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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1359137
審判番号 不服2018-9990  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-20 
確定日 2020-01-20 
事件の表示 特願2016-548958「無線通信装置および無線通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月24日国際公開、WO2016/043294〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)9月17日(優先権主張 平成26年9月19日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年 1月23日 手続補正書の提出
平成29年11月14日付け 拒絶理由通知書
平成30年 1月22日 意見書、手続補正書の提出
平成30年 2月14日付け 拒絶理由通知書(最後)
平成30年 4月 3日 意見書、手続補正書の提出
平成30年 5月30日付け 平成30年4月3日の手続補正についての 補正の却下の決定、拒絶査定
平成30年 7月20日 拒絶査定不服審判の請求、
手続補正書の提出
令和 1年 8月16日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和 1年 10月15日 意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1-11に係る発明は、令和1年10月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。

「 動作チャネルを、互いに周波数の異なる第1周波数チャネルおよび第2周波数チャネルのうちの一方に切り換え可能な制御部と、
前記制御部によって切替られた動作チャネルが前記第1周波数チャネルのとき前記第1周波数チャネルで第1周期で第1報知信号を送信可能であって、前記制御部によって切替られた動作チャネルが前記第2周波数チャネルのとき前記第2周波数チャネルで第2周期で第2報知信号を送信可能な送信部と、を備え、
前記送信部は、複数回繰り返される前記第2周期のうちの少なくとも1つに対して前記第2周波数チャネル上で信号の送受信が行われない第1期間を特定可能な情報を含む前記第2報知信号を、前記第2周波数チャネルで送信し、
前記制御部は、前記第1期間の間の少なくとも一部で、1以上の他の周波数チャネルの状況に関する情報を取得することにより、前記第2周波数チャネルの変更先の周波数チャネルを決定し、
前記第1周波数チャネルは、前記第2周波数チャネルに関する制御情報の通信に用いられる制御チャネルであり、前記第2周波数チャネルは、データの通信に用いられるデータチャネルである
無線通信装置。」

第3 拒絶の理由
令和1年8月16日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、「4.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項1に対して下記3、4が引用されている。

3.田中 宏和 他、Smart BANの技術提案とその標準化、電子情報通信学会2014年通信ソサイエティ大会講演論文集1、一般社団法人電子情報通信学会、432ページ、2014年9月9日発行

4.松尾 綾子 他、ワイヤレス生体センサー向けBANにおけるMACの提案(1)、電子情報通信学会2014年総合大会講演論文集 通信1、一般社団法人電子情報通信学会、519ページ、2014年3月4日発行

第4 引用例等に記載された事項及び引用発明等

1.引用発明
当審拒絶理由で引用された田中 宏和 他、Smart BANの技術提案とその標準化、電子情報通信学会2014年通信ソサイエティ大会講演論文集1、一般社団法人電子情報通信学会、432ページ、2014年9月9日発行(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「3.提案方式概要
上記の技術要求に沿って、Smart BANの技術提案を行っている[5]-[7]。提案方式の基本は、HUBは自らのネットワーク情報を通知する制御チャンネル(C-ch)とNodeの通信を行うデータチャンネル(D-ch)の2チャンネル構成となっていることである。図1に提案方式のチャンネル構成を示す。図1において、NodeはC-ch Beaconから接続するネットワークの情報を得てD-chに接続する。またC-chを用いてHUB間通信をすることでシステムの共存性を確保する。」(左欄33-42行)

(2)図1として以下の図面が記載されている。




上記(1)の記載及び(2)の図面並びに当業者の技術常識を考慮すると、以下のことがいえる。

ア 上記(1)には、制御チャンネル(C-ch)とデータチャンネル(D-ch)の2チャンネル構成を有するHUBが記載されている。制御チャンネル(C-ch)とデータチャンネル(D-ch)とは2チャンネル構成であるから、互いに周波数が異なるといえる。
そして、上記(2)の図1から、制御チャンネル(C-ch)でC-ch Beaconを送信するために、Inactive Periodにおいて、動作チャネルをデータチャンネル(D-ch)から制御チャンネル(C-ch)に切り替えることが見てとれる。
したがって、HUBでは、「動作チャネルを、互いに周波数の異なる制御チャンネル(C-ch)とデータチャンネル(D-ch)のうちの一方に切り換えること」が行われているといえる。

イ 上記(2)の図1から、HUBは、「切替られた動作チャネルが制御チャンネル(C-ch)のとき、制御チャンネル(C-ch)で周期TCでC-ch Beaconを送信し、切替られた動作チャネルがデータチャンネル(D-ch)のとき、データチャンネル(D-ch)で周期TDでD-ch Beaconを送信する」ことが見てとれる。

ウ 上記(2)の図1において、D-ch Beaconが周期TDで繰り返し送信されることは当業者にとって明らかであるから、周期TDは複数回繰り返されるものであるといえる。そして、図1から、周期TDはデータチャンネル(D-ch)上で信号の送受信が行われないInactive Periodを有することが見てとれる。したがって、HUBは、「複数回繰り返される周期TDのうちの少なくとも1つに対してデータチャンネル(D-ch)上で信号の送受信が行われないInactive Periodを有する」といえる。
また、上記(2)の図1から、HUBは「D-ch Beaconをデータチャンネル(D-ch)で送信」することが見てとれる。

エ 上記(2)の図1から、HUBは、「Inactive Periodの間の少なくとも一部で、C-ch Beaconを送信する」ことが見てとれる。

オ 上記(1)によれば、制御チャンネル(C-ch)は自らのネットワーク情報を通知するものであり、NodeはC-ch Beaconから接続するネットワークの情報を得てデータチャンネル(D-ch)に接続するものである。そして、ネットワークの情報は制御情報といえるから、「制御チャンネル(C-ch)はデータチャンネル(D-ch)に関する制御情報の通信に用いられる」ものであるといえる。そして、データチャンネル(D-ch)はNodeの通信を行うデータチャンネルであるから、「制御チャンネル(C-ch)は、データチャンネル(D-ch)に関する制御情報の通信に用いられる制御チャネルであり、データチャンネル(D-ch)は、データの通信に用いられるデータチャネルである」といえる。

カ 上記(1)によれば、HUBは、「BANのHUB」であるといえる。

してみれば、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「 動作チャネルを、互いに周波数の異なる制御チャンネル(C-ch)とデータチャンネル(D-ch)のうちの一方に切り換えることと、
切替られた動作チャネルが前記制御チャンネル(C-ch)のとき前記制御チャンネル(C-ch)で周期TCでC-ch Beaconを送信し、切替られた動作チャネルが前記データチャンネル(D-ch)のとき前記データチャンネル(D-ch)で周期TDでD-ch Beaconを送信することと、を備え、
複数回繰り返される前記周期TDのうちの少なくとも1つに対して前記データチャンネル(D-ch)上で信号の送受信が行われないInactive Periodを有し、D-ch Beaconをデータチャンネル(D-ch)で送信し、
Inactive Periodの間の少なくとも一部で、C-ch Beaconを送信し、
前記制御チャンネル(C-ch)は、前記第データチャンネル(D-ch)に関する制御情報の通信に用いられる制御チャネルであり、前記データチャンネル(D-ch)は、データの通信に用いられるデータチャネルである
BANのHUB。」

2.公知技術
当審拒絶理由に引用された松尾 綾子 他、ワイヤレス生体センサー向けBANにおけるMACの提案(1)、電子情報通信学会2014年総合大会講演論文集 通信1、一般社団法人電子情報通信学会、519ページ、2014年3月4日発行(以下、「公知例」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「本稿では,IEEE802.15.6の複雑さを低減しつつ,干渉存在時のチャネル変更を容易にする2Ch構成MACの仕組みを示し,チャネル変更にかかる平均時間を評価する。
2. 2Ch構成MAC
図1にControl Channel (C-ch),Data channel(D-ch)の2つの周波数チャネルを用いるBAN向け2Ch構成MACを示す。ハブはC-chにてD-chのチャネル番号を含むD-ch情報を通知するビーコンを送信する。ノードは起動後C-chを動作チャネルとしてC-chビーコンを受信しD-ch情報を取得,動作チャネルをD-chに切替える。その後は基本的にD-chを動作チャネルとして使用する。共通のC-chを用いることで,ハブはC-chにてC-ch ビーコン送信と同時に他のハブのC-ch ビーコンを受信し,他のハブが使用しているD-ch番号等の情報把握が可能となる。一方,他ネットワークとの干渉回避からハブはD-chを変更する場合もある。」(左欄7-23行)

上記記載及び当業者の技術常識によれば、「他のハブが使用しているD-ch番号等の情報」は、1以上の他の周波数チャネルの状況に関する情報であるといえるから、ハブが「C-ch ビーコン送信と同時に他のハブのC-ch ビーコンを受信し、他のハブが使用しているD-ch番号等の情報把握」を行うことは、ハブが「C-ch ビーコン送信と同時に、1以上の他の周波数チャネルの状況に関する情報を取得する」ことであるといえる。そして、ハブは他ネットワークとの干渉回避のためにD-chを変更するから、ハブは、他のハブが使用しているD-ch番号等の情報を取得することにより、干渉存在時の「D-chの変更先の周波数チャネルを決定する」ものであるといえる。また、ハブは「BANのハブ」である。

したがって、公知例には以下の発明(以下「公知技術」という。)が記載されていると認める。

「C-ch ビーコン送信と同時に、1以上の他の周波数チャネルの状況に関する情報を取得することにより、D-chの変更先の周波数チャネルを決定するBANのハブ。」

3.周知事項
IEEE Std 802.15.6-2012の規格書であるIEEE Standard for Local and metropolitan area networks - Part 15.6: Wireless Body Area Networks、27-31ページ、2012年発行(以下、「周知例」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「5.3.1 Beacon
A beacon frame contains a Frame Payload that is formatted as shown in Figure 14. It is locally broadcast by a hub in every beacon period (superframe).

Figure 14 ?Frame Payload format for Beacon frames」
(27ページ下から1-3行)

(当審仮訳:
5.3.1 ビーコン
ビーコンフレームには、図14に示すようにフォーマットされたフレームペイロードが含まれる。これは、ビーコン期間(スーパーフレーム)ごとにハブによってローカルにブロードキャストされる。
(図面略)
図14:ビーコンフレームのフレームペイロードフォーマット)

(2)「5.3.1.13 Inactive Duration
The Inactive Duration field is present only if one or more inactive superframes are starting at the end of the current beacon period (superframe) as encoded by the Non-final Fragment/Cancel/Scale/Inactive field according to 5.2.1.1.13. When present, it is set to the number of inactive superframes after each active superframe.」(31ページ1-5行)

(当審仮訳:
5.3.1.13 非アクティブ期間
非アクティブ期間フィールドは、5.2.1.1.13にしたがって、非最終フラグメント/キャンセル/スケール/非アクティブフィールドでエンコードされた現在のビーコン期間(スーパーフレーム)の終わりに1つ以上の非アクティブスーパーフレームが開始される場合にのみ存在する。存在する場合、アクティブな各スーパーフレームの後の非アクティブなスーパーフレームの数に設定される。)

したがって、規格書に記載されているように、BANにおいて、「ビーコンがInactive Periodを特定可能な情報を含む。」ことは周知事項であると認められる。

第5 対比・判断

本願発明と引用発明とを比較する。

ア 引用発明の「BANのHUB」は、本願発明の「無線通信装置」に相当する。また、引用発明の「互いに周波数の異なる制御チャンネル(C-ch)とデータチャンネル(D-ch)」を、それぞれ「互いに周波数の異なる第1周波数チャネルと第2周波数チャネル」と称することは任意である。
そして、引用発明のHUBは動作チャネルを切り換えるものであり、動作チャネルを切り換え可能な「制御部」を備えるものであるといえるから、引用発明のHUBが「動作チャネルを、互いに周波数の異なる制御チャンネル(C-ch)とデータチャンネル(D-ch)のうちの一方に切り換えること」は、本願発明と同様に、「無線通信装置」が「動作チャネルを、互いに周波数の異なる第1周波数チャネルおよび第2周波数チャネルのうちの一方に切り換え可能な制御部」を備えるものであるといえる。

イ 引用発明の「周期TC」、「周期TD」を、それぞれ「第1周期」、「第2周期」と称することは任意である。また、引用発明の「C-ch Beacon」、「D-ch Beacon」は、それぞれ本願発明の「第1報知信号」、「第2報知信号」に相当する。そして、引用発明のHUBは、「第1報知信号」、「第2報知信号」を送信可能な「送信部」を備えるものであるといえる。
したがって、引用発明のHUBが「切替られた動作チャネルが前記制御チャンネル(C-ch)のとき前記制御チャンネル(C-ch)で周期TCでC-ch Beaconを送信し、切替られた動作チャネルが前記データチャンネル(D-ch)のとき前記データチャンネル(D-ch)で周期TDでD-ch Beaconを送信すること」は、本願発明と同様に、「無線通信装置」が「前記制御部によって切替られた動作チャネルが前記第1周波数チャネルのとき前記第1周波数チャネルで第1周期で第1報知信号を送信可能であって、前記制御部によって切替られた動作チャネルが前記第2周波数チャネルのとき前記第2周波数チャネルで第2周期で第2報知信号を送信可能な送信部」を備えるものであるといえる。

ウ 引用発明の「Inactive Period」を、「第1期間」と称することは任意であるから、引用発明の「複数回繰り返される前記周期TDのうちの少なくとも1つに対して前記データチャンネル(D-ch)上で信号の送受信が行われないInactive Periodを有し」と、本願発明の「前記送信部は、複数回繰り返される前記第2周期のうちの少なくとも1つに対して前記第2周波数チャネル上で信号の送受信が行われない第1期間を特定可能な情報を含む前記第2報知信号を、前記第2周波数チャネルで送信し」とは、「複数回繰り返される前記第2周期のうちの少なくとも1つに対して前記第2周波数チャネル上で信号の送受信が行われない第1期間」を有する点で共通する。
また、引用発明では「D-ch Beaconをデータチャンネル(D-ch)で送信」するから、本願発明と「送信部は前記第2報知信号を、前記第2周波数チャネルで送信」する点で共通する。

エ 引用発明の「前記制御チャンネル(C-ch)は、前記第データチャンネル(D-ch)に関する制御情報の通信に用いられる制御チャネルであり、前記データチャンネル(D-ch)は、データの通信に用いられるデータチャネルである」は、本願発明の「前記第1周波数チャネルは、前記第2周波数チャネルに関する制御情報の通信に用いられる制御チャネルであり、前記第2周波数チャネルは、データの通信に用いられるデータチャネルである」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致し、また、相違している。
(一致点)
「 動作チャネルを、互いに周波数の異なる第1周波数チャネルおよび第2周波数チャネルのうちの一方に切り換え可能な制御部と、
前記制御部によって切替られた動作チャネルが前記第1周波数チャネルのとき前記第1周波数チャネルで第1周期で第1報知信号を送信可能であって、前記制御部によって切替られた動作チャネルが前記第2周波数チャネルのとき前記第2周波数チャネルで第2周期で第2報知信号を送信可能な送信部と、を備え、
複数回繰り返される前記第2周期のうちの少なくとも1つに対して前記第2周波数チャネル上で信号の送受信が行われない第1期間を有し、送信部は前記第2報知信号を、前記第2周波数チャネルで送信し、
前記第1周波数チャネルは、前記第2周波数チャネルに関する制御情報の通信に用いられる制御チャネルであり、前記第2周波数チャネルは、データの通信に用いられるデータチャネルである
無線通信装置。」

(相違点1)
「第2報知信号」について、本願発明では「第1期間を特定可能な情報」を含むのに対し、引用発明では、「第1期間を特定可能な情報」を含むとの特定がない点。

(相違点2)
本願発明では、「前記第1期間の間の少なくとも一部で、1以上の他の周波数チャネルの状況に関する情報を取得することにより、前記第2周波数チャネルの変更先の周波数チャネルを決定」するのに対し、引用発明では、第1期間の間の少なくとも一部であるInactive Periodで、第1報知信号であるC-ch Beaconを送信しているが、当該発明特定事項が特定されていない点。

以下、相違点について検討する。

(相違点1について)
上記「第4 引用例等に記載された事項及び引用発明等」「3.周知事項」のとおり、BANにおいて、「ビーコンがInactive Periodを特定可能な情報を含む。」ことは周知であるから、引用発明に周知事項の構成を採用することは、格別困難なことではなく、当業者が適宜なし得ることである。

(相違点2について)
上記「第4 引用例等に記載された事項及び引用発明等」「2.公知技術」のとおり、「C-ch ビーコン送信と同時に、1以上の他の周波数チャネルの状況に関する情報を取得することにより、D-chの変更先の周波数チャネルを決定するBANのハブ。」は公知技術である。引用発明と公知技術は、いずれも2チャンネル構成のBANに関するものであり、また、他ネットワークとの干渉を回避することは、当業者が当然に考慮すべき一般的な課題であるから、引用発明に公知技術を組み合わせることに格別の困難性はなく、阻害要因も見出せない。
そうすると、引用発明に公知技術を組み合わせ、Inactive Periodの間の少なくとも一部で、C-ch Beaconを送信するのと同時に、1以上の他の周波数チャネルの状況に関する情報を取得することにより、D-chの変更先の周波数チャネルを決定すること、すなわち、第1期間の間の少なくとも一部で、1以上の他の周波数チャネルの状況に関する情報を取得することにより、前記第2周波数チャネルの変更先の周波数チャネルを決定することは、当業者が適宜なし得たことである。

また、本願発明の作用効果も、引用発明、公知技術、周知事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。

そうすると、本願発明は、引用発明、公知技術、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-28 
結審通知日 2019-11-29 
審決日 2019-12-10 
出願番号 特願2016-548958(P2016-548958)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松野 吉宏  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 山本 章裕
原田 聖子
発明の名称 無線通信装置および無線通信方法  
代理人 永井 浩之  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 朝倉 悟  
代理人 中村 行孝  
代理人 関根 毅  
代理人 鈴木 順生  

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