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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F22B
管理番号 1368946
審判番号 不服2019-7482  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-05 
確定日 2020-12-02 
事件の表示 特願2016-534842「ワイヤメッシュ加熱素子を有する蒸気発生器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月19日国際公開、WO2015/023874、平成28年10月20日国内公表、特表2016-532848〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年8月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年8月14、米国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
平成28年4月15日に翻訳文提出書の提出
平成29年8月14日に上申書及び手続補正書の提出
平成30年5月24日付けで拒絶理由の通知
平成30年10月29日に意見書及び手続補正書の提出
平成31年1月28日付けで拒絶査定
令和元年6月5日に拒絶査定不服審判の請求及びその請求と同時に手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし20に係る発明は、令和元年6月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書並びに願書に最初に添付された図面の記載によれば、特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
エネルギー装置からの直流電流を流す回路と、
該直流電流を受け取るワイヤメッシュ加熱素子であって、素線の半径が0.022?0.5mm、かつ、前記素線間の間隔が0.5mm未満である複数のワイヤを含むワイヤメッシュ加熱素子と、
液体を気化するために、該液体の微細な噴霧を該ワイヤメッシュ加熱素子に向けて噴霧する噴霧器と
を備え、
前記ワイヤメッシュ加熱素子が、前記複数のワイヤと、前記複数のワイヤ同士が電気的に短絡した、節となる一つまたは複数の交差部を有すること
を特徴とする蒸気発生器。」

なお、令和元年6月5日に提出された手続補正書による手続補正は、補正前の請求項1、12及び18に記載された「一つまたは複数の交差部」について明瞭にするものであり、特許法第17条の2第5項第4号に規定する「明りようでない記載の釈明」を目的とするものである。

第3 原査定の拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、以下のとおりである。
<理由1(進歩性)について>
本願発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項並びに引用文献3を例証とした周知技術に基いて、本願の出願前(優先日前)にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

ここで、引用文献1ないし3は以下のとおりである。
引用文献1:米国特許第2490547号明細書
引用文献2:米国特許出願公開第2010/0166397号明細書
引用文献3:特表平11-512224号公報

第4 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の優先日前に頒布された引用文献1には、「METHOD OF AND APPARATUS FOR EVAPORATING LIQUIDS(液体を蒸発させるための方法および装置)」に関し、次の記載がある。
なお、下線は当審において付したものであり、また、翻訳文は当審による仮訳である(以下、他の引用文献についても同様)。
ア 「This invention relates to a method of evaporating liquids, in particular of water, and to an apparatus for carrying out such method.
It has been proposed before to squirt water in form of drops onto heated surfaces where it is evaporated.
The new method comprises conducting the atomized liquid over bare electrical- metallic resistors which are heated to such temperature that they would melt, were they not constantly cooled by the atomized liquid. The evaporation may take place under a pressure higher than atmospheric pressure.
The apparatus for carrying out the method, suitably comprises a nozzle which atomizes the pressurized liquid and brings same, in such atomized state, into the range of electrical heating-resistors. The latter suitably are formed of metal wires disposed in a plurality of layers which may be series-connected in the direction of the flow so as to be covered, one after the other, by the atomized liquid, and, thereby, cooled, The wires of adjacent layers suitably are disposed obliquely to each other.
The metallic wires advantageously are disposed in individual replaceable elements which may be electrically connected in any suitable manner.
Two forms of invention, applying to an apparatus for carrying out the inventive method, are shown in the accompanying drawing, in which-,
Fig. 1 shows a first form in vertical section,
Figs. 2 and 3 each a detail thereof, in plan view and cross section respectively,
Fig. 4 a cross-section through the second form,
Fig. 5 a portion of the metal-wire support in plan view, and
Figs. 6 and 7 show details of the wire attachment.
A water supply line 2 is connected to a conical bell 1, and includes a stop valve 3. The line 2 opens,via an atomizer nozzle 4, into the bell 1. A cup 5 is secured to the bottom of the latter, and a steam discharge line 6 is connected thereto. The cup 5 and bell 1 rest on legs 7. A plurality of cooling-fins 8 is provided on the circumference of bell 1. A plurality of enameled metallic rings 10 are disposed, stackwise, in the upper portion of cup5. The rings 10 are secured, readily detachable and replaceable, on two studs 11 which at the same time serve as current leads. On the inner circumference of each ring 10. lugs 12 are bent off from the ring material,each second lug pointing upward, while the intermediate lugs are bent downward (Figs.2,3). Bare, i. e. noninsulated heating-wires 14, wound meanderlike, are secured to the lugs 12 of each ring 10 in such way that wires situated directly below each other stand obliquely or vertically to each other. The arrangement also may be such that all the wires of a ring are disposed parallel to each other, but at right angles to those of the adjacent ring. Each ring, therefore, comprises two systems of wire 14. One end of each system is conductively connected to one stud 11, and the other to the other stud 11. The full voltage applied across the studs 11, therefore, is applied to each wire system, i. e. all the wire systems are electrically parallel-connected. The rings are isolated from the studs by virtue of the above-mentioned layer of enamel. A float-chamber 16 is disposed in the bottommost portion of cup 5, and its drain is controlled by a float 17.
The liquid atomized in the nozzle 4 is injected between the heating-wires, where it evaporates. The said wires are heated to such a degree that they would melt, were they not continuously cooled by the atomized liquid.
The steam produced escapes through the line 6. Any water of condensation is trapped in chamber 16, and will raise the float 17 after having reached a certain level, thereby permitting such water to flow off through the line 20.
Instead of squirting the water, in the manner described, onto heating-wires disposed in planes in front of the nozzle, the latter also may be entirely or partly enveloped by heating-wires, e. g. in such a way that the nozzle is disposed inside of spherical, cylindrical or conical wire fabrics.」(1欄1行?2欄35行)
<訳文>
「本発明は、液体、特に水の蒸発方法、およびそのような方法を実行するための装置に関する。
加熱された表面上に水を液滴の形で噴出して、蒸発させることが以前から提案されてきた。
新しい方法は、噴霧化された液体によってそれらが常に冷却されない限り、それらが溶融するような温度に加熱された裸の電気金属抵抗器上に噴霧化された液体を導くことを含む。蒸発は、大気圧より高い圧力下で行われる場合があります。
この方法を実行するための装置は、適切には、加圧された液体を霧化し、そのような霧状の状態で、液体を電気加熱抵抗器の範囲にもたらすノズルを備える。後者は、複数の層に配置された金属線で適切に形成され、流れの方向に直列に接続されて、霧状の液体によって次々に覆われ、それによって冷却されます。隣接する層のワイヤは、適切には、互いに斜めに配置される。
金属ワイヤは、有利には、任意の適切な方法で電気的に接続され得る個々の交換可能な要素に配置される。
本発明の方法を実施するための装置に適用される本発明の2つの形態は、添付の図面に示されている。図1は、垂直断面における第1の形態を示し、図2および図3はそれぞれ、その詳細を平面図および断面図で示し、図4は第2の形態の断面図を示し、図5は金属ワイヤ支持体の一部を平面図で示し、図6および7はワイヤーアタッチメントの詳細を示します。
水供給ライン2は、円錐形のベル1に接続され、ストップバルブ3を含む。ライン2は、アトマイザーノズル4を介してベル1に開口する。カップ5が後者の底部に固定され、蒸気排出ライン6がそれに接続されている。カップ5とベル1は脚7の上にあります。ベル1の周囲には複数の冷却フィン8が設けられています。複数のエナメル金属リング10が、カップ5の上部に積み重ねて配置されている。
リング10は、同時に電流リードとして機能する2つのスタッド11上に固定され、簡単に取り外しおよび交換できます。各リング10の内周において、ラグ12がリングの素材から曲げられ、各第2のラグは上向き、中間のラグは下向きに曲げられます(図2,3)。裸、すなわち非絶縁加熱ワイヤ14は、蛇行状に巻かれており、互いの真下に位置するワイヤが互いに斜めまたは垂直に立つように、各リング10のラグ12に固定されている。配置はまた、リングのすべてのワイヤが互いに平行に、しかし隣接するリングのワイヤに対して直角に配置されるようなものであってもよい。したがって、各リングは2系統のワイヤ14で構成されます。各システムの一方の端は一方のスタッド11に、もう一方の端はもう一方のスタッド11に導電接続されています。全電圧がスタッド11に印加されることにより、各ワイヤーシステムに印加されます。つまり、すべてのワイヤーシステムは電気的に並列接続されています。リングは、上記のエナメル層によってスタッドから絶縁されています。フロートチャンバー16はカップ5の最下部に配置され、その排水はフロート17により制御される。
ノズル4で霧化した液体は電熱線の間に注入され、そこで蒸発する。前記ワイヤは、噴霧された液体によって連続的に冷却されなかった場合、それらが溶融する程度に加熱される。
生成された蒸気はライン6を通って逃げます。凝縮水はチャンバー16に閉じ込められ、一定のレベルに達した後にフロート17を上昇させ、それによってそのような水をライン20から流出させます。
記載されている方法で、ノズルの前の平面に配置された電熱線に水を噴出する代わりに、後者は、例えばノズルが球形、円筒形、または円錐形のワイヤーファブリックの内部に配置されるように、電熱線によって全体的または部分的に覆われてもよい。」

イ 「




(2)上記(1)記載から認められること
ア 上記(1)ア及びイ(特に、1欄1?2行の記載)によれば、引用文献1には、水の蒸発を実行するための装置が記載されていることが認められる。

イ 上記(1)ア及びイ(特に、2欄9?14行並びに図1及び3の記載)によれば、水の蒸発を実行するための装置は、電圧が印加されるワイヤーシステムを備えることが認められる。
また、ワイヤーシステムに電圧を印加するために、電圧を印加する回路を備えることも明らかである。

ウ 上記(1)ア及びイ(特に、1欄40行?2欄19行並びに図1?3の記載)によれば、ワイヤーシステムは、非絶縁加熱ワイヤ14が平面に配置されるように蛇行状に巻かれており、互いの真下に位置する非絶縁加熱ワイヤ14が互いに斜め又は垂直になるように、エナメル金属リング10のラグ12に固定されたものであることが認められる。
ここで、非絶縁加熱ワイヤ14が平面に配置されることについては、引用文献1の2欄5?8行及び同欄30?32行並びに図1及び2の記載から認めることができる。

エ 上記(1)ア及びイ(特に、2欄20?29行及び図1?3の記載)によれば、水の蒸発を実行するための装置は、水を気化するために、霧化した前記水を非絶縁加熱ワイヤ14の間に注入するノズル4を備えることが認められる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「電圧を印加する回路と、
前記電圧が印加されるワイヤーシステムであって、非絶縁加熱ワイヤ14が平面に配置されるように蛇行状に巻かれており、互いの真下に位置する非絶縁加熱ワイヤ14が互いに斜め又は垂直になるように、エナメル金属リング10のラグ12に固定されたワイヤーシステムと、
水を気化するために、霧化した前記水を前記非絶縁加熱ワイヤ14の間に注入するノズル4と
を備えた水の蒸発を実行するための装置。」

2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献2には、「WIRE MESH THERMAL RADIATIVE ELEMENT AND USE IN A RADIATIVE OVEN(ワイヤーメッシュ熱放射要素と放射オーブンでの使用)」に関し、次の記載がある。なお、「・・・」は記載の省略を示す。
ア 「[0001] The following invention relates to the use of stored energy in combination with an infrared heating source consisting of a wire screen mesh element for the purpose of cooking or toasting.」
<訳文>
「[0001] 本発明は、調理または焼くために、ワイヤースクリーンメッシュ要素からなる赤外線加熱源と組み合わせて、貯蔵エネルギーを使用することに関する。」

イ 「[0028] The ratio of the resistance of the heater to the black body raditive area of the same heater becomes the critical design constraint for the oven; herein termed the De Luca Element Ratio. The ideal oven for foods operating over a 0.25 square meter area at 2 micron wavelength has a De Luca Element Ratio (at room temperature), of 0.1137 ohms/m^(2) (0.0284 ohms/0.25 m^(2)). 」
<訳文>
「[0028] 同じヒーターの黒体放射領域に対するヒーターの抵抗の比は、オーブンの重要な設計制約になる。 本明細書では、De Luca要素比率と呼ばれる。 2ミクロンの波長で0.25平方メートルの面積で動作する食品に最適なオーブンは、De Lucaの元素比(室温)が0.1137オーム/m^(2)(0.0284オーム/0.25 m^(2))です。」

ウ 「[0031] Clearly a lower resistance or a higher surface area is required to achieve a De Luca Element Ratio of close to 0.1137.

<訳文>
「[0031] 明らかに、0.1137に近いDe Luca要素比を達成するには、より低い抵抗またはより大きな表面積が必要です。」

エ 「[0036] Another way for lowering the resistance is to place multiple resistors in parallel. Kirkoff's law's predict the cumulative result of resistors placed in parallel.
・・・
[0037] The following Table 2 lists the number of conductors for each of the elements in Table 1, as derived using equation 5, that would need to be placed in parallel in order to achieve a De Luca Element Ratio of 0.1137. Clearly placing and distributing these elements evenly across the surface would be extremely difficult and impossible for manufacture.」
<訳文>
「[0036] 抵抗を低減するための別の方法は、複数の抵抗を並列に接続することです。キルヒホッフの法則は、並列に接続された抵抗器の累積的な結果を予測する。
・・・
[0037] 次の表2は、式5を使用して導き出された、表1の各要素の導体の数を示しています。これらの導体は、De Luca要素比0.1137を達成するために並列に接続する必要があります。これらの要素を表面全体に均一に配置して接続することは、製造が非常に困難で不可能です。」

オ 「[0038] It is therefore an object of the current invention to:
1) Find a heating element capable of delivering the same power and cooking characteristics as bulbs yet be significantly less expensive.
2) It is an object of the current invention that the heating element have a temperature rise time of less than 2 seconds.
3) It is further an object of the following invention that the heat generated from the element be capable of being evenly distribution over the cooking area.
4) It is further an object of the current invention that the De Luca Element Ratio, as defined herein, of the element be close to 0.11.
5) It is also an object of the current invention that a resistive nichrome element consist of an integral unit that is easy to assemble into a unit such as an oven.」
<訳文>
「[0038] したがって、本発明の目的は、
1)電球と同じ出力と調理特性を提供でき、しかも大幅に安価な加熱要素を見つけます。
2)本発明の目的は、加熱要素が2秒未満の温度上昇時間を有することである。
3)以下の発明のさらなる目的は、要素から発生した熱が調理領域全体に均一に分配されることができることである。
4)本発明のさらに別の目的は、本明細書で定義されている要素のDe Luca要素比が0.11に近いことである。
5)本発明の目的はまた、抵抗性ニクロム要素が、オーブンなどのユニットに組み立てることが容易な一体ユニットからなることである。」

カ 「[0044] In summary, the following invention allows for the creation of a high power oven by using a resistive mesh element. The heater element designed so as to allow for the desired wavelength output by modifying both the thickness of the mesh as well as the surface area from which heat radiates. The heater consisting of a single unit mesh that is easily assembled into the oven and having a low mass so as to allow for a very quick heat-up (on the order of less than a few seconds).
[0045]Specifically, the wire mesh cloth design calibrated to have the correct De Luca Element Ratio for a fast response (less than 2 sec) oven application operating at 1400 degrees K.
[0046] To date, the best mesh design for operating a quick response time oven consisting of a nichrome wire mesh with strand diameter of 0.3 mm, and spacing between strands of 0.3 mm, and operating voltage of 24V.
・・・
[0052] FIG. 5 is a photograph of a small 24V oven built using the mesh system.
[0053] FIG. 6 is a photograph of a 0.3 mm×0.3 mm mesh using 0.3 mm diameter nichrome wire which operates well at 24V across a 200 mm oven.」
<訳文>
「[0044] 要約すると、以下の発明は、抵抗メッシュ要素を使用することにより、高出力オーブンの作成を可能にする。メッシュの厚さと熱が放射される表面積の両方を変更することにより、目的の波長の出力を可能にするように設計されたヒーター要素である。単一のユニットメッシュで構成されるヒーターは、オーブンに簡単に組み込まれ、非常に迅速な加熱(数秒未満のオーダー)を可能にするように低質量である。

[0045] 具体的には、ワイヤメッシュ布の設計は、1400度Kで動作する高速応答(2秒未満)のオーブンアプリケーションに対して正確なDe Luca要素比を持つように調整されています。
[0046] これまでのところ、オーブンを迅速な応答時間で操作するためのための最良のメッシュの設計は、素線の直径0.3 mmのニクロム線のメッシュからなり、素線間の間隔0.3 mm、動作電圧24Vである。
・・・
[0052] 図5はメッシュシステムを用いて構成される小型の24Vレンジの写真である。
[0053] 図6は、200 mmのオーブン全体で24 Vで適切に動作する直径0.3 mmのニクロム線を使用した0.3 mm×0.3 mmメッシュの写真です。」

キ 「[0063] FIG. 5 is a photograph of oven 3 with top and bottom wire mesh elements 1 and 2 each 125 mm×230 mm and operated at 24V. Each wire mesh ( 1 and 2) has 766-125 mm long filaments woven across 416-230 mm long elements, each element 0.3 mm in diameter. A 24 V battery source is placed across the length of the 766 elements at bus bars 4 and 5 . 」
<訳文>
「[0063] 図5は、上部と下部のワイヤーメッシュ要素1と2がそれぞれ125 mm×230 mmで24Vで動作するオーブン3の写真です。各ワイヤーメッシュ(1および2)は、長さ416?230 mmの要素全体に長さ766?125 mmの要素が織り込まれ、各要素の直径が0.3 mmです。24 Vバッテリー電源は、766個の要素の長さに渡ってバスバー4と5に接続されています。」

ク 「[0067]・・・
What is claimed is:
1. A radiant oven comprising:
a cooking cavity configured for receiving a cooking load;
a circuit for carrying current supplied by one or more stored energy devices; and
a main heater comprising one or more wire mesh heating elements to be driven by the current, the one or more wire mesh heating elements being sized and positioned for heating the cooking load.」
<訳文>
「[0067]・・・
クレーム
1.調理負荷を受けるように構成された調理キャビティと、
1つ以上の蓄積エネルギーデバイスによって供給される電流を流すための回路と、さらに、
電流によって駆動される1つまたは複数のワイヤメッシュ加熱要素からなり、1つまたは複数のワイヤメッシュ加熱要素が、調理負荷を加熱するためのサイズおよび位置にあるメインヒーターとからなる放射オーブン。」


ケ 「


(2)上記(1)によると、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2の記載事項」という。)が記載されていると認める。
「24Vのバッテリー電源によって供給される電流を流すための回路に接続されるワイヤメッシュ加熱素子であって、素線の直径が0.3mm、かつ、前記素線間の間隔が0.3mmである複数のニクロム線を含み、長さ416?230mmの前記複数のニクロム線を含むワイヤメッシュ要素全体に長さ766?125mmの前記複数のニクロム線が織り込まれているワイヤメッシュ加熱素子。」

3 引用文献3
(1)引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の優先日前に頒布された引用文献3には、「加熱エレメント」に関し、次の記載がある。
ア 「【特許請求の範囲】
1.加熱すべき流体が貫通して流れることのできる複数の開孔を画成し得るように配置された、交差するフィラメント状材料ストランドで出来たメッシュから成る加熱エレメントであって、該ストランドの少なくとも一部が導電性であり、これにより、該ストランドに電流を供給して、該ストランドを加熱することができるようにした、加熱エレメントにおいて、
前記開孔が十分に小さく、上記開孔の各々を通って流れる全て又は略全ての流体が伝導及び/又は対流により加熱されるようにしたことを特徴とする、加熱エレメント。
・・・
5.請求項1乃至4の何れかに記載の加熱エレメントにおいて、前記メッシュが、織地の縦糸及び横糸の仕方にて略直角に交差する二組みのフィラメント状ストランドから成る、加熱エレメント。
・・・
7.請求項5に記載の加熱エレメントにおいて、双方の組みのフィラメント状ストランドが、全体に又は一部、導電性ストランドから成る、加熱エレメント。」

イ 「本発明は、流体を加熱する加熱エレメント、及びかかるエレメントを内蔵するヒータに関する。
・・・
このように、本発明は、主として、流体がエレメントを通過するときに、その流体が加熱されるように、流れる流体中に配置される型式の電気駆動加熱エレメントに関するものである。かかるエレメントから成るヒータは、商業、工業及び家庭用を含む多くの分野にて広く使用されている。本発明の加熱エレメントも同様の広い用途にて使用されると予想される。
・・・
このメッシュは、電極に取り付けられ、メッシュに電流を供給するため、電源がこの電極に接続される。この目的のため、このメッシュは、電極の間に導電路を形成し得るような構造としなければならない。このメッシュは、その全面積に亙って略一定の加熱効果を提供し得るものであることが好ましい。・・・
寸法上の安定性を保つためには、メッシュは織り構造のものであることが好ましい。しかしながら、摩擦溶接のような他の技術を使用して不織メッシュを製造することも可能である。
織ってあるかどうかを問わず、従来の織地の縦糸と横糸の仕方にて直角に交差する二組みのフィラメント状ストランドから成る簡単な構造のメッシュを使用することが好ましい。その少なくとも一方の組みのストランドは、導電性材料から成っており、その材料を通って電流が流れるように、電極の間に取り付けることを要する。・・・
他方の組みのフィラメント状ストランド(電流が流れるストランドを横断して横方向に伸長するストランド)もまた、導電性とし、又は非導電性であるようにすることができる。
・・・
本発明の一つの特別な実施の実施の形態において、該メッシュは、市販の織りワイヤークロスから成っており、このクロスにおいて、縦糸及び横糸の双方に導電性ワイヤーが使用される。このワイヤーは、ステンレス鋼、抵抗線、ニクロム線、銅又はアルミニウム線、或いは炭素繊維のような任意の適当な導電性材料で形成することができる。・・・
・・・
この加熱エレメントは、メッシュの導電性ストランド内のI^(2)R損失により作用し、伝導及び対流により、ストランドを加熱し且つその熱エネルギを流れる流体に伝達する。加熱される流体流は、多数の副流に分割され、その副流の各々がメッシュ内のそれぞれの開孔を通って流れるため、この加熱エレメントは効率がよい。このように、副流がそのそれぞれの開孔を通って流れるときに加熱が為され、また、本発明において、これらの開孔は、最大の対流効率を達成し得るように40乃至60μmの典型的な寸法にて小さく形成される。」(4頁3行?6頁20行)

ウ 「図1は、本発明に従った構造とされた小型のヒータエレメントの斜視図である。
図2は、図1のヒータエレメントに使用されるメッシュ組立体の図である。
図3A及び図3Bは、図1のヒータエレメント内にメッシュ組立体を取り付けるのに使用されるフレームの1つの部分のそれぞれ平面図及び端縁図である。
図4A及び図4Bは、他方のフレーム部分を示す、それぞれ図3A及び図3Bと同様の図である。
図5は、使用される織り方を示すメッシュの拡大図である。
・・・
図7は、線径が異なることによる効果を示す、流体速度に対する対流効率の理論に基づいて描いたグラフである。
・・・
典型的な小型のヒータエレメントが図1乃至図4に図示されている。該エレメントは、黄銅端末バー2、3にそれぞれ溶接することにより2つの両側部に沿って取り付けられたワイヤーメッシュ1を備えている。該黄銅端末バーは、メッシュ1を通じて交流又は直流(AC又はDC)を伝達し得るように電源(図示せず)に接続されている。
図示した実施の形態に使用されるメッシュは、Gボップ(Bopp)及びCoAGが製造する市販のメッシュである。図5の拡大図にて理解し得るように、該メッシュは、それぞれ平織り内の縦糸及び横糸ワイヤー10、11を備えているが、その他の織り方も利用可能であり且つ本発明に使用することができる。これらのワイヤーは、直径40μmで、縦糸及び横糸方向双方へのワイヤーの間隔が約60μmのステンレス鋼である。」(9頁20行?10頁14行)

エ 「しかしながら、気体及び液体の双方を加熱するため、工業用から家庭用まで上記以外のより一般的な用途にてこのヒータを使用することが可能であると考えられる。例えば、本発明の教示に基づく原型としての水ヒータが製造されており、その性能は、理論上、予想されるものと一致している。このため、極めてコンパクトな瞬間応答型の水ヒータを製造することが可能である。」(12頁22?27行)

オ 「【図1】

【図2】

【図5】










【図7】



(2)上記(1)によると、引用文献3には、次の事項(以下、「引用文献3の記載事項」という。)が記載されていると認める。
「メッシュ1を通じて直流(DC)を伝達し得るように黄銅端末バー2、3が電源に接続され、水を含む流体を加熱する加熱エレメントであって、素線の直径が40μm、かつ、前記素線間の間隔が約60μmである複数のステンレス鋼のワイヤーを含み、前記メッシュ1が、平織り内の縦糸ワイヤー10である前記複数のステンレス鋼のワイヤーと横糸ワイヤー11である前記複数のステンレス鋼のワイヤーを備えたメッシュ織り構造又は前記縦糸ワイヤー10と前記横糸ワイヤー11とを摩擦溶接した不織メッシュとされた加熱エレメント。」

第5 対比
本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者における「非絶縁加熱ワイヤ14」は、前者における「ワイヤ」に相当し、同様に、「水」は「液体」に、「霧化した」「水」は「液体の微細な噴霧」に、「ノズル4」は「噴霧器」に、「水の蒸発を実行するための装置」は「蒸気発生器」に、それぞれ相当する。

・後者における「電圧を印加する回路」は、前者における「エネルギー装置からの直流電流を流す回路」に、「エネルギー装置からの電流を流す回路」という限りにおいて一致する。
また、後者における「電圧が印加される」は、前者における「直流電流を受け取る」に、「電流を受け取る」という限りにおいて一致する。

・後者における「ワイヤーシステムであって、非絶縁加熱ワイヤ14が平面に配置されるように蛇行状に巻かれており、互いの真下に位置する非絶縁加熱ワイヤ14が互いに斜め又は垂直になるように、エナメル金属リング10のラグ12に固定されたワイヤーシステム」は、上下に位置する蛇行状に巻かれた非絶縁加熱ワイヤ14により、網目が形成される(引用文献1の図2を参照。)から、前者における「ワイヤメッシュ加熱素子であって、素線の半径が0.022?0.5mm、かつ、前記素線間の間隔が0.5mm未満である複数のワイヤを含むワイヤメッシュ加熱素子」であり、「前記ワイヤメッシュ加熱素子が、前記複数のワイヤと、前記複数のワイヤ同士が電気的に短絡した、節となる一つまたは複数の交差部を有する」ものに、「網目を有する面状の加熱素子であって、ワイヤを含む網目を有する面状の加熱素子」という限りにおいて一致する。

・後者における「水を気化するために、霧化した前記水を前記非絶縁加熱ワイヤ14の間に注入する」は、前者における「液体を気化するために、該液体の微細な噴霧を該ワイヤメッシュ加熱素子に向けて噴霧する」に、「液体を気化するために、該液体の微細な噴霧を網目を有する面状の加熱素子に向けて噴霧する」という限りにおいて一致する。

したがって、両者は、
「エネルギー装置からの電流を流す回路と、
該電流を受け取る網目を有する面状の加熱素子であって、ワイヤを含む網目を有する面状の加熱素子と、
液体を気化するために、該液体の微細な噴霧を該網目を有する面状の加熱素子に向けて噴霧する噴霧器と
を備えた蒸気発生器。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
「エネルギー装置からの電流を流す回路」が流す「電流」に関し、本願発明では、「直流電流」であるのに対して、引用発明では、電流の特定はされていない点(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
「網目を有する面状の加熱素子」に関し、本願発明では、「ワイヤメッシュ加熱素子であって、素線の半径が0.022?0.5mm、かつ、前記素線間の間隔が0.5mm未満である複数のワイヤを含むワイヤメッシュ加熱素子」であるのに対して、引用発明では、「ワイヤーシステムであって、非絶縁加熱ワイヤ14が平面に配置されるように蛇行状に巻かれており、互いの真下に位置する非絶縁加熱ワイヤ14が互いに斜め又は垂直になるように、エナメル金属リング10のラグ12に固定されたワイヤーシステム」であり、非絶縁加熱ワイヤ14の素線の半径及び素線間の間隔がそのような構成となっているか不明である点(以下、「相違点2」という。)。

[相違点3]
「網目を有する面状の加熱素子」に関し、本願発明では、「前記ワイヤメッシュ加熱素子が、前記複数のワイヤと、前記複数のワイヤ同士が電気的に短絡した、節となる一つまたは複数の交差部を有する」のに対して、引用発明では、「ワイヤーシステムであって、非絶縁加熱ワイヤ14が平面に配置されるように蛇行状に巻かれており、互いの真下に位置する非絶縁加熱ワイヤ14が互いに斜め又は垂直になるように、エナメル金属リング10のラグ12に固定されたワイヤーシステム」であり、そのような構成の交差部を備えるか不明である点(以下、「相違点3」という。)。

第6 判断
1 相違点の検討
(1)相違点1について
引用文献2の記載事項は、24Vのバッテリー電源から供給される電流は直流電流であるから、24Vのバッテリー電源(エネルギー装置)からの直流電流を流す回路にワイヤメッシュ加熱素子が接続されるものといえる。
そして、引用発明のワイヤーシステムと引用文献2の記載事項とは、ワイヤを含む網目を有する面状の加熱素子という技術分野において共通するから、引用発明において、ワイヤーシステムに電圧を印加する回路を、引用文献2の記載事項に基づき、24Vのバッテリー電源(エネルギー装置)からの直流電流を流す回路とし、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
引用文献2の記載事項は、素線の直径が0.3mm(半径が0.15mm)、かつ、前記素線間の間隔が0.3mmである複数のニクロム線を含んでおり、当該複数のニクロム線は、素線の半径が0.022?0.5mm、かつ、前記素線間の間隔が0.5mm未満である複数のニクロム線(ワイヤ)に含まれるものといえる。
そして、引用文献2の記載事項は、引用発明のワイヤーシステムとワイヤを含む網目を有する面状の加熱素子という技術分野において共通するものであり、また、温度上昇時間が短く(引用文献2の段落0038、0044及び0045)、均一な加熱ができる(引用文献2の段落0038)という面状の加熱素子にとって有利な特性を期待できるものであるから、引用発明において、引用文献2の記載事項を適用することは、当業者が容易に想到し得たことであり、そのような適用が当業者にとって技術的に困難であるとはいえない(現に、引用文献3の記載事項にみられるように、メッシュから成る加熱エレメント(ワイヤメッシュ加熱素子)を水などの流体の加熱に用いているので参照。)。
そうすると、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、引用文献2の記載事項に基づき、当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点3について
引用文献2の記載事項において、長さ416?230mmの複数のニクロム線を含むワイヤメッシュ要素全体に長さ766?125mmの複数のニクロム線が織り込まれていること、引用文献2には、ニクロム線を電気絶縁材料で被覆することは記載されていないこと、及び、引用文献2には、「抵抗を低減するための別の方法は、複数の抵抗を並列に接続することです。・・・これらの要素を表面全体に均一に配置して接続することは、製造が非常に困難で不可能です。」(段落0036及び0037)という記載がされ、単に複数のニクロム線を並列に接続することを否定する記載があることを考慮すると、引用文献2の記載事項は、長さ416?230mmの複数のニクロム線全体に長さ766?125mmの複数のニクロム線が織り込まれていることによりできる複数のニクロム線同士の交差部分において電気的に短絡した節となるから、複数のニクロム線(ワイヤ)と、前記複数のニクロム線同士が電気的に短絡した、節となる一つまたは複数の交差部を有するものといえる。
また、引用文献3の記載事項において、縦糸ワイヤー10である複数のステンレス鋼のワイヤー及び横糸ワイヤー11である複数のステンレス鋼のワイヤーは、いずれも導電性ワイヤーであって、電極に接続されるものであり(上記第4の3(1)ウの記載を参照。)、これら縦糸ワイヤー10及び横糸ワイヤー11を電気絶縁材料で被覆することは記載されていないことから、平織りされたメッシュ織り構造の場合に縦糸ワイヤー10及び横糸ワイヤー11が電気的に短絡した、節となる一つまたは複数の交差部を有するものといえ、縦糸ワイヤー10と横糸ワイヤー11とを摩擦溶接した不織メッシュとされた場合にも、縦糸ワイヤー10と横糸ワイヤー11の交差部が溶接されて電気的に短絡した状態であるから、縦糸ワイヤー10及び横糸ワイヤー11が電気的に短絡した、節となる一つまたは複数の交差部を有するものといえる。
そうすると、「複数のワイヤを含むワイヤメッシュ加熱素子において、前記複数のワイヤと、前記複数のワイヤ同士が電気的に短絡した、節となる一つまたは複数の交差部を有するものとすること」は、本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術」という。)と認められる。
そして、周知技術は、引用発明と網目を有する面状の加熱素子という技術分野で共通するものであり、また、温度上昇時間が短く(引用文献2の段落0038、0044及び0045並びに引用文献3の12頁24?26行)、均一な加熱ができる(引用文献2の段落0038)という面状の加熱素子にとって有利な特性を期待できるものであるから、引用発明において、周知技術を適用することにより、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

2 効果について
そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明、引用文献2の記載事項及び周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

3 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「しかし、引用文献1?2には、本願請求項1に記載の『前記ワイヤメッシュ加熱素子が、前記複数のワイヤと、前記複数のワイヤ同士が電気的に短絡した、節となる一つまたは複数の交差部を有して』いることについては記載されていません。」(7頁末行?8頁3行)、「つまり、(1)?(3)から引用文献1の『heating-wires 14』は、『ワイヤが電気的に短絡した、節となる一つまたは複数の交差部』を有さず、互いに並列接続されていることがわかります。
引用文献2、9には、交差したワイヤを有するワイヤメッシュ加熱素子が記載されています。しかし、引用文献2、9には、交差した『複数のワイヤ同士が電気的に短絡した』ことは記載されていません。」(9頁6?11行)、及び「このため、引用文献2、9のワイヤが交差したワイヤメッシュ加熱素子は、『これらの素子を表面全体にわたって均等に配置、分散させるのは極めて難しく、製造するのは非常に困難で』あり(本願明細書段落[0031]参照)、各ワイヤの太さ、長さ、電気供給部との接続部等の製造バラつきにより、発熱温度を全体にわたって均等にできない可能性があります。
しかし、本願請求項1に記載のワイヤメッシュでは、『複数のワイヤが電気的に短絡した』ことにより、本願明細書の[発明が解決しようとする課題]に記載した『素子を表面全体にわたって均等に配置、分散させる』課題を解決できます(本願明細書[0031]参照)。 このように、本願請求項1に記載の蒸気発生器は上記のような引用文献1、2、及び9にはない効果を有しており、当業者が、引用文献1、2、及び9に記載の技術、及び他の知技術を組み合わせて容易に達成できるような設計事項ではなく、容易に想到することはできません。」(9頁16?27行)という主張をする。
しかしながら、周知技術は、上記1(2)で検討したとおり、複数のニクロム線(ワイヤ)と、前記複数のニクロム線同士が電気的に短絡した、節となる一つまたは複数の交差部を有するものといえ、また、複数のニクロム線(素子)は全体にわたって均等に配置され、発熱温度を全体にわたって均一にできるものといえるから、請求人の上記主張は採用することができない。

4 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-06-29 
結審通知日 2020-06-30 
審決日 2020-07-13 
出願番号 特願2016-534842(P2016-534842)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F22B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩▲崎▼ 則昌  
特許庁審判長 松下 聡
特許庁審判官 槙原 進
山崎 勝司
発明の名称 ワイヤメッシュ加熱素子を有する蒸気発生器  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  

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