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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08G
管理番号 1364839
審判番号 不服2019-5358  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-23 
確定日 2020-08-06 
事件の表示 特願2017- 45194「情報管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月 6日出願公開、特開2017-120657〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
この出願(以下、「本願」という。)は、平成22年8月6日に出願した特願2010-17725号の一部を新たな出願とした特願2015-113272号の一部を、平成29年3月9日に、新たな出願としたものであって、その手続は以下のとおりである。
平成30年1月31日付け(発送日:同年2月6日):拒絶理由通知書
平成30年3月12日:意見書、手続補正書の提出
平成30年8月30日付け(発送日:同年9月4日):拒絶理由通知書(最後)
平成30年10月18日:意見書、手続補正書の提出
平成31年3月28日付け(発送日:同年4月2日):拒絶査定
平成31年4月23日:審判請求書の提出

第2.本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成30年10月18日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「【請求項1】
信号機に取り付けられた撮像装置が取得した撮像画像データに基づき、解析対象の少なくとも属性を判定して判定結果情報を作成する判定部と、
前記判定結果情報に対応付けされた前記信号機の周辺情報テーブルを作成する周辺情報作成部と、
前記周辺情報作成部によって作成された周辺情報テーブルに基づき解析結果情報を作成するデータ解析部と、
前記解析結果情報を車両が備える移動体通信機器に出力する出力部と、
を備え、
前記移動体通信機器は、前記解析結果情報に基づき、前記車両の駆動部を制御する、
情報管理システム。」

第3.原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1-8
・引用文献等 1-5

<引用文献等一覧>
1.特開2004-348469号公報
2.特開2009-129006号公報
3.特開2005-159691号公報
4.特開2010-3242号公報
5.特開平5-334597号公報

第4.引用文献、引用発明
1.原査定の拒絶の理由に引用した特開2004-348469号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「信号無視検知システム」の発明に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は理解の一助のため当審で付した。

(1)「【0034】
図1は、本発明の信号無視検知システムの構成を示す。本発明の信号無視検知システムは、領域画像生成処理部、運転手画像生成処理部、状況画像生成処理部を具備する。
領域画像生成処理部は、魚眼レンズカメラ1、車両検知制御装置4を備え、魚眼レンズカメラ1は、車両検知制御装置4に接続されている。魚眼レンズカメラ1は、車両検知用カメラとして使われる。
運転手画像生成処理部は、顔撮影用カメラ2、顔撮影制御装置5を備え、顔撮影用カメラ2は、顔撮影制御装置5に接続されている。
状況画像生成処理部は、状況撮影用カメラ3、状況撮影制御装置6を備え、状況撮影用カメラ3は、状況撮影制御装置6に接続されている。
【0035】
領域画像生成処理部(魚眼レンズカメラ1、車両検知制御装置4)は、交差点の手前近傍に設けられ、赤信号に応答して交差点に関連する所定領域を表す領域画像を生成する。領域画像には、赤信号時に所定領域を走行する信号無視の車両が写され、領域画像生成処理部(車両検知用カメラ1、車両検知制御装置4)は、領域画像から信号無視の車両を検出して後述する検出情報を出力する。領域画像の生成、信号無視の車両の検出については後述する。
運転手画像生成処理部(顔撮影用カメラ2、顔撮影制御装置5)は、領域画像生成処理部(車両検知用カメラ1、車両検知制御装置4)から出力された検出情報に応答して、信号無視の車両を前方から撮影して、信号無視の車両を運転する運転手を表す運転手画像を生成する。運転手画像の生成については後述する。
状況画像生成処理部(状況撮影用カメラ3、状況撮影制御装置6)は、領域画像生成処理部(車両検知用カメラ1、車両検知制御装置4)から出力された検出情報に応答して信号無視の車両の状況を示す状況画像を生成する。状況画像の生成については後述する。
本発明の信号無視検知システムによれば、領域画像生成処理部(魚眼レンズカメラ1、車両検知制御装置4)から出力された検出情報により、状況画像生成処理部(状況撮影用カメラ3、状況撮影制御装置6)が、信号無視の車両を的確に撮影し、状況画像を生成する。例えば信号無視の車両が交差点で右折、左折した場合でも、状況画像生成処理部の状況撮影用カメラ3は、信号無視の車両を的確に撮影することができ、状況画像には信号無視の車両が確実に写される。このように、本発明の信号無視検知システムによれば、車両が信号無視したときの証拠として状況画像、運転手画像を取得することができ、信号無視の車両を確実に取締ることができる。
本発明の信号無視検知システムによれば、赤信号時に所定領域を走行する信号無視の車両が領域画像に写されているため、信号無視の車両の挙動を確認することができる。このため、本発明の信号無視検知システムによれば、状況画像によって、車両が停止線先で信号無視せず停止したか否かを的確に判断することができる。本発明の信号無視検知システムによれば、信号無視の車両の挙動を確認することができるため、信号無視の車両が所定領域を走行したときの走行速度を計測することができる。走行速度の計測については後述する。
【0036】
本発明の信号無視検知システムは、更に、証拠データ生成装置7、信号機108、信号制御装置109、出力装置、ネットワーク11、12、13を具備する。
車両検知制御装置4と状況撮影制御装置6と信号制御装置109とは、ネットワーク11に接続されている。車両検知制御装置4と顔撮影制御装置5と状況撮影制御装置6と証拠データ生成装置7とは、ネットワーク12に接続されている。証拠データ生成装置7と出力装置とはネットワーク13に接続されている。
証拠データ生成装置7は、状況画像と運転手画像とを含む証拠データを生成して出力装置に出力する。この場合、出力装置は、表示装置、端末が例示される。表示装置、端末を利用するユーザとしては、警察が例示される。以降、警察が利用する端末を取締端末8と称する。
【0037】
次に、魚眼レンズカメラ1、顔撮影用カメラ2、状況撮影用カメラ3、信号機108、信号制御装置109の設置場所について図1を用いて詳細に説明する。
【0038】
車両10が走行する道路120(車線)の路側には、第1柱と第2柱とから構成された信号柱121が設置されている。この信号柱121は、既存の建造物である。信号柱121の第1柱は、その一端が路側に設置され、道路120(地上)から垂直上方に延びる。信号柱121の第2柱は、その一端が信号柱121の第1柱の他端に接続され、道路120上に設けられている。
信号機108は、青信号、黄信号、赤信号を点灯するための照明器を備えている。信号機108は、車両10が道路120上の信号機108を通過するまでに車両10の運転手が信号機108の照明器を認視できるように、信号柱121の第2柱に設けられている。
【0039】
道路120の信号柱121が設けられた路側から離れた路側には、第1柱と第2柱とから構成された柱122が設置されている。この柱122は、既存の建造物、又は、新たに設置された建造物である。柱122が既存の建造物である場合、柱122としては、電柱柱、標識ポールが例示される。柱122の第1柱は、その一端が路側に設置され、道路120(地上)から垂直上方に延びる。柱122の第2柱は、その一端が柱122の第1柱の他端に接続され、道路120上に設けられている。
【0040】
柱122と信号柱121との間の道路120上には、停止線123が設けられている(ペイントされている)。停止線123は、道路120の路側から、道路120に対向する道路120’(対向車線)に向かって、道路120に対して垂直方向に延び、所定の幅を有する。停止線123から信号機108(信号柱121の第2柱)までの距離は、例えば、50mである。
停止線123と信号柱121との間の道路120上には、横断歩道124が設けられている(ペイントされている)。横断歩道124は、道路120の路側から、道路120に対向する道路120’(対向車線)の路側に向かって、道路120に対して垂直方向に延び、所定の幅を有する。
横断歩道124と信号柱121との間の道路120、120’上には、道路120、120’と道路125、125’とが交差する交差点126が設けられている。
【0041】
状況撮影用カメラ3は、赤信号時に、道路120と、道路120を走行する車両10と、信号機108とが撮影されるように、柱122の第2柱に設けられている。赤信号時に停止線123を越える可能性のある車両10を車両10_(1)とする。赤信号時に停止線123を越えた車両10を車両10_(2)とする。赤信号時に交差点126内に進入した車両10を車両10_(3)とする。
顔撮影用カメラ2は、赤信号時に停止線123を超えた車両10_(2)が撮影されるように、信号柱121の第2柱に設けられている。
【0042】
道路120の停止線123が設けられた路側には、第1柱と第2柱とから構成された柱24が設置されている。この柱24は、既存の建造物、又は、新たに設置された建造物である。柱24が既存の建造物である場合、柱24としては、電柱柱、標識ポールが例示される。柱24の第1柱は、その一端が路側に設置され、道路120(地上)から垂直上方に延びる。柱24の第2柱は、その一端が柱24の第1柱の他端に接続され、道路120上に設けられている。
【0043】
道路120の所定領域20(図1の斜線部分)は、領域21、領域22、領域23を含む。領域21は、状況撮影用カメラ3(柱122の第2柱)と停止線123との間の位置から、停止線123までの道路120の領域である。領域22は、停止線123から交差点126までの道路120の領域であり、停止線123と横断歩道124とを含む。領域23は、道路125、125’と交差する道路120の領域であり、交差点126を含む。
信号機108が青信号を点灯しているとき、領域21、領域22、領域23の順に、車両10が道路120(所定領域20)を走行することが許可される。信号機108が赤信号を点灯しているとき、車両10が領域21から領域22を通過して領域23に進入すること(停止線123を越えて交差点126内に進入すること)は禁止されている。赤信号時に車両10が領域21から領域22を通過して領域23に進入した場合(停止線123を越えて交差点126内に進入した場合)、交通違反である。
【0044】
魚眼レンズカメラ1は、所定領域20が撮影され(所定領域を走行する車両10が監視され)、赤信号時に領域22に進入した車両10_(2)(赤信号時に停止線123を越えた車両10_(2))が検知(検出)され、赤信号時に領域23に進入した車両10_(3)(赤信号時に交差点126内に進入した車両10_(3))が検出されるように、柱24の第2柱に設けられている。」

(2)「【0045】
図2(a)は、信号制御装置109が信号機108に信号(青信号、黄信号、赤信号)を点灯させる動作を示すタイミングチャートである。信号制御装置109は、青信号、黄信号、赤信号が順に所定の時間に点灯されるように信号機108を制御する。
図2(b)は、信号制御装置109が赤信号開始情報31、赤信号終了情報32を出力する動作を示すタイミングチャートである。信号制御装置109は、信号機108に点灯する赤信号を開始するときに、赤信号の点灯を開始する赤信号開始情報31を状況撮影制御装置6、車両検知制御装置4に出力する。信号制御装置109は、信号機108に点灯された赤信号を終了するときに、赤信号の点灯を終了する赤信号終了情報32を状況撮影制御装置6、車両検知制御装置4に出力する。
状況撮影制御装置6、車両検知制御装置4は、信号制御装置109から出力された赤信号開始情報31を入力してから、信号制御装置109から出力された赤信号終了情報32を入力するまで、信号機108が点灯する赤信号を認識する。車両検知制御装置4は、赤信号を認識しているときに、所定領域20が撮影されるように魚眼レンズカメラ1を制御する。
【0046】
図3は、本発明の信号無視検知システムの車両検知制御装置4の構成を示す。車両検知制御装置4は、CPU(Central Processing Unit)40を備えている。CPU40は、赤信号時に所定領域20が撮影されるように魚眼レンズカメラ1を制御する。
CPU40は、魚眼レンズカメラ1により所定領域20が撮影された領域画像を設定時間毎に生成する。このため、CPU40は、領域画像に基づいて、領域21から領域22(停止線123、横断歩道124)を通過して領域23(交差点126)に進入する信号無視の車両10_(2)、10_(3)を検出することができる。
本発明の信号無視検知システムによれば、車両10_(2)、10_(3)が信号無視したときの証拠として、状況画像を取得することができ、その状況画像には、赤信号時に領域21から領域22(停止線123、横断歩道124)を通過して領域23(交差点126)に進入する信号無視の車両10_(2)、10_(3)が写される。このため、本発明の信号無視検知システムによれば、信号無視の車両10_(2)、10_(3)を確実に取締ることができる。
本発明の信号無視検知システムによれば、CPU40は領域画像を設定時間毎に生成するため、信号無視の車両10_(2)、10_(3)が所定領域20を走行する走行軌跡に対応する走行距離と、走行時間とに基づいて、走行速度を計測(算出)することができる。
【0047】
図3に示されるように、車両検知制御装置4は、更に、領域背景画像データベース42を備えている。図4は、本発明の信号無視検知システムの車両検知制御装置4の領域背景画像データベース42に格納される領域背景画像46を示す。領域背景画像46は、車両10が走行していないときに所定領域20が撮影された画像を表す。
車両検知制御装置4(CPU40)が上記の領域画像から所定領域20を走行する車両10を検出するために、車両10が走行していないときの所定領域20を予めに撮影して、上記の領域画像と照合するための領域画像を生成しておく必要がある。車両検知制御装置4(CPU40)は、車両10が走行していないときの所定領域20が撮影されるように魚眼レンズカメラ1を制御し、領域背景画像46を生成する。車両検知制御装置4(CPU40)は、その領域背景画像46を領域背景画像データベース42に格納しておく。
領域背景画像46は、n分割された分割領域背景画像46-1?46-nを含む。nは、1以上の正数であり、本実施例では30とする。分割領域背景画像46-i(1≦i≦10)は、領域21に対応する。分割領域背景画像46-j(11≦j≦20)は、領域22に対応する。分割領域背景画像46-k(21≦k≦n)は、領域23に対応する。
【0048】
図3に示されるように、車両検知制御装置4は、更に、領域画像データベース41を備えている。図5は、本発明の信号無視検知システムの車両検知制御装置4の領域画像データベース41に格納される領域画像45を示す。
車両検知制御装置4(CPU40)は、赤信号を認識しているときに、設定時間t(0<t≦1)毎に、所定領域20が撮影されるように魚眼レンズカメラ1を制御し、領域画像45を生成する。領域画像45は、赤信号時に所定領域20が撮影された画像を表す。
領域画像45は、n分割された分割領域画像45-1?45-nを含む。分割領域画像45-i(1≦i≦10)は、領域21に対応する。分割領域画像45-j(11≦j≦20)は、領域22に対応する。分割領域画像45-k(21≦k≦n)は、領域23に対応する。」

(3)「【0049】
図6は、本発明の信号無視検知システムの車両検知制御装置4の領域画像データベース41に格納されるデータを示す。
領域画像データベース41には、各々異なる車両識別子37がデータとして格納されている。
【0050】
領域画像データベース41には、更に、上記の領域画像45である第1領域画像45_(1)がデータとして格納される。
車両検知制御装置4(CPU40)は、赤信号を認識しているときに、第1領域画像45_(1)と、領域背景画像データベース42に格納された領域背景画像46との照合結果に基づいて、赤信号時に領域21に進入した車両10である車両10_(1)(赤信号時に停止線123を越える可能性のある車両10_(1))を検出する。車両検知制御装置4(CPU40)は、車両10_(1)を検出したとき、第1領域画像45_(1)を車両識別子37に対応付けて領域画像データベース41に格納する。
【0051】
領域画像データベース41には、更に、上記の領域画像45である第2領域画像45_(2)がデータとして格納される。
車両検知制御装置4(CPU40)は、赤信号を認識しているときに、第2領域画像45_(2)と、領域背景画像データベース42に格納された領域背景画像46との照合結果に基づいて、赤信号時に領域22に進入した車両10である車両10_(2)(赤信号時に停止線123を越えた車両10_(2))を検出する。車両検知制御装置4(CPU40)は、第2領域画像45_(2)内の分割領域画像45-jに写された車両10_(2)と、領域画像データベース41に格納された第1領域画像45_(1)内の分割領域画像45-iに写された物体車両10_(1)との照合結果に基づいて、第2領域画像45_(2)を車両識別子と第1領域画像45_(1)とに対応付けて領域画像データベース41に格納する。このとき、車両検知制御装置4(CPU40)は、第1検出情報35を状況撮影制御装置6、顔撮影制御装置5に送信する。第1検出情報35は、領域画像データベース41に格納された車両識別子37を含む。
【0052】
領域画像データベース41には、更に、上記の領域画像45である第3領域画像45_(3)がデータとして格納される。
車両検知制御装置4(CPU40)は、赤信号を認識しているときに、第3領域画像45_(3)と、領域背景画像データベース42に格納された領域背景画像46との照合結果に基づいて、赤信号時に領域23に進入した車両10_(3)(赤信号時に交差点126内に進入した車両10_(3))を検出する。車両検知制御装置4(CPU40)は、第3領域画像45_(3)内の分割領域画像45-kに写された物体車両10_(3)と、領域画像データベース41に格納された第2領域画像45_(2)内の分割領域画像45-jに写された物体車両10_(2)との照合結果に基づいて、第3領域画像45_(3)を車両識別子と第1領域画像45_(1)と第2領域画像45_(2)とに対応付けて領域画像データベース41に格納する。このとき、車両検知制御装置4(CPU40)は、第2検出情報36を状況撮影制御装置6に送信する。第2検出情報36は、領域画像データベース41に格納された車両識別子37を含む。
【0053】
図7は、本発明の信号無視検知システムの顔撮影制御装置5の構成を示す。顔撮影制御装置5は、CPU50を備えている。
CPU50は、車両検知制御装置4から出力された第1検出情報35に応答して、信号無視の車両102を運転する運転手が撮影されるように顔撮影用カメラ2を制御して運転手画像55を生成する。本発明の信号無視検知システムによれば、車両10_(2)、10_(3)が信号無視したときの証拠として、運転手画像55を取得することができ、運転手画像55には、赤信号時に信号無視の車両10_(2)を運転する運転手が写される。このため、本発明の信号無視検知システムによれば、信号無視の車両10_(2)、10_(3)を確実に取締ることができる。
【0054】
図7に示されるように、顔撮影制御装置5は、更に、顔写真データベース51を備えている。図8は、本発明の信号無視検知システムの顔撮影制御装置5の顔写真データベース51に格納されるデータを示す。顔写真データベース51には、車両識別子37と、車両10_(2)を運転する運転手(車両10_(2)の運転手)を表す運転手画像55とがデータとして格納される。
顔撮影制御装置5(CPU50)は、車両検知制御装置4から出力された第1検出情報35に応答して顔撮影用カメラ2を制御して運転手画像55を生成したとき、第1検出情報35に含まれる車両識別子と、運転手画像55とを対応付けて顔写真データベース51に格納し、第1検出情報35に含まれる車両識別子を証拠データ生成装置7に送信する。」

(4)「【0055】
図9は、本発明の信号無視検知システムの状況撮影制御装置6の構成を示す。状況撮影制御装置6は、CPU60を備えている。
CPU60は、車両検知制御装置4から出力された第1検出情報35に応答して、領域21から領域22(停止線123、横断歩道124)を通過した信号無視の車両10_(2)が撮影されるように状況撮影用カメラ3を制御して、停止線通過時画像66を生成する。
CPU60は、車両検知制御装置4から出力された第2検出情報36に応答して、領域22(停止線123、横断歩道124)から領域23(交差点126)に進入する信号無視の車両10_(3)が撮影されるように状況撮影用カメラ3を制御して、交差点進入画像67を生成する。
本発明の信号無視検知システムによれば、車両10_(2)、10_(3)が信号無視したときの証拠として、停止線通過時画像66と交差点進入画像67とを含む状況画像を取得することができる。停止線通過時画像66には、赤信号時に領域21から領域22(停止線123、横断歩道124)を通過した信号無視の車両10_(2)が写され、交差点進入画像67には、赤信号時に領域22(停止線123、横断歩道124)から領域23(交差点126)に進入する信号無視の車両10_(3)が写される。このため、本発明の信号無視検知システムによれば、信号無視の車両10(車両10_(2)、10_(3))を確実に取締ることができる。
【0056】
また、CPU60は、赤信号に応答して(信号制御装置109から出力された赤信号開始情報31に応答して)、領域21から領域22を通過する前の車両10_(1)が撮影されるように状況撮影用カメラ3を制御して停止線通過前画像65を生成する。
本発明の信号無視検知システムによれば、車両10_(1)、10_(2)、10_(3)が信号無視したときの証拠として、停止線通過前画像65を更に含む状況画像を取得することができる。停止線通過前画像65には、赤信号時に領域21から領域22を通過する前の車両10_(1)が写される。このため、本発明の信号無視検知システムによれば、信号無視の車両10(車両10_(1)、10_(2)、10_(3))を確実に取締ることができる。
【0057】
図9に示されるように、状況撮影制御装置6は、更に、状況撮影データベース61を備えている。図10は、本発明の信号無視検知システムの状況撮影制御装置6の状況撮影データベース61に格納されるデータを示す。
状況撮影データベース61には、赤信号時に停止線123を越える可能性のある車両10_(1)を表す停止線通過前画像65がデータとして格納される。
状況撮影制御装置6(CPU60)は、信号制御装置109から出力された赤信号開始情報31に応答して状況撮影用カメラ3を制御して停止線通過前画像65を生成したとき、停止線通過前画像65を状況撮影データベース61に格納する。
【0058】
状況撮影データベース61には、更に、車両識別子37と、ナンバープレートに記載された文字を表すライセンス番号38と、赤信号時に停止線123を越えた車両10_(2)を表す停止線通過時画像66とがデータとして格納される。
状況撮影制御装置6(CPU60)は、車両検知制御装置4から出力された第1検出情報35に応答して状況撮影用カメラ3を制御して停止線通過時画像66を生成したとき、停止線通過時画像66に写された車両10_(2)のライセンス番号38と、状況撮影データベース61に格納された停止線通過前画像65に写された車両10_(1)のライセンス番号38とを照合する。状況撮影制御装置6(CPU60)は、その照合結果に基づいて、停止線通過前画像65に対応付けて、第1検出情報35に含まれる車両識別子37と、停止線通過時画像66に写された車両10_(2)のライセンス番号38と、停止線通過時画像66とを状況撮影データベース61に格納する。
【0059】
状況撮影データベース61には、更に、赤信号時に交差点126内に進入した車両10_(3)を表す交差点進入画像67がデータとして格納される。
状況撮影制御装置6(CPU60)は、車両検知制御装置4から出力された第2検出情報36に応答して状況撮影用カメラ3を制御して交差点進入画像67を生成したとき、第2検出情報36に含まれる車両識別子37と同じ車両識別子37に対応付けて、交差点進入画像67を状況撮影データベース61に格納し、第2検出情報36に含まれる車両識別子37を証拠データ生成装置7に送信する。」

(5)「【0060】
図11は、本発明の信号無視検知システムの証拠データ生成装置7の構成を示す。証拠データ生成装置7は、CPU70と、証拠データベース71とを備えている。
図12は、本発明の信号無視検知システムの証拠データ生成装置7の証拠データベース71に格納されるデータを示す。
証拠データベース71には、車両識別子37がデータとして格納される。証拠データ生成装置7(CPU70)は、顔撮影制御装置5から出力された車両識別子37を証拠データベース71に格納する。
証拠データベース71には、更に、ライセンス番号38と状況写真(停止線通過前画像65、停止線通過時画像66、交差点進入画像67)とがデータとして格納される。証拠データ生成装置7(CPU70)は、状況撮影制御装置6から出力された車両識別子37を入力したとき、状況撮影データベース61に格納されたライセンス番号38と停止線通過前画像65と停止線通過時画像66と交差点進入画像67とを車両識別子37に対応付けて証拠データベース71に格納する。
証拠データベース71には、更に、顔写真(運転手画像55)がデータとして格納される。証拠データ生成装置7(CPU70)は、状況撮影制御装置6から出力された車両識別子37を入力したとき、顔写真データベース51に格納された運転手画像55を車両識別子37に対応付けて証拠データベース71に格納する。
証拠データベース71には、更に、走行速度データ75が格納される。証拠データ生成装置7(CPU70)は、領域画像データベース41を参照して、格納された第1領域画像451と第2領域画像452と第3領域画像453とに基づいて、車両10が所定領域20を走行したときの走行速度データ75を算出して車両識別子に対応付けて証拠データベース71に格納する。
【0061】
図13は、本発明の信号無視検知システムにおける証拠データ76を示す。
前記信号機108証拠データ76は、車両識別子、ライセンス番号38、証拠写真、走行速度V(走行速度データ75)を含む。証拠写真は、状況写真(停止線通過前画像65、停止線通過時画像66、交差点進入画像67)、顔写真(運転手画像55)を含む。」

(6)「【0081】
図18は、本発明の信号無視検知システムの動作である第3領域処理における証拠処理を示すフローチャートである。
証拠データ生成装置7は、状況撮影制御装置6から出力された車両識別子37を入力する。
【0082】
証拠データ生成装置7は、状況撮影制御装置6から出力された車両識別子37により、状況撮影制御装置6の状況撮影データベース61をアクセスする(ステップS41)。
【0083】
証拠データ生成装置7は、ライセンス番号・状況写真格納処理を行う(ステップS42)。
証拠データ生成装置7は、状況撮影データベース61を参照して、状況撮影制御装置6から出力された車両識別子37と同じ車両識別子37と、その車両識別子37に対応付けられたライセンス番号38と停止線通過前画像65と停止線通過時画像66と交差点進入画像67とを読み出す。このとき、証拠データ生成装置7によって読み出された車両識別子37とライセンス番号38と停止線通過前画像65と停止線通過時画像66と交差点進入画像67は、状況撮影データベース61から削除される。
証拠データ生成装置7は、車両識別子37に対応付けて、ライセンス番号38を証拠データベース71に格納し、停止線通過前画像65と停止線通過時画像66と交差点進入画像67とを状況写真として証拠データベース71に格納する。
【0084】
証拠データ生成装置7は、顔撮影制御装置6から出力された車両識別子37により、顔撮
影制御装置5の顔写真データベース51をアクセスする(ステップS43)。
【0085】
証拠データ生成装置7は、顔写真格納処理を行う(ステップS44)。
証拠データ生成装置7は、顔写真データベース51を参照して、状況撮影制御装置6から出力された車両識別子37と同じ車両識別子37と、その車両識別子37に対応付けられた運転手画像55を読み出す。このとき、証拠データ生成装置7によって読み出された車両識別子37と運転手画像55は、顔写真データベース51から削除される。
証拠データ生成装置7は、車両識別子37に対応付けて、運転手画像55を顔写真として証拠データベース71に格納する。証拠データベース71には、車両識別子37とライセンス番号38と状況写真(停止線通過前画像65、停止線通過時画像66、交差点進入画像67)と顔写真(運転手画像55)とが格納されている。
【0086】
証拠データ生成装置7は、顔撮影制御装置6から出力された車両識別子37により、車両検知制御装置4の領域画像データベース41をアクセスする(ステップS45)。
【0087】
証拠データ生成装置7は、走行速度計測処理を行う(ステップS46)。
証拠データ生成装置7は、領域画像データベース41を参照して、状況撮影制御装置6から出力された車両識別子37と同じ車両識別子37と、その車両識別子37に対応付けられた第1領域画像45_(1)と第2領域画像45_(2)と第3領域画像45_(3)とを読み出す。このとき、証拠データ生成装置7によって読み出された車両識別子37と第1領域画像45_(1)と第2領域画像45_(2)と第3領域画像45_(3)は、領域画像データベース41から削除される。証拠データ生成装置7は、第1領域画像45_(1)内の分割領域画像45-iに写された車両10_(1)と、第2領域画像45_(2)内の分割領域画像45-jに写された車両10_(2)と、第3領域画像45_(3)内の分割領域画像45-kに写された車両10_(3)とに基づいて、車両10が所定領域20を走行したときの走行速度データ75として走行速度Vを算出する。
走行速度を算出するときの例として、第1領域画像45_(1)と第3領域画像45_(3)とを用いて説明する。証拠データ生成装置7は、第3領域画像45_(3)に記載された撮影時刻と、第1領域画像45_(1)に記載された撮影時刻との時間差Tを算出する。証拠データ生成装置7は、第3領域画像45_(3)内の分割領域画像45-k(例示:分割領域画像45-25)と、第1領域画像45_(1)内の分割領域画像45-i(例示:分割領域画像45-15)との差分をとり、その差分に対応する走行距離Lを時間差Tで除算して走行速度Vを算出する(V=L/T)。
このように、本発明の信号無視検知システムによれば、赤信号時に所定領域20を走行する信号無視の車両10_(1)、10_(2)、10_(3)が領域画像45に写されているため、信号無視の車両10_(1)、10_(2)、10_(3)の挙動を確認することができ、信号無視の車両10(車両10_(1)、10_(2)、10_(3))が所定領域20を走行したときの走行速度を計測(算出)することができる。
【0088】
次に、証拠データ生成装置7は、走行速度格納処理を行う(ステップS47)。
証拠データ生成装置7は、車両識別子37に対応付けて、走行速度V(走行速度データ75)を証拠データベース71に格納する。証拠データベース71には、車両識別子37とライセンス番号38と状況写真(停止線通過前画像65、停止線通過時画像66、交差点進入画像67)と顔写真(運転手画像55)と走行速度V(走行速度データ75)とが格納されている。
【0089】
次いで、証拠データ生成装置7は、証拠データ生成処理を行う(ステップS48)。
証拠データ生成装置7は、証拠データベース71を参照して証拠データ76を生成する。証拠データ76は、車両識別子37、ライセンス番号38、証拠写真、走行速度V(走行速度データ75)を含む。証拠写真は、状況写真(停止線通過前画像65、停止線通過時画像66、交差点進入画像67)、顔写真(運転手画像55)を含む。
【0090】
次に、証拠データ生成装置7は、証拠データ送信処理を行う(ステップS49)。
証拠データ生成装置7は、生成した証拠データ76を取締端末8に送信する。
【0091】
状況撮影制御装置6が停止線通過前画像65を生成するために赤信号時に状況撮影用カメラ3が車両を撮影するときに、状況撮影用カメラ3の撮影可能な範囲に車両10が存在しない場合、停止線通過前画像65に車両10_(1)が写らない可能性がある。このため、状況撮影データベース61には、車両識別子37とライセンス番号38と停止線通過時画像66と交差点進入画像67とが格納されていても、停止線通過前画像65が格納されていない場合がある。この場合、走行速度計測処理(ステップS46)にて、証拠データ生成装置7は、領域画像データベース41を参照して、車両識別子37と第1領域画像45_(1)と第2領域画像45_(2)と第3領域画像45_(3)とを読み出したときに、第1領域画像45_(1)内の分割領域画像45-iを停止線通過前画像65として証拠データベース71に格納する。
【0092】
以上の説明により、本発明の信号無視検知システムでは、道路120(所定領域20)を走行する車両10を魚眼レンズカメラ1が全て監視することにより、警察は、信号無視の車両10を確実に取締ることができる。」

(7)「【0093】
本発明の信号無視検知システムによれば、領域画像生成処理部(魚眼レンズカメラ1、車両検知制御装置4)から出力された第2検出情報36により、状況画像生成処理部(状況撮影用カメラ3、状況撮影制御装置6)が、信号無視の車両10を的確に撮影し、交差点進入画像67を生成する。例えば信号無視の車両10が交差点126で右折、左折した場合でも、領域画像生成処理部の状況撮影用カメラ3は、信号無視の車両10を的確に撮影することができ、信号無視の車両10が証拠写真として交差点進入画像67に確実に写される。このため、本発明の信号無視検知システムによれば、警察は、車両10が信号無視したときの証拠を確実に取得することができ、信号無視の車両10を確実に取締ることができる。
【0094】
本発明の信号無視検知システムによれば、赤信号時に所定領域20を走行する信号無視の車両10(車両10_(1)、10_(2)、10_(3))が領域画像生成処理部(魚眼レンズカメラ1、車両検知制御装置4)により領域画像45に写されているため、信号無視の車両10(車両10_(1)、10_(2)、10_(3))の挙動を確認することができる。このため、本発明の信号無視検知システムによれば、警察は、停止線通過時画像66、交差点進入画像67によって、車両10が停止線123先で信号無視せず停止したか否かを的確に判断することができ、信号無視の車両10を確実に取締ることができる。
本発明の信号無視検知システムによれば、信号無視の車両10の挙動を確認することができるため、信号無視の車両10を取締る材料として、信号無視の車両10が道路120を走行するときの走行速度V(走行速度データ75)を正しく計測することができる。本発明の信号無視検知システムによれば、速度計測(走行速度Vの算出)の精度が従来のそれよりも向上し、違反状況を状況写真と共に証拠写真として記録することができる。このため、警察は、信号無視の車両10を確実に取締ることができる。
【0095】
本発明の信号無視検知システムによれば、車両10が状況撮影用カメラ3の撮影可能な範囲に存在しない場合、状況撮影制御装置6により生成された停止線通過前画像65には車両10が写らない可能性があるが、状況撮影用カメラ3だけではなく、赤信号時に所定領域20を走行する信号無視の車両10(車両10_(1)、10_(2)、10_(3))が領域画像生成処理部(魚眼レンズカメラ1、車両検知制御装置4)により領域画像45(第1領域画像45_(1))に写されているため、警察は、車両検知制御装置4により生成された第1領域画像45_(1)内の分割領域画像45-iを停止線通過前画像65として取得することができる。
このように、本発明の信号無視検知システムによれば、信号無視の車両10(車両10_(1)、10_(2)、10_(3))の挙動を確認することができるため、警察は、証拠写真{停止線通過前画像65、停止線通過時画像66、交差点進入画像67}を確実に取得することができる。このため、警察は、信号無視の車両10を確実に取締ることができる。
【0096】
従来の信号無視検知システムでは、車両を撮影するタイミングが予めに決められている。一方、本発明の信号無視検知システムでは、状況撮影用カメラ3は、車両検知制御装置4から出力された検出情報(第1検出情報35、第2検出情報36)により、信号無視の車両10を撮影する。したがって、本発明の信号無視検知システムによれば、車両10が複数台連続して道路120(所定領域20)を走行している場合でも的確に信号無視の車両10を撮影することができる。このため、警察は、複数台連続して道路120(所定領域20)を走行している信号無視の車両10を確実に取締ることができる。
【0097】
車線が複数存在する場合、従来の信号無視検知システムでは、複数台の魚眼レンズカメラ1が必要である。一方、本発明の信号無視検知システムでは、1台の魚眼レンズカメラ1で複数車線に走行する信号無視の車両10を撮影することができる。このため、本発明の信号無視検知システムでは、製造コスト、設置コストが従来のそれよりも削減する。」

(8)段落【0060】の「証拠データベース71には、更に、ライセンス番号38と状況写真(停止線通過前画像65、停止線通過時画像66、交差点進入画像67)とがデータとして格納される。証拠データ生成装置7(CPU70)は、状況撮影制御装置6から出力された車両識別子37を入力したとき、状況撮影データベース61に格納されたライセンス番号38と停止線通過前画像65と停止線通過時画像66と交差点進入画像67とを車両識別子37に対応付けて証拠データベース71に格納する。」という記載から、証拠データ生成装置7(CPU70)は、状況撮影データベース61に格納されたライセンス番号38と状況写真(停止線通過前画像65と停止線通過時画像66と交差点進入画像67)とを車両識別子37に対応付けて証拠データベース71に格納することが分かる。
(以下、状況撮影データベース61に格納されたライセンス番号38と状況写真(停止線通過前画像65と停止線通過時画像66と交差点進入画像67)とを車両識別子37に対応付けたものを、「ライセンス番号38と状況写真と車両識別子37の組み合わせ」という。)
なお、証拠データベース71は、図11に示されるように、証拠データ生成装置7の一部であり、証拠データ生成装置7は、図1に示されるように、信号機108に関連する信号無視検知システムの一部であるから、証拠データベース71は、信号機108に関連するものといえる。(なお、段落【0061】には「信号機108証拠データ76」という記載があり、このことからも、信号機108に関する証拠データであることが分かる。)

(9)段落【0061】の「証拠データ生成装置7(CPU70)は、証拠データベース71を参照して証拠データ76を生成し、取締端末8に送信する。」という記載から、証拠データ生成装置7(CPU70)は、証拠データベース71に基づき証拠データ76を作成することが分かる。

(10)段落【0036】の「証拠データ生成装置7は、状況画像と運転手画像とを含む証拠データを生成して出力装置に出力する。この場合、出力装置は、表示装置、端末が例示される。表示装置、端末を利用するユーザとしては、警察が例示される。以降、警察が利用する端末を取締端末8と称する。」という記載から、証拠データ生成装置7は、状況画像と運転手画像とを含む証拠データを生成して出力装置に出力することが分かる。また、出力装置として、表示装置、端末が例示され、表示装置、端末を利用するユーザとしては、警察が例示されることが分かる。
また、段落【0061】には、「証拠データ生成装置7(CPU70)は、証拠データベース71を参照して証拠データ76を生成し、取締端末8に送信する。」と記載されており、段落【0036】に記載された「出力」の一態様が「送信」であることが分かる。

以上を踏まえ、上記(1)?(10)の事項を、本願発明に照らして整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。

《引用発明1》
「信号機108に取り付けられた魚眼レンズカメラ1、顔撮影用カメラ2及び状況撮影用カメラ3が取得した領域画像45、運転手画像55及び状況写真に基づき、車両10の少なくともライセンス番号38を判定してライセンス番号38と状況写真と車両識別子37の組み合わせを作成する証拠データ生成装置7と、
前記ライセンス番号38と状況写真と車両識別子37との組み合わせを格納した前記信号機108に関連する証拠データベース71を作成する証拠データ生成装置7と、
前記証拠データ生成装置7によって作成された証拠データベース71に基づき証拠データ76を作成する証拠データ生成装置7と、
前記証拠データ76を出力する証拠データ生成装置7と、
を備える信号無視検知システム。」

2.原査定の拒絶の理由に引用した特開平5-334597号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「自動車道路案内方式」の発明に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、道路上の自動車に走行位置を指示する自動車道路案内方式に関し、特に、指示に反する自動車の走行を制御できるように構成したものである。
【0002】
【従来の技術】従来の交通管制方式では、道路上に設置した車両感知器やテレビカメラ等によって交通道路情報を収集し、これを交通管制センターの計算機に集めて、分析、判定し、判定結果に基づいて、道路上の標識や交通指示機の表示を変更したり、ラジオ放送による呼び掛け等を行ない、交通事故の予防や円滑な交通状況の確保に努めている。
【0003】一方、自動車の運転者は、これらの標識や警告に注意を払いながら、それらの指示にしたがって自動車の走行位置を保持し、交通事故の発生を未然に防いでいる。
【0004】また、新たなナビゲーション・システムとして、自動車自体に現在の走行位置を検出する機能を持たせて、車内の地図ディスプレイ上に現在位置を表示し、運転者に運行状況を知らせて、交通の安全に役立てることも行なわれている。このシステムでは、地図データとのマッチングをとった後、車輪等の動きをセンサで検出したり、地磁気を検知することによって、自動車の進行方向や走行距離を検出して、自動車の現在位置を演算している。」

(2)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の交通管制方式では、標識による指示や警告等を自動車の運転者が見落としたり、無視した場合には、交通管制の実効を上げることができない。進入禁止や一方通行の標示板についても、運転者は見落とすことがあり、こうした不注意や交通ルールの無視が、最悪の結果として、交通事故につながってくる。
【0006】本発明は、これらの点を考慮して考えられたものであり、運転者が走行位置の指示を見落としたり、無視した場合にも、運転者に対して指示の順守を強く促し、あるいは、指示にしたがって自動車の走行を制御することができる自動車道路案内方式を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、道路側に走行位置指令信号を発信する発信手段を設け、走行車両に走行位置指令信号を受信する受信手段を設けた自動車道路案内方式において、走行車両に、現在の走行位置を検出する走行位置検出手段と、検出された走行位置と受信した走行位置指令とを比較して走行状態が指令にしたがっているかどうかを判別する判別手段とを設け、さらに、判別手段の出力信号に基づいて警告を発する警告手段、前記出力信号に基づいて走行位置指令に違反している状態を車外に表示する表示手段および前記出力信号に基づいて走行車両の駆動を制御する駆動手段の少なくとも1つを設けている。
【0008】また、発信手段から、交通管制センターの出力する走行位置指令信号を発信させている。
【0009】また、発信手段から、交通指示機の指示灯の点灯に同期した走行位置指令信号を発信させている。
【0010】また、路面状態を感知するセンサー、車両の通行を感知するセンサーまたは気象現象を感知するセンサーのデータを分析し判別する交通管制手段の出力する走行位置指令信号を発信手段から発信させている。
【0011】また、路面状態を感知するセンサー、車両の通行を感知するセンサーまたは気象現象を感知するセンサーの出力する走行位置指令信号を、直接、発信手段から発信させている。
【0012】また、発信手段を、走行位置を規制する地点の前方の位置に設置している。
【0013】さらに、発信手段をガードレールに設置している。
【0014】
【作用】そのため、走行位置指令信号を受信した走行車両は、車両自身の走行位置と指令の内容とを比較して、走行状態が指令に反しているときは、警告を鳴らして運転者に注意を与え、指令を無視して走行するときは、車外の表示が点灯して、違反状態であることを周囲に知らせる。また、指令の指示にしたがって車両の駆動が制御される。」

(3)「【0017】
【実施例】
(第1実施例)第1実施例は、本発明の自動車道路案内方式における自動車の構成について示している。
【0018】図1に示すように、道路側には、走行位置指令信号の発信部81を持つ走行指令部8が設けられており、一方、自動車1には、走行指令部8から発せられた信号を受信する受信部3と、自動車1の走行位置を検出する走行位置検出部2と、自動車1の走行状態を判別するマイクロ・コンピュータ6と、走行に関するデータを供給する駆動部4と、警告音を発したり警告表示を行なう警告部51と、運転者のために自動車1の走行位置や状態を表示する走行位置・状況車内表示部52と、自動車1の走行状態が走行指令部8の指令に違反していることを車外に表示する走行位置・状況車外表示部53とを備えている。
【0019】走行指令部8は、走行位置指令信号によって変調した超音波、レーザ、光等を信号発信部81から出力する。これを受信した自動車1の受信部3は、復調して取り出した指令信号をデジタル信号に変換した後、マイクロ・コンピュータ6に送出する。
【0020】一方、自動車1の走行位置や走行状態を検出する走行位置検出部2には、車輪または伝導軸41の回転数やハンドル43の回転角度に関するデータが集められ(検出器42)、ベクトル換算部21でベクトル換算された後、デジタル・カウンタ22において計数され、その計数値がマイクロ・コンピュータ6に出力される。
【0021】マイクロ・コンピュータ6では、走行位置検出部2から入力したデータと受信部3で受信した指令とを比較して、走行車両が指令にしたがって走行しているかどうかを判別し、指令に反している場合や指令の指示する地点に近づいた場合等には、マイクロ・コンピュータ6は、警告部51に信号を出力して、警告音や警告表示によって運転者への注意喚起を行なう。
【0022】また、マイクロ・コンピュータ6は、走行車両が指令に反して走行している場合や指令によって走行状態が指示されている場合には、駆動部4のエンジン・コントローラ部、ブレーキ・コントローラ部、ギア・チェンジ部、伝導駆動制御部、走行道路案内部、走行方向制御部等に制御信号を送り、自動車1の動きを制御する。このマイクロ・コンピュータ6による制御動作は、自動車1の走行位置や走行状態と共に走行位置・状況車内表示部52に表示され、運転者に知らされる。
【0023】さらに、自動車1の走行位置や走行状態が走行指令部8の指令に違反している場合には、マイクロ・コンピュータ6は、車外に取り付けた走行位置・状況車外表示部53に信号を出力し、違反していることを車外からも一目瞭然となるように表示する。
【0024】この走行位置・状況車外表示部53を設ける狙いは、違反状態を周囲の自動車にも知らせることによって、走行指令の標識を見落とした運転者に、周囲の自動車から注意喚起が行なえるようにするためであり、また、走行指令を無視している車両を写真やビデオで撮影したときに、違反の事実がはっきりと残り、これらの車両の取り締まりが容易になるためであり、さらに、運転者に、違反状態が周囲に知られることを認識させ、交通ルールを順守しようとする意識を持たせるためである。
【0025】そのため、走行位置・状況車外表示部53の表示方法については、違反と表示ランプの色や点灯数との関係について規則等で公に定めることが必要であり、また、規則制定に当たっては、夜間や遠距離でも明確に区別が付くようなランプの色分けをすること、表示ランプを車両の目立つ位置に設置すること、悪質な危険走行を行なった場合には、完全に停車するまではランプが点灯し続けるようにすること等の配慮が必要である。
【0026】この自動車1の走行している道路の脇に走行指令部8が設置され、そこから、「30メートル先の道路の左折禁止」の走行位置指令信号が発信されている場合について説明する。
【0027】この指令信号は、自動車1の受信部3で受信され、マイクロ・コンピュータ6に送られる。マイクロ・コンピュータ6は、指令信号受信時からの走行距離を走行位置検出部2からのデータによって入手し、この走行距離と指令信号の言う「30メートル」とを比較する。また、マイクロ・コンピュータ6は、走行位置・状況車内表示部52に、走行指令部8より受信した信号を表示する。
【0028】走行距離が30メートルに達したとき、運転者が左折しようとして、ハンドルを左に切ると、その動きは走行位置検出部2で検出され、マイクロ・コンピュータ6にデジタル・データの形で伝えられる。マイクロ・コンピュータ6は、走行位置検出部2の出力データと指令信号とを比較して、走行状態が指令信号に反していることを判別し、警告部51に信号を出力して警告音を発し、走行位置・状況車外表示部53に信号を出力して、違反を表示するランプを点灯し、また、駆動部4に制御信号を送って、自動車1を減速し、さらに、走行位置・状況車内表示部52に減速制御していることを表示する。
【0029】このように、この自動車道路案内方式では、自動車が走行位置指令信号の指令に反する走行状態を採ろうとすると、それを検知して、(1)警告の発生、(2)車外への違反状態の表示、(3)駆動系の制御、によって違反走行の抑止が行なわれる。
【0030】なお、これらの(1)?(3)の手段は、必ずしも、その全てを自動車1に設けなくともよい。」

(4)「【0031】(第2実施例)第2実施例の自動車道路案内方式は、走行位置指令信号が、広域を管轄する交通管制センターから発せられるように構成された方式である。
【0032】図2に示すように、交通管制センターの計算機80には、道路上に設置された車両感知器71、テレビカメラ72、道路監査機74、あるいはパトロール・カー73からの情報が集められ、交通管制センターの計算機80では、これらの時々刻々送られてくる情報を分析、判定して、その結果を中央表示板91、交通情報ラジオ92、モニタ・テレビ93等に表示し、また、道路上の交通指示機94に信号を送って、指示灯95による指示を交通状況に合わせて変更したり、標示板96の交通規制情報97を書き換えたりしている。
【0033】交通管制センター計算機80において交通現況の分析に基づいて出力された走行位置指令信号は、道路上に設置された信号発信部81から走行する自動車に向けて送信される。
【0034】自動車1の構成と動作とは、第1実施例で説明したものと変わりがない。受信した走行位置指令信号と走行位置検出部2で検出したデータとをマイクロ・コンピュータ6で比較し、自動車1の走行状態が指令に反する場合には、警告を発したり、駆動部の制御等が行なわれる。
【0035】例えば、高速道路の混雑状況に応じて、交通管制センターの計算機80が「走行車線変更禁止」を指令するような場合には、標示板96にその旨が表示されると共に、高速道路上に設置された信号発信部81から走行車両に向けて車線変更禁止の指令が送信される。この指令を受信した自動車1の受信部3は、マイクロ・コンピュータ6に信号を送り、これを受けたマイクロ・コンピュータ6は、走行位置検出部2から入力したデータが車線の変更をもたらすような一定量以上のハンドル43の回転を示しているときは、警告部51に警告を発し、また、走行位置・状況車外表示部53のランプを点灯し、さらに、駆動部4の走行方向制御部に制御信号を送って、走行方向の変更を抑制する。」

(5)「【0036】(第3実施例)第3実施例の自動車道路案内方式は、交差点の交通指示機の表示と連動させて走行位置指令信号を発信し、走行車両の動作を制御する方式である。
【0037】この方式では、図3に示すように、交通指示機80は、交通管制センターの計算機80から信号を受信して、指示灯95の点灯を制御すると共に、その点灯に同期して、信号発信部81から走行位置指令信号を発信する。その他の構成は、第2実施例の方式(図2)と変わりがない。
【0038】走行位置指令信号は、例えば、交差点の交通指示機80が、右折指示の指示灯95を赤色に点灯するときに、それと合わせて発信される。走行位置指令信号を受信した自動車1のマイクロ・コンピュータ6は、走行位置検出部2のデータが右折のハンドルの回転を示しているときは、駆動部4に減速・停止の制御信号を出力し、同時に、警告部51で警告音を発し、走行位置・状況車内表示部52に自動停止を表示して運転者に知らせる。
【0039】そのため、運転者が限定方向への走行停止の信号を見落としても、自動車1は自動的に制限方向への走行待機位置に停止するので、交通事故を未然に防ぐことができる。」

(6)「【0044】(第5実施例)第5実施例の自動車道路案内方式は、狭い区域の交通状況に、きめ細かく、敏速に対応できるように構成した方式である。
【0045】この方式では、図5に示すように、路面のループコイル75、路面状況センサー76、交通状況センサー77、気象現象センサー78または車間距離センサー79等からの情報が局部交通管制の計算機82に集められ、刻々と変化する地域の交通状況がそこで分析、判定され、判定結果に基づいて、交通指示機94や標示板96にそれらの表示を制御する信号が送られる。同時に、局部交通管制の計算機82から直接、または標示板96を介して、走行位置指令信号が走行する自動車1に向けて発信される。その他の構成は、第2実施例(図2)の場合と変わりがない。
【0046】ループコイル75は、地面下に埋蔵され、その上を通過する車両台数を検知する。路面状況センサー76は、路上空間に設置した路面陥没感知器等から成り、路面上の陥没や障害物の有無等、道路上の変化を検知する。交通状況センサー77は、路上空間に設置した超音波車両感知器等であり、交通の混雑状況を感知する。気象現象センサー78は、道路上の明るさ、風の強さ、霧の発生状況等を観測してデータを送る。
【0047】これらのループコイル75や交通状況センサー77を高密度に設置することによって、個々の自動車1に、指令信号を通じて、先行する車両の走行位置を知らせることが可能となり、この指令信号を受信した自動車1は、現在の自身の走行位置を検出することにより、先行車両との車間距離を確認することができる。この車間距離が短くなりすぎた場合は、マイクロ・コンピュータ6がそれを判別し、駆動部4に減速の制御信号を送ることにより、一定の車間距離が自動的に保持され、先行車両との追突が回避される。」

(7)「【0048】(第6実施例)第6実施例の自動車道路案内方式では、第5実施例の方式における各センサーの出力を自動車1に直接発信し、それにより、自動車が狭い区域の交通事情に敏速に対応できるようにしている。
【0049】この方式では、図6に示すように、路面のループコイル75、路面状況センサー76、交通状況センサー77、気象現象センサー78および車間距離センサー79の全てが信号発信部81を具備し、この信号発信部81を通じて、走行する自動車1に情報を発信している。
【0050】例えば、路面状況センサー76が、路面陥没を検出すると、センサー設置位置の100メートル手前に設けた信号発信部81から、道路陥没情報が発信される。この情報を受信した走行中の自動車1では、マイクロ・コンピュータ6が、走行位置検出部2のデータによって、信号発信部81からの走行距離を確認し、陥没箇所に近付くと、警告音の発生と共に、前照灯・尾灯の点灯、ロウギアーへの切換え、走行速度の減速、と続く一連の制御信号を駆動部4に出力し、自動車1を減速走行に導く。
【0051】そのため、運転者が道路陥没の標識を見落とした場合でも、安全走行が確保できる。
【0052】また、駐停車禁止や消火栓の標識から警告電波が発信されている場合には、それを傍受したセンサーが信号発信部81から走行位置指令信号を発信し、それによって、駐停車禁止区域や消火栓の近傍に停車しようとする車両に警告を発し、エンジンの停止を拒否するように動作させることもできる。
【0053】さらに、路面での突起物や障害物を検知して、車間距離の保持や迂回ルートの道路案内を行なわせたり、濃霧や薄暮の時に、走行車両にライト点灯を行なわせること等も可能になる。」

(8)「【0054】(第7実施例)第7実施例の自動車道路案内方式では、図7に示すように、高速道路や市内道路のガードレール70に走行指令装置83を設置し、ここから走行車両に対して指令信号を出力している。
【0055】この走行指令装置83は、高速道路の料金所の近くや急カーブの手前のガードレールに設置され、走行車両に対して、一定距離の先に料金所や急カーブのあることを知らせ、走行車両の減速を自動的に行なわせる。
【0056】また、この走行指令装置83を交差点の信号機の手前に複数個設置し、信号の色の変化に対応させて、交差点に向かう車両に指令信号を発信させることもできる。この場合、走行車両は、前方の信号が赤色のときは、運転者が気付かなくとも、自動的に徐々に減速して、交差点の手前で停止する。また、この機能を無視して赤の交差点を通過したときは、走行位置・状況車外表示部53のランプが点灯し、信号無視を外から分かるように表示する。
【0057】ガードレールへの走行指令信号83の取付けは、設置工事が簡単であり、また、設置箇所の制限を受けないという利点がある。
【0058】なお、各実施例において、各種の変更が可能である。自動車1における走行位置検出は、走行位置を検出することができる方式であれば、どのような方式でも用いることができる。
【0059】また、本発明の自動車道路案内方式は、例示した交通状態の案内だけに限るものでは無い。」

(9)「【0060】
【発明の効果】以上の実施例の説明から明らかなように、本発明の自動車道路案内方式は、運転者が信号や標識を見落としたときに、警告を与えて気付かせたり、自動車の駆動を制御することによって、交通事故の発生を未然に防ぎ、また、円滑な交通の流れを確保する。
【0061】また、車外に設けた違反状態を表示する表示器は、違反の取り締まりを容易にするだけでなく、交通ルールの順守の意識を運転者に与える。
【0062】また、広い区域の交通状況や個別地点の交通事情に合わせて走行位置指令信号を発信することにより、きめ細かな道路案内が可能となる。
【0063】さらに、走行位置指令装置をガードレールに設置する場合には、設置工事が簡単になり、また、設置個数を増やすことも容易となる。」

(10)段落【0024】の「この走行位置・状況車外表示部53を設ける狙いは、違反状態を周囲の自動車にも知らせることによって、走行指令の標識を見落とした運転者に、周囲の自動車から注意喚起が行なえるようにするためであり、また、走行指令を無視している車両を写真やビデオで撮影したときに、違反の事実がはっきりと残り、これらの車両の取り締まりが容易になるためであり、さらに、運転者に、違反状態が周囲に知られることを認識させ、交通ルールを順守しようとする意識を持たせるためである。」という記載から、引用文献2に記載された走行位置・状況車外表示部53は、走行指令を無視している車両を(図2ないし図4に記載されたテレビカメラ72により)写真やビデオで撮影するものを含むことが分かる。

以上を踏まえ、上記(1)?(10)の事項を、本願発明に照らして整理すると、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。

《引用発明2》
「道路側には、走行位置指令信号の発信部81を持つ走行指令部8が設けられており、
自動車1には、走行指令部8から発せられた信号を受信する受信部3と、自動車1の走行状態を判別するマイクロ・コンピュータ6と、走行に関するデータを供給する駆動部4とを備え、
走行車両が指令に反して走行している場合には、マイクロ・コンピュータ6は、駆動部4に制御信号を送り、自動車1の動きを制御する自動車道路案内方式。」

第5.対比
引用発明1と本願発明とを対比する。引用発明1における「信号機108」は、本願発明における「信号機」に相当し、以下同様に、「魚眼レンズカメラ1、顔撮影用カメラ2及び状況撮影用カメラ3」は「撮像装置」に、「領域画像45、運転手画像55及び状況写真」は「撮像画像データ」に、「車両10」は「解析対象」に、「ライセンス番号38」は「属性」に、「ライセンス番号38と状況写真と車両識別子37の組み合わせ」は「判定結果情報」に、「証拠データ生成装置7」は「判定部」、「周辺情報作成部」、「データ解析部」及び「出力部」に、「ライセンス番号38と状況写真と車両識別子37との組み合わせを格納した」は「判定結果情報に対応付けされた」に、「信号機108に関連する証拠データベース71」及び「証拠データベース71」は、「信号機の周辺情報テーブル」及び「周辺情報テーブル」に、「証拠データ76」は「解析結果情報」に、それぞれ相当する。

してみると、本願発明と引用発明1の一致点及び相違点は以下のとおりである。

《一致点》
「信号機に取り付けられた撮像装置が取得した撮像画像データに基づき、解析対象の少なくとも属性を判定して判定結果情報を作成する判定部と、
前記判定結果情報に対応付けされた前記信号機の周辺情報テーブルを作成する周辺情報作成部と、
前記周辺情報作成部によって作成された周辺情報テーブルに基づき解析結果情報を作成するデータ解析部と、
前記解析結果情報を出力する出力部と、
を備える情報管理システム。」

《相違点》
本願発明は、前記解析結果情報を「車両が備える移動体通信機器に」出力する出力部を備え、「前記移動体通信機器は、前記解析結果情報に基づき、前記車両の駆動部を制御する」のに対し、引用発明1は、そのような事項を有していない点。

第6.判断
上記相違点について検討する。
引用文献2には、
「道路側には、走行位置指令信号の発信部81を持つ走行指令部8が設けられており、
自動車1には、走行指令部8から発せられた信号を受信する受信部3と、自動車1の走行状態を判別するマイクロ・コンピュータ6と、走行に関するデータを供給する駆動部4とを備え、
走行車両が指令に反して走行している場合には、マイクロ・コンピュータ6は、駆動部4に制御信号を送り、自動車1の動きを制御する自動車道路案内方式。」(引用発明2)
が記載されている。
そして、引用発明1と引用発明2とは、自動車の交通制御という共通の技術分野において、交通信号の指示に違反した自動車を取り締まるという共通の課題を有するものである。
また、引用発明1において違反車両に関する情報を取締端末8に送信することと、引用発明2において違反車両の動きを制御することとは、矛盾せず、両立することである。
してみれば、引用発明1において、引用発明2の受信部3、マイクロ・コンピュータ6及び駆動部4の構成を組み合わせることにより、相違点に係る本願発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

なお、審判請求人は、審判請求書において、「引用文献1は、信号無視の車両を確実に取り締まることを課題としているのであるが、引用文献1の『取締端末8』を『車両が備える移動体通信機器』に置き換えたとすれば、『取締端末8』を警察が利用できず、引用文献1の当該課題を解決することはできない。」と主張している。
しかしながら、「取締端末8」は警察が備えるものであり、「車両が備える移動体通信機器」は違反車両が備えるものであるから、両者を置き換える必要はなく、引用発明1に、引用発明2の受信部3、マイクロ・コンピュータ6及び駆動部4の構成を組み合わせることにより、違反車両を確実に取り締まるとともに違反車両の動きを制御して事故を防止することは、当業者が容易に想到できたことである。

したがって、本願発明は、引用発明1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものであり、原査定は妥当である。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-06-02 
結審通知日 2020-06-09 
審決日 2020-06-22 
出願番号 特願2017-45194(P2017-45194)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G08G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 純一  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 金澤 俊郎
北村 英隆
発明の名称 情報管理システム  
代理人 大浪 一徳  
代理人 西澤 和純  
代理人 小林 淳一  

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