザが使用するユーザ端末3に検査結果を送信して表示させる。例えば、提供部132は、ユーザがユーザ端末3を介して検査サービスサイトにログインしたことに応じて、メニューページ(不図示)をユーザ端末3に送信する。メニューページでは、検査の申込ページ、及びユーザの検査結果の一覧を示す検査結果一覧ページへのリンクが設けられている。提供部132は、ユーザ端末3において検査結果一覧ページへのリンクが選択されたことに応じて、検査結果一覧ページをユーザ端末3に送信する。ユーザ端末3の表示制御部354は、受信部353が受信した検査結果一覧ページを表示部33に表示させる。」 h 「【0052】 図9は、診療情報の一例を示す図である。診療情報は、ユーザに対して行われた診療に対応して1以上生成される。診療情報には、例えば図9に示すように、診療が行われた年月日と、保険医療機関名と、ユーザの保険証番号、氏名、性別、年齢、診療内容、及び診断結果とが含まれる。なお、第3取得部134は、診療情報記憶装置4から、所定の期間内における診療情報のみを取得し、当該診療情報と、ユーザIDと、保険証番号とを関連付けられて記憶部12に記憶させてもよい。 【0053】 送信部136は、第2取得部133が助言要求を取得すると、ユーザに対応する検査結果と、ユーザIDに対応する診療情報とを含む助言依頼を、医療関係者が使用する医療関係者端末2に送信する。医療関係者は、医療関係者端末2が助言依頼を受信したことに応じて、助言依頼に含まれる検査結果、診療情報、及び助言履歴を確認し、助言を示す助言情報を医療関係者端末2に入力することができる。以下、送信部136が、助言依頼を医療関係者端末2に送信するまでの処理について説明する。」 i 「【0086】 また、上述の実施形態においては、医療関係者を医師として説明したが、これに限らない。医療関係者には、例えば、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、理学療法士、ケアマネージャ、保健師等が含まれていてもよい。また、医療関係者データベースには、医療関係者の職種を示す職種情報や、医療関係者により閲覧可能な項目範囲を、医療関係者の職種に応じて変更するための権限情報を記憶させてもよい。この場合、送信部136は、医療関係者データベースを参照して、検査結果又は診療情報における、医療関係者により閲覧可能な項目範囲を、医療関係者の職種に応じて変更してもよい。 なお、本実施形態では、ユーザの診療情報を含む助言依頼が医療関係者端末2に送られたが、これに限らない。例えば、助言依頼を受けた医療関係者が任意のタイミングで診療情報記憶装置4にアクセスして、助言依頼に対応するユーザの診療情報を閲覧できるようにしてもよい。」 (イ)上記記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「検査結果管理装置に関し(【0001】)、 ユーザが健康状態の検査結果を加味した適切な助言を受けることができるようにすることを目的及び効果とするものであって(【0005】、【0014】)、 医療関係者には、歯科医師が含まれ(【0086】、 ユーザの健康状態の検査結果を取得する第1取得部と(【0006】、【0022】、【0043】)、 例えばレセプトデータ、電子カルテのデータ、薬の処方履歴、栄養補助食品の摂取履歴、及びセルフケアの履歴等である、或いは、診療が行われた年月日と、保険医療機関名と、ユーザの保険証番号、氏名、性別、年齢、診療内容、及び診断結果とが含まれる診療情報を取得する手段と(【0025】、【0028】、【0052】)、 ユーザIDに関連付けて、取得した検査結果が記憶され(【0044】、【0045】)、診療情報とユーザIDと保険証番号とが関連付けられて記憶される記憶部12と(【0052】)、 ユーザに対応する検査結果と、ユーザIDに対応する診療情報とを含む助言依頼を、医療関係者が使用する医療関係者端末2に送信し、医療関係者が助言依頼に含まれる検査結果、診療情報、及び助言履歴を確認できるようにする送信部136と(【0029】、【0030】、【0053】)、 医療関係者端末2から送られた助言を示す助言情報を受信する受信部137と(【0030】)、 ユーザが使用するユーザ端末3に検査結果を送信して表示させる提供部132と(【0046】)、 を備える検査結果管理装置。」 イ 引用文献2 (ア)同じく原査定に引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009-205330号公報(平成21年9月10日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 「【0034】 また、図6は、口腔内の撮影結果として歯が正常か否かを判定したデンタル診断結果の画面表示例を示しており、それぞれの歯について、正常、歯垢または歯石あり、虫歯ありにレベル分けして、上歯、下歯の歯並びを示す歯型パタン103として画面表示している例を示している。 【0035】 次に、表示部3に画面表示されたデンタル診断結果を見た使用者が、デンタル診断結果に対するケア/アドバイスを要求したか否かを判定する(ステップS202)。デンタルケア/アドバイスを要求しなかった場合(ステップS202のNO)、歯科医院等の専門家のデンタルケア/アドバイスを求める処理を行うことなく終了する。一方、歯科医院等の専門家のデンタルケア/アドバイスを求めた場合(ステップS202のYES)、ネットワークを介して、デンタルケア/アドバイス情報の取得要求を送信し、該取得要求に応じて返送されてきたデンタルケア/アドバイス情報を、表示部3に画面表示して、および/または、スピーカ部7から出力して、使用者に通知する(ステップS203)。 【0036】 ここで、ネットワークを介してデンタルケア/アドバイス情報を転送するシステム構成例を図7に示す。図7は、本発明によるデンタルケアシステムを構成するネットワーク構成例を示すシステム構成図であり、デンタルケア/アドバイス情報の送受信を行うネットワークシステムの一構成を示している。図7に示すように、本発明によるデンタルケアシステムは、携帯電話装置10、デンタルケア/アドバイス情報サーバ50、個人情報サーバ60、歯科病院/病院/診療所70、ネットワーク80、90によって構成される。ネットワーク80は、携帯電話装置10、デンタルケア/アドバイス情報サーバ50、個人情報サーバ60の間を相互に接続するネットワークであり、ネットワーク90は、デンタルケア/アドバイス情報サーバ50、個人情報サーバ60、歯科病院/病院/診療所70の間を相互に接続するネットワークであるが、ネットワーク80とネットワーク90とは、物理的に同一のネットワークであっても構わない。」 (イ)上記記載から、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2の記載事項」という)が記載されていると認められる。 「歯科医院等の専門家によるデンタル診断結果に対するケア/アドバイスを、使用者が見る表示部に画面表示すること」 ウ 引用文献3 (ア)原査定で周知例として引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-48858号公報(平成26年3月17日出願公開。以下、「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 a 「【背景技術】 【0002】 医師は、自身の専門分野以外の分野の疾病を有する患者の診療を行なわなければならない場合が多くある。例えば、地方の病院や診療所は、幅広い分野の診療を行なっているが専門分野を持たない総合医しかいない場合が多いため、日常的に専門分野以外の分野の疾病の診療が行なわれている。また、救急医療の現場では、どのような疾病を抱えた患者が救急搬送されてくるか分らないため、当直の担当医は自身の専門分野以外の分野の疾病を診療しなければならない。しかし、疾病の内容によっては、専門分野外の医師による診断では適正な診療を行なうことが難しいことがある。 【0003】 上記問題を解決するために、専門分野の医師から診断、治療に関するアドバイス等の医療支援を受けられるようにした医療支援システムが知られている。この医療支援システムでは、インターネットなどの通信手段を介して、病院の担当医の所見や、治療状況、検査結果、検査画像、専門医の意見等の医療情報の配信する医療支援システムが知れられている。この医療支援システムにより、専門医からのアドバイスを受けて、担当医が治療等を行うことができるようになる。」 b 「【0020】 図1において、本発明を実施した医療支援システム10は、予め登録された医療関係者(以下、支援登録者という)が担当医の判断や処置、医療業務等について支援できるようにするシステムである。医療支援システム10は、病院内に構築された院内システム11、この院内システム11に接続される支援者端末TS(TS1、TS2)とを備えている。院内システム11は、医療支援を望む病院に設置されており、医療支援を行なえるようにする支援装置12が接続されている。 【0021】 上記医療支援システム10では、病院の担当医が院内システム11の院内端末13を用いて医療支援を要請したときに、支援装置12によって、外来や入院患者、救急搬送などで受け入れた患者の案件ごとに医療支援セッションが開始される。この医療支援セッションは、患者の医療支援のために、その患者の疾病に関する一連の医療情報の交換を行うものであり、医療支援を要請した担当医と、この要請を受けた支援登録者とがそれぞれの端末装置で患者の医療データを参照しながら、患者の診療についての意見交換や指示を行う。 【0022】 また、本実施形態でいう医療支援とは、支援登録者が病院の担当医に代わって患者の診断・治療を行うこと、支援登録者が担当医の診断または治療のアドバイスを行なうこと、患者の状態の報告や医師の指示に基づく処置、検査・治療・処置・入院などのための設備や機器の手配を行うこと、それらに関する連絡などを行なうことなどである。支援登録者は、医師、看護士、検査技師など任意に設定できるが、病院の事務員などを対象に含めることもできる。 【0023】 支援者端末TSとしては、支援登録者が携帯しているタブレット端末TS1や、支援登録者の自宅や勤務先などに設置したパ-ソナルコンピュータTS2などが用いられる。タブレット端末TS1には、例えば医療支援システム用の専用アプリケーション(以下、支援アプリケーションという)がインストールされたスマートフォンが用いられている。タブレット端末TS1は、ディスプレイTS1aが設けられており、このディスプレイTS1aに医療支援セッションのための各種の画面が表示される。また、ディスプレイTS1aは、タッチスクリーンになっており、このディスプレイTS1aへのタッチによって、医療支援セッション等での各種指示や文字の入力を行うことができる。 【0024】 パ-ソナルコンピュータTS2は、それに支援アプリケーションがインストールされている。パ-ソナルコンピュータTS2は、そのモニタTS2aに医療支援セッションのための各種の画面を表示し、キーボードTS2bやマウスを使用して医療支援セッション等での各種指示や文字の入力を行う。 【0025】 なお、支援者端末TSとしては、通信機能を有し、また各種画面を表示し、必要な入力を行うことができるものであればよく、パーソナル情報端末(PDA)やスマートフォン、携帯電話、ノート型PC等の種々の端末を用いることができる。また、支援者端末TSとして院内端末13を含め、担当医と同じ院内の支援登録者が院内端末13を用いて支援を行うことができるようにしてもよい。」 c 「【0058】 次に、医療支援セッションの各場面で院内端末13及び支援者端末TSに表示される画面について説明する。図6において、支援要請発行画面50は、院内端末13のモニタ13aに表示される。支援要請発行画面50は、例えば院内端末13の電子カルテ画面で所定の操作を行うことにより表示される。この支援要請発行画面50での入力・設定内容に基づいた支援要請発行指示が院内端末13から支援装置12に送られる。 【0059】 援要請発行画面50は、電子カルテに表示されている案件を対象案件とするものが表示されるので、支援要請発行画面50に表示される「患者氏名」、「患者ID」、「受付時刻」、「受付ID」は、電子カルテ画面に表示されている案件のものと同じになる。なお、これらのうちの「患者ID」、「受付時刻」、「受付ID」は、支援要請の際に各支援者端末TSに配信サーバ27から配信されるが、「患者氏名」については個人を特定する情報となるので配信されない。」 d 「【0066】 配信サーバ27からの支援要請を受信した支援者端末TSは、表示部44によって支援要請受信画面がディスプレイTS1a、モニタTS2aに表示される。なお、医療支援セッションの各場面で、パーソナルコンピュータTS2のモニタTS2aに表示される画面は、タブレット端末TS1に表示されるものと同様であるので、以下では、支援者端末TSに表示される画面として、タブレット端末TS1のものを例に説明する。 【0067】 図7に一例を示すように、ディスプレイTS1aには支援要請受信画面50が表示される。この支援要請受信画面60には、要請時情報として配信サーバから配信された患者ID、受付時刻、受付ID、コメント記入欄52に入力された支援要請コメント61、この案件として電子カルテに記載されているカルテ内容62、検査画像リスト54に対応する検査画像リスト63が表示される。」 e 「【0099】 参加者は、発言を行う場合には、発言掲示板68の下方の発言ボタン77をタッチする。この操作に応答して発言入力画面81が表示される。発言入力欄82に、参加者の助言や所見などの発言を入力した後に、送信ボタン83をタッチする。これにより、発言入力欄82に入力された発言が支援装置12に送信される。 【0100】 なお、発言掲示板68の表示後に検査画像を参照する場合には、発言掲示板68に表示されているサムネイル画像をタッチして検査画像表示画面86を開く。また、電子カルテの内容を参照する場合には、カルテ参照ボタン78をタッチして、それを表示すればよい。 【0101】 タブレット端末TS1からの発言は、配信サーバ27の第2情報生成部36から通常配信部38に送られ、配信制御部38の制御の下で配信される。この配信の際には、配信制御部38の制御により、配信先データベース28に記録されている各配信先レコードのうちの参加項目が参加フラグ(「1」)となっている配信先レコードの宛先情報に示される宛先と、担当医の院内端末13とに向けて送信される。これにより参加者の支援者端末TSと、担当医の院内端末13とに発言が配信される。また、配信された発言が配信情報レコードとして配信情報データベース27aに記録される。」 f 「【0103】 配信サーバ27からの発言を受信すると、支援者端末TS及び担当医の院内端末13では、それに対応する発言72を表示するように発言掲示板68の表示内容が更新される。支援者端末TSから発言が送信されるごとに、同様な処理が行われ、新たな発言72が表示される。また、院内端末13の発言ボタン92の操作によって担当医が発言を行った場合にも同様である。」 g 図6及び図7から、以下の事項が読み取れる。 院内端末13で支援要請発行画面に表示された、患者氏名等を除く、患者ID、受付時刻、受付ID、支援要請内容、カルテ内容、及び、検査画面が、支援者端末TSで支援要請受信画面として表示される。 (イ)上記記載から、引用文献3には、次の事項が記載されていると認められる。 「専門分野の医師から診断、治療に関するアドバイス等の医療支援を受けられるようにした医療支援システムが知られていること」、及び、 「担当医と同じ院内の支援登録者が支援者端末TSとして院内端末13を用いて支援を行うことができるように、院内端末13で支援要請発行画面に表示された、患者氏名等を除く、患者ID、受付時刻、受付ID、支援要請内容、カルテ内容、及び、検査画面が、支援装置12の配信サーバから院内端末13から支援装置12に送られて、支援者端末TSで支援要請受信画面60として表示され、 支援者端末TSから、発言入力欄82に入力された参加者の助言や所見などの発言が支援装置12に送信され、 支援装置12の配信サーバ27からの発言を受信すると、支援者端末TS及び担当医の院内端末13では、それに対応する発言72を表示すること」 エ 引用文献4 (ア)同じく原査定で周知例として引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-27565号公報(平成24年2月9日出願公開。以下、「引用文献4」という。)には、次の記載がある。 a 「【0008】 また、上記の例は担当医が当該疾病の専門医であることを前提にしていたが、救急医療の現場では、専門医以外の医師が救急患者に対応しなければならないことも多々ある。例えば、上記のような循環器系の救急が救急搬送されたものの、当直の医師は消化器系の医師のみであったという場合もあり得る。さらに言えば、過疎地や僻地にある病院や診療所では、幅広い分野で診療を行っているものの特定の専門分野を持たない医師(いわゆる総合医)しか存在しない場合もある。この場合、上記のような高度な専門的判断が要求される診断や治療については、提供することができない。この場合は、その病院や診療所では対応できないので、別の医療施設に搬送するよう救急隊に連絡することになる。この場合には、いわゆるたらい回しのような問題も起こり得る。 さらに、ある程度の規模の病院であり、専門医が常駐している病院であっても、特殊な症例であって自己の専門的知識や経験では判断が難しい場合もあるし、自己の専門分野の疾病ではあっても、より良い結果を得るためには、より高い専門的知識を持った、その分野の指導的医師に見解を求めたい場合もある。このような場合でも、救急医療であるという時間的制約等から、限られた自己の専門的知識と経験で何とか対応しているというのが現状である。 【0009】 ある疾病に対して別の医師の見解を求めること自体は、従来から行われている。自分が対応できない患者については、紹介状を書いて別の病院で看てもらうよう患者に伝えることは頻繁に行われているし、患者自身が別の専門医に見解を求めること(いわゆるセカンドオピニオン)も、しばしば行われている。しかしながら、これは、いわば、患者を介した別見解の求めであり、最初の担当医が直接的に別の専門医に見解を求めている訳ではない。その一方、救急医療の現場では、上述したように、時間的制約から、担当医が別の専門医に直接的に見解を求めることが望ましい場合が多々あるのが実情である。 【0010】 本願の発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、救急医療の現場において担当医が別の専門医、とりわけ指導的な専門医に見解を求めることを容易にし、指導的専門医の見解を参照しつつ最適な治療を施すのに役立つ支援システムを提供する意義を有するものである。」 b 「【0024】 初期疾病情報は二次端末2に送られ、各指導的専門医が二次端末2上で初期疾病情報を表示して内容を検討し、見解情報を二次端末2から返信する。担当医は、返信された見解情報を院内の一次端末1で確認する。また、状況に応じて、見解情報を寄せた各指導的専門医や担当医の間でチャット会議のようなリアルタイムコミュニケーションを行う。担当医は、これらを踏まえて、診断や必要な追加検査、治療方針決定等を行った後、治療を実行する。」 c 「【0050】 図11は、可否情報送信プログラムによって一次端末1に送信された対応可伝達メールの一例を示した概略図である。図11に示すように、可否情報伝達メールでは、担当医が送信した問い合わせ情報を確認のために送るとともに、対応可能と回答してきた指導的専門医の氏名やプロフィール情報を送るようになっている。コミュニケーションサーバ3の記憶部には、このようなメールのテンプレートファイルが記憶されており、可否情報送信プログラムは、テンプレートファイルにこれら情報を組み込んで一次端末1に送信するようプログラミングされている。 本実施形態の支援システムは、対応可との回答があった指導的専門医が操作する二次端末2に対し、初期疾病情報を送信して正式に見解情報の提供を要請する一次送信手段を備えている。一次送信手段は、初期疾病情報を、一次端末1において入力させてコミュニケーションサーバ3に送信し、指導的専門医データベースファイルに記録されたアドレス情報に従ってコミュニケーションサーバ3から各二次端末2に到達するよう送信する手段である。初期疾病情報には、救急患者の画像と画像の撮影時刻との情報が含まれている。」 d 「【0056】 図13は、二次端末2において受信されて表示された初期疾病情報メールの一例を示した概略図である。図13に示すように、初期情報送信メールには、問い合わせ情報の送信の際に送られた患者情報や追加所見、見解送信期限等が含まれている。一次送信プログラムは、案件IDを検索キーにしてテンプ案件DBFを検索し、該当するレコードから各患者情報を取得して初期疾病情報送信メールフォームに嵌め込むようプログラミングされている。 また、図13に示す例では、画像ファイルを初期疾病情報メールに添付したり嵌め込んだりするのではなく、別途アクセスさせて画像を閲覧させるようになっている。即ち、初期疾病情報メールには、画像を閲覧するためのコマンドボタン(以下、画像閲覧ボタン)41が設けられている。 一方、コミュニケーションサーバ3の記憶部には、画像を表示するためのフォーム(以下、画像表示フォーム)のファイルが記憶されており、二次端末2に画像ファイルを送信して表示するプログラム(以下、画像表示プログラム)が実装されている。画像閲覧ボタン41は、この画像表示プログラムの起動コマンドとなっている。 【0057】 図14は、図13において画像閲覧ボタン41がクリックされた状態の一例を示した概略図である。画像閲覧ボタン41は、案件IDと、画像のファイル情報と、その初期疾病情報メールを受信・表示している二次端末2の端末アドレス又は端末識別情報とを引数にして画像表示プログラムに渡すようになっている。画像表示プログラムは、案件IDに従ってテンプ送信先DBFを開き、端末アドレス又は端末識別情報を検索キーにして検索して対応可情報を送った二次端末2であるかどうかを判断する。対応可情報を送った二次端末2であると判断されると、画像表示プログラムは、画像の閲覧を許可して良いと判断し、ファイル情報に従ってPACSサーバ6にアクセスして画像を取得するようプログラミングされている。そして、画像表示フォームに画像ファイルを嵌め込み、二次端末2に送信して表示するようプログラミングされている。」 e 「【0063】 次に、図13に戻り、見解情報の送信について説明する。 本実施形態の支援システムは、見解情報を各二次端末2において各々入力させ、入力された見解情報を一次端末1に送信する二次送信手段を備えている。二次送信手段は、本実施形態では、二次端末2と、コミュニケーションサーバ3と、コミュニケーションサーバ3に実装された二次送信プログラム等から構成されている。 図14?図16に示す画像表示フォームにおいて、「キャンセル」と表記されたボタンには、画像表示フォームを閉じ、図16に示す初期疾病情報メールの画面に戻すとともに、サーバの制御をPACSサーバ6からコミュニケーションサーバ3に戻すコマンドが埋め込まれている。 【0064】 図13に示すように、初期疾病情報メールには、「見解送信」と表記されたコマンドボタン(以下、見解送信ボタン)42が設けられている。一方、コミュニケーションサーバ3の記憶部には、見解情報の入力と送信のためのフォーム(以下、見解情報送信フォーム)のファイルが記憶されている。 見解送信ボタン42には見解送信フォームを表示するコマンドが埋め込まれており、見解送信ボタン42をクリックすると、図17に示すような見解情報送信フォームが二次端末2に表示されるようになっている。図17は、見解情報送信フォームの一例を示した概略図である。 図17に示すように、見解情報送信フォームでは、見解情報をテキストで入力する欄(以下、見解情報入力欄)44が設けられている。また、見解情報送信フォームには、送信ボタン45が設けられている。この送信ボタン45には、二次送信プログラムの起動コマンドが埋め込まれている。送信ボタン45は、セッション変数から案件ID、専門医ID等を読み出した後、入力された見解情報とともにそれらの情報をコミュニケーションサーバ3に送信するようプログラミングされている。 【0065】 図18は、二次送信プログラムの概略を示したフローチャートである。 二次送信プログラムは、テンプ案件DBFを開き、案件IDを検索キーにしてテンプ案件DBFを検索し、該当するレコードの「見解情報の有無」のフィールドに真値を記録する。また、案件IDに従ってそのファイル名のテンプ送信先DBFを開き、専門医IDを検索キーにしてテンプ送信先DBFを検索し、該当するレコードの「見解情報送信日時」のフィールドに、環境変数から日時を取得して記録する。それとともに、そのレコードの「見解情報」のフィールドに、見解情報(テキスト)を記録する。 一方、コミュニケーションサーバ3の記憶部には、一次端末1上で見解情報を表示するためのメールフォーム(以下、見解情報表示フォーム)のファイルが記憶されている。二次送信プログラムは、上記各DBFへの記録の後、送られた見解情報を見解情報表示フォームに嵌め込み、テンプ案件DBFに記録されている勤務医IDに従って、その勤務医の一次端末1に見解情報表示フォームをメール送信する。これで、二次送信プログラムは終了である。 【0066】 図19は、一次端末1に送信されて表示された見解情報表示メールの一例を示した概略図である。図19に示すように、見解情報表示メールは、送信された見解情報とともに、その見解情報を送った指導的専門医の氏名、プロフィール等を含んでいる。二次送信プログラムは、見解情報を見解情報表示フォームに嵌め込む際、セッション変数から専門医IDを読み出し、指導的専門医DBFを検索して専門医氏名やプロフィール等の情報を取得し、見解情報表示フォームに嵌め込むようプログラミングされている。 図19に示す見解情報表示メールは、見解情報が送信された際に即座に個別に一次端末1上で内容を確認する手段であったが、本実施形態のシステムは、システムの一回の利用(一人の救急患者の治療支援、一案件)について情報を統合して一次端末1に表示する統合表示手段を備えている。「統合して」とは、各見解情報を比較して参照できるように同一の一次端末1上に表示するという程度の意味である。」 f 図13から、以下の事項が読み取れる。 二次端末2では、年齢、性別などの患者に係る情報、症状、検査画像を含む初期疾病情報が受信されて表示される。 (イ)上記記載から、引用文献4には、次の事項が記載されていると認められる。 「ある程度の規模の病院であり、専門医が常駐している病院であっても、特殊な症例であって自己の専門的知識や経験では判断が難しい場合もあるし、自己の専門分野の疾病ではあっても、より良い結果を得るためには、より高い専門的知識を持った、その分野の指導的医師に見解を求めたい場合もあり、救急医療の現場において担当医が別の専門医、とりわけ指導的な専門医に見解を求めることを容易にし、指導的専門医の見解を参照しつつ最適な治療を施すのに役立つ支援システムを提供する意義を有すること」、及び、 「本実施形態の支援システムは、指導的専門医が操作する二次端末2に対し、年齢、性別などの患者に係る情報、症状、検査画像を含む初期疾病情報を送信して正式に見解情報の提供を要請する一次送信手段を備え、 見解情報を各二次端末2において各々入力させ、入力された見解情報とともにそれらの情報をコミュニケーションサーバ3に送信する手段を備え、 入力された見解情報を一次端末1に送信する二次送信手段を備えること」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明7と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「第1取得部」は、「ユーザの健康状態の検査結果を取得する」ものであるから、本願明細書の【0021】の「口腔データには、歯の状態(虫歯の進行度合い、歯周病のレベル、治療履歴、レントゲン結果、血液に関する情報等)が含まれる。」との記載を参酌すれば、引用発明では、「ユーザ」が「歯科診療時の患者」であるとの特定がなく、「健康状態の検査結果」が「口腔内に関する口腔内データ」ではない点を除き、引用発明の「第1取得部」は、「患者の健康状態の検査結果を取得する」「第1取得部」である点で、本件補正発明7の「第1取得部」と共通する。 (イ)引用発明の「診療情報を取得する手段」は、「例えばレセプトデータ、電子カルテのデータ、薬の処方履歴、栄養補助食品の摂取履歴、及びセルフケアの履歴等である、或いは、診療が行われた年月日と、保険医療機関名と、ユーザの保険証番号、氏名、性別、年齢、診療内容、及び診断結果とが含まれる診療情報を取得する」ものであるから、本願発明の【0021】の「診療時データとは、行われた診療の内容に関するデータであって、例えば、担当医、処置を行った歯科衛生士、治療の内容、診療時の患者の様子等が含まれる。」との記載を参酌すれば、引用発明の「診療情報」は「前記歯科診療時の内容に関する」との特定はないものの、「診療時データ」であることには相違はないことから、引用発明の「診療情報を取得する手段」は、「診療時データを取得する第2取得部」である点で、本件補正発明7の「第2取得部」と共通する。 (ウ)引用発明の「記憶部12」は、「ユーザIDに関連付けて、取得した検査結果が記憶され、診療情報とユーザIDと保険証番号とが関連付けられて記憶される」ものであるから、「健康状態の検査結果」が「口腔内に関する口腔内データ」ではない点、「診療情報」が「前記歯科診療時の内容に関する」との特定がない点を除き、「検査結果及び診療情報を、患者毎に関連付けて記憶する記憶部」である点で、本件補正発明7の「記憶部」と共通する。 (エ)引用発明の「送信部136」は、「ユーザに対応する検査結果と、ユーザIDに対応する診療情報とを含む助言依頼を、医療関係者が使用する医療関係者端末2に送信し、医療関係者が助言依頼に含まれる検査結果、診療情報、及び助言履歴を確認できるようにする」ものであって、「ユーザID」は「関連付けられた患者に関する情報」といえ、「医療関係者」による「検査結果、診療情報、及び助言履歴」の確認は、所定の表示部に表示された「検査結果、診療情報、及び助言履歴」を見て行われることは自明であることから、「健康状態の検査結果」が「口腔内に関する口腔内データ」ではない点、「診療情報」が「前記歯科診療時の内容に関する」との特定がない点を除き、「検査結果及び診療情報を、関連付けられた患者に関する情報とともに所定の表示部に表示させる表示情報を出力する出力部」である点で、本件補正発明7の「出力部」と共通する。 (オ)引用発明の「受信部137」は、「医療関係者端末2から送られた助言を示す助言情報を受信する」ものであって、該「助言情報」は検査結果や診療情報を確認した医療関係者によるものであり、ユーザに対する検査結果や診療情報に応じた推奨処置情報であるといえることから、「健康状態の検査結果」が「口腔内に関する口腔内データ」ではない点、「診療情報」が「前記歯科診療時の内容に関する」との特定がない点を除き、引用発明の「受信部137」は、「前記患者に対する、検査結果及び診療情報に応じた第1推奨処置情報の入力を受け付ける受付部」である点で、本件補正発明7の「受付部」と共通する。 (カ)引用発明の「提供部137」は、「ユーザが使用するユーザ端末3に検査結果を送信して表示させる」ものであるから、本件補正発明7の「前記第1推奨処置情報を、前記患者に対応付けられた端末装置へ送信する送信部」に対応する。 (キ)引用発明の「検査結果管理装置」は、ユーザの健康状態の検査結果を管理するものであり、ユーザに対するクリニック支援を行う装置であるといえるから、引用発明と本件補正発明7はいずれも「クリニック支援装置」である点で共通する。 イ 以上のことから、本件補正発明7と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「患者の健康状態の検査結果を取得する第1取得部と、 診療時データを取得する第2取得部と、 検査結果及び診療情報を、患者毎に関連付けて記憶する記憶部と、 検査結果及び診療情報を、関連付けられた患者に関する情報とともに所定の表示部に表示させる表示情報を出力する出力部と、 前記患者に対する、検査結果及び診療情報に応じた第1推奨処置情報の入力を受け付ける受付部と、 前記第1推奨処置情報を、前記患者に対応付けられた端末装置へ送信する送信部と、 を備えるクリニック支援装置。」 (相違点1) 本件補正発明7は、「検査結果」が「歯科診療時の患者の口腔内に関する口腔データ」であり、「診療情報」が「前記歯科診療時の内容に関する診療時データ」であるのに対して、引用発明ではこのような特定がなされていない点。 (相違点2) 本件補正発明7では、「前記出力部は、前記患者の担当医と異なる診療従事者であって、前記担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力し、前記受付部は、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記診療従事者からさらに受け付け、前記出力部は、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させる」のに対して、引用発明ではこのようにはなっていない点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1について 引用発明は、「検査結果」が「歯科診療時の患者の口腔内に関する口腔データ」であることや「診療情報」が「前記歯科診療時の内容に関する診療時データ」であることは特定されていないものの、第1の推奨処置情報に相当する助言情報を入力する医療関係者に歯科医師を含んでいることから、健康状態の審査結果として歯科医師の診療範囲である口腔内に関する口腔データを含むことや診療情報として歯科診療時の内容を含むことを想定しているといえる。 そして、引用文献2の記載事項に見られるように、「歯科医院等の専門家によるデンタル診断結果に対するケア/アドバイスを、使用者が見る表示部に画面表示すること」ことは公知の事項である。 してみると、引用発明の「検査結果」を「歯科診療時の患者の口腔内に関する口腔データ」とし、「診療情報」が「前記歯科診療時の内容に関する診療時データ」とすることは、当業者であれば容易になし得るものである。 イ 相違点2について (ア)引用文献3には、「専門分野の医師から診断、治療に関するアドバイス等の医療支援を受けられるようにした医療支援システムが知られていること」、及び、「担当医と同じ院内の支援登録者が支援者端末TSとして院内端末13を用いて支援を行うことができるように、院内端末13で支援要請発行画面に表示された、患者氏名等を除く、患者ID、受付時刻、受付ID、支援要請内容、カルテ内容、及び、検査画面が、支援装置12の配信サーバから院内端末13から支援装置12に送られて、支援者端末TSで支援要請受信画面60として表示され、支援者端末TSから、発言入力欄82に入力された参加者の助言や所見などの発言が支援装置12に送信され、支援装置12の配信サーバ27からの発言を受信すると、支援者端末TS及び担当医の院内端末13では、それに対応する発言72を表示すること」が記載されている。 ここで、引用文献3に記載されたものは、「担当医と同じ院内の支援登録者が支援者端末TSとして院内端末13を用いて支援を行うことができるように、院内端末13で支援要請発行画面に表示された、患者氏名等を除く、患者ID、受付時刻、受付ID、支援要請内容、カルテ内容、及び、検査画面が、支援装置12の配信サーバから院内端末13から支援装置12に送られて、支援者端末TSで支援要請受信画面60として表示され」るものであって、「患者ID」は「患者に関する情報」、「検査画面」は検査データ、「カルテ内容」は「診療時データ」といい得るとともに、これらの情報は担当医の院内端末13に表示される情報であることから、患者の担当医と異なる診療従事者であって、担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、表示情報を閲覧可能に出力する出力部を備えているといえる。 また、引用文献3に記載されたものは、「支援者端末TSから、発言入力欄82に入力された参加者の助言や所見などの発言が支援装置12に送信され」ることから、患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、診療従事者からさらに受け付ける受付部を備えているといえる。 さらに、引用文献3に記載されたものは、「支援装置12の配信サーバ27からの発言を受信すると、支援者端末TS及び担当医の院内端末13では、それに対応する発言72を表示する」ことから、担当医に対応付けられた端末装置へ、第2推奨処置情報を表示させる出力部を備えているといえる。 してみると、引用文献3には、「前記出力機能は、前記患者の担当医と異なる診療従事者であって、前記担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力し、前記受付機能は、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記診療従事者からさらに受け付け、前記出力機能は、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させる」ことが記載されているといえる。 (イ)引用文献4には、「ある程度の規模の病院であり、専門医が常駐している病院であっても、特殊な症例であって自己の専門的知識や経験では判断が難しい場合もあるし、自己の専門分野の疾病ではあっても、より良い結果を得るためには、より高い専門的知識を持った、その分野の指導的医師に見解を求めたい場合もあり、救急医療の現場において担当医が別の専門医、とりわけ指導的な専門医に見解を求めることを容易にし、指導的専門医の見解を参照しつつ最適な治療を施すのに役立つ支援システムを提供する意義を有すること」、及び、「本実施形態の支援システムは、指導的専門医が操作する二次端末2に対し、年齢、性別などの患者に係る情報、症状、検査画像を含む初期疾病情報を送信して正式に見解情報の提供を要請する一次送信手段を備え、見解情報を各二次端末2において各々入力させ、入力された見解情報とともにそれらの情報をコミュニケーションサーバ3に送信する手段を備え、入力された見解情報を一次端末1に送信する二次送信手段を備えること」が記載されている。 ここで、引用文献4に記載されたものは、「指導的専門医が操作する二次端末2に対し、初期疾病情報を送信して正式に見解情報の提供を要請する一次送信手段を備え」ており、「年齢、性別などの患者に係る情報、症状、検査画像を含む初期疾病情報」において、「年齢、性別などの患者に係る情報」は患者に関する情報、「症状」は「診療時データ」、「検査画像」は検査データといい得るとともにこれらの情報は担当医が使用する一次端末に表示される情報であり、専門医が常駐しているようなある程度の規模の病院も想定していることから、患者の担当医と異なる診療従事者であって、担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力する出力部を備えているといえる。 また、引用文献4に記載されたものは、「見解情報を各二次端末2において各々入力させ、入力された見解情報とともにそれらの情報をコミュニケーションサーバ3に送信する手段を備え」ることから、患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、診療従事者からさらに受け付ける受付部を備えているといえる。 さらに、引用文献4に記載されたものは、「入力された見解情報を一次端末1に送信する二次送信手段を備えること」から、担当医に対応付けられた端末装置へ、第2推奨処置情報を表示させる出力部を備えているといえる。 してみると、引用文献4には、「前記出力機能は、前記患者の担当医と異なる診療従事者であって、前記担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力し、前記受付機能は、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記診療従事者からさらに受け付け、前記出力機能は、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させる」ことが記載されているといえる。 (ウ)上記(ア)及び(イ)を参酌すると、「前記出力機能は、前記患者の担当医と異なる診療従事者であって、前記担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力し、前記受付機能は、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記診療従事者からさらに受け付け、前記出力機能は、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させる」ことは、本件補正発明の出願時には周知な事項であったと認められる。 (エ)さらに、引用文献3には、「専門分野の医師から診断、治療に関するアドバイス等の医療支援を受けられるようにした医療支援システムが知られていること」が記載され、引用文献4には、「ある程度の規模の病院であり、専門医が常駐している病院であっても、特殊な症例であって自己の専門的知識や経験では判断が難しい場合もあるし、自己の専門分野の疾病ではあっても、より良い結果を得るためには、より高い専門的知識を持った、その分野の指導的医師に見解を求めたい場合もあり、救急医療の現場において担当医が別の専門医、とりわけ指導的な専門医に見解を求めることを容易にし、指導的専門医の見解を参照しつつ最適な治療を施すのに役立つ支援システムを提供する意義を有すること」が記載されている。 そして、最適な治療を施すという課題は医療分野に内在する自明な課題であって、それは引用発明においても同様であることから、専門分野の医師から診断、治療に関するアドバイス等の医療支援を受け、最適な治療を施すことができるようにするため、引用発明において、「前記出力機能は、前記患者の担当医と異なる診療従事者であって、前記担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力し、前記受付機能は、前記患者の診療側に対する第2推奨処置情報の入力を、前記診療従事者からさらに受け付け、前記出力機能は、前記担当医に対応付けられた端末装置へ、前記第2推奨処置情報を表示させる」ようにすることは、当業者であれば容易になし得る事項である。 ウ これらの相違点を総合的に勘案しても、最適な歯科治療を施すことが「患者の健康状態を向上させ」かつ「歯科医院の経営の安定を支援する」ことに資することは明らかであるから、本件補正発明7の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2の記載事項及び引用文献3、4に記載された周知事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 エ したがって、本件補正発明7は、引用発明、引用文献2の記載事項及び引用文献3、4に記載された周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年8月8日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年3月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、本願発明7は、その請求項7に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?7に係る発明は、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2?6に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2016-212584号公報 引用文献2:特開2009-205330号公報 引用文献3:特開2002-83060号公報 引用文献4:特開2014-215691号公報 引用文献5:特開2014-48858号公報 (前記第2の[理由]2(2)の引用文献3) 引用文献6:特開2012-27565号公報 (前記第2の[理由]2(2)の引用文献4) 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2、5及び6及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明7は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明7から、「出力部」に係る「前記出力部は、前記患者の担当医と異なる診療従事者であって、前記担当医の属するクリニックに関係する診療従事者に対し、前記表示情報を閲覧可能に出力し、」との限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明7の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明7が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明、引用文献2の記載事項及び引用文献5、6に記載された周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明7も、引用発明、引用文献2の記載事項及び引用文献5、6に記載された周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明7は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-10-03 |
結審通知日 | 2019-10-08 |
審決日 | 2019-10-23 |
出願番号 | 特願2017-235613(P2017-235613) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06Q)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 緑川 隆 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
佐藤 聡史 石川 正二 |
発明の名称 | クリニック支援プログラム、クリニック支援方法、及び、クリニック支援装置 |
代理人 | 特許業務法人白坂 |