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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G03G
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G03G
審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
管理番号 1372666
異議申立番号 異議2019-700438  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-05-28 
確定日 2021-01-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6431060号発明「電子写真方式の付加製造システム用の半結晶消耗材」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第6431060号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1?11〕,〔12?19〕について訂正することを認める。 特許第6431060号の請求項1?6,9,12?15及び18に係る特許を取り消す。 特許第6431060号の請求項7,8,10,11,16,17及び19に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続等の経緯
特許第6431060号の請求項1?請求項19に係る特許(以下,それぞれ「本件特許1」?「本件特許19」といい,総称して「本件特許」という。)についての出願は,2014年(平成26年)7月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年7月17日 米国)を国際出願日とし,平成30年11月9日に特許権の設定の登録がされたものである。
本件特許について,平成30年11月28日に特許掲載公報が発行されたところ,発行の日から6月以内である令和元年5月28日に,本件特許に対して,特許異議申立人 エボニック デグサ ゲーエムベーハー(以下「特許異議申立人」という。)から,特許異議の申立てがされた。
その後の手続等の概要は,以下のとおりである。
令和元年 7月26日付け:取消理由通知書
令和元年10月28日付け:訂正請求書
令和元年10月28日付け:意見書(特許権者)
令和2年 1月 6日付け:意見書(特許異議申立人)
令和2年 3月 2日付け:取消理由通知書(決定の予告)
なお,特許権者に対して,令和2年6月12日付けで,職権により期間を延長して意見書を提出する機会を与えたが,特許権者は応答しなかった。

第2 本件訂正請求について
1 訂正の趣旨
令和元年10月28日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)の趣旨は,特許第6431060号の特許請求の範囲を,本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1?19について訂正することを求める,というものである。

2 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は,以下のとおりである。なお,下線は当合議体が付したものであり,訂正箇所を示す。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に,
「 電子写真方式の付加製造システムによって三次元部品を印刷するための部品材料であって,該部品材料は,
組成物を含み,該組成物は,
半結晶熱可塑性材料と,
荷電制御剤とを含み,
前記部品材料は,D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態で提供され,かつD90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下であり,
前記部品材料は,前記三次元部品を層ごとに印刷するための層溶融転写アセンブリを備える前記電子写真方式の付加製造システムにおいて使用するために構成される,部品材料。」
と記載されているのを,
「 三次元部品の部品材料であって,該部品材料は,
組成物を含み,該組成物は,
半結晶熱可塑性材料と,
荷電制御剤とを含み,
前記半結晶熱可塑性材料は,ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み,
前記部品材料は,D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態で提供され,かつD90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下であり,
前記部品材料は,電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である,部品材料。」
に訂正する(請求項1を引用する請求項2?請求項6及び請求項9も,同様に訂正する。)。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9に,「請求項8に記載の部品材料」と記載されているのを,「請求項1に記載の部品材料」に訂正する。

(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項11を削除する。

(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項12に,
「 電子写真エンジンと転写媒体と層溶融転写アセンブリとを備える電子写真方式の付加製造システムによって三次元部品を印刷する方法であって,
部品材料を前記電子写真方式の付加製造システムに提供することであって,前記部品材料は,組成的に,荷電制御剤と半結晶熱可塑性材料とを含み,また,D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態を有し,かつD90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下であり,
負電荷又は正電荷及び5マイクロクーロン/グラム?50マイクロクーロン/グラムの範囲にある大きさを有するQ/M比に前記部品材料を摩擦帯電させることと,
前記電子写真エンジンによって,前記帯電した部品材料から前記三次元部品の層を現像することと,
前記現像された層を,前記電子写真エンジンから前記転写媒体に静電吸着させることと,
前記転写媒体によって,前記吸着された層を前記層溶融転写アセンブリまで移動させることと,
前記層溶融転写アセンブリによって,前記移動した層を前記三次元部品の先に印刷された層に溶融転写させることとを含む,方法。」
と記載されているのを,
「 電子写真エンジンと転写媒体と層溶融転写アセンブリとを備える電子写真方式の付加製造システムによって三次元部品を印刷する方法であって,
部品材料を前記電子写真方式の付加製造システムに提供することであって,前記部品材料は,組成的に,荷電制御剤と半結晶熱可塑性材料とを含み,前記半結晶熱可塑性材料は,ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み,また,D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態を有し,かつD90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下であり,
負電荷又は正電荷及び5マイクロクーロン/グラム?50マイクロクーロン/グラムの範囲にある大きさを有するQ/M比に前記部品材料を摩擦帯電させることと,
前記電子写真エンジンによって,前記帯電した部品材料から前記三次元部品の層を現像することと,
前記現像された層を,前記電子写真エンジンから前記転写媒体に静電吸着させることと,
前記転写媒体によって,前記吸着された層を前記層溶融転写アセンブリまで移動させることと,
前記層溶融転写アセンブリによって,前記移動した層を前記三次元部品の先に印刷された層に溶融転写させることとを含む,方法。」
に訂正する(請求項12を引用する請求項13?請求項15及び請求項18も,同様に訂正する。)。

(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項16を削除する。

(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項17を削除する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項18に,「請求項17に記載の方法」と記載されているのを,「請求項12に記載の方法」に訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項19を削除する。

(12)訂正について
本件訂正請求は,一群の請求項〔1-11〕,〔12-19〕ごとにされたものと認められる。

3 訂正についての判断
以下,本件訂正請求による訂正前の請求項1を,「訂正前請求項1」という。他の請求項及び訂正後についても,同様である。
(1) 一群の請求項1?請求項11についてする訂正について
ア 訂正事項1について
訂正事項1による訂正は,[A]訂正前請求項1に係る発明の「半結晶熱可塑性材料」を,「ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み」という要件を満たすものに限定する訂正と,[B]訂正前請求項1に係る発明の「部品材料」が,「三次元部品の部品材料であって」,「電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である」ことを明確にすることを意図した訂正からなる。また,請求項1を引用する請求項2?請求項6及び請求項9についても,同じことがいえる。
そうしてみると,訂正事項1による訂正は,特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明)を目的とするものである。

また,上記[A]の訂正は,訂正前請求項7及び訂正前請求項8に記載された事項を書き改めたにとどまるものであり,上記[B]の訂正も,訂正前請求項1に記載された事項を書き改めたにとどまるものである。
そうしてみると,訂正事項1による訂正は,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって,願書に添付した明細書,特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって,訂正事項1による訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものである。

加えて,訂正事項1による訂正により,訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることにはならない。
したがって,訂正事項1による訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しない。

イ 訂正事項2について
訂正事項2による訂正は,請求項7を削除する訂正であるから,特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。また,この訂正が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること,及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないことは明らかである。

ウ 訂正事項3について
訂正事項3による訂正は,請求項8を削除する訂正であるから,特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。また,この訂正が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること,及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないことは明らかである。

エ 訂正事項4について
請求項の引用関係及び前記訂正事項1?訂正事項3による訂正の内容を考慮すると,訂正事項4による訂正は,訂正前請求項8及び7,並びに,訂正前請求項1?6のいずれか一項を引用して記載された訂正前請求項9に係る発明を,訂正前請求項8,7及び1を引用して記載されたものに限定した上で,前記訂正事項2及び訂正事項3による訂正と整合するように引用関係を整理して(請求項1を引用して)記載したものである。
そうしてみると,訂正事項4による訂正は,特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明)を目的とするものである。また,この訂正が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること,及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないことは明らかである。

オ 訂正事項5について
訂正事項5による訂正は,請求項10を削除する訂正であるから,特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。また,この訂正が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること,及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないことは明らかである。

カ 訂正事項6について
訂正事項6による訂正は,請求項11を削除する訂正であるから,特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。また,この訂正が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること,及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないことは明らかである。

キ 小括
本件訂正請求のうち,一群の請求項1?請求項11についてする訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものである。また,同訂正は,同条第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(2) 一群の請求項12?請求項19についてする訂正について
ア 訂正事項7について
訂正事項7による訂正は,訂正前請求項12に係る発明の「半結晶熱可塑性材料」を,「ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み」という要件を満たすものに限定する訂正である。また,請求項12を引用する請求項13?請求項15及び請求項18についても,同じことがいえる。
そうしてみると,訂正事項7による訂正は,特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。

また,この訂正は,訂正前請求項16及び訂正前請求項17に記載された事項を書き改めたにとどまるものである。
そうしてみると,訂正事項7による訂正は,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって,願書に添付した明細書,特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって,訂正事項7による訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものである。

加えて,訂正事項7による訂正により,訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることにはならない。
したがって,訂正事項7による訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しない。

イ 訂正事項8について
訂正事項8による訂正は,請求項16を削除する訂正であるから,特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。また,この訂正が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること,及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないことは明らかである。

ウ 訂正事項9について
訂正事項9による訂正は,請求項17を削除する訂正であるから,特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。また,この訂正が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること,及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないことは明らかである。

エ 訂正事項10について
請求項の引用関係及び前記訂正事項7?訂正事項9による訂正の内容を考慮すると,訂正事項10による訂正は,訂正前請求項17及び16,並びに,訂正前請求項12?15のいずれか一項を引用して記載された訂正前請求項18に係る発明を,訂正前請求項17,16及び12を引用して記載されたものに限定した上で,前記訂正事項8及び訂正事項9による訂正と整合するように引用関係を整理して(請求項12を引用して)記載したものである。
そうしてみると,訂正事項10による訂正は,特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明)を目的とするものである。また,この訂正が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること,及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないことは明らかである。

オ 訂正事項11について
訂正事項11による訂正は,請求項19を削除する訂正であるから,特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。また,この訂正が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること,及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないことは明らかである。

カ 小括
本件訂正請求のうち,一群の請求項12?請求項19についてする訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものである。また,同訂正は,同条第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

4 訂正についてのまとめ
本件訂正請求による,一群の請求項1?請求項11についてする訂正,及び一群の請求項12?請求項19についてする訂正は,いずれも,特許法第120条の5第2項ただし書に掲げる事項を目的とするものである。また,これら訂正は,いずれも,同条第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
よって,結論に記載のとおり,特許第6431060号の特許請求の範囲を,訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-11〕,〔12-19〕について訂正することを認める。

第3 本件特許発明
本件訂正請求による訂正は認められることとなったから,本件特許の請求項1?6,9,12?15及び18に係る発明(以下,請求項の番号とともに「本件特許発明1」などという。)は,訂正後の特許請求の範囲の請求項1?6,9,12?15及び18に記載された事項によって特定されるとおりの,下記のものである。なお,本件訂正請求による訂正により,請求項7,8,10,11,16,17及び19は削除された。



【請求項1】
三次元部品の部品材料であって,該部品材料は,
組成物を含み,該組成物は,
半結晶熱可塑性材料と,
荷電制御剤とを含み,
前記半結晶熱可塑性材料は,ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み,
前記部品材料は,D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態で提供され,かつD90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下であり,
前記部品材料は,電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である,部品材料。

【請求項2】
前記組成物は吸熱剤を更に含み,該吸熱剤は前記部品材料の0.5重量%?10重量%を構成する,請求項1に記載の部品材料。

【請求項3】
D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布のそれぞれが1.00?1.40の範囲である,請求項1又は2に記載の部品材料。

【請求項4】
前記荷電制御剤は,クロムオキシカルボン酸錯体,亜鉛オキシカルボン酸錯体,アルミニウムオキシカルボン酸錯体,及びその混合物からなる群から選択される,請求項1?3のいずれか一項に記載の部品材料。

【請求項5】
前記荷電制御剤は,前記部品材料の0.1重量%?5重量%を構成する,請求項1?4のいずれか一項に記載の部品材料。

【請求項6】
前記組成物は,前記部品材料の0.1重量%?10重量%を構成する流動制御剤を更に含む,請求項1?5のいずれか一項に記載の部品材料。

【請求項9】
前記ポリアミドは,PA6;PA6,6;PA6,12;PA11;ポリラウロラクタム(PA12);又はそれらの混合物を含む,請求項1に記載の部品材料。

【請求項12】
電子写真エンジンと転写媒体と層溶融転写アセンブリとを備える電子写真方式の付加製造システムによって三次元部品を印刷する方法であって,
部品材料を前記電子写真方式の付加製造システムに提供することであって,前記部品材料は,組成的に,荷電制御剤と半結晶熱可塑性材料とを含み,前記半結晶熱可塑性材料は,ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み,また,D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態を有し,かつD90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下であり,
負電荷又は正電荷及び5マイクロクーロン/グラム?50マイクロクーロン/グラムの範囲にある大きさを有するQ/M比に前記部品材料を摩擦帯電させることと,
前記電子写真エンジンによって,前記帯電した部品材料から前記三次元部品の層を現像することと,
前記現像された層を,前記電子写真エンジンから前記転写媒体に静電吸着させることと,
前記転写媒体によって,前記吸着された層を前記層溶融転写アセンブリまで移動させることと,
前記層溶融転写アセンブリによって,前記移動した層を前記三次元部品の先に印刷された層に溶融転写させることとを含む,方法。

【請求項13】
D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布のそれぞれが1.00?1.40の範囲である,請求項12に記載の方法。

【請求項14】
前記荷電制御剤は,前記部品材料の0.1重量%?5重量%を構成する,請求項12又は13に記載の方法。

【請求項15】
前記部品材料は,該部品材料の0.1重量%?10重量%を構成する流動制御剤を更に含む,請求項12?14のいずれか一項に記載の方法。

【請求項18】
前記ポリアミドは,PA6;PA6,6;PA6,12;PA11;ポリラウロラクタム(PA12);又はそれらの混合物を含む,請求項12に記載の方法。

第4 当合議体が通知した取消しの理由
1 理由1(進歩性)
本件特許発明1?6,9,12?15及び18は,その優先権主張の日(以下「本件優先日」という。)前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて,本件優先日前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本件特許1?6,9,12?15及び18は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから,取り消されるべきものである。
甲1:米国特許出願公開第2013/0171434号明細書
甲2:特表2006-508217号公報
甲3:特表2013-527269号公報
甲4:特開平9-22149号公報
甲5:特表2010-513950号公報
引用文献1:特開平10-207194号公報
引用文献2:国際公開第2013/044047号
参考文献1:特開2002-347129号公報
参考文献2:特表平8-511217号公報
参考文献3:特表2006-519416号公報
参考文献4:特開2001-142249号公報
(当合議体注:甲1,引用文献1及び引用文献2は,主引用文献であるとともに,周知技術を示す文献でもある。また,甲2?甲5及び参考文献1?参考文献4は,周知技術ないし技術水準を示す文献である。)

2 理由2(実施可能要件,委任省令要件,サポート要件)
本件特許の発明の詳細な説明の記載は,本件特許の出願時の当業者が,本件特許発明1?6,9,12?15及び18の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということができない。また,本件特許の発明の詳細な説明の記載は,本件特許の出願時の当業者が,本件特許発明2?6,9,12?15及び18の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしたものであるということができない。さらに,本件特許発明1?6,9,12?15及び18は,発明の詳細な説明に記載したものであるということもできない。
したがって,本件特許1?6,9,12?15及び18は,特許法36条4項1号及び6項1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから,取り消されるべきものである。

3 理由3(明確性要件違反)
本件特許発明1?6及び9は,明確であるということができない。
したがって,本件特許1?6及び9は,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから,取り消されるべきものである。

第5 当合議体の判断
1 理由1(甲1)について
(1) 甲1の記載
本件優先日前に日本国内又は外国において,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1には,以下の記載がある。なお,参考訳に付した下線は当合議体が付したものであり,引用発明の認定,判断等に活用した箇所を示す。
ア 「[0001] The present invention relates to polymer particles which are especially suitable as toner particles for electrophotographic processes, to electrophotographic processes for production of three-dimensional structures on a support structure, and to the three-dimensional structures produced by means of these processes.
[0002] The manufacture of three-dimensional objects with the aid of computer-generated models is constantly gaining significance. This involves regular buildup layer by layer, which enables individual matching of the desired structure.」
(参考訳:[0001] 本発明は,特にトナー粒子として電子写真法に適したポリマー粒子,支持構造体上で三次元構造を製造するための電子写真法,及びこの方法を利用して製造された三次元構造に関する。
[0002] コンピュータ生成モデルを利用した,三次元対象物の作製は,ますます重要になりつつある。その際に規則的に実施される層毎の構築は,所望の構造を個別に適合させることを可能にする。)

イ 「[0010] The present invention solves the underlying technical problem by the provision of polymer particles according to the main claim, and three-dimensional structures produced from these polymer particles, especially by the route of electrophotography, which may be present with or without support structure, with the particular possibility of removal of a portion of the polymer particles, especially at least a portion of at least one polymer particle type, in a controlled manner from the three-dimensional structures produced by means of electrophotography.」
(参考訳:[0010] 本発明は,その技術的課題を,主要請求項に記載のポリマー粒子の提供,及びこのポリマー粒子から,特に電子写真法の過程で製造された,支持構造体を含んでも含まなくてもよい三次元構造によって解決し,その際,特に,電子写真法を利用して製造された三次元構造からは,ポリマー粒子の一部,特に少なくとも一種のポリマー粒子型の少なくとも一部が制御下に再び除去可能である。)

ウ 「[0015] The polymer particles which have the functional groups A and B and are accordingly functionalized preferably react with one another according to FIG.1 of the present teaching in such a way that a functional group A of a first polymer particle reacts with a functional group B of a second polymer particle to form at least one covalent bond, such that the particles are fixed to one another. According to the invention, the presence of the functional groups A and B on the polymer particle of the present invention also enables fixing of the polymer particle on a support structure to be printed, this having a complementary functional group A or B. The reactions between the functional groups A and B therefore lead to an increase in the adhesive force between polymer particle and support structure, and between polymer particle and polymer particle. The inventive polymer particles enable, especially in electrophotographic processes, the buildup of high-resolution three-dimensional structures, especially with resolutions below 250 μm, which may advantageously, owing to the simultaneous applicability of various polymer particles enabled in accordance with the invention, also be formed from various materials which can preferably be transferred selectively to the support structure in one and the same printing cycle, preferably layer by layer, more particularly into one and the same applied layer. In a particularly advantageous manner, the polymer particles of the present invention enable provision of three-dimensional structures fixed by chemical reactions, with the possibility of selective initiation of the chemical reactions required for the fixing in a preferred embodiment. Advantageously, it is possible in this manner to build up three-dimensional objects which can be used, for example, in medical, biomedical or biological products, for example in transplants or as transplants, and can advantageously be produced from biocompatible, especially also biofunctional, polymer particles. The procedure provided in accordance with the invention, which enables transfer of several different polymer materials, i.e. polymer material types, with high resolution in the same printing cycle, also enables the buildup of porous or non-porous structures, for example tube structures which can serve, for example in tissue engineering processes or products, as, for example, biocompatible carrier structures for cell cultures, as transport systems or transport vessels, or as synthetic blood vessels or capillaries.
[0016] In a preferred embodiment, the present invention relates to polymer particles, wherein the polymer which forms the polymer matrix is selected from the group consisting of polystyrenes, polystyrene derivatives, polyacrylates, polyacrylic derivatives, polyvinyl acetate, poly(methyl methacrylate), poly(glycidyl acrylate), polyesters, polyamides, polycarbonates, polyacrylonitriles, polyvinyl chlorides, polyethers, polysulfone, polyether ketones, epoxy resin, melamine-formaldehyde resin or derivatives or combinations or copolymers of the polymers mentioned.
[0017] In a preferred embodiment, the polymer is a homopolymer, a copolymer, a terpolymer or a mixture (blend) thereof.」
(参考訳:[0015] 官能基A及びBを有する,それゆえ官能化されたポリマー粒子は,好ましくは,本教示の図1に基づき,第一のポリマー粒子の官能基Aが第二のポリマー粒子の官能基Bと少なくとも一つの共有結合を形成しながら反応するように相互に反応し,その結果,粒子同士の固定が起こる。本発明によると,本発明のポリマー粒子上での官能基A及びBの存在は,ポリマー粒子を,相補的な官能基A及びBを有する,印刷されるべき支持構造体表面に固定することも可能にする。したがって,官能基AとBとの間の反応は,ポリマー粒子と支持構造体との間の付着力,及びポリマー粒子とポリマー粒子との間の付着力の上昇をもたらす。本発明によるポリマー粒子は,特に電子写真法において,特に解像度が250μm未満である高解像度の三次元構造の構築を可能にし,この三次元構造は,有利なことには,本発明によって可能な,異なるポリマー粒子の同時塗布性ゆえに,異なる材料から構成されることも可能であり,この異なる材料は好ましくは選択的に同一の印刷サイクルにおいて,好ましくは層状に,特に塗布された同一の層内において,支持構造体上に転写することができる。特に有利な方法で,本発明のポリマー粒子は,三次元に構築された,化学反応によって固定された構造を提供することを可能にし,その際,固定に必要な化学反応は,好ましい実施形態では選択的に開始することができる。有利には,この種類及び方法で,例えば,医療製品,生物医学製品,又はバイオ製品において,例えば,移植片中で,又は移植片として使用可能であり,有利には生体適合性,特に生体機能性でもあるポリマー粒子から製造されていてもよい三次元対象物を構築することができる。本発明により提供される,複数の異なるポリマー材料,つまりポリマー材料型を高解像度により同一印刷サイクルにおいて転移できることを可能にする方法は,例を挙げると,再生医学法,又は再生医療製品において,例えば,細胞培養用の生体適合性担体構造として,輸送系,若しくは輸送管として,又は人工血管,若しくは人工毛細管として利用され得る多孔性又は無孔性の構造,例えば管構造の構築も可能にする。
[0016] 好ましい実施形態では,本発明は,ポリマーマトリックスを形成するポリマーが,ポリスチレン,ポリスチレン誘導体,ポリアクリレート,ポリアクリル誘導体,ポリ酢酸ビニル,ポリ(メタクリル酸メチルエステル),ポリ(アクリル酸グリシジルエステル),ポリエステル,ポリアミド,ポリカーボネート,ポリアクリルニトリル,ポリ塩化ビニル,ポリエーテル,ポリスルホン,ポリエーテルケトン,エポキシ樹脂,メラミンホルムアルデヒド樹脂,又は前記ポリマーの誘導体,若しくは組み合わせ,若しくはコポリマーからなる群から選択されるポリマー粒子に関する。
[0017] 好ましい実施形態では,ポリマーは,ホモポリマー,コポリマー,ターポリマー,又はそれらの混合物(ブレンド)である。)

エ 「[0023] Preferably in accordance with the invention, the polymer particles of the present invention are in powder form.
[0024] In a preferred embodiment, the present invention relates to polymer particles of the present invention, wherein the polymer particle has a size of 0.5 to 50 μm, especially 1 to 50 μm, preferably 5 to 50 μm, preferably 5 to 45 μm, preferably 5 to 20 μm, preferably 10 to 45 μm, preferably 15 to 40 μm, especially 20 to 40 μm.
[0025] In a preferred embodiment, the present invention relates to polymer particles of the present invention, wherein the polymer particle has at least one additive, the additive in a preferred embodiment of the present invention being selected from the group consisting of a dye, for example carbon black, and a charge control additive.
[0026] In a preferred embodiment, the present invention relates to polymer particles having a coating of semimetal oxide or metal oxide of the present invention, wherein the semimetal oxide or metal oxide is an inorganic semimetal oxide or metal oxide, preferably SiO_(2), TiO_(2) or Al_(2)O_(3). The semimetal oxide or metal oxide serves to control the adhesive force and charge.
[0027] In an advantageous configuration of the present invention, the inorganic semimetal oxide or metal oxide which is to be used as a coating and is preferred in accordance with the invention is present on the surface of the polymer matrix in primary particle sizes of 0.1 nm to 300 nm, especially 1 to 100 nm.」
(参考訳:[0023] 本発明により好ましくは,本発明のポリマー粒子は,粉末形態で存在する。
[0024] 好ましい実施形態では,本発明は,本発明のポリマー粒子に関し,このポリマー粒子のサイズは,0.5?50μm,特に1?50μm,好ましくは5?50μm,好ましくは5?45μm,好ましくは5?20μm,好ましくは10?45μm,好ましくは15?40μm,特に20?40μmである。
[0025] 好ましい実施形態では,本発明は,本発明のポリマー粒子に関し,このポリマー粒子は少なくとも一つの添加剤を有し,本発明の好ましい実施形態では,この添加剤は,染料,例えば,カーボンブラック,及び電荷制御添加物からなる群から選択される。
[0026] 好ましい実施形態では,本発明は,本発明の半金属酸化物又は金属酸化物からなるコーティングを備えたポリマー粒子に関し,この半金属酸化物又は金属酸化物は,無機半金属酸化物又は無機金属酸化物,好ましくはSiO_(2),TiO_(2)又はAl_(2)O_(3)である。半金属酸化物又は金属酸化物は,付着力及び電荷の調整に役立つ。
[0027] 本発明の有利な形態では,本発明により好ましい,コーティングとして使用することが可能な無機半金属酸化物又は無機金属酸化物は,ポリマーマトリックスの表面上に一次粒子サイズ0.1nm?300nm,特に1?100nmで存在する。)

オ 「[0041] The invention also provides processes for producing a three-dimensional structure on a support structure, wherein polymer particles according to the present invention and at least one support structure are provided, and wherein the polymer particles are applied to the support structure, especially printing onto it, by means of an electrophotographic process, and a three-dimensional structure with support structure is obtained.
[0042] In a preferred embodiment, the electrophotographic process according to the invention is an electrophotographic printing process.
[0043] In a preferred embodiment, the present invention relates to a process of the present invention wherein the polymer particles are applied by applying them to the support structure in the form of a layer in a first process step a) and conducting a fixing operation, preferably a selectively initiated fixing operation, in a second process step b). The fixing operation envisaged in accordance with the invention, especially the selectively initiated fixing operation envisaged as preferred, firstly fixes polymer particles having the functional groups A and B on the support structure and secondly fixes the polymer particles to one another.
[0044] In a particularly preferred embodiment, process steps a) and b) are performed successively in this sequence at least twice, preferably two to five times, especially two to 14 times, especially two to 30 times, especially three to 30 times, especially four to 20 times, especially five to 15 times, especially five to 10 times, especially 100 to 1000 times, especially 300 to 800 times, especially 400 to 600 times, so as to form a corresponding number of layers.」
(参考訳:[0041] 本発明は,支持構造体上に三次元構造を製造する方法も提供し,本発明によるポリマー粒子及び少なくとも一つの支持構造体が提供され,ここで,ポリマー粒子は,電子写真法を利用して支持構造体上に塗布,特に印刷されて,支持構造体を含む三次元構造が得られる。
[0042] 好ましい実施形態では,本発明による電子写真法は,電子写真印刷法である。
[0043] 好ましい実施形態では,本発明は,本発明の一方法に関し,第一ステップa)においてポリマー粒子が層の形態で支持構造体上に塗布され,第二ステップb)において固定,好ましくは選択的に開始される固定が行われるというやり方でポリマー粒子が塗布される。本発明により企図される固定,特に,好ましく企図される,選択的に開始される固定は,一方では官能基A及びBを有するポリマー粒子を支持構造体上で固定し,他方ではポリマー粒子同士を固定する。
[0044] 特に好ましい実施形態では,方法ステップa)及びb)が,この順序で少なくとも2回,好ましくは2回?5回,特に2回?14回,特に2回?30回,特に3回?30回,特に4回?20回,特に5回?15回,特に5回?10回,特に100回?1000回,特に300回?800回,特に400回?600回順番に行われるため,対応する数の層が形成される。)

カ 「[0049] In a particularly preferred embodiment of the present invention, the polymer particles of the present invention applied to the support structure, preferably in layer form, are surface melted or surface sintered at low temperatures of 30 to 150 ℃., preferably 60 to 150 ℃., especially 60 to 120 ℃., more preferably 70 to 90 ℃., such that any functional groups on the particle surface which are not as yet directly accessible become accessible to a reaction which brings about fixing on the support structure or to further polymer particle layers applied.
[0050] In a particularly preferred embodiment of the present invention, the process according to the invention can be performed by application, heating and fixing of the polymer particles applied, preferably in a manner which repeats a multitude of these process steps.」
(参考訳:[0049] 本発明の特に好ましい一実施形態では,好ましくは層の形態で支持構造体上に塗布された,本発明のポリマー粒子が,30?150℃,好ましくは60?150℃,特に60?120℃,特に好ましくは70?90℃という低温下で,表面溶融又は表面焼結されるため,場合によっては粒子表面上でまだ直接接近可能ではない官能基が,支持構造体上での固定,又はさらなる塗布されたポリマー粒子層への固定をもたらす反応のために接近可能になる。
[0050] 本発明の特に好ましい実施形態では,塗布,加熱,及び塗布されたポリマー粒子の固定による,本発明の方法が,好ましくはこれらの方法ステップを多数繰り返すやり方で実施されてもよい。)

キ 「[0064] In a particularly preferred embodiment, the present invention relates to a process of the present invention wherein iv) when the functional group A is selected from the group consisting of an aldehyde group, ketone group, imine group or thioketone group and the functional group B is a diene group, the fixing operation is a thermally initiated, metal catalyst-mediated, especially copper/zinc catalyst-mediated, or microwave-initiated fixing operation. Such a metal-mediated, microwave-initiated or thermally initiated fixing operation can be initiated selectively and enables a particularly controlled buildup of three-dimensionally arranged layers, even of different composition.」
(参考訳:[0064] 特に好ましい一実施形態では,本発明は,本発明の一方法であり,その際,iv) 官能基Aがアルデヒド基,ケトン基,イミン基,又はチオケトン基からなる群から選択され,官能基Bがジエン基である場合に,固定が,熱開始固定,金属触媒が仲介する固定,特に銅/亜鉛触媒が仲介する固定,又はマイクロ波開始固定である。このような,金属触媒が仲介する固定,マイクロ波開始固定,又は熱開始固定は,選択的に開始可能であり,組成が異なる場合でも,三次元に配置された層の,特に狙いが定められ,且つ制御された構成を可能にする。)

ク 「[0075] There follows a description of an inventive production, especially an inventive printing operation, with reference to components present in a laser printer arrangement known per se. In the case of use of a conventional laser printer, a support structure to be printed with inventive polymer particles, for example glass or a piece of paper, typically in DIN A4 format, is conveyed by means of a conveyor belt to the photographic roller of a printer and pressed onto the photographic roller by means of rubber or foam rollers arranged below the conveyor belt. The advance speed of the support structure to be printed is synchronized to the rotation speed of the photographic roller, such that the roller with the functionalized polymer particles adhering thereon in structured form rolls without slippage against the support structure to be printed, for example paper, and the functionalized polymer particles are transferred to the paper surface. If the aim is to deposit several different polymer particles onto one and the same support structure, a correspondingly large number of printers with corresponding photographic rollers are arranged in succession along the conveyor belt.
[0076] In the subsequent step, the functionalized polymer particles adhering on the support structure surface are slightly surface melted in order to make the functional groups of the polymer particles accessible for a bond. For this purpose, the support structure, i.e. in this case the piece of paper, is heated homogeneously to a defined temperature for a defined time. The support structure is preferably heated in an oven outside the printer, since homogeneous heating of the support structure is firstly possible in a very simple manner in this way, and it is secondly possible to avoid thermal stress on the printer itself. Of course, integrated heating systems are also conceivable, in which case the support structure should preferably be heated without contact, for example by way of applied thermal radiation, for example by means of IR radiators.」
(参考訳:[0075] 以下に,それ自身公知のレーザプリンタ構成に存在する構成要素に関連して,本発明による製造,特に本発明による印刷過程を記載する。通常のレーザプリンタを使用する場合,本発明によるポリマー粒子を用いて印刷されるべき,通例はDIN A4規格の支持構造体,例えばガラス又は紙を,コンベヤーを利用して,印刷機の電子写真用ローラへと運び,コンベヤーの下側に配置されているゴムローラ又は発泡体ローラを介して電子写真用ローラに押し付ける。印刷されるべき支持構造体の送り速度は,電子写真用ローラの回転速度に同期作動させているため,構造化されてローラに付着する官能化ポリマー粒子を備えたローラが,すべることなく,印刷されるべき支持構造体,例えば紙の上を回転し,官能化ポリマー粒子が,紙表面上に転写される。同一支持構造体上に複数の異なるポリマー粒子を被覆する場合には,対応して,適した電子写真用ローラを備えた多数の印刷機が,コンベヤーに沿って順番に配置される。
[0076] その次のステップでは,ポリマー粒子の官能基を結合のために接近可能にさせるため,支持構造体表面上に付着している官能化ポリマー粒子を軽く表面溶融させる。このためには,支持構造体,この場合はつまり紙片を,均一に,一定温度に一定時間加熱する。支持構造体の加熱は,こうして,支持構造体の一様な加熱が,一方ではきわめて容易に可能であり,他方ではその際に印刷機自体に熱負荷がかかることが回避され得るため,好ましくは,印刷機の外側の炉の中で行われる。当然のことながら統合されたヒータも可能であり,この場合は,支持構造体が,好ましくは,接触することなしに,例えば,放射熱の投与というやり方で,例えば赤外線ヒータによって加熱されるべきである。)

ケ 「[0098] a) 3.0 g of poly(MMA-co-GMA) particles were dispersed in 75 ml of toluene and the suspension was cooled to 0 ℃. Subsequently, a solution of 1.68 g of propargylamine in 5 ml of toluene was added dropwise over the course of 20 min. After the suspension had been stirred for 1 h, a solution of 8.87 g of (11-azidoundecyl)chlorodimethylsilane in 25 ml of n-hexane was added and the reaction mixture was warmed to RT. After 4 h, the particles were filtered off and washed five times with 50 ml each time of n-hexane. Thereafter, the particles were dried under reduced pressure for 2 h and then redispersed in 200 ml of a 1% copper(I) salicylate solution for 5 min. Then the polymer particles were filtered off and dried unwashed under reduced pressure for 6 h. Subsequently, the q/m ratio was adjusted with 40 mg of TX-20 silica to a value of -10 μC/g to -30 μC/g, and the particles were printed with an OKI C7000 printer. The support structure used was a glass plate (20×20 cm) which had been treated beforehand with (11-azidoundecyl)chlorodimethylsilane at RT for 2 h. After the printing process, the particles were irradiated with microwave radiation (1100 W) for 2 min in order to fix them on the support structure. Thereafter, a further layer of the toner particles was applied to the first toner layer, and irradiation was again effected for 2 min. In this way, a multilayer polymer structure was built up.」
(参考訳:[0098] a)ポリ(MMA-co-GMA)粒子3.0gをトルエン75mL中に分散し,この懸濁液を0℃に冷却した。続いて,トルエン5mL中にプロパルギルアミン1.68gを溶解した溶液を,滴下しながら20分かけて添加した。この懸濁液を1時間撹拌した後,n-ヘキサン25mLに(11-アジドウンデシル)クロロジメチルシラン8.87gを溶解した溶液を添加し,反応混合液を室温に温めた。4時間後に粒子をろ別し,それぞれ五回,n-ヘキサン50mLで洗浄した。その後,粒子を減圧下に2時間乾燥し,続いて,1%のサリチル酸銅(I)溶液200mL中に5分間再懸濁した。次いで,ポリマー粒子をろ別し,洗わないまま減圧下に6時間乾燥した。続いて,シリカTX-20,40mgを用いて,q/m比を-10μC/g?-30μC/gの値に調整し,OKI印刷機C7000を用いて,粒子を印刷により消費した。支持構造体としては,前もって(11-アジドウンデシル)クロロジメチルシランにより室温で2時間処理されたガラス板(20×20cm)を利用した。印刷プロセスに続いて,粒子を支持構造体上で固定するために,粒子をマイクロ波(1100W)で2分間照射した。その後,トナー粒子のさらなる一層を,第一のトナー層上に塗布し,改めて2分間照射した。こうして,多層ポリマー構造を構築することができた。)

コ 「1. Polymer particles comprising a polymer matrix having a coating of an inorganic semimetal oxide or metal oxide, wherein the polymer matrix has at least one first functional group A and at least one second functional group B, both functional groups A and B being able to enter into at least one covalent bond with one another, said functional group A being selected from the group consisting of an azide group, C-C double bond, C-C triple bond, aldehyde group, ketone group, imine group, thioketone group and thiol group, and said functional group B being selected from the group consisting of a C-C double bond, C-C triple bond, C?N triple bond, diene group, thiol group and amine group.
…(省略)…
3. Polymer particles according to claim 1, wherein the semimetal oxide or metal oxide is SiO_(2), TiO_(2) or Al_(2)O_(3).
…(省略)…
7. Polymer particles according to claim 1, wherein the polymer particle has a size of 0.5 to 50 μm.
8. Polymer particles according to claim 1, wherein the polymer particle has a further additive selected from the group consisting of a dye and a charge control additive.」
(参考訳:1.無機半金属酸化物又は無機金属酸化物のコーティングを備えたポリマーマトリックスを含むポリマー粒子であって,ポリマーマトリックスが,少なくとも一つの第一の官能基A及び少なくとも一つの第二の官能基Bを有し,両官能基A及びBが,少なくとも一つの共有結合を相互に形成することができ,官能基Aが,アジド基,C-C-二重結合,C-C-三重結合,アルデヒド基,ケトン基,イミン基,チオケトン基,及びチオール基からなる群から選択され,官能基Bが,C-C-二重結合,C-C-三重結合,C-N-三重結合,ジエン基,チオール基,及びアミン基からなる群から選択されるポリマー粒子。
…(省略)…
3.半金属酸化物又は金属酸化物が,SiO_(2),TiO_(2)又はAl_(2)O_(3)である,請求項1に記載のポリマー粒子。
…(省略)…
7.ポリマー粒子のサイズが,0.5?50μmである,請求項1に記載のポリマー粒子。
8.ポリマー粒子が,染料及び電荷制御添加物の群から選択されるさらなる添加剤を有する,請求項1に記載のポリマー粒子。)

(2) 甲1発明
ア 甲1粒子発明
甲1の[0015]には,「ポリマー粒子」が記載されているところ,この「ポリマー粒子」は,「トナー粒子として電子写真法に適したポリマー粒子」([0001])である。また,甲1の[0016]及び[0023]?[0027]には,ポリマー粒子の材料や添加剤に関する具体的な記載がある。
以上勘案すると,甲1には,次の発明が記載されている(以下「甲1粒子発明」という。)。
「 トナー粒子として電子写真法に適したポリマー粒子であって,
官能基A及びBを有し,官能基AとBとの間の反応は,ポリマー粒子と支持構造体との間の付着力,及びポリマー粒子とポリマー粒子との間の付着力の上昇をもたらし,
ポリマー粒子は,電子写真法において,解像度が250μm未満である高解像度の三次元構造の構築を可能にし,この三次元構造は,異なるポリマー粒子の同時塗布性ゆえに,異なる材料から構成されることも可能であり,この異なる材料は,塗布された同一の層内において,支持構造体上に転写することができ,
ポリマーマトリックスを形成するポリマーが,ポリスチレン,ポリスチレン誘導体,ポリアクリレート,ポリアクリル誘導体,ポリ酢酸ビニル,ポリ(メタクリル酸メチルエステル),ポリ(アクリル酸グリシジルエステル),ポリエステル,ポリアミド,ポリカーボネート,ポリアクリルニトリル,ポリ塩化ビニル,ポリエーテル,ポリスルホン,ポリエーテルケトン,エポキシ樹脂,メラミンホルムアルデヒド樹脂,又は前記ポリマーの誘導体,若しくは組み合わせ,若しくはコポリマーからなる群から選択され,
ポリマー粒子は,粉末形態で存在し,ポリマー粒子のサイズは,0.5?50μmであり,添加剤を有し,この添加剤は,染料及び電荷制御添加物からなる群から選択され,半金属酸化物又は金属酸化物からなるコーティングを備え,無機半金属酸化物又は無機金属酸化物は,ポリマーマトリックスの表面上に一次粒子サイズ0.1nm?300nmで存在する,
ポリマー粒子。」

イ 甲1方法発明
甲1の[0041]?[0050]に記載された方法は,甲1でいう「本発明」による「ポリマー粒子」を用いることを前提としたものである。
そうしてみると,甲1には,次の発明も記載されている(以下「甲1方法発明」という。)。
「 甲1粒子発明のポリマー粒子を用いて支持構造体上に三次元構造を製造する方法であって,
ポリマー粒子は,電子写真法を利用して支持構造体上に塗布され,
塗布,加熱,及び塗布されたポリマー粒子の固定による方法が,多数繰り返すやり方で実施される,
支持構造体上に三次元構造を製造する方法。」

(3) 対比
本件特許発明1と甲1粒子発明を対比すると,以下のとおりである。
ア 部品材料
甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,「電子写真法において,解像度が250μm未満である高解像度の三次元構造の構築を可能にし」たものである。
そうしてみると,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,本件特許発明1の「三次元部品の」とされる「部品材料」に相当する。

イ 組成物
甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,「ポリマーマトリックスを形成するポリマー」に加えて,「添加剤を有し,この添加剤は,染料及び電荷制御添加物からなる群から選択され」る。また,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,「半金属酸化物又は金属酸化物からなるコーティングを備え」たものでもある。
そうしてみると,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,本件特許発明1の「部品材料」における,「組成物を含み」という要件を満たす。

ウ 粉末形態
甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,「粉末形態で存在し」ている。また,粉末において,D10,D50及びD90が測定できないほど粒径が揃ったものを想定することは,非現実的である。
以上勘案すると,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」が,本件特許発明1の「部品材料」における「D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態で提供され」という要件を満たすことは明らかである。

(4) 一致点及び相違点
ア 一致点
本件特許発明1と甲1粒子発明は,次の構成で一致する。
「 三次元部品の部品材料であって,該部品材料は,
組成物を含み,
前記部品材料は,D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態で提供される,
部品材料。」

イ 相違点
本件特許発明1と甲1粒子発明は,以下の点で相違する,又は,一応相違する。
(甲1粒子相違点1)
「組成物」が,本件特許発明1は,「半結晶熱可塑性材料と」,「荷電制御剤とを含み」,「前記半結晶熱可塑性材料は,ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含」むのに対して,引用発明Aは,このように特定されたものではない点。

(甲1粒子相違点2)
「部品材料」が,本件特許発明1は,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下であり」,「電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である」のに対して,甲1粒子発明は,その粒度分布が明らかではなく,また,「電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である」かも,一応,明らかではない点。

(5) 判断
甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,「電子写真法において」,「三次元構造の構築を可能」にするものであるから,当業者は,電子写真法に関する公知技術又は周知技術,及び(積層による)三次元構造の構築に関する公知技術又は周知技術を参考にすると認められる。
そうしてみると,以下のとおり,本件特許発明1は,甲1粒子発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

すなわち,(積層による)「三次元構造の構築」に際して,PA12等のポリアミド樹脂を使用することは,周知技術であったと認められる(例えば,甲2の【請求項9】,【請求項11】及び【請求項15】,甲3の【請求項1】,【請求項3】,【請求項12】及び【0001】を参照。)。ここで,PA12等のポリアミド樹脂は,本件特許発明でいう「半結晶熱可塑性材料」に該当する。また,甲1粒子発明は,「ポリマーマトリックスを形成するポリマーが…ポリアミド…から選択され」るものである。
そうしてみると,周知技術を心得た当業者が,「ポリマーマトリックスを形成するポリマー」として,典型的なポリアミド樹脂であるPA12等を採用することは,甲1粒子発明の「ポリマーマトリックスを形成するポリマー」の選択肢において示唆された,材料の選択にすぎないものといえる。
同様に,甲1粒子発明は,「添加剤を有し,この添加剤は,染料及び電荷制御添加物からなる群から選択され」るものであるから,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」中に「荷電制御剤」を含ませることも,甲1粒子発明の構成それ自体が示唆する,材料の選択にすぎないものといえる。

加えて,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,「電子写真法において,解像度が250μm未満である高解像度の三次元構造の構築を可能に」することを意図したものであるから,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」の粒径は,できるだけ揃っている方が望ましい。また,「トナー粒子として電子写真法に適したポリマー粒子」の粒径や,「高解像度の三次元構造の構築を可能に」するための「ポリマー粒子」の粒径に関する技術水準は,以下に例示されるとおりである。
ア 参考文献3
参考文献3の【0131】には,「8.0ミクロンの体積中央値付近の非常に狭い粒径分布得られた」「トナー」として,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」という要件を満たすものが記載されている。
(当合議体注:本件特許の請求項1には,D50等の測定基準が明示されていないが,技術常識ないし本件特許の明細書の【0121】の記載から明らかなとおり,体積基準である。)

イ 参考文献4
参考文献4の【0162】の【表1】及び【0163】の【表2】には,「本発明」のトナーとして,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」という要件を満たすものが記載されている。
なお,測定方法は,参考文献4の【0153】の記載から明らかなとおり,体積基準である。

ウ 甲2
甲2の【0043】には,「基礎材料」,「例1により処理した粉末」,「例3により処理した粉末」及び「例4により処理した粉末」として,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」という要件を満たすものが記載されている。
なお,測定方法は,甲2の【0031】の記載から明らかなとおり,体積基準である。

エ 甲3
甲3の【0095】,【0096】,【0100】?【0102】,【0104】?【0108】には,実施例7,8,12?14及び16?20の粉末として,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」という要件を満たすものが記載されている。
なお,測定方法は,甲3の【0065】に記載から明らかなとおり,体積基準である。

そうしてみると,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」の粒径をできるだけ揃えようとする当業者が,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」となる程度まで甲1粒子発明の「ポリマー粒子」の粒径を揃えることは,これら技術水準に照らしてみると,明らかである。

そして,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,「電子写真法において,解像度が250μm未満である高解像度の三次元構造の構築を可能に」するものである。また,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,甲1方法発明の,「支持構造体上で三次元構造を製造する方法」において用いることに適したものである。
そうしてみると,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,物として,「電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である」という要件を満たすものである。
あるいは,以上のとおり設計してなる甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,物として,「電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である」という要件を満たすものである。

念のため,用途(物の使用方法)も含めて検討すると,当業者ならば,「電子写真方式の付加製造システム」であって,「層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷する」ものを,周知技術として心得ている(引用文献1の図1?図4,図7,図10及びその説明,引用文献2のFIG.1,FIG.4A?FIG.7及びその説明,参考文献1の図1?図3及びその説明,参考文献2の図1,図3?図8及びその説明を参照。)。
当業者が,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を,あるいは,以上のとおり設計してなる甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を,「電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料」とすることは,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を使用する当業者における一選択肢にすぎない。

以上勘案すると,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を具体化するに際して,甲1粒子相違点1及び甲1粒子相違点2に係る本件特許発明1の構成を具備したものとすることは,当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお,本件特許の発明の詳細な説明には,具体的な実施例や比較例との比較結果が1つも記載されておらず,また,これを代替し,裏付けとなるような十分な技術的説明も記載されていない。このような発明の詳細な説明の記載内容を考慮すると,材料の選択については,単に周知技術のものを採用したに過ぎないと判断されても仕方がなく,また,数値範囲に関する限定についても,その数値範囲が想定外のものでない限り,単なる設計的事項と判断されても仕方がないと考えられる。以下,同様である。

(6) 他の特許発明について
ア 本件特許発明2について
甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,「添加剤を有し,この添加剤は,染料及び電荷制御添加物からなる群から選択され」るところ,甲1の[0025]には,添加剤として「カーボンブラック」が挙げられている。また,その分量を,請求項2に記載された数値範囲内のものとすることは,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。
あるいは,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,「電子写真法を利用して支持構造体上に塗布され」,「塗布,加熱,及び塗布されたポリマー粒子の固定による方法が,多数繰り返すやり方で実施される」,甲1方法発明において用いられるものである。
そうしてみると,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を「加熱」されやすいものとすることを目的として,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を,吸熱剤を含むものとすることは,当業者が容易に発明をすることができたものである。また,吸熱剤の分量は,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

イ 本件特許発明3について
前記(5)で挙げた各文献が示唆する範囲内のものである。

ウ 本件特許発明4及び本件特許発明5について
請求項4に記載された化合物は,「電荷制御添加物」として周知のものである(甲4の【0040】?【0051】等を参照。)。そして,その分量を,請求項5に記載された数値範囲内のものとすることは,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

エ 本件特許発明6について
甲1粒子発明の「無機半金属酸化物又は無機金属酸化物のコーティング」は,本件特許発明6の「流動制御剤」に該当する。また,その分量を,請求項6に記載された数値範囲内のものとすることは,甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

オ 本件特許発明9について
ポリアミド樹脂として周知のものが列挙されているにすぎない。

カ 本件特許発明12について
本件特許発明12と甲1方法発明を対比すると,以下の相違点が見いだされる。
(甲1方法相違点1)
「部品材料」が,本件特許発明12は,「組成的に,荷電制御剤と半結晶熱可塑性材料とを含み,前記半結晶熱可塑性材料は,ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み」,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」であるに対して,引用発明Bは,このように特定されたものではない点。

(甲1方法相違点2)
「方法」が,本件特許発明12は,「部品材料を前記電子写真方式の付加製造システムに提供すること」,「負電荷又は正電荷及び5マイクロクーロン/グラム?50マイクロクーロン/グラムの範囲にある大きさを有するQ/M比に前記部品材料を摩擦帯電させること」,「前記電子写真エンジンによって,前記帯電した部品材料から前記三次元部品の層を現像すること」を含むのに対して,引用発明Bは,一応,これらが明らかではない点。

(甲1方法相違点3)
「方法」が,本件特許発明12は,「電子写真エンジンと転写媒体と層溶融転写アセンブリとを備える電子写真方式の付加製造システムによって三次元部品を印刷する方法であって」,「前記現像された層を,前記電子写真エンジンから前記転写媒体に静電吸着させること」,「前記転写媒体によって,前記吸着された層を前記層溶融転写アセンブリまで移動させること」,「前記層溶融転写アセンブリによって,前記移動した層を前記三次元部品の先に印刷された層に溶融転写させること」を含むのに対して,引用発明Bは,「電子写真法を利用して」はいるものの,転写媒体に転写し,層溶融転写アセンブリに移動させてから,「支持構造体に塗布され」るとまでは特定されていない点。

しかしながら,甲1方法相違点1についての判断は,前記(5)で述べたのと同様である。また,甲1方法相違点2については,電子写真方式において自明な工程及びQ/M比にすぎない(工程に関しては,例えば,引用文献1の【図4】及びその説明(【0057】?【0059】)に記載されている。また,Q/M比に関しては,例えば,甲1の[0098]に「q/m比を-10μC/g?-30μC/gの値に調整し」と記載されている。)。

次に,甲1方法相違点3について検討すると,甲1方法相違点3に係る本件特許発明12の構成は,引用文献1の図1?図4,図7,図10及びその説明,引用文献2のFIG.1,FIG.4A?FIG.7及びその説明,参考文献1の図1?図3及びその説明,参考文献2の図1,図3?図8及びその説明において例示されているとおり,周知技術である。また,甲1方法発明は,「塗布,加熱,及び塗布されたポリマー粒子の固定による方法が,多数繰り返すやり方で実施される」ものであるから,上記周知技術を採用するに適したものである。
そうしてみると,甲1方法発明を,甲1方法相違点3に係る構成を具備したものとすることは,周知技術を心得た当業者が容易に発明をすることができたものである。

キ 本件特許発明13について
前記(5)で挙げた各文献が示唆する範囲内のものである。

ク 本件特許発明14について
甲1発明において,「電荷制御添加物」の分量を,請求項14に記載された数値範囲内のものとすることは,甲1方法発明において用いられる甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を具体化する当業者における,設計範囲内のものにすぎない。

ケ 本件特許発明15について
甲1方法発明において用いられる甲1粒子発明の「ポリマー粒子」の「無機半金属酸化物又は無機金属酸化物のコーティング」は,本件特許発明15の「流動制御剤」に該当する。また,その分量を,請求項15に記載された数値範囲内のものとすることは,甲1方法発明において用いられる甲1粒子発明の「ポリマー粒子」を具体化する当業者における,設計範囲内のものにすぎない。

コ 本件特許発明18について
ポリアミド樹脂として周知のものが列挙されているにすぎない。

(7) 発明の効果について
本件特許の明細書には,発明の効果に関する明示的な記載はない。
ところで,本件特許の明細書の【0002】?【0004】には,背景技術として,電子写真以外の方法により,三次元部品を構築するための,幾つかの方法が記載されている。また,【0005】には,背景技術として,電子写真の方法により二次元の印刷を行う方法が記載されている。そして,【0006】?【0008】には,課題を解決するための手段として,電子写真方式の付加製造システムによって3D部品を印刷するための部品材料及び方法が記載されている。
そうしてみると,本件特許発明1等の効果は,電子写真方式によって三次元部品を構築することに成功した,というものと理解するのが自然であるところ,このような効果は,甲1粒子発明や甲1方法発明が奏する効果に他ならない。

(8) 特許権者の主張について
特許権者は,意見書において,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」という構成により,本件特許発明1等は,首尾良く均一な転写性能が得られ,また,溶融転写される層の厚み及び強度の均一性も得られる点において,格別顕著な効果を奏すると主張する。
しかしながら,本件特許の発明の詳細な説明には,具体的な実施例や比較例との比較結果が1つも記載されておらず,また,これを代替し,裏付けとなるような十分な技術的説明も記載されていない。このような発明の詳細な説明の記載内容を考慮すると,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」という数値範囲は,単なる設計的事項に過ぎず,また,格別顕著な効果を奏するという主張も,採用することはできない。

さらに進んで検討する。
甲1方法発明の「支持構造体上に三次元構造を製造する方法」や,甲1方法発明において用いられる甲1粒子発明の「ポリマー粒子」は,「電子写真法において,解像度が250μm未満である高解像度の三次元構造の構築を可能に」することを意図したものである。また,甲1の[0015]には,製品としての用途として,医療製品,生物医学製品,バイオ製品,移植片,再生医療製品,人工血管等,極めて高い精度が求められるものが挙げられている。
そうしてみると,特許権者が主張する格別顕著な効果は,当業者が,甲1粒子発明や甲1方法発明において期待される効果に他ならない。

(9) 小括
本件特許発明1?6,9,12?15及び18は,甲1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 理由1(引用文献1)について
(1) 引用文献1発明
引用文献1には,請求項1の記載を引用する請求項2に係る発明が記載されているところ,この発明は,【0012】及び【0014】に記載された効果を奏するものと理解される。
そうしてみると,引用文献1には,次の発明が記載されている(以下「引用文献1発明」という。)。
「 3次元物体の任意の断面形状デ-タに基づく静電潜像を誘電体表面に形成する工程と,
静電潜像を帯電性粉体で現像する工程と,
帯電性粉体をシート状に形成する工程と,
シート状帯電性粉体をステージに転写する工程を有し,
各工程を繰り返しステージ上にシート状帯電性粉体を積層することにより3次元物体を造形する,積層造形方法であって,
帯電性粉体として熱可塑性樹脂からなる粉体を用い,帯電性粉体をシート状に形成する工程は加熱により行うことにより,
精度及び強度に優れた3次元物体を造形することができ,かつ,膜厚が均一になるため,積層方向の精度を向上させることができる,
積層造形方法。」

(2) 一致点及び相違点
ア 一致点
本件特許発明1と引用文献1発明において用いられている「帯電性粉体」を対比すると,両者は,次の構成で一致する。
「 三次元部品の部品材料であって,
前記部品材料は,D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態で提供され,
前記部品材料は,電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である,部品材料。」

イ 相違点
本件特許発明1と引用文献1発明は,次の点で相違する。
(引用文献1相違点1)
「部品材料」が,本件特許発明1は,「組成物を含み,該組成物は」,「半結晶熱可塑性材料と」,「荷電制御剤とを含み」,「前記半結晶熱可塑性材料は,ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み」,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」であるのに対し,引用文献1発明は,このように特定されたものではない点。

(3) 判断
引用文献1発明は「積層造形方法」であるところ,「積層造形方法」において,PA12等のポリアミド樹脂を使用することは,前記1(5)で述べたとおり,周知技術であったと認められる。ここで,PA12等のポリアミド樹脂は,本件特許発明でいう「半結晶熱可塑性材料」に該当する。また,引用文献1発明は,「帯電性粉体として熱可塑性樹脂からなる粉体を用い」るものであるから,周知技術を採用することに適したものといえる。
そうしてみると,上記周知技術を心得た当業者が,引用文献1発明の「熱可塑性樹脂」として,典型的なポリアミド樹脂であるPA12等を採用することは,容易に発明をすることができたものである。

また,引用文献1発明の「積層造形方法」は,「精度及び強度に優れた3次元物体を造形することができ,かつ,膜厚が均一になるため,積層方向の精度を向上させることができる」という効果を奏するものであるから,「帯電性粉体」の粒径は,できるだけ揃っている方が望ましい。そして,電子写真法や3次元物体の造形に用いられる粉体の粒径に関する技術水準は,前記1(5)で述べたとおりである。
そうしてみると,引用文献1発明の「帯電性粉体」の粒径をできるだけ揃えようとする当業者が,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」となる程度まで,引用文献1発明の「帯電性粉体」の粒径を揃えることは,技術水準に照らし明らかである。

「荷電制御剤」については,引用文献1の【請求項5】に明示された構成にすぎない。

(4) 他の特許発明について
ア 本件特許発明2について
引用文献1発明の「帯電性粉体」は,「帯電性粉体として熱可塑性樹脂からなる粉体を用い,帯電性粉体をシート状に形成する工程は加熱により行う」ものである。
そうしてみると,引用文献1発明の「帯電性粉体」を「加熱」されやすいものとすることを目的として,引用文献1発明の「帯電性粉体」を,吸熱剤を含むものとすることは,当業者が容易に発明をすることができたものである。また,吸熱剤の分量は,引用文献1発明の「帯電性粉体」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

イ 本件特許発明3について
前記(5)で挙げた各文献が示唆する範囲内のものである。

ウ 本件特許発明4及び本件特許発明5について
荷電制御剤については,引用文献1の【請求項5】に明示された構成にすぎないところ,請求項4に記載された化合物は,荷電制御剤として周知のものである(甲4の【0040】?【0051】等を参照。)。そして,その分量を,請求項5に記載された数値範囲内のものとすることは,引用文献1発明の「帯電性粉体」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

エ 本件特許発明6について
引用文献1発明の「帯電性粉体」は,電子写真方式におけるトナーと同様に,その流動性が確保されるべきものであるから,引用文献1発明の「帯電性粉体」を,流動制御剤を含むものとすることは,当業者が容易に発明をすることができたものである。また,その分量を,請求項6に記載された数値範囲内のものとすることは,引用文献1発明の「帯電性粉体」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

オ 本件特許発明9について
ポリアミド樹脂として周知のものが列挙されているにすぎない。

カ 本件特許発明12について
本件特許発明12と引用文献1発明を対比すると,以下の相違点が見いだされる。
(引用文献1相違点2)
「部品材料」が,本件特許発明12は,「組成物を含み,該組成物は」,「半結晶熱可塑性材料と」,「荷電制御剤とを含み」,「前記半結晶熱可塑性材料は,ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み」,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」であるのに対して,引用文献1発明は,このように特定されたものではない点。

引用文献1相違点2についての判断は,引用文献1相違点1についての判断と同じである。

キ 本件特許発明13について
前記1(5)で挙げた各文献が示唆する範囲内のものである。

ク 本件特許発明14について
帯電制御剤の分量を,請求項14に記載された数値範囲内のものとすることは,引用文献1発明の「帯電性粉体」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

ケ 本件特許発明15について
引用文献1発明の「帯電性粉体」は,電子写真方式におけるトナーと同様に,その流動性が確保されるべきものであるから,引用文献1発明の「帯電性粉体」を,流動制御剤を含むものとすることは,当業者が容易に発明をすることができたものである。また,その分量を,請求項15に記載された数値範囲内のものとすることは,引用文献1発明の「帯電性粉体」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

コ 本件特許発明18について
ポリアミド樹脂として周知のものが列挙されているにすぎない。

(5) 発明の効果について
発明の効果に関する判断は,前記1(7)で述べたのと同様である。

(6) 小括
本件特許発明1?6,9,12?15及び18は,引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 理由1(引用文献2)について
(1) 引用文献2発明
引用文献2には,請求項15の記載を引用する請求項20に係る発明として,次の発明が記載されている(以下「引用文献2発明」という。)。
「 アディティブマニュファクチュアリングシステムによって3次元部品を印刷するための方法であって,
熱可塑性ベース粉末から3次元部品の層を画像化すること,
画像化された層を転写媒体に転写すること,
画像化された層が転写媒体上に保持されている間に,画像化された層を加熱すること,
加熱された層を3次元部品の表面に溶融転写すること,
溶融転写された層を転写媒体から離脱させることであって,それにより,溶融転写された層は,3次元部品に固着したままになる,離脱させること,及び,
印刷された3次元部品を,3D部品の変形温度未満であるほぼ平均部品温度に保つために,溶融転写された層を冷却することを含み,
さらに,
熱可塑性ベース粉末から3次元部品の層を画像化することは,電子写真エンジンによって熱可塑性ベース粉末から層を現像することを含む,
3次元部品を印刷するための方法。」

(2) 一致点及び相違点
ア 一致点
本件特許発明1と引用文献2発明において用いられている「熱可塑性ベース粉末」を対比すると,両者は,次の構成で一致する。
「 三次元部品の部品材料であって,
前記部品材料は,D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態で提供され,
前記部品材料は,電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である,部品材料。」

イ 相違点
本件特許発明1と引用文献2発明は,次の点で相違する。
(引用文献2相違点1)
「部品材料」が,本件特許発明1は,「組成物を含み,該組成物は」,「半結晶熱可塑性材料と」,「荷電制御剤とを含み」,「前記半結晶熱可塑性材料は,ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み」,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」であるのに対し,引用文献2発明は,このように特定されたものではない点。

(3) 判断
引用文献2発明は,「3次元部品を印刷するための方法」であるところ,「3次元部品を印刷するための方法」において,PA12等のポリアミド樹脂を使用することは,前記1(5)で述べたとおり,周知技術であったと認められる。ここで,PA12等のポリアミド樹脂は,本件特許発明でいう「半結晶熱可塑性材料」に該当する。また,引用文献2発明は,「熱可塑性ベース粉末」を用いるものであるから,周知技術を採用することに適したものといえる。
そうしてみると,上記周知技術を心得た当業者が,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」の樹脂として,典型的なポリアミド樹脂であるPA12等を採用することは,容易に発明をすることができたものである。

また,引用文献2発明は,「アディティブマニュファクチュアリングシステムによって3次元部品を印刷するための方法」であるから,「熱可塑性ベース粉末」の粒径は,できるだけ揃っている方が望ましい。そして,電子写真法や3次元物体の造形に用いられる粉体の粒径に関する技術水準は,前記1(5)で述べたとおりである。
そうしてみると,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」の粒径をできるだけ揃えようとする当業者が,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」となる程度まで,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」の粒径を揃えることは,技術水準に照らし明らかである。

加えて,引用文献2発明における,「熱可塑性ベース粉末から3次元部品の層を画像化することは,電子写真エンジンによって熱可塑性ベース粉末から層を現像することを含む」ものであるから,電子写真方式におけるトナーと同様に,その帯電性が確保されるべきものといえる。
そうしてみると,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」を,「荷電制御剤」を含むものとすることは,引用文献2発明の構成が示唆する範囲内の事項である。

(4) 他の特許発明について
ア 本件特許発明2について
引用文献2発明は,「画像化された層が転写媒体上に保持されている間に,画像化された層を加熱すること」を含むものである。
そうしてみると,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」を「加熱」されやすいものとすることを目的として,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」を,吸熱剤を含むものとすることは,当業者が容易に発明をすることができたものである。また,吸熱剤の分量は,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

イ 本件特許発明3について
前記(5)で挙げた各文献が示唆する範囲内のものである。

ウ 本件特許発明4及び本件特許発明5について
引用文献2発明における,「熱可塑性ベース粉末」は,電子写真方式におけるトナーと同様に,荷電制御剤を含めることが好ましいところ,請求項4に記載された化合物は,荷電制御剤として周知のものである(甲4の【0040】?【0051】等を参照。)。そして,その分量を,請求項5に記載された数値範囲内のものとすることは,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

エ 本件特許発明6について
引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」は,電子写真方式におけるトナーと同様に,その流動性が確保されるべきものであるから,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」を,流動制御剤を含むものとすることは,当業者が容易に発明をすることができたものである。また,その分量を,請求項6に記載された数値範囲内のものとすることは,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

オ 本件特許発明9について
ポリアミド樹脂として周知のものが列挙されているにすぎない。

カ 本件特許発明12について
本件特許発明12と引用文献2発明を対比すると,以下の相違点が見いだされる。
(引用文献2相違点2)
「部品材料」が,本件特許発明12は,「組成物を含み,該組成物は」,「半結晶熱可塑性材料と」,「荷電制御剤とを含み」,「前記半結晶熱可塑性材料は,ポリアミドを含み,該ポリアミドは,ポリカプロラクタム(PA6),ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6),ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9),ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10),ポリアミド6/12(PA6,12),ポリエナントラクタム(PA7),ポリウンデカノラクタム(PA11),ポリラウロラクタム(PA12),又はそれらの混合物を含み」,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」であるのに対して,引用文献2発明は,このように特定されたものではない点。

引用文献2相違点2についての判断は,引用文献2相違点1についての判断と同じである。

キ 本件特許発明13について
前記1(5)で挙げた各文献が示唆する範囲内のものである。

ク 本件特許発明14について
帯電制御剤の分量を,請求項14に記載された数値範囲内のものとすることは,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

ケ 本件特許発明15について
引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」は,電子写真方式におけるトナーと同様に,その流動性が確保されるべきものであるから,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」を,流動制御剤を含むものとすることは,当業者が容易に発明をすることができたものである。また,その分量を,請求項15に記載された数値範囲内のものとすることは,引用文献2発明の「熱可塑性ベース粉末」を具体化する当業者における設計範囲内のものにすぎない。

コ 本件特許発明18について
ポリアミド樹脂として周知のものが列挙されているにすぎない。

(5) 発明の効果について
発明の効果に関する判断は,前記1(7)で述べたのと同様である。

(6) 小括
本件特許発明1?6,9,12?15及び18は,引用文献2に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 理由2について
本件特許発明1の「部品材料」は,「D90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下」という構成を具備する。
しかしながら,本件特許の明細書の【0094】?【0102】に開示された,本件特許発明1の「部品材料」の製造方法に関する記載は,電子写真用の粒子や,3D部品製造用の粒子等を製造するための周知の製造方法,及びポリアミドに関する一般的な事項を開示するにとどまるものである。また,本件特許の明細書には,具体的な実施例や比較例との比較結果が1つも記載されておらず,また,これを代替し,裏付けとなるような十分な技術的説明も記載されていない。
そうしてみると,本件特許の発明の詳細な説明の記載は,本件特許の出願時の当業者が本件特許発明1の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということができない。あるいは,本件特許発明1は,発明の詳細な説明に記載したものであるということができない。
請求項2以降に係る各発明との関係においても,同様である。

さらに,本件特許発明2の「組成物は吸熱剤を更に含み,該吸熱剤は前記部品材料の0.5重量%?10重量%を構成する」ものである。同様に,本件特許発明5,本件特許発明6,本件特許発明12,本件特許発明14及び本件特許発明15も,それぞれ,「荷電制御剤」,「流動制御剤」,「Q/M比」,「荷電制御剤」及び「流動制御剤」の分量の数値範囲に関する構成を具備する。
しかしながら,本件特許の明細書には,これら分量について,その,数値範囲の上限値,下限値の技術的意義を裏付ける具体的な実施例実施例や比較例との比較結果が1つも記載されておらず,また,これを代替し,裏付けとなるような十分な技術的説明も記載されていない。
そうしてみると,本件特許の発明の詳細な説明の記載は,本件特許の出願時の当業者が請求項2以降に係る各発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということができない。あるいは,本件特許の発明の詳細な説明の記載は,本件特許の出願時の当業者が請求項2以降に係る各発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしたものであるということができない。さらには,請求項2以降に係る各発明は,発明の詳細な説明に記載したものであるということができない。

5 理由3について
請求項1には,「前記部品材料は,電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である,部品材料」と記載されている。
しかしながら,この記載は,部品材料が,[A]「電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料」として使用することができることを意味するにとどまるのか,[B]それを超えて,何らかの構成(例:物性)や顕著な効果を具備することを意味するのか,また,[C]何らかの構成や顕著な効果を具備するとしたとき,それが何なのか,明確であるとはいえない。
したがって,本件特許発明1は,明確であるということができない。
本件特許発明1?6及び9についても,同様である。

第6 まとめ
本件特許発明1?6,9,12?15及び18は,甲1,引用文献1又は引用文献2に記載された発明に基づいて,周知技術を心得た当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。また,本件特許の発明の詳細な説明の記載は,当業者が,本件特許発明1?6,9,12?15及び18の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということができない。加えて,本件特許の発明の詳細な説明の記載は,当業者が,本件特許発明2?6,9,12?15及び18の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしたものであるということができない。さらに,本件特許発明1?6,9,12?15及び18は,発明の詳細な説明に記載したものであるということもできない。さらに加えて,本件特許発明1?6及び9は,明確であるということもできない。
したがって,本件特許1?6,9,12?15及び18は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから,取り消されるべきものである。また,本件特許1?6,9,12?15及び18は,特許法36条4項1号及び6項1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから,取り消されるべきものである。さらに,本件特許1?6及び9は,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから,取り消されるべきものである。

請求項7,8,10,11,16,17及び19は,訂正により削除されたため,これら請求項に対する特許異議の申立ての対象は存在しないものとなった。
したがって,本件特許7,8,10,11,16,17及び19に対する特許異議の申立てについては,特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下されるべきものである。

よって,結論に記載のとおり決定する。
 
別掲
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元部品の部品材料であって、該部品材料は、
組成物を含み、該組成物は、
半結晶熱可塑性材料と、
荷電制御剤とを含み、
前記半結晶熱可塑性材料は、ポリアミドを含み、該ポリアミドは、ポリカプロラクタム(PA6)、ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6)、ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10)、ポリアミド6/12(PA6,12)、ポリエナントラクタム(PA7)、ポリウンデカノラクタム(PA11)、ポリラウロラクタム(PA12)、又はそれらの混合物を含み、
前記部品材料は、D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態で提供され、かつD90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下であり、
前記部品材料は、電子写真方式の付加製造システムの層溶融転写アセンブリによって前記三次元部品を層ごとに印刷するための材料である、部品材料。
【請求項2】
前記組成物は吸熱剤を更に含み、該吸熱剤は前記部品材料の0.5重量%?10重量%を構成する、請求項1に記載の部品材料。
【請求項3】
D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布のそれぞれが1.00?1.40の範囲である、請求項1又は2に記載の部品材料。
【請求項4】
前記荷電制御剤は、クロムオキシカルボン酸錯体、亜鉛オキシカルボン酸錯体、アルミニウムオキシカルボン酸錯体、及びその混合物からなる群から選択される、請求項1?3のいずれか一項に記載の部品材料。
【請求項5】
前記荷電制御剤は、前記部品材料の0.1重量%?5重量%を構成する、請求項1?4のいずれか一項に記載の部品材料。
【請求項6】
前記組成物は、前記部品材料の0.1重量%?10重量%を構成する流動制御剤を更に含む、請求項1?5のいずれか一項に記載の部品材料。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
前記ポリアミドは、PA6;PA6,6;PA6,12;PA11;ポリラウロラクタム(PA12);又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の部品材料。
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
電子写真エンジンと転写媒体と層溶融転写アセンブリとを備える電子写真方式の付加製造システムによって三次元部品を印刷する方法であって、
部品材料を前記電子写真方式の付加製造システムに提供することであって、前記部品材料は、組成的に、荷電制御剤と半結晶熱可塑性材料とを含み、前記半結晶熱可塑性材料は、ポリアミドを含み、該ポリアミドは、ポリカプロラクタム(PA6)、ポリヘキサメチレンアジポアミド(PA6,6)、ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10)、ポリアミド6/12(PA6,12)、ポリエナントラクタム(PA7)、ポリウンデカノラクタム(PA11)、ポリラウロラクタム(PA12)、又はそれらの混合物を含み、また、D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布を有する粉末形態を有し、かつD90/D50粒度分布とD50/D10粒度分布との違いが10%以下であり、
負電荷又は正電荷及び5マイクロクーロン/グラム?50マイクロクーロン/グラムの範囲にある大きさを有するQ/M比に前記部品材料を摩擦帯電させることと、
前記電子写真エンジンによって、前記帯電した部品材料から前記三次元部品の層を現像することと、
前記現像された層を、前記電子写真エンジンから前記転写媒体に静電吸着させることと、
前記転写媒体によって、前記吸着された層を前記層溶融転写アセンブリまで移動させることと、
前記層溶融転写アセンブリによって、前記移動した層を前記三次元部品の先に印刷された層に溶融転写させることとを含む、方法。
【請求項13】
D90/D50粒度分布及びD50/D10粒度分布のそれぞれが1.00?1.40の範囲である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記荷電制御剤は、前記部品材料の0.1重量%?5重量%を構成する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記部品材料は、該部品材料の0.1重量%?10重量%を構成する流動制御剤を更に含む、請求項12?14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
(削除)
【請求項17】
(削除)
【請求項18】
前記ポリアミドは、PA6;PA6,6;PA6,12;PA11;ポリラウロラクタム(PA12);又はそれらの混合物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-08-21 
出願番号 特願2016-527061(P2016-527061)
審決分類 P 1 651・ 536- ZAA (G03G)
P 1 651・ 537- ZAA (G03G)
P 1 651・ 121- ZAA (G03G)
最終処分 取消  
前審関与審査官 本田 博幸  
特許庁審判長 里村 利光
特許庁審判官 宮澤 浩
樋口 信宏
登録日 2018-11-09 
登録番号 特許第6431060号(P6431060)
権利者 ストラタシス,インコーポレイテッド
発明の名称 電子写真方式の付加製造システム用の半結晶消耗材  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 太田 顕学  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  

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