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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R |
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管理番号 | 1360761 |
審判番号 | 不服2019-7508 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-06-05 |
確定日 | 2020-03-31 |
事件の表示 | 特願2014-165958号「プローブ及びその使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年3月2日出願公開、特開2015-40858号、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年8月18日にされた特許出願(パリ条約による優先権主張 2013年8月22日及び同年10月23日、いずれも米国)であって、平成30年5月16日付けの拒絶理由通知に対し、同年11月22日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年1月28日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ(原査定の謄本の送達日:同年2月5日)、これに対して、令和元年6月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、令和元年6月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 なお、本願発明1の各構成については、当審が符号A?Iを用いて分説した。 「【請求項1】 A 試験測定装置と共に用いるプローブであって、 B アナログ・デジタル・コンバータを有し、被試験デバイスから信号を受けて、該信号のデジタル測定値を定めるデジタル・マルチメータ又はデジタル・ボルトメータと、 C 上記デジタル・マルチメータ又は上記デジタル・ボルトメータに接続され、上記デジタル・マルチメータ又は上記デジタル・ボルトメータからの上記デジタル測定値を受ける第1コントローラと、 D 上記第1コントローラに接続されて上記第1コントローラと通信を行うデジタル・コミュニケーション・インタフェースと、 E 上記デジタル・コミュニケーション・インタフェースに接続され、上記試験測定装置と通信すると共に、上記試験測定装置のグラウンドから上記プローブをアイソレーションするためのアイソレーション・コミュニケーション・リンクと、 F 上記被試験デバイスに接続され、上記被試験デバイスからの上記信号を受け、該信号を処理してアナログ出力信号を生成する高帯域幅回路と、 G 上記高帯域幅回路及び上記アイソレーション・コミュニケーション・リンクに接続されるアナログ信号インタフェースと、 H 上記アイソレーション・コミュニケーション・リンクに接続され、上記プローブを上記試験測定装置に接続する第2コントローラと を具え、 I 上記第2コントローラは、上記デジタル・コミュニケーション・インタフェースと通信して上記デジタル測定値を受けると共に上記アナログ信号インタフェースと通信して上記高帯域幅回路からの上記アナログ出力信号を受けるプローブ。 【請求項2】 プローブを試験測定装置と共に使用する方法であって、 被試験デバイスからの信号をプローブで受ける処理と、 上記プローブ内に配置されたアナログ・デジタル・コンバータを有するデジタル・マルチメータ又はデジタル・ボルトメータを用いて上記信号のデジタル測定値を定める処理と、 上記プローブ内の第1コントローラで上記デジタル測定値を受ける処理と、 上記第1コントローラから上記プローブ内のデジタル・コミュニケーション・インタフェースへ上記デジタル測定値を送る処理と、 上記デジタル・コミュニケーション・インタフェースからアイソレーション・コミュニケーション・リンクを介して第2コントローラへ上記デジタル測定値を送る処理と、 上記プローブ内の高帯域幅回路で上記被試験デバイスからの上記信号を受け、該信号を処理してアナログ出力信号を生成する処理と、 上記アナログ出力信号を上記プローブ内のアナログ信号インタフェースで受ける処理と、 上記デジタル測定値又は上記アナログ出力信号を上記アイソレーション・コミュニケーション・リンク及び上記第2コントローラを介して上記試験測定装置に送る処理と、 上記デジタル測定値又は上記アナログ出力信号を上記試験測定装置の表示装置上で表示する処理と を具え、 上記アイソレーション・コミュニケーション・リンクは、上記試験測定装置のグラウンドから上記プローブをアイソレーションし、 上記第2コントローラは、上記デジタル・コミュニケーション・インタフェースと通信して上記デジタル測定値を受けると共に上記アナログ信号インタフェースと通信して上記高帯域幅回路からの上記アナログ出力信号を受けるプローブの使用方法。」 第3 原査定の理由の概要 原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 本件補正前の請求項1?4に係る発明は、下記の引用文献1?4に記載された発明に基いて、本願の優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開平8-15317号公報 引用文献2:特開2012-223371号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3:特表2011-505568号公報 引用文献4:特開2006-333257号公報(周知技術を示す文献) 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1 上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、電子回路の開発、試験等を行うためのオシロスコープ等に使用するワイヤレス・プローブに関する。」 「【0003】 【発明が解決しようとする課題】オシロスコープ等では、複数のプローブを使用して複数チャンネルの信号を同時に取込み、表示画面上でそれらの関係を観測し測定することが通常行われている。この様な測定を行う場合、特定チャンネルの入力信号に関してトリガ信号を発生し、このトリガ信号を機器内部で他チャンネルの処理回路に与えて、複数のチャンネルに関し同一のトリガ信号に基づき入力信号の取込み又は表示を制御する。各プローブのケーブルの長さは公称同一で、伝播遅延時間は略同一であるために、各チャンネルの取り込んだデータの時間関係は略正確であるが、更に正確な測定を必要とする場合は、プローブ間の伝播遅延誤差を補正するように校正が行われる。」 「【0008】 【作用】ワイヤレス・プローブは、マスタ・プローブとして動作する場合は、トリガ信号の発生時間値及びトリガ信号に従って取り込んだデータを送信し、スレーブ・プローブとして動作するときは、トリガ代用信号の発生時間値及びトリガ代用信号に従って取り込んだデータを送信するので、データ受け取り側ではこれらのデータの時間関係を補正することができる。 【0009】 【実施例】図1は、本発明のワイヤレス・プローブを含むシステムを示すブロック図であり、異なるアナログ入力信号は、夫々ワイヤレス・プローブ10A及び10Bに供給される。プローブ10A及び10Bは同一の構成であるので、プローブ10Bの個々の構成要素の図示及び説明を省略するが、説明中、プローブ10A又は10Bの構成要素であることを明確にするために、夫々の構成要素を示す数字の後にa及びbを付加する。ここでは、プローブ10Aの入力信号に関してトリガ信号を発生し、このトリガ信号に基づいてプローブ10A及び10Bの信号取込み動作を制御するものとする。即ち、プローブ10Aはマスタ・プローブとして、プローブ10Bはスレーブ・プローブとして動作し、そのように動作するように各プローブ内の構成要素はバスを介してCPUにより制御される。 【0010】図2は本発明のワイヤレス・プローブ10の外観を示す図である。ワイヤレス・プローブ10は、本体50、本体の一端に設けたプローブ針52、本体の他端に設けたアンテナ54及び本体から引き出されたグランド端子56を有する。アンテナ54は、本体50に内蔵された後述する送信器及び受信器に兼用される。この図に示すワイヤレス・プローブは、オシロスコープの代表的な設定項目であるトリガ・レベル、取込み速度、垂直感度、水平掃引速度等の設定をプローブ側から操作可能にするために、本体50には値増加釦58、値減少釦60、設定項目選択釦62及び表示部64が設けられる。設定項目選択釦62を押すことで、設定項目のうちの1つが選択されると共に、その設定項目を表す文字が表示部64に表示される。選択された設定項目の設定値は、値増加釦58及び値減少釦60を使用して値を増減することにより設定可能である。設定項目及び設定値は、プローブ10から送信されて、図1に示すコントローラ12で受信され復調等の処理後に表示器14に送られて表示され、表示器14の画面上で設定値を確認することができる。本体50には、更に、本体50にはマスタ/スレーブ選択釦66が設けられ、この釦を操作することにより、このプローブがマスタ・プローブ又はスレーブ・プローブのいずれとして動作をするかを選択できる。 【0011】再び、図1を参照すると、プローブ10Aのアナログ入力信号は、前置増幅器18aで適当なレベルに調整された後に、アナログ・デジタル変換器(ADC)20aに供給される。ADC20aは、クロック発生器24aから供給されるクロック信号がタイムベース制御回路22aを介してサンプリング・クロックとして供給されるときに、サンプリング・クロックに応答して入力アナログ信号の瞬時値をデジタル・データに変換する。 【0012】前置増幅器18aの出力信号はトリガ発生器26aにも供給され、トリガ発生器26aは信号が予め設定されたトリガ・レベルと交差するときに、トリガ信号を発生する。トリガ発生器26aのトリガ・レベルは、値増加釦58、値減少釦60、設定項目選択釦62及び関連する回路から成る入力ユニット28aを使用してデジタル値として設定されて、バス30aを介してトリガ発生器26aに供給され、トリガ発生器26a内でアナログ電圧に変換されて生成される。 【0013】発生したトリガ信号は、タイムベース制御回路22aに供給される。タイムベース制御回路22aは、中央処理ユニット(CPU)から予め送られた取込み開始信号に応答してクロック発生器24aからのクロック信号をADC20aに供給している。タイムベース制御回路22aは、トリガ信号を受け取ると、CPU32aによるプリセット値に等しい数のサンプリング・クロック信号をADC20aに供給した後にサンプリング・クロック信号の供給を停止する。タイムベース制御回路22aは、サンプリング・クロック信号の供給が終了すると、取込み終了信号をCPU32aに送る。アドレス・カウンタ34aは、タイムベース22aからのクロック信号を計数し、アドレス信号をバス30aを介して取込みメモリ36aに供給する。取込みメモリ36aは、アドレス信号により指定されたアドレス位置に、ADC20aからのデジタル・データを順次蓄積する。 【0014】クロック発生器24aからの基準クロック信号は、タイム・カウンタ38aに供給される。タイム・カウンタ38aは、基準クロック信号を常時計数する時計として動作し、時間値を出力する。タイム・カウンタ38aの時計機能の分解能約1nsである。タイムベース制御回路22aはトリガ信号を受け取ると、更にトリガ・タイミング信号をトリガ時間保持回路40aに供給する。トリガ時間保持回路40aは、トリガ・タイミング信号に応答して、タイム・カウンタ38aから供給される時間値T1を保持する。トリガ・タイミング信号は送信器42aにも供給され、送信器42aはトリガ発生器26でトリガ信号が発生されたことを他のプローブ10Bに知らせるために、電波、光等による通信によりトリガ通知信号を送信する。 【0015】プローブ10B内では、受信器44bがトリガ通知信号を受信すると、トリガ代用信号をタイムベース制御回路22bに供給する。タイムベース制御回路22bは、トリガ代用信号を受け取ると、CPU32bによるプリセット値を計数した後ADC20bへのサンプリング・クロックの供給を停止する。説明を簡単にするために、タイムベース制御回路22a及び22bのプリセット値は等しい。タイムベース制御回路22bは、トリガ代用信号を受け取ると、更に、トリガ・タイミング信号をトリガ時間保持回路40bに供給する。トリガ時間保持回路40bは、トリガ・タイミング信号に応答して、タイム・カウンタ38bから供給される時間値T_(2)を保持する。 【0016】?【0017】 (省略) 【0018】CPU32aは上述の処理を終了すると、送信器42を介して取込み処理終了信号をコントローラ12に送信する。コントローラ12はこれを受けて、データ要求信号を送信する。CPU32a及び32bは、夫々受信器44a及び44bを介してデータ要求信号を受け、プローブ10Aからは取込みメモリ36a内の取込みデータ、トリガ時間保持回路40a内の時間値T1及び狂い誤差Dが、プローブ10Bからは取込みメモリ36b内の取込みデータ及びトリガ時間保持回路40b内の時間値T3が、コントローラ12に送信される。コントローラ12はこれらのデータと受け取り、時間値T1及びT2の差及び狂い誤差Deに基づき、プローブ10Aの信号のトリガ点に対応するプローブ10Bの信号の真のトリガ点を求める補正をした後に、表示用データを表示器14に送る。これにより、表示器14上で、正確な時間関係で2つの信号を観測することができる。以後、プローブ10A及び10Bを使用してデータを取り込む場合は、狂い時間Deを求める処理は不要であり、取込みデータ、トリガ保持回路に保持した時間値及びすでに求めてある狂い誤差Deを送信すればよい。」 「【図1】 」 「【図2】 」 ア 上記【0001】及び【0003】より、引用文献1には、電子回路の試験を行うためのオシロスコープに使用するワイヤレス・プローブであって、複数のプローブを使用して複数チャンネルの信号をオシロスコープに同時に取込み、オシロスコープの表示画面上でそれらの関係を観測し測定するためのワイヤレス・プローブが記載されている。 イ 上記【0009】?【0011】、【0015】より、引用文献1には、本体50、本体の一端に設けたプローブ針52、本体の他端に設けたアンテナ54及び本体から引き出されたグランド端子56を有する、同一の構成のワイヤレス・プローブ10A及び10Bには、それぞれ異なるアナログ入力信号が供給され、プローブ10Aはマスタ・プローブとして、プローブ10Bはスレーブ・プローブとして動作し、プローブ10A、Bのアナログ入力信号は、それぞれアナログ・デジタル変換器(ADC)20a、bに供給され、ADC20a、bは、それぞれのアナログ入力信号の瞬時値をデジタル・データに変換することが記載されている。 ウ 上記【0008】、【0013】、【0015】及び【0018】より、引用文献1には、ワイヤレス・プローブ10AのCPU32aは、送信器42を介して取込み処理終了信号をコントローラ12に送信し、これを受けたコントローラ12からのデータ要求信号を受信器44aで受けると、トリガ信号に従って取込みメモリ36aに取り込んだADC20aからのデジタル・データをコントローラ12に送信し、ワイヤレス・プローブ10BのCPU32bは、コントローラ12からのデータ要求信号を受信器44bで受けると、トリガ代用信号に従って取込みメモリ36bに取り込んだADC20bからのデジタル・データをコントローラ12に送信し、コントローラ12は、これらのデータを受け取り、ワイヤレス・プローブ10Aの信号のトリガ点に対応するワイヤレス・プローブ10Bの信号の真のトリガ点を求める補正をした後に、表示用データをオシロスコープの表示器14に送り、オシロスコープの表示器14上で、正確な時間関係で2つの信号の観測ができることが記載されている。 エ 上記ア?ウにおいて認定した記載内容を総合すると、上記引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「電子回路の試験を行うためのオシロスコープに使用するワイヤレス・プローブであって、複数のプローブを使用して複数チャンネルの信号をオシロスコープに同時に取込み、オシロスコープの表示画面上でそれらの関係を観測し測定するためのワイヤレス・プローブであり、 本体50、本体の一端に設けたプローブ針52、本体の他端に設けたアンテナ54及び本体から引き出されたグランド端子56を有する、同一の構成のワイヤレス・プローブ10A及び10Bには、それぞれ異なるアナログ入力信号が供給され、 プローブ10Aはマスタ・プローブとして、プローブ10Bはスレーブ・プローブとして動作し、 プローブ10A、Bのアナログ入力信号は、それぞれアナログ・デジタル変換器(ADC)20a、bに供給され、ADC20a、bは、それぞれのアナログ入力信号の瞬時値をデジタル・データに変換し、 ワイヤレス・プローブ10AのCPU32aは、送信器42を介して取込み処理終了信号をコントローラ12に送信し、これを受けたコントローラ12からのデータ要求信号を受信器44aで受けると、トリガ信号に従って取込みメモリ36aに取り込んだADC20aからのデジタル・データをコントローラ12に送信し、 ワイヤレス・プローブ10BのCPU32bは、コントローラ12からのデータ要求信号を受信器44bで受けると、トリガ代用信号に従って取込みメモリ36bに取り込んだADC20bからのデジタル・データをコントローラ12に送信し、 コントローラ12は、これらのデータを受け取り、ワイヤレス・プローブ10Aの信号のトリガ点に対応するワイヤレス・プローブ10Bの信号の真のトリガ点を求める補正をした後に、表示用データをオシロスコープの表示器14に送り、 オシロスコープの表示器14上で、正確な時間関係で2つの信号の観測ができる、 ワイヤレス・プローブ。」 2 引用文献2 上記引用文献2には、次の周知技術1が記載されていると認められる。 [周知技術1] 「コンピュータ装置内の制御部1にあるCPU10が、バスコントローラ17を介して、各種コントローラとそれぞれ接続されており、上記CPU10は、上記バスコントローラ17を介して、上記各種コントローラが行う制御に必要なデータやプログラムの読み書きを行うこと。」(段落【0022】?【0027】、【図1】) 3 引用文献3 上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 「【0024】 はじめに、図1を参照して従来のプローブの構造及び機能が説明される。本発明に係るプローブの様々な例示的な実施の形態の構造及び機能は、図2?図4により例示される。あるケースでは、類似の図面における同一エレメントの表示及び記載は繰り返されない。 【0025】 図1は、第一の本発明ではないプローブのブロック回路図を示す。プローブ10は、プローブチップ14及び広帯域増幅器15を有する。後者の広帯域増幅器は、非常に広い周波数帯域内で信号を増幅する。プローブ10は、伝送線路17により測定装置1に接続される。伝送線路17は、同軸線路として設計される。測定装置1は、たとえばオシロスコープである。スペクトルアナライザ又は別の測定装置の使用も同様に可能である。測定装置1は、入力増幅器23及びアナログ/デジタルコンバータ24を提供する。さらに、伝送線路17は、アース20に接続されるたとえば50オームの並列のオーミック抵抗21により測定装置内で終端される。」 「【0027】 図2は、本発明に係るプローブの第一の例示的な実施の形態のブロック回路図である。プローブ10は、プローブチップ14、広帯域増幅器15及びDC電圧増幅器16を含む。プローブ10は、ハイブリッドケーブル11に接続される。ハイブリッドケーブル11は、広帯域のテスト信号の伝送用の伝送線路117及びDC電圧のテスト信号の伝送用の伝送線路26を含む。この文脈において、広帯域のテスト信号は、非常に広い周波数帯域において信号成分を提供することができるテスト信号である。ハイブリッドケーブル11は、コネクションハウジング12により測定装置13に接続される。コネクションハウジング12は、アナログ/デジタルコンバータ18及びマイクロプロセッサ19を含む。マイクロプロセッサ19は、インタフェース25を介して測定装置13内のデジタルバス22に接続される。このデジタルバスは、たとえばユニバーサルシリアルバス(USB)とすることができる。伝送線路17は、コネクションハウジング12を介して測定装置13内の入力増幅器23及びアナログ/デジタルコンバータ24に接続される。代替として、アナログ/デジタルコンバータ18及びマイクロプロセッサ19を省略することができる。次いで、伝送線路26は、インタフェースを介して測定装置13に直接的に接続される。次いで、DC電圧増幅器16により増幅されるDC電圧信号は、更なる処理なしに測定装置13に経路が切り替えられる。内部の増幅器及び内部のアナログ/デジタルコンバータは、信号の更なる処理のために使用される。 【0028】 信号は、プローブチップ14から高抵抗な態様で取得され、広帯域の成分とDC電圧の成分とに分離される。この文脈における広帯域の成分は、非常に広い信号スペクトルを含む信号成分を含む。広帯域成分は、広帯域増幅器15によりバッファリングされ、ハイブリッドケーブル11における伝送線路17を介して、コネクションハウジング12を介して測定装置13に伝送される。信号のDC電圧成分は、DC電圧増幅器16により増幅され、ハイブリッドケーブル11における伝送線路26を介してコネクションハウジング12に伝送される。そこで、アナログ/デジタルコンバータ18によりデジタル信号に変換される。DC電圧増幅器16の出力電圧は高抵抗な態様で取得されるので、広帯域パスにおける伝送線路17の入力及び出力抵抗の許容誤差がキャンセルされる。この文脈において、広帯域パスは、広帯域信号の測定のために設計される信号経路を示す。さらに、低速及び高精度のエレメントは、バッファ及びコンバータとして使用することができ、これにより、広帯域増幅器23及びアナログ/デジタルコンバータ24のオフセット及び増幅誤差を回避することができる。 【0029】 マイクロプロセッサ19は、信号の平均化及び/又はテスト値の補正を実現する。インタフェース25及びデジタルバス22を介して、マイクロプロセッサ19は、デジタルで再処理された信号測定装置13に伝達する。テスト値の補正の場合、正確なDC電圧経路の入力及び出力電圧と温度依存性との非線形の関係が考慮され、これは、生じている広帯域の測定されたデータの補正によりベーシックデバイスにおいて可能ではない。測定装置13における広帯域増幅器23は、アナログ/デジタルコンバータ24によりデジタル信号に変換される前に、広帯域信号を再び増幅する。ここで、2つのデジタル信号は、更に処理及び表示される。」 「【0033】 図4は、本発明に係るプローブの第三の例示的な実施の形態のブロック回路図を示す。プローブ62は、2つのプローブチップ60,61、広帯域増幅器15及び2つのDC電圧増幅器64,65を含む。プローブ62は、ハイブリッドケーブル66に接続される。ハイブリッドケーブル66は、広帯域テスト信号の伝送用の伝送線路17、及び2つのDC電圧テスト信号の伝送用の2つの伝送線路68,69を含む。ハイブリッドケーブル66は、コネクションハウジング70により測定装置13に接続される。コネクションハウジング70は、2つのアナログ/デジタルコンバータ71,72及びマイクロプロセッサ19を含む。マイクロプロセッサ19は、測定装置13内でデジタルバス22に接続される。伝送電路17は、コネクションハウジング70を介して、測定装置13内のブロードバンド増幅器23及びアナログ/デジタルコンバータ24に接続される。 【0034】 差分信号は、プローブチップ60,61により高抵抗な態様で取得され、広帯域成分とDC電圧成分とに分離される。広帯域成分は、広帯域増幅器15によりバッファリングされ、ハイブリッドケーブル66における伝送線路17を介して、コネクションハウジング70を介して、測定装置13に伝送される。信号のDC電圧成分は、DC電圧増幅器64,65により増幅され、ハイブリッドケーブル66における伝送線路68,69を介してコネクションハウジング70に伝送される。ここで、アナログ/デジタルコンバータ71,72によりデジタル信号に変換される。DC電圧増幅器64,65の出力電圧は高抵抗な態様で取得されるので、伝送線路17の入力及び出力レジスタの許容誤差は、広帯域パスにおいて省略される。さらに、低速及び高精度なエレメントをバッファ及びコンバータとして使用することができ、これにより、広帯域増幅器23及びアナログ/デジタルコンバータ24のオフセット及び増幅誤差が回避される。 【0035】 マイクロプロセッサ19は、信号への平均化及び/又はテスト値の補正を実現する。デジタルバス22を介して、マイクロプロセッサ19は、デジタルの再処理された信号を測定装置13に伝達する。テスト値の補正において、DC電圧パスの入力及び出力電圧と温度依存性との非線形の関係を考慮することができ、これは、測定装置13において生じる広帯域の測定されたデータの補正により可能ではない。測定装置13における広帯域増幅器23は、アナログ/デジタルコンバータ24によりデジタル信号に変換される前に、広帯域信号を再び増幅する。ここで、3つのデジタル信号は更に処理及び表示される。2つの増幅器64,65及び線路68,69の代替として、1つのディファレンシャルラインをもつ1つの作動増幅器を使用することもできる。」 「【図2】 」 「【図4】 」 上記引用文献3には、以下の、それぞれ図2及び図4の実施形態に対応する2つの技術事項(以下、それぞれ「引用文献3記載事項1」及び「引用文献3記載事項2」という。)が記載されていると認められる。 [引用文献3記載事項1] 「プローブチップ14、広帯域増幅器15及びDC電圧増幅器16を含むプローブ10が、広帯域のテスト信号の伝送用の伝送線路17及びDC電圧のテスト信号の伝送用の伝送線路26を含むハイブリッドケーブル11に接続され、 前記ハイブリッドケーブル11は、コネクションハウジング12により、オシロスコープなどの信号測定装置13に接続され、 前記コネクションハウジング12は、アナログ/デジタルコンバータ18及びマイクロプロセッサ19を含み、 前記マイクロプロセッサ19は、インタフェース25を介して前記信号測定装置13内のデジタルバス22に接続され、 前記プローブチップ14から取得される信号は、広帯域成分とDC電圧成分とに分離され、 前記広帯域成分は、前記広帯域増幅器15によりバッファリングされ、前記伝送線路17により、前記コネクションハウジング12を介して前記信号測定装置13に伝送され、 前記DC電圧成分は、前記DC電圧増幅器16により増幅され、前記伝送線路26を介して前記コネクションハウジング12に伝送され、前記アナログ/デジタルコンバータ18によりデジタル信号に変換され、前記マイクロプロセッサ19により前記信号測定装置13に伝送され、 前記伝送線路17は、アース20に接続される抵抗21により前記信号測定装置13内で終端されること。」 (段落【0025】、【0027】?【0029】、【図2】) [引用文献3記載事項2] 「2つのプローブチップ60、61、広帯域増幅器15及び2つのDC電圧増幅器64、65を含むプローブ62が、広帯域のテスト信号の伝送用の伝送線路17及び2つのDC電圧のテスト信号の伝送用の2つの伝送線路68、69を含むハイブリッドケーブル66に接続され、 前記ハイブリッドケーブル66は、コネクションハウジング70により、オシロスコープなどの信号測定装置13に接続され、 前記コネクションハウジング70は、2つのアナログ/デジタルコンバータ71、72及びマイクロプロセッサ19を含み、 前記マイクロプロセッサ19は、インタフェース25を介して前記信号測定装置13内のデジタルバス22に接続され、 前記プローブチップ60、61から取得される差分信号は、広帯域成分とDC電圧成分とに分離され、 前記広帯域成分は、前記広帯域増幅器15によりバッファリングされ、前記伝送線路17により、前記コネクションハウジング70を介して前記信号測定装置13に伝送され、 前記DC電圧成分は、前記DC電圧増幅器64、65により増幅され、前記伝送線路68、69を介して前記コネクションハウジング70に伝送され、前記アナログ/デジタルコンバータ71、72によりデジタル信号に変換され、前記マイクロプロセッサ19により前記信号測定装置13に伝送され、 前記伝送線路17は、アース20に接続される抵抗21により前記信号測定装置13内で終端されること。」 (段落【0025】、【0033】?【0035】、【図4】) 4 引用文献4 上記引用文献4には、次の周知技術2が記載されていると認められる。 [周知技術2] 「同一の光ファイバ上でデジタル信号とアナログ信号の両方を伝送すること。」(段落【0002】) 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 なお、対比の見出しは、本願発明1の構成の符号A?Iに対応させた記号(a)?(i)を用いている。 (a)引用発明の「電子回路の試験を行うためのオシロスコープ」は、本願発明1の「試験測定装置」に相当し、引用発明の「ワイヤレス・プローブ」は、「オシロスコープに使用」され、「複数のプローブを使用して複数チャンネルの信号をオシロスコープに同時に取込み、オシロスコープの表示画面上でそれらの関係を観測し測定するための」ものであるから、本願発明1の「試験測定装置と共に用いるプローブ」に相当する。 (b)引用発明の「ワイヤレス・プローブ10A及び10B」に「それぞれ」「供給され」る「異なるアナログ入力信号」は、本願発明1の「被試験デバイスから」「受け」る「信号」に相当し、引用発明の「アナログ入力信号の瞬時値」を「変換」した「デジタル・データ」は、本願発明1の「該信号のデジタル測定値」に相当するから、引用発明の「アナログ・デジタル変換器(ADC)20a、b」は、本願発明1の「アナログ・デジタル・コンバータ」に相当する。 そして、引用発明では、「ADC20aからのデジタル・データ」及び「ADC20bからのデジタル・データ」が、「取込みメモリ36a」及び「取込みメモリ36b」にそれぞれ取り込まれ、「オシロスコープ」に「表示」されるから、本願発明1と引用発明とは、「アナログ・デジタル・コンバータを有し、被試験デバイスから信号を受けて、該信号のデジタル測定値を定めるデジタルメータ」を備える点で共通する。 (c)引用発明の「ワイヤレス・プローブ10AのCPU32a」は、「トリガ信号に従って取込みメモリ36aに取り込んだADC20aからのデジタル・データをコントローラ12に送信し」、同じく引用発明の「ワイヤレス・プローブ10BのCPU32b」は、「トリガ代用信号に従って取込みメモリ36bに取り込んだADC20bからのデジタル・データをコントローラ12に送信」するから、これら「CPU32a」及び「CPU32b」は、本願発明1の「上記デジタル測定値を受ける第1コントローラ」に相当する。 そうすると、本願発明1と引用発明とは、「上記デジタルメータに接続され、上記デジタルメータからの上記デジタル測定値を受ける第1コントローラ」を備える点で共通する。 (d、e)引用発明の「CPU32a」及び「CPU32b」は、それぞれのワイヤレス・プローブ内にある送信器及び受信器を介して、「コントローラ12」と信号の送受信を行うから、「CPU32a」及び「CPU32b」と、それぞれの送信器及び受信器との間においても、上記信号の送受信を行うための信号のやりとりが行われているといえる。 したがって、この「送信器」及び「受信器」は、本願発明1の「上記第1コントローラに接続されて上記第1コントローラと通信を行うデジタル・コミュニケーション・インタフェース」に相当する。 そして、引用発明の「ワイヤレス・プローブ」から送信されたデータは、最終的には「表示用データ」として「オシロスコープの表示器14」に送られるから、本願発明1と引用発明とは、「上記デジタル・コミュニケーション・インタフェースに接続され、上記試験測定装置と通信するためのコミュニケーション・リンク」を備える点で共通する。 (h、i)引用発明の「コントローラ12」は、送信器から送信された「これらのデータを受け取り」、「表示用データをオシロスコープの表示器14に送」るものであるから、本願発明1の「第2コントローラ」に相当する。 そうすると、本願発明1と引用発明とは、「上記コミュニケーション・リンクに接続され、上記プローブを上記試験測定装置に接続する第2コントローラとを具え、上記第2コントローラは、上記デジタル・コミュニケーション・インタフェースと通信して上記デジタル測定値を受ける」という点で共通する。 以上より、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1?3で相違する。 [一致点] 「試験測定装置と共に用いるプローブであって、 アナログ・デジタル・コンバータを有し、被試験デバイスから信号を受けて、該信号のデジタル測定値を定めるデジタルメータと、 上記デジタルメータに接続され、上記デジタルメータからの上記デジタル測定値を受ける第1コントローラと、 上記第1コントローラに接続されて上記第1コントローラと通信を行うデジタル・コミュニケーション・インタフェースと、 上記デジタル・コミュニケーション・インタフェースに接続され、上記試験測定装置と通信するコミュニケーション・リンクと、 上記コミュニケーション・リンクに接続され、上記プローブを上記試験測定装置に接続する第2コントローラと を具え、 上記第2コントローラは、上記デジタル・コミュニケーション・インタフェースと通信して上記デジタル測定値を受けるプローブ。」 [相違点1] 「デジタルメータ」が、本願発明1では、「デジタル・マルチメータ又はデジタル・ボルトメータ」(構成B、C)であるのに対して、引用発明では、そのような限定がされていない点。 [相違点2] 本願発明1では、「上記デジタル・コミュニケーション・インタフェースに接続され、上記試験測定装置と通信」し、「上記プローブを上記試験測定装置に接続する第2コントローラ」が「接続され」る「コミュニケーション・リンク」が、「上記試験測定装置のグラウンドから上記プローブをアイソレーションするためのアイソレーション・コミュニケーション・リンク」(構成E、H)であり、「上記被試験デバイスに接続され、上記被試験デバイスからの上記信号を受け、該信号を処理してアナログ出力信号を生成する高帯域幅回路」を備え(構成F)、「上記高帯域幅回路及び上記アイソレーション・コミュニケーション・リンクに接続されるアナログ信号インタフェース」(構成G)を備えるのに対して、引用発明では、そのような限定がされていない点。 [相違点3] 「上記デジタル・コミュニケーション・インタフェースと通信して上記デジタル測定値を受ける」「第2コントローラ」が、本願発明1では、「上記アナログ信号インタフェースと通信して上記高帯域幅回路からの上記アナログ出力信号」も「共に」「受ける」(構成I)のに対して、引用発明ではそのような構成を備えていない点。 (2)判断 事案に鑑み、上記相違点2について、先に検討する。 ア 上記引用文献3記載事項1では、「プローブチップ14から取得される信号」の「広帯域成分」が「伝送線路17」により「信号測定装置13に伝送され」、「DC電圧成分」が「伝送線路26」を介して「アナログ/デジタルコンバータ18によりデジタル信号に変換され、前記マイクロプロセッサ19により前記信号測定装置13に伝送され」ているから、本願発明1と同様に、プローブから取得される信号のアナログ成分(「広帯域成分」)及びデジタル成分(「DC電圧成分」の「デジタル信号」)をそれぞれ生成して、オシロスコープなどの測定装置に伝送している。 イ しかしながら、上記引用文献3記載事項1の「プローブ10」については、接地されていない2点間で行う、いわゆるフローティング測定に使用するプローブであるとか、「信号測定装置13」(オシロスコープ)は接地させながら、「プローブ10」は接地しない(フローティングさせる)方式で測定を行うといった記載が引用文献3には開示されていない。 ウ むしろ、上記引用文献3記載事項1には、「伝送線路17」は、「アース20に接続される抵抗21により前記信号測定装置13内で終端される」とあるから、「伝送線路17」に接続された「プローブ10」も接地されており、この信号測定は、上述のようなフローティング測定ではなく、プローブチップを測定ポイントにつなぎ、プローブに通常付属するグランドリードをアースにつなぐ、接地電位を基準とした通常の測定であると解するのが相当である(当審注:グランドリードとは、例えば、引用文献1の【図2】に示された、ワニ口のグランド端子56のようなものをいう。)。 すなわち、上記引用文献3記載事項1では、「プローブ10」のグランドリードと「信号測定装置13」(オシロスコープ)の筐体とはどちらも接地されており、「プローブ10」は、「信号測定装置13」(オシロスコープ)の接地(グラウンド)からアイソレートされていないことになる。 エ 他方、引用発明の「ワイヤレス・プローブ」は、「プローブ・ヘッド及びオシロスコープに接続されるコネクタ間を接続するケーブルを必要としない」こと、「ケーブルが無いので、ケーブルのインダクタンスにより共振回路が形成され、その共振周波数付近の周波数成分に対してリンギングが生じることがなく、多数のプローブを使用した場合にケーブルが絡み合うことがなく、測定器から遠隔位置にある測定対象を測定できる」こと(上記引用文献1の段落【0002】の記載を参照)などの特徴は有するものの、接地電位を得るために使用される「本体から引き出されたグランド端子56を有する」ことからみて、元来、接地されていない2点間のフローティング測定に使用されることを考えていないと解するのが相当であって、引用発明の「ワイヤレス・プローブ10A」及び「ワイヤレス・プローブ10B」を、オシロスコープの接地(グラウンド)からアイソレートする必要性がそもそも見当たらない。 オ そうすると、上記引用文献3記載事項1を如何に適用してみても、引用発明の「ワイヤレス・プローブ」による信号送信形式(「コミュニケーション・リンク」)を、上記相違点2に係る本願発明1の構成のごとく、「上記試験測定装置のグラウンドから上記プローブをアイソレーションするためのアイソレーション・コミュニケーション・リンク」とすることはできないというべきである。 カ また、上記引用文献3記載事項2についても、「プローブ62」は「2つのプローブチップ60、61、広帯域増幅器15及び2つのDC電圧増幅器64、65を含む」ものの、「広帯域のテスト信号の伝送用の伝送線路17」が「アース20に接続される抵抗21により前記信号測定装置13内で終端される」ことに変わりはないから、上記引用文献3記載事項1について上述したイ及びウの内容が同様に当てはまり、上記引用文献3記載事項2では、「プローブ62」の2つのグランドリードと「信号測定装置13」(オシロスコープ)の筐体とはどちらも接地されており、「プローブ62」は、「信号測定装置13」(オシロスコープ)の接地(グラウンド)からアイソレートされていないことになる。 キ そうすると、上記引用文献3記載事項2を如何に適用してみても、引用発明の「ワイヤレス・プローブ」による信号送信形式(「コミュニケーション・リンク」)を、上記相違点2に係る本願発明1の構成のごとく、「上記試験測定装置のグラウンドから上記プローブをアイソレーションするためのアイソレーション・コミュニケーション・リンク」とすることはできないというべきである。 ク また、上記引用文献2や上記引用文献4の開示内容(上記周知技術1、2)に照らしても、上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることができるとはいえない。 ケ そうすると、引用発明、引用文献3記載事項1、2、及び周知技術1、2に基づいて、上記相違点2に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者にとって容易に想到し得たものであるとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明2について 本願発明2も、上記相違点2に係る本願発明1の構成と実質的に同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 小括 上記1及び2において検討したとおりであるから、本願発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。 第6 原査定について 原査定は、本件補正前の請求項1?4に係る発明が、引用文献1?4に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとしている。 しかしながら、上記第5の3において述べたとおり、本願発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえないから、原査定の拒絶の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-03-17 |
出願番号 | 特願2014-165958(P2014-165958) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G01R)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 續山 浩二 |
特許庁審判長 |
関根 裕 |
特許庁審判官 |
濱野 隆 小林 紀史 |
発明の名称 | プローブ及びその使用方法 |
代理人 | 特許業務法人山口国際特許事務所 |