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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1373448 |
審判番号 | 不服2019-16960 |
総通号数 | 258 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-06-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-12-16 |
確定日 | 2021-05-11 |
事件の表示 | 特願2016-565883「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月30日国際公開、WO2016/103580、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、本願は、2015年(平成27年)11月27日(優先権主張 平成26年12月26日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 6月19日 :手続補正書の提出 平成30年11月 6日付け:拒絶理由通知書 平成31年 1月 9日 :意見書、手続補正書の提出 平成31年 1月24日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書 平成31年 3月18日 :意見書、手続補正書の提出 令和 元年 6月11日付け:拒絶理由通知書 令和 元年 8月 6日 :意見書、手続補正書の提出 令和 元年 9月10日付け:拒絶査定(原査定) 令和 元年12月16日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 2年11月17日付け:拒絶理由(当審第1拒絶理由)通知書 令和 2年12月28日 :意見書、手続補正書の提出 令和 3年 1月26日付け:拒絶理理由(当審第2拒絶理由;最後の拒絶理由)通知書 令和 3年 3月12日 :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 本願請求項1ないし4に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 [引用文献等一覧] A 実願平3-25446号(実開平4-115754号)のマイクロフィルム B 特開2010-86527号公報 C 特開2014-152837号公報 第3 当審第1拒絶理由の概要 当審第1拒絶理由の概要は次のとおりである。 [理由1](明確性要件) 本願は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6甲第2号に規定する要件を満たしていない。 請求項1に記載の「持つとき」及び「把持」がどのような状態ないし動作を想定しているのか不明であるから、本願請求項1ないし4に係る発明は、明確ではない。 [理由2](進歩性) 本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 [引用文献等一覧] 1 特開2014-150108号公報(当審において新たに引用する文献) 第4 当審第2拒絶理由の概要 当審第2拒絶理由の概要は次のとおりである。 [理由1](新規性) 本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 [理由2](進歩性) 本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 [引用文献等一覧] 1 特開2014-150108号公報(当審第1拒絶理由の引用文献1) 第5 本願発明 本願請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、令和3年3月12日に提出された手続補正書に係る手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし3は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 表示部を有する第1の筐体と、 操作部を有する第2の筐体と、 前記第1の筐体の奥行き方向の後側の第1の側部と前記第2の筐体の第2の側部とを、 前記第1の筐体と前記第2の筐体とが相対的に回転可能なように、連結するヒンジ部と、 を備え、 前記第1の筐体は、前記ヒンジ部に対して着脱可能に構成されたコンピュータであり、 前記第2の筐体は、前記第2の側部の後方に突出可能な脚部を備え、 前記脚部は、 前記第2の筐体の幅方向に延びる脚部材と、 前記脚部材と前記第2の筐体の前記第2の側部とを連結する一対のリンク部材と、を備え、 前記一対のリンク部材は、それぞれの一方の端部において、前記第2の筐体の前記第2の側部に、当該第2の側部の長手方向に所定の間隔を空けて、回動可能なように連結され、 前記第2の筐体を被載置面に載置し、前記脚部を前記第2の側部の後方に突出させると、前記脚部が前記被載置面と当接し前記第1の筐体及び第2の筐体を支持し、 収納状態においては、前記第2の筐体の後側の側部に設けられた凹部に収納される、 電子機器。 【請求項2】 前記第2の筐体は、 前記第2の筐体の主面を構成する第1主壁部と、 前記第1主壁部に対して所定の間隔を空けて平行に配置され、前記第2の筐体の載置面を構成する第2主壁部と、 少なくとも一方の主壁部から他方の主壁部側へ突出する回転軸部とを備え、 前記リンク部材は、 前記一方の端部に設けられた貫通孔が前記回転軸部に嵌められることにより、前記一方の端部を中心として回動可能に構成され、かつ、 前記一方の端部が、前記第1主壁部における前記回転軸部の周囲の第1の面と前記第2主壁部における前記回転軸部の周囲の第2の面とで摺動可能に挟まれ、 前記第1の面及び前記第2の面は、前記脚部の後端部が前記第2の筐体の載置面の上下位置よりも下方に突出するように、前記載置面に対して傾斜している、 請求項1に記載の電子機器。 【請求項3】 前記一対のリンク部材は、 前記脚部材の一方の端部側に一方のリンク部材の他端部が前記脚部材の長手方向にスライド可能に連結され、前記脚部材の他端部側に他方のリンク部材の他端部が前記脚部材の長手方向にスライド可能に連結される、 請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の電子機器。」 なお、本願発明1は、本件補正前の請求項1を本件補正前の請求項2に記載された事項により特定したものであり、本願発明2及び3はそれぞれ、本件補正前の請求項3及び4に係る発明に対応する。 第6 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1記載事項 当審第1拒絶理由及び当審第2拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は、強調のため当審が付与した。(以降についても同じ。) 「【0009】 以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。 (第1実施形態) 図1乃至図14を参照して、第1実施形態に係るタブレットセット1について説明する。タブレットセット1は、「電子機器」の一例である。図1に示すように、タブレットセット1は、タブレット型パーソナルコンピュータ2(タブレット端末、タブレット本体、スレートPC、以下、タブレットPC)と、該タブレットPC2が着脱可能に取り付けられるドック3とを備える。 【0010】 ここで、タブレットPC2は、単体で「電子機器」の別の一例であり、ドック3は、「ユニット」、「外部ユニット」、または「第1ユニット」の一例である。また別の観点では、ドック3は、単体で「電子機器」の別の一例であり、タブレットPC2は、「ユニット」、「外部ユニット」、「第2ユニット」の一例である。なお、本実施形態が適用可能な電子機器は、上記例に限られず、例えば携帯電話(スマートフォンを含む)やゲーム機を含む種々の電子機器に広く適用可能である。 【0011】 図1に示すように、タブレットPC2は、筐体11と、該筐体11に収容された表示装置12とを有する。表示装置12は、タッチセンサ(タッチパネル)が設けられた表示画面12aを有する。表示画面12aは、例えばデジタイザペンによる入力操作を受け付ける。またこれに代えて、表示画面12aは、ユーザーの指による入力操作を受け付けてもよい。」 「【0015】 また、筐体11は、第1端部11aと、第2端部11bとを有する。第1端部11aは、ドック3に取り付けられる端部である。第1端部11aは、例えば筐体11の長手方向に延びている。第2端部11bは、第1端部11aとは反対側に位置する。 【0016】 次に、ドック3について説明する。 図1に示すように、ドック3(クレードル、支持ユニット、支持部、台、接続機、拡張装置)は、本体21(ドック本体)と、回動部22とを有する。本体21は、筐体23と、該筐体23に設けられたキーボード24及びポインティングデバイス25とを有する。筐体23は、上壁26(第1壁)、底壁27(下壁、第2壁)、及び周壁28(第3壁)を有し、扁平な箱状に形成されている。 【0017】 底壁27は、例えばドック3を机の上に置いた時に、机上面(載置面、外部載置面)に向かい合う。底壁27は、机上面に接する複数の脚部29(図2参照)が設けられている。上壁26は、底壁27とは反対側に位置し、底壁27と略平行(机上面と略平行)に延びている。周壁28は、上壁26及び底壁27とは交差した方向に延びた部分を含み、上壁26の周縁部と底壁27の周縁部とを繋いでいる。」 「【0019】 キーボード24及びポインティングデバイス25は、上壁26に設けられている。上壁26は、ポインティングデバイス25の両側にパームレスト30a,30bを有する。上壁26は、キーボード24が取り付けられるキーボード取付部31を有する。キーボード取付部31は、パームレスト30a,30bの端部から筐体23の内側に窪んだ凹部である。 【0020】 回動部22は、本体21の後端部に設けられている。回動部22は、筐体33を有する。筐体33は、本体21の後端部に沿って延びている。回動部22には、タブレットPC2が着脱可能に取り付けられる。 【0021】 回動部22の筐体33は、一対のヒンジ部34a,34bによって、本体21の筐体23に回動可能に連結されている。これにより、回動部22に接続されたタブレットPC2は、ドック3の本体21に重ねられる第1位置(図2参照)と、ドック3の本体21に対して立て起される第2位置(図3参照)との間で回動可能である。」 「【0047】 次に、スタンド71について詳しく説明する。 図3及び図8に示すように、ドック3は、折り畳み式のスタンド71を有する。スタンド71は、「支持部」の一例である。図9及び図10に示すように、スタンド71は、ドック3の筐体23の領域内に位置した第1位置と、筐体23の後方に引き出された第2位置との間で移動可能である。 【0048】 詳しく述べると、筐体23の底壁27には、スタンド71が収容される収容部72(凹部)が設けられている。収容部72は、筐体23の内側に向いて窪んでいる。上記第1位置では、スタンド71は、折り畳まれて、筐体23の収容部72に収容されている。すなわち、上記第1位置では、スタンド71は、筐体23の底壁27に覆われている。一方で、上記第2位置では、スタンド71は、筐体23の外部に引き出され、展開可能である。」 「【0053】 図8乃至図11に示すように、スタンド71は、第1部材81、第2部材82、及び第3部材83を有する。第1部材81は、筐体23の底壁27にスライド可能に取り付けられている。第1部材81は、ドック3が置かれる載置面と略平行(上壁26と略平行)に、上記第1位置と上記第2位置とに亘りスライド移動される。 【0054】 図8及び図10に示すように、第1部材81は、例えば、一対のレール部85a,85bと、凹部86(収容部)とを有する。一対のレール部85a,85bは、第1部材81の左右の端部に設けられ、第1部材81のスライド方向に延びている。レール部85a,85bの下面には、第1部材81のスライド方向に延びた溝87(段差部)が設けられている。また溝87の底壁27には、同じく第1部材81のスライド方向に延びた第1孔88が設けられている。 【0055】 図9、図10、図12、図13に示すように、レール部85a,85bの下方には、押さえ部材91(支持部材)が設けられている。押さえ部材91は、溝87に収容され、溝87の段差内に収まっている。図13に示すように、押さえ部材91の一部は、第1孔88に挿入されている。また、押さえ部材91は、第1孔88に挿入された部分に、第2孔92を有する。 【0056】 図12及び図13に示すように、筐体23の上壁26の内面には、第1部材81に向いて突出してレール部85a,85bに面した支持部93(突起部)が設けられている。レール部85a,85bは、押さえ部材91と支持部93との間に挟まれて支持されている。より詳しく述べると、支持部93には、取付部材94が固定されている。取付部材94は、下方に突出し、レール部85a,85bの第1孔88に挿入されている。 【0057】 本実施形態では、取付部材94は、押さえ部材91の第2孔92にも挿入され、レール部85a,85bの下方に露出されている。取付部材94には、ねじ95(固定部材)が取り付けられている。ねじ95は、押さえ部材91を取付部材94に固定している。これにより、レール部85a,85bは、押さえ部材91によって下方から支持されてスライド可能である。 【0058】 図8に示すように、第1部材81の凹部86は、一対のレール部85a,85bの間に位置する。凹部86は、レール部85a,85bから載置面に向かう方向に窪んでいる。凹部86は、載置面と略平行に延びている。凹部86は、第2部材82が収容される収容部である。」 「【0072】 スタンド71は、筐体23の収容部72から引き出されると、ばね96の力で自動的に展開される。すなわち、ばね96の力によって、第2部材82が第1部材81に対して回動され、第2部材82の第2端部82bがタブレットPC2の第2面2bを支持可能になる。スタンド71がタブレットPC2の第2面2bを支持することで、タブレットPC2が後ろに倒れにくくなるとともに、ドック3の前端部が浮き上がりにくくなる。」 「【図1】 」 「【図3】 」 「【図8】 」 「【図9】 」 「【図10】 」 「【図13】 」 (2)引用発明 前記(1)より、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 タブレットセット1は、「電子機器」の一例であり、 タブレットセット1は、タブレット型パーソナルコンピュータ2(タブレット端末、タブレット本体、スレートPC、以下、タブレットPC)と、該タブレットPC2が着脱可能に取り付けられるドック3とを備え、 タブレットPC2は、単体で「電子機器」の別の一例であり、 タブレットPC2は、筐体11と、該筐体11に収容された表示装置12とを有し、 筐体11は、第1端部11aと、第2端部11bとを有し、第1端部11aは、ドック3に取り付けられる端部であり、 ドック3は、本体21(ドック本体)と、回動部22とを有し、本体21は、筐体23と、該筐体23に設けられたキーボード24及びポインティングデバイス25とを有し、筐体23は、上壁26(第1壁)、底壁27(下壁、第2壁)、及び周壁28(第3壁)を有し、扁平な箱状に形成されており、 底壁27は、例えばドック3を机の上に置いた時に、机上面(載置面、外部載置面)に向かい合い、 キーボード24及びポインティングデバイス25は、上壁26に設けられ、 回動部22は、本体21の後端部に設けられ、筐体33を有し、筐体33は、本体21の後端部に沿って延び、回動部22には、タブレットPC2が着脱可能に取り付けられ、筐体33は、一対のヒンジ部34a,34bによって、本体21の筐体23に回動可能に連結され、これにより、回動部22に接続されたタブレットPC2は、ドック3の本体21に重ねられる第1位置と、ドック3の本体21に対して立て起される第2位置との間で回動可能であり、 ドック3は、折り畳み式のスタンド71を有し、スタンド71は、ドック3の筐体23の領域内に位置した第1位置と、筐体23の後方に引き出された第2位置との間で移動可能であり、 筐体23の底壁27には、スタンド71が収容される収容部72(凹部)が設けられ、収容部72は、筐体23の内側に向いて窪んでおり、上記第1位置では、スタンド71は、折り畳まれて、筐体23の収容部72に収容され、一方で、上記第2位置では、スタンド71は、筐体23の外部に引き出され、展開可能であり、 スタンド71は、第1部材81、第2部材82、及び第3部材83を有し、第1部材81は、筐体23の底壁27にスライド可能に取り付けられ、第1部材81は、ドック3が置かれる載置面と略平行(上壁26と略平行)に、上記第1位置と上記第2位置とに亘りスライド移動され、 第1部材81は、一対のレール部85a,85bと、凹部86(収容部)とを有し、一対のレール部85a,85bは、第1部材81の左右の端部に設けられ、第1部材81のスライド方向に延び、レール部85a,85bの下面には、第1部材81のスライド方向に延びた溝87(段差部)が設けられ、また溝87の底壁27には、同じく第1部材81のスライド方向に延びた第1孔88が設けられ、 レール部85a,85bの下方には、押さえ部材91(支持部材)が設けられ、 筐体23の上壁26の内面には、第1部材81に向いて突出してレール部85a,85bに面した支持部93(突起部)が設けられ、レール部85a,85bは、押さえ部材91と支持部93との間に挟まれて支持され、 これにより、レール部85a,85bは、押さえ部材91によって下方から支持されてスライド可能であり、 第1部材81の凹部86は、一対のレール部85a,85bの間に位置し、レール部85a,85bから載置面に向かう方向に窪み、載置面と略平行に延び、 スタンド71は、筐体23の収容部72から引き出されると、ばね96の力で自動的に展開され、第2部材82の第2端部82bがタブレットPC2の第2面2bを支持可能になり、スタンド71がタブレットPC2の第2面2bを支持することで、タブレットPC2が後ろに倒れにくくなるとともに、ドック3の前端部が浮き上がりにくくなる、 タブレットセット1。」 2 引用文献AないしCについて (1)引用文献Aについて ア 引用文献A記載事項 原査定に引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0005】 【実施例】 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は携帯姿勢を示す斜視図、図2は小型パーソナルコンピュータの斜視図であり、キーボード(1)などを有する箱形の本体ケース(2)と、液晶パネル(3)などを有する蓋ケース(4)とを備え、本体ケース(2)上面に蓋ケース(4)を起伏自在に取付けると共に、電源として使用するバッテリケース(5)を本体ケース(2)背面に取付け、図示しないフロッピーディスクまたはハードディスクを本体ケース(2)に内装させ、キーボード(1)またはディスクの入出カデータを液晶パネル(3)にモニタ表示するように構成している。 【0006】 さらに、図3及び図4にも示す如く、前記バッテリケース(5)両側に支脚(6)(6)を固設させ、本体ケース(2)に螺着させるネジ軸(7)を前記支脚(6)の長孔(8)に係入させ、本体ケース(2)の背面側に引出し自在にバッテリケース(5)を取付け、本体ケース(2)背面側にバッテリケース(5)を引出し,該ケース(5)を携帯用ハンドルとして使用すると共に、前記本体ケース(2)背面のバッテリ接続コネクタ(9)に係入させるバッテリ入カピン(10)をバッテリケース(5)に設け、バッテリケース(5)に内蔵する充電可能なバッテリ(11)を本体ケース(2)内部の電気回路に前記ピン(10)を介して接続させるように構成している。」 「【0008】 また、前記ネジ軸(7)を中心に支脚(6)を回転させ、本体ケース(2)の底面側に変位自在にバッテリケース(5)を取付けるもので、図4の如く、本体ケース(2)の底面側支持ノッチ(13)に支脚(6)先端を係入させ、本体ケース(2)の底面後部にバッテリケース(5)を固定支持させ、バッテリケース(5)をスタンドとして使用して本体ケース(2)後部を持上げてキーボード(1)を前傾支持するように構成している。」 「【図1】 」 「【図2】 」 「【図3】 」 「【図4】 」 イ 引用発明A 前記アより、引用文献Aには、次の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。 「 小型パーソナルコンピュータであって、 キーボード(1)などを有する箱形の本体ケース(2)と、液晶パネル(3)などを有する蓋ケース(4)とを備え、本体ケース(2)上面に蓋ケース(4)を起伏自在に取付けると共に、電源として使用するバッテリケース(5)を本体ケース(2)背面に取付け、フロッピーディスクまたはハードディスクを本体ケース(2)に内装させ、キーボード(1)またはディスクの入出カデータを液晶パネル(3)にモニタ表示するように構成し、 前記バッテリケース(5)両側に支脚(6)(6)を固設させ、本体ケース(2)に螺着させるネジ軸(7)を前記支脚(6)の長孔(8)に係入させ、本体ケース(2)の背面側に引出し自在にバッテリケース(5)を取付け、本体ケース(2)背面側にバッテリケース(5)を引出し、該ケース(5)を携帯用ハンドルとして使用すると共に、前記本体ケース(2)背面のバッテリ接続コネクタ(9)に係入させるバッテリ入カピン(10)をバッテリケース(5)に設け、バッテリケース(5)に内蔵する充電可能なバッテリ(11)を本体ケース(2)内部の電気回路に前記ピン(10)を介して接続させるように構成し、 前記ネジ軸(7)を中心に支脚(6)を回転させ、本体ケース(2)の底面側に変位自在にバッテリケース(5)を取付けるもので、本体ケース(2)の底面側支持ノッチ(13)に支脚(6)先端を係入させ、本体ケース(2)の底面後部にバッテリケース(5)を固定支持させ、バッテリケース(5)をスタンドとして使用して本体ケース(2)後部を持上げてキーボード(1)を前傾支持するように構成している、 小型パーソナルコンピュータ。」 (2)引用文献Bについて 原査定に引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0010】 本発明は、ハンドルの引き出し動作及び収納動作をスムーズに行うことができる把持装置およびそれを備えた情報処理装置を実現することを目的とする。」 「【0022】 (実施の形態) 〔1.情報処理装置の構成〕 図1及び図2は、本実施の形態の把持装置を備えた情報処理装置の外観を示す斜視図である。図1及び図2は、情報処理装置の一例であるノートパソコンの第1の状態を示す。図1は、ハンドルが引き出された状態を示す。以下、図1に示す状態を「引き出し状態」と称し、この時のハンドルの位置を「引き出し位置」と称する。図2は、ハンドルが収納された状態を示す。以下、図2に示す状態を「収納状態」と称し、この時のハンドルの位置を「収納位置」と称する。図3は、本実施の形態におけるノートパソコンの第2の状態を示す斜視図である。なお、本実施の形態では、情報処理装置の一例としてノートパソコンを挙げたが、携帯電話端末や医療機器などのように、少なくとも使用者が手で把持可能なハンドルを備えた携帯機器であればよい。 【0023】 図1?図3に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。第1の筐体1は、各種電気素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵している。第2の筐体2は、液晶ディスプレイ2aを備えている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持されている。第2の筐体2を、図1に示す位置(第1の状態)から矢印Aに示す方向へ回動させることで、図3に示す位置(第2の状態)へ移行させることができる。」 「【0025】 また、ノートパソコンが第2の状態におけるハンドル4側を「前側」と定義すると、第1の筐体1における前側の側面1b(以下、第1の筐体1の前面と称する)には、支持部材41及び42が固定されている。支持部材41は、アーム部材43の一端を回動自在に支持する。支持部材42は、アーム部材44の一端を回動自在に支持する。アーム部材43及び44の他端には、ハンドル4が支持されている。ハンドル4は、使用者が手で把持することができる。ノートパソコンを図3に示す第2の状態にして、使用者がハンドル4を手で把持することにより、使用者は、ノートパソコンを手で持って運搬することができる。」 「【図1】 」 「【図2】 」 「【図3】 」 上記【図1】ないし【図3】と、【0022】の記載からして、第1の筐体1の前面には、アーム部材43及び44及びハンドル4を収納する凹部が設けられ、収納状態(【図2】)においては、アーム部材43及び44及びハンドル4が前記凹部に収納されることが見て取れる。 よって、引用文献Bには、次の技術事項(以下、「引用文献B記載事項」という。)が記載されていると認められる。 「 ハンドルの引き出し動作及び収納動作をスムーズに行うことができる把持装置およびそれを備えた情報処理装置であって、 情報処理装置の一例であるノートパソコンの第1の状態は、ハンドルが引き出された状態(「引き出し状態」)と、ハンドルが収納された状態(「収納状態」)とがあり、 ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備え、第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持されて 第1の筐体1の前面には、支持部材41及び42が固定され、支持部材41は、アーム部材43の一端を回動自在に支持し、支持部材42は、アーム部材44の一端を回動自在に支持し、アーム部材43及び44の他端には、ハンドル4が支持され、使用者がハンドル4を手で把持することにより、使用者は、ノートパソコンを手で持って運搬することができ、 第1の筐体1の前面には、アーム部材43及び44及びハンドル4を収納する凹部が設けられ、収納状態においては、アーム部材43及び44及びハンドル4が前記凹部に収納される、 把持装置および情報処理装置。」 (3)引用文献Cについて 原査定に引用された引用文献Cには、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0027】 図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10の斜視図であり、ディスプレイ12を有する上部筐体14を、キーボード16を設けた下部筐体18に装着した状態を示す。図2は、図1に示す電子機器10において、上部筐体14を下部筐体18から取り外した状態での斜視図である。 【0028】 本実施形態に係る電子機器10は、上部筐体14を下部筐体18に対して装着した状態ではノート型PCとして機能し、上部筐体14と下部筐体18とを分離した状態では、上部筐体14が単独でタブレット型PCとして機能する、ノートブック(ラップトップ)型・タブレット型兼用のハイブリット型PCである。本発明は、このようなハイブリッド型PC以外、携帯電話、スマートフォン、又は電子手帳等、分離可能な2つの筐体を備えた電子機器であれば好適に適用できる。以下、図1に示すように上部筐体14を下部筐体18に対して略直角に起立させ、ディスプレイ12を視認しながらキーボード16を操作する使用者から見た方向で、上下方向、左右方向、前後(手前、奥)方向と規定して説明する。 【0029】 図1及び図2に示すように、電子機器10は、ディスプレイ12を有する上部筐体(第1筐体)14と、キーボード16を有する下部筐体(第2筐体)18とを備える。上部筐体14は、下部筐体18に左右一対のヒンジ20L,20R(以下、まとめて「ヒンジ20」ともいう)によって回動可能に連結されたブラケット22に対して着脱可能である。ブラケット22に装着された上部筐体14は、ヒンジ20によって回動することで下部筐体18の上面(キーボード16側の面)を開閉可能な蓋体となり、一般的なノート型PCの開閉するディスプレイ部と同様に機能する。」 よって、引用文献Cには、次の技術事項が記載されていると認められる。 「 電子機器10は、上部筐体14を下部筐体18に対して装着した状態ではノート型PCとして機能し、上部筐体14と下部筐体18とを分離した状態では、上部筐体14が単独でタブレット型PCとして機能し、 上部筐体14は、下部筐体18に左右一対のヒンジ20L,20R(以下、まとめて「ヒンジ20」ともいう)によって回動可能に連結されたブラケット22に対して着脱可能であること。」 第7 当審第2拒絶理由についての判断 1 対比・判断 (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「表示装置12」は、本願発明1の「表示部」に相当する。 イ 引用発明は「タブレットPC2は、筐体11と、該筐体11に収容された表示装置12とを有し」との構成を備え、引用文献1の【図1】を参酌すると、「タブレットPC2」は、外観上「筐体11」と同一視できるものであり、また、「筐体11」は「表示装置12」を有しているといい得る。 よって、前記アを参酌すると、引用発明の「筐体11」は、本願発明1の「表示部を有する第1の筐体」に相当する。 ウ 引用発明の「キーボード24及びポインティングデバイス25」は、本願発明1の「操作部」に相当する。 エ 引用発明は、「ドック3は、本体21(ドック本体)と、回動部22とを有し、本体21は、筐体23と、該筐体23に設けられたキーボード24及びポインティングデバイス25とを有し、筐体23は、上壁26(第1壁)、底壁27(下壁、第2壁)、及び周壁28(第3壁)を有し、扁平な箱状に形成されており」及び「キーボード24及びポインティングデバイス25は、上壁26に設けられ」との構成を備え、引用文献1の【図1】を参酌すると、引用発明の「ドック3」は、「筐体23」と同一視できるものであり、また、「筐体23」(の「上壁26」)は「キーボード24及びポインティングデバイス25」を有しているといい得る。 よって、前記ウを参酌すると、引用発明の「筐体23」は、本願発明1の「操作部を有する第2の筐体」に相当する。 オ 引用発明の「第1端部11a」は、引用文献1の【図1】の上方から見た場合、「筐体11」の奥行き方向の後側にある側部であることが見て取れるから、本願発明1の「前記第1の筐体の奥行き方向の後側の第1の側部」に相当する。 カ 引用発明は、「ドック3は、本体21(ドック本体)と、回動部22とを有し」及び「回動部22は、本体21の後端部に設けられ」との構成を備え、また、引用文献1の【図1】を参酌すると、引用発明の「本体21の後端部」は、「ドック3」と同一視できる「筐体23」の側部といい得るものである。 よって、引用発明の「本体21の後端部」は、本願発明1の「前記第2の筐体の第2の側部」に相当する。 キ 引用発明の「回動部22は、本体21の後端部に設けられ、筐体33を有し、筐体33は、本体21の後端部に沿って延び、回動部22には、タブレットPC2が着脱可能に取り付けられ、筐体33は、一対のヒンジ部34a,34bによって、本体21の筐体23に回動可能に連結され、これにより、回動部22に接続されたタブレットPC2は、ドック3の本体21に重ねられる第1位置と、ドック3の本体21に対して立て起される第2位置との間で回動可能であり」との構成によれば、また、引用文献1の【図1】を参照すると、「一対のヒンジ部34a,34b」は、「筐体11」の「第1端部11a」と「筐体23」の「本体21の後端部」の一部である「回動部22」(の「筐体33」)とを、「筐体11」と「筐体23」とが相対的に回転可能なように連結するものといえる。 よって、引用発明の「一対のヒンジ部34a,34b」は、本願発明1の「前記第1の筐体の奥行き方向の後側の第1の側部と前記第2の筐体の第2の側部とを、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが相対的に回転可能なように、連結するヒンジ部」に相当する。 ク 引用発明は、「タブレットPC2は、単体で「電子機器」の別の一例であり」及び「回動部22には、タブレットPC2が着脱可能に取り付けられ」との構成を備え、「タブレットPC2」と「筐体11」とは同一視できるから、前記キを参照すると、引用発明は、本願発明1の「前記第1の筐体は、前記ヒンジ部に対して着脱可能に構成されたコンピュータであり」との構成を備える。 ケ 引用発明の「ドック3は、折り畳み式のスタンド71を有し、スタンド71は、ドック3の筐体23の領域内に位置した第1位置と、筐体23の後方に引き出された第2位置との間で移動可能であり」、及び「スタンド71は、筐体23の収容部72から引き出されると、ばね96の力で自動的に展開され、第2部材82の第2端部82bがタブレットPC2の第2面2bを支持可能になり、スタンド71がタブレットPC2の第2面2bを支持することで、タブレットPC2が後ろに倒れにくくなるとともに、ドック3の前端部が浮き上がりにくくなる」との構成を備え、「タブレットPC2」は「筐体11」と同一視でき、「ドック3」は「筐体23」と同一視でき、「スタンド71」は「筐体23」に備えられるものであって、「筐体11」が後方に倒れないように及び「筐体23」が浮き上がらないように、これらを支持する「脚部」といい得るものであり、また、「スタンド71」が「筐体23の後方に引き出された第2位置」においては、「スタンド71」は、「本体21の後端部」(第2の側部)の後方に引き出された位置といえる。 以上より、引用発明の「スタンド71」は、本願発明1の「前記第2の側部の後方に突出可能な脚部」に相当し、また、引用発明は、本願発明1の「前記第2の筐体は、前記第2の側部の後方に突出可能な脚部を備え」との構成を備える。 コ 引用発明の「スタンド71」は、「第1部材81」、「第2部材82」及び「第3部材83」を有し、このうち、「第1部材81」は、「一対のレール部85a,85b」と、「凹部86(収容部)」とを有するものである。 ここで、「凹部86(収容部)」は、「一対のレール部85a,85bの間に位置し、レール部85a,85bから載置面に向かう方向に窪み、載置面と略平行に延び」るものであるから、「筐体11」及び「筐体23」を支持する「脚」としての機能を備える部材の一つといえ、また、引用文献1の【図8】を参酌すると、「凹部86(収容部)」は、「本体21の後端部」(第2の側部)に対して、その幅方向に延びた形状を成している。 よって、引用発明の「凹部86(収容部)」は、本願発明1の「前記第2の筐体の幅方向に延びる脚部材」に相当する。 サ 引用発明は、「第1部材81」を構成する「一対のレール部85a、85b」に関し、 「一対のレール部85a,85bは、第1部材81の左右の端部に設けられ、第1部材81のスライド方向に延び、レール部85a,85bの下面には、第1部材81のスライド方向に延びた溝87(段差部)が設けられ、また溝87の底壁27には、同じく第1部材81のスライド方向に延びた第1孔88が設けられ、 レール部85a,85bの下方には、押さえ部材91(支持部材)が設けられ、 筐体23の上壁26の内面には、第1部材81に向いて突出してレール部85a,85bに面した支持部93(突起部)が設けられ、レール部85a,85bは、押さえ部材91と支持部93との間に挟まれて支持され、 これにより、レール部85a,85bは、押さえ部材91によって下方から支持されてスライド可能であり、」 との構成を備えることから、「一対のレール部85a、85b」は、「凹部86(収容部)」を、「筐体23」(「本体21の後端部」を含む。)にスライド可能に連結する部材といい得るものである。 よって、引用発明の「一対のレール部85a、85b」は、本願発明1の「前記脚部材と前記第2の筐体の前記第2の側部とを連結する一対のリンク部材」に相当する。 シ 引用発明の「一対のレール部85a、85b」は、前記サを参酌すると、それぞれの一方の端部において「筐体23」(「本体21の後端部」を含む。)にスライド可能に連結するものであって、かつ、引用文献1の【図8】及び【図10】を参酌すると、「筐体23」の長手方向に所定の間隔を空けて配置されている。 よって、引用発明の「一対のレール部85a、85b」における上記の連結構造と、本願発明1の「前記一対のリンク部材は、それぞれの一方の端部において、前記第2の筐体の前記第2の側部に、当該第2の側部の長手方向に所定の間隔を空けて、回動可能なように連結され」ることとは、「前記一対のリンク部材は、それぞれの一方の端部において、前記第2の筐体の前記第2の側部に、当該第2の側部の長手方向に所定の間隔を空けて、連結され」る点において共通する。 ス 引用発明は、「筐体23は、上壁26(第1壁)、底壁27(下壁、第2壁)、及び周壁28(第3壁)を有し、扁平な箱状に形成されており」及び「底壁27は、例えばドック3を机の上に置いた時に、机上面(載置面、外部載置面)に向かい合い」との構成を備えているが、ここで、「筐体23」が載置される「机上面」は、本願発明の「被載置面」に相当する。 また、引用発明は、「第1部材81は、ドック3が置かれる載置面と略平行(上壁26と略平行)に、上記第1位置と上記第2位置とに亘りスライド移動され」との構成を備え、引用文献1の【図3】を参照すれば、「スタンド71」の「第1部材81」は、前記「底壁27」と同一面を形成しているから、「スタンド71」が引き出された(後方に突出した)状態においては、「底壁27」と同様に、「机上面」(被載置面)に載置、すなわち、当接して、前記ケで述べたように、「筐体11」及び「筐体23」を支持するものとなることは明らかである。 よって、引用発明は、本願発明1の「前記脚部は、前記第2の筐体を被載置面に載置し前記脚部を前記第2の側部の後方に突出させると、前記脚部が前記被載置面と当接し前記第1の筐体及び第2の筐体を支持し」との構成を備える。 セ 引用文献の【図9】及び【図10】を参照すると、「スタンド71」は、「筐体23」の「本体21の後端部」すなわち、「第2の筐体の後側の側部」から引き出されることが見て取れるから、引用発明の「スタンド71が収容される収容部72(凹部)」は、本願発明1の「前記第2の筐体の後側の側部に設けられた凹部」に相当し、引用発明の「ドック3の筐体23の領域内に位置した第1位置」は、本願発明1の「収納状態」に相当する。 これらと、引用発明がさらに「収容部72は、筐体23の内側に向いて窪んでおり、上記第1位置では、スタンド71は、折り畳まれて、筐体23の収容部72に収容され」との構成を備えることからすると、引用発明は、本願発明1の「収納状態においては、前記第2の筐体の後側の側部に設けられた凹部に収納される」との構成を備える。 ソ 引用発明の「タブレットセット1」は、「タブレットPC」(筐体11)と、「ドック3」(筐体23)と、「一対のヒンジ部34a,34b」とを備えるから、本願発明1の「電子機器」に相当する。 (2)一致点・相違点 以上から、本願発明1と引用発明とは、以下の点において一致ないし相違する。 [一致点] 「 表示部を有する第1の筐体と、 操作部を有する第2の筐体と、 前記第1の筐体の奥行き方向の後側の第1の側部と前記第2の筐体の第2の側部とを、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが相対的に回転可能なように、連結するヒンジ部と、 を備え、 前記第1の筐体は、前記ヒンジ部に対して着脱可能に構成されたコンピュータであり、 前記第2の筐体は、前記第2の側部の後方に突出可能な脚部を備え、 前記脚部は、 前記第2の筐体の幅方向に延びる脚部材と、 前記脚部材と前記第2の筐体の前記第2の側部とを連結する一対のリンク部材と、を備え、 前記一対のリンク部材は、それぞれの一方の端部において、前記第2の筐体の前記第2の側部に、当該第2の側部の長手方向に所定の間隔を空けて、連結され、 前記第2の筐体を被載置面に載置し前記脚部を前記第2の側部の後方に突出させると、前記脚部が前記被載置面と当接し前記第1の筐体及び第2の筐体を支持し、 収納状態においては、前記第2の筐体の後側の側部に設けられた凹部に収納される、 電子機器。」 [相違点] 「一対のリンク部材」は、本願発明1は、「回動可能なように」連結される構造であるの対し、引用発明の「一対のレール部85a、85b」は、スライド可能に連結される構造である点。 (3)相違点についての判断 本願発明1と引用発明との間には上記の相違点が存在するため、本願発明1は、引用文献1に記載された発明ではない。 また、引用発明の「一対のレール部85a、85b」を、「回動可能なように」連結される構造に変更する動機付けは存在せず、また、そのような構造が、タブレットを支持するスタンドの構造として、本願優先日前の技術常識であったともいえない。 よって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)小括 以上のとおりであるから、当審第2拒絶理由の理由1(新規性)及び理由2(進歩性)はいずれも解消した。 なお、本願発明2及び3は、上記相違点に係る本願発明1の構成を備えるから、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者が引用文献1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第8 当審第1拒絶理由についての判断 1 理由1(明確性)について 本件補正により、本願発明1ないし3は、「持つとき」及び「把持」といった語句又はこれらに類する事項によって特定されたものではなくなった。 よって、理由1(明確性)は、解消した。 2 理由2(進歩性)について 前記「第7」で述べたように、本願発明1ないし3は、当業者が引用文献1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。 よって、理由2(進歩性)は、解消した。 以上のとおり、当審第1拒絶理由は、解消した、。 第9 原査定についての判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用文献Aとを対比する。 ア 引用発明Aの「液晶パネル(3)」は、本願発明1の「表示部」に相当する。 よって、引用発明Aにおいて、「液晶パネル(3)」を有する「蓋ケース(4)」は、本願発明1の「表示部を有する第1の筐体」に相当する。 イ 引用発明Aの「キーボード(1)」は、本願発明1の「操作部」に相当する。 よって、引用発明Aにおいて、「キーボード(1)」を備える「本体ケース(2)」は、本願発明1の「操作部を有する第2の筐体」に相当する。 ウ 引用発明Aは、「本体ケース(2)上面に蓋ケース(4)を起伏自在に取付ける」との構成を備えること、及び、引用文献Aの図1及び図2を参酌すれば、引用発明Aにおいて、「蓋ケース(4)」の奥行き方向の後側の側部(第1の側部)と、「本体ケース(2)」の側部(第2の側部)とが所定の連結部によって連結されることにより、「蓋ケース(4)」と「本体ケース(2)」とが起伏自在に、すなわち、相対的に回転可能なように構成されているといえる。 よって、引用発明Aの「小型パーソナルコンピュータ」と本願発明1の「前記第1の筐体の奥行き方向の後側の第1の側部と前記第2の筐体の第2の側部とを、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが相対的に回転可能なように、連結するヒンジ部」とは、「前記第1の筐体の奥行き方向の後側の第1の側部と前記第2の筐体の第2の側部とを、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが相対的に回転可能なように、連結する連結部」との構成を備える点において共通する。 エ 引用発明Aは、「前記バッテリケース(5)両側に支脚(6)(6)を固設させ、本体ケース(2)に螺着させるネジ軸(7)を前記支脚(6)の長孔(8)に係入させ、本体ケース(2)の背面側に引出し自在にバッテリケース(5)を取付け」及び「バッテリケース(5)をスタンドとして使用して本体ケース(2)後部を持上げてキーボード(1)を前傾支持する」との構成を備えることから、「バッテリケース(5)」と当該「バッテリケース(5)」を「本体ケース(2)」の後部と接続する「支脚(6)(6)」とは、「キーボード(1)」を支持する「スタンド」すなわち「脚部」として機能するものといえる。 また、引用発明Aは、「本体ケース(2)背面側にバッテリケース(5)を引出し」との構成を備え、また、引用文献Aの図1及び図2を参酌すると、引用発明Aの「バッテリケース(5)」及び「支脚(6)(6)」は、「本体ケース(2)」の側部(第2の側部)の後方に突出可能なものといえる。 よって、引用発明Aの「バッテリケース(5)」及び「支脚(6)(6)」は、本願発明1の「前記第2の筐体は、前記第2の側部の後方に突出可能な脚部」に相当する オ 前記エ及び引用文献Aの図1及び図2を参酌すると、引用発明Aの「バッテリケース(5)」は、本願発明1の「前記第2の筐体の幅方向に延びる脚部材」に相当し、引用発明Aの「支脚(6)(6)」は、本願発明1の「前記脚部材と前記第2の筐体の前記第2の側部とを連結する一対のリンク部材」に相当する。 よって、引用発明Aは、本願発明1の 「前記脚部は、 前記第2の筐体の幅方向に延びる脚部材と、 前記脚部材と前記第2の筐体の前記第2の側部とを連結する一対のリンク部材と、を備え」 る構成を備える。 カ 引用発明Aは、「前記ネジ軸(7)を中心に支脚(6)を回転させ、本体ケース(2)の底面側に変位自在にバッテリケース(5)を取付けるもので、本体ケース(2)の底面側支持ノッチ(13)に支脚(6)先端を係入させ、本体ケース(2)の底面後部にバッテリケース(5)を固定支持させ、バッテリケース(5)をスタンドとして使用して本体ケース(2)後部を持上げてキーボード(1)を前傾支持するように構成している」との構成を備え、また、引用文献Aの図1、図3及び図4を参酌すると、引用発明Aにおける「支脚(6)(6)」すなわち、1対の「支脚(6)」は、それぞれの一方の端部において、「本体ケース(2)」の側部(第2の側部)に、当該側部(第2の側部)の長手方向に所定の間隔を空けて、回動可能なように連結されているといえる。 よって、引用発明Aは、本願発明1の「前記一対のリンク部材は、それぞれの一方の端部において、前記第2の筐体の前記第2の側部に、当該第2の側部の長手方向に所定の間隔を空けて、回動可能なように連結され」る構成を備える。 キ 前記エ及びカを参酌すると、引用発明Aにおいて、「本体ケース(2)背面側にバッテリケース(5)を引出し」て、「支脚(6)を回転さ」せた状態で、「バッテリケース(5)をスタンドとして使用」し「キーボード(1)を前傾支持」することを想定している。 しかしながら、「支脚(6)を回転さ」せることなく、「本体ケース(2)背面側にバッテリケース(5)を引出し」た状態であっても、当該「引出し」をしない状態に比べて、「キーボード(1)」を有する「本体ケース(2)」とこれに連結する「蓋ケース(4)」とを支持する機能を備えることは物理的に自明である。 また、「本体ケース(2)背面側にバッテリケース(5)を引出し」た状態において、「本体ケース(2)」及び「バッテリケース(5)」は、被載置面に載置された状態あるといえる。 よって、引用発明Aは、本願発明1の「前記第2の筐体を被載置面に載置し、前記脚部を前記第2の側部の後方に突出させると、前記脚部が前記被載置面と当接し前記第1の筐体及び第2の筐体を支持」する構成を備える。 ク 引用発明Aの「小型パーソナルコンピュータ」は、本願発明1の「電子機器」に相当する。 (2)一致点・相違点 前記(1)より、本願発明1と引用発明Aとは、以下の点において一致ないし相違する。 [一致点] 「 表示部を有する第1の筐体と、 操作部を有する第2の筐体と、 前記第1の筐体の奥行き方向の後側の第1の側部と前記第2の筐体の第2の側部とを、 前記第1の筐体と前記第2の筐体とが相対的に回転可能なように、連結する連結部と、 を備え、 前記第2の筐体は、前記第2の側部の後方に突出可能な脚部を備え、 前記脚部は、 前記第2の筐体の幅方向に延びる脚部材と、 前記脚部材と前記第2の筐体の前記第2の側部とを連結する一対のリンク部材と、を備え、 前記一対のリンク部材は、それぞれの一方の端部において、前記第2の筐体の前記第2の側部に、当該第2の側部の長手方向に所定の間隔を空けて、回動可能なように連結され、 前記第2の筐体を被載置面に載置し、前記脚部を前記第2の側部の後方に突出させると、前記脚部が前記被載置面と当接し前記第1の筐体及び第2の筐体を支持する、 電子機器。」 [相違点] <相違点1> 「連結部」は、本願発明1は「ヒンジ部」であるのに対し、引用発明Aにおいては、「蓋ケース(4)」と「本体ケース(2)」とが「ヒンジ」によって連結されていることを具体的に特定していない点。 <相違点2> 前記相違点1にも関連するが、本願発明1は、「前記第1の筐体は、前記ヒンジ部に対して着脱可能に構成されたコンピュータであり」との構成を備えるのに対し、引用発明Aの「蓋ケース(4)」は、「前記ヒンジ部」に対して「着脱可能」な「コンピュータ」であると具体的に特定されていない点。 <相違点3> 本願発明1は、「前記脚部」が「収納状態においては、前記第2の筐体の後側の側部に設けられた凹部に収納される」構造を備えるのに対し、引用発明Aにおいては、「引出し」前の状態(引用文献Aの図2参照)において、「前記脚部」に相当する「バッテリケース(5)」及び「支脚(6)(6)」のうち、「バッテリケース(5)」は「本体ケース(2)」に収納される構造ではなく、また、引用発明Aの「本体ケース(2)」は、「バッテリケース(5)」を収納するための「凹部」をその後側の側部に設けるものではない点。 (3)相違点についての判断 事案に鑑みて、先に相違点3について検討する。 引用文献B記載事項にあるように、把持装置(ハンドル)が、収納状態において、筐体の前面に設けられた凹部に収納される構造は本願優先日前の周知技術といえる。 また、引用発明Aは、「該ケース(5)を携帯用ハンドルとして使用する」との構成を備えることから、引用発明Aの「バッテリケース(5)」は、ハンドルとしても使用可能なものである。 よって、引用発明Aと引用発明B記載事項とは、ハンドルの構造に関する点において、一見共通するように見える。 しかしながら、引用文献B記載事項の「把持装置」は、使用者がノートパソコンを運搬する際に把持するハンドルとして専ら機能するものであり、かつ、「第1の筐体1」の前面に設けられたものであるため、入力等の操作時には不要であり、突出した状態のままだと操作の妨げになることから、「第1の筐体1」の凹部に収納し得る構造が採用されているのであり、一方、引用発明Aの「バッテリケース(5)」は、「本体ケース(2)」の後側に設けられることから、「本体ケース(2)」から突出した状態であっても入力等の操作の妨げにはならず、操作時にはむしろ、突出した状態で「スタンド」として機能させるものであること、及び、それ自体がバッテリを収納する「ケース」としても機能することからすると、「本体ケース(2)」に突出しないように収納することが想定されるものではない。 よって、引用文献Aの「バッテリケース(5)」と引用文献B記載事項の「把持装置」とは、共通する機能を備えているとしても、前提となる基本的な構造及び技術思想が異なるといわざるを得ない。よって、引用発明Aの「バッテリケース(5)」に、引用発明B記載事項の「把持装置」を適用する動機付けが存在しない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明AないしCに記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2及び3について 本願発明2及び3は、上記相違点3に係る本願発明1の構成を備えるから、本願発明1と同様に、当業者が引用発明AないしCに記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第10 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-04-21 |
出願番号 | 特願2016-565883(P2016-565883) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(G06F)
P 1 8・ 113- WY (G06F) P 1 8・ 121- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 白石 圭吾 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
太田 龍一 林 毅 |
発明の名称 | 電子機器 |
代理人 | 鎌田 健司 |
代理人 | 野村 幸一 |