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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1372598
審判番号 不服2020-8205  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-12 
確定日 2021-04-23 
事件の表示 特願2019- 19897「ネットワークスライス選択」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月 4日出願公開、特開2019-110552、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)7月4日を国際出願日とした特願2017-533848号の一部を、平成31年2月6日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 3月 5日 :手続補正書、上申書の提出
令和 元年11月27日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 1月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 2月 5日付け:拒絶査定
令和 2年 6月12日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和 2年11月12日 :上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年2月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1:(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
1 請求項1記載の『前記第2のサービス要求メッセージに応答して第2のネットワークスライスの第2のRAN部分を選択し、ここで前記第2のネットワークスライスはデフォルトネットワークスライスであり』は、発明の詳細な説明に記載されていない。請求項8,14,及びこれらの請求項を引用する請求項2-7,9-13,15-20も、同様である。

第3 本願発明
本願請求項1ないし20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明20」という。)は、令和2年6月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
装置であって、
プログラム命令を有する非一時的メモリと、
前記非一時的メモリに接続された処理要素とを有し、
前記処理要素は、セルラネットワークの無線アクセスネットワーク(RAN)ノードに、
第1のユーザ装置デバイス(UE)から、少なくとも第1のネットワークスライスの通知を有する第1のサービス要求メッセージを受信し、
前記第1のサービス要求メッセージに応答して、前記第1のネットワークスライスの第1のRAN部分を選択し、
前記通知に基づいて、前記第1のネットワークスライスを供する機能に対応する第1の制御プレーンアドレスを決定し、
前記第1のサービス要求メッセージに対応する第1の接続要求を前記第1の制御プレーンアドレスに送信し、
第2のサービス要求メッセージを前記第1のUEから受信し、
前記第2のサービス要求メッセージに応答して第2のネットワークスライスの第2のRAN部分を選択し、ここで前記第2のネットワークスライスはデフォルトネットワークスライスであり、また前記デフォルトネットワークスライスはネットワーク機能に関連づけられており、
前記第2のサービス要求メッセージに基づいて、前記ネットワーク機能に対応する第2の制御プレーンアドレスを決定し、
前記第2のサービス要求メッセージに対応する第2の接続要求を前記第2の制御プレーンアドレスに送信する、
ようにさせるために前記プログラム命令を実行するように構成される、装置。
【請求項2】
前記第1の制御プレーンアドレスを決定するため、前記処理要素がさらに、前記セルラネットワークの前記RANノードに第1のメッセージをネットワークスライス選択機能と交換させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のネットワークスライスの前記第1のRAN部分が、第1のRAN IDによって特定され、
前記第2のネットワークスライスの前記第2のRAN部分が、第2のRAN IDによって特定される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のサービス要求メッセージが、サービスタイプ情報をさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のサービス要求メッセージに応答した前記デフォルトネットワークスライスの前記第2のRAN部分の前記選択が、ネットワークスライス選択機能が利用できない場合に実行される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の制御プレーンアドレスは、ユーザ加入情報に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のネットワークスライスが、コアネットワーク(CN)スライスを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
セルラネットワークの無線アクセスネットワーク(RAN)ノードを動作させる方法であって、
第1のユーザ装置デバイス(UE)から、少なくとも第1のネットワークスライスの通知を有する第1のサービス要求メッセージを受信することと、
前記第1のサービス要求メッセージに応答して、前記第1のネットワークスライスの第1のRAN部分を選択することと、
前記通知に基づいて、前記第1のネットワークスライスを供する機能に対応する第1の制御プレーンアドレスを選択することと、
前記第1のサービス要求メッセージに対応する第1の接続要求を前記第1の制御プレーンアドレスに送信することと、
第2のサービス要求メッセージを前記第1のUEから受信することと、
前記第2のサービス要求メッセージに応答して第2のネットワークスライスの第2のRAN部分を選択することであって、前記第2のネットワークスライスはデフォルトネットワークスライスであり、前記デフォルトネットワークスライスはネットワーク機能に関連づけられている、選択することと、
前記第2のサービス要求メッセージに基づいて、前記ネットワーク機能に対応する第2の制御プレーンアドレスを選択することと、
前記第2のサービス要求メッセージに対応する第2の接続要求を前記第2の制御プレーンアドレスに送信することと、
を有する、方法。
【請求項9】
前記第1の制御プレーンアドレスを選択することが、第1のメッセージをネットワークスライス選択機能と交換することを含み、
前記第2の制御プレーンアドレスを選択することが、第2のメッセージを前記ネットワークスライス選択機能と交換することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のネットワークスライスの前記第1のRAN部分が、第1のRAN IDによって特定され、
前記第2のネットワークスライスの前記第2のRAN部分が、第2のRAN IDによって特定される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のサービス要求メッセージが、サービスタイプ情報をさらに有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のサービス要求メッセージに応答した前記デフォルトネットワークスライスの前記第2のRAN部分の前記選択が、ネットワークスライス選択機能が利用できない場合に実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の制御プレーンアドレスは、ユーザ加入情報に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
セルラネットワークの無線アクセスネットワーク(RAN)ノードであって、
プログラム命令を有する非一時的メモリと、
前記非一時的メモリに接続された処理要素とを有し、
前記処理要素は、前記RANノードに、
第1のユーザ装置デバイス(UE)から、少なくとも第1のネットワークスライスの通知を有する第1のサービス要求メッセージを受信し、
前記第1のサービス要求メッセージに応答して、前記第1のネットワークスライスの第1のRAN部分を選択し、
前記通知に基づいて、前記第1のネットワークスライスを供する機能に対応する第1の制御プレーンアドレスを決定し、
前記第1のサービス要求メッセージに対応する第1の接続要求を前記第1の制御プレーンアドレスに送信し、
第2のサービス要求メッセージを前記第1のUEから受信し、
前記第2のサービス要求メッセージに応答して第2のネットワークスライスの第2のRAN部分を選択し、ここで前記第2のネットワークスライスはデフォルトネットワークスライスであり、また前記デフォルトネットワークスライスはネットワーク機能に関連づけられており、
前記第2のサービス要求メッセージに基づいて、前記ネットワーク機能に対応する第2の制御プレーンアドレスを決定し、
前記第2のサービス要求メッセージに対応する第2の接続要求を前記第2の制御プレーンアドレスに送信する、
ようにさせるために前記プログラム命令を実行するように構成される、RANノード。
【請求項15】
前記第1の制御プレーンアドレスを決定するため、前記処理要素がさらに、前記RANノードに第1のメッセージをネットワークスライス選択機能と交換させるように構成され、
前記第2の制御プレーンアドレスを決定するため、前記処理要素がさらに、前記RANノードに第2のメッセージを前記ネットワークスライス選択機能と交換させるように構成される、請求項14に記載のRANノード。
【請求項16】
前記第1のネットワークスライスの前記第1のRAN部分が、第1のRAN IDによって特定され、
前記第2のネットワークスライスの前記第2のRAN部分が、第2のRAN IDによって特定される、請求項14に記載のRANノード。
【請求項17】
前記第1のサービス要求メッセージが、サービスタイプ情報をさらに有する、請求項14に記載のRANノード。
【請求項18】
前記第2のサービス要求メッセージに応答した前記デフォルトネットワークスライスの前記第2のRAN部分の前記選択が、ネットワークスライス選択機能が利用できない場合に実行される、請求項14に記載のRANノード。
【請求項19】
前記第1の制御プレーンアドレスは、ユーザ加入情報に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項14に記載のRANノード。
【請求項20】
前記第1のネットワークスライスが、コアネットワーク(CN)スライスを有する、請求項14に記載のRANノード。」

第4 当審の判断 原査定の拒絶の理由について検討する。 請求項1には「前記第2のサービス要求メッセージに応答して第2のネットワークスライスの第2のRAN部分を選択し、ここで前記第2のネットワークスライスはデフォルトネットワークスライスであり」と記載されている。
ここで、特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、発明の詳細な説明として記載されたものとの表現上の整合性にとらわれることなく、実質的な対応関係について検討して判断すべきものである。
そこで、この点について以下に検討する。
請求項1の記載によれば、「前記第2のサービス要求メッセージに応答して第2のネットワークスライスの第2のRAN部分を選択」するのは、セルラネットワークの無線アクセスネットワーク(RAN)ノードである。
そして、発明の詳細な説明の段落【0136】の記載によれば、「NSSFが(例えば、一時的に)故障した場合でも、例えば、既定(デフォルト)のネットワークスライス及び/又はUEが既存の接続を有するネットワークスライスへのUEに関する接続を確立することがまだ可能であり得る」ものであるから、ネットワークスライスとして、既存のネットワークスライス、すなわちデフォルトネットワークスライスが存在することは明らかである。また、発明の詳細な説明の段落【0114】の記載によれば、「UE1222が新規接続又は新規サービスを要求する毎に、RANノード124は、新規接続/サービスに対する適切なネットワークスライスIDをNSSF1226にクエリすることができ、そのCPエントリポイントを介して選択されたネットワークスライスとの接続を確立することができる。」と記載されているから、RANノードがUEからの要求を受信することに応じて、NSSFを用いたネットワークスライス選択を実施すること、すなわちRANノードが第2のサービス要求メッセージに応答することは明らかである。ここで、上述したとおり、NSSFが故障した場合でも、デフォルトネットワークスライスへのUEに関する接続を確立するものであるから、RANノードが第2のサービス要求メッセージを受信した際、当該RANノードがデフォルトネットワークスライスを選択しうることは明らかである。

そうすると、請求項1に記載の「前記第2のサービス要求メッセージに応答して第2のネットワークスライスの第2のRAN部分を選択し、ここで前記第2のネットワークスライスはデフォルトネットワークスライスであり」という事項が、発明の詳細な説明に記載されていないということはできない。また、請求項8、14、及び請求項1、8、14を引用する請求項2ないし7、9ないし13、15ないし20についても同様であるから、本願発明1ないし20は、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえ、したがって、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するものである。
よって、原査定の理由を維持することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-09 
出願番号 特願2019-19897(P2019-19897)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊東 和重  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 永田 義仁
本郷 彰
発明の名称 ネットワークスライス選択  
代理人 大塚 康弘  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  
代理人 特許業務法人大塚国際特許事務所  
代理人 高柳 司郎  
代理人 永川 行光  
代理人 下山 治  

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