• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1370407
審判番号 不服2019-14669  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-01 
確定日 2021-02-03 
事件の表示 特願2016-240037「表示装置、表示方法、及び、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月 6日出願公開、特開2017- 68865、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年6月11日に出願した特願2015-117912号の一部を、平成28年12月12日に新たに特許出願したものであって、平成30年4月6日に手続補正がなされ、平成31年1月11日付けの拒絶理由の通知に対し、同年4月5日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、令和元年8月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年11月1日に拒絶査定不服の審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の理由の概要
原査定(令和元年8月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1-4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1-3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.国際公開第2014/097499号
2.特開2011-223163号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2010-245843号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願の請求項1-4に係る発明は、令和元年11月1日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願の請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
タッチパネルに対するユーザによる接触操作に基づいて、表示手段に表示されている画像を自動で他の画像に切替える切替え表示を行う表示装置であって、
前記タッチパネルに対するユーザの接触操作による接触位置の数が複数であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により接触位置の数が複数であると判別された時点で、前記自動切替え表示を一時停止した後、当該複数の接触位置のうちの何れかの接触位置における、接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作に基づいて、前記切替え表示を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は更に、前記接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作が、前記タッチパネルに設定された複数の領域のいずれの領域で行われたかに基づいて、前記切替え表示の内容が異なるように制御することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
当該表示装置が表示対象とする画像は所定の基準で配列された静止画像、或いは動画像であって、
前記制御手段は、前記複数の接触位置のうち前記一旦解除されてから接触状態に戻す接触操作が行われた領域が、前記所定の基準における方向或いは動画像の再生方向と一致するように、前記切替え表示を制御することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
タッチパネルに対するユーザによる接触操作に基づいて、表示手段に表示されている画像を自動で他の画像に切替える切替え表示を行う表示装置を用いた表示方法であって、
前記タッチパネルに対するユーザの接触操作による接触位置の数が複数であるか否かを判別する処理と、
接触位置の数が複数であると判別された時点で、前記自動切替え表示を一時停止した後、当該複数の接触位置のうちの何れかの接触位置における、接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作に基づいて、前記切替え表示を制御する処理と、
を含み、
前記制御する処理は更に、前記接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作が、前記タッチパネルに設定された複数の領域のいずれの領域で行われたかに基づいて、前記切替え表示の内容が異なるように制御することを含むことを特徴とする表示方法。
【請求項4】
タッチパネルを備える表示装置のコンピュータを、
前記タッチパネルに対するユーザの接触操作による接触位置の数が複数であるか否かを判別する判別手段、
前記タッチパネルに対するユーザによる接触操作に基づいて、当該表示装置に表示されている画像を自動で他の画像に切替える切替え表示を行う際に、前記判別手段により接触位置の数が複数であると判別された時点で、前記自動切替え表示を一時停止した後、当該複数の接触位置のうちの何れかの接触位置における、接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作に基づいて、前記切替え表示を制御する制御手段、
として機能させ、更に、
前記制御手段は、前記接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作が、前記タッチパネルに設定された複数の領域のいずれの領域で行われたかに基づいて、前記切替え表示の内容が異なるように制御することを特徴とするプログラム。」

第4 引用文献
1.引用文献1・引用発明
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与した。以下、同様。)

「[0065]本実施の形態1では、例えば、図5Aに示すように、モニタ110に表示される映像コンテンツ111を再生制御する電子機器10に触覚入出力装置100を搭載した例で説明する。ここでは、モニタ110と触覚入出力装置100は物理的に離れたコントローラに搭載されている例で説明する。コントローラとしては、例えば、タッチパネルやタッチパッドを搭載したリモートコントローラや、ネットワーク接続されたタブレットやスマートフォンの形態をとることができる。この例により、モニタ110に表示されている映像コンテンツ111を注視した状態で、ユーザの手元のパネル101を注視することなく、例えば音量設定や再生設定の操作を可能とする本実施の形態の動作について説明する。
[0066](ステップS101:タッチ情報取得)
タッチ情報取得部103は、パネル101に対するユーザの複数のタッチ位置を取得する。
[0067] 図5Aの例では、指1のパネル101上のx軸上のタッチ位置x_(1)を時刻t_(1)で取得する。タッチ位置x_(1)は例えば10msなどのサンプリング間隔で時系列情報として取得する。図5Bの例では、指1のパネル101上のx軸上のタッチ位置x_(1)を時刻t_(1)で取得した後、パネル101上で指1のタッチ位置x_(1)が検出されている状態で、時刻t_(2)でタッチ位置x_(1)とは異なる指2による別のx軸上のタッチ位置x_(2)を検出する。図5Cの例では、パネル101上で時刻t_(1)で検出された指2のx軸上のタッチ位置x_(1)が検出されている状態で、時刻t_(2)においてx軸上のタッチ位置x_(1)とは異なる指1による別のx軸上のタッチ位置x_(2)を検出する。」

「[0077]<再生設定の入力判定>
入力判定[4]?入力判定[6]について、図3、図6A,図6Bおよび図6Cを用いて、再生設定の判定について説明する。タッチ情報取得部103により検出されるタッチ数が3のとき、図3に示すように設定情報記憶部104に記憶されている再生設定を選択する。次に、3つのタッチ位置の検出順序と空間順序を判定して再生設定を変更する例を説明する。ここでは、第1順序のタッチ位置による入力項目を「巻戻し」、第2順序のタッチ位置による入力項目を「再生/一時停止」の切り替え、第3順序のタッチ位置による入力項目を「早送り」として記憶する例で説明する。図6A、図6Bおよび図6Cを用いて、パネル101上でタッチ位置の検出順序および空間順序の判定をx座標上で実行する例で説明する。
[0078]入力判定[5]について説明する。図6Aはユーザが「再生/一時停止」の入力を行う例である。まず、指1、指2、指3がそれぞれタッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されている。このとき、タッチ数が3であるから、順序入力判定部105は、設定情報記憶部104に図3に示すように記憶されている設定情報から、再生設定についての入力であると判定する。次に、ユーザは映像コンテンツ111を再生するために、指2を一旦パネル101から離し、所定の時間内(例えば200ms以内)に再度パネル101にタッチする入力を行う。この入力を以下「タップ入力」と呼ぶ。このとき、指1および指3によるタッチ位置x_(1)およびx_(3)が継続して検出されている状態から、指2による別のタッチ位置x_(2)が検出されることになり、検出順序はx_(2)のタッチ位置が最新となる。また、タッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)の順序関係は、x_(1)<x_(2)<x_(3)であり、ユーザによる指2によるタップ入力は最新の検出順序のタッチ位置x_(2)で、第2順序のタッチ位置となり、図3に示すように設定情報記憶部104に記憶されている「再生/一時停止」の入力項目が選択されたと判定する。
[0079] 入力判定[4]について説明する。図6Bはユーザが「巻戻し」の入力を行う例である。まず、指1、指2、指3がそれぞれタッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されている。このとき、タッチ数が3であるから、順序入力判定部105は、設定情報記憶部104に図3に示すように記憶されている設定情報から、再生設定についての入力であると判定する。次に、ユーザは映像コンテンツ111を巻戻しするために、指1を一旦パネル101から離し、所定の時間内(例えば200ms以内)に再度パネル101にタッチするタップ入力を行う。このとき、指2および指3によるタッチ位置x_(2)およびx_(3)が継続して検出されている状態から、指1による別のタッチ位置x_(1)が検出されることになり、検出順序はx_(1)のタッチ位置が最新となる。また、タッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)の順序関係は、x_(1)<x_(2)<x_(3)となり、ユーザによる指1によるタップ入力は最新の検出順序のタッチ位置x_(1)で、第1順序のタッチ位置となり、図3に示すように設定情報記憶部104に記憶されている「巻戻し」の入力項目が選択されたと判定する。
[0080] 入力判定[6]について説明する。図6Cはユーザが「早送り」の入力を行う例である。まず、指1、指2、指3がそれぞれタッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されている。このとき、タッチ数が3であるから、順序入力判定部105は、設定情報記憶部104に図3に示すように記憶されている設定情報から、再生設定についての入力であると判定する。次に、ユーザは映像コンテンツ111を早送りするために、指3を一旦パネル101から離し、所定の時間内(例えば200ms以内)に再度パネル101にタッチするタップ入力を行う。このとき、指1および指2によるタッチ位置x_(1)およびx_(2)が継続して検出されている状態から、指3による別のタッチ位置x_(3)が検出されることになり検出順序はx_(3)のタッチ位置が最新となる。また、タッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)の順序関係は、x_(1)<x_(2)<x_(3)となり、ユーザによる指3によるタップ入力は最新の検出順序のタッチ位置x_(3)で、第3順序のタッチ位置となり、図3に示すように設定情報記憶部104に記憶されている「早送り」の入力項目が選択されたと判定する。」

「[0084]<再生設定の設定値変更>
図3、図6A、図6Bおよび図6Cを用いて、タッチ情報取得部103により取得されたタッチ数が3のときの再生設定の設定値を変更する例について説明する。ステップ102Sにより、順序入力判定部105により、図6Aのように指2による第2順序のタッチ位置x_(2)による入力項目である「再生/一時停止」が選択されたとき、図3に示す入力項目の設定値を設定する。このとき、モニタ110に設定値表示部113を表示しユーザに設定値を提示する。具体的には、再生の時には1、一時停止の時には2を設定値に設定する。再生と一時停止は交互に設定する。すなわち、現在の設定値が1(再生)であれば2(一時停止)に、設定値が2(一時停止)であれば1(再生)に設定値を設定する。図3の再生設定の入力項目が第2順序のときの設定値は0になっているが、これは早送りまたは巻戻しのときに設定する。次に図6Bのように指1による第1順序のタッチ位置x_(1)による入力項目である「巻戻し」が選択されたとき、設定値の増減値により設定値を増減させる。「巻戻し」の設定値の増減値は+1であり、巻戻し速度のレベルを1増加させる。このとき、モニタ110に設定値表示部113を表示しユーザに設定値を提示する。巻戻し速度のレベルは1?4の4段階であり、この間の値を設定する。図3に示すように現在の巻戻し速度の設定値は0であるが、これは現在の機器の動作が早送りなので0に設定されており、今回のタッチ位置x_(1)による入力により設定値は1に設定される。図6Bの巻戻しと同様に、図6Cにおける指3によるタッチ位置x_(3)が第3順序のタッチ位置であるとき、入力項目としては「早送り」が選択され、設定値の増減値は+1であり、早送り速度の設定値を1増加させる。このとき、モニタ110に設定値表示部113を表示しユーザに設定値を提示する。」

上記記載及び図2によれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「モニタ110に表示される映像コンテンツ111を再生制御する電子機器10であって、
タッチ情報取得部103は、パネル101に対するユーザの複数のタッチ位置を取得し、
指1、指2、指3がそれぞれタッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されているとき、タッチ数が3であるから、順序入力判定部105は、設定情報記憶部104に記憶されている設定情報(図3)から、再生設定についての入力であると判定し、
指2を一旦パネル101から離し、所定の時間内(例えば200ms以内)に再度パネル101にタッチする入力を行うと、
このとき、指1および指3によるタッチ位置x_(1)およびx_(3)が継続して検出されている状態から、指2による別のタッチ位置x_(2)が検出されることになり、検出順序はx_(2)のタッチ位置が最新となり、
タッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)の順序関係は、x_(1)<x_(2)<x_(3)であり、ユーザによる指2によるタップ入力は最新の検出順序のタッチ位置x_(2)で、第2順序のタッチ位置となり、
設定情報記憶部104に記憶されている「再生/一時停止」の入力項目が選択されたと判定し、
また、指1、指2、指3がそれぞれタッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されているとき、タッチ数が3であるから、順序入力判定部105は、設定情報記憶部104に記憶されている設定情報から、再生設定についての入力であると判定し、
指1を一旦パネル101から離し、所定の時間内(例えば200ms以内)に再度パネル101にタッチするタップ入力を行うと、
このとき、指2および指3によるタッチ位置x_(2)およびx_(3)が継続して検出されている状態から、指1による別のタッチ位置x_(1)が検出されることになり、検出順序はx_(1)のタッチ位置が最新となり、
タッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)の順序関係は、x_(1)<x_(2)<x_(3)となり、ユーザによる指1によるタップ入力は最新の検出順序のタッチ位置x_(1)で、第1順序のタッチ位置となり、
設定情報記憶部104に記憶されている「巻戻し」の入力項目が選択されたと判定し、
また、指1、指2、指3がそれぞれタッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されているとき、タッチ数が3であるから、順序入力判定部105は、設定情報記憶部104に記憶されている設定情報から、再生設定についての入力であると判定し、
指3を一旦パネル101から離し、所定の時間内(例えば200ms以内)に再度パネル101にタッチするタップ入力を行うと、
このとき、指1および指2によるタッチ位置x_(1)およびx_(2)が継続して検出されている状態から、指3による別のタッチ位置x_(3)が検出されることになり検出順序はx_(3)のタッチ位置が最新となり、
タッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)の順序関係は、x_(1)<x_(2)<x_(3)となり、ユーザによる指3によるタップ入力は最新の検出順序のタッチ位置x_(3)で、第3順序のタッチ位置となり、
設定情報記憶部104に記憶されている「早送り」の入力項目が選択されたと判定し、
また、順序入力判定部105により、指2による第2順序のタッチ位置x_(2)による入力項目である「再生/一時停止」が選択されたとき、再生と一時停止は交互に設定、すなわち、現在の設定値が1(再生)であれば2(一時停止)に、設定値が2(一時停止)であれば1(再生)に設定値を設定する、電子機器10。」

2.引用文献2
原査定の拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0019】
そして、一覧表示用の1つのサムネイル動画像A2が図3(B)に示すように指Yによりタッチ操作され、その後、指Yが離されると、つまりタップされると、音声については、タッチされたサムネイル動画像A2に対応する動画像データの音声を出力し、表示画面については、以下のようなものを出力する。すなわち、表示画面としては、サムネイル動画像A1?A4による一覧表示画面であって、タッチ操作されたサムネイル動画像A2のタッチ操作前の内容とタッチ操作中の内容とタッチ操作後の内容が連続するような画面を出力する。これらの点に関しては従来と同様であるが、携帯端末装置1では、従来のものとは異なり、タッチ操作が検出されているサムネイル動画像A2(図3(B)参照)については、当該タッチ操作が検出されている間は、再生制御に関わる処理量の少ない少処理再生制御、例えば、動画再生を一時停止する制御を行う。タッチ操作の検出は、検出部6aすなわちCPU6により行われる。」

3.引用文献3
原査定の拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0040】
次に、ステップS204では、システム制御部128は、サムネイルが選択されている状態で、ユーザによるタッチ入力部107に対するダブルクリックを検出したか否かを判定する。ダブルクリックを検出するまで待機し、検出した場合、ステップS205に処理を進める。
次に、ステップS205では、システム制御部128は、ビデオ制御部124及び記録再生部125により、選択されているサムネイルに対応する画像ファイルを再生させる。また、システム制御部128は、画像ファイルを表示画面103に再生すると共に、早送りアイコン及び巻き戻しアイコンを表示する。
・・・中略・・・
【0042】
ステップS207では、システム制御部128は、タッチ入力部107に対するダブルクリックを検出すると、画像ファイルの再生を停止して、再びサムネイルを表示画面103に表示する。
ステップS208では、システム制御部128は、タッチ入力部107に対するタッチを検出すると、画像ファイルの再生を一時停止する。また、画像ファイルの再生が一時停止されているときに、タッチを検出すると、再び画像ファイルを再生する。
ステップS209では、システム制御部128は、タッチ入力部107に対するスライドを検出すると、スライド方向に応じて、画像ファイルを早送りしたり、巻き戻したりする。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「パネル101」は、本願発明1の「タッチパネル」に相当し、引用発明の「パネル101に対するユーザの複数のタッチ位置を取得」する「タッチ情報取得部103」は、本願発明1の「タッチパネルに対するユーザの接触操作による接触位置の数が複数であるか否かを判別する判別手段」に相当するといえる。
(イ)引用発明の「指1、指2、指3がそれぞれタッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されているとき、タッチ数が3であるから、順序入力判定部105は、設定情報記憶部104に記憶されている設定情報から、再生設定についての入力であると判定し、指1を一旦パネル101から離し、所定の時間内(例えば200ms以内)に再度パネル101にタッチするタップ入力を行うと、指2および指3によるタッチ位置x_(2)およびx_(3)が継続して検出されている状態から、指1による別のタッチ位置x_(1)が検出されることになり、検出順序はx_(1)のタッチ位置が最新となり、タッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)の順序関係は、x_(1)<x_(2)<x_(3)となり、ユーザによる指1によるタップ入力は最新の検出順序のタッチ位置x_(1)で、第1順序のタッチ位置となり、設定情報記憶部104に記憶されている「巻戻し」の入力項目が選択されたと判定し」、「指1、指2、指3がそれぞれタッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されているとき、タッチ数が3であるから、順序入力判定部105は、設定情報記憶部104に記憶されている設定情報から、再生設定についての入力であると判定し、指3を一旦パネル101から離し、所定の時間内(例えば200ms以内)に再度パネル101にタッチするタップ入力を行うと、指1および指2によるタッチ位置x_(1)およびx_(2)が継続して検出されている状態から、指3による別のタッチ位置x_(3)が検出されることになり検出順序はx_(3)のタッチ位置が最新となり、タッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)の順序関係は、x_(1)<x_(2)<x_(3)となり、ユーザによる指3によるタップ入力は最新の検出順序のタッチ位置x_(3)で、第3順序のタッチ位置となり、設定情報記憶部104に記憶されている「早送り」の入力項目が選択されたと判定」する「順序入力判定部105」は、本願発明1の「前記判別手段により接触位置の数が複数であると判別された時点で、前記自動切替え表示を一時停止した後、当該複数の接触位置のうちの何れかの接触位置における、接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作に基づいて、前記切替え表示を制御する制御手段」と「前記判別手段により接触位置の数が複数であると判別された後、当該複数の接触位置のうちの何れかの接触位置における、接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作に基づいて、前記切替え表示を制御する制御手段」である点では共通するといえる。
(ウ)上記(イ)に加え、引用発明の「順序入力判定部105」の「ユーザによる指1によるタップ入力は最新の検出順序のタッチ位置x_(1)で、第1順序のタッチ位置となり、設定情報記憶部104に記憶されている「巻戻し」の入力項目が選択されたと判定し」、「ユーザによる指3によるタップ入力は最新の検出順序のタッチ位置x_(3)で、第3順序のタッチ位置となり、設定情報記憶部104に記憶されている「早送り」の入力項目が選択されたと判定」する構成は、タッチ位置x_(1、)タッチ位置x_(3)はy座標が任意であって複数の領域といえるから、本願発明1の「制御手段は更に、前記接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作が、前記タッチパネルに設定された複数の領域のいずれの領域で行われたかに基づいて、前記切替え表示の内容が異なるように制御する」構成に相当するといえる。
(エ)引用発明の「モニタ110に表示される映像コンテンツ111を再生制御する電子機器10」は、後述する相違点を除いて、本願発明1の「タッチパネルに対するユーザによる接触操作に基づいて、表示手段に表示されている画像を自動で他の画像に切替える切替え表示を行う表示装置」に相当するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点があるといえる。

(一致点)
「タッチパネルに対するユーザによる接触操作に基づいて、表示手段に表示されている画像を自動で他の画像に切替える切替え表示を行う表示装置であって、
前記タッチパネルに対するユーザの接触操作による接触位置の数が複数であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により接触位置の数が複数であると判別された後、当該複数の接触位置のうちの何れかの接触位置における、接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作に基づいて、前記切替え表示を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は更に、前記接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作が、前記タッチパネルに設定された複数の領域のいずれの領域で行われたかに基づいて、前記切替え表示の内容が異なるように制御することを特徴とする表示装置。」

(相違点)
本願発明1では、判別手段により接触位置の数が複数であると判別された時点で、「前記自動切替え表示を一時停止した後、」に当該複数の接触位置のうちの何れかの接触位置における、接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作に基づいて、前記切替え表示を制御するのに対し、引用発明では、タッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されているとき、タッチ数が3であるから、順序入力判定部105は、設定情報記憶部104に記憶されている設定情報から、「再生設定についての入力であると判定した」後、当該複数のタッチ位置のうちの何れかのタッチ位置における、接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作に基づいて、自動切替え表示を制御するものである点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
引用文献2には、「タッチ操作が検出されているサムネイル動画像A2(図3(B)参照)については、当該タッチ操作が検出されている間は、再生制御に関わる処理量の少ない少処理再生制御、例えば、動画再生を一時停止する制御を行う。」ことが記載されており、また、引用文献3には、「ユーザによるタッチ入力部107に対するダブルクリックを検出した場合、選択されているサムネイルに対応する画像ファイルを再生させ、タッチ入力部107に対するタッチを検出すると、画像ファイルの再生を一時停止し、画像ファイルの再生が一時停止されているときに、タッチを検出すると、再び画像ファイルを再生する。」ことが記載されており、動画再生時にタッチを検出をすると動画再生が一時停止するという技術的事項は、本願出願日前に周知技術であったといえる。
一方、引用発明において、「指1、指2、指3がそれぞれタッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されているとき、」「指2を一旦パネル101から離し、所定の時間内(例えば200ms以内)に再度パネル101にタッチする入力を行う」と「「再生/一時停止」の入力」が交互に選択されるものであるから、上記「動画再生時にタッチを検出をすると動画再生が一時停止する」という周知技術を採用する必要性はなく、仮に当該周知技術を適用するとしても、引用発明の「タッチ位置x_(1)、x_(2)、x_(3)で検出されているとき、タッチ数が3であるから、再生設定についての入力であると判定し」た時点において、当該周知技術を適用しようとする動機付けを見出すことはできず、「接触位置の数が複数であると判別された時点で、自動切替え表示を一時停止した後、当該複数の接触位置のうちの何れかの接触位置における、接触状態を一旦解除してから接触状態に戻す接触操作に基づいて、切替え表示を制御する」という上記相違点に係る本願発明1の構成を、当業者が容易に想到し得たと認めることはできない。

また、上記相違点に係る本願発明1の構成が、本願出願日前に周知技術であったともいえない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

2.本願発明2について
本願発明2は、上記相違点に係る本願発明1と同じ構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明3、4について
本願発明3、4は、上記相違点に係る本願発明1の構成と同様の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-12-22 
出願番号 特願2016-240037(P2016-240037)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 小田 浩
▲吉▼田 耕一
発明の名称 表示装置、表示方法、及び、プログラム  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ