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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1369821
審判番号 不服2019-12089  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-12 
確定日 2021-01-07 
事件の表示 特願2016-185154号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月29日出願公開、特開2018- 47091号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月23日の出願であって、平成30年10月12日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月10日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年1月25日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年4月2日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和1年6月10日付け(送達日:同年同月18日)で、同年4月2日付け手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年9月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、令和2年7月14日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年8月31日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年8月31日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Pは、本願発明を分説するために当審で付与した)。
「A 所定の取得条件の成立に基づいて判定情報を取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された判定情報を所定の上限数まで記憶可能な記憶手段と、
C 前記取得手段により取得された判定情報に基づいて遊技者に有利な特別遊技状態にするかの第1判定を行う第1判定手段と、
D 前記第1判定の結果を示す図柄を変動表示したあと停止表示する図柄表示手段と、
E 前記第1判定が行われる前に、前記取得手段により取得された判定情報に基づいて前記特別遊技状態になるかの第2判定を行う第2判定手段と、を備え、
F 予め定められた制御条件の成立に基づいて前記特別遊技状態に制御される遊技機において、
G 所定の特定演出を実行可能であると共に、前記特定演出の演出態様の結果を特定態様にすることが可能な特定演出実行手段と、
H 前記特定演出の演出態様の結果が示される前に、前記特定態様になる可能性を示唆する可能性示唆演出を実行可能な可能性示唆演出実行手段と、を備え、
I 前記可能性示唆演出の演出態様には、前記特定態様になる可能性が複数種類のうちの何れかの所定の基準可能性であることを示唆する複数種類の基準態様が含まれていて、
J 前記各基準態様は、対応する基準可能性を示唆する第1要素と、対応する基準可能性を示唆する第2要素と、で構成されていて、
K 前記可能性示唆演出が実行される前に、前記複数種類のうちの何れかの基準態様を予め示してから当該前記基準態様とは異なる変化態様を表す事前変化演出を実行可能な事前変化演出実行手段を備え、
L 前記事前変化演出の変化態様は、前記予め示した基準態様の第1要素を維持しつつ、前記予め示した基準態様の第2要素を変化させて、前記予め示した基準態様が示唆する所定の基準可能性とは異なる所定の基準可能性を示唆することがあるものであり、
M 前記可能性示唆演出実行手段は、
前記事前変化演出が実行された場合には、当該事前変化演出により表された変化態様で前記可能性示唆演出を実行する一方、
前記事前変化演出が実行されない場合には、前記基準態様で前記可能性示唆演出を実行可能なものであり、
N 前記事前変化演出実行手段は、
前記第2判定の結果に基づいて、当該第2判定が実行される契機となった判定情報が取得されたときに前記記憶手段に記憶されている判定情報に基づく図柄の変動表示から、当該第2判定が実行される契機となった判定情報に基づく図柄の変動表示が開始されるまでの間に、前記事前変化演出の変化態様を、連続する前記図柄の変動表示にわたって、前記特定態様になる可能性が順に高くなることを示唆するように複数回変化可能であり、
O 前記可能性示唆演出実行手段は、
前記事前変化演出の変化態様が複数回変化した場合には、複数回変化した時の前記事前変化演出の変化態様で前記可能性示唆演出を実行する
P ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由のうち理由1-1、理由1-2の概要は、以下のとおりのものである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・理由1-1(進歩性)について
・請求項1に係る発明について
・引用例1及び2

・理由1-2(進歩性)について
・請求項1に係る発明について
・引用例1-3

引用例1:特開2012-50524号公報
引用例2:特開2016-154666号公報
引用例3.「CR牙狼 魔戒ノ花」,パチンコ必勝ガイド 2015年12月19日号,株式会社ガイドワークス,2015年12月19日,p.10-15(特にp.13の中段右部を参照)。

第4 各引用例に記載された事項及び引用発明
1 引用例1
(1)引用例1に記載された事項
当審拒絶理由に引用例1として引用された本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-50524号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下、同様。)。

ア「【0001】
本発明は、ぱちんこ遊技機等の弾球遊技機に関し、特に弾球遊技機における画面表示内容を制御する技術に関する。」

イ「【0031】
特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄である。特別図柄192の変動表示が停止したときの図柄態様が、あらかじめ当りと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が表示されたタイミングが大当り発生タイミングとなる。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。本実施例における特別図柄192は、当りの図柄態様である「0」?「9」といった数字、文字、記号、または外れの図柄態様である「-」の記号で表される。これらの数字または記号が高速で次々に入れ替わって特別図柄表示装置61へ表示されることにより、特別図柄192の図柄変動表示が実現される。なお、特別図柄192の態様は上記の数字または記号に限られず、英字などの文字であってもよいし、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってもよい。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、特別図柄表示装置61を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の特別図柄192を表現してもよい。」

ウ「【0055】
当否抽選手段112は、始動口62への入球を契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112が当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。」

エ「【0058】
当否抽選手段112は、当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定と、当否抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行する。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否判定テーブルと事前当否判定テーブルを保持する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する当否判定を、特に事前当否判定と区別するために、適宜「本判定としての当否判定」とも呼ぶ。」

オ「【0062】
当否抽選手段112は、始動口62への入球タイミングにおいては、事前判定処理として抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行し、その判定結果を抽選結果として図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。事前判定処理の結果は一時的に保存された後、その抽選に対応する図柄変動表示が直ちに開始されるか否かにかかわらず図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信される。そのため、サブ基板104の側にとっては図柄変動開始の順番が巡ってくる前にあらかじめ当否結果を推測的に認識できる、いわゆる「先読み」と呼ばれる処理が実現される。先読みの処理としては、後述するように当否判定、図柄判定、パターン判定の判定結果のすべての情報をサブ基板104に送信して先読み処理として使用する構成としてもよい。または、サブ基板104が、受信した情報のうち一つまたは二つの判定結果のみを使用する構成としてもよい。その他、確変や時短、入球容易状態などの遊技状態に応じて、受信した情報の使用有無や使用する情報の種類を決定してもよい。また、メイン基板102での処理として、遊技の状態に応じて、事前判定の可否、事前判定結果送信の有無、事前判定または事前判定結果送信を行なう情報の種類を適宜設定してもよい。」

カ「【0074】
これらの図に示す変動パターン「リーチA」は、味方キャラクタαと敵キャラクタAとのバトル演出を含むリーチ演出に対応づけられた変動パターンである。同様に変動パターン「リーチB」?「リーチD」のそれぞれは、敵キャラクタB?Dとのバトル演出を含むリーチ演出に対応づけられた変動パターンである。それぞれの図柄変動時間は、リーチA>リーチB>リーチC>リーチDの関係にある。リーチAおよびリーチBはいわゆるスーパーリーチのカテゴリに属するものであってもよく、リーチCおよびリーチDはいわゆるノーマルリーチのカテゴリに属するものであってもよい。
【0075】
なお図10で後述するように、それぞれの変動パターンが選択された際に大当りが発生している確率、いわゆる遊技者から見た大当りの期待度もリーチA>リーチB>リーチC>リーチDの関係にある。したがって、バトル演出において味方キャラクタαの勝利が期待できる可能性は、キャラクタA>キャラクタB>キャラクタC>キャラクタDとなる。」


キ「【0088】
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、15R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を約0.5秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、15R大当りと同様の開放態様で大入賞口66を開放させてもよい。」

ク「【0101】
本実施例において特徴的な演出処理の構成を以下説明する。
本実施例の予告演出パターンには、味方キャラクタαと敵キャラクタA?Dのそれぞれとが対戦するバトル映像を表示させる複数種類のバトル演出用のパターンが含まれる。パターン記憶手段130は、これらのバトル演出用のパターン、例えばバトル演出の動画データをさらに保持する。またパターン記憶手段130は、将来時点で表示されるバトル演出の内容、ここでは敵キャラクタを事前に示唆するための事前演出の演出パターンとして敵キャラクタの画像データをさらに保持する。
【0102】
演出決定手段132は、装飾図柄190の変動表示とともに表示させるべき予告演出パターンを決定する予告演出決定手段142と、その予告演出パターンを事前に示唆するための事前演出の内容を決定する事前演出決定手段144とを含む。」

ケ「【0107】
事前演出決定手段144は、保留制御手段116に保留された抽選結果(当否抽選値や変動パターン抽選値等)に関する事前判定結果を受け付けた際、その抽選結果を事前演出の対象とするか否かを決定する。具体的には、事前演出の対象を未設定であり、かつ、事前判定結果としてのパターン範囲が事前演出範囲238に含まれ、かつ、所定確率にて当選となる事前演出抽選に当選した場合、上記抽選結果を事前演出の対象とすることを決定する。事前演出の対象として決定された保留中の抽選結果を、以下「特定保留球」と呼ぶこととする。事前演出決定手段144は、特定保留球に対応する保留インジケータ196の表示態様を通常とは異なる態様、言い換えれば、事前演出の対象外の保留球とは異なる態様に設定する。」

コ「【0109】
また事前演出決定手段144は、特定保留球に対応する図柄変動(当該変動)の開始前に、保留制御手段116における保留数の変化(増加もしくは減少)を検出した場合、変化後の保留数および事前判定結果としてのパターン範囲に対応する予告演出パターンを新たに判別する。そして、新たに判別した予告演出パターンに対応する事前演出パターンを事前演出表示領域198に表示させる。例えば、保留数が「2」から「1」に変化し、事前判定結果としてのパターン範囲が「外れ範囲232」の場合、予告演出パターン「リーチA」を判別する。そして、リーチAで表示される敵キャラクタAの画像を事前演出表示領域198に表示させるよう事前演出表示領域198の表示内容を更新する。事前演出決定手段144は、保留制御手段116における保留数が変化したことを検出するたびに、事前演出表示領域198の表示内容の更新処理を逐次繰り返して実行する。」


サ「【0112】
本実施例のぱちんこ遊技機10は、特定保留球の当該変動開始前(言い換えれば、図柄変動に伴う演出開始前)の複数時点に亘る保留数の増減に応じて、特定保留球の当該変動における演出内容を示唆する事前演出での示唆内容を逐次変化させる。例えば、特定保留球に対する事前演出としてキャラクタCの画像を事前演出表示領域198に一旦表示させた後、保留数が減少すると、キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198の表示内容が更新されやすい。すなわち、大当りの期待度がより高い演出(典型的には派手な演出)に変化して演出時間も延長されるという、事前演出のいわばステップアップが実現される。逆に保留数が増加すると、キャラクタC→キャラクタD→リーチ無し用画像という推移にて事前演出表示領域198の表示内容が更新されやすい。すなわち、大当りの期待度がより低い演出(典型的には地味な演出)に変化して演出時間も短縮されるという、事前演出のいわばステップダウンが実現される。
【0113】
これにより、遊技者の趣向を反映した保留数の推移に応じて、将来の演出内容が変化したことを遊技者に都度把握させることができ、遊技の興趣を高めることができる。すなわち、演出内容よりも図柄の変動効率を指向する遊技者は保留数を増加させることにより、演出時間を短縮させて短時間のうちに多くの図柄変動を消化することができる。一方で、図柄の変動効率よりも演出内容を指向する遊技者は、遊技球の発射を調整して保留数を維持もしくは減少させることにより、事前演出で示唆された大当り期待度以上の予告演出を当該変動で確認することができる。このように、図柄の変動効率を重視する遊技者と、演出内容を重視する遊技者の両方を満足させる演出を提供できる。」

シ「【0122】
サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から事前判定結果を受信した場合(S260のY)、演出表示制御手段134は、事前演出条件が充足されたか否かを判定する。具体的には、事前演出フラグがオフ、かつ事前判定結果におけるパターン範囲が事前演出範囲238に含まれ、かつ所定確率での事前演出抽選に当選した場合、事前演出条件が充足されたと判定し(S262のY)、事前演出フラグをオンに設定する(S264)。なお本実施例でのフラグの設定は、メモリの所定領域におけるビット値を0から1、もしくは1から0に設定することでもよい。演出決定手段132は、事前演出の対象となった特定保留球に対応する保留インジケータ196の表示態様を、事前演出対象であることを示す所定態様へ変更する(S266)。そして、予告種類テーブルを参照して、事前当否判定結果、現在の保留数、および事前判定結果としてのパターン範囲に対応する事前演出パターン(例えばバトル演出における敵キャラクタ)を特定する(S268)。演出決定手段132は、事前演出パターンに対応する画像データをパターン記憶手段130から取得して事前演出表示領域198に表示させる(S270)。
【0123】
事前演出条件が充足されない場合(S262のN)、S264以降はスキップされる。事前判定結果が未受信であれば(S260のN)、S262以降はスキップされる。」

ス「【0129】
演出決定手段132は、保留制御手段116における保留数の変化を検出した場合(S304のY)、事前演出フラグを参照する。事前演出フラグがオンであれば(S306のY)、特定保留球に関して先に受け付けた事前判定結果としてのパターン範囲と変化後の保留数とに応じて事前演出パターンを新たに特定する(S308)。そして、新たに特定したパターンに対応する事前演出用の画像データを事前演出表示領域198に表示させることにより事前演出表示領域198の表示内容を更新する(S310)。事前演出フラグがオフであれば(S306のN)、S308およびS310はスキップされ、保留数の変化が未検出であれば(S304のN)、S306以降はスキップされる。」

<認定事項>
セ 上記クで摘記した【0101】には、「予告演出パターンには、味方キャラクタαと敵キャラクタA?Dのそれぞれとが対戦するバトル映像を表示させる複数種類のバトル演出用のパターンが含ま」れることが記載されており、同段落には、「将来時点で表示されるバトル演出の内容、ここでは敵キャラクタを事前に示唆するための事前演出の演出パターンとして敵キャラクタの画像データをさらに保持する」ことが記載されている。また、上記サで摘記した【0112】には「例えば、特定保留球に対する事前演出としてキャラクタCの画像を事前演出表示領域198に一旦表示させた後、保留数が減少すると、キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198の表示内容が更新されやすい」と記載されており、キャラクタA?Cを表示することが、例示であることは、その記載から明らかである。
そうすると、引用例1には、事前演出として、キャラクタA?Dのいずれかが表示されていることが記載されているといえる。

(2)引用発明
上記アないしスに摘記した引用例1の記載事項より、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。(aないしpの符号は、本願発明の構成AないしPに概ね対応させて当審にて付与した。)

「a 始動口62への入球を契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として取得する当否抽選手段112と(【0055】)、
b 当否抽選手段112が当否抽選値として取得する値を、所定の保留上限数を超えない範囲で一時的に保留する保留制御手段116(【0055】)と、
d 始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄を図柄変動表示が停止したときに表示する特別図柄表示装置61(【0031】)と、を備え、
c 当否抽選手段112は、当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する本判定としての当否判定を行い(【0058】)、
e 当否抽選手段112は、始動口62への入球タイミングにおいては、事前判定処理として抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行(【0062】)し、
f 当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより特別遊技が実行(【0088】)され、
g 装飾図柄190の変動演出とともに表示させるべき予告演出パターンが決定され、その予告演出パターンを事前に示唆するための事前演出の内容を決定され(【0102】)、
予告演出パターンには、味方キャラクタαと敵キャラクタA?Dのそれぞれとが対戦するバトル映像を表示させる複数種類のバトル演出用のパターンが含まれており(【0101】)、
バトル演出では、味方キャラクタαと敵キャラクタA?Dとのバトル演出を含むリーチ演出が実行可能とされ、味方キャラクタαが敵キャラクタA?Dに勝利することが期待でき(【0074】、【0075】)、
h 特定保留球(事前演出の対象として決定された保留中の抽選結果のこと)の変動開始前に、特定保留球の変動における演出内容を示唆する事前演出としてキャラクタA?Dのいずれかが表示され(【0101】、【【0107】、【0112】、セ)、
i 特定保留球に対する事前演出としてキャラクタCの画像を事前演出表示領域198に一旦表示させた後、保留数が減少すると、キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198の表示内容が更新されやすくなっており(【0112】)、
l 更新内容としては、大当りの期待度がより高い演出に変化して演出時間も延長されるという、事前演出のいわばステップアップが実現され(【0112】)、
m 保留された抽選結果(当否抽選値や変動パターン抽選値等)に関する事前判定結果を受け付けた際、その抽選結果を事前演出の対象とするか否かが決定され(【0107】)、事前演出条件が充足されたか否かを判定し、事前演出フラグがオフ、かつ事前判定結果におけるパターン範囲が事前演出範囲238に含まれ、かつ所定確率での事前演出抽選に当選した場合、事前演出条件が充足されたと判定し、事前演出フラグをオンに設定して事前演出を表示し、事前演出条件が充足されない場合はスキップして事前演出を表示せず(【0122】、【0123】、【0129】)、
n 事前判定処理の結果は演出決定手段132へ送信され、予告演出パターンを事前に示唆するための事前演出の内容を決定し、特定保留球の変動開始前に、事前演出としてのキャラクタを大当りの期待度がより高い演出に変化するように表示され、保留数が減少すると、キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198に表示(【0062】、【0102】、【0112】)され、
o 保留数が変化したことが検出されるたびに、事前演出表示領域198の表示内容の更新処理が逐次繰り返して実行され、保留数の推移に応じて、将来の演出内容が変化したことを遊技者に都度把握させる(【0109】、【0113】)、
p ことができる弾球遊技機(【0001】)。)

2 引用例2
(1)引用例2に記載された事項
当審拒絶理由に引用例2として引用された本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-154666号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【0001】
本発明は、パチンコ機やアレンジボールなどの遊技機に関する。」

イ「【0067】
ここで、継続成否演出は、電サポあり状態中に小当りを引いて大当りに発展するか大当りを直接引いた場合に、その大当りの発生に基づき行われる大当り遊技の終了後に電サポあり状態が発生(継続)するか否かを遊技者に事前に示すものであり、本実施例では、味方キャラクタが敵キャラクタと対決するバトル演出として実行され、味方キャラクタが敵キャラクタに勝利する演出結果(特定結果)によって、電サポあり状態が継続する(大当り遊技の発生契機となった当りが「特図2大当りA」または「特図2小当りA」である)ことを示し、味方キャラクタが敵キャラクタに敗北する演出結果(非特定結果)によって、電サポあり状態が継続しない(大当り遊技の発生契機となった当りが「特図2大当りB」または「特図2小当りB」である)ことを示す。また、継続成否演出を実行する場合、その実行に先立って、電サポあり状態が継続する可能性(信頼度)を予告するための信頼度表示演出や信頼度変更演出も実行される。信頼度表示演出は、味方キャラクタが対決する敵キャラクタを、強さのレベルが異なる複数種類の敵キャラクタ(レベル1?5)の中から選択して表示する演出であり、信頼度変更演出は、信頼度表示演出で表示した敵キャラクタを別のレベルの敵キャラクタに変更する演出である。信頼度表示演出や信頼度変更演出で選択される敵キャラクタの強さレベルが低いほど、継続成否演出で味方キャラクタが勝利する可能性が高く、信頼度が高くなる。また、継続成否演出が実行される場合、信頼度表示演出は実行されるが、信頼度変更演出は実行されない場合がある。」

ウ「【0075】
図27は、通常モード用演出パターンテーブルAを示し、図28は、通常モード用演出パターンテーブルBを示し、図29(a)は、特別モード用演出パターンテーブルAを示し、図29(b)は、特別モード用演出パターンテーブルBを示す。通常モード用演出パターンテーブルA,Bには、演出パターン決定用乱数の値に対応付けて信頼度表示演出と信頼度変更演出と継続成否演出とから構成される所定数(14種類)の演出パターンE01?E14が規定されており、演出パターンE01?E14の中から一の演出パターン(信頼度表示演出と信頼度変更演出と継続成否演出の各演出パターン)が選択される。また、特別モード用演出パターンテーブルA,Bには、演出パターン決定用乱数の値に対応付けて通常モード用演出パターンテーブルA,Bよりも少ない数(2種類)の演出パターンE01,E14が規定されており、演出パターンE01,E14の中から一の演出パターン(信頼度表示演出と信頼度変更演出と継続成否演出の各演出パターン)が選択される。
【0076】
ここで、信頼度表示演出では、継続成否演出(バトル演出)で用いるキャラクタとして、図30に示すように、レベル1?5の5種類の敵キャラクタが用意されており、味方キャラクタが勝利する可能性の高い順(信頼度が高い順)に、レベル1,レベル2,レベル3,レベル4,レベル5となっている。各敵キャラクタには、レベルに応じた数の星(「★」)が示されており、示された星の数が少ないほど電サポあり状態継続の信頼度が高くなっている。したがって、敵キャラクタの種類や星の数は,継続成否の信頼度を表示する信頼度表示手段を構成する。一方、信頼度変更演出は、例えば、サイコロを振って出た目の数だけ信頼度表示演出で示された敵キャラクタのレベルを下げて別の敵キャラクタに変更する演出として行われ、図31に示すように、サイコロの目が「1」(マイナス1図柄)である場合には、敵キャラクタのレベルを1段階下げる効果(信頼度を1段階上げる効果)を有し、サイコロの目が「2」(マイナス2図柄)である場合には、敵キャラクタのレベルを2段階下げる効果(信頼度を2段階上げる効果)を有し、サイコロの目が「3」(マイナス3図柄)である場合には、敵キャラクタのレベルを3段階下げる効果(信頼度を3段階上げる効果)を有する。したがって、マイナス1図柄やマイナス2図柄、マイナス3図柄は、信頼度変更図柄といえる。なお、信頼度変更図柄としては、敵キャラクタのレベルを下げる効果(信頼度を上げる効果)を有する図柄(マイナス1図柄,マイナス2図柄,マイナス3図柄)のみを設けるものとしたが、敵キャラクタのレベルを上げる効果(信頼度を下げる効果)を有する図柄(例えば、敵キャラクタのレベルを1段階上げる効果を有するプラス1図柄や、敵キャラクタのレベルを2段階上げる効果を有するプラス2図柄など)も設けるものとしてもよい。」

エ「【0092】
実施例のパチンコ機10では、信頼度変更演出において、信頼度表示演出にて表示されたキャラクタから別のキャラクタに変更することでレベル(信頼度)を変更するものとしたが、これに限定されるものではなく、図37に示すように、信頼度表示演出にて表示されたキャラクタと同じキャラクタでレベル(信頼度)のみを変更するものとしてもよい。」

オ「【図37】



(2)引用例2の記載事項
上記アないしオに摘記した引用例2に記載された事項より、引用例2には、以下の事項(以下、「引用例2の記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「大当り遊技の終了後に電サポあり状態が発生(継続)するか否かを事前に示す信頼度表示演出において、継続成否演出(バトル演出)で用いるキャラクタとしてレベル1?5の5種類の敵キャラクタが用意されており、味方キャラクタが勝利する可能性の高い順(信頼度が高い順)に、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5となっており、各敵キャラクタには、レベルに応じた数の星(「★」) が示されており、示された星の数が少ないほど電サポあり状態継続の信頼度が高く、サイコロを振って出た目の数だけ信頼度表示演出にて表示されたキャラクタと同じキャラクタでレベル(信頼度)のみを変更する演出として行う遊技機。」

3 引用例3
(1)引用例3に記載された事項
当審拒絶理由の理由1-2に引用例3として引用された本願の出願前に頒布された「CR牙狼 魔戒ノ花」,パチンコ必勝ガイド 2015年12月19日号,株式会社ガイドワークス,2015年12月19日,p.10-15(特にp.13の中段右部を参照)(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。

ア 「後半のメインはホラーバトル」(p.13上段右部)

イ「ピンチとチャンスの分岐点は星4or3」「星1のホラーとの対戦は勝利濃厚!!」(p.13上段右部)

ウ「

」(p.13中段右部)

エ「

」(p.13中段右部)

オ「出現するホラーは全25体」(p.13中段右部)

カ「敵ホラーの星数がバトル最初の要所となるため、星を破壊する導入パターンならばチャンス。次に牙狼の形態が重要となるが、心滅獣身ガロなら星×5の強敵でも勝率80%と絶大なる信頼度を誇る。」(p.13中段右下方部)

<認定事項>
キ 上記エの画像から、上下の画像で敵ホラーの表示に変化が見られないから敵ホラーの表示は変化させずに星が破壊されていることが看取できる。

ク 上記ウの画像から星の数でホラーの信頼度を報知していることが看取できる。

ケ ホラーの星を破壊するとホラーの星の数が減少することは明らかであり、上記カの記載からホラーの星の破壊によって遊技者にとってチャンスとなることから、上記ウの画像から看取できるホラーの星の数が減少すれば信頼度が向上することとも整合している。

コ 上記カの記載から、「敵ホラーの星数がバトル最初の要所」であることが記載され、続けて「星を破壊する導入パターンならばチャンス」と記載されていることから、上記アの記載と併せ読めば、「ホラーバトルのバトル最初」の「導入パターン」として「星を破壊する導入パターン」の報知演出があることは明らかである。

(2)引用例3の記載事項
上記ア?カに摘記した引用例3に記載された事項及び上記キ?コの認定事項より、引用例3には、「ホラーバトルのバトル最初の導入パターンで、敵ホラーの表示は変化させずに星を破壊して星の数を減少させホラーの信頼度を報知する報知演出が実行されるパチンコ機」が記載されていることがみて取れる。

4 周知技術
上記引用例3はSanseiR&D社製の「CR牙狼 魔戒ノ花」についての記事であり、「CR牙狼 魔戒ノ花」は、ホールに平成27年10月に導入されており(例えば、パチンコ必勝本CLIMAX 2016年2月号、株式会社総合図書、2016年2月1日、p.164(特に、右上のCR牙狼 魔戒ノ花の欄の「導入日 2015年10月」との記載を参照))、本願の出願日である平成28年9月23日時点では、公然実施されていることは明らかである。
これは、本願の出願日より前の平成27年12月19日には遅くとも発売されていた上記引用例3のp.10の中段左のやや下方部に「登場から未だ熱気冷めやらぬ『CR牙狼 魔戒ノ花』の新情報が・・・」と記載されていることとも整合する。
また、引用例3と同じくSanseiR&D社製の「CR牙狼 魔戒ノ花」についての記事が掲載されているパチンコ必勝本CLIMAX 2015年12月号、株式会社総合図書、2015年12月1日発行、p.18-25(特に、p.19の中段左側の「ホラーバトル」の欄を参照))(以下「参考文献1」という。)には、「ホラーバトル」について、「ホラー選択パート・危険度破壊パート経由で発展」、「ホラー選択パートは選択肢が少ないほどアツく、危険度破壊パートは破壊する危険度の数が多いほど期待できる。とにかくホラーの危険度が少ないほどチャンスで、星1つなら過去のシリーズと同じく勝利濃厚!」と記載され、同パチンコ必勝ガイド2016年1月17日号、株式会社ガイドワークス、2016年1月17日発行、p.10-27(特に、p.10、11の「全25体の魔獣詳細データを独占公開」の項目、p.11右上の「ホラーバトル選択演出」の欄を参照)(以下「参考文献2」という。)には、p.10、11では、星1?5のホラー25体についてホラーの名前と星の数について画像とともに紹介されており、p.11右上の「ホラーバトル選択演出」の欄では、「ホラー選択パート」で「ルーレットで対戦ホラーを決定」と、「危険度破壊パート」で「図柄テンパイ後にホラーが出現」、「危険度数が減少すればチャンス」と記載されている。
また、参考文献2のp.11右上の「ホラーバトル選択演出」の欄には、危険度破壊パートとして次の画像が掲載されている。



上記画像の左右の敵ホラーの表示についても変化が見られないから敵ホラーの表示は変化させずに星が破壊されていることが看取できる。
また、引用例3と同じくSanseiR&D社製の「CR牙狼 魔戒ノ花」の演出が配信されている「CR牙狼 魔界ノ花 厳選ホラーバトル特集」,YouTube[online][video],2016年6月25日,主に0:24?0:28を参照。,[2020年10月27日検索],インターネット<
https://www.youtube.com/watch?v=C1ovQ4T1DcI>(以下「参考電子的情報」という。)では、特に、0:24と0:28に次の映像があり、両者を比較すると敵ホラーの表示は変化させずに星が破壊されていることが看取できる。
「(0:24)


(0:28)


そして、引用例3及び上記参考文献1、2に記載の「ホラー」は複数種類から選択されることが記載され、各ホラーには名前が付されて、対戦することから、遊技者の視点に立てば、バトル演出の敵キャラクタを表現しているといえる。
そうすると、「CR牙狼 魔戒ノ花」の演出として公然実施されている上記3(2)で説示した演出、上記参考文献1、2に記載された演出及び上記参考電子的情報は、ホールで多数の遊技者等が視認可能な状態であり、当業者にとって周知であるといえるから、遊技機の分野において「遊技者への報知の態様として、バトル演出の敵キャラクタと星の数で信頼度を表示し、敵キャラクタの表示を変化させず星の数を変更することにより信頼度を変化させる演出態様」は周知技術であるといえる。

第5 対比
1 本願発明の構成Aについて
(1)引用発明の構成aにおける「始動口62への入球を契機に」は、本願発明の「所定の取得条件の成立に基づいて」に相当する。
(2)引用発明の構成aにおける「通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として取得」、「当否抽選手段112」の一部は、それぞれ本願発明の「判定情報を取得」、「取得手段」に相当する。
(3)よって、引用発明は、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。

2 本願発明の構成Bについて
(1)引用発明の構成bにおける「当否抽選値」は、本願発明の「前記取得手段により取得された判定情報」に相当する。
(2)引用発明の構成bにおける「所定の保留上限数を超えない範囲で一時的に保留する保留制御手段116」は、本願発明の「所定の上限数まで記憶可能な記憶手段」に相当する。
(3)よって、引用発明は、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。

3 本願発明の構成Cについて
(1)引用発明の構成cにおける「当否抽選値」は構成aより「当否抽選手段112」により取得されたものであるから、引用発明の構成cにおける「当否抽選値に基づき」は、本願発明の「前記取得手段により取得された判定情報に基づいて」に相当する。
(2)引用発明の構成cにおける「特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する本判定としての当否判定を行う当否抽選手段112」は、本願発明の「遊技者に有利な特別遊技状態にするかの第1判定を行う第1判定手段」に相当する。
(3)よって、引用発明は、本願発明の構成Cに相当する構成を有する。

4 本願発明の構成Dについて
(1)引用発明の構成dにおける「始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄」は、本願発明の「前記第1判定の結果を示す図柄」に相当する。
(2)引用発明の構成dにおける「図柄変動」は、本願発明の「変動表示」に相当する。
(3)引用発明の構成dにおける「表示が停止」は、本願発明の「停止表示」に相当する。
(4)引用発明の構成dにおける「特別図柄表示装置61」は、本願発明の「図柄表示手段」に相当する。
(5)よって、引用発明は、本願発明の構成Dに相当する構成を有する。

5 本願発明の構成Eについて
(1)引用発明の構成eにおける「始動口62への入球タイミング」は、本願発明の「前記第1判定が行われる前」に相当する。
(2)引用発明の構成eにおける「事前判定処理として抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行」することは、本願発明の「前記取得手段により取得された判定情報に基づいて前記特別遊技状態になるかの第2判定を行う」ことに相当する。
(3)引用発明の構成eにおける「当否抽選手段112」は上記(2)の「事前当否判定」を実行することから「当否抽選手段112」の一部は、本願発明の「第2判定手段」に相当する。
(4)よって、引用発明は、本願発明の構成Eに相当する構成を有する。

6 本願発明の構成Fについて
(1)引用発明の構成fにおける「当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立」は、本願発明の「予め定められた制御条件の成立」に相当する。
(2)引用発明の構成fにおける「大入賞口66を開放させることにより特別遊技が実行され」は、本願発明の「前記特別遊技状態に制御され」に相当する。
(3)引用発明の構成pにおける「弾球遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
(4)よって、引用発明は、本願発明の構成Fに相当する構成を有する。

7 本願発明の構成Gについて
(1)引用発明の構成gにおける「味方キャラクタαと敵キャラクタA?Dのそれぞれとが対戦するバトル映像を表示させる複数種類のバトル演出」は、本願発明の「所定の特定演出」に相当する。
(2)引用発明の構成gにおける「味方キャラクタαが敵キャラクタA?Dに勝利することが期待でき」は、本願発明の「前記特定演出の演出態様の結果を特定態様にすることが可能」に相当する。
(3)引用発明では、「味方キャラクタαと敵キャラクタA?Dとのバトル演出を含むリーチ演出が実行可能」であることから、引用発明の「弾球遊技機」が、本願発明の「特定演出実行手段」に相当する手段を備えることは明らかである。
(4)よって、引用発明は、本願発明の構成Gに相当する構成を有する。

8 本願発明の構成Hについて
(1)引用発明の構成hにおける「特定保留球(事前演出の対象として決定された保留中の抽選結果のこと)の変動開始前に」は、本願発明の「前記特定演出の演出態様の結果が示される前に」に相当する。
(2)引用発明の構成hにおける「特定保留球の変動における演出内容を示唆する事前演出としてキャラクタA?Dのいずれかが表示」について、引用発明の構成iの「特定保留球に対する事前演出としてキャラクタCの画像を事前演出表示領域198に一旦表示させた後、保留数が減少すると、キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198の表示内容が更新されやすくなっており」及び引用発明の構成lの「更新内容としては、大当りの期待度がより高い演出に変化して演出時間も延長されるという、事前演出のいわばステップアップが実現され」るということから、「キャラクタA?Dのいずれかが表示」されることで、「味方キャラクタα」が「バトル演出」で勝利する可能性を示唆しているといえる。
したがって、引用発明の構成hにおける「特定保留球の変動における演出内容を示唆する事前演出としてキャラクタA?Dのいずれかが表示」は、本願発明の「前記特定態様になる可能性を示唆する可能性示唆演出を実行可能」に相当する。
(3)引用発明では、「特定保留球の変動における演出内容を示唆する事前演出としてキャラクタA?Dのいずれかが表示され」ることから、引用発明の「弾球遊技機」が、本願発明の「可能性示唆演出実行手段」に相当する手段を備えることは明らかである。
(4)よって、引用発明は、本願発明の構成Hに相当する構成を有する。

9 本願発明の構成Iについて
(1)上記8(2)で説示したとおり、引用発明では、「キャラクタA?Dのいずれかが表示」されることで、「味方キャラクタα」が「バトル演出」で勝利する可能性を示唆しているといえ、「更新内容としては、大当りの期待度がより高い演出に変化して演出時間も延長されるという、事前演出のいわばステップアップが実現され」る。
(2)よって、引用発明と本願発明の構成lとは「前記可能性示唆演出の演出態様には、前記特定態様になる可能性が複数種類のうちの何れかの所定の可能性であることを示唆する複数種類の態様が含まれてい」る点で共通する。

10 本願発明の構成Kについて
(1)上記8(2)で説示したとおり、引用発明では、「キャラクタA?Dのいずれかが表示」されることで、「味方キャラクタα」が「バトル演出」で勝利する可能性を示唆しているといえ、「更新内容としては、大当りの期待度がより高い演出に変化して演出時間も延長されるという、事前演出のいわばステップアップが実現され」る。
そうすると、引用発明の構成iの「特定保留球に対する事前演出としてキャラクタCの画像を事前演出表示領域198に一旦表示させた後、保留数が減少すると、キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198の表示内容が更新されやすくなっており」における「キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198の表示内容が更新され」ることは、本願発明の「事前変化演出」に相当する。
(2)引用発明では、上記(1)の表示を行っていることから、引用発明の「弾球遊技機」が、本願発明の「事前変化演出実行手段」に相当する手段を備えることは明らかである。
(3)よって、引用発明と本願発明の構成Kとは「前記可能性示唆演出が実行される前に、前記複数種類のうちの何れかの態様を予め示してから当該前記態様とは異なる変化態様を表す事前変化演出を実行可能な事前変化演出実行手段を備え」ている点で共通する。

11 本願発明の構成Lについて
(1)上記8(2)で説示したとおり、引用発明では、「キャラクタA?Dのいずれかが表示」されることで、「味方キャラクタα」が「バトル演出」で勝利する可能性を示唆しているといえ、「更新内容としては、大当りの期待度がより高い演出に変化して演出時間も延長されるという、事前演出のいわばステップアップが実現され」る。
(2)よって、引用発明と本願発明の構成Lとは「前記事前変化演出の変化態様は、前記予め示した態様を変化させて、前記予め示した態様が示唆する所定の可能性とは異なる所定の可能性を示唆することがあるものであ」る点で共通する。

12 本願発明の構成Mについて
(1)引用発明の構成mでは、「保留された抽選結果(当否抽選値や変動パターン抽選値等)に関する事前判定結果を受け付けた際、その抽選結果を事前演出の対象とするか否かが決定され、事前演出条件が充足されたか否かを判定し、事前演出フラグがオフ、かつ事前判定結果におけるパターン範囲が事前演出範囲238に含まれ、かつ所定確率での事前演出抽選に当選した場合、事前演出条件が充足されたと判定し、事前演出フラグをオンに設定して事前演出を表示し、事前演出条件が充足されない場合はスキップして事前演出を表示」しないことから、引用発明の構成mの「事前演出条件が充足されたと判定し、事前演出フラグをオンに設定して事前演出を表示し」た場合は、本願発明の「前記事前変化演出が実行された場合」に相当し、引用発明の構成mの「事前演出条件が充足されない場合はスキップして事前演出を表示」しない場合は、本願発明の「前記事前変化演出が実行されない場合」に相当する。
(2)引用発明の構成iでは、「特定保留球に対する事前演出としてキャラクタCの画像を事前演出表示領域198に一旦表示させた後、保留数が減少すると、キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198の表示内容が更新されやすくなって」おり、上記8(2)で説示のとおり引用発明の「特定保留球の変動における演出内容を示唆する事前演出としてキャラクタA?Dのいずれかが表示」は、本願発明の「前記特定態様になる可能性を示唆する可能性示唆演出を実行可能」に相当する。
(3)よって、引用発明と本願発明の構成Mとは「前記可能性示唆演出実行手段は、前記事前変化演出が実行された場合には、当該事前変化演出により表された変化態様で前記可能性示唆演出を実行する一方、前記事前変化演出が実行されない場合には、前記予め示した態様で前記可能性示唆演出を実行可能なものであ」る点で共通する。

13 本願発明の構成Nについて
(1)引用発明の構成nでは「事前判定処理の結果で、特定保留球の変動開始前に・・・保留数が減少すると、キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198に表示され」、「事前判定処理」は、引用発明の構成eにおいて「始動口62への入球タイミングにおいて」行うものであることから、引用発明の「特定保留球(事前演出の対象として決定された保留中の抽選結果のこと)」は、本願発明の「当該第2判定が実行される契機となった判定情報」に相当する。
また、引用発明では、「特定保留球の変動開始前に・・・保留数が減少すると、キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198に表示」されることから、複数回キャラクタが変化しており、事前演出の態様が複数回変化していることから、引用発明の「保留数が減少すると」・・・「前演出表示領域198に表示」することは、本願発明の「当該第2判定が実行される契機となった判定情報が取得されたときに前記記憶手段に記憶されている判定情報に基づく図柄の変動表示から、当該第2判定が実行される契機となった判定情報に基づく図柄の変動表示が開始されるまでの間に、前記事前変化演出の変化態様を」「複数回変化」することに相当する。
そして、引用発明の「キャラクタC→キャラクタB→キャラクタAという推移にて事前演出表示領域198に表示」することは、「事前演出としてのキャラクタを大当りの期待度がより高い演出に変化するように表示」されることであるから、本願発明の「前記事前変化演出の変化態様を、連続する前記図柄の変動表示にわたって、前記特定態様になる可能性が順に高くなることを示唆するように複数回変化」することに相当する。
(2)よって、引用発明は、本願発明の構成Nに相当する構成を有する。

14 本願発明の構成Oについて
(1)引用発明の構成oでは「保留数が変化したことが検出されるたびに、事前演出表示領域198の表示内容の更新処理が逐次繰り返して実行され、保留数の推移に応じて、将来の演出内容が変化したことを遊技者に都度把握させ」ていることから、引用発明の「保留数が変化したことが検出されるたびに、事前演出表示領域198の表示内容の更新処理が逐次繰り返して実行され」ることが、本願発明の「前記事前変化演出の変化態様が複数回変化」することに相当し、引用発明では「事前演出表示領域198の表示内容の更新処理が逐次繰り返して実行され、保留数の推移に応じて、将来の演出内容が変化したことを遊技者に都度把握させ」ていることから、引用発明は、本願発明の「複数回変化した時の前記事前変化演出の変化態様で前記可能性示唆演出を実行する」ことに相当する構成を備えているといえる。
(2)よって、引用発明は、本願発明の構成Oに相当する構成を有する。

15 本願発明の構成Pについて
(1)引用発明の構成pの「弾球遊技機」は、本願発明の構成Pの「遊技機」に相当する。
(2)よって、引用発明は、本願発明の構成Pに相当する構成を有する。

そうすると、本願発明と引用発明とは、
「A 所定の取得条件の成立に基づいて判定情報を取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された判定情報を所定の上限数まで記憶可能な記憶手段と、
C 前記取得手段により取得された判定情報に基づいて遊技者に有利な特別遊技状態にするかの第1判定を行う第1判定手段と、
D 前記第1判定の結果を示す図柄を変動表示したあと停止表示する図柄表示手段と、
E 前記第1判定が行われる前に、前記取得手段により取得された判定情報に基づいて前記特別遊技状態になるかの第2判定を行う第2判定手段と、を備え、
F 予め定められた制御条件の成立に基づいて前記特別遊技状態に制御される遊技機において、
G 所定の特定演出を実行可能であると共に、前記特定演出の演出態様の結果を特定態様にすることが可能な特定演出実行手段と、
H 前記特定演出の演出態様の結果が示される前に、前記特定態様になる可能性を示唆する可能性示唆演出を実行可能な可能性示唆演出実行手段と、を備え、
I’前記可能性示唆演出の演出態様には、前記特定態様になる可能性が複数種類のうちの何れかの所定の可能性であることを示唆する複数種類の態様が含まれていて、
K’前記可能性示唆演出が実行される前に、前記複数種類のうちの何れかの態様を予め示してから当該前記態様とは異なる変化態様を表す事前変化演出を実行可能な事前変化演出実行手段を備え、
L’前記事前変化演出の変化態様は、前記予め示した態様を変化させて、前記予め示した態様が示唆する所定の可能性とは異なる所定の可能性を示唆することがあるものであり、
M’
前記可能性示唆演出実行手段は、
前記事前変化演出が実行された場合には、当該事前変化演出により表された変化態様で前記可能性示唆演出を実行する一方、
前記事前変化演出が実行されない場合には、前記予め示した態様で前記可能性示唆演出を実行可能なものであり、
N 前記事前変化演出実行手段は、
前記第2判定の結果に基づいて、当該第2判定が実行される契機となった判定情報が取得されたときに前記記憶手段に記憶されている判定情報に基づく図柄の変動表示から、当該第2判定が実行される契機となった判定情報に基づく図柄の変動表示が開始されるまでの間に、前記事前変化演出の変化態様を、連続する前記図柄の変動表示にわたって、前記特定態様になる可能性が順に高くなることを示唆するように複数回変化可能であり、
O 前記可能性示唆演出実行手段は、
前記事前変化演出の変化態様が複数回変化した場合には、複数回変化した時の前記事前変化演出の変化態様で前記可能性示唆演出を実行する
P 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点(構成I、J、K、L、M)
本願発明では、「前記可能性示唆演出の演出態様には、前記特定態様になる可能性が複数種類のうちの何れかの所定の基準可能性であることを示唆する複数種類の基準態様が含まれていて、
前記各基準態様は、対応する基準可能性を示唆する第1要素と、対応する基準可能性を示唆する第2要素と、で構成されていて、
前記可能性示唆演出が実行される前に、前記複数種類のうちの何れかの基準態様を予め示してから当該前記基準態様とは異なる変化態様を表す事前変化演出を実行可能な事前変化演出実行手段を備え、
前記事前変化演出の変化態様は、前記予め示した基準態様の第1要素を維持しつつ、前記予め示した基準態様の第2要素を変化させて、前記予め示した基準態様が示唆する所定の基準可能性とは異なる所定の基準可能性を示唆することがあるものであり、
前記可能性示唆演出実行手段は、
前記事前変化演出が実行された場合には、当該事前変化演出により表された変化態様で前記可能性示唆演出を実行する一方、
前記事前変化演出が実行されない場合には、前記基準態様で前記可能性示唆演出を実行可能なものであ」るのに対して、
引用発明では、特定保留球に対する事前演出として予め示したキャラクタを変更して表示して大当りの期待度が変更したことを把握させているものの、「基準態様」として「基準可能性」を示唆する「第1要素」及び「第2要素」を備えておらず、それに伴って「第1要素」及び「第2要素」に関して本願発明のような特定がない点。

第6 判断
<相違点について>
1 引用発明及び引用例2の記載事項に基づく判断
引用例2の記載事項(上記第4 2(2))は、「大当り遊技の終了後に電サポあり状態が発生(継続)するか否かを事前に示す信頼度表示演出において、継続成否演出(バトル演出)で用いるキャラクタとしてレベル1?5の5種類の敵キャラクタが用意されており、味方キャラクタが勝利する可能性の高い順(信頼度が高い順)に、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5となっており、各敵キャラクタには、レベルに応じた数の星(「★」) が示されており、示された星の数が少ないほど電サポあり状態継続の信頼度が高く、サイコロを振って出た目の数だけ信頼度表示演出にて表示されたキャラクタと同じキャラクタでレベル(信頼度)のみを変更する演出として行う遊技機」である。
当該引用例2の記載事項から、サイコロを振って出た目の数だけ信頼度表示演出にて表示されたキャラクタ(本願発明の「第1要素」に相当)は、例示としての図37を参照すると角状のものが破損し傷状のものがついているように記載されているものの、他のキャラクタに変更されることなく同じキャラクタでレベル(信頼度)に応じた数の星(「★」)(本願発明の「第2要素」に相当)のみを変更していることから、予め示した基準態様のキャラクタは維持しているといえる。
そうすると、事前に示す対象が大当り後の電サポの継続の有無であるという点では本願発明とは異なるものの、演出態様としては、本願発明の特定事項I、J、K、Lに相当しているといえる。
引用発明と引用例2の記載事項とは、遊技の興趣を向上させるために、遊技機において発生する遊技者にとって有利な状態を事前にかつ段階的に遊技者に示唆する演出を工夫するものである点で共通するものであるから、遊技の興趣を向上させるために、引用発明における事前演出の演出態様として、引用例2の記載事項における信頼度表示演出の演出態様を適用して、上記相違点に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。

2 引用発明及び周知技術に基づく判断
請求項1の「前記予め示した基準態様の第1要素を維持しつつ」について、引用例2の記載事項と上記したとおり差異はないものの、請求項1の構成Lにおける「前記予め示した基準態様の第1要素を維持しつつ」との特定が、キャラクタの同一性にとどまらず、キャラクタの全てが、同じ状態であることまでをも特定していると、仮定した場合について以下検討する。
上記第4 4で説示したとおり、遊技機の分野において「遊技者への事前報知の態様として、バトル演出の敵キャラクタと星の数で信頼度を表示し、敵キャラクタの表示を変化させず星の数を変更することにより信頼度を変化させる演出態様」は周知技術であり、周知技術の「敵キャラクタの表示を変化させず」は、キャラクタの同一性にとどまらず、キャラクタの全てが、同じ状態であることに相当する。
引用発明と周知技術とは、遊技機において発生する遊技者にとって有利な状態を事前に遊技者に示唆する演出を工夫するという点で共通するものであることから、潜在的な課題として遊技機が備えていることが明らかな遊技の興趣を向上させることを目的とする引用発明に上記周知技術を適用して、上記相違点に係る本願発明の特定事項となすことは当業者が容易になし得たことである。

3 本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用例2の記載事項の奏する効果及び周知技術の奏する効果から当業者が予測することができた程度のことである。

4 したがって、本願発明は、当業者が引用発明及び引用例2の記載事項、または、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 請求人の主張について
(1)審判請求人は意見書において、概略、以下のとおり主張している。
「4.進歩性について
・・・略・・・
また、引用文献2では、図34に示す演出例の信頼度変更演出において、敵キャラクタが変化すると共に、星の数が減少することが示されています。また図37に示す変更例の信頼度変更演出において、敵キャラクタの一部が変化する(敵キャラクタが傷付く)と共に、星の数が減少することが示されています。しかしながら、何れの例であっても、信頼度変更演出が、当該変動よりも前に実行される点について、記載も示唆もなされていません。つまり、引用文献2では、当該変動よりも前に、敵キャラクタと星(本願発明の「基準態様」)を示すことへの動機付けがありません。そして、引用文献2の信頼度変更演出では、敵キャラクタ(本願発明の「第1要素」に相当)がそのまま維持されない以上、本願発明の「事前変化演出の変化態様」とは明らかに異なっています。
・・・略・・・
以上、引用文献1、2、3を見ても、第2判定(事前判定)が実行される契機となった判定情報が取得されたときに保留されている判定情報に基づく図柄の変動表示(例えば3変動前)から、当該第2判定が実行される契機となった判定情報に基づく図柄の変動表示が開始される(当該変動)までの間に、連続する図柄の変動表示にわたって(例えば3変動前⇒2変動前⇒1変動前に)、予め示した基準態様の第1要素(敵画像)を維持しつつ、予め示した第2要素(星画像)を変化させるという変化態様(図63(A)(B)(C)参照)を示す点(特に上記した特徴(O))を導く動機付けはないと思料致します。即ち、引用文献1、2、3を組合わせても、特定演出(バトル演出)が実行される当該変動よりも前の3変動前⇒2変動前⇒1変動前という想定外のタイミングで、敵キャラ(第1要素)がそのまま表示されているのに、その敵キャラに対応しているはずの星の数(第2要素)が段階的に複数回減少していくという斬新な興趣性(本願発明の作用効果)を容易に想像することができないと思料致します。
よって、当業者が引用文献1、2、3に係る発明に基づいて、本願発明に容易に想到することの論理付けは困難であり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定には該当せず、進歩性を有するものと思料致します。」

(2)上記審判請求人の主張について検討すると、引用文献2(引用例2)についての主張は、請求項1の特定では、既に説示したとおりキャラクタが変更されていないことから、その点での差異はなく、審判請求人の主張は請求項1の特定に基づかないものであるから採用することができない。
また、引用文献1、2、3(引用例1、2、3)の組合せについての主張は、既に説示したとおり引用発明と引用例2の記載事項とは、遊技の興趣を向上させるために、遊技機において発生する遊技者にとって有利な状態を事前に遊技者に示唆する演出を工夫するものである点で共通するものであることから、遊技の興趣を向上させるために、引用発明における事前演出の演出態様として、引用例2の記載事項における信頼度表示演出の演出態様を適用して本願発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。
よって、審判請求人のいずれの主張も採用することができない。

第7 むすび
本願発明は、当業者が当業者が引用発明及び引用例2の記載事項、または、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-10-29 
結審通知日 2020-11-04 
審決日 2020-11-17 
出願番号 特願2016-185154(P2016-185154)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 貴理  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人コスモス国際特許商標事務所  

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