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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E04B
管理番号 1367416
審判番号 不服2019-17024  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-17 
確定日 2020-11-09 
事件の表示 特願2016- 30517「柱梁接合構造の製造方法及び柱梁接合構造」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月24日出願公開、特開2017-145670、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年2月19日の出願であって、平成31年1月30日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年4月5日付けで手続補正がされ、令和1年9月5日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和1年12月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和1年9月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1,2に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2006-2505号公報
2.特開平6-288033号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2000-199270号公報(周知技術を示す文献)

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって、請求項1において、
(1)「柱と梁とを接合した鋼構造物の柱梁接合部」を「柱と梁とを接合した鋼構造物の柱梁接合構造」とする補正
(2)「第一の接合部」及び「第二の接合部」を「第一の溶接接合部」及び「第二の溶接接合部」に限定する補正
(3)第一から第四の梁フランジプレートの一端及び他端を「材軸方向の一端」及び「材軸方向の他端」に限定する補正
(4)第一及び第三の梁フランジプレートに「鋼板からなる」という事項を追加する補正
(5)「第一の接合部近傍」及び「第二の接合部近傍」を「第一の溶接接合部の近傍」及び「第二の溶接接合部の近傍」とする補正
がなされている。(下線は、補正箇所を示す。)

上記(1)?(5)の補正について検討すると、(1)-(5)の補正はいずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、当初明細書の段落【0021】における「・・・本実施例1の柱梁接合構造1は、柱2aと梁2とが接合されている。フランジプレート5の一端51は、略水平面を有して柱梁接合部2bにおいて溶接により柱2aの柱面に接合されている。」、「フランジプレート5の他端52は、梁2の材軸方向A(梁2の長手方向)の中央部のフランジプレート5aに溶接部6により突合せ溶接されている。」との記載、及び、段落【0024】における「フランジプレート5は、鋼板から切欠き7を付けた状態でロール成形される・・・」との記載からみて、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。(下線は、審決で付した。)
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1,2に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1,2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」,「本願発明2」という。)は、令和1年12月17日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
柱と梁とを接合した鋼構造物の柱梁接合構造において、材軸方向の一端で柱面に第一の溶接接合部を介して接合されていると共に柱面から離れた位置であって梁の幅方向において対称位置に配されている第一の一対の切欠きを有している鋼板からなる第一の梁フランジプレートと、材軸方向の一端で第一の梁フランジプレートの材軸方向の他端に接合されている第二の梁フランジプレートと、材軸方向の一端で柱面に第二の溶接接合部を介して接合されていると共に柱面から離れた位置であって梁の幅方向において対称位置に配されている第二の一対の切欠きを有している鋼板からなる第三の梁フランジプレートと、材軸方向の一端で第三の梁フランジプレートの材軸方向の他端に接合されている第四の梁フランジプレートと、第一から第四の梁フランジプレートの夫々が接合されているウェブプレートとを具備しており、第一の梁フランジプレートは、第一の溶接接合部の近傍に第一の厚肉部を具備しており、第三の梁フランジプレートは、第二の溶接接合部の近傍に第二の厚肉部を具備しており、第一の厚肉部は、梁の材軸方向において、第一の溶接接合部と第一の一対の切欠きとの間に配されており、第二の厚肉部は、梁の材軸方向において、第二の溶接接合部と第二の一対の切欠きとの間に配されている柱梁接合構造。

【請求項2】
第一及び第二の肉厚部の夫々は、ウェブプレート側において互いに向かって張り出している請求項1に記載の柱梁接合構造。」

なお、【請求項2】における「第一及び第二の肉厚部」との記載は、「第一及び第二の厚肉部」の誤記であることは明らかなので、以下、「第一及び第二の厚肉部」と解釈して判断を行うこととする。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。)
(1)「【請求項1】
柱と梁とを接合した鋼構造物の柱梁接合部において、略水平面をなして一端を柱面に接合されると共に、他端を柱面と対向する第二の梁フランジプレートに接合される少なくとも一つの第一の梁フランジプレートを有し、第一の梁フランジプレートと第二の梁フランジプレートとは略鉛直面をなしてウェブプレートに接合され、第一の梁フランジプレートは柱面から離れた位置に切欠きを有することを特徴とする柱梁接合構造。」

(2)「【0026】
(第1の実施の形態)
図1から図5において、本例の柱梁接合構造1は、柱2aと梁2が接合されている。第一の梁フランジプレート5の一端は、略水平面をなして柱梁接合部2bにおいて溶接により柱2aの柱面に接合されている。また、梁2のウェブ(ウェブプレート)4は、ガセットプレート11を介してボルト12により柱2aと接合されている。梁2は、溶接組み立てされたビルトアップH形梁である。梁端部の第一の梁フランジプレート5の他端は、梁中央部の第二の梁フランジプレート5aの一端と溶接部6により突合せ溶接されている。梁2は、第一及び第二の梁フランジプレート5及び5aが略鉛直面をなして隅肉溶接6aによりウェブ4に接合されることでビルトアップH形梁を形成している。・・・
【0027】
・・・柱梁接合部2bには、当該柱梁接合部2bから離反した位置よりも大きな曲げ応力が加えられるが、本例の柱梁接合構造1では、柱梁接合部2bでは第一の梁フランジプレート5の幅が広く補強されている一方、第一の梁フランジプレート5の柱面から離反した位置には切欠き(切欠き部)7が形成されているので、柱梁接合部2bで延性破断や脆性破壊が生じうる程度の大きな外力が加えられたとしても、柱梁接合部2bで延性破断や脆性破壊が生じるよりも先に切欠き部7で塑性変形を生じさせて降伏ヒンジが形成されるようになっている。
【0028】
第一の梁フランジプレート5は、鋼板から切欠き7を付けた状態で切断されるため、補強プレートを梁2に溶接する必要がない。また、応力の大きい梁端部に対応する第一の梁フランジプレート5に高強度の材質の鋼板を用い、応力の小さい梁中央部に対応する第二の梁フランジプレート5aに通常の材質の鋼板を使用して鋼材量の低減を行うことができる。・・・」

(3)図1?図3は以下のとおり。
【図1】


【図2】


【図3】


(4)図1を参照すると、切欠き部7は、梁の幅方向において対称位置に一対配されていることが看取できる。
また、図1?図3を参照すると、第一,第二の梁フランジプレート5,5aの配置及び接合構造、第一,第二の梁フランジプレート5,5aに対する柱2aと梁4の配置及び接合構造は、ウェブ4の上側及び下側で同様であることが看取できる。

(5)上記(1)ないし(4)からみて、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「柱と梁とを接合した鋼構造物の柱梁接合部における柱梁接合構造において、
上側の第一の梁フランジプレート5は、鋼板から切断されるものであって、その一端が、略水平面をなして上側の柱梁接合部2bにおいて溶接により柱2aの柱面に接合され、上側の柱梁接合部2bには、当該上側の柱梁接合部2bから離反した位置よりも大きな曲げ応力が加えられるが、上側の柱梁接合部2bでは上側の第一の梁フランジプレート5の幅が広く補強されている一方、上側の第一の梁フランジプレート5の柱面から離反した位置に、梁の幅方向において対称位置に一対配されている切欠き(切欠き部)7が形成され、
梁端部の上側の第一の梁フランジプレート5の他端は、梁中央部の上側の第二の梁フランジプレート5aの一端と上側の溶接部6により突合せ溶接され、
下側の第一の梁フランジプレート5は、鋼板から切断されるものであって、その一端が、略水平面をなして下側の柱梁接合部2bにおいて溶接により柱2aの柱面に接合され、下側の柱梁接合部2bには、当該下側の柱梁接合部2bから離反した位置よりも大きな曲げ応力が加えられるが、下側の柱梁接合部2bでは下側の第一の梁フランジプレート5の幅が広く補強されている一方、下側の第一の梁フランジプレート5の柱面から離反した位置に、梁の幅方向において対称位置に一対配されている切欠き(切欠き部)7が形成され、
梁端部の下側の第一の梁フランジプレート5の他端は、梁中央部の下側の第二の梁フランジプレート5aの一端と下側の溶接部6により突合せ溶接され、
梁2は、上下の第一及び第二の梁フランジプレート5及び5aが略鉛直面をなして隅肉溶接6aによりウェブ4に接合されることでビルトアップH形梁を形成した、
柱梁接合構造。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、段落【0004】、【0010】、【0011】、【0017】、【図8】、【図9】及び【図14】等の記載からみて、建築構造物用鋼製部材の作用応力の大きい部位に厚肉部を配置するものであって、該部位として、溶接等により柱に対し固定される鋼製梁の両端の各フランジや、中央部の各フランジ、H型断面鋼柱本体の各フランジの両端部とすること(以下「技術事項1」という。)が記載されている。

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、段落【0009】?【0014】、【図1】及び【図2】等の記載からみて、柱梁接合構造において、鉄骨梁は、その上下のフランジ端から、梁成の1/3?1の長さ範囲に、他のフランジ部分よりも肉厚の鋼板フランジが接合されて、上下の鋼板フランジの端部が柱の外周に溶接されるとともに、ウエブが、予め柱に接合した金物に高力ボルトを介して接合されることにより、ウエブ11bの端部上下にスカラップ16を形成することによって生じるウエブ11bと柱10との接合部における接合強度の低下を、肉厚にした鋼板フランジによって補うこと(以下「技術事項2」という。)が記載されている。


第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比する。
ア 引用発明において、「上側の第一の梁フランジプレート5」の「一端」は、「上側の柱梁接合部2bにおいて溶接により柱2aの柱面に接合され」ることからみて、その材軸方向の一端であること、及び、上側の柱梁接合部2bにおいて溶接接合部を介して接合されていることは自明である。また、「上側の第一の梁フランジプレート5」は、「鋼板から切断されるものであ」るから、「鋼板からなる」ことは明らかである。
よって、引用発明の「鋼板から切断されるものであって、その一端が、略水平面をなして上側の柱梁接合部2bにおいて溶接により柱2aの柱面に接合され、上側の柱梁接合部2bでは、上側の第一の梁フランジプレート5の柱面から離反した位置に、梁の幅方向において対称位置に一対配されている切欠き(切欠き部)7が形成され」る「上側の第一の梁フランジプレート5」は、「一対配されている切欠き(切欠き部)7」及び「上側の柱梁接合部2b」の「溶接接合部」を、便宜上、共に「第一」とすれば、本願発明1の「材軸方向の一端で柱面に第一の溶接接合部を介して接合されていると共に柱面から離れた位置であって梁の幅方向において対称位置に配されている第一の一対の切欠きを有している鋼板からなる第一の梁フランジプレート」に相当する。

イ 上記アで「材軸方向」について検討したことと同様に、引用発明において、「上側の第一の梁フランジプレート5の他端」は、その材軸方向の他端を意味し、「上側の第二の梁フランジプレート5aの一端」は、その材軸方向の一端を意味する。
よって、引用発明において、「梁端部の上側の第一の梁フランジプレート5の他端は、梁中央部の上側の第二の梁フランジプレート5aの一端と上側の溶接部6により突合せ溶接され」ることから、引用発明の「上側の第二の梁フランジプレート5a」は、本願発明1の「材軸方向の一端で第一の梁フランジプレートの材軸方向の他端に接合されている第二の梁フランジプレート」に相当する。

ウ 上記アで「材軸方向」について検討したことと同様に、引用発明において、「下側の第一の梁フランジプレート5」の「一端」は、その材軸方向の一端であること、及び、下側の柱梁接合部2bにおいて溶接接合部を介して接合されていることは自明である。また、「下側の第一の梁フランジプレート5」は、「鋼板から切断されるものであ」るから、「鋼板からなる」ことは明らかである。
よって、引用発明の「鋼板から切断されるものであって、その一端が、略水平面をなして下側の柱梁接合部2bにおいて溶接により柱2aの柱面に接合され、下側の柱梁接合部2bでは、下側の第一の梁フランジプレート5の柱面から離反した位置に、梁の幅方向において対称位置に一対配されている切欠き(切欠き部)7が形成され」る「下側の第一の梁フランジプレート5」は、「一対配されている切欠き(切欠き部)7」及び「下側の柱梁接合部2b」の「溶接接合部」を、便宜上、「第二」とすれば、本願発明1の「材軸方向の一端で柱面に第二の溶接接合部を介して接合されていると共に柱面から離れた位置であって梁の幅方向において対称位置に配されている第二の一対の切欠きを有している鋼板からなる第三の梁フランジプレート」に相当する。

エ 上記アで「材軸方向」について検討したことと同様に、引用発明において、「下側の第一の梁フランジプレート5の他端」は、その材軸方向の他端を意味し、「下側の第2の梁フランジプレート5aの一端」は、その材軸方向の一端を意味する。
よって、引用発明において、「梁端部の下側の第一の梁フランジプレート5の他端は、梁中央部の下側の第二の梁フランジプレート5aの一端と下側の溶接部6により突合せ溶接され」ることから、引用発明の「下側の第二の梁フランジプレート5a」は、本願発明1の「材軸方向の一端で第三の梁フランジプレートの材軸方向の他端に接合されている第四の梁フランジプレート」に相当する。

オ 引用発明において、「梁2は、上下の第一及び第二の梁フランジプレート5及び5aが略鉛直面をなして隅肉溶接6aによりウェブ4に接合されることでビルトアップH形梁を形成した」ことは、上下の第一及び第二の梁フランジプレート5及び5aにウェブ4が接合されていることと解されることから、引用発明の「上下の第一及び第二の梁フランジプレート5及び5aが略鉛直面をなして隅肉溶接6aにより」「接合される」「ウェブ4」は、本願発明1の「第一から第四の梁フランジプレートの夫々が接合されているウェブプレート」に相当する。

カ 以上のことから、本願発明1と引用発明は、
「柱と梁とを接合した鋼構造物の柱梁接合構造において、材軸方向の一端で柱面に第一の溶接接合部を介して接合されていると共に柱面から離れた位置であって梁の幅方向において対称位置に配されている第一の一対の切欠きを有している鋼板からなる第一の梁フランジプレートと、材軸方向の一端で第一の梁フランジプレートの材軸方向の他端に接合されている第二の梁フランジプレートと、材軸方向の一端で柱面に第二の溶接接合部を介して接合されていると共に柱面から離れた位置であって梁の幅方向において対称位置に配されている第二の一対の切欠きを有している鋼板からなる第三の梁フランジプレートと、材軸方向の一端で第三の梁フランジプレートの材軸方向の他端に接合されている第四の梁フランジプレートと、第一から第四の梁フランジプレートの夫々が接合されているウェブプレートとを具備している柱梁接合構造。」で一致するものの、本件発明1が、「第一の梁フランジプレートは、第一の溶接接合部の近傍に第一の厚肉部を具備しており、第三の梁フランジプレートは、第二の溶接接合部の近傍に第二の厚肉部を具備しており、第一の厚肉部は、梁の材軸方向において、第一の溶接接合部と第一の一対の切欠きとの間に配されており、第二の厚肉部は、梁の材軸方向において、第二の溶接接合部と第二の一対の切欠きとの間に配されている」のに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点(以下「相違点」という。)で相違している。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
ア まず、引用発明の上下の第一の梁フランジプレート5の柱梁接合部2bのフランジに厚肉部を適用することの容易性について検討する。
上記第5の2及び3に記載された、引用文献2及び3に記載の技術事項1及び2からみて、梁の柱接合部であるフランジ端部に厚肉部を設けること自体は、本願出願前に周知技術であったといえる。
しかしながら、技術事項1は、作用応力の大きい部位として、梁のフランジ端部を挙げてはいるが、その他に、梁の中央部や、柱の両端部も挙げられている。
また、技術事項2は、ウエブ11bと柱10との接合部における接合強度の低下を、肉厚にした鋼板フランジによって補うことを課題としている。
よって、仮に、梁の柱接合部であるフランジ端部に厚肉部を設けることが周知技術であったとしても、引用文献2及び3の記載事項から、引用発明において、幅が広く補強されている部分を周知技術である厚肉部に代える動機付けがない。
さらに、上記技術事項1及び2は、一対の切欠きを備えておらず、厚肉部と切欠きの配置の関係は不明であるから、仮に厚肉部を引用発明に適用したとしても、厚肉部が、上下の第一及び第三の梁フランジプレートにおいて、溶接接合部と切欠きとの間に配されることとなるとは認められない。
したがって、引用発明において、上記周知技術を適用することにより、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではないから、本願発明1は、引用文献1に記載された発明、引用文献2,3に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.本願発明2について
本願発明2も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明、、引用文献2,3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第7 原査定について
1.理由2(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1,2は「第一の梁フランジプレートは、第一の溶接接合部の近傍に第一の厚肉部を具備しており、第三の梁フランジプレートは、第二の溶接接合部の近傍に第二の厚肉部を具備しており、第一の厚肉部は、梁の材軸方向において、第一の溶接接合部と第一の一対の切欠きとの間に配されており、第二の厚肉部は、梁の材軸方向において、第二の溶接接合部と第二の一対の切欠きとの間に配されている柱梁接合構造。」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。



 
審決日 2020-10-12 
出願番号 特願2016-30517(P2016-30517)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (E04B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 美紗子  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 住田 秀弘
西田 秀彦
発明の名称 柱梁接合構造の製造方法及び柱梁接合構造  
代理人 高田 武志  
代理人 久保 司  

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