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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1362664 |
審判番号 | 不服2018-12618 |
総通号数 | 247 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-09-21 |
確定日 | 2020-05-20 |
事件の表示 | 特願2016-168370「圧力感度調節が可能な圧力検出器及びこれを含むタッチ入力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 9日出願公開、特開2017- 49995〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年8月30日の出願(パリ条約による優先権主張2015年8月31日、大韓民国)であって、平成29年6月23日付けで拒絶理由が通知され、平成29年9月19日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、平成30年1月22日付けで拒絶理由(最後)が通知され、平成30年4月25日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたが、平成30年5月16日付けで平成30年4月25日付け手続補正書が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対して平成30年9月21日に審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成30年9月21日にされた手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の結論] 平成30年9月21日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項13の記載は、次のとおり補正された。(下線は補正箇所である。) 「圧力センサに駆動信号を印加する駆動部と、 前記圧力センサから信号を受信して前記圧力センサで発生する圧力大きさに対応する静電容量の変化量を検出する感知部と、 所定の静電容量の変化量に対応する所定の圧力大きさの関係を示す圧力感度を使用者により変更設定し、前記使用者により変更設定された圧力感度に応じて決定されたファクターを前記感知部で検出された前記静電容量の変化量に乗じた後の結果値を出力する制御部と、 前記出力された結果値に基づいて、前記検出された静電容量の変化量に対応する前記圧力大きさを決定する圧力大きさ判断部と、を含み、 前記制御部は、圧力感度に対応するデジタルバーをディスプレイし、前記使用者が所望する圧力レベルに到達するまで前記使用者によるデジタルバーに対する変更入力を介して前記圧力感度変更設定を遂行する、 圧力検出器。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、平成29年9月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項13の記載は次のとおりである。 「圧力センサに駆動信号を印加する駆動部と、 前記圧力センサから信号を受信して前記圧力センサで発生する静電容量の変化量を検出する感知部と、 所定の静電容量の変化量に対応する圧力大きさの関係を示す圧力感度を変更設定する制御部と、 前記変更設定された圧力感度に基づいて、前記検出された静電容量の変化量に対応する圧力大きさを決定する圧力大きさ判断部と、を含み、 前記制御部は、圧力感度に対応するデジタルバーをディスプレイし、前記デジタルバーに対する変更入力を介して前記圧力感度を変更する、 圧力検出器。」 2 補正の適否 本件補正は、上記のとおり、請求項13に記載した発明を特定するために必要な事項である、 「前記圧力センサから信号を受信して前記圧力センサで発生する静電容量の変化量を検出する感知部」について、 「前記圧力センサから信号を受信して前記圧力センサで発生する圧力大きさに対応する静電容量の変化量を検出する感知部」との限定を付加し、 「所定の静電容量の変化量に対応する圧力大きさの関係を示す圧力感度を変更設定する制御部」について、 「所定の静電容量の変化量に対応する所定の圧力大きさの関係を示す圧力感度を使用者により変更設定し、前記使用者により変更設定された圧力感度に応じて決定されたファクターを前記感知部で検出された前記静電容量の変化量に乗じた後の結果値を出力する制御部」との限定を付加し、 「前記変更設定された圧力感度に基づいて、前記検出された静電容量の変化量に対応する圧力大きさを決定する圧力大きさ判断部」について、 「前記出力された結果値に基づいて、前記検出された静電容量の変化量に対応する前記圧力大きさを決定する圧力大きさ判断部」との限定を付加し、さらに、 「前記制御部は、圧力感度に対応するデジタルバーをディスプレイし、前記デジタルバーに対する変更入力を介して前記圧力感度を変更する」について、 「前記制御部は、圧力感度に対応するデジタルバーをディスプレイし、前記使用者が所望する圧力レベルに到達するまで前記使用者によるデジタルバーに対する変更入力を介して前記圧力感度変更設定を遂行する」との限定を付加することを含むものであって、補正前の請求項13に記載された発明と補正後の請求項13に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項13に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用例の記載事項、引用発明、各引用文献及び周知文献の記載事項 ア 引用例の記載事項、引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、国際公開第2015/099034号(国際公開日:2015年7月2日。以下「引用例」という。)には、図面(特に、【図4】、【図7】-【図9】、【図12】)と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。) (ア) 段落[0055]-[0056] 「[0055] 上部電極522と下部電極532の間に所定電圧を印加した状態で、感圧センサ50に対して上方から荷重が加わると、当該荷重の大きさに応じて上部電極522と下部電極532との密着度が増加し、これらの電極522,532の間の電気抵抗が減少する。一方、感圧センサ50に対する荷重が解放されると、上部電極522と下部電極532との密着度が減少し、これらの電極522,532間の電気抵抗が増加する。 [0056] このように、感圧センサ50は、この抵抗変化に基づいて感圧センサ50に加わる圧力の大きさを検出することが可能となっており、本実施形態における電子機器1は、この感圧センサ50の電気抵抗値を所定の閾値と比較することで、操作者によるパネルユニット10の押圧操作を検出する。なお、本実施形態において、「密着度が増加する」とは、微視的な接触面積の増加を意味し、「密着度が減少する」とは、微視的な接触面積の減少を意味する。」 (イ) 段落[0062] 「[0062] また、以上に説明した構造の感圧センサに代えて、例えば、静電容量方式のセンサ、感圧導電性ゴム、圧電素子、或いは、歪みゲージ等を、感圧センサとしても用いてもよい。或いは、ピエゾ抵抗層を有する片持梁形状(或いは両持梁形状)のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子を、感圧センサとして用いてもよい。或いは、スクリーン印刷によって電極をそれぞれ形成した絶縁性基板の間に、圧電性を示すポリアミノ酸材料を挟み込んだ構造を有する圧力センサを、感圧センサとして用いてもよい。或いは、圧電性を示すポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた圧電素子を、感圧センサとして用いてもよい。」 (ウ) 段落[0071]-[0098] 「[0071] 本実施形態における電子機器1は、図7に示すように、タッチパネルモジュール80と、センサモジュール90と、当該モジュール80,90が電気的に接続されたコンピュータ100と、を備えている。 [0072] タッチパネルモジュール80は、上述したタッチパネル30と、当該タッチパネル30に電気的に接続されたタッチパネルコントローラ81と、から構成されている。 ・・・(中略)・・・ [0075] センサモジュール90は、上述した感圧センサ50と、当該感圧センサ50に電気的に接続されたセンサコントローラ91と、から構成されている。 [0076] このセンサコントローラ91も、上述のタッチパネルコントローラ81と同様に、例えばCPU等を備えた電子回路から構成されている。このセンサコントローラ91は、図8に示すように、取得部92と、設定部93と、第1の演算部94と、選択部95と、補正部96と、第2の演算部97と、感度調整部98と、を機能的に備えている。 [0077] 取得部92は、図9に示すように、感圧センサ50の上部電極522(又は下部電極532)に直列接続された電源921と、当該感圧センサ50の下部電極532(又は上部電極522)に直列接続された第1の抵抗体922と、感圧センサ50と第1の固定抵抗体922との間に接続されたA/D変換器925と、を備えている。本実施形態におけるA/D変換機925が、本発明におけるA/D変換部の一例に相当する。 [0078] 電源921によって電極522,532に所定電圧を印加した状態で、感圧センサ50に対して上方から荷重が加わると、当該荷重の大きさに応じて電極522,532間の電気的な抵抗値が変化する。取得部92は、こうした抵抗変化に対応した電圧値のアナログ信号を感圧センサ50から一定の間隔で周期的にサンプリングし、当該アナログ信号をA/D変換器925によってデジタル信号に変換した後に、当該デジタル信号を設定部93と第1の演算部94に出力する。 ・・・(中略)・・・ [0093] 設定部93は、コンピュータ100のセンサモジュールドライバ104(後述)からタッチオン信号が入力された場合に、当該接触検出時点或いはその直前の感圧センサ50の出力値OP_(n)(つまり接触検出と同時又はその直前にサンプリングされた出力値OP_(n))を基準値OP_(0)として設定する。この設定部93は、感圧センサ50毎に設けられており、感圧センサ60毎に基準値OP_(0)を設定する。 ・・・(中略)・・・ [0095] 第1の演算部94は、下記の(5)式に従って、感圧センサ50に印加されている第1の圧力値p_(n1)を演算する。この第1の演算部94も、設定部93と同様に、感圧センサ50毎に設けられており、感圧センサ50毎に第1の圧力値p_(n1)を演算する。 ・・・(中略)・・・ [0097] 選択部95は、4つの設定部93によって設定された4つの基準値OP_(0)の中から最小値を選択し、当該最小基準値を比較値S_(0)に設定する。 [0098] 補正部96は、下記の(6)及び(7)式に従って、それぞれの感圧センサ50の補正値R_(n)を算出し、この補正値R_(n)を用いて当該感圧センサ50の第1の圧力値p_(n1)を補正する。この補正部96も、設定部93や第1の演算部94と同様に、感圧センサ50毎に設けられており、感圧センサ50毎に第1の圧力値p_(n1)を補正する。なお、下記の(7)式におけるp’_(n1)は補正後の第1の圧力値である。」 (エ) 段落[0109]、[0110] 「[0109] 感度調整部98は、下記の(9)式に従って第2の圧力値p_(n2)の感度調整を行うことで、最終的な圧力値P_(n)を算出する。この(9)式により算出された圧力値P_(n)は、コンピュータ100に出力される。なお、下記の(9)式におけるk_(adj)は、操作者の押圧の個人差を調整するための係数であり、例えば、タッチパネルコントローラ81の記憶部(不図示)に予め記憶されており、操作者に応じて任意に設定することが可能となっている。」 また、段落[0110]には、「(9)式」として「P_(n)=P_(n2)/k_(adj)」が記載されていると認められる。 (オ) 段落[0119] 「[0119] タッチパネルフィルタドライバ105は、タッチパネルドライバ103から出力されたデータ群の一部を、センサモジュールドライバ104から出力された圧力値P_(n)に書き換える。具体的には、上述の例であれば、データ群(X,Y,φ)の「φ」を圧力値P_(n)に書き換える。タッチパネルフィルタドライバ105は、当該書き換え後のデータ群(X,Y,P_(n))を、OS101を介してアプリケーション102に出力する。」 (カ) 段落[0150] 「[0150] さらに、上述の実施形態では、感圧センサ50を電子機器1の四隅に配置したが、特にこれに限定されない。例えば、感圧センサを静電容量方式のセンサを用いて構成する場合には、シート状の静電容量センサと、静電容量センサ上に設けられる透明な弾性部材と、で感圧センサを構成し、透明な弾性部材をタッチパネル30側にして、当該感圧センサをタッチパネル30と表示装置40の間に介在させてもよい。この感圧センサは、タッチパネル30と同等の大きさを有しており、タッチパネル30の背面全面に積層されている。静電容量センサは、複数の検出領域に区分されており、センサコントローラ91は、当該複数の検出領域から検出結果をそれぞれ取得する。なお、この場合には、感圧センサを介してタッチパネル30と表示装置40とが固定されているので、表示装置40を第1の支持部材70に固定するためのネジ44(図2参照)は不要となる。」 (キ) 引用発明 上記ア(ア)-ア(カ)から、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「上部電極522と下部電極532の間に所定電圧を印加した状態で、感圧センサ50に対して上方から荷重が加わると、当該荷重の大きさに応じて上部電極522と下部電極532との密着度が増加し、これらの電極522,532の間の電気抵抗が減少する一方、感圧センサ50に対する荷重が解放されると、上部電極522と下部電極532との密着度が減少し、これらの電極522,532間の電気抵抗が増加し、 感圧センサ50は、この抵抗変化に基づいて感圧センサ50に加わる圧力の大きさを検出することが可能となっており、 電子機器1は、この感圧センサ50の電気抵抗値を所定の閾値と比較することで、操作者によるパネルユニット10の押圧操作を検出し、 以上に説明した構造の感圧センサに代えて、例えば、静電容量方式のセンサ、感圧導電性ゴム、圧電素子、或いは、歪みゲージ等を、感圧センサとしても用いてもよく、 電子機器1は、タッチパネルモジュール80と、センサモジュール90と、当該モジュール80,90が電気的に接続されたコンピュータ100と、を備えており、 タッチパネルモジュール80は、タッチパネル30と、当該タッチパネル30に電気的に接続されたタッチパネルコントローラ81と、から構成されており、 センサモジュール90は、感圧センサ50と、当該感圧センサ50に電気的に接続されたセンサコントローラ91と、から構成されており、 このセンサコントローラ91は、取得部92と、設定部93と、第1の演算部94と、選択部95と、補正部96と、第2の演算部97と、感度調整部98と、を機能的に備えており、 取得部92は、感圧センサ50の上部電極522(又は下部電極532)に直列接続された電源921と、当該感圧センサ50の下部電極532(又は上部電極522)に直列接続された第1の抵抗体922と、感圧センサ50と第1の固定抵抗体922との間に接続されたA/D変換器925と、を備えており、 取得部92は、抵抗変化に対応した電圧値のアナログ信号を感圧センサ50から一定の間隔で周期的にサンプリングし、当該アナログ信号をA/D変換器925によってデジタル信号に変換した後に、当該デジタル信号を設定部93と第1の演算部94に出力し、 感度調整部98は、(9)式:P_(n)=P_(n2)/k_(adj)に従って第2の圧力値p_(n2)の感度調整を行うことで、最終的な圧力値P_(n)を算出し、この(9)式により算出された圧力値P_(n)は、コンピュータ100に出力され、なお、(9)式におけるk_(adj)は、操作者の押圧の個人差を調整するための係数であり、例えば、タッチパネルコントローラ81の記憶部に予め記憶されており、操作者に応じて任意に設定することが可能となっており、 タッチパネルフィルタドライバ105は、タッチパネルドライバ103から出力された、データ群(X,Y,φ)の「φ」を圧力値P_(n)に書き換え、当該書き換え後のデータ群(X,Y,P_(n))を、OS101を介してアプリケーション102に出力し、 感圧センサを静電容量方式のセンサを用いて構成する場合には、シート状の静電容量センサと、静電容量センサ上に設けられる透明な弾性部材と、で感圧センサを構成し、透明な弾性部材をタッチパネル30側にして、当該感圧センサをタッチパネル30と表示装置40の間に介在させてもよく、静電容量センサは、複数の検出領域に区分されており、センサコントローラ91は、当該複数の検出領域から検出結果をそれぞれ取得する、 電子機器1における、センサコントローラ91。」 イ 引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2015-106417号公報(平成27年6月8日公開。以下「引用文献2」という。)には、図面(特に、【図6a】、【図11a】-【図11d】)と共に、次の事項が記載されている。 (ア) 段落【0021】-【0022】 「【0021】 この時、第1電極1100及び第2電極1200は、図18bに示された形態のように、それぞれ複数の第1電極6200と複数の第2電極6300で構成され、それぞれ互いに交差するように配列されてもよく、第1電極6200又は第2電極6300のうち何れか一つに駆動信号が入力され、他の一つから相互静電容量に関する情報を含む感知信号が出力されてもよい。図11bに示されたように、使用者の指のような客体が第1電極1100及び第2電極1200に近接する場合、指がグランドの役割をして、第1電極1100と第2電極1200との間の相互静電容量が変わることになる。この場合、タッチ入力装置100は、タッチスクリーン130に使用者の指のような客体が近接することによって変わる第1電極1100と第2電極1200との間の相互静電容量を測定してタッチ位置を検出することができる。また、第1電極6200及び第2電極6300に駆動信号が入力され、それぞれの第1電極6200及び第2電極6300から自体静電容量に関する情報を含む感知信号が出力されてもよい。図11cに示されたように、使用者の指のような客体が第1電極1100及び第2電極1200に近接する場合、指がグランド役割をして、第1電極1100及び第2電極1200それぞれの自体静電容量が変わることになる。この場合、タッチ入力装置100は、タッチスクリーン130に使用者の指のような客体が近接することによって変わる第1電極1100及び第2電極1200の自体静電容量を測定してタッチ位置を検出することができる。 【0022】 図11dに示されたように、実施形態によるタッチ位置感知モジュール1000は、一つの層に形成された第1電極1100及び前記第1電極1100が形成された層と同じ層に形成された第2電極1200を含んでもよい。」 (イ) 段落【0090】-【0091】 「【0090】 制御器110のレベル決定部において、タッチ圧力の大きさ及びタッチ面積のうち少なくとも一つは、静電容量の変化量の大きさ区間によって段階的なタッチレベルに分類されてもよい。例えば、静電容量の変化量が0ないし600の間の値を有すると仮定する場合、最も小さい値を有する0超過ないし150の範囲の静電容量の変化量に対しては第1レベルで、その次に大きい値を有する150超過ないし300の範囲の静電容量の変化量に対しては第2レベルで、その次に大きい値を有する300超過ないし450の範囲の静電容量の変化量に対しては第3レベルで、そして最も大きい値を有する450超過ないし600の範囲の静電容量の変化量に対しては第4レベルで計算されてもよい。実施形態により第1レベルはホバーリングによるタッチ圧力の大きさ又はタッチ面積を示してもよい。この時、圧力の大きさ又はタッチ面積の段階区分は、実施形態により変わり得る。例えば、ホバーリングと直接タッチだけを区別することもでき、ホバーリングを含んで多様なレベルで区分することもできる。このような静電容量の変化量とタッチレベルとの相関関係は、レベルテーブルに格納されてもよい。 【0091】 これは単に例示に過ぎず、タッチ圧力の大きさ及び/又はタッチ面積は、静電容量の変化量に比例するように連続した値を有するように設定されてもよい。」 (ウ) 段落【0111】-【0114】 「【0111】 デジタルバー600は、例えばタッチ領域400に対するタッチが成される時、画面に表示されてもよい。使用者は、デジタルバー600を通じてタッチ領域400をタッチするタッチレベルの変化を視覚的に確認することができる。使用者は、所望するタッチレベルを最終選択する前まで、タッチレベルを変更することができる。 【0112】 タッチ圧力の大きさ又はタッチ面積によるタッチレベルを変更しようとする場合、タッチ領域400にタッチされる指500のタッチ圧力の大きさ又は面積を調節することにより、使用者の所望するタッチレベルを選択することができる。 【0113】 タッチ時間によるタッチレベルを変更しようとする場合、所望するタッチレベルが到達しない場合、使用者の所望するタッチ時間に達する時までタッチを維持して所望するタッチレベルを選択することができる。しかし、所望するタッチレベルを超した場合には、タッチレベルを下げて選択することができない。このような場合、所定の最大タッチ時間を超してタッチを維持すれば、再びタッチレベルをリセットして低いレベルのタッチレベルを選択できるようにすることで、所望するタッチレベルを選択することができる。 【0114】 具体的に、デジタルバー600は、タッチ領域400をタッチする時間が第4レベルを超過すると、タッチレベルが再び第1レベルからスタートし、この時再び第1レベルであることを表示する第1バー601を陰影で表示することができる。以後、タッチ時間が増加するにつれ、第2レベル、第3レベル、及び第4レベルの順序でタッチレベルが表示されてもよい。」 ウ 引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開平11-65759号公報(平成11年3月9日公開。以下「引用文献3」という。)には、図面(特に、【図17】)と共に、次の事項が記載されている。 ・段落【0050】 「【0050】図17において、マウス装置1の表示部4には、接触式入力部5の入力時の反応感度を設定するための設定画面が表示されており、ここでは、スライドバーによって押圧感度及び移動速度感度の設定が可能な画面となっている。使用者は指にて表示部4のスライドバーを移動させることによって、接触式入力部5の反応感度を任意に設定することができるので、使用するソフトウエアや使用者毎に使い易い状態に設定することが可能である。」 エ 周知文献4の記載事項 本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2010-26833号公報(平成22年2月4日公開。以下「周知文献4」という。)には、図面(特に、【図4】,【図6】)と共に、次の事項が記載されている。 (ア) 段落【0002】ー【0007】 「【背景技術】 【0002】 従来、機器の操作に利用されるタッチセンサが設けられた電子機器が、種々開発されている。タッチセンサにおいては、例えば、ユーザがタッチパッドに接触することに伴う静電容量の変化が検出されることにより、タッチ操作が認識可能となっている。またこのようなタッチセンサ付の電子機器によれば、ユーザは機器を軽快に操作することができ、便利である。 【0003】 ところで静電容量検出型のタッチセンサにおいては、静電容量の変化量がある閾値(以下、「感度閾値」と称する)を超えた場合に、タッチ操作が認識される。そのため機器の誤動作などを防止するためには、この感度閾値が適切に設定される必要がある。例えば感度閾値が大きすぎると(つまり感度が弱すぎると)、ユーザのタッチ操作が認識されにくくなり、不便となる。また逆に感度閾値が小さすぎると(つまり感度が強すぎると)、ユーザが操作を意図しない場合(例えば操作の意図なく、指がタッチセンサにかすってしまった場合)でもタッチ操作が認識されてしまい、この場合も不便となる。 【0004】 またユーザの個人差や体調の変化などをも考慮すると、タッチ操作が行われる際の静電容量の変化量は、その都度変動することが十分考えられる。このような事情から、感度閾値が、例えばユーザの指示に応じて適宜調整可能となっているものが提案されている。 【特許文献1】特開2005-300030号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながらユーザにとっては、タッチ操作を行おうとする際のタッチセンサにおける静電容量の変化量が、どの程度であるかを把握することは難しい。そのため、ユーザの指示に応じた感度閾値の調整(更新)が可能となっていても、ユーザにとっては、どのようにして(何の情報を根拠にして)当該調整を行えば良いかが分らず、当該調整を適切に行うことは容易ではない。なお仮に、静電容量の変化量の検出結果に応じて感度閾値が自動調整されるようになっていたとしても、ユーザにとっては、現状をより良く認識するために、この変化量の程度が把握可能となっていることが望ましい。 【0006】 このような事情から、ユーザの接触に伴う静電容量の変化量がどの程度であるかを示す情報を、ユーザが把握可能となっていることが望ましい。特に、感度閾値が複数の候補(以下、「閾値候補」と称する)の何れかに調整される場合、当該静電容量の変化量がこれらの閾値候補との関係でどの程度であるかを、ユーザが把握可能となっていることが望まれる。 【0007】 本発明は上述した問題点に鑑み、ユーザの接触に伴う静電容量の変化量が、閾値候補との関係でどの程度であるかを、ユーザが把握することのできるタッチセンサ付電子機器の提供を目的とする。」 (イ) 段落【0030】-【0033】 「【0030】 またユーザによる、感度調整モードへの移行指示が有った場合には(ステップS2のY)、制御部15は、タッチセンサ20の感度調整を行うための感度調整モードに移行する。この感度調整モードでは、次のような処理が実行される。 【0031】 まず制御部15は、ディスプレイ13の全体または一部に、図4に示すようなOSD画面を表示させる(ステップS4)。このOSD画面には、キャラクタ31、第1矢印32、および第2矢印33が、それぞれ表示される。 【0032】 キャラクタ31は、青で着色された(表示色が青である)青のパート31a、緑で着色された緑のパート31b、黄で着色された黄のパート31c、および赤で着色された赤のパート31cの各々から形成されている。これらのパートは、左から右方向へ順に帯状に並んだ態様となっており、隣接するパート同士は互いに接触している。また第1矢印32は、キャラクタ31における何れかのパートを指し示すためのものであり、第2矢印33は、キャラクタ31において隣接するパートの境界のうちの、何れかの境界を指し示すためのものである。 【0033】 このようなOSD画面が表示されている間、制御部15は、記憶部16に記憶されている閾値候補(C1?C3)の情報を用いて、現在の所定のタッチセンサ20における静電容量の変化量が、C1未満である第1領域、C1以上C2未満である第2領域、C2以上C3未満である第3領域、およびC3以上である第4領域のうちの、何れの領域に属しているかを検出し、この検出結果をOSD画面上に表示する(ステップS5)。」 (ウ) 段落【0050】-【0053】 「【0050】 またステップS6の処理において、ユーザによる各パート(31a?31d)のうちの何れかの選択を受付けるとともに、ステップS7の処理においては、選択されたパートに対応する領域の下方直近の閾値候補が、感度閾値として設定されるようになっていても良い。例えば、操作部17におけるユーザの操作に応じて、図6に示すように、各パート(31a?31d)の何れかを指し示すように第2矢印33を表示させ、指し示されたパートがユーザによって選択されたものとすれば良い。 【0051】 この場合、仮に黄のパート31cが選択されたとすれば、このパートに対応している第3領域(C2?C3)の下方直近の閾値候補であるC2が、感度閾値として設定更新されることになる。このような態様であっても、ユーザはキャラクタ31を利用して、所望の閾値候補を感度閾値として容易に設定させることができる。 【0052】 なおユーザに何れかのパート(31a?31d)を選択させる手段として、ユーザに色を指定させる方法が採用されていても構わない。例えば操作部17において、各パート(31a?31d)の表示色(青、緑、黄、赤)に着色されたスイッチをそれぞれ設けておき、ユーザが何れかのスイッチを操作したら、そのスイッチの色のパートが選択されたと見なす方法等が考えられる。このような態様であれば、ユーザは色を指定することにより 、所望の閾値候補を感度閾値として容易に設定させることができる。 【0053】 また更に、ステップS6の処理がなされる代わりに、検出された静電容量の変化量に応じて、閾値候補が自動的に選択されるようにしても構わない。例えば感度調整モードにおいて、静電容量の変化量が所定値(例えばC1の50%)を超えて安定したら、その時の変化量が属する領域の下方直近の閾値候補が、自動的に選択されるようにしても良い。選択された閾値候補は、感度閾値として設定更新されることになる(ステップS7)。」 オ 周知文献5の記載事項 本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2008-165801号公報(平成20年7月17日公開。以下「周知文献5」という。)には、図面(特に、【図11】)と共に、次の事項が記載されている。 (ア) 段落【0005】 「【0005】 ところが、従来の技術によれば、タッチ感度を決定する臨界値が固定されていてユーザがタッチ感度を調節できないという問題点があった。これにより、ユーザの使用特性が考慮されずにタッチ感度が固定値に設定されていて、ユーザのタッチ意図とは異なるタッチ結果を発生させるという問題点があった。」 (イ) 段落【0056】 「【0056】 これにより、タッチ感度調整部630は、タッチ感度調節イベント処理ルーチンによってタッチ感度調節メニュー画面を生成させて、タッチスクリーンパネル310に出力させるように制御する(S104)。一例として、タッチ感度調節メニュー画面は、図11に示したようにタッチ感度を増加または減少させるためのガイド情報が含まれるように設計できる。」 (ウ) 段落【0059】 「【0059】 一例として、タッチ感度を増加させるためのキー値が1回入力される度に一定ステップ単位で臨界値TE_Thの大きさを減少させ、タッチ感度を減少させるためのキー値が1回入力される度に、一定ステップ単位で臨界値TE_Thの大きさを増加させるように設計できる。 次いで、タッチ感度調整部630は、ステップ107(S107)で変更された臨界値TE_Th情報をレジスタ1 620に新しく記入して臨界値TE_Th情報をアップデートさせる(S108)。 このような方法によって、ユーザの選択によってレジスタ1 620に保存された臨界値TE_Th情報になることによって、タッチ感度を調節できるようになる。」 (エ) 図11 図11を参照すると、「タッチ感度調節メニュー画面」において、画面下部に「タッチキー感度調節」のための7つに区分された「棒グラフ」と、左右の「矢印キー」とを表示することが開示されていると認定できる。 カ 周知文献6の記載事項 本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2012-248035号公報(平成24年12月13日公開。以下「周知文献6」という。)には、図面(特に、【図1】、【図4】)と共に、次の事項が記載されている。 (ア) 段落【0028】-【0029】 「【0028】 尚、本実施の形態におけるタッチパネルシステム1に配置されているセンサ11は、静電容量方式センサであり、使用者がタッチパネル10にタッチ操作した際、センサ11を構成している電極が図1に示すドライブライン-センスライン間の容量値の変化を検出する。 【0029】 タッチパネル10は、M本のドライブラインとL本のセンスラインとからなり、その交差箇所に静電容量方式によるセンサ11を構成する。タッチ操作の座標検出動作では、ドライブラインをスキャンしつつ、タッチ操作によるセンサの容量値の変化をセンスラインにて読み取ることにより、タッチ操作された箇所の座標を検出する。この際、検出される容量値の変化値が小さい場合を考慮して、読み取り動作を複数回行い、タッチパネルからの受信信号を上記複数回の読み取り動作に対応させて複数回積算して信号値を増大させる操作が行われている。 (イ) 段落【0034】 「【0034】 図4は、本タッチパネルシステムにおけるタッチ操作感度変更処理を行うためのユーザインタフェイスの表示例を示したものである。このユーザインタフェイス表示では、操作者に、タッチ操作の感度調整を促すための表示(「タッチ操作の感度を調整して下さい」等の表示)を行い、その下部に感度の強弱を調整するためのスライダーが設置されている。操作者は、意図せずにタッチ操作が検出されてしまう場合であれば、感度を弱くする方向にスライダーを動かして、感度を弱くすることにより、感度調整入力を実施する(F202)。この感度調整入力値は、タッチパネルコントローラ20のタッチ操作感度変更手段23に記憶される(F203)。」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア) 引用発明の「感圧センサ50」は、本件補正発明の「圧力センサ」に対応する。 引用発明の「取得部92」における「電源921」は、「上部電極522と下部電極532の間に所定電圧を印加した状態で、感圧センサ50に対して上方から荷重が加わると、当該荷重の大きさに応じて上部電極522と下部電極532との密着度が増加し、これらの電極522,532の間の電気抵抗が減少する一方、感圧センサ50に対する荷重が解放されると、上部電極522と下部電極532との密着度が減少し、これらの電極522,532間の電気抵抗が増加し、感圧センサ50は、この抵抗変化に基づいて感圧センサ50に加わる圧力の大きさを検出することが可能となっており」、「感圧センサ50の上部電極522(又は下部電極532)に直列接続された電源921」であるから、本件補正発明の「圧力センサに駆動信号を印加する駆動部」と、「圧力センサの駆動部」である点で共通するといえる。 (イ) 引用発明の「A/D変換器925」を含む「取得部92」は、「…感圧センサ50と第1の固定抵抗体922との間に接続されたA/D変換器925と、を備えており」、「取得部92は、抵抗変化に対応した電圧値のアナログ信号を感圧センサ50から一定の間隔で周期的にサンプリングし、当該アナログ信号をA/D変換器925によってデジタル信号に変換した後に、当該デジタル信号を設定部93と第1の演算部94に出力し」ているから、本件補正発明の「前記圧力センサから信号を受信して前記圧力センサで発生する圧力大きさに対応する静電容量の変化量を検出する感知部」と「前記圧力センサから信号を受信して前記圧力センサで発生する圧力大きさに対応する、変化量を検出する感知部」である点で共通するといえる。 (ウ) 引用発明の「感度調整部98」で用いられる係数「k_(adj)」(及び、その逆数である「1/k_(adj)」)は、「操作者の押圧の個人差を調整するための係数であり、例えば、タッチパネルコントローラ81の記憶部に予め記憶されており、操作者に応じて任意に設定することが可能となって」るから、本件補正発明の「前記使用者により変更設定された圧力感度に応じて決定されたファクター」と、「ファクタ-」である点で共通するといえる。 よって、引用発明の「感度調整部98」は、「(9)式:P_(n)=P_(n2)/k_(adj)に従って第2の圧力値p_(n2)の感度調整を行うことで、最終的な圧力値P_(n)を算出し、この(9)式により算出された圧力値P_(n)は、コンピュータ100に出力され、なお、(9)式におけるk_(adj)は、操作者の押圧の個人差を調整するための係数であり、例えば、タッチパネルコントローラ81の記憶部に予め記憶されており、操作者に応じて任意に設定することが可能となって」おり、ここで、感度調整部98で圧力値p_(n2)を、係数「k_(adj)」で「除する」ことは、係数「k_(adj)」の逆数である「1/k_(adj)」を「乗じる」ことにほかならないから、本件補正発明の「所定の静電容量の変化量に対応する所定の圧力大きさの関係を示す圧力感度を使用者により変更設定し、前記使用者により変更設定された圧力感度に応じて決定されたファクターを前記感知部で検出された前記静電容量の変化量に乗じた後の結果値を出力する制御部」であって、「前記制御部は、圧力感度に対応するデジタルバーをディスプレイし、前記使用者が所望する圧力レベルに到達するまで前記使用者によるデジタルバーに対する変更入力を介して前記圧力感度変更設定を遂行する」ものと、「ファクターを前記感知部で検出された前記、変化量に乗じた後の結果値を出力する制御部」である点で共通するといえる。 (エ) 引用発明の「電子機器1における、センサコントローラ91」は、本件補正発明の「圧力検出器」に対応する。 イ 一致点・相違点 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「圧力センサの駆動部と、 前記圧力センサから信号を受信して前記圧力センサで発生する圧力大きさに対応する、変化量を検出する感知部と、 ファクターを前記感知部で検出された前記、変化量に乗じた後の結果値を出力する制御部と、 を含む、 圧力検出器。」 [相違点1] 本件補正発明の「駆動部」は、「圧力センサに駆動信号を印加する駆動部」であるのに対して、引用発明の「電源921」は、「圧力センサに駆動信号を印加する駆動部」ではない点。 [相違点2] 本件補正発明の「感知部」は、「前記圧力センサから信号を受信して前記圧力センサで発生する圧力大きさに対応する静電容量の変化量を検出する感知部」であるのに対して、引用発明の「取得部92」は、「静電容量の」変化量を検出していない点。 [相違点3] 本件補正発明の「制御部」は、「所定の静電容量の変化量に対応する所定の圧力大きさの関係を示す圧力感度を使用者により変更設定し、前記使用者により変更設定された圧力感度に応じて決定された」ファクターを前記感知部で検出された前記「静電容量の」変化量に乗じた後の結果値を出力する制御部であって、「前記制御部は、圧力感度に対応するデジタルバーをディスプレイし、前記使用者が所望する圧力レベルに到達するまで前記使用者によるデジタルバーに対する変更入力を介して前記圧力感度変更設定を遂行する」のに対し、引用発明の「感度調整部98」の係数「k_(adj)は、操作者の押圧の個人差を調整するための係数であり、例えば、タッチパネルコントローラ81の記憶部に予め記憶されており、操作者に応じて任意に設定することが可能となって」いるものであって、「所定の静電容量の変化量に対応する所定の圧力大きさの関係を示す圧力感度を使用者により変更設定し、前記使用者により変更設定された圧力感度に応じて決定された」ファクタを、前記「静電容量の」変化量に乗じておらず、「前記制御部は、圧力感度に対応するデジタルバーをディスプレイし、前記使用者が所望する圧力レベルに到達するまで前記使用者によるデジタルバーに対する変更入力を介して前記圧力感度変更設定を遂行」していない点。 [相違点4] 本件補正発明は、「前記出力された結果値に基づいて、前記検出された静電容量の変化量に対応する前記圧力大きさを決定する圧力大きさ判断部」を備えるのに対して、引用発明の「電子機器1は、この感圧センサ50の電気抵抗値を所定の閾値と比較することで、操作者によるパネルユニット10の押圧操作を検出」するものであるが、「電子機器1における、センサコントローラ91」(本件補正発明の「圧力検出器」に対応する。)に、「前記変更設定された圧力感度に基づいて、前記検出された静電容量の変化量に対応する圧力大きさを決定する圧力大きさ判断部」を備えることは特定されていない点。 (4)判断 [相違点1]、[相違点2]について 引用発明は、「以上に説明した構造の感圧センサに代えて、例えば、静電容量方式のセンサ、感圧導電性ゴム、圧電素子、或いは、歪みゲージ等を、感圧センサとしても用いてもよく」、また、「感圧センサを静電容量方式のセンサを用いて構成する場合には、シート状の静電容量センサと、静電容量センサ上に設けられる透明な弾性部材と、で感圧センサを構成し、透明な弾性部材をタッチパネル30側にして、当該感圧センサをタッチパネル30と表示装置40の間に介在させてもよく、静電容量センサは、複数の検出領域に区分されており、センサコントローラ91は、当該複数の検出領域から検出結果をそれぞれ取得する」ものであるから、「センサコントローラ91」が、電気抵抗値を検出するセンサに代えて、「静電容量方式のセンサ」を用いることが開示されているといえる。 また、一般に、「静電容量」を感知するために、静電容量センサに対して、駆動信号(ドライブ信号)を印可することは、周知技術である(必要ならば、引用文献2(上記(2)イ(ア))、周知文献6(上記(2)カ(ア))を参照。)。 よって、引用発明の「センサコントローラ91」において、「感圧センサを静電容量方式のセンサを用いて構成する場合」、静電容量センサに対して、駆動信号を印可する周知技術を採用することで、「電源921」を、「圧力センサに駆動信号を印加する駆動部」とするとともに、「取得部92」を、「前記圧力センサから信号を受信して前記圧力センサで発生する圧力大きさに対応する静電容量の変化量を検出する感知部」とすることで、上記[相違点1]、[相違点2]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 [相違点3]について 上記「[相違点1]、[相違点2]について」のとおり、引用発明には、電気抵抗値を検出するセンサに代えて、「静電容量」を検出するセンサを用いることが開示されているといえる。 また、引用発明では、「感度調整部98」で用いられる係数「k_(adj)」(及び、その逆数である「1/k_(adj)」)は、「操作者に応じて任意に設定することが可能」であると認められる。 ここで、引用発明の「操作者に応じて任意に設定することが可能となって」いる係数「k_(adj)」が、「予め記憶されて」いるとは、操作者に応じて設定をカスタマイズするものであるから、電子機器1の製造時点で「予め記憶されて」いるものとは解し難く、むしろ、電子機器1の製造後に、操作者である各ユーザの手元に届いた後であって、タッチパネルを操作するより前に、「予め記憶される」ものと解するのが自然である。すなわち、引用発明のものも、係数「k_(adj)」は、各ユーザの手元に届いた後で設定が行われると解するのが自然である。 一般に、機器を設定するためのユーザインタフェースをユーザに対して表示して、ユーザ自身に機器の設定を行わせることは、周知技術である(必要ならば、引用文献2(上記(2)イ(ウ))、引用文献3(上記(2)ウ)、周知文献4(上記(2)エ(ア)-(ウ))、周知文献5(上記(2)オ(ア)-(エ))、周知文献6(上記(2)カ(イ))を参照。)。 機器を設定するための具体的なユーザインタフェースとして、どのような形状のユーザインタフェースを表示するか、及び、ユーザインタフェースをどのように操作するかは、ユーザの使い勝手等を考慮して、当業者が適宜選択すべき設計的事項であると認められる。 ここで、機器の設定に用いるユーザインタフェースの形状として、「バー」の形状のものは、普通に用いられている(必要ならば、引用文献2(【図6a】の参照番号600、上記(2)イ(ウ))、引用文献3(【図17】、上記(2)ウ)、周知文献4(【図4】、【図6】、上記(2)エ(イ)-(ウ))、周知文献5(【図11】、上記(2)オ(イ)-(エ))、周知文献6(【図4】、上記(2)カ(イ))を参照。)。 また、ここで、ユーザインタフェースの操作方法として、例えば継続的な「ドラッグ操作」や「スライド操作」などのように、「所望する値に到達するまで」ユーザが操作を行う操作方法は、普通に用いられている(必要ならば、 引用文献2(上記(2)イ(ウ)の段落【0112】「…タッチ領域400にタッチされる指500のタッチ圧力の大きさ又は面積を調節することにより、使用者の所望するタッチレベルを選択することができる。」、及び、段落【0113】「…使用者の所望するタッチ時間に達する時までタッチを維持して所望するタッチレベルを選択することができる」)、 引用文献3(上記(2)ウの段落【0050】「使用者は指にて表示部4のスライドバーを移動させることによって、接触式入力部5の反応感度を任意に設定することができるので…」)、 周知文献4(上記(2)エ(ウ)の段落【0053】「静電容量の変化量が所定値(例えばC1の50%)を超えて安定したら、その時の変化量が属する領域の下方直近の閾値候補が、自動的に選択されるようにしても良い。」)、 周知文献5(上記(2)オ(ウ)の段落【0059】「一例として、タッチ感度を増加させるためのキー値が1回入力される度に一定ステップ単位で臨界値TE_Thの大きさを減少させ、タッチ感度を減少させるためのキー値が1回入力される度に、一定ステップ単位で臨界値TE_Thの大きさを増加させるように設計できる」)、 周知文献6(上記(2)カ(イ)の段落【0034】「操作者は、意図せずにタッチ操作が検出されてしまう場合であれば、感度を弱くする方向にスライダーを動かして、感度を弱くすることにより、感度調整入力を実施する」)を参照。)。 よって、引用発明の「電子機器1」において、「操作者に応じて任意に設定することが可能」な「感度調節部98」における係数「k_(adj)」の設定方法として、「圧力」に対する「感度」を調整するために、機器の設定に用いられるユーザインタフェースをユーザに対して表示して、ユーザ自身に機器の設定を行わせる周知技術を採用するとともに、この際、ユーザの使い勝手等を考慮して、表示されるユーザインタフェースの形状としては、離散的すなわち「デジタル」式の「バー」表示を選択し、また、ユーザインタフェースの操作方法としては、「所望する値に到達するまで」ユーザが操作を行う操作方法を選択することによって、「感度調整部98」を、「所定の静電容量の変化量に対応する所定の圧力大きさの関係を示す圧力感度を使用者により変更設定し、前記使用者により変更設定された圧力感度に応じて決定された」ファクターを前記感知部で検出された前記「静電容量の」変化量に乗じた後の結果値を出力する制御部であって、「前記制御部は、圧力感度に対応するデジタルバーをディスプレイし、前記使用者が所望する圧力レベルに到達するまで前記使用者によるデジタルバーに対する変更入力を介して前記圧力感度変更設定を遂行する」、上記[相違点3]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 [相違点4]について 上記「[相違点1]、[相違点2]について」のとおり、引用発明には、電気抵抗値を検出するセンサに代えて、「静電容量」を検出するセンサを用いることが開示されているといえる。 また、引用発明において、「電子機器1は、この感圧センサ50の電気抵抗値を所定の閾値と比較することで、操作者によるパネルユニット10の押圧操作を検出し」ているから、引用発明の「電子機器1」は、感圧センサの出力値を「所定の閾値と比較する」ものであるといえる。 一般に、センサの出力値を、連続的な値としてそのまま出力することも、センサの出力値を所定の閾値と比較した結果として出力することも、周知技術である(必要ならば、引用文献2(上記(2)イ(イ)の段落【0090】-【0091】「制御器110のレベル決定部において、タッチ圧力の大きさ及びタッチ面積のうち少なくとも一つは、静電容量の変化量の大きさ区間によって段階的なタッチレベルに分類されてもよい。・・・(中略)・・・これは単に例示に過ぎず、タッチ圧力の大きさ及び/又はタッチ面積は、静電容量の変化量に比例するように連続した値を有するように設定されてもよい。」)を参照。) よって、引用発明の「センサコントローラ91」において、感圧センサの出力値を、連続的な値としてそのまま出力することに代えて、センサの出力値を所定の閾値と比較した結果として出力する周知技術を付加することで、「前記変更設定された圧力感度に基づいて、前記検出された静電容量の変化量に対応する圧力大きさを決定する圧力大きさ判断部」を備える、上記[相違点4]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 そして、本件補正発明の奏する作用効果は、当業者であれば、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年9月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年9月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-22に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項13に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項13に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-5、11-16、22に係る発明は、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1、及び、引用文献3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、この出願の請求項6-10、17-21に係る発明は、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1-引用文献3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:国際公開第2015/099034号公報 引用文献2:特開2015-106417号公報 引用文献3:特開平11-65759号公報 3 引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(「引用例」)及びその記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「感知部」、「制御部」「圧力大きさ判断部」に係る限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-12-18 |
結審通知日 | 2019-12-24 |
審決日 | 2020-01-07 |
出願番号 | 特願2016-168370(P2016-168370) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 滝谷 亮一、若林 治男 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
白井 亮 稲葉 和生 |
発明の名称 | 圧力感度調節が可能な圧力検出器及びこれを含むタッチ入力装置 |
代理人 | 市川 英彦 |
代理人 | 市川 祐輔 |
代理人 | 安藤 健司 |
代理人 | 城山 康文 |
代理人 | 川嵜 洋祐 |
代理人 | 櫻田 芳恵 |
代理人 | 金山 賢教 |
代理人 | 青木 孝博 |
代理人 | 坪倉 道明 |
代理人 | 飯野 陽一 |
代理人 | 岩瀬 吉和 |
代理人 | 小野 誠 |
代理人 | 重森 一輝 |
代理人 | 五味渕 琢也 |
代理人 | 今藤 敏和 |