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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 E04H 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 E04H |
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管理番号 | 1362367 |
異議申立番号 | 異議2019-700481 |
総通号数 | 246 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-06-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-06-14 |
確定日 | 2020-04-08 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6441527号発明「機械式駐車装置及びその制御方法並びにプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6441527号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6、11〕、7、8、9、10について訂正することを認める。 特許第6441527号の請求項1ないし3、5ないし11に係る特許を維持する。 特許第6441527号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6441527号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、平成30年5月31日に出願され、平成30年11月30日にその特許権の設定登録がされ、平成30年12月19日に特許掲載公報が発行された、その後、その特許について、令和1年6月14日に特許異議申立人田代吾郎(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和1年8月30日付けで取消理由を通知した(9月4日発送)。特許権者は、その指定期間内である令和1年11月1日に意見書及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行い、その訂正の請求に対して、申立人は、、令和2年3月9日に意見書を提出した。 第2 本件訂正請求について 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容(以下「本件訂正」という。)は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を、 「【請求項1】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段と、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 人によって操作される解除指示手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を、 「【請求項2】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段と、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 人によって操作される解除指示手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。」 に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5を、 「【請求項5】 前記入力手段は操作盤に設けられており、 前記解除指示手段は、前記操作盤または前記操作盤の近傍に設けられている請求項1から3のいずれかに記載の機械式駐車装置。」 に訂正する。 (5)訂正事項5 請求項1から5のいずれかを引用する特許請求の範囲の請求項6について、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「【請求項6】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段と、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 前記入力手段の前に人がいるか否かを検知する人検知手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、前記入力許可状態において、前記人検知手段によって前記入力手段の前に人がいないことが検知された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。」 に訂正する。 (6)訂正事項6 請求項1から5のいずれかを引用する特許請求の範囲の請求項6について、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、 「【請求項11】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段と、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 前記入力手段の前に人がいるか否かを検知する人検知手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、前記入力許可状態において、前記人検知手段によって前記入力手段の前に人がいないことが検知された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。」 に訂正して、新たに請求項11とする。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7を、 「【請求項7】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置の制御方法であって、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶工程と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可工程と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除工程と を備え、 前記入力許可解除工程において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御方法。」 に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8を、 「【請求項8】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置の制御方法であって、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶工程と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可工程と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除工程と を備え、 前記入力許可解除工程において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御方法。」 に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9を、 「【請求項9】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置に適用され、コンピュータによって実行される制御プログラムであって、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶処理と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可処理と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除処理と を含み、 前記入力許可解除処理において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御プログラム。」 に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10を 「【請求項10】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置に適用され、コンピュータによって実行される制御プログラムであって、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶処理と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可処理と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除処理と を含み、 前記入力許可解除処理において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御プログラム。」 と訂正する。 2 訂正の適否の判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明を特定する「機械式駐車装置」が備える構成要件として、「人によって操作される解除指示手段」を加え、同じく「入力許可解除手段」について、「前記入力許可解除手段は、人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除」するものに具体的に限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張または変更 訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項 本件特許公報の段落【0014】に「上記機械式駐車装置は、前記入力許可状態の解除指令を人が入力するための解除指示手段を有し、前記入力許可解除手段は、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除することとしてもよい。」と、同段落【0059】に「ここで、入室ボタンBT2は、利用者が操作盤22の前から一時的に離れる場合に、第三者の入力を防止する目的で設けられたボタンである。例えば、ユーザは、乗降室内や車両内に忘れ物等をしたことに気づき、乗降室内に忘れ物を取りにいく場合等に操作される。」と、同段落【0060】に「無人確認画面において、入室ボタンBT2が押されると、入室信号が主制御部50に入力される(SA23:YES)。主制御部50は入室信号を受信すると、ステップSA16に戻り、入力許可状態を解除し(入力許可解除手段)、タッチパネル45に第2のユーザ認証画面を再度表示させる(SA17)。」と記載されていることからみて、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項2について、訂正事項1と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)で訂正事項1の訂正要件について検討した理由と同様の理由により、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (3)訂正事項3 訂正事項3は、請求項の記載を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。 (4)訂正事項4 訂正事項4は、訂正前の請求項5が請求項1から4のいずれかを引用する記載であったところ、上記訂正事項3において請求項4が削除されたことに伴い、請求項4を引用しないものとする訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。 (5)訂正事項5 訂正事項5は、訂正前の請求項6が請求項1から5のいずれかを引用する記載であったところ、請求項2から5のいずれかを引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについてその引用関係を解消して、独立形式請求項へ改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、上記目的とすることから、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。 (6)訂正事項6 訂正事項6は、訂正前の請求項6が請求項1から5のいずれかを引用する記載であったところ、請求項1、3から5のいずれかを引用しないものとした上で、請求項2を引用するものについてその引用関係を解消して、独立形式請求項へ改める訂正であるから、他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、上記目的とすることから、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。 (7)訂正事項7 ア 訂正の目的 訂正事項7は、訂正前の請求項7に係る発明を特定する「機械式駐車装置」が備える構成要件として、「人によって操作される解除指示手段」を新たに加え、それに伴って、「所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除工程」を、「人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除工程」に、より具体的に限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張または変更 訂正事項7は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項 本件特許公報の段落【0014】に「上記機械式駐車装置は、前記入力許可状態の解除指令を人が入力するための解除指示手段を有し、前記入力許可解除手段は、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除することとしてもよい。」と、同段落【0059】に「ここで、入室ボタンBT2は、利用者が操作盤22の前から一時的に離れる場合に、第三者の入力を防止する目的で設けられたボタンである。例えば、ユーザは、乗降室内や車両内に忘れ物等をしたことに気づき、乗降室内に忘れ物を取りにいく場合等に操作される。」と、同段落【0060】に「無人確認画面において、入室ボタンBT2が押されると、入室信号が主制御部50に入力される(SA23:YES)。主制御部50は入室信号を受信すると、ステップSA16に戻り、入力許可状態を解除し(入力許可解除手段)、タッチパネル45に第2のユーザ認証画面を再度表示させる(SA17)。」と記載されていることからみて、訂正事項7は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (8)訂正事項8 訂正事項8は、訂正前の請求項8について、訂正事項7と同様の訂正を行うものであるから、上記(7)で訂正事項7の訂正要件について検討した理由と同様の理由により、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (9)訂正事項9 訂正事項9により訂正された請求項9の「人によって操作される解除指示手段」を加えること、及び具体的に特定した「入力許可解除処理」の処理内容は、上記訂正事項7により訂正された請求項7の「人によって操作される解除指示手段」を加えること、及び具体的に特定した「入力許可解除工程」の工程内容と、実質的に同じ事項である。 よって、訂正事項9は、上記(7)で訂正事項7の訂正要件について検討した理由と同様の理由により、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (10)訂正事項10 訂正事項10は、訂正前の請求項10について、訂正事項9と同様の訂正を行うものであるから、上記(9)で訂正事項9の訂正要件について検討した理由と同様の理由により、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (11)一群の請求項について 訂正前の請求項1、3?6について、請求項3?6は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1の訂正によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 また、訂正前の請求項2?6について、請求項3?6は請求項2を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項2の訂正によって訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1?6に対応する訂正後の請求項1?6、11は、一群の請求項である。 3 訂正請求のまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号または第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6、11〕、7、8、9、10について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし11に係る発明(以下、「本件発明1」等といい、全体を「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段と、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 人によって操作される解除指示手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。 【請求項2】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段と、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。 【請求項3】 前記乗降室への人の入退出を検知する入退出検知手段を備え、 前記入力許可解除手段は、前記入力許可状態において、前記入退出検知手段によって前記乗降室への入退出が検知された場合に、前記入力許可状態を解除する請求項1に記載の機械式駐車装置。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 前記入力手段は操作盤に設けられており、 前記解除指示手段は、前記操作盤または前記操作盤の近傍に設けられている請求項1から3のいずれかに記載の機械式駐車装置。 【請求項6】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段と、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 前記入力手段の前に人がいるか否かを検知する人検知手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、前記入力許可状態において、前記人検知手段によって前記入力手段の前に人がいないことが検知された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。 【請求項7】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置の制御方法であって、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶工程と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可工程と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除工程と を備え、 前記入力許可解除工程において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御方法。 【請求項8】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置の制御方法であって、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶工程と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可工程と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除工程と を備え、 前記入力許可解除工程において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御方法。 【請求項9】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置に適用され、コンピュータによって実行される制御プログラムであって、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶処理と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可処理と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除処理と を含み、 前記入力許可解除処理において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御プログラム。 【請求項10】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置に適用され、コンピュータによって実行される制御プログラムであって、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶処理と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可処理と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除処理と を含み、 前記入力許可解除処理において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御プログラム。 【請求項11】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段と、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 前記入力手段の前に人がいるか否かを検知する人検知手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、前記入力許可状態において、前記人検知手段によって前記入力手段の前に人がいないことが検知された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1?5、7?10に係る特許に対して、当審が令和1年8月30日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 「1.(新規性)本件出願の請求項1?3、7?10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の甲第1号証または甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 2.(進歩性)本件出願の請求項1?3、7?10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の甲第1号証または甲第2号証に記載された発明に基いて、また、本件出願の請求項4、5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証または甲第2号証、及び甲第5号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?5、7?10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 甲第1号証:機械式駐車装置の安全機能に関する認証基準、公益社団法人 立体駐車場工業会、平成26年12月5日、1-45頁 甲第2号証:特開2017-179897号公報 甲第5号証:特開2010-1654号公報 」 2 甲号証の記載 (1)甲第1号証 取消理由通知で引用された甲第1号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (下線は決定で付した。以下同様。) ア 「2 用語及び定義 ・・・ 2.3 機械式駐車装置,駐車装置 自動車等を駐車する又は駐車位置まで搬送する機械で,特に区別の必要がないときには駐車装置を用いる。 ・・・ 2.7 乗降領域 搬器が停止状態にあるときに,利用者が自動車等の入出庫のために機械式駐車装置との受け渡しを行う領域をいい,一般的にこの領域の一部は,機械式駐車装置が動作するときに搬送領域又は駐車領域となる。 ・・・ 2.27 出入口扉 入出庫で自動車等と利用者の入退出に用いられる,乗降領域と前庭との間の扉。」(1?3頁) イ 「6.2.2 検知装置による区画 駐車・搬送領域から乗降領域を検知装置で区画する場合は,次の要件をすべて満たさなければならない。 ・・・ d)駐車装置内で人が移動できる範囲のすべての搬器に対して,搬器と搬器及び搬器と外囲いの間に,人検知装置を設ける。」 ウ 「8.3 操作盤 8.3.1 一般事項 a)通常使用の操作盤は,操作に必要な最小の機器で構成し,主たる操作盤は前庭又は乗降領域と接する場所に設置しなければならない。 ・・・ 8.3.2 無人確認手段 ・・・ b) 乗降領域と駐車・搬送領域を検知装置による区画(6.2.2参照)とした駐車設備では,次のいずれかの確認手段を設けなければならない。 1) どこが乗降領域となろうとも,出入口扉を閉操作する場所から死角となる乗降領域内の部分を視認するのに適切な場所(1ヶ所若しくは複数ヶ所)に,目視した範囲に人がいない確認をしたことを利用者が入力する,無人確認入力器を設ける。 2) 乗降領域のすべての範囲を写すカメラを設けて,その映像を乗降領域内又は操作場所の監視モニタで視認できるようにし,さらに,人のいない確認をしたことを利用者が入力する,無人確認入力器を設ける。 ・・・ f) 無人確認入力器への入力開始から駐車設備を起動するまでの間に,侵入検知装置(8.5.1.2a)参照),扉乗越え検知装置(8.5.1.2C)参照),扉乗越え検知装置(8.5.1.2c)参照),乗降領域を区画して人を検知する装置(6.2.2d)参照),又は乗降領域の有人検知装置(8.6.1参照)が作動した場合は,それまでの入力はすべて無効としなければならない。」(14?15頁) エ 「8.4.2 操作認証 a) 同一利用者の要求動作であることを確実にするため,通常使用での制御装置は,次の要件をすべて満たさなければならない。 1) 駐車設備の起動前に,利用者,自動車又は搬器の認証登録を取扱者がしなければならない。 2) 自動車を入出庫した後に中断している動作を継続するには,利用者,自動車又は搬器の認証を取扱者が行い,入出庫前の認証登録と一致しなければ,駐車設備は起動できない。 ・・・ c) 一連の操作及び動作において,操作入力の待ち時間が10秒を超えたときには,入出庫前の認証登録と一致する再認証をしない限り,操作が継続できてはならない。」(15?16頁) オ 「8.4.4.3 出入口扉の操作 a) 出入口扉の閉操作は,次のいずれかの方法を用いる。 1) 操作盤からの単独動作の操作。」(17頁) カ 「8.5.1.2 検知装置 a) 侵入検知装置 自動制御の駐車設備では,開いている出入口扉又は自動車の出入口から侵入する人を検知する,侵入検知装置を備えなければならない。なお,この検知装置は扉閉検知保護装置を兼ねるものでもよい。」(17頁) キ 上記アないしカからみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。 「乗降領域の出入口扉の閉操作は,操作盤からの単独動作の操作によるものであって、 駐車設備の起動前に,利用者の認証登録が行われ, 自動車を入出庫した後に中断している動作を継続するには,利用者の認証を行い,入出庫前の認証登録と一致しなければ,駐車設備は起動できないものであって, 一連の操作及び動作において,操作入力の待ち時間が10秒を超えたときには,入出庫前の認証登録と一致する再認証をしない限り,操作が継続できず, 乗降領域に人がいない確認をしたことを利用者が入力する,無人確認入力器が設けられ, 開いている出入口扉又は自動車の出入口から侵入する人を検知する,侵入検知装置を備え, 無人確認入力器への入力開始から駐車設備を起動するまでの間に,侵入検知装置が作動した場合は,それまでの入力はすべて無効となる, 機械式駐車装置。」 (2)甲第2号証 取消理由通知で引用された甲第2号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、機械式駐車設備における出入口扉の開閉を含む制御方法と、それを備えた機械式駐車設備に関する。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかし、上記特許文献1では、運転者が入出庫部内で場内安全確認釦を押すことを忘れる場合があり、この場合は運転者が再び入出庫部内に入って場内安全確認釦を押す必要がある。このため、入出庫に時間を要する場合がある。 【0007】 また、特許文献2では、第2認証処理を行った後、出入口扉を閉じる前に安全確認を行い、その後、閉扉操作を行うことで閉扉処理が行われる。よって、第2認証処理後に安全確認や閉扉操作などを行う必要があり、第2認証処理と閉扉処理との間に時間が空く場合がある。このため、第2認証処理と閉扉指示との間の空いた時間に、入出庫部内に人が入るおそれ等がある。しかも、第2認証処理と閉扉処理とを行う間、利用者は出入口扉の部分から目を離して運転盤を操作するので、出入口扉を閉めるまでに出入口扉から目を離す時間が長くなる。」 ウ 「【0020】 [機械式駐車設備における入出庫部の構成] 図1は、この実施形態の機械式駐車設備1の入出庫部3を示す平面図であり、矩形状に形成された駐車塔2の正面側に入出庫口4が設けられている。入出庫口4には、出入口扉5が備えられている。また、入出庫口4の近傍の側方(図では右方)には、機械式駐車設備1の運転操作を行う運転盤7が設けられている。この実施形態では、この運転盤7と制御装置8が一体となった例を示している。制御装置8には、機械式駐車設備1の利用者を予め登録する登録処理が行われている。制御装置8には、各登録された利用者の第1認証処理における認証データ(登録された利用者の識別データ)が予め登録されている。制御装置8には、これらのデータ及び後述する出入口扉5の開閉を含む制御方法を記憶する記憶部(記憶メモリなど)が備えられている。 【0021】 入出庫部3には、物体を検知する複数の物体検知センサが設けられている。車両Vを入出庫させる車両配置部であるパレット6の左側方に左部センサ11が設けられ、右側方に右部センサ12が設けられている。パレット6の前方には、入出庫部3の左右方向全長で物体を検知する前部センサ13が設けられている。パレット6の前後方向の中間部分には、停車位置における車両Vの有無を検知するための物体検知センサである車両検知センサ10が設けられている。パレット6と出入口扉5との間には、入出庫部3の左右方向全長で物体を検知する後部センサ14が設けられている。そして、入出庫口4の部分には、出入口扉5の外側で物体を検知する出入口扉外センサ15が設けられている。物体検知センサ11?14は、停車位置周辺の利用者歩行部における物体の有無、を検知する物体検知センサである。 【0022】 なお、上記した各物体検知センサ10?15は、入出庫部3内において状態が変化する物体(有無、移動などを生じる物体)を検知するセンサである。物体検知センサ10?15は、光電管などの線状に検知するものに限らず、画像処理や赤外線の輻射や超音波によるものなど各種センサを用いることができる。また、左部センサ11や右部センサ12は、1本?複数本でもよい。 【0023】 これらの物体検知センサ11?15による入出庫部3における物体検知としては、例えば、出入口扉外センサ15(後部センサ14)が検知した後で左部センサ11、右部センサ12が検知した場合は利用者などの入場、と判定できる。また、左部センサ11、右部センサ12が検知しなくなった後で、後部センサ14が検知し、その後、出入口扉外センサ15が検知した場合は利用者などの退場、と判定できる。 【0024】 また、上記運転盤7は、第1認証操作と第2認証データ取得操作とを行う装置を兼ねており、利用者は運転盤7において、認証手段によって第1認証操作及び第2認証データ取得操作が行えるようになっている。さらに、この実施形態の運転盤7には、安全確認操作を行う安全確認ボタン20が備えられている。安全確認ボタン20は、物理的に押し込むボタンの他、液晶画面などに表示されるボタンなどを含む。第1認証操作及び第2認証データ取得操作を行うための認証手段としては、例えば、運転盤7における、暗証番号の入力、リモコンの操作、カードの接触、指紋の認証、静脈の認証、など、様々な手段を利用できる。なお、運転盤7以外に認証装置を備えさせることもできる。 【0025】 [基本的な制御方法] 図2は、基本的な制御の一例を示すフロー図である。開始後、第1認証操作が実行されたか否か判定される(S1)。そして、第1認証操作が実行されると、その第1認証データが登録された利用者の認証データと一致するか否かが判定される(S2)。登録された利用者の認証データと一致しない場合、エラー表示処理がなされて(S3)、第1認証操作を待つ状態(S1)に戻る。 【0026】 第1認証操作の第1認証データが登録された利用者の認証データと一致することが照合されると、第1認証処理が完了する(S4)。これにより、機械式駐車設備1において、搬送呼出処理が行われて、呼出しパレット6が入出庫部3まで搬送される(S5)。呼出しパレット6が入出庫部3に到着すると、開扉処理が実行されて(S6)、出入口扉5が自動的に開放される。その後、入庫であれば、車両Vを呼出しパレット6に搭載する。出庫であれば、呼出しパレット6の車両に乗り込んで退出する。 【0027】 なお、上記出入口扉5の開扉処理が実行された後、後述するように、少なくとも非常停止の操作以外は受け付けない運転操作機能ロック状態とすることができる。このようにすれば、出入口扉5を開放した後の入出庫操作中においては、非常停止以外の他の操作は受け付けられないため、他の人が誤って安全確認操作を行っても無効にすることができる。 【0028】 また、上記出入口扉5が開放された後は、安全確認報知処理が行われる(S7)。この安全確認報知処理としては、第2認証データ取得処理を行い、その第2認証データが第1認証処理の第1認証データと一致した場合は出入口扉5の閉鎖を開始することが報知される。例えば、「出入口扉は、第1認証処理の第1認証データと第2認証データ取得処理の第2認証データとが照合された後、所定時間経過後に閉扉動作が開始されます」などの報知を行うことができる。報知としては、音声、画面表示の他、ブザー、ランプなどで行うことができる。 【0029】 その後、安全確認操作が実行されたか否かが判定される(S8)。安全確認操作としては、この実施形態では、運転盤7に安全確認操作を行う安全確認ボタン20が備えられているため、この安全確認ボタン20が押されたか否かによって判定される。安全確認操作が実行されることで、適切に安全確認が行われたことの安全確認処理が行われる。 【0030】 また、この実施形態では、この安全確認ボタン20が押されたか否かの判定とは別に、閉扉操作が実行されたか否かの判定も行われている(S9)。この閉扉操作としては、この実施形態では、運転盤7に閉扉ボタン21が備えられているため、この閉扉ボタン21が押されたか否かによって判定される。このようにすれば、「安全確認ボタン20」を操作したことと、次に出入口扉5を閉じる指示をするための「閉扉ボタン21」を操作したことで、利用者に対して退出後に安全確認を行ったことの意識付けができる。また、「安全確認操作」と「閉扉操作」の後で、次の第2認証データ取得操作のみを受け付けるように制御することで、誤動作・誤操作の防止を図ることができる。閉扉ボタン21が押されずに所定時間経過すると(S10)、上記安全確認操作(S8)と閉扉操作(S9)をキャンセルして、安全確認操作を待つ状態(S8)に戻るようにしている。この所定時間(S10)としては、例えば、5?10秒程度に設定できる。 【0031】 なお、閉扉操作が実行されたか否かの判定(S9)を無くし、利用者に対して退出後に安全確認を行ったことの意識付けを行うための上記安全確認ボタン20のみを押させるようにしてもよい(図中、点線「a」で示す部分)。この場合、「安全確認ボタン20」は、「安全確認ボタン20」と「閉扉ボタン21」を1つにした「安全確認/扉閉ボタン」にすることができる。 【0032】 さらに、この実施形態では、上記閉扉操作が実行されたと判定されると、閉扉起動のための認証操作を促す通知として、認証操作アナウンスがなされる(S11)。この認証操作アナウンスとしては、音声、画面表示等を用いて、「次の第2認証データ取得処理の結果によって出入口扉の閉扉動作が開始します」などのアナウンスがなされる。この認証操作を促す通知は、「安全確認操作」を行い「閉扉操作」の後で、次の第2認証データ取得操作が出入口扉5の閉動作のための操作であることを利用者に認識させるためのものであり、運転盤7もしくはその周辺において「出入口扉を閉めるために、第2認証データ取得操作をしてください」などのアナウンスの表示や、スピーカから音声案内を出力して通知するようにしてもよい。なお、点線「b」で示す認証操作アナウンス(S11)は、必要に応じて行うようにすればよい。 【0033】 その後、第2認証データ取得操作が実行されたか否かが判定される(S12)。この第2認証データ取得操作が実行されたか否かの判定は、例えば、この実施形態では、上記安全確認操作(S8)と閉扉操作(S9)を行った後、第2認証データ取得操作が実行されずに所定時間経過すると(S13)、上記安全確認操作(S8)と閉扉操作(S9)をキャンセルして、安全確認操作を待つ状態(S8)に戻るようにしている。この所定時間(S13)としては、例えば、5?10秒程度に設定できる。 【0034】 そして、安全確認操作が実行された後、第2認証データ取得操作が所定時間行われない場合は、利用者が再び入出庫部3の内に入った場合などを含め、「安全確認操作」の入力がリセットされる。これにより、再度「安全確認操作」から行うことになる。 【0035】 また、入出庫部3内の物体検知センサ11?15による検知を含めた制御としては、上記「安全確認操作」または「閉扉操作」の後、入出庫部3内の車両検知センサ10以外の物体検知センサ11?15が物体を検知した場合も、同様に、「安全確認操作」の入力をリセットし、再度「安全確認操作」の確認(S8)から行うようにできる。 【0036】 上記安全確認操作(S8)及び閉扉操作(S9)が実行された後、所定時間内に第2認証データ取得操作が実行されると(S12)、第2認証データ取得処理が行われる(S14)。そして、上記第1認証処理(S4)における第1認証データと第2認証データ取得処理(S14:第2認証処理と表示)における第2認証データとが一致するか否かの照合処理がされる(S15)。第1認証処理の第1認証データと第2認証データ取得処理の第2認証データとが一致しない場合、エラー表示処理がなされて(S16)、上記安全確認操作を待つ状態(S8:(e))、もしくは閉扉起動のための認証操作アナウンス(S11:(f))に戻る。 【0037】 なお、第1認証操作と第2認証データ取得操作は、異なる方法、例えば、第1認証操作を暗証番号データの入力で行ない、第2認証をIDリモコンによるIDデータ送信で行うことなどができる。この場合、予め登録処理において、第1認証用の第1認証データと第2認証用の利用者用認証データを関連付けて登録しておき、照合処理では、第1認証処理での第1認証データに対応する第2認証用の利用者認証データを第2認証データと照合する(S15)。 【0038】 そして、この照合処理(S15)において、第1認証処理の第1認証データと第2認証データ取得処理の第2認証データとが一致した場合、閉扉動作(閉扉処理)が実行される(S17)。この閉扉動作は、第2認証データ取得操作後、第1認証との照合が一致した後、音声、ブザー、画面表示、ランプ等により閉扉動作が開始されることを利用者に報知し、報知後に所定時間(例えば、5秒?10秒程度)を経過すると閉扉動作を開始するようにしてもよい。そして、出入口扉5が閉鎖されることで、終了する。 【0039】 このように、第2認証データ取得操作を行うことにより、第2認証データ取得処理の第2認証データと第1認証処理の第1認証データとが照合され(S13)、その照合結果が一致すれば、出入口扉5が閉鎖されるので、第2認証データ取得操作によって利用者による、入出庫操作は完了する。つまり、第2認証データ取得操作の後に閉扉操作を行う必要がなくなり、利用者の入力操作を簡素化して操作時間を短縮することができる。」 エ 【図2】は以下のとおり。 オ 上記アないしエからみて、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認める。 「駐車搭2の正面側に入出庫口4が設けられた入出庫部3を備える機械式駐車設備1であって、 入出庫口4には、出入口扉5が備えられ、入出庫口4の近傍の側方に、機械式駐車設備1の運転操作を行う運転盤7が設けられており、 入出庫口4の閉扉操作は、運転盤7に設けられた閉扉ボタン21が押されたか否かによって判定されるものであって、 基本的な制御は、開始後、第1認証操作が実行され、第1認証操作の第1認証データが登録された利用者の認証データと一致することが照合されると、第1認証処理が完了し、 これにより呼出しパレット6が入出庫部3まで搬送され、出入口扉5が開放された後は、 運転盤7に備えられた安全確認操作を行う安全確認ボタン20が押されたことで、適切に安全確認が行われたことの安全確認処理が行われ、 運転盤7に備えられた閉扉ボタン21が押されることによって、閉扉操作が実行され、 上記安全確認操作及び閉扉操作が実行された後、 所定時間内に第2認証データ取得操作が実行されると、第2認証データ取得処理が行われ、そして、上記第1認証処理における第1認証データと第2認証データ取得処理における第2認証データとが一致するか否かの照合処理がされ、一致しない場合、上記安全確認操作を待つ状態に戻り、一致した場合、閉扉動作(閉扉処理)が実行され、 安全確認操作が実行された後、第2認証データ取得操作が所定時間行われない場合は、利用者が再び入出庫部3の内に入った場合などを含め、「安全確認操作」の入力がリセットされて、再度「安全確認操作」から行うことになり、 また、上記「安全確認操作」または「閉扉操作」の後、入出庫部3内の物体検知センサ11?15が物体を検知した場合も、同様に、「安全確認操作」の入力をリセットし、再度「安全確認操作」の確認から行う、 機械式駐車設備1。」 (3)甲第5号証 取消理由通知で引用された甲第5号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【0019】 図1,2に示すように、このエレベータ式駐車装置1は、鉄骨主柱2と梁3とが組まれた鉄骨構造体の外面に外装板4が設けられて駐車塔5が形成され、この駐車塔5の地上1階に入出庫階6が設けられている。この入出庫階6の前部に入出庫口7を有し、この入出庫口7には昇降開閉式の入出庫口扉8が設けられている。この入出庫口7の外部の右方側部に運転盤9が配設されている。このエレベータ式駐車装置1は、駐車塔5の中央部の鉛直方向に昇降路10が形成され、この昇降路10を挟んで左右両側の鉛直方向に設けられた棚柱11に複数段の駐車棚12が設けられている。 イ 「【0040】 図6は、図1に示すエレベータ式駐車装置の制御ブロック図である。上記エレベータ式駐車装置1の制御ブロックとしては、CPU等を備えた制御装置70と、エレベータの昇降駆動部、パレットの移載兼持上旋回駆動部等を備えたエレベータ駆動部71と、物置の扉の開閉検知手段、荷捌き扉内の人・物検知手段、昇降路の車両検知手段等を備えた検知部72と、荷捌き扉の開閉駆動部(上記開閉操作盤36)、入出庫口扉の開閉駆動部を備えた扉の開閉部73と、上記エレベータ式駐車装置1の運転操作を行う運転盤9とが、I/O装置74(入出力装置)を介して接続されている。このI/O装置74により、各部の間で信号の送受信が行われている。 【0041】 上記運転盤9には、上部に案内表示部76が設けられ、その下部には、「スタート」釦77と、「安全確認」釦78、「終了扉閉」釦79、「取消」釦80、「暗証」釦81、「扉開」釦82、及びテンキー83が設けられている。このテンキー83は、入出庫を行うパレット番号の入力や荷捌きを行うパレット番号の入力、暗証番号の入力等に使用される。」 (4)甲第6号証 申立人が提出した令和2年3月9日付け意見書に添付された特開昭63-156169号公報(甲第6号証)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「利用者用操作部26aには、初めステップS_(1)で示すように「1.会員」,「2.一般」の各項目、およびこれらのいずれかを選んで該当部分を手で触れるべき旨のメッセージが表示されている。また、この画面には、このときの立体駐車装置27の空車台数,実車台数,入口番号(出入口27aに現に存在するケージ番号),呼出し番号が併せて表示されており、呼び出すべきケージ番号を示す上記呼出番号の部分はこのとき「0」となっている。ここで利用者が例えば画面の「1.会員」の部分に触れると、表示はステップS_(2)の画面に変り、この画面ではカード差込口37に専用カードを差し込むようにメッセージが表示されている。そのメッセージに従って専用カードをカード差込口37に差し込むと、表示はステップS_(3)の画面に変る。この画面では前記空車台数,実車台数,入口番号,呼出番号のほかに、「1.起動」と「2.取消」の文字、およびこれらのいずれかを選んで該当部分を手で触れるようにメッセージが表示されている。そして、このとき上記呼出番号の部分には、専用カードに登録されているケージ番号が表示される。ここで利用者が「2.取消」の部分に触れると、表示はステップS_(1)の画面に戻る。一方、利用者が画面の「1.起動」の部分に触れると、表示はステップS_(4)の画面に変り、この画面には機械が始動するので注意すべき旨のメッセージが表示される。」(3頁右上欄16行?右下欄2行) (5)甲第7号証 申立人が提出した令和2年3月9日付け意見書に添付された特開平1-299965号公報(甲第7号証)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「まず、入出庫操作装置26を起動させるために係員等が入出庫操作装置26に電源を供給すると、タッチセンサ21がオン状態、すなわち表示部20の表示画面の所定位置に対応する部分が操作者により触れられると、その部分に相当する座標データがタッチ入力として制御部22に送信される状態となり、表示部20にイニシャル画面が表示される(ステップS1)。ここで、イニシャル画面としては、例えば「1.会員」,「2.一般」の各項目およびこれらのいずれかを選んで該当部分を手で触れるべき旨のメッセージが表示されている。 次に、表示部20の画面上で、例えば「2.-般」の項目に操作者が触れると、その部分に相当する座標データがタッチセンサ21からタッチ入力として制御部22に送信され、タッチ入力が確認される。そしてそのタッチ入力に対応して第1メッセージが表示される(ステップS2)。この画面では、例えば空車台数,実車台数,人口番号,呼出番号のほかに、「1.起動」と「2.取消」の文字、およびこれらのいずれかを選んで該当部分を手で触れるようにメッセージが表示される。ここで操作者が「2.取消」の部分に触れると、表示はステップS1の画面に戻り、表示部20にイニシャル画面が表示される(ステップS3)。一方、操作者が画面の「1.起動」の部分に触れると(ステップS4)、表示は次の画面に変り、この画面には機械が始動するので注意すべき旨のメッセージが表示されるとともに、駆動部23にモータ8の起動指令が送られる(ステップS5)。」(2頁左下欄10行?右下欄19行) (6)甲第8号証 申立人が提出した令和2年3月9日付け意見書に添付された特開平9-209591号公報(甲第8号証)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0046】次に、マンション等の集合住宅に本立体駐車設備を設けた場合における、入出庫のための操作手順をディスプレー14への表示内容とともに説明する。図3のフローチャートにおいて、まず、前記入出庫操作装置13の切換スイッチ13bの切換位置により、前記運転モードまたは保守モードのいずれが選択されているかが親機2により判定され(S1)、保守モードが選択されていれば、ディスプレー14に所定の保守メニューが表示される(S2)。この保守メニューは、例えば、ID番号の設定、保守情報の表示等、複数のメニューを含むことができるが、ここでは詳述しない。 【0047】前記保守メニューから保守情報の表示が選択された場合は、ディスプレー14に前記保守情報が表示され、同時に終了スイッチ16が表示される(S3)。前記保守情報は、例えば、各種リミットスイッチLSの作動回数、電磁開閉器の作動回数、モータ累積作動時間等を表示することができるが、ここでは詳述しない。S3で終了スイッチ16(タッチスイッチ)がタッチされると、不図示の感知部によりこれが感知され、S2の保守メニューに復帰する。 【0048】S1において、運転モードが選択されていれば、S4に進むが、通常の非操作時にはディスプレー14に何も表示されない。その後、操作者がディスプレー14の表示面の任意の箇所にタッチしたこと(S5)を条件として、ディスプレー14に図4中S6のID番号入力画面(図面上ではID画面と表記する)が表示される。 【0049】このID番号入力画面では、ID番号(暗証番号)の入力を求めるメッセージと、ID番号を入力するためのテンキー17(タッチスイッチ)と、4桁のID番号の入力状況を示す4つの点滅部18と、ID番号の入力を中止して、操作を終了させるための終了スイッチ19(タッチスイッチ)とが表示され、テンキー17によりID番号が1桁入力される毎に点滅部18が1つずつ点灯されるとともに、終了スイッチ19がタッチされた時は、S4の初期画面に復帰するようになっている。 【0050】集合住宅用の立体駐車設備においては、各パレット毎、つまり、各使用者毎に異なるID番号が設定され、入出庫操作装置13のCPUに記憶されている。S6におけるID番号の入力が完了すると、前記CPUにより前記ID番号がいずれかのパレットのID番号と一致するか否かが判定され(S7)、いずれのパレットのID番号とも一致しない場合、S8でID番号不一致のメッセージが表示され、且つ、終了スイッチ21とID番号入力画面復帰スイッチ22(ともにタッチスイッチ)とが表示される。終了スイッチ21がタッチされた場合、S4の初期画面に復帰し、ID番号入力画面復帰スイッチ22がタッチされた場合は、S6のID番号入力画面に復帰して、ここで、再度ID番号を入力することができる。 【0051】S7において、入力されたID番号がいずれかのパレットのID番号と一致した場合、続いて、S9で操作画面が表示される。この操作画面では、入力されたID番号に対応するパレットのパレット番号と、パレット呼出の可否の選択を求めるメッセージとが表示され、同時に取消スイッチ23と作動スイッチ24(ともにタッチスイッチ)とが表示される。操作者は表示されたパレット番号が目的のパレットのパレット番号と一致しているか否かを確認し、一致していない場合、取消スイッチ23をタッチすることにより、S6のID番号入力画面に復帰する。一方、表示されたパレット番号が目的のパレットのパレット番号と一致しており、且つ呼出を実行する場合は、作動スイッチ24にタッチすることにより、S10以下で目的のパレットの呼出が開始される。このように、前記操作画面では、取消スイッチ23または作動スイッチ24により、取消または呼出開始が選択される。」 (7)甲第9号証 申立人が提出した令和2年3月9日付け意見書に添付された特開2012-41779号公報(甲第9号証)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0024】 操作盤面420は、操作する者に操作させる盤面である。 操作盤面420は、制御ボード421と表示パネル422とテンキーボード423とスタート釦424と取消釦425と非常停止釦426とキースイッチ427とで構成される。 制御ボード421は、ハードウエアまたはソフトウエアにより制御ロジックを実現するボードである。 表示パネル422は、各種の文字、数字を表示するパネルである。 テンキーボード423は、操作する者に各種データを入力させるキーボードである。例えば、テンキーボード423は、数字を入力させる。 スタート釦424は、制御ロジックの開始を指示する釦である。 取消釦425は、入力したデータを取り消す釦である。 非常停止釦426は、非常停止を指示させる釦である。 キースイッチ427は、電源機器400を作動状態にするため、または入力受付状態にさせるためのスイッチである。キーをキースイッチ427に差込み回転することにより作動状態にする、または入力受付状態にさせる。」 (8)甲第10号証 申立人が提出した令和2年3月9日付け意見書に添付された特開平11-280285号公報(甲第10号証)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0015】図4は上記操作盤4の操作面の構成を示す正面図である。この操作盤4には、本体ケース14と、この本体ケース14の表面に設けられたドア閉ボタン15と、キー呼出スイッチ16と、運転ボタン17と、取消ボタン18と、ドア開ボタン19とが備えられている。また操作盤4には、電源の入、切操作を行なう電源スイッチ22と、非常時に装置全体を停止させるための非常停止スイッチ24とが設けられるとともに、これらのスイッチに加えてターンテーブル20のみの操作指示を入力するための旋回専用指示スイッチ25が設けられている。 【0016】ドア閉ボタン15は自動車の入庫時に運転者が入庫操作を終わり駐車装置外に出てドアを閉めるとき、および出庫時に自動車が駐車装置の外に出てドアを閉めるときに操作するためのものである。キー呼出スイッチ16は、これから入庫操作を開始したり、出庫操作を始めたりする場合に駐車装置にトレーの搬出入動作を起動させるためのものである。運転ボタン17は、自動車の入庫および出庫に際してオートドア装置9、エレベータ装置10、およびターンテーブル20の操作を行なうときに使用するものである。また、取消ボタン18は、上記全ての操作において、その操作が進行している途中で駆動、操作を取り止めるためのものである。」 第5 取消理由についての当審の判断 1 甲第1号証を主引用例として検討 (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲1発明を対比すると、両発明は、 「少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段と、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 解除指示手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。」で一致し、少なくとも、以下の点で相違する。 〔相違点1〕解除指示手段について、本件発明1は、人によって操作されるものであるのに対し、甲1発明は、一連の操作及び動作において、操作入力の待ち時間が10秒を超えたときには,出庫前の認証登録と一致する再認証をしない限り、操作が継続できないようにするもの、つまり、人によって操作されるものではない点。 よって、本件発明1と甲1発明には、実質的な相違点1が存在するので、本件発明1は甲1発明と同一ではない。 イ 相違点の判断 上記相違点1について、検討する。 申立人は、人によって操作される解除指示手段は、申立人が特許異議申立書に添付した甲第5号証及び、令和2年3月9日付け意見書に添付した甲第6号証ないし甲第10号証に記載されている旨、主張している。 ここで、甲第5号証ないし甲第10号証の記載を確認する。 甲第5号証には、解除指示手段に相当する「『取消』釦80」が記載されているが、該「『取消』釦80」を操作することによって、どのような動作や操作を取り消され、そして、どの段階まで戻るものか記載されていない。 甲第6号証には、「2.取消」の部分に触れると、表示はステップS1の画面(「1.会員」,「2.一般」の各項目、およびこれらのいずれかを選んで該当部分を手で触れるべき旨のメッセージが表示されている。)に戻ることが、甲第7号証には、「取消」の部分に触れる(ステップS3)と、表示はイニシャル画面が表示される(ステップS1)ことが、甲第8号証には、「取消スイッチ23」にタッチすることにより、S6のID番号入力画面に復帰することが、甲第9号証には、「取消釦425」は、入力したデータを取り消す釦であることが、記載されている。 さらに、甲第10号証には、「取消釦18」は、すべての操作において、その操作が進行している途中で駆動、操作を取りやめるためのものであることが記載されている。 上記の記載からみて、甲第5号証ないし甲第10号証には、人によって操作され、何らかの操作や動作が取り消される取消ボタンが記載されているものの、それらはいずれも、該ボタンの操作によって、どのような操作や動作が取り消されるのか不明であったり、初期画面に戻ったり、ID入力画面に戻ったりするものであって、入力許可状態を解除するためのものではない。 してみると、甲第5号証ないし甲第10号証に記載された取消ボタンの操作を、甲1発明に適用するとしても、「自動車を入出庫した後に中断」することや、「操作入力の待ち時間が10秒を超えたときには、」「操作が継続でき」ないことに代えて適用する動機付けは存在しない。 したがって、甲1発明に甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項を適用することにより、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、本件発明1は、甲1発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2 本件発明2と甲1発明を対比すると、少なくとも、上記(1)アに記載した相違点1で相違している。そして、上記相違点1の判断は、上記(1)イで説示したとおりである。 したがって、本件発明2は、甲1発明と同一ではなく、甲1発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3)本件発明3 本件発明3は、本件発明1の構成をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で説示した理由と同様の理由により、甲1発明と同一ではなく、甲1発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4)本件発明5 本件発明5は、本件発明1又は本件発明2の構成をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)及び(2)で説示した理由と同様の理由により、甲1発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明7 本件発明7は、機械式駐車装置である本件発明1を制御方法として特定した発明であるから、上記(1)で説示した理由と同様の理由により、甲1発明と同一ではなく、甲1発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (6)本件発明8 本件発明8は、機械式駐車装置である本件発明2を制御方法として特定した発明であるから、上記(2)で説示した理由と同様の理由により、甲1発明と同一ではなく、甲1発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (7)本件発明9 本件発明9は、機械式駐車装置である本件発明1を制御プログラムとして特定した発明であるから、上記(1)で述べた理由と同じ理由により、本件発明9は甲1発明と同一ではなく、甲1発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (8)本件発明10 本件発明10は、機械式駐車装置である本件発明2を制御プログラムとして特定した発明であるから、上記(2)で述べた理由と同じ理由により、本件発明10は甲1発明と同一ではなく、甲1発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (9)小括 以上のとおりであるから、本件発明1?3、7?10は、甲第1号証に記載された発明ではなく、本件発明1?3、5、7?10は、甲第1号証に記載された発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 2 甲第2号証を主引用例として検討 (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲2発明を対比すると、両発明は、 「少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段と、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 解除指示手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。」で一致し、少なくとも、以下の点で相違する。 〔相違点2〕解除指示手段について、本件発明1は、人によって操作されるものであるのに対し、甲2発明は、第2認証データ取得操作が所定時間行われない場合や、利用者が再び入出庫部3の内に入った場合、つまり、人によって操作されるものではない点。 よって、本件発明1と甲2発明には、実質的な相違点2が存在するので、本件発明1は甲2発明と同一ではない。 イ 判断 上記相違点2について、検討する。 申立人は、人によって操作される解除指示手段は、申立人が特許異議申立書に添付した甲第5号証及び、令和2年3月9日付け意見書に添付した甲第6号証ないし甲第10号証に記載されている旨、主張している。 ここで、甲第5号証ないし甲第10号証の記載を確認する。 甲第5号証には、解除指示手段に相当する「『取消』釦80」が記載されているが、該「『取消』釦80」を操作することによって、どのような動作や操作を取り消され、そして、どの段階まで戻るものか記載されていない。 甲第6号証には、「2.取消」の部分に触れると、表示はステップS1の画面(「1.会員」,「2.一般」の各項目、およびこれらのいずれかを選んで該当部分を手で触れるべき旨のメッセージが表示されている。)に戻ることが、甲第7号証には、「取消」の部分に触れる(ステップS3)と、表示はイニシャル画面が表示される(ステップS1)ことが、甲第8号証には、「取消スイッチ23」にタッチすることにより、S6のID番号入力画面に復帰することが、甲第9号証には、「取消釦425」は、入力したデータを取り消す釦であることが、記載されている。 さらに、甲第10号証には、「取消釦18」は、すべての操作において、その操作が進行している途中で駆動、操作を取りやめるためのものであることが記載されている。 上記の記載からみて、甲第5号証ないし甲第10号証には、人によって操作され、何らかの操作や動作が取り消される取消ボタンが記載されているものの、それらはいずれも、該ボタンの操作によって、どのような操作や動作が取り消されるのか不明であったり、初期画面に戻ったり、ID入力画面に戻ったりするものであって、入力許可状態を解除するためのものではない。 してみると、甲第5号証ないし甲第10号証に記載された取消ボタンの操作を、甲2発明に適用するとしても、第2認証データ取得操作が所定時間行われない場合や、利用者が再び入出庫部3の内に入った場合等に代えて適用する動機付けは存在しない。 したがって、甲2発明に甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項を適用することにより、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、本件発明1は、甲2発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2 本件発明2と甲2発明を対比すると、少なくとも、上記(1)アに記載した相違点2で相違している。そして、上記相違点2の判断は、上記(1)イで説示したとおりである。 したがって、本件発明2は、甲2発明と同一ではなく、甲2発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3)本件発明3 本件発明3は、本件発明1の構成をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で説示した理由と同様の理由により、甲2発明と同一ではなく、甲1発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4)本件発明5 本件発明5は、本件発明1又は本件発明2の構成をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)及び(2)で説示した理由と同様の理由により、甲2発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明7 本件発明7は、機械式駐車装置である本件発明1を制御方法として特定した発明であるから、上記(1)で説示した理由と同様の理由により、甲2発明と同一ではなく、甲2発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (6)本件発明8 本件発明8は、機械式駐車装置である本件発明2を制御方法として特定した発明であるから、上記(2)で説示した理由と同様の理由により、甲2発明と同一ではなく、甲1発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (7)本件発明9 本件発明9は、機械式駐車装置である本件発明1を制御プログラムとして特定した発明であるから、上記(1)で述べた理由と同じ理由により、本件発明9は甲2発明と同一ではなく、甲2発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (8)本件発明10 本件発明10は、機械式駐車装置である本件発明2を制御プログラムとして特定した発明であるから、上記(2)で述べた理由と同じ理由により、本件発明10は甲2発明と同一ではなく、甲2発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (9)小括 以上のとおりであるから、本件発明1?3、7?10は、甲第2号証に記載された発明ではなく、本件発明1?3、5、7?10は、甲第2号証に記載された発明、甲第5号証ないし甲第10号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立人が主張する特許異議申立理由 申立人は、特許異議申立書において、新規性の理由に加えて、訂正前の請求項1?3、7?10に係る発明について、甲第1号証?甲第4号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正前の請求項4?6に係る発明は、甲第1号証?甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨、主張していた。 2 採用しなかった特許異議申立理由の判断 ここで上記第5で検討した取消理由以外の特許異議申立理由について検討する。 (1)訂正前の請求項1?3、7?10に対応する訂正後の請求項1?3、7?10に係る発明における、上記第5で検討した相違点1又は相違点2に係る構成は、甲第3号証及び甲第4号証には記載されておらず、示唆する記載もない。 また、訂正前の請求項5に対応する訂正後の請求項5に係る発明における、上記相違点1又は相違点2に係る構成も、甲第3号証ないし甲第5号証に、記載も示唆もない。 (2)訂正前の請求項6に対応する訂正後の請求項6、11に係る発明における「前記入力手段の前に人がいるか否かを検知する人検知手段」及び「前記入力許可解除手段は、前記入力許可状態において、前記人検知手段によって前記入力手段の前に人がいないことが検知された場合に、前記入力許可状態を解除」する構成は、甲第1号証?甲第5号証には、記載されていない。 申立人は、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証には、乗降室への人の侵入を検知するセンサが設けられており、該センサを入力手段の前に設けて、センサの前に人がいないことを検知した場合に入力許可状態を解除することは、当業者が適宜なし得ることである旨、主張する。 しかしながら、請求項6又は請求項11に係る発明の「人検知手段」は、特許明細書に記載される「人感知センサ307」についてみると、段落【0102】に「人感センサ307は、操作盤130の前に人がいるか否かを検知する。ここで、操作盤130の前とは、例えば、操作盤130を操作可能な位置範囲を意味する。この人感センサ307は、例えば、入庫処理または出庫処理を行っていた管理人が処理の途中で操作盤130の前を離れて移動してしまったことを検知する目的で設けられている。」と、段落【0139】に「人感知センサ307はによって操作盤130cの前に人がいないことを示すセンサ信号が入力された場合には、入力許可状態を解除し、」と記載されているように、人がいないことを検知して、入力許可状態を解除するものである。 これに対し、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証に記載の乗降室への人の侵入を検知するセンサは、乗降室内の人を検知すること、つまり人がいることを検知して、入力許可状態を解除するものであるから、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証に記載のセンサを操作盤等の入力手段の前に設ける動機付けが存在しない、 よって、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証に記載の技術事項を適用して、上記「人検知手段」を備え、かつ上記「入力許可状態を解除」する構成とすることは、当業者が容易になしえたことではない。 (3)よって、上記第4で検討した取消理由以外の特許異議申立理由も、採用することができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件発明1?3、5?11は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由により取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1?3、5?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、本件発明4に係る特許は、上記第2のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段と、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 人によって操作される解除指示手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。 【請求項2】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段と、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 人によって操作される解除指示手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力許可状態の解除指示が入力された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。 【請求項3】 前記乗降室への人の入退出を検知する入退出検知手段を備え、 前記入力許可解除手段は、前記入力許可状態において、前記入退出検知手段によって前記乗降室への入退出が検知された場合に、前記入力許可状態を解除する請求項1に記載の機械式駐車装置。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 前記入力手段は操作盤に設けられており、 前記解除指示手段は、前記操作盤または前記操作盤の近傍に設けられている請求項1から3のいずれかに記載の機械式駐車装置。 【請求項6】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段と、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 前記入力手段の前に人がいるか否かを検知する人検知手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、前記入力許可状態において、前記人検知手段によって前記入力手段の前に人がいないことが検知された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。 【請求項7】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置の制御方法であって、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶工程と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可工程と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除工程と を備え、 前記入力許可解除工程において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御方法。 【請求項8】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置の制御方法であって、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶工程と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可工程と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除工程と を備え、 前記入力許可解除工程において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御方法。 【請求項9】 少なくとも乗降室の出入口扉の閉扉指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置に適用され、コンピュータによって実行される制御プログラムであって、 前記出入口扉の開扉前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶処理と、 前記出入口扉の開扉後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可処理と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除処理と を含み、 前記入力許可解除処理において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御プログラム。 【請求項10】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段及び人によって操作される解除指示手段を備える機械式駐車装置に適用され、コンピュータによって実行される制御プログラムであって、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶手段に記憶する記憶処理と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可処理と、 人によって前記解除指示手段が操作されることにより、前記解除指示手段から前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する解除指示を受け付けた場合に、前記入力許可状態を解除する入力許可解除処理と を含み、 前記入力許可解除処理において前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置の制御プログラム。 【請求項11】 少なくとも、機械装置の第1の起動の後に行われる第2の起動の指示を人が入力するための入力手段と、 前記機械装置の第1の起動前に入力された第1認証情報を記憶する記憶手段と、 前記機械装置の第1の起動後に入力された第2認証情報と前記記憶手段に格納されている第1認証情報とが所定の関係を有する場合に、前記入力手段からの入力を許可する入力許可手段と、 前記入力手段の前に人がいるか否かを検知する人検知手段と、 所定の入力情報を受け付けた場合に、前記入力手段の入力が許可されている入力許可状態を解除する入力許可解除手段と を備え、 前記入力許可解除手段は、前記入力許可状態において、前記人検知手段によって前記入力手段の前に人がいないことが検知された場合に、前記入力許可状態を解除し、 前記入力許可解除手段によって前記入力許可状態が解除された場合に、前記記憶手段に格納されている前記第1認証情報は消去されずに保持される機械式駐車装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2020-03-27 |
出願番号 | 特願2018-104864(P2018-104864) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(E04H)
P 1 651・ 113- YAA (E04H) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小池 俊次 |
特許庁審判長 |
森次 顕 |
特許庁審判官 |
住田 秀弘 小林 俊久 |
登録日 | 2018-11-30 |
登録番号 | 特許第6441527号(P6441527) |
権利者 | 三菱重工機械システム株式会社 |
発明の名称 | 機械式駐車装置及びその制御方法並びにプログラム |
代理人 | 三苫 貴織 |
代理人 | 川上 美紀 |
代理人 | 三苫 貴織 |
代理人 | 藤田 考晴 |
代理人 | 川上 美紀 |
代理人 | 藤田 考晴 |