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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1367943
審判番号 不服2019-251  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-10 
確定日 2020-11-12 
事件の表示 特願2016-174263「複数装置を有する双方向メディア案内システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月19日出願公開、特開2017- 17737〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
本件出願は、2006年(平成18年)12月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2005年12月23日、米国 2005年12月23日、米国)を国際出願日とする出願である特願2008-547294号の一部を、数次の分割を経て平成28年9月7日に新たな特許出願としたものであって、手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年10月26日付け:拒絶理由通知
平成30年 4月 2日 :意見書の提出及び手続補正
平成30年 9月 6日付け:拒絶査定
平成30年 9月10日 :拒絶査定の謄本の送達
平成31年 1月10日 :審判請求及び手続補正
令和 元年11月22日付け:当審の拒絶理由通知
令和 2年 2月25日 :意見書の提出及び手続補正

第2 本願発明について
1 本願発明
本願の請求項に係る発明は、令和2年2月25日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載した事項により特定されるものであるところ、その請求項6に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、各構成の符号(A)?(E6)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成A?構成E6と称する。

(本願発明)
「【請求項6】
(A)ユーザ機器装置のグループを生成し、前記グループ内の前記ユーザ機器装置とコンテンツを共有するシステムであって、
(B)前記システムは、ユーザの家庭内に設置されたユーザ機器装置を含み、
(B)前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置は、

(C)第1のユーザインターフェースを提示することであって、
(C1)前記第1のユーザインターフェースは、前記ユーザの家庭内の1つ以上のユーザ機器装置を前記グループに追加するように前記第1のユーザインターフェース内に提示された前記ユーザの家庭内の前記1つ以上のユーザ機器装置を前記ユーザが選択することによって、前記ユーザが前記グループを生成することを可能にするためのものである、ことと、
(D)第2のユーザインターフェースまたは第3のユーザインターフェースを提示することであって、
(D1)前記第2のユーザインターフェースは、前記グループに参加するように他のユーザの家庭内のユーザ機器装置を前記ユーザが招待することを可能にするためのものであり、
(D2)前記第3のユーザインターフェースは、他のユーザの家庭内のユーザ機器装置からの前記グループに参加するという要求を前記ユーザが承諾することを可能にするためのものである、ことと、
(E)第4のユーザインターフェースを提示することであって、
(E1)前記第4のユーザインターフェースは、前記グループ内の他のユーザ機器装置と共有されるコンテンツを前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置に記録することを前記ユーザに行わせることを可能にするためのものである、ことと、
(E2)前記グループ内の前記ユーザ機器装置の間で共有されるコンテンツのリストを表示することであって、
(E3)前記共有されるコンテンツは、前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置によって記録されたコンテンツを含む、ことと、
(G)前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置によって記録された前記コンテンツを再生するという要求を前記ユーザ機器装置の前記グループ内の他のユーザ機器装置から受信することと、
(H)前記コンテンツを前記他のユーザ機器装置に伝送することと
を行うように構成されており、

(B)前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置は、
(E4)選択されたコンテンツを記録するために、前記グループ内の前記ユーザ機器装置のうちの少なくとも2つに前記グループによって共有される格納空間を分配することと、
(E5)前記分配された格納空間を用いて、前記選択されたコンテンツを格納することと
を行うようにさらに構成されており、
(E6)前記グループ内の前記1つ以上のユーザ機器装置は、前記選択されたコンテンツを記録した後に、前記グループ内の前記ユーザ機器装置のうちの前記少なくとも2つのうちの他の任意のユーザ機器装置に分配された格納空間に前記選択されたコンテンツを格納するように構成されている、
(A)システム。」

2 引用文献に記載される発明及び技術
(1)引用文献1
(1-1)引用文献1の記載事項
令和元年11月22日付けの当審の拒絶の理由に記載された引用文献1である特開2004-102450号公報には、「サーバ装置、車載用電子機器、及びコンテンツ処理方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア 「【0017】
<システム構成>
本システムは、例えば集合住宅や近接する複数の家で構成されるグループなどに適用され、電子機器としてのメインサーバ251、車載サーバ(車載用電子機器)101、複数のホームサーバ111,121,…を有する。これらのサーバはそれぞれLAN131及びアンテナ線141に接続されている。
【0018】
LAN131及びアンテナ線141は、集合住宅などの共用施設として配設されており、各家庭やガレージに設けられる個々のサーバの間での通信を可能とする。
【0019】
メインサーバ251は、例えば集合住宅の管理室などに設けられ、本システム全体の制御を司るものである。」

イ 「【0021】
ホームサーバ111は、上記車載サーバ101の持ち主であるユーザの自宅に設けられたものである。ホームサーバ121…は、その他のユーザの自宅に設けられたものである。
【0022】
なお、車載サーバ101や複数のホームサーバ111,121,…は、例えばHDDや書き込み可能なDVD等の二次記憶装置(以下、HDDと呼ぶ)を備えており、動画像などのコンテンツの保存や再生を行なうことが可能である。
【0023】
<各サーバの内部構成>
メインサーバ251は、制御部252及びHDD253を有する。
【0024】
制御部252は、コンテンツを保存するときに、そのコンテンツを構成する個々のデータを、当該コンテンツを共有すべき複数のサーバ(車載サーバ101、複数のホームサーバ111,121,…のうちの一部又は全部)で分担して保存させる。
【0025】
HDD253は、コンテンツを構成する個々のデータの分担を示すディレクトリ情報254(どのサーバのHDDにコンテンツのどの部分のデータを保存したかを示す情報)を保存する。
【0026】
また、制御部252は、コンテンツの共有に対してあるサーバが離脱もしくは参加するときには、データの分担を変更するとともにHDD253に保存されているディレクトリ情報254を更新する。このディレクトリ情報254は、任意のサーバがコンテンツを再生するときに参照される。」

ウ 「【0032】
<コンテンツを複数のサーバへ分割して保存する処理>
図1を用い、本実施形態におけるコンテンツの保存の方法を示す。サーバ251は、制御部102、112、122にLAN131を介してアクセスすることで、サーバ101、111、121の状態(視聴状態など)を認識する。
【0033】
いま、あるコンテンツについて、サーバ101、111、121が同じコンテンツを保存しようとしている場合、サーバ251が、保存すべきデータを各サーバのHDDに割り振り、それぞれデータ2041、データ2142、データ2243の保存を指示する。どのサーバにコンテンツのどの部分のデータを保存したかについての情報は、例えばサーバ251にディレクトリ情報254として保存する。
【0034】
各サーバは、例えばサーバ101においては、本来、データ2041、2042、2043を保存すべきところを、データ2042についてはデータ2142、データ2043についてはデータ2243として別のサーバに保存することができ、サーバ101内で使用するHDDの記憶容量を節約することができる。
【0035】
なお、各サーバでの保存処理においては、制御部により、ストリームの分離、MPEG2エンコードなどの動画圧縮、必要であれば著作権保護等、必要な符号化処理を行なってから、HDDへの保存を行なう。コンテンツは、LAN131から供給される場合もありうるが、その場合も制御部により必要な符号化処理を行なってからHDDへの保存を行なう。
【0036】
各サーバでコンテンツを再生する場合は、サーバ251に保持されるディレクトリ情報254を参照しながら、別のサーバに保存されているデータを使用して再生する。例えばサーバ111がコンテンツの再生を行なう場合、サーバ101からデータ2041、サーバ121から2243を読み出すことにより、再生を行なうことができる。
【0037】
なお、各サーバでの再生処理においては、制御部により、MPEG2デコードや著作権保護の解除等、必要な複合化処理を行なってから、再生を行なう。」

エ 「【0048】
まず、複数のホームサーバにコンテンツのデータを分割して保存する方法の例をいくつか紹介する。
【0049】
<コンテンツ全体を分割してデータを保存する方法>
ホームサーバの個数をn個、あるコンテンツの全体の時間をLとすると、全体をn分割して、各ホームサーバに順次データを保存していく方法が挙げられる。具体的には、i番目のホームサーバiに保存するデータを、「コンテンツの再生した際の時刻[(i-1)/L]から時刻[i/L]までの分を符号化したもの(i=1?n)」とする。図6は、n=3の場合の例を示す。
【0050】
この場合に、あるホームサーバjが共有を行なわなくなるためにデータを別のホームサーバに移動させる場合は、ホームサーバjに保存されていたデータを時間方向でn-1個に分割し、j以外のホームサーバにデータを割り振りすればよい。
【0051】
逆に、コンテンツを共有するホームサーバを追加する場合は、ホームサーバ1?nに保存されたデータから、それぞれ1/nの時間の分のデータを、新たに追加したホームサーバn+1に割り当てればよい。」

オ 「【0059】
<データの冗長化>
サーバ間でのデータ保持の仕方に適切な冗長度を持たせることで、何らかの障害によってコンテンツの共有に参加するホームサーバのいずれかが故障した場合にも、全体としてのデータの破壊を免れることができる。例えば、前述のようにコンテンツを時分割で符号化してデータを保持する場合、常に、2つの別のホームサーバに対して同じデータを書き込むようにすることで、コンテンツの保存の終了後、いずれかのホームサーバが故障しても、失われていないデータを元に、失われたデータを復元することができる。これにより、システムを障害が起こる前の冗長性を持った状態に復帰させる。なお、データを書き込むホームサーバの選択の仕方については、RAID等のデータ冗長化技術を利用すればよい。」

カ 「【0095】
・同じコンテンツを保存しようとしているかどうかは、各サーバが保存しようとするチャネルが何であるかを、サーバ間で共有するかサーバを統括する機構により観測すること等で判断することが可能となる。」

キ 「【0100】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。」

(1-2)引用文献1に記載された発明
上記ア?キに摘記した記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、各構成の符号(a)?(m)は説明のために当審において付したものであり、以下、構成a?mと称する。

(引用発明)
(a)集合住宅や近接する複数の家で構成されるグループなどに適用され、メインサーバ251、複数のホームサーバ111,121,…を有するシステムであって、

(b)メインサーバ251は、例えば集合住宅の管理室などに設けられ、本システム全体の制御を司るものであり、

(c)ホームサーバ111は、ユーザの自宅に設けられたものであり、ホームサーバ121…は、その他のユーザの自宅に設けられたものであり、

(d)複数のホームサーバ111,121,…は、例えばHDDや書き込み可能なDVD等の二次記憶装置(以下、HDDと呼ぶ)を備えており、動画像などのコンテンツの保存や再生を行なうことが可能であり、

(e)メインサーバ251は、制御部252及びHDD253を有し、
制御部252は、コンテンツを保存するときに、そのコンテンツを構成する個々のデータを、当該コンテンツを共有すべき複数のサーバ(複数のホームサーバ111,121,…のうちの一部又は全部)で分担して保存させ、

(f)制御部252は、コンテンツの共有に対してあるサーバが離脱もしくは参加するときには、データの分担を変更するとともにHDD253に保存されているディレクトリ情報254を更新し、このディレクトリ情報254は、任意のサーバがコンテンツを再生するときに参照され、

(g)サーバ251は、制御部112、122にLAN131を介してアクセスすることで、サーバ111、121の状態(視聴状態など)を認識し、
あるコンテンツについて、サーバ111、121が同じコンテンツを保存しようとしている場合、サーバ251が、保存すべきデータを各サーバのHDDに割り振り、それぞれデータ2142、データ2243の保存を指示し、

(h)各サーバでコンテンツを再生する場合は、サーバ251に保持されるディレクトリ情報254を参照しながら、別のサーバに保存されているデータを使用して再生し、

(i)ホームサーバの個数をn個、あるコンテンツの全体の時間をLとすると、全体をn分割して、各ホームサーバに順次データを保存していき、

(j)サーバ間でのデータ保持の仕方に適切な冗長度を持たせることで、何らかの障害によってコンテンツの共有に参加するホームサーバのいずれかが故障した場合にも、全体としてのデータの破壊を免れることができ、

(k)同じコンテンツを保存しようとしているかどうかは、各サーバが保存しようとするチャネルが何であるかを、サーバ間で共有するかサーバを統括する機構により観測すること等で判断することが可能となり、

(l)要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である、

(m)システム。

(2)引用文献2
(2-1)引用文献2の記載事項
令和元年11月22日付けの当審の拒絶の理由に記載された引用文献2である米国特許出願公開第2005/0216942号明細書には、「マルチメディアコンテンツのマルチキャスト配信システム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア 「[0142]
FIG. 10 shows a media server 1002 in a locally networked DVR setup in a house 1001. In the example of FIG. 10, DVR 1003 is located in Bedroom 1, DVR 1004 is located in Bedroom 2, and DVR 1005 is located in the Entertainment room. The media server 1002 resides in the Living room. The user sends information instructing the service center 1006 that DVRs 1003, 1004, 1005, and media server 1002 are authorized to share content and associates each unit by the room in which it resides. The service center 1006 creates a certificate 901 that contains the media server's 1002 and each DVR's 1003, 1004, 1005, serial number and public key along with an expiration date and the service center's digital signature.」
(仮訳)
「図10は、家庭1001におけるローカルネットワーク化されているDVRのセットアップにおけるメディアサーバ1002を示している。図10の例においては、DVR 1003は寝室1に位置しており、DVR 1004は寝室2に位置しており、DVR 1005は娯楽室に位置している。メディアサーバ1002は居間に存在している。ユーザは、DVR 1003、1004、1005およびメディアサーバ1002がコンテンツの共有を許可されるようにサービスセンター1006に命令する情報を送り、各ユニットを、それぞれが存在している部屋によって関連付ける。サービスセンター1006は、メディアサーバ1002および各DVR 1003、1004、1005のシリアル番号および公開鍵と、有効期限と、サービスセンターのデジタル署名とを含んでいる証明書901を作成する。」

イ 「



(2-2)引用文献2に記載された技術
上記ア?イに摘記した記載事項から、引用文献2には、次の技術(以下、「文献2技術」という。)が記載されていると認められる。
なお、各構成の符号(n1)?(o)は説明のために当審において付したものであり、以下、構成n1?oと称する。

(文献2技術)
(n1)図10は、家庭1001におけるローカルネットワーク化されているDVRのセットアップにおけるメディアサーバ1002を示し、

(o)DVR 1003は寝室1に位置しており、DVR 1004は寝室2に位置しており、DVR 1005は娯楽室に位置しており、メディアサーバ1002は居間に存在しており、

(n2)ユーザは、DVR 1003、1004、1005およびメディアサーバ1002がコンテンツの共有を許可されるようにサービスセンター1006に命令する情報を送り、各ユニットを、それぞれが存在している部屋によって関連付ける、

技術。

(3)引用文献3
(3-1)引用文献3の記載事項
令和元年11月22日付けの当審の拒絶の理由に記載された引用文献3である特開2005-184503号公報には、「番組予約装置、番組予約情報通知システム及び番組予約通知プログラムを記録した記録媒体」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア 「【0050】
以下、上述のように構成された番組予約情報通知システムの動作を説明する。
図5は、グループ作成及び通知を示す制御シーケンスであり、図2及び図3に示す制御部21,31により実行される。図中、Sはフローの各ステップを示す。本フローは、ユーザをグループ化しておくためのフローであり他の処理に先立って最初に実行されるものである。
図5において、送信側は例えば放送受信機10、受信側は放送受信機20又は携帯端末30として説明する。送信側は1つでよいが受信側は複数であることが好ましい。
【0051】
まず、送信側はステップS1でユーザIDを用いてリストを作成し招待状を受信側に送る。ユーザIDは、メールアドレスのように個人を特定するIDであればどのようなIDでもよい。図6は、ユーザ管理情報の一例を示す図であり、図6に示すようにユーザID「U_ID1」「U_ID2」「U_ID3」ごとに名前(Name)「Aさん」「Bさん」「Cさん」と、プライオリティ属性(Attribute)「本人」「スペシャル」「ノーマル」を持つ。
【0052】
受信側はステップS2でこの招待状を受け取り優先度指定(最低は拒絶)して送信側に返信する。なお、上記応答確認には、タイムアウト処理を含んでおり一定時間待っても応答がないときは応答なしと判断する。また、後述する各フローの応答確認についても同様のタイムアウト処理が行われる。
【0053】
送信側はステップS3で返信を集計し、拒絶ID(返信がNGであったユーザID)をリストから削除する。次いで、ステップS4でグループ管理データベース(DB)に登録し、グループIDを作成する。ここで、グループ管理DB12A,32Aは、図2及び図3に示すユーザグループ管理部12,32内部に設置される。より詳細には、制御部21,31により制御されるユーザグループ管理部12及び予約情報管理部13は、制御部21,31によるソフトウェア処理により実現され、グループ管理DB12A,32Aは、制御部21,31内部のメモリ上に構築される。また、上記ユーザ管理情報、後述するグループ管理情報及び予約管理情報についても制御部21,31内部のメモリ上に記憶される。」

イ 「【図5】



(3-2)引用文献3に記載された技術
上記ア?イに摘記した記載事項から、引用文献3には、次の技術(以下、「文献3技術」という。)が記載されていると認められる。
なお、各構成の符号(p)?(p4)は説明のために当審において付したものであり、以下、構成p?p4と称する。

(文献3技術)
(p) グループ作成及び通知を示す制御シーケンスであって、制御部21,31により実行され、ユーザをグループ化しておくためのフローであり他の処理に先立って最初に実行されるものであり、

(p1)送信側は例えば放送受信機10、受信側は放送受信機20又は携帯端末30であり、
(p2)送信側はステップS1でユーザIDを用いてリストを作成し招待状を受信側に送り、

(p3)受信側はステップS2でこの招待状を受け取り優先度指定(最低は拒絶)して送信側に返信し、

(p4)送信側はステップS3で返信を集計し、拒絶ID(返信がNGであったユーザID)をリストから削除し、次いで、ステップS4でグループ管理データベース(DB)に登録し、グループIDを作成する、

技術。

(4)引用文献4
(4-1)引用文献4の記載事項
令和元年11月22日付けの当審の拒絶の理由に記載された引用文献4である特開2005-148796号公報には、「コンテンツ管理配信システム、コンテンツ管理配信方法、端末装置およびサーバ装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア 「【0074】
ところで、会員ユーザが所持する自作コンテンツとしては、すべての会員ユーザに提供する性質のものではないが、家族や友人、同好の士などの特定のグループ内でのみ、交換したいものもある。例えば、グループの集まりなどのお知らせの掲示板コンテンツ、一緒に旅行に行ったグループの仲間に提供する旅行中の撮影写真、ビデオ映像、などが挙げられる。
【0075】
そこで、この実施形態では、更なるコンテンツの提供態様として、上述のような特定のグループなどの制限された会員ユーザにのみ、特定のコンテンツを提供することができる態様を提供する。以下の実施形態の説明では、特定のコンテンツを配布する会員端末装置のグループを倶楽部と呼ぶことにする。
【0076】
この倶楽部は、この実施形態では、会員端末装置200がサーバ装置100に対して登録することにより設定される。サーバ装置100は、倶楽部管理メモリ部105を備えており、登録された倶楽部の情報を管理する。
【0077】
倶楽部管理メモリ部105には、各倶楽部の情報として、倶楽部登録した会員端末装置の識別情報、配布されるコンテンツの識別情報、当該コンテンツの所在情報(当該コンテンツのデータがコンテンツ格納部に格納されている会員端末装置の識別情報であって、この例では、倶楽部登録した会員端末装置の識別情報)、倶楽部に参加する会員端末装置の識別情報などが記憶される。ここで、「倶楽部に参加する」とは、当該倶楽部のグループに所属して、倶楽部コンテンツの配布を受けることを意味している。」

イ 「【0374】
また、ステップS287で、予め登録された会員端末装置候補群から倶楽部に参加許可する会員端末装置を選択することを会員端末装置200が要求していると判別したときには、CPU110は、会員情報管理メモリ部101において、倶楽部登録要求してきた会員ユーザについて登録されている倶楽部に参加可能な会員端末装置の候補群に関する情報を読み出し、その候補群に含まれる会員端末装置のリスト(または会員ユーザのリスト)を含むGUI画面のデータを、倶楽部登録要求してきた会員端末装置200に送信する(ステップS290)。
【0375】
このGUI画面データを受信した会員端末装置200は、参加許可する会員ユーザの会員端末装置200の選択をして、その選択した会員端末装置に関する情報を送ってくるので、CPU110は、この参加許可される会員端末装置に関する情報を受信し、この受信情報を含む倶楽部登録情報を、倶楽部管理メモリ部105の非公開領域に格納する(ステップS291)。
【0376】
そして、CPU110は、倶楽部登録要求してきた会員ユーザによって設定された参加許可端末のそれぞれについて、倶楽部通知フラグを立てる(ステップS292)。この倶楽部通知フラグは、サーバ装置100が、倶楽部参加許可された会員端末装置200に対して、その旨を通知したかどうかの確認のために用いられる。」

ウ 「【0382】
そして、参加条件付でないと判別したときには、CPU110は、倶楽部管理メモリ部105において、前記倶楽部の選択情報で特定される倶楽部の参加端末として、参加要求してきた会員端末装置の識別情報IDを書き込んで登録する(ステップS311)。そして、CPU110は、参加登録許可通知を、参加要求してきた会員端末装置200に送信する(ステップS312)。さらに、CPU110は、参加要求してきた会員端末装置200に、参加した倶楽部の倶楽部コンテンツのデータが、P2P配信されることを通知する(ステップS313)。
【0383】
また、CPU110は、参加要求された倶楽部を登録した会員端末装置200に対して、所持している倶楽部コンテンツを、参加要求して許可された会員端末装置200にP2P配信するようにする指示制御信号を送信する(ステップS314)。
【0384】
また、ステップS306において、参加要求された倶楽部は、参加条件付であると判別したときには、CPU110は、参加要求してきた会員端末装置200に対して、参加条件入力用のGUI画面のデータを送信する(ステップS307)。そして、CPU110は、当該会員端末装置200からの参加条件入力情報の到来を待ち(ステップS308)、参加条件入力情報を受信したときには、参加条件をクリアしているか否か判別する(ステップS309)。
【0385】
ステップS309で、参加条件をクリアしていないと判別したときには、CPU110は、参加不許可通知を参加要求してきた会員端末装置200に送信し(ステップS310)、その後、ステップS231に戻る。また、ステップS309で、参加条件をクリアしていると判別したときには、CPU110は、ステップS311に進み、前述したステップS311以降の処理を実行する。」

(4-2)引用文献4に記載された技術
上記ア?ウに摘記した記載事項から、引用文献4には、次の技術(以下、「文献4技術」という。)が記載されていると認められる。
なお、各構成の符号(q)?(t3)は説明のために当審において付したものであり、以下、構成q?t3と称する。

(文献4技術)
(q)特定のグループなどの制限された会員ユーザにのみ、特定のコンテンツを提供することができる態様であって、

(r)特定のコンテンツを配布する会員端末装置のグループを倶楽部と呼び、

(s1)ステップS287で、予め登録された会員端末装置候補群から倶楽部に参加許可する会員端末装置を選択することを会員端末装置200が要求していると判別したときには、CPU110は、会員情報管理メモリ部101において、倶楽部登録要求してきた会員ユーザについて登録されている倶楽部に参加可能な会員端末装置の候補群に関する情報を読み出し、その候補群に含まれる会員端末装置のリスト(または会員ユーザのリスト)を含むGUI画面のデータを、倶楽部登録要求してきた会員端末装置200に送信し(ステップS290)、
(s2)このGUI画面データを受信した会員端末装置200は、参加許可する会員ユーザの会員端末装置200の選択をして、その選択した会員端末装置に関する情報を送ってくるので、CPU110は、この参加許可される会員端末装置に関する情報を受信し、この受信情報を含む倶楽部登録情報を、倶楽部管理メモリ部105の非公開領域に格納し(ステップS291)、

(t1)ステップS306において、参加要求された倶楽部は、参加条件付であると判別したときには、CPU110は、参加要求してきた会員端末装置200に対して、参加条件入力用のGUI画面のデータを送信し(ステップS307)、そして、CPU110は、当該会員端末装置200からの参加条件入力情報の到来を待ち(ステップS308)、参加条件入力情報を受信したときには、参加条件をクリアしているか否か判別し(ステップS309)、
(t2)ステップS309で、参加条件をクリアしていないと判別したときには、CPU110は、参加不許可通知を参加要求してきた会員端末装置200に送信し(ステップS310)、その後、ステップS231に戻り、また、ステップS309で、参加条件をクリアしていると判別したときには、CPU110は、ステップS311に進み、前述したステップS311以降の処理を実行し、
(t3)CPU110は、倶楽部管理メモリ部105において、前記倶楽部の選択情報で特定される倶楽部の参加端末として、参加要求してきた会員端末装置の識別情報IDを書き込んで登録し(ステップS311)、そして、CPU110は、参加登録許可通知を、参加要求してきた会員端末装置200に送信する(ステップS312)、

技術。

(5)引用文献5
(5-1)引用文献5の記載事項
令和元年11月22日付けの当審の拒絶の理由に記載された引用文献5である特開2005-222392号公報には、「ソフトウェア更新方法及びソフトウェア更新プログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア 「【0003】
ここで、図8及び図9を参照して、従来の自律蓄積システムにおいて、コンテンツの蓄積や提供のサービスを停止させずに、ある自律蓄積装置を停止させる動作について説明する。図8は、ネットワークを介して接続された複数の自律蓄積装置によってコンテンツを分散させて蓄積する、従来の自律蓄積システムの構成を示す構成図である。また、図9は、従来の自律蓄積システムにおいて、コンテンツの蓄積や提供のサービスを停止させずに、ある自律蓄積装置を停止させる際の手順を示した模式図である。
【0004】
図8に示すように、自律蓄積システム100は、ここではネットワークNに接続された4台の自律蓄積装置Dで構成されている。この自律蓄積システム100は、図示していないクライアントコンピュータ等からコンテンツの書き込み要求があったときに、自律蓄積装置D(D1?D4)間でコンテンツを分散し、各々の蓄積装置2C(2C1?2C4)に蓄積するものである。
【0005】
自律蓄積装置Dは、コントローラ1Cと、蓄積装置2Cとで構成されている。コントローラ1Cは、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を備えたコンピュータであって、コントローラ1C間で、コンテンツ群の負荷分散や障害回復等を行うものである。また、蓄積装置2Cは、ハードディスク等の一般的な蓄積装置であって、コンテンツ群を蓄積するプライマリ領域Pと、当該コンテンツ群のバックアップであるバックアップコンテンツ群を蓄積するバックアップ領域Bとに論理的に分割されている。
【0006】
このように自律蓄積システム100を構成することで、クライアントコンピュータ等からコンテンツの書き込み要求があった場合には、自律蓄積システム100は、コントローラ1C(1C1?1C4)間で、コンテンツの負荷分散を行い、蓄積装置2C(2C1?2C4)のいずれかの蓄積装置内のプライマリ領域Pにコンテンツ(プライマリコンテンツ:p1?p4)を書き込む。また、このとき、自律蓄積システム100は、コントローラ1C(1C1?1C4)を介して、プライマリコンテンツ群を蓄積した蓄積装置2Cとは異なる蓄積装置2C(2C1?2C4)のバックアップ領域Bにコンテンツ(バックアップコンテンツ:b1?b4)を書き込む。例えば、蓄積装置2C1のプライマリ領域Pに蓄積されているプライマリコンテンツ群p1は、蓄積装置2C2のバックアップ領域Bにバックアップコンテンツ群b1として書き込まれる。」

イ 「【図8】



ウ 「【0060】
ここで、コンテンツ操作制御部36aは、情報受信部34を介してコンテンツ蓄積手段70内にコンテンツを書き込む情報(書き込み要求)を受信した場合には、この情報に基づいて、このコンテンツがクライアントコンピュータ5から入力されるプライマリコンテンツであるかを判断する。そして、このコンテンツが、クライアントコンピュータ5から入力されたプライマリコンテンツである場合には、コンテンツ操作制御部36aは、このプライマリコンテンツをネットワークNを介して接続されたいずれかの自律蓄積装置1(1n-1、1n+1…)のコンテンツ蓄積手段70のプライマリ領域P(図1参照)に、プライマリコンテンツとして蓄積させる。
【0061】
このとき、自律蓄積装置1nは、例えば、コンテンツを所定バイト数毎に、あるいは、複数のコンテンツを蓄積容量がほぼ等しくなるように分けることでコンテンツを分散する。そして、コンテンツ操作制御部36aは、情報送信部35に、他の自律蓄積装置1(1n-1、1n+1…)にプライマリコンテンツを蓄積させる情報を送信する。また、コンテンツ操作制御部36aは、コンテンツ格納手段31のコンテンツ受信部31aに対して、この自律蓄積装置1(1n-1、1n+1…)に蓄積するコンテンツを受信する指令を出力する。さらに、コンテンツ操作制御部36aは、情報受信部34から入力された情報に含まれるコンテンツ名に基づいて、コンテンツ名と、このコンテンツをコンテンツ蓄積手段70に蓄積するアドレスとを対応付けた位置情報を生成して、コンテンツ位置情報蓄積手段38に蓄積し、コンテンツ書込部31bに対して、コンテンツ受信部31aによって受信したコンテンツを、位置情報で示されたアドレスに書き込む指令を出力する。
【0062】
また、コンテンツ操作制御部36aは、プライマリコンテンツ群pn内の一つのコンテンツpn(m)をコンテンツ蓄積手段70に蓄積した場合には、このプライマリコンテンツpn(m)のバックアップを行う指令を出力する。つまり、コンテンツ操作制御部36aは、このプライマリコンテンツpn(m)のアドレスを含む、コンテンツ蓄積手段70に蓄積されたプライマリコンテンツpn(m)を読み出す指令を、コンテンツ読出部32bに対して送信し、コンテンツ送信部32aに対して、このコンテンツをバックアップコンテンツbn(m)として、コンテンツ蓄積手段70のプライマリ領域Pに関連付けられる自律蓄積装置1n+1に送信する指令を出力する。なお、この自律蓄積装置1n+1は、コンテンツ蓄積手段70に蓄積された関連付け情報rpnで、プライマリ領域Pに関連付けされているものとする。さらに、コンテンツ操作制御部36aはバックアップコンテンツを送信する自律蓄積装置1n+1に対する、このコンテンツをバックアップコンテンツとして蓄積させる情報を情報送信部35に出力する。」

エ 「【図1】

【図2】



(5-2)引用文献5に記載された従来技術
上記ア?イに摘記した記載事項から、引用文献5には、次の技術(以下、「文献5従来技術」という。)が記載されていると認められる。
なお、各構成の符号(u)?(v2)は説明のために当審において付したものであり、以下、構成u?v2と称する。

(文献5従来技術)
(u)自律蓄積システム100は、ここではネットワークNに接続された4台の自律蓄積装置Dで構成されており、
この自律蓄積システム100は、図示していないクライアントコンピュータ等からコンテンツの書き込み要求があったときに、自律蓄積装置D(D1?D4)間でコンテンツを分散し、各々の蓄積装置2C(2C1?2C4)に蓄積するものであり、

(u1)自律蓄積装置Dは、コントローラ1Cと、蓄積装置2Cとで構成されており、
コントローラ1Cは、CPUやメモリ等を備えたコンピュータであって、コントローラ1C間で、コンテンツ群の負荷分散や障害回復等を行うものであり、
また、蓄積装置2Cは、ハードディスク等の一般的な蓄積装置であって、コンテンツ群を蓄積するプライマリ領域Pと、当該コンテンツ群のバックアップであるバックアップコンテンツ群を蓄積するバックアップ領域Bとに論理的に分割されており、

(v1)クライアントコンピュータ等からコンテンツの書き込み要求があった場合には、自律蓄積システム100は、コントローラ1C(1C1?1C4)間で、コンテンツの負荷分散を行い、蓄積装置2C(2C1?2C4)のいずれかの蓄積装置内のプライマリ領域Pにコンテンツ(プライマリコンテンツ:p1?p4)を書き込み、
また、このとき、自律蓄積システム100は、コントローラ1C(1C1?1C4)を介して、プライマリコンテンツ群を蓄積した蓄積装置2Cとは異なる蓄積装置2C(2C1?2C4)のバックアップ領域Bにコンテンツ(バックアップコンテンツ:b1?b4)を書き込み、

(v2)例えば、蓄積装置2C1のプライマリ領域Pに蓄積されているプライマリコンテンツ群p1は、蓄積装置2C2のバックアップ領域Bにバックアップコンテンツ群b1として書き込まれる、

従来技術。

(5-3)引用文献5に記載された技術
上記ウ?エに摘記した記載事項から、引用文献5には、次の技術(以下、「文献5従来技術」という。)が記載されていると認められる。
なお、各構成の符号(w1)?(w2)は説明のために当審において付したものであり、以下、構成w1?w2と称する。

(文献5技術)
(w1)コンテンツ操作制御部36aは、情報受信部34を介してコンテンツ蓄積手段70内にコンテンツを書き込む情報(書き込み要求)を受信した場合には、この情報に基づいて、このコンテンツがクライアントコンピュータ5から入力されるプライマリコンテンツであるかを判断し、
そして、このコンテンツが、クライアントコンピュータ5から入力されたプライマリコンテンツである場合には、コンテンツ操作制御部36aは、このプライマリコンテンツをネットワークNを介して接続されたいずれかの自律蓄積装置1(1n-1、1n+1…)のコンテンツ蓄積手段70のプライマリ領域P(図1参照)に、プライマリコンテンツとして蓄積させ、

(w2)コンテンツ操作制御部36aは、プライマリコンテンツ群pn内の一つのコンテンツpn(m)をコンテンツ蓄積手段70に蓄積した場合には、このプライマリコンテンツpn(m)のバックアップを行う指令を出力する、
つまり、コンテンツ操作制御部36aは、このプライマリコンテンツpn(m)のアドレスを含む、コンテンツ蓄積手段70に蓄積されたプライマリコンテンツpn(m)を読み出す指令を、コンテンツ読出部32bに対して送信し、コンテンツ送信部32aに対して、このコンテンツをバックアップコンテンツbn(m)として、コンテンツ蓄積手段70のプライマリ領域Pに関連付けられる自律蓄積装置1n+1に送信する指令を出力する、

技術。

3 対比
本願発明の構成A?B9を引用発明の構成a?hと対比する。

(1)構成Aについて
構成cの「ホームサーバ111」及び「ホームサーバ121…」は、構成dにあるとおり、「動画像などのコンテンツの保存や再生を行なうことが可能」なものであるから、構成Aの「ユーザ機器装置」に相当する。
また、構成aの「集合住宅や近接する複数の家で構成されるグループ」は、構成cにあるとおり、ユーザの自宅に設けられた「ホームサーバ111」及びその他のユーザの自宅に設けられた「ホームサーバ121…」によって構成されるものと認められ、また、構成f?hにあるとおり、コンテンツの共有が可能であるから、構成Aの「グループ」に相当する。
よって、構成aの「システム」は、構成Aと、
「(A)ユーザ機器装置のグループを生成し、前記グループ内の前記ユーザ機器装置とコンテンツを共有するシステム」である点で共通する。

(2)構成Bについて
構成cの「ホームサーバ111」は構成aの「システム」に含まれるものであって、かつ、「ユーザの自宅に設けられたもの」である。
よって、構成cの「ホームサーバ111」は、構成Bと、「(B)ユーザの家庭内に設置されたユーザ機器装置」である点で共通する。

(3)構成Cについて
構成fはサーバが参加するときの処理を規定するものの、参加のためのユーザインターフェースを特定しない。
よって、本願発明の構成Bが、
「(C)第1のユーザインターフェースを提示することであって、
(C1)前記第1のユーザインターフェースは、前記ユーザの家庭内の1つ以上のユーザ機器装置を前記グループに追加するように前記第1のユーザインターフェース内に提示された前記ユーザの家庭内の前記1つ以上のユーザ機器装置を前記ユーザが選択することによって、前記ユーザが前記グループを生成することを可能にするためのものである」ように構成されているのに対して、引用発明はそのような構成を有しない点で相違する。(相違点1)

(4)構成Dについて
上記(3)と同様に、構成fは、「その他のユーザの自宅に設けられた」「ホームサーバ121…」の参加の態様を規定していない。
よって、本願発明の構成Bが、
「(D)第2のユーザインターフェースまたは第3のユーザインターフェースを提示することであって、
(D1)前記第2のユーザインターフェースは、前記グループに参加するように他のユーザの家庭内のユーザ機器装置を前記ユーザが招待することを可能にするためのものであり、
(D2)前記第3のユーザインターフェースは、他のユーザの家庭内のユーザ機器装置からの前記グループに参加するという要求を前記ユーザが承諾することを可能にするためのものである」ように構成されているのに対して、引用発明はそのような構成を有しない点で相違する。(相違点2)

(5)構成Eについて
構成dにあるとおり、「ホームサーバ111」は「二次記憶装置を備えており、動画像などのコンテンツの保存を行なうことが可能」であり、かつ、構成g及びhにあるとおり、当該保存されるコンテンツは別のサーバで再生可能なものである。
したがって、「ホームサーバ111」は、
「(E)第4のユーザインターフェースを提示することであって、
(E1)前記第4のユーザインターフェースは、前記グループ内の他のユーザ機器装置と共有されるコンテンツを前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置に記録することを前記ユーザに行わせることを可能にするためのものである」点で構成E及びE1と共通する。

しかしながら、構成dの「ホームサーバ111」は、そのような処理を行うためのユーザインターフェースは特定されていない。また、構成hにあるとおり、引用発明は「各サーバでコンテンツを再生する」構成を有するものの、再生するコンテンツを選択するためのユーザインターフェースは特定されていない。
よって、「(E)第4のユーザインターフェース」について、
本願発明は、
「(E2)前記グループ内の前記ユーザ機器装置の間で共有されるコンテンツのリストを表示することであって、
(E3)前記共有されるコンテンツは、前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置によって記録されたコンテンツを含む」ように構成されているのに対して、引用発明はそのような構成を有しない点で相違する。(相違点3)

(7)構成G及びHについて
構成hにあるとおり、引用発明は、「各サーバでコンテンツを再生する場合は、」「別のサーバに保存されているデータも使用して再生」を行う。当該構成が、あるホームサーバにおいてコンテンツを再生する場合に、他のホームサーバに対して対象のコンテンツの再生要求を行うこと及び他のホームサーバから再生を行うホームサーバへの対象コンテンツの伝送を含むことは、技術常識に照らして明らかなことである。
よって、構成hは、構成G及び構成Hと、
「(G)前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置によって記録された前記コンテンツを再生するという要求を前記ユーザ機器装置の前記グループ内の他のユーザ機器装置から受信することと、
(H)前記コンテンツを前記他のユーザ機器装置に伝送すること、を行うように構成されて」いる点で共通する。

(8)構成E4及びE5について
構成e、g及びiにあるとおり、引用発明は、「コンテンツを保存するときに、当該コンテンツを共有すべき複数のサーバで分担して保存させ、」具体的には、「あるコンテンツについて、サーバ111、121が同じコンテンツを保存しようとしている場合、サーバ251が、保存すべきデータを各サーバのHDDに割り振り、それぞれデータ2142、データ2243の保存を指示」する。また、構成dにあるとおり、「複数のホームサーバ111は、動画像などのコンテンツの保存を行なうことが可能」であるから、サーバ251の指示によって、ホームサーバ111がデータ2142を保存するものということができる。

したがって、引用発明と本願発明は、
「(E4)選択されたコンテンツを記録するために、前記グループ内の前記ユーザ機器装置のうちの少なくとも2つに前記グループによって共有される格納空間を分配する」点で共通する。
しかしながら、構成b及びeにあるとおり、引用発明における保存すべきデータの割り振りはサーバ251が行うことから、
「(E4)選択されたコンテンツを記録するために、前記グループ内の前記ユーザ機器装置のうちの少なくとも2つに前記グループによって共有される格納空間を分配すること」について、
本願発明では、「(B)前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置」が行うのに対して、引用発明はそのような構成を有しない点で相違する。(相違点4)

また、構成dの「ホームサーバ111」と構成E5は、「(E5)分配された格納空間を用いて、前記選択されたコンテンツを格納する」点で共通する。
しかしながら、構成E5の「前記分配された格納空間」は構成E4によって「分配された格納空間」であるから、「前記選択されたコンテンツを格納すること」について、本願発明は構成E4によって「前記分配された格納空間を用いて」行うのに対して、引用発明はそのような構成を有しない点で相違する。(相違点5)

(9)構成E6について
構成jにあるとおり、引用発明はサーバ間でのデータ保持の仕方に冗長度を持たせるものの、その具体的な方法は特定されていない。
したがって、本願発明は、
「(E6)前記グループ内の前記1つ以上のユーザ機器装置は、前記選択されたコンテンツを記録した後に、前記グループ内の前記ユーザ機器装置のうちの前記少なくとも2つのうちの他の任意のユーザ機器装置に分配された格納空間に前記選択されたコンテンツを格納するように構成されている」のに対して、引用発明はそのような構成を有しない点で相違する。(相違点6)

(10)まとめ
以上をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
(A)ユーザ機器装置のグループを生成し、前記グループ内の前記ユーザ機器装置とコンテンツを共有するシステムであって、
(B)前記システムは、ユーザの家庭内に設置されたユーザ機器装置を含み、
(B)前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置は、
(E)第4のユーザインターフェースを提示することであって、
(E1)前記第4のユーザインターフェースは、前記グループ内の他のユーザ機器装置と共有されるコンテンツを前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置に記録することを前記ユーザに行わせることを可能にするためのものである、ことと、
(G)前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置によって記録された前記コンテンツを再生するという要求を前記ユーザ機器装置の前記グループ内の他のユーザ機器装置から受信することと、
(H)前記コンテンツを前記他のユーザ機器装置に伝送することと
を行うように構成されており、
(B)前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置は、
(E5’)分配された格納空間を用いて、前記選択されたコンテンツを格納することと
を行うようにさらに構成されている、
(A)システム。

[相違点1]
本願発明の構成Bが、
「(C)第1のユーザインターフェースを提示することであって、
(C1)前記第1のユーザインターフェースは、前記ユーザの家庭内の1つ以上のユーザ機器装置を前記グループに追加するように前記第1のユーザインターフェース内に提示された前記ユーザの家庭内の前記1つ以上のユーザ機器装置を前記ユーザが選択することによって、前記ユーザが前記グループを生成することを可能にするためのものである」ように構成されているのに対して、引用発明はそのような構成を有しない点

[相違点2]
本願発明の構成Bが、
「(D)第2のユーザインターフェースまたは第3のユーザインターフェースを提示することであって、
(D1)前記第2のユーザインターフェースは、前記グループに参加するように他のユーザの家庭内のユーザ機器装置を前記ユーザが招待することを可能にするためのものであり、
(D2)前記第3のユーザインターフェースは、他のユーザの家庭内のユーザ機器装置からの前記グループに参加するという要求を前記ユーザが承諾することを可能にするためのものである」ように構成されているのに対して、引用発明はそのような構成を有しない点。

[相違点3]
「(E)第4のユーザインターフェース」について、本願発明は、
「(E2)前記グループ内の前記ユーザ機器装置の間で共有されるコンテンツのリストを表示することであって、
(E3)前記共有されるコンテンツは、前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置によって記録されたコンテンツを含む」ように構成されているのに対して、引用発明はそのような構成を有しない点。

[相違点4]
構成E4の「(E4)選択されたコンテンツを記録するために、前記グループ内の前記ユーザ機器装置のうちの少なくとも2つに前記グループによって共有される格納空間を分配すること」について、
本願発明では、「(B)前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置」が行うのに対して、引用発明はそのような構成を有しない点。

[相違点5]
「前記選択されたコンテンツを格納すること」について、本願発明は構成E4によって「前記分配された格納空間を用いて」行うのに対して、引用発明はそのような構成を有しない点。

[相違点6]
本願発明は、
「(E6)前記グループ内の前記1つ以上のユーザ機器装置は、前記選択されたコンテンツを記録した後に、前記グループ内の前記ユーザ機器装置のうちの前記少なくとも2つのうちの他の任意のユーザ機器装置に分配された格納空間に前記選択されたコンテンツを格納するように構成されている」のに対して、引用発明はそのような構成を有しない点。

4 判断
(1)相違点1について
文献2技術の構成n1のメディアサーバ1002は、構成n2にあるとおり、「ユーザは、DVR 1003、1004、1005およびメディアサーバ1002がコンテンツの共有を許可されるようにサービスセンター1006に命令する情報を送」る構成を有しており、そのような情報を作成するためにユーザが設定を行うためのユーザインターフェースを提供する構成をも有することは、技術常識に照らして明らかなことである。また、コンテンツの共有が許可されるDVR 1003、1004、1005およびメディアサーバ1002は、グループを構成するものといえる。
そして、引用発明も、文献2技術と同様にコンテンツを共有するグループに対する制御を行うものであるから、引用発明において文献2技術を採用し、ホームサーバ111が「第1のユーザインターフェースを提示することであって、前記第1のユーザインターフェースは、前記ユーザの家庭内の1つ以上のユーザ機器装置を前記グループに追加するように前記第1のユーザインターフェース内に提示された前記ユーザの家庭内の前記1つ以上のユーザ機器装置を前記ユーザが選択することによって、前記ユーザが前記グループを生成することを可能にするためのものである、こと」を行うよう構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点2について
文献3技術は、構成p及びp2にあるとおり、グループ作成のために招待状を受信側に送る構成を有し、本願発明の構成B2の「前記グループに参加するように他のユーザの家庭内のユーザ機器装置を前記ユーザが招待することを可能にするための」「第2のユーザインターフェース」を備えることは、技術常識に照らして明らかなことである。
そして、引用発明も、文献3技術と同様にコンテンツを共有するグループに対する制御を行うものであるから、引用発明において文献3技術を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、構成Dにおいて「第2のユーザインターフェース」の提示と「第3のユーザインターフェース」の提示とは選択的に記載されていることから、引用発明において文献3技術を採用し、ホームサーバ111が「第2のユーザインターフェースまたは第3のユーザインターフェースを提示することであって、前記第2のユーザインターフェースは、前記グループに参加するように他のユーザの家庭内のユーザ機器装置を前記ユーザが招待することを可能にするためのものであり、前記第3のユーザインターフェースは、他のユーザの家庭内のユーザ機器装置からの前記グループに参加するという要求を前記ユーザが承諾することを可能にするためのものである、こと」を行うよう構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

なお、「第3のユーザインターフェース」の提示について検討しても、文献4技術は、構成s1?t3にあるとおり、GUI画面によって参加許可する会員ユーザの会員端末装置200の選択を行う構成を有しており、「他のユーザの家庭内のユーザ機器装置からの前記グループに参加するという要求を前記ユーザが承諾することを可能にするための」「第3のユーザインターフェース」に相当する。
そして、引用発明と文献4技術とはコンテンツを共有するグループに対する制御を行うものである点で共通するから、引用発明に文献4技術を採用し、ホームサーバ111が「第2のユーザインターフェースまたは第3のユーザインターフェースを提示することであって、前記第2のユーザインターフェースは、前記グループに参加するように他のユーザの家庭内のユーザ機器装置を前記ユーザが招待することを可能にするためのものであり、前記第3のユーザインターフェースは、他のユーザの家庭内のユーザ機器装置からの前記グループに参加するという要求を前記ユーザが承諾することを可能にするためのものである、こと」を行うよう構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)相違点3について
構成d及びfにあるとおり、引用発明は、保存したコンテンツを再生する構成を有している。そして、コンテンツの再生のためには、再生対象とするコンテンツを選択する構成が必要であることは明らかである。他方、引用発明のホームサーバが保存するコンテンツは他のホームサーバと共有するコンテンツである。
してみれば、引用発明において、ユーザによって保存されたコンテンツを含む、コンテンツの共有を行うグループ内のホームサーバ間で共有されるコンテンツのリストを表示するよう構成することは、当業者が適宜になし得たことである。

(4)相違点4及び5について
構成kにあるとおり、引用発明は、各ホームサーバが同じコンテンツを保存しているかどうかを判断するために各サーバが保存しようとするチャネルが何であるかを判断するための構成について、「サーバ間で共有する」方法と「サーバを統括する機構により観測する」方法を選択的に有する。
また、構成lにあるとおり、引用発明は、要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能なものである。
してみば、「選択されたコンテンツを記録するために、前記グループ内の前記ユーザ機器装置のうちの少なくとも2つに前記グループによって共有される格納空間を分配すること」について、「サーバを統括する機構」であるサーバ251によって行う方法に換えて、ホームサーバ111によって行うよう構成することは、当業者が適宜になし得たことである。
したがって、「選択されたコンテンツを記録するために、前記グループ内の前記ユーザ機器装置のうちの少なくとも2つに前記グループによって共有される格納空間を分配すること」について、「前記ユーザの家庭内に設置された前記ユーザ機器装置」が行うよう構成するとともに、「前記選択されたコンテンツを格納すること」について、「前記分配された格納空間を用いて」行うよう構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(5)相違点6について
文献5従来技術は、構成v1及びv2にあるとおり、「クライアントコンピュータ等からコンテンツの書き込み要求があった場合」、「いずれかの蓄積装置内のプライマリ領域Pにコンテンツを書き込」むとともに、「プライマリコンテンツ群を蓄積した蓄積装置2Cとは異なる蓄積装置2C(2C1?2C4)のバックアップ領域Bにコンテンツを書き込」む構成を有する。
ここで、文献5従来技術は、プライマリ領域Pへのコンテンツの書き込みとバックアップ領域Bへのコンテンツの書き込みの時間的前後関係を特定しない。しかしながら、文献5技術は、文献5従来技術と同様のコンテンツのバックアップについて、構成w2にあるとおり、「コンテンツ蓄積手段70に蓄積されたプライマリコンテンツpn(m)を読み出す指令を、コンテンツ読出部32bに対して送信し、コンテンツ送信部32aに対して、このコンテンツをバックアップコンテンツbn(m)として、コンテンツ蓄積手段70のプライマリ領域Pに関連付けられる自律蓄積装置1n+1に送信する指令を出力する」から、コンテンツが「いずれかの蓄積装置内のプライマリ領域Pにコンテンツを書き込」まれた後に「プライマリコンテンツ群を蓄積した蓄積装置2Cとは異なる蓄積装置2C(2C1?2C4)のバックアップ領域Bにコンテンツを書き込」まれることは明らかである。
そして、引用発明は、構成jにあるとおり、サーバ間でのデータ保持の仕方に冗長度を持たせるものであったことから、文献5従来技術及び文献5技術とは、コンテンツを蓄積する際に冗長度を持たせるという共通の技術分野に属する。よって、引用発明において、文献5従来技術及び文献5技術を採用し、「前記グループ内の前記1つ以上のユーザ機器装置は、前記選択されたコンテンツを記録した後に、前記グループ内の前記ユーザ機器装置のうちの前記少なくとも2つのうちの他の任意のユーザ機器装置に分配された格納空間に前記選択されたコンテンツを格納するように構成」することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(6)本願発明の効果について
本願発明の構成は、上記(1)ないし(5)において検討したとおり、当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到し得た構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものがあるとは認められない。

(7)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第3 むすび
以上のとおり、本願の請求項6に係る発明は、引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について言及するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-06-15 
結審通知日 2020-06-16 
審決日 2020-06-30 
出願番号 特願2016-174263(P2016-174263)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨田 高史福西 章人  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 間宮 嘉誉
鳥居 稔
発明の名称 複数装置を有する双方向メディア案内システム  
代理人 山本 秀策  
代理人 石川 大輔  
代理人 山本 健策  
代理人 森下 夏樹  
代理人 飯田 貴敏  

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