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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K
管理番号 1367778
審判番号 不服2019-12873  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-27 
確定日 2020-11-05 
事件の表示 特願2015-167192号「界磁子,界磁子の製造方法および電動機械」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月2日出願公開,特開2017- 46462号〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概略
本願は,平成27年8月26日の出願であって,平成31年4月22日付けで拒絶理由が通知され,令和元年6月12日に意見書及び手続補正書が提出されたが,令和元年6月26日付けで拒絶査定がなされた。これに対し,令和元年9月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,それと同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和元年9月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の結論]
令和元年9月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正後の請求項1に係る発明
(1) 本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,
「【請求項1】
磁性粉末を含む圧粉磁心と,
前記圧粉磁心に埋設されている永久磁石と,
を有し,
前記磁性粉末は,
軟磁性材料で構成される複数の粒子と,
ガラス材料を含有し,前記粒子の表面を覆う平均厚さ5nm以上3000nm以下の絶縁層と,
を含むことを特徴とする界磁子。」
と補正された(なお,下線は,本件補正により補正された箇所を示す。)。

(2) 本件補正後の請求項1は,その記載振りからすると,本件補正前の,令和元年6月12日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項4に対応していると認められるところ,本件補正前の請求項4は次のとおりである。
「【請求項4】
磁性粉末を含む圧粉磁心と,
前記圧粉磁心に埋設されている永久磁石と,
を有し,
前記磁性粉末は,
軟磁性材料で構成される複数の粒子と,
前記粒子の表面を覆う絶縁層と,
を含むことを特徴とする界磁子。」

(3) 前記の請求項1に係る本件補正は,本件補正前の請求項4に記載した発明を特定するために必要な事項である「絶縁層」に関し,「ガラス材料を含有し,前記粒子の表面を覆う平均厚さ5nm以上3000nm以下」のものであることの限定を付加するものである。
そして,本件補正前の請求項4に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,本件補正は,特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(4) そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下に検討する。

2 引用文献に記載された事項
(1) 引用文献1
ア 原査定(令和元年6月26日付け拒絶査定)の拒絶の理由に示された引用文献3であり,本願出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である,特開2012-115138号公報には,以下の事項が記載されている(下線は,当審にて付与した。以下同様。)。
・「【請求項1】
スピンドルと,
該スピンドルの周囲に配置されている複数の焼結永久磁石と,
該複数の焼結永久磁石を少なくとも部分的に取り囲む圧縮成形された粉末の軟質磁性材料と,
前記複数の焼結永久磁石を少なくとも部分的に取り囲む圧縮成形された粉末の非磁性材料の複数の離散的領域であって,少なくとも部分的に前記軟質磁性材料の中に埋め込まれている非磁性材料の複数の離散的領域と,を具備し,
前記軟質磁性材料と前記非磁性材料の複数の離散的領域が,前記複数の焼結永久磁石を前記スピンドルに結合する電動機のためのロータ。」
・「【0001】
本明細書は,概して電動機のためのロータに関し,さらに特に,電動機のための永久磁石ロータに関する。」
・「【0003】
永久磁石を有するロータを製造するための従来の方法は,軟質磁性材料の薄い積層物を使用することを含んでいた。この積層物がアセンブリされる時に永久磁石がその積層物の切り抜き部分の中を通して挿入されることが可能であるように,この積層物の幾つかの部分が切り抜かれた。積層物の使用が,ロータの支持部分を形成するために単一の材料が使用されることを必要とした。磁束がその積層物のブリッジ材料を通過して漏洩する可能性があった。」
・「【0004】
したがって,代替の永久磁石ロータとこのロータの製造方法とが必要とされている。」
・「【0012】
図1と図2を参照すると,永久磁石ロータ100が,スピンドル110と,このスピンドル110の周囲に配置されている複数の焼結永久磁石120とを有する。軟質磁性材料130が焼結永久磁石120を少なくとも部分的に取り囲み,および,非磁性材料140の離散的領域が焼結永久磁石120を少なくとも部分的に取り囲む。一実施形態では,焼結永久磁石120は永久磁石ロータ100の軸方向長さに沿って連続的に延びる。別の実施形態(図示されていない)では,焼結永久磁石120は,永久磁石ロータ100の軸方向長さに沿って不連続的に(例えば,複数のセグメントとして)延びる。軟質磁性材料130と非磁性材料140の離散的領域とが永久磁石ロータ100の外径102を形成する。焼結永久磁石120は,磁束通路「J」,「K」,「L」で示されている,永久磁石ロータ100の周囲の複数の位置における局所的磁界を発生させる。」
・「【0015】
本明細書で説明する実施形態では,焼結永久磁石120は,図3に示されているように,軟質磁性材料130と非磁性材料140の離散的領域との中に埋め込まれている。永久磁石ロータ100の内側に焼結永久磁石120を埋め込むことによって,焼結永久磁石120は,様々な異なる形状構成の形で位置決めされ配置される。焼結永久磁石120は,永久磁石ロータ100の外径102の周囲の局所的磁界を変化させるように,永久磁石ロータ100の形成中に互いに対して相対的に位置決めされ配置される。例えば,焼結永久磁石120を互いに隣接した形に位置決めし方向付けすることによって,近位の焼結永久磁石120によって生じさせられる磁界が,互いに相互作用し,その結果として,単一の焼結永久磁石が使用される場合よりも強力な磁界を生じさせる。磁束通路「E」,「F」,「G」によって示されているように,これらの相互作用区域の1つにおいて生じさせられる磁束は,1つの焼結永久磁石120のN極から,隣接する焼結永久磁石120のS極へと「進む(travel)」。」
・「【0019】
図5を参照すると,焼結永久磁石120と永久磁石ロータ100の外径102との間の永久磁石ロータ100の場所が,「ブリッジ」位置104(すなわち,点線105の外側から外径102までの永久磁石ロータ100の領域)と呼ばれる。ブリッジ位置104内の材料は,焼結永久磁石120に対する機械的な支持を実現する。焼結永久磁石120の機械的支持は,永久磁石ロータ100の回転によって生じさせられる機械的力に対して抵抗する上で重要である。焼結永久磁石120に印加される外向きの慣性力の増大に相当する永久磁石ロータ100の最大動作速度の増大に応じて,増大した機械的支持が必要とされる。」
・「【0020】
永久磁石ロータ100のブリッジ位置104を通過して磁束が漏洩することを防止するために,焼結永久磁石120は,ブリッジ位置104内において非磁性材料140の離散的領域によって少なくとも部分的に包囲されている。ブリッジ位置104内の非磁性材料140の離散的領域は,隣接した焼結永久磁石120から磁束がブリッジ位置104を通過して進むことを防止する(すなわち,図3に示されている磁束通路「E」,「F」,「G」)。この漏洩磁束を防止することによって,非磁性材料140の離散的領域は,ブリッジ位置104内に非磁性材料140の離散的領域を持たないロータ(図4に示されているロータのようなロータ)の中へよりも,ステータ200と巻線210との中へより多くの磁束が方向付けられることを引き起こす。さらに,初期磁束通路が永久磁石ロータ100の外径102の外側で生じるので,後続の磁束通路は,さらにステータ200と巻線210との中に方向付けられる。したがって,永久磁石ロータ100の磁束密度全体が増大させられる。」
・「【0021】
永久磁石ロータ100の一実施形態では,図5に示されているように,焼結永久磁石120は,軟質磁性材料130によって少なくとも部分的に取り囲まれており,かつ,永久磁石ロータ100の内側に沿って,または,互いに隣接する焼結永久磁石120の間の内部区域106内において,非磁性材料140の離散的領域によって少なくとも部分的に取り囲まれている。図4に磁束通路「D」で示されているように,内部区域内に非磁性材料の離散的領域を持たない永久磁石ロータ900が,磁束が1つの永久磁石920のN極から同じ永久磁石920のS極に直接的に進むことを可能にする。図1から図3と,図5とに示されているように,内部区域106内に非磁性材料140を有する永久磁石ロータ100を形成することによって,焼結永久磁石120の内部磁極を取り囲む磁界は,永久磁石ロータ100の効率をさらに改善するように調整されることが可能である。」
・「【0023】
図1に示されている永久磁石ロータ100は,永久磁石ロータ100の軟質磁性材料130と非磁性材料140の離散的領域とをそれぞれに形成するために,粉末軟質磁性材料と粉末非磁性材料とを使用して作られる。粉末軟質磁性材料と粉末非磁性材料は,圧縮成形によって固体の一体状の永久磁石ロータ100の形に加工される。一実施形態では,これらの粉末は,ダイまたはモールドのようなフレーム内でこれらの粉末を圧縮成形する機械式プレス機を使用して,焼結永久磁石120の周囲で機械的に圧縮成形される。ダイは,焼結永久磁石120の位置を乱すことなしにその粉末を圧縮成形することを可能にするために,特定の部分に切り抜き部分を有してもよい。機械的圧縮成形は軸方向でも半径方向であってもよい。別の実施形態では,これらの構成要素が静水圧圧縮成形作業を使用して圧縮成形されることがある。静水圧圧縮成形作業は,粉末を一体的形状の形に圧縮成形して固体化させる,高圧力の気体で粉末を圧縮成形する。静水圧圧縮成形作業は,「熱間」(すなわち,高温度で行われる)であっても「常温」(すなわち,室温で行われる)であってもよい。静水圧圧縮成形作業に使用される気体は,圧縮成形中に粉末と反応しないように不活性であってもよい。さらに別の実施形態では,粉末と焼結永久磁石120とが,電磁的圧縮成形を使用して圧縮成形されることがある。電磁的圧縮成形プロセスを行うことが可能なシステムの一例が,オハイオ州デイトン市のIAPリサーチ社(IAP Research,Inc.)製のマグネプレス(登録商標)システム(Magnepress System)である。
【0024】
図6に示されているように,図7に概略的に示されているプロセス200では,フレーム300がステップ202で提供される。ステップ204では,スピンドル110がフレーム300の中に挿入される。その次に,複数の焼結永久磁石120が,ステップ206において,フレーム300の内側に配置され,および,予め決められた配向でスピンドル110の周囲に配置される。その次に,(ステップ208,210において)粉末軟質磁性材料131と粉末非磁性材料141が,粉末軟質磁性材料131が焼結永久磁石120を少なくとも部分的に取り囲むように,かつ,粉末非磁性材料141が焼結永久磁石120を少なくとも部分的に取り囲むように,フレーム300の中に充填される。ステップ212では,これらの構成要素は,一体状の永久磁石ロータ100を形成するように圧縮成形される。
【0025】
説明した方法にしたがって製造される永久磁石ロータ100は,弾性でありかつ動作中に印加される機械力に対して抵抗力を示す一体状の永久磁石ロータ100を形成するために,異なる材料が互いに同時に圧縮成形されることを可能にする。軟質磁性材料130は第1の材料を含み,および,非磁性材料140は,この第1の材料とは異なる組成を有する第2の材料を含む。」
・「【0028】
一実施形態では,軟質磁性材料130は電炉鋼である。この電炉鋼は,約0重量%から約6.5重量%のケイ素を含む鉄合金を含む。ケイ素の増加が,一般的に,渦電流の発生の減少,すなわち,当初の磁界の電荷を妨害する誘導磁界の減少に関連している。したがって,渦電流の減少は永久磁石ロータ100の性能を増大させる。しかし,鋼の中のケイ素含量の増大は,一般的に,従来の方法によってロータ用の積層物を生産するために必要とされることがある材料の加工性の低下に相当する。したがって,圧縮成形プロセスを使用することが,電炉鋼の積層物を使用するロータよりも多量のケイ素を含む電炉鋼を使用して永久磁石ロータ100を製造することを可能にする。」
・「【0032】
永久磁石ロータ100の一実施形態では,粉末軟質磁性材料131と粉末非磁性材料141は,約0.1ミクロンから約300ミクロンの平均粒径,例えば,約1ミクロンから約100ミクロンの平均粒径を有する粉末材料を含んでもよい。」
イ 上記の記載及び図面の記載からみて,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)
「スピンドル110と,
圧縮成形された粉末の軟磁性材料130及び圧縮成形された粉末の非磁性材料140の離散領域と,
前記軟磁性材料130及び前記非磁性材料140の離散領域の中に埋め込まれている焼結永久磁石120と,
を有する永久磁石ロータ100。」

(2) 引用文献2
原査定(令和元年6月26日付け拒絶査定)の拒絶の理由に示された引用文献4であり,本願出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である,特開2010-232225号公報には,以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】
軟磁性材料で構成された粒子状のコア部と,該コア部を覆うように設けられた絶縁性材料で構成された被覆層とを有し,
前記被覆層は,前記コア部に対して,前記コア部より小径の前記絶縁性材料の粒子を機械的に固着させて形成されたものであり,
前記絶縁性材料の粒子の平均粒径は,前記コア部の平均粒径の1?60%であることを特徴とする絶縁物被覆軟磁性粉末。」
・「【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の絶縁物被覆軟磁性粉末とバインダーとの混合物を,加圧・成形して成形体を得た後,該成形体中の前記バインダーを硬化させてなることを特徴とする圧粉磁心。
【請求項11】
請求項10に記載の圧粉磁心を備えたことを特徴とする磁性素子。」
・「【0001】
本発明は,絶縁物被覆軟磁性粉末,圧粉磁心および磁性素子に関するものである。」
・「【0007】
本発明の目的は,表面を絶縁物で被覆してなり,長期にわたって渦電流損失が小さい圧粉磁心を製造可能な絶縁物被覆軟磁性粉末,この粉末を用いて製造された低損失の圧粉磁心,およびこの圧粉磁心を備えた低損失の磁性素子を提供することにある。」
・「【0008】
上記目的は,下記の本発明により達成される。
本発明の絶縁物被覆軟磁性粉末は,軟磁性材料で構成された粒子状のコア部と,該コア部を覆うように設けられた絶縁性材料で構成された被覆層とを有し,
前記被覆層は,前記コア部に対して,前記コア部より小径の前記絶縁性材料の粒子を機械的に固着させて形成されたものであり,
前記絶縁性材料の粒子の平均粒径は,前記コア部の平均粒径の1?60%であることを特徴とする。
これにより,表面を絶縁物で被覆してなり,長期にわたって渦電流損失が小さい圧粉磁心を製造可能な絶縁物被覆軟磁性粉末が得られる。」
・「【0015】
本発明の圧粉磁心は,本発明の絶縁物被覆軟磁性粉末とバインダーとの混合物を,加圧・成形して成形体を得た後,該成形体中の前記バインダーを硬化させてなることを特徴とする。
これにより,長期にわたって低損失の圧粉磁心が得られる。
本発明の磁性素子は,本発明の圧粉磁心を備えたことを特徴とする。
これにより,長期にわたって低損失の磁性素子が得られる。」
・「【0018】
図1に示す絶縁物被覆軟磁性粉末の一粒子である複合粒子1は,軟磁性材料で構成された粒子状のコア部2と,コア部2の表面を覆う絶縁性の被覆層3とを有するものである。
このような絶縁物被覆軟磁性粉末では,表面が被覆層3で覆われていることにより,粒子間の絶縁性が確保されている。このため,このような複合粒子1をバインダーとともに所定の形状に加圧・成形することにより,例えば長期にわたって渦電流損失が小さい圧粉磁心を製造することができる。
以下,図1に示す複合粒子1を製造する方法について詳述する。
この製造方法は,コア部2に対して,それより粒径の小さい絶縁性材料の粒子(以下,省略して「絶縁粒子」という。)を機械的に固着させて,被覆層3を形成し,複合粒子1を製造する方法である。
【0019】
以下,この方法を順次説明する。
[1]まず,コア部2および絶縁粒子30を用意する。
コア部2は,軟磁性材料で構成された金属粉末の一粒子である。
かかる軟磁性材料としては,例えば,純鉄,ケイ素鋼(Fe-Si系合金),パーマロイ(Fe-Ni系合金),パーメンジュール(Fe-Co系合金),センダストのようなFe-Si-Al系合金,Fe-Cr-Si系合金等の各種Fe系合金の他,各種Ni系合金,各種Co系合金,各種アモルファス合金などが挙げられる。このうち,透磁率,磁束密度等の磁気特性や,コスト等の生産性の観点から,各種Fe系合金が好ましく用いられる。
【0020】
Fe系合金の中でもケイ素鋼は,Siを3?6質量%程度の割合で含むFe系の軟磁性材料である。ケイ素鋼は,透磁率が高く,かつ安価であるため,軟磁性材料として好適に用いられる。
また,パーマロイは,Niを35?82質量%程度の割合で含むFe系の軟磁性材料である。パーマロイは,前述の範囲内でFeとNiとの組成比を設定したり,添加物を加えたりすることによって,種々の軟磁気特性をもたらすことができるが,全体として透磁率および磁束密度が高い。このため,コア部2の透磁率および磁束密度を高めることができる。
【0021】
また,パーメンジュールは,Coを40?50質量%程度の割合で含むFe系の軟磁性材料である。なお,必要に応じて,V(バナジウム)を1?3質量%程度添加してもよい。パーメンジュールは,磁束密度が高いことから,コア部2の磁束密度の向上を図ることができる。
また,Fe-Si-Al系合金としては,特に,Siを5?11質量%程度の割合で含み,かつAlを3?8質量%程度の割合で含むセンダストが好ましく用いられる。センダストは,透磁率が高く,かつ硬度が高いため,コア部2の透磁率および硬度の向上を図ることができる。」
・「【0023】
一方,絶縁粒子30は,絶縁性材料で構成された粉末の一粒子である。
かかる絶縁性材料としては,無機系の絶縁性材料が挙げられ,例えば,ソーダ石灰ガラス,ホウケイ酸ガラス,鉛ガラス,アルミノケイ酸ガラス,ホウ酸塩ガラス,リン酸塩ガラス,硫酸塩ガラス,バナジン酸塩ガラスのような各種ガラス材料等を主成分とする材料が挙げられる。このようなガラス材料は,有機系材料に比べて化学的安定性および絶縁性に優れていることから,長期にわたって高い絶縁性を維持し得る被覆層3を形成することができる。このうち,好ましく用いられるガラス材料は,その軟化点が650℃以下のものであり,より好ましく用いられるガラス材料は,その軟化点が100?500℃程度のものである。
軟化点が100?500℃程度のガラス材料としては,例えば,酸化鉛を含有するホウ酸塩系ガラス(PbO・B_(2)O_(3))や,これに酸化亜鉛または酸化ケイ素を混合した三元系ガラス材料,酸化スズを含有するリン酸塩系ガラス(SnO・P_(2)O_(5))等が挙げられる。」
【0024】
[2]次に,コア部2に対して,絶縁粒子30を機械的に固着させる。これにより,コア部2の表面に被覆層3を形成する。
この機械的な固着は,コア部2の表面に絶縁粒子30を高い圧力で押圧することで生じる。具体的には,複合粒子1は,図2に示すような粉末被覆装置100を用いて上述した機械的な固着を生じさせることで製造される。
図2は,粉末被覆装置の構成を示す縦断面図である。なお,以下の説明では,図2中の上側を「上」,下側を「下」という。」
・「【0037】
また,絶縁粒子30の平均粒径のコア部2の平均粒径に対する割合は,前述したように1?60%とされるが,好ましくは10?50%とされる。
なお,本発明において,「平均粒径」とは,対象となる粉末の粒度分布において,体積の累積で50%の部分に分布する粉末の粒径を指す。
また,コア部2の平均粒径は,特に限定されないが,3?50μm程度であるのが好ましく,5?30μm程度であるのがより好ましく,8?20μm程度であるのがさらに好ましい。このように平均粒径が小さいコア部2を用いて圧粉磁心を製造した場合,渦電流が流れる経路を特に短くすることができる。このため,圧粉磁心の渦電流損失のさらなる低減を図ることができる。
【0038】
なお,コア部2の平均粒径が前記下限値を下回った場合,コア部2の充填性が低下するため,得られる圧粉磁心の密度が低下し,これにより,圧粉磁心の透磁率および機械的特性が低下するおそれがある。一方,コア部2の平均粒径が前記上限値を上回った場合,圧粉磁心中で渦電流が流れる経路が長くなるため,渦電流損失が急激に増大するおそれがある。
また,コア部2の表面に被覆層3を均一に成膜する観点からは,コア部2のタップ密度が高いことが好ましい。
具体的には,コア部2の真密度に対するタップ密度の割合は,45%以上であるのが好ましく,55%以上であるのがより好ましい。」
・「【0044】
このようにして形成された被覆層3は,その平均膜厚が,コア部2の平均粒径の0.1?20%程度であるのが好ましく,0.3?10%程度であるのがより好ましい。被覆層3の平均膜厚が前記範囲内であれば,複合粒子1(絶縁物被覆軟磁性粉末)は,十分な絶縁性を有するとともに,この複合粒子1の集合物を加圧・成形して圧粉磁心を製造した場合には,圧粉磁心の密度の著しい低下が防止され,結果的に,圧粉磁心の透磁率および磁束密度が著しく低下するのを防止することができる。すなわち,渦電流損失が小さく,かつ,透磁率および磁束密度に優れた圧粉磁心を製造可能な複合粒子1が得られる。」
・「【0046】
[圧粉磁心および磁性素子]
本発明の磁性素子は,チョークコイル,インダクター,ノイズフィルター,リアクトル,モーター,発電機のように,磁心を備えた各種磁性素子(電磁気部品)に適用可能である。すなわち,本発明の圧粉磁心は,これらの磁性素子が備える磁心に適用可能である。」
・「【0047】
以下,磁性素子の一例として,2種類のチョークコイルを代表に説明する。
<第1実施形態>
まず,本発明の磁性素子の第1実施形態を適用したチョークコイルについて説明する。
図3は,チョークコイルの構成を示す模式図(平面図)である。
図3に示すチョークコイル10は,リング状(トロイダル形状)の圧粉磁心11と,この圧粉磁心11に巻き回された導線12とを有する。このようなチョークコイル10は,一般に,トロイダルコイルと称される。」
・「【0063】
<第2実施形態>
まず,本発明の磁性素子の第2実施形態を適用したチョークコイルについて説明する。
図4は,チョークコイルの構成を示す模式図(透過斜視図)である。
以下,第2実施形態にかかるチョークコイルについて説明するが,それぞれ,前記第1実施形態にかかるチョークコイルとの相違点を中心に説明し,同様の事項については,その説明を省略する。
本実施形態にかかるチョークコイル20は,図4に示すように,コイル状に成形された導線22を,圧粉磁心21の内部に埋設してなるものである。すなわち,チョークコイル20は,導線22を圧粉磁心21でモールドしてなるものである。」
・「【0067】
次に,本発明の具体的実施例について説明する。
1.圧粉磁心および磁性素子の製造
(実施例1)
[1]まず,水アトマイズ法により製造されたFe-Cr-Si系合金の軟磁性粉末(コア部)を用意した。この軟磁性粉末は,Crを4.5質量%,Siを3.5質量%の割合でそれぞれ含むFe基合金粉末である。なお,この軟磁性粉末の粉末特性は以下のとおりである。
【0068】
<軟磁性粉末の粉末特性>
・平均粒径 :12μm
・タップ密度 :4.3g/cm^(3)
・真密度 :7.6g/cm^(3)
・真密度に対するタップ密度の割合:57%
・保磁力 :14.2Oe(1130A/m)
・質量磁化率 :190emu/g(3×10^(-6)Hm^(2)/kg)
また,酸化スズを含むリン酸塩系ガラスの粉末(絶縁粒子)を用意した。この粉末は,SnO-P_(2)O_(5)-MgO系ガラス(SnO:62モル%,P_(2)O_(5):33モル%,MgO:5モル%)の粉末である。
<ガラス粉末の粉末特性>
・平均粒径 :3μm
・ガラス材料の軟化点 :404℃
また,リン酸塩系ガラス粉末の平均粒径は,軟磁性粉末の平均粒径の25%であった。
【0069】
[2]次に,図2に示す粉末被覆装置100の容器110内に,軟磁性粉末とリン酸塩系ガラス粉末とを投入した。そして,粉末被覆装置100を稼働させ,軟磁性粉末の周囲にリン酸塩系ガラス粉末が固着してなる複合粒子(絶縁物被覆軟磁性粉末)を得た。
なお,得られた複合粒子の被覆層の平均厚さは2μmであり,絶縁層の平均厚さの軟磁性粉末の平均粒径に対する割合は17%であった。なお,この絶縁層の平均厚さは,他の実施例および各比較例においてもほぼ同様であった。
【0070】
[3]次に,得られた複合粒子と,エポキシ樹脂(有機バインダー)と,トルエン(有機溶媒)とを混合して混合物を得た。なお,エポキシ樹脂の添加量は,軟磁性粉末に対して2質量%とした。
[4]次に,得られた混合物を撹拌したのち,温度60℃で1時間加熱して乾燥させ,塊状の乾燥体を得た。次いで,この乾燥体を目開き500μmのふるいにかけ,乾燥体を粉砕して造粒粉末を得た。
【0071】
[5]次に,得られた造粒粉末を成形型に充填し,下記の成形条件に基づいて成形体を得た。
<成形条件>
・成形方法 :プレス成形
・成形体の形状:リング状
・成形体の寸法:外径28mm,内径14mm,厚さ5mm
・成形圧力 :6t/cm^(2)(588MPa)
[6]次に,成形体を大気雰囲気中において,温度150℃で1時間加熱して,エポキシ樹脂を硬化させた。これにより,圧粉磁心を得た。
【0072】
[7]次に,次に,得られた圧粉磁心を用い,以下の作製条件に基づいて,図3に示すチョークコイル(磁性素子)を作製した。
<コイル作製条件>
・導線の構成材料:Cu
・導線の線径 :0.5mm
・巻き数(透磁率測定時):7ターン
・巻き数(鉄損測定時) :1次側30ターン,2次側30ターン」

3 対比及び判断
(1) 対比
本件補正発明と引用発明とを,その有する機能に照らして対比してみるに,引用発明の「圧縮成形された粉末の軟磁性材料130」は,本件補正発明の「磁性粉末」に相当し,引用発明の「圧縮成形された粉末の軟磁性材料130及び圧縮成形された粉末の非磁性材料140の離散領域」よりなる部分は「圧粉磁心」に相当する。
また,引用発明の「焼結永久磁石120」は,本件補正発明の「永久磁石」に相当し,「前記軟磁性材料130及び前記非磁性材料140の離散領域の中に埋め込まれている」ものであるから,本件補正発明の「永久磁石」と同様に,「圧粉磁心に埋設されている」といえる。
そして,引用発明の「圧縮成形された粉末の軟磁性材料130」は,所定の平均粒径を有する粉末材料からなり(引用文献1【0032】),複数の粒子からなるといえるから,引用発明の「圧縮成形された粉末の軟磁性材料130」は,本件補正発明の「磁性粉末」と,「磁性粉末」は「軟磁性材料で構成される複数の粒子」を含む点で共通する。
さらに,引用発明の「永久磁石ロータ100」は,本件補正発明の「界磁子」に相当する。
そうすると,本件補正発明と引用発明とは,次の点で一致し,相違する。
(一致点)
「磁性粉末を含む圧粉磁心と,
前記圧粉磁心に埋設されている永久磁石と,
を有し,
前記磁性粉末は,
軟磁性材料で構成される複数の粒子
を含む界磁子。」
(相違点)
本件補正発明は,「磁性粉末」は,「軟磁性材料で構成される複数の粒子」と,「ガラス材料を含有し,前記粒子の表面を覆う平均厚さ5nm以上3000nm以下の絶縁層」とを含むのに対し,引用発明は,「軟磁性材料130」は,軟磁性材料で構成される粉末を含むものの,そのように構成されていない点。

(2) 判断
ア 引用文献2には,
・軟磁性材料で構成された粒子状のコア部と,該コア部を覆うように設けられた絶縁性材料で構成された被覆層とを有し,前記被覆層は,前記コア部に対して,前記コア部より小径の前記絶縁性材料の粒子を機械的に固着させて形成されたものであり,前記絶縁性材料の粒子の平均粒径は,前記コア部の平均粒径の1?60%である絶縁物被覆軟磁性粉末と,バインダーとの混合物を,加圧・成形して成形体を得た後,該成形体中の前記バインダーを硬化させてなる圧粉磁心
・当該圧粉磁心を備えた磁性素子が記載されており(【請求項1】,【請求項10】,【請求項11】),これにより,表面を絶縁物で被覆してなり,長期にわたって渦電流損失が小さい圧粉磁心を製造可能な絶縁物被覆軟磁性粉末が得られ(【0008】),長期にわたって低損失の圧粉磁心,磁性素子が得られる(【0015】)というものである。
そして,絶縁性材料としては,ソーダ石灰ガラス,ホウケイ酸ガラス,鉛ガラス,アルミノケイ酸ガラス,ホウ酸塩ガラス,リン酸塩ガラス,硫酸塩ガラス,バナジン酸塩ガラスのような各種ガラス材料等を主成分とする材料が挙げられ,このようなガラス材料は,有機系材料に比べて化学的安定性および絶縁性に優れていることから,長期にわたって高い絶縁性を維持し得る被覆層3を形成することができる,というものである(【0023】)。
また,渦電流損失の観点から,コア部2の平均粒径は,3?50μm程度であるのが好ましく,5?30μm程度であるのがより好ましく,8?20μm程度であるのがさらに好ましく(【0037】,【0039】),形成された被覆層3は,その平均膜厚が,コア部2の平均粒径の0.1?20%程度であるのが好ましく,0.3?10%程度であるのがより好ましい,とされている(【0044】)。すなわち,被覆層3の平均膜厚が,3nm?10000nm(=3*1000*0.1/100?50*1000*20/100)程度(最も好ましいのは24nm?2000nm(=8*1000*0.3/100?20*1000*10/100)程度)である。
さらに,磁性素子としてチョークコイルを作成した例ではあるが,複合粒子の被覆層の平均厚さが2000nm(=2μm*1000)である例が開示されている(【0069】)。
他方,引用文献1に「一実施形態では,軟質磁性材料130は電炉鋼である。…ケイ素の増加が,一般的に,渦電流の発生の減少,すなわち,当初の磁界の電荷を妨害する誘導磁界の減少に関連している。したがって,渦電流の減少は永久磁石ロータ100の性能を増大させる。…圧縮成形プロセスを使用することが,電炉鋼の積層物を使用するロータよりも多量のケイ素を含む電炉鋼を使用して永久磁石ロータ100を製造することを可能にする。」(【0028】)と記載されていることからすると,引用発明は,渦電流の減少に着目していることがわかる。
引用文献2には,引用文献2に記載された磁心が「モーター,発電機のように,磁心を備えた各種磁性素子(電磁気部品)に適用可能である」(【0046】)と記載され,界磁子への適用に関し示唆があり,軟磁性粒子の材質,粒径の共通性を踏まえると(引用文献1【0028】,【0032】,引用文献2【0019】,【0020】,【0037】),渦電流の減少の観点から,引用発明の「軟磁性材料130」に,引用文献2に記載の絶縁物被覆軟磁性粉末よりなる圧粉磁心に係る技術を適用する動機付けが十分に認められる。
そして,絶縁層の厚さの最適化,好適化は,発明の具体化において,当業者が通常の創作能力の発揮の範囲内にてなし得ることであって,引用文献2に開示された数値を参考にすれば,本件補正発明において特定されている範囲(平均厚さ5nm以上3000nm以下)とすることは,当業者にとって格別困難なことではない。
よって,引用発明に引用文献2に記載された事項を適用し,「軟磁性材料130」を,「軟磁性材料で構成される複数の粒子」と,「ガラス材料を含有し,粒子の表面を覆う平均厚さ5nm以上3000nm以下の絶縁層」とを含むものとすること,すなわち,前記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものと認められる。
本件補正発明の効果をみても,引用発明及び引用文献2に記載された事項から当業者が予測し得る範囲内のものであって格別ではない。
イ この点に関し,請求人は,概ね,以下のように主張している(審判請求書3.(3)(3-3))。
・引用文献1(原査定の引用文献3)に記載されている非磁性材料140(粉末非磁性材料141)は,軟質磁性材料130を取り囲んでいるわけではなく,非磁性材料140は,少なくとも「3000nm」という薄いものではないから,引用文献1には,「ガラス材料を含有し,前記粒子の表面を覆う平均厚さ5nm以上3000nm以下の絶縁層」という事項について,開示も示唆もない。
・引用文献2(原査定の引用文献4)には,磁性素子として,モーター,発電機を例示され,圧粉磁心にコイル様導線を埋設してなるチョークコイルについて記載しているものの(図4),永久磁石を埋設することについては,開示も示唆もない。
しかしながら,既に述べたとおり,引用発明は,渦電流の減少に着目しており,その観点から,引用発明の「軟磁性材料130」に,引用文献2に記載された,長期にわたって渦電流損失が小さい圧粉磁心を製造可能な絶縁物被覆軟磁性粉末,この粉末を用いて製造された低損失の圧粉磁心に係る技術を適用する動機付けは十分に認められる。引用文献2には,永久磁石を埋設する点について明示はないが,磁性素子として,モーター,発電機を例示しており,チョークコイルではあるが圧粉磁心内に埋設した例が開示されているのであるから,引用発明において渦電流を減少させるに当たり十分に参考になる技術であることは,当業者が容易に理解できるものである。

(3) そうすると,本件補正発明は,引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 以上を総合すると,本件補正発明は,引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって,本件補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反する。

4 まとめ
以上のとおり,本件補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は,前記のとおり却下されたので,本願の請求項1?4に係る発明は,令和元年6月12日の手続補正により補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものであるが,そのうち,請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は,前記第2・1(2)のとおりである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,本願発明は,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献3に記載された発明及び引用文献4に記載された事項に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
(引用文献)
引用文献3:特開2012-115138号公報(本審決における引用文献1)
引用文献4:特開2010-232225号公報(本審決における引用文献2)

3 引用文献に記載された事項
引用文献に記載された事項は,前記第2・2のとおりである。

4 対比及び判断
本件補正発明は,本願発明の「絶縁層」に関し,「ガラス材料を含有し,前記粒子の表面を覆う平均厚さ5nm以上3000nm以下」のものであることの限定を付加したものであるから,本願発明はそのような本件補正発明を包含するものである(前記第2・1(1),(2))。
そうすると,本願発明を特定するために必要な事項をすべて含む本件補正発明が,前記第2・3で検討したとおり,引用発明(原査定の引用文献3に記載された発明)及び引用文献2(原査定の引用文献4)に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 まとめ
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。

第4 むすび
以上第3のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-08-31 
結審通知日 2020-09-01 
審決日 2020-09-16 
出願番号 特願2015-167192(P2015-167192)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮崎 賢司  
特許庁審判長 柿崎 拓
特許庁審判官 窪田 治彦
山本 健晴
発明の名称 界磁子、界磁子の製造方法および電動機械  
代理人 増田 達哉  

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