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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
管理番号 1368972
異議申立番号 異議2019-700963  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-27 
確定日 2020-10-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6522908号発明「外用組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6522908号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?9〕について訂正することを認める。 特許第6522908号の請求項1?9に係る特許を維持する。 
理由 【第1】手続の経緯
特許第6522908号の請求項1?9に係る特許についての出願は、平成26年8月26日に出願され、令和1年5月10日にその特許権の設定登録がなされ、同年5月29日にその特許公報の発行がなされた。その後の経緯は以下のとおりである。
(1)令和1年11月27日 特許異議申立人 小林瞳(以下
「申立人」ということがある)に
よる特許異議の申立て
(2)令和2年 2月20日付け 取消理由の通知
(3) 同 年 4月24日付け 特許権者による意見書の提出及び
訂正の請求

なお、申立人に上記(3)の訂正の請求に対する意見書提出の機会を与えたが、応答がなかった。


【第2】訂正請求について

1.訂正の内容
本件訂正の請求による、請求項1?9からなる一群の請求項に係る訂正事項は、次の(1)?(4)のとおりである。

(1)訂正事項1
訂正前の請求項1において
「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有することを特徴とする、外用組成物。」
と記載されているのを
「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸のアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し、前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであることを特徴とする、外用組成物。」
に訂正する。

(2)訂正事項2
訂正前の請求項2において
「 前記(A)成分が、セラミド2と、セラミド1及び/又はセラミド3との組み合わせである、請求項1に記載の外用組成物。」
と記載されているのを
「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し、
前記(A)成分が、セラミド2と、セラミド1及び/又はセラミド3との組み合わせであり、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンである、外用組成物(但し、水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス,ウコン根エキス,オリーブ葉エキス,カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス,カンゾウ葉エキス,グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ,セイヨウイラクサエキス,ゼニアオイエキス,セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス,ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス,ハマメリエキス,アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス,フカスセラツスエキス,L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51,ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス,モモ核エキス,ユーカリエキス,ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖,酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油,PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 ,レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン,水素添加大豆リン脂質,セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄,及び緑201を含むクリームを除く。)。」
に訂正する。

(3)訂正事項3
訂正前の請求項4において
「 前記(A)成分が総量で0.000001?0.05重量%含まれる、請求項1?3のいずれかに記載の外用組成物。」
と記載されているのを
「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであり、
前記(A)成分が総量で0.000001?0.05重量%含まれ、且つ
ローションである、外用組成物 」
に訂正する。

(4)訂正事項4
訂正前の請求項9において
「 ローションである、請求項1?8のいずれかに記載の外用組成物。」
と記載されているのを
「 ローションである、請求項1?3のいずれかに記載の外用組成物。」
に訂正する。

なお、訂正前の請求項1?9は、請求項1を直接又は間接的に引用する一群の請求項であり、本件訂正は、一群の請求項1?9について請求されている。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について
1) 訂正事項1は、訂正前の請求項1において
(i) 「(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩」を「(E)クエン酸のアルカリ金属塩」に限定し;
且つ、
(ii) 「セラミド2」について「前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであ」る旨規定する;
ものである。
上の(i)の訂正は、成分(E)として「クエン酸」と「クエン酸のアルカリ金属塩」とが選択肢として併記されていたのを後者のみに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
また、同(ii)の訂正は、「セラミド2」について特許明細書には
「 【0018】(セラミド2) 本発明で使用されるセラミド2としては、具体的には、N-アシルジヒドロスフィンゴシン、及びN-アシルスフィンゴシンが挙げられる。 」
とされているところ、取消理由通知における明確性に対する指摘に対応して、「セラミド2」を上記【0018】に具体的に記載された「N-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシン」に特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
2) そして、これら1)(i)及び(ii)の訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。

(2)訂正事項2について
1) 訂正事項2は、訂正前の請求項2において
(i) 同項の外用組成物に係る「請求項1に記載の」との規定を「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸のアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し」とし;
(ii) 「セラミド2」について「前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであ」る旨規定し;
且つ、
(iii) 同項の外用組成物が「水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス,ウコン根エキス,オリーブ葉エキス,カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス,カンゾウ葉エキス,グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ,セイヨウイラクサエキス,ゼニアオイエキス,セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス,ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス,ハマメリエキス,アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス,フカスセラツスエキス,L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51,ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス,モモ核エキス,ユーカリエキス,ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖,酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油,PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 ,レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン,水素添加大豆リン脂質,セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄,及び緑201を含むクリームを除く。」ものであることを規定する;
ものである。
上の(i)の訂正は、同項に係る外用組成物が訂正前の請求項1を引用する形式で規定されていたのを、当該訂正前の請求項1の規定を直接記載することで請求項間の引用関係を解消して独立形式の規定に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正であり;
また、同(ii)の訂正は、(1)1)(ii)と同様の訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
さらに、同(iii)の訂正は、同項に係る外用組成物から「水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス,ウコン根エキス,オリーブ葉エキス,カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス,カンゾウ葉エキス,グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ,セイヨウイラクサエキス,ゼニアオイエキス,セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス,ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス,ハマメリエキス,アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス,フカスセラツスエキス,L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51,ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス,モモ核エキス,ユーカリエキス,ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖,酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油,PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 ,レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン,水素添加大豆リン脂質,セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄,及び緑201を含むクリームを除く」ものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
2) そして、これら1)(i)?(iii)の訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。

(3)訂正事項3について
1) 訂正事項3は、訂正前の請求項4において
(i) 同項の外用組成物に係る「請求項1?3のいずれかに記載の」との規定を「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し」とし;
(ii) 「セラミド2」について「前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであ」る旨規定し;
且つ、
(iii) 同項の外用組成物が「ローションである」ことを規定する;
ものである。
上の(i)の訂正は、同項に係る外用組成物が訂正前の請求項1?3のいずれかを引用する形式で規定されていたのを、当該訂正前の請求項1の規定を直接記載することで請求項間の引用関係を解消して独立形式の規定に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
また、同(ii)の訂正は、(1)1)(ii)と同様の訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
さらに、同(iii)の訂正は、同項に係る外用組成物の形態を、訂正前の請求項9や特許明細書の【0059】等に記載されていた「ローション」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
2) そして、これら1)(i)?(iii)の訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。

(4)訂正事項4について
1) 訂正事項4は、訂正前の請求項9において、同項の外用組成物について「請求項1?8のいずれかに記載の外用組成物」とされていたのを「請求項1?3のいずれかに記載の外用組成物」とするものである。
かかる訂正は、訂正前の請求項9の請求項4?8を引用するものについて請求項間の引用関係を解消するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
2) そして、かかる訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。

3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、これを認める。


【第3】訂正後の本件発明
本件訂正後の請求項1?9に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1?9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「 【請求項1】
(A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸のアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであることを特徴とする、外用組成物。
【請求項2】
(A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し、
前記(A)成分が、セラミド2と、セラミド1及び/又はセラミド3との組み合わせであり、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンである、外用組成物(但し、水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス,ウコン根エキス,オリーブ葉エキス,カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス,カンゾウ葉エキス,グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ,セイヨウイラクサエキス,ゼニアオイエキス,セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス,ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス,ハマメリエキス,アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス,フカスセラツスエキス,L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51,ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス,モモ核エキス,ユーカリエキス,ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖,酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油,PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 ,レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン,水素添加大豆リン脂質,セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄,及び緑201を含むクリームを除く。)。
【請求項3】
前記(E)成分が、クエン酸のナトリウム塩である、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
(A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであり、
前記(A)成分が総量で0.000001?0.05重量%含まれ、且つ
ローションである、外用組成物。
【請求項5】
前記(B)成分が0.001?0.1重量%含まれる、請求項1?4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項6】
前記(C)成分が0.01?0.5重量%含まれる、請求項1?5のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項7】
セラミド2の1重量部当たり、セラミド1が0.00001?10000重量部、及び/又はセラミド3が0.00001?10000重量部含まれる、請求項2?6のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項8】
化粧料である、請求項1?7のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項9】
ローションである、請求項1?3のいずれかに記載の外用組成物。 」

※当審注:
以下、上記訂正後の請求項1?9に係る発明を、順に「訂正発明1」?「訂正発明9」ということがあり、これらをまとめて単に「訂正発明」ということがある。なお、請求項3、5?8については訂正はされていないが、便宜上、請求項1、2、4、9と同様に「訂正発明3」、「訂正発明5」?「訂正発明8」ということがある。
また、訂正前の請求項1?9に係る発明を、順に「特許発明1」?「特許発明9」ということがあり、これらをまとめて単に「特許発明」ということがある。


【第4】特許異議申立書の異議申立理由について

申立人は、甲第1号証?甲第4号証を提出し、特許異議申立書において、訂正前の請求項1?9に係る発明(特許発明1?9)に係る特許は、次の理由A?理由E(以下、「申立理由A」?「申立理由E」ということがある)により取り消されるべきものであることを主張している。

A 特許発明1?3及び8は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する発明に対して特許されたものであるから、同法第113条第2号によりその特許は取り消されるべきものである。

B 特許発明1?9は、甲第1号証?甲第3号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、より具体的には、
(B-1) 特許発明1?9は、甲第1号証に基づいて、若しくは、甲第1号証と甲第2号証又は甲第3号証のいずれかとに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり;
(B-2) 特許発明1?9は、甲第2号証と甲第1号証又は甲第3号証のいずれかとに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり;
(B-3) 特許発明1?5,7?9は、甲3号証と甲第1号証又は甲第2号証のいずれかとに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって;
特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、同法第113条第2号によりその特許は取り消されるべきものである。

C 特許明細書の発明の詳細な説明は、次の(C-1)及び(C-2)の点において、当業者が特許発明1?9を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許発明1?9については特許法第36条第4項第1号の規定に違反して特許されたものであり、同法第113条第4号によりその特許は取り消されるべきものである。
(C-1) 特許発明1?9中の各「(B)高級脂肪酸」としては、その炭素数、分岐鎖か直鎖か、不飽和か飽和か等により、性質・性状において異なる様々な脂肪酸が包含され得るが、特許明細書の実施例で使用され実際に効果を検証しているのはイソステアリン酸又はオレイン酸についてのみに過ぎず(また、その含有量も0.01重量%又は0.02重量%の場合を採用しているに過ぎず)、これらの具体的に実施例で実証されているもの以外の「高級脂肪酸」を採用した場合については、特許発明の効果を奏するか否かが明らかではない。また、上記イソステアリン酸又はオレイン酸に限ってみても、実施例の0.01重量%又は0.02重量%)以外の量(濃度)を採用した場合まで特許発明の効果を奏するか否かは明らかではない。
(C-2) 特許発明1?9中の各「(D)多価アルコール」についても、非常に広範囲の様々な化合物がこれに包含され得るところ、実施例で使用されているのは限られた多価アルコール化合物に過ぎず、それ以外のどのような多価アルコールをどのような濃度で使用すれば特許発明の効果が奏されるのか、について、当業者が試験を行い検証することは、過度の試行錯誤を要する。

D 特許発明1?9は、次の(D-1)?(D-4)の点において、特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反して特許されたものであり、同法第113条第4号によりその特許は取り消されるべきものである。
(D-1) 特許発明1?9中の各「(B)高級脂肪酸」としては、その炭素数、分岐鎖か直鎖か、不飽和か飽和か等により、性質・性状において異なる様々な脂肪酸が包含され得るが、実施例で使用された物以外にどのような高級脂肪酸をいかなる濃度で使用すれば特許発明の課題を解決できるのか、発明の詳細な説明で説明されていない。
(D-2) 特許発明1?9中の各「(D)多価アルコール」についても、実施例で使用されている物以外のいかなる多価アルコールを採用すれば発明の課題が解決できるのか、発明の詳細な説明から当業者は認識できない。
(D-3) 特許発明1?9中の各「(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩」として、実施例で使用されているのは、クエン酸三ナトリウム(「実施例1」?「実施例31」)又はクエン酸(「実施例32」)のみであるし、また、「実施例32」では、析出物の生成抑制効果が「○」であって、クエン酸三ナトリウムを用いた場合に比して効果が劣っていることから、クエン酸ナトリウム以外の場合についてまで発明の課題が解決できることを当業者は認識できない。
(D-4) 特許発明1?9中の各「セラミド2」としては、特許明細書の【0018】中で、N-アシルジヒドロスフィンゴシン及びN-アシルスフィンゴシンが挙げられているが、実施例で使用されているのは、甲第4号証によれば現在「セラミド10」に分類されているN-アシルジヒドロスフィンゴシンのみであり、本来のセラミド2(N-アシルスフィンゴシン)の効果は検証されていないから、当業者の理解と特許明細書の内容とが整合していない。また、「セラミド2」が当業者の認識している物とは異なっていることから、特許明細書【0008】に記載された、セラミド1?3のうち2種以上を含有せしめることで生じるとされている特有の課題の認識が困難となっている。

E 特許発明1?9は、次の(E-1)及び(E-2)の点において明確ではないから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反して特許されたものであり、同法第113条第4号によりその特許は取り消されるべきものである。
(E-1) 特許発明1?9では、「(B)高級脂肪酸」、「(D)多価アルコール」として、それぞれ具体的にいかなる構造の化合物までが包含されるのかが不明確である。
(E-2) 特許発明1?9の「セラミド2」について、特許明細書の【0018】では、N-アシルジヒドロスフィンゴシン、及びN-アシルスフィンゴシンが挙げられることが記載されているが、現在N-アシルジヒドロスフィンゴシンは、甲4の記載によれば「セラミド10」に分類されているから、この点明確ではない。

[証拠方法]
・甲第1号証:1.MINTEL GNPD ID#1580266「Water Cream」、掲載日:2011年7月
・甲第2号証:国際公開第2008/043386号
・甲第3号証:国際公開第2014/093645号
・甲第4号証:石田賢哉、城山健一郎「天然型セラミドの開発と応用」FRAGRANCE JOURNAL(2004)、11、p.23-32

※当審注:
以下、申立人による上記甲第1号証?甲第4号証を、順に「甲1」?「甲4」ということがある。


【第5】取消理由通知書に記載した取消理由について

訂正前の請求項1?9に係る特許に対し通知された、令和2年2月20日付けの取消理由通知書(以下、単に取消理由通知書ということがある)に記載された取消理由は、概要次の1.?3.のとおりである(以下、「取消理由1」?「取消理由3」ということがある)。

1 請求項1?8に係る発明は、甲1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1?8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

2 請求項1?8に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

3 本件特許は、請求項1?9の記載が次の(1)及び(2)の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(1) 請求項1?9に規定された各「(B)高級脂肪酸」における「高級」とは、その程度が曖昧であり、当業者毎に多義的に解され得る余地があるから、これら請求項1?9の記載は明確ではない。
(2) 請求項1?9に規定された各「セラミド2」については、特許明細書の【0018】には「(セラミド2) 本発明で使用されるセラミド2としては、具体的には、N-アシルジヒドロスフィンゴシン、及びN-アシルスフィンゴシンが挙げられる。」と記載されているが、甲4に記載されるように、「N-アシルジヒドロスフィンゴシン」を「セラミド10」に分類するセラミド分類法も本件出願日前に存在していたものと認められることを踏まえると、各請求項の当該「セラミド2」とは、「N-アシルジヒドロスフィンゴシン」及び「N-アシルスフィンゴシン」の双方を意図するものであるのか、甲4に記載の分類法に従うセラミド2、即ち「N-アシルスフィンゴシン」のみを意図するものであるのか、が明確ではない。

引用情報又は引用文献
1.MINTEL GNPD ID#1580266「Water Cream」[online][検索日:2020年2月12日]、掲載日:2011年7月(特許異議申立人が提出した甲第1号証に対応するデータベース「MINTEL GNPD」のID#1580266のページ)
4.石田賢哉、城山健一郎、天然型セラミドの開発と応用、FRAGRANCE JOURNAL(2004)、11、p.23-32(特許異議申立人が提出した甲第4号証)


【第6】当審の判断

[6-1]特許異議申立書の異議申立理由について

1.甲号証の記載事項
※当審注:
・甲1については、対応するデータベース「MINTEL GNPD」のID#1580266のページ(取消理由通知書で引用した「引用情報1」)の記載に基づき、以下に摘記する。また、特に甲1-3は、「標準形式」での記載事項を摘記する。
・甲2、甲3は原文が英語で記載されているため、それぞれ対応する日本語公報(甲2については特表2010-505886号公報、甲3については特表2016-503013号公報)の記載を参考にして当審で作成した日本語文にて記す。
・下線は当審による(以下同様)。

(1)甲1

・甲1-1(標題)
「Water Cream(ウォータークリーム)」

・甲1-2(製品詳細の欄)
「会社 CP Cosmetics Inc., Japan
ブランド CP Cosmetics Aquafit Soigne
カテゴリー 【スキンケア製品】>フェイス/ネックケア
・・・
掲載時期 7月2011」

・甲1-3(製品情報の欄)
「水,ジグリセリン,DPG,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス (エキス),ウコン根エキス (エキス,根),Olea Europaea (Olive) Leaf Extract (エキス),Caprooyl Sphingosine,Caprooyl Phytosphingosine,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス (エキス),カンゾウ葉エキス (エキス),グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ ,セイヨウイラクサエキス (エキス),Malva Sylvestris(Mallow) Extract (エキス),セラミド-2,セラミド 3,Ceramide AP,Ceramides,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス (エキス),ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス (エキス),ハマメリエキス (エキス),アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス (エキス),フカスセラツスエキス (エキス),L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51(リピジュア),ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス (エキス),モモ核エキス (エキス),ユーカリエキス (エキス),ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖 (Hydrolysed),酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,BG,PEG-60水添ヒマシ油 (加水分解),PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,Olefin Oligomer,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,コレステロール (コレステロールフリー),ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油 (Soybean Oil Derived),トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 (ヤシ油由来),レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン (加水分解),水素添加大豆リン脂質 (加水分解),セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,fragrance,酸化鉄 (CI 19140),緑201」

ここで、上記甲1-3の一部略称となっている部分、及び英語表記の部分を当審により日本語に訳すると、次の甲1-3’のとおりとなる。

・甲1-3’(製品情報の欄)
「水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス (エキス),ウコン根エキス (エキス,根),オリーブ葉エキス (エキス),カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス (エキス),カンゾウ葉エキス (エキス),グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ ,セイヨウイラクサエキス (エキス),ゼニアオイエキス (エキス),セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド類,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス (エキス),ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス (エキス),ハマメリエキス (エキス),アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス (エキス),フカスセラツスエキス (エキス),L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51(リピジュア),ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス (エキス),モモ核エキス (エキス),ユーカリエキス (エキス),ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖 (加水分解),酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油 (加水分解),PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,コレステロール (コレステロールフリー),ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油 (ダイズ油由来),トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 (ヤシ油由来),レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン (加水分解),水素添加大豆リン脂質 (加水分解),セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄(CI 19140),緑201」

(2)甲2

・甲2-1[請求項1]
「 1. 液体のポンプ汲み出し可能な皮膚処置組成物であって、
A)A1)10から80重量%の少なくとも2種のセラミドの混合物であって、ただし、これらのセラミドの少なくとも1種は、20から26個の炭素原子を有する、長いアルキル、アルケニルまたはアシル側鎖を含有し、40重量%未満が26個の炭素原子より大きな側鎖を有する、セラミドの混合物と、
A2)10から45重量%のコレステロールであって、動物に由来するか、微生物によって産生されるか、植物起源を有するか、または、植物に由来するかもしくは微生物によって産生される出発材料から出発して合成するかのいずれかであることができるコレステロールと、
A3)10から45重量%の遊離脂肪酸(C12からC30のアルキル-、アルケニル、アルカジエニル、アルカトリエニル、もしくはアルカポリエニル鎖、またはその組合せ)と
からなる、0.1から10重量%の混合物と、
B)0.5から10重量%の、12から19の混合HLB値を有する非イオン性乳化剤または非イオン性乳化剤混合物と、
C)40重量%以上の水と、場合により、
D)0.1から10重量%の、ステアリン酸グリセリルまたはC16からC22アルカノールのような粘稠性エンハンサーと、場合により、
E)助剤および添加剤と
を含有し、ただし、A)からE)は、合計100重量%にならなければならない組成物。」

・甲2-2[4頁8行?6頁18行](参照日本語公報【0010】?【0018】)
「 セラミドの皮膚科学的重要性は知られているが、化粧品製剤中にセラミドを安定な方法で組み込むという目的に挑戦することが依然として残っている。この観点における安定は、製剤が物理的に安定であるだけでなく、セラミドがこれらの製剤から再結晶化しないことも意味する。
・・・
さらに、18個の炭素原子より長いN-アシル側鎖を有するセラミドを、製剤中に安定に包含させることは、よりいっそう困難であるが、これは、これらの長鎖セラミドは、はるかに容易に結晶化する傾向があるためである。
・・・
すべてのこれらの理由のために、化粧品および医薬品配合者に、以下のことができる組成物を提供する必要がある。
1) 貯蔵しても組成物中にセラミドが結晶化することなく、長鎖セラミド(18個の炭素原子より長いN-アシル側鎖)を含有する、皮膚と同一のラメラ構造を模倣すること。
2) 40℃を超える温度に油相または水相を加熱する必要なく、製剤中に容易に組み込むこと。したがって、この組成物は、室温で液体である必要があり、かつ、陰イオン性、両性、または陽イオン性成分と、適合性の問題を有するべきではない。
3)水中油型エマルジョンならびに油中水型エマルジョン中に長鎖セラミドを安定に包含させることを可能にすること。両型のエマルジョン系において、この組成物は、貯蔵したときにセラミドの再結晶化を防止することができるべきである。

驚いたことに、すべての3つ目的は、非イオン性親水性乳化剤と、粘稠性エンハンサーと、中鎖および長鎖セラミドを含有する特定のセラミド混合物と、脂肪酸と、コレステロールとに基づく皮膚処置組成物を適切に設計することによって満足することができることが判明した。このコレステロールは、動物に由来するか、微生物によって産生されるか、植物起源を有するか、または植物由来材料から出発して合成されるかのいずれかであることができる。 」

・甲2-3[8頁19?27行](参照日本語公報【0024】)
「 本発明の好ましい実施形態では、皮膚処置組成物は、0.5から5重量%のセラミド/コレステロール/遊離脂肪酸の混合物A)と、4から6重量%の、12から19の混合HLB値を有する非イオン性乳化剤または非イオン性乳化剤混合物と、1から5重量%の、ステアリン酸グリセリルまたはC16からC22のアルカノールのような粘稠性エンハンサーと、場合により、助剤および添加剤とを含有し、水で合計100重量%にされる。 」

・甲2-4[13頁11?17行](参照日本語公報【0036】)
「 本発明による組成物中に存在する遊離脂肪酸A3)は、C12からC30、最も好ましくはC18からC26のアルキル、アルケニル-、アルカジエニル-、アルカトリエニル-、アルカポリエニル-鎖、またはその組合せを有する脂肪酸からなることが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、ベヘン酸(C22)が遊離脂肪酸成分A3)として使用される。 」

・甲2-5[13頁19行?15頁23行](参照日本語公報【0037】?【0043】)
「 本発明による組成物中に存在する非イオン性乳化剤または乳化剤混合物B)は、以下の群のうちの少なくとも1つからの化合物を含む。
- 8から22個の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコール上、12から22個の炭素原子を有する脂肪酸上、およびアルキル基中に8から15個の炭素原子を有するアルキルフェノール上への、2から30molのエチレンオキシドおよび/または0から5molのプロピレンオキシドの付加生成物、
- グリセロール上への1から30molのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノ-およびジエステル、
- 6から22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸ならびにそのエチレンオキシド付加生成物の、グリセロールモノ-およびジエステルならびにソルビタンモノ-およびジエステル、
- アルキル基中に8から22個の炭素原子を有する、アルキルモノ-およびオリゴグリコシド、ならびにそのエチレンオキシド付加生成物、
- ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油上への2から200molエチレンオキシドの付加生成物、
- 直鎖、分岐、不飽和または飽和C6?22-脂肪酸、リシノール酸、および12-ヒドロキシステアリン酸およびグリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド・・・、
・・・
本発明の好ましい実施形態では、セテアレス-25(HLB=16.2)が、親水性非イオン性乳化剤成分B)として使用される。 」

・甲2-6[15頁25?33行](参照日本語公報【0044】)
「 本発明による助剤および添加剤Gとして、化粧品および医薬品用途において慣例的であり、当業者に既知のすべての助剤および添加剤を使用することができる。これらには、例えば、DE 10 2005 011 785.6に記載されているような、追加の粘稠性調整剤、増粘剤、ワックス、UV光保護フィルター、抗酸化剤、ヒドロトロープ、保存剤、香油、染料、および追加の生体活性成分が含まれる。 」

・甲2-7[20頁8行?23頁7行](参照日本語公報【0063】?【0066】)
「 液体のポンプ汲み出し可能な皮膚処置組成物についての実施例
実施例STC1から10は、本発明による液体のポンプ汲み出し可能な皮膚処置組成物を例示する。この皮膚処置組成物は、存在するセラミドに応じて(適用したセラミドの融点を超えるために)、油相を90から120℃に加熱し、水相を90℃に加熱することによって調製する。次いで、両相を合わせ、短時間ホモジナイズする。例えば、化粧品製剤中に容易に組み込むことのできる、液体のポンプ汲み出し可能な皮膚処置組成物を得る。

すべての組成物は、-5から40℃の温度で、少なくとも1年間安定である。この期間内で、すべての試験温度について、セラミド結晶をまったく見出すことはできない。これにより、この皮膚処置組成物の優れた貯蔵安定性が例証される。 」

(3)甲3

・甲3-1[請求項1]
「 対象の皮膚のある区域におけるグリコサミノグリカン濃度を増加させる方法において、
前記皮膚の区域に治療効果のある量の第1の製剤を塗布する工程であって、該第1の製剤が、
約25質量%から約65質量%の量の水、
約12質量%から約36質量%の量の変性アルコール、
約6質量%から約18質量%の量の複数の角質溶解剤、および
約5質量%から約15質量%の量の複数の保湿剤、皮膚軟化薬、湿潤剤、または皮膚鎮静剤、
を含むものである、工程と、
前記皮膚の区域に治療効果のある量の第2の製剤を塗布する工程であって、該第2の製剤が、
約25質量%から約75質量%の量の水、
約18質量%から約54質量%の量の複数の保湿剤、皮膚軟化薬、湿潤剤、または皮膚鎮静剤、
約1質量%から約3質量%の量の複数の植物エキスまたは果実種子エキス、および
約0.06質量%から約0.18質量%の量の複数のペプチドまたはペプチド複合体、
を含むものである、工程と、
前記皮膚の区域に治療効果のある量の第3の製剤を塗布する工程であって、該第3の製剤が、
約25質量%から約75質量%の水、
約15質量%から約45質量%の量の複数の保湿剤、皮膚軟化薬、湿潤剤、または皮膚鎮静剤、および
複数の植物エキスまたは果実種子エキス、
を含むものである、工程と、
を有してなる方法。 」

・甲3-2[1頁24?34行](参照日本語公報【0005】?【0006】)
「 皮膚内の、HAなどのグリコサミノグリカン(GAG)の濃度を増加させ、それによって、皮膚の自身を治癒する能力を高める組成物、およびその局所投与方法が必要とされている。
発明の概要
ある実施の形態において、本発明は、対象の皮膚のある区域におけるグリコサミノグリカン濃度を増加させる方法であって、
その皮膚の区域に治療効果のある量の第1の製剤を塗布する工程、
その皮膚の区域に治療効果のある量の第2の製剤を塗布する工程、および
その皮膚の区域に治療効果のある量の第3の製剤を塗布する工程、
を有してなる方法に関する。 」

・甲3-3[5頁28行?14頁8行](参照日本語公報【0022】?【0052】)
「 本発明のエマルションおよび組成物の例示の成分
本発明の組成物の様々な成分の例示の身元が以下に記載されている。
1.噴射剤
・・・
2.ビヒクル
・・・
1つの実施の形態において、本発明の組成物は水中油エマルションである。本発明の組成物の配合に使用するのに適した液体としては、水、およびグリコール(例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコール)、グリセロール、液体ポリオール、ジメチルスルホキシド、およびイソプロピルアルコールなどの水混和性溶媒が挙げられる。1種類以上の水性ビヒクルが存在してもよい。
1つの実施の形態において、メタノール、エタノール、プロパノール、またはブタノールを含まない製剤が望ましい。
3.界面活性剤および乳化剤
・・・
本発明に使用するのに適した界面活性剤はイオン性であっても、非イオン性であってもよい。これらの例としては、以下に限られないが、イソステアリン酸ナトリウム、セチルアルコール、ポリソルベート(ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80)、ステアレス-10(Brij76)、ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)、ラウリルジメチルアミンオキシド、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ポリエトキシル化アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン、オクトキシノール、N,N-ジメチルドデシルアミン-N-オキシド、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(HTAB)、ポリオキシル10ラウリルエーテル、胆汁酸塩(デオキシコール酸ナトリウムまたはコール酸ナトリウムなど)、ポリオキシルヒマシ油、ノニルフェノールエトキシレート、シクロデキストリン、レシチン、ジメチコンコポリオール、ラウラミドDEA、コカミドDEA、コカミドMEA、オレイルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルホスファチジルPG-ジモニウムクロリド、リン酸ジセチル(リン酸ジヘキサデシル)、セテアレス-10リン酸、塩化メチルベンゼトニウム、リン酸ジセチル、セテス-10リン酸(セテス-10は、nの平均値が10である、セチルアルコールのポリエチレングリコールエーテルである;セテス-10リン酸は、セテス-10のリン酸エステルの混合物である)、セテス-20、Brij S10(ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、平均Mn?711)、PEG-20フィトステロール、およびポロキサマー(以下に限られないが、ポロキサマー188(HO(C_(2)H_(4)O)_(a)(CH(CH_(3))CH_(2)O)_(b)(C_(2)H_(4)O)_(a))H、平均分子量8400)およびポロキサマー407(HO(C_(2)H_(4)O)_(a)(CH(CH_(3))CH_(2)O)_(b)(C_(2)H_(4)O)_(a))H、aは約101であり、bは約56である)が挙げられる。そのような界面活性剤の適切な組合せまたは混合物も本発明にしたがって使用してもよい。
これらの界面活性剤の多くは、本発明の製剤において乳化剤としても働くであろう。
本発明の製剤に使用するための他の適切な乳化剤としては、以下に限られないが、グリシンソヤタンパク質、・・・、およびステアリン酸PEG-100、セラミド2、セラミド3、ステアリン酸、・・・、またはそれらの組合せ/混合物が挙げられる。
4.保湿剤、皮膚軟化薬、および湿潤剤
・・・
本発明の製剤に使用するのに適した保湿剤としては、以下に限られないが、乳酸および他のヒドロキシ酸とそれらの塩、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ナトリウムPCA、ヒアルロン酸ナトリウム、Carbowax200、Carbowax400、およびCarbowax800が挙げられる。
本発明の製剤に使用するための適切な皮膚軟化薬または湿潤剤としては、以下に限られないが、パンテノール、パルミチン酸セチル、グリセロール(グリセリン)、PPG-15ステアリルエーテル、ラノリンアルコール、ラノリン、ラノリン誘導体、コレステロール、ワセリン、ネオペンタン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、鉱油、ステアリン酸イソセチル、ミリスチン酸ミリスチル、オクチルドデカノール、パルミチン酸2-エチルヘキシル(パルミチン酸オクチル)、ジメチコン、フェニルトリメチコン、シクロメチコン、安息香酸C_(12)?C_(15)アルキル、ジメチコノール、プロピレングリコール、テオブロマグランジフロルム種子脂、ヒマワリ種子油、セラミド(例えば、セラミド2またはセラミド3)、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、・・・
5.防腐剤および酸化防止剤
・・・
6.活性薬剤
・・・
8.緩衝塩
適切な緩衝塩は当該技術分野において周知である。適切な緩衝塩の例としては、以下に限られないが、クエン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸二水素一ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、およびリン酸三カリウムが挙げられる。
9.粘度調整剤
・・・
10.追加の成分
本発明のエマルションに含ませるのに適した追加の成分としては、以下に限られないが、皮膚保護薬、吸着剤、緩和剤、皮膚軟化薬、湿潤剤、持効性材料、可溶化剤、皮膚浸透剤、皮膚鎮静剤、防臭剤、制汗剤、日焼け止め剤、太陽光によらない日焼け剤、ビタミン類、髪質改良剤、抗刺激剤、老化防止剤、表皮剥脱剤(abrasive)、吸着剤、固化防止剤、帯電防止剤、アストリンゼン(例えば、ウィッチヘーゼル、アルコール、およびカモミールエキスなどのハーブエキス)、結合剤/賦形剤、キレート剤、被膜形成剤、品質改良剤、隠蔽剤、脂質、免疫刺激剤、およびpH調整剤(例えば、クエン酸、水酸化ナトリウム、およびリン酸ナトリウム)が挙げられる。
例えば、健康な皮膚に通常見られる脂質(またはその機能的同等物)が本発明のエマルションに含まれてもよい。ある実施の形態において、脂質は、セラミド、コレステロール、および遊離脂肪酸からなる群より選択される。脂質の例としては、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、およびヒドロキシプロピルビスラウラミドMEA、並びにそれらの組合せが挙げられる。 」

・甲3-4[80頁下から2行、及び同頁最下行?中段の表](参照日本語公報【0113】。なお、表の罫線は省略)
「 ある実施の形態において、第3の製剤は以下からなる。
水 第3の製剤の約25質量%から約75質量%
ペンチレングリコール
第3の製剤の約2質量%から約8質量%
ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル
第3の製剤の約2質量%から約8質量%
スクアラン
第3の製剤の約2質量%から約8質量%
ポリシリコーン-11
第3の製剤の約2質量%から約6質量%
グリセリン
第3の製剤の約1.5質量%から約4.5質量%
ヘリアンサス・アナス(ヒマワリ)種子油
第3の製剤の約1.5質量%から約4.5質量%
パンテノール
第3の製剤の約1質量%から約3質量%
フィトステリルキャノーラグリセリド
第3の製剤の約1質量%から約3質量%
Persea Gratissima
(アボカド)油不けん化物
第3の製剤の約1質量%から約3質量%
Butyrospermum Parkii
(シアバター)
第3の製剤の約1質量%から約3質量%
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド
第3の製剤の約1質量%から約3質量%
トコフェロール
第3の製剤の約0.5質量%から約1.5質量%
ジメチコン
第3の製剤の約0.5質量%から約1.5質量%
ザクロステロール
第3の製剤の約0.5質量%から約1.5質量%
ベヘニルアルコール
第3の製剤の約0.5質量%から約1.5質量%
ステアリルアルコール
第3の製剤の約0.5質量%から約1.5質量%
Rubus Idaeus(ラズベリー)種子油
第3の製剤の約0.3質量%から約1.1質量%
Rubus Occidentalis
(ブラックラズベリー)種子油
第3の製剤の約0.3質量%から約1.1質量%
香料
第3の製剤の約0.3質量%から約1.1質量%
Punica Granatum
(ザクロ)種子油
第3の製剤の約0.3質量%から約1.1質量%
Vaccinium Macrocarpon
(クランベリー)種子油
第3の製剤の約0.3質量%から約1.1質量%
のアクリレート/C10-30アルキル
アクリレートのクロスポリマー
第3の製剤の約0.2質量%から約0.8質量%
PEG-20フィトステロール
第3の製剤の約0.2質量%から約0.6質量%
アラントイン
第3の製剤の約0.2質量%から約0.6質量%
クロルフェネシン
第3の製剤の約0.1質量%から約0.5質量%
ビサボロール
第3の製剤の約0.1質量%から約0.5質量%
セチルアルコール
第3の製剤の約0.1質量%から約0.4質量%
フィトステロール
第3の製剤の約0.1質量%から約0.3質量%
エチルヘキシルグリセリン
第3の製剤の約0.1質量%から約0.3質量%
藻類エキス
第3の製剤の約0.1質量%から約0.3質量%
オウシュウヨモギエキス
第3の製剤の約0.1質量%から約0.3質量%
ソルビン酸カリウム
第3の製剤の約0.07質量%から約0.22質量%
安息香酸ナトリウム
第3の製剤の約0.07質量%から約0.22質量%
セテアレス-25
第3の製剤の約0.07質量%から約0.22質量%
水酸化ナトリウム
第3の製剤の約0.06質量%から約0.18質量%
ステアリン酸グリセリル
第3の製剤の約0.06質量%から約0.18質量%
の水素化レシチン
第3の製剤の約0.06質量%から約0.18質量%
EDTA二ナトリウム
第3の製剤の約0.05質量%から約0.15質量%
キサンタンガム
第3の製剤の約0.05質量%から約0.15質量%
グリシルレチン酸ステアリル
第3の製剤の約0.05質量%から約0.15質量%
カラフトコンブエキス
第3の製剤の約0.05質量%から約0.15質量%
ラウレス-12
第3の製剤の約0.04質量%から約0.12質量%
コレステロール
第3の製剤の約0.006質量%から約0.018質量%
ベヘン酸
第3の製剤の約0.006質量%から約0.018質量%
セラミドNP
第3の製剤の約0.006質量%から約0.018質量%
ヒアルロン酸ナトリウム
第3の製剤の約0.005質量%から約0.015質量%
メチルイソチアゾリノン
第3の製剤の約0.005質量%から約0.015質量%
セラミドNS
第3の製剤の約0.003質量%から約0.011質量%
セラミドEOS
第3の製剤の約0.001質量%から約0.004質量%
セラミドEOP
第3の製剤の約0.001質量%から約0.004質量%
セラミドAP
第3の製剤の約0.001質量%から約0.004質量%
カプロイルスフィンゴシン
第3の製剤の約0.0006質量%から約0.0018質量%
カプロイルフィトスフィンゴシン
第3の製剤の約0.0006質量%から約0.0018質量% 」

(4)甲4

・(甲4-1)24頁右欄2行?25頁右欄1行
「2.セラミドの分類と構造
最新の知見に基づくヒト角質細胞間脂質を構成する遊離セラミドの分類を図2に示す。セラミドはスフィンゴシン塩基の種類とアミド結合している脂肪酸の種類によってこれまで7種類に分類されていたが^(13))、最近の分析技術(LC-MS等)の進歩により10種類に細分化されるに至っている(図2)^(14)15))。
・・・
なお、最新の分類によると、今回紹介するセラミド2はTypeXに分類されることになるが、本稿では混乱を避けるため、スフィンガニン、スフィンゴシンは共通母核とした従来の記載通りType2(INCI名:Ceramide2)として議論することとする。」

・(甲4-2)図2




2.申立理由A及びBについて

2-1.甲1を主引例とする新規性及び進歩性の判断

(1)甲1に記載された発明
甲1の甲1-1?甲1-3’の記載事項によれば、甲1には、次の発明:
「 CP Cosmetics社のウォータークリームであって、
水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス(エキス),ウコン根エキス (エキス,根),オリーブ葉エキス (エキス),カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス (エキス),カンゾウ葉エキス (エキス),グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ ,セイヨウイラクサエキス (エキス),ゼニアオイエキス (エキス),セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド類,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス (エキス),ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス (エキス),ハマメリエキス (エキス),アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス (エキス),フカスセラツスエキス (エキス),L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51(リピジュア),ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス (エキス),モモ核エキス (エキス),ユーカリエキス (エキス),ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖 (加水分解),酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油 (加水分解),PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,コレステロール (コレステロールフリー),ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油 (ダイズ油由来),トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 (ヤシ油由来),レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン (加水分解),水素添加大豆リン脂質 (加水分解),セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄(CI 19140),緑201からなるウォータークリーム 」
(以下、「甲1発明」ということがある)が、記載されている。

(2)対比・判断

(2-1)訂正発明1について

(i)新規性について
(i-1)対比
訂正発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「ステアリン酸」や「ベヘニン酸」は訂正発明1の「(B)高級脂肪酸」に相当し、甲1発明の「PEG-60水添ヒマシ油」は、訂正発明1の「(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油」に相当し、甲1発明の「ジグリセリン」や「ジプロピレングリコール」、「ブチレングリコール」、「グリセリン」は訂正発明1の「(D)多価アルコール」に相当する。また、甲1発明の「ウォータークリーム」はスキンケア製品であるから(甲1-2)、訂正発明1における「外用組成物」に相当する。
また、「N-アシルジヒドロスフィンゴシン」が「セラミド10」に分類される場合がある旨の甲4の記載を踏まえたとしても、甲1発明の「セラミド2」は当該「N-アシルジヒドロスフィンゴシン」か「N-アシルスフィンゴシン」のいずれかであって、訂正発明1の「N-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンである」「セラミド2」に相当する。
さらに、甲1発明は、上記セラミド1、セラミド2、セラミド3、ステアリン酸、ベヘニン酸、PEG-60水添ヒマシ油、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、クエン酸、水酸化ナトリウム及び水以外の所定成分をも含有するものであるが、訂正発明1は(A)?(F)以外の他の成分や他の基材や添加物を含む外用組成物の態様を何ら除外していない(なお、このことは、特許明細書における、成文(A)?(F)に加えて必要に応じ他の薬効成分や基材、添加剤を含有し得る旨の記載(【0057】?【0058】)からも把握することができる)から、この点は両者の相違点とはならない。
そうすると、両者は
「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、並びに(F)水を含有し、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであることを特徴とする、外用組成物 」
の点で一致するが、次の点1):
1) 訂正発明1が「(E)クエン酸のアルカリ金属塩」を含むのに対し、甲1発明は「クエン酸」及び「水酸化ナトリウム」を含むが「(E)クエン酸のアルカリ金属塩」を含むことの規定はない点
(以下、「相違点1」ということがある)において、少なくとも文言上相違する。

しかしながら、ここで、甲1発明における水酸化ナトリウムはイオン化して(即ち、ナトリウム分はナトリウムイオンとして)存在するものと推認されるところ、当該ナトリウムイオン及びクエン酸が共存してなる甲1発明は、一見したところでは、「(E)クエン酸のアルカリ金属塩」が溶解した状態で配合されてなる訂正発明1と、その成分組成上実質的に区別し得ないものと解され得る、との疑義が存在する。

(i-2)判断
そこで、上述の疑義が存在することを踏まえ、相違点1について以下でさらに検討する。

(ア) 特許明細書には、実施例の項で製造され試験されている外用組成物(ローション)のうち、「実施例17」及び「実施例32」の各成分組成並びに【0067】の条件下での「保存後の析出物の生成の程度」について、【表3】及び【表4】に次のとおり記載されている。

・「実施例17」
(成分) (含有量(重量%))
セラミド1(成分(A)) 0.00001
セラミド2(成分(A)) 0.01
セラミド3(成分(A)) 0.00001
イソステアリン酸(成分(B)) 0.01
ポリオキシエチレン硬化 0.05
ヒマシ油60(成分(C))
1,3-ブチレングリコール(成分(D)) 10.1
ペンタンジオール(成分(D)) 2
グリセリン(成分(D)) 7
クエン酸三ナトリウム(成分(E)) 0.06
フェノキシエタノール 0.5
精製水(成分(F)) 残部
合計 100
「保存後の析出物の生成の程度」 「◎」

・「実施例32」
(成分) (含有量(重量%))
セラミド1(成分(A)) 0.00001
セラミド2(成分(A)) 0.01
セラミド3(成分(A)) 0.00001
イソステアリン酸(成分(B)) 0.01
ポリオキシエチレン硬化 0.05
ヒマシ油60(成分(C))
1,3-ブチレングリコール(成分(D)) 10.1
ペンタンジオール(成分(D)) 2
グリセリン(成分(D)) 7
クエン酸 0.044
水酸化ナトリウム 0.0276
フェノキシエタノール 0.5
精製水(成分(F)) 残部
合計 100
「保存後の析出物の生成の程度」 「○」

ここで、「実施例17」のローションにおけるクエン酸の濃度([クエン酸])及びナトリウムイオンの濃度([Na])は、クエン酸三ナトリウム(無水)のMW(分子量)=約258とすると、それぞれ次のように概算される。
[クエン酸]:(0.06×1000/100)/258=約2.33×10^(-3)M
[Na]:約2.33×10^(-3)M ×3=約6.99×10^(-3)M
一方、「実施例32」のローション中のクエン酸及びナトリウムイオンの各濃度は、クエン酸のMW=約192、水酸化ナトリウムのMW=約約40.0とすると、それぞれ次のように概算される。
[クエン酸]:(0.044×1000/100)/192=約 2.29×10^(-3)M
[Na]:(0.0276×1000/100)/40.0=約 6.9×10^(-3)M

即ち、「実施例17」と「実施例32」とは、前者が「クエン酸三ナトリウム」を含有し、後者が「クエン酸」及び「水酸化ナトリウム」を含有している点(即ち、上記「相違点1」の点で相違している)以外、(A)?(D)、(F)相当成分を含めその成分組成は一致しており、しかも、「実施例32」は、クエン酸及びナトリウムイオン(成分(E)に相当)の含有量(濃度)においても、「実施例17」のそれとほぼ同程度のものとみることができる。
そして、そうであるにもかかわらず、「保存後の析出物の生成の低度」は、
「実施例17」では「◎」(「析出物の生成が全く認められない。」)
であったのに対し、
「実施例32」では「○」(「析出物の生成が極めて微量認められるが、実用上は問題にならない。」)
であった、という、経時的(セラミド)析出物の生成抑制能において相対的に僅かであるとはいえ有意な差異が有ることが示されているものと理解される。

(イ) 上の(ア)での特許明細書の「実施例17」-「実施例32」間の対比・検討の結果を踏まえると、成分(A)?(D)及び(F)において共通し、且つ、「クエン酸」及び「ナトリウムイオン」がほぼ同含有量(濃度)含まれている組成物同士であっても、(E)相当成分として「クエン酸三ナトリウム」を含む「実施例17」と、「クエン酸」及び「水酸化ナトリウム」を含有する「実施例32」との間には、セラミド1?3の経時的析出物の生成抑制能において有意な差異が存在し得るものと理解せざるを得ない。
してみると、(E)相当成分として「クエン酸のアルカリ金属塩」を含外用組成物と、「クエン酸」及び「水酸化ナトリウム」を含む外用組成物とでは、その物性(少なくともセラミド1?3の経時的セラミド析出物の生成抑制能)において、必ずしも同等の性質を示すものとはいえないと理解され、よって、上記相違点1は単なる文言上の差異ではなく、実質的な相違点といわざるを得ない。

(ウ) そうすると、訂正発明1は、甲1に記載された発明とはいえない。

(ii)進歩性について
(i)での検討結果を踏まえ、訂正発明1の進歩性に関し、相違点1についてさらに検討する。

(ア) 甲1には、甲1発明に係る外用組成物(ウォータークリーム)において、含有成分であるセラミド1?セラミド3の経時析出性を抑制することが技術課題とされていることの記載乃至示唆は認められず、また、当該技術課題を解決することを企図して、「クエン酸」及び「水酸化ナトリウム」に代えて、若しくはそれらに加えて、クエン酸のアルカリ金属塩をさらに含有せしめることの記載も示唆も認められない。
また、甲2-1?甲2-7の記載事項を含む甲2や、甲3-1?甲3-4の記載事項を含む甲3においても、甲1発明のような特定の成分組成からなる「ウォータークリーム」の形態である外用組成物において、経時的なセラミド析出物の生成抑制能をより高めることを企図して、「クエン酸」及び「水酸化ナトリウム」に代えて、若しくはそれらに加えて、クエン酸のアルカリ金属塩をさらに含有せしめることは、何ら具体的に記載乃至示唆されていない。
してみれば、甲1発明において、経時的なセラミド析出物の生成抑制能をより高めることを企図して、「クエン酸」及び「水酸化ナトリウム」に代えて、若しくはそれらに加えて、クエン酸のアルカリ金属塩をさらに含有せしめることは、甲1の記載、若しくはさらに甲2及び/又は甲3の記載を併せ踏まえたとしても、当業者といえども容易に想到し得たということはできない。

(イ) そして、訂正発明1が、成分(A)に加えて上記成分(E)を含めた成分(B)?(F)の全てを併せ含有することにより、当該成分(B)?(F)の全てを併せ含有しない外用組成物に比して、経時的な成分(A)(セラミド1、2及び/又はセラミド)の析出物の生成抑制において予想外の優れた効果をもたらすものであることは、特許明細書に記載された実施例の項における「比較例1」?「比較例14」(いずれも(E)を含まない)、「比較例15」((B)を含まない)や「比較例16」((C)を含まない)の各外用組成物(ローション)が、【0067】の条件下での「保存後の析出物の生成の程度」において「△」(「析出物の生成が実用上問題になる程度に認められるが、析出物の生成量は多くはない。」)、「×」(「多くの析出物の生成が認められる。」)又は「××」(「顕著に多い析出物の生成が認められる。」)のいずれかであるのに対し、成分(B)?(F)を併せ含有する「実施例1」?「実施例31」の外用組成物(ローション)がいずれも同「保存後の析出物の生成の程度」において「◎」(「析出物の生成が全く認められない。」)であることを示す試験結果から、当業者が把握し得ることである。

(ウ) したがって、訂正発明1は、甲1に記載された発明に基づいて、若しくは、甲1に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(2-2)訂正発明2について

(i)新規性について
(2-1)(i)(i-1)で述べた点を併せ踏まえつつ、訂正発明2と甲1発明を対比するに、両者は
「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸、並びに(F)水を含有し、
前記(A)成分が、セラミド2と、セラミド1及び/又はセラミド3との組み合わせであり、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであることを特徴とする、外用組成物 」
の点で一致するが、次の点2):
2) 訂正発明2が「水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス,ウコン根エキス,オリーブ葉エキス,カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス,カンゾウ葉エキス,グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ,セイヨウイラクサエキス,ゼニアオイエキス,セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス,ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス,ハマメリエキス,アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス,フカスセラツスエキス,L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51,ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス,モモ核エキス,ユーカリエキス,ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖,酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油,PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 ,レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン,水素添加大豆リン脂質,セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄,及び緑201を含むクリームを除く。」ものであることの但し書きが付されてなるものであるのに対し、甲1発明にはそのような「除く」規定はない点
(以下、単に「相違点2」ということがある)において、相違する。

そして、ここで、訂正発明2において「除」かれている
「水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス,ウコン根エキス,オリーブ葉エキス,カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス,カンゾウ葉エキス,グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ,セイヨウイラクサエキス,ゼニアオイエキス,セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス,ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス,ハマメリエキス,アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス,フカスセラツスエキス,L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51,ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス,モモ核エキス,ユーカリエキス,ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖,酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油,PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 ,レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン,水素添加大豆リン脂質,セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄,及び緑201を含むクリーム」
は、その成分組成及び形態からみて、甲1発明に係る
「CP Cosmetics社のウォータークリームであって、
水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス(エキス),ウコン根エキス (エキス,根),オリーブ葉エキス (エキス),カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス (エキス),カンゾウ葉エキス (エキス),グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ ,セイヨウイラクサエキス (エキス),ゼニアオイエキス (エキス),セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド類,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス (エキス),ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス (エキス),ハマメリエキス (エキス),アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス (エキス),フカスセラツスエキス (エキス),L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51(リピジュア),ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス (エキス),モモ核エキス (エキス),ユーカリエキス (エキス),ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖 (加水分解),酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油 (加水分解),PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,コレステロール (コレステロールフリー),ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油 (ダイズ油由来),トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 (ヤシ油由来),レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン (加水分解),水素添加大豆リン脂質 (加水分解),セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄(CI 19140),緑201からなるウォータークリーム」
を包含しているものと解される。
即ち、訂正発明2から除外された範囲の上記「クリーム」の範囲の中に、甲1発明に係る「ウォータークリーム」が含まれていると解されることから、訂正発明2は甲1発明でないことは明らかである。
そうすると、訂正発明2は甲1に記載された発明ではない。

(ii)進歩性について
(i)での検討結果を踏まえ、訂正発明2の進歩性に関し、相違点2についてさらに検討する。

(ア) 甲1には、甲1発明に係る外用組成物(ウォータークリーム)の成分組成を変更し得ることの具体的な記載乃至示唆は認められない。
また、甲2-1?甲2-7の記載事項を含む甲2や、甲3-1?甲3-4の記載事項を含む甲3においても、甲1発明のような特定の成分組成からなる「ウォータークリーム」の形態である外用組成物において、セラミド1?3の経時的析出物の生成抑制能をより高めることを企図してその成分組成を変更し得ることについて、何ら具体的に記載乃至示唆されていない。
してみれば、甲1発明において、セラミド1?3の経時的析出物の生成抑制能をより高めることを企図して、甲1発明それ自体以外の成分組成からなるウォータークリーム又はそれ以外の形態の外用組成物を製造することは、甲1の記載、若しくはさらに甲2及び/又は甲3の記載を併せ踏まえたとしても、当業者といえども容易に想到し得たということはできない。

(イ) そして、訂正発明2は、成分(A)に加えて上記成分(E)を含めた成分(B)?(F)の全てを併せ含有し、且つ、上記相違点2の「除く」要件を併せ具備してなる外用組成物とすることにより、(2-1)(ii)(イ)で述べたとおりの、特許明細書に記載された予想外の優れた効果を奏するものである。

(ウ) したがって、訂正発明2は、甲1に記載された発明に基づいて、若しくは、甲1に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(2-3)訂正発明3について
訂正発明3は、訂正発明1又は2の外用組成物を引用する従属発明であって、訂正発明1又は訂正発明2をさらに技術的に限定してなる発明であるから、(2-1)及び(2-2)で訂正発明1及び2について述べたのと同様の理由により、甲1に記載された発明であるとはいえないし、また、甲1に記載された発明に基づいて、若しくは、甲1に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易になし得た発明であるともいえない。

(2-4)訂正発明4について
(i) 訂正発明4と甲1発明とを対比するに、両者は
「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸、並びに(F)水を含有し、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであることを特徴とする、外用組成物 」
の点で一致するが、次の点3)及び4):
3) 訂正発明4では成分(A)が「総量で0.000001?0.05重量%含まれ」ているのに対し、甲1発明では成分(A)の含量について規定はない点
4) 「外用組成物」としての形態が、訂正発明4では「ローション」であるのに対し、甲1発明では「ウォータークリーム」である点
(以下、順に「相違点3」、「相違点4」ということがある)において、相違する。

(ii) 以下、上記相違点3及び4について検討する。
(ア) 甲1には、甲1発明に係る「ウォータークリーム」におけるセラミド1?セラミド3の総量を0.000001?0.05重量%の範囲内とし、且つ、形態を「ローション」とし得ることについて、何ら具体的記載乃至示唆はない。
また、甲2や甲3においても、甲1発明のような特定の成分組成であり且つ「ウォータークリーム」の形態である外用組成物において、セラミド1?セラミド3の総量を0.000001?0.05重量%の範囲内とし、且つ、形態を「ローション」とすることを動機づける記載乃至示唆を見出すことはできない。
してみれば、甲1?甲3の記載に基づいて、甲1発明におけるセラミド1?セラミド3の総量を0.000001?0.05重量%の範囲内とし、且つ、その形態をローションとすることは、当業者といえども容易に想到することができたとはいえない。

(イ) そして、訂正発明4は、上記相違点3及び4に係る要件を併せ具備することにより、(2-1)(ii)(イ)で述べたとおりの、特許明細書に記載された優れた効果を奏するものである。

(ウ) したがって、訂正発明4は、甲1に記載された発明に基づいて、若しくは、甲1に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2-5)訂正発明5?9について
訂正発明5?9は、それぞれ訂正発明1?4のいずれかを直接又は間接的に引用する従属発明であって、訂正発明1?4のいずれかをさらに技術的に限定してなる発明である。
そうすると、(2-1)?(2-4)で訂正発明1?4について述べたのと同様の理由により、訂正発明8は甲1に記載された発明であるとはいえないし、また、訂正発明5?9のいずれも、甲1に記載された発明に基づいて、若しくは、甲1に記載された発明と述べた甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易になし得た発明であるともいえない。

2-2.甲2を主引例とする進歩性の判断

(1)甲2に記載された発明
甲2の甲2-1?甲2-6を踏まえた甲2-7の記載事項によれば、甲2には、次の発明:
「 液体のポンプ汲み出し可能な皮膚処置組成物であって、
A)A1)10から80重量%の少なくとも2種のセラミドの混合物であって、ただし、これらのセラミドの少なくとも1種は、20から26個の炭素原子を有する、長いアルキル、アルケニルまたはアシル側鎖を含有し、40重量%未満が26個の炭素原子より大きな側鎖を有する、セラミドの混合物と、
A2)10から45重量%のコレステロールであって、動物に由来するか、微生物によって産生されるか、植物起源を有するか、または、植物に由来するかもしくは微生物によって産生される出発材料から出発して合成するかのいずれかであることができるコレステロールと、
A3)10から45重量%の遊離脂肪酸(C12からC30のアルキル-、アルケニル、アルカジエニル、アルカトリエニル、もしくはアルカポリエニル鎖、またはその組合せ)と
からなる、0.1から10重量%の混合物と、
B)0.5から10重量%の、12から19の混合HLB値を有する非イオン性乳化剤または非イオン性乳化剤混合物と、
C)40重量%以上の水と、場合により、
D)0.1から10重量%の、ステアリン酸グリセリルまたはC16からC22アルカノールのような粘稠性エンハンサーと、場合により、
E)助剤および添加剤と
を含有し、AからE)は合計100重量%であって、
A1)として セラミド1(EOS)C_(27-32)、
セラミド9(EOP)C_(27-32)、
セラミド2(NS)C_(22)、
セラミド3(NP)C_(22)、
セラミド3(NP)C_(16)、
セラミド6(AP)C_(18)、
セラミド3(AP)C_(18)、
セラミド3(NP)C_(6)(n-ヘキサノイルフィトスフィンゴシン)、
セラミド2(NS)C_(6)(n-ヘキサノイルスフィンゴシン)、
A3)として ベヘン酸、
B)として セテアレス-25、
D)として ステアリン酸グリセリル及び/又はステアリルアルコール、
及び グリセリン
を含む、組成物 」
(以下、「甲2発明」ということがある)が記載されている。

(2)対比・判断

(2-1)訂正発明1について

(i)対比
訂正発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「ベヘン酸」は訂正発明1の「(B)高級脂肪酸」に相当し、甲2発明の「グリセリン」は訂正発明1の「(D)多価アルコール」に相当する。また、甲2発明の「皮膚処置組成物は訂正発明1の「外用組成物」に相当する。
そして、「N-アシルジヒドロスフィンゴシン」が「セラミド10」に分類される場合がある旨の甲4の記載を踏まえたとしても、甲2発明の「セラミド2」は当該「N-アシルジヒドロスフィンゴシン」か「N-アシルスフィンゴシン」のいずれかであって、訂正発明1の「N-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンである」「セラミド2」に相当する。
さらに、甲2発明は、セラミド1?セラミド3、ベヘン酸、グリセリン及び水以外の成分をも含有するものであるが、訂正発明1は(A)?(F)以外の他の成分や他の基材や添加物を含む外用組成物の態様を何ら除外していないから、この点は両者の相違点とはならない
そうすると、両者は
「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(D)多価アルコール、並びに(F)水を含有し、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであることを特徴とする、外用組成物 」
の点で一致するが、次の点5):
5) 訂正発明1が「(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、」及び「(E)クエン酸のアルカリ金属塩」をさらに併せ含有するのに対し、甲2発明は当該「(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、」及び「(E)クエン酸のアルカリ金属塩」を併せ含むことの規定はない点
(以下、「相違点5」ということがある)において、相違する。

(ii)判断
以下、上記相違点5について判断する。

(ア) 甲2には、甲2発明の組成物が、貯蔵中のセラミドの結晶化を抑制し得ることが記載され(甲2-2)、また、12から19の混合HLB値を有する非イオン性乳化剤または非イオン性乳化剤混合物(成分B)として、セテアレス-25に代えて、若しくは加えて、ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油上への2から200molエチレンオキシドの付加生成物(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油に相当する)を含有せしめ得る旨の記載はみられるものの(甲2-5)、セラミド1?セラミド3の経時析出性を抑制することを企図して、甲2発明の組成物にさらにポリエチレン硬化ヒマシ油及びクエン酸のアルカリ金属塩を併せ含有せしめることについて、具体的な記載乃至示唆は認められない。
また、甲1-1?甲1-3’の記載事項を含む甲1や、甲3-1?甲3-4の記載事項を含む甲3においても、甲2発明の組成物において、セラミド1?セラミド3の経時析出性を抑制することを企図して、甲2発明の組成物にさらにポリエチレン硬化ヒマシ油及びクエン酸のアルカリ金属塩を併せ含有せしめることは、何ら具体的に記載乃至示唆されていない。
してみれば、甲2発明において、セラミド1?3の経時的な析出物の生成抑制能をより高めることを企図して、さらにポリエチレン硬化ヒマシ油及びクエン酸のアルカリ金属塩を併せ含有せしめることは、甲2の記載、若しくはさらに甲1及び/又は甲3の記載を併せ踏まえたとしても、当業者といえども容易に想到し得たということはできない。

(イ) そして、訂正発明1が、上記相違点5に係る成分(C)及び(E)をさらに併せ含有することにより、それら成分(C)及び(E)を併せ含有しない外用組成物に比して、経時的な成分(A)(セラミド1、2及び/又はセラミド)の析出物の生成抑制において予想外の優れた効果をもたらすものであることは、特許明細書に記載された実施例の項における「比較例1」?「比較例14」(いずれも(E)を含まない)や「比較例16」((C)を含まない)の各外用組成物(ローション)が、【0067】の条件下での「保存後の析出物の生成の程度」において「△」(「析出物の生成が実用上問題になる程度に認められるが、析出物の生成量は多くはない。」)、「×」(「多くの析出物の生成が認められる。」)又は「××」(「顕著に多い析出物の生成が認められる。」)のいずれかであるのに対し、成分(C)及び(E)を併せ含有する「実施例1」?「実施例31」の外用組成物(ローション)がいずれも同「保存後の析出物の生成の程度」において「◎」(「析出物の生成が全く認められない。」)であることを示す試験結果から、当業者が把握し得ることである。

(ウ) したがって、訂正発明1は、甲2に記載された発明に基づいて、若しくは、甲2に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2-2)訂正発明2について

(i)対比
甲2発明の組成物が、訂正発明2で「除」かれている
「水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス,ウコン根エキス,オリーブ葉エキス,カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス,カンゾウ葉エキス,グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ,セイヨウイラクサエキス,ゼニアオイエキス,セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス,ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス,ハマメリエキス,アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス,フカスセラツスエキス,L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51,ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス,モモ核エキス,ユーカリエキス,ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖,酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油,PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 ,レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン,水素添加大豆リン脂質,セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄,及び緑201を含むクリーム」
に該当するものでないことは、その成分組成から明らかである。
この点と、(2-1)(i)で述べた点を併せ踏まえつつ、訂正発明2と甲2発明を対比するに、両者は
「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(D)多価アルコール、並びに(F)水を含有し、
前記(A)成分が、セラミド2と、セラミド1及び/又はセラミド3との組み合わせであり、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであることを特徴とする、外用組成物(但し、水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス,ウコン根エキス,オリーブ葉エキス,カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス,カンゾウ葉エキス,グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ,セイヨウイラクサエキス,ゼニアオイエキス,セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス,ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス,ハマメリエキス,アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス,フカスセラツスエキス,L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51,ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス,モモ核エキス,ユーカリエキス,ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖,酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油,PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 ,レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン,水素添加大豆リン脂質,セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄,及び緑201を含むクリームを除く。) 」
の点で一致するが、次の点6):
6) 訂正発明2が「(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、」及び「(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩」をさらに併せ含有するのに対し、甲2発明は当該「(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、」及び「(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩」を併せ含むことの規定はない点
(以下、単に「相違点6」ということがある)において、相違する。

(ii)判断
以下、上記相違点6について検討する。

(ア) (2-1)(ii)(ア)で述べたのと同様に、セラミド1?セラミド3の経時析出性を抑制することを企図して、甲2発明の組成物にさらにポリエチレン硬化ヒマシ油とクエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を併せ含有せしめることについては、甲1?甲3のいずれにも記載乃至示唆されておらず、この点、甲2の記載、若しくはさらに甲1及び/又は甲3の記載に基づいて当業者が容易に想到し得たということはできない。

(イ) そして、訂正発明2は、上記相違点6に係る成分(C)及び(E)をさらに併せ含有することにより、(2-1)(ii)(イ)で述べたとおりの、特許明細書に記載された予想外の優れた効果を奏するものである。

(ウ) したがって、訂正発明2は、甲2に記載された発明に基づいて、若しくは、甲2に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2-3)訂正発明3について
訂正発明3は、訂正発明1又は2の外用組成物を引用する従属発明であって、訂正発明1又は訂正発明2をさらに技術的に限定してなる発明であるから、(2-1)及び(2-2)で訂正発明1及び2について述べたのと同様の理由により、甲2に記載された発明に基づいて、若しくは、甲2に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。

(2-4)訂正発明4について

(i)対比
訂正発明4と甲2発明とを対比するに、両者は
「 (A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(D)多価アルコール、並びに(F)水を含有し、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンである、外用組成物 」
の点で一致するが、次の点7)?9):
7) 訂正発明4が「(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、」及び「(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩」をさらに併せ含有するのに対し、甲2発明は当該「(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、」及び「(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩」を併せ含むことの規定はない点
8) 訂正発明4では成分(A)が「総量で0.000001?0.05重量%含まれ」ているのに対し、甲2発明ではそのような規定はない点
9) 「外用組成物」としての形態が、訂正発明4では「ローション」であるのに対し、甲2発明ではそのような規定はない点
(以下、順に「相違点7」?「相違点9」ということがある)において、相違する。

(ii)判断
以下、相違点7?9について検討する。

(ア) (2-1)(ii)(ア)や(2-2)(ii)(ア)で述べたのと同様に、セラミド1?セラミド3の経時析出性を抑制することを企図して、甲2発明の組成物にさらにポリエチレン硬化ヒマシ油とクエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を併せ含有せしめることについては、甲1?甲3のいずれにも記載乃至示唆されておらず、この点、甲2の記載、若しくはさらに甲1及び/又は甲3の記載に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。
ましてや、その際、併せて、セラミド1?3の総量を0.000001?0.05重量%としつつ、ローションの形態とすることも、甲2の記載、若しくはさらに甲1及び/又は甲3の記載に基づいて当業者が容易に想到し得たとはいえない。

(イ) そして、訂正発明4は、上記相違点7?9に係る要件を併せ満たす外用組成物とすることにより、(2-1)(ii)(イ)で述べたとおりの、特許明細書に記載された予想外の優れた効果を奏するものである。

(ウ) したがって、訂正発明4は、甲2に記載された発明に基づいて、若しくは、甲2に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2-5)訂正発明5?9について
訂正発明5?9は、それぞれ訂正発明1?4のいずれかを直接又は間接的に引用する従属発明であって、訂正発明1?4のいずれかをさらに技術的に限定してなる発明である。
そうすると、(2-1)?(2-4)で訂正発明1?4について述べたのと同様の理由により、訂正発明5?9のいずれも、甲2に記載された発明に基づいて、若しくは、甲2に記載された発明と述べた甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。

2-3.甲3を主引例とする進歩性の判断

(1)甲3に記載された発明
甲3-1の記載事項によれば、甲3には、次の発明:
「 対象の皮膚のある区域におけるグリコサミノグリカン濃度を増加させるために、前記皮膚の区域に塗布するための第3の製剤であって、
次の成分を含む、治療効果のある量の第1の製剤:
約25質量%から約65質量%の量の水、
約12質量%から約36質量%の量の変性アルコール、
約6質量%から約18質量%の量の複数の角質溶解剤、および
約5質量%から約15質量%の量の複数の保湿剤、皮膚軟化薬、湿潤剤、または皮膚鎮静剤、
及び、次の成分を含む、治療効果のある量の第2の製剤:
約25質量%から約75質量%の量の水、
約18質量%から約54質量%の量の複数の保湿剤、皮膚軟化薬、湿潤剤、または皮膚鎮静剤、
約1質量%から約3質量%の量の複数の植物エキスまたは果実種子エキス、および
約0.06質量%から約0.18質量%の量の複数のペプチドまたはペプチド複合体、
の後に塗布するための、次の成分を含む、治療効果のある量の第3の製剤
約25質量%から約75質量%の水、
約15質量%から約45質量%の量の複数の保湿剤、皮膚軟化薬、湿潤剤、または皮膚鎮静剤、および
複数の植物エキスまたは果実種子エキス 」
(以下、「甲3発明」ということがある)が記載されている。

(2)対比・判断

(2-1)訂正発明1について

(i)対比
訂正発明1と甲3発明とを対比するに、両者は
「 (F)水を含有する、外用組成物 」
の点で一致するが、次の点10):
10) 訂正発明1が、併せて「(A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール」及び「(E)クエン酸のアルカリ金属塩」を共に含有し、「前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンである」のに対し、甲3発明ではそのような規定はない点
(以下、「相違点10」ということがある)において、相違する。

(ii)判断
以下、相違点10について検討する。

(ア) 甲3には、甲3発明の製剤例として、セラミドEOS(セラミド1に相当する)、セラミドNS(セラミド2に相当する)、セラミドNP(セラミド3に相当する)、及びグリセリン等を水と共に含む製剤が記載され(甲3-4)、また、クエン酸ナトリウム等の緩衝塩を併せ配合し得ることも記載されている(甲3-3)が、経時的なセラミド析出物の生成抑制能をより高めることを企図して、甲3発明の製剤において、水と共に
・セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、
・高級脂肪酸、
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
・多価アルコール、
及び
・クエン酸のアルカリ金属塩
の全てを併せ含有せしめる製剤とすることは、記載乃至示唆されていない。
また、甲1-1?甲1-3’の記載事項を含む甲1や、甲2-1?甲2-7の記載事項を含む甲2の記載をみても、セラミド1?3の経時的析出物の生成抑制能をより高めることを企図して、甲3発明の製剤において、水と共に
・セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、
・高級脂肪酸、
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
・多価アルコール
及び
・クエン酸のアルカリ金属塩
の全てを併せ含有せしめる製剤とすることを動機づける記載乃至示唆はみられない。

してみれば、甲3発明において、セラミド1?3の経時的析出物の生成抑制能をより高めるために、水と共に
・セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、
・高級脂肪酸、
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
・多価アルコール、
及び
・クエン酸のアルカリ金属塩
の全てを併せ含有せしめる製剤とすることは、甲3の記載、若しくはさらに甲1及び/又は甲2の記載に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。

(イ) そして、訂正発明1は、上記相違点10に係る成分(A)?(E)の全てを併せ含有する外用組成物とすることにより、そうでない外用組成物に比して、経時的な成分(A)(セラミド1、2及び/又はセラミド)の析出物の生成抑制において予想外の優れた効果をもたらすものであることは、特許明細書に記載された実施例の項における「比較例1」?「比較例14」(いずれも(E)を含まない)、「比較例15」((B)を含まない)や「比較例16」((C)を含まない)の各外用組成物(ローション)が、【0067】の条件下での「保存後の析出物の生成の程度」において「△」(「析出物の生成が実用上問題になる程度に認められるが、析出物の生成量は多くはない。」)、「×」(「多くの析出物の生成が認められる。」)又は「××」(「顕著に多い析出物の生成が認められる。」)のいずれかであるのに対し、成分(B)?(F)を併せ含有する「実施例1」?「実施例31」の外用組成物(ローション)がいずれも同「保存後の析出物の生成の程度」において「◎」(「析出物の生成が全く認められない。」)であることを示す試験結果から、当業者が把握し得ることである。

(ウ) したがって、訂正発明1は、甲3に記載された発明に基づいて、若しくは、甲3に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(2-2)訂正発明2について

(i)対比
訂正発明2と甲3発明を対比するに、両者は
「 (F)水を含有する、外用組成物(但し、水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス,ウコン根エキス,オリーブ葉エキス,カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス,カンゾウ葉エキス,グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ,セイヨウイラクサエキス,ゼニアオイエキス,セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス,ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス,ハマメリエキス,アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ヒアルロン酸Na,L -オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス,フカスセラツスエキス,L -プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51,ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス,モモ核エキス,ユーカリエキス,ユビキノン,リン酸L -アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖,酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油,PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N -(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油 ,レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン,水素添加大豆リン脂質,セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄,及び緑201を含むクリームを除く。) 」
の点で一致するが、次の点11):
11) 訂正発明2が、併せて「(A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール」及び「(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩」を共に含有し、「前記(A)成分が、セラミド2と、セラミド1及び/又はセラミド3との組み合わせであり」、且つ「前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンである」のに対し、甲3発明ではそのような規定はない点
(以下、「相違点11」ということがある)において、相違する。

(ii)判断
以下、相違点11について検討する。

(ア) (2-1)(ii)(ア)で述べたのと同様に、セラミド1?3の経時的析出物の生成抑制能をより高めるために、水と共に
・セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、
・高級脂肪酸、
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
・多価アルコール、
及び
・クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩
の全てを併せ含有せしめる製剤とすることは、甲3の記載、若しくはさらに甲1及び/又は甲2の記載に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。

(イ) そして、訂正発明2は、上記相違点11に係る要件を併せ満たす外用組成物とすることにより、(2-1)(ii)(イ)で述べたとおりの、特許明細書に記載された予想外の優れた効果を奏するものである。

(ウ) したがって、訂正発明2は、甲3に記載された発明に基づいて、若しくは、甲3に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2-3)訂正発明3について
訂正発明3は、訂正発明1又は2の外用組成物を引用する従属発明であって、訂正発明1又は訂正発明2をさらに技術的に限定してなる発明であるから、(2-1)及び(2-2)で訂正発明1及び2について述べたのと同様の理由により、甲3に記載された発明に基づいて、若しくは、甲3に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。

(2-4)訂正発明4について

(i)対比
訂正発明4と甲3発明とを対比するに、両者は
「 (F)水を含有する、外用組成物」
の点で一致するが、次の点12)?14):
12) 訂正発明4が、併せて「(A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール」及び「(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩」を共に含有し、且つ「前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンである」のに対し、甲3発明ではそのような規定はない点
13) 訂正発明4では成分(A)が「総量で0.000001?0.05重量%含まれ」ているのに対し、甲3発明では成分(A)の含量についてそのような規定はない点
14) 「外用組成物」としての形態が、訂正発明4では「ローション」であるのに対し、甲3発明ではそのような規定はない点
(以下、順に「相違点12」?「相違点14」ということがある)において、相違する。

(ii)判断
以下、相違点12?14について検討する。

(ア) (2-1)(ii)(ア)や(2-2)(ii)(ア)で述べたのと同様に、セラミド1?3の経時的析出物の生成抑制能をより高めるために、水と共に
・セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、
・高級脂肪酸、
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
・多価アルコール、
及び
・クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩
の全てを併せ含有せしめる製剤とすることは、甲3の記載、若しくはさらに甲1及び/又は甲2の記載に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。
ましてや、その際、併せて、セラミド1?3の総量を0.000001?0.05重量%としつつ、ローションの形態とすることも、甲3の記載、若しくはさらに甲1及び/又は甲2の記載に基づいて当業者が容易に想到し得たとはいえない。

(イ) そして、訂正発明4は、上記相違点12?14に係る要件を併せ満たす外用組成物とすることにより、(2-1)(ii)(イ)で述べたとおりの、特許明細書に記載された予想外の優れた効果を奏するものである。

(ウ) したがって、訂正発明4は、甲3に記載された発明に基づいて、若しくは、甲3に記載された発明と甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2-5)訂正発明5?9について
訂正発明5?9は、それぞれ訂正発明1?4のいずれかを直接又は間接的に引用する従属発明であって、訂正発明1?4のいずれかをさらに技術的に限定してなる発明である。
そうすると、(2-1)?(2-4)で訂正発明1?4について述べたのと同様の理由により、訂正発明5?9のいずれも、甲3に記載された発明に基づいて、若しくは、甲3に記載された発明と述べた甲1?甲3のいずれかの記載とに基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。

2-4.申立人の主張について
申立理由A及びBに係る申立人の主張の概要は、【第4】のA及びB(B-1)?B(B-3)のとおりであるところ、上の2-1.?2-3.で述べたとおり、
・訂正発明1?3及び8は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する発明に対して特許されたものである、ということはできず;
また、
・訂正発明1?9は、甲1?甲3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである、ということもできない;
から、それらの主張は、いずれも採用できない。

2-5.小活
以上のとおりであるから、申立理由A及びBは、いずれも理由がない。


2.申立理由C及びDについて

2-1.申立理由C(実施可能要件)について

(1) 訂正発明1?9について、
特許明細書の発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を満たしている、
とは、
発明の詳細な説明において、当業者が訂正発明1?9を実施することができる程度の明確かつ十分な記載がなされている、
ということであり、これは、いいかえれば、
当業者が、発明の詳細な説明の記載に基づいて、訂正発明1?9に係る外用組成物をつくることができ、かつ使用することができる、
といえることに他ならない。

(2) そこで、(1)の観点を踏まえつつ検討するに、特許明細書には、訂正発明に係る外用組成物を構成する(A)?(F)の各化合物成分、その適切な組合せ及び配合割合や、同外用組成物の製造方法、「実施例」等について、次のような記載がある。

・摘記I:
「 【背景技術】
・・・
【0003】
・・・従来、角質層中のセラミドを補うことにより角質層の機能を維持させる目的で、セラミドを配合した外用組成物が開発されている。しかしながら、セラミドは、結晶性が高いという特有の性質があり、外用組成物の基材(特に水)に溶解し難く、一旦溶解させても保存時に析出するという欠点がある。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
・・・2種以上のセラミドを組み合わせて製剤化すると、その組み合わせ態様によっては・・・セラミドの溶解性が低下してより析出が一層生じ易くなる場合もあることが知られている。
【0007】
・・・角質層へのセラミドの補給を目的とする外用組成物では、セラミド1?3の中の2種以上を配合することが有効になる。しかしながら、セラミド1?3の内、2種以上を組み合わせて製剤化すると、セラミドの溶解性が更に低下し、より一層析出し易くなり、製剤安定性が損なわれることが分かっている(後記する参考例1?3参照)。・・・
【0008】
そこで、本発明の目的は、セラミド1?3の中の2種以上のセラミドと水を含みながらも、経時的な析出物の生成が抑制され、優れた製剤安定性を備える外用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、セラミド1?3の中の2種以上のセラミドと水と共に、高級脂肪酸、非イオン性界面活性剤、多価アルコール、並びにクエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を組み合わせて配合することによって、経時的な析出物の生成を抑制でき、優れた製剤安定性を備える外用組成物が得られることを見出した。・・・ 」

・摘記II:
「 【0012】
(A)セラミド
本発明の外用組成物は、セラミド1、セラミド2及びセラミド3の中から2種以上のセラミドを含有する。本発明の外用組成物では、セラミド1?3の中の2種以上併用して水と共に製剤化しても、後述する(B)?(E)成分を一体として含有させることにより、経時的な析出物の生成を抑制することが可能になる。
【0013】
(セラミド1)
本発明で使用されるセラミド1としては、具体的には、N-(ω-アシルオキシ-アシル)フィトスフィンゴシン、及びN-(ω-アシルオキシ-アシル)スフィンゴシンが挙げられる。
【0014】
セラミド1を構成するアシルオキシアシル基において、フィトスフィンゴシン又はスフィンゴシンにアミド結合で連結している側のアシル基(以下、「アミド結合側のアシル基」とも表記する)の炭素数については、特に制限されないが、例えば20?38程度、好ましくは20?34、より好ましくは24?30、更に好ましくは26?27、特に好ましくは27が挙げられる。また、アミド結合側のアシル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、更に飽和又は不飽和のいずれであってもよいが、直鎖状で飽和のものが好ましい。
【0015】
また、セラミド1を構成するアシルオキシアシル基において、アミド結合側のアシル基とエステル結合を介して連結しているアシル基(以下、「エステル結合側のアシル基」とも表記する)の炭素数については、特に制限されないが、例えば12?38程度、好ましくは14?30、より好ましくは16?28、更に好ましくは16?20、特に好ましくは18が挙げられる。また、エステル結合側のアシル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、更に飽和又は不飽和のいずれであってもよいが、直鎖状で飽和のものが好ましい。更に、エステル結合側のアシル基にはヒドロキシル基が含まれていてもよい。
【0016】
これらのセラミド1は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
セラミド1の中でも、好ましくはN-(ω-アシルオキシ-アシル)フィトスフィンゴシンが挙げられる。
【0018】
(セラミド2)
本発明で使用されるセラミド2としては、具体的には、N-アシルジヒドロスフィンゴシン、及びN-アシルスフィンゴシンが挙げられる。
【0019】
セラミド2を構成するアシル基の炭素数については、特に制限されないが、例えば12?38程度、好ましくは14?30、より好ましくは16?28、更に好ましくは16?24、特に好ましくは18が挙げられる。
【0020】
また、セラミド2を構成するアシル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、更に飽和又は不飽和のいずれであってもよいが、直鎖状で飽和のものが好ましい。また、セラミド2を構成するアシル基は、ヒドロキシル基が含まれていてもよいが、ヒドロキシル基が含まれていないアシル基であることが好ましい。
【0021】
これらのセラミド2は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
セラミド2の中でも、好ましくはN-アシルジヒドロスフィンゴシンが挙げられる。
【0023】
(セラミド3)
本発明で使用されるセラミド3としては、具体的には、N-アシルフィトスフィンゴシンが挙げられる。
【0024】
セラミド3を構成するアシル基の炭素数については、特に制限されないが、例えば12?38程度、好ましくは14?30、より好ましくは16?28、更に好ましくは16?24、特に好ましくは18が挙げられる。
【0025】
また、セラミド3を構成するアシル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、更に飽和又は不飽和のいずれであってもよいが、直鎖状で飽和のものが好ましい。また、セラミド3を構成するアシル基は、ヒドロキシル基が含まれていてもよいが、ヒドロキシル基が含まれていないアシル基であることが好ましい。
【0026】
(セラミド1?3の組み合わせ態様)
本発明の外用組成物では、セラミド1?3の中から2種以上を組み合わせて使用する。本発明の外用組成物において、セラミド1?3の組み合わせ態様については、特に制限されず、セラミド1とセラミド2の組み合わせ、セラミド1とセラミド3の組み合わせ、セラミド2とセラミド3の組み合わせ、セラミド1とセラミド2とセラミド3の組み合わせのいずれであってもよい。特に、従来技術では、セラミド2と、セラミド1及び/又は3とを組み合わせた場合、とりわけセラミド1とセラミド2とセラミド3とを組み合わせた場合には、セラミドの溶解性がより一層低下して、経時的な析出物の生成が顕著になるという問題点があるが、本発明では、このような従来技術の問題点を解消でき、経時的な析出物の生成を効果的に抑制することが可能になっている。このような本発明の効果に鑑みれば、セラミド1?3の組み合わせ態様として、好ましくはセラミド2と、セラミド1及び/又は3とを組み合わせ、更に好ましくはセラミド1とセラミド2とセラミド3の組み合わせが挙げられる。
【0027】
(セラミド1?3の含有量・比率)
本発明の外用組成物において、セラミド1?3の含有量については、当該外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、セラミド1?3の総量が0.000001?0.05重量%が挙げられる。また、一般的に、セラミド1?3が高含有量である場合には、外用組成物において経時的な析出物の生成が顕著になる傾向があるが、本発明の外用組成物では、セラミド1?3が0.01重量%以上という高含有量で含まれていても、経時的な析出物の生成を効果的に抑制することができる。このような本発明の効果に鑑みれば、本発明の外用組成物におけるセラミド1?3の含有量として、好ましくは0.00001?0.05重量%、より好ましくは0.01?0.05重量%が挙げられる。
【0028】
より具体的には、セラミド1を含有させる場合、本発明の外用組成物におけるセラミド1の含有量の下限としては、0.0000001重量%、より好ましくは0.000001重量%、更に好ましくは0.00001重量%が挙げられる。また、セラミド1の含有量の上限としては0.03重量%、好ましくは0.01重量%、より好ましくは0.0001重量%が挙げられる。セラミド2を含有させる場合、本発明の外用組成物におけるセラミド2の含有量の下限としては、0.0000005重量%、より好ましくは0.0001重量%、より好ましくは0.001重量%、更に好ましくは0.01重量%が挙げられる。また、セラミド2の含有量の上限としては、0.049重量%、好ましくは0.03重量%が挙げられる。セラミド3を含有させる場合、本発明の外用組成物におけるセラミド3の含有量の下限としては、0.0000001重量%、好ましくは0.000001重量%、より好ましくは0.00001重量%が挙げられる。また、セラミド3の含有量の上限としては、0.04重量%、好ましくは0.03重量%が挙げられる。
【0029】
また、本発明の外用組成物において、各セラミドの比率については、特に制限されないが、例えば、以下に示す範囲が挙げられる。
セラミド1とセラミド2を組み合わせる場合:セラミド2の1重量部当たり、セラミド1が0.00001?10000重量部、好ましくは0.00001?100重量部、より好ましくは0.00001?1重量部。
セラミド1とセラミド3を組み合わせる場合:セラミド1の1重量部当たり、セラミド3が0.00001?10000重量部、好ましくは0.0001?10000重量部、より好ましくは0.1?1000重量部。
セラミド2とセラミド3を組み合わせる場合:セラミド2の1重量部当たり、セラミド3が0.00001?10000重量部、好ましくは0.00001?1000重量部、より好ましくは0.00001?100重量部。
セラミド1とセラミド2とセラミド3を組み合わせる場合:セラミド2の1重量部当たり、セラミド1が0.00001?10000重量部、好ましくは0.00001?100重量部、より好ましくは0.00001?1重量部;セラミド3が0.00001?10000重量部、好ましくは0.00001?1000重量部、より好ましくは0.00001?100重量部。 」

・摘記III:
「 【0030】
(B)高級脂肪酸
本発明の外用組成物は、高級脂肪酸を含有する。本発明の外用組成物において、高級脂肪酸は、後述する(C)?(E)成分と共に経時的な析出物の生成抑制に寄与する。
【0031】
本発明で使用される高級脂肪酸の炭素数については、特に制限されないが、例えば、16?20が挙げられる。セラミドの溶解性及び経時的な析出生成の抑制効果をより一層向上させるという観点から、高級脂肪酸の炭素数として、好ましくは18が挙げられる。
【0032】
また、本発明で使用される高級脂肪酸は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、また、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、セラミドの溶解性及び経時的な析出生成の抑制効果をより一層向上させるという観点から、分岐状又は不飽和の高級脂肪酸であることが好ましい。
【0033】
本発明で使用される高級脂肪酸として、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
【0034】
本発明の外用組成物では、高級脂肪酸の中から1種を選択して単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
本発明で使用される高級脂肪酸として、セラミドの溶解性及び経時的な析出生成の抑制効果をより一層向上させるという観点から、好ましくは炭素数16?20の不飽和脂肪酸又は分岐状脂肪酸、より好ましくは炭素数18の不飽和脂肪酸又は分岐状脂肪酸、更に好ましくはイソステアリン酸、オレイン酸が挙げられる。
【0036】
本発明の外用組成物において、高級脂肪酸の含有量については、特に制限されないが、例えば0.001?0.1重量%、好ましくは0.005?0.1重量%が挙げられる。
【0037】
また、本発明の外用組成物において、セラミドと高級脂肪酸の比率については、特に制限されないが、例えば、セラミド1?3の総量1重量部当たり、高級脂肪酸が0.01?1000重量部、好ましくは0.1?500重量部、より好ましくは0.5?500重量部が挙げられる。 」

・摘記IV:
「 【0038】
(C)非イオン性界面活性剤
本発明の外用組成物は、非イオン性界面活性剤を含有する。本発明の外用組成物において、非イオン性界面活性剤は、前記(B)成分並びに後述する(D)及び(E)成分と共に経時的な析出物の生成抑制に寄与する。
【0039】
本発明で使用される非イオン性界面活性剤については、薬学的又は香粧学的に許容できることを限度として特に制限されないが、経時的な析出物の生成を抑制させるという観点から、好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。
【0040】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油において、エチレンオキサイドの付加モル数については、特に制限されず、本発明の外用組成物では、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油70、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油90、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100等のいずれを使用してもよい。これらのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の中でも、経時的な析出物の生成をより一層効果的に抑制させるという観点から、好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が挙げられる。
【0041】
本発明の外用組成物では、非イオン性界面活性剤の中から1種を選択して単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
本発明の外用組成物において、非イオン性界面活性剤の含有量については、特に制限されないが、例えば0.01?0.5重量%、好ましくは0.01?0.3重量%が挙げられる。
【0043】
また、本発明の外用組成物において、セラミドと非イオン性界面活性剤の比率については、特に制限されないが、例えば、セラミド1?3の総量1重量部当たり、非イオン性界面活性剤が1?3000重量部、好ましくは1?2500重量部が挙げられる。 」

・摘記V:
「 【0044】
(D)多価アルコール
本発明の外用組成物は、多価アルコールを含有する。本発明の外用組成物において、多価アルコールは、前記(B)及び(C)成分並びに後述する(E)成分と共に、経時的な析出物の生成抑制に寄与する。
【0045】
本発明で使用される多価アルコールにおいて、水酸基の価数については、特に制限されないが、例えば2?4価、好ましくは2?3価が挙げられる。
【0046】
本発明で使用される多価アルコールとして、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジプロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール;ジグリセリン等の4価のアルコール等が挙げられる。これらの多価アルコールの中でも、好ましくはブチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコールが挙げられる。
【0047】
本発明の外用組成物では多価アルコールの中から1種を選択して単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0048】
本発明の外用組成物において、多価アルコールの含有量については、特に制限されないが、例えば0.01?30重量%、好ましくは0.1?25重量%が挙げられる。
【0049】
また、本発明の外用組成物において、セラミドと多価アルコールの比率については、特に制限されないが、例えば、セラミド1?3の総量1重量部当たり、多価アルコールが0.03?1500000重量部、好ましくは3.3?1250000重量部が挙げられる。 」

・摘記VI:
「 【0050】
(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩
本発明の外用組成物は、クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含有する。本発明の外用組成物において、クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩は、前記(B)?(D)成分と共に経時的な析出物の生成抑制に寄与する。
【0051】
本発明で使用されるクエン酸のアルカリ金属塩としては、具体的には、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等のクエン酸のナトリウム塩;クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム等のクエン酸のカリウム塩等が挙げられる。
【0052】
また、クエン酸を使用する場合であれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属を含むアルカリを添加することによって、本発明の外用組成物のpHを調整しておくことが望ましい。
【0053】
本発明の外用組成物では、クエン酸及びクエン酸のアルカリ金属の中から1種を選択して単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。特に、経時的な析出物の生成をより一層効果的に抑制させるという観点から、好ましくはクエン酸のアルカリ金属塩、より好ましくはクエン酸のナトリウム塩、更に好ましくはクエン酸三ナトリウムが挙げられる。
【0054】
本発明の外用組成物において、クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有量については、特に制限されないが、例えば0.001?1重量%、好ましくは0.01?0.6重量%が挙げられる。 」

・摘記VII:
「 【0055】
(F)水
本発明の外用組成物は、水を含有する。本発明の外用組成物において、水は基材としての役割を果たす。
【0056】
本発明の外用組成物において、水の含有量については、当該外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、50?99.9重量%、好ましくは60?95重量%、より好ましくは65?90重量%が挙げられる。 」

・摘記VIII:
「 【0057】
その他の成分
本発明の外用組成物には、前記(A)?(F)成分に加えて、必要に応じて、他の薬効成分を含有していてもよい。・・・
【0058】
また、外用組成物は、所望の製剤形態にするために、必要に応じて、その他の基材や添加剤が含まれていてもよい。このような基剤や添加剤については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されない・・・ 」

・摘記IX:
「 【0059】
製剤形態・用途
本発明の外用組成物の製剤形態ついては、経皮適用可能であることを限度として特に制限されず、例えば、ローション(化粧水)、ヘアローション、乳液、ボディーシャンプー、ヘアシャンプー、リンス等の液状製剤・・・等が挙げられる。・・・。本発明の外用組成物では、ローション及びヘアローションの製剤形態であっても、セラミドの溶解性を向上させ、経時的な析出生成を効果的に抑制することができ、製剤自体を半透明乃至透明とすることもできる。・・・
【0060】
また、外用組成物は、皮膚(頭皮を含む)に適用されるものである限り、化粧料、皮膚外用医薬品、皮膚洗浄料等のいずれの製剤形態であってもよいが、好ましくは化粧料が挙げられる。
【0061】
本発明の外用組成物は、前記(A)成分に基づいて角質層のバリア機能及び保湿機能を改善又は適正に維持させることができるので、保湿、肌荒れ改善、敏感肌の解消、皮膚老化の防止等のスキンケア目的で使用することができる。 」

・摘記X:
「 【0062】
製造方法
本発明の外用組成物の製造方法については、前記(A)成分を溶解させた状態で製剤化し得る限り特に制限されないが、好適な一例として、下記工程(1)?(3)を経て製造する方法が挙げられる。
工程(1): (A)成分の全量、(B)成分の全量、(C)成分の全量、(D)成分の一部、及び必要に応じて添加される他の成分の中で親油性のものを混合した後に、90?130℃程度に加熱して溶解させ、一次組成物を得る。当該工程(1)において、(D)成分の添加量については、最終の外用組成物での0.05?1重量%、好ましくは0.1?1重量%程度に相当する量であればよい。
工程(2): 前記工程(1)で得られた一次組成物を90?130℃程度に加熱した状態で、撹拌しながら90℃以上に加熱した(F)成分の一部を徐々に添加して二次組成物を得る。当該工程(2)において、(F)成分の添加量については、最終の外用組成物での0.1?45重量%、好ましくは0.1?30重量%、より好ましくは0.1?10重量%、更に好ましくは0.1?5重量%程度に相当する量であればよい。
工程(3): 前記工程(2)で得られた二次組成物を40℃程度以下に冷却した後に、(D)成分の残部、(E)成分の全量、(F)成分の残部、及び必要に応じて添加されるその他の成分の中で親水性のものを添加して混合することにより、本発明の外用組成物を得る。当該工程(3)において、二次組成物の冷却は、室温の(F)成分の一部を添加することによって行ってもよい。 」

・摘記XI:
「 【実施例】
【0063】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、セラミド1はN-(27-ステアロイルオキシヘプタコサノイル)フィトスフィンゴシン(商品名「CERAMIDEI」、エボニックジャパン株式会社)、セラミド2はステアロイルジヒドロスフィンゴシン(商品名「セラミド TIC-001」高砂香料工業株式会社)、セラミド3はステアロイルフィトスフィンゴシン(商品名「CERAMIDEIII」、エボニックジャパン株式会社)を使用した。
【0064】
実施例1?23
表1?4に示す組成の外用組成物(ローション)を製造した。・・・
・・・
【0067】
得られた各外用組成物を遮光条件下で室温にて5日間静置した後に、析出生成の有無を目視にて確認し、以下の判定基準に従って保存後の析出生成の程度を評価した。
<保存後の析出物の生成の程度の判定基準>
◎:析出物の生成が全く認められない。
○:析出物の生成が極めて微量認められるが、実用上は問題にならない。
△:析出物の生成が実用上問題になる程度に認められるが、析出物の生成量は多くはない。
×:多くの析出物の生成が認められる。
××:顕著に多い析出物の生成が認められる。
【0068】
得られた結果を表1?4示す。これらの結果から、セラミド1?3の中で2種以上と水を含む外用組成物において、高級脂肪酸(イソステアリン酸又はオレイン酸)、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)、多価アルコール(ブチレングリコール、ペンタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン)、並びにクエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩(クエン酸又はクエン酸三ナトリウム)を含有させることによって、経時的な析出物の生成を抑制でき、優れた製剤安定性を備え得ることが確認された。特に、実施例16?32の外用組成物では、セラミド1?3の3種のセラミドを組み合わせた場合でも、経時的な析出物の生成を抑制できており、格段に優れた製剤安定性の向上が認められた。また、実施例のいずれの外用組成物も透明で、外観に優れるものであった。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】



・摘記XII:
「 【0081】
製剤例1?8:ローション(化粧水)
表8に示す組成の外用組成物(ローション)を以下の方法に従って製造した。
・・・
【0084】
得られた外用組成物は、いずれも、前記実施例の場合と同様に、経時的な析出物の生成を抑制できることが確認された。
【0085】
【表8】



・摘記XIII:
「 【0086】
製剤例9:ジェル状化粧水
表9に示す組成の外用組成物(ジェル状化粧水)を以下の方法に従って製造した。
・・・
【0089】
得られた外用組成物は、前記実施例の場合と同様に、経時的な析出物の生成を抑制できることが確認された。
【0090】
【表9】



・摘記XIV:
「 【0091】
製剤例10:育毛ローション
表10に示す組成の外用組成物(育毛ローション)を以下の方法に従って製造した。
・・・
【0094】
得られた外用組成物は、前記実施例の場合と同様に、経時的な析出物の生成を抑制できることが確認された。
【0095】
【表10】



(3) そして、上掲の(2)摘記I?XIVの記載によれば、
・表1?4、表8?10に記載された、訂正発明1?9のいずれかの成分(A)?(F)に係る規定を満たす成分組成の、各「実施例」(摘記XI)、「製剤例」(摘記XII?XIV)の外用組成物を、例えば【0052】(摘記X)に例示された製造方法を用いて製造し、セラミドの経時的析出物の生成抑制性に優れた組成物を製造し得ること;
・そのようにして製造された組成物が、いずれもセラミド(成分(A))を含有していることから、当該成分(A)に基づく角質層のバリア機能及び保湿機能の改善又は適正な維持のための、或いは保湿、肌荒れ改善、敏感肌の解消、皮膚老化の防止等のスキンケア目的での外用組成物として使用され得ること(摘記IX);
は、当業者であれば容易に理解し得たことである。

また、【0011】?【0058】(摘記II?VIII)等には、「実施例」や「製剤例」で採用されている成分(A)?(E)の化合物成分及びそれらの組合せ配合条件以外にも、成分(A)?(E)のそれぞれについて使用し得る各化合物成分、及びそれらの他成分との組合せ条件や配合割合等が、好ましい態様例と共に記載されている。
そして、これらの記載に基づき、「実施例」や「製剤例」の組成物以外にも、それらと同様の性質を有しセラミドの経時的析出物の生成抑制性において優れる、他の態様の組成物を製造し、外用組成物として用いることは、当業者にとり過度の試行錯誤等を要することなく行い得たことである。

(4) してみれば、当業者であれば、上記「実施例」や「製剤例」、若しくはそれら以外の、訂正発明1?9のいずれかの成分(A)?(F)に係る規定を満たす外用組成物について、発明の詳細な説明の記載に基づいて作ることができ、かつ使用することができるといえる。
よって、発明の詳細な説明には、当業者が訂正発明1?9を実施することができる程度の明確かつ十分な記載がなされているということができるから、特許明細書の発明の詳細な説明の記載は実施可能要件を満たしている、

(5)(申立人の主張について)
(i) 訂正前の請求項1?9における、申立理由Cに関する特許異議申立書における申立人の主張の概要は、【第4】のC(C-1)及びC(C-2)のとおりである。

(ii) しかしながら、訂正発明1?9において、特許明細書中で「実施例」として挙げられている態様の外用組成物以外にも、主張C(C-1)の「(B)高級脂肪酸」、主張C(C-2)の「(D)多価アルコール」、及び、それら以外の成分(A)、(C)、(E)についての、使用し得る各化合物成分の種類の例示やそれらの適切な組合せ及び配合割合等に関する特許明細書の【0011】?【0058】等の記載に基づいて、「実施例」と同様の性質を有する他の態様の組成物を製造し且つ外用組成物として使用することができることは、上の(1)?(4)で述べたとおりである。
よって、申立人の主張C(C-1)及びC(C-2)は、いずれも採用できない。

2-2.申立理由D(サポート要件)について

(1) 特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2)(i) そこで、上の(1)の観点を踏まえつつ検討するに、特許明細書中の例えば【0003】?【0008】(2-1.(2)の摘記I)の記載からみて、セラミド1?3のうち2種以上を組み合わせて製剤化すると、セラミドの溶解性が低下してより一層析出し易くなり製剤安定性が損なわれるところ、訂正発明における発明の課題は、
「 当該セラミド1?3中の2種以上のセラミドと水を含みながらも、経時的な析出物の生成が抑制され、優れた製剤安定性を備える外用組成物を提供する 」
ことである。

(ii) そして、上記課題を解決するための手段として、訂正発明1?9において、成分(A)(「セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド」)及び(F)(「水」)に加え、成分(B)?(E)の全てを併せ含有せしめてなる外用組成物(特許明細書【0009】等)が提示されているのである。

さらに、特許明細書中には、そのような解決手段を具備する外用組成物の例として、例えば「実施例1」?「実施例32」が、各々の成分組成、及び【0067】の条件下での「保存後の析出物の生成の程度」の抑制能において優れた性質(「◎」又は「○」)を示す試験結果と共に、挙げられている。
加えて、それら「実施例」以外にも、成分(A)?(E)として採用し得る各化合物成分の種類の例示や、それらの適切な組合せ及び配合割合等に関する、特許明細書の【0011】?【0058】等の記載に基づいて、それら「実施例」と同様の性質を有する成分組成の組成物を調製し外用組成物として使用することが、特許明細書の記載に基づいて当業者が過度な試行錯誤等を要することなく行い得ることもまた、2-1.で述べたとおりである。そして、そのようにして得られる組成物もまた、「実施例」の外用組成物と同様の、セラミド1?3の経時的析出物の生成抑制能において優れた性質を有するものである、と推測することを妨げる特段の理由も見出せない。
してみれば、当業者は、訂正発明1?9に係る各外用組成物のうち、特許明細書中で「実施例」として例示されたもの以外の外用組成物についても、上述の発明の課題を解決することができるとものと認識し得るといえる。

(iii) したがって、訂正後の請求項1?9の記載は、特許明細書の発明の詳細な説明の記載を超えるものではなく、サポート要件を満たすものである。

(3)(申立人の主張について)
(i) 訂正前の請求項1?9における、申立理由Dに関する特許異議申立書における申立人の主張の概要は、【第4】のD(D-1)?D(D-4)のとおりである。

(ii)(ア) しかしながら、訂正発明1?9において、特許明細書中で「実施例」として挙げられている態様の外用組成物以外にも、主張D(D-1)の「(B)高級脂肪酸」、主張D(D-2)の「(D)多価アルコール」、主張D(D-3)の「(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩」、及び、それら以外の成分(A)及び(C)についての、使用し得る各化合物成分の種類の例示やそれらの適切な組合せ及び配合割合等に関する特許明細書の【0011】?【0058】等の記載に基づいて、「実施例」ど同様の性質を有し上述の発明の課題を解決することができる、他の態様の外用組成物を提供することができると認識し得ることは、上の(2)で述べたとおりである。
なお、主張D(D-3)に関し、特許明細書記載の「実施例」のうち「実施例32」((E)としてクエン酸を含む)は、他の「実施例1」?「実施例31」((E)としてクエン酸三ナトリウムを含む)に比して、「保存後の析出物の生成の程度」においてやや劣る(前者は「○」、後者は「◎」)ものの、(A)及び(F)に加えて上記解決手段に係る成分(B)?(E)の全てを具備しない「比較例1」?「比較例16」(「保存後の析出物の生成の程度」がいずれも「△」、「×」又は「××」)より有意に優れた経時的析出物の生成抑制性を示していることから、当該「実施例32」の外用組成物もまた、上述の発明の課題を解決し得るものと理解し得る。
よって、申立人の主張D(D-1)?D(D-3)は、いずれも採用できない。

(イ) また、訂正発明1?9では、「セラミド2」が「N-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシン」であることが明確にされている。
そして、成分(A)中の「セラミド2」として、「実施例」で用いられていないN-アシルスフィンゴシンを用いた場合でも、(A)?(F)の各化合物成分の種類の例示やそれらの適切な組合せ及び配合割合等に関する特許明細書の【0011】?【0058】等の記載に基づいて、「実施例」と同様の性質を有し上述の発明の課題を解決することができる、他の態様の外用組成物を提供することができると認識し得ることは、上の(2)で述べたとおりである。
よって、申立人の主張D(D-4)もまた、採用できない。

2-3.小括
以上の2-1.?2-2.で述べたとおりであるから、申立理由C及びDは、いずれも理由がない。


3.異議申立理由Eについて

(1)申立人の主張について
訂正前の請求項1?9における、申立理由Eに関する特許異議申立書における申立人の主張の概要は、【第4】のE(E-1)及び(E-2)のとおりである。

(2)当審の判断
・主張E(E-1)について
特許明細書の【0030】?【0037】には、訂正発明1?9における各「(B)高級脂肪酸」については、炭素数については特に制限されないが例えば16?20が挙げられることや、直鎖状又は分岐状、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよいこと等が、当該分野で「高級脂肪酸」として常套的に用いられる化合物の例示と共に記載されており(特に【0031】?【0033】、【0035】)、これらの記載を踏まえた当業者であれば、上記各「(B)高級脂肪酸」に該当する脂肪酸の範囲が曖昧で明確に把握できないとまでいうことはできない。
また、特許明細書の【0044】?【0049】には、訂正発明1?9における各(D)多価アルコール」については、水酸基の価数については特に制限されないが例えば2?4価であること等が、当該分野で「多価アルコール」として常套的に用いられる化合物の例示と共に記載されており(特に【0045】?【0046】)、これらの記載を踏まえた当業者であれば、上記各「(D)多価アルコール」に該当するアルコールの範囲についてもまた、曖昧で明確に把握できないとまではいえない。
・主張E(E-2)について
訂正後の請求項1?9においては、「セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンである」ことが記載されているから、(2)の主張はもはや根拠がない。

よって、訂正発明1?9において、申立理由Eは、理由がない。


[6-2]取消理由通知書に記載した取消理由について

1.取消理由1及び2(【第5】1及び2)について
[6-1]2.2-1.?2-4.で検討し説示したとおり、
・訂正発明1?3及び8は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する発明に対して特許されたものである、ということはできず;
また、
・訂正発明1?9は、甲1?甲3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである、ということもできない;
から、甲1(引用情報1)に基づく新規性否定及び進歩性否定に係る【第5】の取消理由1及び2もまた、訂正発明1?9においては、もはやいずれも理由がない。

2.取消理由3について
[6-1]3.で検討し説示したとおりであるから、【第5】の取消理由3(1)及び(2)の取消理由は、もはやいずれも理由がない。


【第7】むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び取消理由通知に記載された取消理由によっては、本件訂正後の請求項1?9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項1?9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸のアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであることを特徴とする、外用組成物。
【請求項2】
(A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し、
前記(A)成分が、セラミド2と、セラミド1及び/又はセラミド3との組み合わせであり、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンである、外用組成物(但し、水,ジグリセリン,ジプロピレングリコール,PCAジメチコン,ソルビトール,アルコール,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット,アテロコラーゲン,アルギニン,イチョウ種子エキス,ウコン根エキス,オリーブ葉エキス,カプロオイルスフィンゴシン,カプロオイルフィトスフィンゴシン,ナチュラルイエロー26,カワラヨモギエキス,カンゾウ葉エキス,グルタミン酸,コンドロイチン硫酸ナトリウム,シアバター,スーパーオキシドジスムターゼ,セイヨウイラクサエキス,ゼニアオイエキス,セラミド-2,セラミド 3,セラミドAP,セラミド-1,DL-セリン,ダイズエキス,ダイズステロール,ナンキョウソウ葉エキス,ハマメリエキス,アスコルビン酸パルミチン酸エステル,ビアルロン酸Na,L-オキシプロリン,ヒマワリ種子油不けん化物,ビワ葉エキス,フカスセラツスエキス,L-プロリン,トリメチルグリシン,ポリクオタニウム-51,ポリクオタニウム-61,メリッサ葉エキス,モモ核エキス,ユーカリエキス,ユビキノン,リン酸L-アスコルビルマグネシウム,ルチニル二硫酸2Na,加水分解ムコ多糖,酢酸トコフェロール,(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー,ブチレングリコール,PEG-60水添ヒマシ油,PPG-12ブテス-12,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,オレイン酸グリセリル,オレフィンオリゴマー,カルボマー,キサンタンガム,クエン酸,グリセリン,ココイルサルコシンNa,ジメチコン,ステアリン酸,ステアリン酸PEG-2,ステアリン酸グリセリル,ステアレス-25,N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド,ダイズ油,トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,バチルアルコール,ベヘニン酸,ポリシリコーン-13,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,パーム油,レシチン,水酸化ナトリウム,水添ポリイソブテン,水素添加大豆リン脂質,セタノール,トコフェロール,フェノキシエタノール,メチルパラベン,香料,酸化鉄,及び緑201を含むクリームを除く。)。
【請求項3】
前記(E)成分が、クエン酸のナトリウム塩である、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
(A)セラミド1、セラミド2及びセラミド3よりなる群から選択される少なくとも2種のセラミド、(B)高級脂肪酸、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(D)多価アルコール、(E)クエン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、並びに(F)水を含有し、
前記セラミド2がN-アシルジヒドロスフィンゴシン及び/又はN-アシルスフィンゴシンであり、
前記(A)成分が総量で0.000001?0.05重量%含まれ、且つ
ローションである、外用組成物。
【請求項5】
前記(B)成分が0.001?0.1重量%含まれる、請求項1?4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項6】
前記(C)成分が0.01?0.5重量%含まれる、請求項1?5のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項7】
セラミド2の1重量部当たり、セラミド1が0.00001?10000重量部、及び/又はセラミド3が0.00001?10000重量部含まれる、請求項2?6のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項8】
化粧料である、請求項1?7のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項9】
ローションである、請求項1?3のいずれかに記載の外用組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-09-28 
出願番号 特願2014-171807(P2014-171807)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (A61K)
P 1 651・ 121- YAA (A61K)
P 1 651・ 113- YAA (A61K)
P 1 651・ 537- YAA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小川 慶子  
特許庁審判長 岡崎 美穂
特許庁審判官 齋藤 恵
大久保 元浩
登録日 2019-05-10 
登録番号 特許第6522908号(P6522908)
権利者 小林製薬株式会社
発明の名称 外用組成物  
代理人 立花 顕治  
代理人 田中 順也  
代理人 山田 威一郎  
代理人 迫田 恭子  
代理人 立花 顕治  
代理人 迫田 恭子  
代理人 山田 威一郎  
代理人 水谷 馨也  
代理人 水谷 馨也  
代理人 田中 順也  

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