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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A41G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A41G
管理番号 1365782
審判番号 不服2019-8821  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-01 
確定日 2020-09-10 
事件の表示 特願2018-155660「和紙による補強及び装飾クレイフラワーの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和2年2月27日出願公開、特開2020-29634〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年8月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年10月26日付け:拒絶理由通知書
平成30年12月29日 :意見書、手続補正書の提出
平成31年 3月25日付け:拒絶査定
令和 元年 7月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和元年7月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和元年7月1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は、平成30年12月29日にされた手続補正により下記(2)のように補正された特許請求の範囲の請求項7を、下記(1)のように本件補正後の請求項3とする補正事項を含むものである。
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項3の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「粘土(10)と和紙(20)を用いた造花であって、
花弁(12)、葉(13)、萼(14)、実(15)、茎(16)といった造花の粘土成形部品(11)の全部又は少なくとも前記花弁(12)には、複数枚の前記和紙(20)が重畳的に水(50)と水性接着剤(60)を介して貼着されていることを特徴とする和紙による補強及び装飾クレイフラワー(2)。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成30年12月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項7の記載は次のとおりである。
「粘土(10)と和紙(20)を用いた造花であって、
花弁(12)、葉(13)、萼(14)、実(15)、茎(16)といった造花の粘土成形部品(11)の全部又は少なくとも前記花弁(12)に前記和紙(20)が重畳的に複数枚貼着されていることを特徴とする和紙による補強及び装飾クレイフラワー(2)。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項7に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記和紙(20)が重畳的に複数枚貼着されていること」を、「複数枚の前記和紙(20)が重畳的に水(50)と水性接着剤(60)を介して貼着されていること」に限定するものであって、補正前の請求項7に記載された発明と補正後の請求項3に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項3に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献1及び引用発明
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献である、特開昭61-91683号公報(以下「引用文献1」という。)には、「紙粘土細工の成形法」に関して、図面とともに、次の記載がある。(下線は当審による。以下、同様。)
(ア)「2.特許請求の範囲
紙粘土に水を含ませて手でこねる練り上げ工程と、こねた紙粘土をのし棒にて薄板状に形成する延伸工程と、薄板状紙粘土の表面に接着剤を均一に塗る塗布工程と、接着剤を塗った面に和紙又は布地からなる補強材を貼り付ける貼付工程と、紙粘土を所望の大きさの小片に切りとる切断工程と、小片を組合わせて完成品を作る成形工程と、完成品の表面の補強材に絵具や艶出し剤等を塗る塗装工程とからなる紙粘土細工の成形法。」(1ページ左下欄4ないし13行)

(イ)「[従来技術と問題点]
従来の紙粘土細工の成形法は、紙粘土に水を含ませ手でこねあげ、これをのし棒にて薄板状に形成し、これを適当な大きさの小片に切り取って人形、カゴ、容器、造花、ペンダント等の装飾品、工芸品等を成形し、必要に応じて紙粘土の表面に絵具等で彩色をするものであった。
このため従来の紙粘土細工は、紙粘土のみを素材とするものであるため、わずかの衝撃でも破損し易く、また完成品の色彩や模様は直接着色であるため、複雑なものや、滲み模様は着色できないという不都合があった。」(1ページ右下欄1ないし12行)

(ウ)「本発明で用いる補強材8は、白色又はいかなる色のものであってもよく、さらには、例えば、千代紙を利用して補強材に好みの模様を予め描出させておくこともでき、補強材8に事前に彩色、模様が存在している場合には絵具による塗装は省略することも可能であり、もちろん絵具による塗装を行なってもかまわない。」(2ページ右上欄3ないし9行)

(エ)上記(イ)の記載によれば、引用文献1の紙粘土細工は造花であり、当該記載と上記(ア)の記載をあわせみると、紙粘土細工は、紙粘土と和紙からなる補強材とを用いた、紙粘土細工の造花であることが理解できる。

(オ)上記(ア)及び(イ)の記載によれば、紙粘土細工の造花は、薄板状紙粘土の表面に接着剤を塗り、接着剤を塗った面に和紙からなる補強材を貼り付け、補強材を貼りつけた紙粘土を所望の大きさの小片に切りとり、小片を組合わせて完成品として作られるものであるから、上記(ア)及び(イ)の記載から、作られた造花は、和紙からなる補強材が接着剤で貼りつけられた紙粘土細工の造花であることが理解できる。

(カ)上記(ウ)の記載によれば、補強材を事前に彩色、模様が存在している場合には絵具による塗装は省略できることから、上記(ウ)の記載から、和紙からなる補強材は装飾の機能があることが理解できる。

イ 上記アから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「紙粘土と和紙からなる補強材を用いた造花であって、
前記和紙からなる補強材が接着剤で貼りつけられた、和紙により補強及び装飾された紙粘土細工の造花。」

ウ 引用文献5の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献である、特開平9-228126号公報(以下「引用文献5」という。)には、「形状記憶効果を持つ材料を用い形を変化させる造花」に関して、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【0002】なお、本発明の願書、及び提出物件において造花とは紙、糸、布、樹脂、合成樹脂、合成繊維、針金等の材料を用いて作った模造の花、幹、枝、茎、葉、蔦、蔓、実等の模造の植物の一部、又は、紙、糸、布、樹脂、合成樹脂、合成繊維、針金等の材料を用いて作った模造の花、幹、枝、茎、葉、蔦、蔓、実等の模造の植物の一部を組合わしたものを総称し、造花と称す。」

(イ)「【0033】(ロ)図(13)は蕾の形をした造花である。萼(19)は形状記憶材でできている。図(13)の造花の蕾の断面図を図(14)に示す。花弁(18)は萼(19)に取り付けられている。茎(20)は萼(19)に差し込まれている。花弁(18)、及び花心(21)の取り付けは接着剤を用いているが、他の方法を用いてもよい。茎(20)と萼(19)の接合は差し込み式になっているが、他の方法を用いてもよい。」

エ 引用文献6の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献である、特開平2-34101号公報(以下「引用文献6」という。)には、「アクセサリー体製造方法及びアクセサリー体」に関して、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「(1)産業上の利用分野
本発明は、ブローチやペンダント等のアクセサリー体の製造方法及びアクセサリー体に関する。」(2ページ左上欄2ないし4行)

(イ)「本発明は、かかる上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄和紙を適宜大きさに千切って水溶でんぷん糊に含浸させた千切り和紙片を枠に絡めて枠自体も包み込むように形成するとともに該千切り和紙片を一部重畳するように貼り重ねて拡大させて枠の表裏面部を固着形成し、この表裏面部にデザイン体を配設することにより、枠の形状及び和紙の繊維質を透光させてステンドグラス様の美観を生起させるとともに、軽量かつ簡単な構造で、コストを安価に維持できるアクセサリー体製造方法及びアクセサリー体を提供することにある。」(2ページ左上欄17行ないし右上欄8行)

(ウ)「また、ビニールコーテイングされた紙を枠に貼ってゆくのと違い、水で稀釈したでんぷん糊に含浸した薄和紙を用いるので、柔軟性、可塑性があり、狭い面積や複雑な形状を簡単に形成することができる。」(3ページ左下欄4ないし8行)

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「紙粘土」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本件補正発明における「粘土(10)」に相当し、以下同様に、「和紙からなる補強材」は「和紙(20)」に、「和紙により補強及び装飾された紙粘土細工の造花」は「和紙による補強及び装飾クレイフラワー(2)」にそれぞれ相当する。
また、引用発明における「前記和紙からなる補強材が接着剤で貼りつけられた」ことと、本件補正発明における「複数枚の前記和紙(20)が重畳的に水(50)と水性接着剤(60)を介して貼着されていること」とは「和紙が少なくとも接着剤を介して貼着されていること」という限りにおいて一致する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「粘土と和紙を用いた造花であって、
前記和紙が少なくとも接着剤を介して貼着されている、和紙による補強及び装飾クレイフラワー。」

[相違点1]
本件補正発明においては、和紙が貼着されるものが「花弁(12)、葉(13)、萼(14)、実(15)、茎(16)といった造花の粘土成形部品(11)の全部又は少なくとも前記花弁(12)」であるのに対し、
引用発明においては、和紙からなる補強材が貼りつけられたものであるが、花弁、葉、萼、実、茎といった造花の粘土成形部品の全部又は少なくとも前記花弁であるか不明である点。
[相違点2]
本件補正発明においては、「複数枚の」和紙が「重畳的に」貼着されているのに対し、
引用発明においては、和紙からなる補強材が複数枚重畳的に貼りつけられているか不明である点。
[相違点3]
「和紙が少なくとも接着剤を介して貼着されていること」に関して、
本件補正発明においては、和紙が「水(50)と水性接着剤(60)を介して」貼着されているのに対し、
引用発明においては、和紙からなる補強材が接着剤で貼りつけられているが、接着剤が水と水性接着剤とはされていない点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
花弁、葉、萼、実、茎などは造花に通常備わる要素であるところ(例えば、原査定の拒絶の理由に引用した引用文献5である特開平9-228126号の段落【0002】、【0033】、図1及び図13の記載のほか、特開2001-3215号公報の段落【0017】及び図5の記載及び特開2014-181428号公報の請求項1及び図6(A)、(B)等の記載を参照。)、引用文献1の記載によれば、紙粘土細工の造花は紙粘土を所望の大きさの小片に切りとり、小片を組み合わせて完成品を作るものであるから(上記「(2)ア(ア)」)、引用発明の紙粘土細工の造花において、小片として花弁、葉、茎などを作成して、それらを組み合わせて完成品とすることは、当業者が容易になし得ることであって、その際、造花の構成要素のうち観賞・装飾の観点から花弁が最も意匠性や耐久性が要求されることは明らかであり、少なくとも花弁に和紙を貼りつけて補強・装飾とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

イ 相違点2について
そもそも、本件補正発明の「複数枚の和紙が重畳的に」「貼着されている」とはどのようなことを表しているのか必ずしも明らかでないが、一般に、「重畳」とは「幾重にも重なること」(広辞苑第六版)であるから、本件補正発明の「複数枚の和紙が重畳的に」「貼着されている」とは和紙が幾重にも重ねて貼着されていることであると解される。
そうすると、引用文献6(上記「(2)エ(イ)」)などにある和紙の小片を重畳して貼着する技法は「張り子」のような民芸品等に用いられているように周知の技術(以下、「周知技術1」という。)であり、引用発明の和紙は補強材であるから、和紙の厚さ・強度などに応じて、より補強を要するのであれば、和紙の小片を重畳的に貼着する手段を採用して、さらに補強することは、当業者にとって通常の創作能力の発揮にすぎない。

ウ 相違点3について
紙や布帛を貼り合わせた造花などの手芸品において、水性接着剤を水で薄めて使用することは、例えば、原査定の拒絶の理由に引用した引用文献6である特開平2-34101号公報の3ページ左下欄4ないし8行(上記「(2)エ(ウ)」)や特開2001-3215号公報の段落【0011】に記載されるように周知の技術(以下、「周知技術2」という。)であり、引用発明において、接着剤を、水性接着剤とし、その種類(濃度・粘性など)に応じて、周知技術のように水で薄めて用いることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。

エ 請求人の主張について
(ア)請求人は、審判請求書において、「また、本発明のように実際の花に近似した造形を作るとなると、花弁や葉等においては1ミリ以下から2.5ミリ程度としなければならない本願に対し、引用文献1に記載の発明では、1?3センチと厚く(2ページ目左段落13行目)、発明が解決しようとする課題が異なっております。即ち、クレイフラワーという特殊な造形技術を必要とする分野において、和紙を使うことで、より薄く、より強く、より実物らしく表現できるのが本願発明であり、また、貼着手段に水溶性接着剤と水を用いた補正後の請求項では、水性接着剤のみという貼着手段であると重量の増加と接着の際の伸びが悪く、塗布における作業性の面から水で薄める方が効率的であり、また、水溶性接着剤に水を加えることで、和紙特有の吸水性、保湿性から粘土成形部品の形状に応じる展延性がよくなり、貼りやすく馴染みやすいという効果を発揮するものへと変更されております。」と主張している。
請求人は上記主張において、クレイフラワーが特殊な造形を必要とする分野であることや花弁の厚さがきわめて薄いことを主張しているが、請求項3の記載では、本件補正発明の「クレイフラワー」が粘土と和紙を用いた造花であって花弁等の部品があることは理解できるところ、請求項3には、花弁等の部品の厚さがいかなるものか、また、花弁等の部品が特殊な造形であるか、さらに、花弁等の部品を組み合わせたクレイフラワーが特殊な造形をしているかについての限定はないから、請求人のかかる主張は請求項の記載に基づかない主張である。
また、請求人の上記主張では、水溶性接着剤に水を加えることで作業性が向上する旨主張しているが、請求人の主張するかかる効果は、クレイフラワーの製造方法による効果ではあり得ても、本件補正発明は、「和紙による補強及び装飾クレイフラワー」という「物」の発明であるから、請求人のかかる主張は請求項3の記載に基づくものではなく失当である。

(イ)請求人は、平成30年12月29日提出の意見書において、「具体的には、補正後の本願発明は、和紙貼着体を複数枚重畳的に重ね合わせて貼り付ける構成を採用していることから、明細書の段落番号0058、0059、0061或いは図面の図4(b)及び図5に示した通り、色彩の濃い部分と薄い部分を使い分けるなどして、グラデーション的効果や、本物の花弁の色彩の変化を表現できたりするものであります。更に、自然界にはない非現実的な造形美を創出することも可能となるものであり、また、補強効果も高まります。」と主張している。
しかしながら、上記「イ」の相違点2についての判断で示したように、そもそも、本件補正発明の「複数枚の和紙が重畳的に」「貼着されている」とはどのようなことを表しているのか必ずしも明らかでないが、一般に、「重畳」とは「幾重にも重なること」(広辞苑第六版)であるから、本件補正発明の「複数枚の和紙が重畳的に」「貼着されている」とは和紙が幾重にも重ねて貼着されていることであると解される。
そうすると、請求項3の記載では、請求人の意見書における上記主張にあるような「色彩の濃い部分と薄い部分を使い分ける」ことに対応する具体的な事項は読み取れず、請求人のかかる主張は、請求項の記載に基づかない主張であり採用できない。
そして、上記「イ」の相違点2についての判断に示したように、引用文献6(上記「(2)エ(イ)」)などにある和紙の小片を重畳して貼着する技法は「張り子」のような民芸品等に用いられているし、引用発明において和紙を重畳、すなわち和紙を幾重にも重ねることは、より強度を高めるために、当業者が適宜なし得たことにすぎない。
なお、請求人が主張する「グラデーション効果」は本件補正発明の効果ではないが、和紙で花弁を制作する際に、和紙などの造花用素材を花弁形状に裁断して表花弁用面としたものの下部に当該表花弁用面より少し濃い色の和紙などを貼りつけてグラデーションを出す手法は、上記「ア」の相違点1についての判断でも示した特開2014-181428号公報(特に段落【0044】及び図3(A)参照。)に記載されている。

オ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、周知技術1及び周知技術2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

カ したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和元年7月1日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、平成30年12月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項7に記載された事項により特定される、上記「第2[理由]1(2)」に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
請求項7に係る発明についての原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項7に係る発明は、本願の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開昭61-91683号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、上記「第2[理由]2(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]2」で検討した本件補正発明から、「水(50)と水性接着剤(60)を介して」との限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2[理由]2(3)、(4)」に記載したとおり、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件補正発明から「水(50)と水性接着剤(60)を介して」との限定事項を削除した本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-06-30 
結審通知日 2020-07-07 
審決日 2020-07-22 
出願番号 特願2018-155660(P2018-155660)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A41G)
P 1 8・ 121- Z (A41G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 健晴長清 吉範  
特許庁審判長 柿崎 拓
特許庁審判官 松本 泰典
佐々木 芳枝
発明の名称 和紙による補強及び装飾クレイフラワーの製造方法  
代理人 上吉原 宏  

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