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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1373364
審判番号 不服2020-9856  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-14 
確定日 2021-04-23 
事件の表示 特願2018-244730号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月28日出願公開、特開2019- 48199号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年6月13日に出願した特願2014-122763号(以下、「原出願」という。)の一部を平成30年12月27日に新たな特許出願(特願2018-244730号)としたものであって、平成31年3月11日に手続補正書が提出され、同年(令和1年)11月29日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年1月27日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月12日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年7月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
本件補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の概要
(1)本件補正は、
令和2年1月27日に提出された手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「演出を表示する表示手段と、
始動条件の成立時に始動情報を取得する取得手段と、
該取得手段が取得した前記始動情報のうち開始条件が成立した始動情報に基づいて所定の当落抽選を行う開始時抽選手段と、
前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて当選抽選結果である場合に前記表示手段に特別の表示結果を導出表示させる一方、前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて落選抽選結果である場合に前記表示手段に非特別の表示結果を導出表示させる表示制御手段と、
前記取得手段が取得した前記始動情報のうち前記開始条件が成立していない始動情報を記憶する記憶手段と、
前記始動条件の成立時に前記取得手段によって取得した始動情報に基づいて前記開始時抽選手段が前記当落抽選を行う以前に、当該始動情報が前記開始時抽選手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属しているか否かと、複数の変動態様のうちいずれの変動態様で表示制御されることとなるかと、を判別する事前判別手段と、を備え、
前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない通常落選態様となると判別された落選始動情報だけが前記記憶手段に記憶されている状態で前記取得手段によって新たに取得した前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された当選始動情報が記憶された状態において、予告実行手段によって特定予告演出が実行され、
前記記憶手段に記憶される前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間を短縮させることが可能であり、
前記特定予告演出には、前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される第1特定予告演出と、当該期間が短縮されなかったときに実行される第2特定予告演出とがあり、
前記第1特定予告演出と前記第2特定予告演出との一部の演出態様が共通とされているとともに、前記第2特定予告演出では表示されることのない演出態様が前記第1特定予告演出において表示され 前記一部の演出態様が共通とされた前記第1特定予告演出および前記第2特定予告演出を実行する契機となった前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された図柄変動に対して期待を抱かせる期待感演出が、前記一部の演出態様が共通とされた前記第1特定予告演出および前記第2特定予告演出が表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行されるようになされている
ことを特徴とする遊技機。」とあったものを、

「演出を表示する表示手段と、
始動条件の成立時に始動情報を取得する取得手段と、
該取得手段が取得した前記始動情報のうち開始条件が成立した始動情報に基づいて所定の当落抽選を行う開始時抽選手段と、
前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて当選抽選結果である場合に前記表示手段に特別の表示結果を導出表示させる一方、前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて落選抽選結果である場合に前記表示手段に非特別の表示結果を導出表示させる表示制御手段と、
前記取得手段が取得した前記始動情報のうち前記開始条件が成立していない始動情報を記憶する記憶手段と、
前記始動条件の成立時に前記取得手段によって取得した始動情報に基づいて前記開始時抽選手段が前記当落抽選を行う以前に、当該始動情報が前記開始時抽選手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属しているか否かと、複数の変動態様のうちいずれの変動態様で表示制御されることとなるかと、を判別する事前判別手段と、を備え、
前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない通常落選態様となると判別された落選始動情報だけが前記記憶手段に記憶されている状態で前記取得手段によって新たに取得した前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された当選始動情報が記憶された状態において、予告実行手段によって特定予告演出が実行され、
前記予告実行手段によって実行される前記特定予告演出は、前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない前記通常落選態様となると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中において実行可能とされているとともに、特定の表示態様が表示された場合に遊技者に対して前記記憶手段に記憶されている前記始動情報にて前記特別の表示結果が導出される可能性が高いことを示唆する演出であり、
前記記憶手段に記憶される前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間を短縮させることが可能であり、
前記特定予告演出には、前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される第1特定予告演出パターンと、当該期間が短縮されなかったときに実行される第2特定予告演出パターンとがあり、
前記特定予告演出が前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンとのいずれのパターンで実行される場合においても、前記特定の表示態様が表示可能とされており、前記第2特定予告演出パターンで前記特定の表示態様が表示される場合の演出態様と前記第1特定予告演出パターンで前記特定の表示態様が表示される場合の演出態様は異なる演出態様で実行され、
前記始動情報を取得可能な始動口が複数あり、複数の前記始動口のうち特定の始動口に入賞したときに限って前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンで実行可能とされた前記特定予告演出が実行可能とされ、前記特定の始動口に入賞し前記特定の表示態様が表示されることとなる前記特定予告演出が開始されると、前記特定予告演出の実行に応じた期待感演出が、前記特定の表示態様が表示可能とされた前記第1特定予告演出パターンおよび前記第2特定予告演出パターンが表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行され、
前記特定の表示態様が前記特定予告演出において表示されると、前記特定予告演出が終了した後の前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中に前記特定の表示態様と関連する演出を実行する
ことを特徴とする遊技機。」
と補正するものである(下線は、補正前後の箇所を明示するために合議体が付した)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の補正事項からなる。
ア 本件補正前の請求項1の「特定予告演出」について、「前記予告実行手段によって実行される前記特定予告演出は、前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない前記通常落選態様となると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中において実行可能とされているとともに、特定の表示態様が表示された場合に遊技者に対して前記記憶手段に記憶されている前記始動情報にて前記特別の表示結果が導出される可能性が高いことを示唆する演出であり」と特定する補正。

イ 本件補正前の請求項1に「前記特定予告演出には、前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される第1特定予告演出と、当該期間が短縮されなかったときに実行される第2特定予告演出とがあり」とあったものを「前記特定予告演出には、前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される第1特定予告演出パターンと、当該期間が短縮されなかったときに実行される第2特定予告演出パターンとがあり」とする補正。

ウ 本件補正前の請求項1に「前記第1特定予告演出と前記第2特定予告演出との一部の演出態様が共通とされているとともに、前記第2特定予告演出では表示されることのない演出態様が前記第1特定予告演出において表示され」とあったものを「前記特定予告演出が前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンとのいずれのパターンで実行される場合においても、前記特定の表示態様が表示可能とされ前記特定予告演出が前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンとのいずれのパターンで実行される場合においても、前記特定の表示態様が表示可能とされ」とする補正。

エ 本件補正前の請求項1に「前記一部の演出態様が共通とされた前記第1特定予告演出および前記第2特定予告演出を実行する契機となった前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された図柄変動に対して期待を抱かせる期待感演出が、前記一部の演出態様が共通とされた前記第1特定予告演出および前記第2特定予告演出が表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行されるようになされている」とあったものを「前記始動情報を取得可能な始動口が複数あり、複数の前記始動口のうち特定の始動口に入賞したときに限って前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンで実行可能とされた前記特定予告演出が実行可能とされ、前記特定の始動口に入賞し前記特定の表示態様が表示されることとなる前記特定予告演出が開始されると、前記特定予告演出の実行に応じた期待感演出が、前記特定の表示態様が表示可能とされた前記第1特定予告演出パターンおよび前記第2特定予告演出パターンが表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行され」とする補正。

オ 本件補正前の請求項1の「特定の表示態様」について、「前記特定の表示態様が前記特定予告演出において表示されると、前記特定予告演出が終了した後の前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中に前記特定の表示
態様と関連する演出を実行する」と特定する補正。

2 本件補正の目的と新規事項追加の有無について
(1)上記1(2)アの補正は、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【0713】、【0719】及び【図163】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「特定予告演出」に関し、「前記予告実行手段によって実行される前記特定予告演出は、前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない前記通常落選態様となると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中において実行可能とされているとともに、特定の表示態様が表示された場合に遊技者に対して前記記憶手段に記憶されている前記始動情報にて前記特別の表示結果が導出される可能性が高いことを示唆する演出であり」と限定するものである。

(2)上記1(2)イの補正は、当初明細書等の【0741】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「特定予告演出」を「特定予告演出パターン」に限定するものである。

(3)上記1(2)ウの補正は、当初明細書等の【0741】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「前記第1特定予告演出と前記第2特定予告演出との一部の演出態様が共通とされているとともに、前記第2特定予告演出では表示されることのない演出態様が前記第1特定予告演出において表示され」を「前記特定予告演出が前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンとのいずれのパターンで実行される場合においても、前記特定の表示態様が表示可能とされており、前記第2特定予告演出パターンで前記特定の表示態様が表示される場合の演出態様と前記第1特定予告演出パターンで前記特定の表示態様が表示される場合の演出態様は異なる演出態様で実行され」と限定するものである。

(4)上記1(2)エの補正は、当初明細書等の【0743】、【0745】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「前記一部の演出態様が共通とされた前記第1特定予告演出および前記第2特定予告演出を実行する契機となった前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された図柄変動に対して期待を抱かせる期待感演出が、前記一部の演出態様が共通とされた前記第1特定予告演出および前記第2特定予告演出が表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行されるようになされている」を「前記始動情報を取得可能な始動口が複数あり、複数の前記始動口のうち特定の始動口に入賞したときに限って前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンで実行可能とされた前記特定予告演出が実行可能とされ、前記特定の始動口に入賞し前記特定の表示態様が表示されることとなる前記特定予告演出が開始されると、前記特定予告演出の実行に応じた期待感演出が、前記特定の表示態様が表示可能とされた前記第1特定予告演出パターンおよび前記第2特定予告演出パターンが表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行され」と限定するものである。

(5)上記1(2)オの補正は、当初明細書等の【0750】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「特定予告演出」に関し、「前記特定の表示態様が前記特定予告演出において表示されると、前記特定予告演出が終了した後の前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中に前記特定の表示態様と関連する演出を実行する」と限定するものである。

(6)本件補正は、上記(1)ないし(5)のとおり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしNは、分説するため合議体が付した。
「A 演出を表示する表示手段と、
B 始動条件の成立時に始動情報を取得する取得手段と、
C 該取得手段が取得した前記始動情報のうち開始条件が成立した始動情報に基づいて所定の当落抽選を行う開始時抽選手段と、
D 前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて当選抽選結果である場合に前記表示手段に特別の表示結果を導出表示させる一方、前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて落選抽選結果である場合に前記表示手段に非特別の表示結果を導出表示させる表示制御手段と、
E 前記取得手段が取得した前記始動情報のうち前記開始条件が成立していない始動情報を記憶する記憶手段と、
F 前記始動条件の成立時に前記取得手段によって取得した始動情報に基づいて前記開始時抽選手段が前記当落抽選を行う以前に、当該始動情報が前記開始時抽選手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属しているか否かと、複数の変動態様のうちいずれの変動態様で表示制御されることとなるかと、を判別する事前判別手段と、を備え、
G 前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない通常落選態様となると判別された落選始動情報だけが前記記憶手段に記憶されている状態で前記取得手段によって新たに取得した前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された当選始動情報が記憶された状態において、予告実行手段によって特定予告演出が実行され、
H 前記予告実行手段によって実行される前記特定予告演出は、前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない前記通常落選態様となると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中において実行可能とされているとともに、特定の表示態様が表示された場合に遊技者に対して前記記憶手段に記憶されている前記始動情報にて前記特別の表示結果が導出される可能性が高いことを示唆する演出であり、
I 前記記憶手段に記憶される前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間を短縮させることが可能であり、
J 前記特定予告演出には、前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される第1特定予告演出パターンと、当該期間が短縮されなかったときに実行される第2特定予告演出パターンとがあり、
K 前記特定予告演出が前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンとのいずれのパターンで実行される場合においても、前記特定の表示態様が表示可能とされており、前記第2特定予告演出パターンで前記特定の表示態様が表示される場合の演出態様と前記第1特定予告演出パターンで前記特定の表示態様が表示される場合の演出態様は異なる演出態様で実行され、
L 前記始動情報を取得可能な始動口が複数あり、複数の前記始動口のうち特定の始動口に入賞したときに限って前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンで実行可能とされた前記特定予告演出が実行可能とされ、前記特定の始動口に入賞し前記特定の表示態様が表示されることとなる前記特定予告演出が開始されると、前記特定予告演出の実行に応じた期待感演出が、前記特定の表示態様が表示可能とされた前記第1特定予告演出パターンおよび前記第2特定予告演出パターンが表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行され、
M 前記特定の表示態様が前記特定予告演出において表示されると、前記特定予告演出が終了した後の前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中に前記特定の表示態様と関連する演出を実行する
N ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例
ア 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、原出願の出願(出願日:平成26年6月13日)前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-64793号公報(平成26年4月17日出願公開、以下「引用文献1」という。)には、遊技機の発明に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、複数回の当たり判定の結果を報知する間に連続演出を実行する遊技機に関する。
・・・略・・・
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る遊技機の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1および図2を参照して、本実施形態に係るパチンコ機1の機械的構成について説明する。
・・・略・・・
【0015】
演出装置8について説明する。図2に示すように、演出装置8は、LCDからなる表示画面28を中央に備える。表示画面28には様々な映像が表示されるが、特に大当たり判定の結果を遊技者に報知するために、横並びに3つのデモ図柄表示部が設けられている。パチンコ機1は、3つのデモ図柄表示部に表示されるデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせを確定表示させる演出(以下、「報知演出」という。)を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
・・・略・・・
【0018】
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、および始動口スイッチ70に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。始動口スイッチ70は、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。
【0019】
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、スピーカ48、および操作ボタン9に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は可動役物30等を制御する。演出制御基板43は、CPU43a等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
・・・略・・・
【0022】
図4を参照して、RAM52の大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図7および図8参照)において使用され、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する。大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した際に、特別図柄作動保留球数が4未満(0?3)であれば、番号の若い記憶エリアから順に乱数が記憶される。CPU51は、処理が未だ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の若い記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理(具体的には、判定結果を報知する報知演出、および、判定結果が大当たりの場合に実行される大当たり遊技)が終了すると、次に番号が若い記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。なお、処理が終了した記憶エリアの乱数は、適宜消去してもよい。
【0023】
各記憶エリアには、大当たり判定カウンタの値が記憶される大当たり乱数欄、特別図柄決定カウンタの値が記憶される特別図柄決定乱数欄、および、変動パターン決定カウンタの値が記憶される変動パターン決定乱数欄が設けられている。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞すると、その時点で計数されているそれぞれの乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。大当たり乱数は、大当たり判定のために用いられる。特別図柄決定乱数は特別図柄を決定するために用いられる。変動パターン決定乱数は、大当たり判定の結果を報知する報知演出の演出パターン(デモ図柄の変動パターン)を決定するために用いられる。なお、RAM52には、普通図柄始動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。
【0024】
図5を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄変動パターン決定テーブルについて説明する。変動パターンとは、前述したように、大当たり判定による判定結果を遊技者に報知する際に用いられるデモ図柄の変動のパターン(演出パターン)である。この変動パターンによって、表示部24に表示される特別図柄の変動時間(デモ図柄の変動時間に等しい)と、特別図柄の変動に同期して表示画面28、可動役物30、スピーカ48等によって実行される報知演出のパターンとが決定される。サブ制御基板58は、主基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。
【0025】
特別図柄変動パターン決定テーブルには、大当たり判定時の遊技状態(非時短状態中または時短状態中)、および大当たり判定の結果(大当たりまたははずれ)に応じて複数のテーブルが設けられている。それぞれのテーブルには複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値(0?511)とが対応付けられている。大当たり判定が行われると、その時点の遊技状態と判定結果とに応じたテーブルが参照され、大当たり乱数と共に取得されている変動パターン決定乱数の値によって変動パターンが決定される。主基板41は、決定した変動パターンを指定するコマンドをサブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、コマンドによって指定された変動パターンに応じて報知演出を制御する。
【0026】
判定結果が大当たりの場合には、リーチ演出を実行する変動パターンが必ず決定される。一方で、判定結果がはずれの場合には、リーチ演出を実行しない「非リーチ」の変動パターンが決定される割合が最も高い。リーチ演出は、複数のデモ図柄のうちの一部を停止させた状態で行われる演出であり、大当たりの可能性があることを示す。本実施形態におけるリーチ演出には、ノーマルリーチ、リーチ演出A,B,C,D,E、プレミアリーチ演出X,Yの8種類がある。図5に示すように、判定結果が大当たりの場合には、ノーマルリーチ、リーチ演出A,B,C,D,Eの順で、決定される割合が高くなる。逆に、判定結果がはずれの場合には、ノーマルリーチ、リーチ演出A,B,C,D,Eの順で、決定される割合が低くなる。また、プレミアリーチ演出X,Yは、判定結果が大当たりの場合にのみ決定され得る。従って、リーチ演出において示される大当たり判定の結果が大当たりとなる確率(信頼度)は、ノーマルリーチ、リーチ演出A,B,C,D,E、プレミアリーチ演出X,Yの順に高くなる。
【0027】
また、前述したように、パチンコ機1は、大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)に記憶された乱数のうち、大当たり判定の結果がまだ報知演出によって報知されていない大当たり乱数(以下、「特別図柄作動保留球」または「保留球」という。)を、最大で4つまで記憶(保留)できる。保留球数が上限の4つに達している場合には、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞しても、保留球は記憶されない。この場合、大当たり判定が実行される機会が失われる。従って、本実施形態のパチンコ機1は、実行される頻度が最も多い「非リーチ」の報知演出の演出時間(変動時間)を、報知演出を開始する時点(つまり、図柄の変動を開始する時点)の保留球数に応じて変化させる。詳細には、保留球数が多くなる程、変動時間が短くなるように、「非リーチ」の際の変動時間が決定される。その結果、保留球数が上限の4つに達する頻度が低下し、保留球が記憶されない時間帯が短くなる。
・・・略・・・
【0029】
図6から図8を参照して、パチンコ機1の主基板41による処理について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理(図6参照)は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。
・・・略・・・
【0031】
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、普通図柄始動ゲート12および各入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球を検知するための処理が行われる。
・・・略・・・
【0034】
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、特別図柄の決定、および変動パターンの決定等の処理が行われる(図7および図8参照)。
・・・略・・・
【0039】
図7に示すように、特別図柄処理が開始されると、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞したか否かが判断される(S21)。特別図柄始動電動役物15に設けられた始動口スイッチ70が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図6参照)において、始動口スイッチ70に対応する入賞球フラグが「ON」とされる。このフラグが「ON」とされておらず、遊技球が入賞していなければ(S21:NO)、処理はそのままS31の判断へ移行する。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞していれば(S21:YES)、特別図柄作動保留球数が「4」であるか否かが判断される(S22)。RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数が「4」であれば(S22:YES)、保留球は保留することができる上限に達しているため、処理はそのままS31の判断へ移行する。
【0040】
特別図柄作動保留球数が「4」でない場合には(S22:NO)、RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数に「1」が加算される(S23)。次いで、各種乱数が取得され、大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も若い記憶エリアに記憶される(S24)。具体的には、大当たり乱数欄には大当たり判定カウンタの値が、特別図柄決定乱数欄には特別図柄決定カウンタの値が、変動パターン決定乱数欄には変動パターン決定カウンタの値が、それぞれ記憶される。
【0041】
次いで、S24で新たに取得された乱数についての情報を先読みする処理が行われる(S25)。S25では、新たに取得された大当たり乱数によって行われる大当たり判定の結果についての情報、および、新たに取得された変動パターン決定乱数によって決定される変動パターンについての情報の少なくともいずれかが先読みされる。本実施形態では、大当たり判定の結果についての情報、および変動パターンについての情報が共に先読みされる。後述するサブ制御基板処理(図10参照)では、連続演出を実行するか否かが、先読みされた2つの情報に応じて決定される。しかし、S25では、例えば変動パターンについての情報のみを先読みしてもよい。この場合、サブ制御基板処理では、先読みされた変動パターンの情報のみに応じて、連続演出を実行するか否かが決定される。また、CPU51は、上記2つの情報の少なくともいずれかに加え、2つの情報以外の他の情報(例えば、特別図柄に関する情報)を先読みしてもよい。次いで、先読みされた情報をサブ制御基板58に通知するための先読み結果通知コマンドが、RAM52に記憶される。処理はS31の判断へ移行する。
【0042】
次いで、大当たり遊技状態であるか否かが判断される(S31)。大当たり遊技状態フラグが「ON」となっており、大当たり遊技状態中であると判断された場合には(S31:YES)、処理はそのままメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態中でなければ(S31:NO)、特別図柄が変動中であるか否かが判断される(S32)。表示状態フラグが「1」でなく、特別図柄が変動中でなければ(S32:NO)、特別図柄が停止表示中であるか否かが判断される(S33)。表示状態フラグが「2」でなく、停止表示中でなければ(S33:NO)、処理はS35(図8参照)へ移行し、大当たり判定等の処理が行われる。
【0043】
図8に示すように、大当たり判定が行われる前に、特別図柄作動保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S35)。RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数が「1」以上でなければ(S35:NO)、大当たり判定を行うべき遊技球は存在しないので、処理はそのままメイン処理へ戻る。「1」以上であれば(S35:YES)、RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数が「1」減算される(S36)。大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)の判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S37)。
【0044】
次いで、遊技状態に応じた大当たり判定が行われる(S38)。大当たり判定を行うための判定テーブルには、非確率変動状態中に用いられる低確率判定テーブルと、大当たりと判定される確率が非確率変動状態中よりも高くなる高確率判定テーブルとが設けられている。大当たり判定は、確率変動状態が生起されているか否かに応じて、いずれかの判定テーブルが参照されて行われる。
【0045】
大当たり判定によって大当たりと判定された場合には(S39:YES)、大当たりであることを示す特別図柄が決定される(S40)。次いで、時短状態中であれば(S41:YES)、特別図柄変動パターン決定テーブル(図5参照)のうち、時短状態中且つ大当たりの場合のテーブルが参照され、変動パターン決定乱数欄の値によって変動パターンが決定される(S42)。時短状態中でなければ(S41:NO)、非時短状態(通常状態)且つ大当たりの場合のテーブルによって変動パターンが決定される(S43)。判定結果がはずれであれば(S39:NO)、はずれであることを示す特別図柄(本実施形態では「--」)が決定される(S46)。時短状態中であれば(S47:YES)、時短状態中且つはずれのテーブルによって変動パターンが決定され(S48)、時短状態中でなければ(S47:NO)、通常状態且つはずれのテーブルによって変動パターンが決定される(S49)。なお、変動パターン決定乱数欄の値に対応付けられている変動パターンが「非リーチ」の変動パターンであれば、特別図柄作動保留球数に応じて、変動時間が互いに異なる複数の「非リーチ」の変動パターンの1つが決定される。
・・・略・・・
【0049】
図9および図10を参照して、本実施形態において実行される連続演出の態様について説明する。連続演出とは、複数回の報知演出に亘って連続して実行可能な演出である。本実施形態では、主基板41で先読みされた情報に応じて連続演出が制御される。詳細には、大当たり判定の結果がはずれの場合よりも大当たりの場合の方が、多くの報知演出に亘る連続演出が実行され易い。また、信頼度の高い変動パターンが指定された場合の方が、信頼度の低い変動パターンが指定された場合よりも、多くの報知演出に亘る連続演出が実行され易く、且つ、連続演出が実行される割合自体も高くなる。
【0050】
図9および図10に示すように、本実施形態の連続演出は、表示画面28(図2参照)の表示領域80において実行される。本実施形態において、各報知演出において実行される連続演出には、通常連続演出と短時間連続演出が設けられている。通常連続演出は、報知演出の演出時間(変動時間)が所定時間よりも長い場合に実行される連続演出である。短時間連続演出は、報知演出の演出時間が所定時間以下の場合に実行される連続演出である。(以下では、演出時間が所定時間(本実施形態の通常状態では4秒)以下の報知演出を「短縮変動」という場合がある。)なお、時短状態中と通常状態中とでは、短縮変動であるか否かを判断する閾値となる所定時間が異なるのみである。従って、以下では、説明を簡略化するために、通常状態中の処理についてのみ説明を行う。図9で例示する連続演出が通常連続演出であり、図10で例示する連続演出が短時間連続演出である。
【0051】
通常連続演出について説明する。図9に示すように、報知演出において通常連続演出が実行される場合、デモ図柄81の変動が開始した後に、連続演出シナリオ実行領域84が、表示領域80内のデモ図柄81の前面に形成される。連続演出シナリオ実行領域84では、複数回の報知演出に亘って実行され得る連続演出が行われていることを示す連続演出シナリオ映像が表示される。
【0052】
なお、連続演出が行われていることを示す方法は、適宜変更できる。例えば、背景にキャラクタを登場させることで、連続演出が行われていることを遊技者に示してもよい。表示画面28の外部に設けられたLEDの点灯・点滅を用いてもよいし、可動役物30を動作させてもよい。
【0053】
次いで、次回の報知演出まで連続演出が継続する場合には、左・中・右のデモ図柄81がチャンス目の組み合わせで確定表示される。本実施形態では、各デモ図柄81には、デモ図柄81と共に変動する付加図柄82が付されている。詳細には、1・4・7には「★」の付加図柄82が、2・5・8には「△」の付加図柄82が、3・6・9には「○」の付加図柄82が付されている。本実施形態のチャンス目は、3つのデモ図柄81のうちの左右のデモ図柄81が同一でなく(つまり、リーチにはならず)、且つ、3つのデモ図柄81の各々に付された付加図柄82が全て同一となる組み合わせである。
【0054】
なお、チャンス目の態様も適宜変更できる。例えば、ゾロ目をチャンス目としてもよい。左・中・右の少なくともいずれかにチャンス図柄を確定表示させることで、チャンス目であることを遊技者に示してもよい。また、本実施形態のパチンコ機1は、チャンス目を確定表示させることで、連続演出が継続することをより分かりやすく遊技者に報知する。しかし、チャンス目を確定表示させずに、連続演出シナリオのみを用いて連続演出を実行することも可能である。
【0055】
次いで、デモ図柄81の前面に、継続表示実行領域86が形成される。継続表示実行領域86には、連続演出が次回の報知演出でも継続することを示す継続表示(本実施形態では「NEXT」の表示)が行われる。以上で、一連の通常連続演出が終了する。なお、連続演出が次回の報知演出まで継続しない場合には、チャンス目は停止せずに、単なるはずれを示すデモ図柄81の組み合わせ、または、リーチの組み合わせ(リーチ演出を実行する場合)が確定表示される。この場合、「NEXT」の表示も行われない。つまり、連続演出を実行する1または複数の報知演出のうちの最後の報知演出では、連続演出が行われていることを示す連続演出シナリオ映像の表示のみが実行される。
【0056】
なお、継続表示の態様が変更できることは言うまでも無い。例えば、継続表示実行領域86を形成せずに、表示領域80上に直接「NEXT」の表示だけを行うことも可能である。また、連続演出が継続することを、LED、可動役物30等を用いて表示してもよい。パチンコ機1は、継続表示を行うことで、連続演出が継続することを容易に遊技者に認識させることができる。
【0057】
短時間連続演出について説明する。図10に示すように、報知演出において短時間連続演出が実行される場合、デモ図柄の変動が開始する時点(つまり、報知演出が開始する時点)から、継続表示実行領域86において「NEXT」の継続表示が実行される。従って、前回の報知演出以前から連続演出が継続している場合には、前回の報知演出の終了時に表示されていた継続表示実行領域86がそのまま継続して表示されることになる。よって、パチンコ機1は、連続演出中に短縮変動を実行する場合でも、連続演出が継続することを分かりやすく遊技者に報知することができる。また、前回の報知演出において連続演出が実行されなかった場合には、短時間連続演出の開始時に継続表示を行うことで、連続演出が開始されたことを容易に遊技者に把握させることができる。
【0058】
次いで、次回の報知演出まで連続演出が継続する場合には、継続表示実行領域86が形成されたまま、左・中・右のデモ図柄81がチャンス目の組み合わせで確定表示される。また、本実施形態では、演出時間が4秒以下の短縮変動が実行されるのは、「非リーチ」の変動パターンが指定された場合のみである。従って、次回の報知演出まで連続演出が継続しない場合には、チャンス目は停止せずに、単なるはずれを示すデモ図柄81の組み合わせが確定表示される。この場合、継続表示実行領域86は消去されて、連続演出が終了したことが遊技者に報知される。
【0059】
図11および図12を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理では、主基板41から送信されるコマンドに従って、表示画面28、スピーカ48等による演出を制御する処理が行われる。特に、サブ制御基板処理では、大当たり判定の結果を報知するための報知演出が制御される。サブ制御基板処理は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、CPU581によって実行される。
【0060】
サブ制御基板処理が開始されると、主基板41から先読み結果通知コマンドを受信したか否かが判断される(S81)。前述したように、主基板41のCPU51は、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞を契機として乱数を新たに取得すると、取得した乱数に基づいて、大当たり判定の結果についての情報、および変動パターンについての情報を先読みする。先読みした情報を、先読み結果通知コマンドによってサブ制御基板58に通知する。サブ制御基板処理では、先読み結果通知コマンドを受信すると(S81:YES)、コマンドによって通知された先読み情報がRAM582に記憶されて(S82)、処理はS83の判断へ移行する。先読み結果通知コマンドを受信していなければ(S81:NO)、処理はそのままS83の判断へ移行する。
【0061】
次いで、主基板41から変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S83)。受信していない場合(S83:NO)、処理はそのままS86の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信すると(S83:YES)、報知演出制御処理が実行されて(S84)、処理はS86の判断へ移行する。報知演出制御処理では、指定された変動パターンに応じて報知演出が制御される。また、連続演出を実行するか否かを決定する処理、報知演出において連続演出を実行する処理等も行われる。報知演出制御処理の詳細については、図12を参照して後述する。
【0062】
次いで、主基板41から特別図柄停止コマンドを受信したか否かが判断される(S86)。受信していなければ(S86:NO)、処理はS88の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信すると(S86:YES)、大当たり判定の結果を示すデモ図柄81の組み合わせが確定表示されて(S87)、処理はS88の判断へ移行する。次いで、主基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したか否かが判断される(S88)。受信していなければ(S88:NO)、処理はそのままS81の判断へ戻る。大当たり遊技開始コマンドを受信すると(S88:YES)、大当たり遊技演出処理が実行されて(S89)、処理はS81の判断へ戻る。
【0063】
図12を参照して、報知演出制御処理について詳細に説明する。前述したように、報知演出制御処理は、変動パターン指定コマンドを受信した場合に実行される。まず、報知演出を開始することに伴い、RAM52に記憶されている保留球数が「1」減算される(S91)。なお、図示しないが、サブ制御基板58のCPU581は、保留球数が増加したことを示すコマンドを主基板41から受信した場合に、保留球数を「1」加算する。これにより、その時点における保留球数を管理する。次いで、連続演出の実行中であるか否かが、連続演出実行回数カウンタNの値によって判断される。連続演出実行回数カウンタNは、連続演出を実行する報知演出の残り回数を計数するカウンタである。カウンタNの値が1以上であり、連続演出の実行中である場合には(S92:YES)、連続演出を伴う報知演出の制御が実行される(S98?S107)。この詳細は後述する。
【0064】
連続演出実行回数カウンタNの値が0であり、連続演出の実行中でないと判断された場合(S92:NO)、連続演出を実行するか否かが、RAM52に記憶されている先読み情報と保留球数に応じて決定される(S93)。S93では、先読みされた大当たり判定の結果が全てはずれである場合(全ての保留球に対する大当たり判定の結果がいずれもはずれである場合)よりも、大当たりとなる保留球が含まれている場合の方が、連続演出が実行される割合が高く、且つ、多くの報知演出に亘る連続演出が実行される割合が高くなるように、処理が行われる。また、信頼度の高い変動パターン(図5参照)が決定されることが先読みされた場合の方が、信頼度の低い変動パターンのみが先読みされている場合よりも、多くの報知演出に亘る連続演出が実行され易く、且つ、連続演出が実行される割合自体も高くなるように、処理が行われる。従って、遊技者は、連続演出が実行されることを期待して遊技を楽しむことができる。また、連続演出が実行されると、より多くの報知演出に亘って連続演出が行われることを期待して、連続演出を楽しむことができる。なお、S93では、1回の報知演出のみで連続演出を終了させる決定(所謂「ガセ演出」)を行ってもよい。
・・・略・・・
【0071】
図13の上部に示す例では、まず、保留球数が2個となった状態で1回目の報知演出が開始される。1回目の報知演出は、「非リーチ」の変動パターンに従って実行される。1回目のデモ図柄81の変動は短縮変動ではないため、通常連続演出が実行される。通常連続演出では、デモ図柄81の変動が開始して高速変動状態とされた後で、連続演出シナリオ実行領域84が形成されて連続演出シナリオ映像が表示される。短縮変動でなければ、連続演出シナリオ映像を表示させる十分な時間があるため、遊技者は、連続演出が実行されている旨を映像によって容易に把握することができる。次いで、チャンス目が停止した後に、「NEXT」の継続表示が行われて、1回目の報知演出が終了する。2回目の報知演出も「非リーチ」の変動パターンに従って実行される。2回目の報知演出が開始されるまでの間に保留球は追加されていないため、2回目の報知演出も短縮変動とはならない。よって、2回目の報知演出および連続演出の態様は、1回目の報知演出および連続演出の
態様と同じである。3回目の報知演出は、「リーチ演出E」の変動パターンに従って実行される。3回目の報知演出では、デモ図柄が高速変動状態とされた後で、1回目および2回目と同様に連続演出シナリオ映像が表示される。次いで、デモ図柄81がリーチの組み合わせで停止した後に、「リーチ演出E」が変動パターンに従って実行される。
【0072】
図13の下部に示す例では、まず、保留球数が2個となった状態で1回目の報知演出が開始される。1回目の変動パターンは「非リーチ」の変動パターンであり、短縮変動でもないため、図13の上部に示す1回目の報知演出および連続演出と同じ態様の演出が実行される。しかし、図13の下部に示す例では、1回目の報知演出中に保留球が2個追加されている。その結果、2回目の報知演出が開始される時点で保留球数が3個となり、2回目の「非リーチ」の変動が短縮変動で実行される。従って、2回目の報知演出において実行される連続演出は短時間連続演出となり、1回目の報知演出の最後に表示された「NEXT」の継続表示がそのまま継続される。連続演出は次回の報知演出まで継続されるため、デモ図柄81はチャンス目で停止し、且つ、「NEXT」は2回目の報知演出の最後まで表示される。よって、遊技者は、短縮変動である2回目の報知演出においても、連続演出が実行されていることを容易に認識できる。3回目の変動パターンは「リーチ演出E」の変動パターンであり、図13の上部に示す3回目の報知演出および連続演出と同じ態様の演出が実行される。
・・・略・・・
【0075】
本実施形態のパチンコ機1は、連続演出を実行する複数の報知演出のうちの最後以外の報知演出を終了させる際に、連続演出が次回の報知演出でも継続されることを示す継続表示を実行する。従って、遊技者は、連続演出が継続することを認識し、安心して連続演出を楽しむことができる。さらに、パチンコ機1は、連続演出の途中で短縮変動を実行する場合、前回の報知演出において表示させた継続表示をそのまま継続させる。よって、遊技者は、短縮変動を実行する場合でも、連続演出が継続することを分かりやすく遊技者に報知することができる。
・・・略・・・
【0078】
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、上記実施形態のパチンコ機1は、「NEXT」または連続演出シナリオ映像を表示画面28の表示領域80内に表示させることで、連続演出の実行中であることを遊技者に報知する。しかし、連続演出の実行中であることを遊技者に報知する方法は、表示画面28を用いる方法に限定されない。例えば、可動役物30、LED等を用いてもよいし、表示画面28とは別の表示装置を用いてもよい。
【0079】
また、連続演出の実行中であることを短縮変動中に遊技者に報知する方法も、適宜変更できる。例えば、短縮変動中には、通常連続演出において表示される連続演出シナリオ映像を早送りで再生させてもよい。」

(イ)「【図9】



(ウ)「【図10】



(エ)「【図13】



(オ)上記(ア)の【0051】ないし【0058】における「・・・報知演出において通常連続演出が実行される場合、デモ図柄81の変動が開始した後に、連続演出シナリオ実行領域84が、表示領域80内のデモ図柄81の前面に形成される。連続演出シナリオ実行領域84では、複数回の報知演出に亘って実行され得る連続演出が行われていることを示す連続演出シナリオ映像が表示される。・・・次いで、次回の報知演出まで連続演出が継続する場合には、左・中・右のデモ図柄81がチャンス目の組み合わせで確定表示される。・・・次いで、デモ図柄81の前面に、継続表示実行領域86が形成される。継続表示実行領域86には、連続演出が次回の報知演出でも継続することを示す継続表示(本実施形態では「NEXT」の表示)が行われる。以上で、一連の通常連続演出が終了する。なお、連続演出が次回の報知演出まで継続しない場合には、チャンス目は停止せずに、単なるはずれを示すデモ図柄81の組み合わせ、または、リーチの組み合わせ(リーチ演出を実行する場合)が確定表示される。この場合、「NEXT」の表示も行われない。つまり、連続演出を実行する1または複数の報知演出のうちの最後の報知演出では、連続演出が行われていることを示す連続演出シナリオ映像の表示のみが実行される。・・・報知演出において短時間連続演出が実行される場合、デモ図柄の変動が開始する時点(つまり、報知演出が開始する時点)から、継続表示実行領域86において「NEXT」の継続表示が実行される。従って、前回の報知演出以前から連続演出が継続している場合には、前回の報知演出の終了時に表示されていた継続表示実行領域86がそのまま継続して表示されることになる。・・・次いで、次回の報知演出まで連続演出が継続する場合には、継続表示実行領域86が形成されたまま、左・中・右のデモ図柄81がチャンス目の組み合わせで確定表示される。」との記載事項や、上記(ア)の【0071】ないし【0072】の記載事項、上記(イ)ないし(エ)の【図9】、【図10】及び【図13】の図示内容から、短縮変動が入らない場合、すなわち、通常連続演出が実行される場合と、短縮変動が入る場合、すなわち、短時間連続演出が実行される場合との両方において、デモ図柄の確定表示中に「NEXT」の継続表示を行う一方で、通常連続演出では各報知演出の開始時において「NEXT」の継続表示を行わないものの、短時間連続演出では各報知演出の開始時において「NEXT」の継続表示を行うことが見てとれる。

(カ)上記(ア)の【0051】ないし【0055】に、「・・・報知演出において通常連続演出が実行される場合、デモ図柄81の変動が開始した後に、連続演出シナリオ実行領域84が、表示領域80内のデモ図柄81の前面に形成される。連続演出シナリオ実行領域84では、複数回の報知演出に亘って実行され得る連続演出が行われていることを示す連続演出シナリオ映像が表示される。・・・次いで、次回の報知演出まで連続演出が継続する場合には、左・中・右のデモ図柄81がチャンス目の組み合わせで確定表示される。・・・次いで、デモ図柄81の前面に、継続表示実行領域86が形成される。継続表示実行領域86には、連続演出が次回の報知演出でも継続することを示す継続表示(本実施形態では「NEXT」の表示)が行われる。以上で、一連の通常連続演出が終了する。」と記載されていることからすれば、上記(ア)の【0079】に記載された「短縮変動中には、通常連続演出において表示される連続演出シナリオ映像を早送りで再生させてもよい」とは、報知演出において短時間連続演出が実行される場合、デモ図柄81の変動が開始した後に、表示される連続演出シナリオ映像が早送りで再生され、次いで、次回の報知演出まで連続演出が継続する場合には、左・中・右のデモ図柄81がチャンス目の組み合わせで確定表示され、次いで、デモ図柄81の前面に、継続表示実行領域86が形成されて「NEXT」の継続表示が行われることで、一連の短期間連続演出を行ってもよいことを意味するものと解するのが自然である。そうすると、短時間連続演出で連続演出シナリオ映像を早送りで再生する場合においても、デモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示が表示されることは明らかである。

(キ)上記(ア)の【0071】ないし【0072】の記載事項や上記(エ)の【図13】の図示内容から、連続演出において、3回目の報知演出でリーチ演出E変動パターンが実行される例が示されていることが見て取れるところ、上記(ア)の【0026】に、「判定結果が大当たりの場合には、リーチ演出を実行する変動パターンが必ず決定される。一方で、判定結果がはずれの場合には、リーチ演出を実行しない『非リーチ』の変動パターンが決定される割合が最も高い。リーチ演出は、複数のデモ図柄のうちの一部を停止させた状態で行われる演出であり、大当たりの可能性があることを示す。・・・判定結果が大当たりの場合には、ノーマルリーチ、リーチ演出A,B,C,D,Eの順で、決定される割合が高くなる。逆に、判定結果がはずれの場合には、ノーマルリーチ、リーチ演出A,B,C,D,Eの順で、決定される割合が低くなる。」と記載されていることからすれば、前記3回目の報知演出は、遊技者に対して大当りとなる期待を強く抱かせる演出であると認められる。そうすると、例示された連続演出において、3回目の報知演出は遊技者に対して大当りとなる期待を強く抱かせる演出であるところ、当該演出は、1、2回目の報知演出で「NEXT」の継続表示が表示されたことに応じて開始された演出であることからすれば、それらの継続表示と関連する演出といえることは明らかである。すなわち、3回目の報知演出でリーチ演出E変動パターンが実行される連続演出において、その3回目の報知演出は、遊技者に対して大当りとなる期待を強く抱かせる演出であり、かつ、1、2回目の報知演出での「NEXT」の継続表示、または、デモ図柄の確定表示中の「NEXT」の継続表示と関連する演出であるといえる。

(ク)上記(ア)の【0075】に、「連続演出を実行する複数の報知演出のうちの最後以外の報知演出を終了させる際に、連続演出が次回の報知演出でも継続されることを示す継続表示を実行する。」と記載されているところ、上記(ア)の【0055】における「連続演出が次回の報知演出まで継続しない場合には、チャンス目は停止せずに、単なるはずれを示すデモ図柄81の組み合わせ、または、リーチの組み合わせ(リーチ演出を実行する場合)が確定表示される。この場合、「NEXT」の表示も行われない。つまり、連続演出を実行する1または複数の報知演出のうちの最後の報知演出では、連続演出が行われていることを示す連続演出シナリオ映像の表示のみが実行される。」との記載事項から、連続演出を実行する1または複数の報知演出のうちの最後の報知演出では、「NEXT」の継続表示を実行しないことが認められる。

(ケ)上記(ア)ないし(キ)の記載内容からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、aないしnについては本願補正発明のAないしNに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 様々な映像が表示され、大当たり判定の結果(大当たりまたははずれ)を示すデモ図柄の組み合わせを確定表示させる演出を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する表示画面28(【0015】、【0025】)と、
d 表示画面28の表示を制御する演出制御基板43に接続され、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行うサブ制御基板58(【0019】)と、
e 複数の記憶エリアが設けられており、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した際に、特別図柄作動保留球数が4未満(0?3)であれば、番号の若い記憶エリアから順に乱数が記憶され、記憶された乱数のうち、大当たり判定の結果がまだ報知演出によって報知されていない大当たり乱数(「特別図柄作動保留球」という。)を、最大で4つまで記憶(保留)できる大当たり関係情報記憶エリア(【0022】、【0027】)と、
b、c、f 主基板41に設けられた、各種の演算処理を行うCPU51(【0018】)と、を備え、
各入賞口に設けられた各スイッチの検出結果から、遊技球を検知するための処理が行われるスイッチ読込処理(【0031】、【0039】)や、大当たり判定、特別図柄の決定、および変動パターンの決定等の処理が行われる特別図柄処理(【0034】)を含むメイン処理は、CPU51において実行され(【0029】)、
特別図柄処理が開始されると、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞したか否かが判断され、特別図柄始動電動役物15に設けられた始動口スイッチ70が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理において、始動口スイッチ70に対応する入賞球フラグが「ON」とされ(【0039】)、特別図柄作動保留球数が「4」でない場合には、特別図柄作動保留球数に「1」が加算され、次いで、各種乱数が取得され、大当たり関係情報記憶エリアにおける空の記憶エリアのうち、番号が最も若い記憶エリアに記憶され、具体的には、大当たり乱数欄には大当たり判定カウンタの値が、特別図柄決定乱数欄には特別図柄決定カウンタの値が、変動パターン決定乱数欄には変動パターン決定カウンタの値が、それぞれ記憶され(【0040】)、
次いで、新たに取得された大当たり乱数によって行われる大当たり判定の結果についての情報、および、新たに取得された変動パターン決定乱数によって決定される変動パターンについての情報が共に先読みされる処理が行われ(【0041】)、次いで、大当たり遊技状態であるか否かが判断され、大当たり遊技状態中でなければ、特別図柄が変動中であるか否かが判断され、特別図柄が変動中でなければ、特別図柄が停止表示中であるか否かが判断され、停止表示中でなければ、大当たり判定等の処理が行われ(【0042】)、大当たり判定が行われる前に、特別図柄作動保留球数が「1」以上であるか否かが判断され、「1」以上であれば、特別図柄作動保留球数が「1」減算され、大当たり関係情報記憶エリアの判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされ(【0043】)、次いで、遊技状態に応じた大当たり判定が行われ(【0044】)、大当たり判定によって大当たりと判定された場合には、大当たりであることを示す特別図柄が決定され、判定結果がはずれであれば、はずれであることを示す特別図柄が決定され(【0045】)、
CPU51は、処理が未だ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の若い記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行い、判定エリアに記憶されている乱数に関する処理(具体的には、判定結果を報知する報知演出、および、判定結果が大当たりの場合に実行される大当たり遊技)が終了すると、次に番号が若い記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返され(【0022】)、
gないしm 主基板41のCPU51は、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞を契機として乱数を新たに取得すると、取得した乱数に基づいて、大当たり判定の結果についての情報、および変動パターンについての情報を先読みし、先読みした情報を、先読み結果通知コマンドによってサブ制御基板58に通知し、サブ制御基板処理では、先読み結果通知コマンドを受信されると、コマンドによって通知された先読み情報が記憶され(【0060】)、連続演出を実行するか否かが、先読みされた2つの情報、すなわち、大当たり判定の結果についての情報、および、変動パターンについての情報に応じて決定され(【0041】)、報知演出制御処理において、連続演出の実行中であるか否かが、連続演出実行回数カウンタNの値によって判断され、連続演出実行回数カウンタNは、連続演出を実行する報知演出の残り回数を計数するカウンタであり、カウンタNの値が1以上であり、連続演出の実行中である場合には、連続演出を伴う報知演出の制御が実行され(【0063】)、連続演出実行回数カウンタNの値が0であり、連続演出の実行中でないと判断された場合、連続演出を実行するか否かが、記憶されている先読み情報と保留球数に応じて決定され(【0064】)、
連続演出とは、複数回の報知演出に亘って連続して実行可能な演出であり、大当たり判定の結果がはずれの場合よりも大当たりの場合の方が、多くの報知演出に亘る連続演出が実行され易く(【0049】)、
各報知演出において実行される連続演出には、通常連続演出と短時間連続演出が設けられており、通常連続演出は、報知演出の演出時間(変動時間)が所定時間よりも長い場合に実行される連続演出であり、短時間連続演出は、報知演出の演出時間が所定時間以下の場合に実行される連続演出であり(【0050】)、
通常連続演出と短時間連続演出との両方において、デモ図柄の確定表示中に「NEXT」の継続表示を行う一方で、通常連続演出では各報知演出の開始時において「NEXT」の継続表示を行わないものの、短時間連続演出では各報知演出の開始時において「NEXT」の継続表示を行い(上記(オ))、
短縮変動中には、通常連続演出において表示される連続演出シナリオ映像を早送りで再生させてもよく(【0079】)、短時間連続演出で連続演出シナリオ映像を早送りで再生する場合においても、デモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示が表示され(上記(カ))、
3回目の報知演出でリーチ演出E変動パターンが実行される連続演出において、その3回目の報知演出は、遊技者に対して大当りとなる期待を強く抱かせる演出であり、かつ、1、2回目の報知演出での「NEXT」の継続表示、または、デモ図柄の確定表示中の「NEXT」の継続表示と関連する演出であり(上記(キ))、
連続演出を実行する複数の報知演出のうちの最後以外の報知演出を終了させる際に、連続演出が次回の報知演出でも継続されることを示す「NEXT」の継続表示を実行し(【0055】、【0075】)、連続演出を実行する1または複数の報知演出のうちの最後の報知演出では、「NEXT」の継続表示を実行しない(上記(ク))
n パチンコ機1(【0012】)。」

イ 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、原出願の出願(出願日:平成26年6月13日)前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-46669号公報(平成25年3月7日出願公開、以下「引用文献2」という。)には、遊技機に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、第1始動領域を遊技媒体が通過した後可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて第1識別情報の可変表示を開始し、表示結果を導出表示する第1可変表示手段と、第2始動領域を遊技媒体が通過した後可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて第2識別情報の可変表示を開始し、表示結果を導出表示する第2可変表示手段とを備え、第2識別情報の可変表示は第1識別情報の可変表示に優先して実行され、第1可変表示手段または第2可変表示手段において導出表示された表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったことにもとづいて特定遊技状態に制御するパチンコ遊技機やスロット機等の遊技機に関する。
・・・略・・・
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。
・・・略・・・
【0041】
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。
【0042】
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13よりも、第2始動入賞口14に遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。従って、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、第2始動入賞口14よりも、第1始動入賞口13に遊技球が入賞しやすい。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
・・・略・・・
【0188】
図21は、主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)が実行する特別図柄プロセス処理(ステップS26)のプログラムの一例を示すフローチャートである。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理において、CPU56は、始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS321)。また、特別図柄プロセスフラグの値に応じて、ステップS300?S307のうちのいずれかの処理を行う。
・・・略・・・
【0198】
図22は、ステップS321の始動口スイッチ通過処理を示すフローチャートである。
【0199】
始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、第1始動口スイッチ13aがオンしたか否かを確認する(ステップS211A)。第1始動口スイッチ13aがオンしていれば、CPU56は、第1保留記憶数をカウントするための第1保留記憶数カウンタの値が上限値である4であるか否かを確認する(ステップS212A)。第1保留記憶数カウンタの値が4であれば、ステップS211Bに移行する。
【0200】
第1保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第1保留記憶数カウンタの値を1増やすとともに(ステップS213A)、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS214A)。次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファ(図23参照)における保存領域に格納する処理を実行する(ステップS215A)。ステップS215Aの処理では、ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。なお、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)や変動パターン判定用乱数(ランダム3)を始動口スイッチ通過処理(始動入賞時)において抽出して保存領域にあらかじめ格納しておくのではなく、第1特別図柄の変動開始時に抽出するようにしてもよい。例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、後述する変動パターン設定処理において、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を生成するための変動パターン判定用乱数カウンタから値を抽出するようにしてもよい。
・・・略・・・
【0208】
次いで、CPU56は、第2始動口スイッチ14aがオンしたか否かを確認する(ステップS211B)。第2始動口スイッチ14aがオンしていれば、CPU56は、第2保留記憶数をカウントするための第2保留記憶数カウンタの値が上限値である4であるか否かを確認する(ステップS212B)。第2保留記憶数カウンタの値が4であれば、処理を終了する。
【0209】
第2保留記憶数カウンタの値が4でなければ、CPU56は、第2保留記憶数カウンタの値を1増やすとともに(ステップS213B)、合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS214B)。
【0210】
そして、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファにおける保存領域に格納する処理を実行する(ステップS215B)。ステップS215Bの処理では、ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。なお、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)や変動パターン判定用乱数(ランダム3)を始動口スイッチ通過処理(始動入賞時)において抽出して保存領域にあらかじめ格納しておくのではなく、第2特別図柄の変動開始時に抽出するようにしてもよい。例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、変動パターン設定処理において、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を生成するための変動パターン判定用乱数カウンタから値を抽出するようにしてもよい。
【0211】
次いで、CPU56は、入賞時判定処理を実行し(ステップS218B)、第2保留記憶数加算指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行うとともに、入賞時判定処理の判定結果にもとづいて入賞時判定結果指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS219B)。
【0212】
図24は、ステップS218A,S218Bの入賞時判定処理を示すフローチャートである。入賞時判定処理では、CPU56は、まず、ステップS215A,S215Bの処理で抽出した大当り判定用乱数(ランダムR)と図9(A)の左欄に示す通常時の大当り判定値とを比較し、それらが一致するか否かを確認する(ステップS221)。この実施の形態では、特別図柄および飾り図柄の変動を開始するタイミングで、特別図柄通常処理(ステップS300)において大当りとするか否かを決定したり、大当り種別を決定したり、変動パターン設定処理において変動パターンを決定したりするのであるが、それとは別に、遊技球が第1始動入賞口13や第2始動入賞口14に始動入賞したタイミングで、始動入賞にもとづく可変表示が開始される前に、入賞時判定処理を実行することによって、あらかじめいずれの変動パターン種別となるか否かを確認する。そのようにすることによって、飾り図柄の変動表示が実行されるより前にあらかじめ変動パターン種別を予測し、後述するように、入賞時の判定結果にもとづいて、演出制御用マイクロコンピュータ100が大当りやスーパーリーチとなることを予告する連続予告演出を実行する。
【0213】
大当り判定用乱数(ランダムR)が通常時の大当り判定値と一致しない場合には、CPU56は、遊技状態が確変状態であることを示す確変フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS221)。確変フラグがセットされている場合には、CPU56は、ステップS215A,S215Bの処理で抽出した大当り判定用乱数(ランダムR)と図9(A)の右欄に示す確変時の大当り判定値とを比較し、それらが一致するか否かを確認する(ステップS222)。
【0214】
大当り判定用乱数(ランダムR)が確変時の大当り判定値とも一致しなければ、CPU56は、現在の遊技状態を判定する処理を行う(ステップS224)。この実施の形態では、CPU56は、ステップS224において、遊技状態が確変状態または時短状態であるか否か(具体的には、時短フラグがセットされているか否か)を判定する。
【0215】
CPU56は、ステップS224の判定結果に応じて、はずれ用変動パターン種別判定テーブルを選択する(ステップS225)。具体的には、CPU56は、遊技状態が確変状態または時短状態であると判定した場合には、図11(C)に示すはずれ用変動パターン種別判定テーブル(短縮用)135Bを選択する。遊技状態が通常状態であって合算保留記憶数が3以上であると判定した場合には、図11(B)に示すはずれ用変動パターン種別判定テーブル(短縮用)135Bを選択する。また、遊技状態が通常状態であって合算保留記憶数が3未満であると判定した場合には、図11(A)に示すはずれ用変動パターン種別判定テーブル(通常用)135Aを選択する。そして、ステップS229に移行する。
・・・略・・・
【0243】
この実施の形態では、ステップS95?S99の処理が実行されることによって、合算保留記憶数が3以上である場合には、図11(B)に示すはずれ用変動パターン種別判定テーブル135Bが選択される。また、遊技状態が時短状態である場合(確変状態である場合を含む)には、図11(C)に示すはずれ用変動パターン種別判定テーブル135Cが選択される。この場合、後述するステップS102の処理で変動パターン種別として非リーチCA2-3が決定される場合があり、非リーチCA2-3の変動パターン種別が決定された場合には、ステップS105の処理で変動パターンとして短縮変動の非リーチPA1-2が決定される(図13参照)。従って、この実施の形態では、遊技状態が時短状態である場合(確変状態である場合を含む)または合算保留記憶数が3以上である場合には、短縮変動の変動表示が行われる場合がある。なお、この実施の形態では、時短状態で用いる短縮変動用の変動パターン種別判定テーブル(図11(C)参照)と、保留記憶数にもとづく短縮変動用の変動パターン種別判定テーブル(図11(B)参照)とが異なるテーブルである場合を示したが、短縮変動用の変動パターン種別判定テーブルとして共通のテーブルを用いるようにしてもよい。
・・・略・・・
【0301】
図37は、入賞時判定結果が保存される領域(入賞時判定結果記憶バッファ)の構成例を示す説明図である。図37に示すように、この実施の形態では、第1始動入賞口13への始動入賞時の入賞時判定結果を保存する第1入賞時判定結果記憶バッファと、第2始動入賞口14への始動入賞時の入賞時判定結果を保存する第2入賞時判定結果記憶バッファとが用意されている。図37に示すように、第1入賞時判定結果記憶バッファには、第1保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。また、第2入賞時判定結果記憶バッファには、第2保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。この実施の形態では、第1入賞時判定結果記憶バッファおよび第2入賞時判定結果記憶バッファには、受信した入賞時判定結果指定コマンドのEXTデータが記憶される。なお、第1入賞時判定結果記憶バッファおよび第2入賞時判定結果記憶バッファは、演出制御用マイクロコンピュータ100が備えるRAMに形成されている。
・・・略・・・
【0383】
次いで、演出制御用CPU101は、抽出した入賞時判定結果の中に「非リーチはずれ」、「スーパーリーチはずれ」または「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が存在するか否かを確認する(ステップS8004)。ステップS8003の処理では、演出制御用CPU101は、通常状態(低確率低ベース状態)である場合には、第1入賞時判定結果記憶バッファから抽出した入賞時判定結果の中に「非リーチはずれ」、「スーパーリーチはずれ」または「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が存在するか否かを確認することになる。高確率状態または高ベース状態である場合には、第2入賞時判定結果記憶バッファから抽出した入賞時判定結果の中に「非リーチはずれ」、「スーパーリーチはずれ」または「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が存在するか否かを確認することになる。
【0384】
以上のように、この実施の形態では、高確率状態または高ベース状態である場合には第1特別図柄に対する連続予告演出の設定は行われない。
【0385】
入賞時判定結果の中に「非リーチはずれ」、「スーパーリーチはずれ」および「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が存在しない場合には、ステップS8012に移行する。
【0386】
入賞時判定結果の中に「非リーチはずれ」、「スーパーリーチはずれ」および「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が存在する場合には、演出制御用CPU101は、連続予告決定用乱数を抽出する(ステップS8005)。そして、連続予告決定テーブルを用いて連続予告演出を実行するか否か決定する(ステップS8005)。
【0387】
図51は、連続予告決定テーブルを示す説明図である。図51(A)には、低確率低ベース状態で使用されるテーブルが示され、図51(B)には、高確率状態または高ベース状態で使用されるテーブルが示されている。連続予告決定テーブルには、連続予告演出を実行することに対応する判定値と、連続予告演出を実行しないことに対応する判定値とが設定されている。ただし、連続予告決定テーブルに連続予告演出を実行することに対応する判定値のみが設定されていてもよい。
【0388】
なお、この実施の形態では、高確率状態または高ベース状態でも連続予告演出が開始されるが、低確率低ベース状態においてのみ連続予告演出を開始可能であるようにしてもよい。
・・・略・・・
【0398】
なお、この実施の形態では、大当りに関して「スーパーリーチ大当り」の場合に連続予告演出を実行可能であるようにしたが、「スーパーリーチ大当り」に限らず、入賞時判定結果記憶バッファに大当りの判定結果が存在すれば、連続予告演出を実行するか否かの決定を行うようにしてもよい。
・・・略・・・
【0400】
また、演出制御用CPU101は、「非リーチはずれ」、「スーパーリーチはずれ」または「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が存在すると判定した場合には、抽出した各入賞時判定結果にもとづいて、その判定結果に対応する飾り図柄の可変表示(変動)が開始されるまでの各変動においてリーチが実行されるか否かも判定し、各変動においてリーチも実行されないと判定した場合に(すなわち、その判定結果の変動が開始されるまでの各変動について全て「非リーチはずれ」と判定されている場合に)、ステップS8005?S8009の連続予告演出を決定するための処理を実行することが好ましい。すなわち、連続予告演出の実行中においてリーチ演出が実行されてしまったのでは、連続予告演出の連続性が損なわれて、連続予告演出による演出効果を十分に高めることができない可能性がある。そこで、判定対象となる変動が開始されるまでの各変動においてリーチも実行されないことを条件に連続予告演出を実行する場合があるように制御することが好ましい。なお、「スーパーリーチはずれ」または「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が複数存在する場合には、そのうち最も早く開始条件が成立するものに対して、連続予告演出を決定するための処理を行うようにしてもよい。
【0401】
図52は、連続予告演出の演出態様の一例を示す説明図である。ここでは、第1特別図柄の可変表示に同期して飾り図柄の可変表示が実行される場合を例にする。
【0402】
図52(1)に示すように、飾り図柄の可変表示が実行されているときに、図52(2)に示すように第1始動入賞口13に始動入賞があったとする。この場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、新たに始動入賞があったことにもとづいて入賞時演出処理を実行する(図22におけるステップS218A参照)。そして、入賞時判定結果に応じた入賞時判定結果指定コマンドおよび第1保留記憶数指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する(ステップS219A参照)。演出制御用マイクロコンピュータ100は、図52(2)に示すように、受信した第1保留記憶数指定コマンドにもとづいて、第1保留記憶表示部18cにおける第1保留記憶数の表示を1増やす。そして、図52(3)に示すように、変動時間が終了して図柄確定指定コマンドを受信し、はずれ図柄を停止表示したとする。
【0403】
演出制御用マイクロコンピュータ100が、次に飾り図柄の変動を開始するときに、図52(4)に示すように、第1保留記憶表示部18cにおける第1保留記憶数の表示を1減らす。そして、図52(4)に示すように、飾り図柄の変動中に、演出表示装置9の表示画面において「カウント3!」などの文字列を表示してカウントダウンを開始したかのような態様の演出を実行する。変動時間が終了して図柄確定指定コマンドを受信すると、図52(5)に示すように、最終停止図柄(図52(5)に示す例でははずれ図柄)を停止表示(導出表示)する。
【0404】
次いで、演出制御用マイクロコンピュータ100は、次に飾り図柄の変動を開始するときに、図52(6)に示すように、第1保留記憶表示部18cにおける第1保留記憶数の表示を1減らす。また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、飾り図柄の変動中に、演出表示装置9の表示画面において「カウント2!」などの文字列を表示して継続してカウントダウンしているような態様の演出を実行する。そして、変動時間が終了して図柄確定指定コマンドを受信すると、図52(7)に示すように、最終停止図柄(図52(7)に示す例でははずれ図柄)を停止表示する。
【0405】
さらに、演出制御用マイクロコンピュータ100は、次に飾り図柄の変動を開始するときに、図52(8)に示すように、第1保留記憶表示部18cにおける第1保留記憶数の表示を1減らす。また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、飾り図柄の変動中に、演出表示装置9の表示画面において「カウント1!」などの文字列を表示して継続してカウントダウンしているような態様の演出を実行する。そして、変動時間が終了して図柄
確定指定コマンドを受信すると、図52(9)に示すように、最終停止図柄(図52(9)に示す例でははずれ図柄)を停止表示する。
【0406】
なお、この実施の形態では、連続予告演出として予告対象の可変表示までの可変表示残り回数を文字列によって報知するいわゆるカウントダウン予告を使用するが、複数回の可変表示に亘って一連のストーリーを形成する演出であれば、カウントダウン予告以外の態様の演出を連続予告演出として使用してもよい。一連のストーリーを形成する演出は、各々の回の可変表示中に実行される演出の内容とそれに続く可変表示中に実行される演出の
内容とが連関している(内容に関連性がある)一連の演出である。」

(イ)「【図11】



(ウ)「【図52】



(エ)上記(ア)の【0243】には、「合算保留記憶数が3以上である場合には、短縮変動の変動表示が行われる場合がある」ことが記載されているところ、上記(イ)の【図11】(B)の図示内容から、短縮変動の変動表示は、いずれも、はずれ用変動パターンであることは明らかである。また、上記(イ)の【図11】(A)(B)から、はずれ用変動パターンは、合算保留記憶数が0?2である場合の通常用と合算保留記憶数が3以上である場合の短縮用とがあることが見てとれる。さらに、上記(ア)の【0212】ないし【0215】に記載された入賞時判定処理の一連の流れにおいて、「連続予告演出を実行する」(【0212】)ことと、「遊技状態が通常状態であって合算保留記憶数が3以上であると判定した場合には、図11(B)に示すはずれ用変動パターン種別判定テーブル(短縮用)135Bを選択する。また、遊技状態が通常状態であって合算保留記憶数が3未満であると判定した場合には、図11(A)に示すはずれ用変動パターン種別判定テーブル(通常用)135Aを選択する」(【0215】)こととが記載されている。ここで、図11(A)及び(B)の図示内容から、はずれ用変動パターン種別判定テーブル(通常用)135Aは、通常用のはずれ用変動パターンを選択するものであって、はずれ用変動パターン種別判定テーブル(短縮用)135Bは、短縮用のはずれ用変動パターンを選択するものであることが見て取れる。そうすると、引用文献1には、連続予告演出において、それら短縮用と通常用のはずれ用変動パターンを使用可能であることは記載されているに等しい事項であると認められる。

(オ)上記(ア)の【0401】ないし【0405】及び上記(ウ)の【図52】には、連続予告演出の演出態様の一例であって、第1特別図柄の可変表示に同期して飾り図柄の可変表示が実行される場合について説明されているところ、それら記載内容と図示内容とから、連続予告演出は、リーチを伴うことなく、はずれ図柄が停止される可変表示中に実行可能なものであることは明らかである。

(カ)上記(ア)の【0200】に、「・・・次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファ(図23参照)における保存領域に格納する処理を実行する(ステップS215A)。ステップS215Aの処理では、ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。・・・」と記載されていることからすれば、CPU56が、カウンタから抽出し、保存領域に格納する値は、「ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)」であることは明らかである。そうすると、引用文献1には、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから大当り判定用乱数などの値を抽出することが記載されていると認められる。
また、同様に、上記(ア)の【0210】に、「そして、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファにおける保存領域に格納する処理を実行する(ステップS215B)。ステップS215Bの処理では、ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。」と記載されていることからすれば、CPU56が、カウンタから抽出し、保存領域に格納する値は、「ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)」であることは明らかである。そうすると、引用文献1には、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから大当り判定用乱数などの値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファにおける保存領域に格納する処理を実行することが記載されていると認められる。

(キ)上記(ア)ないし(カ)の記載内容からみて、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

「主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)(【0188】)、を備え、
始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、第1始動入賞口13に入賞した遊技球を検出する第1始動口スイッチ13aがオンしたか否かを確認し、第1始動口スイッチ13aがオンしていれば、第1保留記憶数をカウントするための第1保留記憶数カウンタの値が上限値である4であるか否かを確認し(【0041】、【0199】)、第1保留記憶数が上限値に達していなければ、第1保留記憶数カウンタの値を1増やすとともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やし、次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから大当り判定用乱数などの値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファにおける保存領域に格納する処理を実行し(【0200】、上記(カ))、次いで、CPU56は、入賞時判定処理を実行し(【0211】)、入賞時判定処理では、大当り判定用乱数と大当り判定テーブルの大当り判定値とを比較して、それらが一致するか否かを確認し、特別図柄および飾り図柄の変動を開始するタイミングで、特別図柄通常処理において大当りとするか否かを決定したり、大当り種別を決定したり、変動パターン設定処理において変動パターンを決定したりし(【0212】)、
CPU56は、第2始動入賞口14に入賞した遊技球を検出する第2始動口スイッチ14aがオンしたか否かを確認し、第2始動口スイッチ14aがオンしていれば、第2保留記憶数をカウントするための第2保留記憶数カウンタの値が上限値である4であるか否かを確認し(【0042】、【0208】)、第2保留記憶数カウンタの値が4でなければ、第2保留記憶数カウンタの値を1増やすとともに、合算保留記憶数カウンタの値を1増やし(【0209】)、そして、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから大当り判定用乱数などの値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファにおける保存領域に格納する処理を実行し(【0210】、上記(カ))、次いで、入賞時判定処理を実行し(【0211】)、
遊技球が第1始動入賞口13や第2始動入賞口14に始動入賞したタイミングで、始動入賞にもとづく可変表示が開始される前に、CPU56が入賞時判定処理を実行することによって、あらかじめいずれの変動パターン種別となるか否かを確認し(【0212】)、入賞時判定結果の中に「非リーチはずれ」、「スーパーリーチはずれ」および「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が存在する場合には、演出制御用CPU101は、連続予告決定用乱数を抽出し、そして、連続予告決定テーブルを用いて連続予告演出を実行するか否か決定し(【0386】)、また、演出制御用CPU101は、「非リーチはずれ」、「スーパーリーチはずれ」または「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が存在すると判定した場合には、抽出した各入賞時判定結果にもとづいて、その判定結果に対応する飾り図柄の可変表示(変動)が開始されるまでの各変動において全て「非リーチはずれ」と判定されている場合に、連続予告演出を決定するための処理を実行し(【0400】)、そのようにすることによって、飾り図柄の変動表示が実行されるより前にあらかじめ変動パターン種別を予測し、入賞時の判定結果にもとづいて、演出制御用マイクロコンピュータ100が大当りやスーパーリーチとなることを予告する連続予告演出を実行し(【0212】)、
連続予告演出は、大当りやスーパーリーチとなることを予告するものであり(【0212】)、連続予告演出は、リーチを伴うことなく、はずれ図柄が停止される可変表示中に実行可能なものであり(上記(オ))、
合算保留記憶数が3以上である場合には、短縮変動の変動表示が行われる場合があり(【0243】)、ここで、短縮変動の変動表示は、いずれも、はずれ用変動パターンであり、はずれ用変動パターンは、合算保留記憶数が0?2である場合の通常用と合算保留記憶数が3以上である場合の短縮用とがあり(上記(エ))、
演出制御用CPU101は、通常状態(低確率低ベース状態)である場合には、第1始動入賞口13への始動入賞時の入賞時判定結果の中に「非リーチはずれ」、「スーパーリーチはずれ」または「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が存在するか否かを確認し、高確率状態または高ベース状態である場合には、第2始動入賞口14への始動入賞時の入賞時判定結果の中に「非リーチはずれ」、「スーパーリーチはずれ」または「スーパーリーチ大当り」を示す判定結果が存在するか否かを確認し(【0301】、【0383】)、低確率低ベース状態においてのみ連続予告演出を開始可能であるようにしてもよい(【0388】)、
パチンコ遊技機1(【0019】)。」

ウ 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、原出願の出願(出願日:平成26年6月13日)前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-39705号公報(平成26年3月6日出願公開、以下「引用文献3」という。)には、遊技機の発明に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【0018】
<第1実施形態>
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態の遊技機の説明図である。
【0019】
本実施形態の遊技機10は前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(図2参照)は前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。
・・・略・・・
【0029】
メイン表示装置41は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域(表示部41a)には、複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等の遊技に関する情報が表示される。メイン表示装置41の表示画面においては、識別情報として割り当てられた複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームが行われる。また、表示画面には遊技の進行に基づく演出のための画像(例えば、大当り表示画像、ファンファーレ表示画像、エンディング表示画像等)が表示される。
【0030】
さらに、包囲枠体40に設けられた凹部には、メイン演出の補助演出を表示可能なサブ表示装置801が配されている。サブ表示装置801はLCD(液晶表示器)等の表示装置を備え、少なくとも表面に画像を表示可能となっている。このサブ表示装置801は、メイン表示装置41よりも前方に配設されており、メイン表示装置41の右方であってメイン表示装置41と前後に重ならない待機領域830から、メイン表示装置41と前後に重なる位置へ移動可能であるとともに、表裏を反転するように回転することが可能となっている。
・・・略・・・
【0462】
図77には連続予告の各回におけるサブ表示装置801の動作態様が異なる連続予告の例を示した。消化順序が1番目の第1始動記憶に基づく特図変動表示ゲームでは、連続予告の1回目が行われる。この1回目の連続予告では、図77(a)、(b)に示すように待機領域830にあるサブ表示装置801の表示部802に1回目の連続予告であることを示す予告画像1が表示された状態で特図変動表示ゲームが行われる。なお、連続予告であることを示す予告画像はメイン表示装置41では表示されない画像である。
【0463】
次の消化順序が2番目の第1始動記憶に基づく特図変動表示ゲームでは、連続予告の2回目が行われる。この2回目の連続予告では、図77(c)に示すように、サブ表示装置801の表示部802に2回目の連続予告であることを示す予告画像2を表示した状態で、サブ表示装置801を変動表示中の右変動表示領域42cの前方に移動する。そして、図77(d)に示すように、サブ表示装置801をこの位置に配したまま変動表示を終了し、右変動表示領域42cに停止表示される識別情報をサブ表示装置801の表示部802に表示する。
【0464】
次の消化順序が3番目の第1始動記憶に基づく特図変動表示ゲームでは、連続予告の3回目が行われる。この3回目の連続予告では、図77(e)に示すように、右変動表示領域42cの前方に位置していたサブ表示装置801の表示部802に3回目の連続予告であることを示す予告画像3を表示し、サブ表示装置801を中変動表示領域42bの前方へ移動する。そして、図77(f)に示すように、サブ表示装置801をこの位置に配したまま変動表示を終了し、中変動表示領域42bに停止表示される識別情報をサブ表示装置801の表示部802に表示する。
【0465】
消化順序が4番目の連続予告の対象である第1始動記憶に基づく特図変動表示ゲーム、すなわち、この例での予告対象となる第1始動記憶に基づく特図変動表示ゲームでは、連続予告の4回目が行われる。この4回目の連続予告では、図77(g)に示すように、中変動表示領域42bの前方に位置していたサブ表示装置801の表示部802に4回目の連続予告であることを示す予告画像4を表示する。そして、図77(h)に示すように、左変動表示領域42a及び右変動表示領域42cに同じ識別情報が停止したリーチ状態となった後にサブ表示装置801を回転させて一旦表示部802を視認不能とし、SPリーチに発展することを示す発展図柄を表示部802に表示した状態で表示部802が再度視認可能となるようにサブ表示装置801を回転させる。なお、連続予告の各回においてサブ表示装置801を移動する際に回転を挟むようにしても良い。また、左変動表示領域42aを覆う位置までサブ表示装置801を移動させる動作を含んでも良い。」

(イ)「【図77】



(ウ)上記(ア)の【0029】及び【0030】の記載事項と上記(イ)の図示内容とから、サブ表示装置801がメイン表示装置41とは異なる表示手段であることは明らかである。また、上記(ア)の【0462】ないし【0465】の記載事項と上記(イ)の図示内容とから、サブ表示装置801において、何回目の連続予告であるかを示す予告画像を表示することが記載されている。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)の記載内容からみて、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。

「メイン表示装置とは異なるサブ表示装置において、何回目の連続予告であるかを示す予告画像を表示する(上記(ウ))、
遊技機10(【0019】)。」

(3)対比
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(n)は、本願補正発明のAないしNに対応させている。

(a)引用発明の「表示画面28」は、大当たり判定の結果(大当たりまたははずれ)を示すデモ図柄の組み合わせを確定表示させる演出を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知するものであるから、本願補正発明の「演出を表示する表示手段」に相当する。
したがって、引用発明の特定事項aは、本願補正発明の特定事項Aに相当する。

(b)引用発明の「特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞」することと「特別図柄作動保留球」とは、本願補正発明の「始動条件」と「始動情報」とに相当する。そして、引用発明の「CPU51」は、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した時(始動条件の成立時)に、特別図柄作動保留球数に「1」を加算するもの、すなわち、特別図柄作動保留球(始動情報)を取得するものといえるから、本願補正発明の「取得手段」に相当する機能を具備する。
したがって、引用発明の特定事項b、c、fは、本願補正発明の特定事項Bを具備する。

(c)引用発明の「大当たり判定」は、本願補正発明の「所定の当落抽選」に相当する。そして、引用発明において、大当たり判定(所定の当落抽選)は、大当たり遊技状態中でなく、特別図柄が変動中でも停止表示中でもない状態で、特別図柄作動保留球数が「1」以上である場合に行われるものであるから、その「大当たり遊技状態中でなく、特別図柄が変動中でも停止表示中でもない」ことは、本願補正発明の「開始条件」に相当する。さらに、引用発明は、特別図柄作動保留球数に「1」が加算された際に、各種乱数が取得され、大当たり関係情報記憶エリアにおける空の記憶エリアのうち、番号が最も若い記憶エリアに記憶され、大当たり判定(所定の当落抽選)が、その最も番号の若い記憶エリアを判定エリアとして行われるものであるところ、この判定エリアにある乱数とは、判定エリアにある特別図柄作動保留球(始動情報)といえることは明らかである。そうすると、引用発明の「CPU51」は、特別図柄作動保留球(始動情報)のうち、大当たり遊技状態中でなく、特別図柄が変動中でも停止表示中でもないこと(開始条件)が成立した、判定エリアにある乱数に基づいて、換言すれば、特別図柄作動保留球(始動情報)に基づいて、大当たり判定(所定の当落抽選)を行うものであるから、本願補正発明の「開始時抽選手段」に相当する機能を具備するといえる。
したがって、引用発明の特定事項b、c、fは、本願補正発明の特定事項Cを具備する。

(d)上記(a)で説示したとおり、引用発明は、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果、すなわち、大当たりであるか、または、はずれであるかを表示画面28(表示手段)によって遊技者に報知するものであるところ、その「大当たり」と「はずれ」とは、それぞれ、本願補正発明の「当選抽選結果」と「落選抽選結果」とに相当する。そして、引用発明において、大当たりとはずれとで表示画面28での表示内容が異なることは、遊技者への報知という目的から明らかであるところ、その大当たりに対応する表示内容が本願補正発明の「特別の表示結果」に、はずれに対応する表示内容が本願補正発明の「非特別の表示結果」に相当する。そうすると、引用発明の「サブ制御基板58」は、表示画面28の表示を制御する演出制御基板43と接続され、かつ、演出等の総合的な制御を行うものであるところ、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果、大当たり(当選抽選結果)である場合に、表示画面28(表示手段)に大当たりに対応する表示内容(特別の表示結果)を導出表示させる一方で、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果、はずれ(落選抽選結果)である場合に、表示画面28(表示手段)にはずれに対応する表示内容(非特別の表示結果)を導出表示させるものであるから、本願補正発明の「表示制御手段」に相当する機能を具備するといえる。
したがって、引用発明の特定事項dは、本願補正発明の特定事項Dを具備する。

(e)引用発明において、「大当たり関係情報記憶エリア」は、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した際に、番号の若い記憶エリアから順に乱数が記憶されるものであって、記憶された乱数のうち、大当たり判定の結果がまだ報知演出によって報知されていない乱数、換言すれば、特別図柄作動保留球を、最大で4つまで保留できるものである。ここで、この「大当たり関係情報記憶エリア」に格納されている特別図柄作動保留球(始動情報)は、上記(c)で説示したとおり、大当たり判定(所定の当落抽選)前のものであるから、大当たり遊技状態中でなく、特別図柄が変動中でも停止表示中でもないこと(開始条件)が成立する前のものであることは明らかである。そうすると、引用発明の「大当たり関係情報記憶エリア」は、CPU51(取得手段)が取得した特別図柄作動保留球(始動情報)のうち、大当たり遊技状態中でなく、特別図柄が変動中でも停止表示中でもないこと(開始条件)が成立していない特別図柄作動保留球(始動情報)を記憶するものであるから、本願補正発明の「記憶手段」に相当する。
したがって、引用発明の特定事項eは、本願補正発明の特定事項Eに相当する。

(f)引用発明において、新たに取得された大当たり乱数によって行われる大当たり判定の結果についての情報、および、新たに取得された変動パターン決定乱数によって決定される変動パターンについての情報が共に先読みされる処理が行われるところ、この「大当たり判定の結果についての情報が先読みされる」ことと「変動パターンについての情報が先読みされる」こととが、それぞれ、本願補正発明の「前記当選抽選結果と判定される値に属しているか否か・・・を判別する」ことと「複数の変動態様のうちいずれの変動態様で表示制御されることとなるか・・・を判別する」こととに相当する。そして、引用発明において、それらの先読みの処理は、大当たり判定(所定の当落抽選)が行われる前に行われるものである。そうすると、引用発明の「CPU51」は、大当たり判定(所定の当落抽選)以前に、大当たり判定の結果についての情報、および、変動パターンについての情報が共に先読みされる(前記当選抽選結果と判定される値に属しているか否かと、複数の変動態様のうちいずれの変動態様で表示制御されることとなるかと、を判別する)処理を行うものであるから、本願補正発明の「事前判別手段」に相当する機能を具備するといえる。
したがって、引用発明の特定事項b、c、fは、本願補正発明の特定事項Fを具備する。

(g)引用発明において、連続演出を実行するか否かが先読みされた2つの情報、すなわち、大当たり判定の結果についての情報、および、変動パターンについての情報に応じて決定されるサブ制御基板処理が行われるところ、連続演出とは、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果がはずれの場合よりも大当たり(当選抽選結果)の場合の方が実行され易いものであって、最後の報知演出以外の報知演出を実行中の連続演出では、連続演出が次回の報知演出でも継続されることを示す継続表示を実行するものである。ここで、引用発明の「最後の報知演出以外の報知演出を実行中の連続演出」は、本願補正発明の「特定予告演出」に相当する。そうすると、引用発明は、先読みされた大当たり判定(当落抽選)の結果が大当たり(当選抽選結果)である状態において、サブ制御基板58によって連続演出(特定予告演出)が実行され易いものといえる。
したがって、引用発明の特定事項gないしmと、本願補正発明の特定事項Gとは、「前記取得手段によって新たに取得した前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された当選始動情報が記憶された状態において、予告実行手段によって特定予告演出が実行され」易い点で共通する。
なお、以下においては、連続演出を構成する報知演出のうち、最後の報知演出と、最後の報知演出以外の報知演出との区別が必要な場合(下記(m))を除いて、引用発明の「連続演出」が本願補正発明の「特定予告演出」に相当するものとして記載する。

(h)上記(g)で説示したとおり、引用発明は、先読みされた大当たり判定(当落抽選)の結果が大当たり(当選抽選結果)である状態において、連続演出(特定予告演出)が実行され易いものである。そして、引用発明において、「NEXT」の継続表示は、連続演出が次回の報知演出でも継続することを示すものであることからすれば、デモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示が行われた場合に、遊技者に対して大当たり(当選抽選結果)が導出される可能性が高いことを示唆するものといえるから、引用発明における「デモ図柄の確定表示と同時に『NEXT』の継続表示を行うこと」は、本願補正発明の「特定の表示態様」に相当する。
そうすると、引用発明において、連続演出(特定予告演出)は、デモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示が行われる場合(特定の表示態様が表示された場合)に、遊技者に対して大当たり(当選抽選結果)が導出される可能性が高いことを示唆する演出であるといえる。
したがって、引用発明の特定事項gないしmと、本願補正発明の特定事項Hとは、「『前記予告実行手段によって実行される前記特定予告演出は、』『特定の表示態様が表示された場合に遊技者に対して前記記憶手段に記憶されている前記始動情報にて前記特別の表示結果が導出される可能性が高いことを示唆する演出であ』」る点で共通する。

(i)(j)(k)引用発明において、連続演出には、通常連続演出と短時間連続演出が設けられているところ、短時間連続演出は、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間を短縮可能なものであることは明らかである。
そして、引用発明において、その短時間連続演出での演出パターンは、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行されるものであり、通常連続演出での演出パターンは、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間が短縮されなかったときに実行されるものである。
さらに、引用発明において、デモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示を行うこと(特定の表示態様)は、短時間連続演出での演出パターンと通常連続演出での演出パターンとのいずれにおいても実行可能とされている。その一方で、引用発明において、短縮変動中、すなわち、短時間連続演出中に通常連続演出で表示される連続演出シナリオ映像を早送りで再生することは、短時間連続演出での演出パターンと通常連続演出での演出パターンとで異なる演出態様である上に、短時間連続演出での演出パターンにおいて連続演出シナリオ映像を早送りで再生する場合にも、通常連続演出での演出パターンと同様に、デモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示が行われること(特定の表示態様が表示されること)は明らかである。
そうすると、引用発明は、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間を短縮させることが可能であり、
連続演出(特定予告演出)には、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される短時間連続演出での演出パターンと、当該期間が短縮されなかったときに実行される通常連続演出での演出パターンとがあり、
連続演出(特定予告演出)が、短時間連続演出での演出パターンと通常連続演出での演出パターンとのいずれのパターンで実行される場合においても、デモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示を行うこと(特定の表示態様)が表示可能とされており、通常連続演出での演出パターンでデモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示が行われる場合(特定の表示態様が表示される場合)の演出態様と、短時間連続演出での演出パターンでデモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示が行われる場合(特定の表示態様が表示される場合)の演出態様は異なる演出態様で実行されるものである。
したがって、引用発明の特定事項gないしmと、本願補正発明の特定事項IないしKとは、「当落抽選の『結果を導出表示させるまでの期間を短縮させることが可能であり』、『前記特定予告演出には、』前記当落抽選の『結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される第1特定予告演出パターンと、当該期間が短縮されなかったときに実行される第2特定予告演出パターンとがあり』、『前記特定予告演出が前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンとのいずれのパターンで実行される場合においても、前記特定の表示態様が表示可能とされており、前記第2特定予告演出パターンで前記特定の表示態様が表示される場合の演出態様と前記第1特定予告演出パターンで前記特定の表示態様が表示される場合の演出態様は異なる演出態様で実行され』」る点で共通する。

(l)引用発明の「特別図柄始動電動役物15」は、本願補正発明の「始動口」に相当する。そうすると、引用発明は、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞を契機として連続演出(特定予告演出)が実行されるものであるから、特別図柄作動保留球(始動情報)を取得可能な特別図柄始動電動役物15(始動口)があり、特別図柄始動電動役物15(始動口)に入賞したときに連続演出(特定予告演出)が実行可能とされるものといえる。さらに、引用発明において、特別図柄始動電動役物15(始動口)に入賞して、「NEXT」の継続表示を行うこと、または、デモ図柄の確定表示中に「NEXT」の継続表示を行うこと(特定の表示態様が表示されること)となる連続演出(特定予告演出)が開始されると、連続演出(特定予告演出)の実行に応じた演出が行われることは明らかである。
したがって、引用発明の特定事項gないしmと、本願補正発明の特定事項Lとは、「『前記始動情報を取得可能な始動口が』『あり、』『前記始動口』『に入賞したときに』『前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンで実行可能とされた前記特定予告演出が実行可能とされ、』『前記』『始動口に入賞し前記特定の表示態様が表示されることとなる前記特定予告演出が開始されると、前記特定予告演出の実行に応じた』『演出が、』『実行され』」る点で共通する。

(m)引用発明において、3回目の報知演出でリーチ演出E変動パターンが実行される連続演出では、その3回目の報知演出は、最後の報知演出であり、1、2回目の報知演出は、最後の報知演出以外の報知演出であるから、当該最後の報知演出は、遊技者に対して大当りとなる期待を強く抱かせる演出であり、かつ、最後の報知演出以外の報知演出にてデモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示を行うことと関連する演出であるといえる。そうすると、引用発明は、3回目の報知演出でリーチ演出E変動パターンが実行される連続演出において、デモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示を行うこと(特定の表示態様)が最後の報知演出以外の報知演出中の連続演出(特定予告演出)において行われると、最後の報知演出以外の報知演出中の連続演出(特定予告演出)が終了した後の、先読みによって大当たり(当選抽選結果)と判定される値に属していると判別された特別図柄作動保留球(始動情報)について、大当たり遊技状態中でなく、特別図柄が変動中でも停止表示中でもないこと(開始条件)が成立した際に実行される変動中、すなわち、最後の報知演出での変動中に、デモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示を行うこと(特定の表示態様)と関連する演出を実行するものであるから、本願補正発明の「前記特定の表示態様が前記特定予告演出において表示されると、前記特定予告演出が終了した後の前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中に前記特定の表示態様と関連する演出を実行する」ことを具備する。
したがって、引用発明の特定事項gないしmは、本願補正発明の特定事項Mを具備する。

(n)引用発明の「パチンコ機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の特定事項nは、本願補正発明の特定事項Nに相当する。

イ 上記アからみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 演出を表示する表示手段と、
B 始動条件の成立時に始動情報を取得する取得手段と、
C 該取得手段が取得した前記始動情報のうち開始条件が成立した始動情報に基づいて所定の当落抽選を行う開始時抽選手段と、
D 前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて当選抽選結果である場合に前記表示手段に特別の表示結果を導出表示させる一方、前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて落選抽選結果である場合に前記表示手段に非特別の表示結果を導出表示させる表示制御手段と、
E 前記取得手段が取得した前記始動情報のうち前記開始条件が成立していない始動情報を記憶する記憶手段と、
F 前記始動条件の成立時に前記取得手段によって取得した始動情報に基づいて前記開始時抽選手段が前記当落抽選を行う以前に、当該始動情報が前記開始時抽選手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属しているか否かと、複数の変動態様のうちいずれの変動態様で表示制御されることとなるかと、を判別する事前判別手段と、を備え、
G’前記取得手段によって新たに取得した前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された当選始動情報が記憶された状態において、予告実行手段によって特定予告演出が実行され易く、
H’前記予告実行手段によって実行される前記特定予告演出は、特定の表示態様が表示された場合に遊技者に対して前記記憶手段に記憶されている前記始動情報にて前記特別の表示結果が導出される可能性が高いことを示唆する演出であり、
I’当落抽選の結果を導出表示させるまでの期間を短縮させることが可能であり、
J’前記特定予告演出には、前記当落抽選の結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される第1特定予告演出パターンと、当該期間が短縮されなかったときに実行される第2特定予告演出パターンとがあり、
K 前記特定予告演出が前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンとのいずれのパターンで実行される場合においても、前記特定の表示態様が表示可能とされており、前記第2特定予告演出パターンで前記特定の表示態様が表示される場合の演出態様と前記第1特定予告演出パターンで前記特定の表示態様が表示される場合の演出態様は異なる演出態様で実行され、
L’前記始動情報を取得可能な始動口があり前記始動口に入賞したときに前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンで実行可能とされた前記特定予告演出が実行可能とされ、前記始動口に入賞し前記特定の表示態様が表示されることとなる前記特定予告演出が開始されると、前記特定予告演出の実行に応じた演出が、実行され、
M 前記特定の表示態様が前記特定予告演出において表示されると、前記特定予告演出が終了した後の前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中に前記特定の表示態様と関連する演出を実行する
N 遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1(特定事項G、H)
「特定予告演出」に関し、
本願補正発明では、「特定予告演出」は、「前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない通常落選態様となると判別された落選始動情報だけが前記記憶手段に記憶されている状態で前記取得手段によって新たに取得した前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された当選始動情報が記憶された状態において」実行されるものであって、かつ、「前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない前記通常落選態様となると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中において実行可能とされている」のに対して、
引用発明では、連続演出(特定予告演出)は、先読みされた大当たり判定(当落抽選)の結果が大当たり(当選抽選結果)である状態において、サブ制御基板58によって実行され易いものであって、かつ、デモ図柄の確定表示と同時に「NEXT」の継続表示が行われる場合(特定の表示態様が表示された場合)に、 遊技者に対して大当たり(当選抽選結果)が導出される可能性が高いことを示唆する演出であるものの、「前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない通常落選態様となると判別された落選始動情報だけが前記記憶手段に記憶されている状態で前記取得手段によって新たに取得した前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された当選始動情報が記憶された状態において」実行されるものであって、かつ、「前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない前記通常落選態様となると判別された前記始動情報の前記開始条件が成立した際に実行される変動中において実行可能とされている」ことについて特定がない点。

・相違点2(特定事項I、J)

本願補正発明では、「前記記憶手段に記憶される前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間」を短縮させることが可能であり、「第1特定予告演出パターン」は「前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間」が短縮されたときに実行されるものであって、「第2特定予告演出パターン」は「前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの」「期間」が短縮されなかったときに実行されるものであるのに対して、
引用発明では、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される短時間連続演出での演出パターンと、当該期間が短縮されなかったときに実行される通常連続演出での演出パターンとがあるものの、「前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間」が短縮される対象であることについて特定がない点。

・相違点3(特定事項L)
「特定予告演出」に関し、
本願補正発明では、「前記始動情報を取得可能な始動口が複数あり、複数の前記始動口のうち特定の始動口に入賞したときに限って前記第1特定予告演出パターンと前記第2特定予告演出パターンで実行可能とされた前記特定予告演出が実行可能とされ、前記特定の始動口に入賞し前記特定の表示態様が表示されることとなる前記特定予告演出が開始されると、前記特定予告演出の実行に応じた期待感演出が、前記特定の表示態様が表示可能とされた前記第1特定予告演出パターンおよび前記第2特定予告演出パターンが表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行され」るのに対して、
引用発明では、特別図柄作動保留球(始動情報)を取得可能な特別図柄始動電動役物15(始動口)があり、特別図柄始動電動役物15(始動口)に入賞したときに連続演出(特定予告演出)が実行可能とされ、かつ、特別図柄始動電動役物15(始動口)に入賞して、「NEXT」の継続表示を行うこと、または、デモ図柄の確定表示中に「NEXT」の継続表示を行うこと(特定の表示態様が表示されること)となる連続演出(特定予告演出)が開始されると、連続演出(特定予告演出)の実行に応じた演出が行われるものの、「始動情報を取得可能な始動口が複数あり、複数の前記始動口のうち特定の始動口に入賞したときに限って」「特定予告演出が実行可能とされ」、「前記特定の始動口に入賞し前記特定の表示態様が表示されることとなる前記特定予告演出が開始されると、前記特定予告演出の実行に応じた期待感演出が、前記特定の表示態様が表示可能とされた前記第1特定予告演出パターンおよび前記第2特定予告演出パターンが表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行され」ることについて特定がない点。

(4)判断
ア 相違点1及び2について検討する。
引用文献2記載事項は、パチンコ遊技機1において、リーチを伴うことなく、はずれ図柄が停止される可変表示中に実行可能な連続予告演出を行い、はずれ用変動パターンとして、合算保留記憶数が0?2である場合の通常用と合算保留記憶数が3以上である場合の短縮用とを有するものである。
ここで、引用文献2記載事項について、上記3(2)イ(ア)の【0406】には、「複数回の可変表示に亘って一連のストーリーを形成する演出・・・を連続予告演出として使用してもよい」ことも記載されている。また、引用発明について、上記3(2)ア(ア)の【0051】には、「通常連続演出が実行される場合・・・複数回の報知演出に亘って実行され得る連続演出が行われていることを示す連続演出シナリオ映像が表示される」ことが記載されているところ、上記3(2)ア(ア)の【0071】ないし【0072】の記載事項や、上記3(2)ア(エ)の【図13】の図示内容から、引用発明においても、報知演出は可変表示ごとに実行されるものであることは明らかである。
そうすると、引用発明と引用文献2記載事項とは、いずれも、パチンコ遊技機において、複数回の可変表示に亘ってストーリー性のある映像が表示され得る連続予告演出を行う点で共通するから、引用発明において、連続演出を、引用文献2記載事項のように、リーチを伴うことなく、はずれ図柄が停止される可変表示中に実行可能なものとするとともに、短時間連続演出での演出パターンと通常連続演出での演出パターンとを、引用文献2記載事項のように、保留記憶数に応じて実行することは、当業者が容易に想到し得ることである。そして、連続演出(特定予告演出)が、リーチを伴うことなく、はずれ図柄が停止される可変表示中に実行可能であることは、先読みにより、大当たり判定の結果についての情報が大当たり(当選抽選結果)と判定される値に属していないと判別され、かつ、変動態様がリーチを伴わない態様になると判別された特別図柄作動保留球(始動情報)だけが大当たり関係情報記憶エリア(記憶手段)に記憶されている状態であるといえるから、本願補正発明の特定事項GないしJを充足することは明らかである。

イ 相違点3について検討する。
引用文献2記載事項は、パチンコ遊技機1において、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを備え、低確率低ベース状態である場合には、第1始動入賞口13への始動入賞時の入賞時判定結果を用い、高確率状態または高ベース状態である場合には、第2始動入賞口14への始動入賞時の入賞時判定結果を用いるものであって、低確率低ベース状態においてのみ連続予告演出を開始可能であるようにしてもよいものであるから、第1始動入賞口13及び第2始動入賞口14のうち、第1始動入賞口13に入賞したときに限って連続予告演出(特定予告演出)を実行可能としたものである。
ここで、上記アで説示したとおり、引用発明と引用文献2記載事項とは、いずれも、パチンコ遊技機において、複数回の可変表示に亘ってストーリー性のある映像が表示され得る連続予告演出を行う点で共通する。そうすると、引用発明において、特別図柄始動電動役物15(始動口)を、引用文献2記載事項のように2つ備え、そのうちのいずれか一方に入賞したときに限って連続演出(特定予告演出)を実行可能とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、引用文献3記載事項は、遊技機10において、メイン表示装置とは異なるサブ表示装置において、何回目の連続予告であるかを示す予告画像を表示するものである。
ここで、引用文献3記載事項が、上記3(2)ウ(ア)の【0462】ないし【0465】の記載事項や、上記3(2)ウ(イ)の【図77】の図示内容から、複数回の可変表示に亘って連続予告演出を行うことは明らかである。そうすると、引用発明と引用文献3記載事項とは、いずれも、パチンコ遊技機において、複数回の可変表示に亘って連続予告演出を行う点で共通するから、引用発明において、引用文献3記載事項のように、メイン表示装置とは異なるサブ表示装置を設けるとともに、該サブ表示装置で、何回目の連続予告であるかを示す予告画像を表示することは、当業者が容易に想到し得ることである。そして、何回目の連続予告であるかを示す予告画像の表示が、連続演出(特定予告演出)を現出させると判定された対象の変動に対して期待を抱かせる期待感演出といえることからすれば、本願補正発明の特定事項Lを充足することは明らかである。

ウ 以上のとおりであるから、引用発明において、相違点1ないし3に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは、当業者が引用文献2及び3記載事項に基づいて容易に想到し得たことである。

エ また、本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び引用文献2及び3記載事項の奏する効果から予測することができた程度のものである。

(5)審判請求人の主張について
ア 審判請求人は、審判請求書において、概略以下の通り主張している。
「[4]本願発明が特許されるべき理由
(A)審査官殿のご認定について
・・・略・・・
このため、審査官殿の『保留球数に応じて短縮変動が実行されたときに実行される短時間連続演出と、短縮変動でないときに実行される通常連続演出と、の一部の演出態様を共通とし(「NEXT」の表示)、短時間連続演出において、通常連続演出において表示される連続演出シナリオ映像を早送りで再生させることが記載されている。』というご認定について、前者の「一部の演出態様を共通」という点と後者の「早送りで再生させる」という点のそれぞれについては開示がされていますが、前者と後者が複合されている点については「「NEXT」または連続演出シナリオ映像を・・・」という否定する記載はあっても肯定するような記載は一切されておりません。
そのため、令和2年1月27日付けの手続補正書において、第1特定予告演出(短時間連続演出に相当)と第2特定予告演出(通常連続演出に相当)とで共通されている点と異なる点があることを特定した「前記第1特定予告演出と前記第2特定予告演出との一部の演出態様が共通とされているとともに、前記第2特定予告演出では表示されることのない演出態様が前記第1特定予告演出において表示され、」という補正事項について開示がされていないのではないかと若干の疑問を感じております。
(B)補正後の本願発明について
・・・略・・・
つまり、補正後の本願発明は、補正前においては何ら特定されていなかった「特定予告演出」と「共通する一部の演出態様」、「表示されることのない演出態様」をそれぞれ明確に特定し、ハズレ変動において行われる「特定予告演出」で「特定の表示態様」が表示されたことによって遊技者に対してその後の変動で特別の表示結果が表示されることを示唆することと、「特定予告演出」を変動時間が短縮したときに実行される「第1特定予告演出パターン」で実行する場合と変動時間が短縮されなかったときに実行される「第2特定予告演出パターン」で実行する場合のいずれにおいても「特定の表示態様」が表示されえることを明確に特定しております。
このような補正によって特定した特徴部を有することで、従来の遊技機においてハズレ変動で本願発明における「特定予告演出」に相当する先読み演出が開始された場合、遊技者は先読み演出が開始された契機である始動情報に対応する変動の開始条件の成立を待つだけとなってしまい一時的に興趣が低下してしまうという課題を有するものでありましたが、補正後の本願発明の特徴部により遊技者は先読み演出が開始された場合に先読み演出が開始された契機である始動情報に対応する変動の開始条件の成立までのハズレ変動においても「特定の表示態様」が表示されることを期待することとなり、興趣が低下していたハズレ変動でも遊技興趣の向上を図ることが可能となります。
このような本願特有の効果を奏しえることが可能な補正後の本願発明に対して、引用文献2の記載を確認すると、段落[0005]には「連続演出を実行する際に、演出時間が短い報知演出が実行されると、短い報知演出において十分に連続演出を実行することができない。この場合、遊技者は、連続演出の実行中であるか否かを把握することが困難になり、遊技に対する興趣を失ってしまう可能性があった。」という課題の記載がされており、段落[0006]には「本発明は、複数回の報知演出に亘って連続演出を実行する際に、演出時間が短い報知演出が実行される場合でも、連続演出の実行中であることを遊技者に容易に把握させることができる遊技機を提供することを目的とする。」という目的の記載がされております。加えて、段落[0073]には「以上説明したように、本実施形態に係るパチンコ機1では、報知演出の演出時間が保留球数に応じて変化する。従って、連続演出を伴う報知演出の演出時間が短くなる場合がある。しかし、パチンコ機1は、演出時間が所定時間T以下である報知演出(短縮変動)において、連続演出の実行中であることを表示することができる。従って、複数回の報知演出に亘って連続演出を実行する際に、演出時間が短い報知演出が実行される場合でも、連続演出の実行中であることを遊技者に容易に把握させることができる。」という記載があり、これらの記載から引用文献2は「変動時間が短縮された場合においても連続演出中であることを遊技者に把握可能に構成する」ことを目的としているものであるとともに、前述した「先読み演出が開始された契機である始動情報に対応する変動の開始条件の成立を待つだけとなってしまい一時的に興趣が低下してしまう」という課題が連続演出の実行に伴い発生することは自明であります。
つまり、補正後の本願発明は引用文献2が有する課題を解決可能な発明であるため、引用文献2に記載された技術よりも進歩性を有していることは明らかであります。」

イ 審判請求人の主張について検討すると、上記(2)ア(ア)の【0078】及び【0079】における「本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、上記実施形態のパチンコ機1は、「NEXT」または連続演出シナリオ映像を表示画面28の表示領域80内に表示させることで、連続演出の実行中であることを遊技者に報知する。しかし、連続演出の実行中であることを遊技者に報知する方法は、表示画面28を用いる方法に限定されない。例えば、可動役物30、LED等を用いてもよいし、表示画面28とは別の表示装置を用いてもよい。また、連続演出の実行中であることを短縮変動中に遊技者に報知する方法も、適宜変更できる。例えば、短縮変動中には、通常連続演出において表示される連続演出シナリオ映像を早送りで再生させてもよい。」との記載について、「「NEXT」または連続演出シナリオ映像」は「以上詳述した実施形態」について説明したものであって、連続演出シナリオ映像を早送りで再生させる際について説明したものではない。そして、上記(2)ア(カ)で説示したとおり、短時間連続演出で連続演出シナリオ映像を早送りで再生する場合においても、「NEXT」の継続表示が表示されることは明らかである。
また、上記(4)で示したとおり、本願補正発明は、引用発明と引用文献2及び3記載事項とに基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。そして、引用発明においても、遊技者は連続演出が開始された場合に連続演出が開始された契機である始動情報に対応する変動の開始条件の成立までのハズレ変動において、「NEXT」の継続表示が行われること(特定の表示態様)を期待することとなるから、興趣が低下していたハズレ変動でも遊技興趣の向上を図ることが可能であるといえる。
したがって、審判請求人の主張を採用することはできない。

(6)独立特許要件のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、当業者が引用発明と引用文献2及び3記載事項とに基づいて容易に想到することができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括
上記3のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
(1)本件補正は上記第2〔理由〕のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年1月27日に提出された手続補正書により補正された、上記第2〔理由〕1(1)に請求項1として記載したとおりのものである。

(2)ここで、本願発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしI、J-2、K-2、L-2及びNは、分説するため合議体が付した。
「A 演出を表示する表示手段と、
B 始動条件の成立時に始動情報を取得する取得手段と、
C 該取得手段が取得した前記始動情報のうち開始条件が成立した始動情報に基づいて所定の当落抽選を行う開始時抽選手段と、
D 前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて当選抽選結果である場合に前記表示手段に特別の 表示結果を導出表示させる一方、前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて落選抽選結果である場合に前記表示手段に非特別の表示結果を導出表示させる表示制御手段と、
E 前記取得手段が取得した前記始動情報のうち前記開始条件が成立していない始動情報を記憶する記憶手段と、
F 前記始動条件の成立時に前記取得手段によって取得した始動情報に基づいて前記開始時抽選手段が前記当落抽選を行う以前に、当該始動情報が前記開始時抽選手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属しているか否かと、複数の変動態様のうちいずれの変動態様で表示制御されることとなるかと、を判別する事前判別手段と、を備え、
G 前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない通常落選態様となると判別された落選始動情報だけが前記記憶手段に記憶されている状態で前記取得手段によって新たに取得した前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された当選始動情報が記憶された状態において、予告実行手段によって特定予告演出が実行され、
I 前記記憶手段に記憶される前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間を短縮させることが可能であり、
J-2 前記特定予告演出には、前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される第1特定予告演出と、当該期間が短縮されなかったときに実行される第2特定予告演出とがあり、
K-2 前記第1特定予告演出と前記第2特定予告演出との一部の演出態様が共通とされているとともに、前記第2特定予告演出では表示されることのない演出態様が前記第1特定予告演出において表示され、
L-2 前記一部の演出態様が共通とされた前記第1特定予告演出および前記第2特定予告演出を実行する契機となった前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された図柄変動に対して期待を抱かせる期待感演出が、前記一部の演出態様が共通とされた前記第1特定予告演出および前記第2特定予告演出が表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行されるようになされている
N ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の理由の概略
原査定の拒絶の理由は、この出願の本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


引用文献1.特開2014-64793号公報
引用文献2.特開2013-46669号公報
引用文献3.特開2014-39705号公報

3 引用文献
引用文献1の記載事項は、上記第2〔理由〕3(2)アに記載したとおりである。

4 対比・判断
ア 本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明のAないしG及びNについては、上記第2〔理由〕3(3)の(a)ないし(g)及び(n)で示したように、本願補正発明と引用発明との対比結果のとおりであって、本願発明のI、J-2、K-2については、以下の見出し(i)、(j-2)、(k-2)に示すとおりである。

(i)(j-2)(k-2)引用発明において、連続演出には、通常連続演出と短時間連続演出が設けられているところ、短時間連続演出は、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間を短縮可能なものであることは明らかである。
そして、引用発明において、その短時間連続演出は、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行されるものであり、通常連続演出は、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間が短縮されなかったときに実行されるものである。
さらに、引用発明において、「NEXT」の継続表示を行うこと、または、デモ図柄の確定表示中に「NEXT」の継続表示を行うこと(特定の表示態様)は、短時間連続演出と通常連続演出とのいずれにおいても実行可能とされている。その一方で、引用発明において、短縮変動中、すなわち、短時間連続演出中に通常連続演出で表示される連続演出シナリオ映像を早送りで再生することは、通常連続演出では表示されることのない演出態様であることは明らかである。
そうすると、引用発明は、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間を短縮させることが可能であり、
連続演出(特定予告演出)には、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される短時間連続演出と、当該期間が短縮されなかったときに実行される通常連続演出とがあるものであり、
短時間連続演出と通常連続演出との一部の演出態様が、「NEXT」の継続表示を行うこと、または、デモ図柄の確定表示中に「NEXT」の継続表示を行うこと(特定の表示態様)で共通とされているとともに、通常連続演出では表示されることのない、連続演出シナリオ映像を早送りで再生する、という演出態様が、短時間連続演出において表示されるものである。
したがって、引用発明の特定事項gないしmと、本願補正発明の特定事項I及びJ-2とは、「’当落抽選の『結果を導出表示させるまでの期間を短縮させることが可能であり』、前記当落抽選の『結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される第1演出と、当該期間が短縮されなかったときに実行される第2演出とがあり』、『前記第1特定予告演出と前記第2特定予告演出との一部の演出態様が共通とされているとともに、前記第2特定予告演出では表示されることのない演出態様が前記第1特定予告演出において表示され』」る点で共通する。

イ 上記アからみて、本願発明と引用発明とは、
「A 演出を表示する表示手段と、
B 始動条件の成立時に始動情報を取得する取得手段と、
C 該取得手段が取得した前記始動情報のうち開始条件が成立した始動情報に基づいて所定の当落抽選を行う開始時抽選手段と、
D 前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて当選抽選結果である場合に前記表示手段に特別の 表示結果を導出表示させる一方、前記開始時抽選手段によって前記当落抽選が行われて落選抽選結果である場合に前記表示手段に非特別の表示結果を導出表示させる表示制御手段と、
E 前記取得手段が取得した前記始動情報のうち前記開始条件が成立していない始動情報を記憶する記憶手段と、
F 前記始動条件の成立時に前記取得手段によって取得した始動情報に基づいて前記開始時抽選手段が前記当落抽選を行う以前に、当該始動情報が前記開始時抽選手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属しているか否かと、複数の変動態様のうちいずれの変動態様で表示制御されることとなるかと、を判別する事前判別手段と、を備え、
G’前記取得手段によって新たに取得した前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された当選始動情報が記憶された状態において、予告実行手段によって特定予告演出が実行され易く、
I’当落抽選の結果を導出表示させるまでの期間を短縮させることが可能であり、
J-2’前記当落抽選の結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される第1演出と、当該期間が短縮されなかったときに実行される第2演出とがあり、
K-2 前記第1特定予告演出と前記第2特定予告演出との一部の演出態様が共通とされているとともに、前記第2特定予告演出では表示されることのない演出態様が前記第1特定予告演出において表示される、
N 遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点4(特定事項G)
「特定予告演出」に関し、
本願発明では、「特定予告演出」は、「前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していないと判別され、且つ前記変動態様がリーチ態様を伴わない通常落選態様となると判別された落選始動情報だけが前記記憶手段に記憶されている状態で前記取得手段によって新たに取得した前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された当選始動情報が記憶された状態において」実行されるものであるのに対して、
引用発明では、そのような特定がない点。

・相違点5(特定事項I、J-2)
本願発明では、「前記記憶手段に記憶される前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間」を短縮させることが可能であり、「第1特定予告演出パターン」は「前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間」が短縮されたときに実行されるものであって、「第2特定予告演出パターン」は「前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの」「期間」が短縮されなかったときに実行されるものであるのに対して、
引用発明では、大当たり判定(所定の当落抽選)の結果を導出表示させるまでの期間が短縮されたときに実行される短時間連続演出での演出パターンと、当該期間が短縮されなかったときに実行される通常連続演出での演出パターンとがあるものの、「前記始動情報の記憶数に応じて前記非特別の表示結果を導出表示させるまでの期間」を対象とすることについて特定がない点。

・相違点6(特定事項L-2)
「特定予告演出」に関し、
本願発明では、「前記一部の演出態様が共通とされた前記第1特定予告演出および前記第2特定予告演出を実行する契機となった前記始動情報が前記事前判別手段によって前記当選抽選結果と判定される値に属していると判別された図柄変動に対して期待を抱かせる期待感演出が、前記一部の演出態様が共通とされた前記第1特定予告演出および前記第2特定予告演出が表示される前記表示手段とは異なる箇所で実行されるようになされている」のに対して、
引用発明では、そのような特定がない点。

ウ 相違点4及び5について検討する。
引用文献2記載事項は、パチンコ遊技機1において、リーチを伴うことなく、はずれ図柄が停止される可変表示中に実行可能な連続予告演出を行い、はずれ用変動パターンとして、合算保留記憶数が0?2である場合の通常用と合算保留記憶数が3以上である場合の短縮用とを有するものである。
ここで、上記第2〔理由〕3(4)アで説示したとおり、引用発明と引用文献2記載事項とは、いずれも、パチンコ遊技機において、複数回の可変表示に亘ってストーリー性のある映像が表示され得る連続予告演出を行う点で共通する。そうすると、引用発明において、連続演出(特定予告演出)を、引用文献2記載事項のように、リーチを伴うことなく、はずれ図柄が停止される可変表示中に実行可能なものとするとともに、短時間連続演出での演出パターンと通常連続演出での演出パターンとを、同じく引用文献2記載事項のように、保留記憶数に応じて実行することは、当業者が容易に想到し得ることである。そして、連続演出(特定予告演出)が、リーチを伴うことなく、はずれ図柄が停止される可変表示中に実行可能であることは、先読みにより、大当たり判定の結果についての情報が大当たり(当選抽選結果)と判定される値に属していないと判別され、かつ、変動態様がリーチを伴わない態様になると判別された特別図柄作動保留球(始動情報)だけが大当たり関係情報記憶エリア(記憶手段)に記憶されている状態であるといえるから、本願発明の特定事項GないしJを充足することは明らかである。

エ 相違点6について検討する。
引用文献3記載事項は、遊技機10において、メイン表示装置とは異なるサブ表示装置において、何回目の連続予告であるかを示す予告画像を表示するものである。
ここで、上記第2〔理由〕3(4)イで説示したとおり、引用発明と引用文献3記載事項とは、いずれも、パチンコ遊技機において、複数回の可変表示に亘って連続予告演出を行う点で共通するから、引用発明において、引用文献3記載事項のように、メイン表示装置とは異なるサブ表示装置を設けるとともに、該サブ表示装置で、何回目の連続予告であるかを示す予告画像を表示することは、当業者が容易に想到し得ることである。そして、その何回目の連続予告であるかを示す予告画像の表示が、連続演出(特定予告演出)を現出させると判定された対象の変動に対して期待を抱かせる期待感演出といえることからすれば、本願発明の特定事項L-2を充足することは明らかである。

オ そうすると、本願発明は、当業者が引用発明と引用文献2及び3記載事項とに基づいて容易に想到することができたものである。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明と引用文献2及び3記載事項とに基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-02-24 
結審通知日 2021-02-25 
審決日 2021-03-09 
出願番号 特願2018-244730(P2018-244730)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤脇 沙絵  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 澤田 真治
島田 英昭
発明の名称 遊技機  

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