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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61N
管理番号 1364858
審判番号 不服2019-2475  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-25 
確定日 2020-08-03 
事件の表示 特願2016-513000「胸骨下電気刺激システム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月13日国際公開、WO2014/182642、平成28年 6月20日国内公表、特表2016-517772〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、2014年5月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年5月6日、米国、2014年4月25日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成30年2月16日付けの拒絶理由に対し、平成30年8月15日に意見書の提出及び手続補正がなされたが、平成30年10月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年2月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年8月15日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
患者に植え込まれるように構成されているペースメーカーと、
植え込み型医用電気リードであって、
近位端及び遠位部分を有する細長リード本体、
前記細長リード本体の前記近位端の、前記ペースメーカーへ連結するように構成されているコネクタ、及び、
前記細長リード本体の前記遠位部分に沿った1つ又はそれ以上の電極、を含んでいる植え込み型医用電気リードと、を備えている心臓ペーシングシステムにおいて、
前記植え込み型医用電気リードは、前記1つ又はそれ以上の電極が患者の胸骨下場所になるように植え込みできるようになっており、
前記ペースメーカーは、前記患者の胸骨下場所にて前記1つ又はそれ以上の電極により感知される電気信号を前記植え込み型医用電気リードを介して取得するように、及びペーシングパルスを前記患者の前記胸骨下場所から心臓へ送達するように、構成されており、前記胸骨下場所は実質的に前縦隔内である、心臓ペーシングシステム。」


3 原査定の概要
平成30年10月30日付け拒絶査定における本願発明についての拒絶の理由の概要は次のとおりである。

本願発明は、米国特許出願公開第2012/0316613号明細書(以下、「引用文献1」という。)に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

4 引用文献
(1)原査定の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された引用文献1には、次のとおり記載されている(和文は当審による訳。)。

(1-1)「[0002] The present invention relates to the field of cardiac rhythm management. More particularly, the present invention relates to ventricular tachyarrhythmia management in implantable therapy systems.」(本発明は、心調律管理の分野に関する。より詳細には、本発明は、植込み可能な療法システムの心室頻脈性不整脈の管理に関する。)

(1-2)「[0003] Implantable cardiac rhythm management (CRM) systems can be used to help patients susceptible to dangerous high-rate cardiac events.・・・
[0004] Therapy in CRM systems is often directed at potentially deadly high rate cardiac events. High rate cardiac events may include atrial fibrillation, atrial tachycardia, ventricular fibrillation and/or ventricular tachycardia, among others.・・・」(埋込型心調律管理(CRM)システムは、危険な高レートの心臓事象に影響される患者を助けるために使用することができる。・・・CRMシステムの治療は、多くの場合、致命的な高レートの心臓事象に向けられる。高レートの心臓事象は、とりわけ、心房細動、心房性頻拍、心室細動および/または心室頻脈を含む。・・・)

(1-3)「[0006] A series of high rate pacing stimuli can also be used to treat some tachyarrhythmias. This series of high rate pacing pulses is called Antitachycardia Pacing (ATP).・・・」(一連の高レートのペーシング刺激はまた、いくつかの頻脈性不整脈を治療するために使用することができる。この一連の高レートペーシングパルスは、抗頻脈ペーシング(ATP)と呼ばれる。・・・)

(1-4)「[0014] Anti-tachycardia pacing (ATP) is a method of rapid pacing used in an attempt to terminate rapid tachycardias.・・・A typical use for ATP is to attempt to terminate ventricular tachyarrhythmia (VT).・・・
[0015] VT is generally described in two forms: (1) monomorphic VT (MVT) in which a similar beat-to-beat conduction pattern is noted and (2) polymorphic VT (PVT) in which a varying beat-to-beat conduction pattern or morphology is noted. MVT is generally accepted to be caused by an electrical loop within the cardiac muscle. This electrical loop is commonly referred to as a reentrant circuit by those skilled in the art.
・・・
[0017] ・・・ATP is one scheme to disrupt the looping electrical activation of the reentrant circuit.」(抗頻脈ペーシング(ATP)は急速な頻拍を停止させる試みにおいて使用される急速なペーシングの方法である。・・・ATPの典型的な使用は、心室頻脈性不整脈(VT)を終了させようと試みることである。・・・
VTは一般に2つの形態で記述される:(1)同様の拍動伝導パターンが注目される単形性VT(MVT)、および(2)変化する拍動伝導パターンまたは形態が注目される多形性VT(PVT)。MVTは、一般的には、心筋内の電気的ループに起因すると認められている。このループは、一般的には当業者により再入回路といわれる。
・・・
・・・ATPは、再入回路のループ状の電気的活性化を破壊する1つのスキームである。)

(1-5)「[0020]・・・The delivery of a pacing pulse using only subcutaneous electrodes that do not touch the heart has a less localized effect on the heart than prior conventional transvenous or epicardial pacing systems. This therapy method does not depend upon the heart's internal system of signal propagation for cardiac depolarization, but rather captures the majority of non-refractory, excitable cardiac tissue simultaneously. By delivery of pacing with subcutaneous electrodes, a global capture of the cardiac tissue is achieved.・・・」(・・・心臓に接触しない皮下の電極のみを用いるペーシングパルスの送達は、従来の経静脈または心外膜ペーシングシステムよりも心臓への局所的な影響は小さい。この治療方法は、心臓の脱分極の信号伝搬の心臓の内部システムに依存せず、むしろ非不応の、興奮性心筋組織の大部分を同時に捕捉する。皮下の電極を用いるペーシングの送達によって、心臓組織の全体的な捕捉が達成される。・・・)

(1-6)「[0021] ・・・If an implanted subcutaneous system delivers a pulse across the entire myocardium the non-refractory portion of the reentrant circuit that is driving the VT is excitable and can be reliably stimulated. Thus, rather than a long pulse train of ATP delivered from transvenous or epicardial electrodes, the present invention, in an illustrative example, breaks a reentrant circuit with just one or two pulses delivered by subcutaneous electrodes. This therapy is referred to herein as single termination pulse (STP) therapy which can be delivered subcutaneously, rather than transvenously or epicardially.」(・・・移植された皮下システムが、心筋全体にわたってパルスを送出する場合、VTを起こしている再入回路の非不応部分は、興奮性であり、確実に刺激することができる。このようにして、経静脈または心外膜電極から送達されるATPの長いパルス列よりむしろ、本発明は、例示的な例では、皮下電極によって送達される1個または2個のパルスだけで再入回路を破壊する。この治療は、本明細書では経静脈又は心外膜的ではなく皮下的に送達される単一の終了パルス(STP)治療と呼ばれる。)

(1-7)「[0022] FIG. 2 shows an illustrative placement of a subcutaneous-only CRM system. The subcutaneous only system includes a canister 10 configured for communication with a programmer 12, allowing non-invasive programming control and interrogation of the implanted CRM system through use of the programmer 12, using widely known methods and technologies. In addition, the subcutaneous only system canister 10 is coupled to a lead 14 that includes electrodes 16 , 18 and 20, all shown disposed in the patient outside of the heart 24. For example, the canister 10 may be at approximately the left axilla, while the lead 14 extends from the left axilla to a line along the sternum, such that electrodes 16 , 18 and 20 reside alongside the sternum.・・・
[0023] In an example of the present invention, a subcutaneous-only CRM system that has no leads in the venous structure of the patient and no electrodes in or on the heart, is configured to deliver STP therapy in response to an identified tachyarrhythmia.・・・」(図2は、皮下のみのCRMシステムの例示的な配置を示す。この皮下のみのシステムは、広く知られている方法および技術を使用して、プログラマ12の使用を通じて埋め込まれたCRMシステムの非侵襲的なプログラミング制御と照会を可能にする、プログラマ12と通信するように構成されたキャニスタ10を含む。加えて、皮下のみのシステムのキャニスタ10は、すべてが患者の心臓24の外部に配置されて示される電極16、18および20を含むリード14に結合されている。例えば、キャニスタ10は、ほぼ左腋窩にあり、一方、リード14は、その左腋窩から、電極16、18及び20が胸骨に沿って存在するように胸骨に沿った線まで延びる。・・・
本発明の実施例において、患者の静脈構造にリードを有せず、また、心臓の中または表面に電極を有しない皮下のみのCRMシステムは、識別した頻脈性不整脈に応答して、STP治療を送達するように構成されている。・・・)

(1-8)FIG.2の記載から、リード14の一端にキャニスタ10が接続され、他端に3つの電極16,18,20が並んで配置されていることが窺える。

(1-9)同じくFIG.2の記載から、3つの電極16,18,20は心臓24の一側面に近接して配置されていることが窺える。

(2)上記摘記事項(1-7)の記載から、図2に記載の皮下のみのCRMシステムの、キャニスタ10、リード14及び3つの電極16,18,20は、いずれも患者に植え込みできるようになっているといえる。
また、同じく上記摘記事項の「皮下のみのシステムのキャニスタ10は、すべてが患者の心臓24の外部に配置されて示される電極16、18および20を含むリード14に結合されている。例えば、キャニスタ10は、ほぼ左腋窩にあり、一方、リード14は、その左腋窩から、電極16、18及び20が胸骨に沿って存在するように胸骨に沿った線まで延びる。」の記載と上記(1-8)の図示内容とを併せてみて、リード14は、細長い形状であるといえる。
また、リード14は、その近位端にキャニスタ10に結合するように構成されている結合手段を有するとともに、その遠位部分に3つの電極16,18、20を含んでいるといえる。
さらに、上記した細長い形状のリード14と、結合手段と、3つの電極16,18,20とからなる部分は、同じく上記摘記事項の「皮下のみのCRMシステムは、識別した頻脈性不整脈に応答して、STP治療を送達するように構成されている。」の記載からみて、頻脈性不整脈を識別したり単一の終了パルス治療を送達したりするための伝達手段といえる。

以上から引用文献1には、次の発明が記載されている(以下、「引用文献1発明」という。)。
「患者に埋め込まれるように構成されているキャニスタ10と、
患者に埋め込まれるように構成されている伝達手段であって、
近位端及び遠位部分を有する細長いリード14、
前記細長いリード14の前記近位端の、前記キャニスタ10へ連結するように構成されている結合手段、及び、
前記細長いリード14の前記遠位部分に沿った3つの電極16,18,20を含んでいる伝達手段と、を備えている心室頻脈性不整脈の管理のための皮下のみの埋込型心調律管理システムにおいて、
前記伝達手段は、前記3つの電極16,18,20が患者の胸骨に沿った場所に植え込みできるようになっており、
前記キャニスタ10は、前記患者の胸骨に沿った場所にて前記3つの電極16,18,20により前記伝達手段を介して頻脈性不整脈を識別するように、及び単一の終了パルスを前記患者の前記胸骨に沿った場所から心臓へ送達するように、構成されている、心室頻脈性不整脈の管理のための皮下のみの埋込型心調律管理システム。」

5 対比
本願発明と、引用文献1発明とを対比すると、その構造または機能からみて、引用文献1の「キャニスタ10」は、本願発明の「ペースメーカー」に相当し、以下同様に、「患者に埋め込まれるように構成されている伝達手段」は「植え込み型医用電気リード」に、「細長いリード14」は「細長リード本体」に、「結合手段」は「コネクタ」に、「3つの電極16,18,20」は「1つ又はそれ以上の電極」に、「心室頻脈性不整脈の管理のための皮下のみの埋込型心調律管理システム」は「心臓ペーシングシステム」に、それぞれ相当する。
また、引用文献1発明の「伝達手段は、前記3つの電極16,18,20が患者の胸骨に沿った場所に植え込みできるようになっており」と本願発明の「植え込み型医用電気リードは、前記1つ又はそれ以上の電極が患者の胸骨下場所になるように植え込みできるようになっており」とは、「植え込み型医用電気リードは、前記1つ又はそれ以上の電極が患者の胸骨に沿った場所になるように植え込みできるようになっており」である点で一致する。
また、引用文献1発明の「前記キャニスタ10は、」「前記3つの電極16,18,20により前記伝達手段を介して頻脈性不整脈を識別するように、及び単一の終了パルスを前記患者の前記胸骨に沿った場所から心臓へ送達するように、構成され」は、本願発明の「前記ペースメーカーは、」「前記1つ又はそれ以上の電極により感知される電気信号を前記植え込み型医用電気リードを介して取得するように、及びペーシングパルスを前記患者の前記胸骨下場所から心臓へ送達するように、構成され」に相当する。したがって、引用文献1発明の「前記前記キャニスタ10は、前記患者の胸骨に沿った場所にて前記3つの電極16,18,20により前記伝達手段を介して頻脈性不整脈を識別するように、及び単一の終了パルスを前記患者の前記胸骨に沿った場所から心臓へ送達するように、構成され」と本願発明の「前記ペースメーカーは、前記患者の胸骨下場所にて前記1つ又はそれ以上の電極により感知される電気信号を前記植え込み型医用電気リードを介して取得するように、及びペーシングパルスを前記患者の前記胸骨下場所から心臓へ送達するように、構成され」とは、「前記ペースメーカーは、前記患者の胸骨に沿った場所にて前記1つ又はそれ以上の電極により感知される電気信号を前記植え込み型医用電気リードを介して取得するように、及びペーシングパルスを前記患者の前記胸骨に沿った場所から心臓へ送達するように、構成され」である点で一致する。

よって、両者は、「患者に植え込まれるように構成されているペースメーカーと、
植え込み型医用電気リードであって、
近位端及び遠位部分を有する細長リード本体、
前記細長リード本体の前記近位端の、前記ペースメーカーへ連結するように構成されているコネクタ、及び、
前記細長リード本体の前記遠位部分に沿った1つ又はそれ以上の電極、を含んでいる植え込み型医用電気リードと、を備えている心臓ペーシングシステムにおいて、
前記植え込み型医用電気リードは、前記1つ又はそれ以上の電極が患者の胸骨に沿った場所になるように植え込みできるようになっており、
前記ペースメーカーは、前記患者の胸骨に沿った場所にて前記1つ又はそれ以上の電極により感知される電気信号を前記植え込み型医用電気リードを介して取得するように、及びペーシングパルスを前記患者の前記胸骨に沿った場所から心臓へ送達するように、構成されている、心臓ペーシングシステム。」である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明においては、植え込み型医用電気リードは、1つ又はそれ以上の電極が患者の胸骨下場所になるように植え込みできるようになっており、ペースメーカーは、前記患者の胸骨下場所にて前記1つ又はそれ以上の電極により感知される電気信号を前記植え込み型医用電気リードを介して取得するように、及びペーシングパルスを前記患者の前記胸骨下場所から心臓へ送達するように、構成されており、前記胸骨下場所は実質的に前縦隔内であるのに対し、引用文献1発明においては、植え込み型医用電気リードは、1つ又はそれ以上の電極が患者の胸骨に沿った場所になるように植え込みできるようになっており、ペースメーカーは、前記患者の胸骨に沿った場所にて前記1つ又はそれ以上の電極により感知される電気信号を前記植え込み型医用電気リードを介して取得するように、及びペーシングパルスを前記患者の前記胸骨に沿った場所から心臓へ送達するように、構成されているものの、前記患者の胸骨に沿った場所は、胸骨下の実質的に前縦隔内であるかどうか不明な点。

6 判断
引用文献1発明の電極は、上記(1-6)の記載および上記(1-9)の図示内容からみて、再入回路を破壊するパルスを心筋全体にわたって送出するためのものであるから、電極を患者の胸骨に沿った場所に植え込むにあたりその電極を胸骨の心臓に相対する側で且つ心臓に沿う位置に植え込むことは当業者が当然考慮する事項と認められる。
そして、その電極を患者の胸骨の心臓に相対する側で且つ心臓に沿う位置のうちのどの位置とするかは当業者が必要に応じて適宜設定し得る程度の事項と認められる。
したがって、引用文献1発明において、電極を植え込む患者の胸骨に沿った場所として、胸骨下の前縦隔内を選択し、植え込み型医用電気リードは、1つ又はそれ以上の電極が患者の胸骨下場所になるように植え込みできるようになっており、ペースメーカーは、前記患者の胸骨下場所にて前記1つ又はそれ以上の電極により感知される電気信号を前記植え込み型医用電気リードを介して取得するように、及びペーシングパルスを前記患者の前記胸骨下場所から心臓へ送達するように、構成されており、前記胸骨下場所は実質的に前縦隔内であるものとすることは、当業者が容易になし得る事項にすぎない。
そして、本願発明による効果も、引用文献1発明から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用文献1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

この点に関し、審判請求人は、平成30年8月15日の意見書及び平成31年2月25日の審判請求書において、「引用例1は、本願の段落[0003]に記載された従来技術同様の心臓内部にリードが埋め込まれたものであり、植え込み型医用電気リードは、1つ又はそれ以上の電極が患者の胸骨下場所になるように植え込みできるようになっているものではありません。従って引用例1は本願発明の特徴的構成を開示も示唆もしていないから、当業者が引用例1から本願発明を容易に創作できるものではありません。」と主張している。
しかしながら、引用文献1における「In addition, the subcutaneous only system canister 10 is coupled to a lead 14 that includes electrodes 16 , 18 and 20, all shown disposed in the patient outside of the heart 24. For example, the canister 10 may be at approximately the left axilla, while the lead 14 extends from the left axilla to a line along the sternum, such that electrodes 16 , 18 and 20 reside alongside the sternum.」(加えて、皮下のみのシステムのキャニスタ10は、すべてが患者の心臓24の外部に配置されて示される電極16、18および20を含むリード14に結合されている。例えば、キャニスタ10は、ほぼ左腋窩にあり、一方、リード14は、その左腋窩から、電極16、18及び20が胸骨に沿って存在するように胸骨に沿った線まで延びる。)の記載(上記摘記事項(1-7)を参照。)から、当該文献には「電極16、18および20を含むリード14」が、心臓24の外部に配置されること、すなわち、心臓内部に埋め込まれるものでないことが記載されており、また、上記判断に記載したとおり、当該「電極16、18および20を含むリード14」の植え込む場所を、胸骨下の実質的に前縦隔内とすることは当業者が容易になし得る事項にすぎないものと認められる。
よって、請求人の上記主張は理由がない。

7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-03-09 
結審通知日 2020-03-10 
審決日 2020-03-24 
出願番号 特願2016-513000(P2016-513000)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菊地 康彦後藤 健志佐藤 智弥  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 栗山 卓也
高木 彰
発明の名称 胸骨下電気刺激システム  
代理人 宮前 徹  
代理人 小野 新次郎  
代理人 山本 修  
代理人 竹内 茂雄  
代理人 中西 基晴  

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