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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 C08L 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 C08L |
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管理番号 | 1364963 |
異議申立番号 | 異議2019-700649 |
総通号数 | 249 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-09-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-08-19 |
確定日 | 2020-07-31 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6472874号発明「動的用途のための封止体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6472874号の請求項11に係る特許を取り消す。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6472874号の請求項1?11に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)9月14日(パリ条約による優先権主張 2014年10月1日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成31年2月1日にその特許権の設定登録がされ、同年2月20日に特許公報が発行され、その後、その特許に対し、令和1年8月19日に特許異議申立人小松一枝(外1名)(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1?11に係る発明は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)。 「【請求項1】 ショアA硬度が60?100である動的用途のための封止体の使用であって、 ゴムを含有するエラストマー材料と、前記エラストマー材料中にゴム100重量部に対して0.1?20phrの量で分布するカーボンナノチューブとを含み、 前記エラストマー材料は、FKMであり、 ショック・アブソーバ・シールの製造のための封止体の使用。 【請求項2】 ショア硬度が60?100である動的用途のための封止体の使用であって、 ゴムを含有するエラストマー材料と、前記エラストマー材料中にゴム100重量部に対して0.1?20phrの量で分布するカーボンナノチューブとを含み、 前記エラストマー材料は、FKMであり、 低温柔軟性が<-50℃の温度まで要求される用途のための封止体の使用。 【請求項3】 前記封止体の摩擦係数が1.5μ未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の封止体の使用。 【請求項4】 前記エラストマー材料製の試験板の摩擦係数は、DIN ISO15113による計測で、μ=1未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の封止体の使用。 【請求項5】 DIN IEC 60093による計測で、前記封止体の体積抵抗率および/または表面抵抗率は、<10^(6)(Ω×cm^(2))/cmであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の封止体の使用。 【請求項6】 前記カーボンナノチューブの割合は、0.1?15phrの範囲であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の封止体の使用。 【請求項7】 前記エラストマー材料中での前記カーボンナノチューブの散在および/または均等な分布を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の封止体の使用。 【請求項8】 請求項1?7のいずれかに記載の封止体の使用に用いられる封止体の製造方法であって、 以下の工程、すなわち、混合機中で、カーボンナノチューブをエラストマー材料中に取り入れ、未架橋エラストマー混合物を形成する工程と、成形工程と、封止体を形成しつつ架橋する工程とを含む封止体の製造方法。 【請求項9】 運動用シールとりわけRWDRとして、および/または、動的用途のための固定シールとしての、請求項2に記載の封止体の使用。 【請求項10】 ショック・アブソーバ・シール、ラジアル・シャフト・シール(例えば、ラディアマティック(Radiamatic)(登録商標))、カセットシール、グルーブリング、リップシール、バルブ・シャフト・シール、ロッドシール、ピストンシール、膜、ベローズ、油圧シール、バルブ用途のためのアクチュエータ、動的用途のためのDリングおよび/またはXリングとしての、請求項2に記載の封止体の使用。 【請求項11】 ショア硬度が70?90である動的用途のための封止体であって、 ゴムを含有するエラストマー材料と、前記エラストマー材料中にゴム100重量部に対して0.1?20phrの量で分布するカーボンナノチューブとを含み、 前記封止体は、前記エラストマー材料として、ビスフェノールを用いて架橋されたFKMを含む封止体。」 第3 取消理由の概要 1 特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由 本件発明11は、下記(1)?(4)のとおりの取消理由があるから、本件特許の請求項11に係る特許は、特許法113条2号及び4号に該当し、取り消されるべきものである。証拠方法として、下記(5)の甲第1号証?甲第6号証(以下、単に「甲1」等という。)を提出する。 (1)取消理由1(新規性) 本件発明11は、甲1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができないものである。 (2)取消理由2-1(進歩性) 本件発明11は、甲1に記載された発明、並びに、甲2、甲3、甲5及び甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 (3)取消理由2-2(進歩性) 本件発明11は、甲3に記載された発明、並びに、甲1、甲4?甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 (4)取消理由3(サポート要件) 本件発明11は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に適合するものではない。 (5)証拠方法 甲1:国際公開第2011/077595号 甲2:国際公開第2016/006645号 甲3:製品カタログ「バイトン(登録商標)フッ素ゴム」、デュポン エラストマー株式会社、2005年7月 甲4:特開2008-223781号公報 甲5:特表2015-535608号公報 甲6:特開2014-81073号公報 2 取消理由通知書に記載した取消理由 本件発明11は、甲1に記載された発明、及び、甲1及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 引用文献2: 山田聿男、「特殊ゴムの特性と配合 -FKM,ACM, ECO その特性と応用-」、日本ゴム協会誌、第82巻、 第1号、2009年 第4 当審の判断 当審は、令和1年11月27日付けで上記取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者は応答しなかった。 そして、上記取消理由は妥当なものと認められるので、本件請求項11に係る特許は、この取消理由によって取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2020-03-25 |
出願番号 | 特願2017-515774(P2017-515774) |
審決分類 |
P
1
652・
113-
Z
(C08L)
P 1 652・ 121- Z (C08L) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小森 勇 |
特許庁審判長 |
佐藤 健史 |
特許庁審判官 |
井上 猛 近野 光知 |
登録日 | 2019-02-01 |
登録番号 | 特許第6472874号(P6472874) |
権利者 | カール・フロイデンベルク・カー・ゲー |
発明の名称 | 動的用途のための封止体 |
代理人 | 森 博 |
代理人 | 南瀬 透 |
代理人 | 加藤 久 |
代理人 | 遠坂 啓太 |