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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60B
管理番号 1369878
審判番号 不服2019-15925  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-26 
確定日 2021-01-26 
事件の表示 特願2015-158423号「車輪用軸受装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年2月16日出願公開、特開2017-35986号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年8月10日の出願であって、平成31年4月12日付けで拒絶理由が通知され、令和1年6月11日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月29日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)され、これに対して、同年11月26日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、その後、当審において令和2年6月16日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年8月18日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
[刊行物等]
1.特開2007-100715号公報
2.特開2000-130444号公報
3.特開2008-223893号公報
以下それぞれ「引用文献1ないし3」という。

第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年8月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
外周に懸架装置に取り付けるための車体取り付けフランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置において、
前記複列の転動体は、複列のボール列からなり、
車輪取り付けフランジ側の外側転走面は、車体取り付けフランジ側の外側転走面よりもピッチ円直径が大きくなるように形成され、
車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分のうち少なくとも一部に、所定の幅で径方向に突出し、且つ前記外方部材開口部の外周部分の全周に亘って設けられる帯状部を有し、
前記帯状部は、前記外方部材を形成する部材によって当該外方部材と一体不可分に形成される、
車輪用軸受装置。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付した。以下同様である。)。
(1a)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、高剛性化と軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が、従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式が一般的に採用されている。この車輪用軸受装置には、所望の軸受剛性を有し、ミスアライメントに対しても耐久性を発揮すると共に、燃費向上の観点から回転トルクが小さい複列アンギュラ玉軸受が多用されている。この複列アンギュラ玉軸受は、固定輪と回転輪との間に複数のボールを介在させ、このボールに所定の接触角を付与して固定輪および回転輪に接触させている。
【0003】
また、車輪用軸受装置には、懸架装置を構成するナックルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸受等からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代と称される構造から、外方部材の外周に直接車体取付フランジまたは車輪取付フランジが形成された第2世代構造、また、ハブ輪の外周に一方の内側転走面が直接形成された第3世代構造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が直接形成された第4世代構造とに大別されている。
【0004】
こうした車輪用軸受装置において、従来は両列の軸受が同一仕様のため、静止時には充分な剛性を有するが、車両の旋回時には必ずしも最適な剛性が得られていない。すなわち、静止時の車重は複列の転がり軸受の略中央に作用するように車輪との位置関係が決められているが、旋回時には、旋回方向の反対側(右旋回の場合は車両の左側)の車軸に、より大きなラジアル荷重やアキシアル荷重が負荷される。したがって、旋回時には、インナー側の軸受列よりもアウター側の軸受列の剛性を高めることが有効とされている。そこで、装置を大型化させることなく高剛性化を図った車輪用軸受装置として、図7に示すものが知られている。
【0005】
この車輪用軸受装置50は、外周にナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ51cを一体に有し、内周に複列の外側転走面51a、51bが形成された外方部材51と、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ53を一体に有し、外周に複列の外側転走面51a、51bに対向する一方の内側転走面52aと、この内側転走面52aから軸方向に延びる小径段部52bが形成されたハブ輪52、およびこのハブ輪52の小径段部52bに外嵌され、複列の外側転走面51a、51bに対向する他方の内側転走面54aが形成された内輪54からなる内方部材55と、これら両転走面間に収容された複列のボール56、57と、これら複列のボール56、57を転動自在に保持する保持器58、59とを備えた複列アンギュラ玉軸受で構成されている。
【0006】
内輪54は、ハブ輪52の小径段部52bを径方向外方に塑性変形させて形成した加締部52cによって軸方向に固定されている。そして、外方部材51と内方部材55との間に形成される環状空間の開口部にシール60、61が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
【0007】
ここで、アウター側のボール56のピッチ円直径D1が、インナー側のボール57のピッチ円直径D2よりも大径に設定されている。これに伴い、ハブ輪52の内側転走面52aが内輪54の内側転走面54aよりも拡径され、あわせて外方部材51のアウター側の外側転走面51aがインナー側の外側転走面51bよりも拡径されている。そして、アウター側のボール56がインナー側のボール57よりも多数収容されている。このように、各ピッチ円直径D1、D2をD1>D2に設定することにより、車両の静止時だけでなく旋回時においても剛性が向上し、車輪用軸受装置50の長寿命化を図ることができる。」
(1b)
「【0022】
内輪5は、外周に他方(インナー側)の内側転走面5aが形成され、ハブ輪4の小径段部4bに圧入されると共に、この小径段部4bの端部を塑性変形させて形成した加締部8によって軸方向に固定されている。」
(1c)
図7は、以下のとおりである。

(2)引用文献1に記載された発明

摘記(1a)の段落【0005】の「複列の外側転走面51a、51b」は、「複列の外側転走面51a、外側転走面51b」として、「複列のボール56、57」は、「複列のボール56、ボール57」として、それぞれ特定できる。
このことと、図7(摘記(c)参照)から、摘記(1a)の段落【0005】の「複列の外側転走面51a、51bに対向する一方の内側転走面52a」及び「複列の外側転走面51a、51bに対向する他方の内側転走面54a」は、それぞれ、「外側転走面51aに対向する一方の内側転走面52a」及び「外側転走面51bに対向する他方の内側転走面54a」として特定できる。

「車輪用軸受装置」の「外方部材」が円筒状であることは、技術常識であること、及び、図7を参照すると、「車輪用軸受装置50」の「外方部材51」は、車輪取付フランジ53側に向けて内方が開口し、外側転走面51a、外側転走面51bが形成されている部分よりも薄肉となっている、外周面を備える円筒状の開口端部を有しているものと、認められる。

上記ア、イ及び摘記(1a)、図7(摘記(1c)参照)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「外周に懸架装置を構成するナックルに取り付けられるための車体取付フランジ51cを一体に有し、内周に複列の外側転走面51a、外側転走面51bが形成された外方部材51と、
一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジ53を一体に有し、外周に外側転走面51aに対向する一方の内側転走面52aと、この内側転走面52aから軸方向に延びる小径段部52bが形成されたハブ輪52、およびこのハブ輪52の小径段部52bに外嵌され、外側転走面51bに対向する他方の内側転走面54aが形成された内輪54からなる内方部材55と、これら両転走面間に収容された複列のボール56、ボール57と、これら複列のボール56、ボール57を転動自在に保持する保持器58、保持器59とを備えた、車輪用軸受装置50であって、
アウター側のボール56のピッチ円直径D1が、インナー側のボール57のピッチ円直径D2よりも大径に設定され、
外方部材51は、車輪取付フランジ53側に向けて内方が開口し、外側転走面51a、外側転走面51bが形成されている部分よりも薄肉となっている、外周面を備える円筒状の開口端部を有している、
車輪用軸受装置50。」

(2)引用文献2について
引用文献2には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(2a)
「【請求項1】 全体を円筒状に造られ、一部外周面にフランジ部を、内周面に複列の外輪軌道を、それぞれ有し、外周面が、このフランジ部から離れるに従って外径が小さくなる方向に傾斜したテーパ面である外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有する内輪組立体と、上記各外輪軌道と上記各内輪軌道との間に、それぞれ複数個ずつ転動自在に設けた転動体とを備えた複列転がり軸受ユニットに於いて、上記外輪の端部で上記テーパ面の小径側部分に円筒面部を、この端部寄りに設けた外輪軌道のうちの端寄り部分の周囲に位置する部分にまで形成しており、この円筒面部に円筒状の抑えリングを、少なくともこの抑えリングの一部が上記端部寄りに設けた外輪軌道のうちの端寄り部分の周囲に位置する状態で、締り嵌めにより外嵌している事を特徴とする複列転がり軸受ユニット。
・・・
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係る複列転がり軸受ユニットは、例えば自動車の車輪を、懸架装置に対して回転自在に支持する場合に利用する。
・・・
【0007】この為、上記複列円すいころ軸受ユニット3等の複列転がり軸受ユニットの軽量化を図るべく、上記外輪6の肉厚を小さくすると、この外輪6の他端部の肉厚が相当に小さくなってしまう。この他端部には、車軸1とホイール2との間に加わるラジアル荷重が、複数個の円すいころ8、8を介して加わる為、肉厚が小さ過ぎた場合には、上記他端部の弾性変形量が無視できない程度に大きくなる可能性がある。そして、この弾性変形量が大きくなった場合には、長期間に亙る使用に伴って、上記他端部に亀裂等の損傷が発生したり、或は、この他端部の内径側に設けたシールリング16によるシール性が悪化したりする可能性がある。
・・・
【0012】特に、請求項1に記載した複列転がり軸受ユニットに於いては、上記外輪の端部で上記テーパ面の小径側部分に円筒面部を、この端部寄りに設けた外輪軌道のうちの端寄り部分の周囲に位置する部分にまで形成している。そして、この円筒面部に円筒状の抑えリングを、少なくともこの抑えリングの一部が上記端部寄りに設けた外輪軌道のうちの端寄り部分の周囲に位置する状態で、締り嵌めにより外嵌している。
・・・
【0015】
【作用】上述の様に構成する本発明の複列転がり軸受ユニットの場合には、外輪の肉厚を小さくしても、この外輪の端部の強度を十分に確保できる。この為、軽量化と耐久性の確保とを両立できる構造を実現できる。」
(2b)
「【0016】
【発明の実施の形態】図1?2は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本発明の複列転がり軸受ユニットの実施の形態の1例である、複列円すいころ軸受ユニット3aは、前述した従来の複列円すいころ軸受ユニットと同様に、互いに同心に配置された外輪6及び内輪組立体7と、それぞれが転動体である複数個の円すいころ8、8とから成る。このうちの外輪6は、軸受鋼の如き炭素鋼等の金属製の素材に鍛造加工を施す事により全体を円筒状に造られ、一端部(図1の左端部)外周面にフランジ部9を、内周面に複列の外輪軌道10、10を、それぞれ有する。これら各外輪軌道10、10は、それぞれが円すい凹面状で、上記外輪6の軸方向端部に向かう程内径が大きくなる方向に傾斜している。言い換えれば、上記外輪6の軸方向中間部の断面形状を山形としている。又、この外輪6の外周面18は、上記フランジ部9から離れるに従って外径が小さくなる方向に傾斜したテーパ面として、上記外輪6を鍛造加工する際に、型からの抜き取りを容易に行なえる様にしている。
【0017】又、上記内輪組立体7は、1対の内輪素子11、11の軸方向端面同士を突き合わせる事により、全体を円筒状に構成している。これら各内輪素子11、11の外周面には、それぞれが円すい凸面状の内輪軌道12を形成している。上記内輪組立体7は、この様な1対の内輪素子11、11を、これら各内輪素子11、11の内輪軌道12の小径側端面同士を突き合わせた状態で組み合わせている。従って、上記内輪組立体7の外周面には、それぞれが軸方向端部に向かう程外径が大きくなる方向に傾斜した、複列の内輪軌道12、12が存在する。尚、図示の例では、上記1対の内輪素子11、11の軸方向端面同士を突き合わせた状態で、これら両内輪素子11、11同士の間に結合リング19を掛け渡し、これら両内輪素子11、11同士が不用意に分離しない様にしている。
【0018】又、前記各円すいころ8、8は、上記各外輪軌道10、10と上記各内輪軌道12、12との間に、それぞれ複数個ずつ、保持器13、13により保持した状態で転動自在に設けている。更に、上記外輪6の両端部内周面と、上記各内輪素子11、11の大径側端部に設けた肩部の外周面との間には、それぞれシールリング20a、20bを設けている。図示の例では、一端側のシールリング20aに単体のものを使用し、他端側のシールリング20bに組み合わせシールリングを使用している。以上の構成に就いては、従来から一般的に実施されている複列円すいころ軸受ユニットと同様である。
【0019】特に、本発明の複列円すいころ軸受ユニット3aに於いては、前記外輪6の他端部に円筒面部21を、この外輪6を鍛造により加工した後、旋盤等を使用した機械加工等により、上記外輪6と同心に形成している。上記円筒面部21は、この外輪6の他端部寄り(図1の右寄り)に設けた外輪軌道10のうちの他端寄り部分の周囲に位置する部分にまで形成している。即ち、この外輪軌道10の他端寄り部分の周囲に、上記円筒面部21の基端部(図1の左端部)、更に好ましくは基端側半部(図1の左半部)が存在する様にしている。
【0020】尚、上記円筒面部21の外径D_(21)は、この円筒面部21の基端部から先端部(図1の右端部)に至るまで、軸方向に亙り変化しない様にできる範囲で、極力大きくする。即ち、前述した様に上記外輪6の外周面18は、一端から他端に向かう程外径が小さくなるテーパ面としている。従って、上記円筒面部21を形成する為には、上記外輪6の他端部を、図2に鎖線で示す状態から実線に示す状態にまで削り取る必要がある。この削り取りの際、削り取り以前に於ける上記外輪6の他端縁部の外径D_(6)に比べて上記円筒面部21の外径D_(21)があまり小さくならない様にする。
【0021】そして、上述の様な円筒面部21に、円筒状の抑えリング22を外嵌する。この抑えリング22は、焼嵌め或は圧入等により上記円筒面部21に、締り嵌めにより外嵌している。そして、この円筒面部21に外嵌した状態で、少なくとも上記抑えリング22の一部が、上記他端部寄りに設けた外輪軌道10のうちの他端寄り部分の周囲に位置する様にしている。即ち、この外輪軌道10の他端寄り部分の周囲に、上記抑えリング22の一部、更に好ましくは片半部(図1の左半部)が存在する様にしている。尚、上記抑えリング22の材質は、膨張率、ヤング率等の性状が、上記外輪6を構成する素材と同じか若しくは近いものを使用する。従って、例えばこの外輪6を炭素鋼製とした場合には、上記抑えリング22も、炭素鋼により造る事が好ましい。
【0022】上述の様に構成する本発明の複列円すいころ軸受ユニット3aの場合には、上記外輪6の肉厚を小さくしても、この外輪6の他端部の強度を十分に確保できる。この為、軽量化と耐久性の確保とを両立できる構造を実現できる。即ち、使用時に加わるラジアル荷重に基づいて弾性変形し易い上記外輪6の他端部が、上記抑えリング22により補強されているので、この他端部の弾性変形量を、無視できる程度に抑える事ができる。この為、この他端部に亀裂等の損傷が発生する事を防止すると共に、前記シールリング20bの嵌合部に隙間が発生する事を防止して、このシールリング20bによるシール性能が劣化する事を防止できる。これらにより、上記複列円すいころ軸受ユニット3aの耐久性を確保できる。
【0023】しかも、本発明の複列円すいころ軸受ユニット3aの場合には、外輪軌道10の他端寄り部分の周囲に、上記抑えリング22の一部、更に好ましくは片半部が存在する。この為、前記各円すいころ8、8から外輪6の他端寄り部分に加わるラジアル荷重に基づき、この他端寄り部分に剪断方向の力が加わる事を防止できる。この結果、やはり上記外輪6に亀裂等の損傷が発生する事を有効に防止できる。」
(2c)
「【0032】次に、図11は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第10例を示している。本例の場合には、フランジ部9aを外輪6bの中間部外周面に形成すると共に、内輪組立体7aとして、ハブ28と内輪29とを組み合わせたものを使用している。そして、このハブ28の外端部(車両への組み付け状態で幅方向外側となる端部を言い、図11の左端部)で、上記外輪6bの外端開口から突出した部分に、車輪を支持固定する為のフランジ部30を設けている。
この様な構造の場合、上記外輪6bの外端部に大きなラジアル荷重が加わる。そこで、本例の場合には、この外輪6bの外端部に円筒面部21を形成し、この円筒面部21に抑えリング22を、締り嵌めにより外嵌固定している。又、各円すいころ8、8を保持する為の保持器13a、13aとして、合成樹脂製のものを使用している。その他の構成及び作用は、上述した各例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。」
(2d)
図11は、以下のとおりである。

(3)引用文献3について
引用文献3には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(3a)
「【0014】
この実施例では、更に、図1で見て、右側に配列されるボール16とフランジ22の間の位置で、外輪部材12の内筒面とハブ軸部材20の外周面との間にシール部材28が配設されている。これにより隙間Wを通過して浸入してきた水のボール16の軌道面への浸入を防止している。シール部材28は外輪部材12の内筒面に嵌合により一体的状態として取付けられており、ハブ軸部材20の外周面と摺動接触状態で配設されることによりシールを図るようになっている。
【0015】
更に、この実施例では、外輪部材12の上部外面に付着した水が傾斜形状を流下して隙間Wに流下していくのを阻止するために、外輪部材12の外形面の右端部に環状部材32が嵌合して取付けられている。環状部材32は圧入嵌合により外輪部材12と一体的とされている。この環状部材32の外輪部材に対する固定は、接着や溶接等によって行っても良い。いずれの場合でも、環状部材32の嵌合状態では嵌合部を水が通らないように嵌合することが必要である。なお、環状部材32の外輪部材12への嵌合取付けは、ハブ軸部材20を組付ける前に行う。
環状部材32の取付けにより外輪部材12の右端部は外方に突起した段差形状に形成されることになる。この段差形状により外輪部材12の傾斜形状を流下してきた水の流下を阻止する。この段差形状により阻止された水は、段差形状の外周部を伝って下方に流下して、最下端位置でY矢印方向で示すように落下していく。これにより傾斜形状を流下していく水のシール部材への浸入を阻止することができる。この環状部材32の段差形状による水の流下阻止作用は、車輪の回転の有無にかかわらず行われるので、車輪静止時に限らず、車輪回転時における水のシール部材28への流下もより一層確実に防止することができるものである。
なお、上述したこの実施例の場合、環状部材32を単に嵌合するものであるので、外輪部材12の所期の剛性を低下させることは無く、かえって剛性の向上を図ることも可能である。」
(3b)
図1は、以下のとおりである。


第5 対比・判断
1 本願発明について
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「外周に懸架装置を構成するナックルに取り付けられるための車体取付フランジ51c」、「複列の外側転走面51a、外側転走面51b」及び「外方部材51」は、それぞれ、本願発明の「外周に懸架装置に取り付けるための車体取り付けフランジ」、「複列の外側転走面」及び「外方部材」に相当する。
したがって、引用発明の「外周に懸架装置を構成するナックルに取り付けられるための車体取付フランジ51cを一体に有し、内周に複列の外側転走面51a、外側転走面51bが形成された外方部材51」は、本願発明の「外周に懸架装置に取り付けるための車体取り付けフランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材」に相当する。

(ア)
引用発明の「車輪を取り付けるための車輪取付フランジ53」は、本願発明の「車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ」に相当する。
引用発明の「外周に外側転走面51aに対向する一方の内側転走面52aと、この内側転走面52aから軸方向に延びる小径段部52bが形成されたハブ輪52」は、本願発明の「軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪」に相当する。
引用発明の「ハブ輪52の小径段部52bに外嵌され、外側転走面51bに対向する他方の内側転走面54aが形成された内輪54」と、本願発明の「ハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪」とは、「ハブ輪の小径段部に取り付けられた少なくとも一つの内輪」において、共通している。
(イ)
引用発明の「複列の外側転走面51a、外側転走面51b」は、本願発明の「複列の外側転走面」に相当するから(上記ア)、引用発明の「ハブ輪52」に「形成された」「外側転走面51aに対向する一方の内側転走面52a」及び「内輪54」に「形成された」「外側転走面51bに対向する他方の内側転走面54a」は、いずれも、本願発明の「複列の外側転走面に対向する」「内側転走面」に相当し、引用発明のこれら両者は、本願発明の「複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面」に相当する。
そして、引用発明の「内方部材55」が、「ハブ輪52、および」「内輪54からなる」「内方部材55」であることを踏まえると、引用発明の「ハブ輪52」に「形成された」「外側転走面51aに対向する一方の内側転走面52a」及び「内輪54」に「形成された」「外側転走面51bに対向する他方の内側転走面54a」は、「内方部材55」に形成されていることが、明らかである。
したがって、引用発明の「外周に外側転走面51aに対向する一方の内側転走面52a」「が形成されたハブ輪52、および」「外側転走面51bに対向する他方の内側転走面54aが形成された内輪54からなる」「内方部材55」は、本願発明の「外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材」に相当する。
(ウ)
上記(ア)及び(イ)から、引用発明の「一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジ53を一体に有し、外周に外側転走面51aに対向する一方の内側転走面52aと、この内側転走面52aから軸方向に延びる小径段部52bが形成されたハブ輪52、およびこのハブ輪52の小径段部52bに外嵌され、外側転走面51bに対向する他方の内側転走面54aが形成された内輪54からなる内方部材55」と、本願発明の「一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材」とは、「一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に取り付けられた少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材」において、共通している。

(ア)
引用発明の「これら両転走面間に収容された複列のボール56、ボール57と、これら複列のボール56、ボール57を転動自在に保持する保持器58、保持器59」の構成における「これら両転走面間」は、上記ア及びイの各「転走面」に係る構成を踏まえると、本願発明の「内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間」に相当する。
(イ)
引用発明の「これら両転走面間に収容された複列のボール56、ボール57と、これら複列のボール56、ボール57を転動自在に保持する保持器58、保持器59」の構成における「複列のボール56、ボール57」は、「これら両転走面間」(内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間、上記(ア))「に収容され」、「保持器58、保持器59」により、「転動自在に保持」されているから、内方部材と外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容されているといえる。
(ウ)
したがって、引用発明の「これら両転走面間に収容された複列のボール56、ボール57と、これら複列のボール56、ボール57を転動自在に保持する保持器58、保持器59」の構成における「複列のボール56、ボール57」は、本願発明の「この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体」に相当し、また、本願発明の「前記複列の転動体は、複列のボール列からな」る構成の「複列のボール列」にも相当する。

引用発明の「車輪用軸受装置50」は、本願発明の「車輪用軸受装置」に相当する。

(ア)
引用発明は、「アウター側のボール56のピッチ円直径D1が、インナー側のボール57のピッチ円直径D2よりも大径に設定され」ているから、それら「アウター側のボール56」及び「インナー側のボール57」に、それぞれ対応する、「外方部材51」の「内周に」「形成された」「複列の」「外側転走面51a、外側転走面51b」に関しても、アウター側の外側転走面が、インナー側の外側転走面よりも、ピッチ円直径が大きくなるように形成されていることが、明らかである。
(イ)
そして、「アウター側」に「車輪」が位置し、「インナー側」に「車体」が位置することは、技術常識であるから、引用発明の「アウター側」及び「インナー側」は、それぞれ、本願発明の「車輪取り付けフランジ側」及び「車体取り付けフランジ側」に相当する。
(ウ)
したがって、引用発明の「アウター側のボール56のピッチ円直径D1が、インナー側のボール57のピッチ円直径D2よりも大径に設定され」ている構成は、本願発明の「車輪取り付けフランジ側の外側転走面は、車体取り付けフランジ側の外側転走面よりもピッチ円直径が大きくなるように形成され」た構成に相当する。

以上から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「外周に懸架装置に取り付けるための車体取り付けフランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に取り付けられた少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置において、
前記複列の転動体は、複列のボール列からなり、
車輪取り付けフランジ側の外側転走面は、車体取り付けフランジ側の外側転走面よりもピッチ円直径が大きくなるように形成された、
車輪用軸受装置。」
<相違点1>
小径段部に「取り付けられた」内輪が、本願発明は、小径段部に「圧入された」内輪であるのに対して、引用発明は、小径段部52bに「外嵌され」た内輪54である点。
<相違点2>
本願発明は、「車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分のうち少なくとも一部に、所定の幅で径方向に突出し、且つ前記外方部材開口部の外周部分の全周に亘って設けられる帯状部を有し、前記帯状部は、前記外方部材を形成する部材によって当該外方部材と一体不可分に形成される」のに対して、引用発明は、「外方部材51は、車輪取付フランジ53側に向けて内方が開口し、外側転走面51a、外側転走面51bが形成されている部分よりも薄肉となっている、外周面を備える円筒状の開口端部を有している」点。

(2)判断
相違点について、以下、検討する。
ア 相違点1について
(ア)
引用発明の「内側転走面54aが形成された内輪54」は、周方向に回動しないように「小径段部52bに外嵌され」ていることが明らかであり、回動防止の構成が特に特定されているものではないから、この「外嵌され」た態様は、「内輪54」が回動しないように、実質的に圧入された態様となっているといえる。
したがって、相違点1は、実質的な相違点とはいえない。
(イ)
仮に、相違点1が実質的な相違点であったとしても、摘記(1b)の「内輪5は、外周に他方(インナー側)の内側転走面5aが形成され、ハブ輪4の小径段部4bに圧入される」という技術を参照して、引用発明の「外嵌され」た態様を「圧入され」た態様にすることで、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。

イ 相違点2について
(ア)
本願明細書の段落【0026】の「図3に示すように、・・・帯状部2fは、外方部材2の他側端から所定の帯幅w1で径方向に所定の突出量pだけ突出した帯状に形成されている。帯状部2fは、外方部材2の外周面の他側端部に全周にわたって形成されている(図1および図2の薄墨部分参照)。」という記載によれば、図3の「帯状部2f」は、「外方部材2の他側端から」「突出し」、「外方部材2の外周面の他側端部に全周にわたって形成されている」から、「帯状部2f」は、「外方部材2」と別の部材ではなく、同じ部材であって、「外方部材2」の一部分となっていることが、明らかである。
このことを踏まえると、本願発明の「前記帯状部は、前記外方部材を形成する部材によって当該外方部材と一体不可分に形成される」構成は、帯状部が外方部材の一部分となっていることを意味し、形成後の物が一体となっていれば足るものではなく、図2、3に示す第一実施形態(明細書の段落【0026】参照)が該当し、図4、5に示す第二実施形態の別の部材である「帯状部としての環状部材10」(同段落【0030】参照)は、該当しないことが明らかである。
このことを前提として、以下、検討する。
(イ)
引用文献2(摘記(2a)?(2d))には、図11の発明の実施形態に着目すると、外輪6bの外端部に大きなラジアル荷重が加わり弾性変形が大きくなった場合の、外輪端部の損傷等を防止することを課題とし、その課題を解決するために、肉厚の小さい外輪6bの外端部に円筒面部21を形成し、この円筒面部21に抑えリング22を締り嵌めにより外嵌し、嵌合して補強することで、外輪の外端部の強度を確保する、補強技術が記載されているといえる。
同様の箇所に、同様のリングである環状部材32を嵌合し、剛性の向上を図る補強技術は、引用文献3(摘記(3a)及び(3b))にも記載されている(以下、これらの補強技術を、それぞれ、「引用文献2に記載された技術事項」、「引用文献3に記載された技術事項」ともいう。)
そして、引用文献2に記載された技術事項の「抑えリング22」、及び、引用文献3に記載された技術事項の「環状部材32」は、いずれも、本願発明の「帯状部」と、補強のための構造をなす点で共通したものということもできる。
また、引用文献2に記載された技術事項の「肉厚の小さい外輪6bの外端部に」「形成」された「円筒面部21」は、本願発明の「車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分」に相当するし、引用文献3に記載された技術事項も同様の構成を備えていることが、明らかである。
(ウ)
一方、引用発明の「外方部材51」が「有している」「車輪取付フランジ53側に向けて内方が開口し、外側転走面51a、外側転走面51bが形成されている部分よりも薄肉となっている、外周面を備える円筒状の開口端部」及び当該「円筒状の開口端部」の「外周面」は、それぞれ、本願発明の「車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部」及び「車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分」に相当する。
そして、引用発明は、より大きなラジアル荷重が負荷されることに対応することを課題とし、車輪用軸受のアウター側の剛性を高める構造を採用したものであって(摘記(1a)の段落【0004】)、上記(イ)の補強技術と、ラジアル荷重に対応できるように車輪用軸受の外側を補強するという課題が共通するから、引用発明に、上記(イ)の補強技術を適用する動機付けは、充分にあるといえる。
(エ)
したがって、引用発明に引用文献2ないし3に記載された技術事項を適用することで、引用発明の「外方部材51」が「有している」「車輪取付フランジ53側に向けて内方が開口し、外側転走面51a、外側転走面51bが形成されている部分よりも薄肉となっている、外周面を備える円筒状の開口端部」の「外周面」(車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分)に、抑えリングや環状部材を嵌合して補強することは、当業者が容易になし得たといえる。
(オ)
しかしながら、上記相違点2に係る本願発明の構成は、「前記帯状部は、前記外方部材を形成する部材によって当該外方部材と一体不可分に形成される」という構成を備えており、当該構成は、上記(ア)で述べたとおり理解でき、また、「車輪用軸受装置」の技術分野において、「車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分のうち少なくとも一部」であって、「且つ前記外方部材開口部の外周部分の全周」という特有の部分において、帯状部が、外方部材を形成する部材によって当該外方部材と一体不可分に形成されるという構成は、周知技術ではなく、上記のいずれの引用文献にも記載も示唆もされていない。
そうすると、引用発明に引用文献2ないし3に記載された技術事項を適用しても、上記相違点2に係る本願発明の構成(第一実施形態の構成)に至るものではない。

ウ 本願発明についてのまとめ
上記イのとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献2ないし3に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 小括
上記1(2)のとおりであるから、当審拒絶理由は解消した。

第6 原査定について
1 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
この出願の以下の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
[刊行物等]
1.特開2000-130444号公報(引用文献2と同じ)
2.特開2008-155837号公報
3.特開2005-17251号公報
以下それぞれ「引用文献AないしC」という。

請求項と引用文献の関係は、以下のとおりである。
・請求項1、2:引用文献A、B
・請求項3、4:引用文献A、B、C

2 引用文献、引用発明等
(1)引用文献Aについて
ア 引用文献Aに記載された事項
引用文献Aは、引用文献2であるから、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、摘記(2a)?(2d)の事項が記載されている。

イ 引用文献Aに記載された発明
請求項1及び図11の実施例に着目すると、以下のことがいえる。
(ア)
摘記(2c)の「図11は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第10例を示している。・・・その他の構成及び作用は、上述した各例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。」という記載を参照すると、図11の実施例に対応する請求項1の「転動体」は、「転動体である」「円すいころ8、8」(摘記(2a)の段落【0016】参照)として特定できる。
(イ)
図11の実施例は、「内輪組立体7aとして、ハブ28と内輪29とを組み合わせたものを使用している。」(摘記(2c)参照)から、図11の実施例に対応する請求項1の「内輪組立体」は、「ハブ28と内輪29とを組み合わせた」「内輪組立体7a」として特定でき、この「ハブ28と内輪29とを組み合わせた」「内輪組立体7a」は、図11から、外周に軸方向に延びる小径段部が形成された「ハブ28と内輪29とを」、上記小径段部に内輪29を装着して「組み合わせた」「内輪組立体7a」であることが、明らかである。
また、上記の「ハブ28」は、「外端部で、」「外輪6bの外端開口から突出した部分に、車輪を支持固定する為のフランジ部30を設けている」、「ハブ28」(摘記(2c)参照)として特定できる。
そして、この「車輪を支持固定する為のフランジ部30」、摘記(2a)の段落【0001】の「この発明に係る複列転がり軸受ユニットは、例えば自動車の車輪を、懸架装置に対して回転自在に支持する場合に利用する。」という記載、及び、図11の「フランジ部30」と「フランジ部9a」の位置関係から、図11の実施例に対応する請求項1の「外輪」が「有し」ている「フランジ部」は、懸架装置に取り付けるための車体取り付け「フランジ部9a」であることが、明らかである。
(ウ)
摘記(2c)の「この外輪6bの外端部に円筒面部21を形成し、この円筒面部21に抑えリング22を、締り嵌めにより外嵌固定している。」という記載及び図11から、図11の実施例に対応する請求項1の「上記外輪の端部で上記テーパ面の小径側部分に円筒面部を、この端部寄りに設けた外輪軌道のうちの端寄り部分の周囲に位置する部分にまで形成しており、この円筒面部に円筒状の抑えリングを、少なくともこの抑えリングの一部が上記端部寄りに設けた外輪軌道のうちの端寄り部分の周囲に位置する状態で、締り嵌めにより外嵌している」構成の「端部」及び「端寄り」は、それぞれ、「外端部」及び「外端寄り」であることが、明らかである。
(エ)
上記(ア)?(ウ)及び摘記(2a)?(2c)、図11(摘記(2d)参照)から、引用文献Aには、次の発明(以下「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明A]
「全体を円筒状に造られ、一部外周面に懸架装置に取り付けるための車体取り付けフランジ部9aを、内周面に複列の外輪軌道10、10を、それぞれ有し、外周面が、このフランジ部9aから離れるに従って外径が小さくなる方向に傾斜したテーパ面である外輪6bと、
外端部で、外輪6bの外端開口から突出した部分に、車輪を支持固定する為のフランジ部30を設けている、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ28と内輪29とを、上記小径段部に内輪29を装着して組み合わせた、外周面に複列の内輪軌道12、12を有する内輪組立体7aと、
上記各外輪軌道10、10と上記各内輪軌道12、12との間に、それぞれ複数個ずつ転動自在に設けた転動体である円すいころ8、8とを備えた複列転がり軸受ユニット3aに於いて、
上記外輪6bの外端部で上記テーパ面の小径側部分に円筒面部21を、この外端部寄りに設けた外輪軌道10のうちの外端寄り部分の周囲に位置する部分にまで形成しており、この円筒面部21に円筒状の抑えリング22を、少なくともこの抑えリング22の一部が上記外端部寄りに設けた外輪軌道10のうちの外端寄り部分の周囲に位置する状態で、締り嵌めにより外嵌している、複列転がり軸受ユニット3a。」

(2)引用文献Bについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Bには、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(Ba)
「【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
外周の複数箇所に突出した車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列のボール列とを備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって前記内輪が軸方向に固定された車輪用軸受装置において、前記複列のボール列のうちアウター側のボール列のピッチ円直径がインナー側のボール列のピッチ円直径よりも大径に設定され、前記アウター側のボール列のボール径がインナー側のボール列のボール径よりも小径に設定され、かつアウター側のボール列のボール数がインナー側のボール列のボール数よりも多く設定されると共に、前記車体取付フランジ間の外周に円周溝と、この円周溝に連通し、車体取付フランジのアウター側の根元部に滑らかな円弧状の環状溝が所定の深さで形成されている。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の側面図、図3は、図1の要部拡大図である。
【0018】
この車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と呼称され、内方部材1と外方部材2、および両部材1、2間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)3a、3b列とを備えている。内方部材1は、ハブ輪4と、このハブ輪4に所定のシメシロを介して圧入された内輪5とからなる。」

(3)引用文献Cについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Cには、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(Ca)
「【0007】
この発明において、皮膜接触体が、絶縁軸受の外輪を内周に嵌合させかつ上記外輪の片方の幅面に接触する鍔部を有する2つ割りのリング状の治具本体と、この治具本体に着脱可能に取付けられ上記外輪のもう片方の幅面に接触する蓋部材とでなるものとしても良い。この構成の場合、治具本体が皮膜接触体で構成されるため、別体の治具本体に皮膜接触体を取付けるものに比べて構成が簡単である。この構成の場合も、外輪の外径面から幅面にわたる絶縁皮膜の略全体に皮膜接触体を接触させることができて、精度の高い測定が行える。また、治具本体が2つ割りのリング状であるため、治具への絶縁軸受の出し入れが容易である。2つ割りの両側の治具本体を相互に締め付けるときに、上記と同様に絶縁皮膜表面と治具本体の内面との間で微小滑りを生じるが、この微小滑りに対し、治具本体となる皮膜接触体が導電性高分子であることで、その弾性によって追随できる。そのため、治具および絶縁皮膜が共に摩耗を生じることなく、絶縁抵抗値を測定することができる。
・・・
【0014】
治具本体2は、正面形状がC字状の2つの金属製の分割本体2A,2Bからなる。各分割本体2A,2Bの両端には、両分割本体2A,2Bを互いにボルト締めしてリング状に連結するための取付片2bがそれぞれ外径側に突出して設けられている。一方の分割本体2Aの両取付片2bにはボルト挿通孔7が設けられ、他方の分割本体2Bの両取付片2bには上記ボルト挿通孔7に整合するねじ孔8がそれぞれ設けられている。両分割本体2A,2Bは、ボルト挿通孔7に挿通させたボルト10を、対応するねじ孔8に螺合させることによりボルト締めされ、リング状の治具本体2とされる。治具本体2の鍔部2aを有する側面とは反対側の側面の周方向の複数箇所には、上記蓋部材3をボルト締めするためのねじ孔9が設けられる。この側面にボルト締めされる蓋部材3には、上記ねじ孔9に整合する複数のボルト挿通孔(図示せず)が設けられている。これらのボルト挿通孔に挿通させたボルト11を対応する各ねじ孔9に螺合させることにより、図1(A)のように治具本体2の鍔部2a側とは反対側の側面に蓋部材3がボルト締めされる。なお、図1(A)は、図1(B)におけるI-I矢視断面図に相当する断面図である。
【0015】
治具本体2を構成する両分割本体2A,2Bをボルト締めして、これら両分割本体2A,2Bの合わせ面12,13(図1(B))が全面接触した状態で、皮膜接触体4の内径寸法D1は、この絶縁抵抗測定治具1に組み込まれる絶縁軸受30の外輪絶縁皮膜32aの外径寸法より僅かに小さくなるように加工されている。また、治具本体2と蓋部材3の合わせ面14,15(図1(A))が全面接触した状態で、治具本体2側の皮膜接触体4の鍔部2aの内面の部分4aと、蓋部材3側の皮膜接触体5の間の寸法Wは、この絶縁抵抗測定治具1に組み込まれる絶縁軸受30の幅寸法より僅かに小さくなるように加工されている。このように加工されることにより、両分割本体2A,2Bをボルト締めして治具本体2を構成し、さらに治具本体2に蓋部材3をボルト締めして絶縁抵抗測定治具1内に絶縁軸受1を組み込むことで、皮膜接触体4,5と外輪32の絶縁皮膜32aとが所定の締め代をもって接触する。」

3 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明Aとを対比する。

(ア)
引用発明Aの「懸架装置に取り付けるための車体取り付けフランジ部9a」「複列の外輪軌道10、10」及び「外輪6b」は、それぞれ、本願発明の「外周に懸架装置に取り付けるための車体取り付けフランジ」、「複列の外側転走面」及び「外方部材」に相当する。
(イ)
したがって、引用発明Aの「全体を円筒状に造られ、一部外周面に懸架装置に取り付けるための車体取り付けフランジ部9aを、内周面に複列の外輪軌道10、10を、それぞれ有し、外周面が、このフランジ部9aから離れるに従って外径が小さくなる方向に傾斜したテーパ面である外輪6b」は、本願発明の「外周に懸架装置に取り付けるための車体取り付けフランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材」に相当する。

(ア)
引用発明Aの「車輪を支持固定する為のフランジ部30」、「外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ28」、「内輪29」及び「内輪組立体7a」は、それぞれ、本願発明の「車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ」、「外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪」、「少なくとも一つの内輪」及び「内方部材」に相当する。
(イ)
また、引用発明Aの「上記各外輪軌道10、10と上記各内輪軌道12、12との間に、それぞれ複数個ずつ転動自在に設けた転動体である円すいころ8、8」という構成から、「複列の内輪軌道12、12」が、「複列の外輪軌道10、10」(複列の外側転走面)に対向することが、明らかであり、引用発明Aの「複列の内輪軌道12、12」は、本願発明の「前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面」に相当する。
(ウ)
そして、引用発明Aの「装着して組み合わせた」ことと、本願発明の「圧入された」こととが、取り付けられたことにおいて共通することを踏まえると、引用発明Aの「外端部で、外輪6bの外端開口から突出した部分に、車輪を支持固定する為のフランジ部30を設けている、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ28と内輪29とを、上記小径段部に内輪29を装着して組み合わせた、外周面に複列の内輪軌道12、12を有する内輪組立体7a」と、本願発明の「一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材」とは、「一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に取り付けられた少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材」において共通している。

上記ア、イから、引用発明Aの「上記各外輪軌道10、10と上記各内輪軌道12、12との間に、それぞれ複数個ずつ転動自在に設けた転動体である円すいころ8、8」は、本願発明の「この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体」に相当する。
また、引用発明Aの「上記各外輪軌道10、10と上記各内輪軌道12、12との間に、それぞれ複数個ずつ転動自在に設けた転動体である円すいころ8、8」と、本願発明の「前記複列の転動体は、複列のボール列からな」ることとは、「前記複列の転動体は、複列の列からな」ることにおいて、共通している。

(ア)
引用発明Aの「ハブ28」の「外端部」は、「外輪6bの外端開口から突出した部分に、車輪を支持固定する為のフランジ部30を設けている」ことから、引用発明Aの「外輪の外端部」は、本願発明の「外方部材」の「車輪取り付けフランジ側」に相当し、引用発明Aの「外輪6bの外端開口外端開口」は、本願発明の「外方部材開口部」に相当する。
このことと、引用発明Aの「外輪6b」は、「外周面が、このフランジ部9aから離れるに従って外径が小さくなる方向に傾斜したテーパ面である外輪6b」であることを踏まえると、引用発明Aの「上記外輪の外端部で上記テーパ面の小径側部分」は、本願発明の「車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分」に相当する。
したがって、引用発明Aの「上記外輪6bの外端部で上記テーパ面の小径側部分に」、「この外端部寄りに設けた外輪軌道10のうちの外端寄り部分の周囲に位置する部分にまで形成して」いる「円筒面部21」は、本願発明の「車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分のうち少なくとも一部」に相当する。
(イ)
引用発明Aの「この円筒面部21に」、「少なくともこの抑えリング22の一部が上記外端部寄りに設けた外輪軌道10のうちの外端寄り部分の周囲に位置する状態で、締り嵌めにより外嵌している」「円筒状の抑えリング22」は、「リング」であり、「円筒面部21に」、「締り嵌めにより外嵌している」ことから(「円筒面部21」については、上記(ア)を参照)、外方部材開口部の外周部分の全周に亘って設けられ、「円筒面部21」から、所定の幅で径方向に突出しているといえる。
(ウ)
したがって、上記(ア)、(イ)を踏まえると、引用発明Aの「上記外輪6bの外端部で上記テーパ面の小径側部分に円筒面部21を、この外端部寄りに設けた外輪軌道10のうちの外端寄り部分の周囲に位置する部分にまで形成しており、この円筒面部21に円筒状の抑えリング22を、少なくともこの抑えリング22の一部が上記外端部寄りに設けた外輪軌道10のうちの外端寄り部分の周囲に位置する状態で、締り嵌めにより外嵌している」構成と、本願発明の「車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分のうち少なくとも一部に、所定の幅で径方向に突出し、且つ前記外方部材開口部の外周部分の全周に亘って設けられる帯状部」の構成とは、「車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分のうち少なくとも一部に、所定の幅で径方向に突出し、且つ前記外方部材開口部の外周部分の全周に亘って設けられる環状部分」の構成において共通している。

引用発明Aの「複列転がり軸受ユニット3a」は、本願発明の「車輪用軸受装置」に相当する。

以上から、本願発明と引用発明Aとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点A>
「外周に懸架装置に取り付けるための車体取り付けフランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に取り付けられた少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置において、
前記複列の転動体は、複列の列からなり、
車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周部分のうち少なくとも一部に、所定の幅で径方向に突出し、且つ前記外方部材開口部の外周部分の全周に亘って設けられる環状部分を有する、
車輪用軸受装置。」
<相違点A1>
小径段部に「取り付けられた」内輪が、本願発明は、小径段部に「圧入された」内輪であるのに対して、引用発明Aは、「外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ28と内輪29とを、上記小径段部に内輪29を装着して組み合わせた」点。
<相違点A2>
「前記複列の転動体」が、本願発明では、複列の「ボール」列からなるのに対して、引用発明Aでは、複列の「テーパ」列からなる点。
<相違点A3>
本願発明は、「車輪取り付けフランジ側の外側転走面は、車体取り付けフランジ側の外側転走面よりもピッチ円直径が大きくなるように形成され」てるのに対して、引用発明Aは、そのように特定されていない点。
<相違点A4>
「環状部分」に関して、本願発明は、環状部分が「帯状部」であり、前記帯状部は、前記外方部材を形成する部材によって当該外方部材と一体不可分に形成される」のに対して、引用発明Aは、環状部分が「抑えリング22」であり、「上記外輪6bの外端部で上記テーパ面の小径側部分に円筒面部21を、この外端部寄りに設けた外輪軌道10のうちの外端寄り部分の周囲に位置する部分にまで形成しており、この円筒面部21に円筒状の抑えリング22を、少なくともこの抑えリング22の一部が上記外端部寄りに設けた外輪軌道10のうちの外端寄り部分の周囲に位置する状態で、締り嵌めにより外嵌している」点。

(2)判断
事案に鑑み、最初に相違点A4について検討する。
ア 相違点A4について
(ア)
相違点A4に係る本願発明の構成は、上記相違点2に係る本願発明の構成が含む「前記帯状部は、前記外方部材を形成する部材によって当該外方部材と一体不可分に形成される」という構成と同じ構成である。
そして、この構成は、第5 1(2)イ(ア)で述べたとおり、帯状部が外方部材の一部分となっていることを意味しており、当該構成は、引用発明Aを認定したとおり、あるいは、第5 1(2)イ(イ)、(オ)で述べたとおり、引用文献A(引用文献2)には、記載も示唆もされていない。
また、引用文献B、C(摘記(Ba)及び(Ca)など参照)には、「帯状部」自体が存在しておらず、上記の構成は記載も示唆もされていない。
したがって、引用発明Aにおいて、「前記帯状部は、前記外方部材を形成する部材によって当該外方部材と一体不可分に形成される」ようにして、上記相違点A4に係る本願発明の構成に至ることは、当業者が容易になし得たとはいえない。

イ 本願発明についてのまとめ
上記アのとおりであるから、上記相違点A1、A2及びA3について判断するまでもなく、本願発明は、引用発明A及び引用文献BないしCに記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
なお、上記第3において、本願発明を認定したとおりであって、令和2年8月18日付けの手続補正により、請求項2?4は削除された。

(3)小括
上記(2)のとおりであるから、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-01-07 
出願番号 特願2015-158423(P2015-158423)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B60B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 武大  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 出口 昌哉
須賀 仁美
発明の名称 車輪用軸受装置  
代理人 矢野 寿一郎  

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