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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1372273
審判番号 不服2020-6661  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-15 
確定日 2021-03-18 
事件の表示 特願2016-157455号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 2月15日出願公開、特開2018- 23605号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成28年8月10日の出願であって、平成30年6月7日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月3日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年1月15日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年2月7日に意見書及び手続補正書が提出され、令和1年7月18日付けで最後の拒絶の理由が再度通知され、同年9月17日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和2年2月12日付け(謄本送達日:同年同月18日)で、令和1年9月17日提出の手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和2年5月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年5月15日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、平成31年2月7日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「遊技を行う遊技機であって、
遊技者が操作可能な複数の操作部と、
前記操作部の操作に対応する操作処理を実行可能な操作処理実行手段と、
特定期間において楽曲を再生可能な楽曲再生手段を備え、
遊技に関する演出について、遊技者による前記操作部の操作に基づく演出調整が可能であり、
前記操作部は、第1操作部と第2操作部とを含み、
前記操作処理実行手段は、
前記第1操作部において第1操作態様の操作または該第1操作態様とは操作態様が異なる第2操作態様の操作があった場合には、各操作態様に対応した対応操作処理を実行し、
前記第2操作部において第3操作態様の操作があった場合には、該第3操作態様に対応した対応操作処理を実行する一方、前記第3操作態様とは操作態様が異なる第4操作態様の操作があった場合には、該第4操作態様に対応しない非対応操作処理を実行し、
前記特定期間において再生される楽曲を複数種類の楽曲のうちから選択可能であり、
前記楽曲再生手段は、楽曲選択時においては選択中の楽曲の一部であって該楽曲の先頭とは異なる特定部を再生し、
前記演出調整の際に、調整状況に関する状況表示を表示可能であり、
第1状態では、前記演出調整のための操作の有無に関わらず前記状況表示を視認可能に表示し、
前記第1状態と異なる状態であって特定演出を実行する第2状態では、前記演出調整のための操作がない場合は前記状況表示を視認困難または視認不可能とし、前記演出調整のための操作があった場合に所定条件が成立するまで前記状況表示を視認可能に表示する
ことを特徴とする遊技機。」 とあったものを、

「遊技を行う遊技機であって、
遊技者が操作可能な複数の操作部と、
前記操作部の操作に対応する操作処理を実行可能な操作処理実行手段と、
特定期間において楽曲を再生可能な楽曲再生手段と、を備え、
遊技に関する演出について、遊技者による前記操作部の操作に基づく音量調整が可能であり、
前記操作部は、第1操作部と第2操作部とを含み、
前記操作処理実行手段は、
前記第1操作部において第1操作態様の操作または該第1操作態様とは操作態様が異なる第2操作態様の操作があった場合に、各操作態様に対応した対応操作処理を実行し、
前記第2操作部において第3操作態様の操作があった場合に、該第3操作態様に対応した対応操作処理を実行する一方、前記第3操作態様とは操作態様が異なる第4操作態様の操作があった場合に、該第4操作態様に対応しない非対応操作処理を実行し、
前記特定期間において再生される楽曲を複数種類の楽曲のうちから選択可能であり、
前記楽曲再生手段は、楽曲選択時においては選択中の楽曲の一部であって該楽曲の先頭とは異なる特定部を再生し、
前記音量調整の際に、調整状況に関する状況表示を表示可能であり、
第1状態において、前記音量調整のための操作の有無に関わらず前記状況表示を視認可能に表示し、
前記第1状態と異なる状態であって特定演出を実行する第2状態において、前記音量調整のための操作がない場合は前記状況表示を視認困難または視認不可能とし、前記音量調整のための操作があった場合に所定条件が成立するまで前記状況表示を視認可能に表示し、
前記第1状態において前記音量調整のための操作があった場合に、前記所定条件が成立しても前記状況表示の表示を継続する
ことを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

2 補正の適否について
補正の目的
ア 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「演出調整」を「音量調整」と下位概念にして限定するものである。

イ 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1状態」に関し、「前記第1状態において前記音量調整のための操作があった場合に、前記所定条件が成立しても前記状況表示の表示を継続する」ものに限定するものである。

ウ 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「楽曲再生手段を備え、」を「楽曲再生手段と、を備え、」と、同じく「操作があった場合には、」を「操作があった場合に、」と、同じく「状態では」を「状態において」と、それぞれ補正するものであり、いずれも表現振りを変えるのみで、補正前後で実質的な意味が相違しないものである。

エ 上記アないしウからみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0009】、【0211】、【0214】ないし【0219】、【0282】、【0448】、【0469】、【0470】及び図16、22等の記載の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、記号AないしKは、分説するため合議体が付した。記号A等が付された事項を以下「特定事項A」等という。)。
「A 遊技を行う遊技機であって、
B 遊技者が操作可能な複数の操作部と、
C 前記操作部の操作に対応する操作処理を実行可能な操作処理実行手段と、
D 特定期間において楽曲を再生可能な楽曲再生手段と、を備え、
E 遊技に関する演出について、遊技者による前記操作部の操作に基づく音量調整が可能であり、
B1 前記操作部は、第1操作部と第2操作部とを含み、
C1 前記操作処理実行手段は、
前記第1操作部において第1操作態様の操作または該第1操作態様とは操作態様が異なる第2操作態様の操作があった場合に、各操作態様に対応した対応操作処理を実行し、
C2 前記第2操作部において第3操作態様の操作があった場合に、該第3操作態様に対応した対応操作処理を実行する一方、前記第3操作態様とは操作態様が異なる第4操作態様の操作があった場合に、該第4操作態様に対応しない非対応操作処理を実行し、
C3 前記特定期間において再生される楽曲を複数種類の楽曲のうちから選択可能であり、
F 前記楽曲再生手段は、楽曲選択時においては選択中の楽曲の一部であって該楽曲の先頭とは異なる特定部を再生し、
G 前記音量調整の際に、調整状況に関する状況表示を表示可能であり、
H 第1状態において、前記音量調整のための操作の有無に関わらず前記状況表示を視認可能に表示し、
I 前記第1状態と異なる状態であって特定演出を実行する第2状態において、前記音量調整のための操作がない場合は前記状況表示を視認困難または視認不可能とし、前記音量調整のための操作があった場合に所定条件が成立するまで前記状況表示を視認可能に表示し、
J 前記第1状態において前記音量調整のための操作があった場合に、前記所定条件が成立しても前記状況表示の表示を継続する
K ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-217100号公報(平成27年12月7日出願公開、以下「引用例1」という。)には、遊技台(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)、回胴遊技機(スロットマシン)または封入式遊技機(パチンコ機)に代表される遊技台に関する。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技台は、演出手段について改良の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、演出手段に特徴を持った遊技台を提供することにある。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明の一実施の形態に係る遊技台(例えば、パチンコ機100等の弾球遊技機や封入式遊技機、スロット機等の回胴遊技機)について詳細に説明する。まず、図1を用いて、本実施の形態に係るパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。パチンコ機100は、外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、球貯留皿付扉108と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面に備える。
・・・略・・・
【0012】
球貯留皿付扉108は、パチンコ機100の前面において本体104の下側に対して、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。球貯留皿付扉108は、複数の遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある)が貯留可能で且つ発射装置110へと遊技球を案内させる通路が設けられている上皿126と、上皿126に貯留しきれない遊技球を貯留する下皿128と、遊技者の操作によって上皿126に貯留された遊技球を下皿128へと排出させる球抜ボタン130と、遊技者の操作によって下皿128に貯留された遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出させる球排出レバー132と、遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤200の遊技領域124へと打ち出す球発射ハンドル134と、遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、設定者(例えば、パチンコ機100の製造工場の作業者、遊技店員、遊技者)の操作によって遊技に関する設定(例えば、時刻の設定、演出内容の設定)を行う操作手段700(後述)と、遊技店に設置されたカードユニット(CRユニット)に対して球貸し指示を行う球貸操作ボタン140と、カードユニットに対して遊技者の残高の返却指示を行う返却操作ボタン142と、遊技者の残高やカードユニットの状態を表示する球貸表示部144と、を備える。また、下皿128が満タンであることを検出する不図示の下皿満タンセンサを備える。」

(ウ)「【0195】
第1副制御部400は、ステップS1101で選択演出開始タイミングであると判断したらステップS1103に移行し、選択演出開始タイミングでないと判断したら選択演出制御処理を終了する。ステップS1103に移行した場合には第1副制御部400は、選択演出の表示を行う。選択演出の表示例としては、例えば、装飾図柄表示装置208の所定位置に、遊技者が選択して実行されている演出(例えば、スピーカ120による曲の演奏)の説明(曲名や曲の説明等)を表示することが含まれる。また、遊技者が選択可能な演出を表示することも選択演出の表示に含まれる。例えば、遊技者に複数の演出からいずれかを選択させるための演出リストの表示や、遊技者に選択を促すための表示(例えばチャンスボタン136の押下を促す表示)も選択演出の表示に含まれる。
【0196】
選択演出を表示したら、第1副制御部400は、遊技者による選択操作が行われたか否かを判断する(ステップS1105)。選択操作の例としては、例えば、チャンスボタン136の押下、方向キー139のいずれかのキーの押下等が含まれる。ステップS1105で選択操作がないと判断したら、第1副制御部400は、ステップS1109に移行し、現在実行中の演出(例えば、図18の演出A、演出α)の継続処理を行って選択演出制御処理を終了する。ステップS1105で選択操作があったと判断したら、第1副制御部400は、ステップS1107に移行し、演出開始タイミングであるか否かを判断する。ステップS1107で演出開始タイミングでないと判断したら、第1副制御部400は、ステップS1109に移行し、現在実行中の演出(例えば、図18の演出A、演出α)の継続処理を行って選択演出制御処理を終了する。ステップS1107で演出開始タイミングであると判断したら、第1副制御部400は、ステップS1111に移行し、選択された演出(例えば、図18の演出B、演出β)を実行させる処理をして選択演出制御処理を終了する。」

(エ)「【0288】
図36は、本実施形態による実施例6におけるパチンコ機100の操作手段700を示している。図36は、操作手段700を上方から見た外観を示している。操作手段700は、操作部702を有している。操作部702は、チャンスボタン136、設定操作部139、操作部装飾部材720、チャンスボタンランプ138(図1参照)、球抜ボタン130、およびチャンスボタンの検出部(押下検出センサ)724(図4参照)を有している。
・・・略・・・
【0291】
図36に示すように、チャンスボタン136は、操作部装飾部材720内の左よりに配置されている。チャンスボタン136の右側には設定操作部139が配置されている。設定操作部139は、遊技者による押下が可能な押ボタン式のスイッチとして、確定(OK)ボタン139aと、確定ボタン139aの後方に位置する上ボタン139bと、確定ボタン139aの前方に位置する下ボタン139cと、確定ボタン139aの右方に位置する右ボタン139dと、確定ボタン139aの左方に位置する左ボタン139eと、右ボタン139dのさらに右方に位置するキャンセル(クリア)ボタン139fとを備えている。また設定操作部136は、各ボタン139b?139fのそれぞれの押下を検出する操作部センサを備えている。本例の設定操作部139は、各ボタン139b?139fおよび操作部センサが一体化したユニット構造を有している。遊技者は、各ボタン139b?139fを操作して遊技者の固有識別情報を入力し、自己の遊技者情報等を外部サーバーに蓄積することができる。
・・・略・・・
【0294】
図37は、本実施形態による実施例6におけるパチンコ機100の時間的動作を示している。図37の横軸は時系列を示しており左から右に向かって時が経過している。図37の上段のt0?t7は種々の操作、あるいは演出開始や終了等の時点を示している。図37の中段は、上から順に第一の演出手段と第二の演出手段による種々の演出の実行状態を示している。本例の第一の演出手段は装飾図柄表示装置208を含み、第二の演出手段はスピーカ120を含んでいる。第一および第二の演出手段での演出選択のために第一の操作手段が用いられる。本例の第一の操作手段は例えば操作手段700のチャンスボタン136を含んでいる。図37の下段は、第三の演出手段による種々の演出の実行状態を示している。本例の第三の演出手段は演出表示装置915を含んでいる。第三の演出手段での演出選択のために第二の操作手段が用いられる。本例の第二の操作手段は例えば操作手段700の設定操作部139を含んでいる。設定操作部139の各ボタン139a?139eのいずれかの押下で第二の操作手段による演出選択が行われる。」

(オ)「【0424】
次に図61?図78を用いて実施例11?実施例19について説明する。まず始めに、これ以降の実施例において用いる図面に図示された構成のうちほぼ共通に用いられる構成について主として図61(a)と図61(g)を例にとって説明する。図61(a)には、図3に示すパチンコ機100の遊技盤200の一部を構成する装飾図柄表示装置208と、特図1表示装置212、特図2表示装置214、普図表示装置210、特図1保留ランプ218、特図2保留ランプ220、および普図保留ランプ216とが模式的に示されている。特図1表示装置212、特図2表示装置214、普図表示装置210、特図1保留ランプ218、特図2保留ランプ220、および普図保留ランプ216は装飾図柄表示装置208の下方に示され、特図2表示装置214は特図1表示装置212の右側に示され、普図表示装置210は特図2表示装置214の右側に示されている。特図1保留ランプ218は特図1表示装置212の上側に示され、特図2保留ランプ220は特図2表示装置214の上側に示され、普図保留ランプ216は普図表示装置210の上側に示されている。また、特図1表示装置212、特図2表示装置214、普図表示装置210、特図1保留ランプ218、特図2保留ランプ220、および普図保留ランプ216の消灯部分は白抜きで表し、点灯部分は黒塗りで表している。なお本実施例における普図の保留は最大4個まで溜めることができるので、普図保留ランプ216のLEDは4個設けられている。
・・・略・・・
【0432】
(実施例11)
本実施の形態の実施例11によるパチンコ機100における特図変動遊技と大当り遊技について図61?図65を用いて説明する。まず始めに、図61と図62を用いて特図変動遊技の結果が大当りになる場合の一連の演出の流れの例について説明する。図61(a)?図62(h)はこの順に、特図変動遊技を時系列で示している。なお、特図変動遊技を時系列で示す図において、ある図と次の図との間の時間経過は各図間において必ずしも一致していない。
・・・略・・・
【0438】
図61(g)は、演出表示領域208dでボタン演出の表示が開始された状態を示している。演出表示領域208dの中央部に横長の長方形のボタン演出領域が確保されて、当該ボタン演出領域内の左側四分の一の領域にキャラクタ画像が表示され、残り四分の三の領域でボタン画像と有効期間画像とが表示されるボタン表示が実行されている。有効期間画像はボタン画像の下部に表示されている。ボタン演出領域の表示優先度は図柄表示領域208a?208cの表示優先度より高く設定されている。このため、ボタン演出領域の画像により、ボタン演出領域の後ろ側の図柄表示領域208a?208cの図柄変動表示は隠されて視認不可能になっている。図61(g)に示す画像を見ることにより遊技者はボタン演出が開始されたことを知るが、この段階では操作有効期間のカウントダウンが開始していないボタン操作受付不可状態にあるため、チャンスボタン136を押下しても押下の操作は受付けられない。
【0439】
図61(h)は、図61(g)に示すボタン表示が開始してから所定時間(例えば、0.5秒)が経過したボタン操作受付許可状態を示している。ボタン演出領域内の表示は変化していないが、この段階では操作有効期間のカウントダウンが開始されているため、チャンスボタン136を押下すると押下の操作は受付けられる。
【0440】
図61(i)は、ボタン操作の受付有効期間が少し経過しており、有効期間画像の表示の棒状部分が右方向に幾分短くなった状態を示している。
【0441】
図61(j)は、遊技者がチャンスボタン136を押下して、当該押下が受付られて行われるボタン演出の表示を例示している。ボタン画像と有効期間画像は消去され、ボタン演出領域内の右側四分の三の領域に「チャンスだ!!」の文字列の画像が表示される。この文字列画像の表示は、当該特図変動遊技の結果の予告報知であってもよい。また、SP(スーパー)リーチ演出に発展する可能性の予告報知であってもよい。本例ではこの文字列画像の表示を以ってボタン演出の表示が終了する。
・・・略・・・
【0472】
図65(a)は、図64(a)から引き続いた状態を示しており、演出選択演出が開始された状態を示している。装飾図柄表示装置208の画像表示領域のほぼ全面が演出表示領域208dになっており、演出表示領域208dの中央部に横長長方形の枠画像が表示されている。当該枠画像内のほぼ全域は、ムービー再生用の表示領域となっている。また、当該表示領域の下部には、演出のタイトルを示す文字列画像が表示されている。演出のタイトルは、装飾図柄表示装置208で実行される第一の演出として選択可能なムービーのムービー名と、スピーカ120で実行される第三の演出として選択可能な曲の曲名を示している。後述するように第三の演出は第一の演出に対応する演出になっている。本実施例における演出選択演出では、第一の期間の期間中に第一の演出が選択されて実行される。また、第三の期間の期間中に第三の演出が選択されて実行される。本実施例における第一の期間と第三の期間は共に、図65(a)に示す演出選択演出が開始された時点から、後述するようにチャンスボタン136が押下されて図65(h)に示すフェードアウト処理が完了して演出選択演出が終了する時点までの期間である。
【0473】
演出表示領域208dの左上隅には、大当り遊技で実行させる大当り演出を遊技者が選択することを促すために、「演出を選択してください」の文字列画像が表示されている。また、演出表示領域208dの左下隅には、方向キー139を模した方向キー画像が表示され、その右側にはチャンスボタン136を模したボタン画像が表示されている。方向キー画像の下方には、「選択」の文字列画像が表示され、方向キー139を操作することにより、選択可能な演出として実行されている演出を他の演出に変更できることを報知している。また、ボタン画像の下方には、「決定」の文字列画像が表示され、チャンスボタン136を押下することにより、第一の期間の終了後に開始される第二の期間で実行される第二の演出、および第三の期間の終了後に開始される第四の期間で実行される第四の演出を決定できることを報知している。また、演出表示領域208dの右上隅には、演出選択演出が実行されているラウンドのラウンド数が示されている。本例では、「1R」の文字列画像が表示されて、ラウンド数が「1」であることが報知されている。演出表示領域208dの右下隅には「装飾7」が表示されて、当該大当りが「装飾7-装飾7-装飾7」の図柄組合せで停止表示されていたことが確認的に表示されている。」

(カ)「【0599】
(実施例13)
本実施の形態の実施例13によるパチンコ機100における特図変動遊技と大当り遊技について図61?図64(ただし、図64(b)は第2ラウンド目であるものとする)、図71を用いて説明する。図61?図64については、実施例11で説明しているので、ここではその説明を省略する。
【0600】
図71を用いて、第二の演出と第四の演出を含む大当り演出の実行を決定するために、図64(a)と図64(b)の間の期間で行われる大当り演出について説明する。図71(a)?(h)に示す大当り演出はこの順に、第一の演出と第三の演出を選択し、大当り遊技で実行させる第二の演出と第四の演出を選択する演出選択演出を時系列で示している。また、図71(i)は、演出選択演出で選択された第二の演出と第四の演出を含む大当り演出が開始された状態を示している。なお、これらの図において、ある図と次の図との間の時間経過は各図間において必ずしも一致していない。
【0601】
図71(a)は、図64(a)から引き続いた状態を示しており、演出選択演出が開始された状態を示している。第一の演出手段の一例として表示手段である装飾図柄表示装置208の画像表示領域のほぼ全面が演出表示領域208dになっており、演出表示領域208dの中央部に横長長方形の枠画像が表示されている。当該枠画像内のほぼ全域は、ムービー再生用の表示領域となっている。また、当該表示領域の下部には、演出のタイトルを示す文字列画像が表示されている。演出のタイトルは、装飾図柄表示装置208で実行される第一の演出として選択可能なムービーのムービー名と、第二の演出手段の一例として音出力手段であるスピーカ120で実行される第三の演出として選択可能な曲の曲名を示している。後述するように第三の演出は第一の演出に対応する演出になっている。演出選択演出では、第一の期間の期間中に第一の演出が選択されて実行される。また、第三の期間の期間中に第三の演出が選択されて実行される。本実施例における第一の期間と第三の期間は共に、図71(a)に示す演出選択演出が開始された時点から、図71(h)に示すようにフェードアウト処理が完了(演出表示領域208dが完全に白色に変化する)して演出選択演出が終了する時点までの期間である。
【0602】
演出表示領域208dの左上隅には、大当り遊技で実行させる大当り演出を遊技者が選択することを促すために、「演出を選択してください」の文字列画像が表示されている。また、演出表示領域208dの左下隅には、方向キー139を模した方向キー画像が表示され、その右側にはチャンスボタン136を模したボタン画像が表示されている。方向キー画像の下方には、「選択」の文字列画像が表示され、方向キー139を操作することにより、選択可能な演出として実行されている演出を他の演出に変更できることを報知している。また、ボタン画像の下方には、「決定」の文字列画像が表示され、チャンスボタン136を押下することにより、第一の期間の終了後に開始される第二の期間で実行される第二の演出、および第三の期間の終了後に開始される第四の期間で実行される第四の演出を決定できることを報知している。また、演出表示領域208dの右上隅には、演出選択演出が実行されているラウンドのラウンド数が示されている。本例では、「1R」の文字列画像が表示されて、ラウンド数が「1」であることが報知されている。演出表示領域208dの右下隅には「装飾7」が表示されて、当該大当りが「装飾7-装飾7-装飾7」の図柄組合せで停止表示されていたことが確認的に表示されている。
【0603】
枠画像内には、第一の期間の期間中に表示される複数の演出のうちの一つの演出として、ムービー名が「そこにあるかもしれない」の姫のキャラクタが登場するムービーに対応した静止画を表示する演出Hが実行されている。本例での演出Hは、演出選択演出用の静止画であり、ムービーに表示されない画像である。このとき、スピーカ120からは曲は流れておらず無音状態である。次いで所定期間経過後(例えば、0.5秒後)に画像の一時停止が解除されて、枠画像内では動画によるムービー演出が開始される。当該ムービー演出の開始に同期してスピーカ120からは、第三の期間の期間中に表示される複数の演出のうちの一つの演出として、曲名が「そこにあるかもしれない」の曲が流れる演出Oの実行が開始されるが、本例の演出Oでは、曲の途中にあるサビの部分を先頭から流す演出態様になっている。本例ではその後、演出Hと演出Oによる演出選択演出の実行中に遊技者による1回目(最初)の方向キー139の操作が行われる。本例では、動画によるムービー演出が開始されてから、方向キー139の操作が行われているが、動画によるムービー演出が開始される前に方向キー139の操作が行われてもよい。なお、本例では、動画によるムービー演出の開始と曲の開始が同期しているが、同期していなくてもよい。なお、演出Hおよび/または演出Iは、ムービーの途中の画像が一時停止の状態で表示されていてもよい。また、曲またはムービーうちの一方が途中から開始され、他方が最初から開始されるようにしてもよい。
【0604】
図71(b)は、演出選択演出が実行されており、演出Hと演出Oによる演出選択演出の実行中に、遊技者による1回目の方向キー139の操作が行われた後の状態を示している。方向キー139が操作されるとフェードアウト処理が開始される。フェードアウト処理により、枠画像内は徐々に白色に変化して演出Hの表示が視認不可能になり、これと同期してスピーカ120から流れる曲が徐々に小さくなって無音状態となり演出Oの演奏が聴取不可能になる。なお、フェードアウト処理に代えて切り替え用の演出を実行させてもよい。
【0605】
図71(c)は、フェードアウト処理後の演出選択演出が実行された状態を示している。枠画像内では演出Iの実行が開始され、スピーカ120では演出Pの実行が開始されている。方向キー139が操作された結果、このように演出Hから演出Iへ、演出Oから演出Pへの演出の切り替えが行われる。枠画像内のムービー再生用の表示領域の下部には、演出のタイトルを示す文字列画像が表示されている。
【0606】
枠画像内では、第一の期間の期間中に表示される複数の演出のうちの一つの演出として、ムービー名が「キセキの宇宙」の爺のキャラクタが登場するムービーに対応した静止画を表示する演出Iの実行が開始される。本例での演出Iは、演出選択演出用の静止画であり、ムービーに表示されない画像である。このとき、スピーカ120からは曲は流れておらず無音状態である。次いで所定期間経過後(例えば、0.5秒後)に画像の一時停止が解除されて、枠画像内では動画によるムービー演出が開始される。当該ムービー演出の開始に同期して、スピーカ120からは、第三の期間の期間中に表示される複数の演出のうちの一つの演出として、曲名が「キセキの宇宙」の曲が流れる演出Pが開始されるが、本例では曲の途中にあるサビの部分から実行されている。
【0607】
図71(d)は、図71(c)に引き続いて演出Iと演出Pによる演出選択演出が実行されている状態を示している。スピーカ120からは、サビの部分が引き続き流れており、枠画像内では、曲に対応した演出が表示されている。本例ではその後、演出Iと演出Pによる演出選択演出の実行中に遊技者による2回目の方向キー139の操作が行われる。
【0608】
図71(e)は、演出選択演出が実行されており、演出Iと演出Pによる演出選択演出の実行中に、遊技者による2回目の方向キー139の操作が行われた後の状態を示している。方向キー139が操作されるとフェードアウト処理が開始される。フェードアウト処理により、枠画像内は徐々に白色に変化して演出Iの表示が視認不可能になり、これと同期してスピーカ120から流れる曲が徐々に小さくなって無音状態となり演出Pの演奏が聴取不可能になる。なお、フェードアウト処理に代えて切り替え用の演出を実行させてもよい。
【0609】
図71(f)は、フェードアウト処理後の演出選択演出が実行されている状態を示している。枠画像内では演出Hの実行が開始され、スピーカ120では演出Oの実行が開始さ
れている。方向キー139が操作された結果、このように演出Iから演出Hへ、演出Pから演出Oへの演出の切り替えが行われる。枠画像内のムービー再生用の表示領域の下部には、演出のタイトルを示す文字列画像が表示されている。
【0610】
枠画像内には、第一の期間の期間中に表示される複数の演出のうちの一つの演出として、ムービー名が「そこにあるかもしれない」の姫のキャラクタが登場するムービーを表示する演出Hが実行されている。本例での演出Hは、ムービーの途中の画像が一時停止の状態で表示されている。このとき、スピーカ120からは曲は流れておらず無音状態である。次いで所定期間経過後(例えば、0.5秒後)に画像の一時停止が解除されて、枠画像内では動画によるムービー演出が開始される。当該ムービー演出の開始に同期してスピーカ120からは、第三の期間の期間中に表示される複数の演出のうちの一つの演出として、曲名が「そこにあるかもしれない」の曲の途中のサビの部分から実行されている。なお、本例では、動画によるムービー演出の開始と曲の開始が同期しているが、同期していなくてもよい。本例ではその後、演出Hと演出Oによる演出選択演出の実行中に、第1ラウンドが終了する。
【0611】
図71(g)は、アタッカ234が閉鎖して第1ラウンドが終了した直後の演出選択演出の状態を示している。図71(g)から次の図71(h)の間の期間をラウンド間インターバルと呼ぶ。図68および図69を用いて説明したように、ラウンド数が「1」であることを報知している「1R」の文字列画像は、ラウンド間インターバルでは消去されている。
【0612】
図71(g)に示すように、チャンスボタン136が押下されることなしにアタッカ234が閉鎖して第1ラウンドが終了すると、動画によるムービー演出は中断され停止状態となり、ムービーの途中の画像が静止画の状態で表示される。また、スピーカ120から流れる曲も中断され停止状態となる。チャンスボタン136の押下がない場合は第1ラウンドの終了により、図71(f)で開始した演出Hが第一の演出として決定され、図71(f)で開始した演出Oが第三の演出として決定される。第三の演出の曲名は第一の演出のムービー名と同一であり、第三の演出は第一の演出に対応する演出である。また、第1ラウンドの終了により、図71(i)から開始される第二の期間で実行される第二の演出が決定され、図71(i)から開始される第四の期間で実行される第四の演出が決定される。さらに、遊技者の注意を枠画像内のムービー表示に向かわせるように、枠画像の枠部分の幅も太く表示される。これにより、第一の演出として演出Hが決定されたことが報知される。なお、演出Hは静止画表示(停止状態)のままでもよいし、再度動画表示に移行してもよい。また、演出Hが動画表示に移行した場合には、スピーカ120からは曲名が「そこにあるかもしれない」の曲の途中のサビの部分から流れる演出Oの実行が開始されてもよい。
【0613】
図71(h)は、第1ラウンドが終了して第2ラウンドが開始され、演出Hと演出Oによる演出選択演出が終了した状態を示している。演出表示領域208dの右上隅には、大当り演出が実行されているラウンドのラウンド数「2R」の文字列画像が表示されている。第1ラウンドが終了すると、フェードアウト処理が開始される。フェードアウト処理により、演出表示領域208dが徐々に白色に変化して演出Hの表示が視認不可能になる。フェードアウト処理が完了して演出選択演出が終了する。また、フェードアウト処理が完了して第一の期間と第三の期間が終了する。
【0614】
演出選択演出の終了とともに、ムービー画像の表示、「演出を選択してください」の文字列画像、方向キー画像、およびボタン画像は非表示になるが、「2R」の文字列画像と「装飾7」の表示による大当り演出は実行され続けている。
【0615】
図71(i)は、第2ラウンドでアタッカ234が開放した後に演出選択演出で選択された第二の演出と第四の演出を含む大当り演出が開始された状態を示しており、図64(c)へ引き続く図64(b)と同一の状態を示している。図71(i)から開始される第二の期間では、演出表示領域208dのほぼ全面で、ムービー名が「そこにあるかもしれない」の姫のキャラクタが登場するムービーが先頭(最初)から表示される第二の演出(演出H´)が実行されている。また、図71(i)から開始される第四の期間では、スピーカ120から、第二の演出に対応させた、曲名が「そこにあるかもしれない」の曲が先頭から流れる第四の演出(演出O´)が実行される。また、演出表示領域208dの左下隅には「そこにあるかもしれない」の文字列画像が表示されている。当該文字列画像は、表示されているムービーのムービー名と流れている曲の曲名を示している。」

(キ)「【図71】




(ク)「【0859】
なお、上記実施例では、方向キー(設定操作部)139にランプは設けられていないが、方向キー139にランプが設けられていてもよい(以下、「方向キーランプ」という)。ここで、方向キーランプが設けられている場合は、チャンスボタンランプ138に関する記載を方向キーランプに置き換えてもよい。なお、方向キーランプは、方向キー139全体が点灯するようにしていてもよいが、操作可能な方向キー(ボタン)139b?139eのそれぞれに設けられていてもよく、例えば、上キー139bと下キー139cが操作可能な場合は、上キー139bのランプと下キー139cのランプが点灯するようにしてもよい。なお、第一の期間において、方向キーランプは、操作されている場合も点灯しているが、操作中は消灯するようにしてもよいし、非操作状態となった場合に再度点灯させるようにしてもよい。」

(ケ)上記(ア)ないし(ク)からみて、引用例1には、他の実施形態に関する記載を援用した実施例13として、次の発明が記載されている(なお、aないしkについては本願補正発明のAないしKに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。)。
「a 遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤200の遊技領域124へと打ち出す(【0012】)、パチンコ機100(【0011】)であって、
b、b1 チャンスボタン136、設定操作部139(【0288】)と、
c 遊技者による選択操作として、チャンスボタン136の押下、方向キー(設定操作部)139のいずれかのキーの押下が行われたと判断したら、選択された演出を実行させる処理をし(【0196】、【0859】)、
d 大当り遊技で実行させる大当り演出として、遊技者が選択した曲の演奏をスピーカ120により実行する(【0195】、【0602】)、
第1副制御部400(【0196】)と、を備え、
c1 設定操作部139は、遊技者による押下が可能な押ボタン式のスイッチとして、確定(OK)ボタン139aと、確定ボタン139aの後方に位置する上ボタン139bと、確定ボタン139aの前方に位置する下ボタン139cと、確定ボタン139aの右方に位置する右ボタン139dと、確定ボタン139aの左方に位置する左ボタン139eと、右ボタン139dのさらに右方に位置するキャンセル(クリア)ボタン139fとを備え(【0291】)、
第1副制御部400は、各ボタン139a?139eのいずれかの押下で第二の操作手段による演出選択を行い(【0294】)、
c2 第1副制御部400は、演出表示領域208dで、ボタン画像と有効期間画像とが表示されるボタン表示を実行し(【0438】)、遊技者がチャンスボタン136を押下すると、ボタン画像と有効期間画像を消去し、ボタン演出領域内に「チャンスだ!!」の文字列の画像を表示し(【0441】)、
c3 第1副制御部400は、演出表示領域208dには、大当り遊技で実行させる大当り演出を遊技者が選択することを促すために、「演出を選択してください」の文字列画像を表示し、方向キー139が操作されることにより、選択可能な演出として実行されているムービーと曲を、他の演出としてのムービーと曲に変更し(【0472】、【0473】)、
f 第1副制御部400は、ムービー名が「そこにあるかもしれない」の姫のキャラクタが登場するムービーに対応した静止画を表示する演出Hを実行し、次いで動画によるムービー演出を開始し、当該ムービー演出の開始に同期して曲名が「そこにあるかもしれない」の曲がスピーカ120から流れる演出Oによる演出選択演出の実行中に、遊技者による1回目の方向キー139の操作が行われた後(【0603】、【0604】)、ムービー名が「キセキの宇宙」の爺のキャラクタが登場するムービーに対応した静止画を表示する演出Iの実行を開始させ、次いで動画によるムービー演出を開始させ、当該ムービー演出の開始に同期して、スピーカ120から、曲名が「キセキの宇宙」の曲が流れる演出Pを開始させるが、曲の途中にあるサビの部分から実行する(【0606】)、
k パチンコ機100(【0011】)。」(以下「引用発明」という。)

イ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-36654号公報(平成28年3月22日出願公開、以下「引用例2」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者によって遊技されるパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、現在、遊技機には、遊技媒体(遊技機、メダル等)を獲得する楽しみを提供するばかりではなく、様々な価値(例えば、興趣性の高い演出)の提供が求められている。このため、遊技機には、遊技者の興味を惹きつけることのできる新しい動作が常に求められている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、遊技者の興味を惹きつけることができる遊技機を提供することである。」

(イ)「【0029】
次に、図3を参照して、遊技機1に設けられる入力装置について説明する。図3において、遊技機1には、入力装置の一例として、演出ボタン37および演出キー38が設けられている。
【0030】
演出ボタン37および演出キー38は、それぞれ遊技者が演出に対する入力を行うために設けられている。演出ボタン37は、遊技機1の前方に突出した皿39の上面脇部に設けられる。演出キー38は、中央キーと略十字に配列された4つの方向キーとを有し、演出ボタン37に隣接して皿39の上面脇部に設けられる。演出ボタン37および演出キー38は、それぞれ遊技者に押下されることによって所定の演出が行われる。例えば、遊技者は、所定のタイミングで演出ボタン37を押下することによって所定の演出(例えば操作ゲーム)を楽しむことができる。また、遊技者は、演出キー38の4つの方向キーを操作することにより、画像表示部6に表示されている複数の画像のいずれかを選ぶこと等が可能である。また、遊技者は、演出キー38の中央キーを操作することにより、選んだ画像を情報として入力することが可能である。」

(ウ)「【0065】
なお、演出制御部400は、ランプ制御部600から伝達される演出ボタン37の操作データ、および演出キー38から出力された操作データに基づいて、画像音響制御部500に対して、演出ボタン37および演出キー38の操作状態を通知する。ここで、演出ボタン37および演出キー38の操作状態とは、操作が行われているか否かや、どのような操作が行われているか(例えば、演出ボタン37の長押しや、演出キー38左方向キーの押下)等を含む情報である。したがって、例えば演出ボタン37が遊技者によって操作された場合、ランプ制御部600によって検出された演出ボタン37の操作状態が、演出制御部400を介して画像音響制御部500に伝達される。このため、画像音響制御部500は、演出制御部400から伝達される演出ボタン37の操作状態に基づいて、演出内容を変化させることもできる。」

(エ)「【0246】
[画像音響制御部による演出実行処理]
次に、演出制御部400からの報知演出の実行指示(図24のステップS703参照)に応じて画像音響制御部500が実行する演出実行処理について、図28?図35を参照して説明する。図28?図35は、画像音響制御部500によって行われる演出実行処理の一例を示すフローチャートである。以下に、図28?図35を参照して、画像音響制御部500において行われる演出実行処理について説明する。画像音響制御部500は、電源投入時や電源断時等の特殊な場合を除く通常の動作時において、図28?図35に示す一連の処理を一定時間(例えば33ミリ秒)毎に繰り返し実行する。なお、図28?図35のフローチャートに基づいて説明する画像音響制御部500で行われる処理は、ROM502に記憶されているプログラムに基づいて実行される。
【0247】
まず、ステップS801において、画像音響制御部500のCPU501は、演出制御部400から報知演出の実行を指示するコマンドを受信したか否かを判定する(図24のステップS703参照)。ステップS801での判定がYESの場合、処理はステップS802に移り、この判定がNOの場合、処理はステップS804に移る。」

(オ)「【0257】
[オート連打ボタン操作制御処理]
図32のステップS810aにおいて、CPU501は、図28のステップS802での処理によってスケジュール設定された、演出ボタン37への操作が有効となる有効期間の開始タイミングであるか否かを判定する。なお、図28のステップS802で説明したが、有効期間とは、遊技者による演出ボタン37への操作が有効となる期間である。ステップS810aでの判定がYESの場合、処理はステップS810bに移り、この判定がNOの場合、処理はステップS810hに移る。
・・・略・・・
【0266】
ステップS810jにおいて、CPU501は、遊技者によって演出ボタン37への長押し操作がなされているか否かを判定する。具体的には、CPU501は、演出ボタン37の操作信号を直近の所定時間(例えば0.5秒)RAM503に一時的に記憶することにより、上述の所定時間継続して演出ボタン37の操作信号がONレベルにあったか否かを判定し、上述の所定時間継続して演出ボタン37の操作信号がONレベルにあった場合、演出ボタン37への長押し操作がなされていると判定する。ステップS810jでの判定がYESの場合、処理はステップS810kに移り、この判定がNOの場合、処理はステップS810mに移る。
【0267】
ステップS810kにおいて、CPU501は、ステップS810jで判定した長押し操作を、ステップS810dまたはS810fの処理によって設定されている連打パターン(オート連打パターンR1又はR2)に応じた連打操作に変更する。その後、処理はステップS810mに移る。
【0268】
ステップS810mにおいて、CPU501は、ステップS810jの処理によって、長押し操作でないと判定された演出ボタン37への操作(つまり、演出ボタン37への一発押し操作(短時間の押下操作、つまり短押し操作)や連打操作)、または、ステップS810kの処理によって変更された連打操作のボタン操作内容をRAM503に一時的に記憶させる。その後、処理は図33のステップS810nに移る。
【0269】
ステップS810nにおいて、CPU501は、ステップS810mの処理によって記憶されたボタン操作内容が演出実行条件を満たすか否かを判定する。具体的には、例えば、CPU501は、記憶されたボタン操作内容が所定回数以上の演出ボタン37の押下(連打)操作内容であるか否かを判定する。ステップS810nでの判定がYESの場合、処理はステップS810pに移り、この判定がNOの場合、処理はステップS810qに移る。
【0270】
ステップS810pにおいて、CPU501は、演出ボタン37への操作に応じた演出を実行する。具体的には、例えば、詳細は図39の(2)を参照して後述するが、CPU501は、第1ゲーム演出を実行している場合、演出ボタン37への連打の回数に応じて背景の移動速度を変化させる演出を実行する。その後、処理はステップS810qに移る。
【0271】
ステップS810qにおいて、CPU501は、図28のステップS802での処理によってスケジュール設定された有効期間の終了タイミングであるか否かを判定する。ステップS810qでの判定がYESの場合、処理はステップS810rに移り、この判定がNOの場合、オート連打ボタン操作制御処理を終了する。
【0272】
ステップS810rにおいて、CPU501は、有効期間を終了させる。その後、処理はステップS810sに移る。
【0273】
ステップS810sにおいて、CPU501は、オート連打フラグをOFFにしてRAM503に記憶し、オート連打ボタン操作制御処理を終了する。」

(カ)「【0291】
[非オート連打ボタン操作制御処理]
図34のステップS811aにおいて、CPU501は、図28のステップS802での処理によってスケジュール設定された、演出ボタン37の操作が有効となる有効期間の開始タイミングであるか否かを判定する。なお、図28のステップS802で説明したが、有効期間とは、遊技者による演出ボタン37への操作が有効となる期間である。ステップS811aでの判定がYESの場合、処理はステップS811bに移り、この判定がNOの場合、処理はステップS811cに移る。
・・・略・・・
【0297】
ステップS811gにおいて、CPU501は、演出ボタン37への操作に応じた演出を実行する。具体的には、例えば、詳細は図44を参照して後述するが、CPU501は、演出ボタン37への連打操作に応じたポイントを獲得する連打操作ゲームを実行している場合、演出ボタン37が所定回数押下されるごとにポイントを獲得したことを示す画像(星型の画像)表示する演出を実行する。また、例えば、詳細は後述する(図示なし)が、CPU501は、一発押しの操作ゲーム(第2?第4ゲーム)を実行している場合、演出ボタン37への操作がなされたタイミングに応じて獲得したポイントを表示する演出を実行する。その後、処理はステップS811hに移る。」

(キ)上記(ア)ないし(カ)からみて、引用例2には、次の事項が記載されている(なお、aないしkについては本願補正発明のAないしKに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。)。
「a 遊技者によって遊技される遊技機1(【0001】、【0029】)において、
b、b1 演出ボタン37および演出キー38(【0029】)と、
c、c1 遊技者が、所定のタイミングで演出ボタン37を押下することによって所定の演出(例えば操作ゲーム)を楽しむことができ、演出キー38の4つの方向キーを操作することにより、画像表示部6に表示されている複数の画像のいずれかを選ぶこと等が可能であるとともに、演出キー38の中央キーを操作することにより、選んだ画像を情報として入力することを可能とした【0030】)、画像音響制御部500と、を備え、
c2 画像音響制御部500のCPU501は、遊技者によって演出ボタン37への長押し操作がなされているか否かを判定し、判定した長押し操作を、ステップS810dまたはS810fの処理によって設定されている連打パターン(オート連打パターンR1又はR2)に応じた連打操作に変更し、変更された連打操作のボタン操作内容をRAM503に一時的に記憶させ、記憶されたボタン操作内容が所定回数以上の演出ボタン37の押下(連打)操作内容であるか否かを判定し、演出ボタン37への操作に応じた演出、具体的には、演出ボタン37への連打の回数に応じて背景の移動速度を変化させる演出を実行し(【0247】、【0266】ないし【0270】)、
演出ボタン37への連打操作に応じたポイントを獲得する連打操作ゲームを実行している場合、演出ボタン37が所定回数押下されるごとにポイントを獲得したことを示す画像表示する演出を実行し、一発押しの操作ゲームを実行している場合、演出ボタン37への操作がなされたタイミングに応じて獲得したポイントを表示する演出を実行する(【0297】)、
k 遊技機1(【0029】)。」(以下「引用例2記載の技術事項」という。)

イ 引用例3
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-139469号公報(平成27年8月3日出願公開、以下「引用例3」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤面に遊技機を打ち出すパチンコ遊技機などの遊技機に関する。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術によると、遊技者が予め演出音の設定音量を調整しておくことにより、所定の演出時において所望の音量で演出音を聞きながら遊技を行うことができる。しかし、遊技者が予め演出音の設定音量を調整しなかった場合には、演出の場面に応じた音量による演出音を聞きながら遊技を行うことができない。殊に、遊技者の操作に関わる演出が行われる場面で、当該場面に応じた音量による演出音が出力されていないと、遊技者の遊技に対する高揚感や興趣性が損なわれるおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、上記のような問題を解決すべく、遊技者の操作に関わる演出が行われ
るとき、演出音の音量を変更する遊技機を提供することを目的とする。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本実施形態における遊技機1の外観構成を示す正面図である。図2は、遊技機1の下部を拡大して示す斜視図である。図3は、遊技機1の遊技機本体1aを開放した状態で背面側を示す図である。この遊技機1は、遊技者の指示操作によって発射装置が打ち出す遊技球が各種入賞口に入賞すると賞球を払い出すように構成された弾球式の遊技機であって、遊技の進行状況に応じて各種の演出を行う遊技機である。遊技機1は、図3に示すように、ホール(店舗)の島設備などに固定される本体枠1bを有し、その本体枠1bの左端部1cを中心に回動可能に軸支され、本体枠1bの内側に嵌め込んだ状態に固定することが可能な遊技機本体1aを有している。また遊技機1は、図1に示すように、遊技機本体1aの正面側に遊技球を転動させる遊技盤10が取り付けられており、その遊技盤10の正面側に透明ガラス板2が嵌め込まれた前枠扉3を有している。この前枠扉3は遊技機本体1aに左端部を中心に回動可能に軸支され、遊技機本体1aの正面側を開放可能である。前枠扉3の右側下方には鍵孔3aが配置されており、この鍵孔3aにホールで管理される鍵を差し込み、例えば右方向に回動させると、前枠扉3が解錠され、遊技機本体1aの正面側を開放することができる。また鍵を左方向に回動させると、遊技機本体1aが解錠され、遊技機本体1aが図3(a)に示すように本体枠1bの左端部1cを中心に回動可能となる。
・・・略・・・
【0017】
この球貯留部4の上面には、図2に示すように遊技者が操作可能な第1操作ボタン6および第2操作ボタン7が設けられると共に、遊技盤10に打ち出すための遊技球を貯留しておくための貯留皿4aが設けられる。第1操作ボタン6は、例えば遊技者が押し込み操作することが可能なボタンである。第2操作ボタン7は、上下左右中央に5箇所に配置された複数のボタン7a,7b,7c,7d,7eを備えており、それら複数のボタン7a?7eによって十字キーが構成されている。これら第1操作ボタン6および第2操作ボタン7は、いわゆる客待ち待機状態においては遊技機1における遊技履歴を表示させたり、或いは、遊技の進行中においては遊技機1で行われる演出を所定のタイミングで別の演出に切り替えるために遊技者が操作するボタンである。また第2操作ボタン7は、上記の他、遊技者が演出音の音量調整を行う際に操作するボタンでもある。また貯留皿4aは、前枠扉3の右側背面部に設けられる発射装置に向けて遊技球を1球ずつ案内するように構成され、底面が遊技機1の右側に向かって下降傾斜している。遊技機1によって払い出される賞球は、この貯留皿4aの上流側に供給される。」

(ウ)「【0169】
次に待機演出の実行中に遊技検知部75が遊技者を検知することにより、第2報知部73bによって行われる音量調整操作に関する報知について説明する。第2報知部73bは、遊技検知部75によって遊技を行おうとしている遊技者が検知されると、演出音の音量レベルが調整可能であることを遊技者に報知する。このような報知は、スピーカー8から出力する音声により行っても良いが、画像表示器12に、演出音の音量レベルが調整可能であることを示す操作案内画像を表示して報知するようにしても良い。
【0170】
図29は、音量調整操作が可能であることを報知する操作案内画像GBの一例を示す図である。第1操作ボタン6、第2操作ボタン7、又はハンドルレバー5が操作され、遊技を行おうとしている遊技者を遊技検知部75が検知することにより、第2報知部73bは、操作案内画像GBを画像表示器12に表示させる。この操作案内画像GBは、スピーカー8から演出音が出力されるときの音量レベルを、第2操作ボタン7を操作することによって調整できることを遊技者に報知するものである。この操作案内画像GBは、画像制御基板53により待機画面12eの前面側の一部領域に重畳して表示される。そのため、操作案内画像GBの表示領域以外では、遊技者は待機画面12eを視認することが可能である。操作案内画像GBを表示するタイミングとしては、遊技者による遊技が検知されることにより即時に表示してもよいし、遊技者による遊技が検知されてから所定時間経過後に表示を開始してもよい。
【0171】
第2報知部73bは、操作案内画像GBを画像表示器12に表示させるとき、図29(a)に示すように第2操作ボタン7を操作することによって音量レベルを調整可能であることを示す情報だけを含む態様で表示させるようにしても良い。このような表示態様によれば、遊技者に対して、第2操作ボタン7を操作することにより音量レベルが調整可能であることを報知することができる。第2報知部73bは、図29(a)に示すような操作案内画像GBを表示したときには、報知開始後所定時間が経過することにより操作案内画像GBを画面上から消去し、非表示状態へと戻す。
【0172】
また第2報知部73bは、操作案内画像GBを画像表示器12に表示させるとき、図29(b)に示すように、操作案内画像GBを、第2操作ボタン7を操作することによって音量レベルを調整可能であることを示す情報に加え、上述の音量調整画面GAと同様に、現在の音量レベルを数値やレベルバー態様で示す情報を含む態様で表示させるようにしても良い。このような表示態様によれば、遊技者に対して、第2操作ボタン7を操作することにより音量レベルが調整可能であることだけでなく、現在の音量レベルを報知することも可能である。第2報知部73bは、図29(b)に示すような操作案内画像GBを表示したときには、報知開始後所定時間が経過することにより操作案内画像GBを画面上から消去し、非表示状態へと戻す。ただし、遊技者による音量調整操作が行われるときには、その音量調整操作が終了して所定時間が経過するまで操作案内画像GBの表示状態を継続させるようにしても良い。
【0173】
また第2報知部73bは、操作案内画像GBを画像表示器12に表示させるとき、図29(c)に示すように、第2操作ボタン7を操作することによって音量レベルを調整可能であることを示す情報だけを含む操作案内画像GBと、上述した音量調整画面GAとを並べた態様で表示させるようにしても良い。この場合、操作案内画像GBと音量調整画面GAの表示は、遊技者による遊技が検知されてから即時に表示してもよいし、遊技検知後所定時間を経過してから表示しても良い。また、操作案内画像GBと音量調整画面GAの表示を同時に開始してもよいし、別々のタイミングで表示を開始してもよい。第2報知部73bは、図29(c)に示すような態様で操作案内画像GBを表示したときには、報知開始後所定時間が経過することにより操作案内画像GBを画面上から消去し、非表示状態へと戻す。このとき、遊技者による音量調整操作が行われていないときには、同時に音量調整画面GAを非表示にする。ただし、遊技者による音量調整操作が行われるときには、音量調整画面GAの表示状態を継続し、操作案内画像GBだけを画面上から消去する。また操作案内画像GBは、遊技者によって第2操作ボタン7に対する音量調整操作が開始されることに伴い消去されるように構成してもよい。なぜなら、遊技者が音量調整のため第2操作ボタン7の押下操作する状態になった後には、音量調整が可能である旨の案内表示は不要となるからである。
【0174】
待機演出の実行中に遊技を行おうとしている遊技者が検知されると、上記のような操作案内画像GBを画像表示器12に表示させることにより、遊技者に対して音量レベルが調整可能であること、および、音量レベルの調整方法が報知される。そのため、第2操作ボタン7を操作すれば音量レベルの調整が可能であることを知らない遊技者が遊技を開始する前の、又は遊技を開始した直後の比較的早い段階で、遊技者に、音量レベルの調整方法を知らせることができる。その結果、遊技者は、初期値に設定された音量レベルや、他の遊技者によって設定された音量レベルを、自身で所望のレベルに変更したうえで遊技を行うことができるようになる。」

(エ)「【図29】




(オ)「【0212】
次に図41は、音量レベル調整処理(図37のステップS1207)の詳細を示すフローチャートである。音量調整部72aは、遊技者によって第2操作ボタン7が押下操作されたことに伴い、その操作に基づいて音量レベルの設定値を変更する(ステップS1501)。例えばボタン7cが押下操作された場合、音量調整部72aは音量レベルを1段階ずつアップさせ、ボタン7dが押下操作された場合、音量調整部72aは音量レベルを1段階ずつダウンさせて現在の設定値を変更する。これにより、スピーカー8から出力されている演出音の音量レベルが変わるため、遊技者は実際の演出音の音量を聞きながら音量調整操作を行うことができる。
【0213】
次に音量調整部72aは、音量レベル調整を行う音量調整画面GAが画像表示器12に表示中であるか否かを判断する(ステップS1502)。音量調整画面GAが表示されていない場合(ステップS1502でNO)、音量調整部72aは、報知処理部73を介して画像表示器12に音量調整画面GAを表示させる。音量調整画面GAが既に表示されている場合(ステップS1502でYES)、あらためて音量調整画面GAを表示させる必要はないため、ステップS1503をスキップする。そして音量調整部72aは、音量レベルの設定変更値を報知処理部73へ通知し、音量調整画面GAにおける音量レベルの表示状態を更新させる(ステップS1504)。これにより、音量調整画面GAに表示される音量レベルは、ステップS1501で変更された設定値に更新される。音量調整部72aは、画像表示器12に音量調整画面GAを表示させることに伴い、音量調整画面GAの表示時間の計測を開始し(ステップS1505)、音量レベル調整処理を終了する。ステップS1505で計測が開始される表示時間は、図37のステップS1208?S1210において所定時間が経過したか否かが判定される。そして音量調整画面GAの表示を開始してから、遊技者により第2操作ボタン7の更なる操作が行われることなく所定時間が経過すると、音量調整画面GAは画面上から消去され、非表示状態となる。また音量調整画面GAが既に表示されている状態で遊技者が繰り返し第2操作ボタン7を操作すると、その都度、音量調整画面GAに表示される音量レベルが更新されると共に、表示時間の計測値が初期値にリセットされた後にあらためて表示時間の計測が再開される。
【0214】
図42は、図柄変動演出中に音量調整操作が行われた場合の画面遷移を示す図である。例えば、図42(a)に示すように3つの装飾図柄12a,12b,12cの変動表示が行われているとき、図42(b)に示すように遊技者によって第2操作ボタン7が操作されると、画像表示器12には、図42(c)に示すように音量調整画面GAが表示される。この音量調整画面GAは、画像表示器12において最前面に表示される。ただし、音量調整画面GAが3つの装飾図柄12a,12b,12cの変動表示を隠蔽してしまうことは好ましくないため、音量調整画面GAは、図柄変動演出が行われている画像表示器12の一部表示に表示されると共に、背景側で表示される図柄変動演出の画像を透過させる態様で表示される。したがって、遊技者は、音量調整操作を行いながら、図柄変動演出を注目することも可能であり、音量調整画面GAが遊技の進行に支障を来すことはない。
【0215】
図43は、図柄変動演出中に音量レベルの調整が行われた場合のタイミングチャートである。図43に示すように図柄変動演出中は、その図柄変動演出に対応する演出音がスピーカー8から継続的に出力される。図柄変動演出が行われている状況で、例えば遊技者により第2操作ボタン7が3回押下操作された場合、第1操作M1が行われるタイミングで音量調整画面GAが透過画像として画像表示器12の前面側に表示され、最後の操作である第3操作M3が行われてから所定時間経過の後、音量調整画面GAが画像表示器12から消去される。すなわち、音量調整部72aは第3操作M3が行われた時点で表示時間の計測を開始し、計測時間が所定の時間になると音量調整画面GAを画像表示器12から消去させる。なお、所定時間の経過を待つことなく、遊技者により第2操作ボタン7の押下操作が行われ、第2操作ボタン7の操作が終了すると直ちに音量調整画面GAを画像表示器12から消去してもよい。あるいは、第2操作ボタン7の操作が行われてから所定時間経過後、音量調整画面GAが画像表示器12から消去され、前記所定時間は、始動条件が成立していない待機中において第2操作ボタン7の操作が行われてから音量調整画面GAが画像表示器12から消去されるまでの時間よりも短いとしてもよい。」

(カ)「【図42】


【図43】




(キ)上記(ア)ないし(カ)からみて、引用例3には、次の事項が記載されている(なお、aないしkについては本願補正発明のAないしKに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。)。
「a 遊技者の指示操作によって発射装置が打ち出す遊技球が各種入賞口に入賞すると賞球を払い出すように構成された遊技機1(【0015】)であって、
b、b1 遊技者が押し込み操作することが可能なボタンである第1操作ボタン6と、上下左右中央に5箇所に配置された複数のボタン7a,7b,7c,7d,7eを備えており、それら複数のボタン7a?7eによって十字キーが構成されている第2操作ボタン7と、が設けられ、
第1操作ボタン6および第2操作ボタン7は、いわゆる客待ち待機状態においては遊技機1における遊技履歴を表示させたり、或いは、遊技の進行中においては遊技機1で行われる演出を所定のタイミングで別の演出に切り替えるために遊技者が操作するボタンであり(【0017】)、
e 第2操作ボタン7は、遊技者が演出音の音量調整を行う際に操作するボタンであり(【0017】)、
g 操作案内画像GBを、第2操作ボタン7を操作することによって音量レベルを調整可能であることを示す情報に加え、現在の音量レベルを数値やレベルバー態様で示す情報を含む態様で表示させ(【0172】)、
h 待機演出の実行中に、遊技検知部75によって遊技を行おうとしている遊技者が検知されると、演出音の音量レベルが調整可能であることを遊技者に報知するものであり(【0169】)、具体的には、第1操作ボタン6、第2操作ボタン7、又はハンドルレバー5が操作され、遊技を行おうとしている遊技者を遊技検知部75が検知することにより、操作案内画像GBを画像表示器12に表示させ(【0170】)、
i 図柄変動演出中、すなわち、3つの装飾図柄12a,12b,12cの変動表示が行われているとき、遊技者によって第2操作ボタン7が操作されると、画像表示器12には、音量調整画面GAが表示され(【0214】)、音量調整画面GAの表示を開始してから、遊技者により第2操作ボタン7の更なる操作が行われることなく所定時間が経過すると、音量調整画面GAは画面上から消去され、非表示状態となり(【0213】)、
j 待機演出の実行中に、操作案内画像GBを表示したときには、報知開始後所定時間が経過することにより操作案内画像GBを画面上から消去し、非表示状態へと戻すが、遊技者による音量調整操作が行われるときには、その音量調整操作が終了して所定時間が経過するまで操作案内画像GBの表示状態を継続させる(【0169】、【0172】)、
k 遊技機1(【0015】)。」(以下「引用例3記載の技術事項」という。)

(4)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。

ア 特定事項A、Kについて
引用発明の「遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤200の遊技領域124へと打ち出す」「パチンコ機100」は、本願補正発明の「遊技を行う遊技機」に相当する。
してみると、引用発明のa、kは、それぞれ本願補正発明の特定事項A、Kに相当する。

イ 特定事項B、B1について
引用発明の「『方向キー139』又は『設定操作部139』」及び「チャンスボタン136」は、それぞれ本願補正発明の「第1操作部」及び「第2操作部」に相当し、引用発明の「『方向キー139』又は『設定操作部139』」と「チャンスボタン136」とを含むものが、本願補正発明の「操作部」に相当する。
してみると、引用発明のb、b1は、本願補正発明の特定事項B及びB1に相当する構成を備える。

ウ 特定事項Cについて
引用発明のcにおいて、遊技者による選択操作として、チャンスボタン136(第2操作部)の押下、方向キー(設定操作部)139(第1操作部)のいずれかのキーの押下が行われたと判断したら、選択された演出を実行させる処理をし、該処理が本願補正発明の「前記操作部の操作に対応する操作処理」に相当するといえる。
そうすると、引用発明のcは、本願補正発明の「C 前記操作部の操作に対応する操作処理を実行可能な操作処理実行手段」に相当する構成を備える。

エ 特定事項Dについて
引用発明の「大当り遊技」、「曲」及び「演奏」は、本願補正発明の「特定期間」、「楽曲」及び「再生」に相当する。
そうすると、引用発明のdは、大当り遊技(特定期間)で実行させる大当り演出として、遊技者が選択した曲(楽曲)の演奏(再生)をスピーカ120により実行するのであるから、本願補正発明の「D 特定期間において楽曲を再生可能な楽曲再生手段」に相当する構成を備える。

オ 特定事項C1について
引用発明のc1は、設定操作部139(第1操作部)が、遊技者による押下が可能な押ボタン式のスイッチとして、確定(OK)ボタン139aと、確定ボタン139aの後方に位置する上ボタン139bと、確定ボタン139aの前方に位置する下ボタン139cと、確定ボタン139aの右方に位置する右ボタン139dと、確定ボタン139aの左方に位置する左ボタン139eと、右ボタン139dのさらに右方に位置するキャンセル(クリア)ボタン139fとを備え、各ボタン139a?139eのいずれかの押下で第二の操作手段による演出選択が行われるものである。
また、引用発明は、設定操作部139(第1操作部)におけるボタン139a?139eのいずれかの押下で演出選択をするのであるから、要するに、「上ボタン139b、下ボタン139c、右ボタン139d及び左ボタン139eによる押下」で「演出の選択」をし、選択された演出を「確定ボタン139aの押下」で「演出選択の確定」をすることは技術常識から自明である。そうすると、これらの「上ボタン139b、下ボタン139c、右ボタン139d及び左ボタン139eによる押下」、「確定ボタン139aの押下」及び「『演出の選択』又は『演出選択の確定』」が、それぞれ本願補正発明の「第1操作態様の操作」、「第2操作態様の操作」及び「対応操作処理」に相当する。
してみると、引用発明のc1は、本願補正発明の特定事項C1に相当する構成を備える。

カ 特定事項C3について
引用発明のc3において、演出表示領域208dには、大当り遊技(特定期間)で実行させる大当り演出を遊技者が選択することを促すために、「演出を選択してください」の文字列画像が表示され、方向キー(設定操作部)139を操作することにより、選択可能な演出として実行されているムービーと曲(楽曲)を、他の演出としてのムービーと曲(楽曲)に変更できるものであり、大当り遊技(特定期間)において再生される曲(楽曲)を複数種類の曲(楽曲)のうちから選択可能であるといえる。
そうすると、引用発明のc3は、本願補正発明の特定事項C3に相当する。

キ 特定事項Fについて
引用発明のfの「曲の途中にあるサビの部分」は、本願補正発明の「楽曲の先頭とは異なる特定部」に相当する。
そして、引用発明のfは、曲名が「そこにあるかもしれない」の曲がスピーカ120から流れる演出Oによる演出選択演出の実行中に、遊技者による1回目の方向キー139の操作が行われた後、スピーカ120からは、曲名が「キセキの宇宙」の曲が流れる演出Pが開始されるが、曲の途中にあるサビの部分(楽曲の先頭とは異なる特定部)から実行するものである。
そうすると、引用発明のfは、本願補正発明の「F 前記楽曲再生手段は、楽曲選択時においては選択中の楽曲の一部であって該楽曲の先頭とは異なる特定部を再生し、」に相当する。

ク 上記アないしキからみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 遊技を行う遊技機であって、
B 遊技者が操作可能な複数の操作部と、
C 前記操作部の操作に対応する操作処理を実行可能な操作処理実行手段と、
D 特定期間において楽曲を再生可能な楽曲再生手段と、を備え、
B1 前記操作部は、第1操作部と第2操作部とを含み、
C1 前記操作処理実行手段は、
前記第1操作部において第1操作態様の操作または該第1操作態様とは操作態様が異なる第2操作態様の操作があった場合に、各操作態様に対応した対応操作処理を実行し、
C3 前記特定期間において再生される楽曲を複数種類の楽曲のうちから選択可能であり、
F 前記楽曲再生手段は、楽曲選択時においては選択中の楽曲の一部であって該楽曲の先頭とは異なる特定部を再生する、
K 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1(特定事項E、GないしJ)
「遊技に関する演出」に関し、
本願補正発明では、「遊技に関する演出について、遊技者による前記操作部の操作に基づく音量調整が可能であり、」「前記音量調整の際に、調整状況に関する状況表示を表示可能であり、第1状態において、前記音量調整のための操作の有無に関わらず前記状況表示を視認可能に表示し、前記第1状態と異なる状態であって特定演出を実行する第2状態において、前記音量調整のための操作がない場合は前記状況表示を視認困難または視認不可能とし、前記音量調整のための操作があった場合に所定条件が成立するまで前記状況表示を視認可能に表示し、前記第1状態において前記音量調整のための操作があった場合に、前記所定条件が成立しても前記状況表示の表示を継続する」のに対し、
引用発明では、遊技者が選択した曲の演奏をスピーカ120により実行することが可能であるものの、音量調整が可能かどうか明らかでない点。

・相違点2(特定事項C2)
「前記操作処理実行手段は、」
本願補正発明では、「前記第2操作部において第3操作態様の操作があった場合に、該第3操作態様に対応した対応操作処理を実行する一方、前記第3操作態様とは操作態様が異なる第4操作態様の操作があった場合に、該第4操作態様に対応しない非対応操作処理を実行」するのに対し、
引用発明では、チャンスボタン136(第2操作部)を押下する(第3操作態様)と、ボタン画像と有効期間画像は消去され、ボタン演出領域内に「チャンスだ!!」の文字列の画像が表示されるものであるが、押下(第3操作態様)とは操作態様が異なる別の操作態様(第4操作態様)の操作があった場合に、該別の操作態様(第4操作態様)に対応しない操作処理を実行可能であるかどうか明らかでない点。

(5)判断
ア 相違点1について
(ア)引用例3記載の技術事項の「遊技者の指示操作によって発射装置が打ち出す遊技球が各種入賞口に入賞すると賞球を払い出すように構成された遊技機1」、「第2操作ボタン7」、「第1操作ボタン6」、「『現在の音量レベルを数値やレベルバー態様で示す情報』又は『音量調整画面GA』」、「待機演出の実行中」、「図柄変動演出中」及び「所定時間が経過」は、それぞれ本願補正発明の「遊技を行う遊技機」、「第1操作部」、「第2操作部」、「調整状況に関する状況表示」、「第1状態」、「特定演出を実行する第2状態」及び「所定条件が成立」に相当する。そうすると、引用例3記載の技術事項は、本願補正発明の特定事項A、B、B1及びKを備えるといえる。
また、引用例3記載の技術事項のeは、第2操作ボタン7(第1操作部)が、遊技者が演出音の音量調整を行う際に操作するボタンであり、遊技に関する演出について、音量調整が可能であるといえるから、本願補正発明の特定事項Eに相当する構成を備える。
また、引用例3記載の技術事項のgは、操作案内画像GBを、第2操作ボタン7(第1操作部)を操作することによって音量レベルを調整可能であることを示す情報に加え、現在の音量レベルを数値やレベルバー態様で示す情報(調整状況に関する状況表示)を含む態様で表示させるから、本願補正発明の特定事項Gに相当する構成を備える。
また、引用例3記載の技術事項のhは、待機演出の実行中(第1状態)に、第1操作ボタン6、第2操作ボタン7、又はハンドルレバー5が操作され、遊技を行おうとしている遊技者を遊技検知部75が検知することにより、音量レベル(状況表示)を含む操作案内画像GBを画像表示器12に表示させるものである。そして、第2操作ボタン7は音量調整に用いられるものであるが、第1操作ボタン6又はハンドルレバー5は音量調整に用いられるものではなく、第1操作ボタン6又はハンドルレバー5が操作されても音量レベル(状況表示)を含む操作案内画像GBが表示されるのであるから、引用例3記載の技術事項のhは、本願補正発明の「H 第1状態において、前記音量調整のための操作の有無に関わらず前記状況表示を視認可能に表示し、」との特定事項を備える。
また、引用例3記載の技術事項のiは、図柄変動演出中(第2状態)、遊技者によって第2操作ボタン7が操作されると、画像表示器12には、音量調整画面GA(状況表示)が表示され、音量調整画面GA(状況表示)の表示を開始してから、遊技者により第2操作ボタン7の更なる操作が行われることなく所定時間が経過(所定条件が成立)すると、音量調整画面GAは画面上から消去され、非表示状態となるものであるから、本願補正発明の「I 前記第1状態と異なる状態であって特定演出を実行する第2状態において、前記音量調整のための操作がない場合は前記状況表示を視認困難または視認不可能とし、前記音量調整のための操作があった場合に所定条件が成立するまで前記状況表示を視認可能に表示し、」との特定事項を備える。
さらに、引用例3記載の技術事項のjは、待機演出の実行中(第1状態)に、音量レベル(状況表示)を含む操作案内画像GBを表示したときには、報知開始後所定時間が経過することにより操作案内画像GBを画面上から消去し、非表示状態へと戻すが、遊技者による音量調整操作が行われるときには、その音量調整操作が終了して所定時間が経過するまで操作案内画像GBの表示状態を継続させるものであるから、本願補正発明の「J 前記第1状態において前記音量調整のための操作があった場合に、前記所定条件が成立しても前記状況表示の表示を継続する」との特定事項を備える。
以上のように、引用例3記載の技術事項は、本願補正発明の特定事項A、B、E、B1、GないしKを備える。

(イ)引用発明は、音量調整が可能であるかどうか明らかでないが、演出音を出力可能であれば、該演出音の音量を適正なものとするために、音量調整可能であることは技術常識からみて自明である。
そして、引用発明と引用例3記載の技術事項とは、遊技者が操作可能な複数の操作部を備えた、演出音の出力が可能な遊技機である点で技術分野が共通し、演出音の音量の現況を把握し、適正な音量に調整する必要性があることを内在している点で課題も共通することも明らかである。
そうしてみると、引用発明及び引用例3記載の技術事項に接した当業者であれば、引用例3記載の技術事項を引用発明に適用し、待機演出中等の非遊技状態(第1状態)で、音量調整のための操作の有無に関わらず音量レベル(状況表示)を視認可能に表示し、図柄変動演出中等の遊技状態(第2状態)において、音量調整のための操作がない場合は音量レベル(状況表示)を視認困難または視認不可能とし、音量調整のための操作があった場合に所定時間が経過(所定条件が成立)するまで音量レベル(状況表示)を視認可能に表示し、非遊技状態(第1状態)において音量調整のための操作があった場合に、所定時間が経過(所定条件が成立)しても音量レベル(状況表示)の表示を継続する構成となすこと、すなわち、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことは容易になし得たことである。

(ウ)本願補正発明の「音量調整のための操作の有無に関わらず前記状況表示を視認可能に表示し、」が、仮に、音量調整のための操作のみに限られず、その他の一切の操作の有無に関わらず状況表示(音量レベル)を視認可能に表示するという意味であるとしても、その点は特開2015-119905号公報(特に【0098】、【0102】参照。)等に記載されているように周知である。

イ 相違点2について
(ア)引用例2記載の技術事項の「遊技者によって遊技される遊技機1」、「演出キー38」、「4つの方向キーを操作」、「中央キーを操作」、「演出ボタン37」、「一発押し」及び「長押し操作」は、それぞれ本願補正発明の「遊技を行う遊技機」、「第1操作部」、「第1操作態様」、「第2操作態様」、「第2操作部」、「第3操作態様」及び「第4操作態様」に相当する。そうすると、引用例2記載の技術事項は、本願補正発明の特定事項A、B、B1及びKを備えるといえる。
また、引用例2記載の技術事項のc、c1は、演出キー38(第1操作部)の4つの方向キーを操作(第1操作態様)することにより、画像表示部6に表示されている複数の画像のいずれかを選ぶこと等が可能であるとともに、演出キー38の中央キーを操作(第2操作態様)することにより、選んだ画像を情報として入力することを可能としたものであり、方向キーの操作と中央キーの操作にそれぞれ対応した処理を実行しているから、本願補正発明の特定事項C及びC1を備える。
また、引用例2記載の技術事項のc2は、遊技者によって演出ボタン37への長押し操作(第4操作態様)がなされている場合、連打パターン(オート連打パターンR1又はR2)に応じた連打操作に変更し、変更された連打操作のボタン操作内容をRAM503に一時的に記憶させ、演出ボタン37への操作に応じた演出、具体的には、演出ボタン37への連打の回数に応じて背景の移動速度を変化させる演出を実行し、一発押し(第3操作態様)の操作ゲームを実行している場合、演出ボタン37への操作がなされたタイミングに応じて獲得したポイントを表示する演出を実行するものである。このように、長押し操作(第4操作態様)がなされている場合、長押し操作(第4操作態様)ではなく連打操作に対応する処理を実行し、一発押し(第3操作態様)の場合、演出ボタン37への操作に対応した演出を実行するものである。そうすると、引用例2記載の技術事項のc2は、本願補正発明の特定事項C2に相当する構成を備える。
以上のように、引用例2記載の技術事項は、本願補正発明の特定事項A、B、C、B1、C1、C2及びKを備える。

(イ)引用発明と引用例2記載の技術事項とは、遊技者が操作可能な複数の操作部を備え、一の操作部(ボタン)の操作により演出に影響を及ぼす遊技機である点で技術分野が共通し、操作部(ボタン)の操作による演出に関する遊技の興趣を向上させるという課題も共通することも明らかである。
そうしてみると、引用発明及び引用例2記載の技術事項に接した当業者であれば、引用例2記載の技術事項を引用発明に適用し、チャンスボタン136(第2操作部)を1回押下する(第3操作態様)と、該1回押下(第3操作態様)に対応した「チャンスだ!!」の文字列の画像の表示(対応操作処理)を実行する一方、長押し操作(第4操作態様)の操作があった場合に、オート連打モードとし、長押し操作(第4操作態様)ではない連打に対応させた演出(非対応操作処理)を実行するようになすこと、すなわち、上記相違点2に係る本願補正発明の特定事項となすことは容易になし得たことである。

(6)本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用例2及び3記載の技術事項の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

(7)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「第三.本願発明が特許されるべき理由」の「3.拒絶の理由(進歩性)について」において、概略、以下のとおり主張している。
「(1)補正後の請求項1に係る発明と引用発明1との対比
・・・略・・・
(相違点2)本発明は、「遊技に関する演出について、遊技者による前記操作部の操作に基づく音量調整が可能であり、」かつ「前記音量調整の際に、調整状況に関する状況表示を表示可能であり、」さらに「第1状態において、前記音量調整のための操作の有無に関わらず前記状況表示を視認可能に表示し、前記第1状態と異なる状態であって特定演出を実行可能な第2状態において、前記音量調整のための操作がない場合は前記状況表示を視認困難または視認不可能とし、前記音量調整のための操作があった場合に所定条件が成立するまで前記状況表示を視認可能に表示し、前記第1状態において前記音量調整のための操作があった場合に、前記所定条件が成立しても前記状況表示の表示を継続する」のに対し、引用発明1は、そのような構成を有していない点。

(3)相違点2についての検討
・・・略・・・
しかし、引用発明3は、第2操作ボタン7に対する音量調整操作の有無に関わらず、音量レベルの表示をするものと認定できるとしても、引用文献3の段落0213や上記拒絶理由における説示の記載から分かるように、遊技者によって第2操作ボタン7が操作されると、現在の音量レベル等が表示(「状況表示」に相当する。)され、第2操作ボタン7の右側のボタン7cまたは左側のボタン7cの操作によって音量レベルが調整され、第2操作ボタン7の更なる操作が行われることなく所定時間が経過(「所定条件が成立」に相当する。)すると、現在の音量レベル等が消去されるようになっています。
したがって、引用発明1に引用発明3を適用した場合には、「遊技者の音量調整操作に基づく音量調整が可能であり、音量調整の際に調整状況に関する状況表示を表示可能であり、音量調整のための操作があった場合に所定条件が成立するまで状況表示が表示される」という構成にしかなり得ないと思料します。
そして、本発明は「第1状態において前記音量調整のための操作があった場合に、前記所定条件が成立しても前記状況表示の表示を継続する」点が限定されていることによって、音量調整のための操作があった後に所定条件が成立し、たとえ客待ち状態になった場合であっても音量調整のための状況表示が表示されますので、遊技者は引用発明3のように遊技機の正面側に位置しなくても、遊技機における音量調整の状況表示を確認できます。
すなわち、本発明は、遊技者が遊技開始時に遊技機を選択するための有益な情報を、常に取得し易く提供でき、また、遊技者の意図しない操作が発生することを抑制しつつ、音量調整の際の遊技者の利便性を向上できるという顕著な効果を奏します。」
しかしながら、上記(5)ア(ア)で示したように、引用例3において、第2操作ボタン7は音量調整に用いられるものであるが、第1操作ボタン6又はハンドルレバー5は音量調整に用いられるものではなく、待機演出の実行中(第1状態)に、第1操作ボタン6又はハンドルレバー5が操作されても音量レベル(状況表示)を含む操作案内画像GBが表示されるのであり、本願補正発明の「H 第1状態において、前記音量調整のための操作の有無に関わらず前記状況表示を視認可能に表示し、」との特定事項を備えるものであり、引用例3記載の技術事項を引用発明に適用すれば、本願補正発明の特定事項E、GないしJを備えることになるから、上記主張は採用できない。

(8)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が、引用発明、引用例2及び3記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成31年2月7日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、この出願の平成31年2月7日提出の手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

<引用文献等一覧>
1.特開2015-217100号公報
2.特開2016-36654号公報
3.特開2015-139469号公報

3 引用例
引用例1(引用文献1)ないし引用例3(引用文献3)は、上記第2[理由]3(2)アないしウに記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明(上記第2[理由]1)は、本願補正発明(上記第2[理由]3(1))から、上記相違点1に係る発明特定事項の一部である特定事項Jに係る発明特定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記相違点1から特定事項Jを除いた点及び上記相違点2で相違するから、本願発明も上記第2[理由]3(5)ア及びイで示した理由と同様の理由により、当業者が、引用発明、引用例2及び3記載の技術事項に基いて、容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-01-05 
結審通知日 2021-01-12 
審決日 2021-01-26 
出願番号 特願2016-157455(P2016-157455)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中野 直行  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 鉄 豊郎
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 小原 博生  

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