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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1372485
審判番号 不服2020-2064  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-14 
確定日 2021-03-26 
事件の表示 特願2019- 33554号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月30日出願公開、特開2019- 80994号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成31年2月27日の出願であって、令和1年10月17日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月6日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和2年2月4日付け(送達日:同年同月12日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年同月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、これに対し、当審において、同年9月30日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月27日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年10月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Gは、本願発明を分説するために当審で付与した)。
「A 識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの変動中演出の一部として実行される特定演出と、
B 前記特定演出中に特定楽曲を出力させる音制御手段と、を備え、
C 前記特定演出は、前記特定楽曲の出力状況に合わせて動作するキャラクタが表示される演出ではなく、
D 前記特定演出の態様として、
D1 遊技者にとって好ましくない失敗結末に至った時点と略同時に前記特定楽曲の出力が停止される通常態様と、
D2 前記失敗結末に至ったように見える擬似失敗結末に至った時点を跨いで前記特定楽曲が継続的に出力される特殊態様と、が設定されており、
E 前記通常態様は、当否判定結果がはずれであることが示される時点と略同時に前記特定楽曲の出力が停止されるものであり、
F 前記特殊態様は、当否判定結果がはずれであるかのように見せられる時点を跨いで前記特定楽曲が継続的に出力されるものであって、当否判定結果が当たりとなることが確定するものである
G ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
令和2年9月30日付けの当審における拒絶の理由の概要は、以下のとおりのものである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・理由(進歩性)について
・請求項1
・引用例1ないし4

引用例1.特開2010-172668号公報
引用例2.特開2016-77762号公報
引用例3.特開2011-110302号公報(周知技術を示す文献)
引用例4.特開2013-59467号公報(周知技術を示す文献)

第4 各引用例に記載された事項及び引用発明
1 引用例1
(1)引用例1に記載された事項
当審における拒絶の理由(令和2年9月30日付け拒絶理由通知書)に引用例1として引用された本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2010-172668号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下、同様。)。

ア「【0010】
ところで、上記手段に記載の遊技機では、抽選手段による抽選処理の結果に基づいて、図柄が変動し、所定の表示としての例えば該図柄の変動が停止したときの停止態様が結果教示表示手段に表示される。この停止態様によって抽選処理の結果が示唆される。
【0011】
また、図柄が変動するに際しては複数の変動パターンがあり、抽選手段による抽選処理の結果に基づいて所定の演出パターンが決定される(演出パターン決定手段)。そして、決定された演出パターンに応じて、所定の演出表示が行われる(演出表示制御手段)。所定の演出パターンとしては、例えばキャラクターが表示される演出等が挙げられ、とくに抽選処理の結果が当たりである場合には、当たりであることを期待させるような賑やかな演出が選択されやすい。一方、抽選結果がハズレである場合には、図柄群の変動が開始されたのち、遊技者に期待感を与えるような演出が行われることなく、あっさりと停止表示してしまうハズレ変動演出が選択されやすい。このように、表示された演出パターンにより、遊技者は、抽選結果に対してどの程度の期待が持てるのかを知ることが可能となる。」

イ「【0023】
図1および図2において、本実施形態に係るパチンコ機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技パネル409を含む遊技演出ユニット4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支される扉枠5と、を備えて構成されている。外枠2に対する本体枠3の施錠および本体枠3に対する扉枠5の施錠は、いずれも施錠装置60により行われる。なお、この実施の形態にかかる外枠2は、概ね52cmの横幅、及び概ね81cmの高さ、及び概ね7cmの奥行き幅をもった縦長矩形状をもって形成されている。なお、「遊技パネル409」は、本発明の「遊技板」に相当する。」

ウ「【0154】
これに対し、上記副ドロワ中継基板649には、枠側副ドロワコネクタ2002bと、扉枠用コネクタ2012とが上下に設けられている。このうち、枠側副ドロワコネクタ2002bは、遊技演出制御ユニット99の裏面側に取り付けられるユニット側副ドロワコネクタ2002aと接続されることで、上記演出制御装置(周辺制御基板810(図65参照))の後述の枠装飾中継端子板240に対する情報授受ラインを形成する部分である。すなわち、上記枠側副ドロワコネクタ2002bは、当該副ドロワ中継基板649の基板内配線(図示略)にて上記扉枠用コネクタ2012と電気的に接続されており、この扉枠用コネクタ2012が上記枠装飾中継端子板240とワイヤーハーネス(図示略)にて接続されることで、上記演出制御装置(周辺制御基板810(図65参照))の後述の枠装飾中継端子板240に対する情報授受ラインが形成されることとなる。これにより、上記演出制御装置は、上記枠装飾中継端子板240を通じてスピーカ144a,144bや操作ボタン327や枠装飾ランプ842などの駆動にかかる制御を行うことができるようになる。」

エ「【0490】
外部通常遊技状態は、後述の開放延長機能(いわゆる時短機能)が作動しない遊技状態であって、一対の可動片606が後述の促進態様に制御されない遊技状態である。即ち、後述するが、一対の可動片606は、普通図柄抽選手段920による抽選処理において当選したことを契機として開閉動作するものであり、これによって上記第3始動口604への遊技球の入賞確率を高めるものであるが、当該可動片606が動作するときの動作態様としては、第1の動作態様と、該第1の動作態様よりも遊技者に有利な第2の動作態様(促進態様)とが用意されている。そしてこのうち、外部通常遊技状態では、上記可動片606が動作するときの動作態様として上記第1の動作態様が採用されることとなる。なお、この第1の動作態様とは、上記第3始動口604への遊技球の入賞が促進され難い態様のことであり、例えば、第3始動口604が閉状態に維持される態様、または、第3始動口604が閉状態に維持される場合と比べて遊技球の入賞に影響を与えない程度に一対の可動片606が開放動作する態様(即ち、可動片606が開閉動作したとしても第3始動口604への入賞頻度が閉状態に維持される場合とほぼ同等である態様)である。「遊技球の入賞に影響を与えない程度に」とは、一対の可動片606が開閉動作したとしても第3始動口604への入賞頻度が閉状態に維持される場合と殆ど同等であること、即ち、一対の可動片606が開放動作したとしても第3始動口604への遊技球の入賞が殆ど促進されないことを意味する。」

オ「【0528】
さらに、本実施形態では、演出表示装置115に表示される表示態様およびスピーカ144a,144b,341a,341bから出力される効果音や演出音は、開閉装置作動処理が終了したときと第2短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したときとで互いに極似している。また、本実施形態のパチンコ機1では、内部遊技状態がいずれの遊技状態であるかを報知する状態報知ランプのような状態報知手段を備えていない(一般的な遊技機では状態報知ランプを備えている)ので、内部的な遊技の状態(確変機能が作動しているか否か)を全く報知していない(それどころか、外部通常遊技状態Bの存在さえも遊技者は知らないことすらある)。これにより、遊技者は、開閉装置500の開閉動作が行われたことに気がついたとしても、それが第2短開放大当たりに基づくものであるのか特定条件の成立に基づくものであるのかを把握することができない(遊技状態が報知される一般的な遊技機では、短開放大当たり遊技が実行されると確変機能が作動し、当該確変機能が作動している旨が報知される)。なお、第1短開放大当たりに基づく短開放大当たり遊技が終了したのちは開放延長機能が作動するので、第1短開放大当たり遊技であったことが把握できる。また、「極似している」とは、全く同一のみならず極めて似たものを含む意味である。」

カ「【0630】
[当たり変動パターンテーブル設定処理について]
次に、図74および図75に基づいて当たり変動パターンテーブル設定処理について説明する。図74は、当たり変動パターンテーブル設定処理の一例を示すフローチャートである。図75は、当たり変動パターンテーブル設定処理において設定される変動パターンテーブル毎の変動パターンを示す一覧表図である。なお、図75の当落の欄に記載の◎は長開放大当たりを意味し、○は短開放大当たりを意味し、△は特定条件の成立を意味し、×は外れを意味する。」

キ「【0632】
なお、この実施の形態では、同図75に示されるように、総数「1000」のテーブル選択用乱数が変動パターンテーブルA1?A7、K1、K2の別にそれぞれ対応付けられている。そして、上記変動パターンテーブルの選択に際しては、上記選択用乱数のうちの1つを取得し、該取得した選択用乱数に基づいて上記変動パターンテーブルA1?A7、K1、K2のうちの1つを選択するようにしている。したがって、ステップS15203における変動パターンテーブルの選択処理では、図75に示されるように、1000分の820の確率で変動パターンテーブルA1が選択され、1000分の175の確率で変動パターンテーブルA2が選択され、1000分の5の確率で変動パターンテーブルA3が選択される。なお、これらテーブルA1?A3のうち、テーブルA2は連続演出が行われるテーブルである。テーブル選択用乱数については、他の乱数と兼用で用いるようにしてもよい。」

ク「【0642】
[高期待外れ変動パターンテーブル設定処理について]
次に、図76および図77に基づいて高期待外れ変動パターンテーブル設定処理について説明する。図76は、高期待外れ変動パターンテーブル設定処理の一例を示すフローチャートである。図77は、高期待外れ変動パターンテーブル設定処理において設定される変動パターンテーブル毎の変動パターンを示す一覧表図である。なお、図77の当落の欄に記載の◎は長開放大当たりを意味し、○は短開放大当たりを意味し、△は特定条件の成立を意味し、×は外れを意味する。」

ケ「【0644】
なおここでも、同図77に示されるように、総数「1000」のテーブル選択用乱数が変動パターンテーブルH1?H5の別にそれぞれ対応付けられている。そして、上記変動パターンテーブルの選択に際しては、上記選択用乱数のうちの1つを取得し、該取得した選択用乱数に基づいて上記変動パターンテーブルH1?H5のうちの1つを選択するようにしている。したがって、ステップS15402における変動パターンテーブルの選択処理では、図77に示されるように、1000分の820の確率で変動パターンテーブルH1が選択され、1000分の135の確率で変動パターンテーブルH2が選択され、1000分の5の確率で変動パターンテーブルH3が選択され、1000分の40の確率で変動パターンテーブルH4が選択される。なお、外部通常遊技状態時において連続演出が行われる確率は、リーチ確率(10.5分の1?15分の1)とテーブルH4が選択される確率(1000分の40)との乗数(10500分の40?15000分の40)となる。」

コ「【図74】



サ「【図75】



シ「【図76】



ス「【図77】



セ(図示内容)
上記カの【0630】及び上記コの図74の記載から、上記サの図75には、当たり変動パターンテーブル設定処理において設定される変動パターンテーブル毎の変動パターンを示す一覧表図が示されており、同図75には、当落の欄の記載が◎である長開放大当たりで変動パターンテーブルA1が選択されると変動番号21の「D楽曲リーチ・発展当たり」が選択される確率は、1000分の220であることが見て取れる。
また、上記クの【0642】及び上記シの図76の記載から、上記スの図77には、高期待外れ変動パターンテーブル設定処理において設定される変動パターンテーブル毎の変動パターンを示す一覧表図が示されており、同図77には、当落の記載が×である外れで変動パターンテーブルH2が選択されると変動番号20の「D楽曲リーチ・発展外れ」が選択される確率は、1000分の52であることが見て取れる。

ソ「【0701】
各始動口600,602,604のうちいずれかに遊技球が入賞すると、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910により特別図柄の抽選が行われる。当該抽選結果は、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示されると共に、演出表示装置115において装飾図柄1153の停止図柄の組み合わせにより表示される。」

タ「【0832】
図91は、外部通常遊技状態において第1特別図柄抽選手段による抽選結果または第2特別図柄抽選手段による抽選結果を演出表示装置に導出する場合の演出表示態様を示す図である。すなわち、図91(A)が、装飾図柄1153の変動開始前の態様を示す図、図91(B)が、装飾図柄1153の変動中の態様を示す図、図91(C)が、変動番号1?3の「通常変動」、「短縮変動1」または「短縮変動2」に基づく装飾図柄1153の停止態様を示す図、図91(D)が、リーチの成立を導出する画面を示す図、図91(E)が、リーチが成立した状態での装飾図柄1153の変動態様を示す図である。
【0833】
図91(A)に示すように、変動開始前には装飾図柄1153が停止表示される。また、例えば保留表示領域1150では、各保留記憶表示部1151a?1151d,1152a?1152bが第2の表示態様または第3の表示態様であり、第1特別図柄抽選手段900による抽選の保留数(第1特別図柄保留カウンタ903によるカウンタ値)と第2特別図柄抽選手段910による抽選の保留数(第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値)との合計が6つであることが示されている。以下では、各特別図柄抽選手段900,910による抽選の保留順に従って、第1特別図柄抽選手段900による抽選の保留に基づく図柄変動(第1特別図柄の変動表示)と、第2特別図柄抽選手段910による抽選の保留に基づく図柄変動(第2特別図柄の変動表示)とが実行される。
【0834】
ここで、図91(B)に示すように、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示に伴って装飾図柄1153の変動が開始されると、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cでは各図柄が縦方向(より詳しくは、遊技者から見て上から下に向かう方向)にスクロールする態様で変動が行なわれるとともに、中図柄列1153bでは各図柄がその場で切り替わるような態様で変動が行なわれる。そして、左図柄列1153a、右図柄列1153c、中図柄列1153bの順で停止する。なお、当該変動が第1特別図柄に対応するものであれば、第1特別図柄対応図柄1000においても図柄変動の後に、装飾図柄1153と同様に停止表示される。一方、当該変動が第2特別図柄に対応するものであれば、第2特別図柄対応図柄1002においても図柄変動の後に、装飾図柄1153と同様に停止表示される。」

チ「【図91】



ツ「【0841】
[開放延長機能非作動時の楽曲リーチ演出]
次に、本実施形態のパチンコ機1において、外部通常遊技状態が実行されているときのリーチを伴う演出表示態様である「楽曲リーチ演出」について説明する。この「楽曲リーチ演出」は所定の楽曲の一部又は全部を用いてリーチ演出を行ったのちに抽選結果として当たりまたは外れを導出する態様である。」

テ「【0843】
ここで、A楽曲の導入部を用いた歌唱演出が実行されたのちに、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「外れ」が導出されても、特別図柄対応図柄1000,1002での図柄変動が継続して行なわれているときは、装飾図柄1153が仮停止した状態となる。そして、この装飾図柄1153が仮停止した状態から中図柄列1153bの変動が再開されるとともに、演出表示装置115ではキャラクタの歌唱演出が引き続き実行され、かつ、スピーカ144a,144b,341a,341bからA楽曲の前半部が導入部から連続するように音声出力される。このA楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出される演出表示態様が、変動番号6の「A楽曲リーチ・ロング外れ」に相当する。一方、このA楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「大当たり」に当選したことが導出される演出表示態様が、変動番号7の「A楽曲リーチ・ロング当たり」に相当する。」

ト「【0845】
次に、A楽曲の導入部を用いた歌唱演出が実行されている途中で、中図柄列1153bの図柄変動が停止することなく、演出表示装置115ではB楽曲への導入画面に切り替え表示されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからA楽曲に代わってB楽曲の導入部が音声出力される場合がある(B楽曲への楽曲切替演出)。さらに、このB楽曲の導入部を用いた楽曲切替演出が実行されたのちに、演出表示装置115ではB楽曲に固有のキャラクタの歌唱演出が引き続き実行されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからB楽曲の前半部が導入部から連続するように音声出力されることがある。そして、このB楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出される演出表示態様が、変動番号10の「B楽曲リーチ・ノーマル外れ」に相当する。一方、このB楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「大当たり」に当選したことが導出される演出表示態様が、変動番号11の「B楽曲リーチ・ノーマル当たり」に相当する。」

ナ「【0847】
次に、B楽曲の導入部を用いた楽曲切替演出が実行されている途中で、中図柄列1153bの図柄変動が停止することなく、演出表示装置115ではC楽曲への導入画面に切り替え表示されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからB楽曲に代わってC楽曲の導入部が音声出力される場合がある(C楽曲への楽曲切替演出)。さらに、このC楽曲の導入部を用いた楽曲切替演出が実行されたのちに、演出表示装置115ではC楽曲に固有のキャラクタの歌唱演出が引き続き実行されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからC楽曲の前半部が導入部から連続するように音声出力されることがある。そして、このC楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出される演出表示態様が、変動番号14の「C楽曲リーチ・ノーマル外れ」に相当する。一方、このC楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「大当たり」に当選したことが導出される演出表示態様が、変動番号15の「C楽曲リーチ・ノーマル当たり」に相当する。」

ニ「【0849】
次に、C楽曲の導入部を用いた楽曲切替演出が実行されている途中で、中図柄列1153bの図柄変動が停止することなく、演出表示装置115ではD楽曲への導入画面に切り替え表示されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからC楽曲に代わってD楽曲の導入部が音声出力される場合がある(D楽曲への楽曲切替演出)。さらに、このD楽曲の導入部を用いた楽曲切替演出が実行されたのちに、演出表示装置115ではD楽曲に固有のキャラクタの歌唱演出が引き続き実行されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからD楽曲の前半部が導入部から連続するように音声出力されることがある。そして、このD楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出される演出表示態様が、変動番号18の「D楽曲リーチ・ノーマル外れ」に相当する。一方、このD楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「大当たり」に当選したことが導出される演出表示態様が、変動番号19の「D楽曲リーチ・ノーマル当たり」に相当する。
【0850】0

一方、D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されて装飾図柄1153が仮停止した状態となったのちに、中図柄列1153bの変動が再開されるとともに、演出表示装置115ではキャラクタの歌唱演出が引き続き実行されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからD楽曲の後半部が前半部から連続するように音声出力されることもある。このD楽曲の後半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出される演出表示態様が、変動番号20の「D楽曲リーチ・発展外れ」に相当する。一方、このD楽曲の後半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「大当たり」に当選したことが導出される演出表示態様が、変動番号21の「D楽曲リーチ・発展当たり」に相当する。」

ヌ「【0852】
このように、本実施形態の開放延長機能非作動時の「楽曲リーチ演出」では、各リーチ演出が段階的に発展する(具体的には、特別図柄の変動時間が延長される)のに伴って、各A?D楽曲が導入部、前半部、後半部と連続したパートとして出力可能となっている。そして、各A?D楽曲を各パートが連続して出力されるほど(すなわち、各楽曲の歌唱演出が継続するほど)、「大当たり」に当選している期待度が高くなるように構成されている。そのため、遊技者は各A?D楽曲の歌唱演出がより長く継続してほしいと念じつつリーチ演出を楽しむことができ、興趣の低下が抑制される。
【0853】
また、本実施形態の開放延長機能非作動時の「楽曲リーチ演出」では、各楽曲のうちで、A楽曲、B楽曲、C楽曲、D楽曲の順に「大当たり」に当選している期待度が高くなるように構成されている。そのため、遊技者は、リーチ発生時やA楽曲の導入部を用いた歌唱演出が実行されているときに、B楽曲への楽曲切替演出が行なわれることや、さらにC楽曲やD楽曲への楽曲切替演出が行なわれることを期待しつつリーチ演出を注視することになるため、興趣の低下が抑制される。」

ネ(認定事項)
上記ニの【0850】の変動番号21の「D楽曲リーチ・発展当たり」は、上記トの【0845】の「次に、A楽曲の導入部を用いた歌唱演出が実行されている途中で、中図柄列1153bの図柄変動が停止することなく、演出表示装置115ではB楽曲への導入画面に切り替え表示されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからA楽曲に代わってB楽曲の導入部が音声出力される場合がある(B楽曲への楽曲切替演出)。・・・」、上記ナの【0847】の「次に、B楽曲の導入部を用いた楽曲切替演出が実行されている途中で、中図柄列1153bの図柄変動が停止することなく、演出表示装置115ではC楽曲への導入画面に切り替え表示されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからB楽曲に代わってC楽曲の導入部が音声出力される場合がある(C楽曲への楽曲切替演出)。・・・」、上記ニの【0849】の「次に、C楽曲の導入部を用いた楽曲切替演出が実行されている途中で、中図柄列1153bの図柄変動が停止することなく、演出表示装置115ではD楽曲への導入画面に切り替え表示されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからC楽曲に代わってD楽曲の導入部が音声出力される場合がある(D楽曲への楽曲切替演出)。・・・」及び同【0850】の「一方、D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されて装飾図柄1153が仮停止した状態となったのちに、中図柄列1153bの変動が再開されるとともに、演出表示装置115ではキャラクタの歌唱演出が引き続き実行されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからD楽曲の後半部が前半部から連続するように音声出力されることもある。・・・一方、このD楽曲の後半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「大当たり」に当選したことが導出される演出表示態様が、変動番号21の「D楽曲リーチ・発展当たり」に相当する。」との記載から、変動番号21の「D楽曲リーチ・発展当たり」は、A楽曲の導入部を用いた歌唱演出が実行されている途中で、中図柄列1153bの図柄変動が停止することなく、B楽曲の導入部、C楽曲の導入部、D楽曲の導入部が音声出力され、D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されて装飾図柄1153が仮停止した状態となったのちに、中図柄列1153bの変動が再開される演出であり、上記テの【0843】の「A楽曲の導入部を用いた歌唱演出が実行されたのちに、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「外れ」が導出されても、特別図柄対応図柄1000,1002での図柄変動が継続して行なわれているときは、装飾図柄1153が仮停止した状態となる」、「装飾図柄1153が仮停止した状態から中図柄列1153bの変動が再開されるとともに、演出表示装置115ではキャラクタの歌唱演出が引き続き実行され」及び「A楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出される演出表示態様が、変動番号6の「A楽曲リーチ・ロング外れ」に相当する。一方、このA楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「大当たり」に当選したことが導出される演出表示態様が、変動番号7の「A楽曲リーチ・ロング当たり」に相当する。」との記載から、「装飾図柄1153が仮停止した状態」は「外れの状態」であって、変動番号21の「D楽曲リーチ・発展当たり」は、同【0843】の「A楽曲の導入部を用いた歌唱演出」から継続している演出であることは明らかであるから、上記ニの【0850】の「D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されて装飾図柄1153が仮停止した状態」は、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「外れ」が導出されて装飾図柄1153が仮停止した状態である。

(2)引用発明
上記アないしヌに摘記した引用例1の記載事項、図示内容及びネの認定事項より、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。なお、aないしgの符号は、本願発明の構成AないしGに概ね対応させて当審にて付与した。

「a 各始動口600,602,604のうちいずれかに遊技球が入賞すると、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910により特別図柄の抽選が行われ(【0701】)、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示に伴って装飾図柄1153の変動が開始され、左図柄列1153a、右図柄列1153c、中図柄列1153bの順で停止し(【0834】)、当該抽選結果は、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示されると共に、演出表示装置115において装飾図柄1153の停止図柄の組み合わせにより表示され(【0701】)、開放延長機能(いわゆる時短機能)が作動しない遊技状態である外部通常遊技状態(【0490】)が実行されているときのリーチを伴う演出表示態様である「楽曲リーチ演出」を備え、当該「楽曲リーチ演出」は所定の楽曲の一部又は全部を用いてリーチ演出を行ったのちに抽選結果として当たりまたは外れを導出する態様であり(【0841】)、
b 枠装飾中継端子板240を通じて、効果音や演出音を出力するスピーカ144a,144b,341a,341bの駆動にかかる制御を行う演出制御装置(【0154】、【0528】)を備え、
d 楽曲リーチ演出として、A楽曲の導入部を用いた歌唱演出が実行されている途中で、中図柄列1153bの図柄変動が停止することなく、演出表示装置115ではB楽曲への導入画面に切り替え表示されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからA楽曲に代わってB楽曲の導入部が音声出力される場合があり(【0845】)、B楽曲の導入部を用いた楽曲切替演出が実行されている途中で、中図柄列1153bの図柄変動が停止することなく、演出表示装置115ではC楽曲への導入画面に切り替え表示されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからB楽曲に代わってC楽曲の導入部が音声出力される場合があり(【0847】)、C楽曲の導入部を用いた楽曲切替演出が実行されている途中で、中図柄列1153bの図柄変動が停止することなく、演出表示装置115ではD楽曲への導入画面に切り替え表示されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからC楽曲に代わってD楽曲の導入部が音声出力される場合があり、D楽曲の導入部を用いた楽曲切替演出が実行されたのちに、演出表示装置115ではD楽曲に固有のキャラクタの歌唱演出が引き続き実行されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからD楽曲の前半部が導入部から連続するように音声出力される「D楽曲リーチ・ノーマル外れ」、「D楽曲リーチ・ノーマル当たり」、「D楽曲リーチ・発展外れ」及び「D楽曲リーチ・発展当たり」を有し(【0849】、【0850】)、
d1 「D楽曲リーチ・ノーマル外れ」は、D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出される演出表示態様であり(【0849】)、
d2、f 「D楽曲リーチ・発展当たり」は、D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されて、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「外れ」が導出され、装飾図柄1153が仮停止した状態となったのちに、中図柄列1153bの変動が再開されるとともに、演出表示装置115ではキャラクタの歌唱演出が引き続き実行されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからD楽曲の後半部が前半部から連続するように音声出力されることがあり、D楽曲の後半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「大当たり」に当選したことが導出される演出表示態様であり(【0850】、ネ(認定事項))、
f 開放延長機能非作動時の「楽曲リーチ演出」では、各A?D楽曲を各パートが連続して出力されるほど、「大当たり」に当選している期待度が高くなるように構成され、各楽曲のうちで、A楽曲、B楽曲、C楽曲、D楽曲の順に「大当たり」に当選している期待度が高くなるように構成されており(【0852】、【0853】)、変動パターンテーブルA1が選択されると変動番号21の「D楽曲リーチ・発展当たり」は1000分の220で選択され、変動パターンテーブルH2が選択されると変動番号20の「D楽曲リーチ・発展外れ」」は1000分の52で選択される(【0632】、【0644】、【図74】【図75】、【図76】、【図77】、セ(図示内容))、
g パチンコ機1(【0023】)。」

2 引用例2
(1)引用例2に記載された事項
当審における拒絶の理由(令和2年9月30日付け拒絶理由通知書)に引用例2として引用された本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-77762号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【0446】
次に、第3図柄表示装置81にてスーパーリーチが成立すると、表示制御装置114から音声ランプ制御装置113に対して表示種別「スーパーリーチ」を示す表示種別コマンドが送信され、音声ランプ制御装置113はこの表示種別コマンドを受けて、表示コマンド判定処理(図25)により、表示種別フラグ223bを「スーパーリーチ」に設定する。すると、音編集処理(図26)では、S2309の処理が実行され、上物楽器パートのミュート解除が音出力LSI301に設定される。これにより、音出力LSI301では、オンされていた上物楽器パートのミュートがオフされる。よって、音声出力装置226からは、第3図柄表示装置81においてノーマルリーチからスーパーリーチへ発展したタイミングで、それまで基本パートのみ出力されていたリーチ用BGMに上物楽器パートが被さって出力される。
【0447】
更に、第3図柄表示装置81にてスペシャルリーチが成立すると、表示制御装置114から音声ランプ制御装置113に対して表示種別「スペシャルリーチ」を示す表示種別コマンドが送信され、音声ランプ制御装置113はこの表示種別コマンドを受けて、表示コマンド判定処理(図25)により、表示種別フラグ223bを「スペシャルリーチ」に設定する。すると、音編集処理(図26)では、S2311の処理が実行され、歌パートのミュート解除が音出力LSI301に設定される。これにより、音出力LSI301では、オンされていた歌パートのミュートがオフされる。よって、音声出力装置226からは、第3図柄表示装置81においてスーパーリーチからスペシャルリーチへ発展したタイミングで、それまで歌パート及び上物楽器パートが出力されていたリーチ用BGMに歌パートが被さって出力される。
【0448】
その後、第3図柄表示装置81において、第3図柄が確定表示されると、基本パート,上物楽器パート,歌パートの3つのパートの再生が停止され、リーチ用BGMの再生が終了する。
【0449】
このように、本パチンコ機10では、ノーマルリーチからスーパーリーチ、スーパーリーチからスペシャルリーチへと発展する度に、音声出力装置226から出力されるリーチ用BGMが、基本パートのみから、基本パート+上物楽器パート、基本パート+上物楽器パート+歌パートと、段々と派手になっていく。これにより、遊技者は、第3図柄表示装置81に表示される変動演出のリーチが発展していく場合に、その第3図柄表示装置81にて表示される画像からだけではなく、音声出力装置226から出力されるリーチ用BGMによって、大当たりとなる期待感を向上させていくことができる。
・・・中略・・・
【0451】
これに対し、音出力LSI301は、リーチが成立した時点で、リーチ用BGMを構成する基本パート、上物楽器パート、歌パートの全てのパートの再生を開始する一方、ノーマルリーチの間は上物楽器パート及び歌パートをミュートしておき、ノーマルリーチからスーパーリーチへ発展した場合に上物楽器パートのミュートを解除し、スーパーリーチからスペシャルリーチへ発展した場合に歌楽器パートのミュートを解除する。即ち、ノーマルリーチからスーパーリーチへ発展するときには、それまで再生・出力されていた基本パートがそのまま継続して再生・出力されつつ、その基本パートに被さる形で上物楽器パートが再生・出力される。また、スーパーリーチからスペシャルリーチへ発展するときには、それまで再生・出力されていた基本パート及び上物楽器パートがそのまま継続して再生・出力されつつ、その基本パート及び上物楽器パートに被さる形で歌パートが再生・出力される。これにより、スーパーリーチやスペシャルリーチへ発展したときに、リーチ用BGMの連続性が途切れることなく、そのBGMを派手にしていくことができる。よって、従来のパチンコ機のように、BGMによって大当たりとなる期待感の向上に水を差すことなく、第3図柄表示装置81に表示される画像にあわせて音楽の面からも遊技者の期待感を高めることができる。従って、音楽を利用して遊技の興趣向上を図ることができる。」

(2)引用例2の記載事項
上記アに摘記した引用例2の記載事項より、引用例2には、以下の発明(以下、「引用例2の記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「ノーマルリーチからスーパーリーチ、スーパーリーチからスペシャルリーチへと発展する度に、音声出力装置226から出力されるリーチ用BGMが、基本パートのみから、基本パート+上物楽器パート、基本パート+上物楽器パート+歌パートと、段々と派手になっていき(【0449】)、第3図柄が確定表示されると、基本パート、上物楽器パート、歌パートの3つのパートの再生が停止され、リーチ用BGMの再生が終了する(【0448】)パチンコ機10(【0449】。」

3 周知技術
(1)引用例5
新たに提示する引用例5として引用する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2002-200275号公報(以下「引用例5」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【0013】
実施の形態1
図1は、特別図柄表示装置100を備えたパチンコ遊技機1の正面図を示す。」

イ「【0017】
本実施の形態では、リーチ状態になると、スピーカ(図示せず)から予め決められた音階の音が発せられ、その音に同期して、第3図柄(右図柄)が変動する。表示される図柄と音階の関係は、図3に示す通りである。」

ウ「【0035】
実施の形態2
上述した実施の形態1では、特別図柄変動装置100に3つの図柄のみを表示させる場合について説明したが、ここで述べる実施の形態2では、特別図柄変動装置100に音符を表示するための「音符ゾーン」も併せて設けてある。
【0036】
図7は、この「音符ゾーン」と、3つの図柄を表示させる「図柄ゾーン」との位置関係を示している。なお、「音符ゾーン」に表示される音符は、図柄の変動に伴なって右から左の方向にスクロールしていく。
【0037】
本実施の形態2においても、リーチになると、図柄の変動と音が同期(リンク)した表示となる。すなわち、第3図柄(右図柄)が変動すると同時に音符も順次スクロールして表示される。
【0038】
かくして、音符の長さ(8分音符,4分音符,2分音符,全音符など)の長さに応じて図柄の変動テンポも変化するので、従来では見られなかったような図柄変動が可能となる。」

エ「【図7】



上記アないしエの記載から、引用例5には「リーチ状態になると、スピーカから予め決められた音階の音が発せられ、その音に同期して、第3図柄が変動すると同時に音符も順次スクロールして表示されるパチンコ遊技機1」が記載されている。

(2)引用例6
新たに提示する引用例6として引用する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2004-275420号公報(以下「引用例6」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【0018】
図1に示す如く、遊技機10には、本体枠12と、本体枠12に組み込まれた遊技盤14と、遊技盤14の前面に設けられた本体枠12の窓枠16と、窓枠16の下側で本体枠12の前面に設けられた上皿20及び下皿22と、下皿22の右側に設けられた発射ハンドル26と、が配置されている。 【0019】
また、遊技盤14の前面には複数の障害釘(図示せず)が打ちこまれている。尚、釘を打ち込むような構成とせず、遊技盤14を樹脂素材で成形し、この樹脂素材の遊技盤14に金属製の棒状体を遊技盤14の前方向に突出するように植設する構成としてもよい。
【0020】
更に、発射ハンドル26は本体枠12に対して回転自在に設けられており、遊技者は発射ハンドル26を操作することによりパチンコ遊技を進めることができる。また、発射ハンドル26の裏側には、発射装置28が設けられている。」

イ「【0117】
図9は、リーチ状態を示す画像の表示例である。図9では、3つの図柄が変動表示された状態から第一の図柄及び第ニの図柄が同じ図柄(「7」)の組み合わせとして停止表示し、残りの第三の図柄が変動表示している状態を示している。
【0118】
また、図10は、カラオケゲームが実行されることを告知する演出画像の表示例である。図10では、例えば、キャラクタ画像と、「カラオケチャンス。上手く歌えれば信頼度UPの『カラオケチャンス』に挑戦だ!」というように、告知コメントが文字情報画像として表示されている。」

ウ「【0122】
更にまた、図12は、カラオケゲームの実行画像の表示例である。図12では、決定された楽曲に対応した歌詞が文字情報画像として表示されている。図12に示す如く、この歌詞画像は、演奏と同期して、画像の色、太さ、又は大きさが変化するように表示されるものである。即ち、歌唱者である遊技者は、この演奏と同期して変化する歌詞画像を視認して歌唱を行うこととなる。」

エ「【図12】



上記アないしエの記載から、引用例6には「リーチ状態でカラオケゲームが実行され、カラオケゲームの実行画像では、決定された楽曲に対応した歌詞が文字情報画像として表示されており、歌詞画像は、演奏と同期して、画像の色、太さ、又は大きさが変化するように表示されるパチンコ遊技を進めることができる遊技機10」が記載されている。

(3)引用例7
新たに提示する引用例7として引用する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-200502号公報(以下「引用例7」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【0019】
図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は当り種別表である。 パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取付けられる機構板(図示せず)と、それらに取付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。」

イ「【0031】
この実施の形態において、スーパーリーチにおいては、リーチ図柄が形成された後、所定の動画(たとえば、所定のキャラクタ動画等の動画)を表示した後、表示結果導出表示前の最終的な演出表示において、変動中の中演出図柄をスクロールさせる演出等の遊技者の期待感を向上させるような複雑な演出表示が実行される。また、ノーマルリーチにおいては、リーチ図柄が形成された後、前述の動画を表示せずに背景画像(図柄の背景を構成する画像)の種類をリーチ状態となる前に表示されていた画像とは異ならせるような比較的簡素な演出表示が実行される。このようなノーマルリーチでは、たとえば、中図柄の最終停止図柄の停止表示前のスクロール状態において、たとえば、3図柄前等の任意の図柄数(図柄配列数)前の図柄から変動表示速度を減速する演出が行なわれることにより、表示結果導出表示前の最終的な演出表示が行なわれる。なお、ノーマルリーチでは、その他の演出表示が行なわれる場合もある。」

ウ「【0214】
また、リーチ状態になることにより、演出制御用マイクロコンピュータ100によって楽曲演出が実行される。楽曲演出の実行により、音声出力基板70を経由してスピーカ27から楽曲の出力が開始されるとともに図15(A)に示すように、楽曲の歌詞情報が表示画面の下側の歌詞情報表示領域9Aに表示される。楽曲は、所定時間(たとえば、2分程度)が経過するまで出力される。楽曲の歌詞情報は、複数のフレーズの歌詞を含む。歌詞情報表示領域9Aには、フレーズ単位で楽曲の歌詞が表示される。たとえば、図15(A)においては、歌詞情報表示領域9Aに、「ちょうちょう ちょうちょう 菜の葉にとまれ」という1つのフレーズが表示されている例を示す。」

エ「【0261】
(3) 前述の実施の形態では、リーチ状態となる場合に、リーチ演出としての楽曲演出が行なわれるものとして説明したが、当該楽曲演出は、リーチ状態となる前の予告演出あるいは先読みによる複数変動に亘る連続予告演出として実行されてもよいし、あるいは、楽曲演出と異なるリーチ演出、予告演出または連続予告演出の実行とともに行なわれてもよいし、あるいは、複数の変動に亘ってBGM(Back Ground Music)を遊技者に提供する演出として行なわれてもよいし、リーチの種類に応じてリーチ演出として楽曲演出を行なうようにしてもよい。たとえば、リーチの種類がノーマルリーチである場合(あるいは、スーパーリーチである場合)に、リーチ演出として楽曲演出を行なうようにしてもよい。」

オ「


上記イの【0031】には「ノーマルリーチにおいては、リーチ図柄が形成された後、前述の動画を表示せずに背景画像(図柄の背景を構成する画像)の種類をリーチ状態となる前に表示されていた画像とは異ならせるような比較的簡素な演出表示が実行」されることが記載されており、上記エの【0261】には、「リーチの種類がノーマルリーチである場合に、リーチ演出として楽曲演出を行なうようにしてもよい」ことが記載されている。
そうすると、引用例7には、「背景画像の種類をリーチ状態となる前に表示されていた画像とは異ならせるような比較的簡素な演出表示が実行されるノーマルリーチである場合に、スピーカ27から楽曲の出力が開始されるとともに楽曲の歌詞情報が表示画面の下側の歌詞情報表示領域9Aに表示される楽曲演出を行なうパチンコ遊技機1」が記載されているといえる。

(4)周知技術1
上記(1)ないし(3)の引用例5ないし引用例7の記載から、各引用例では、楽曲を出力しているリーチにおいて、キャラクタは表示せずに歌詞や音符を表示する演出を行っていることから、引用例5ないし引用例7で例示されるように遊技機の分野において、「リーチにおいて、楽曲に合わせてキャラクタは表示せずに歌詞や音符等を表示する演出を行うパチンコ機」は周知技術(以下「周知技術1」という。)である。

(5)引用例3
当審における拒絶の理由(令和2年9月30日付け拒絶理由通知書)に引用例3として引用された本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-110302号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【0142】
再変動あり当り演出処理では、図21を用いて前述した再変動なし当り演出処理とは異なって、リーチ用特別演出が終了すると、演出図柄表示装置27の画面上で変動表示していた第3図柄を、既に停止している第1図柄および第2図柄とは異なる図柄で仮停止表示させる(S676)。すなわち、大当りの演出表示パターンであるにも拘わらず、数字図柄27a,27b,27cを外れ態様で仮停止させるのである。もっとも、実際には大当りの演出であるから、少なくとも最後に停止した第3図柄については、完全に停止させるのではなく、上下方向に小さな振幅でゆっくりと揺れるように動かしておく。
【0143】
そして、その状態から、演出図柄表示装置27の表示画面を次第に暗転(いわゆるブラックアウト)させていく(図23のS678)。このとき、遊技者は、数字図柄27a,27b,27cが外れ態様で停止したまま、演出図柄表示装置27の表示画面がブラックアウトしていくので、今回の図柄変動演出の結果が外れであると考えるが、その一方で、「もしかしたら再変動が開始されるのではないか」と考えて、ブラックアウトした演出図柄表示装置27の表示画面を注目しながら、再変動が開始されることを待ちかまえた状態となる。
【0144】
一方、サブ制御基板220のCPU221は、演出図柄表示装置27の表示画面をブラックアウトすると、残り演出時間の計測(本実施例ではカウントダウン)を開始する(S680)。すなわち、前述したように、再変動ありの大当りの演出表示パターンは、主制御基板200から指定された特別図柄の停止図柄が大当り図柄で、変動パターンが「パターン1」であった場合に選択される演出表示パターンであり(図18のS506参照)、再変動ありの演出表示パターンの演出時間は、主制御基板200から指定された「パターン1」の変動時間(132秒)に合わせた時間に設定されている。そして、演出図柄表示装置27の表示画面をブラックアウトさせた時点では、既にある程度の演出時間が経過している。そこで、S680では、残りの演出時間のカウントダウンを開始するのである。
【0145】
尚、本実施例のパチンコ機1では、3つの数字図柄27a,27b,27cの変動表示を開始してから、外れ態様で仮停止させ、演出図柄表示装置27の表示画面をブラックアウトするまでに要する時間が122秒に設定されており、従って、残り演出時間は、10秒からカウントダウンされるようになっている。
【0146】
こうして残り演出時間のカウントダウンを開始したら、遊技者による発射操作状態の変化があったか否かを判断する(S682)。すなわち、前述したように遊技者は、発射ハンドル8を操作することによって遊技球を発射する。また、図6を用いて前述したように、発射ハンドル8にはタッチスイッチ8tが設けられており、このタッチスイッチ8tは発射制御基板260に接続されている。従って、発射制御基板260(発射制御回路部)では、遊技者が遊技球を発射しようとして発射ハンドル8に手を触れたり、発射を止めようとして発射ハンドル8から手を離したりすると、タッチスイッチ8tからの出力信号(発射制御基板260に入力するタッチ信号)の変化に基づき、そのことを直ちに検出することが可能となっている。また、発射ハンドル8にはハンドルスイッチ8sも設けられており、このハンドルスイッチ8sも発射制御基板260に接続されている。従って、発射制御基板260(発射制御回路部)では、遊技者が遊技球を発射するために発射ハンドル8の回転部8aを回転させたり、発射を止めようとして回転部8aを元に戻したりすると、ハンドルスイッチ8sからの出力信号(発射制御基板260に入力するハンドル操作信号)の変化に基づき、そのことを直ちに検出することができる。更には、遊技球の発射中に、一時的に発射を中断しようとして発射停止スイッチ8bを操作した場合にも、ハンドルスイッチ8sの出力がOFFになるので、発射制御基板260(発射制御回路部)では、発射停止スイッチ8bからの出力信号(発射制御基板260に入力する発射停止信号)の変化に基づき、そのことを直ちに検出することが可能である。尚、本明細書でいう「発射操作」とは、このように遊技者が遊技球の発射に関連して発射ハンドル8に対して行う操作のことであり、「発射操作状態」とは、発射操作の状態(たとえば、ハンドルスイッチ8sやタッチスイッチ8tの状態)を指している。
【0147】
そして、図5を用いて前述したように、発射制御基板260(発射制御回路部)では、検出した発射操作状態をサブ制御基板220に向かって出力している。従って、発射操作状態が変化すれば、サブ制御基板220のCPU221も、そのことを直ちに認識することが可能となっている。図23のS682では、発射制御基板260から受け取った発射操作状態に関する情報に基づいて、発射操作状態が変化したか否かを判断する。
【0148】
その結果、発射操作状態に変化がなかった場合は(S682:no)、今度は、再変動開始タイミングか否かを判断する(S684)。本実施例では、再変動開始タイミングは、残り演出時間が2秒まで減少したタイミングに設定されている。残り演出時間のカウントダウンを開始した直後は、再変動開始タイミングに達していないから、S684では「no」と判断されて、再び、発射操作状態の変化があったか否かを判断する(S682)。このようにして、発射操作状態の変化があったか否か(S682)、および再変動開始タイミングになったか否か(S684)の判断を繰り返しているうちに、発射操作状態の変化があったか(S682:yes)、あるいは再変動開始タイミングに達したら(S684:yes)、その時点での残り演出時間を取得する(S686)。そして、取得した残り演出時間に応じた再変動パターンを選択する(S688)。
【0149】
図24は、残り演出時間に応じて再変動パターンが設定されたテーブルを例示した説明図である。サブ制御基板220に搭載されたROM222(図5参照)には、図示するようなテーブルが予め記憶されている。たとえば、8秒以上で10秒以下の残り演出時間に対しては、「再変動パターンA」が設定されている。また、この「再変動パターンA」という再変動パターンは、3つの数字図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示した後、第1図柄、第2図柄、第3図柄と順番に停止することにより、最後には当り態様で停止表示する演出パターンとなっている。」

上記アの記載から、引用例3には「3つの数字図柄27a,27b,27cの変動表示を開始してから、外れ態様で仮停止させ、3つの数字図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示した後、第1図柄、第2図柄、第3図柄と順番に停止することにより、最後には当り態様で停止表示する演出パターンを有するパチンコ機1」が記載されている。

(6)引用例4
当審における拒絶の理由(令和2年9月30日付け拒絶理由通知書)に引用例4として引用された本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-59467号公報(以下「引用例4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【0114】
(パチンコ機10の特徴的な仕様について)
次に、実施例のパチンコ機10における特徴的な仕様について説明する。なお、以下に説明する仕様は、通常モードにおいて第1始動入賞口31aにパチンコ球が入賞した場合において実行され得るものである。但し、以下に説明する仕様は、通常モードで第2始動入賞口31bにパチンコ球が入賞した場合に実行されるようにしたり、確変モードや時短モードにおいて第1始動入賞口31aまたは第2始動入賞口31bにパチンコ球が入賞した場合に実行されるようにしてもよい。図9は、実施例に係るパチンコ機10において、第1始動入賞口31aへの入賞を契機としてメイン制御CPU60aが決定し得る変動パターンを示している。図9に示すように、はずれ用(当り判定手段が否定の場合)の変動パターンとして、スーパーリーチはずれ変動パターンP1およびノーマルリーチはずれ変動パターンP4が設定され、また、大当り用(当り判定手段が肯定の場合)の変動パターンとして、再始動演出変動パターンP2、突発大当り変動パターンP3およびノーマルリーチ大当り変動パターンP5が設定されている。なお、再始動演出変動パターンP2は、特図1の大当り図柄が図柄A、図柄Bまたは図柄Fの場合(すなわち、前記特別確変大当り遊技または通常非確変大当り遊技の場合)に決定され得るよう設定されている。従って、特図1の大当り図柄として図柄C、図柄Dまたは図柄Eが選択された場合に、メイン制御CPU60aが変動パターンとして再始動演出変動パターンP2を決定することはない。
【0115】
前記ノーマルリーチはずれ変動パターンP4およびノーマルリーチ大当り変動パターンP5が特定する図柄変動演出を具体的に規定する演出パターンは、ノーマルリーチはずれ演出パターンD5およびノーマルリーチ大当り演出パターンD6として統括制御ROM65に夫々記憶されている。そして、ノーマルリーチはずれ変動パターンP4が決定された場合に、統括制御CPU65aがノーマルリーチはずれ演出パターンD5を決定すると共に、ノーマルリーチ大当り変動パターンP5が決定された場合に、統括制御CPU65aがノーマルリーチ大当り演出パターンD6を決定するようになっている。ノーマルリーチはずれ演出パターンD5およびノーマルリーチ大当り演出パターンD6では、ノーマルリーチ演出を実行した後に、該ノーマルリーチ演出の結果として最終図柄を導出するものである。具体的には、図10に示すように、背景画像として通常背景(通常変動画像)が表示されたもとで、飾図の変動表示が開始される。通常背景とは、特殊な演出を伴わない通常の図柄変動演出で表示される基本的な背景画像であって、リーチ演出を伴わないはずれ用の演出で表示されたり、図柄変動演出が終了して次の図柄変動演出が開始されるまでの間に表示されるものをいう。また、通常背景は、リーチ演出を伴う図柄変動演出において、変動開始からリーチ表示が形成されるまでの間に表示される。
【0116】
そして、変動開始から8000ms後に左図柄表示列26a(以下、単に左列という)に飾図が仮停止すると共に、変動開始から10000sm後に右図柄表示列26c(以下、単に右列という)に飾図が仮停止してリーチ表示(リーチ図柄)が表示され、ノーマルリーチ演出が実行される。ノーマルリーチ演出では、背景画像が切り替わることなく通常背景のままリーチ演出が行われる。すなわち、ノーマルリーチ演出とは、リーチ表示が表示された時点から背景画像が変化することなく通常背景のまま実行されるリーチ演出をいう。そして、変動開始から17000ms後に中図柄表示列26b(以下、単に中列という)に飾図が仮停止し、変動開始から19000ms後に3つの飾図が確定停止する。図10に示すように、ノーマルリーチはずれ演出パターンD5では、最終図柄として最終はずれ図柄が導出され、ノーマルリーチ大当り演出パターンD6では、最終図柄として最終大当り図柄が導出される。
【0117】
前記スーパーリーチはずれ変動パターンP1が特定する図柄変動演出を具体的に規定する演出パターンは、スーパーリーチはずれ演出パターン(リーチはずれ演出パターン)D1として統括制御ROM65bに記憶されている。そして、スーパーリーチはずれ変動パターンP1が決定された場合に、統括制御CPU65aは、スーパーリーチはずれ演出パターンD1を決定するようになっている。このスーパーリーチはずれ演出パターンD1では、前述したノーマルリーチ演出を実行した後に、スーパーリーチ演出(リーチ演出)を実行し、該スーパーリーチ演出の結果としてはずれ図柄組み合わせが導出されるものである。スーパーリーチはずれ演出パターンD1で導出されるはずれ図柄組み合わせは、一旦導出された後に再変動することがなく確定する最終はずれ図柄である。具体的には、図10に示すように、背景画像として通常背景(通常変動画像)が表示されたもとで、飾図の変動表示が開始される。そして、変動開始から8000ms後に左列26aに飾図が仮停止すると共に、変動開始から10000sm後に右列26cに飾図が仮停止してリーチ表示(リーチ図柄)が表示され、ノーマルリーチ演出が実行される。
【0118】
そして、ノーマルリーチ演出が実行されてから7000ms後(変動開始から17000ms後)に背景画像が通常背景からリーチ演出画像に切り替わり、スーパーリーチ演出が開始される。リーチ演出画像とは、特殊背景の1つであって通常背景とは異なる態様で表示されて、スーパーリーチ演出であることを遊技者に認識させる背景画像である。リーチ演出画像としては、例えば、特定のキャラクターが登場するアニメーション画像(動画)や、明暗や色調を段階的に変化させるグラデーション画像等が設定される。すなわち、スーパーリーチ演出とは、ノーマルリーチ演出を経て実行されるリーチ演出であって、リーチ演出画像のもとで実行されるリーチ演出をいう。スーパーリーチ演出では、変動開始から34000ms後に中図柄表示列26b(以下、単に中列という)に飾図が仮停止して前記最終はずれ図柄が導出される。そして、リーチ演出画像のまま最終はずれ図柄が2000ms間仮停止し、変動開始から36000ms後に背景画像がリーチ演出画像から通常背景に切り替わるようになっている。更に、通常背景に切り替わってから2000ms後(変動開始から38000ms後)に、最終はずれ図柄が確定停止するようになっている。最終はずれ図柄が確定停止すると、通常背景のまま次の図柄変動演出(以下、次変動という場合がある)が開始される。
【0119】
図9に示すように、前記再始動演出変動パターンP2が特定する図柄変動演出を具体的に規定する演出パターンとして、第1再始動演出パターンD2および第2再始動演出パターンD3の2種類が設定されている。これら第1および第2再始動演出パターンD2,D3は、統括制御ROM65に記憶されている。すなわち、1つの再始動演出変動パターンP2に対し、第1および第2再始動演出パターンD2,D3の2つの演出パターンが対応付けられている。そして、メイン制御CPU60aが再始動演出変動パターンP2を決定すると、統括制御CPU65aが、第1または第2再始動演出パターンD2,D3の何れかを決定するようになっている。第1再始動演出パターンD2および第2再始動演出パターンD3に基づいて実行される図柄変動演出の変動時間は、何れも42000msで同一に設定されている。第1再始動演出パターンD2および第2再始動演出パターンD3では、前記スーパーリーチはずれ変動パターンP1と同様に、ノーマルリーチ演出およびスーパーリーチ演出が実行されるようになっている。
【0120】
そして、第1再始動演出パターンD2で実行される図柄変動演出では、前記スーパーリーチ演出の結果としてはずれ図柄組み合わせを一旦導出させた後に、第1再始動演出(再始動演出)で再変動を行って大当り図柄組み合わせを一旦導出し、更に再抽選演出(再始動演出)で再変動を行って大当り図柄組み合わせを確定停止させるようになっている。スーパーリーチ演出で導出されるはずれ図柄組み合わせは、後の第1再始動演出で再変動される仮はずれ図柄で図柄であって、再変動されるまで一時的にはずれを遊技者に認識させるものである。また、第1再始動演出で導出される大当り図柄組み合わせは、後の再抽選演出で再変動される仮当り図柄であって、遊技者に一時的に大当りを認識させるものである。更に、再抽選演出で導出される大当り図柄組み合わせは、最終図柄としての最終当り図柄であって、遊技者に大当りを確定的に認識させるものである。」

上記アの記載から、引用例4には「大当り用(当り判定手段が肯定の場合)の変動パターンとして、再始動演出変動パターンP2を有し、再始動演出変動パターンP2が特定する図柄変動演出を具体的に規定する演出パターンとして、第1再始動演出パターンD2が設定されており、第1再始動演出パターンD2で実行される図柄変動演出では、はずれ図柄組み合わせを一旦導出させた後に、第1再始動演出(再始動演出)で再変動を行って大当り図柄組み合わせを一旦導出し、更に再抽選演出(再始動演出)で再変動を行って大当り図柄組み合わせを確定停止させるパチンコ機10」が記載されている。

(7)周知技術2
上記(5)及び(6)の引用例3(【0142】?【0149】参照)及び引用例4(【0114】?【0120】参照)の記載で例示されるように遊技機の分野において、「仮停止後に再変動する変動パターンとして、結果が当たりとなることが確定するパターンを有するパチンコ機」は周知技術(以下「周知技術2」という。)である。


第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)本願発明の構成Aについて
引用発明の構成aの「装飾図柄1153」、「変動が開始」することは、それぞれ本願発明の「識別図柄」、「変動を開始」することに相当する。
また、引用発明の構成aでは「各始動口600,602,604のうちいずれかに遊技球が入賞すると、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910により特別図柄の抽選が行われ・・・当該抽選結果は、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示されると共に、演出表示装置115において装飾図柄1153の停止図柄の組み合わせにより表示され・・・リーチを伴う演出表示態様である「楽曲リーチ演出」を備え、当該「楽曲リーチ演出」は所定の楽曲の一部又は全部を用いてリーチ演出を行ったのちに抽選結果として当たりまたは外れを導出する態様であ」ることから、引用発明の構成aの「抽選結果」、「停止図柄の組み合わせにより表示」すること、「楽曲リーチ演出」のうち「「D楽曲リーチ・ノーマル外れ」、「D楽曲リーチ・ノーマル当たり」、「D楽曲リーチ・発展外れ」及び「D楽曲リーチ・発展当たり」」は、それぞれ本願発明の「当否判定結果」、「組み合わせで完全に停止」すること、「特定演出」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。

(2)本願発明の構成Bについて
引用発明の構成bでは「枠装飾中継端子板240を通じて、効果音や演出音を出力するスピーカ144a,144b,341a,341bの駆動にかかる制御を行う演出制御装置を備え」ており、同構成dでは「楽曲リーチ演出として、・・・スピーカ144a,144b,341a,341bから・・・A楽曲に代わってB楽曲の導入部が音声出力される場合があり・・・B楽曲に代わってC楽曲の導入部が音声出力される・・C楽曲に代わってD楽曲の導入部が音声出力される「D楽曲リーチ・ノーマル外れ」、「D楽曲リーチ・ノーマル当たり」、「D楽曲リーチ・発展外れ」及び「D楽曲リーチ・発展当たり」を有し」ており、上記(1)で説示したとおり、引用発明の「楽曲リーチ演出」のうち「「D楽曲リーチ・ノーマル外れ」、「D楽曲リーチ・ノーマル当たり」、「D楽曲リーチ・発展外れ」及び「D楽曲リーチ・発展当たり」」は、本願発明の「特定演出」に相当するから、引用発明の構成bの「スピーカ144a,144b,341a,341b」から音声出力される「A楽曲」、「B楽曲」、「C楽曲」、「D楽曲」は、本願発明の「特定楽曲」に相当し、引用発明の構成bの「演出制御装置」は、本願発明の「音制御手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。

(3)本願発明の構成D、D1について
上記(1)で説示したとおり、引用発明の「楽曲リーチ演出」のうち「「D楽曲リーチ・ノーマル外れ」、「D楽曲リーチ・ノーマル当たり」、「D楽曲リーチ・発展外れ」及び「D楽曲リーチ・発展当たり」」は、本願発明の「特定演出」に相当するから、引用発明の構成dは本願発明の構成Dに相当し、引用発明の「D楽曲リーチ・ノーマル外れ」は、「D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出される演出表示態様」であり、「歌唱演出」の終了タイミングと「外れ」が導出されるタイミングは不明ではあるが、「歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出され」ており、パチンコ機の技術分野において、図柄の変動と図柄の変動に応じた表示演出及び音声演出とが関連して実行され、図柄が停止するタイミングの付近で図柄変動に応じた表示演出及び音声演出を終了させることが技術常識であるから、「外れ」が導出されるタイミング付近では「歌唱演出」は終了しているといえ、また、引用発明の「「外れ」」は、本願発明の「遊技者にとって好ましくない失敗結末」に相当する。
よって、引用発明の構成d1と本願発明の構成D1とは「遊技者にとって好ましくない失敗結末に至った時点付近に前記特定楽曲の出力が停止されている通常態様」を備える点で両者は共通する。

(4)本願発明の構成D、D2について
上記(1)で説示したとおり、引用発明の「楽曲リーチ演出」のうち「「D楽曲リーチ・ノーマル外れ」、「D楽曲リーチ・ノーマル当たり」、「D楽曲リーチ・発展外れ」及び「D楽曲リーチ・発展当たり」」は、本願発明の「特定演出」に相当するから、引用発明の構成dは本願発明の構成Dに相当し、引用発明の「D楽曲リーチ・発展当たり」は、「D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されて、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「外れ」が導出され、装飾図柄1153が仮停止した状態となったのちに、中図柄列1153bの変動が再開されるとともに、演出表示装置115ではキャラクタの歌唱演出が引き続き実行されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからD楽曲の後半部が前半部から連続するように音声出力されることがあ」ることから、引用発明の「中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「外れ」が導出され、装飾図柄1153が仮停止した状態となった」た時が、本願発明の「前記失敗結末に至ったように見える擬似失敗結末に至った時点」に相当する。
そして、引用発明では、「仮停止した状態」を挟んで「スピーカ144a,144b,341a,341bからD楽曲の後半部が前半部から連続するように音声出力されることがあ」るので、引用発明の構成d2、fは、本願発明の構成D2に相当する。

(5)本願発明の構成Eについて
上記(3)の説示と同様に、引用発明の構成d1と本願発明の構成Eとは「前記通常態様は、当否判定結果がはずれであることが示される時点付近に前記特定楽曲の出力が停止されている」点で共通する。

(6)本願発明の構成Fについて
上記(4)の説示と同様に、引用発明の構成d2、fでは、「D楽曲リーチ・発展当たり」は、「D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されて、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「外れ」が導出され、装飾図柄1153が仮停止した状態となったのちに、中図柄列1153bの変動が再開されるとともに、演出表示装置115ではキャラクタの歌唱演出が引き続き実行されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからD楽曲の後半部が前半部から連続するように音声出力されることがあ」ることから、引用発明の「中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「外れ」が導出され、装飾図柄1153が仮停止した状態となった」た時が、本願発明の構成Fの「前記特殊態様は、当否判定結果がはずれであるかのように見せられる時点」に相当する。
そして、引用発明の構成d2、fでは、「仮停止した状態」を挟んで「スピーカ144a,144b,341a,341bからD楽曲の後半部が前半部から連続するように音声出力されることがあ」るので、引用発明の構成d2、fは、本願発明の構成Fとは「前記特殊態様は、当否判定結果がはずれであるかのように見せられる時点を跨いで前記特定楽曲が継続的に出力されるものであ」る点で共通しているものの、引用発明では、「D楽曲リーチ・発展外れ」」が選択される場合があり、当たりとなることは確定せず、当たりとなることがあるという点で両者は相違する。

(7)本願発明の構成Gについて
引用発明の構成gの「パチンコ機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Gに相当する構成を有する。

そうすると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)

「A 識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの変動中演出の一部として実行される特定演出と、
B 前記特定演出中に特定楽曲を出力させる音制御手段と、
を備え、
D 前記特定演出の態様として、
D1' 遊技者にとって好ましくない失敗結末に至った時点付近に前記特定楽曲の出力が停止される通常態様と、
D2 前記失敗結末に至ったように見える擬似失敗結末に至った時点を跨いで前記特定楽曲が継続的に出力される特殊態様と、
が設定されており、
E' 前記通常態様は、当否判定結果がはずれであることが示される時点付近に前記特定楽曲の出力が停止されるものであり、
F' 前記特殊態様は、当否判定結果がはずれであるかのように見せられる時点を跨いで前記特定楽曲が継続的に出力されるものであって、当否判定結果が当たりとなることがある
G 遊技機。」

(相違点1)(構成C)
本願発明は、「前記特定演出は、前記特定楽曲の出力状況に合わせて動作するキャラクタが表示される演出ではな」いのに対して、引用発明では、「楽曲リーチ演出」は、「キャラクタの歌唱演出」である点。

(相違点2)(構成D1、E)
本願発明は、「遊技者にとって好ましくない失敗結末に至った時点と略同時に前記特定楽曲の出力が停止される通常態様」を備えており、「前記通常態様は、当否判定結果がはずれであることが示される時点と略同時に前記特定楽曲の出力が停止されるものであ」るのに対して、引用発明では、「D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出される演出表示態様」であり、「歌唱演出」の終了タ
イミングと「外れ」が導出されるタイミングは不明である点。

(相違点3)(構成F)
「前記特殊態様」について、本願発明は、「当否判定結果が当たりとなることが確定するものである」のに対して、引用発明では、当たりとなることは確定しない点。

第6 判断
1 相違点1について
遊技機の分野におけるリーチ演出において、楽曲に合わせてキャラクタは表示せずに歌詞や音符等を表示する演出を行うパチンコ機は、上記第4 3(4)で説示したとおり周知技術1である。
そして、引用発明と上記周知技術1とは、ともにリーチ演出として楽曲に合わせて表示演出を行う点で共通し、また、一般的に、パチンコ機のリーチ演出は、当業者が種々ある演出の中から、遊技者の興趣等に応じて適宜選択して決定し得る程度のことであることは、従来から広く知られているから、引用発明の「楽曲リーチ演出」において、楽曲に合わせた表示演出として「キャラクタの歌唱演出」を実行することに代えて、上記周知技術1の楽曲に合わせてキャラクタは表示せずに歌詞や音符等を表示する演出を採用して、相違点1に係る本願発明の特定事項となすことは当業者が容易になし得たことである。

2 相違点2について
引用例2に記載された事項は「ノーマルリーチからスーパーリーチ、スーパーリーチからスペシャルリーチへと発展する度に、音声出力装置226から出力されるリーチ用BGMが、基本パートのみから、基本パート+上物楽器パート、基本パート+上物楽器パート+歌パートと、段々と派手になっていき、第3図柄が確定表示されると、基本パート、上物楽器パート、歌パートの3つのパートの再生が停止され、リーチ用BGMの再生が終了するパチンコ機10」である。
ここで、引用例2に記載された事項では、第3図柄が確定表示されて外れとなる場合があることは明らかであるから、引用例2に記載された事項の「第3図柄が確定表示され」て外れとなった時に「基本パート、上物楽器パート、歌パートの3つのパートの再生が停止され、リーチ用BGMの再生が終了する」ことは、本願発明の構成D1の「遊技者にとって好ましくない失敗結末に至った時点と略同時に」「楽曲の出力が停止される」ことに相当する。
そして、引用例2に記載された事項は、第3図柄表示装置81に表示される画像にあわせて音楽の面からも遊技者の期待感を高め、音楽を利用して遊技の興趣向上を図ることを目的とし、発展するリーチのリーチ用BGMの連続性が途切れることなく、そのBGMを派手にしていくものである(【0451】)から、引用発明(【0852】、【0853】)と上記引用例2に記載された事項とは、発展するリーチの音楽を利用して遊技者の興趣を向上させることを目的とする点で共通している。
したがって、遊技の興趣を向上させるために、引用発明の「D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されたのちに「外れ」が導出される演出表示態様」における「歌唱演出」の終了タイミングと「外れ」の導出タイミングとして上記引用例2に記載された事項を適用して略同時とし、上記相違点2に係る本願発明の特定事項となすことは当業者が容易になし得たことである。

3 相違点3について
遊技機の分野において、仮停止後に再変動する変動パターンとして、結果が当たりとなることが確定するパターンを有するパチンコ機は、上記第4 3(7)で説示したとおり周知技術2である。
ここで、引用発明と周知技術2とは、図柄変動中に仮停止し、仮停止後に再変動する変動パターンを有するパチンコ機である点で共通している。
そして、引用発明では、D楽曲の前半部を用いた歌唱演出が実行されて装飾図柄1153が仮停止した状態となったのちに、中図柄列1153bの変動が再開されるとともに、演出表示装置115ではキャラクタの歌唱演出が引き続き実行されるとともに、スピーカ144a,144b,341a,341bからD楽曲の後半部が前半部から連続するように音声出力された場合に、遊技者にとっては、当たる確率は、(220+52)分の220で約81%、外れる確率は、(220+52)分の52で約19%であることから、D楽曲の後半部分が前半部分から連続するように音声出力された場合には、遊技者は高確率で当たること、すなわち、当たりとなる期待度(信頼度)が高いことを認識できるものである。
引用発明では、各A?D楽曲を各パートが連続して出力されるほど、「大当たり」に当選している期待度が高くなるように構成され、各楽曲のうちで、A楽曲、B楽曲、C楽曲、D楽曲の順に「大当たり」に当選している期待度が高くなるように構成されている。
したがって、高確率で当たりとなることを遊技者が期待できる期待度の高いD楽曲を用いたリーチ演出に、上記周知技術2を適用して、結果が当たりとなることを確定するようなリーチ演出として、上記相違点3に係る本願発明の特定事項となすことは当業者が容易になし得たことである。

4 本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用例2に記載された事項の奏する効果、周知技術1及び2の奏する効果から当業者が予測することができた程度のことである。

5 したがって、本願発明は、当業者が引用発明及び引用例2に記載された事項、周知技術1及び2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

6 請求人の主張について
(1)審判請求人は意見書において、概略、以下のとおり主張している。
「3.拒絶理由に対する反論
今般の拒絶理由通知においては、引用例1に記載される「楽曲リーチ演出」が本願発明の「特定演出」に相当するとする判断がなされております。ここで、「楽曲リーチ演出」は、「歌唱演出」を含むものであることは明らかです。そして、「歌唱演出」は、人物に模したキャラクタが楽曲を歌唱する演出(引用例1の段落0823や各図参照)であることは明らかです。
このように、主引用発明として提示された引用発明の「楽曲リーチ演出」(歌唱演出)と、本願発明の「特定演出」とは、「特定楽曲の出力状況に合わせて動作するキャラクタが表示される演出」であるか否かという点において相違します。
上記2-2)で述べました通り、本願発明の特定演出は、特殊態様となって特定楽曲が継続したときに遊技者が「違和感を覚える」ようにするためのものでありますから、特定楽曲の出力状況に応じてキャラクタが変化等するものではない、すなわち特定楽曲が継続したことをキャラクタにより明確に示すものではありません。
一方、引用例1には、「楽曲リーチ演出」(歌唱演出)を、キャラクタが表示されないようにすることについての示唆はありません。「楽曲リーチ演出」(歌唱演出)は、キャラクタの歌唱が継続することに遊技者が期待する演出であり、継続するか否かを画像として表示されるキャラクタによっても明確に示す演出であると認められますから、何等の示唆等もなく、引用発明における「楽曲リーチ演出」(歌唱演出)を本願発明の特定演出のように変更することは容易であるとはいえません。
このような変更が容易でない以上、引用発明に対し、引用例2記載の事項および引用例3、4記載の事項を適用することが容易であると仮定しても、その適用によって得られるものは本願発明に到達しません。
ゆえに、本願発明は、引用例1?4の存在を理由として、進歩性が否定されるものではないと思料いたします。」

(2)上記審判請求人の主張のうち、特に、「引用発明における「楽曲リーチ演出」(歌唱演出)を本願発明の特定演出のように変更することは容易であるとはいえません。」について検討すると、上記「1 相違点1について」で説示したとおり、遊技機の分野におけるリーチ演出において、楽曲に合わせてキャラクタは表示せずに歌詞や音符等を表示する演出を行うパチンコ機は、上記第4 3(4)で説示したとおり周知技術1であり、パチンコ機のリーチ演出は、当業者がキャラクタを用いた演出を含めて種々ある演出の中から、遊技者の興趣等に応じて適宜選択して決定し得る程度のことであることは、従来から広く知られているから、引用発明の楽曲リーチ演出における歌唱演出を他のよく知られた楽曲に合わせた表示演出に変更することは容易であるといえる。
そうすると、引用発明の「楽曲リーチ演出」において、「キャラクタの歌唱演出」を実行することに代えて、上記周知技術1であるリーチ演出を採用して、楽曲に合わせてキャラクタは表示せずに歌詞や音符等を表示する演出を行うようにして、相違点1に係る本願発明の特定事項となすことは当業者が容易になし得たことであり、当該周知技術1は、楽曲に合わせてキャラクタは表示せずに歌詞や音符を表示する演出を行うものであり、引用発明に周知技術1を採用すると継続するか否かを画像として表示されるキャラクタによって明確に示す演出ではなくなることから、審判請求人の主張は採用することができない。

第7 むすび
本願発明は、当業者が引用発明及び引用例2に記載された事項、周知技術1及び2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-01-12 
結審通知日 2021-01-19 
審決日 2021-02-02 
出願番号 特願2019-33554(P2019-33554)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 下村 輝秋  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 澤田 真治
小島 寛史
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人上野特許事務所  

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