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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23F
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23F
管理番号 1371674
異議申立番号 異議2019-700637  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-09 
確定日 2020-12-18 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6469756号発明「茶飲料の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6469756号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6469756号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 特許第6469756号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6469756号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成25年5月17日に出願された特願2013-105521号の一部を、平成29年4月28日に新たな特許出願としたものであって、平成31年1月25日にその特許権の設定登録がされ、同年2月13日に特許掲載公報が発行された。
その後、当該特許に対し、令和1年8月9日に谷口俊春(以下、「特許異議申立人A」という。)により特許異議の申立てがされ、同年同月10日に長谷川清(以下、「特許異議申立人B」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
その後の手続の経緯の概要は次のとおりである。

令和1年11月29日付け 取消理由通知
同2年 1月31日 意見書の提出(特許権者)
同年 2月26日付け 通知書
同年 2月27日付け 審尋
同年 3月18日 回答書の提出(特許異議申立人B)
同年 3月19日 回答書の提出(特許異議申立人A)
同年 6月 2日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 8月 7日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者)
同年 9月 8日付け 通知書
同年10月 9日 意見書の提出(特許異議申立人B)
同年10月12日 意見書の提出(特許異議申立人A)

第2 訂正請求について
1 訂正の内容
令和2年8月7日の訂正請求書により請求された訂正(以下、「本件訂正」という。)は、訂正前の一群の請求項〔1-4〕に対してされたものであり、その内容は、以下の訂正事項1?4のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における「茶葉粉砕物を含む茶飲料であって」との記載を「茶葉粉砕物を含む白土処理された茶飲料であって」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1における「珪素元素含有量が1mg/L以上であり」との記載を「珪素元素含有量が2.3?4mg/Lであり」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1における「かつ茶飲料中の非重合カテキンと、カフェインとの比(非重合カテキン/カフェイン)が15?150である」との記載を「茶飲料中の非重合カテキンと、カフェインとの比(非重合カテキン/カフェイン)が15?150であり、かつ茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%である」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、請求項1の「茶葉粉砕物を含む茶飲料であって」との記載を「茶葉粉砕物を含む白土処理された茶飲料であって」と訂正して、茶飲料を白土処理された茶飲料に限定するものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
そして、白土処理された茶飲料は、願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という)の【0010】、【0011】、及び実施例に記載されているから、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書に記載した事項の範囲内の訂正である。
また、上記のとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、請求項1の「珪素元素含有量が1mg/L以上であり」との記載を「珪素元素含有量が2.3?4mg/Lであり」に訂正し、珪素元素含有量の範囲を減縮するものであるから、訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
そして、本件明細書に記載された実施例2には、珪素元素含有量が2.3mg/Lであることが記載され、実施例4には、珪素元素含有量が4mg/Lであることが記載されているから、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書に記載した事項の範囲内の訂正である。
また、上記のとおり、訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、請求項1に記載された「茶葉粉砕物」について、「茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%である」と訂正し、茶葉粉砕物の含有量を限定するものであるから、訂正事項3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
そして、本件明細書に記載された実施例2、3には、「茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%である」ことが記載されているから、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書に記載した事項の範囲内の訂正である。
また、上記のとおり、訂正事項3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、訂正事項4に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものであって、本件明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことが明らかである。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3 訂正請求について小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明3」といい、本件発明1?3を合わせて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

【請求項1】
茶葉粉砕物を含む白土処理された茶飲料であって、茶飲料中のカフェイン含有量が2mg/100ml以下であり、非重合カテキン含有量が15?60mg/100mlであり、珪素元素含有量が2.3?4mg/Lであり、茶飲料中の非重合カテキンと、カフェインとの比(非重合カテキン/カフェイン)が15?150であり、かつ茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%である、茶飲料。

【請求項2】
緑茶飲料である、請求項1に記載の茶飲料。

【請求項3】
茶葉粉砕物が抹茶である、請求項1または2に記載の茶飲料。

【請求項4】(削除)

第4 取消理由通知書に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審が令和1年11月29日付け及び令和2年6月2日付けの取消理由通知により通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

(1)取消理由1(新規性)
本件特許の請求項1?4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、請求項1?4に係る特許は、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

(2)取消理由2(進歩性)
本件特許の請求項1?4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1?4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(3)取消理由3(サポート要件)
本件の請求項1?4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

そして、刊行物として、以下の引用例が挙げられている。
1:特開2012-231719号公報(特許異議申立人Aの甲1、特許異議申立人Bの甲1)
2:特開2011-19469号公報(特許異議申立人Aの甲2、特許異議申立人Bの甲6)
3:特開2014-140348号公報(特許異議申立人Aの甲3)
4:国際公開第2004/110161号公報(特許異議申立人Aの甲7)
5:特開平8-163958号公報(特許異議申立人Aの甲8)
6:特開平10?234301号公報(特許異議申立人Aの甲9、特許異議申立人Bの甲4)
7:特開平8-116881号公報(特許異議申立人Aの甲10)
8:特開2005-27554号公報(特許異議申立人Aの甲11)
9:特開2009-219447号公報(特許異議申立人Aの甲12、特許異議申立人Bの甲5)
10:特開2001-89364号公報(特許異議申立人Bの甲3)
11:木村 優,「生物質と環境化学-緑茶を用いる水中の金属イオンの捕集除去-」,化学と教育,1992年、40巻5号、p.296-300(特許異議申立人Bの甲2)

2 引用例の記載事項
(1)引用例1
引用例1には、以下の事項が記載されている。

(1a)「【請求項1】
茶抽出物に、酸性白土および/または活性白土を接触させる工程と、アルカリ性物質を添加する工程とを含む、精製茶抽出物の製造方法。
【請求項2】
酸性白土および/または活性白土を接触させる工程が、酸性白土を接触させる工程であり、茶抽出物に酸性白土を接触させる工程がpH6?8で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
酸性白土および/または活性白土を接触させる工程が、活性白土を接触させる工程であり、茶抽出物に活性白土を接触させる工程がpH5.5?7.5で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
アルカリ性物質が、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、およびクエン酸三ナトリウムからなる群から選択される一種または二種以上である、請求項1?3いずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1?4いずれか一項に記載の製造方法により得られた、精製茶抽出物。
【請求項6】
請求項1?4いずれか一項に記載の製造方法により得られた精製茶抽出物を配合する工程を含む、容器詰め飲料の製造方法。
【請求項7】
請求項1?4いずれか一項に記載の製造方法により得られる精製茶抽出物を含む、容器詰め飲料。
【請求項8】
茶抽出物に、酸性白土および/または活性白土を接触させる工程と、アルカリ性物質を添加する工程とを含む、茶抽出物の香味変化抑制方法。
【請求項9】
茶抽出物に、酸性白土および/または活性白土を接触させる工程と、アルカリ性物質を添加する工程とを含む、白土から茶抽出物へのミネラル成分溶出抑制方法。」

(1b)「【0005】
しかしながら、従来の活性白土や酸性白土を用いたカフェイン低減方法では、活性白土や酸性白土由来のミネラル成分の茶抽出物への溶出が見られた。また、ミネラル成分の茶抽出物への溶出に伴い、茶抽出物の香味の損失および液色が悪化する可能性もあった。」

(1c)「【0008】
しかしながら、活性白土や酸性白土を用いたカフェイン低減方法において、茶抽出物中のカフェイン量を低減しつつ、同時にミネラル成分の茶抽出物中への溶出を抑制し、さらに茶抽出物の香味変化が抑制された精製茶抽出物の製造方法については今なお希求されている。」

(1d)「【0010】
本発明者らは、茶抽出物に、酸性白土および/または活性白土を接触させる工程と、アルカリ性物質を添加する工程とを含むことにより、茶抽出物からカフェインを除去しつつ、茶抽出物の香味変化を抑制できること、または茶抽出物からカフェインを除去しつつ、白土から茶抽出物へのミネラル成分の溶出を抑制できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0011】
本発明は、茶抽出物からカフェインを除去しつつ、茶抽出物の香味変化を抑制できる、または茶抽出物からカフェインを除去しつつ、白土から茶抽出物へのミネラル成分の溶出を抑制できる精製茶抽出物の製造方法、当該製造方法により得られた精製茶抽出物、当該製造方法により得られた精製茶抽出物を配合する工程を含む容器詰め飲料の製造方法、当該製造方法により得られた精製茶抽出物を含む容器詰め飲料、茶抽出物の香味変化抑制方法、および白土からのミネラル成分溶出抑制方法を提供することを目的とする。」

(1e)「【0016】
本発明において用いられる茶抽出物の製造原料としては、茶葉から抽出した茶抽出物を用いることができる。茶抽出物の調製は、特に限定されないが、通常の茶抽出物の製造に用いられている方法を用いることができ、好ましくはカフェインが僅かでも抽出される方法を用いることが好ましい。本発明の好ましい態様によれば、本発明に用いられる茶抽出物は、液状のものに限定されるものではなく、好ましくは茶抽出液である。
【0017】
茶抽出物に用いられる茶葉は、特に限定されないが、Camellia sinensisに属する茶葉を用いることができ、煎茶、番茶、ほうじ茶など緑茶葉のような不発酵茶に限らず、烏龍茶のような半発酵茶や、紅茶のような発酵茶、プーアル茶のような後発酵茶なども用いることができる。
【0018】
本発明において用いられる茶抽出物とは、前述の茶葉から抽出した茶抽出物のみならず、市販の茶エキスやパウダーを水や湯で溶解したもの、茶抽出物とエキスやパウダーを混合して用いてもよい。また、茶以外にも配合される原料は特に限定されない。」

(1f)「【0021】
本発明において用いられる酸性白土および活性白土とは、共に一般的な化学成分として、SiO_(2),Al_(2)O_(3),Fe_(2)O_(3),CaO,MgOなどを有するが、本発明に使用する場合、SiO_(2)/Al_(2)O_(3)比は、3?12、好ましくは5?9が好ましい。また、酸性白土および活性白土中に、Fe_(2)O_(3)2?5質量%、CaO0?1.5質量%、MgO1?7質量%などを含有する組成のものが好ましい。本発明において用いられる活性白土は、天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸などの鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造を有する化合物である。また、本発明において用いられる活性白土は、酸性白土をさらに、酸処理することにより得られ、その比表面積が変化し、脱色能の改良および物性が変化することが知られている。」

(1g)「【0032】
本発明の別の態様によれば、茶抽出物に、酸性白土および/または活性白土を接触させる工程と、アルカリ性物質を添加する工程とを含む茶抽出物の香味変化抑制方法が提供される。香味変化抑制とは、茶抽出物の香味が変化することを抑制することを意味し、好ましくは茶抽出物の香味が悪化することを抑制することを意味する。香味の悪化とは、人が不快と感じる香味へ変化することであれば特に限定されないが、例えば、茶抽出物へのミネラル類の溶出により香味(例えば、金属様の香味)が強くなることをいう。
【0033】
本発明の別の態様によれば、茶抽出物に、酸性白土および/または活性白土を接触させる工程と、アルカリ性物質を添加する工程とを含む、白土から茶抽出物へのミネラル成分溶出抑制方法が提供される。ここで、ミネラルとは、酸性白土または活性白土に含まれるミネラルであれば特に限定されないが、好ましくは鉄またはアルミニウムが挙げられる。」

(1h)「【0042】
[試験1](白土添加量と、ミネラル溶出と、香味との関係)
蒸し製緑茶葉100gに対して70℃の熱水4000gを添加し、6分間抽出した。抽出後、固液分離し、得られた濾液を20℃まで冷却した後にイオン交換水で4000gとし、遠心分離処理を行い、緑茶抽出液を得た。得られた緑茶抽出液400gに対し、酸性白土(ミズカエース#20、水澤化学社製)または活性白土(ガレオンアースNVZ、水澤化学社製)を2?15g添加後、1時間接触させた。得られた緑茶抽出液と白土との接触の際のpHは、酸性白土添加区が5.1?5.6、活性白土添加区が4.0?5.1であった。接触後に遠心分離処理を行い、0.2μmメンブランフィルター濾過を行った。得られた濾液にL-アスコルビン酸を400mg添加し、イオン交換水で1000gとして緑茶飲料を得た。緑茶飲料は、調合の際にpHが約6.5となるように炭酸水素ナトリウムで適宜調整した。
【0043】
得られた緑茶飲料について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:日本分光社製)を用いてカフェインを、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-AES:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製iCAP 6500 Duo)を用いて元素分析を行った。また、訓練されたパネリスト5名によって官能評価を行った。評価は白土の無添加区を対照(4点満点中の4点)として、緑茶飲料としての総合的な香味を相対評価した。評価基準は以下に示したとおりである。◎が最も無添加区の香味に近く、○、△、×の順に従って、無添加区からの香味の変化が大きくなるものである。なお、白土無添加の緑茶のカフェイン濃度は11.24mg/100mLであった。カフェイン濃度・除去率、ミネラル溶出量(鉄(Fe)およびアルミニウム(Al)溶出量)、および香味評価の結果を下記表2に示した。ここで、ミネラル溶出量とは、白土無添加の緑茶のミネラル(Fe、Al)含有量を、下記表2に記載の白土添加量によって処理された各緑茶のミネラル含有量から差し引いた値である。
【0044】
香味評価方法
訓練されたパネリスト5名それぞれが、1点、2点、3点、および4点の4段階で評価を行い、パネリスト5名の平均点を当該飲料の評価点とし、以下の基準に従い、記号化した。
◎:評価点3.5点以上
○:評価点3点以上3.5点未満
△:評価点2点以上3点未満
×:評価点2点未満
【0045】
【表2】

【0046】
白土添加量が増加すると、カフェインが除去されるとともに、FeやAlなどのミネラル類が溶出され、液色が悪くなり、金属様の香味が強くなることで香味が悪化した。
【0047】
[試験2](緑茶におけるアルカリ性物質添加のミネラル溶出抑制と香味変化抑制効果)
釜炒り製緑茶葉100gに対して70℃の熱水4000gを添加し、6分間抽出した。抽出後、固液分離し、得られた濾液を20℃まで冷却した後にイオン交換水で4000gとし、遠心分離処理を行い、緑茶抽出液を得た。得られた緑茶抽出液400gに対し、下記表3に示す濃度で酸性白土(ミズカエース#20、水澤化学社製)およびアルカリ性物質として炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、または水酸化ナトリウムを添加し、1時間接触させた。接触後に遠心分離処理を行い、0.2μmメンブランフィルター濾過を行った。得られた濾液にL-アスコルビン酸を400mg添加した後、イオン交換水で1000gとし、比較例1および実施例1?3の緑茶飲料を得た。緑茶飲料は、調合の際にpHが約6.7となるように炭酸水素ナトリウムで適宜調整した。なお、表3中、「炭酸水素Na」は炭酸水素ナトリウムを表し、「炭酸水素K」は炭酸水素カリウムを表し、「水酸化Na」は水酸化ナトリウムを表す。以下同じ。
【0048】
【表3】

【0049】
得られた緑茶飲料について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:日本分光社製)を用いてカフェインを、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-AES:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製iCAP 6500 Duo)を用いて元素分析を行った。また、訓練されたパネリスト5名によって、官能評価を行った。評価は比較例1を対照(4点満点中の2点)として、緑茶飲料としての総合的な香味を相対評価した。評価基準は以下に示したとおりである。酸性白土無添加の緑茶飲料のカフェイン濃度は13.94mg/100mLであった。カフェイン濃度・除去率、ミネラル溶出量、および香味評価の結果を下記表4に示した。
【0050】
香味評価方法
訓練されたパネリスト5名それぞれが、1点、2点、3点、および4点の4段階で評価を行い、パネリスト5名の平均点を当該飲料の評価点とし、以下の基準に従い、記号化した。
◎:評価点3.5点以上
○:評価点3点以上3.5点未満
△:評価点2点以上3点未満
×:評価点2点未満
【0051】
【表4】

【0052】
白土処理時にアルカリ性物質を添加することにより、カフェインが除去されるとともにFeやAlなどのミネラル類の溶出が抑制され、液色の悪化も改善し、金属様の香味も軽減された。また、これらの効果は、どのアルカリ性物質においても同様であった。」

(1i)「【0053】
[試験3](焙じ茶における炭酸水素ナトリウム添加のミネラル溶出抑制と香味変化抑制効果)
焙じ茶葉100gに対して85℃の熱水4000gを添加し、4分間抽出した。抽出後、固液分離し、得られた濾液を20℃まで冷却した後にイオン交換水で4000gとし、遠心分離処理を行い、焙じ茶抽出液を得た。得られた焙じ茶抽出液400gに対し、下記表5に示す濃度で酸性白土(ミズカエース#20、水澤化学社製)および炭酸水素ナトリウムを添加し、1時間接触させた。接触後に遠心分離処理を行い、0.2μmメンブランフィルター濾過を行った。得られた濾液にL-アスコルビン酸を400mg添加した後、イオン交換水で1000gとし、比較例2および実施例4の焙じ茶飲料を得た。焙じ茶飲料は、調合の際にpHが約6.3となるように炭酸水素ナトリウムで適宜調整した。
【0054】
【表5】

【0055】
得られた焙じ茶飲料について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:日本分光社製)を用いてカフェインを、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-AES:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製iCAP 6500 Duo)を用いて元素分析を行った。また、訓練されたパネリスト5名によって、官能評価を行った。評価は試験2と同様の評価基準を用いて、比較例2を対照(4点満点中の2点)として、焙じ茶飲料としての総合的な香味を相対評価した。酸性白土無添加の焙じ茶飲料のカフェイン濃度は13.48mg/100mLであった。カフェイン濃度・除去率、ミネラル溶出量、および香味の評価結果を下記表6に示した。
【0056】
【表6】

【0057】
焙じ茶においても、白土処理時にアルカリ性物質を添加することにより、カフェインが除去されるとともにFeやAlなどのミネラル類の溶出が抑制され、液色の悪化も改善し、金属様の香味も軽減された。」

(2)引用例2
引用例2には、以下の事項が記載されている。

(2a)「【0047】
(表2)
処理剤と水溶液の成分濃度との関係
処理剤 処理後水溶液の成分濃度 [ppm]
シュウ酸 Ca カフェイン 総カテキン
(処理前) 17.66 <0.7 132.1 643.7
珪藻土 17.55 <0.7 132.6 649.2
カオリン 15.58 <0.7 132.4 651.5
タルク 17.38 <0.7 127.5 634.2
活性白土1 5.44 9.64 8.6 672.6
活性白土2 <2.5 5.49 1.7 671.7
活性白土3 5.18 9.06 14.0 663.4
活性白土4 5.32 7.24 22.5 646.5
酸性白土1 <2.5 24.18 <0.1 724.8
酸性白土2 11.28 13.80 <0.1 712.4
酸性白土3 8.26 10.13 <0.1 646.6
酸性白土4 5.05 7.70 <0.1 698.1


(3)引用例3
引用例3には、以下の事項が記載されている。

(3a)「【0005】
しかしながら、特許文献1の技術を用いて茶飲料を製造すると、得られた茶飲料の香味や色調が、カフェイン低減処理が施されていない本来の茶飲料と比較して劣る場合があることが判明した。また、特許文献2や特許文献3のような技術を用いて茶飲料を製造する場合は、使用した有機溶媒を除去する際の香気損失や、アルカリ性条件にするためのpH調整剤の香味に対する影響などを考慮する必要があった。
【0006】
本発明は、香味や色調が通常の茶飲料と遜色ない、カフェイン低減茶抽出物およびカフェイン低減茶飲料をより簡便に製造する方法を提供することを目的とする。本発明はまた、香味や色調が通常の茶飲料と遜色ない程度に維持される、茶抽出物のカフェイン低減方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、茶抽出物を白土と接触させる際に接触時間と接触温度を所定範囲内に調整することにより、カフェイン含有量を低減させつつ、通常の茶飲料と比較して遜色ない香味や色調を維持できることを見出した。」

(3b)「【0038】
実施例1:接触時間とミネラル溶出、香味の関係
(1)緑茶抽出液の調製
蒸し製緑茶葉100gに対して70℃の熱水4000gを添加し、6分間抽出した。抽出後、固液分離し、得られた濾液を20℃まで冷却した後に同温度のイオン交換水で4000gとし、遠心分離処理を行い、緑茶抽出液を得た。
【0039】
(2)緑茶抽出液の白土処理
得られた緑茶抽出液400gを室温(25℃)としてから、酸性白土(ミズカエース#200、水澤化学社製)を8.0g添加し、所定時間(10秒?60分間)接触させた。所定時間経過と同時に遠心分離処理を行い、0.2μmメンブランフィルター濾過を行った。
【0040】
(3)緑茶飲料の調製
得られた濾液にL-アスコルビン酸を400mg添加し、炭酸水素ナトリウムでpHを6.5に調整後、イオン交換水で1000gとして試験区1?6の緑茶飲料を得た。
【0041】
(4)評価
得られた緑茶飲料について、高速液体クロマトグラフ(HPLC:日本分光社製)を用いてカフェイン濃度を、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-AES:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製iCAP 6500 Duo)を用いてアルミニウム濃度および鉄濃度を、分光測色計 (ミノルタ株式会社製CM-3500d)を用いてL値をそれぞれ測定した。そして、それぞれの測定値について、白土無添加区の測定値と比較することにより、カフェイン除去率(%)、アルミニウム溶出量、鉄溶出量および相対L値(%)を算出した。また、茶抽出物を白土処理した場合のカフェイン除去率を、同じ白土を使用して25℃30分で処理した場合のカフェイン除去率で除してカフェイン除去率比を算出し、茶抽出物を白土処理した場合の相対L値を、同じ白土を使用して25℃30分で処理した場合の相対L値で除して相対L値比を算出した。訓練されたパネリスト6名によって香味について、官能評価を行った。すなわち、評価は白土無添加区を対照(4点)とし、緑茶飲料としての総合的な香味を5段階評価で相対評価した。評価基準は以下に示したとおりである。
【0042】
官能評価基準
5点:香味が良好になっている
4点:対照と同等である
3点:対照よりわずかに劣っている
2点:対照より明らかに劣っている
1点:対照よりかなり顕著に劣っている
【0043】
評価点はさらに以下の評価基準でレベル分けした。◎が最も無添加区の香味に近く、○、△、×の順に従って、無添加区からの香味の変化が大きくなるものである。
◎:(5段階評価で3.0点以上)
○:(5段階評価で2.75点以上3.0点未満)
△:(5段階評価で2.5点以上2.75点未満)
×:(5段階評価で2.5点未満)
【0044】
(5)結果および考察
カフェイン除去率、カフェイン除去率比、ミネラル溶出量、相対L値、相対L値比および香味評価結果を表2に示した。
【表2】

【0045】
接触時間が10秒?8分の例(試験区1?4)では、カフェインが十分除去されるとともに、30分以上の例(試験区5および6)と比較して液色の悪化が抑制され、金属様の香味が軽減された。なお、接触時間短縮とともにカフェイン除去率が低下する傾向が認められるものの、少なくとも10秒以上の接触時間において、工業上満足できるカフェイン除去率が得られることが確認された。」

(4)引用例4
引用例4には、以下の事項が記載されている。

(4a)「[0002] 緑茶飲料は緑茶特有の良好な風味と高い嗜好性、食事との相性に加えて、健康志向の高まりと相まって幅広い層に支持されている。緑茶飲料はカロリーが低い無糖飲料の代表である。中でも特に、携帯性に優れ、再栓可能であるという利便性をもったペットボトル入りの緑茶飲料が消費者のニーズとマッチし、市場規模を急速に拡大してきた。一方で、ペットボトルや瓶などの透明容器は外観が見えるという容器特性があり、残存茶葉と茶葉力の溶出成分由来と考えられる混濁が品質上の問題点となることが考慮され、混濁や沈殿を抑制する種々の製造技術がこれまでも多く開発され、実施されてきた。
[0003] しかしながら、これらは製造工程中で緑茶の本来持っている香味成分まで除去し、緑茶本来の良好な風味、コクが損なわれるという問題点もあった。これを解決する目的で、乾式粉砕した茶葉を直接添加、あるいはその懸濁液を添加することにより、緑茶本来の食感を付与することもできる・・・」

(4b)「[0007] 本発明の目的は、ざらつき、雑味が極力少なく緑茶飲料に不可欠なすっきりした後味を保持し、緑茶本来の食感、コク、味わいを有し、かつ長期保管においても沈殿や濁りの発生しない安定な飲料、特に緑茶飲料を開発することにある。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らは上記問題点について検討した結果、茶葉原料を粉砕し、得られた粉末茶をさらに微粉砕処理した後に、粒子径1μm以上の粒子の大部分を除去して得られる超微粉砕茶葉分散液、あるいは茶葉原料を粉砕し、さらに微粉砕して得た微粉砕粉末茶を、飲料に添加した後、当該飲料から微粒子径1μm以上の粒子の大部分を除去して得られる飲料が上記問題点を解決することを見出した。・・・」

(4c)「[0024] (実施例1)
超微粉砕茶葉分散液の製造法
碾茶を石臼で挽いて製造された抹茶を約20倍量の水に懸濁させ、この懸濁液を高圧ホモジナイザーにより15MPaの圧力で処理し、遠心分離処理(6,000rpm、10分)し、超微粉砕茶葉分散液を得た。・・・
[0025] (実施例2)
超微粉砕茶葉分散液を用いた緑茶飲料の官能評価
実施例1で得られた超微粉砕茶葉分散液を従来法によって抽出、濾過を行った緑茶抽出液に30重量%添加し、L-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを添加し、濁度0.05?0.15となる調合液を得た。この調合液を缶詰、レトルト殺菌し、缶入り緑茶飲料を得た。試飲したところ、表1に示すように、その風味は食感、甘味が感じられるものの、ざらつきがなく後口がすっきりしているという良好な結果であった。
・・・
[0033] (実施例4)
超微粉砕茶葉分散液入り緑茶飲料の製造方法
緑茶茶葉4g
微粉砕茶葉 (実施例1で得た抹茶)1g
炭酸水素ナトリウム0.3g
L-アスコルビン酸0.4g
緑茶茶葉4gを80℃の純水140mlで10分間抽出し、濾過し、炭酸水素ナトリウム0.3g及びL-アスコルビン酸0.4gを添加した後、微粉砕茶葉1gを実施例1と同様の処理を施して得た超微粉砕茶葉分散液を配合して1000mlとなし、殺菌・充填した。」

(5)引用例5
引用例5には、以下の事項が記載されている。

(5a)「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、緑茶抽出に伴って生じる微粒子を本質的に含まない透明緑茶抽出液に、緑茶粉末を添加して濁度をOD_(720)で0.05?3.00としたことを特徴とする緑茶飲料に関する。」

(5b)「【0013】実施例1
図1?3に示されているように、ニーダーで抽出した緑茶液30リットルを80メッシュスクリーンにより粗濾過し緑茶抽出液を得た後、分離板型遠心分離機で100%分離可能な最小粒径が2μmとなる条件で稼働させ、微粒子を除去した緑茶抽出液を得た。一方、メジアン径が14μmの緑茶粉末を炭酸水素ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム(図1ではAsANaと、図2ではビタミンC Naと表示されている。)と予備混合し、5リットルの水に加え、高速撹拌分散後、200メッシュストレーナーを通過させ緑茶粉末分散液とした。前記遠心分離機で微粒子を除去した緑茶抽出液に、前記緑茶粉末分散液を調合タンク内で混合し、本発明の緑茶飲料を得た。得られた緑茶飲料の濁度は、OD_(720)で0.075であった。」

(5c)「【0015】
【発明の効果】本発明により、緑茶微粒子を適度に含むコクがあり、深い味わいの緑茶飲料を得ることができた。・・・」

(6)引用例6
引用例6には、以下の事項が記載されている。

(6a)「【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題の解決について鋭意検討したところ、一般的な緑茶飲料に粉砕した茶葉を0.3重量%以上、10.0重量%未満添加することにより、水に不溶の有効成分を摂取することができ、かつSOD様活性の高い喉ごしの良く風味に富んだ緑茶飲料が得ることができ、緑茶飲料に加える粉砕茶葉は、粒径0.4?200μmが特に良いことを見出した。また、この緑茶飲料に茶抽出物として抗酸化能物質であるポリフェノールを加えることによりさらに健康機能を高めるのに有用な缶入り緑茶飲料を得て本発明を完成した。」

(6b)「【0014】実施例1
緑茶15kgを50℃の温湯450リットルにて3分間抽出し、150メッシュのネットを介して濾過し、次で品温40℃に冷却し緑茶抽出液ベースを得る(A液)。別途に50℃の温水にて煎茶の粉砕茶葉5kgをパウブレンダーを介して溶解分散しB液を調製する。次いでこのA液とB液を攪拌混合後、L-アスコルビン酸1kg、炭酸水素ナトリウムでpHを6.0に調整、合わせ全量を1000リットルとする。この混合液を圧力50kg/cm^(2)の条件下でホモゲナイザーにて均質化する。そしてプレートヒーターにて80℃に加温後、空缶に充填、巻き締め後121℃×10分加熱殺菌後冷却して、本発明の粉砕茶葉が入った缶入り緑茶飲料を得た。」

(7)引用例7
引用例7には、以下の事項が記載されている。

(7a)「【0014】すなわち、本発明は従来では殆ど顧みられなかった湿式粉砕、特に高圧ホモジナイザーにより茶葉を超微粉末茶に微粉化して茶葉を原料とする懸濁状の超微粉末茶を製造する微粉化方法、ならびにこれにより得られた超微粉末茶、およびこの超微粉末茶を茶成分とする茶飲料、および超微粉末茶を配合した飲食物である。・・・」

(7b)「【0022】上記分散液は容易にこれを水で希釈化して分散でき、これを希釈して茶葉濃度0.1?1g/100ml、好ましくは0.2?0.5g/100mlの分散液としたものは、そのまま煎茶と同様な感覚で茶飲料として飲むことができる。・・・」

(7c)「【0024】本発明の超微粉末茶は、そのまま希釈して飲料とするほか、容器詰めして新しいタイプの茶缶飲料とすることができる。・・・また、抽出液に添加して利用すれば、従来品の品質改良もできる。」

(8)引用例8
引用例8には、以下の事項が記載されている。

(8a)「【0002】
【従来の技術】
従来、茶風味増強の方法としては、茶フレーバーを添加する方法、茶の熱水抽出物を添加する方法ならびに抹茶粉末を添加する方法などがある。・・・」

(9)引用例9
引用例9には、以下の事項が記載されている。

(9a)「【0001】
本発明は、粉末ほうじ茶を茶飲料に添加することにより、該茶飲料の香味を増強する方法に関する。また、本発明は、粉末ほうじ茶を茶抽出液に添加、混合することにより香味が増強された茶飲料、に関する。」

(9b)「【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、ほうじ茶の粉末茶葉を茶抽出液に添加することにより、茶本来の持つ香りを増強できることを見出した。そして、特に、茶抽出液が緑茶抽出液である緑茶飲料を製造する場合、ほうじ茶の粉末茶葉の添加により、緑茶特有の香り、旨味及びコク味が増強された茶飲料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。」

(9c)「【0018】
・・・
(茶飲料)
上記茶抽出液ベースに、粉末ほうじ茶葉を添加して混合することにより、本発明の茶飲料は製造される。粉末ほうじ茶葉の配合割合は、所望する香味等により適宜設定すればよいが、通常、茶飲料全体に対する粉砕ほうじ茶葉量として、0.001?0.5重量%、好ましくは0.01?0.2重量%程度である。0.001重量%未満であると、茶飲料の緑茶本来の香味を増強する作用が十分に得られず、また0.5重量%を超えて配合すると、ほうじ茶の独特な香ばしい香りが強くなり、緑茶本来のグリーンな香りが損なわれることになる。」

(10)引用例10
引用例10には、以下の事項が記載されている。

(10a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属味が改善されたミネラル組成物に関する。より詳しくは、テアニンを含有するミネラル組成物に関する。」

(10b)「【0002】
【従来の技術】近年、日本人の食生活は豊かになったがその反面、栄養に偏りがあり、国民栄養調査によるとミネラルに関しては厚生省の決める基準値を下回っているものもある。そこで最近、食品や飲料、サプリメントや栄養強化剤などにミネラルが付加されているが、金属の持つ特有の味のために添加量が制限されていたり、商品としての価値を下げている。」

(10c)「【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、金属味改善に効果のある物質について検討した結果、緑茶に多く含まれているアミノ酸の一種、テアニンをミネラルに含有させることで上記課題を解決し、本発明を完成した。・・・」

(10d)「【0013】本発明におけるテアニンの添加量は、改善すべき金属味の強さによって異なるが、本発明のミネラル組成物がその効果を充分に発揮するためには、重量比にして、ミネラル組成物中の金属含有量1に対し、テアニンを10^(-3)?10^(6 )含有する添加量が望ましい。さらに望ましくは10^(-1)?10^(5 )含有する添加量が好ましい。また、10^(-1)?10^(4)とする添加量は最も好ましい。」

(11)引用例11
引用例11には、以下の事項が記載されている。

(11a)「茶葉に含まれるタンニン成分は,水中の鉄(III)などの重金属イオンおよび植物性アルカロイド類などと結合して,不溶性かつ生理的に不活性な化合物を生成するため,茶葉を煎じて飲むと解毒または薬効果があることは古くから知られている。元来,茶は今日のような嗜好飲料としてではなく,むしろ薬効品として利用された。
なお,タンニン酸は,鉄,クロム,ウランなど多くの金属イオンと結合して不溶性の吸着物を生じるので,分離分析化学用の試薬として古くから知られている^(5))。
茶葉に特有かつ,多量(約20%)に含まれるタンニン成分(図1および表2)は,水中の各種金属塩類と反応し,不溶性物質または吸着物としてそれら金属類を捕集除去し得るであろう。このような予想(着想)は茶葉の成分から容易に考えられるものである。
着目するタンニン成分は,不発酵茶(抹茶,煎茶,玉露などの,いわゆる緑茶),半発酵茶(ウーロン茶など),および発酵茶(紅茶など)など^(4))のいずれの茶にも多く含まれる^(*1)。したがって,以下に述べる抹茶(緑茶)に限らず,紅茶や煎茶や番茶の茶ガラなどを粉砕して,後記のホルマリン処理して用いても同様の結果が得られるであろう。」(298頁左欄1?24行)

3 取消理由3(サポート要件)について
(1)本件発明1の特許請求の範囲の記載
本件発明1の特許請求の範囲の記載は、上記「第3 本件発明」で述べたとおりの、「茶葉粉砕物を含む白土処理された茶飲料であって、茶飲料中のカフェイン含有量が2mg/100ml以下であり、非重合カテキン含有量が15?60mg/100mlであり、珪素元素含有量が2.3?4mg/Lであり、茶飲料中の非重合カテキンと、カフェインとの比(非重合カテキン/カフェイン)が15?150であり、かつ茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%である、茶飲料。」である。

(2)課題
本件発明1が解決しようとする課題は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明(特に、【0006】等)の記載からみて、「茶飲料中のカフェイン量を低減しつつ、茶飲料の味質変化が抑制された、特に茶飲料の金属味が低減された茶飲料の提供」と認められる。

(3)発明の詳細な説明の記載
発明の詳細な説明には、以下の事項が記載されている。

(A1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、茶飲料の製造方法に関し、さらに詳細には茶葉粉砕物を加える工程を含む茶飲料の製造方法に関する。」

(A2)「【背景技術】
【0002】
近年の健康志向の高まりから、カフェインを低減した茶飲料の開発が求められている。これまでに、茶抽出物からのカフェインの低減を目的としたさまざまな方法が検討されてきている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、活性炭などを用いるカフェイン低減方法では、カフェインとともに茶抽出物に含まれるカテキン類なども低減してしまい、茶本来の香味を損ねてしまうとの課題を有していた。」

(A3)「【0003】
この課題を解決するために、活性白土や酸性白土を用いたカフェイン低減方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、従来の活性白土や酸性白土を用いたカフェイン低減方法では、活性白土や酸性白土由来のミネラル成分の茶抽出物への溶出が見られた。また、ミネラル成分の茶抽出物への溶出に伴い、茶抽出物に金属味が生じるなど味質が変化する場合があった。」

(A4)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、茶飲料中のカフェイン量を低減しつつ、茶飲料の味質変化が抑制された、特に茶飲料の金属味が低減された茶飲料、該茶飲料の製造方法、および茶飲料の金属味低減方法を提供することを目的とする。」

(A5)「【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、白土処理などによりミネラル成分が溶出された茶抽出物に茶葉粉砕物を加えることにより、カフェイン量を低減しつつ、白土処理による味質変化が抑制された茶飲料、特に金属味が低減された茶飲料が提供できることを見出した。」

(A6)「【0012】
態様1において、本発明の製造方法に用いられる茶抽出物に含有する珪素イオンは、茶飲料に対して、1mg/L以上であり、好ましくは1.5?20mg/Lであり、より好ましくは2?10mg/Lである。本発明の製造方法に用いられる茶抽出物には、珪素イオンとともに鉄イオンを含んでいてもよい。本発明の製造方法に用いられる茶抽出物に含まれる鉄イオンの含有量は例えば0.01?1.0mg/Lである。本発明の茶飲料に含まれる珪素イオンおよび鉄イオンは、ともに白土由来のものであってよい。」

(A7)「【0018】
本発明の製造方法において加えられる茶葉粉砕物は、茶葉を粉砕したものであれば特に限定されるものではないが、緑茶、烏龍茶、紅茶等の茶葉の粉砕物を用いることができ、好ましくは、抹茶を用いることができる。抹茶とは、茶の新芽を採り、蒸した後、そのまま乾燥してできた葉茶(碾茶)を臼で碾いて、粉末としたものである。抹茶を、茶飲料に加えることにより、製造された茶飲料中のカフェイン含有量が低減した場合であっても、製造される茶飲料の味質の変化、特に金属味をより低減することができ、茶飲料本来のボディ感をより維持することができる。」

(A8)「【0021】
本発明の製造方法により製造される茶飲料中のカフェイン含有量は、非重合カテキンとカフェインとの比を用いて表すことができる。本発明の茶飲料中の非重合カテキンとカフェインとの比(非重合カテキン/カフェイン)は、特に限定されないが、15?150であることが好ましく、20?120であることがより好ましい。」

(A9)「【実施例】
・・・
【0052】
試料溶液(下記表2?5に記載のサンプル溶液)を、メンブレンフィルター(アドバンテック株式会社製)(DISMIC親水性PTFE、0.45μm)で濾過した後に、5%硝酸溶液で10倍希釈してから直接、下記のICP発光分析装置にてミネラル(Siイオン(珪素イオン)およびFeイオン(鉄イオン))の含有量を定量した。
・・・
【0055】
官能評価
下記表2?5に記載されたサンプル(緑茶飲料)について、訓練されたパネリスト6名によって以下に示す評価基準を用いて香味の官能評価を行った。評価結果は6名の平均スコアで示した。また、マスキング効果は、白土処理がなされ、茶葉粉砕物が添加されていないサンプル(緑茶飲料)(対照)の平均スコアから、各茶葉粉砕物添加サンプル(緑茶飲料)の平均スコアを引いてその差を求め、「平均スコア差≦1」の場合には「△」と評価し、「1<平均スコア差<2」の場合には「○」と評価し、「2≦平均スコア差」の場合には「◎」と評価した。
評価基準
0:金属味を全く感じない
1:金属味をわずかに感じる
2:金属味を感じる
3:金属味を強く感じる」

(A10)「【0056】
試験例1
緑茶飲料中の茶葉粉砕物含有量と金属味低減効果との関係
緑茶葉100gに、70℃に加熱したイオン交換水4000gを加えて10分間抽出した。その後、抽出した抽出液から茶葉を取り除き、氷水にて10℃以下に冷却し、緑茶抽出液Aを得た。
【0057】
緑茶抽出液Aに、L-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、下記比較例1の緑茶飲料を得た。比較例1の緑茶飲料の組成および風味評価結果を下記表2に示した。
【0058】
緑茶抽出液Aの400gと、酸性白土ミズカエース#20(水澤化学社製)8gとを混合し、室温(25℃)にて、10分間接触させ、遠心分離機にて固液分離後、メンブランフィルターにてろ過を行い、緑茶抽出液Bを得た。緑茶抽出液Bの400gに、L-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、イオン交換水で1000gとし、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、比較例2の緑茶飲料を得た。また、緑茶抽出液Bの400gに平均粒子径10μmの茶葉粉砕物(抹茶)を0.0005?0.05質量%となるように加え、さらにL-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、イオン交換水で1000gとし、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、実施例1?3の緑茶飲料を得た。比較例2並びに実施例1?3の緑茶飲料の組成および風味評価結果を下記表2に示した。官能評価において、実施例1?3に対する対照を比較例2とした。
【表2】

【0059】
上記表2に記載のとおり、緑茶飲料中の茶葉粉砕物の含有量を、0.0005?0.05質量%まで変更した場合、いずれにおいても緑茶飲料の金属味の低減効果が確認でき、茶葉粉砕物の添加量に比例してマスキング効果を有することがわかる。」

(A11)「【0060】
試験例2
非重合カテキン/カフェインの比およびミネラル成分含有量と、金属味低減効果との関係
緑茶抽出液Aの400gと、酸性白土ミズカエース#20(水澤化学社製)16gとを混合し、室温(25℃)にて、10分間接触させ、遠心分離機にて固液分離後、メンブランフィルターにてろ過を行い、緑茶抽出液Cを得た。緑茶抽出液Cの400gにL-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、イオン交換水で1000gとし、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、比較例3の緑茶飲料を得た。また、緑茶抽出液Cに粒子径10μmの茶葉粉砕物(抹茶)を添加後、L-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、イオン交換水で1000gとし、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、実施例4の緑茶飲料を得た。
さらに、緑茶抽出液Bの200gに水200g、L-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、比較例4の緑茶飲料を得た。また、緑茶抽出液Bの200gに水200gおよび粒子径10μmの茶葉粉砕物(抹茶)を添加後、L-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、イオン交換水で1000gとし、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、実施例5の緑茶飲料を得た。
緑茶抽出液Aの600gと、酸性白土ミズカエース#20(水澤化学社製)12gとを混合し、室温(25℃)にて、10分間接触させ、遠心分離機にて固液分離後、メンブランフィルターにてろ過を行い、緑茶抽出液Dを得た。緑茶抽出液Dの600gにL-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、イオン交換水で1000gとし、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、比較例5の緑茶飲料を得た。また、緑茶抽出液D600gに粒子径10μmの茶葉粉砕物(抹茶)を添加後、L-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、イオン交換水で1000gとし、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、実施例6の緑茶飲料を得た。
比較例2、3、4、および5並びに実施例2、4、5、および6の組成および風味評価結果を下記表3に示した。官能評価において、実施例2、4、5、および6に対する対照を、それぞれ比較例2、3、4、および5とした。
【表3】

【0061】
上記表3の実施例2、4、および5から、緑茶飲料中の茶葉粉砕物の非重合カテキン/カフェインの比が変更された場合であっても、茶葉粉砕物を加えることにより、緑茶飲料の金属味の低減効果を有することがわかる。また、実施例2および実施例6から、緑茶飲料中のミネラル含有量が変更された場合であっても、茶葉粉砕物を加えることにより、共に緑茶飲料の金属味の低減効果を有することがわかる。
【0062】
試験例3
茶葉粉砕物の平均粒子径と金属味低減効果との関係
緑茶抽出液Cに、平均粒子径30μmの茶葉粉砕物(抹茶)を添加後、L-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、UHT殺菌した後、PETボトルに充填し、実施例7を得た。比較例3並びに実施例4および7の組成および風味評価結果を下記表4に示した。なお、茶葉粉砕物の平均粒子径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD-2200(島津製作所製)を用いて測定した。官能評価において、実施例4および7に対する対照を、比較例3とした。
【表4】

【0063】
上記表4に記載のとおり、茶葉粉砕物の平均粒径が5?30μmの範囲で変更された場合であっても、茶葉粉砕物を加えることにより、緑茶飲料の金属味の低減効果を有することがわかる。
【0064】
試験例4
添加した茶葉粉砕物を除去した場合の金属味低減効果の確認
緑茶抽出液Bに、粒子径10μmの茶葉粉砕物(抹茶)を添加後、L-アスコルビン酸および炭酸水素ナトリウムを加え、その後、遠心分離により茶葉粉砕物を除去し、UHT殺菌・PETボトルへの充填を行い、実施例8の緑茶飲料を得た。比較例2、実施例2および8の組成および風味評価結果を下記表5に示した。官能評価において、実施例2および8に対する対照を、比較例2とした。
【表5】

【0065】
上記表5に記載のとおり、緑茶飲料中に茶葉粉砕物を一旦加えた後に除去した場合であっても、緑茶飲料の金属味の低減効果を有することがわかる。」

(4)判断
発明の詳細な説明には、健康志向の高まりから、カフェインを低減した茶飲料が求められているところ(摘記(A2))、白土を用いてカフェインを低減すると白土由来のミネラル成分が溶出し、金属味が生じる問題があったことが記載されている(摘記(A3))。ここで、上記ミネラル成分として、具体的には、珪素イオンと鉄イオンを測定しているから(摘記(A9)【0052】)、上記白土由来のミネラル成分は、珪素イオン、すなわち珪素元素を含むことが理解できる。
そうすると、発明の詳細な説明には、白土を用いて茶飲料のカフェインを低減すると、白土由来の珪素元素を含有するミネラル成分が溶出し、金属味が生じる問題があったことが記載されているといえる。

そこで、本件発明1は、上記(2)のとおりの「茶飲料中のカフェイン量を低減しつつ、茶飲料の味質変化が抑制された、特に茶飲料中の金属味が低減された茶飲料の提供」を課題とし(摘記(A4))、白土処理により珪素元素を含むミネラル成分が溶出された茶抽出物に茶葉粉砕物を加えることで、カフェイン量を低減しつつ、白土処理による金属味が低減された茶飲料が提供できることを見出したものであることが記載されている(摘記(A5))。

そして、珪素イオンは、好ましくは2?10mg/L含まれること(摘記(A6))、カフェイン含有量は、非重合カテキンとカフェインの比を用いて表すことができ、非重合カテキンとカフェインの比(非重合カテキン/カフェイン)は15?150が好ましいこと、カフェイン含有量は2mg/100ml以下、非重合カテキン含有量は15?60mg/100mlが好ましいことが記載されている(摘記(A8))。

さらに、実施例、比較例として具体的な茶飲料が開示され(摘記(A9)?(A11))、評価基準を「0:金属味を全く感じない、1:金属味をわずかに感じる、2:金属味を感じる、3:金属味を強く感じる」として評価した結果、白土処理されていない比較例1は、カフェイン濃度が10.5mg/100ml、珪素イオンの含有量が0.6mg/Lの茶飲料であって、評価結果は「0」と金属味を全く感じないのに対し、白土処理された比較例2は、カフェイン濃度が1.3mg/100mlに低減し、珪素イオンの含有量が3mg/Lに増加し、評価結果は「3」と金属味を強く感じるものであることが記載されている。比較例3?5も同様に、白土処理された茶飲料であって、白土処理されていない比較例1よりもカフェイン濃度が低減し、珪素イオンの含有量が増加し、評価結果は、いずれも「3」と金属味を強く感じるものであることが記載されている。
これら比較例によれば、茶飲料を白土処理すると、カフェインが低減し、珪素元素が溶出し、金属味を感じるものとなることが、具体的な裏付けを伴って発明の詳細な説明に記載されているといえる。

そして、本件発明1の具体例に該当する実施例2、4、6、7の茶飲料は、いずれも白土処理され、カフェイン濃度が低減し、珪素元素が溶出し、上記好ましい茶飲料として記載された「珪素イオンを2?10mg/L、非重合カテキンとカフェインの比(非重合カテキン/カフェイン)は15?150、カフェイン含有量は2mg/100ml以下、非重合カテキン含有量は15?60mg/100ml」の範囲に含まれ、0.005?0.05質量%の茶葉粉砕物を含有する茶飲料であるところ、評価結果は、それぞれ、「1,2」、「1.7」、「1.2」、「1.2」であり、茶葉粉砕物を含有しない比較例2?5の評価結果「3」よりも数値が低く、金属味が低減され、本件発明1の解決しようとする課題を解決することができることが具体的に裏付けられている。

以上によれば、本件発明1、すなわち、「茶葉粉砕物を含む白土処理された茶飲料であって、茶飲料中のカフェイン含有量が2mg/100ml以下であり、非重合カテキン含有量が15?60mg/100mlであり、珪素元素含有量が2.3?4mg/Lであり、かつ茶飲料中の非重合カテキンと、カフェインとの比(非重合カテキン/カフェイン)が15?150であり、茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%である、茶飲料。」は、本件発明1の解決しようとする課題を解決できることが、実施例2、4、6、7に具体的な裏付けを伴って記載されており、特に、白土処理されていない比較例1との対比からみて、カフェイン含有量が低減し、珪素元素含有量が増加したものであり、さらに、茶葉粉砕物を含有しない比較例2?5との対比からみて、白土処理され、カフェイン含有量が減少し、珪素元素含有量が増加した茶飲料が、茶葉粉砕物を0.005?0.05質量%含むことで、上記課題を解決することができると理解できるから、実施例2、4、6、7以外の本件発明1の茶飲料についても、白土処理され、カフェイン含有量が減少し、珪素元素含有量が増加し、カフェイン含有量、非重合カテキン含有量、珪素元素含有量、非重合カテキン/カフェインが本件発明1で特定される範囲であって、茶葉粉砕物を0.005?0.05質量%含む茶飲料であることにより、上記課題を解決することができると当業者は認識できるといえる。
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に、当業者が、本件発明1の解決しようとする課題を解決できると認識できるように記載された範囲のものであり、特許法第36条第6項第1号の規定に適合する。

(5)本件発明2、3について
本件発明2は、本件発明1の茶飲料を緑茶飲料に限定したものであり、本件発明3は、本件発明1または2の茶葉粉砕物を抹茶に限定したものであるところ、発明の詳細な説明に記載された実施例2、4、6、7は、緑茶飲料であり、茶葉粉砕物が抹茶であるから、本件発明2及び3も、発明の詳細な説明に裏付けを伴って記載され、本件発明1と同様に、発明の詳細な説明に、当業者が課題を解決できると認識できるように記載された範囲のものであり、特許法第36条第6項第1号の規定に適合する。

(6)特許異議申立人の意見について
特許異議申立人Aは、意見書において、本件発明で規定される各パラメータを満足すれば、金属味が低減された茶飲料を提供するという課題が解決できることは何ら説明されていないこと(主張ア)、どのような時期に摘採されたどのような種類の茶葉をどのように処理することで課題を解決できるか理解できないことを挙げて(主張イ)、本件特許はサポート要件を満たさないと主張している(意見書第1頁下から5行?第7頁第11行)。
また、特許異議申立人Bは、意見書において、珪素元素含有量を2.3?4mg/Lとする訂正は、実施例1と2の値を下限とし、実施例4の値を上限としたにすぎないので、訂正後の本件発明に含まれるありとあらゆる茶飲料が、課題解決できることを合理的に理解するのは不可能であり、本件特許はサポート要件を満たさないと主張している(主張ウ)(意見書第1頁下から9行?第6頁第8行)。

しかし、上記(4)で述べたとおり、本件発明1は、白土処理され、カフェイン含有量が減少し、珪素元素含有量が増加し、カフェイン含有量、非重合カテキン含有量、珪素元素含有量、非重合カテキン/カフェインが本件発明1で特定される範囲であって、茶葉粉砕物を0.005?0.05質量%含むことで、上記課題を解決することができると当業者は認識することができるものである。そうすると、本件発明1で規定されるパラメータを満足する茶飲料は、本件発明1の解決しようとする課題を解決することができるものであると認識でき(上記主張ア)、珪素元素含有量が2.3?4mg/Lである本件発明1の茶飲料は、本件発明1の解決しようとする課題を解決することができるものであると合理的に理解できるといえる(上記主張ウ)。
また、発明の詳細な説明には、茶葉粉砕物について、茶葉を粉砕したものであれば特に限定されないと記載され(摘記(A7))、茶葉の摘採時期や処理方法によっては、課題を解決できると認識することができないといえるような技術常識も見当たらないから、どのような時期に摘採されたどのような種類の茶葉をどのように処理することで課題を解決できるか理解できないということはない(上記主張イ)。
したがって、異議申立人の主張は、いずれも採用することができない。

(7)取消理由3(サポート要件)について小括
以上のとおり、本件発明1?3は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合するから、本件発明1?3に係る特許を、取消理由3(サポート要件)によって取り消すことはできない。

4 取消理由1(新規性)について
(1)引用例1に記載された発明
記載事項(1a)、(1e)より、引用例1には、次の発明が記載されているといえる(以下、「引用発明1」という。)。

(引用発明1)「茶抽出物に、酸性白土および/または活性白土を接触させる工程を含む方法により得られる精製茶抽出物を含む容器詰め飲料であって、茶抽出物が茶パウダーを含むものである、前記飲料。」

(2)本件発明1と引用発明1の対比
本件発明1と引用発明1を対比すると、引用発明1の「精製茶抽出物を含む容器詰め飲料」は、本件発明1の「茶飲料」に相当し、引用発明1の「茶抽出物に、酸性白土および/または活性白土を接触させる工程を含む方法により得られる」ものであることは、「白土処理された」ものであるといえるから、引用発明1の「茶抽出物に、酸性白土および/または活性白土を接触させる工程を含む方法により得られる精製茶抽出物を含む容器詰め飲料」は、本件発明1の「白土処理された茶飲料」に相当する。
そして、引用発明1の「茶パウダー」は、その定義はされていないが、茶エキスと区別して記載されていることを考慮すると本件発明1の「茶葉粉砕物」に相当する。
以上によれば、本件発明1と引用発明1は、「茶葉粉砕物を含む白土処理された茶飲料。」である点で一致し、次の点で相違する(以下、「相違点1」、「相違点2」という。)。

(相違点1)本件発明1は、「茶飲料中のカフェイン含有量が2mg/100ml以下であり、非重合カテキン含有量が15?60mg/100mlであり、珪素元素含有量が2.3?4mg/Lであり、かつ茶飲料中の非重合カテキンと、カフェインとの比(非重合カテキン/カフェイン)が15?150であるのに対し、引用発明1は、そのようなものであるか不明な点。

(相違点2)本件発明1は、「茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%である」のに対し、引用発明1は、そのようなものであるか不明な点。

(3)相違点の判断
引用例1には、茶パウダーについて「混合しても良い」と記載されているのみであり(記載事項(1e))、「茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%である」ことは記載されていないから、上記相違点2は、実質的な相違点である。
そして、本件明細書には、茶葉粉砕物が添加されない比較例2?5や、茶葉粉砕物の添加量が本件発明1より少ない0.0005質量%である実施例1と比較して、0.005?0.05質量%含有する本件発明1の具体例の実施例2、4、6、7が金属味を低減できることが記載されていることを考慮すれば(摘記(A9)?(A11))、引用発明1において、茶葉粉砕物を0.005?0.05質量%添加することが、当業者の容易に行うこととはいえない。
したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本件発明1が、引用例1に記載された発明であるということはできず、また、引用例1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(4)本件発明2、3について
本件発明2は、本件発明1の茶飲料を「緑茶飲料」に特定するものであり、本件発明3は、本件発明1または2における茶葉粉砕物を「抹茶」に特定するものであるから、引用発明1とは、上記相違点1、2と同じ点で相違するところ、上記相違点2が実質的な相違点であり、当業者が容易に発明をすることができたものでもないことは、上記(3)のとおりである。
したがって、本件発明2、3は、引用例1に記載された発明であるということはできず、また、引用例1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(5)特許異議申立人の意見について
特許異議申立人A、Bは、意見書において、取消理由1は、訂正によっても解消しないと主張しているが(異議申立人Aの意見書第7頁下から10行?第14頁第9行、特許異議申立人Bの意見書第6頁第9行?第10頁第10行)、引用発明1の茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%であることは何ら説明していないので、意見書を検討しても、本件発明が、引用例1に記載された発明であるということはできない。
したがって、特許異議申立人の主張は、採用できない。

(6)取消理由1(新規性)について小括
以上のとおり、本件発明1?3は、引用例1に記載された発明であるといえないから、本件発明1?3に係る特許を、取消理由1(新規性)によって取り消すことはできない。

5 取消理由2(進歩性)について
(1)引用例1に記載された発明
記載事項(1a)より、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明2」という。)。

(引用発明2)「茶抽出物に、酸性白土および/または活性白土を接触させる工程を含む方法により得られる精製茶抽出物を含む容器詰め飲料。」

(2)本件発明1と引用発明2の対比
上記4(2)と同様に対比すると、本件発明1と引用発明2は、「白土処理された茶飲料。」である点で一致し、上記4(2)で述べた相違点1に加えて、以下の点でも相違する(以下、「相違点3」という。)。

(相違点3)本件発明1は、「茶葉粉砕物を含む」ものであって、かつ、「茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%」であるのに対し、引用発明2は、茶葉粉砕物を含むことが特定されていない点。

(3)相違点の判断
引用例1には、白土処理してカフェインを低減した茶抽出物を含む茶飲料が、白土に由来するFeやAlのような金属成分を含み、金属成分による金属味を呈することが記載され(摘記(1b)、(1g))、引用例4?9には、茶飲料に茶葉粉砕物を添加して風味等を改善することが記載され(上記2(4)?(9)))、引用例10には、緑茶に含まれるテアニンを鉄等のミネラルに含有させることにより金属味を改善できることが記載され(摘記(10a)?(10c))、引用例11には、緑茶に含まれるタンニン酸が金属イオンを吸着することが記載されている(摘記(11a))。
しかし、上記引用例1、4?11には、引用発明2に上記相違点1、3の事項を適用する動機付けが記載も示唆もされていない。
すなわち、引用例1には、白土処理されカフェイン含有量が低減した茶飲料が、金属味を呈する問題があることは記載されていても、その問題を解決するために茶葉粉砕物を茶飲料に対して0.005?0.05質量%含むものとすることは記載も示唆もされていない。
そして、引用例4?9には、茶飲料の風味等を改善することは記載されていても、白土処理された茶飲料の金属味を低減することは記載も示唆もされていない。
また、引用例10には、緑茶に含まれるテアニンを含有させることで、ミネラルを製品に添加する際に生じる金属味を改善することは記載されていても、茶葉粉砕物を含有させること、白土処理された茶飲料の金属味を低減することは記載も示唆もされていない。
さらに、引用例11には、緑茶に含まれるタンニン酸が金属イオンを吸着することは記載されていても、茶葉粉砕物を含有させること、白土処理された茶飲料の金属味を低減することは記載も示唆もされていない。
したがって、引用例1、4?11を検討しても、引用発明2において、白土処理された茶飲料の金属味を低減することを目的として、白土処理され、カフェイン含有量、非重合カテキン含有量、珪素元素含有量、非重合カテキン/カフェインが本件発明1で特定される範囲であり、茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%であるものとする動機付けはないから、本件発明1が、引用発明2、及び引用例1、4?11に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
また、その他、引用例1?11全体の記載を検討しても、上記動機付けがあるとはいえない。
よって、本件発明1は、引用例1?11に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)本件発明2、3について
上記(2)と同様に、本件発明2、3と引用発明2は、上記相違点1、3の点で相違し、相違点1、3が容易に発明をすることができたものではないことは、上記(3)のとおりである。
したがって、本件発明2及び3は、引用例1?11に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)特許異議申立人の意見について
特許異議申立人A、Bは、飲料の風味などを改善する目的で引用発明2に茶葉粉砕物を配合することは容易であり、その配合量は、目的とする飲料の風味などに応じ適宜設計できる事項であること、実施例、比較例を検討しても、0.005?0.05質量%とすることによって顕著な効果を奏するとは理解できないことを挙げて、本件発明は、当業者が容易に発明をすることができたものであると主張している(特許異議申立人Aの意見書第14頁第10行?第20頁第18行、特許異議申立人Bの意見書第10頁第11行?第18頁第17行)。
しかし、上記(3)で述べたとおり、風味などを改善する目的で茶葉粉砕物を配合することが引用例に記載されていても、白土処理された茶飲料の金属味を低減することは記載も示唆もされていないから、引用発明2において、白土処理された茶飲料の金属味を低減することを目的として、白土処理され、カフェイン含有量、非重合カテキン含有量、珪素元素含有量、非重合カテキン/カフェインが本件発明1で特定される範囲であって、茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%含まれるものとする動機付けはなく、本件発明が、引用例1?11に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
したがって、特許異議申立人の主張は、採用することができない。

(6)取消理由2(進歩性)について小括
以上のとおり、本件発明1?3は、引用例1?11に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1?3に係る特許は、取消理由2によって取り消すことはできない。

6 取消理由通知書に記載した取消理由について小括
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由によって、本件特許を取り消すことはできない。

第5 取消理由で採用しなかった特許異議申立人が主張する取消理由について
1 取消理由で採用しなかった特許異議申立人が主張する取消理由
取消理由で採用しなかった特許異議申立人が主張する取消理由の概略は、以下のとおりである。

(1)実施可能要件違反
発明の詳細な説明には、本件発明の具体例で使用された茶葉の種類、摘採期、生育条件、及び加工方法等が記載されていないところ、茶葉に含まれるカフェインや非重合カテキンの含有量は、上記茶葉の種類等によって大きく変動するから、どのような茶葉によれば、本件発明に規定するカフェイン含有量、非重合カテキン含有量、非重合カテキンとカフェインの比を満たす茶飲料が得られるか不明であり、また、白土処理された茶飲料の鉄イオン濃度は、大きく変動し金属味の程度を左右するから、本件発明を実施するにあたり当業者に過度の試行錯誤を要し、発明の詳細な説明は、本件発明を実施することができる程度に、明確かつ十分に記載したものとはいえない(特許異議申立人Aの特許異議申立書第48頁下から8行?第49頁下から6行)。

(2)委任省令要件
本件発明は、珪素元素含有量を特定しているが、茶飲料中の珪素元素含有量は、金属味の原因でも金属味を低減する作用効果を有するものでもなく、本件明細書には、珪素元素含有量と本件発明の課題との関係を説明する記載もないから、珪素元素含有量が特定の範囲であることの技術上の意義が不明であり、発明の詳細な説明の記載は、委任省令要件を満たしていない(特許異議申立人Aの特許異議申立書第49頁下から5行?第50頁第5行)。

2 判断
(1)実施可能要件違反
茶飲料に含まれるカフェインや非重合カテキンの含有量の測定方法は周知であるから、茶葉の種類によって含まれるカフェインや非重合カテキンの含有量が変動するとしても、当業者であれば、これらの含有量を測定しながら茶葉の種類、茶葉の使用量、茶葉の抽出条件、白土処理条件を検討するなどして、本件発明で特定されるカフェイン含有量、非重合カテキン含有量、及び非重合カテキンとカフェインとの比(非重合カテキン/カフェイン)を満足する茶飲料を調製できるといえる。
また、白土処理により溶出するミネラル成分は、白土の添加量が増えることで増加すると認められるから、白土の添加量を検討して本件発明の珪素元素含有量とすることも当業者であれば容易に実施できるといえる。
したがって、本件発明は、実施可能要件を満足するから、この理由により、本件特許を取り消すことはできない。

(2)委任省令要件
茶飲料を白土処理する際に、添加する白土が多ければ、白土から溶出する珪素分が多くなり、同時に、珪素分と同じくミネラル成分であって、金属味の原因となる鉄イオンの溶出も多くなることが推認される。
そうすると、本件発明で特定される珪素元素含有量を満足する茶飲料であれば、使用する白土の種類によるものの含有される鉄イオンもある程度の範囲となるといえ、珪素元素含有量は間接的に鉄イオンの含有量を表しているといえる。
したがって、珪素元素含有量の特定の技術上の意義が不明であるとはいえないから、この理由により、本件特許を取り消すことはできない。

3 小括
以上のとおり、取消理由で採用しなかった特許異議申立人が主張する取消理由によっても、本件特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に、本件特許の請求項1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件特許の請求項4に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人A及びBによる特許異議の申立てについて、請求項4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶葉粉砕物を含む白土処理された茶飲料であって、茶飲料中のカフェイン含有量が2mg/100ml以下であり、非重合カテキン含有量が15?60mg/100mlであり、珪素元素含有量が2.3?4mg/Lであり、茶飲料中の非重合カテキンと、カフェインとの比(非重合カテキン/カフェイン)が15?150であり、かつ茶葉粉砕物が茶飲料に対して0.005?0.05質量%である、茶飲料。
【請求項2】
緑茶飲料である、請求項1に記載の茶飲料。
【請求項3】
茶葉粉砕物が抹茶である、請求項1または2に記載の茶飲料。
【請求項4】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-12-08 
出願番号 特願2017-90315(P2017-90315)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (A23F)
P 1 651・ 536- YAA (A23F)
P 1 651・ 537- YAA (A23F)
P 1 651・ 121- YAA (A23F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 柴原 直司  
特許庁審判長 中島 庸子
特許庁審判官 大熊 幸治
井上 千弥子
登録日 2019-01-25 
登録番号 特許第6469756号(P6469756)
権利者 キリンビバレッジ株式会社
発明の名称 茶飲料の製造方法  
代理人 反町 洋  
代理人 宮嶋 学  
代理人 中村 行孝  
代理人 柏 延之  
代理人 反町 洋  
代理人 永井 浩之  
代理人 藤井 宏行  
代理人 藤井 宏行  
代理人 朝倉 悟  
代理人 柏 延之  
代理人 永井 浩之  
代理人 朝倉 悟  
代理人 中村 行孝  
代理人 宮嶋 学  

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