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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  H04Q
審判 全部無効 特許請求の範囲の実質的変更  H04Q
審判 全部無効 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  H04Q
審判 全部無効 特29条の2  H04Q
審判 全部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  H04Q
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04Q
管理番号 1374284
審判番号 無効2017-800017  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-02-03 
確定日 2021-05-28 
事件の表示 上記当事者間の特許第5081296号発明「通信ネットワークシステムにおけるコントロールチャネル」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5081296号の請求項1ないし16に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5081296号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成20年5月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2007年(平成19年)5月7日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、本件特許についての手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成24年7月24日付け 特許査定
平成24年9月7日 特許権の設定登録
平成29年2月3日 特許無効審判の請求及び甲第1?第5号証
の提出(請求人)
平成29年3月1日付け 手続補正指令(方式)
平成29年4月3日 手続補正書(方式)及び甲第6?第13号
証の提出(請求人)
平成29年7月18日 審判事件答弁書の提出(被請求人)
平成29年10月16日付け 審理事項通知
平成29年11月28日 口頭審理陳述要領書及び甲第14?第22
号証の提出(請求人)
平成29年11月28日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
平成29年12月18日 上申書及び甲第23号証?甲第25号証の
提出(請求人)
平成29年12月19日 口頭審理
平成30年2月9日付け 無効理由通知
平成30年3月15日 意見書の提出(請求人)
平成30年4月5日 訂正の請求及び意見書の提出(被請求人)
平成30年4月18日付け 手続補正指令(方式)
平成30年5月21日 手続補正書(方式)の提出(被請求人)
平成30年6月20日付け 訂正拒絶理由通知
平成30年8月15日 意見書の提出(被請求人)
平成30年10月26日付け 審決の予告
平成31年2月5日 訂正の請求(被請求人)

第2 平成31年2月5日になされた訂正の請求について
1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容
平成31年2月5日になされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)の趣旨は、特許第5081296号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1乃至7及び14乃至16、訂正後の請求項8乃至10、訂正後の請求項11乃至13について訂正することを求めるものである。
そして、請求項1乃至7及び14乃至16からなる一群の請求項に係る訂正(訂正事項1-19)、請求項8乃至10からなる一群の請求項に係る訂正(訂正事項20-23、訂正事項10-19)、請求項11乃至13からなる一群の請求項に係る訂正(訂正事項24-27、訂正事項10-19)の内容は、それぞれ次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。

(1)請求項1乃至7及び14乃至16からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートするステップであって、各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有し、」とあるのを、「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートする方法であって、各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有する、方法において、」に訂正する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記アロケーションは最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限することによって実行され、前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される、ステップと、」とあるのを、「ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能な最高レベルのコントロールチャネル候補を部分的に制限することによって、ユーザイクイップメントに対するアロケーションのための前記最高レベルのコントロールチャネル候補を決定するステップであって、前記最高レベルのコントロールチャネルは、前記最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される、ステップと、」に訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させるステップであって、比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の低レベルにあるノードによって表される、ステップと、」とあるのを、「前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくするように、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補を決定するステップであって、前記最高レベルよりも低い各レベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の前記最高レベルよりも低いレベルにあるノードによって表される、ステップと、」に訂正する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5に「検索は、最高レベルのコントロールチャネルに対して制限され、」とあるのを、「検索は、検索されるべき最高レベルのコントロールチャネル候補を部分的に制限して実行され、」に訂正する。

キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項5に「最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され、」とあるのを、「前記最高レベルのコントロールチャネルは、前記最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され、」に訂正する。

ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項5に「検索は、コントロールチャネルの比較的低いレベルに対して増大され、」とあるのを、「検索は、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして実行され、」に訂正する。

ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項5に「比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される、」とあるのを、「前記最高レベルよりも低い各レベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の前記最高レベルよりも低いレベルにあるノードによって表される、」に訂正する。

コ 訂正事項10
明細書の段落0034に「ここでアロケーションは最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限することによって実行され、」とあるのを、「ここでアロケーションは、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能な最高レベルのコントロールチャネル候補を部分的に制限して実行され、」に訂正する。

サ 訂正事項11
明細書の段落0035に「アロケーションセクション22は、比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大することができる。」とあるのを、「アロケーションセクション22は、最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくすることができる。」に訂正する。

シ 訂正事項12
明細書の段落0035に「比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される。」とあるのを、「最高レベルよりも低い各レベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の最高レベルよりも低いレベルにあるノードによって表される。」に訂正する。

ス 訂正事項13
明細書の段落0035に「例えば図1では、比較的低いレベルはレベル2と1により示されている。図4を参照すると、比較的低いレベルは集合レベル2、4と8により表されている。」とあるのを、「例えば図1では、最高レベルよりも低いレベルはレベル2と1により示されている。図4を参照すると、最高レベルよりも低いレベルは集合レベル2、4と8により表されている。」に訂正する。

セ 訂正事項14
明細書の段落0038に「アロケーションセクション22は、比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションをより増大する。」とあるのを、「アロケーションセクション22は、ツリー構造における、より低いレベルほど、ツリー構造において、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合をより大きくすることができる。」に訂正する。

ソ 訂正事項15
明細書の段落0039に「ここでサーチセクション12は、最高レベルのコントロールチャネルの検索を制限し、最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される。」とあるのを、「ここでサーチセクション12は、検索されるべき最高レベルのコントロールチャネル候補を部分的に制限し、最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される。」に訂正する。

タ 訂正事項16
明細書の段落0040に「サーチセクション12は、比較的低いレベルのコントロールチャネルに対する検索を増大することができる。」とあるのを、「サーチセクション12は、最高レベルよりも低い各レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合を、最高レベルにおける、検索されるべきコントロールチャネル候補の割合よりも大きくすることができる。」に訂正する。

チ 訂正事項17
明細書の段落0040に「比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される。」とあるのを、「最高レベルよりも低い各レベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の最高レベルよりも低いレベルにあるノードによって表される。」に訂正する。

ツ 訂正事項18
明細書の段落0044に「ここでアロケーションは最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限することによって実行され、」とあるのを、「ここでアロケーションは、最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補を部分的に制限して実行され、」に訂正する。

テ 訂正事項19
明細書の段落0044に「ここで検索は、最高レベルのコントロールチャネルに制限される。」とあるのを、「ここで検索は、検索されるべき最高レベルのコントロールチャネル候補を部分的に制限して実行される。」に訂正する。

(2)請求項8乃至10からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正事項20
特許請求の範囲の請求項8に「前記アロケーションユニットは、最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限するように構成されており、」とあるのを、「前記アロケーションユニットは、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能な最高レベルのコントロールチャネル候補を部分的に制限して、ユーザイクイップメントに対するアロケーションを実行するように構成されており、」に訂正する。

イ 訂正事項21
特許請求の範囲の請求項8に「前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され、」とあるのを、「前記最高レベルのコントロールチャネルは、前記最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され、」に訂正する。

ウ 訂正事項22
特許請求の範囲の請求項8に「前記アロケーションユニットは、比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大するように構成されており、」とあるのを、「前記アロケーションユニットは、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして、ユーザイクイップメントに対するアロケーションを実行するようにさらに構成されており、」に訂正する。

エ 訂正事項23
特許請求の範囲の請求項8に「前記比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される、」とあるのを、「前記最高レベルよりも低い各レベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の前記最高レベルよりも低いレベルにあるノードによって表される、」に訂正する。

オ 訂正事項10乃至19
明細書の訂正に係る訂正事項10乃至19については、上記(1)コ?テのとおりである。

(3)請求項11乃至13からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正事項24
特許請求の範囲の請求項11に「前記デコーディングユニットは、最高レベルのコントロールチャネルに対する検索を制限するように構成されており、」とあるのを、「前記デコーディングユニットは、検索されるべき最高レベルのコントロールチャネル候補を部分的に制限して検索を実行するように構成されており、」に訂正する。

イ 訂正事項25
特許請求の範囲の請求項11に「前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され、」とあるのを、「前記最高レベルのコントロールチャネルは、前記最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され、」に訂正する。

ウ 訂正事項26
特許請求の範囲の請求項11に「前記デコーディングユニットは、比較的低いレベルのコントロールチャネルに対する検索を増大するように構成されており、」とあるのを、「前記デコーディングユニットは、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして検索を実行するようにさらに構成されており、」に訂正する。

エ 訂正事項27
特許請求の範囲の請求項11に「前記比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される、」とあるのを、「前記最高レベルよりも低い各レベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の前記最高レベルよりも低いレベルにあるノードによって表される、」に訂正する。

オ 訂正事項10乃至19
明細書の訂正に係る訂正事項10乃至19については、上記(1)コ?テのとおりである。

2 訂正の適否についての判断
本件訂正請求の訂正事項1-27は、平成30年4月5日になされ、特許法第134条の2第6項の規定により取り下げられたものとみなされた先の訂正の請求の訂正事項1-27と同じである。そして、先の訂正の請求に対しては、平成30年6月20日付けで訂正拒絶理由が通知され、平成30年8月15日に被請求人から意見書が提出されている。
そこで、以下の判断においては、被請求人が提出した上記意見書においてした主張(以下、当該主張における「訂正前」及び「訂正後」は、本件訂正請求による「訂正前」及び「訂正後」と解する。)も考慮して検討する。

(1)請求項1乃至7及び14乃至16からなる一群の請求項に係る訂正について
ア 請求項1に係る訂正について
訂正事項1-3は、いずれも請求項1を訂正するものであるところ、訂正前の請求項1に係る発明は、次の2つのステップ(i)及び(ii)を含む「方法」の発明である。
(i)「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートするステップであって、各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有し、前記アロケーションは最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限することによって実行され、前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される、ステップ」(以下、「訂正前ステップ(i)」という。)、
(ii)「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させるステップであって、比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の低レベルにあるノードによって表される、ステップ」(以下、「訂正前ステップ(ii)」という。)。

そして、訂正事項1-3による訂正後の請求項1に係る発明は、
「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートする方法であって、各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有する、方法において」、次の2つのステップ(i)及び(ii)を含む「方法」の発明である。
(i)「ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能な最高レベルのコントロールチャネル候補を部分的に制限することによって、ユーザイクイップメントに対するアロケーションのための前記最高レベルのコントロールチャネル候補を決定するステップであって、前記最高レベルのコントロールチャネルは、前記最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される、ステップ」(以下、「訂正後ステップ(i)」という。)
(ii)「前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくするように、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補を決定するステップであって、前記最高レベルよりも低い各レベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の前記最高レベルよりも低いレベルにあるノードによって表される、ステップ」(以下、「訂正後ステップ(ii)」という。)。 (下線は訂正箇所を示す。)

(ア)訂正事項3について(新規事項について)
訂正後ステップ(ii)の「前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくする」ことに関連して、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)には、次の記載がある(摘記中の下線は当審において付与。)。
(a)「【0025】
図4は、図3からの平坦なツリー構造の一種を示す。図4は、種々の集合可能性(白と灰色エリアの両方)に対する潜在的コントロールチャネル候補を示す。図4から分かるように、全部で24のコントロールチャネルエレメント(CCE)がある。これらはトリガがないため、リンク方向の(すなわちダウンリンク/アップリンク)アロケーションごとに45のデコーディング試行となる。言い替えると、集合レベル1では24のコントロールチャネルエレメントが、それぞれ一つのコントロールチャネルを形成する。集合レベル2では2つのコントロールチャネルエレメントが一つのコントロールチャネルにまとめられる。集合レベル4では、4つのコントロールチャネルエレメントが一つのコントロールチャネルにまとめられ、集合レベル8では、8つのコントロールチャネルエレメントが一つコントロールチャネルにまとめられる。
【0026】
本発明の実施例によれば、図4の白と灰色のエリアにより示されたコントロールチャネル構造は、白の集合コントロールチャネル候補だけがスケジュールに使用可能であるという制限を受ける。この制限により、デコーディング試行の数は15に低減される(灰色エリアはコントロールチャネル候補の検索のためにデコードされない)。このことは係数3の低減に相当する。言い替えると、4つのコントロールチャネル候補が集合レベル1にあり、4つのコントロールチャネル候補が集合レベル2に、4つのコントロールチャネル候補が集合レベル4に、そして3つのコントロールチャネル候補が集合レベル8にある。
【0027】
上記の制限をツリー構造に課すことにより、スケジュールフレキシビリティは、以下の論点に基づきさほど低減しない。
・ユーザイクイップメントが集合レベル1だけを要求するコントロールチャネルをスケジュールするeNBに近接するユーザエクイップメントが多数存在すれば、電力の低減された集合レベル2エレメントを、電力平衡を実行する可能性があるので、より多くのユーザを持つために使用することができる。図4に示された例では、有利に条件付けられた9つのユーザをこのアプローチを使用してスケジュールすることができる。言い替えると、集合レベル1では4つのコントロールチャネルを、集合レベル2では2つのコントロールチャネルを、集合レベル4では2つのコントロールチャネルを、そして集合レベル8では1つのコントロールチャネルをスケジュールすることができる。
・スケジュールされた複数のユーザが一つのセルエッジに存在すれば(集合レベル8)、付加的ユーザをいずれにしろスケジュールすることはできない。使用可能なコントロールチャネルエレメントの数が制限されているからである。
・集合レベル間の差は係数2であるので、電力平衡を使用する場合には、集合と電力の相互間である程度のトレードフレキシビリティが存在する。」

(b)「【0034】
アロケーションセクション22はツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートし、各コントロールチャネルは少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有し、このコントロールチャネルエレメントはコントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する。ここでアロケーションは最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限することによって実行され、最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される。例えば図1では、最高レベルはレベル3により示されている。図4を参照すると、最高レベルは集合レベル1により表されている。
【0035】
アロケーションセクション22は、比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大することができる。比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される。例えば図1では、比較的低いレベルはレベル2と1により示されている。図4を参照すると、比較的低いレベルは集合レベル2、4と8により表されている。」

(c)図4は以下のとおりである。


上記段落0026の記載及び図4によれば、図4に示される実施例では、45個の潜在的コントロールチャネル候補(図4の白及び灰色の候補)のうち、15個のコントロールチャネル候補(図4の白の候補)だけがスケジュールに使用可能であり、集合レベル1(最高レベル)、集合レベル2、集合レベル4、集合レベル8の各レベルにおいて、それぞれ4個、4個、4個、3個のコントロールチャネル候補(計15個)が使用可能であることが把握できる。

しかしながら、上記図4に示される実施例では、45個の潜在的コントロールチャネル候補に対してどのような観点に基づいて制限した結果、上記図4に示される15個の使用可能なコントロールチャネル候補に至ったのかは、特許明細書等には記載も示唆もない。
よって、少なくとも、上記訂正後ステップ(ii)のように、潜在的コントロールチャネル候補に対して「各レベル」における「割合」に着目して制限することは、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項といえる。

さらに、訂正後ステップ(ii)に関連する記載として、段落0035には、「比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大することができる」とある。ここで、「増大」とは、「増えて大きくなること。数量や程度を増すこと。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味するところ、段落0035の上記記載は、「アロケーション」に関する何の数量や程度を、何に対して「増大すること」を意味するのかは明らかではないが、少なくとも、特定の対象についての指標(数量や程度)が、ある状態に対して「増大する」(「増えて大きくなる」、「増す」。)ことを意味すると解される。
しかし、上記訂正後ステップ(ii)は、使用可能なコントロールチャネル候補の「各レベル」における「割合」に着目した上で、「前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合」と、「前記最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合」という異なる対象についての大小関係を特定したものであるから、上記段落0035の記載と対応しない。
よって、各レベル間の割合の大小関係を特定した上記訂正後ステップ(ii)に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものといえる。

以上より、訂正事項3に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

被請求人は、平成30年8月15日付け意見書(「5 意見の内容」(1))において、概略次の3点を主張している。
(i)「最高レベルのコントロールチャネル候補を「制限する」ことに関し、訂正後の請求項1においては、「割合」という文言を全く用いていない」、「「割合を制限する」という記載は、一箇所たりとも含まれていない」、したがって、「「各レベル」における「割合」に着目して制限すること」を新たな技術的事項とした判断は訂正請求書及び訂正特許請求の範囲の記載に基づくものではない。
(ii)図4を参照すると、集合レベル8のコントロールチャネル候補は全て使用可能であり、さらに増大させることは物理的に不可能であることが明白であるにもかかわらず、段落0035では「アロケーションセクション22は、比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大することができる。」と説明していることからみて、「比較的低いレベルの各レベルごとにコントロールチャネル候補自体を増大し得ることを意味するものではなく、最高レベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも、比較的低いレベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の割合を大きくし得ることを意味するもの」との解釈が極めて自然かつ合理的である。
(iii)「図4を参照すると、各レベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補は、コントロールチャネル候補の個数又は割合に基づいて設定されていることが明白」であり、「各レベルにおけるコントロールチャネル候補の個数は、個別具体的な実施形態におけるコントロールチャネルエレメントの個数に応じて変動し得るものであることは明らかであるから、使用可能なコントロールチャネル候補の設定が依拠する概念として、最も普遍的かつ妥当であるのが、各レベルにおけるコントロールチャネル候補の割合であることは、自明というべき」。

そこで、まず、上記(i)について検討する。
上記段落0026の「図4の白と灰色のエリアにより示されたコントロールチャネル構造は、白の集合コントロールチャネル候補だけがスケジュールに使用可能であるという制限を受ける。この制限により、デコーディング試行の数は15に低減される(中略)、4つのコントロールチャネル候補が集合レベル1にあり、4つのコントロールチャネル候補が集合レベル2に、4つのコントロールチャネル候補が集合レベル4に、そして3つのコントロールチャネル候補が集合レベル8にある。」の記載によれば、比較的低いレベル(集合レベル2、4)のコントロールチャネル候補も「制限」を受けることが説明されている。
そして、平成29年10月16日付け審理事項通知の「1」で質問した「最高レベルのコントロールチャネルのアロケーション/検索を制限する(構成要件C)」、「比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーション/検索が増大する(構成要件E)」の解釈について、被請求人は、平成29年11月28日付け口頭審理陳述要領書の6.B.(2)において、「図4の白と灰色のエリアにより示されたコントロールチャネル構造は、白の集合コントロールチャネル候補だけがスケジュールに使用可能であるという制限を受ける。(中略)各レベルのコントロールチャネルにおけるコントロールチャネル候補の、使用が許可されている領域の比率を具体的に述べると、以下のとおりである。(中略)最高レベル(集合1)のコントロールチャネルは、コントロールチャネル候補の使用が最も高い比率で制限されており、許可比率が最も低くなっている。第2レベル(集合2)のコントロールチャネルは、コントロールチャネル候補の使用が制限されてはいるが、最高レベル(集合1)よりも許可比率が増大している。第3レベル(集合4)のコントロールチャネルは、コントロールチャネル候補の使用が制限されてはいるが、最高レベル(集合1)よりも許可比率がさらに増大している。最低レベル(集合8)のコントロールチャネルは、コントロールチャネル候補の使用が制限されておらず、最高レベル(集合1)よりも許可比率がさらに増大している。即ち、「最高レベルのコントロールチャネルのアロケーション/検索を制限する(構成要件C)」ことは、図4において、最高レベルのコントロールチャネルにおけるコントロールチャネル候補の使用が最も高い比率で制限され、許可比率が最も低くなっていることによって明確に示されている。また、「比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーション/検索が増大する(構成要件E)」ことは、図4において、第2レベル(集合2)、第3レベル(集合4)、最低レベル(集合8)のコントロールチャネルにおけるコントロールチャネル候補の使用の許可比率が最高レベル(集合1)よりも増大していることによって明確に示されている。」(第5ページ第1行?第6ページ第14行)と主張している。
そして、訂正後の請求項1を、「前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくするように、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補を決定する」と訂正した上で、平成31年2月5日に提出した訂正請求書(以下、「訂正請求書」という。)において、「図4及び明細書の段落0026には、最高レベルよりも低い各レベル2,4,8のそれぞれにおいて、スケジュール(アロケーション、検索)に使用可能なコントロールチャネル候補の割合、即ち、アロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合が、最高レベル1の当該割合と比較して、大きくされていることが明確に示されている」(第17ページ第26行?第18ページ第1行)等と主張している。
したがって、最高レベルを含む「各レベル」における「割合」(コントロールチャネル候補の使用の許可比率)に着目して制限することが新たな技術的事項であるか否かを検討したことは、被請求人の上記主張とも整合する。
そして、上記のとおり、特許明細書等には、図4の白と灰色のエリアにより示された45個の潜在的コントロールチャネル候補に対して、「各レベルにおけるコントロールチャネル候補の割合」に着目して制限した結果、図4の白のエリアにより示された15個の使用可能なコントロールチャネル候補に至ったことは、記載も示唆もない。

次に、上記(ii)及び(iii)に関し、「各レベルにおけるコントロールチャネル候補の割合」に着目して制限したと解することが合理的か否かについて検討する。
被請求人は、上記(iii)において、「図4を参照すると、各レベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補は、コントロールチャネル候補の個数又は割合に基づいて設定されていることが明白」とした上で、さらに「各レベルにおけるコントロールチャネル候補の個数は、個別具体的な実施形態におけるコントロールチャネルエレメントの個数に応じて変動し得るものである」ことを理由に、使用可能なコントロールチャネル候補の設定が依拠する概念として「割合」が妥当であるとしている。
しかし、特許明細書等には、次の記載がある(摘記中の下線は当審において付与。)。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、統合されたコントロールチャネルに対するツリー検索が系統的に低減されるように構成することである。」
「【0007】
本発明によれば、統合されたコントロールチャネルに対するツリー検索が系統的に低減される。これにより、UE(ユーザイクイップメント)側でのデコーディング試行数が格段に低減される。一方、eNB(evolved Node B)でのほとんどのスケジューリングフレキシビリティは維持される。すなわちシステムスペクトル効率 vs. UE複雑性とのトレードオフが得られる。」
上記記載によれば、本発明が、コントロールチャネルに対する検索の低減、UE(ユーザイクイップメント)側でのデコーディング試行数の低減に着目していることは明らかである。そして、検索回数、デコーディング試行数は、コントロールチャネル候補の数(個数)によって決まることも技術常識である。
また、特許明細書等の「図4から分かるように、全部で24のコントロールチャネルエレメント(CCE)がある。これらはトリガがないため、リンク方向の(すなわちダウンリンク/アップリンク)アロケーションごとに45のデコーディング試行となる。」(【0025】)、「本発明の実施例によれば、図4の白と灰色のエリアにより示されたコントロールチャネル構造は、白の集合コントロールチャネル候補だけがスケジュールに使用可能であるという制限を受ける。この制限により、デコーディング試行の数は15に低減される(灰色エリアはコントロールチャネル候補の検索のためにデコードされない)。」(【0026】)との記載をみても、使用可能なコントロールチャネル候補の個数の低減に着目していることは明らかである。
そうすると、少なくとも被請求人が主張する「各レベルにおけるコントロールチャネル候補の割合」に依拠して使用可能なコントロールチャネル候補を設定することに合理性があるとはいえないから、上記(ii)及び(iii)の主張は採用できない。

さらに、被請求人は、訂正請求書において、次のように主張している。
「本件特許発明が、使用可能なコントロールチャネル候補の個数の低減に着目していることが明らかであるならば、より多くの個数のコントロールチャネル候補を有する、より高いレベルにおいて、より多くの割合のコントロールチャネル候補の使用を制限することが、使用可能なコントロールチャネル候補の個数の低減に、より大きい効果をもたらすことは明白である。
例えば、本件特許の図4に示されるコントロールチャネル候補の構成において、仮に、全レベルでそれぞれ等しく2/3の割合のコントロールチャネル候補の使用を制限した場合、最高レベル(集合1)では16個、第2レベル(集合2)では8個、第3レベル(集合4)では4個、最低レベル(集合8)では2個のコントロールチャネル候補の使用が制限されることとなる。このように、同一の割合でコントロールチャネル候補の使用を制限した場合においても、より高いレベルでの制限が、使用可能なコントロールチャネル候補の個数の低減に、より大きい効果をもたらすのである。
従って、より高いレベルにおいて、より多くの割合のコントロールチャネル候補の使用を制限すれば、使用可能なコントロールチャネル候補の個数の低減に、さらに大きい効果をもたらすことは明白である。」(第19ページ第10行?第24行)。

しかしながら、上述のとおり、図4に示される実施例では、45個の潜在的コントロールチャネル候補に対してどのような観点に基づいて制限した結果、上記図4に示される15個の使用可能なコントロールチャネル候補に至ったのかは、特許明細書等には何ら記載されていない。
また、上記段落【0007】の記載によれば、コントロールチャネル候補の個数の低減のみならず、スケジューリングフレキシビリティにも着目していることが明らかであるから、コントロールチャネル候補の個数の低減に、より大きい効果をもたらすとしても、それだけでは、特許明細書等に記載されているに等しいということはできない。
すなわち、使用可能なコントロールチャネル候補が全体として所望の個数になるように、仮に「より多くの個数のコントロールチャネル候補を有する、より高いレベルにおいて、より多くの割合のコントロールチャネル候補の使用を制限する」とした場合、最高レベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の個数が比較的低いレベルの使用可能なコントロールチャネル候補の個数よりも少なくなって、スケジュールフレキシビリティが低減する状況が発生し得るといえる。
例えば、被請求人が主張する上記全レベルでそれぞれ等しく2/3の割合のコントロールチャネル候補の使用を制限した場合の例において、全体として15個の候補が使用可能となるように、集合4及び8での制限分を最高レベルに振り替えて、各割合を最高レベルで11/12(2個)、集合2で2/3(4個)、集合4及び8で3/3(9個)とすると、最高レベルで使用可能なコントロールチャネル候補の個数は2個となり、スケジュールフレキシビリティが低減するといえる。
そうすると、上記段落【0007】の「本発明によれば、・・・eNB(evolved Node B)でのほとんどのスケジューリングフレキシビリティは維持される。」に反することになるから、仮に「より多くの個数のコントロールチャネル候補を有する、より高いレベルにおいて、より多くの割合のコントロールチャネル候補の使用を制限する」ことで、より高いレベルのコントロールチャネル候補の個数を格段に低減し得るとしても、必ずしも特許明細書等に記載された発明がそのような制限を行うものであるとはいえない。
よって、被請求人が主張する「より多くの個数のコントロールチャネル候補を有する、より高いレベルにおいて、より多くの割合のコントロールチャネル候補の使用を制限すること」が、特許明細書等の記載から自明であるということはできない。
したがって、本発明が、使用可能なコントロールチャネル候補の個数の低減に着目しているとはいえるものの、上記訂正後ステップ(ii)のように、潜在的コントロールチャネル候補に対して「各レベル」における「割合」に着目して制限することは、特許明細書等には記載も示唆もなく、かつ、特許明細書等の記載から自明ともいえないから、訂正事項3に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものといえる。

以上より、被請求人の上記(i)?(iii)の主張及び訂正請求書の上記主張は、いずれも採用することができない。

(イ)訂正事項1-3について(特許請求の範囲の拡張又は変更について)
訂正前の請求項1に係る発明では、訂正前ステップ(i)で「最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限すること」によって「アロケーション」が「実行され」、訂正前ステップ(ii)で「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させ」ることが特定されており、この特定事項によれば、「最高レベル」及び「比較的低いレベル」の「アロケーション」は、「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させ」て実行されるものと解することができる。
他方、訂正後の請求項1に係る発明では、訂正事項1に係る訂正により、「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートする方法」であることが特定されるとともに、訂正事項3に係る訂正により、訂正前ステップ(ii)の「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させるステップ」が、訂正後ステップ(ii)の「前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくするように、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補を決定するステップ」に訂正される。
ここで、上記(ア)で被請求人の主張(i)?(iii)について検討したとおり、訂正前ステップ(ii)の「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させる」ことが、「最高レベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも、比較的低いレベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の割合を大きくし得ることを意味するもの」と解する合理的理由はない。
そして、訂正後ステップ(ii)のように、「前記最高レベル」と「前記最高レベルよりも低い各レベル」という異なる対象の「アロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合」についての大小関係を特定してアロケートしたとしても、必ずしも「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーション」が「増大」し得るとはいえない。
よって、訂正後の請求項1の冒頭に「ツリー構造のノードにより表される
コントロールチャネルをアロケートする」ことが特定されているとしても、「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させ」ることは、特定されていないといえるから、訂正事項1-3に係る訂正は、総合的にみて、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。

被請求人は、平成30年8月15日付け意見書(「5 意見の内容」(2)及び(4))において、概略次の2点を主張している。
(i)訂正後の請求項1の「前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくするように、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補を決定する」との発明特定事項に関しては、既に詳細に前述したとおり、訂正前の請求項1における発明特定事項、明細書の段落0034及び0035並びに図4の記載に明確に対応するものである。従って、『訂正前と訂正後とでは、特定事項が比較する対象が異なり、かつ、訂正後ステップ(ii)が「アロケーションを増大させる」ことについて特定がないから、訂正事項3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を変更し、かつ、拡張するものといえる。』との認定は、誤りである。
(ii)訂正後の請求項1においては、冒頭で「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートする方法」であることが明確に特定された上で、「最高レベルのコントロールチャネル候補を決定するステップ」と、「最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補を決定するステップ」とを含むことが明確に特定されているのであるから、各レベルにおけるコントロールチャネル候補を決定した上で、アロケーションを実行することは、明確に特定されている。従って、『「最高レベル」及び「比較的低いレベル」の「アロケーション」を「実行」することを発明を特定するための要件としていないことが明らかである。』との認定は、明白な誤認である。

しかし、上記(i)で主張する発明特定事項については、上記(ア)のとおり、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものといえ、上記(ii)については、「増大させ」の点を看過した主張であるから、いずれの主張も採用することはできない。

以上より、請求項1についての、訂正事項1-3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものであるといえるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

(ウ)請求項1に係る訂正についてのまとめ
上記(ア)のとおりであるから、請求項1に係る訂正事項1-3を総合的にみても、訂正事項1-3に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、かつ、上記(イ)のとおり、訂正事項1-3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。

イ 請求項5に係る訂正について
訂正事項6-9は、いずれも請求項5を訂正するものである。

(ア)訂正事項8について
a 新規事項について
訂正後の「検索は、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして実行され、」に関連する記載として、特許明細書等には、さらに次の記載がある。
「【0040】
サーチセクション12は、比較的低いレベルのコントロールチャネルに対する検索を増大することができる。比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される。」

段落0026の記載及び図4によれば、図4に示される実施例では、45個の潜在的コントロールチャネル候補(図4の白及び灰色の候補)のうち、15個のコントロールチャネル候補(図4の白の候補)だけがスケジュールに使用可能であり、ユーザイクイップメントにおける検索の回数は、集合レベル1(最高レベル)、集合レベル2、集合レベル4、集合レベル8の各レベルにおいて、それぞれ4回、4回、4回、3回(計15回)であることが把握できる。

しかしながら、上記図4に示される実施例では、45個の潜在的コントロールチャネル候補に対してどのような観点に基づいて制限した結果、15個の「検索」されるべきコントロールチャネル候補に至ったのかは、特許明細書等には記載も示唆もない。
そして、少なくとも、上記訂正後の「検索は、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして実行され、」のように、検索されるべきコントロールチャネル候補の「各レベル」における「割合」に着目して検索されるべき候補を制限することは、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項といえる。

さらに、段落0040には、「サーチセクション12は、比較的低いレベルのコントロールチャネルに対する検索を増大することができる」とある。ここで、「増大」とは、「増えて大きくなること。数量や程度を増すこと。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味するところ、段落0040の上記記載からは、「検索」に関する何の数量や程度を、何に対して「増大すること」を意味するのかは明らかでなく、また、段落0025?0027、図4の記載を参照しても、比較的低いレベルのコントロールチャネル候補の使用が制限されることはあっても「増大」することはないから、検索も「増大」することもないといえ、上記段落0040の「検索を増大すること」が何を意味するのか明らかでない。
しかし、訂正事項8に係る訂正は、検索されるべきコントロールチャネル候補の「各レベル」における「割合」に着目した上で、最高レベルよりも低い各レベルにおける割合と、最高レベルにおける割合という異なる対象についての大小関係を特定したものであって、「検索」に関する何らかの指標が何らかの状態から増大することを特定したものではないから、少なくとも、上記段落0040にいう「検索を増大すること」に対応しないことは明らかである。
よって、各レベル間の割合の大小関係を特定した上記訂正事項8に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものといえる。

被請求人は、平成30年8月15日付け意見書(「5 意見の内容」の(6))において、概略次の3点を主張している。
(i)「検索されるべき最高レベルのコントロールチャネル候補を「制限する」ことに関し、訂正後の請求項5においては、「割合」という文言を全く用いていない」、「「割合を制限する」という記載は、一箇所たりとも含まれていない」、したがって、「検索されるべきコントロールチャネル候補の「各レベル」における「割合」に着目して検索されるべき候補を制限すること」を新たな技術的事項とした判断は訂正請求書及び訂正特許請求の範囲の記載に基づくものではない。
(ii)図4を参照すると、集合レベル8のコントロールチャネル候補は全て使用可能であり、さらに増大させることは物理的に不可能であることが明白であるにもかかわらず、段落0040に対応する段落0035の記載は、集合レベル8のコントロールチャネル候補も、例外とはせず、当該記載の対象としていることからみて、「検索されるべき最高レベルのコントロールチャネル候補の割合よりも、比較的低いレベルにおいて検索されるべきコントロールチャネル候補の割合を大きくし得ることを意味するもの」との解釈が極めて自然かつ合理的である。
(iii)「図4を参照すると、各レベルにおいて検索されるべきコントロールチャネル候補は、コントロールチャネル候補の個数又は割合に基づいて設定されていることが明白」であり、「各レベルにおけるコントロールチャネル候補の個数は、個別具体的な実施形態におけるコントロールチャネルエレメントの個数に応じて変動し得るものであることは明らかであるから、検索されるべきコントロールチャネル候補の設定が依拠する概念として、最も普遍的かつ妥当であるのが、各レベルにおけるコントロールチャネル候補の割合であることは、自明というべき」。

そこで、上記(i)について検討する。
上記ア(ア)で述べたとおり、上記段落0026の「図4の白と灰色のエリアにより示されたコントロールチャネル構造は、白の集合コントロールチャネル候補だけがスケジュールに使用可能であるという制限を受ける。この制限により、デコーディング試行の数は15に低減される(中略)、4つのコントロールチャネル候補が集合レベル1にあり、4つのコントロールチャネル候補が集合レベル2に、4つのコントロールチャネル候補が集合レベル4に、そして3つのコントロールチャネル候補が集合レベル8にある。」の記載によれば、比較的低いレベル(集合レベル2、4)のコントロールチャネル候補についても、「制限」によってデコーディング試行の数が低減されることが説明されている。
そして、平成29年10月16日付け審理事項通知の「1」で質問した「最高レベルのコントロールチャネルのアロケーション/検索を制限する(構成要件C)」、「比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーション/検索が増大する(構成要件E)」の解釈について、被請求人は、平成29年11月28日付け口頭審理陳述要領書の6.B.(2)において、「図4の白と灰色のエリアにより示されたコントロールチャネル構造は、白の集合コントロールチャネル候補だけがスケジュールに使用可能であるという制限を受ける。(中略)各レベルのコントロールチャネルにおけるコントロールチャネル候補の、使用が許可されている領域の比率を具体的に述べると、以下のとおりである。(中略)即ち、「最高レベルのコントロールチャネルのアロケーション/検索を制限する(構成要件C)」ことは、図4において、最高レベルのコントロールチャネルにおけるコントロールチャネル候補の使用が最も高い比率で制限され、許可比率が最も低くなっていることによって明確に示されている。また、「比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーション/検索が増大する(構成要件E)」ことは、図4において、第2レベル(集合2)、第3レベル(集合4)、最低レベル(集合8)のコントロールチャネルにおけるコントロールチャネル候補の使用の許可比率が最高レベル(集合1)よりも増大していることによって明確に示されている。」(第5ページ第1行?第6ページ第14行)と主張している。
そして、訂正後の請求項5を、「検索は、コントロールチャネルの比較的低いレベルに対して増大され、」とあるのを、「検索は、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして実行され、」と訂正した上で、訂正請求書において、「図4においては、最高レベルよりも低い各レベル2,4,8のそれぞれにおいて、スケジュール(アロケーション、検索)に使用可能なコントロールチャネル候補の割合、即ち、検索されるべきコントロールチャネル候補の割合が、最高レベル1の当該割合と比較して、大きくされていることが明確に示されている」(第27ページ第17行?第20行)等と主張している。
したがって、最高レベルを含む「各レベル」における「割合」に着目して制限することが新たな技術的事項であるか否かを検討したことは、上記被請求人の主張とも整合する。
そして、上記のとおり、図4に示される実施例では、45個の潜在的コントロールチャネル候補に対して、「各レベルにおけるコントロールチャネル候補の割合」に着目して制限した結果、上記図4に示される15個の検索されるべきコントロールチャネル候補に至ったことは、特許明細書等には記載も示唆もないから、訂正事項8に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項といえる。

また、(ii)及び(iii)についても、上記ア(ア)で述べたとおり、被請求人が主張する「各レベルにおけるコントロールチャネル候補の割合」に依拠して検索されるべきコントロールチャネル候補を設定することに合理性があるとはいえないから、上記(ii)及び(iii)の主張は採用できない。

さらに、被請求人は、訂正請求書において、次のように主張している。
「本件特許発明が、検索されるべきコントロールチャネル候補の個数の低減に着目していることが明らかであるならば、より多くの個数のコントロールチャネル候補を有する、より高いレベルにおいて、より多くの割合のコントロールチャネル候補の使用を制限することが、検索されるべきコントロールチャネル候補の個数の低減に、より大きい効果をもたらすことは明白である。
例えば、本件特許の図4に示されるコントロールチャネル候補の構成において、仮に、全レベルでそれぞれ等しく2/3の割合のコントロールチャネル候補の使用を制限した場合、最高レベル(集合1)では16個、第2レベル(集合2)では8個、第3レベル(集合4)では4個、最低レベル(集合8)では2個のコントロールチャネル候補の使用が制限されることとなる。このように、同一の割合でコントロールチャネル候補の使用を制限した場合においても、より高いレベルでの制限が、検索されるべきコントロールチャネル候補の個数の低減に、より大きい効果をもたらすのである。
従って、より高いレベルにおいて、より多くの割合のコントロールチャネル候補の使用を制限すれば、検索されるべきコントロールチャネル候補の個数の低減に、さらに大きい効果をもたらすことは明白である。」(第28ページ第28行?第29ページ第13行)。

しかしながら、上述のとおり、図4に示される実施例では、45個の潜在的コントロールチャネル候補に対してどのような観点に基づいて制限した結果、上記図4に示される15個の使用可能なコントロールチャネル候補に至ったのかは、特許明細書等には何ら記載されていない。
また、上記段落【0007】の記載によれば、コントロールチャネル候補の個数の低減のみならず、スケジューリングフレキシビリティにも着目していることが明らかであるから、コントロールチャネル候補の個数の低減に、より大きい効果をもたらすとしても、それだけでは、特許明細書等に記載されているに等しいということはできない。
すなわち、検索されるべきコントロールチャネル候補が全体として所望の個数になるように、仮に「より多くの個数のコントロールチャネル候補を有する、より高いレベルにおいて、より多くの割合のコントロールチャネル候補の使用を制限する」とした場合、最高レベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の個数が比較的低いレベルの使用可能なコントロールチャネル候補の個数よりも少なくなって、スケジュールフレキシビリティが低減する状況が発生し得るといえる。
例えば、被請求人が主張する上記全レベルでそれぞれ等しく2/3の割合のコントロールチャネル候補の使用を制限した場合の例において、全体として15個の候補が使用可能となるように、集合4及び8での制限分を最高レベルに振り替えて、各割合を最高レベルで11/12(2個)、集合2で2/3(4個)、集合4及び8で3/3(9個)とすると、最高レベルで使用可能なコントロールチャネル候補の個数は2個となり、スケジュールフレキシビリティが低減するといえる。
そうすると、上記段落【0007】の「本発明によれば、・・・eNB(evolved Node B)でのほとんどのスケジューリングフレキシビリティは維持される。」に反することになるから、仮に「より多くの個数のコントロールチャネル候補を有する、より高いレベルにおいて、より多くの割合のコントロールチャネル候補の使用を制限する」ことで、より高いレベルのコントロールチャネル候補の個数を格段に低減し得るとしても、必ずしも特許明細書等に記載された発明がそのような制限を行うものであるとはいえない。
よって、被請求人が主張する「より多くの個数のコントロールチャネル候補を有する、より高いレベルにおいて、より多くの割合のコントロールチャネル候補の使用を制限すること」が、特許明細書等の記載から自明であるということはできない。
したがって、本発明が、検索されるべきコントロールチャネル候補の個数の低減に着目しているとはいえるものの、上記訂正後の「検索は、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして実行され、」とすることは、特許明細書等には記載も示唆もなく、かつ、特許明細書等の記載から自明ともいえないから、訂正事項8に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加するものといえる。

よって、被請求人の訂正請求書における上記主張は採用できない。

以上より、訂正事項8に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項8に係る訂正により、訂正前の「検索は、コントロールチャネルの比較的低いレベルに対して増大され、」は、訂正後の「検索は、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして実行され、」に訂正される。
ここで、訂正前の「検索は、コントロールチャネルの比較的低いレベルに対して増大され、」が技術的に何を特定したものかは不明確であるが、少なくとも「増大」とは、特定の対象の数量が特定の状態から増大するものといえる。
他方、訂正後の記載によれば、「前記最高レベル」及び「前記最高レベルよりも低い各レベル」における「検索されるべきコントロールチャネル候補の割合」について、「前記最高レベル」に対して「前記最高レベルよりも低い各レベル」の方を「大きくする」ことを特定している。
そうすると、訂正前の「増大され」と訂正後の「大きくして」とでは、比較する対象が変更されているといえるから、訂正事項8に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。
なお、仮に、訂正事項8が、訂正後にいう「前記最高レベルよりも低い各レベル・・・の割合を、前記最高レベル・・・の割合よりも大きくして実行され」る結果、訂正前にいう「検索は、・・・増大され」るものと解釈した場合、訂正後にいう「前記最高レベルよりも低い各レベル・・・の割合を、前記最高レベル・・・の割合よりも大きいくして実行」したとしても、「前記最高レベルよりも低い各レベル」の検索されるべきコントロールチャネル候補の数は、潜在的なコントロールチャネル候補の数と同じかより少ないといえるから、「検索」が「増大」することはない。よって、上記のように解釈することはできない。
したがって、訂正事項8に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものといえ、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

被請求人は、平成30年8月15日付け意見書(「5 意見の内容」の(7))において、訂正後の請求項5の「検索は、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける検索されるべきコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして実行され」との発明特定事項、及び、訂正事項8が、訂正前の「増大され」を訂正後の「大きくして」に訂正するものと解釈しても、比較する対象を変更するものではないことに関しては、既に詳細に前述したとおり、訂正前の請求項5における発明特定事項、明細書の段落0034、0035、0039及び0040並びに図4の記載に明確に対応するものであると主張するが、上記aで述べたとおりであるから、被請求人の主張は採用できない。

(イ)請求項5に係る訂正についてのまとめ
上記(ア)のとおりであるから、請求項5に係る訂正事項6-9を総合的にみても、訂正事項6-9に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。

ウ 明細書の訂正について
(ア)訂正事項11について
a 新規事項について
訂正事項11に係る訂正は、請求項1に係る訂正事項3に対応して明細書の段落0035の記載を訂正するものであって、上記ア(ア)と同様の理由により、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項11に係る訂正は、請求項1に係る訂正事項3に対応して明細書の段落0035の記載を訂正するものであって、上記ア(イ)と同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。
よって、訂正事項11に係る訂正は、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

(イ)訂正事項14について
a 新規事項について
訂正事項14に係る訂正に関連して、特許明細書等には、さらに次の記載がある(摘記中の下線は当審において付与。)。

「【0038】
アロケーションセクション22は、比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションをより増大する。」

「【請求項4】
請求項1記載の方法であって、
比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションがより増大される、方法。」

しかしながら、上記ア(ア)のとおり、特許明細書等には、どのような観点に基づいて各レベルのコントロールチャネル候補を制限した結果、上記図4に示される実施例に至ったのかは、記載も示唆もないから、訂正事項14に係る訂正の前提となる、使用可能なコントロールチャネル候補の「各レベル」における「割合」に着目して、各レベルの使用可能なコントロールチャネル候補を制限することは読み取れない。さらに、段落0038の「アロケーションセクション22は、比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションをより増大する」との記載、訂正前の上記請求項4の「比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションがより増大される」との記載及び図4をみても、使用可能なコントロールチャネル候補の「各レベル」における「割合」という異なる対象についてのそれぞれの大小関係に着目して、「ツリー構造における、より低いレベルほど、ツリー構造において、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合をより大きくすること」は読み取れない。

よって、訂正事項14に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

被請求人は、平成30年8月15日付け意見書(「5 意見の内容」の(11))において、段落0035の「アロケーションセクション22は、比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大することができる。」との記載が、最高レベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも、比較的低いレベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の割合を大きくし得ることを意味するものであり、段落0038の「比較的低いレベル」との文言が、「低いレベル」の比較級として記載されたものであることを考慮すれば、段落0038の記載が、「最高レベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の割合に対して、より低いレベルほど、使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、より大きくすることを意味するものであることは、特に図4を参照することによって、明確に読み取ることができると主張している。

しかし、上記ア(ア)で述べたとおり、そもそも「各レベルにおけるコントロールチャネル候補の割合」に依拠して検索されるべきコントロールチャネル候補を設定することに合理性があるとはいえないから、被請求人の上記主張は採用できない。

また、被請求人の訂正請求書における主張(第46ページ第1行?第22行)についても、上記ア(ア)で述べたとおり、採用できない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項14に係る訂正は、請求項1に係る訂正事項3及び請求項5に係る訂正事項8に関連する訂正前の段落0038の記載を訂正するものであって、上記aのとおり、新たな技術的事項を導入するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものといえ、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

(ウ)訂正事項16について
a 新規事項について
訂正事項16に係る訂正は、請求項5に係る訂正事項8に対応して訂正前の段落0040の記載を訂正するものであって、上記イ(ア)aと同様の理由により、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項16に係る訂正は、請求項5に係る訂正事項8に対応して訂正前の段落0040の記載を訂正するものであって、上記イ(ア)bと同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものといえるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

エ 小括
上記ア?ウのとおりであるから、請求項1乃至7及び14乃至16からなる一群の請求項における、訂正事項3、8、11、14、16に係る訂正の請求は、認められない。

(2)請求項8乃至10からなる一群の請求項に係る訂正について
ア 請求項8に係る訂正について
訂正事項20-23は、いずれも請求項8を訂正するものである。

(ア)訂正事項22について
a 新規事項について
訂正事項22に係る訂正は、使用可能なコントロールチャネル候補の「各レベル」における「割合」に着目して、「最高レベルよりも低い各レベル」におけるユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の「割合」を、「最高レベル」における同「割合」よりも大きくして、ユーザイクイップメントに対するアロケーションを実行するものといえる。

しかしながら、上記(1)ア(ア)と同様の理由により、少なくとも、上記段落0035にいう「アロケーションを増大すること」が、レベル毎の割合という異なる対象の大小関係を定めてアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補を決定することを意味するものと解することはできないから、上記訂正前の「比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大する」ことを、訂正後の「前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして、ユーザイクイップメントに対するアロケーションを実行する」とすることは、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

よって、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項22に係る訂正により、訂正前の「前記アロケーションユニットは、比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大するように構成されており、」は、訂正後の「前記アロケーションユニットは、前記最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、前記最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして、ユーザイクイップメントに対するアロケーションを実行するようにさらに構成されており、」に訂正される。

ここで、上記(1)ア(ア)で被請求人の主張(i)?(iii)について検討したのと同様に、訂正前の「比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大する」ことが、「最高レベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも、比較的低いレベルにおいて使用可能なコントロールチャネル候補の割合を大きくし得ることを意味するもの」と解する合理的理由はない。
そして、訂正後のように「前記最高レベル」と「前記最高レベルよりも低い各レベル」という異なる対象の「アロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合」についての大小関係を特定してアロケートしたとしても、必ずしも「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーション」が「増大」し得るとはいえない。
よって、訂正後の請求項8には、「比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大する」ことは、特定されていないといえるから、訂正事項22に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。

以上より、訂正事項22に係る訂正は、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

(イ)請求項8に係る訂正についてのまとめ
上記(ア)のとおりであるから、請求項8に係る訂正事項20-23を総合的にみても、訂正事項20-23に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。

イ 明細書の訂正について
(ア)訂正事項11について
a 新規事項について
訂正事項11に係る訂正は、請求項8に係る訂正事項22に対応して明細書の段落0035の記載を訂正するものであって、上記(1)ア(ア)と同様の理由により、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項11に係る訂正は、訂正前の請求項8の「前記アロケーションユニットは、比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大するように構成されており、」に関連し、訂正事項11に係る訂正により、訂正前の「アロケーションセクション22は、比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大することができる。」は、訂正後の「アロケーションセクション22は、最高レベルよりも低い各レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を、最高レベルにおける、ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくすることができる。」に訂正される。

そして、訂正事項11に係る訂正は、上記ア(ア)bと同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

(イ)訂正事項14について
a 新規事項について
訂正事項14に係る訂正は、請求項8に係る訂正事項22に関連する訂正前の段落0038の記載を訂正するものであって、上記(1)ウ(イ)aと同様の理由により、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項14に係る訂正は、請求項8に係る訂正事項22に関連する訂正前の段落0038の記載を訂正するものであって、上記aのとおり、新たな技術的事項を導入するものであって、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものといえ、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

(ウ)訂正事項16について
a 新規事項について
訂正事項16に係る訂正は、請求項8に係る訂正事項22に関連する訂正前の段落0040の記載を訂正するものであって、上記(1)イ(ア)aと同様の理由により、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項16に係る訂正は、請求項8に係る訂正事項22に関連する訂正前の段落0040の記載を訂正するものであって、上記aのとおり、新たな技術的事項を導入するものであるから、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものといえ、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

ウ 小括
上記ア及びイのとおりであるから、請求項8乃至10からなる一群の請求項における、訂正事項22、11、14、16に係る訂正の請求は、認められない。

(3)請求項11乃至13からなる一群の請求項に係る訂正について
ア 請求項11に係る訂正について
訂正事項24-27は、いずれも請求項11を訂正するものである。

(ア)訂正事項26
a 新規事項について
訂正事項26に係る訂正は、上記(1)イ(ア)aと同様の理由により、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項26に係る訂正は、請求項11の「デコーディングユニット」の構成に関するものであるが、上記(1)イ(ア)bと同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものであり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

(イ)請求項11に係る訂正についてのまとめ
上記(ア)のとおりであるから、請求項11に係る訂正事項24-27を総合的にみても、訂正事項24-27に係る訂正は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。

イ 明細書の訂正について
(ア)訂正事項11について
a 新規事項について
訂正事項11に係る訂正は、請求項11に係る訂正事項26に関連する訂正前の段落0035の記載を訂正するものであって、上記(1)ア(ア)と同様の理由により、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項11に係る訂正は、請求項11に係る訂正事項26に関連する訂正前の段落0035の記載を訂正するものであって、上記aのとおり、新たな技術的事項を導入するものであるから、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものといえ、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

(イ)訂正事項14について
a 新規事項について
訂正事項14に係る訂正は、請求項11に係る訂正事項26に関連する訂正前の段落0038の記載を訂正するものであって、上記(1)ウ(イ)aと同様の理由により、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項14に係る訂正は、請求項11に係る訂正事項26に関連する訂正前の段落0038の記載を訂正するものであって、上記aのとおり、新たな技術的事項を導入するものであるから、その結果、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものといえ、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

(ウ)訂正事項16について
a 新規事項について
訂正事項16に係る訂正は、請求項11に係る訂正事項26に対応して明細書の段落0040の記載を訂正するものであって、上記(1)イ(ア)aと同様の理由により、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。

b 特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項16に係る訂正は、請求項11に係る訂正事項26に対応して明細書の段落0040の記載を訂正するものであって、上記(1)ウ(ウ)bと同様に、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものといえるから、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合しない。

ウ 小括
上記ア及びイのとおりであるから、請求項11乃至13からなる一群の請求項における、訂正事項26、11、14、16に係る訂正の請求は、認められない。

(4)まとめ
上記(1)?(3)より、訂正事項3、8、11、14、16、22、26を含む、請求項1乃至7及び14乃至16からなる一群の請求項、請求項8乃至10からなる一群の請求項、並びに、請求項11乃至13からなる一群の請求項についての訂正請求は、認められない。

3 本件訂正請求についてのまとめ
上記2のとおりであるから、本件訂正請求における、請求項1乃至7及び14乃至16からなる一群の請求項に係る訂正(訂正事項1-19)、請求項8乃至10からなる一群の請求項に係る訂正(訂正事項20-23、訂正事項10-19)、請求項11乃至13からなる一群の請求項に係る訂正(訂正事項24-27、訂正事項10-19))は、いずれも認められない。

第3 本件特許発明
上記「第2」で述べたとおり、平成31年2月5日になされた訂正の請求は認められないから、本件特許発明は、特許第5081296号として登録された特許請求の範囲の請求項1乃至16に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件特許発明1」乃至「本件特許発明16」という。)。

「【請求項1】
ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートするステップであって、各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有し、前記アロケーションは最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限することによって実行され、前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される、ステップと、
コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させるステップであって、比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の低レベルにあるノードによって表される、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
アロケートされたコントロールチャネルをユーザイクイップメントに、アロケートされたコントロールチャネルをシステムバンド幅にわたりサブキャリアに分散することによって送信するステップをさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、
比較的高いレベルのコントロールチャネルは、比較的低いレベルのコントロールチャネルと組み合わされる、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、
比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションがより増大される、方法。
【請求項5】
ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをデコーディングすることによって、および、識別子を使用することによって、コントロールチャネルを検索するステップを含み、
各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有し、
検索は、最高レベルのコントロールチャネルに対して制限され、
最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され、
検索は、コントロールチャネルの比較的低いレベルに対して増大され、
比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される、
方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法であって、
コントロールチャネルはネットワークデバイスから受信される、方法。
【請求項7】
請求項5または6記載の方法であって、
検索は、最低レベルのコントロールチャネルから開始され、
最低レベルのコントロールチャネルはツリー構造の最低レベルにあるノードにより表される、方法。
【請求項8】
ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートするように構成されているアロケーションユニットを備え、
各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有し、
前記アロケーションユニットは、最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限するように構成されており、
前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され、
前記アロケーションユニットは、比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大するように構成されており、
前記比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される、
デバイス。
【請求項9】
請求項8記載のデバイスであって、
アロケートされたコントロールチャネルをユーザイクイップメントに、アロケートされたコントロールチャネルをシステムバンド幅にわたりサブキャリアに分散することによって送信するように構成されている送信ユニットを備える、デバイス。
【請求項10】
請求項8または9記載のデバイスであって、
eNBを含む、デバイス。
【請求項11】
ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをデコードすることによって、および、識別子を使用することによって、コントロールチャネルを検索するように構成されているデコーディングユニットを備え、
各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有し、
前記デコーディングユニットは、最高レベルのコントロールチャネルに対する検索を制限するように構成されており、
前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され、
前記デコーディングユニットは、比較的低いレベルのコントロールチャネルに対する検索を増大するように構成されており、
前記比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される、
デバイス。
【請求項12】
請求項11記載のデバイスであって、
コントロールチャネルをネットワークデバイスから受信するように構成された受信ユニットをさらに備える、デバイス。
【請求項13】
請求項11または12記載のデバイスであって、
ユーザイクイップメントをさらに備える、デバイス。
【請求項14】
コンピュータプログラムが処理デバイスで実行されるときに、請求項1から7までのいずれか一項記載のステップを実行するためのソフトウエアコード部分を有する、処理デバイス用のコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14記載のコンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項16】
請求項14記載のコンピュータプログラムであって、
コンピュータプログラムは、処理デバイスの内部メモリに直接ロード可能である、コンピュータプログラム。」

第4 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、審判請求書において、「特許第5081296号の請求項1乃至16に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めている。

2 証拠方法
請求人は、証拠方法として、以下の甲第1号証?甲第25号証を提出している(各甲号証の表記については、当審が証拠に基づいて記載したものである。)。そして、第1回口頭審理調書(期日:平成29年12月19日)のとおり、甲第1号証ないし甲第22号証の文書の成立、甲第1号証の優先権主張の有効性及び出願人同一の要件、並びに、甲第3号証ないし甲第5号証の公知日については、争いはない。なお、甲第23号証?甲第25号証は、口頭審理前日の平成29年12月18日に上申書とともに提出された。

甲第1号証:国際公開第2008/081004号
甲第2号証:国際公開第2008/136616号
甲第3号証:Nokia, “Structure and transport of the Downlink Control Channels”, 3GPP TSG RAN WG1 #48 Meeting R1-071003, 2007年2月6日, pages 1-8
甲第4号証:LG Electronics, “PDCCH design principles”, 3GPP TSG RAN WG1 #48bis Meeting R1-071548, 2007年4月3日, pages 1-3
甲第5号証:Samsung, “Restriction on PDCCH monitoring set”, 3GPP TSG RAN WG1 #49 Meeting R1-072220, 2007年5月2日, pages 1-3:
甲第6号証:甲第1号証の優先権証明書(US11/651,012)
甲第7号証:世界知的所有権機関のウェブページ
(https://patentscope.wipo.int/search/ja/detail.jsf?docId=WO2008081004&redirectedID)
甲第8号証:甲第2号証の優先権証明書(KR10-2007-0042817)
甲第9号証:世界知的所有権機関のウェブページ
(https://patentscope.wipo.int/search/ja/detail.jsf?docId=WO2008136616&redirectedID)
甲第10号証:3GPPのウェブページ
(http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_48/Docs/)
甲第11号証:3GPPのウェブページ
(http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_48b/Docs/)
甲第12号証:3GPPのウェブページ
(http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs/)
甲第13号証:世界知的所有権機関のウェブページ
(https://patentscope.wipo.int/search/ja/detail.jsf?docId=WO2008135575&redirectedID)
甲第14号証:米国特許出願に関する権利の譲渡を証明する譲渡証(US60/878,079及びUS11/651,012)
甲第15号証:3GPPのウェブページ(FAQ)
甲第16号証:不服2015-19282号事件の審決
甲第17号証:NTT DOCOMO, “Views on CSI reporting Scheme Based on Double Codebook Structure for LTE-Advanced”, 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #61 R1-103259,May 10-14,2010
甲第18号証:3GPPのウェブページ(http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_61/Docs/)
甲第19号証:甲第3号証の寄書に係る電子メールエクスプローダーの画面
甲第20号証:甲第4号証の寄書に係る電子メールエクスプローダーの画面
甲第21号証:甲第5号証の寄書に係る電子メールエクスプローダーの画面
甲第22号証:中華人民共和国の特許第200880022707.5号の無効審判請求審査決定書(第31676号)
甲第23号証:欧州特許第1990926号の特許権侵害訴訟における公開弁論の調書(第2 O148/16号)
甲第24号証:欧州特許第1990926号の無効訴訟の訴状
甲第25号証:欧州特許出願公開第1988667号明細書

3 請求人の主張の概要
審判請求書、平成29年11月28日付け口頭審理陳述要領書、平成30年3月15日付け意見書によれば、請求人の主張の概要は以下のとおりである。
(1)無効理由1
本件特許発明1?16は、本件特許の優先日後に国際公開され、日本国特許庁に翻訳文が提出された国際特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(甲第1号証)に記載された発明(以下「甲1発明」という。)と同一である。そして、甲1発明は、甲第1号証の優先権証明書である甲第6号証に示される、米国出願11/651012(出願日:2007年(平成19年)1月9日)の願書に最初に添付した明細書、請求の範囲又は図面にも記載されているから、上記国際特許出願の優先日は、本件特許の優先日(平成19年5月7日)より前である。よって、本件特許発明1?16は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(2)無効理由2
本件特許発明1?16は、本件特許の優先日後に国際公開され、日本国特許庁に翻訳文が提出された国際特許出願の国際出願日における国際出願の明細書,特許請求の範囲又は図面(甲第2号証)に記載された発明(以下「甲2発明」という。)と同一である。そして、甲2発明は、甲2号証の優先権証明書である甲第8号証に示される、韓国出願10-2007-0042817(出願日:2007年(平成19年)5月2日)の願書に最初に添付した明細書,請求の範囲又は図面にも記載されているから、上記国際特許出願の優先日は、本件特許の優先日(平成19年5月7日)より前である。よって、本件特許発明1?16は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(3)無効理由3
本件特許発明1?16は、甲第3号証に記載された発明(以下「甲3発明」という。)と同一、又は甲3発明及び甲第4号証若しくは甲第5号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(4)無効理由4
本件特許発明1?16は、甲第4号証に記載された発明(以下「甲4発明」という。)と同一、又は甲4発明及び甲第3号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(5)無効理由5
本件特許発明1?16は、甲第5号証に記載された発明(以下「甲5発明」という。)と同一、又は甲5発明及び甲第3号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

第5 無効理由通知の概要
平成30年2月9日付け無効理由通知の概要は、以下のとおりである。
(1)無効理由6
本件特許発明1?16は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

(2)無効理由7
本件特許発明1?16は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

特許請求の範囲の記載が不明確であり、請求項1?16に係る特許発明を把握できないから、請求人が主張する無効理由1?5については判断していない。

第6 被請求人の主張の概要
1 答弁の趣旨
被請求人は、審判事件答弁書において、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めている。

2 被請求人の主張の概要
平成29年7月18日付け審判事件答弁書、平成29年11月28日付け口頭審理陳述要領書及び平成30年4月5日付け意見書によれば、上記無効理由1?7に対する被請求人の主張の概要は以下のとおりである。

(1)無効理由1
本件特許発明1?16は、甲1発明と同一の発明ではないから、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものではなく、その特許は同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効とされるべきものではない。

(2)無効理由2
本件特許発明1?16は、甲2発明と同一の発明ではないから、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものではなく、その特許は同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効とされるべきものではない。

(3)無効理由3
本件特許発明1?16は、甲3発明と同一の発明ではなく、甲3発明及び甲第4号証若しくは甲第5号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもなく、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効とされるべきものではない。

(4)無効理由4
本件特許発明1?16は、甲4発明と同一の発明ではなく、甲4発明及び甲第3号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもなく、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効とされるべきものではない。

(5)無効理由5
本件特許発明1?16は、甲5発明と同一の発明ではなく、甲5発明及び甲第3号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもなく、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効とされるべきものではない。

(6)無効理由6及び7
無効理由6及び7は、平成31年2月5日になされた訂正の請求による訂正後の特許請求の範囲及び明細書においては解消している。

第7 当合議体の判断
事案に鑑み、無効理由6及び7について検討する。
1 無効理由6について
(1)無効理由6-1(請求項1?4、請求項14?16について)
本件特許発明1は、以下の2つのステップを含む方法の特許発明である。
(i)「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートするステップであって、・・・前記アロケーションは最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限することによって実行され、前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される、ステップ」
(ii)「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させるステップであって、比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の低レベルにあるノードによって表される、ステップ」

しかしながら、「アロケーションを制限することによって実行」すること、「アロケーションを増大させる」ことが、それぞれ何を意味するのかが不明確である。このため、上記2つのステップで特定される方法の特許発明において、上記(ii)の「アロケーションを増大させる」ステップが、上記(i)のステップで実行したアロケーションに対して、何をすることを意味するのかが不明確である。
また、「増大」とは、「増えて大きくなること。数量や程度を増すこと。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味するところ、発明の詳細な説明及び図面(特に、上記段落【0025】?【0027】及び図4)の記載を参照しても、上記(ii)の「アロケーションを増大させる」ことが、「アロケーション」に関する何の数量や程度を、何に対して「増大させる」ことを意味するのかが不明確である。

したがって、本件特許発明1についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
同様に、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2?4及び請求項14?16に係る本件特許発明2?4及び14?16についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

上記(i)、(ii)に関連して、平成29年7月18日付け答弁書の第17ページ第16行?第18行によれば、被請求人は、「本件特許発明においては、ツリー構造が特定の制限に対する対象であり、ここでは、ツリー構図の少数のノードのみがコントロールチャネル候補として使用可能であることが決定される。」と主張している。また、平成29年11月28日付け口頭審理陳述要領書(以下、「被請求人陳述要領書」という。)の第5ページ第10行?第6ページ第14行によれば、各レベルにおける「コントロールチャネル候補の使用許可比率」を算出し、第2レベル、第3レベル及び最低レベルのコントロールチャネル候補の使用許可比率(33.3%、66.7%及び100%)が、最高レベルのコントロールチャネル候補の使用許可比率(16.7%)より大きいことを示しつつ、「「最高レベルのコントロールチャネルのアロケーション/検索を制限する(構成要件C)」ことは、図4において、最高レベルのコントロールチャネルにおけるコントロールチャネル候補の使用が最も高い比率で制限され、許可比率が最も低くなっていることによって明確になっている。」「また、「比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーション/検索が増大する(構成要件E)」ことは、図4において、第2レベル(集合2)、第3レベル(集合4)、最低レベル(集合8)のコントロールチャネルにおけるコントロールチャネル候補の使用の許可比率が最高レベル(集合1)よりも増大していることによって明確に示されている。」としている。

しかし、アロケーション自体を制限することと、アロケーション候補としての使用を制限することとは、技術的内容が異なる。また、上記(i)のステップでは、「アロケーションを制限することによって実行」することを、コントロールチャネル候補としての使用を制限することによって実行することと解しつつ、他方、上記(ii)のステップでは、「アロケーションを増大させる」ことを、コントロールチャネル候補の使用許可比率を増大させることと解することは、請求項中の同じ用語に対して異なる解釈を用いることになるから、そのように解する余地はない。(なお、下線は、当審において付与。以下、同様。)

また、被請求人の上記主張のように、上記(ii)のステップで、コントロールチャネルの比較的低いレベルの「アロケーションを増大させる」ことが、比較的低いレベルのコントロールチャネルにおける「コントロールチャネル候補の使用許可比率」が、最高レベル(集合1)の使用許可比率よりも「増大していること」であるとすると、上記のとおり、「増大」とは、「増えて大きくなること。数量や程度を増すこと。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味するから、最高レベルのコントロールチャネル候補の使用許可比率と比較的低いレベルのコントロールチャネル候補の使用許可比率という異なる対象を対比して「増大していること」は、日本語として意味が不明である。

よって、被請求人の上記主張は採用できない。

(2)無効理由6-2(請求項3について)
請求項3の「比較的高いレベルのコントロールチャネルは、比較的低いレベルのコントロールチャネルと組み合わされる」は、日本語として、比較的高いレベルのコントロールチャネルと比較的低いレベルのコントロールチャネルとが組み合わされることを意味すると解される。
しかしながら、本件特許に係る国際特許出願の特許請求の範囲の第4項に「wherein the higher level control channels are combined to the lower level control channels.」と記載されているように、当該技術分野においては、PDCCHは、1、2、4、8個のコントロールチャネルエレメントの組み合わせからなることが技術常識であるから、比較的高いレベルのコントロールチャネルと比較的低いレベルのコントロールチャネルとを組み合わせることの技術的意味が不明である。
よって、本件特許発明3についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(3)無効理由6-3(請求項4について)
請求項4は、請求項1を引用して「比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションがより増大される」としているが、請求項1のどのステップをさらに特定したものかが不明確であり、請求項1の「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させる」ことと、請求項4の「比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションがより増大される」こととの関係が不明である。
また、請求項4の「アロケーション」が「より増大される」とは、アロケーションに関する何の数量や程度が、何に対して「より増大される」のかが不明確である。
よって、本件特許発明4についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(4)無効理由6-4(請求項5?7、請求項11?16について)
請求項5の「コントロールチャネルを検索するステップ」に関し、請求項5には、「検索は、コントロールチャネルの比較的低いレベルに対して増大され」と記載されている。
ここで、発明の詳細な説明及び図面(特に、上記段落【0025】?【0027】及び図4)の記載を参照すると、コントロールチャネルの比較的低いレベルのコントロールチャネル候補の使用も制限しており、この場合、検索対象となるコントロールチャネル候補は減少するから、技術的にみて、「検索」が「増大」することは無いと考えられる。
よって、請求項5の「検索は、コントロールチャネルの比較的低いレベルに対して増大され」が技術的に何を特定したものかが不明確である。
また、請求項5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものともいえない。

また、上記(1)と同様に、平成29年7月18日付け答弁書の第17ページ第16行?第18行、平成29年11月28日付け被請求人陳述要領書の第5ページ第10行?第6ページ第14行の主張のように、「検索」がコントロールチャネルの比較的低いレベルに対して「増大され」ることが、比較的低いレベルのコントロールチャネルにおける「コントロールチャネル候補の検索可能比率」が、最高レベル(集合1)よりも「増大され」ることであるとすると、上記のとおり、「増大」とは、「増えて大きくなること。数量や程度を増すこと。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味するから、最高レベルのコントロールチャネル候補の検索可能比率と比較的低いレベルのコントロールチャネル候補の検索可能比率という異なる対象を対比して「増大されること」は、日本語として意味が不明であるから、被請求人の上記主張は採用できない。

請求項11の「前記デコーディングユニットは、比較的低いレベルのコントロールチャネルに対する検索を増大するように構成されており」についても同様である。
また、請求項5を直接又は間接的に引用する請求項6?7及び請求項14?16、並びに、請求項11を直接又は間接的に引用する請求項12?13についても同様である。

したがって、本件特許発明5?7、11?16についての特許は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(5)無効理由6-5(請求項8?10について)
請求項8の「アロケーションを制限するように構成」すること、「アロケーションを増大するように構成」することが、それぞれ何を意味するのかが不明確である。
また、「増大」とは、「増えて大きくなること。数量や程度を増すこと。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味するところ、発明の詳細な説明及び図面(特に、段落【0025】?【0027】及び図4)の記載を参照しても、アロケーションに関する何の数量や程度が、何に対して「増大するように構成」されるのかが不明確であり、また、「前記アロケーションユニットは、最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限するように構成」されることとの関係も不明確である。

また、上記(1)と同様に、請求項8の「アロケーションを制限するように構成」することを、「コントロールチャネル候補の使用を制限するように構成」することであると解し、他方で、請求項8の「アロケーションを増大するように構成」することを、コントロールチャネル候補の使用許可比率を増大するように構成することと解するのは不自然であり、そのように解する余地はない。

請求項8を直接又は間接的に引用する請求項9?10についても同様である。

したがって、本件特許発明8?10についての特許は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(6)無効理由6についてのまとめ
上記(1)?(5)のとおり、本件特許発明1?16についての特許は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

2 無効理由7について
(1)無効理由7-1(請求項1?4、請求項8?10、請求項14?16について)
請求項1の「アロケーションを増大させる」及び請求項4の「アロケーションがより増大される」、請求項8の「アロケーションを増大するように構成されており」に関連する記載として、発明の詳細な説明には、「【0035】アロケーションセクション22は、比較的低いレベルのコントロールチャネルのアロケーションを増大することができる。比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される。例えば図1では、比較的低いレベルはレベル2と1により示されている。図4を参照すると、比較的低いレベルは集合レベル2、4と8により表されている。」、「【0038】アロケーションセクション22は、比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションをより増大する。」とあるだけで、具体的にどのようにして、コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを「増大させる」のか、また、「より増大される」のかについて記載も示唆もなく、自明ともいえない。
よって、発明の詳細な説明は、当業者が請求項1、4及び8に係る本件特許発明1、4及び8を実施できるように記載されたものとはいえない。

同様に、発明の詳細な説明は、請求項1を引用する請求項2?3に係る本件特許発明2?3、請求項8を直接又は間接的に引用する請求項9?10に係る本件特許発明9?10、請求項1及び4を直接又は間接的に引用する請求項14?16に係る本件特許発明14?16を実施できるように記載されたものとはいえない。

したがって、本件特許発明1?4、8?10、14?16についての特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(2)無効理由7-2(請求項5?7、請求項11?16について)
請求項5の「検索は・・・増大され」及び請求項11の「検索を増大するように構成され」に関する記載として、発明の詳細な説明には、「【0040】サーチセクション12は、比較的低いレベルのコントロールチャネルに対する検索を増大することができる。比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の比較的低いレベルにあるノードによって表される。」とあるだけで、具体的にどのようにして、「検索」を「増大」するのかについて記載も示唆もなく、自明ともいえない。
よって、発明の詳細な説明は、当業者が請求項5及び11に係る本件特許発明5及び11を実施できるように記載されたものとはいえない。

同様に、発明の詳細な説明は、請求項5を直接又は間接的に引用する請求項6?7に係る本件特許発明6?7及び請求項14?16に係る本件特許発明14?16、並びに、請求項11を直接又は間接的に引用する請求項12?13に係る本件特許発明12?13を実施できるように記載されたものとはいえない。

したがって、本件特許発明5?7、11?16についての特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(3)無効理由7についてのまとめ
上記(1)及び(2)のとおり、本件特許発明1?16についての特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

3 無効理由1及び無効理由2について(予備的検討)
上記1及び2のとおり、本件特許発明1?16は明確ではなく、また、発明の詳細な説明に記載したものでもないが、請求人が主張する無効理由1及び2について予備的に検討する。

(1)無効理由1について
ア 甲第1号証及び甲第6号証の記載事項、並びに、甲1先願発明1?4
甲第1号証(国際公開第2008/081004号)は、本件特許の最先の優先日(平成19年5月7日)より前の、平成19年(2007年)1月3日(優先権主張番号 60/878,079、米国)及び平成19年(2007年)1月9日(優先権主張番号 11/651,012、米国)を優先日とし、本件特許の最先の優先日後に国際公開され、日本国特許庁に翻訳文が提出された国際特許出願(PCT/EP2008/000026号、特表2010-515389号公報、国際出願日 平成20年(2008年)1月3日)に係る国際公開公報である。
甲第6号証は、上記優先権主張番号 11/651,012に係る優先権証明書の写しである。
そして、甲第1号証に係る国際特許出願の出願人と優先権主張の基礎とした米国特許出願第11/651,012(甲第6号証)の出願人との同一性及び優先権主張の有効性については争いはない。また、甲第1号証及び甲第6号証に共通して記載された発明が、上記優先権主張番号 60/878,079に係る優先権書類にも記載されていたとしても、その優先日は、本件特許の最先の優先日より前であることにかわりはないから、以下、甲第1号証及び甲第6号証に共通して記載された発明について検討する。

甲第1号証及び甲第6号証には、以下の記載がある。

(ア)「The invention, according to various embodiments, relates to shared control channel structure including at least one control channel to be allocated at least to a user for at least one of uplink and downlink directions in a network, a method for creating at least one control channel, an apparatus comprising a transmitter for creating at least one control channel, a receiver apparatus for receiving at least one control channel and a user equipment comprising a receiver for receiving at least one control channel.」(甲第1号証第1ページ第10-16行、甲第6号証第1ページ第10-16行)
(当審訳:「本発明は、種々の実施形態による、ネットワークのアップリンク方向、ダウンリンク方向の少なくとも一方に対して、少なくとも一人のユーザにアロケートされる少なくとも1つのコントロールチャネルを含む共有コントロールチャネル構造、少なくとも1つのコントロールチャネルを作成するための方法、少なくとも1つのコントロールチャネルを作成するための送信機を備える装置、少なくとも1つのコントロールチャネルを受信するための受信装置、及び、少なくとも1つのコントロールチャネルを受信するための受信機を備えるユーザイクイップメントに関するものである。」)

(イ)「The eNB (E-UTRAN Node B) may comprise means to allocate the sub-carrier resources of multi-carrier transmissions flexibly between the control channels in a modular structure.

In accordance with the present invention, the control channel is implemented as a tree, where each node of the tree consists of exactly known sub-carrier resources, which may comprise of a modulated code block, wherein however the system bandwidth is essentially not changed. The tree structure allows efficient search of a matching control channel, since it has been found that a search result at a given node of the tree allows deduction of candidate searches in the next higher level of the tree. This is not feasible with other arbitrary but systematic mapping schemes. Without the modular structure e.g. a tree i.e. having an arbitrary and systematic mapping of control channels to the sub-carrier resources, the number of required searches becomes large, which is not the case with the present invention.

The modular structure of the control channel(s) according to the present invention is advantageous in enabling searching and decoding processes by the user. In particular, the modular structure according to the present invention allows for a parallelization of the searching and decoding processes (i.e. decoding simultaneously from multiple candidate places of channels, in particular physical downlink control channels, before knowing the results of decoding tests on other candidate channels. Moreover, the modular structure according to the present invention renders it possible to search and decode in the control channels in any favoured order, in particular from the largest control channel to the smallest control channel, from the smallest control channel to the largest control channel, and from the control channel, whose SINR (signal-to-noise ratio with the noise including both formal noise and interference) is closest to the expected SINR value at the receiver (as the transmitter is expected to power control respectively), to the SINR deviating more from the expected SINR.」
(甲第1号証第5ページ第29行-第6ページ第20行、甲第6号証第5ページ第28行-第6ページ第19行)
(当審訳:「eNB(EUTRAN Node B)は、モジュラー構造におけるコントロールチャンネルの間での、柔軟にマルチキャリア送信のサブキャリアリソースをアロケートする手段を備えることができる。

本発明によれば、コントロールチャネルは、ツリー構造としてインプリメントされ、ツリー構造の各ノードが正確に既知のサブキャリアリソースから構成され、そして、それは変調されたコードブロックを備えることができる。しかしながら、システムバンド幅は、基本的には変化しない。ツリー構造は、マッチするコントロールチャネルの効果的な検索を可能とする。ツリー構造の所与のノードの検索結果は、ツリー構造の次に高いレベルでの、検索候補の推論を可能とすることが見出されるからである。これは、他の任意であるがシステム的マッピングスキームでは可能ではない。モジュラー構造、例えばツリー構造、すなわちサブキャリアリソースにコントロールチャネルの任意でシステム的マッピングを持つことなしでは、要求された検索の回数が多くなるが、本願発明では、そのようにはならない。

本発明によるコントロールチャネルのモジュラー構造は、ユーザによる検索とデコーディングプロセスを可能にすることにおいて有利である。具体的には、本発明によるモジュラー構造は、検索とデコーディングプロセスの並列処理を可能とする(すなわち、他の候補チャネルの上でのデコーディングテストの結果を知る前に、チャネルの複数の候補位置、具体的には、物理ダウンリンクコントロールチャネルから同時にデコーディングすること。さらに、本発明によるモジュラー構造は、どんな好みの順序ででも、コントロールチャネルで検索しデコードすることを可能にする。具体的には、最大のコントロールチャネルから最小のコントロールチャネルへの順序、あるいは、最小のコントロールチャネルから最大のコントロールチャネルへの順序、SINR(形式的雑音と干渉を含む雑音による信号対雑音比)が受信機(送信機がそれぞれ電力制御に予想されて)で予測されるSINR値に最も近いコントロールチャネルから予測されるSINRからより逸脱しているSINRへの順序である。」)

(ウ)「In an embodiment, a limit is put on the MCS format settings for the physical downlink control channel PDCCH 300 such that it is only possible to fit an integer number of allocations within a fixed number of sub-carriers (in the system bandwidth) on a given number of multicarrier symbols (in time dimension).」(甲第1号証第11ページ第3行-第6行、甲第6号証第11ページ第20行-第23行)
(当審訳:「実施形態において、(時間次元の)所与の数のマルチキャリアシンボルに対し、(システム帯域幅での)サブキャリアの固定数の範囲内で、整数個のアロケーションに適合することが可能であるようにするためだけに、物理ダウンリンクコントロールチャネルPDCCH300のMCSフォーマット・セッティングに、制限が与えられる。」)

(エ)「Every downlink sub-frame is time multiplexed to consist of downlink control signalling resources and the physical downlink shared channel (PDSCH). The downlink control signalling precedes the shared data transmission resources of the downlink and the uplink, as shown in figure 3. These downlink control signalling resources actually may carry multiple Physical Downlink Control Channels (PDCCH), each of which carries information for one MAC ID. This means that for each UE the signalling blocks are separately coded.」(甲第1号証第12ページ第10行-第13行、甲第6号証第12ページ第18行-第24行)
(当審訳:「全てのダウンリンク・サブフレームは、時間多重送信され、ダウンリンク制御信号伝達リソースと物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)から成る。図3で示すように、ダウンリンク制御信号伝達は、ダウンリンクとアップリンクの共有データ伝送リソースに先行する。これらのダウンリンク制御信号伝達リソースは、実際に複数の物理ダウンリンクコントロールチャネル(PDCCH)を搬送することができ、それぞれは1つのMAC-IDに対する情報を搬送する。これは、UE毎に、信号伝達ブロックが別々に符号化されることを意味する。」)

(オ)「The structure is alternatively presented as a tree as shown in Figure 5 wherein the largest code block is named "CB1", the control block of half the size of CB1 is named "CB2", and the code block of quarter the size of CB1 is named "CB3". Each code block is called a control channel as it carries information for one MAC ID. The MAC ID is used by a UE or by a group of UEs to detect the channel. At each level of the tree, each node represents a single control channel of a code block, which may consist of an information block of given length (information block length IBL) coded with an effective code rate (ECR). 」(甲第1号証第12ページ第25行-第13ページ第1行、甲第6号証第13ページ第1行-第9行)
(当審訳:「構造は、代替的に、図5で示すツリー構造として提示される。最大のコードブロックが「CB1」という名前をつけられ、CB1の半分のサイズのコントロールブロックは、「CB2」という名であり、CB1のサイズの4分の1のサイズのコードブロックは、「CB3」という名前がつけられている。各コードブロックは、各々が1つのMAC-IDに対する情報を搬送するので、コントロールチャネルと呼ばれる。MAC-IDは、UEによって、又は、UEのグループによって、チャネルを検知するために使用される。ツリー構造の各々のレベルにおいて、各々のノードは、コードブロックの一つのコントロールチャネルを表し、それは、実効コードレート(ECR)で符号化された所与の長さの情報ブロック(情報ブロック長IBL)から構成することができる。」)

(カ)「The system bandwidth consisting of a given number of sub-carrier resources may be divided into an integer multiple of control channels. In the embodiment of Figure 5, a given node of the tree, i.e. a set of sub-carriers, can consist of one control channel of the largest code block, of up to two control channels of the second largest code blocks or up to four control channels of the smallest code blocks. Here, it is assumed that each code block of the lower level in the tree is double the size of the code block in the previous higher level in the tree. Rate matching is used to adjust the IBL with the selected code rate exactly to the sub-carrier resources forming a node of the tree. In case some nodes do not contain any control channel, the sub-carriers are thus not modulated with data and do not consume transmission power.」(甲第1号証第13ページ第7行-第17行、甲第6号証第13ページ第15行-第25行)
(当審訳:「所与の数のサブキャリアリソースからなるシステムバンド幅は、整数個の複数のコントロールチャネルに分割することができる。図5の実施形態において、ツリー構造の所与のノード、すなわちサブキャリアのセットは、最大のコードブロック(CB1)の1つのコントロールチャネル、二番目に大きなコードブロック(CB2)の最大2つのコントロールチャネル、又は、最も小さいコードブロック(CB3)の最大4つのコントロールチャネルからなることができる。ここでツリー構造の下部のレベルの各々のコードブロックは、ツリー構造の前のより高いレベルのコードブロックのサイズの倍であると仮定する。レート・マッチングが、ツリー構造のノードを形成しているサブキャリアリソースに正確な符号化レートで、IBLを調整するのに用いられる。いくつかのノードが、いかなるコントロールチャネルをも含まない場合には、サブキャリアは、このようにデータで変調されず、伝送パワーを消費しない。」)

(キ)「Figure 7 schematically shows an example of a tree with three allocated nodes (one defined by CB1 , another one defined by CB2, and yet another one defined by CB3) mapped to the sub-carrier resources in a distributed manner. The PDCCH is distributed over the system bandwidth. Each code block on the PDCCH is distributed to a set of sub-carriers. E.g. CB1 consist of CB11 , CB12, CB13, CB14; CB2 consists of CB21 , CB22, CB23, CB24; and CB3 consists of CB31 , CB32, CB33, CB34. In figure 7, "RS (A1 )" and "RS (A2)" show the presence of reference symbols for two antennas in the first OFDM symbol of the sub-frame.」
(甲第1号証第13ページ第21行-第28行、甲第6号証第13ページ第29行-第14ページ第2行)
(当審訳:「図7は、3つのアロケートされたノード(CB1によって定義されるもの、CB2によって定義される別のもの、及びCB3によって定義されるさらに別のもの)がサブキャリアリソースに分散するようにマップされたツリー構造の例を図式的に示す。PDCCHは、システムバンド幅にわたり分散される。PDCCH上の各々のコードブロックは、サブキャリアのセットに分散される。例えば、CB1は、CB11、CB12、CB13、CB14から成り、CB2は、CB21、CB22、CB23、CB24から成り、そして、CB3はCB31、CB32、CB33、CB34から成る。図7において、「RS(A1)」と「RS(A2)」は、サブフレームの第1のOFDMシンボルにおける2つのアンテナに対する参照シンボルの存在を示す。」)

(ク)「Figure 10 is a schematic diagram showing an embodiment wherein the system bandwidth is divided to an integer number of modular PDCCHs. Figure 11 gives an example of a tree representation of the structure shown in figure 10, wherein each node of the tree corresponds to a defined set of sub-carriers. A more generic representation of a tree structure, which is compatible to that of figure 4 (with n1=3), is given in figure 12, wherein again each node of the tree consists of an exactly defined set of sub-carriers.
Figure 13 schematically shows a further example of a tree on a wide system bandwidth wherein the allocated three levels of the tree are much higher in the tree compared to a tree of a narrow system bandwidth as e.g. shown in Figures 5 to 8 and 10 to 12.

As each control channel has to be uniquely identified by a MAC ID, it can be combined to the CRC by partly masking the CRC bits with the MAC-ID. As the MAC ID is used for addressing both UE specific control channels and common control channels, it is reasonable to define the MAC ID in a compatible way. MAC IDs are reserved from the C-RNTI address space. Thus, reception of any control channel is possible by filtering control channels with the respective MAC ID. An error detection is available from the MAC ID masked CRC. The length of the MAC ID is matched to the C-RNTI length of 16 bits, but the CRC may be selected to be 16 or 24 bits.」(甲第1号証第14ページ第11行-第30行、甲第6号証第14ページ第18行-第15ページ第2行)
(当審訳:「図10は、実施形態を示す概略図であり、システムバンド幅は整数のモジュラーPDCCHに分割される。図11は、図10で示される構造をツリーで表した例であり、ツリー構造の各ノードは、サブキャリアの定義済みのセットに対応する。(n1=3である)図4の表現に整合するより一般的なツリー構造の表現が図12に与えられる。ここでもまた、ツリー構造の各ノードは、サブキャリアの正確に定義済みのセットから成る。
図13は、広いシステムバンド幅上での、ツリー構造のさらなる実施例を図式的に示す。アロケートされるツリー構造の3つのレベルは、例えば図5?8や図10?12で示されるような狭いシステムバンド幅のツリー構造と比較すると、ツリー構造の非常に高いところにある。

各コントロールチャネルがMAC-IDによってユニークに識別されなければならないので、MAC-IDでCRCビットを部分的にマスクすることによって、CRCに結合することができる。MAC-IDは、UEに特有のコントロールチャネルと共有のコントロールチャネルの両方をアドレスするために使用されるので、互換性があるように、MAC-IDを定義することは、合理的である。MAC-IDは、C-RNTIアドレス空間から確保される。このように、どんなコントロールチャネルの受信でも、それぞれのMAC-IDで制御通信路をフィルタすることによって可能である。エラー検出は、MAC-IDマスクCRCから、可能である。MAC-IDの長さは、16ビットのC-RNTI長さと整合しているが、しかし、CRCは16または24ビットに選択することができる。」)

(ケ)「The tree may be pruned so that all the nodes are not possible to be allocated in all the levels of the tree. Still, all the sub-carriers available are possible to be allocated. The pruned tree can be signalled easily by indicating, which nodes at which level of the tree are actually available for allocations, (this is a common information for the transmission and may be statically signalled e.g. in the system information messages.) Pruning will just reduce the number of possible allocation combinations so that the search complexity for the UEs is reduced. Despite of the pruning, there will remain a sufficient and even overwhelming number of PDCCH combinations available. The opportunities and also the needs of pruning appear more for a wideband system than for a narrower bandwidth.」(甲第1号証第19ページ第21行-第30行、甲第6号証第19ページ第21行-第30行)
(当審訳:「ツリー構造の全てのレベルで、全てのノードがアロケートされることが可能でないように、ツリー構造を、刈り込むことができる。依然、利用可能な全てのサブキャリアを、アロケートすることができる。刈り込まれたツリー構造は、ツリー構造のどのレベルでどのノードが、実際にアロケーションに利用できるかを指示することによって、容易に信号伝達することができる。(これは伝送のための共通情報であり、例えばシステム情報メッセージで静的に信号伝達することができる。)刈り込みは、UEの検索複雑さが縮小されるように、ちょうど可能性があるアロケーションの組合せの数を縮小する。刈り込みにもかかわらず、利用できる十分でさらに圧倒的数のPDCCHの組合せが残る。刈り込みの機会、さらに必要性は、狭帯域システムより広帯域システムに必要である。」)

(コ)「Fig. 15 shows a schematic block diagram of a software-based implementation of the proposed advanced decoding procedure. Here, the UE 10 of Figure 2 comprises a processing unit 210, which may be any processor or computer device with a control unit which performs control based on software routines of a control program stored in a memory 212. Program code instructions are fetched from the memory 212 and are loaded to the control unit of the processing unit 210 in order to perform the processing steps of the functionalities as described above.」(甲第1号証第23ページ第29行-第24ページ第5行、甲第6号証第23ページ第29行-第24ページ第5行)
(当審訳:「図15は、提案した先進的復号手順のソフトウェア・ベースの実装の概略ブロック図を示す。ここで図2のUE10は、処理ユニット210を備える。それは、メモリ212に格納された制御プログラムのソフトウェア・ルーチンに基づいて、制御を実行する制御ユニットを有するいかなるプロセッサまたはコンピュータ・デバイスであってもよい。プログラムコード命令は、メモリ212からフェッチされ、先に述べた機能の処理ステップを実行するために、処理ユニット210の制御ユニットにロードされる。」)

(サ)Fig.5、Fig.7、Fig.13は、次のとおりである。
Fig.5

Fig.7

Fig.13


上記(ア)?(カ)及び(ク)の記載によれば、最大のコードブロックCB1、CB1の半分のサイズのコントロールブロックCB2、CB1のサイズの4分の1のサイズのコードブロックCB3は、それぞれコントロールチャネルと呼ばれ、Fig.5又はFig.13も参照すれば、ツリー構造の各レベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の各レベルにあるツリー構造のノードによって表わされ、レベル1にあるコントロールチャネルは、レベル2にある2つのコントロールチャネルを組み合わせたものであり、レベル2にあるコントロールチャネルは、レベル3にある2つの最も小さいコントロールチャネルを組み合わせたものであるといえる。そして、各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用される1つのMAC-IDに対する情報を搬送し、MAC-IDによって各コントロールチャネルがユニークに識別できるといえる。
また、上記(ケ)の記載によれば、ツリー構造の全てのレベルで、全てのノードがアロケートされることが可能でないように、ツリー構造を、刈り込むことができるとしているところ、Fig.13の例では、最も小さいコードブロックのコントロールチャネルからなるレベル3の一部が刈り込まれており、刈り込まれた部分に対応するレベル3及びレベル2のコントロールチャネルはアロケーションに使用できず、他方、該刈り込まれた部分に対応するレベル1のコントロールチャネルは、アロケーションに使用できることが認められる。
そして、アロケーションは、eNBが備えるとする、上記ツリー構造におけるコントロールチャンネルの間での、柔軟にマルチキャリア送信のサブキャリアリソースをアロケートする手段によって実行される。
また、上記(キ)及びFig.7によれば、アロケートされたノード(CB1、CB2及びCB3)を、サブキャリアリソースに分散することが記載されているから、上記eNBは、アロケートされたノード(CB1、CB2及びCB3)を、サブキャリアリソースに分散することによって送信する手段を有するといえる。

さらに、上記(ケ)の記載によれば、刈り込まれたツリー構造は、ツリー構造のどのレベルでどのノードが、実際にアロケーションに利用できるかを指示することによって、ユーザイクイップメント(UE)に信号伝達され、UEでは、コントロールチャネルを検知するためにMAC-IDを使用し、ツリー構造の所与のノードについて検索とデコーディングプロセスを行うといえる。
ここで、刈り込まれたツリー構造は、ツリー構造のどのレベルでどのノードが、実際にアロケーションに利用できるかを指示することによって、UEに信号伝達されるから、UEは、刈り込まれていないアロケーションに利用できるコントロールチャネルを候補として検索とデコーディングプロセスを行うことは明らかである。また、上記(イ)の記載によれば、UEは、レベル1の最大のコントロールチャネルからレベル3の最小のコントロールチャネルへの順序、あるいは、レベル3の最小のコントロールチャネルからレベル1の最大のコントロールチャネルへの順序のどちらででも検索しデコードすることができる。
そして、UEが、上記コントロールチャネルをネットワーク側の上記eNBから受信すること及びそのための受信手段を有することは技術常識であり、上記(コ)には、上記検索及びデコーディングが、UEが備えるとする処理ユニットによって、メモリからロードされた制御プログラムのソフトウェア・ルーチンに基づいて実行されることも記載されている。

そうすると、甲第1号証及び甲第6号証には、次の各発明が記載されていると認める。

「ツリー構造におけるコントロールチャンネルの間での、柔軟にマルチキャリア送信のサブキャリアリソースをアロケートする方法であって、
ツリー構造の各レベルのコントロールチャネルは、各レベルにあるツリー構造のノードによって表わされ、ツリー構造のレベル1にあるコントロールチャネルは、レベル2にある2つのコントロールチャネルを組み合わせたものであり、レベル2にあるコントロールチャネルは、レベル3にある2つの最も小さいコントロールチャネルを組み合わせたものであり、各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用される1つのMAC-IDに対する情報を搬送し、MAC-IDによって各コントロールチャネルがユニークに識別でき、
最も小さいコードブロックのコントロールチャネルからなるレベル3の一部が刈り込まれ、刈り込まれた部分に対応するレベル3及びレベル2のコントロールチャネルはアロケーションに使用できず、他方、該刈り込まれた部分に対応するレベル1のコントロールチャネルは、アロケーションに使用でき、
さらに、アロケートされたノードを、サブキャリアリソースに分散することによって送信する、方法。」(以下、「甲1先願発明1」という。)

「ネットワーク側のeNBから受信されるツリー構造の各レベルのコントロールチャネルは、各レベルにあるツリー構造のノードによって表わされ、各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用される1つのMAC-IDに対する情報を搬送し、UEでは、コントロールチャネルを検知するためにMAC-IDを使用し、ツリー構造の所与のノードについて検索とデコーディングプロセスを行い、
最も小さいコードブロックのコントロールチャネルからなるレベル3の一部が刈り込まれ、刈り込まれたツリー構造は、ツリー構造のどのレベルでどのノードが、実際にアロケーションに利用できるかを指示することによって、ユーザイクイップメント(UE)に信号伝達され、
UEは、刈り込まれていないアロケーションに利用できるコントロールチャネルを候補として、レベル1の最大のコントロールチャネルからレベル3の最小のコントロールチャネルへの順序、あるいは、レベル3の最小のコントロールチャネルからレベル1の最大のコントロールチャネルへの順序のどちらででも検索とデコーディングプロセスを行うことができる、方法。」(以下、「甲1先願発明2」という。)

「ツリー構造におけるコントロールチャンネルの間での、柔軟にマルチキャリア送信のサブキャリアリソースをアロケートする手段を備え、
ツリー構造の各レベルのコントロールチャネルは、各レベルにあるツリー構造のノードによって表わされ、ツリー構造のレベル1にあるコントロールチャネルは、レベル2にある2つのコントロールチャネルを組み合わせたものであり、レベル2にあるコントロールチャネルは、レベル3にある2つの最も小さいコントロールチャネルを組み合わせたものであり、各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用される1つのMAC-IDに対する情報を搬送し、MAC-IDによって各コントロールチャネルがユニークに識別でき、
前記アロケートする手段は、最も小さいコードブロックのコントロールチャネルからなるレベル3の一部を刈り込み、刈り込まれた部分に対応するレベル3及びレベル2のコントロールチャネルはアロケーションに使用できず、他方、該刈り込まれた部分に対応するレベル1のコントロールチャネルは、アロケーションに使用できるように構成され、
アロケートされたノードを、サブキャリアリソースに分散することによって送信する手段をさらに備える、eNB。」(以下、「甲1先願発明3」という。)

「コントロールチャネルをネットワーク側のeNBから受信するための受信手段、
コントロールチャネルを検知するためにMAC-IDを使用し、ツリー構造の所与のノードについて検索及びデコーディングを実行する処理ユニットを備え、
ツリー構造の各レベルのコントロールチャネルは、各レベルにあるツリー構造のノードによって表わされ、各コントロールチャネルによって、コントロールチャネルを検知するために使用される1つのMAC-IDに対する情報が搬送され、
最も小さいコードブロックのコントロールチャネルからなるレベル3の一部が刈り込まれ、刈り込まれたツリー構造は、ツリー構造のどのレベルでどのノードが、実際にアロケーションに利用できるかを指示することによって、ユーザイクイップメント(UE)に信号伝達され、
前記処理ユニットは、刈り込まれていないアロケーションに利用できるコントロールチャネルを候補として、レベル1の最大のコントロールチャネルからレベル3の最小のコントロールチャネルへの順序、あるいは、レベル3の最小のコントロールチャネルからレベル1の最大のコントロールチャネルへの順序のどちらででも検索とデコーディングプロセスを行うことができる、ユーザイクイップメント(UE)。」(以下、「甲1先願発明4」という。)

イ 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1先願発明1とを対比する。

甲1先願発明1は、ツリー構造におけるコントロールチャンネルの間での、柔軟にマルチキャリア送信のサブキャリアリソースをアロケートする方法であるから、「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートするステップ」を含む方法といえる。
また、ツリー構造の各レベルのコントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用される1つのMAC-IDに対する情報を搬送し、甲1先願発明1では、MAC-IDによって各コントロールチャネルがユニークに識別できるとしているところ、コントロールチャネルの最小単位をコントロールチャネルエレメントということは技術常識であるから、「各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有」するといえる。

甲1先願発明1にいう「レベル3」の「最も小さいコントロールチャネル」は、本件特許発明1にいう「最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される」「最高レベルのコントロールチャネル」に相当し、「レベル1」及び「レベル2」の「コントロールチャネル」は、本件特許発明1にいう「ツリー構造の低いレベルにあるノードによって表される」「比較的低いレベル」の「コントロールチャネル」に含まれる。
そして、甲1先願発明1では、最も小さいコードブロックのコントロールチャネル(「最高レベルのコントロールチャネル」に相当。)からなるレベル3の一部は刈り込まれ、アロケーションに使用できないから、甲1先願発明1の「アロケートする方法」において、「最も小さいコードブロックのコントロールチャネルからなるレベル3の一部が刈り込まれ、刈り込まれた部分に対応するレベル3」の「コントロールチャネル」を「使用」せずに「アロケーション」することは、本件特許発明1にいう「前記アロケーションは最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限することによって実行され、前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される、ステップ」に相当するといえる。
また、甲1先願発明1では、当該「制限」により、刈り込まれた部分がレベル3及び2のコントロールチャネルとして使用されることはないから、アロケーションの際、レベル1のコントロールチャネル(「比較的低いレベルのコントロールチャネル」に含まれる。)として使用される可能性が高くなるといえ、本件特許発明1にいう「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させるステップであって、比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の低いレベルにあるノードによって表される、ステップ」に含まれるといえる。

以上を総合すると、本件特許発明1と甲1先願発明1とに相違はなく、本件特許発明1は甲1先願発明1と同一であるから、本件特許発明1は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ウ 本件特許発明2について
本件特許発明2と甲1先願発明1とを対比すると、甲1先願発明1は、アロケートされたノードを、サブキャリアリソースに分散することによって送信するから、本件特許発明2にいう「アロケートされたコントロールチャネルをユーザイクイップメントに、アロケートされたコントロールチャネルをシステムバンド幅にわたりサブキャリアに分散することによって送信するステップをさらに含む」ことに相当する。また、他の特定事項については、上記イのとおりである。

よって、本件特許発明2は甲1先願発明1と同一であり、本件特許発明2は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

エ 本件特許発明3について
本件特許発明3と甲1先願発明1とを対比すると、甲1先願発明1は、ツリー構造のレベル1にあるコントロールチャネルは、レベル2にある2つのコントロールチャネルを組み合わせたものであり、レベル2にあるコントロールチャネルは、レベル3にある2つの最も小さいコントロールチャネルを組み合わせたものである。
そして、上記1(2)のとおり、本件特許に係る国際特許出願の特許請求の範囲の第4項に「wherein the higher level control channels are combined to the lower level control channels.」と記載されているように、当該技術分野においては、PDCCHは、1、2、4、8個のコントロールチャネルエレメントの組み合わせからなることが技術常識であることを考慮すれば、甲1先願発明1の「ツリー構造のレベル1にあるコントロールチャネルは、レベル2にある2つのコントロールチャネルを組み合わせたものであり、レベル2にあるコントロールチャネルは、レベル3にある2つの最も小さいコントロールチャネルを組み合わせたもの」であることは、本件特許発明3にいう「比較的高いレベルのコントロールチャネルは、比較的低いレベルのコントロールチャネルと組み合わされる」ことに含まれるといえる。また、他の特定事項については、上記イのとおりである。

よって、本件特許発明3は甲1先願発明1と同一であり、本件特許発明3は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

オ 本件特許発明4について
本件特許発明4と甲1先願発明1とを対比する。
ここで、本件特許の請求項4が引用する請求項1には「前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され」、「比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の低レベルにあるノードによって表される」との特定事項があるから、本件特許発明4の「ツリー構造の比較的低いレベルにおいてアロケーションがより増大される」は、ツリー構造の「最高レベル」に比べて「低レベル」の方が「アロケーションがより増大される」ことを排除していないとみることができる。
そして、上記イのとおり、甲1先願発明1は、刈り込みによる「制限」により、アロケーションに際し、刈り込まれた部分がレベル3及び2のコントロールチャネルとして使用されることはないから、レベル1のコントロールチャネルとして使用される可能性が高くなるといえ、甲1先願発明1においても、「最高レベル」に比べて「低レベル」の方が「アロケーションがより増大される」といえる。
よって、本件特許発明4と甲1先願発明とは、「比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションがより増大される」点で一致するといえる。また、他の特定事項については、上記イのとおりである。

よって、本件特許発明4は甲1先願発明1と同一であり、本件特許発明4は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

カ 本件特許発明5について
本件特許発明5と甲1先願発明2とを対比する。

甲1先願発明2は、ツリー構造の各レベルのコントロールチャネルは、各レベルにあるツリー構造のノードによって表わされ、コントロールチャネルを検知するためにMAC-IDに対する情報を使用し、ツリー構造の所与のノードについて検索とデコーディングプロセスを行うものであるから、甲1先願発明2の「MAC-ID」は、本件特許発明5の「識別子」に相当し、本件特許発明5にいう「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをデコーディングすることによって、および、識別子を使用することによって、コントロールチャネルを検索するステップ」を含むといえる。また、甲1先願発明2では、各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用される1つのMAC-IDに対する情報を搬送するところ、コントロールチャネルの最小単位をコントロールチャネルエレメントということは技術常識であるから、甲1先願発明2は、本件特許発明5と同様に「各コントロールチャネルは、コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有」するといえる。

甲1先願発明2にいう「レベル3の最小のコントロールチャネル」は、本件特許発明5にいう「最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され」る「最高レベルのコントロールチャネル」に相当し、「レベル1の最大のコントロールチャネル」は、本件特許発明5にいう「ツリー構造の低いレベルにあるノードによって表される」「比較的低いレベルのコントロールチャネル」に含まれる。
そして、甲1先願発明2では、最も小さいコードブロックのコントロールチャネルからなるレベル3の一部が刈り込まれ、UEは、刈り込まれていないアロケーションに利用できるコントロールチャネルを候補として、検索とデコーディングプロセスを行うから、本件特許発明5と同様に、「検索は、最高レベルのコントロールチャネルに対して制限され」るといえる。
ここで、甲1先願発明2では、刈り込まれた部分に対応するレベル1(本件特許発明5の「比較的低いレベル」に含まれる。)のコントロールチャネルエレメントはアロケーションに使用できるから、検索とデコーディングプロセスの対象に含める必要があり、このことは、本件特許発明5にいう「検索は、コントロールチャネルの比較的低いレベルに対して増大され」ることに相当するといえる。

以上を総合すると、本件特許発明5と甲1先願発明2とに相違点はなく、本件特許発明5は甲1先願発明2と同一であるから、本件特許発明5は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

キ 本件特許発明6について
本件特許発明6と甲1先願発明2とを対比すると、甲1先願発明2の「コントロールチャネル」は、ネットワーク側のeNBから受信されるから、本件特許発明6にいう「コントロールチャネルはネットワークデバイスから受信される」に含まれる。また、他の特定事項については、上記カのとおりである。

よって、本件特許発明6は甲1先願発明2と同一であるから、本件特許発明6は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ク 本件特許発明7について
本件特許発明7と甲1先願発明2とを対比すると、甲1先願発明2は、最大のコントロールチャネルから最小のコントロールチャネルへの順序、あるいは、最小のコントロールチャネルから最大のコントロールチャネルへの順序のどちらででも検索とデコーディングプロセスを行うことができるものであるところ、甲1先願発明2の「最大のコントロールチャネル」及び「最小のコントロールチャネル」は、それぞれ本件特許発明7の「ツリー構造の最低レベルにあるノードにより表される」「最低レベルのコントロールチャネル」及び「最高レベルのコントロールチャネル」に相当し、甲1先願発明2において「最大のコントロールチャネルから」検索を行うことは、本件特許発明7にいう「検索は、最低レベルのコントロールチャネルから開始され」ることに対応する。
また、他の特定事項については、上記カのとおりである。

そうすると、本件特許発明7と甲1先願発明2とは、本件特許発明7が「最低レベルのコントロールチャネルから」検索を開始するのに対し、甲1先願発明2は「最低レベルのコントロールチャネルから、あるいは、最高レベルのコントロールチャネルから」のどちらででも検索を行うことができる点で相違するものの、甲1先願発明2において、「最高レベルのコントロールチャネルから」検索する選択肢を省いて「最低レベルのコントロールチャネルから」検索を開始することは、当業者が適宜なし得る設計変更といえ、上記相違点は、課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。

よって、本件特許発明7は甲1先願発明2と実質的に同一であるから、本件特許発明7は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ケ 本件特許発明8について
本件特許発明8と甲1先願発明3とを対比すると、甲1先願発明3の「ツリー構造におけるコントロールチャンネルの間での、柔軟にマルチキャリア送信のサブキャリアリソースをアロケートする手段」及び「eNB」は、それぞれ本件特許発明8の「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートするように構成されているアロケーションユニット」及び「デバイス」に相当し、上記イで対比したのと同様の理由により、本件特許発明8と甲1先願発明3とに相違点はない。

よって、本件特許発明8は甲1先願発明3と同一であり、本件特許発明8は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

コ 本件特許発明9について
上記ケ及びウと同様の理由により、本件特許発明9は甲1先願発明3と同一であり、本件特許発明9は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

サ 本件特許発明10について
本件特許発明10と甲1先願発明3とを対比すると、甲1先願発明3は、eNBであるから、本件特許発明10にいう「eNBを含む、デバイス」に含まれる。また、他の特定事項については、上記ケ及びコのとおりである。

よって、本件特許発明10は甲1先願発明3と同一であり、本件特許発明10は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

シ 本件特許発明11について
本件特許発明11と甲1先願発明4とを対比すると、甲1先願発明4の「コントロールチャネルを検知するためにMAC-IDを使用し、ツリー構造の所与のノードについて検索及びデコーディングを実行する処理ユニット」及び「ユーザイクイップメント(UE)」は、それぞれ本件特許発明11の「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをデコードすることによって、および、識別子を使用することによって、コントロールチャネルを検索するように構成されているデコーディングユニット」及び「デバイス」に相当し、上記カと同様の理由により、本件特許発明11と甲1先願発明4とに相違点はない。

よって、本件特許発明11は甲1先願発明4と同一であり、本件特許発明11は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ス 本件特許発明12について
上記シ及びキと同様の理由により、本件特許発明12は甲1先願発明4と同一であり、本件特許発明12は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

セ 本件特許発明13について
本件特許発明13と甲1先願発明4とを対比すると、甲1先願発明4は、「ユーザイクイップメント(UE)」であるから、本件特許発明13にいう「ユーザイクイップメントをさらに備える、デバイス」に含まれる。また、他の特定事項については、上記サ及びシのとおりである。

よって、本件特許発明13は甲1先願発明4と同一であり、本件特許発明13は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ソ 本件特許発明14?本件特許発明16について
上記ア(コ)によれば、ユーザイクイップメント(UE)が甲1先願発明2に係る処理を実行するために、メモリに格納された制御プログラムのプログラムコード命令を処理ユニットにロードし、制御プログラムのソフトウェア・ルーチンに基づいて制御を実行することが記載されている。また、eNBが甲1先願発明1に係る処理を実行するために、メモリに格納された制御プログラムのプログラムコード命令を処理ユニットにロードし、制御プログラムのソフトウェア・ルーチンに基づいて制御を実行することも、常套である。
そして、上記イ?クのとおり、本件特許発明1?本件特許発明4は甲1先願発明1と同一であり、本件特許発明5?本件特許発明7は、甲1先願発明2と同一又は実質的に同一であるから、甲第1号証及び甲第6号証には、コンピュータプログラムが処理デバイスで実行されるときに、本件特許発明1?本件特許発明7までのいずれかに記載のステップを実行するためのソフトウエアコード部分を有する、処理デバイス用のコンピュータプログラム(本件特許発明14)、該コンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み出し可能媒体(本件特許発明15)、及び該コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムは、処理デバイスの内部メモリに直接ロード可能である、コンピュータプログラム(本件特許発明16)と同一又は実質的に同一の発明が開示されているといえる。

よって、本件特許発明14?本件特許発明16は、甲第1号証及び甲第6号証に開示された発明と同一又は実質的に同一であるから、本件特許発明14?本件特許発明16は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(2)無効理由2について
ア 甲第2号証及び甲第8号証の記載事項、並びに、甲2先願発明1?4
甲第2号証(国際公開第2008/136616号)は、本件特許の最先の優先日(平成19年5月7日)より前の平成19年(2007年)5月2日(優先権主張番号 10-2007-0042817、韓国)、及び本件特許の最先の優先日より後の平成19年(2007年)8月7日(優先権主張番号 10-2007-0079269、韓国)を優先日とし、本件特許の最先の優先日後に国際公開され、日本国特許庁に翻訳文が提出された国際特許出願(PCT/KR2008/002507号、特表2010-525725号公報、国際出願日 平成20年(2008年)5月2日)に係る国際公開公報である。
甲第8号証は、上記優先権主張番号 10-2007-0042817に係る優先権証明書の写しである。
そして、甲第2号証には、以下の記載がある。なお、当審訳は、上記特表2010-525725号公報に基づき当審で作成した。また、甲第8号証にも同様の記載があるので、対応する記載を併記する。

(ア)「OFDM, a scheme for transmitting data using multiple carriers, is a type of Multi-Carrier Modulation (MCM) that converts a serial input symbol stream into parallel symbol streams and modulates each of the parallel symbol streams with multiple orthogonal subcarriers or subcarrier channels before transmission.
(中略)
The Long Term Evolution (LTE) system, which is now under discussion as the next generation wireless communication system of the Universal Mobile Telecommunication Service (UMTS) system in the 3rd Generation Partnership Project (3GPP) standardization organization, uses Single Carrier Frequency Division Multiple Access (SC-FDMA) for the uplink to solve the high Peak-to- Average Power Ratio (PAPR) problem of OFDMA.」(甲第2号証第1ページ第15行?第2ページ第13行)
(当審訳:「マルチキャリアを用いてデータを伝送するスキームであるOFDM方式は、直列入力シンボルストリームを並列シンボルストリームに変換し、各々の並列シンボルストリームを直交性を有する複数のサブキャリア、又はサブキャリアチャネルで変調して伝送するマルチキャリア変調(MCM)方式の一種である。
(中略)
第3世代パートナーシップ プロジェクト(3GPP)標準化機構でユニバーサル移動体通信サービス(UMTS)システムの次世代無線通信システムとして論議中であるロングタームエボリューション(LTE)システムでは、OFDMA方式が有する高いピークツーピーク平均電力比(PAPR)問題を解決するためにアップリンクに対してシングルキャリア周波数分割多元接続方式(SC-FDMA)を使用する。」)

(中略)

(甲第8号証第43-6ページ段落<12>?第43-8ページ段落<17>)
(当審訳:「<12> OFDM方式は、マルチ-キャリアを使用してデータを伝送する方式であり、直列に入力されるシンボル列を並列変換し、これらのそれぞれを、相互直交性を有する多数のサブキャリア、すなわち多数のサブキャリアチャネルに変調して伝送するマルチキャリア変調方式の一種である。
(中略)
<17> 3GPP(3rd Generation Partnership Project)標準化機構で、UMTS(Universal Mobile Telecommunication Service)システムの次世代無線通信システムとして議論されているLTE(Long Term Evolution)システムでは、OFDMA方式が持つPAPR(Peak to Average Power Ratio)が高くなる欠点を解決するために、逆方向リンクに対して単搬送波周波数多重接続(日本語訳はシングルキャリア周波数分割多元接続(以下、SC-FDMAと称する)方式を使用する。」)

(イ)「Because the terminal 302 does not know which channel among the multiple PDCCHs transmitted by the base station 301 is used for the terminal 302, the terminal 302 must monitor all PDCCHs transmitted by the base station 301 to determine if there is a PDCCH having a scheduling grant being transmitted to the terminal 302. In this case, if the number of PDCCHs transmitted by the base station 301 is great, the terminal 302 must perform a large number of reception operations to check the scheduling grant, requiring complicated reception structure and increasing power waste of the terminal.」(甲第2号証第3ページ第17行-第24行)
(当審訳:「端末302は、基地局301によって伝送された複数のPDCCHのうち、どのチャネルがこの端末302に使用されたかを知らないため、端末302に伝送されるスケジューリンググラントを有するPDCCHがあるか否かを判定するために、基地局301によって伝送されるすべてのPDCCHを監視しなければならない。この場合、基地局301によって伝送されるPDCCHの個数が多いと、端末302は、スケジューリンググラントの確認のために多数の受信動作を遂行しなければならず、それによって端末の複雑な受信構造が要求され、無駄な電力消費の増加をもたらす。」)

(甲第8号証第43-9ページ段落<23>)
(当審訳:「<23> 端末(302)は、基地局(301)が有する複数のPDCCHの中で、どのチャネルが端末(302)のために使用されるかわからないため、基地局(301)が有するすべてのPDCCHを監視し、端末(302)に伝送されるスケジューリンググラントを持つPDCCHがあるかを確認しなければならない。このとき、基地局(301)が有するPDCCHの数が多い場合は、端末(302)は、スケジューリンググラントの確認のために非常に多くの受信動作を取らなければならず、これにより端末の受信構造が複雑になり、不要な電力浪費を招くことになる。」)

(ウ)「The present invention restricts a set of control channels being monitored by a terminal among all available control channels transmittable by a base station in delivering control information for data transmission and reception to the terminal in a wireless communication system. That is, the present invention presents a scheme for reducing a procedure that a terminal should perform, by restricting the number of control channels that the terminal should receive and decode. Accordingly, the present invention simplifies a structure of the terminal, and enables the terminal to monitor control channels thereby reducing the battery consumption.

A description of an embodiment of the present invention will be given herein with reference to a PDCCH, as a control channel, for carrying a scheduling grant for data transmission and reception between a base station and a terminal. However, it should be noted that the present invention is not limited to transmission and reception of PDCCH.

FIG 4 illustrates resource mapping between control channels according to an embodiment of the present invention. Referring to FIG 4, in the entire frequency bandwidth (or system bandwidth) 401, the smallest time unit of resources is a slot 403 that includes, for example, 7 OFDM symbols, and 2 slots constitute one sub frame 402. The sub frame 402 is the smallest unit for resource allocation, and generally has the same length as a Transmission Time Interval (TTI), which is a data transmission unit. PDCCHs are mapped to several leading OFDM symbols 404 (hereinafter referred to as a "control channel resource region") among the multiple OFDM symbols included in the subframe 402, and Physical Downlink Shared Channels (PDSCHs), on which packet data are carried, are mapped to the remaining OFDM symbols 405.

PDCCHs for downlink and uplink transmission for multiple terminals exist in the control channel resource region 404, and each PDCCH is generated as described below. That is, a Control Channel Element (CCE) with a predetermined size is used to generate PDCCH, and one PDCCH includes at least one CCE. That is, a base station transmits control information to a terminal having a good channel state using a PDCCH including one CCE, i.e., by applying a high code rate. However, the base station transmits the same sized control information to a terminal having a poor channel state using a PDCCH including multiple CCEs, i.e., by applying a low code rate. Accordingly, even the terminal in the poor channel condition can stably receive control information through the PDCCH.

For example, PDCCH candidates 407 are generated using CCE sets including 1 CCE 408, 2 CCEs 409, 4 CCEs 410 or 8 CCEs, etc among multiple CCEs 406 existing in the entire control channel resource region 404. When the total number of CCEs is defined as N, N PDCCH candidates 406 are generated when 1 CCE is used for each PDCCH; [N/2] PDCCH candidates are generated when 2 CCEs are used for each PDCCH; [N/4] PDCCH candidates are generated when 4 CCEs are used for each PDCCH; and [N/8] PDCCH candidates are generated when 8 CCEs are used for each PDCCH. Here, [A] indicates the maximum integer not greater than A.」(甲第2号証第6ページ第12行-第7ページ第23行)
(当審訳:「本発明は、無線通信システムでデータ送受信のための制御情報を端末に伝達することにおいて、基地局によって伝送できるすべての利用可能なコントロールチャネルのうち端末が監視するコントロールチャネルの集合を限定する。すなわち、本発明は、端末が受信及び復号化するコントロールチャネルの個数を限定することによって、端末が遂行される手順を短縮させる方式を提示する。したがって、本発明は、端末の構造を単純化し、端末がコントロールチャネルを監視可能にすることによって、バッテリー消耗を減少させる。

本発明の実施形態は、コントロールチャネルとして、基地局と端末との間のデータ送受信のためにスケジューリンググラントを運搬するPDCCHに関して説明する。しかし、本発明がPDCCHの送受信に限定されないことに留意しなければならない。

図4は、本発明の実施形態によるコントロールチャネル間のリソースマッピングを示す。図4を参照すると、全体周波数バンド幅(又はシステムバンド幅)401で、リソースの最小時間単位は、例えば7個のOFDMシンボル含むスロット403であり、2個のスロットは一つのサブフレーム402を構成する。サブフレーム402は、リソースのアロケーションのための最小単位であり、一般的にデータ伝送単位である送信時間間隔(TTI)と同一の長さを有する。PDCCHは、サブフレーム402に含まれた複数のOFDMシンボルのうち、最も前に位置した数個のOFDMシンボル404(以下、“コントロールチャネルリソース領域”と称する。)にマッピングされ、パケットデータが運搬される物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)は、残りのOFDMシンボル405にマッピングされる。

複数の端末のためのダウンリンク及びアップリンク伝送に対するPDCCHは、コントロールチャネルリソース領域404に存在し、各PDCCHは下記のように生成される。すなわち、所定サイズのコントロールチャネルエレメント(CCE)はPDCCHの生成に使用され、一つのPDCCHは少なくとも一つのCCEを含む。すなわち、基地局は、一つのCCEを含むPDCCHを用いて、すなわち高いコードレートを適用して、良好なチャネル状態を有する端末に制御情報を伝送する。しかし、基地局は、複数のCCEを含むPDCCHを用いて、すなわち低いコードレートを適用して、悪いチャネル状態を有する端末に同じサイズの制御情報を伝送する。したがって、悪いチャネル状態の端末もPDCCHを通じて制御情報を安定に受信することができる。

例えば、PDCCH候補407は、全体制御チャンネルリソース領域404に存在する複数のCCE406のうち、1個のCCE408、2個のCCCE409、4個のCCE410、又は8個のCCEを含むCCE集合を用いて生成される。CCEの全体個数がNとして定義される場合に、N個のPDCCH候補406は1個のCCEが各PDCCHに使用される場合に生成され、[N/2]個のPDCCH候補は2個のCCEが各PDCCHに使用される場合に生成され、[N/4]個のPDCCH候補は4個のCCEが各PDCCHに使用される場合に生成され、[N/8]個のPDCCH候補は8個のCCEが各PDCCHに使用される場合に生成される。ここで、[A]は、A以下の最大整数を意味する。」)

(甲第8号証第43-12ページ段落<43>?第43-14ページ段落<47>)
(当審訳:「<43> 本発明の主な要旨は、無線通信システムで基地局が端末に送受信するための制御情報を伝達する場合において、基地局が伝送できるすべての利用可能な制御チャネルの中で、端末が監視する制御チャネルの集合を限定するものである。すなわち、端末が受信及び復号化しなければならない制御チャネルの数を制限して、端末が実行する手順を減らすことにより、端末の構造を簡単にし、又、端末が制御チャネルを監視することによって発生するバッテリーの消耗を減らすことができる案を提示する。下記では、制御チャネルの特定の例として、基地局と端末の間のデータ送受信のためにスケジューリンググラントを運ぶPDCCHの例を挙げて、本発明の好ましい実施例を説明することにする。
<44> 図4は、本発明の好ましい実施例による制御チャネルのリソースマッピングを図示している。
<45> 図4を参照すれば、周波数帯域全体(401)におけるリソースの最小時間単位は、7個(あるいは他の複数個)のOFDMシンボルを含むスロット(403)であり、2つのスロットが1つのサブフレーム(402)を構成する。サブフレーム(402)は、リソースの割り当ての最小単位であり、一般的にデータ伝送単位であるTTI(TransmissionTime Interval)と同じ長さを有する。サブフレーム(402)に含まれている複数個のOFDMシンボルの中で最も前に位置したいくつかのOFDMシンボル(以下、制御チャネルリソース領域と称する)(404)にPDCCHがマッピングされ、残りのOFDMシンボル(405)には、パケットデータが運ばれる順方向物理共有チャネル(PDSCH)がマッピングされる。
<46> 上記制御チャネルリソース領域(404)には、複数個の端末のための順方向あるいは逆方向の伝送に対するPDCCHが存在するが、各PDCCHは、下記の説明のように生成される。すなわち、PDCCHを構成するために、所定の大きさの制御チャネル要素(以下、CCEと称する)が使用されるが、1つのPDCCHは、1個あるいは複数個のCCEで構成される。つまりチャネルの状態が良い端末には1個のCCEで構成されたPDCCHを利用して、高い符号化率を用いて制御情報を伝送し、一方、チャネルの状態が良くない端末には、複数個のCCEで構成されたPDCCHを利用して、同じ大きさの制御情報を伝送する。これにより、悪いチャネル状況の端末もPDCCHを介して制御情報を安定した状態で受信することができる。
<47> 例えば、制御チャネルリソース領域全体(404)に存在する複数個のCCE(406)のうち、1個(408)、2個(409)、4個(410)もしくは8個のCCEで構成されたCCE集合を用いてPDCCH候補(407)が構成される。CCE全体の数をN個とした場合、各PDCCHに対して1個のCCEが使用される場合はN個のPDCCH候補が、各PDCCHに対して2個のCCEが使用される場合は[N/2]個のPDCCH候補が、各PDCCHに対して4個のCCEが使用される場合は、[N/4]個のPDCCH候補が、各PDCCHに対して8個のCCEが使用される場合は、[N/8]個のPDCCH候補が構成される。ここで[A]は、Aを超えない最大の整数を意味する。」)

(エ)「A terminal monitors only a set of PDCCHs transmittable to the terminal among all PDCCH candidates transmittable by a base station, without receiving and decoding all of the multiple PDCCH candidates every time to determine if there is control information scheduled to the terminal. The base station transmits a scheduling grant to the terminal using only the restricted set of PDCCHs. Because all the PDCCH candidates can vary depending on the periodic information transmitted by the base station, the set of PDCCHs restricted to the terminal is also subject to change according to the periodic information.

FIGs. 5A and 5B illustrate a variable set of PDCCHs that a terminal monitors depending on a change in all PDCCH candidates according to an embodiment of the present invention. Referring to FIG 5A, a base station can use 4 CCEs 501 to generate PDCCHs. Therefore, the total number of PDCCH candidates 502 is 7. That is, if the possible number of CCEs, with which PDCCH can be generated, is 1, 2, and 4, four PDCCH candidates #1, #2, #3, and #4 using one CCE, two PDCCH candidates #5 and #6 using two CCEs, and one PDCCH candidate #7 using four CCEs are generated. For example, in FIG 5A, in the entire PDCCH candidate set 502, a first monitoring set 507 indicating PDCCHs that a terminal monitors is restricted to two PDCCHs 503 and 504 using one CCE, one PDCCH 505 using two CCEs, and one PDCCH 506 using four CCEs. That is, the first monitoring set 507 is restricted to a PDCCH candidate #1 503, a PDCCH candidate #3 504, a PDCCH candidate #5 505, and a PDCCH candidate #7 506 according to a predetermined rule. Thereafter, the base station uses one of the PDCCH candidates in the first monitoring set 507 to transmit control information to the terminal.

Upon detecting a situation where it should increase the number of PDCCHs for the terminal, the base station increases the number of CCEs 511 used for the PDCCHs to, for example, 8, as illustrated in FIG 5B, and transmits periodic information in order to notify the increase to the terminal. Thereafter, the total number of PDCCH candidates 512 increases to 14, so that PDCCH candidates transmittable to the terminal change as a second monitoring set 517.

More specifically, referring to FIG. 5B, a PDCCH candidate set 512 includes 8 PDCCH candidates PDCCH #l-#8 using one CCE, 4 PDCCH candidates PDCCH #9-#12 using two CCEs, and 2 PDCCH candidates PDCCH #13 and #14 using four CCEs. In the PDCCH candidate set 512, the second monitoring set 517 for a terminal is restricted to, for example, PDCCH candidate #2 513, PDCCH candidate #6 514, PDCCH candidate #10 515, and PDCCH candidate #14 516 according to a predetermined rule. Therefore, the base station uses one of the PDCCH candidates in the second monitoring set 517 to transmit control information to the terminal.

The number of CCEs constituting each PDCCH can be considered as a rule for determining a monitoring set of a control channel for the terminal. When the total number of PDCCH candidates 502 is 7, as in FIG 5 A, two PDCCHs 503 and 504 using one CCE, one PDCCH 505 using two CCEs, and one PDCCH 506 using four CCEs can be restrictively used for the terminal. When the total number of PDCCH candidates 512 is 14, as illustrated in FIG. 5B, two PDCCHs 513 and 514 using one CCE, one PDCCH 515 using two CCEs, and one PDCCH 516 using four CCEs are restrictively used for the terminal.

Therefore, in restricting the monitoring set of PDCCH candidates for a terminal, the present invention can secure various numbers of CCEs for PDCCHs that the terminal monitors, by applying an independent rule according to the number of CCEs per PDCCH. The application of an independent rule for the number of CCEs per PDCCH enables maximal inclusion of the different numbers of CCEs per PDCCH in the monitoring set, so that the terminal can use PDCCHs composed of different numbers of CCEs according to the channel condition.」(甲第2号証第8ページ第12行-第10ページ第1行)
(当審訳:「端末は、複数のPDCCH候補すべてを毎度受信及び復号化して端末にスケジューリングされる制御情報があるか否かを判定することなく、基地局によって伝送可能なすべてのPDCCH候補の中で端末に伝送できるPDCCHの集合のみを監視する。基地局は、限定されたPDCCHの集合のみを用いて端末にスケジューリンググラントを伝送する。すべてのPDCCH候補は、基地局によって伝送される周期情報によって変化できるため、端末に限定されるPDCCHの集合も、上記周期情報に従って変化される。

図5A及び図5Bは、本発明の実施形態により、すべてのPDCCH候補の変化に基づいて端末が監視するPDCCHの可変的な集合を示す。図5Aを参照すると、基地局は、PDCCHを生成するために4個のCCE501を使用できる。したがって、全PDCCH候補502は7個である。すなわち、PDCCHを生成することができるCCEの可能な個数が1,2,4であると、一個のCCEを使用する4個の第1?第4のPDCCH候補、2個のCCEを使用する2個の第5及び第6のPDCCH候補、及び4個のCCEを使用する1個の第7のPDCCH候補が生成される。一例として、図5Aにおいて、全体PDCCH候補集合502で端末が監視するPDCCHを示す第1の監視集合507は、一個のCCEを使用する2個のPDCCH503,504に、2個のCCEを使用する1個のPDCCH505に、4個のCCEを使用する1個のPDCCH506に、それぞれ限定される。すなわち、第1の監視集合507は、所定の規則によって、第1のPDCCH候補503、第3のPDCCH候補504、第5のPDCCH候補505、第7のPDCCH候補506に限定される。その後、基地局は、端末に制御情報を伝送するために第1の監視集合507のPDCCH候補のうちいずれか一つを使用する。

端末に対するPDCCHの個数を増加しなければならない状態が認知されると、基地局は、例えば図5Bに示すように、PDCCHに使用されるCCE511の個数を8に増加させ、これを端末に知らせるように周期情報を伝送する。以後、PDCCH候補512の全体個数が14に増加することによって、端末に伝送可能なPDCCH候補は第2の監視集合517のように変わる。

より具体的には、図5Bを参照すると、PDCCH候補集合512は、1個のCCEを使用する8個の第1?第8のPDCCH候補、2個のCCEを使用する4個の第9?第12のPDCCH候補、及び4個のCCEを使用する2個の第13及び第14のPDCCH候補を、それぞれ含む。このPDCCH候補集合512で、例えば、端末に対する第2の監視集合517は、所定の規則に従って、第2のPDCCH候補513、第6のPDCCH候補514、第10のPDCCH候補515、及び第14のPDCCH候補516に限定される。したがって、基地局は、端末に制御情報を伝送するために、第2の監視集合517のPDCCH候補うちの一つを使用する。

各PDCCHを構成するCCEの個数は、端末に対する制御チャンネルの監視集合を決定するための規則と考えられる。図5Aに示すように、PDCCH候補502の全体個数が7である場合に、1個のCCEを使用する2個のPDCCH503及び504、2個のCCEを使用する1個のPDCCH505、及び4個のCCEを使用する1個のPDCCH506は、端末に制限的に使用される。図5Bに示すように、PDCCH候補512の全体個数が14である場合に、1個のCCEを使用する2個のPDCCH513,514、2個のCCEを使用する1個のPDCCH515、及び4個のCCEを使用する1個のPDCCH516は、端末に制限的に使用される。

したがって、本発明は、端末のためのPDCCH候補の監視集合を限定することにおいて、PDCCH当たりCCEの個数に従って独立的な規則を適用して、端末が監視するPDCCHに対して多様な個数のCCEを保証することができる。PDCCH当たりCCEの個数に対する独立的な規則の適用は、監視集合でPDCCH当たりCCEの個数が異なる場合を最大限含み、それによって端末は、チャネル状態に従って相互に異なる個数のCCEからなるPDCCHを使用することができる。」)

(甲第8号証第43-15ページ段落<50>?第43-17ページ段落<55>)
(当審訳:「<50> 端末は、複数のPDCCH候補のすべてを毎回受信及び復号化して端末にスケジューリングされた制御情報があるか判断せずに、基地局が伝送できるすべてのPDCCH候補の中から端末に伝送できるPDCCHの集合だけを監視する。基地局は、上記制限されたPDCCHの集合だけを利用して端末にスケジューリンググラントを伝送する。上記全てのPDCCH候補は、基地局が伝送する周期的な情報によって変化するので、端末に制限されるPDCCH集合も上記周期的な情報によって変化する。

<51> 図5a及び図5bは、本発明の好ましい実施例に基づき、PDCCH候補全体の変化に応じて端末が監視するPDCCHの集合が変化する様子を示している。

<52> 図5aを参照すれば、基地局は、PDCCHを構成するために、4個のCCE(501)を利用することができる。したがって、PDCCH候補全体(502)の数は、合計7個である。つまり、PDCCHが構成可能なCCEの数が1、2、4個であれば、1個のCCEを使用する4つのPDCCH候補(PDCCH候補1、2、3、4)と、2個のCCEを使用する2つのPDCCH候補(PDCCH候補5、6)と、4個のCCEを使用する1つのPDCCH候補(PDCCH候補7)が構成される。一例として、上記PDCCH候補集合(502)の中で端末が監視するPDCCHを示す第1監視集合(monitoring set)(507)は、1個のCCEを使用する2つのPDCCH、2個のCCEを使用する1つのPDCCH、及び4個のCCEを使用する1つのPDCCHに制限される。一例として、上記第1監視集合(507)は、所定の規則に従って、PDCCH候補1(503)、PDCCH候補3(504)、PDCCH候補5(505)、PDCCH候補7(506)に制限される。そうすると、基地局は、端末に制御情報を伝送するために、上記第1監視集合(507)のPDCCH候補のうちいずれか1つを使用する。

<53> 端末のためのPDCCHの数を増やさなければならない状況が認知されると、基地局は、周期的な情報を利用して、PDCCHに使用されるCCE(511)を8個に増やす。そうして、PDCCH候補全体(512)の数が14個に増え、したがって端末に伝送できるPDCCH候補は、第2監視集合(517)のように変わることになる。具体的には、PDCCH候補集合(512)は、1個のCCEを使用する8つのPDCCH候補(PDCCH 1?8)、2個のCCEを使用する4つのPDCCH候補(PDCCH 9?12)、4個のCCEを使用する2つのPDCCH候補(PDCCH 13、14)を含む。上記のようなPDCCH候補集合(512)のうち、一例として、端末のための第2監視集合(517)は、所定の規則に従って、PDCCH候補2(513)、PDCCH候補6(514)、PDCCH候補10(515) 、PDCCH候補14(516)に制限される。したがって、基地局は、端末に制御情報を伝送するために上記第2監視集合(517)のPDCCH候補のうちいずれか1つを使用する。

<54> 端末のための監視集合を定める規則として、各PDCCHが構成されるCCEの数が考慮される。PDCCH候補全体(502)が7つある場合、端末に1個のCCEを使用する1つのPDCCH、2個のCCEを使用する1つのPDCCH、及び4個のCCEを使用する1つのPDCCHを限定的に使用する。PDCCH候補全体(512)が14ある場合には、端末に対して1個のCCEを使用する2つのPDCCH、2個のCCEを使用する1つのPDCCH、及び4個CCEを使用する1つのPDCCHを制限的に使用する。

<55> したがって、本発明は、端末のためのPDCCH候補を制限するにおいて、PDCCH当たりのCCEの数に応じて、それぞれ独立した規則を適用し、端末が監視するPDCCHに対して多様な数のCCEを確保する。上記のように、PDCCH当たりのCCEの数に応じて、それぞれ独立した規則を適用すれば、許可された監視集合の中からPDCCH当たりのCCEの数が異なる場合を最大限含み、端末がチャネル状況に応じて互いに異なる数のCCEで構成されたPDCCHを使用することができる。」)

(オ)FIG.4及びFIG.5Bは、次のとおりである。
FIG.4

FIG.5B


上記(イ)、(ウ)の記載及びFIG.4によれば、LTEシステムにおいて、コントロールチャネルとして、基地局と端末との間のデータ送受信のためにスケジューリンググラントを運搬するPDCCHに関し、PDCCH候補407は、全体制御チャンネルリソース領域404にN個のコントロールチャネルエレメント(CCE)が存在する場合、1個のCCE408を使用したN個のPDCCH候補、隣接するCCEを2個結合したCCE集合409からなる[N/2]個のPDCCH候補、隣接するCCE集合409をさらに2個結合したCCE集合410からなる[N/4]個のPDCCH候補である。また、上記(エ)の記載及びFIG.5Bによれば、端末に対する第2の監視集合517は、所定の規則に従って、第2のPDCCH候補513、第6のPDCCH候補514、第10のPDCCH候補515、及び第14のPDCCH候補516に限定され、基地局は、第2の監視集合517のPDCCH候補のうちの一つを使用して端末に制御情報を伝送する。
そうすると、基地局が端末に制御情報を伝送する際、第2の監視集合517では、一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補のうち、第1、第3?第5、第7?第8のPDCCH候補は、使用が制限されているといえる。そして、CCE3及びCCE4は、第3及び第4のPDCCH候補としては使用が制限されているものの、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補としては使用可能であるといえる。
また、上記(イ)及び(エ)の記載によれば、端末(302)は、基地局(301)が有する複数のPDCCHの中で、どのチャネルが端末(302)のために使用されるかわからないため、基地局によって伝送可能なすべてのPDCCH候補の中で端末に伝送できるPDCCHの集合のみを監視し、毎度受信及び復号化して端末にスケジューリングされる制御情報があるか否かを判定する。
よって、「基地局が、基地局と端末との間のデータ送受信のためにスケジューリンググラントを運搬するコントロールチャネルとしてのPDCCHを端末に伝送するために、全体制御チャンネルリソース領域404にN個のコントロールチャネルエレメント(CCE)が存在する場合、1個のCCE408を使用したN個のPDCCH候補、隣接するCCEを2個結合したCCE集合409からなる[N/2]個のPDCCH候補、隣接するCCE集合409をさらに2個結合したCCE集合410からなる[N/4]個のPDCCH候補のうちの1つを使用するものであって」、
「基地局が端末に制御情報を伝送する際、CCE2からなる第2のPDCCH候補、CCE6からなる第6のPDCCH候補、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補、CCE5?CCE8からなる第14のPDCCH候補を含む第2の監視集合517は、各PDCCH候補が少なくとも1つのCCEを有し、一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補のうち、第1、第3?第5、第7?第8のPDCCH候補は、使用が制限されており」、
「第3及び第4のPDCCH候補としての使用が制限されたCCE3及びCCE4を、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補として使用することが可能」であるといえる。
また、端末では、「基地局が有する複数のPDCCHの中で、どのチャネルが端末のために使用されるかわからないため、基地局によって伝送可能なすべてのPDCCH候補の中で端末に伝送できるPDCCHの集合のみを監視し、毎度受信及び復号化して端末にスケジューリングされる制御情報があるか否かを判定する」ことが想定されているといえる。
また、上記(ア)及び(ウ)の記載及び図4によれば、「PDCCHは、システムバンド幅401を有するサブフレーム402のコントロールチャネルリソース領域にマッピングされ、」「直列入力シンボルストリームを並列シンボルストリームに変換し、各々の並列シンボルストリームを直交性を有する複数のサブキャリア、又はサブキャリアチャネルで変調して伝送するマルチキャリア変調(MCM)方式の一種であるOFDM方式によって伝送」されるといえる。

以上を総合すると、甲第2号証及び甲第8号証には、LTEシステムに関する次の各発明(以下、それぞれを「甲2先願発明1」?「甲2先願発明4」という。)が記載されていると認める。

甲2先願発明1:
「基地局が、基地局と端末との間のデータ送受信のためにスケジューリンググラントを運搬するコントロールチャネルとしてのPDCCHを端末に伝送するために、全体制御チャンネルリソース領域404にN個のコントロールチャネルエレメント(CCE)が存在する場合、1個のCCE408を使用したN個のPDCCH候補、隣接するCCEを2個結合したCCE集合409からなる[N/2]個のPDCCH候補、隣接するCCE集合409をさらに2個結合したCCE集合410からなる[N/4]個のPDCCH候補のうちの1つを使用する方法であって、
基地局が端末に制御情報を伝送する際、CCE2からなる第2のPDCCH候補、CCE6からなる第6のPDCCH候補、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補、CCE5?CCE8からなる第14のPDCCH候補を含む第2の監視集合517は、各PDCCH候補が少なくとも1つのCCEを有し、一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補のうち、第1、第3?第5、第7?第8のPDCCH候補は、使用が制限されており、
第3及び第4のPDCCH候補としての使用が制限されたCCE3及びCCE4を、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補として使用することが可能であり、
端末では、基地局が有する複数のPDCCHの中で、どのチャネルが端末のために使用されるかわからないため、基地局によって伝送可能なすべてのPDCCH候補の中で端末に伝送できるPDCCHの集合のみを監視し、毎度受信及び復号化して端末にスケジューリングされる制御情報があるか否かを判定することが想定されており、
PDCCHは、システムバンド幅401を有するサブフレーム402のコントロールチャネルリソース領域にマッピングされ、
直列入力シンボルストリームを並列シンボルストリームに変換し、各々の並列シンボルストリームを直交性を有する複数のサブキャリア、又はサブキャリアチャネルで変調して伝送するマルチキャリア変調(MCM)方式の一種であるOFDM方式によって伝送する、方法。」

甲2先願発明2:
「端末が、基地局が有する複数のPDCCHの中で、どのチャネルが端末のために使用されるかわからないため、基地局によって伝送可能なすべてのPDCCH候補の中で端末に伝送できるPDCCHの集合のみを監視し、毎度受信及び復号化して端末にスケジューリングされる制御情報があるか否かを判定する方法であって、
基地局と端末との間のデータ送受信のためにスケジューリンググラントを運搬するコントロールチャネルとしてのPDCCHとして、全体制御チャンネルリソース領域404にN個のコントロールチャネルエレメント(CCE)が存在する場合、1個のCCE408を使用したN個のPDCCH候補、隣接するCCEを2個結合したCCE集合409からなる[N/2]個のPDCCH候補、隣接するCCE集合409をさらに2個結合したCCE集合410からなる[N/4]個のPDCCH候補のうちの1つが使用され、
基地局が端末に制御情報を伝送する際、CCE2からなる第2のPDCCH候補、CCE6からなる第6のPDCCH候補、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補、CCE5?CCE8からなる第14のPDCCH候補を含む第2の監視集合517は、各PDCCH候補が少なくとも1つのCCEを有し、一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補のうち、第1、第3?第5、第7?第8のPDCCH候補は、使用が制限されており、
第3及び第4のPDCCH候補としての使用が制限されたCCE3及びCCE4を、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補として使用することが可能である、方法。」

甲2先願発明3:
「基地局と端末との間のデータ送受信のためにスケジューリンググラントを運搬するコントロールチャネルとしてのPDCCHを端末に伝送するために、全体制御チャンネルリソース領域404にN個のコントロールチャネルエレメント(CCE)が存在する場合、1個のCCE408を使用したN個のPDCCH候補、隣接するCCEを2個結合したCCE集合409からなる[N/2]個のPDCCH候補、隣接するCCE集合409をさらに2個結合したCCE集合410からなる[N/4]個のPDCCH候補のうちの1つを使用する基地局であって、
基地局が端末に制御情報を伝送する際、CCE2からなる第2のPDCCH候補、CCE6からなる第6のPDCCH候補、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補、CCE5?CCE8からなる第14のPDCCH候補を含む第2の監視集合517は、各PDCCH候補が少なくとも1つのCCEを有し、一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補のうち、第1、第3?第5、第7?第8のPDCCH候補は、使用が制限されており、
第3及び第4のPDCCH候補としての使用が制限されたCCE3及びCCE4を、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補として使用することが可能であり、
端末では、基地局が有する複数のPDCCHの中で、どのチャネルが端末のために使用されるかわからないため、基地局によって伝送可能なすべてのPDCCH候補の中で端末に伝送できるPDCCHの集合のみを監視し、毎度受信及び復号化して端末にスケジューリングされる制御情報があるか否かを判定することが想定されており、
PDCCHは、システムバンド幅401を有するサブフレーム402のコントロールチャネルリソース領域にマッピングされ、
直列入力シンボルストリームを並列シンボルストリームに変換し、各々の並列シンボルストリームを直交性を有する複数のサブキャリア、又はサブキャリアチャネルで変調して伝送するマルチキャリア変調(MCM)方式の一種であるOFDM方式によって伝送する、基地局。」

甲2先願発明4:
「基地局が有する複数のPDCCHの中で、どのチャネルが端末のために使用されるかわからないため、基地局によって伝送可能なすべてのPDCCH候補の中で端末に伝送できるPDCCHの集合のみを監視し、毎度受信及び復号化して端末にスケジューリングされる制御情報があるか否かを判定する端末であって、
基地局と端末との間のデータ送受信のためにスケジューリンググラントを運搬するコントロールチャネルとしてのPDCCHとして、全体制御チャンネルリソース領域404にN個のコントロールチャネルエレメント(CCE)が存在する場合、1個のCCE408を使用したN個のPDCCH候補、隣接するCCEを2個結合したCCE集合409からなる[N/2]個のPDCCH候補、隣接するCCE集合409をさらに2個結合したCCE集合410からなる[N/4]個のPDCCH候補のうちの1つが使用され、
基地局が端末に制御情報を伝送する際、CCE2からなる第2のPDCCH候補、CCE6からなる第6のPDCCH候補、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補、CCE5?CCE8からなる第14のPDCCH候補を含む第2の監視集合517は、各PDCCH候補が少なくとも1つのCCEを有し、一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補のうち、第1、第3?第5、第7?第8のPDCCH候補は、使用が制限されており、
第3及び第4のPDCCH候補としての使用が制限されたCCE3及びCCE4を、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補として使用することが可能である、端末。」

イ 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲2先願発明1とを対比する。

甲2先願発明1の「基地局と端末との間のデータ送受信のためにスケジューリンググラントを運搬するコントロールチャネルとしてのPDCCH」は、「全体制御チャンネルリソース領域404にN個のコントロールチャネルエレメント(CCE)が存在する場合、1個のCCE408を使用したN個のPDCCH候補、隣接するCCEを2個結合したCCE集合409からなる[N/2]個のPDCCH候補、隣接するCCE集合409をさらに2個結合したCCE集合410からなる[N/4]個のPDCCH候補」として表されるから、本件特許発明1にいう「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネル」に対応し、「各コントロールチャネルは、」「少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有」する点で共通する。
また、甲2先願発明1が上記PDCCHを端末に伝送するために、複数のPDCCH候補のうちの1つを使用することは、本件特許発明1にいう「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをアロケートするステップ」に相当する。

甲2先願発明1の「一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補」は、本件特許発明1の「ツリー構造の最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され」る「最高レベルのコントロールチャネル」に相当し、甲2先願発明1の「CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補、CCE5?CCE8からなる第14のPDCCH候補」は、本件特許発明1の「ツリー構造の比較的低レベルにあるノードによって表される」「比較的低いレベルのコントロールチャネル」に含まれる。
そして、甲2先願発明1では、基地局が端末に制御情報を伝送する際、一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補のうち、第1、第3?第5、第7?第8のPDCCH候補は、使用が制限されているから、甲2先願発明1において、「一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補のうち、第1、第3?第5、第7?第8のPDCCH候補」の「使用」を「制限」して、「PDCCHを端末に伝送するために」「PDCCH候補のうちの1つを使用する」ことは、本件特許発明1にいう「前記アロケーションは最高レベルのコントロールチャネルのアロケーションを制限することによって実行され、前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表される、ステップ」に相当するといえる。
また、甲2先願発明1において、「第3及び第4のPDCCH候補としての使用が制限されたCCE3及びCCE4」は、第3及び第4のPDCCH候補として使用されることはないが、「CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補として使用することが可能」であるから、第10のPDCCH候補として使用される可能性が高くなるといえ、本件特許発明1にいう「コントロールチャネルの比較的低いレベルのアロケーションを増大させるステップであって、比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の低いレベルにあるノードによって表される、ステップ」に含まれるといえる。

ところで、甲2先願発明1は、「端末では、基地局が有する複数のPDCCHの中で、どのチャネルが端末のために使用されるかわからないため、基地局によって伝送可能なすべてのPDCCH候補の中で端末に伝送できるPDCCHの集合のみを監視し、毎度受信及び復号化して端末にスケジューリングされる制御情報があるか否かを判定することを想定」しているものの、「各コントロールチャネル」が、「コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する」ことについて明示の記載はない。

しかしながら、「毎度受信及び復号化して端末にスケジューリングされる制御情報があるか否かを判定する」、いわゆるブラインドデコーディングのために、制御信号が、どのPDCCHが自端末にスケジューリングされたものかを識別するための、「コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報」を伝送することは、当該技術分野において常套の周知技術である。

よって、甲2先願発明1において、「各コントロールチャネル」が、「コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送する」ことは、周知技術の付加であって、新たな効果を奏するものではないから、課題解決のための具体化手段における微差といえる。

したがって、本件特許発明1と甲2先願発明1とは実質的に同一であるから、本件特許発明1は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ウ 本件特許発明2について
本件特許発明2と甲2先願発明1とを対比すると、甲2先願発明1の「端末」は、本件特許発明2にいう「ユーザイクイップメント」に相当する。
そして、甲2先願発明1では、「PDCCHは、システムバンド幅401を有するサブフレーム402のコントロールチャネルリソース領域にマッピングされ」、「直列入力シンボルストリームを並列シンボルストリームに変換し、各々の並列シンボルストリームを直交性を有する複数のサブキャリア、又はサブキャリアチャネルで変調して伝送するマルチキャリア変調(MCM)方式の一種であるOFDM方式によって伝送」されるから、本件特許発明2いう「アロケートされたコントロールチャネルをユーザイクイップメントに、アロケートされたコントロールチャネルをシステムバンド幅にわたりサブキャリアに分散することによって送信」することに相当する。また、他の特定事項については、上記イのとおりである。

よって、本件特許発明2と甲2先願発明1とは実質的に同一であるから、本件特許発明2は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

エ 本件特許発明3について
本件特許発明3と甲2先願発明1とを対比すると、甲2先願発明1は、隣接するCCEは2個結合されてCCE集合409からなるPDCCH候補となり、隣接するCCE集合409はさらに2個結合されてCCE集合410からなるPDCCH候補となる。
そして、上記1(2)のとおり、本件特許に係る国際特許出願の特許請求の範囲の第4項に「wherein the higher level control channels are combined to the lower level control channels.」と記載されているように、当該技術分野においては、PDCCHは、1、2、4、8個のコントロールチャネルエレメントの組み合わせからなることが技術常識であることを考慮すれば、甲2先願発明1において、「全体制御チャンネルリソース領域404にN個のコントロールチャネルエレメント(CCE)が存在する場合、1個のCCE408を使用したN個のPDCCH候補、隣接するCCEを2個結合したCCE集合409からなる[N/2]個のPDCCH候補、隣接するCCE集合409をさらに2個結合したCCE集合410からなる[N/4]個のPDCCH候補のうちの1つを使用する」ことは、本件特許発明3にいう「比較的高いレベルのコントロールチャネルは、比較的低いレベルのコントロールチャネルと組み合わされる」ことに含まれるといえる。また、他の特定事項については、上記イのとおりである。

よって、本件特許発明3と甲2先願発明1とは実質的に同一であるから、本件特許発明3は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

オ 本件特許発明4について
本件特許発明4と甲2先願発明1とを対比する。
ここで、本件特許の請求項4が引用する請求項1には「前記最高レベルのコントロールチャネルは、最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され」、「比較的低いレベルのコントロールチャネルは、ツリー構造の低レベルにあるノードによって表される」との特定事項があるから、本件特許発明4の「ツリー構造の比較的低いレベルにおいてアロケーションがより増大される」は、ツリー構造の「最高レベル」に比べて「低レベル」の方が「アロケーションがより増大される」ことを排除していないとみることができる。
そして、上記イのとおり、甲2先願発明1では、第1、第3?第5、第7?第8のPDCCH候補の使用の制限により、CCE3及びCCE4が第3及び第4のPDCCH候補として使用されることはないから、第10のPDCCH候補として使用される可能性が高くなるといえ、甲2先願発明1においても、「最高レベル」に比べて「低レベル」の方が「アロケーションがより増大される」といえる。
よって、本件特許発明4と甲2先願発明1とは、「比較的低いレベルのツリー構造においてアロケーションがより増大される」点で一致する。また、他の特定事項については、上記イのとおりである。

よって、本件特許発明4と甲2先願発明1とは実質的に同一であるから、本件特許発明4は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

カ 本件特許発明5について
本件特許発明5と甲2先願発明2とを対比する。

上記イと同様の理由により、甲2先願発明2の「基地局と端末との間のデータ送受信のためにスケジューリンググラントを運搬するコントロールチャネルとしてのPDCCH」は、本件特許発明5にいう「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネル」に対応し、「各コントロールチャネルは、」「少なくとも一つのコントロールチャネルエレメントを有」する点で共通する。
また、甲2先願発明2は、「基地局によって伝送可能なすべてのPDCCH候補の中で端末に伝送できるPDCCHの集合のみを監視し、毎度受信及び復号化して端末にスケジューリングされる制御情報があるか否かを判定する」ものであるから、本件特許発明5と甲2先願発明2とは、「ツリー構造のノードにより表されるコントロールチャネルをデコーディングすることによって」、「コントロールチャネルを検索するステップを含」む点で共通する。

甲2先願発明2の「一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補」は、本件特許発明5の「ツリー構造の最高レベルにあるツリー構造のノードによって表され」る「最高レベルのコントロールチャネル」に相当し、甲2先願発明2の「CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補、CCE5?CCE8からなる第14のPDCCH候補」は、本件特許発明5の「ツリー構造の比較的低レベルにあるノードによって表される」「比較的低いレベルのコントロールチャネル」に含まれる。
そして、甲2先願発明2では、基地局が端末に制御情報を伝送する際、一つのCCEを使用した第1?第8のPDCCH候補のうち、第1、第3?第5、第7?第8のPDCCH候補は、使用が制限されているから、本件特許発明5と同様に、「検索は、最高レベルのコントロールチャネルに対して制限され」るといえる。
また、甲2先願発明2において、「第3及び第4のPDCCH候補としての使用が制限されたCCE3及びCCE4を、CCE3及びCCE4からなる第10のPDCCH候補として使用することが可能」であるから、比較的低いレベルのコントロールチャネルの検索が増大し得るといえ、本件特許発明5にいう「検索は、コントロールチャネルの比較的低いレベルに対して増大され」に含まれるといえる。

そして、甲2先願発明2において、「各コントロールチャネル」が、「コントロールチャネルを検知するために使用されるそれぞれの識別子に対する情報を伝送」し、「識別子を使用することによって」検索することは、上記イで検討したとおり、周知技術の付加であって、新たな効果を奏するものではないから、課題解決のための具体化手段における微差といえる。

以上より、本件特許発明5と甲2先願発明2とは実質的に同一であるから、本件特許発明5は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

キ 本件特許発明6について
本件特許発明6と甲2先願発明2とを対比すると、甲2先願発明2では、コントロールチャネルとしてのPDCCHは、基地局から伝送されるから、本件特許発明6にいう「コントロールチャネルはネットワークデバイスから受信される」に含まれる。また、他の特定事項については、上記カのとおりである。

よって、本件特許発明6と甲2先願発明2とは実質的に同一であるから、本件特許発明6は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ク 本件特許発明7について
甲第3号証(Nokia、“Structure and transport of the Downlink Control Channels”、3GPP TSG RAN WG1 #48 Meeting R1-071003、2007年2月6日掲載)には、次の記載がある。
「2) possibility to search & decode the PDCCHs in any favoured order;
・say, from the largest PDCCH to the smallest PDCCH」(第7ページ第13行?第15行)
(当審訳:「2)任意の好みの順序でPDCCHを検索及びデコードすることの可能性
・ 最大のPDCCHから最小のPDCCHへの順序」)

甲2先願発明2において、検索を、最低レベルのコントロールチャネルから開始することは周知技術(例えば、上記甲第3号証の記載参照。)の付加であって、新たな効果を奏するものではないから、課題解決のための具体化手段における微差といえる。
また、他の特定事項については、上記カ及びクのとおりである。

よって、本件特許発明7と甲2先願発明2とは実質的に同一であるから、本件特許発明7は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ケ 本件特許発明8について
本件特許発明8と甲2先願発明3とを対比すると、甲2先願発明3の「基地局」は、本件特許発明8の「デバイス」に含まれるといえ、上記イで対比したのと同様の理由により、本件特許発明8と甲2先願発明3とは実質的に同一であるから、本件特許発明8は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

コ 本件特許発明9について
上記ケ及びウと同様の理由により、本件特許発明9と甲2先願発明3とは実質的に同一であるから、本件特許発明9は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

サ 本件特許発明10について
本件特許発明10と甲2先願発明3とを対比すると、甲2先願発明3は、LTEシステムの「基地局」であるから、本件特許発明10の「eNB」に相当する。また、他の特定事項については、上記ケ及びコのとおりである。

よって、本件特許発明10と甲2先願発明3とは実質的に同一であるから、本件特許発明10は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

シ 本件特許発明11について
本件特許発明11と甲2先願発明4とを対比すると、甲2先願発明4の「端末」は、本件特許発明11の「デバイス」に相当し、上記カで対比したのと同様の理由により、本件特許発明11と甲2先願発明4とは実質的に同一であるから、本件特許発明11は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ス 本件特許発明12について
上記シ及びキと同様の理由により、本件特許発明12と甲2先願発明4とは実質的に同一であるから、本件特許発明12は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

セ 本件特許発明13について
本件特許発明13と甲2先願発明4とを対比すると、甲2先願発明4の「端末」は、本件特許発明13の「ユーザイクイップメント」に相当する。また、他の特定事項については、上記シ及びスのとおりである。

よって、本件特許発明13と甲2先願発明4とは実質的に同一であるから、本件特許発明13は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ソ 本件特許発明14?本件特許発明16について
ソフトウエアコード部分を有する、処理デバイス用のコンピュータプログラムを基地局又は端末で実行すること、当該コンピュータプログラムをコンピュータ読み出し可能媒体に格納し、処理デバイスの内部メモリに直接ロード可能とすることは、常套である。
そして、上記イ?クのとおり、本件特許発明1?本件特許発明4は甲2先願発明1と実質的に同一であり、本件特許発明5?本件特許発明7は、甲2先願発明2と実質的に同一であるから、甲第2号証及び甲第8号証には、コンピュータプログラムが処理デバイスで実行されるときに、本件特許発明1?本件特許発明7までのいずれかに記載のステップを実行するためのソフトウエアコード部分を有する、処理デバイス用のコンピュータプログラム(本件特許発明14)、該コンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み出し可能媒体(本件特許発明15)、及び該コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムは、処理デバイスの内部メモリに直接ロード可能である、コンピュータプログラム(本件特許発明16)と実質的に同一の発明が開示されているといえる。

よって、本件特許発明14?本件特許発明16は、甲第2号証及び甲第8号証に開示された発明と実質的に同一であるから、本件特許発明14?本件特許発明16は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される同法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(3)無効理由1及び2についてのまとめ
上記(1)及び(2)で予備的に検討したとおり、少なくとも無効理由1及び無効理由2には理由があるから、本件特許の請求項1?16に係る発明についての特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきである。

第8 むすび
上記「第7」の「1」及び「2」のとおり、無効理由6及び7には理由があるから、本件特許の請求項1?16に係る発明についての特許は、特許法第123条第1項第4号の規定により無効とされるべきである。
また、無効理由6及び7には理由があるものの、上記「第7」の「3」で更に予備的に検討したとおり、少なくとも無効理由1及び無効理由2には理由があるから、本件特許の請求項1?16に係る発明についての特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-03-07 
結審通知日 2019-03-12 
審決日 2019-03-27 
出願番号 特願2010-506918(P2010-506918)
審決分類 P 1 113・ 16- ZB (H04Q)
P 1 113・ 854- ZB (H04Q)
P 1 113・ 841- ZB (H04Q)
P 1 113・ 536- ZB (H04Q)
P 1 113・ 855- ZB (H04Q)
P 1 113・ 537- ZB (H04Q)
最終処分 成立  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 北岡 浩
松永 稔
登録日 2012-09-07 
登録番号 特許第5081296号(P5081296)
発明の名称 通信ネットワークシステムにおけるコントロールチャネル  
代理人 岡田 誠  
代理人 前川 純一  
代理人 ▲高▼梨 義幸  
代理人 塩月 秀平  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 高橋 佳大  
代理人 阪 和之  
代理人 大石 幸雄  

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