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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01L
管理番号 1364904
異議申立番号 異議2019-700680  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-27 
確定日 2020-06-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6488057号発明「力覚センサ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6488057号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?9〕、〔10?15〕について訂正することを認める。 特許第6488057号の請求項1、10及び11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 特許第6488057号の請求項2?9、12?15に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6488057号(以下、「本件特許」という。)に係る特許出願(特願2018-236456号)は、平成30年10月3日にされた特許出願(特願2018-188594号)の一部を、同年12月18日に新たな特許出願としたものであって、平成31年3月1日にその特許権の設定の登録がされ、同月20日にその特許掲載公報が発行されたものである。本件特許の特許請求の範囲に記載された請求項の数は15である。
これに対して、令和元年8月27日に特許異議申立人嶋村早織(以下、「申立人」という。)は、証拠として甲第1号証ないし甲第10号証を提出し、本件特許の請求項1?15について特許異議の申立てをした。
審判長は、令和元年11月21日付けで本件特許の請求項1、10?12、14について特許の取消しの理由(以下、「取消理由」という)を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたところ、特許権者から令和2年1月23日に意見書及び訂正請求書が提出された。
(以下、この訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。)
審判長は、申立人に令和2年2月3日付けで訂正請求があった旨の通知をし、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からの応答はなかった。


第2 本件訂正について
1 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?15ついて訂正することを求めるものであって、その内容は次のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。

(1)一群の請求項〔1?9〕に係る訂正
ア 訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

イ 訂正事項1-2
特許請求の範囲の請求項2に「前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、前記第2の主面には凹部が設けられ、前記コネクタは、前記凹部の底部に設けられた貫通孔に嵌合していることを特徴とする請求項1に記載の力覚センサ。」と記載されているのを、「ロボットに装着される力覚センサであって、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、前記検出部を支持する支持体と、前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、を備え、前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、前記第2の主面には凹部が設けられ、前記コネクタは、前記凹部の底部に設けられた貫通孔に嵌合していることを特徴とする力覚センサ。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3も同様に訂正する)。

ウ 訂正事項1-3
特許請求の範囲の請求項4に「前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、前記第1の主面と前記の第2の主面間を貫通する貫通孔が設けられ、前記第1の主面側における前記貫通孔の開口を覆うとともに、前記コネクタを固定するコネクタ固定体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の力覚センサ。」と記載されているのを、「ロボットに装着される力覚センサであって、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、前記検出部を支持する支持体と、前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、を備え、前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、前記第1の主面と前記の第2の主面間を貫通する貫通孔が設けられ、前記第1の主面側における前記貫通孔の開口を覆うとともに、前記コネクタを固定するコネクタ固定体をさらに備えることを特徴とする力覚センサ。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する)。

エ 訂正事項1-4
特許請求の範囲の請求項6に「前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、前記コネクタは、前記支持体に設けられた貫通孔に嵌合しており、前記第2の主面から突出した前記コネクタを囲うように突設されたコネクタ保護体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の力覚センサ。」と記載されているのを、「ロボットに装着される力覚センサであって、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、前記検出部を支持する支持体と、前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、を備え、前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、前記コネクタは、前記支持体に設けられた貫通孔に嵌合しており、前記第2の主面から突出した前記コネクタを囲うように突設されたコネクタ保護体をさらに備えることを特徴とする力覚センサ。」に訂正する。

オ 訂正事項1-5
特許請求の範囲の請求項7に「前記コネクタを固定するとともに、前記支持体側から前記外装体または前記支持体に取り付けられたコネクタ固定外装体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の力覚センサ。」と記載されているのを、「ロボットに装着される力覚センサであって、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、前記検出部を支持する支持体と、前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、を備え、前記コネクタを固定するとともに、前記支持体側から前記外装体または前記支持体に取り付けられたコネクタ固定外装体をさらに備えることを特徴とする力覚センサ。」に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8及び9も同様に訂正する)。

(2)一群の請求項〔10?15〕に係る訂正
ア 訂正事項2-1
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

イ 訂正事項2-2
特許請求の範囲の請求項11を削除する。

ウ 訂正事項2-3
特許請求の範囲の請求項12に「前記コネクタ固定体は、前記コネクタを固定する固定板部と、前記固定板部および前記内装体の内周面に接続し、前記コネクタのうち前記固定板部より上方の部分を取り囲むカバー部と、を有することを特徴とする請求項11に記載の力覚センサ。」と記載されているのを、「ロボットに装着される力覚センサであって、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける環状の受力体と、前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、前記検出部を支持する環状の支持体と、前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、前記外装体の内部に配置され、当該外装体の中心軸に沿って延在する筒状の内装体と、前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられ、前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置されたコネクタと、前記内装体の内周面に設けられ、前記コネクタを固定するコネクタ固定体と、を備え、前記コネクタ固定体は、前記コネクタを固定する固定板部と、前記固定板部および前記内装体の内周面に接続し、前記コネクタのうち前記固定板部より上方の部分を取り囲むカバー部と、を有することを特徴とする力覚センサ。」に訂正する(請求項12の記載を引用する請求項14及び15も同様に訂正する)。

エ 訂正事項2-4
特許請求の範囲の請求項13に「前記コネクタは、L字状に構成されており、前記内装体に設けられた貫通孔に嵌合されていることを特徴とする請求項10に記載の力覚センサ。」と記載されているのを、「ロボットに装着される力覚センサであって、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける環状の受力体と、前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、前記検出部を支持する環状の支持体と、前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、前記外装体の内部に配置され、当該外装体の中心軸に沿って延在する筒状の内装体と、前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられ、前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置されたコネクタと、を備え、前記コネクタは、L字状に構成されており、前記内装体に設けられた貫通孔に嵌合されていることを特徴とする力覚センサ。」に訂正する(請求項13の記載を引用する請求項14及び15も同様に訂正する)。

オ 訂正事項2-5
特許請求の範囲の請求項14に「前記内装体には、前記電気ケーブル以外のケーブルを挿通可能な配線スペースが確保されていることを特徴とする請求項10?13のいずれかに記載の力覚センサ。」と記載されているのを、「前記内装体には、前記電気ケーブル以外のケーブルを挿通可能な配線スペースが確保されていることを特徴とする請求項12または13に記載の力覚センサ。」に訂正する(請求項14の記載を引用する請求項15も同様に訂正する)。

カ 訂正事項2-6
特許請求の範囲の請求項15に「前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、前記コネクタは、前記第2の主面側に露出する接続面が前記第2の主面よりも奥側に位置するように前記内装体の内部に配置されていることを特徴とする請求項10?14のいずれかに記載の力覚センサ。」と記載されているのを、「前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、前記コネクタは、前記第2の主面側に露出する接続面が前記第2の主面よりも奥側に位置するように前記内装体の内部に配置されていることを特徴とする請求項12?14のいずれかに記載の力覚センサ。」に訂正する。


2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の目的
ア 訂正事項1-1
上記訂正事項1-1に係る訂正は、請求項1を削除するものであるから、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

イ 訂正事項1-2
上記訂正事項1-2に係る訂正は、本件訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項1と2の間の引用関係を解消して、請求項2について、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。
したがって、上記訂正事項1-2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものに該当する。

ウ 訂正事項1-3
上記訂正事項1-3に係る訂正は、本件訂正前の請求項4が請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項1と4の間の引用関係を解消して、請求項4について、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。
したがって、上記訂正事項1-3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものに該当する。

エ 訂正事項1-4
上記訂正事項1-4に係る訂正は、本件訂正前の請求項6が請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項1と6の間の引用関係を解消して、請求項6について、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。
したがって、上記訂正事項1-4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものに該当する。

オ 訂正事項1-5
上記訂正事項1-5に係る訂正は、本件訂正前の請求項7が請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項1と7の間の引用関係を解消して、請求項7について、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。
したがって、上記訂正事項1-5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものに該当する。

カ 訂正事項2-1
上記訂正事項2-1に係る訂正は、請求項10を削除するものであるから、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

キ 訂正事項2-2
上記訂正事項2-2に係る訂正は、請求項11を削除するものであるから、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

ク 訂正事項2-3
上記訂正事項2-3に係る訂正は、本件訂正前の請求項12が請求項10及び11の記載を直接的又は間接的に引用する記載であったものを、請求項11と12の間の直接的引用関係、及び、請求項10と12との間の間接的引用関係を解消して、請求項12について、請求項10及び11の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。
したがって、上記訂正事項2-3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものに該当する。

ケ 訂正事項2-4
上記訂正事項2-4に係る訂正は、本件訂正前の請求項13が請求項10の記載を引用する記載であったものを、請求項10と13の間の引用関係を解消して、請求項13について、請求項10の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。
したがって、上記訂正事項2-4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものに該当する。

コ 訂正事項2-5
上記訂正事項2-5に係る訂正は、本件訂正前の請求項14が請求項10?13のいずれかの記載を引用する記載であったものを、請求項10及び11の記載を引用しないものとし、請求項12又は13の記載のみを引用する記載へ改めるための訂正である。
したがって、上記訂正事項2-5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

サ 訂正事項2-6
上記訂正事項2-6に係る訂正は、本件訂正前の請求項15が請求項10?14のいずれかの記載を引用する記載であったものを、請求項10及び11の記載を引用しないものとし、請求項12?14のいずれかの記載のみを引用する記載へ改めるための訂正である。
したがって、上記訂正事項2-6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。


(2)新規事項の追加
上記訂正事項1-1ないし1-5、2-1ないし2-6に係る訂正は、いずれも特許法120条の5第2項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当しないから、これらの訂正における新規事項の追加の有無を判断する際の基準となる明細書等は、特許権の設定の登録がされた時点での願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「特許明細書等」という。)である。

ア 訂正事項1-1、2-1、2-2
上記訂正事項1-1、2-1及び2-2に係る訂正は、それぞれ請求項1、10及び11を削除するものであるから、これらの訂正は、いずれも特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たす。

イ 訂正事項1-2ないし1-5、2-3、2-4
上記訂正事項1-2ないし1-5、2-3、2-4に係る訂正は、本件訂正前の請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であり、実質的な内容変更を伴うものではないから、これらの訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たす。

ウ 訂正事項2-5及び2-6
上記訂正事項2-5及び2-6に係る訂正は、多数項を引用する請求項において、その引用される請求項の数を削減する訂正であり、実質的な内容変更を伴うものではないから、これらの訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たす。


(3)特許請求の範囲の実質的拡張・変更
ア 訂正事項1-1、2-1、2-2
上記訂正事項1-1、2-1及び2-2に係る訂正は、それぞれ請求項1、10及び11を削除するものであるから、これらの訂正は、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に規定する要件を満たす。

イ 訂正事項1-2ないし1-5、2-3、2-4
上記訂正事項1-2ないし1-5、2-3、2-4に係る訂正は、本件訂正前の請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正を含み、実質的な内容変更を伴うものではないから、これらの訂正により、訂正後の特許発明の技術的範囲の一部または全部が、訂正前の特許発明の技術的範囲外のものを含むとはいえない。
よって、これらの訂正は、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に規定する要件を満たす。

ウ 訂正事項2-5及び2-6
上記訂正事項2-5及び2-6に係る訂正は、多数項を引用する請求項において、引用される請求項の数を削減する訂正であり、実質的な内容変更を伴うものではないから、これらの訂正により、訂正後の特許発明の技術的範囲の一部または全部が、訂正前の特許発明の技術的範囲外のものを含むとはいえない。
よって、これらの訂正は、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に規定する要件を満たす。


(4)独立特許要件
この特許異議の申立てにおいては、本件訂正前の請求項1?15について特許異議の申立てがされており、特許異議の申立てがされていない請求項はないから、本件訂正後における請求項1?15に記載されている事項により特定される発明について、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。


(5)まとめ
上記(1)?(4)において検討した訂正要件についての判断をまとめると、本件訂正は適法なものである。
よって、結論のとおり本件訂正を認める。


第3 本件特許に係る発明
上記第2により本件訂正が認められたことから、本件特許に係る請求項1?15に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」?「本件訂正発明15」という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本件訂正発明1?15はそれぞれ以下のとおりである。
なお、独立形式請求項については、各発明の構成を分説するため符号A?K(ダッシュ「’」や枝番「-1」等を含む)を付した。

[本件訂正発明1]
「【請求項1】(削除)」

[本件訂正発明2?3]
「【請求項2】
A ロボットに装着される力覚センサであって、
B 検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、
C 前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
D 前記検出部を支持する支持体と、
E 前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
F 一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
G 前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、
を備え、
D-1 前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
D-2 前記第2の主面には凹部が設けられ、
G-1 前記コネクタは、前記凹部の底部に設けられた貫通孔に嵌合していること
A を特徴とする力覚センサ。
【請求項3】
前記コネクタは、前記第2の主面側に露出する接続面を有しており、前記接続面が前記第2の主面よりも奥側に位置するように前記支持体に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の力覚センサ。」

[本件訂正発明4?5]
「【請求項4】
A ロボットに装着される力覚センサであって、
B 検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、
C 前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
D 前記検出部を支持する支持体と、
E 前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
F 一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
G 前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、
を備え、
D-1 前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
D-3 前記第1の主面と前記の第2の主面間を貫通する貫通孔が設けられ、
H 前記第1の主面側における前記貫通孔の開口を覆うとともに、前記コネクタを固定するコネクタ固定体をさらに備えること
A を特徴とする力覚センサ。
【請求項5】
前記コネクタは、前記第2の主面側に露出する接続面を有しており、前記接続面が前記第2の主面よりも奥側に位置するように前記コネクタ固定体に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の力覚センサ。」

[本件訂正発明6]
「【請求項6】
A ロボットに装着される力覚センサであって、
B 検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、
C 前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
D 前記検出部を支持する支持体と、
E 前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
F 一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
G 前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、
を備え、
D-1 前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
G-2 前記コネクタは、前記支持体に設けられた貫通孔に嵌合しており、
I 前記第2の主面から突出した前記コネクタを囲うように突設されたコネクタ保護体をさらに備えること
A を特徴とする力覚センサ。」

[本件訂正発明7?9]
「【請求項7】
A ロボットに装着される力覚センサであって、
B 検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、
C 前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
D 前記検出部を支持する支持体と、
E 前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
F 一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
G 前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、
を備え、
J 前記コネクタを固定するとともに、前記支持体側から前記外装体または前記支持体に取り付けられたコネクタ固定外装体をさらに備えること
A を特徴とする力覚センサ。
【請求項8】
前記コネクタ固定外装体は、筒部と、前記筒部の下端を閉塞する底部と、前記底部に設けられた貫通孔を覆うように設けられ、前記コネクタを固定するコネクタ固定部とを有することを特徴とする請求項7に記載の力覚センサ。
【請求項9】
前記底部は、前記支持体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
前記コネクタは、前記第2の主面側に露出する接続面が前記第2の主面よりも奥側に位置するように前記コネクタ固定部に固定されていることを特徴とする請求項8に記載の力覚センサ。」

[本件訂正発明10?11]
「【請求項10】(削除)
【請求項11】(削除)」

[本件訂正発明12]
「【請求項12】
A ロボットに装着される力覚センサであって、
B’ 検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける環状の受力体と、
C 前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
D’ 前記検出部を支持する環状の支持体と、
E 前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
F 一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
K 前記外装体の内部に配置され、当該外装体の中心軸に沿って延在する筒状の内装体と、
G’ 前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられ、前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置されたコネクタと、
H’ 前記内装体の内周面に設けられ、前記コネクタを固定するコネクタ固定体と、
を備え、
H’-1 前記コネクタ固定体は、前記コネクタを固定する固定板部と、前記固定板部および前記内装体の内周面に接続し、前記コネクタのうち前記固定板部より上方の部分を取り囲むカバー部と、を有すること
A を特徴とする力覚センサ。」

[本件訂正発明13]
「【請求項13】
A ロボットに装着される力覚センサであって、
B’ 検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける環状の受力体と、
C 前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
D’ 前記検出部を支持する環状の支持体と、
E 前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
F 一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
K 前記外装体の内部に配置され、当該外装体の中心軸に沿って延在する筒状の内装体と、
G’ 前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられ、前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置されたコネクタと、
を備え、
G’-3 前記コネクタは、L字状に構成されており、前記内装体に設けられた貫通孔に嵌合されていること
A を特徴とする力覚センサ。」

[本件訂正発明14]
「【請求項14】
前記内装体には、前記電気ケーブル以外のケーブルを挿通可能な配線スペースが確保されていることを特徴とする請求項12または13に記載の力覚センサ。」

[本件訂正発明15]
「【請求項15】
前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
前記コネクタは、前記第2の主面側に露出する接続面が前記第2の主面よりも奥側に位置するように前記内装体の内部に配置されていることを特徴とする請求項12?14のいずれかに記載の力覚センサ。」


第4 特許異議申立ての理由及び取消理由の概要
1 特許異議申立ての理由の概要
申立人は、下記の文書を証拠方法として、請求項1?15に係る特許について特許異議の申立てをしているところ、その理由(以下、「申立理由」という。)の概要は、次のとおりである。

[申立理由1]
請求項1に係る発明は、甲第1?5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

[申立理由2]
請求項2?5に係る発明は、甲第1?5、7及び8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2?5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

[申立理由3]
請求項6に係る発明は、甲第1?5及び9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

[申立理由4]
請求項7?9に係る発明は、甲第1?5、7及び8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7?9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

[申立理由5]
請求項10に係る発明は、甲第1?5及び10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

[申立理由6]
請求項11?13に係る発明は、甲第1?5及び10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項11?13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

[申立理由7]
請求項14に係る発明は、甲第1?5及び10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

[申立理由8]
請求項15に係る発明は、甲第1?5、7、8及び10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。



甲第1号証 :特開2018-91859号公報
甲第2号証 :特開2015-129740号公報
甲第3号証 :米国の第三者機関であるInternet Archiveが運営するWayback Machineにより記録、提供されているATI INDUSTRIAL AUTOMATION社のウェブサイト上の記事「カスタマイズF/Tトランスデューサ」を紙媒体に印刷したもの。
(上記記事の内容は次のURLから閲覧でき、2016年11月3日に記録されたことが確認できる。https://web.archive.org/web/20161103183331/http://www.ati-ia.com/ja-JP/products/ft/ft_CustomApps.aspx)
甲第4号証 :米国の第三者機関であるInternet Archiveが運営するWayback Machineにより記録、提供されているATI INDUSTRIAL AUTOMATION社のウェブサイト上の記事「F/T Sensor:Mini85」を紙媒体に印刷したもの。
(上記記事の内容は次のURLから閲覧でき、2016年4月18日に記録されたことが確認できる。https://web.archive.org/web/20160418223215/http://www.ati-ia.com/products/ft/ft_models.aspx?id=Mini85)
甲第5号証 :米国の第三者機関であるInternet Archiveが運営するWayback Machineにより記録、提供されているレプトリノ社のウェブサイト上の記事「6軸力覚センサ」を紙媒体に印刷したもの。
(上記記事の内容は次のURLから閲覧でき、2016年12月13日に記録されたことが確認できる。https://web.archive.org/web/20161213084932/http://leptrino.co.jp/PDF/CFSHP.pdf)
甲第6号証 :特許第6488057号公報
甲第7号証 :特開平7-14642号公報
甲第8号証 :特開2015-200703号公報
甲第9号証 :特開2001-142566号公報
甲第10号証:特開2015-85449号公報


2 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1、10?12及び14に係る特許に対して通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

本件特許の請求項1、10?12及び14に係る発明は、下記の引用文献1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。



引用文献1:特開2015-129740号公報(甲第2号証)
引用文献2:特開2015-85449号公報(甲第10号証)
引用文献3:特開2018-91859号公報(甲第1号証)
(周知技術を示す文献)


第5 当審の判断
1 引用文献
(1)引用文献1
上記引用文献1(甲第2号証)には、図面とともに以下の記載がある。
下線は、当審が付したものである。

「【0001】
本発明は、外力を検出することができる力覚センサに関する。」

「【0020】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る力覚センサを示す模式図である。力覚センサ1は、加えられた外力を検出することができる装置である。力覚センサ1は、例えば、ロボットの動きを規制するモータ等の回転機械に接続される。力覚センサ1は、加えられた外力の大きさおよび方向を検出し、加えられた外力の大きさおよび方向に応じた当該モータ等を制御する制御部に送る制御信号を送出することができる。
【0021】
力覚センサ1は、基部10と、第1可動部21と、第2可動部22と、を有する。例えば、基部10は、円筒状の筐体100の底面に固定された円盤状の部材であり、支持体30を備える。なお、基部10は、筐体100の底面と一体になっていてもよい。以下の説明において、基部10の中心軸Zrに平行なZ軸と、Z軸に対して直交するX軸、Z軸およびX軸に対して直交するY軸と、からなる直交座標系が用いられる。支持体30は、第1可動部21および第2可動部22を揺動可能に支持する。支持体30は、例えば、ディスク型カップリングであり、基部10の表面の中央部分に固定される。」

「【0028】
図1に示すように、基部10は、第1センサ15を有する。第1センサ15は、例えば、フォトリフレクタであり、基部10の表面にセンサ台15bを介して固定されている。第1センサ15は、例えば、支持体30の外側に、中心軸Zrを中心とした周方向で等間隔に4つ配置されている。また、4つの第1センサ15のうち2つの第1センサ15は、X軸に平行な直線上に配置されており、残りの2つの第1センサ15は、Y軸に平行な直線上に配置されている。」

「【0035】
図6は、本実施形態に係る力覚センサにY軸廻りのモーメントが加えられた場合を示す模式図である。なお、図面上で変形をわかりやすくするため、図6では、ストッパー19の記載が省略されている。Y軸廻りのモーメントMyは、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力である。力覚センサ1にY軸廻りのモーメントMyが加えられた場合、支持体30のディスク33が変形することで、第1可動部21および第2可動部22は、揺動しYZ平面に対して所定の角度θだけ傾斜する。このため、第1可動部21は、XY平面に対して角度θだけ傾斜する。第1可動部21および第2可動部22が一緒に揺動するので、第1可動部21および第2可動部22は、平行な状態を保っている。また、第1可動部21は、基部10に対して傾斜している。その結果、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15のうち一方の第1センサ15から当該第1センサ15に対向する反射板16までの距離Dz1は、距離Dzよりも大きくなる。X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15のうち他方の第1センサ15から当該第1センサ15に対向する反射板16までの距離Dz2は、距離Dzよりも小さくなる。具体的には、中心軸Zrから各第1センサ15までの距離Dsを用いて、距離Dz1は、距離DzよりもDs×tanθだけ大きくなり、距離Dz2は、距離DzよりもDs×tanθだけ小さくなる。これにより、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15が検出する反射光強度に差が生じる。力覚センサ1は、当該反射光強度の差によって、加えられたY軸廻りのモーメントMyの大きさおよび方向を検出する。」

「【0042】
図11は、本実施形態に係る第1検出部および第2検出部の構成を示す模式図である。力覚センサ1は、第1検出部91と、第2検出部92と、を有している。第1検出部91および第2検出部92は、モータ等の回転機械の制御部41と接続されている。第1検出部91および第2検出部92は、力覚センサ1に加えられた外力の情報である外力データP1、P2を制御部41へ出力する。第1検出部91は、第1センサ15と、AD変換部51と、距離演算部61と、力演算部71と、を有する。第2検出部92は、第2センサ28と、AD変換部52と、角度演算部62と、力演算部72と、を有する。4つの第1センサ15は、それぞれが検出した反射光強度に応じてセンサ出力S11、S12、S13、S14をAD変換部51に送る。第2センサ28は、検出した反射光強度に応じてセンサ出力S2をAD変換部52に送る。AD変換部51、52、距離演算部61、角度演算部62および力演算部71、72は、例えば、1つの演算処理部42に備えられる。なお、AD変換部51、距離演算部61および力演算部71が1つの演算処理部に備えられ、AD変換部52、角度演算部62および力演算部72が異なる演算処理部に備えられてもよい。」

「【0047】
AD変換部51、52は、入力インターフェース42aを用いてアナログデータであるセンサ出力S11、S12、S13、S14、S2をデジタルデータに変換する。距離演算部61は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された距離データベースにセンサ出力S11、S12、S13、S14を与えて、4つの第1センサ15から反射板16までの距離を導出する演算処理を行う。角度演算部62は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された角度データベースにセンサ出力S2を与えて、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度を導出する演算処理を行う。力演算部71は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された第1の分力データベースに距離演算部61の出力を与えて、第1の分力の大きさおよび方向を導出する演算処理を行う。力演算部72は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された第2の分力データベースに角度演算部62の出力を与えて、第2の分力の大きさおよび方向を導出する演算処理を行う。また、力演算部71、72は、出力インターフェース42bを介して制御部41へ外力データP1、P2を出力する。外力データP1は、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる外力の大きさおよび方向のデータである。外力データP2は、第2可動部22を回転させる外力の大きさおよび方向のデータである。」

「【0113】
(変形例7)
図24は、変形例7に係る力覚センサを示す模式図である。図25は、変形例7に係る力覚センサを、中心軸を含む平面で切った断面図である。図26は、変形例7に係るディスクの一例を示す平面図である。図27は、変形例7に係るディスクの一例を示す平面図である。変形例7に係る力覚センサ1Eは、上述した実施形態に対して、変形例6と同様に第2可動部22および第2検出部92を有さない点が異なる。なお、上述した実施形態および変形例6で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0114】
図24に示すように、変形例7に係る力覚センサ1Eは、基部10Eと、支持体30Eと、を備える。例えば、基部10Eは、円盤状の部材であり、Z軸方向に貫通する貫通孔である第1内部通路10hを備える。また、基部10Eは、第1可動部21に対向する表面の中央部でZ軸方向に突出する突出部101を備える。第1内部通路10hは、突出部101を貫通している。このため、突出部101は筒状になっている。」

「【0117】
上述したように、変形例7に係る力覚センサ1Eにおいて、支持体30Eは、第1可動部21を貫通している。基部10Eを貫通する第1内部通路10hおよび支持体30Eを貫通する第2内部通路30hが、同一直線上に並んで配置されている。
【0118】
力覚センサ1Eにおいては、基部10Eから第1可動部21に至る配線または配管が設けられる。変形例7に係る力覚センサ1Eにおいては、配線または配管は、第1内部通路10hおよび第2内部通路30hを通って、基部10Eから第1可動部21まで到達することができる。このため、配線または配管が各部材の外側を通される場合に比べて、力覚センサ1Eは、装置全体を小型化することができる。」

「【図1】



「【図11】



「【図24】



「【図25】



ここで、図1及び図24から、図24の実施例(変形例7)において「基部10」が「筐体100の底面と一体に」(【0021】)なった場合、『第1センサ15を内蔵する円筒状の筐体100』の『一方の開口部に第1可動部21が配置され、他方の開口部に前記基部10が配置される』構成となることは明らかといえる。

上記記載内容及び認定事項を総合すると、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明1]
「a ロボットの動きを規制するモータ等の回転機械に接続される力覚センサ1であって、支持体30の外側に、中心軸Zrを中心とした周方向で等間隔に4つの第1センサ15が配置されており、(【0020】、【0028】)

b、c 力覚センサ1にY軸廻りのモーメントMyが加えられた場合、第1可動部21は、揺動しYZ平面に対して所定の角度θだけ傾斜して、X軸方向に平行な直線上に配置された2つの前記第1センサ15が検出する反射光強度に差が生じ、加えられたY軸廻りのモーメントMyの大きさおよび方向を検出し、(【0035】)

d 前記第1センサ15が表面に固定されている、基部10を備え、
前記基部10Eは、円盤状の部材であり、Z軸方向に貫通する貫通孔である第1内部通路10hを備え、
(【0028】、【0114】、【図24】、【図25】)

e AD変換部51、距離演算部61および力演算部71を有する1つの演算処理部42を備え、前記第1センサ15と、前記AD変換部51と、前記距離演算部61と、前記力演算部71は、第1検出部91として構成され、前記第1センサ15からのセンサ出力S11、S12、S13、S14は前記AD変換部51に送られ、力覚センサ1に加えられた外力の情報である外力データP1が前記力演算部71から制御部41へ出力され、(【0042】、【0047】、【図11】)

f 一方の開口部に前記第1可動部21が配置され、他方の開口部に前記基部10が配置され、前記第1センサ15を内蔵する円筒状の筐体100を備え、(【0021】、【図1】、【図24】)

g 配線は、前記第1内部通路10hおよび第2内部通路30hを通って、基部10Eから第1可動部21まで到達し(【0118】)、

k 前記基部10Eは、前記第1可動部21に対向する表面の中央部でZ軸方向に突出する突出部101を備え、前記第1内部通路10hが前記突出部101を貫通して、前記突出部101は筒状になっている、
(【0114】、【図24】、【図25】)

a 力覚センサ1。」


(2)引用文献2
上記引用文献2(甲第10号証)には、図面とともに以下の記載がある。
下線は、当審が付したものである。

「【0006】
しかし、上記の提案の技術では、ロボットの動作中において該動作に必要な電気的接続が遮断されてしまう虞がある。なぜならば、アーム部と力覚センサーとの電気的な接続はこれらの外側を通る配線によって行われているので、該配線がロボット周辺に存在する物体や作業員と接触して断線してしまう可能性がある。また、アーム部とハンド部との電気的な接続はそれぞれの外側に固定された接続端子同士を接触させることによって行われているので、該接続端子がロボット周辺に存在する物体や作業員と接触して、あるいは、ハンド部に力が作用することでハンド部がアーム部に対して変位して、接続端子同士が離れてしまう可能性がある。」

「【0030】
図2は、力覚センサー140および着脱機構部150を介して、ハンド部110がアーム部120に取り付けられる様子を示す分解斜視図である。図2に示されるように、アーム部120内には本体部130に接続された配線(フラットケーブル)w1,w2が通されている。力覚センサー140には、アーム部120側から着脱機構部150側に向けて配線用貫通穴141(開口部)が形成されている。アーム部120から延びる配線w1は、配線用貫通穴141の内壁に設けられたコネクタ(図示せず)に接続されている。このように配線w1を接続することにより、本体部130の電力供給部から力覚センサー140に対して電力が供給されるとともに、本体部130の制御部と力覚センサー140との間で各種信号の送受信が可能となる(アーム部120と力覚センサー140とが電気的に接続される)。」

「【図2】



上記記載内容から、引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明2]
「ロボットのアーム部と力覚センサーとの電気的な接続(【0006】)に関し、
アーム部120内には本体部130に接続された配線(フラットケーブル)w1,w2が通され、
力覚センサー140には配線用貫通穴141(開口部)が形成され、
アーム部120から延びる配線w1は、配線用貫通穴141の内壁に設けられたコネクタに接続されて、本体部130の制御部と力覚センサー140との間で各種信号の送受信が可能となる(【0030】)、
ロボットの電気的接続構造。」


(3)引用文献3
上記引用文献3(甲第1号証)には、図面とともに以下の記載がある。
下線は、当審が付したものである。

「【0001】
本発明は、本発明は、力覚センサに関し、特に、三次元直交座標系における各座標軸方向の力および各座標軸まわりのモーメントを検出するのに適したセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットや産業機械の動作制御を行うために、種々のタイプの力覚センサが利用されている。また、電子機器の入力装置のマン・マシンインターフェイスとしても、小型の力覚センサが組み込まれている。このような用途に用いる力覚センサには、小型化およびコストダウンを図るために、できるだけ構造を単純にするとともに、三次元空間内での各座標軸に関する力をそれぞれ独立して検出できるようにすることが要求される。」

「【0115】
<3-2.基本的実施形態の構造>
続いて、本発明の基本的実施形態(第1の実施形態)に係る力覚センサの構造を説明する。図16は、当該実施形態に係る力覚センサの基本構造部の上面図(上段の図)およびこれをXZ平面で切断した側断面図(下段の図)である。図示のとおり、この基本構造部は、受力体100と、検出リング600と、支持基板300とを備えている。
【0116】
検出リング600は、§3-1で詳述したとおり、図13に示す構造を有する円環状の部材であり、4組の検出部D1?D4を有している。受力体100は、この検出リング600の外側を取り囲むように配置された円環状の部材である。一方、支持基板300は、下段の側断面図に示されているとおり、検出リング600および受力体100の下方に配置された円盤状の部材である。受力体100の内周面と検出リング600の外周面との間は、X軸に沿った位置に配置された2本の接続部材410,420によって接続され、検出リング600の下面と支持基板300の上面との間は、Y軸に沿った位置に配置された固定部材510,520によって接続されている。」

「【図13】



上記記載のように、ロボットや産業機械の動作制御を行うための力覚センサとして、検出部を有する検出リングを備える構成は周知なものにすぎない(以下、「周知技術」という。)。


2 対比・判断
(1)本件訂正発明2について
ア 対比
本件訂正発明2と引用発明1とを対比する。
なお、対比の見出しは、本件訂正発明2の構成の符号に対応して(a)?(g)とした。

(a) 引用発明1の構成aの「ロボットの動きを規制するモータ等の回転機械に接続される力覚センサ1」は、本件訂正発明2の構成Aの「ロボットに装着される力覚センサ」に相当する。

(b) 引用発明1においては、「力覚センサ1にY軸廻りのモーメントMyが加えられた場合」に、「第1可動部21」が傾斜して、これにより「第1センサ15が」「加えられたY軸廻りのモーメントMyの大きさおよび方向を検出し」ているのであるから、引用発明1の構成b、cの「第1可動部21」は、本件訂正発明2の構成Bの「検出対象となる」「モーメントの作用を受ける受力体」に相当する。

(c) 引用発明1の構成b、cの「加えられたY軸廻りのモーメントMyの大きさおよび方向を検出」する「第1センサ15」は、本件訂正発明2の構成Cの「前記受力体が受けた」「モーメントを検出する検出部」に相当する。

(d) 引用発明1の構成dの「第1センサ15が表面に固定されている、基部10」は、本件訂正発明2の構成Dの「前記検出部を支持する支持体」に相当する。

(d-1) 引用発明1の「基部10」の「第1センサ15」が「固定されている」側の「表面」は、「第1可動部21」と対向する側の面であるから、本件訂正発明2の構成D-1の「前記受力体と対向する第1の主面」に相当し、引用発明1の「基部10」の「第1センサ15」が「固定されている」側の「表面」とは反対側の面は、本件訂正発明2の構成D-1の「前記第1の主面と反対側の第2の主面」に相当する。

(e) 引用発明1の構成eの「AD変換部51、距離演算部61および力演算部71を有する1つの演算処理部42」は、「前記AD変換部51」に「前記第1センサ15からのセンサ出力S11、S12、S13、S14」が「送られ」るから、本件訂正発明2の構成Eの「前記検出部から出力された信号を受信する検出回路」に相当する。

(f) 引用発明1の構成fの「一方の開口部に前記第1可動部21が配置され、他方の開口部に前記基部10が配置され、前記第1センサ15を内蔵する筒状の筐体100」は、本件訂正発明2の構成Fの「一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体」に相当する。

(g) 引用発明1の構成gの「配線は、第1内部通路10hおよび第2内部通路30hを通って、基部10Eから第1可動部21まで到達する」ことと、本件訂正発明2の構成Gの「前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタ」を備えることとは、「前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能」にした点で共通する。

以上より、本件訂正発明2と引用発明1とは、以下の一致点Aにおいて一致し、以下の相違点1において相違する。

[一致点A]
「ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となるモーメントの作用を受ける受力体と、
前記受力体が受けたモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
を備え、
前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能にした、
力覚センサ。」

[相違点1]
本件訂正発明2は、「前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタ」(構成G)を備え、「前記コネクタ」は、「前記第2の主面」に「設けられ」た「凹部」(構成D-2)の「底部に設けられた貫通孔に嵌合している」(構成G-1)のに対し、引用発明1においては、配線が通される「第1内部通路10hおよび第2内部通路30h」を備えるものの、内部にコネクタが設けられているかは不明であり、また、「基部10」の表面に凹部が設けられていない点。

イ 判断
(ア)上記相違点1について検討すると、引用発明2において、「本体部130の制御部と力覚センサー140との間で」「送受信が可能となる」「各種信号」に、力覚センサー140の出力信号が含まれていること、すなわち、「配線用貫通穴141の内壁に設けられたコネクタ」が「力覚センサー」の検出回路の端子に接続されていることは明らかであるから、引用発明2の「アーム部120内に」「通され」た「配線(フラットケーブル)w1」が「接続され」る「配線用貫通穴141の内壁に設けられたコネクタ」は、上記相違点1に係る本件訂正発明2の構成Gに相当する。

(イ)そして、引用発明1と引用発明2とはいずれも、ロボットの力覚センサに対する、内部通路を用いた配線構造を含むものであるから、引用発明2の上記コネクタを有する接続構造を引用発明1の配線の接続に採用することにより、上記相違点1に係る本件訂正発明2の構成Gとすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(ウ)また、一般に、部材の表面に凹部を設け、当該凹部にコネクタを設けることは、電気的な接続手法として周知なものであるといえる。

(エ)しかしながら、そのようなコネクタを、力覚センサの支持体の表面の凹部の底部に設けられた貫通孔に嵌合させた構成(構成D-2及びG-1)とすることまでは周知であるとはいえず、またそのような構成は上記引用文献1?3(甲第2、10及び1号証)に記載も示唆もされていない。
(なお、この点は甲第3?9号証にも記載も示唆もされていない。)

(オ)そして、本件訂正発明2は、そのような構成を備えることによって、接続面が主面よりも奥側に位置するようにコネクタの位置調整を容易に行うことができ、これにより、支持体が他の物体に衝突した場合にコネクタが破損することを防止できる(段落【0059】)、という特有の効果を奏するものである。

(カ)したがって、本件訂正発明2は、当業者であっても、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、さらに甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易になし得たものであるとはいえない。

(2)本件訂正発明3について
本件訂正発明3は、本件訂正発明2の構成をすべて含むから、上記(1)において述べた理由と同様の理由により、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、さらに甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、当業者が容易になし得たものであるとはいえない。

(3)本件訂正発明4について
ア 対比
本件訂正発明4は、本件訂正発明2の構成のうち、構成A?G、D-1を含むから、本件訂正発明4と引用発明1とを対比すると、上記(1)の「ア 対比」の(a)?(g)において検討した内容が同様に当てはまる。

(d-3) 引用発明1の「基部10E」に備えられた「Z軸方向に貫通する貫通孔である第1内部通路10h」は、本件訂正発明4の構成D-3の「前記第1の主面と前記の第2の主面間を貫通する貫通孔」に相当する。

そうすると、本件訂正発明4と引用発明1とは、以下の一致点Bにおいて一致し、以下の相違点2において相違する。

[一致点B]
「ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となるモーメントの作用を受ける受力体と、
前記受力体が受けたモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
を備え、
前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
前記第1の主面と前記の第2の主面間を貫通する貫通孔が設けられ、
前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能にした、
力覚センサ。」

[相違点2]
本件訂正発明4は、「前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタ」(構成G)を備え、「前記第1の主面側における前記貫通孔の開口を覆うとともに、前記コネクタを固定するコネクタ固定体をさらに備える」(構成H)のに対し、引用発明1においては、配線が通される「第1内部通路10hおよび第2内部通路30h」を備えるものの、内部にコネクタが設けられているかは不明であり、また、構成Hのような「コネクタ固定体」は設けられていない点。

イ 判断
(ア)上記相違点1についての検討内容も踏まえて、上記相違点2について検討すると、引用発明2のコネクタを有する接続構造を引用発明1の配線の接続に採用することにより、上記相違点2に係る本件訂正発明4の構成Gとすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(イ)しかしながら、支持体の第1の主面側における貫通孔の開口を覆うとともに、コネクタを固定するコネクタ固定体を備えること(構成H)は、上記引用文献1?3(甲第2、10及び1号証)に記載も示唆もされていない。
(なお、この点は甲第3?9号証にも記載も示唆もされていない。)

(ウ)そして、本件訂正発明4は、そのような構成によって、コネクタの位置調整を容易に行うことができ、またコネクタ固定体によりコネクタを支持固定するため、支持体を薄くして力覚センサの軽量化を図ることができる(段落【0078】及び【0080】)、という特有の効果を奏するものである。

(エ)したがって、本件訂正発明4は、当業者であっても、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、さらに甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易になし得たものであるとはいえない。

(4)本件訂正発明5について
本件訂正発明5は、本件訂正発明4の構成をすべて含むから、上記(3)において述べた理由と同様の理由により、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、さらに甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、当業者が容易になし得たものであるとはいえない。

(5)本件訂正発明6について
ア 対比
本件訂正発明6は、本件訂正発明2の構成のうち、構成A?G、D-1を含むから、本件訂正発明6と引用発明1とを対比すると、上記(1)の「ア 対比」の(a)?(g)において検討した内容が同様に当てはまる。

(g-2) 引用発明1の「基部10E」に備えられた「Z軸方向に貫通する貫通孔である第1内部通路10h」は、本件訂正発明6の構成G-2の「前記支持体に設けられた貫通孔」に相当する。

そうすると、本件訂正発明6と引用発明1とは、以下の一致点Cにおいて一致し、以下の相違点3において相違する。

[一致点C]
「ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となるモーメントの作用を受ける受力体と、
前記受力体が受けたモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
を備え、
前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
前記支持体には貫通孔が設けられ、
前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能にした、
力覚センサ。」

[相違点3]
本件訂正発明6は、「前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタ」(構成G)を備え、「前記コネクタは、前記支持体に設けられた貫通孔に嵌合しており」(構成G-2)、「前記第2の主面から突出した前記コネクタを囲うように突設されたコネクタ保護体をさらに備える」(構成I)のに対し、引用発明1においては、配線が通される「第1内部通路10hおよび第2内部通路30h」を備えるものの、コネクタが支持体の貫通孔に嵌合して設けられているかは不明であり、また、構成Iのような「コネクタ保護体」は設けられていない点。

イ 判断
(ア)上記相違点1についての検討内容も踏まえて、上記相違点3について検討すると、引用発明2のコネクタを有する接続構造を引用発明1の配線の接続に採用することにより、上記相違点3に係る本件訂正発明6の構成Gとすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(イ)また、コネクタを囲うように突設されたコネクタ保護体自体は、電気的な接続のための部材として周知なものであるといえる。

(ウ)しかしながら、そのようなコネクタ保護体を、力覚センサの支持体に設けられた貫通孔に嵌合させたコネクタに適用すること(構成G-2及びI)までは周知であるとはいえず、またそのような構成は、上記引用文献1?3(甲第2、10及び1号証)に記載も示唆もされていない。
(なお、この点は甲第3?9号証にも記載も示唆もされていない。)

(エ)そして、本件訂正発明6は、そのような構成によって、コネクタが外側へ突出する分、コネクタの内側への突出量を低減することができるため、力覚センサの薄型化を図ることができる(段落【0089】)、という特有の効果を奏するものである。

(オ)したがって、本件訂正発明6は、当業者であっても、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、さらに甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易になし得たものであるとはいえない。

(6)本件訂正発明7について
ア 対比
本件訂正発明7は、本件訂正発明2の構成のうち、構成A?Gを含むから、本件訂正発明7と引用発明1とを対比すると、上記(1)の「ア 対比」の(a)?(g)において検討した内容が同様に当てはまる。

そうすると、本件訂正発明7と引用発明1とは、以下の一致点Dにおいて一致し、以下の相違点4において相違する。

[一致点D]
「ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となるモーメントの作用を受ける受力体と、
前記受力体が受けたモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
を備え、
前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能にした、
力覚センサ。」

[相違点4]
本件訂正発明7は、「前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタ」(構成G)を備え、「前記コネクタを固定するとともに、前記支持体側から前記外装体または前記支持体に取り付けられたコネクタ固定外装体をさらに備える」(構成J)のに対し、引用発明1においては、配線が通される「第1内部通路10hおよび第2内部通路30h」を備えるものの、コネクタが設けられているかは不明であり、また、構成Jのような「コネクタ固定外装体」は設けられていない点。

イ 判断
(ア)上記相違点1についての検討内容も踏まえて、上記相違点4について検討すると、引用発明2のコネクタを有する接続構造を引用発明1の配線の接続に採用することにより、上記相違点4に係る本件訂正発明7の構成Gとすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(イ)しかしながら、コネクタを固定するとともに、支持体側から外装体または前記支持体に取り付けられたコネクタ固定外装体を備えること(構成J)は、上記引用文献1?3(甲第2、10及び1号証)に記載も示唆もされていない。
(なお、この点は甲第3?9号証にも記載も示唆もされていない。)

(ウ)そして、本件訂正発明7は、そのような構成によって、電気信号を送信するための電気ケーブルを支持体側から接続することが可能であり、ロボットの安全性および信頼性を向上させることができるとともに、ロボットの見栄えを向上させることができる(段落【0113】)、という特有の効果を奏するものである。

(エ)したがって、本件訂正発明7は、当業者であっても、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、さらに甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易になし得たものであるとはいえない。

(7)本件訂正発明8及び9について
本件訂正発明8及び9は、本件訂正発明7の構成をすべて含むから、上記(6)において述べた理由と同様の理由により、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、さらに甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、当業者が容易になし得たものであるとはいえない。

(8)本件訂正発明12について
ア 対比
本件訂正発明12と引用発明1とを対比する。
対比にあたっては、上記(1)の「ア 対比」の(a)、(c)、(e)及び(f)の検討内容を踏まえている。

(b’) 引用発明1においては、「力覚センサ1にY軸廻りのモーメントMyが加えられた場合」に、「第1可動部21」が傾斜して、これにより「第1センサ15が」「加えられたY軸廻りのモーメントMyの大きさおよび方向を検出し」ているのであるから、本件訂正発明12の構成B’と引用発明1の構成b、cの「第1可動部21」とは、「検出対象となる」「モーメントの作用を受ける受力体」である点で共通する。

(d’) 引用発明1の構成dの「前記基部10E」は、「第1センサ15が表面に固定されている」ものであり、「円盤状の部材であり、Z軸方向に貫通する貫通孔である第1内部通路10hを備え」ているから、本件訂正発明12の構成D’の「前記検出部を支持する環状の支持体」に相当する。

(g’) 引用発明1の構成gの「配線は、第1内部通路10hおよび第2内部通路30hを通って、基部10Eから第1可動部21まで到達する」ことと、本件訂正発明12の構成G’の「前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられ、前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置されたコネクタ」を備えることとは、「前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能」にした点で共通する。

(k) 引用発明1の構成hの「前記基部10E」は、「円筒状の筐体100」の「他方の開口部」に「配置され」た「基部10」であり(構成f)、その「前記第1可動部21に対向する表面の中央部でZ軸方向に突出する突出部101」は、「前記第1内部通路10hが前記突出部101を貫通して」「筒状になっている」から、引用発明1の構成kの「筒状になっている」「突出部101」は、本件訂正発明12の構成Kの「前記外装体の内部に配置され、当該外装体の中心軸に沿って延在する筒状の内装体」に相当する。

以上より、本件訂正発明12と引用発明1とは、以下の一致点Eにおいて一致し、以下の相違点5及び6において相違する。

[一致点E]
「ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となるモーメントの作用を受ける受力体と、
前記受力体が受けたモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する環状の支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
前記外装体の内部に配置され、当該外装体の中心軸に沿って延在する筒状の内装体と、
を備え
前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能にした、
力覚センサ。」

[相違点5]
「検出対象となるモーメントの作用を受ける受力体」が、本件訂正発明12では、「環状」(構成B’)であるのに対して、引用発明1では、「環状」であるか不明である点。

[相違点6]
本件訂正発明12は、「前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられ、前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置されたコネクタ」(構成G’)を備え、また、「前記内装体の内周面に設けられ、前記コネクタを固定するコネクタ固定体」(構成H’)を備え、「前記コネクタ固定体は、前記コネクタを固定する固定板部と、前記固定板部および前記内装体の内周面に接続し、前記コネクタのうち前記固定板部より上方の部分を取り囲むカバー部と、を有する」(構成H’-1)ものであるのに対して、引用発明1においては、配線が通される「第1内部通路10hおよび第2内部通路30h」を備えるものの、内部にコネクタが設けられているかは不明であり、また、構成H’のような「コネクタ固定体」は設けられていない点。

イ 判断
(ア)上記相違点5について検討すると、上記引用文献3に記載されているように、ロボットや産業機械の動作制御を行うための力覚センサにおいて、検出部を有する検出リングを備える構成は周知であるから、引用発明1に上記周知技術を適用することにより、「検出対象となるモーメントの作用を受ける受力体」が「環状」であるようにして、上記相違点5に係る本件訂正発明12の構成B’とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(イ)また、上記相違点1についての検討内容も踏まえて、上記相違点6について検討すると、引用発明2の「コネクタ」は「配線用貫通穴141の内壁に設けられ」ており、これは本件訂正発明12の「前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置され」ていることに相当するから、引用発明2のコネクタを有する接続構造を引用発明1の配線の接続に採用することにより、上記相違点6に係る本件訂正発明12の構成G’とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(ウ)しかしながら、コネクタを固定する固定板部と、前記固定板部および内装体の内周面に接続し、前記コネクタのうち前記固定板部より上方の部分を取り囲むカバー部とを有するコネクタ固定体(構成H’-1)は、上記引用文献1?3(甲第2、10及び1号証)に記載も示唆もされていない。
(なお、この点は甲第3?9号証にも記載も示唆もされていない。)

(エ)そして、本件訂正発明12は、そのような構成によって、防水性や防塵性を向上させることができる(段落【0095】)、という特有の効果を奏するものである。

(オ)したがって、本件訂正発明12は、当業者であっても、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、さらに甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易になし得たものであるとはいえない。

(9)本件訂正発明13について
ア 対比
上記(8)の「ア 対比」の検討内容を踏まえて、本件訂正発明13と引用発明1とを対比すると、本件訂正発明12と引用発明1とは、上記一致点Eと同様の一致点において一致し、以下の相違点7及び8において相違する。

[相違点7]
「検出対象となるモーメントの作用を受ける受力体」が、本件訂正発明13では、「環状」(構成B’)であるのに対して、引用発明1では、「環状」であるか不明である点。

[相違点8]
本件訂正発明13は、「前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられ、前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置されたコネクタ」(構成G’)を備え、また、「前記コネクタは、L字状に構成されており、前記内装体に設けられた貫通孔に嵌合されている」(構成G’-3)のに対して、引用発明1においては、配線が通される「第1内部通路10hおよび第2内部通路30h」を備えるものの、内部にコネクタが設けられているかは不明であり、また、コネクタは、L字状で内装体に設けられた貫通孔に嵌合されているか不明である点。

イ 判断
(ア)上記相違点7については、上記相違点5についての検討内容が同様に当てはまるから、引用発明1に上記周知技術を適用することにより、上記相違点7に係る本件訂正発明13の構成B’とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(イ)また、上記相違点1についての検討内容も踏まえて、上記相違点8について検討すると、引用発明2の「コネクタ」は「配線用貫通穴141の内壁に設けられ」ており、これは本件訂正発明13の「前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置され」ていることに相当するから、引用発明2のコネクタを有する接続構造を引用発明1の配線の接続に採用することにより、上記相違点8に係る本件訂正発明13の構成G’とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(ウ)さらに、L字状に構成されたコネクタ自体は、電気的な接続のための部材として周知なものであるといえる。

(エ)しかしながら、そのようなコネクタを、力覚センサの内装体に設けられた貫通孔に嵌合させて用いた構成(構成G’-3)までは周知であるとはいえず、またそのような構成は上記引用文献1?3(甲第2、10及び1号証)に記載も示唆もされていない。
(なお、この点は甲第3?9号証にも記載も示唆もされていない。)

(オ)そして、本件訂正発明13は、そのような構成によって、ロボットの安全性および信頼性を向上させることができるとともに、ロボットの見栄えを向上させることができる(段落【0099】,【0101】)、という特有の効果を奏するものである。

(カ)したがって、本件訂正発明13は、当業者であっても、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、さらに甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易になし得たものであるとはいえない。

(10)本件訂正発明14及び15について
本件訂正発明14及び15は、本件訂正発明12または13の構成をすべて含むから、上記(8)及び(9)において述べた理由と同様の理由により、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、さらに甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、当業者が容易になし得たものであるとはいえない。

(11)小括
以上より、本件訂正発明2?9、12?15は引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、上記取消理由により、請求項2?9、12?15に係る特許を取り消すことはできない。


3 取消理由としなかった申立理由について
上記第4の「1 特許異議申立ての理由の概要」における申立理由1?8について検討する。

(1)申立理由1(請求項1)、申立理由5(請求項10)及び申立理由6(請求項11)については、本件訂正により請求項1、10及び11が削除されているから、これらの申立理由の採否を検討する前提を欠くものである。

(2)申立理由2(請求項2?5)については、上記2の「(1)本件訂正発明2について」?「(4)本件訂正発明5について」で述べたように、本件訂正発明2?5は、甲第1、2及び10号証のみならず、甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、この申立理由を採用することはできない。

(3)申立理由3(請求項6)については、上記2の「(5)本件訂正発明6について」で述べたように、本件訂正発明6は、甲第1、2及び10号証のみならず、甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、この申立理由を採用することはできない。

(4)申立理由4(請求項7?9)については、上記2の「(6)本件訂正発明7について」及び「(7)本件訂正発明8及び9について」で述べたように、本件訂正発明7?9は、甲第1、2及び10号証のみならず、甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、この申立理由を採用することはできない。

(5)申立理由6(請求項12及び13)については、上記2の「(8)本件訂正発明12について」及び「(9)本件訂正発明13について」で述べたように、本件訂正発明12及び13は、甲第1、2及び10号証のみならず、甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、この申立理由を採用することはできない。

(6)申立理由7(請求項14)及び申立理由8(請求項15)については、上記2の「(10)本件訂正発明14及び15について」で述べたように、本件訂正発明14及び15は、甲第1、2及び10号証のみならず、甲第3?9号証に記載された発明に基づいても、容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、これらの申立理由を採用することはできない。

(7)以上より、取消理由としなかった申立理由によっても、請求項2?9、12?15に係る特許を取り消すことはできない。


第6 むすび
請求項1、10及び11は、上述のとおり本件訂正により削除された。これにより、請求項1、10及び11に係る特許についての特許異議の申立ては、当該申立てに係る特許が存在しないこととなったため、不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものであるといえるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
また、請求項2?9、12?15に係る特許は、上述の申立理由によっては取り消すことはできない。他に、請求項2?9、12?15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、
前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、
を備え、
前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
前記第2の主面には凹部が設けられ、
前記コネクタは、前記凹部の底部に設けられた貫通孔に嵌合していることを特徴とする力覚センサ。
【請求項3】
前記コネクタは、前記第2の主面側に露出する接続面を有しており、前記接続面が前記第2の主面よりも奥側に位置するように前記支持体に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の力覚センサ。
【請求項4】
ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、
前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、
を備え、
前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
前記第1の主面と前記の第2の主面間を貫通する貫通孔が設けられ、
前記第1の主面側における前記貫通孔の開口を覆うとともに、前記コネクタを固定するコネクタ固定体をさらに備えることを特徴とする力覚センサ。
【請求項5】
前記コネクタは、前記第2の主面側に露出する接続面を有しており、前記接続面が前記第2の主面よりも奥側に位置するように前記コネクタ固定体に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の力覚センサ。
【請求項6】
ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、
前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、
を備え、
前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
前記コネクタは、前記支持体に設けられた貫通孔に嵌合しており、
前記第2の主面から突出した前記コネクタを囲うように突設されたコネクタ保護体をさらに備えることを特徴とする力覚センサ。
【請求項7】
ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける受力体と、
前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられたコネクタと、
を備え、
前記コネクタを固定するとともに、前記支持体側から前記外装体または前記支持体に取り付けられたコネクタ固定外装体をさらに備えることを特徴とする力覚センサ。
【請求項8】
前記コネクタ固定外装体は、筒部と、前記筒部の下端を閉塞する底部と、前記底部に設けられた貫通孔を覆うように設けられ、前記コネクタを固定するコネクタ固定部とを有することを特徴とする請求項7に記載の力覚センサ。
【請求項9】
前記底部は、前記支持体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
前記コネクタは、前記第2の主面側に露出する接続面が前記第2の主面よりも奥側に位置するように前記コネクタ固定部に固定されていることを特徴とする請求項8に記載の力覚センサ。
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける環状の受力体と、
前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する環状の支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
前記外装体の内部に配置され、当該外装体の中心軸に沿って延在する筒状の内装体と、
前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられ、前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置されたコネクタと、
前記内装体の内周面に設けられ、前記コネクタを固定するコネクタ固定体と、
を備え、
前記コネクタ固定体は、
前記コネクタを固定する固定板部と、
前記固定板部および前記内装体の内周面に接続し、前記コネクタのうち前記固定板部より上方の部分を取り囲むカバー部と、
を有することを特徴とする力覚センサ。
【請求項13】
ロボットに装着される力覚センサであって、
検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける環状の受力体と、
前記受力体が受けた力またはモーメントを検出する検出部と、
前記検出部を支持する環状の支持体と、
前記検出部から出力された信号を受信する検出回路と、
一方の開口部に前記受力体が配置され、他方の開口部に前記支持体が配置され、前記検出部を内蔵する筒状の外装体と、
前記外装体の内部に配置され、当該外装体の中心軸に沿って延在する筒状の内装体と、
前記検出回路の端子に電気的に接続されたコネクタであって、前記ロボットの内部に延設された電気ケーブルを前記支持体側から接続可能に設けられ、前記コネクタのうち少なくとも一部が前記内装体の内部に配置されたコネクタと、
を備え、
前記コネクタは、L字状に構成されており、前記内装体に設けられた貫通孔に嵌合されていることを特徴とする力覚センサ。
【請求項14】
前記内装体には、前記電気ケーブル以外のケーブルを挿通可能な配線スペースが確保されていることを特徴とする請求項12または13に記載の力覚センサ。
【請求項15】
前記支持体は、前記受力体と対向する第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、
前記コネクタは、前記第2の主面側に露出する接続面が前記第2の主面よりも奥側に位置するように前記内装体の内部に配置されていることを特徴とする請求項12?14のいずれかに記載の力覚センサ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-06-11 
出願番号 特願2018-236456(P2018-236456)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森 雅之  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 濱野 隆
中塚 直樹
登録日 2019-03-01 
登録番号 特許第6488057号(P6488057)
権利者 株式会社トライフォース・マネジメント
発明の名称 力覚センサ  
代理人 吉田 昌司  
代理人 川崎 康  
代理人 中村 行孝  
代理人 中村 行孝  
代理人 朝倉 悟  
代理人 永井 浩之  
代理人 川崎 康  
代理人 吉田 昌司  
代理人 永井 浩之  
代理人 朝倉 悟  

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